JP2022500417A - 咬筋肥大症の治療方法 - Google Patents

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Abstract

ボツリヌス毒素などのクロストリジウム誘導体を咬筋に局所投与することにより、咬筋肥大症を治療する又は軽減する方法及びキットを記載する。下顔面幅を縮小させる、及びヒトの咬筋の隆起を縮小させる方法及びキットも記載する。【選択図】なし

Description

関連出願の相互参照
本願は、2018年9月13日に出願された米国特許仮出願第62/731,064号の利益を主張するものであり、その全体が参照によりここに組み入れられたものとする。
本開示は、咬筋肥大症の治療方法に関する。特に、本開示は、神経毒を用いた咬筋肥大症(以下MMH)の治療に関する。
咬筋肥大症(MMH)は片側性又は両側性がある。特発性の場合もあれば、歯ぎしり、咬合及び筋不調和、顎関節症(TMJD)又は過度の咀嚼習慣など、いくつかの条件に伴って生じる場合がある。審美的に、MMHは広い、四角い又は台形の下顔面形態のように見えることがあり、望ましくないと考えられる。顕著な咬筋及び/又は下顎の外科的又は非外科的修正により、巨大な又は四角い下顔面の縮小が望まれる場合がある。
治療の成功はいくつかの要因に依存するが、例えば結果的に更なる治療を調整することができるように治療効果を判定する有効な方法、治療と関連する場合がある有害事象を最小限にすると同時に、所望の転帰を生じる有効な投与パラダイムなどが挙げられる。
従って、MMHの有効な治療方法、及びこのような治療の有効性及び安全性を決定する有効な方法が必要である。
第1の態様において、MMHを治療する方法を提供する。本方法は、MMHを有する被験者にクロストリジウム誘導体を局所的に投与することを含む。いくつかの実施形態において、クロストリジウム誘導体は、野生型又は組換え神経毒、組換え変性毒素、これらの断片、標的化小胞性エキソサイトーシスモジュレータ(Targeted vesicular Exocytosis Modulator)(TEM)、或いはこれらの組合せである。1つの実施形態において、クロストリジウム誘導体はボツリヌス毒素である。本方法の1つの実施形態において、クロストリジウム誘導体は患者の咬筋に局所的に投与される。
更に別の態様において、パーツキットを提供する。本パーツキットは、a)約5〜100ユニット量のボツリヌス毒素と、b)咬筋肥大症治療のために筋肉にボツリヌス毒素を投与する指示とを含み、咬筋肥大症である被験者の咬筋にボツリヌス毒素を投与する。1つの実施形態において、ボツリヌス毒素量は約10〜50ユニット又は20〜100ユニット、好ましくは約12〜48ユニット又は24〜96ユニット、より好ましくは約24〜36ユニット又は48〜72ユニットである。具体的な実施形態において、ボツリヌス毒素量は12ユニット、24ユニット、36ユニット、48ユニット、72ユニット又は96ユニットである。1つの実施形態において、ボツリヌス毒素はいくつかに分けて包装される。
別の態様において、咬筋領域の下顔面幅を縮小させる方法を提供する。本方法は、咬筋の最大膨隆部の領域を特定することと、該領域の複数の注射部位にボツリヌス毒素を注射して、咬筋領域の下顔面幅を縮小させるボツリヌス毒素の用量を投与することとを含む。
1つの実施形態において、特定工程及び注射工程は両側で実施される。別の実施形態において、本方法は、反対の咬筋で特定及び注射を繰り返すことを更に含む。
1つの実施形態において、約10〜50ユニット又は20〜100ユニットのボツリヌス毒素の用量が複数の注射部位に注射される。別の実施形態において、約24〜36ユニット又は48〜72ユニットのボツリヌス毒素の用量が複数の注射部位に注射される。他の実施形態において、用量は約12〜48ユニット又は24〜96ユニットである。他の実施形態において、用量は12ユニット、24ユニット、36ユニット、48ユニット、72ユニット又は96ユニットである。更に他の実施形態において、ボツリヌス毒素の用量は、治療する筋肉のそれぞれに対して、約5〜100ユニット、約15〜60ユニット、約25〜47ユニット、及び約30〜40ユニットの群から選択される範囲である。別の実施形態において、治療する筋肉のそれぞれに対するボツリヌス毒素の用量は、約36ユニットである。
別の実施形態において、複数の注射部位は3〜5か所である。いくつかの実施形態において、用量の一部が複数の注射部位の各注射部位に投与され、該一部は複数の注射部位の部位数により分割される用量と同じである。他の実施形態において、1つ又は複数の注射部位に投与される用量の該一部は、別の注射部位に投与される用量の該一部と同じではない。
別の実施形態において、本方法は、咬筋の最大膨隆部の領域を特定する前に、咬筋隆起スケール(Masseter Muscle Prominence Scale)(MMPS)を用い、被験者を判定すること又は判定を再検討することを含む。1つの実施形態において、判定又は再検討は、被験者にMMPSにおける顕著又は非常に顕著のランク付けを行う。
1つの実施形態において、判定又は再検討は、以前の治療の有効性を評価するために実施される。
別の実施形態において、本方法は咬筋領域の下顔面幅を縮小させる美容的方法である。
更に別の態様において、パーツキットを提供する。本パーツキットはa)約5〜100ユニット量のボツリヌス毒素と、b)咬筋領域の下顔面幅を縮小させるために筋肉にボツリヌス毒素を投与する指示とを含み、i)咬筋の最大膨隆部の領域を特定し、ii)その領域の複数の注射部位にボツリヌス毒素を注射して、咬筋領域の下顔面幅を縮小させるボツリヌス毒素の用量を投与する。1つの実施形態において、ボツリヌス毒素量は、約10〜50ユニット又は20〜100ユニット、好ましくは約12〜48ユニット又は24〜96ユニット、より好ましくは約24〜36ユニット又は48〜72ユニットである。具体的な実施形態において、ボツリヌス毒素量は12ユニット、24ユニット、36ユニット、48ユニット、72ユニット又は96ユニットである。1つの実施形態において、ボツリヌス毒素はいくつか、例えば3〜5個に分けて包装される。1つの実施形態において、ボツリヌス毒素はA型ボツリヌス毒素である。1つの実施形態において、本パーツキットは、咬筋の最大膨隆部の領域を特定する前に咬筋隆起スケール(MMPS)を用いて被験者を判定するか、又は判定を再検討する指示、咬筋の最大膨隆部の領域を特定する指示、及び/或いは反対の咬筋で特定及び注射を繰り返す指示を更に含む。
別の態様において、ヒトの咬筋の隆起を縮小させる方法を提供する。本方法は、咬筋の隆起を縮小させるボツリヌス毒素の用量を咬筋領域に投与することを含み、この用量は咬筋領域の複数部位に投与される。この領域は、顎を咬みしめた時の咬筋の最大膨隆部の領域として特定され、用量は顎を弛緩した状態で投与される。
1つの実施形態において、投与工程は両側で実施される。別の実施形態において、本方法は、反対の咬筋に投与を繰り返すことを更に含む。
1つの実施形態において、投与工程は、注射中に咬筋に垂直に位置する針を用いた注射によるものである。
別の実施形態において、用量は深層筋及び表層筋に分布するように投与される。
更に別の実施形態において、用量は約0.3〜3.6mLの容量で投与される。別の実施形態において、用量は約0.6〜2.4mLの容量で投与される。
更に別の実施形態において、用量の一部は複数の注射部位の各注射部位に投与され、各注射部位に投与される該一部は一定ではない。1つの実施形態において、各注射部位で一定か、各注射部位で一定でない該一部は、約0.1〜0.4mLの容量で投与される。
1つの実施形態において、複数の注射部位は3か所である。他の実施形態において、複数の注射部位は2〜5又は3〜5である。
1つの実施形態において、複数の注射部位の少なくとも1つの部位は、複数の注射部位の隣接する部位から約1cmの間隔を開けて位置する。別の実施形態において、複数の注射部位の各注射部位は、隣接する部位から約0.5cm、0.75cm又は1cmの間隔を開けて位置する。1つの実施形態において、各注射部位は隣接する部位から約1cmの間隔を開けて位置する。実施例1及び2に記載の研究において、注射部位間の間隔がlcmであると、治療領域で均一、連続する毒素の分布を提供することが観察された。
別の態様において、パーツキットを提供する。本パーツキットは、a)約5〜100ユニット量のボツリヌス毒素と、b)ヒトの咬筋の隆起を縮小させるために筋肉にボツリヌス毒素を投与する指示とを含み、i)顎を咬みしめた時の咬筋の最大膨隆部の領域を特定し、ii)顎が弛緩した時、咬筋領域の複数部位に、咬筋の隆起を縮小させるボツリヌス毒素の用量を投与する。1つの実施形態において、ボツリヌス毒素量は約10〜50ユニット又は20〜100ユニット、好ましくは約12〜48ユニット又は24〜96ユニット、より好ましくは約24〜36ユニット又は48〜72ユニットである。具体的な実施形態において、ボツリヌス毒素量は12ユニット、24ユニット、36ユニット、48ユニット、72ユニット又は96ユニットである。1つの実施形態において、ボツリヌス毒素はA型ボツリヌス毒素である。1つの実施形態において、ボツリヌス毒素はいくつか、好ましくは2〜5個、より好ましくは3個に分けて包装される。
更に別の態様において、咬筋隆起と関連する下顔面突出又は幅を一時的に縮小させる方法を提供する。本方法は、口の外側交連(lateral commissure)から耳朶が顔に接する点まで伸びる線を特定することと;顎を咬みしめた状態で咬筋の最大膨隆部の領域を特定することと;最大膨隆部の領域を含み、該線に位置するか、又は該線の下側に位置し、笑筋の後部にあり、耳下腺の前方にある治療領域を決定することと;治療領域の複数の注射部位にボツリヌス毒素を注射して、下顔面突出又は幅を縮小させるボツリヌス毒素の用量を投与することとを含む。
1つの実施形態において、本方法の工程は両側で実施される。別の実施形態において、本方法は、反対の咬筋に工程を繰り返すことを更に含む。
1つの実施形態において、口の外側交連から耳朶が顔に接する点まで伸びる線が、仮想線として視覚的に特定される。他の実施形態において、線が視覚的に特定され、患者の皮膚に物理的に印がつけられる。
1つの実施形態において、治療領域は皮膚に印をつけることなく視覚的に決定される。他の実施形態において、決定された治療領域は、皮膚につけた印で示される。
他の実施形態において、咬筋隆起スケール(MMPS)を用いた被験者の判定が実施されるか、又は被験者の事前の判定が再検討される。1つの実施形態において、治療を受ける被験者は、MMPSにより顕著又は非常に顕著とランク付けされる。
1つの実施形態において、評価又は再検討は、以前の治療の有効性を評価するために実施される。
別の実施形態において、本方法は、咬筋隆起と関連する下顔面突出又は幅を一時的に縮小させる美容的方法である。
別の実施形態において、ボツリヌス毒素はA型ボツリヌス毒素である。
別の態様において、パーツキットを提供する。本パーツキットは、a)約5〜100ユニット量のボツリヌス毒素と、b)咬筋隆起と関連する下顔面突出又は幅を一時的に縮小させるために筋肉にボツリヌス毒素を投与する指示とを含み、i)口の外側交連から耳朶が顔に接する点まで伸びる線を特定し;ii)顎を咬みしめた状態で咬筋の最大膨隆部の領域を特定し;iii)最大膨隆部の領域を含み、該線に位置するか、又は該線の下側に位置し、笑筋の後部にあり、耳下腺の前方にある治療領域を決定し;iv)治療領域の複数の注射部位にボツリヌス毒素を注射して、下顔面突出又は幅を縮小させるボツリヌス毒素の用量を投与する。1つの実施形態において、ボツリヌス毒素量は約10〜50ユニット又は20〜100ユニット、好ましくは約12〜48ユニット又は24〜96ユニット、より好ましくは約24〜36ユニット又は48〜72ユニットである。具体的な実施形態において、ボツリヌス毒素量は12ユニット、24ユニット、36ユニット、48ユニット、72ユニット又は96ユニットである。1つの実施形態において、ボツリヌス毒素はいくつか、好ましくは2〜5個、より好ましくは3個に分けて包装される。1つの実施形態において、ボツリヌス毒素はA型ボツリヌス毒素である。1つの実施形態において、本パーツキットは、咬筋隆起スケール(MMPS)を用い、被験者を判定するか、又は判定を再検討する指示を更に含み、被験者にMMPSで顕著又は非常に顕著のランク付けを行う。
