JP2022500407A - 人工内耳手術に伴う難聴の治療方法 - Google Patents

人工内耳手術に伴う難聴の治療方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2022500407A
JP2022500407A JP2021513852A JP2021513852A JP2022500407A JP 2022500407 A JP2022500407 A JP 2022500407A JP 2021513852 A JP2021513852 A JP 2021513852A JP 2021513852 A JP2021513852 A JP 2021513852A JP 2022500407 A JP2022500407 A JP 2022500407A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cochlear implant
administration
subject
surgery
nac
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021513852A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2020056056A5 (ja
Inventor
ディー. コピケ,リチャード
Original Assignee
ハフ イアー インスティテュート
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ハフ イアー インスティテュート filed Critical ハフ イアー インスティテュート
Publication of JP2022500407A publication Critical patent/JP2022500407A/ja
Publication of JPWO2020056056A5 publication Critical patent/JPWO2020056056A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/185Acids; Anhydrides, halides or salts thereof, e.g. sulfur acids, imidic, hydrazonic or hydroximic acids
    • A61K31/19Carboxylic acids, e.g. valproic acid
    • A61K31/195Carboxylic acids, e.g. valproic acid having an amino group
    • A61K31/197Carboxylic acids, e.g. valproic acid having an amino group the amino and the carboxyl groups being attached to the same acyclic carbon chain, e.g. gamma-aminobutyric acid [GABA], beta-alanine, epsilon-aminocaproic acid or pantothenic acid
    • A61K31/198Alpha-amino acids, e.g. alanine or edetic acid [EDTA]
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/13Amines
    • A61K31/15Oximes (>C=N—O—); Hydrazines (>N—N<); Hydrazones (>N—N=) ; Imines (C—N=C)
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61LMETHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
    • A61L27/00Materials for grafts or prostheses or for coating grafts or prostheses
    • A61L27/50Materials characterised by their function or physical properties, e.g. injectable or lubricating compositions, shape-memory materials, surface modified materials
    • A61L27/54Biologically active materials, e.g. therapeutic substances
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P27/00Drugs for disorders of the senses
    • A61P27/16Otologicals
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P41/00Drugs used in surgical methods, e.g. surgery adjuvants for preventing adhesion or for vitreum substitution
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K2300/00Mixtures or combinations of active ingredients, wherein at least one active ingredient is fully defined in groups A61K31/00 - A61K41/00
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61LMETHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
    • A61L2300/00Biologically active materials used in bandages, wound dressings, absorbent pads or medical devices
    • A61L2300/40Biologically active materials used in bandages, wound dressings, absorbent pads or medical devices characterised by a specific therapeutic activity or mode of action
    • A61L2300/45Mixtures of two or more drugs, e.g. synergistic mixtures