別の態様において、ヒトの下顔面の輪郭を変える方法を提供する。本方法は、クロストリジウム誘導体を局所的に投与することを含む。他の実施形態において、本方法は、咬筋の最大膨隆部の領域を特定することと、その領域の複数の注射部位にクロストリジウム誘導体の用量を注射して投与し、咬筋領域の下顔面幅を縮小させることとを含む。1つの実施形態において、クロストリジウム誘導体はボツリヌス毒素である。更に他の実施形態において、本方法は、口の外側交連から耳朶が顔に接する点まで伸びる線を特定することと;顎を咬みしめた状態で咬筋の最大膨隆部の領域を特定することと;最大膨隆部の領域を含み、該線に位置するか、又は該線の下側に位置し、笑筋の後部にあり、耳下腺の前方にある治療領域を決定することと;治療領域の複数の注射部位にボツリヌス毒素を注射して、下顔面突出又は幅を縮小させるボツリヌス毒素の用量を投与することとを含む。
別の態様において、パーツキットを提供する。本パーツキットは、a)約5〜100ユニット量のボツリヌス毒素と、b)ヒトの下顔面の輪郭を変えるために筋肉にボツリヌス毒素を投与する指示とを含み、i)口の外側交連から耳朶が顔に接する点まで伸びる線を特定し;ii)顎を咬みしめた状態で咬筋の最大膨隆部の領域を特定し;iii)最大膨隆部の領域を含み、該線に位置するか、又は該線の下側に位置し、笑筋の後部にあり、耳下腺の前方にある治療領域を決定し;iv)治療領域の複数の注射部位にボツリヌス毒素を注射して、下顔面突出又は幅を縮小させるボツリヌス毒素の用量を投与する。1つの実施形態において、ボツリヌス毒素量は約10〜50ユニット又は20〜100ユニット、好ましくは約12〜48ユニット又は24〜96ユニット、より好ましくは約24〜36ユニット又は48〜72ユニットである。具体的な実施形態において、ボツリヌス毒素量は12ユニット、24ユニット、36ユニット、48ユニット、72ユニット又は96ユニットである。1つの実施形態において、ボツリヌス毒素はいくつか、好ましくは2〜5個、より好ましくは3個に分けて包装される。1つの実施形態において、ボツリヌス毒素はA型ボツリヌス毒素である。
更に別の態様において、咬筋領域においてヒトの下顔面を形作る又は作り変える方法を提供する。別の態様は、咬筋と関連する下顔面突出を縮小させる方法を意図する。これらの方法の実施形態において、クロストリジウム誘導体は、本明細書に記載の方法及び実施形態のいずれかにより局所的に投与される。
方法又はパーツキットいずれかの1つの実施形態において、本方法又は組成物は、美容的治療方法、例えばヒトの咬筋の隆起を縮小させる美容的方法、咬筋隆起と関連する下顔面突出又は幅を一時的に縮小させる美容的方法、或いは咬筋領域の下顔面幅を縮小させる美容的方法を対象としている。
別の態様において、パーツキットを提供する。本パーツキットは、a)約5〜100ユニット量のボツリヌス毒素と、b)咬筋領域においてヒトの下顔面を形作る又は作り変えるために筋肉にボツリヌス毒素を投与する指示とを含む。1つの実施形態において、ボツリヌス毒素量は約10〜50ユニット又は20〜100ユニット、好ましくは約12〜48ユニット又は24〜96ユニット、より好ましくは約24〜36ユニット又は48〜72ユニットである。具体的な実施形態において、ボツリヌス毒素量は12ユニット、24ユニット、36ユニット、48ユニット、72ユニット又は96ユニットである。1つの実施形態において、ボツリヌス毒素はいくつか、好ましくは2〜5個、より好ましくは3個に分けて包装される。1つの実施形態において、ボツリヌス毒素はA型ボツリヌス毒素である。
上述の方法又はパーツキットのいずれかにおいて、いくつかの実施形態では、ボツリヌス毒素は動物タンパク質フリーである。他の実施形態において、咬筋領域の下顔面幅、ヒトの咬筋の隆起、或いは咬筋隆起と関連する下顔面突出又は幅は、動物タンパク質含有組成物を用いるよりも長期間縮小される。
更に別の他の態様において、被験者の咬筋領域の下顔面幅を縮小させるため、咬筋の最大膨隆部の領域に注射するボツリヌス毒素及び医薬的に許容される担体を含む組成物を提供する。
更に別の態様において、被験者の咬筋領域の下顔面幅を縮小させるため、ヒトの咬筋の隆起を縮小させるため、及び/或いは被験者の咬筋隆起と関連する下顔面突出又は幅を一時的に縮小させるため、咬筋の最大膨隆部の領域に注射するボツリヌス毒素の使用を提供する。
組成物又はその使用の1つの実施形態において、被験者は顕著又は非常に顕著な咬筋隆起を有する。1つの実施形態において、咬筋隆起はMMPSを用いて決定される。
別の実施形態において、組成物又はその使用は、注射後90日間、咬筋領域の下顔面幅を縮小させる。
他の実施形態において、組成物又は組成物の使用は、各咬筋の複数の注射部位で両側の咬筋に注射される。1つの実施形態において、複数の注射部位は各咬筋で3〜5である。
他の実施形態において、組成物又は組成物の使用は、注射中に咬筋に垂直に位置する針を用いて注射される。他の実施形態において、組成物は深層筋及び表層筋に分布するように注射される。
更に他の実施形態において、組成物又はその使用は美容的治療を対象とする。
1つの実施形態において、組成物又はその使用は、ボツリヌス毒素がA型ボツリヌス毒素である場合である。1つの実施形態において、ボツリヌス毒素は動物タンパク質フリーである。
1つの実施形態において、咬筋領域の下顔面幅、ヒトの咬筋の隆起、又は咬筋隆起と関連する下顔面突出又は幅は、動物タンパク質含有組成物を用いるよりも長期間縮小される。
本方法の実施形態の態様及び特徴を説明するために以下の図を示す。
図1は、治療領域を特定する手法を示すヒトの顔の概要側面図である。 図2Aは、咬筋のボツリヌス毒素の指示用量を用いた治療の90日後、下顔面の体積(cm3)の最小二乗平均(LSMean)変化を示す棒グラフである。治療前の下顔面の体積(ベースライン)に対する90日目の体積変化であり、下顔面の体積は3次元イメージングシステムを用いて計算する。 図2Bは、咬筋のボツリヌス毒素を用いた治療後の時間関数として、下顔面の体積(cm3)の最小二乗平均(LSMean)変化を示すグラフである。治療前の下顔面の体積(ベースライン)に対する各時点での体積変化であり、下顔面の体積は3次元イメージングシステムを用いて計算し、両側のボツリヌス毒素用量は24ユニット(丸)、48ユニット(四角)、72ユニット(三角)、及び96ユニット(ひし形)である。 図3Aは、未治療のプラセボ被験者(破線)、並びに両側の総ボツリヌス毒素用量24ユニット(丸)、48ユニット(四角)、72ユニット(三角)、及び96ユニット(ひし形)で治療した後の時間関数として、咬筋隆起スケール(MMPS)によりグレード3以下のランク付けであった各治療用量コホートにおける被験者の割合を示すグラフである。 図3Bは、未治療のプラセボ被験者(破線)、並びに両側の総ボツリヌス毒素用量24ユニット(丸)、48ユニット(四角)、72ユニット(三角)、及び96ユニット(ひし形)で治療した後の時間関数として、MMPSで2以上のランク付けの変化があった各治療用量コホートにおける被験者の割合を示すグラフである。 図4Aは、両側のボツリヌス毒素用量24ユニット、48ユニット、72ユニット、及び96ユニットで治療した90日後、並びに未治療のプラセボ被験者において、MMPSでグレード3以下のランク付けであった各治療用量コホートにおける被験者の割合を示す棒グラフである。 図4Bは、両側のボツリヌス毒素用量24ユニット、48ユニット、72ユニット、及び96ユニットで治療した90日後、並びに未治療のプラセボ被験者において、MMPSで2以上のランク付けの変化があった各治療用量コホートにおける被験者の割合を示す棒グラフである。 図5は、両側のボツリヌス毒素用量24ユニット、48ユニット、72ユニット、及び96ユニットで治療した後、並びに未治療のプラセボ被験者において、MMPSで2以上のランク付けの変化があった各治療用量コホートの被験者における効果持続期間を示す棒グラフである。 図6は、咬筋においてボツリヌス毒素で治療した後の時間関数として、下顔面の体積(cm3)の最小二乗平均(LSMean)変化を示すグラフである。治療前の下顔面の体積(ベースライン)に対する各時点での体積変化であり、下顔面の体積は3次元イメージングシステムを用いて計算し、両側のボツリヌス毒素の用量は1日目及び180日目に24ユニット(丸)、48ユニット(四角)、72ユニット(三角)、及び96ユニット(ひし形)の用量であった。 図7Aは、下顔面形態を評価する質問表である下顔面形態質問表(Lower Facial Shape Questionnaire)の質問を示す。 図7Bは、下顔面形態を評価する質問票である下顔面形態質問表の質問を示す。
定義
本明細書で使用するとき、「約」又は「およそ」は当業者により決定される特定の値の許容誤差の範囲内を意味し、その値がどのように測定又は決定されるのかに一部依存する(つまり、測定システムの限界)。例えば、「約」は当技術分野での実施につき、1以内又は1超の標準偏差を意味することができる。特定の値が本願及び特許請求の範囲で記載される場合、他に明記されない限り、「約」という用語は特定の値の許容誤差の範囲内を意味する。
「投与」又は「投与する」は、被験者、或いは医薬組成物を受ける被験者にボツリヌス毒素を与える(つまり投与する)工程を意味する。筋肉内、非筋肉内、皮内、皮下投与、経皮、(例えば、高分子インプラント若しくはミニ浸透圧ポンプなどの徐放性デバイスの)移植、又はこれらの組合せを含む投与経路により本方法を実施することができる。
「軽減する」は、症状の発現低下を意味する。従って、軽減するは、いくらかの低下、著しい低下、ほぼ完全な低下、及び完全な低下を含む。軽減効果は、患者にクロストリジウム誘導体を投与後1〜7日間又はそれ以降、臨床的に現れない場合がある。
「動物タンパク質フリー」は、血液由来、血液滞留及び他の動物由来生成物又は化合物が存在しないことを意味する。「動物」は、哺乳類(ヒトなど)、鳥類、爬虫類、魚類、昆虫、クモ、又は他の動物種を意味する。「動物」は、細菌などの微生物を含まない。従って、動物タンパク質フリー医薬組成物は、ボツリヌス神経毒を含むことができる。例えば、「動物タンパク質フリー」医薬組成物は、血清由来アルブミン、ゼラチン及びイムノグロブリンなどの他の動物由来タンパク質を実質的に含まない、本質的に含まない、又は完全に含まない医薬組成物を意味する。動物タンパク質フリー医薬組成物の例は、(活性成分として)ボツリヌス毒素、及び安定剤又は賦形剤として好適な多糖を含む、或いはからなる医薬組成物である。
「ボツリヌス毒素」は、クロストリジウム・ボツリナム(Clostridium botulinum)により産生される神経毒、並びに非クロストリジウム属により組換え技術で作られるボツリヌス毒素(又はその軽鎖又は重鎖)を意味する。本明細書で使用するとき、「ボツリヌス毒素」という用語は、ボツリヌス毒素血清型A(BoNT/A)、ボツリヌス毒素血清型B(BoNT/B)、ボツリヌス毒素血清型C(BoNT/C)、ボツリヌス毒素血清型D(BoNT/D)、ボツリヌス毒素血清型E(BoNT/E)、ボツリヌス毒素血清型F(BoNT/F)、ボツリヌス毒素血清型G(BoNT/G)、ボツリヌス毒素血清型H(BoNT/H)、ボツリヌス毒素血清型X(BoNT/X)、並びにこれらのモザイクボツリヌス毒素及び/又はサブタイプ及び変異型を包含する。本明細書で使用するとき、「ボツリヌス毒素」は、「変性ボツリヌス毒素」も包含する。更に、本明細書で使用するとき、「ボツリヌス毒素」は、ボツリヌス毒素複合体(例えば、300、600及び900kDa複合体)並びに複合タンパク質と会合しないボツリヌス毒素の神経毒成分(150kDa)も包含する。
「クロストリジウム誘導体」は、クロストリジウム毒素の任意の部分を含有する分子を指す。本明細書で使用するとき、「クロストリジウム誘導体」という用語は、野生型又は組換え型神経毒、組換え変性毒素、これらの断片、標的化小胞性エキソサイトーシスモジュレータ(TEM)又はこれらの組合せを包含する。
「クロストリジウム毒素」は、細胞機構全てを実行することができるクロストリジウム毒素株により産生される任意の毒素を指し、これによりクロストリジウム毒素が細胞に入り、低又は高親和性クロストリジウム毒素受容体へのクロストリジウム毒素の結合、毒素/受容体複合体の内在化、クロストリジウム毒素軽鎖の細胞質への転位、及びクロストリジウム毒素基質の酵素変性を達成する。クロストリジウム毒素の非限定的な例としては、BoNT/A、BoNT/B、BoNT/C1、BoNT/D、BoNT/E、BoNT/F、BoNT/G、破傷風菌毒素(TeNT)、バラチ毒素(Baratii toxin)(BaNT)、及びブチリカム毒素(Butyricum toxin)(BuNT)のようなボツリヌス毒素が挙げられる。BoNT/C2細胞毒素及びBoNT/C3細胞毒素は神経毒ではなく、「クロストリジウム毒素」という用語から除外される。本明細書に開示されるクロストリジウム毒素は、例えばクロストリジウム毒素アイソフォーム及びクロストリジウム毒素サブタイプなど天然のクロストリジウム毒素変異体;例えば保存クロストリジウム毒素変異体、非保存クロストリジウム毒素変異体、クロストリジウム毒素キメラ変異体及びこれらの活性クロストリジウム毒素断片などの非天然のクロストリジウム毒素変異体、又はこれらの任意の組合せを含むがこれらに限定されない。本明細書で開示されるクロストリジウム毒素は、クロストリジウム毒素複合体も含む。本明細書で使用するとき、「クロストリジウム毒素複合体」という用語は、クロストリジウム毒素及び非毒性会合タンパク質(NAP)を含む複合体を指し、例えばボツリヌス毒素複合体、破傷風菌毒素複合体、バラチ毒素複合体及びブチリカム毒素複合体などである。クロストリジウム毒素複合体の非限定的な例としては、例えば900kDaBoNT/A複合体、500kDaBoNT/A複合体、300kDaBoNT/A複合体、500kDaBoNT/B複合体、500kDaBoNT/C1複合体、500kDaBoNT/D複合体、300kDaBoNT/D複合体、300kDaBoNT/E複合体、及び300kDaBoNT/F複合体などのクロストリジウム・ボツリナムにより産生されるものが挙げられる。
生物活性成分に適用される「有効量」は、一般的に被験者に所望の変化を誘導するのに十分である成分の量を意味する。
「インプラント」は、放出制御性(例、パルス又は連続)組成物、或いはドラッグデリバリーシステムを意味する。インプラントは、例えばヒトの身体に注射、挿入又は移植することができる。
「局所投与」は、非全身経路による患者の筋肉近傍又は皮下への医薬品の投与を意味する。従って、局所投与は、静脈内又は経口投与などの全身投与経路を含まない。
本明細書で咬筋の隆起(MMP)と同義として用いられる咬筋肥大症(MMH)は、片方又は両方の咬筋が肥大する状態を指す。
「変性ボツリヌス毒素」は、野生型ボツリヌス毒素と比較して、アミノ酸の少なくとも1つが欠失、修飾、又は置換されているボツリヌス毒素を意味する。更に、変性ボツリヌス毒素は、組換え技術で作製された神経毒、或いは組換え技術で作られた神経毒の誘導体又は断片であり得る。変性ボツリヌス毒素は、ボツリヌス毒素受容体に結合する能力、又はニューロンからの神経伝達物質放出を阻害する能力など、野生型ボツリヌス毒素の少なくとも1つの生物活性を保持している。変性ボツリヌス毒素の一例は、1つのボツリヌス毒素血清型(血清型Aなど)の軽鎖、及び異なるボツリヌス毒素血清型(血清型Bなど)の重鎖を有するボツリヌス毒素である。変性ボツリヌス毒素の別の例は、サブスタンスPなどの神経伝達物質に結合したボツリヌス毒素である。
「変異」は、天然タンパク質又は核酸配列の構造的修飾を意味する。例えば、核酸変異の場合、変異はDNA配列における1つ又は複数のヌクレオチドの欠失、付加又は置換であり得る。タンパク質配列変異の場合、変異はタンパク質配列における1つ又は複数のアミノ酸の欠失、付加又は置換であり得る。例えば、あるタンパク質配列を含む特定のアミノ酸は、別のアミノ酸、例えばアラニン、アスパラギン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、ロイシン、メチオニン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、スレオニン、バリン、トリプトファン、チロシンのアミノ酸又は任意の他の天然若しくは非天然アミノ酸又は化学的に修飾されたアミノ酸を含む群から選択されるアミノ酸で置換することができる。タンパク質配列に対する変異は、DNA配列の変異の結果であり、DNAが転写され、結果として生じるmRNAが翻訳されると、変異したタンパク質配列を産生する。タンパク質配列に対する変異は、所望の変異を含有するペプチド配列を所望のタンパク質配列に結合させることにより作製することもできる。
「末梢投与」は、局所投与と対照的に、症状のある位置から離れた位置への投与を意味する。
「医薬組成物」は、例えばボツリヌス毒素などのクロストリジウム毒素活性成分などの活性医薬成分、並びに例えば安定剤又は賦形剤などの少なくとも1つの更なる成分を含む組成物を意味する。従って、医薬組成物は、ヒトの患者などの被験者に対する診断投与又は治療投与に好適な製剤である。医薬組成物は、例えば凍結乾燥又は真空乾燥状態、凍結乾燥又は真空乾燥医薬組成物の再構成後に形成される溶液、或いは再構成を必要としない溶液又は固体であり得る。
「薬理的に許容される賦形剤」は、「薬理的賦形剤」又は「賦形剤」と同義語であり、哺乳動物に投与された時に、長期間又は永続的な有害作用を実質的に有さず、例えば安定化剤、増量剤、凍結防止剤、分散防止剤、添加剤、溶剤、担体、希釈剤、又は補剤などの化合物を包含する任意の賦形剤を指す。賦形剤は一般的に活性成分と混合されるか、或いは活性成分を希釈又は包含することが可能であり、固体、半固体又は液状剤でよい。クロストリジウム毒素活性成分を含む医薬組成物が、1つ又は複数の医薬的に許容される賦形剤を含むことができ、活性成分を医薬的に許容される組成物に容易に加工することも想像される。任意の薬理的に許容される賦形剤が、クロストリジウム毒素活性成分と配合禁忌でない限り、医薬的に許容される組成物におけるその使用は予期される。薬理的に許容される賦形剤の非限定的な例としては、例えばPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems(Howard C.Ansel et al.,eds.,Lippincott Williams&Wilkins Publishers,7th ed.1999年);Remington:The Science and Practice of Pharmacy(Alfonso R.Gennaro ed.,Lippincott,Williams&Wilkins,20th ed.2000年);Goodman&Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics(Joel G.Hardman et al.,eds.,McGraw−Hill Professional,10th ed.2001年);及びHandbook of Pharmaceutical Excipients(Raymond C.Rowe et al.,AphA Publications,4th edition 2003年)に見出すことができ、それぞれは、その全体が参照によりここに組み入れられたものとする。
本明細書で使用するとき、「TEM」は「標的化エキソサイトーシスモジュレータ」又は「再標的化エンドペプチダーゼ(retargeted endopeptidase)」と同義語である。一般的に、TEMはクロストリジウム毒素軽鎖の酵素ドメイン、クロストリジウム毒素重鎖の転位ドメイン、及び標的ドメインを含む。TEMの標的ドメインは細胞標的能を変え、分子を天然クロストリジウム毒素により利用される野生型クロストリジウム毒素受容体以外の受容体の標的とする。この再標的化された能力は、クロストリジウム毒素の天然の結合ドメインを非クロストリジウム毒素受容体に結合活性を有する標的ドメインで置き換えることにより達成される。TEMは非クロストリジウム毒素受容体に結合するが、TEM/受容体複合体の細胞質への内在化、小胞膜及び2本鎖分子における細孔の形成、酵素ドメインの細胞質への転位、並びに標的細胞のSNARE複合体の成分に対するタンパク質分解効果を実施することを含む中毒プロセスのすべての他の工程を受ける。
「治療する」又は「治療」は、一次的に又は永続的に少なくとも1つの症状の緩和(又は除去)を意味する。
「治療有効量」は、所望の治療的又は美容的効果を達成するのに十分な量を指す。
「変異体」は、野生型ボツリヌス毒素と比較して、少なくとも1つのアミノ酸の置換、修飾、付加又は欠失により変性した野生型ボツリヌス毒素血清型A、B、C、D、E、F又はGなどのクロストリジウム神経毒を意味する。野生型ボツリヌス毒素は、標的細胞により認識され、標的細胞により内在化され、標的細胞におけるSNARE(SNAP(可溶性NSF付着タンパク質)受容体)タンパク質を触媒により切断する。
変異神経毒成分の一例は、1つ又は複数のアミノ酸が置換、修飾、欠失及び/又は付加されたボツリヌス毒素の変異軽鎖を含むことができる。この変異軽鎖は、エキソサイトーシス、例えば神経伝達物質小胞の放出を防止するのと、同じ又はより優れた能力を有する場合がある。更に、親化学成分と比べて、変異体の生物学的効果は減少する場合がある。例えば、アミノ酸配列が除去されたA型ボツリヌス毒素の変異軽鎖は、親(又は野生型)A型ボツリヌス毒素軽鎖よりも生物学的持続性が短い場合がある。
治療方法
第1の態様において、MMHを治療する方法を提供する。本方法は、咬筋などの筋肉に治療有効量のクロストリジウム誘導体を投与して、筋活動を低下させることを含む。この低下した筋活動は、筋肉の大きさを縮小させ、顔の成形又はスリミングとして認識される。
記載するべき他の態様は、咬筋領域の下顔面幅を縮小させる方法、咬筋隆起と関連する下顔面突出又は幅を一時的に縮小させる方法、ヒトの下顔面の輪郭を変える方法、咬筋領域でヒトの下顔面を形作る又は作り変える方法、及び咬筋と関連する下顔面突出を縮小させる方法が挙げられる。別の態様において、顔の非対称を縮小させる方法を提供する。1つの実施形態において、これらの方法は、ボツリヌス毒素などのクロストリジウム誘導体を局所的に投与することを含む。他の実施形態において、本方法は、咬筋の最大膨隆部の領域を特定することと、その領域の複数の注射部位にクロストリジウム誘導体を注射して、クロストリジウム誘導体の用量を投与することとを含む。更に他の実施形態において、本方法は、口の外側交連から耳朶が顔に接する点まで伸びる線を特定することと;顎を咬みしめた状態で咬筋の最大膨隆部の領域を特定することと;(i)最大膨隆部の領域を含み、(ii)該線に位置するか、又は該線の下側に位置し、(iii)笑筋の後部にあり、(iv)耳下腺の前方にある治療領域を決定することと;治療領域の複数の投与部位にクロストリジウム誘導体を投与して、クロストリジウム誘導体の用量を投与することとを含む。本方法は片側又は両側で実施することができる。
本方法は、被験者の咬筋内の治療領域に治療有効量のクロストリジウム誘導体が投与される。治療領域を特定する1つの手法は、咬筋の最大膨隆部の領域を特定することである。この実施形態において、最大膨隆部の領域は治療領域に相当する。咬筋の最大膨隆部の領域は、例えば被験者が顎を咬みしめることで特定される。典型的に、被験者は顎を最大限に咬みしめ(口を閉じ、歯を合わせる)、咬筋がより目に見えるようにする。咬筋の最大膨隆部の目視検査に加えて、又はその目視検査ではなくむしろ、最大膨隆部を調べるため、咬筋を手で触診することにより最大膨隆部を特定又は確認することができる。
治療領域を特定する別の手法を図1に示す。図1は、ヒトの顔10の概要側面図である。この実施形態において、口の外側交連12とも呼ばれる口角から、耳朶が顔に接する点14まで伸びる線を特定することにより、治療領域を決定する。この線は図1で線Aとして特定される。咬筋の最大膨隆部の領域の特定は、1つの手法において被験者に顎を咬みしめるように求めることで行われる。典型的に、被験者はその顎を最大限に咬みしめ(口を閉じ、歯を合わせる)、咬筋がより目に見えるようにする。咬筋の最大膨隆部の目視検査に加えて、又はその目視検査ではなくむしろ、最大膨隆部を調べるため、咬筋を手で触診することにより最大膨隆部を特定又は確認することができる。最大膨隆部の領域を含み、該線(図1の線A)に位置するか、又は該線の下側に位置し、笑筋16の後部にあり、耳下腺18の前方にある治療領域が画定される。図1で、この治療領域は破線の円20により示される。