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61LMETHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
    • A61L2430/00Materials or treatment for tissue regeneration
    • A61L2430/14Materials or treatment for tissue regeneration for ear reconstruction or ear implants, e.g. implantable hearing aids

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Dermatology (AREA)
  • Oral & Maxillofacial Surgery (AREA)
  • Transplantation (AREA)
  • Surgery (AREA)
  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
  • Materials For Medical Uses (AREA)

Abstract

本明細書には、人工内耳手術を受ける前、手術を受けている間、および/または手術を受けた後に、有効量の2,4−ジスルホニルα−フェニル第三級ブチルニトロン(2,4−DSPBN)またはその医薬的に許容可能な塩、およびN−アセチルシステイン(NAC)またはその医薬的に許容可能な塩を対象に投与することを含む人工内耳手術を必要とする対象における、その人工内耳手術の悪影響を軽減する方法が開示されている。【選択図】図2

Description

難聴は一般的な病気であり、米国成人の約17%がある程度の難聴を報告している。Weaver et al., Hearing J. 67:14−20 (2014)を参照。人工内耳は、オトトキシンへの曝露、騒音性外傷、または老化に伴う難聴を患う多くの患者に聴力改善をもたらすことができる。Yawn et al. F1000 Prime Report, 7:45 (2015)を参照。人工内耳手術は外科処置であり、電極を患者の蝸牛に挿入し、電極は患者の聴覚神経系と近接している。次に電極は、外部のマイクからの信号を患者の聴覚系に直接送信することができる。従って人工内耳手術は、患者の通常の聴力を、患者がある程度聴力を回復することを可能にするデジタル聴力システムで置き換える。人工内耳手術は患者の聴覚神経線維を利用するため、この処置に適格な患者は、人工内耳が機能するために、正常で健康な聴覚神経細胞を有していなければならない。ハイブリッド聴力技術の利点を可能にするための音声聴力の温存は、人工内耳挿入による外傷にもかかわらず、内有毛細胞および外有毛細胞、ならびに蝸牛内の求心性ニューロンの温存を必要とする。
人工内耳手術は概して、聴力の自然な機構を破壊し、それをデジタル聴力で置き換えると考えられている。Yawn et al. F1000 Prime Report, 7:45 (2015)を参照。自然な聴力の温存は、複雑なリスニング環境での発話の理解、音源定位、および聴力の改善につながる。自然な聴力機構を温存するために、人工内耳のための多くの異なる外科処置が試みられてきた。これらの外科処置には、非侵襲的鼓室階挿入を最大限にするための方法、正円窓などの天然に存在する経路を通して電極を蝸牛に挿入することに依存する方法、または蝸牛に別個の開口部を作ることに依存する方法が含まれる。しかし、人工内耳患者の自然な聴力温存についての複数の外科手術アプローチの間に有意な差は見いだされていない。
人工内耳手術によって引き起こされる難聴に関する1件の試験において、N−アセチルシステイン(NAC)の局所投与は、聴力の改善に対してわずかな一過性の効果しか及ぼさないことが判明した。Eastwood et al., Hearing Research 259: 24−30 (2010)。この試験において、局所NAC投与は、挿入後の4週間時点の最も高い周波数のみ(32kHz)で、わずかに有意な聴力改善があっただけであり、より低い周波数では全く保護効果がなかったがことが記録されている。
従って、人工内耳手術を受ける患者が被る難聴を軽減するための、大きな医学的ニーズが依然として残されている。
本発明者らは、人工内耳手術を必要とする対象の人工内耳手術の悪影響を軽減するための方法および組成物を提供することによって、前述の医学的ニーズを満たすことに成功した。従って、本発明の少なくとも一つの態様は、人工内耳手術を受ける前、手術の間、または手術を受けた後に、有効量の2,4−ジスルホニルα−フェニル第三級ブチルニトロン(2,4−DSPBNもしくはHPN−07)またはその薬学的に許容可能な塩およびN−アセチルシステイン(NAC)またはその薬学的に許容可能な塩を対象に投与することを含む人工内耳手術の悪影響を軽減する方法に関する。
一部の実施形態において、HPN−07およびNACは、人工内耳手術の悪影響に苦しむ対象に局所投与される。
一部の実施形態において、HPN−07およびNACは、人工内耳手術の悪影響に苦しむ対象に全身投与される。
一部の実施形態において、HPN−07およびNACは、人工内耳手術の悪影響に苦しむ対象の蝸牛に直接投与される。
一部の実施形態において、HPN−07およびNACは、人工内耳手術の悪影響に苦しむ対象に経口投与される。
一部の実施形態において、HPN−07およびNACは、対象が電極の人工内耳手術を受ける前に対象に投与される。
本発明の別の態様において、HPN−07およびNACは、人工内耳手術の前、手術の間、および手術の後に対象に投与される。一部の実施形態において、HPN−07およびNACは、手術の前、手術の間、および手術の後に経口投与される。一部の実施形態において、HPN−07およびNACは手術の前に静脈内または局所的に投与され、HPN−07およびNACは手術の間および手術の後に経口投与される。一部の実施形態において、HPN−07およびNACは手術前に経口投与され、HPN−07およびNACは手術時または手術直前に静脈内投与され、HPN−07およびNACは手術の後に経口投与される。
一部の実施形態において、HPN−07およびNACならびに潤滑剤をさらに含む組成物は、対象が電極の人工内耳手術を受ける前に、対象に局所投与される。
一部の実施形態において、人工内耳手術を必要とする対象は、HPN−07およびNACの組成物で被覆された電極の移植を受ける。
一部の実施形態において、人工内耳手術を必要とする対象は、Pluronicハイドロゲルなどの感熱性ゲルをさらに含むHPN−07およびNACの組成物を投与される。
一部の実施形態において、HPN−07およびNACの組成物は、人工内耳手術の前、手術の間、または手術の後に、鼓室内に投与される。
一部の実施形態において、対象は成人集団に属する。
一部の実施形態において、対象は小児集団に属する。
一部の実施形態において、小児集団は、新生児(出生〜1カ月)、幼児(1カ月〜2歳)、発達中の子供(2〜12歳)、および青年(12〜16歳)から選択される。