特定された治療領域は仮想線で視覚的に印をつけるか、又は皮膚に物理的に印をつけることができる。1つの実施形態において、線Aが特定され、物理的に印をつけないが、その位置は可視化される。別の実施形態において、線Aが特定され、皮膚に物理的に印がつけられる。同じ手法を笑筋、最大膨隆部、耳下腺、及び治療領域に適用してよく、それぞれ仮想線を用いて視覚的に印をつけるか、又は皮膚に物理的に印をつけることができる。
治療領域が特定されると、クロストリジウム誘導体、例えばボツリヌス毒素が投与される。1つの実施形態において、クロストリジウム誘導体は治療領域の単一の投与部位に投与され、別の実施形態において、治療領域の複数の投与部位に投与される。複数の投与部位は、2〜10、2〜9、2〜8、2〜7、2〜6、2〜5、2〜4、2〜3、3〜10、3〜9、3〜8、3〜7、3〜6、3〜5又は3〜4の範囲でよい。1つの実施形態において、複数存在する投与部位の数は、2、3、4、5、6、7、8、9又は10である。投与部位は均等又は不均等に互いに距離を開けて位置する。1つの実施形態において、複数の投与部位の少なくとも1つの部位は、複数の投与部位の隣接する部位から約0.5cm、0.75cm、又は1cmの間隔を開けて位置する。別の実施形態において、複数の投与部位の各投与部位は、隣接する投与部位から約0.5cm、0.75cm又は1cmの間隔を開けて位置する。別の実施形態において、複数の投与部位の各投与部位は、任意の隣接する投与部位から約0.5cm、0.75cm又は1cmの間隔を開けて位置する。クロストリジウム誘導体が注射により投与される場合、投与部位は注射部位と呼ばれる。
投与部位、特に2か所以上の投与部位があるとき、そのパターン又は配置は変わり得る。例えば、1つの実施形態において、咬筋の最も大きな箇所又は咬筋の最大膨隆部が特定され、第1の投与部位として指定され;次の又は更なる投与部位は、第1の投与部位に対して位置する。複数の投与部位は、治療領域において三角形又は逆三角形を形成することができる。複数の投与部位は線を形成することができ、1つの実施形態において、投与部位は下顎の輪郭に一方向に伸びる線に沿う。別の実施形態において、投与部位は肩からまぶたに一方向に伸びる線に沿う。1つの実施形態において、投与部位は均一に間隔を開けて位置して、治療領域に広がる。
投与は片側(1つの咬筋に)又は両側(顔の各側の咬筋に)に行うことができることを理解されたい。
クロストリジウム誘導体は、注射、経皮、局所又は移植により投与することができる。例となる移植としては、クロストリジウム誘導体を放出する高分子インプラント又はミニ浸透圧ポンプなどの徐放性デバイスを移植することが挙げられる。注射により投与する場合、注射は、筋肉内、非筋肉内、皮内、又は皮下でよい。1つの実施形態において、注射の針の位置は、咬筋の最深部に垂直である。すなわち、筋肉内の針の方向は垂直であり、斜めではなく、注射剤容量はより深く、より浅い筋肉層に分布される。理論に限定されることなく、筋肉に垂直であるように向けた針を用いた注射による投与は、確実に咬筋に毒素を送達する。別の実施形態において、針の位置は、所定の注射部位に投与される用量を表層筋及び/又は組織、並びにより深い筋肉層に分布させるように選択する。理論に限定されることなく、表層筋及び/又は組織、並びにより深い筋肉層への用量の分布は、様々な筋肉層に一様に毒素を分布させることに有益である。他の実施形態において、クロストリジウム誘導体は、顎を弛緩した状態で投与される。
1つの実施形態において、各筋肉の複数の投与部位にボツリヌス毒素の用量を投与することにより、各咬筋が治療される。複数存在する各注射部位は、隣接する注射部位から少なくとも約0.25cm、0.30cm、0.35cm、0.40cm、0.45cm、0.50cm、0.55cm、0.60cm、0.65cm、0.70cm、0.75cm、0.80cm、0.85cm、0.90cm、0.95cm、1.0cm、1.25cm、1.50cm又は2.0cmの間隔を開けて位置する。別の実施形態において、複数存在する各注射部位は、隣接する注射部位から約0.25〜1.5cm、0.25〜1.10cm、0.35〜1.5cm、0.35〜1.10cm、0.45〜1.5cm、0.45〜1.10cm、0.50〜1.50cm、0.50〜1.10cm、0.75〜1.5cm、0.75〜1.10cm、0.80〜1.5cm、又は0.90〜1.10cmの間隔を開けて位置する。1つの実施形態において、各注射部位は、隣接する部位から約1cmの間隔を開けて位置する。理論に限定されることなく、最適な間隔は、治療領域全体に全用量を均一、連続的に分布することに有益であり、意図した結果が生じる。注射部位が隣接する注射部位からかなり離れて位置する場合、各注射部位に投与される用量は筋肉の異なる部分に作用して、治療領域で不均一な毒素分布となり、でこぼこした又は膨れた外観を形成する。注射部位の間隔が近すぎる場合も、治療領域で不均一な毒素分布が生じる。
いくつかの実施形態において、本方法は咬筋隆起を判定すること、又は咬筋隆起の判定を再検討することを含む。咬筋隆起を判定する様々な技術があり、例えば、コンピュータ断層撮影法(CT)、コーンビームコンピュータ断層撮影法(CBCT)、核磁気共鳴画像法(MRI)、超音波、質問表、例えば画像減算技術、モアレトポグラフィ、液晶スキャン、輝度スキャン、レーザースキャン、ステレオリソグラフィ、又は受動的ステレオフォトグラメトリに基づく顔面形態学の3次元定量分析が挙げられる。例として、実施例1に記載の研究について、3次元イメージングシステム及びCTを用いて下顔面の体積を測定した。
下顔面幅を含む咬筋隆起を判定する他の技術は、正面顔画像のどこに下顔面幅、線A、B及びCが引かれるのかを測定する。線Aは、上及び下赤唇縁の接合部における正中線の点であるストミオンの高さの顔面幅に相当する。線Bは、左及び右鼻翼溝の接点ではなく、左及び右鼻翼間の距離として定義される鼻翼基部幅に相当する。線Cは、右及び左内眼角間の距離に相当する。内眼角距離(C)及び鼻翼基部幅(B)は、研究課程で一定であり、研究治療により影響されないことが予測される。被験者について顔の幅(A)、並びに鼻翼基部幅と顔面幅の比(B/A)及び内眼角幅と顔面幅の比(C/A)が計算される。別の技術は下顎角であり、左及び右側角を平均し、整数に四捨五入することにより計算することができる。下顎顔面角は、(1)下顎の輪郭の水平部分に引かれる斜線1、及び頬の最外側面から下顎の角まで引かれる別の斜線2間の角度であり、垂直下顎枝を含有する顔の平面の輪郭を示す。線1及び2は下顎の角の頂点で交わり、下顎角は線1及び2間の内角と考えられる。
好ましい実施形態において、治療前、治療中又は治療後に、咬筋隆起は質問表を用いて判定される。質問表は、治療を求める又は治療を受けている被験者、或いは治療又は判定を管理する個人などの第三者により記入されるものでよい。質問表の例としては、下顔面形態分類(Lower Facial Shape Classification)(LFSC);下顔面形態質問表(LFSQ);又は咬筋隆起スケール(MMPS)が挙げられる。
LFSCは、被験者の下顔面形態を判定員又は被験者が判断するために設計された4段階スケールである。各グレードに関連するスケール及び下顔面形態ディスクリプタを表1に示す。
Figure 2022500417

LFSQでは、(1)症状評価、(2)影響評価;(3)満足度評価、又は(4)これらの組合せが得られる。質問表は、有効性についての被験者の見解、並びに治療による任意の副作用を判定することを目指す。質問表は、被験者が下顔面について検討し、レスポンスを示すための7つの質問を提示している。質問に答えるとき、レスポンダは下顔面、つまり頬の頂点から顎までの顔の下半分のみを考慮することが求められる。図7A〜図7Bに、LFSQの質問を示す。
MMPSは、1〜5のランク付けスケールを使用し、被験者の顔の右及び左側を別々に評価することにより、安静及び最大収縮(全力で咬みしめた状態)中の咬筋隆起を判定する手法を提供する。この判定において、咬筋を目視で検査する、咬筋を触診する、又はその両方により咬筋隆起が確認される。目視検査は、咬みしめた状態及び咬みしめていない状態で被験者の顔の輪郭を検査することと、各咬筋の後縁及び前縁並びに上縁及び下縁を画定することと、表2に示すものなど、スケールを用いて咬筋の隆起をランク付けすることとを含む。触診による検査は、被験者が咬みしめる及び弛緩させる間に、各咬筋の大きさ及び表面性状を調べることと、各咬筋の後縁及び前縁並びに上縁及び下縁を確認することと、被験者が咬みしめる及び弛緩させる間に咬筋(master muscle)を骨及び他の非筋肉軟組織(例、脂肪)と区別することと、表2に示すものなど、スケールを用いて咬筋の隆起をランク付けすることとを含む。
Figure 2022500417
いくつかの実施形態において、MMPSはクロストリジウム誘導体を用いた治療のため、四角い顔の被験者を選択するのに用いられる。四角い顔は、骨由来の肥大、又は筋肉肥大、耳下腺腫大及び脂肪沈着を含む軟組織由来の肥大、又はこれらの組合せに起因し得る。骨由来の肥大では四角い顔及び目立つ下顎角が現れる。骨由来の肥大は、クロストリジウム誘導体投与により治療することはできない。いくつかの実施形態において、MMPSは、骨由来の肥大を有する被験者からMMHを有する被験者を選択するのに用いられる。
MMPSを用いて実施例1に記載されるように研究を実施し、クロストリジウム誘導体を用いた治療のために顕著(グレード4)又は非常に顕著(グレード5)の被験者を特定した。この研究のため、及びMMPSを検証するため、画像検査法を用いて被験者の下顔面の体積も測定した(以下の材料及び方法を参照のこと)。ボツリヌス毒素はクロストリジウム誘導体の例として用いたものであり、以下に記載する他のクロストリジウム誘導体は、本方法に好適であることを理解されたい。実施例1の研究において、両側のボツリヌス毒素の総用量24ユニット、48ユニット、72ユニット又は96ユニットを用いた治療のため、MMPSにより顕著又は非常に顕著なMMHを有する被験者を特定した(実施例1の表1−1を参照のこと)。被験者は18歳以上であった。両側の各咬筋への筋肉内注射のため用量を均一に2分割した。各咬筋に3回、両側の治療に合計6回注射した。例えば、コホート1の各被験者を総用量24ユニットで治療し、総用量を両側の治療のために均等に分割して、各咬筋に12ユニットを用いた。各咬筋の12ユニット用量を、咬筋あたり3注射部位に均等に分割した。コホート4の各被験者を総用量96ユニットで治療し、総用量を両側の治療のために均等に分割して、各咬筋に48ユニットを用いた。各咬筋の48ユニット用量を、咬筋あたり3注射部位に均等に分割した。各咬筋の3注射部位は、口の外側交連から耳朶が顔に接する点まで伸びる線に位置するか、又は該線の下側に位置し、咬筋の最大膨隆部の領域を含み、笑筋の後部にあり、耳下腺の前方にある治療領域内であった。
1年間指示された用量で治療した後、各被験者を毎月評価した。各毎月の訪問時に、3次元イメージングシステムを用いて下顔面の体積(cm3)を計算し、MMPSに記入した。図2A〜2Bに関して、治療の90日後(図2A)及び180日の評価期間に月1回(図2B)、下顔面の体積変化を示す。図2Aは、咬筋を指示用量のボツリヌス毒素で治療した90日後、下顔面の体積(cm3)の最小二乗平均(LSMean)変化を示す棒グラフである。治療前の下顔面の体積(ベースライン)に対する90日目の体積変化であり、下顔面の体積は3次元イメージングシステムを用いて計算される。プラセボ群と比較して、90日目に顔の体積に有意な縮小があり、48ユニットの用量群における顔の体積の縮小は、24ユニットを用いて治療した群と比較して統計的に有意に大きかった。図2Bは、1年の治療後期間における各月評価での顔の体積変化を示す。下顔面の体積(cm3)の最小二乗平均(LSMean)変化は、すべての治療群(24ユニット(丸)、48ユニット(四角)、72ユニット(三角)及び96ユニット(ひし形)において治療後少なくとも6カ月間低下した(p≦0.05)。3次元イメージングVECTRAにより判定される下顔面の体積変化をCT評価により確認した。
実施例1の研究被験者は毎月の評価でMMPSに記入した。治療前、MMPSを用いて研究被験者を評価すると、被験者はグレード4(顕著)又はグレード5(非常に顕著)の咬筋の隆起を有していた。図3Aは、被験者に対するMMPSを用いた臨床医の評価により、グレード3以下のランク付けであった各治療用量コホートにおける被験者の割合を示す。図3Bは、MMPSを用いた臨床医の評価により、グレード2以上のランク付けの変化があった各治療用量コホートにおける被験者の割合を示す。48ユニット(四角)、72ユニット(三角)及び96ユニット(ひし形)の両側の総ボツリヌス毒素用量を用いて処理された被験者について、治療後180日間、統計的に有意なレスポンスが観察された。特に、両側の総ボツリヌス毒素用量が72ユニット(片側の用量36ユニット)では、120日目に、MMPSがグレード3以下である被験者数がより多く(図3A)、また両側用量がより多い96ユニット(片側48ユニット)を用いて治療した被験者数よりMMPSのグレードの変化が2以上である被験者数が多かった(図3B)。
図4A〜4Bに関して、治療後90日目のMMPS評価を示す。図4Aに、両側のボツリヌス毒素用量を用い、記載した投与量で治療した90日後、MMPSによりグレード3以下のランク付けであった各治療用量コホートにおける被験者の割合を示す。図4Bに、両側のボツリヌス毒素用量を用い、指示用量で治療した90日後、MMPSにより2以上のランク付けの変化があった各治療用量コホートにおける被験者の割合を示す。48ユニットの両側用量及び72ユニットの両側用量によるレスポンスの差は、MMPSランク付けで2以上変化したレスポンダについて統計的に有意であった。
48ユニット超(片側24ユニット)及び約96ユニット未満(片側48ユニット)の両側治療用量による高い効果は図5に見られる。図5は、24ユニット、48ユニット、72ユニット及び96ユニットの両側のボツリヌス毒素用量を用いて治療した後、MMPSにより2以上のランク付けの変化があった各治療用量コホートの被験者における効果持続期間を示す棒グラフである。72ユニットの両側用量(36ユニットの片側用量)を用いて治療した被験者は、48ユニットの両側用量及び96ユニットの両側用量より効果持続期間が長かった。
実施例2に記載するように、実施例1の研究に登録された被験者は、180日目(実施例1における指示投与量で第1の用量から180日後)にMMPSを用いた臨床医の判定に基づき、被験者が顕著(グレード4)又は非常に顕著(グレード5)な両側性咬筋肥大症を有する場合、第2の治療(再治療)の対象であった。再治療の対象である被験者について、180日目の訪問で本研究の開始(1日目)と同じ用量レベル及び同じ治療位置で第2の治療を行った。再治療を受けた被験者を180日間1か月おきに評価し、3次元イメージングシステムを用いて下顔面の体積(cm3)を決定した。結果を図6に示す。
咬筋のボツリヌス毒素を用いた治療後の時間関数として、下顔面の体積(cm3)の最小二乗平均(LSMean)変化を図6に示す。矢印TX1は、ボツリヌス毒素を用いた第1の治療(実施例1)を指し、TX2の矢印はボツリヌス毒素を用いた第2の治療(実施例2)を指す。第2の治療はこの患者群における下顔面の体積を著しく縮小させた。
実施例1及び2の研究は、MMHの被験者に片側又は両側でクロストリジウム誘導体を投与すると、少なくとも約90日間又は少なくとも約180日間、治療を受けていないMMH被験者と比べて下顔面の体積を縮小させることを明示している。クロストリジウム誘導体であるボツリヌス毒素を用いたMMHの治療は、非永続的で、一時的な下顔面の体積の縮小を引き起こすことにより、咬筋領域の下顔面幅を縮小させ、咬筋の隆起を縮小させ、下顔面突出又は幅を一時的に縮小させる。これに関連して、「一時的に」は、非永続的であることを意図し、1つの実施形態では、少なくとも約60日、少なくとも約90日、少なくとも約120日、又は少なくとも約180日、又は少なくとも約270日、又は少なくとも約360日である。実施例2における研究は、MMPSにより顕著な又は非常に顕著な咬筋隆起を有する被験者において、第2の治療が体積の縮小を引き起こし、MMPSを用いて評価するとき、48ユニット超、96ユニット以下の両側用量は、MMH重症度を少なくとも2グレード改善させることを明示している。この研究から、第1の両側用量72ユニットを用いて治療した被験者は、両側用量96ユニットを用いた被験者より長い持続時間及び顕著な効果を示した。
実施例1及び2における研究は、本明細書に記載の方法を踏まえた治療が、CTスキャン及び歯科検診により判定される通り、被験者の歯の状態及び/又は骨密度に任意の影響を与えることはないようであることも明示している。
先に述べたように、モデルとなるクロストリジウム誘導体としてボツリヌス毒素を用い、実施例1及び2の研究を実施した。他のクロストリジウム誘導体が予期され、好適であることを理解されたい。いくつかの実施形態において、本方法で使用できるクロストリジウム誘導体は、野生型組換えクロストリジウム毒素、組換え変性毒素、これらの断片、TEM、又はこれらの組合せを含む。クロストリジウム誘導体の一例は、ボツリヌス毒素である。例えばBoNT/A、BoNT/B等のボツリヌス神経毒(BoNT)は、神経伝達物質などの神経分泌物質の放出を遮断することにより、神経系に作用する。BoNTの作用は、細胞表面で受容体分子に結合することにより開始し、その後毒素受容体複合体はエンドサイトーシスを受ける。細胞内に入ると、BoNTは、SNAREタンパク質(可溶性N−エチルマレイミド感受性因子付着タンパク質受容体)として知られる神経伝達物質のドッキング及び細胞からの放出を担う開口分泌特異的タンパク質を切断する。結果として生じる一過性の化学的脱神経は医学的に利用されており、神経筋接合部での運動神経伝達を遮断することで、様々な治療用途につながる。
ボツリヌス毒素は、A型、B型、C1型、D型、E型、F型、又はG型、H型、X型ボツリヌス毒素、並びにこれらのモザイク型ボツリヌス毒素及び/又はサブタイプ及び変異型であり得る。ボツリヌス神経毒は、大腸菌(E.coli)により産生されるボツリヌス毒素など、組換え技術で作られたボツリヌス神経毒であり得る。代替実施形態において、クロストリジウム誘導体はTEMである。ボツリヌス神経毒は変性神経毒であり得る。つまり、野生型毒素と比較して、そのアミノ酸の少なくとも1つが欠失、修飾又は置換されたボツリヌス神経毒であり、或いは変性ボツリヌス神経毒は、組換え技術で産生されたボツリヌス神経毒又はこれらの誘導体若しくは断片とすることができる。ある実施形態において、変性毒素は目的の神経又は非神経細胞に細胞標的能を変更している。この能力の変更は、ボツリヌス毒素の天然の標的ドメインを、非ボツリヌス毒素標的細胞に存在する非ボツリヌス毒素受容体に選択的結合活性を示す標的ドメインで置き換えることにより実現する。このような標的ドメインに対する修飾は、非ボツリヌス毒素標的細胞に存在する非ボツリヌス毒素受容体(標的受容体)に選択的に結合することができる変性毒素をもたらす(再標的化)。非ボツリヌス毒素標的細胞に対する標的活性を有する変性ボツリヌス毒素は、非ボツリヌス毒素標的細胞に存在する受容体に結合することができ、細胞質に移行することができ、標的細胞のSNARE複合体にタンパク質分解作用を及ぼすことができる。実質的に、適当な標的ドメインを選択することにより、任意の所望の細胞に、酵素ドメインを含むボツリヌス毒素軽鎖が細胞内送達される。更に、本明細書で使用するとき、「ボツリヌス毒素」は、ボツリヌス毒素複合体(例えば300、600及び900kDa複合体)、並びに複合タンパク質と会合しないボツリヌス毒素の神経毒成分(150kDa)も包含する。
ボツリヌス毒素などのクロストリジウム誘導体は、真空圧下の容器で凍結乾燥、真空乾燥状、又は安定した液体として保存することができる。凍結乾燥前、ボツリヌス毒素は、例えばアルブミンなどの医薬的に許容される賦形剤、安定剤及び/又は担体と組み合わせることができる。許容される賦形剤又は安定剤は、アルブミン又はゼラチンなどのタンパク質賦形剤等、或いはポロキサマー、糖類、ポリエチレングリコール等を含む非タンパク質賦形剤を含む。アルブミンを含有する実施形態において、アルブミンは、例えばヒト血清アルブミン又は組換えヒトアルブミン等であり得る。凍結乾燥した物質を例えば生理食塩水、水などの好適な液体で再構成して、患者に投与するボツリヌス毒素を含んだ溶液又は組成物を作製することができる。
いくつかの実施形態において、クロストリジウム誘導体は、クロストリジウム誘導体を封入するポリマーマトリックスを含む放出制御システムで提供され、クロストリジウム誘導体の分割された量が長期間にわたってポリマーマトリックスから制御されて放出される。放出制御神経毒システムは、例えば米国特許第6,585,993号;6,585,993号;6,306,423号及び6,312,708号明細書に開示されており、それぞれはその全体が参照によりここに組み入れられたものとする。
本方法により投与されるボツリヌス毒素などのクロストリジウム誘導体の治療有効量は、毒素の有効性並びに咬筋肥大症の程度、例えばその隆起、及びサイズ、体重、年齢、治療への反応性などの他の様々な患者の変数により変わり得る。ボツリヌス毒素の有効性は、マウスのLD50値の倍数として表される。毒素の1ユニット(U)は、体重が各約20グラムである18〜20匹の雌性スイスウェブスターマウスの一群を50%死亡させる毒素の相当量として定義される。
市販のボツリヌス毒素製剤が等しい有効単位を有さないように、本方法において、ボツリヌス毒素の治療有効量は、特定のボツリヌス毒素の有効性により変わり得る。例えば、アラガンから入手できるA型ボツリヌス毒素であるボトックス(登録商標)(オナボツリヌスA(onabotulinumA))の1単位は、イプセンから入手できるA型ボツリヌス毒素であるディスポート(登録商標)(アボボツリヌスA)の3〜5ユニットにおよそ等しい有効単位を有すると報告されている。エランから入手できるB型ボツリヌス毒素であるマイオブロック(登録商標)は、ボトックス(登録商標)と比較して、有効単位がはるかに低い。いくつかの実施形態において、ボツリヌス神経毒は、ゼオマイン(登録商標)(インコボツリヌス毒素A)などの複合するタンパク質を含まない純粋な毒素であり得る。インコボツリヌス毒素Aの1ユニットは、オナボツリヌス毒素Aの1ユニットとおよそ等しい有効性を有することが報告されている。従って、投与する毒素の量及び投与の頻度は、治療を担う医師次第であり、安全性の問題、及び特定の毒素製剤により産生される効果に見合うものである。
本明細書で開示される方法で使用する投与量は、約0.01から約1,000ユニットの範囲であり;例えば、約500ユニットまで、好ましくは治療につき患者1人あたり約10から約460ユニットの範囲である。より具体的には、実施例1及び実施例2の結果を踏まえて、ボトックス(登録商標)などのA型ボツリヌス毒素の治療有効量が咬筋に投与される。いくつかの実施形態において、治療有効量は約1ユニット/咬筋から約200ユニット/咬筋の範囲である。他の実施形態において、各咬筋に投与される治療有効量は、約5〜100ユニット、5〜50ユニット、又は10〜50ユニットである。1つの実施形態において、各咬筋に投与される用量は、24ユニット以上、48ユニット以下であり、特定の実施形態において、各咬筋に投与される用量は36ユニットである。
他の実施形態において、各咬筋に投与される治療のための用量は、1ユニット、2ユニット、3ユニット、4ユニット、5ユニット、6ユニット、7ユニット、8ユニット、9ユニット、10ユニット、11ユニット、12ユニット、13ユニット、14ユニット、15ユニット、16ユニット、17ユニット、18ユニット、19ユニット、20ユニット、21ユニット、22ユニット、23ユニット、24ユニット、25ユニット、26ユニット、27ユニット、28ユニット、29ユニット、30ユニット、31ユニット、32ユニット、33ユニット、34ユニット、35ユニット、36ユニット、37ユニット、38ユニット、39ユニット、40ユニット、41ユニット、42ユニット、43ユニット、44ユニット、45ユニット、46ユニット、47ユニット、48ユニット、49ユニット、50ユニット、51ユニット、52ユニット、53ユニット、54ユニット、55ユニット、56ユニット、57ユニット、58ユニット、59ユニット、60ユニット、61ユニット、62ユニット、63ユニット、64ユニット、65ユニット、66ユニット、67ユニット、68ユニット、69ユニット、70ユニット、71ユニット、72ユニット、73ユニット、74ユニット、375ユニット、76ユニット、77ユニット、78ユニット、79ユニット、80ユニット、81ユニット、82ユニット、83ユニット、84ユニット、85ユニット、86ユニット、87ユニット、88ユニット、89ユニット、90ユニット、91ユニット、92ユニット、93ユニット、94ユニット、95ユニット、96ユニット、97ユニット、98ユニット、99ユニット、100ユニット、101ユニット、102ユニット、103ユニット、104ユニット、105ユニット、106ユニット、107ユニット、108ユニット、109ユニット又は110ユニットである。