一態様において、本開示は、有効量の2,4−ジスルホニルα−フェニル第三級ブチルニトロン(2,4−DSPBN)またはその薬学的に許容可能な塩、およびN−アセチルシステイン(NAC)またはその薬学的に許容可能な塩を、人工内耳手術を受ける前、手術を受けている間、および/または手術を受けた後に対象に投与することを含む人工内耳手術を受ける前、手術を受けている間、および/または手術を受けた後に感音性難聴と診断されたヒト対象を治療する方法を提供する。
一部の実施形態において、人工内耳の手術を受ける前、手術を受けている間、および/または手術を受けた後に感音性難聴と診断されたヒト対象を治療する方法は、一つまたは複数の試験周波数で、(ABR反応を引き出すために必要な音圧レベル(dB)によって測定された)聴性脳幹反応(ABR)閾値記録を実行することをさらに含む。
一部の実施形態において、人工内耳の手術を受ける前、手術を受けている間、および/または手術を受けた後に感音性難聴と診断されたヒト対象を治療する方法は、一つまたは複数の試験周波数で対象について記録されたABR閾値を、同じ一つまたは複数の試験周波数で未処置または対照の対象について記録されたABR閾値と比較することをさらに含む。
一部の実施形態において、一つまたは複数の試験周波数で対象について記録されたABR閾値は、未処置または対照の対象のものと比較してより低い。
一部の実施形態において、ABR閾値記録は、1〜8kHzの範囲の一つまたは複数の試験周波数で実施される。
一部の実施形態において、投与は、人工内耳手術を受ける前、手術を受けている間、および手術を受けた後に実行される。
一部の実施形態において、本開示は、人工内耳手術を受ける前、手術を受けている間、および/または手術を受けた後に、有効量の2,4−ジスホニルα−フェニル第三級ブチルニトロン(2,4−DSPBN)またはその薬学的に許容可能な塩、およびN−アセチルシステイン(NAC)またはその薬学的に許容可能な塩をヒト対象に投与することを含む人工内耳手術を受ける前、手術を受けている間、および/または手術を受けた後に対象における複数の有毛細胞の損失を低減させる方法を提供する。一部の実施形態において、前記有毛細胞は、内有毛細胞、または外有毛細胞、またはその両方を含む。一部の実施形態において、1〜8kHzの範囲の周波数地図の周波数位置での複数の外有毛細胞の損失は、未処置または対照の対象のそれと比較して、少なくとも約70%低減される。
一部の実施形態において、1〜8kHzの範囲の周波数地図の周波数位置での複数の内有毛細胞の損失は、未処置または対照の対象のそれと比較して、少なくとも約38%低減される。
一部の実施形態において、2〜8kHzの範囲の周波数地図の周波数位置での複数の外有毛細胞の損失は、未処置または対照の対象のそれと比較して、少なくとも約86%低減される。
一部の実施形態において、2〜8kHzの範囲の周波数地図の周波数位置での複数の内有毛細胞の損失は、未処置または対照の対象のそれと比較して、少なくとも約64%低減される。
これらおよびその他の特徴は、その構成および操作方法とともに、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
図1は、実施例1に対応していて、試験されたすべての周波数(2、4、8、および16kHz)での、人工内耳手術直後および手術4週間後の平均閾値シフトを示す。図1に示す結果は、未処置のままであったか、または手術後7日間にわたって1μL/時間の流速で治療剤を(蝸牛内)送達した灌流およびポンプシステムを伴う、蝸牛電極インプラントを使用して、10mMのNAC、10mMの2,4−DSPBN(HPN−07)、および1μg/mLのデキサメサゾンを含有する溶液を投与した成体有色素モルモットから取得した。モルモット12〜35および12〜36は、人工内耳手術後に2,4−DSPBN(HPN−07)およびNACでの処置を受けなかった。モルモット12〜37および12〜39は、人工内耳手術後に2,4−DSPBN(HPN−07)およびNACでの処置を受けた。 図2は、実施例5に対応していて、人工内耳挿入による外傷のモルモットモデルにおけるABR閾値シフトのNAC/HPN−07処置介在性減衰を示す。図2に示す結果は、手術前の2日間にわたりプラセボ(生理食塩水)もしくは300mg/kgのNAC/HPN−07(i.p.)を含有する生理食塩水で処置された(b.i.d.)か、または処置されなかった成体有色素モルモットから取得された。外科手術グレードの銀線蝸牛電極模倣物を各モルモットの一つの耳に外科的に移植し、モルモットは術後さらに7日間にわたり、プラセボまたはNAC/HPN−07(b.i.d.)で処置されたか、または処置されなかった。術後3週間で、ABR記録を実施し、ABR閾値(図2A)および閾値シフト(図2B)を、プラセボ(生理食塩水)対照動物およびNHPN−1010処置動物で測定した。図2Aは、NHPN−1010特異的耳保護が、広範な試験周波数範囲にわたって観察されたことを示す。プラセボ処置対照において、挿入外傷は一貫して、広範な周波数範囲(赤線)にわたって無処置対照(黒破線)と比較して統計的に有意な閾値上昇(**、****、それぞれp < 0.01および0.001)を誘発した。これらの上昇は、NAC/HPN−07で周術期に処置されたモルモットにおいて、この試験範囲にわたって有意に減弱した(緑色線、主な効果、##、p<0.01)。図2Bは、未処置動物、プラセボ処置動物、またはNAC/HPN−07処置動物において測定された相対閾値シフトの計算が、試験周波数範囲全体にわたって広範な耳保護の明確な傾向を示し、統計的に有意な保護が16kHz(*、p<0.05)で測定されたことを示す。 図3は、実施例5に対応していて、NAC/HPN−07処置が、人工内耳外傷手術によって誘発される内有毛細胞および外有毛細胞損失の程度を有意に減少させたことを示す。成体有色素モルモットは、図2に記載の通り、人工内耳手術前2日間にわたり、プラセボ(生理食塩水)または300mg/kgのNAC/HPN−07(i.p.)を含有する生理食塩水のいずれかで前処置(b.i.d.)され、その後、プラセボまたはNAC/HPN−07(b.i.d.)のいずれかでさらに7日間にわたり、術後に処置された。術後3週間時点で、モルモットを安楽死させて、組織を採取し、HC不動毛を標識するためにHC特異的抗体(抗MyoVIIa)およびTRITC抱合型ファロイジンを使用して、全載標本での内毛細胞および外毛細胞(それぞれIHC、OHC)の組織学的評価のために固定した。各標本の各コルチ器官の総計長さに沿って蝸牛HC計数を実施し、図3Aに示す通りOHC損失の割合(%)、および図3Bに示す通りIHC損失を平均し、プラセボ処置コホート(三角形のデータ点)およびNAC/HPN−07処置コホート(丸形状のデータ点)の両方についてサイトコクレオグラム(cytocochleogram)として独立してグラフ化した。グラフの上の数字は、周波数地図の周波数位置を表す。プラセボ処置対照(三角形のデータ点)において、挿入外傷は、未処置対照と比較して、8〜32kHzの周波数地図の周波数範囲にわたって広範性のOHC(図3A)およびIHC(図3B)の損失を誘発した。このCI手術誘発性HC損失の程度は、この解剖学的範囲にわたってNAC/HPN−07で周術期に処置されたモルモットにおいて有意に減弱した(丸形状のデータ点、主な効果、###、Aではp < 0.001、##、Bではp < 0.01)。
NACおよびHPN−07の以前に確立された相乗的耳保護特性は、人工内耳手術によって引き起こされる難聴からも保護することができることは、本開示の発明者の驚くべき発見である。 従って、本明細書に記載の本開示は、蝸牛電極移植の悪影響を軽減する方法を提供する。処置の特定方法が本明細書に記述されているが、要するに、方法は、有効量の2,4−ジスルホニルα−フェニル第三級ブチルニトロン(2,4−DSPBN)およびその誘導体またはその薬学的に許容可能な塩(以下「HPN−07」という)を、N−アセチルシステインおよびその誘導体またはその薬学的に許容可能な塩(以下「NAC」という)と組み合わせて投与することを含む。
実施例に記載の通り、人工内耳手術によって引き起こされる難聴の軽減に対するHPN−07およびNACの効果を試験するために試験が実施された。人工内耳手術によって引き起こされる聴力障害は、聴性脳幹反応(ABR)試験を行い、有毛細胞の損失を測定することによって明らかにすることができる。最も驚くべきことに、実施例1および実施例5は、ABR測定によっておよび毛髪細胞の損失を測定することによって判定される通り、HPN−07およびNACとデキサメタゾンありまたはなしでの同時投与が、人工内耳手術誘発性難聴に対する保護を可能にすることを示す。本開示の発明者の仮説は、本明細書に開示される方法が、有毛細胞の損失を防止することによって、人工内耳誘発性難聴に対して長期的な保護も提供するであろうというものである。
I.略語
2,4−DSPBN(HPN−07)、2,4−ジスルホニルα−フェニル第三級ブチルニトロン;ABR、聴性脳幹反応;BHA、ブチル化ヒドロキシアニソール;BHT、ブチル化ヒドロキシトルエン;EDTA、エチレンジアミン四酢酸;CI、人工内耳;COX−2、シクロオキシゲナーゼ−2;dB、デシベル;DNA、デオキシリボ核酸;EIT(電極挿入外傷);ICAM−1、細胞間接着分子−1;IHC、内毛細胞;IL−1、インターロイキン−1;iNOS、誘導性型一酸化窒素合成酵素;kHz、キロヘルツ;NAC、N−アセチルシステイン;NF−κB、核因子カッパB;OC、コルチ器官;OHC、外毛細胞;RWM、正円窓膜;TGF−β、トランスフォーミング増殖因子β;TNF−α、腫瘍壊死因子−α。
II.人工内耳手術の悪影響を軽減する方法。
本明細書の開示は、人工内耳手術からの聴力に対する悪影響を軽減するための方法を提供し、これは、有効量のHPN−07またはその薬学的に許容可能な塩、およびNACまたはその薬学的に許容可能な塩を、人工内耳の悪影響に苦しむ対象に投与することを含む。
人工内耳手術中、電極は外科手術によって蝸牛に挿入されて、聴覚神経線維に接続され、蝸牛内部の器官および組織に外傷を引き起こす。Yawn R. et al. F1000 Prime Report 7, 45 (2015)。蝸牛内部器官へのこの外傷は、難聴を引き起こす可能性がある。
人工内耳(CI)電極挿入手術に関連する一次的(機械的)外傷と二次的(分子的)外傷の両方が、残存難聴の急性および進行性の損失に寄与する。従って、CI手術は、難聴に寄与する物理的または機械的外傷を引き起こす可能性がある。
本明細書の実施例1で示す通りに実施された試験は、有効量のHPN−07をNACと組み合わせて投与することが、人工内耳手術によって引き起こされる難聴を防止できることを示した。NACおよびHPN−07の組み合わせ処置レジメンは、CI電極挿入外傷(EIT)に関連するこれらの包括的な病理的応答パターンのそれぞれに対処する可能性がある。従って、一部の実施形態において、HPN−07およびNACは、人工内耳手術を受ける前、手術を受けている間、および/または手術を受けた後に対象に投与される。
人工内耳手術によって引き起こされる難聴に対するHPN−07およびNACによる保護効果は、聴性脳幹反応(ABR)測定によって測定することができる。ABRについては、以下でさらに説明する。簡潔に述べると、ABR測定は、活性針電極および参照電極を右耳および左耳の近位にそれぞれ配置し、一方で接地電極を頭頂に配置することによって実施した。聴覚刺激は、高周波数変換器に連結されたコンピュータ支援システムを使用して生成した。音響刺激は、2、4、8、16、および32kHzの周波数のトーンピップであった。聴力閾値を、閾値の近くまで10dBの降下ステップで試験し、次いで5dBの上昇ステップを行って閾値を判定した。閾値は、明確な応答の最低レベルと応答が観察されなかった次のレベルとの間の中間点として定義した。閾値シフトは、傷害(例えば爆風、大きい音、オトトキシンなどへの曝露)の前および後の閾値の差を指す。本明細書の実施例1および実施例5は、人工内耳とともにHPN−07およびNACを投与された動物が、対照動物よりも低いデシベル値で試験トーンを検出できることを示した。HPN−07およびNACの最も顕著な効果は、より低い2kHzおよび4kHzの周波数で起こった。従って、本開示は、人工内耳手術を受ける前、手術を受けている間、および/または手術を受けた後に有効量の2,4−ジスルホニルα−フェニル第三級ブチルニトロン(2,4−DSPBN)またはその薬学的に許容可能な塩、およびN−アセチルシステイン(NAC)またはその薬学的に許容可能な塩をヒト対象に投与することを含む人工内耳手術を受ける前、手術を受けている間、および/または手術を受けた後に、感音性難聴と診断されたヒト対象を治療する方法を提供する。一部の実施形態において、人工内耳の手術を受ける前、手術を受けている間、および/または手術を受けた後に感音性難聴と診断されたヒト対象を治療する方法は、一つまたは複数の試験周波数で、(ABR反応を引き出すために必要な音圧レベル(dB)によって測定された)聴性脳幹反応(ABR)閾値記録を実行することをさらに含む。
一部の実施形態において、人工内耳の手術を受ける前、手術を受けている間、および/または手術を受けた後に感音性難聴と診断されたヒト対象を治療する方法は、一つまたは複数の試験周波数で対象について記録されたABR閾値を、同じ一つまたは複数の試験周波数で未処置または対照の対象について記録されたABR閾値と比較することをさらに含む。一部の実施形態において、一つまたは複数の試験周波数で対象について記録されたABR閾値は、未処置または対照の対象のものと比較してより低い。一部の実施形態において、一つまたは複数の試験周波数で対象について記録されたABR閾値は、未処置または対照の対象のものと比較して2分の1、3分の1、4分の1、5分の1または10分の1である。一部の実施形態において、ABR閾値記録は、1〜8kHzの範囲の一つまたは複数の試験周波数で実施される。
本明細書で使用される「聴性脳幹反応(ABR)閾値」という用語は、所与の周波数で複数の動物から記録された閾値シフトの平均を指す。この場合の閾値シフトは、オリジナルのベースラインにおいてABR反応を引き出すために必要な音圧レベル(dB)と、外傷(この場合はCI手術)後の同じ動物において応答を引き出すために必要な音圧レベルとの差である。例えば、動物のベースラインABR閾値が8kHzで25dBであり、CI手術3週間後の閾値が8kHzで75dBの場合、閾値シフトは、その周波数で50dBとなる。