投与する用量の容量は製剤により変わる。典型的な容量範囲は、治療領域あたり0.1〜5mL、より具体的には0.1〜4mL、0.2〜4mL、0.2〜2mL、0.3〜4mL、0.3〜2mL、0.3〜1.5mL及び0.3〜1.2mLである。1つの実施形態において、注射1回あたりの容量は、約0.05〜1mL、0.05〜0.8mL、0.05〜0.6mL、0.1〜2mL、0.1〜1.5mL、0.1〜1.0mL、0.1〜0.8mL、0.1〜0.7mL、0.1〜0.6mL、0.1〜0.5mL及び0.1〜0.4mLである。
本明細書に記載の方法を踏まえて治療を受けた被験者を治療後に判定して、治療の有効性及び安全性を解明することができることを理解されたい。クロストリジウム誘導体の治療有効量又は用量は、有効性及び安全性の判定に応じて変更することができる。1つの実施形態において、有効性の判定はMMPSを用いた咬筋隆起のランク付けの変化に相当する。いくつかの実施形態において、安全性の判定は、咀嚼障害、注射部位痛、顔面麻痺、頭痛などの副作用の判定を含む。いくつかの実施形態において、安全性の判定は、本明細書に記載の治療方法が被験者の下顎及び/又は歯の状態に任意の影響を及ぼすかどうかを決定することを更に含む。いくつかの実施形態において、下顎骨への影響をCTにより判定する。いくつかの他の実施形態において、歯の状態への影響を歯科検診により判定する。
いくつかの実施形態において、判定工程はMMH治療の約1か月から約6か月後に実施する。判定工程中に決定する筋肉体積の変化を考慮して、MMHの治療を繰り返し実施してよい。判定工程中に決定する筋肉体積の変化を考慮に入れて、次の治療のためのクロストリジウム誘導体の治療有効量を決定してよい。
いくつかの実施形態において、本方法は、MMPSにより顕著(グレード4)又は非常に顕著(グレード5)な両側性咬筋肥大症を有する患者又は被験者に、第2の治療を投与することを更に含む。代替実施形態において、本方法は、本明細書に記載のとおりLFSCを用いて被験者の下顔面形態を判定することと、次の治療の対象として、広く、角度のある下顎の輪郭(グレード3)、又は台形の広く、突出する下顎の輪郭(グレード4)を有する患者又は被験者を特定することとを含む。
MMPSを用いて、本方法を踏まえたMMH治療の有効性を判定することができる。いくつかの実施形態において、本方法は、治療前後に被験者の咬筋隆起をランク付けすることと、MMPSグレードがベースラインのグレードから1以上低下した被験者を特定することと、治療に対する陽性レスポンダとして、MMPSのグレードがベースラインのグレードから1以上低下した被験者を分類することとを含む。代替実施形態において、本方法は、MMH治療前後に4段階スケールのLFSCを用いて被験者の下顔面形態を分類することと、LFSCグレードがベースラインのグレードから1以上低下した被験者を特定することと、治療に対する陽性レスポンダとして、LFSCグレードがベースラインのグレードから1以上低下した被験者を区分することとを含む。
他の実施形態において、本開示はMMHを治療する方法を提供する。いくつかの実施形態において、本方法は、MMH治療の対象である被験者を選択するのに本明細書に記載の1つ又は複数の基準を使用することと、クロストリジウム誘導体の治療有効量を被験者に投与することと、本明細書に記載の1つ又は複数の有効性基準を用いて、MMH治療の有効性を判定することと、クロストリジウム誘導体の第2の治療有効量を被験者に再投与することとを含む。1つの実施形態において、選択工程は、MMPSを用いて被験者の咬筋隆起をランク付けすることを含む。いくつかの他の実施形態において、選択工程は、下顔面形態分類スケールを用いて被験者の下顔面形態を分類すること、LFSQを用いて下顔面形態の被験者自身の判定を得ること、又はこれらの組合せを更に含む。
パーツキット
別の態様において、パーツキットを提供する。1つの実施形態において、本キットは、ボツリヌス毒素、及び咬筋肥大症の治療のために筋肉にボツリヌス毒素を投与する指示、並びに任意にMMPSスケール、及び/又はMMPSを用いて治療のために被験者を特定する指示を含む。
別の態様において、a)約5〜100ユニット量のボツリヌス毒素と、b)咬筋肥大症の治療のために筋肉にボツリヌス毒素を投与する指示とを含むパーツキットを提供し、咬筋肥大症である被験者の咬筋にボツリヌス毒素を投与する。1つの実施形態において、ボツリヌス毒素の量は約10〜50ユニット又は20〜100ユニット、好ましくは約12〜48ユニット又は24〜96ユニット、より好ましくは約24〜36ユニット又は48〜72ユニットである。具体的な実施形態において、ボツリヌス毒素の量は12ユニット、24ユニット、36ユニット、48ユニット、72ユニット又は96ユニットである。1つの実施形態において、ボツリヌス毒素はいくつかに分けて包装される。
別の態様において、a)約5〜100ユニット量のボツリヌス毒素と、b)咬筋領域の下顔面幅を縮小させるために筋肉にボツリヌス毒素を投与する指示とを含むパーツキットを提供し、i)咬筋の最大膨隆部の領域を特定し、ii)この領域の複数の注射部位にボツリヌス毒素を注射して、咬筋領域の下顔面幅を縮小させるボツリヌス毒素の用量を投与する。1つの実施形態において、ボツリヌス毒素量は約10〜50ユニット又は20〜100ユニット、好ましくは約12〜48ユニット又は24〜96ユニット、より好ましくは約24〜36ユニット又は48〜72ユニットである。具体的な実施形態において、ボツリヌス毒素の量は12ユニット、24ユニット、36ユニット、48ユニット、72ユニット又は96ユニットである。1つの実施形態において、ボツリヌス毒素はいくつか、例えば3〜5個に分けて包装される。1つの実施形態において、ボツリヌス毒素はA型ボツリヌス毒素である。1つの実施形態において、本パーツキットは、咬筋の最大膨隆部の領域を特定する前に、咬筋隆起スケール(MMPS)を用いて被験者を判定するか、又は判定を再検討する指示、咬筋の最大膨隆部の領域を特定する指示、並びに/或いは反対の咬筋で特定及び注射を繰り返す指示を更に含む。
他の態様において、a)約5〜100ユニット量のボツリヌス毒素と、b)ヒトの咬筋の隆起を縮小させるために筋肉にボツリヌス毒素を投与する指示とを含むパーツキットを提供し、i)顎を咬みしめた時の咬筋の最大膨隆部の領域を特定し、ii)顎が弛緩した時、咬筋の隆起を縮小させるボツリヌス毒素の用量を咬筋領域の複数の部位に投与する。1つの実施形態において、ボツリヌス毒素量は約10〜50ユニット又は20〜100ユニット、好ましくは約12〜48ユニット又は24〜96ユニット、より好ましくは約24〜36ユニット又は48〜72ユニットである。具体的な実施形態において、ボツリヌス毒素量は12ユニット、24ユニット、36ユニット、48ユニット、72ユニット又は96ユニットである。1つの実施形態において、ボツリヌス毒素はA型ボツリヌス毒素である。1つの実施形態において、ボツリヌス毒素はいくつか、好ましくは2〜5個、より好ましくは3個に分けて包装される。
別の態様において、a)約5〜100ユニット量のボツリヌス毒素と、b)咬筋隆起と関連する下顔面突出又は幅を一時的に縮小させるために筋肉にボツリヌス毒素を投与する指示とを含むパーツキットを提供し、i)口の外側交連から耳朶が顔に接する点まで伸びる線を特定し;ii)顎を咬みしめた状態で、咬筋の最大膨隆部の領域を特定し;iii)最大膨隆部の領域を含み、該線に位置するか、又は該線の下側に位置し、笑筋の後部にあり、耳下腺の前方にある治療領域を決定し;iv)治療領域の複数の注射部位にボツリヌス毒素を注射して、下顔面突出又は幅を縮小させるボツリヌス毒素の用量を投与する。1つの実施形態において、ボツリヌス毒素の量は約10〜50ユニット又は20〜100ユニット、好ましくは約12〜48ユニット又は24〜96ユニット、より好ましくは約24〜36ユニット又は48〜72ユニットである。具体的な実施形態において、ボツリヌス毒素の量は12ユニット、24ユニット、36ユニット、48ユニット、72ユニット又は96ユニットである。1つの実施形態において、ボツリヌス毒素はいくつか、好ましくは2〜5個、より好ましくは3個に分けて包装される。1つの実施形態において、ボツリヌス毒素はA型ボツリヌス毒素である。1つの実施形態において、本パーツキットは、咬筋隆起スケール(MMPS)を用いて被験者を判定又は判定を再検討する指示を更に含み、被験者はMMPSにおける顕著又は非常に顕著にランク付けされる。
別の態様において、a)約5〜100ユニット量のボツリヌス毒素と、b)ヒトの下顔面の輪郭を変えるために筋肉にボツリヌス毒素を投与する指示とを含むパーツキットを提供し、i)口の外側交連から耳朶が顔に接する点まで伸びる線を特定し;ii)顎を咬みしめた状態で、咬筋の最大膨隆部の領域を特定し;iii)最大膨隆部の領域を含み、該線に位置するか、又は該線の下側に位置し、笑筋の後部にあり、耳下腺の前方にある治療領域を決定し;iv)治療領域の複数の注射部位にボツリヌス毒素を注入して、下顔面突出又は幅を縮小させるボツリヌス毒素の用量を投与する。1つの実施形態において、ボツリヌス毒素の量は約10〜50ユニット又は20〜100ユニット、好ましくは約12〜48ユニット又は24〜96ユニット、より好ましくは約24〜36ユニット又は48〜72ユニットである。具体的な実施形態において、ボツリヌス毒素の量は12ユニット、24ユニット、36ユニット、48ユニット、72ユニット又は96ユニットである。1つの実施形態において、ボツリヌス毒素はいくつか、好ましくは2〜5個、より好ましくは3個に分けて包装される。1つの実施形態において、ボツリヌス毒素はA型ボツリヌス毒素である。別の態様において、パーツキットを提供する。本パーツキットは、a)約5〜100ユニット量のボツリヌス毒素と、b)咬筋領域においてヒトの下顔面を形作るか、又は作り変えるために筋肉にボツリヌス毒素を投与する指示とを含む。1つの実施形態において、ボツリヌス毒素の量は約10〜50ユニット又は20〜100ユニット、好ましくは約12〜48ユニット又は24〜96ユニット、より好ましくは約24〜36ユニット又は48〜72ユニットである。具体的な実施形態において、ボツリヌス毒素の量は12ユニット、24ユニット、36ユニット、48ユニット、72ユニット又は96ユニットである。1つの実施形態において、ボツリヌス毒素はいくつか、好ましくは2〜5個、より好ましくは3個に分けて包装される。1つの実施形態において、ボツリヌス毒素はA型ボツリヌス毒素である。
以下の非限定的な実施例は、本発明の実施形態の範囲内で状態を治療する具体的で好ましい方法を当業者に提供するものであり、本発明の範囲を限定することを意図しない。
材料及び方法:
コンピュータ断層撮影法を用いて下顔面の体積を定量した。測定選択領域は、解剖学的ランドマーク:外眼角(A)、鼻翼基部(alar recess)(B)、耳朶付着部(C)、下顎下縁前部の溝(prejowl sulcus)(D)、及び下顎点(E)で形成される周囲(C−F−D−E)により作製した。点(A)−(D)及び(B)−(C)間の表面線の交点に1つの挿入ランドマーク(F)も用いた。例えばベースライン(治療前)及び治療後の異なる時点で、同じ被験者の2つの3D表面モデルにおける下顔面の体積差を用いて、顔面の体積変化を決定した。下顔面の体積は、顔の左側及び右側を合計した体積であり、研究のそれぞれのベースライン/治療後時点の対を比較した。下顔面の体積は、VECTRA M3 3D実体写真測量システムデジタル撮影システム(キャンフィールドサイエンティフィック、フェアフィールド、ニュージャージー州、米国)を用いて実施した。VECTRAにより定量される下顔面の体積変化をCT評価でも確認した。