モルモットで使用される試験周波数は、ヒト対象で使用される臨床的に意義のある試験周波数の約2倍であることが当該技術分野においてよく知られている。従って、本明細書中の2、4、8、および16kHzのモルモットに対する試験周波数は、ヒト対象における試験周波数1、2、3、または8kHzにそれぞれ対応することになる。
人工内耳手術によって引き起こされる難聴に対するHPN−07およびNACの保護効果は、実施例5の有毛細胞損失の測定によっても観察された。従って、本開示は、人工内耳手術を受ける前、手術を受けている間、および/または手術を受けた後に、有効量の2,4−ジスホニルα−フェニル第三級ブチルニトロン(2,4−DSPBN)またはその薬学的に許容可能な塩、およびN−アセチルシステイン(NAC)またはその薬学的に許容可能な塩をヒト対象に投与することを含む人工内耳手術を受ける前、手術を受けている間、および/または手術を受けた後に対象における複数の有毛細胞の損失を低減させる方法を提供する。一部の実施形態において、前記有毛細胞は、内有毛細胞、または外有毛細胞、またはその両方を含む。
一部の実施形態において、1〜8kHzの範囲の周波数地図の周波数位置での複数の外有毛細胞の損失は、未処置または対照の対象のそれと比較して、少なくとも約70%低減される。一部の実施形態において、1〜8kHzの範囲の周波数地図の周波数位置での複数の外有毛細胞の損失は、未処置または対照の対象のそれと比較して、少なくとも約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%低減される。
一部の実施形態において、1〜8kHzの範囲の周波数地図の周波数位置での複数の内有毛細胞の損失は、未処置または対照の対象のそれと比較して、少なくとも約38%低減される。一部の実施形態において、1〜8kHzの範囲の周波数地図の周波数位置での複数の内有毛細胞の損失は、未処置または対照の対象のそれと比較して、少なくとも約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%低減される。
一部の実施形態において、2〜8kHzの範囲の周波数地図の周波数位置での複数の外有毛細胞の損失は、未処置または対照の対象のそれと比較して、少なくとも約86%低減される。一部の実施形態において、1〜8kHzの範囲の周波数地図の周波数位置での複数の外有毛細胞の損失は、未処置または対照の対象のそれと比較して、少なくとも約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%低減される。
一部の実施形態において、2〜8kHzの範囲の周波数地図の周波数位置での複数の内有毛細胞の損失は、未処置または対照の対象のそれと比較して、少なくとも約64%低減される。一部の実施形態において、1〜8kHzの範囲の周波数地図の周波数位置での複数の内有毛細胞の損失は、未処置または対照の対象のそれと比較して、少なくとも約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%低減される。
理論に拘束されるものではないが、本開示の仮説は、HPN−07および/またはNACが、酸化ストレス、炎症、および細胞死を防止することによって難聴を防止しうるというものである。従って、以下にさらに説明する通り、酸化ストレス、炎症、および/または細胞死経路に対するバイオマーカーの組織学的評価によっても、人工内耳手術によって引き起こされる難聴に対するHPN−07およびNACの保護効果が観察されうる。
NACは、酸化ストレス、グルタチオン欠損症、神経炎症、ミトコンドリア傷害、およびカスパーゼ媒介(アポトーシス)細胞死を標的とする場合がある(Kopke et al., Hear Res. 226(1−2):114−25 (2007))。NACは、HおよびOH・などの活性酸素種の強力なスカベンジャーとして(求核相互作用を介して)直接作用しうる。重要なことに、NACはまた、グルタチオン合成における律速代謝物であるシステインの前駆体として作用することによって抗酸化物質としての機能を果たしうる。グルタチオンは次に、グルタチオンペルオキシダーゼによって、および身体の内因性抗酸化剤および抗アポトーシス防御系に必須なプロセスであるグルタチオン−S−トランスフェラーゼによって触媒される抱合反応によって触媒されるヒドロペルオキシドを減少させる(Dodd et al., Expert Opin. Biol. Ther. 8(12):1955−1962 (2008); Franco and Cidlowski, Cell Death and Differentiation 16: 1303−1314 (2009))。
NACはまた、核因子カッパB(NF−kB)などの炎症促進性転写因子の誘導を著しく制限することによって、強力な抗炎症特性を有しうる(Shahripour et al., Brain and Behavior 4(2): 108-122 (2014))。さらに、NACは、TNFa、インターロイキン−1(IL−1)、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)、細胞間接着分子−1(ICAM−1)、およびカスパーゼ3を含む、無数の他のストレス誘導性炎症促進性調節因子およびアポトーシス促進性調節因子を遮断または減弱する可能性がある ((Chen et al., Mediators Inflamm. 2008:716458 (2008); Lindblad, Noise Health. 13(55):392−401 (2011); Kopke et al., Hear Res. 323:40−50 (2015))。
さらに、NACは増殖性線維形成およびトランスフォーミング成長因子ベータ(TGF−β)活性を阻害する可能性があり(Sugiura et al.,Pulm Pharmacol Ther. 22(6): 487−91 (2009); Li et al., Respiration 84(6): 509−17(2012);Shen et al., Acta Pharmacol Sin. 37(5): 637−44 (2016)、より具体的にNACは、げっ歯類髄膜炎モデルにおいて、蝸牛線維症および骨化を減少させる可能性がある(Klein et al., Ann Neurol. 54(4):451−8 (2003); Wilk et al., PLoS One 11(2): e0147552 (2016))。
HPN−07または2,4−ジスルホニルα−フェニル第三級ブチルニトロン(2,4−DSPBN)は、遊離ラジカルを除去および中和して、安定であり、かつ身体から容易に排泄される窒素酸化物抱合体を生成するために機能しうる(Williams et al., Free Radic. Res. 41:1047-52(2007))。HPN−07は、誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)、COX−2、およびNF−kBの直接的および間接的な阻害によってグルタミン酸の興奮毒性を低減しうる(Floyd et al., Anticancer Agents Med Chem. 1; 11(4): 373-379 (2011))。理論に拘束されるものではないが、本明細書の仮説は、HPN−07によるiNOS発現の抑制が、ストレス誘導性NF−kB DNA結合を阻害するHPN−07の能力に部分的に起因する可能性があり(Kotake et al., Biochim Biophys Acta. 1448:77-84 (1998))、様々な他の炎症促進性経路の直接的および間接的な阻害に拡張されうるというものである。
従って、ストレス誘発性炎症および細胞死に対するNACおよびHPN−07の効果の組織学的評価に有用なバイオマーカーとしては、TNFa、インターロイキン−1(IL−1)、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)、NF−thaB DNA結合、細胞間接着分子−1(ICAM−1)、カスパーゼ3、およびTGF−βが挙げられるが、これらに限定されない。
A.2,4−ジスルホニルα−フェニル第三級ブチルニトロン(2,4−DSPBNまたはHPN−07)
2,4−ジスルホニルα−フェニル第三級ブチルニトロンは、2,4−ジスルホニルPBN、2,4−DSPBN、NXY−059、またはHPN−07とも呼ばれる。これは以下の構造を有する。
Figure 2022500407
本化合物の酸形態は、以下の構造を有する。
Figure 2022500407
酸形態は固体であってもよく、または低pH溶液中に見いだされてもよい。本化合物のイオン化塩形態は、より高いpHで存在し、以下の構造のいずれかによって表されうる。
Figure 2022500407
塩形態において、Xは薬学的に許容されるカチオンである。最も一般的に、このカチオンは、ナトリウム、カリウム、またはアンモニウムなどの一価物質であるが、多価のみであってもよく、または例えば塩化物、臭化物、ヨウ化物、ヒドロキシル、硝酸塩、スルホン酸塩、酢酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、パモ酸塩、または類似のアニオンと組み合わせたカルシウム、マグネシウムとこうしたアニオン、亜鉛とこうしたアニオンなど、薬学的に許容可能な一価アニオンと組み合わせたカチオンであってもよい。これらの物質の中で、遊離酸および単純ナトリウム塩、カリウム塩、またはアンモニウム塩はカルシウム塩と最も好ましく、またマグネシウム塩とも好ましいが、好ましさは幾分劣る。2,4−DSPBNは、米国特許第 5,488,145号に詳細に記載されていて、これは参照により本明細書に組み込まれる。2,4−DSPBNの塩はまた、本明細書に記載の通りの2,4−DSPBNの使用と類似した方法で、人工内耳手術によって引き起こされる難聴の軽減に使用されうる。
2,4−DSPBNまたはその薬学的に許容可能な塩は、放出調節剤形がカプセル2個で投与されることが意図される場合、放出調節剤形中に薬学的に許容可能な量で、またはその一部分で、例えば薬学的に許容可能な量の50%で存在しうる。例えば、一部の実施形態において、2,4−DSPBNまたはその薬学的に許容可能な塩は、約250mg〜約3000mgの量で放出調節剤形中に含有されている。例えば、一部の実施形態は、約250、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、または3000mg、およびその間の値または範囲の2,4−DSPBNまたは薬学的に許容可能な塩を含む。一部の実施形態において、2,4−DSPBNまたはその薬学的に許容可能な塩のこの重量は、薬学的に許容可能な塩の対イオンが2,4−DSPBNのモル量に影響を与えないように、2,4−DSPBN部分の重量に基づいている。
人工内耳手術の聴力に対する悪影響を軽減するために、2,4−DSPBNを、例えば体重1kgあたり約1mg〜約1000mg、体重1kgあたり約50mg〜約800mg、体重1kgあたり約100mg〜約600mg、体重1kgあたり約200mg〜約400の用量で投与することができる。
一部の実施形態において、2,4−DSPBNの投与量は、体重1kgあたり約50mg、体重1kgあたり約100mg、体重1kgあたり約200mg、体重1kgあたり約300mg、体重1kgあたり約400mg、体重1kgあたり約500mg、体重1kgあたり約600mg、体重1kgあたり約700mg、体重1kgあたり約800mg、体重1kgあたり約900mg、または体重1kgあたり約1000mgでありうる。
ヒト対象における人工内耳手術の聴力に対する悪影響を軽減するために、2,4−DSPBNは、例えば約100mg〜約20,000mg、または約500mg〜約10,000mg、または約1,000mg〜約5,000mg、または約100mg、または約200mg、または約500mg、または約1,000mg、または約2,000mg、または約3,000mg、または約5,000mg、または約8,000mg、または約10,000mgの1日用量で投与されうる。
対象には、1日1回、または1日2回、または1日3回、または1日4回、または1日5回投与することができる。
B.N−アセチルシステイン(NAC)
一部の実施形態において、NACは、N−アセチル−L−システインの異性体的に純粋な形態または濃縮された形態(例えば、各鏡像異性体のモル分率間の絶対差として定義される、95、96、97、98、99、99.5、99.9の鏡像異性体過剰率)である。一部の実施形態において、NACは、N−アセチルシステインのラセミ混合物である。
人工内耳手術の聴力に対する悪影響を軽減するために、NACを例えば体重1kgあたり約1mg〜約1000mg、体重1kgあたり約50mg〜約800mg、体重1kgあたり約100mg〜約600mg、体重1kgあたり約200mg〜約400の用量で投与することができる。
一部の実施形態において、NACの投与量は、体重1kgあたり約50mg、体重1kgあたり約100mg、体重1kgあたり約200mg、体重1kgあたり約300mg、体重1kgあたり約400mg、体重1kgあたり約500mg、体重1kgあたり約600mg、体重1kgあたり約700mg、体重1kgあたり約800mg、体重1kgあたり約900mg、または体重1kgあたり約1000mgでありうる。
ヒト対象における人工内耳手術の聴力に対する悪影響を軽減するために、NACは、例えば約100mg〜約20,000mg、または約500mg〜約10,000mg、または約1,000mg〜約5,000mg、または約100mg、または約200mg、または約500mg、または約1,000mg、または約2,000mg、または約3,000mg、または約5,000mg、または約8,000mg、または約10,000mgの1日用量で投与されうる。
一部の実施形態において、放出調節剤形は、NACの複数のペレットまたはその薬学的に許容可能な塩を含む。ペレットは、例えば2.5mm10%の標的サイズまでの標的サイズ0.5mmであってもよく、2.8mmを超えるペレットはない。