実施例1
MMHの治療
プラセボ対照二重盲検無作為化試験を実施して、咬筋肥大症(MMH)である被験者を治療するため、A型ボツリヌス毒素の用量範囲の有効性及び安全性を評価した。咬筋隆起スケール(MMPS)及びデジタル撮影を用い、治療の潜在的な被験者を判断し、下顔面の体積を決定した。グレード4「顕著」又はグレード5「非常に顕著」なMMHとランク付けされる被験者が本研究に登録された。187名の被験者を登録し、表1−1に記載の用量のA型ボツリヌス毒素(ボトックス(登録商標))を用いた治療のため、4つの治療コホートに無作為に抽出した。
Figure 2022500417
各コホートにおける各被験者の各咬筋に対し、指示された総用量を両側に筋肉内投与した。各咬筋に3回注射を行い、両側の治療で計6回注射した。例えば、コホート1の各被験者を総用量24ユニットで治療し、総用量を両側の治療に均等に分割して、各咬筋に12ユニットを投与した。各咬筋の12ユニット用量を咬筋あたり3注射部位に均等に分割した。コホート4の各被験者を総用量96ユニットで治療し、総用量を両側の治療に均等に分割して各咬筋に48ユニットを用いた。各咬筋の48ユニット用量を咬筋あたり3注射部位に均等に分割した。各咬筋の3注射部位は、口の外側交連から耳朶が顔に接する点まで伸びる線に位置するか、又は該線の下側に位置し、咬筋の最大膨隆部の領域を含み、笑筋の後部にあり、耳下腺の前方にある治療領域内であった。
各被験者を治療後1年間毎月評価した。登録された187名の被験者のうち、167名が1年の研究を終了した。研究を終了しなかった患者20名のうち、多数(13/20)が個人的な理由で中断した。1つの中断のみが、プラセボ群におけるある被験者の有害事象によるものであった。各毎月の訪問時に、下顔面の体積(cm3)を3次元イメージングシステム(VECTRA M3、キャンフィールドサイエンティフィック)で計算した。結果を図2〜5に示す。簡潔に、下顔面の体積は90日目にプラセボに対してすべての用量群で有意に縮小し(p<0.001)、有意な体積縮小(p<0.05)は48U、72U又は96Uを用いた2回の治療の後、それぞれ少なくとも6か月間維持された。VECTRAにより定量される下顔面の体積変化をCT評価により確認した。90日目にMMPSのグレードが3及び≧2グレード変化した割合又はレスポンダは、プラセボに対してすべての用量群について有意であった(p<0.001)。有意差(p<0.05)は、プラセボと比較して、180日にわたって、48U、72U又は96U用量を用いたすべての時点で維持された。MMH重症度の低下は、単一の用量72U又は96Uを用いた後、9か月間にわたって持続した。最も頻繁に見られる治療関連副作用は咀嚼障害(ボトックス5.3%、プラセボ2.7%)であり、主に軽度の咀嚼低下として報告された。治療は良好な耐容性を示し、副作用発症率及び用量間に臨床的に関連する相関関係はなかった。異常に臨床的に関連する変化は、CTスキャン又は歯科検診により観察されなかった。
実施例2
MMHの治療
実施例1の研究に登録された被験者は、研究の180日目に評価され、MMPSを用いた臨床医の判定に基づき、被験者が顕著(グレード4)又は非常に顕著(グレード5)な両側性咬筋肥大症を有する場合、第2の治療(再治療)の対象であった。再治療の対象である被験者について、第2の治療は、研究の開始(1日目)時と同じ用量レベルで180日目の訪問時に行われた。再治療を受ける被験者を180日間1か月おきに評価して、3次元イメージングシステム(VECTRA M3、キャンフィールドサイエンティフィック)により下顔面の体積(cm3)を決定した。VECTRAにより定量される下顔面の体積変化をCT評価により確認した。結果を図6に示す。
本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく、当業者は多くの変更及び修飾を行うことができる。従って、記載される実施形態は実施例のためにのみ記され、これらの実施形態が以下の特許請求の範囲を限定するものと見なされないことを理解しなければならない。従って、以下の特許請求の範囲は、文字通り明記される要素の組合せだけでなく、実質的に同じ結果を得るため、実質的に同じ方法で実質的に同じ機能を実行するためのすべての均等要素も含むと解釈されるべきである。このように、特許請求の範囲は、上述されているもの、概念的に均等であるもの、及び本開示の考えを組み入れるものを含むと理解されるべきである。

Claims (99)

  1. 咬筋領域の下顔面幅を縮小させる方法であって、
    前記咬筋の最大膨隆部の領域を特定することと;
    前記領域の複数の注射部位にボツリヌス毒素を注射して、前記咬筋領域の下顔面幅を縮小させるボツリヌス毒素の用量を投与することと、
    を含む方法。
  2. 前記特定及び前記注射が両側で実施される、請求項1に記載の方法。
  3. 反対の咬筋に前記特定及び前記注射を繰り返すことを更に含む、請求項1に記載の方法。
  4. 注射が、治療する前記筋肉のそれぞれに対して、約5〜100ユニット、約15〜60ユニット、約25〜47ユニット、及び約30〜40ユニットの群から選択される範囲のボツリヌス毒素の用量を注射することを含むか、又は前記用量が治療する前記筋肉のそれぞれに対して、約36ユニットである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 注射が、約24〜72ユニットであるボツリヌス毒素の用量を注射することを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記複数の注射部位が3〜5か所である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記用量の一部が前記複数の注射部位の各注射部位に投与され、前記一部が前記複数の注射部位の部位数により分割される前記用量と同じである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記特定前に、咬筋隆起スケール(MMPS)を用いて被験者を判定すること又は判定を再検討することを更に含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記判定又は再検討が、前記被験者に前記MMPSにおける顕著又は非常に顕著とランク付けする、請求項8に記載の方法。
  10. 前記判定又は再検討が、以前の治療の有効性を評価するために実施される、請求項8に記載の方法。
  11. 咬筋領域の下顔面幅を縮小させる美容的方法である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記咬筋の隆起を縮小させるボツリヌス毒素の用量を前記咬筋領域に投与することを含む、ヒトの前記咬筋の隆起を縮小させる方法であって、
    前記用量が前記咬筋領域の複数の部位に投与され;
    前記領域が顎を咬みしめた時の前記咬筋の最大膨隆部の領域として特定され;
    前記用量が、前記顎を弛緩した状態で投与される、方法。
  13. 前記投与が両側で実施される、請求項12に記載の方法。
  14. 前記投与が、治療する前記筋肉のそれぞれに対して、約5〜100ユニット、約15〜60ユニット、約25〜47ユニット、約30〜40ユニット、又は約36ユニットのボツリヌス毒素の用量を投与することを含む、請求項12に記載の方法。
  15. 前記ヒトの反対の咬筋に前記投与を繰り返すことを更に含む、請求項12に記載の方法。
  16. 投与が、注射中に前記咬筋に垂直に位置する針を用いた注射によるものである、請求項12〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記用量が深層筋及び表層筋に分布するように投与される、請求項12〜16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記用量が約0.6〜2.4mLの容量で投与される、請求項12〜17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記用量の一部が前記複数の注射部位の各注射部位に投与され、各注射部位に投与される前記一部が一定ではない、請求項12〜17のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記一部が約0.1〜0.4mLの容量で投与される、請求項19に記載の方法。
  21. 前記複数の注射部位が3か所である、請求項12〜20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記投与の前に、MMPSを使用してヒトの被験者を選択することを更に含む、請求項12〜21のいずれか一項に記載の方法。
  23. ヒトの前記咬筋の隆起を縮小させる美容的方法である、請求項12〜22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 咬筋隆起と関連する下顔面突出又は幅を一時的に縮小させる方法であって、
    (i)口の外側交連から耳朶が顔に接する点まで伸びる線を特定することと;
    (ii)顎を咬みしめた状態で前記咬筋の最大膨隆部の領域を特定することと;
    (iii)前記最大膨隆部の領域を含み、前記線に位置するか、又は前記線の下側に位置し、笑筋の後部にあり、耳下腺の前方にある治療領域を決定することと;
    (iv)前記治療領域の複数の注射部位にボツリヌス毒素を注射して、下顔面突出又は幅を縮小させるボツリヌス毒素の用量を投与することと、を含む方法。
  25. 工程(i)〜(iv)が両側で実施される、請求項24に記載の方法。
  26. 注射が、治療する前記筋肉のそれぞれに対して、約5〜100ユニット、約15〜60ユニット、約25〜47ユニット、約30〜40ユニット、又は約36ユニットのボツリヌス毒素の用量を注射することを含む、請求項24又は請求項25に記載の方法。
  27. (v)前記顔の反対の咬筋に工程(i)〜(iv)を繰り返すことを更に含む、請求項24に記載の方法。
  28. 工程(i)が仮想線を視覚的に特定することを含む、請求項24〜27のいずれか一項に記載の方法。
  29. 工程(i)が前記顔の皮膚の前記線に印をつけることを含む、請求項24〜27のいずれか一項に記載の方法。
  30. 工程(iii)が皮膚に印をつけることなく、前記治療領域を視覚的に決定することを含む、請求項24〜29のいずれか一項に記載の方法。
  31. 工程(iii)が、前記治療領域を決定することと、前記皮膚の前記治療領域に印をつけることとを含む、請求項24〜29のいずれか一項に記載の方法。
  32. 工程(i)の前に、咬筋隆起スケール(MMPS)を使用して、被験者を判定すること又は判定を再検討することを更に含む、請求項24〜31のいずれか一項に記載の方法。
  33. 前記判定又は再検討が、前記被験者に前記MMPSにおける顕著又は非常に顕著とランク付けする、請求項32に記載の方法。
  34. 前記MMPSを用いた被験者の判定又は判定の再検討が、以前の治療の有効性を評価するために実施される、請求項32又は請求項33に記載の方法。
  35. 咬筋隆起と関連する下顔面突出又は幅を一時的に縮小させる美容的方法である、請求項24〜34のいずれか一項に記載の方法。
  36. 前記ボツリヌス毒素がA型ボツリヌス毒素である、請求項1〜35のいずれか一項に記載の方法。
  37. 前記ボツリヌス毒素が動物タンパク質フリーである、請求項1〜36のいずれか一項に記載の方法。
  38. 咬筋領域の前記下顔面幅、ヒトの前記咬筋の前記隆起、或いは咬筋隆起と関連する前記下顔面突出又は幅が、動物タンパク質含有組成物を用いるより長期間縮小される、請求項37に記載の方法。
  39. 咬筋領域の下顔面幅を縮小させる美容的方法であって、
    前記咬筋の最大膨隆部の領域を特定することと;
    前記領域の複数の注射部位にボツリヌス毒素を注射して、前記咬筋領域の下顔面幅を縮小させるボツリヌス毒素の用量を投与することと、を含み、
    注射が、治療する前記筋肉のそれぞれに対して、約15〜60ユニット、約25〜47ユニット、約30〜40ユニット、又は約36ユニットのボツリヌス毒素の用量を注射することを含む、方法。
  40. 前記咬筋の隆起を縮小させるボツリヌス毒素の用量を前記咬筋領域に投与することを含む、ヒトの前記咬筋の隆起を縮小させる美容的方法であって、
    前記用量が前記咬筋領域の複数の部位に投与され;
    前記領域が前記顎を咬みしめた時の前記咬筋の最大膨隆部の領域として特定され;
    前記顎を弛緩した状態で、前記用量が投与され、
    投与が、治療する前記筋肉のそれぞれに対して、約15〜60ユニット、約25〜47ユニット、約30〜40ユニット、又は約36ユニットのボツリヌス毒素の用量を投与することを含む、方法。
  41. 咬筋隆起と関連する下顔面突出又は幅を一時的に縮小させる美容的方法であって、
    口の外側交連から耳朶が顔に接する点まで伸びる線を特定することとと;
    前記顎を咬みしめた状態で、前記咬筋の最大膨隆部の領域を特定することと;
    前記最大膨隆部の領域を含み、前記線に位置するか、又は前記線の下側に位置し、前記笑筋の後部にあり、前記耳下腺の前方にある治療領域を決定することと、
    前記治療領域の複数の注射部位にボツリヌス毒素を注射して、下顔面突出又は幅を縮小させるボツリヌス毒素の用量を投与することとを含み、注射が、治療する前記筋肉のそれぞれに対して、約15〜60ユニット、約25〜47ユニット、約30〜40ユニット、又は約36ユニットのボツリヌス毒素の用量を注射することを含む方法。
  42. 咬筋領域の前記下顔面幅、ヒトの前記咬筋の前記隆起、或いは咬筋隆起と関連する前記下顔面突出又は幅が、明記するよりも少ない又は多い投与量で、より長期間縮小される、請求項39〜41のいずれか一項に記載の方法。
  43. a)約5〜100ユニット量のボツリヌス毒素と、
    b)咬筋肥大症の前記治療のために筋肉にボツリヌス毒素を投与する指示と、
    を含むパーツキットであって、咬筋肥大症を有する被験者の前記咬筋にボツリヌス毒素を投与することが治療に有用である、パーツキット。
  44. 前記指示が両側に投与する指示を含む、請求項43に記載のパーツキット。
  45. 前記指示が、治療する前記筋肉のそれぞれに対して、約15〜60ユニット、約24〜72ユニット、約25〜47ユニット、約30〜40ユニット、又は約36ユニットの群から選択される範囲でボツリヌス毒素の用量を投与する指示を含む、請求項43又は請求項44に記載のパーツキット。
  46. 前記指示が、3〜5か所の複数の注射部位にボツリヌス毒素の用量を投与する指示を含む、請求項43〜45のいずれか一項に記載のパーツキット。
  47. 前記用量の一部が前記複数の注射部位の各注射部位に投与され、前記一部が前記複数の注射部位の部位数により分割される前記用量と同じである、請求項46に記載のパーツキット。
  48. 前記指示が、咬筋隆起スケール(MMPS)を用い、被験者を判定する及び/又は判定を再検討する指示を含む、請求項43〜47のいずれか一項に記載のパーツキット。
  49. 前記MMPSが、前記被験者に顕著又は非常に顕著のランク付けを行う、請求項48に記載のパーツキット。
  50. a)約5〜100ユニット量のボツリヌス毒素と、
    b)咬筋領域の下顔面幅を縮小させるために筋肉にボツリヌス毒素を投与する指示と、
    を含むパーツキットであって、
    i)前記咬筋の最大膨隆部の領域を特定し、
    ii)前記領域の複数の注射部位にボツリヌス毒素を注射して、前記咬筋領域の下顔面幅を縮小させるボツリヌス毒素の用量を投与する、パーツキット。
  51. 前記特定及び前記注射が両側で実施される、請求項44に記載のパーツキット。
  52. 反対の咬筋に前記特定及び前記注射を繰り返すことを更に含む、請求項44又は請求項51に記載のパーツキット。
  53. 注射が、治療する前記筋肉のそれぞれに対して、約15〜60ユニット、約25〜47ユニット、約30〜40ユニット、又は約36ユニットの群から選択される範囲でボツリヌス毒素の用量を注射することを含む、請求項44〜52のいずれか一項に記載のパーツキット。
  54. 注射が約24〜72ユニットであるボツリヌス毒素の用量を注射することを含む、請求項44〜52のいずれか一項に記載のパーツキット。
  55. 前記複数の注射部位が3〜5か所である、請求項44〜54のいずれか一項に記載のパーツキット。
  56. 前記用量の一部が前記複数の注射部位の各注射部位に投与され、前記一部が前記複数の注射部位の部位数により分割される前記用量と同じである、請求項44〜55のいずれか一項に記載のパーツキット。
  57. 前記特定の前に、咬筋隆起スケール(MMPS)を用い、被験者を判定すること又は判定を再検討することを更に含む、請求項44〜56のいずれか一項に記載のパーツキット。
  58. 前記判定又は再検討が、前記被験者に前記MMPSにおける顕著又は非常に顕著とランク付けする、請求項57に記載のパーツキット。
  59. a)約5〜100ユニット量のボツリヌス毒素と、
    b)ヒトの前記咬筋の隆起を縮小させるために筋肉にボツリヌス毒素を投与する指示と、
    を含むパーツキットであって、
    i)前記顎を咬みしめた時の前記咬筋の最大膨隆部の領域を特定し、
    ii)前記顎を弛緩した時、前記咬筋の隆起を縮小させるボツリヌス毒素の用量を前記咬筋領域の複数の部位に投与する、パーツキット。
  60. 前記投与が両側で実施される、請求項59に記載のパーツキット。
  61. 前記投与が、治療する前記筋肉のそれぞれに対して、約5〜100ユニット、約15〜60ユニット、約25〜47ユニット、約30〜40ユニット、又は約36ユニットのボツリヌス毒素の用量を投与することを含む、請求項59又は60に記載のパーツキット。
  62. 前記指示が、前記ヒトの反対の咬筋に前記投与を繰り返す指示を更に提供する、請求項59〜61のいずれか一項に記載のパーツキット。
  63. 前記投与が、注射中に前記咬筋に垂直に位置する針を用いた注射によるものである、請求項59〜62のいずれか一項に記載のパーツキット。
  64. 前記ボツリヌス毒素が深層筋及び表層筋に分布するように投与される、請求項59〜63のいずれか一項に記載のパーツキット。
  65. 前記ボツリヌス毒素が約0.6〜2.4mLの容量で投与される、請求項59〜64のいずれか一項に記載のパーツキット。
  66. 前記ボツリヌス毒素の用量の一部が、前記複数の注射部位の各注射部位に投与され、各注射部位に投与される前記一部が一定ではない、請求項59〜65のいずれか一項に記載のパーツキット。
  67. 前記一部が約0.1〜0.4mLの容量で投与される、請求項59〜66のいずれか一項に記載のパーツキット。
  68. 前記複数の注射部位が3か所である、請求項59〜67のいずれか一項に記載のパーツキット。
  69. 前記投与前に、MMPSを用いてヒト被験者を選択することを更に含む、請求項59〜68のいずれか一項に記載のパーツキット。
  70. ヒトの前記咬筋の隆起を縮小させる美容的方法である、請求項59〜69のいずれか一項に記載のパーツキット。
  71. a)約5〜100ユニット量のボツリヌス毒素と、
    b)咬筋隆起と関連する下顔面突出又は幅を一時的に縮小させるために筋肉にボツリヌス毒素を投与する指示と、
    を含むパーツキットであって、
    i)口の外側交連から耳朶が顔に接する点まで伸びる線を特定し;
    ii)顎を咬みしめた状態で、咬筋の最大膨隆部の領域を特定し;
    iii)前記最大膨隆部の領域を含み、前記線に位置するか、又は前記線の下側に位置し、笑筋の後部にあり、耳下腺の前方にある治療領域を決定し;
    iv)前記治療領域の複数の注射部位にボツリヌス毒素を注射して、下顔面突出又は幅を縮小させるボツリヌス毒素の用量を投与する、パーツキット。
  72. 工程(i)〜(iv)が両側で実施される、請求項71に記載のパーツキット。
  73. 注射が、治療する前記筋肉のそれぞれに対して、約5〜100ユニット、約15〜60ユニット、約25〜47ユニット、約30〜40ユニット、又は約36ユニットのボツリヌス毒素の用量を注射することを含む、請求項71又は請求項72に記載のパーツキット。
  74. (v)前記顔の反対の咬筋に工程(i)〜(iv)を繰り返すことを更に含む、請求項71〜73のいずれか一項に記載のパーツキット。
  75. 工程(i)が仮想線を視覚的に特定することを含む、請求項71〜74のいずれか一項に記載のパーツキット。
  76. 工程(i)が前記顔の皮膚に前記線の印をつけることを含む、請求項71〜74のいずれか一項に記載のパーツキット。
  77. 工程(iii)が皮膚に印をつけることなく、前記治療領域を視覚的に決定することを含む、請求項71〜76のいずれか一項に記載のパーツキット。
  78. 工程(iii)が前記治療領域を決定すること、及び前記皮膚に前記治療領域の印をつけることを含む、請求項71〜76のいずれか一項に記載のパーツキット。
  79. 工程(i)の前に、咬筋隆起スケール(MMPS)を用いて、被験者を判定すること又は判定を再検討することを更に含む、請求項71〜78のいずれか一項に記載のパーツキット。
  80. 前記判定又は再検討が、前記被験者に前記MMPSにおける顕著又は非常に顕著とランク付けする、請求項79に記載のパーツキット。
  81. 前記MMPSを用いた被験者の判定又は判定の再検討が、以前の治療の有効性を評価するために実施される、請求項79に記載のパーツキット。
  82. 前記キットが美容的治療のためのものである、請求項43〜81のいずれか一項に記載のパーツキット。
  83. 前記ボツリヌス毒素がA型ボツリヌス毒素である、請求項43〜82のいずれか一項に記載のパーツキット。
  84. 前記ボツリヌス毒素が動物タンパク質フリーである、請求項43〜83のいずれか一項に記載のパーツキット。
  85. 咬筋領域の前記下顔面幅、ヒトの前記咬筋の前記隆起、或いは咬筋隆起と関連する前記下顔面突出又は幅が、動物タンパク質含有組成物を用いるより長期間縮小される、請求項84に記載のパーツキット。
  86. 被験者の前記咬筋領域の下顔面幅を縮小させるため、前記咬筋の最大膨隆部の領域に注射するボツリヌス毒素及び薬学的に許容される担体を含む組成物。
  87. 前記被験者が顕著又は非常に顕著な咬筋隆起を有する、請求項86に記載の組成物。
  88. 前記咬筋隆起が前記MMPSを用いて決定される、請求項87に記載の組成物。
  89. 前記組成物が注射後90日間、前記咬筋領域の下顔面幅を縮小させる、請求項86〜88のいずれか一項に記載の組成物。
  90. 前記組成物が、前記咬筋の両側で各咬筋の複数の注射部位に注射される、請求項86〜89のいずれか一項に記載の組成物。
  91. 前記複数の注射部位が咬筋1つ当たり3〜5か所である、請求項90に記載の組成物。
  92. 注射する前記組成物の用量が、治療する前記筋肉のそれぞれに対して、約5〜100ユニット、約15〜60ユニット、約25〜47ユニット、約30〜40ユニット、又は約36ユニットである、請求項90又は請求項91に記載の組成物。
  93. 前記組成物が、注射中に前記咬筋に垂直に位置する針を用いて注射される、請求項86〜92のいずれか一項に記載の組成物。
  94. 前記組成物が深層筋及び表層筋に分布するように注射される、請求項86〜93のいずれか一項に記載の組成物。
  95. 前記組成物が美容的治療のためのものである、請求項86〜94のいずれか一項に記載の組成物。
  96. 前記ボツリヌス毒素がA型ボツリヌス毒素である、請求項86〜95のいずれか一項に記載の組成物。
  97. 前記ボツリヌス毒素が動物タンパク質フリーである、請求項86〜96のいずれか一項に記載の組成物。
  98. 咬筋領域の前記下顔面幅、ヒトの前記咬筋の前記隆起、或いは咬筋隆起と関連する前記下顔面突出又は幅が、動物タンパク質含有組成物を用いるより長期間縮小される、請求項97に記載の組成物。
  99. 被験者の咬筋領域の下顔面幅を縮小させるため、ヒトの前記咬筋の隆起を縮小させるため、及び/或いは被験者の前記咬筋隆起と関連する下顔面突出又は幅を一時的に縮小させるため、前記咬筋の最大膨隆部の領域に注射するボツリヌス毒素の使用。
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