NACまたはその薬学的に許容可能な塩は、放出調節剤形がカプセルまたは錠剤(例えば、圧縮錠剤)2個で投与されることが意図される場合、放出調節剤形中に薬学的に許容可能な量で、またはその一部分で、例えば薬学的に許容可能な量の50%で存在しうる。例えば、一部の実施形態において、NACまたはその薬学的に許容可能な塩は、約300mg〜約2400mgの量で放出調節剤形中に含有されている。例えば、一部の実施形態は、約300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、または2400、およびmg NACの間の値または範囲を含む。一部の実施形態において、NACまたはその薬学的に許容可能な塩のこの重量は、薬学的に許容可能な塩の対イオンがNACのモル量に影響を与えないように、N−アセチルシステイン部分の重量に基づいている。
C.投与経路
HPN−07およびNACの投与経路はまた、人工内耳誘発性難聴に対する保護効果に影響を与えうる。一部の実施形態において、HPN−07およびNACは混合物として同時投与される。一部の実施形態において、HPN−07およびNACは、別個の剤形として順次または同時に投与される。
一態様において、HPN−07およびNACの有効用量は、局所的に直接、蝸牛に投与されてもよい。一つの実施形態において、HPN−07およびNACの有効用量は、鼓室内に送達されてもよい。例えば、HPN−07およびNACの有効用量は、鼓膜を通した注射によって中耳に直接送達されてもよい。別の方法として、活性組成物は、電極が人工内耳手術を受ける対象に移植される前に、電極を組成物で被覆することによって投与されてもよい。さらに、活性組成物は、ナノ粒子またはデンドリマー製剤として投与されてもよい。ナノ粒子は多機能であり、ポリマーおよび常磁性酸化鉄粒子から成り、外部磁力を加えて、内耳などの所望の標的への薬物の送達を助けることを可能にする。
一実施形態において、HPN−07およびNACは、中耳の正円窓膜(RWM)に間接的に送達されてもよい。RWMは、多くの物質、特に低分子量物質が、中耳のRWMに適用された時に内耳に浸透することを可能にする半透膜として機能することが示されている。例えば、Duan et al., 4(1): 34−43(2009年)を参照。
別の態様において、HPN−07およびNACの有効用量は全身的に投与されてもよい。全身投与は、経口、鼻腔内、または注射によって行われうる。注射による投与は、腹腔内、静脈内、または筋肉内で実施されうる。その他の送達方法には、吸入、舌下、皮下、または髄腔内が含まれるが、これらに限定されない。
一態様において、HPN−07およびNACの投与は、人工内耳手術の前、手術の間、または手術の後に実施されうる。
別の態様において、HPN−07およびNACの投与は、人工内耳手術の前、手術の間、または手術の後に実施されうる。一部の実施形態において、HPN−07およびNACは、手術の前、手術の間、および手術の後に経口投与されうる。一部の実施形態において、HPN−07およびNACは手術前に静脈内または局所的に投与され、手術の間および手術の後に経口投与されうる。一部の実施形態において、HPN−07およびNACは手術前に経口投与され、手術時または手術直前に静脈内投与され、手術後に経口投与されうる。
一部の実施形態において、HPN−07またはその薬学的に許容可能な塩およびNACは人工内耳手術後、少なくとも1カ月、少なくとも3カ月、少なくとも6カ月、少なくとも1年、または少なくとも2年の間、対象に投与される。
一部の実施形態において、HPN−07またはその薬学的に許容可能な塩およびNACは、少なくとも1カ月、少なくとも3カ月、少なくとも6カ月、少なくとも1年、または少なくとも2年の間、人工内耳手術の悪影響に苦しんでいる対象に投与される。
D.対象集団
開示された組成物は、幅広いヒト対象を治療するために使用することができる。一部の実施形態において、治療されるヒト対象は成人集団に属しうる。
一部の実施形態において、治療されるヒト対象は小児集団に属しうる。本明細書で使用される「小児集団」という用語は、新生児(出生〜1カ月)、乳児(1カ月〜2歳)、発達中の小児(2〜12歳)、および青年(12〜16歳)の集団を指す。従って、生後16歳までの年齢範囲内の任意の対象が、小児集団に属することになる。16歳を超える対象は、成人集団に属する。
E.組成物成分
一部の実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物は、水性担体、緩衝剤、および/または希釈剤などの一つまたは複数の薬学的に許容可能な担体を含む。
一部の実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物は、グリセリンなどの単純ポリオール化合物をさらに含む。ポリオール化合物のその他の例には、糖アルコールが含まれる。一部の実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物は、約2:1の比率で水性担体およびグリセリンを含む。
製剤は好都合なことに、単位剤形で提示されてもよく、薬学の技術分野で周知の方法のいずれかによって調製されうる。例示的経口剤形は、錠剤またはカプセルである。例示的鼻腔内剤形は、液体または粉末鼻腔スプレーである。鼻腔スプレーは、薬剤を上鼻腔に送達するように設計され、液体または粉末製剤であってもよく、エアロゾル、液体スプレー、または粉末などの剤形であってもよい。
HPN−07および/またはNACは、投与経路に応じて、適切な担体または賦形剤と組み合わされてもよく、または協調的に投与されてもよい。本明細書で使用される「担体」という用語は、薬学的に許容可能な固体もしくは液体充填剤、希釈剤、または封入材料を意味する。水含有液体担体は、酸性化剤、アルカリ化剤、抗微生物防腐剤、抗酸化剤、緩衝剤、キレート剤、複合体化剤、可溶化剤、保湿剤、溶媒、懸濁剤、および/または粘度増加剤、等張化剤、湿潤剤、または他の生体適合性材料などの薬学的に許容可能な添加剤を含みうる。上記のカテゴリーによって列挙された原料の一覧表は、米国薬局方国民医薬品集1857〜1859、および(1990)に記載されている。薬学的に許容可能な担体として役立ちうる材料の一部の例は、ラクトース、グルコースおよびスクロースなどの糖;トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンなどのデンプン;ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなどのセルロースおよびその誘導体;トラガント末; 麦芽; ゼラチン; タルク; ココアバターおよび座薬ワックスなどの賦形剤;ピーナッツ油、綿実油、紅花油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油および大豆油などの油;プロピレングリコールなどのグリコール;グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコールなどのポリオール;オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル;寒天; 水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;アルギン酸;発熱物質を含まない水;等張生理食塩水;リンゲル液、エチルアルコールおよびリン酸緩衝液、ならびに医薬製剤に使用されるその他の非毒性の適合物質である。ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなどの湿潤剤、乳化剤および潤滑剤、ならびに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味料、香味剤および芳香剤、防腐剤、ならびに抗酸化剤も、配合者の所望に従って組成物中に存在しうる。薬学的に許容可能な抗酸化物質の例には、アスコルビン酸、塩酸システイン、亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどの水溶性抗酸化剤;パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、アルファ−トコフェロールなどの油溶性抗酸化物質;およびクエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などの金属キレート剤が含まれる。
本発明による医薬組成物はまた、一つまたは複数の結合剤、充填剤、潤滑剤、懸濁剤、甘味料、香味剤、防腐剤、緩衝剤、湿潤剤、崩壊剤、発泡剤、および他の賦形剤を含んでもよい。こうした賦形剤は、当該技術分野で周知である。充填剤の例としては、ラクトース一水和物、無水ラクトース、および様々なデンプンが挙げられ、結合剤の例としては、様々なセルロースおよび架橋ポリビニルピロリドン、微結晶セルロース(例えばAvicel(登録商標)PH101およびAvicel(登録商標)PH102微結晶セルロース)、およびケイ化微結晶セルロース(ProSolv SMCCTM)などが挙げられる。圧縮される粉末の流動性に作用する薬剤を含む適切な潤滑剤には、Aerosil(登録商標)200、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムおよびシリカゲルなどのコロイド状二酸化ケイ素を含みうる。甘味料の例としては、スクロース、キシリトール、サッカリンナトリウム、シクラメート、アスパルテーム、およびアセスルファムなどの任意の天然または人工の甘味料を挙げることができる。香味剤の例としては、Magnasweet(登録商標)(MAFCOの商標)、バブルガム香料、およびフルーツ香料などが挙げられる。保存剤の例としては、ソルビン酸カリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸およびその塩、ブチルパラベンなどのパラヒドロキシ安息香酸のその他のエステル、エチルまたはベンジルアルコールなどのアルコール、フェノールなどのフェノール化合物、または塩化ベンザルコニウムなどの第四級化合物が挙げられる。
治療的投与に使用される任意の医薬品は、滅菌することができる。無菌状態は、例えば滅菌濾過膜(例えば、0.2ミクロン膜)を通した濾過によって容易に達成される。任意の薬学的に許容可能な無菌方法を本発明の組成物で使用することができる。
HPN−07誘導体もしくはその塩、またはNAC誘導体もしくはその塩を含む医薬組成物は、個々の患者の臨床状態、投与方法、投与スケジュール、および医師に知られている他の要因を考慮に入れて、良好な医療慣行と合致した様式で製剤化され、投与される。
F.キット
HPN−07、NAC、および/または本発明のHPN−07およびNACの製剤または組成物の組み合わせは、説明書または添付文書とともにキットに一緒に包装されるか、または含まれてもよい。こうした説明書または添付文書は、HPN−07またはその誘導体もしくは塩、およびNACまたはその誘導体もしくは塩の貯蔵寿命を考慮に入れて、時間、温度、および光などの推奨される保存条件に対処しうる。こうした説明書または添付文書はまた、管理された病院、クリニック、またはオフィスの環境外の現場での使用を必要としうる製剤の保存の容易さなど、HPN−07またはその誘導体もしくは塩、およびNACまたはその誘導体もしくは塩の特定の利点に対処しうる。
本発明はまた、本明細書に開示される一つまたは複数のHPN−07および/またはNAC医薬組成物で充填された一つまたは複数の容器を含む、医薬パックまたはキットを提供する。キットは、例えば溶解される粉末、錠剤として、または無菌溶液として、適切な量のHPN−07および/またはNAC医薬組成物を充填した容器を含みうる。こうした容器(複数可)に関連する通知は、医薬品または生物学的製品の製造、使用または販売を規制する政府機関によって規定された形式の通知であってもよく、その通知には、ヒトへの投与のための製造、使用または販売に関する機関による承認が反映されている。加えて、HPN−07および/またはNACは、他の治療化合物と併せて用いられてもよい。
他の態様において、本明細書に記載の鼻腔スプレー装置を含むキットが開示されている。一態様において、キットは、開示された低用量HPN−07および/またはNAC組成物を含む、本明細書に開示された通りの一つまたは複数の装置を含んでもよく、装置は、大気の影響から装置を保護するのに十分な容器内に密封されている。容器は、例えばホイル、またはプラスチックパウチ、特にホイルパウチ、またはヒートシールされたホイルパウチであってもよい。装置を適切に保護するのに十分な適切な容器は、当業者によって容易に理解されるであろう。
一態様において、キットは、本明細書に開示された通りの一つまたは複数の装置を含んでもよく、装置は、製品の物理的完全性を保護する第一の保護包装、または第二の保護包装、または第三の保護包装内に密封されうる。第一の保護包装、第二の保護包装、または第三の保護包装のうちの一つまたは複数は、ホイルパウチを含んでもよい。キットは、装置の使用説明書をさらに含みうる。一態様において、キットは二つ以上の装置を含有する。
一態様において、キットは、本明細書に開示された通りの装置を含んでもよく、また使用説明書をさらに含んでもよい。一態様において、説明書は、装置の管理者への視覚支援・絵および/または書面による指示を含みうる。
III.定義
本発明の説明および添付の特許請求の範囲において使用される単数形「a」、「an」および「the」は、文脈で明確に別途示されていない限り、複数形と互換的に使用され、複数形も含むことが意図されていて、それぞれの意味の中に収まる。また、本明細書で使用される「および/または」は、一つまたは複数の列挙された項目のうちの任意のおよびすべての可能性のある組み合わせ、ならびに二者択一(「または」)で解釈された時の組み合わせの欠如を意味し、包含する。
本明細書で使用される「約」は当業者によって理解され、それが使用される状況に応じてある程度変化する。当業者にとって明らかではない用語の使用がある場合、それが使用される文脈を考慮すると、「約」とは、特定用語のプラスまたはマイナス10%を意味するものとなる。
本明細書で使用される「有効量」という語句は、薬剤がこうした治療を必要とする多数の対象に投与される特定の薬理学的応答を提供する薬剤用量を意味するものとする。特定の場合に特定の対象に投与される治療有効量の薬剤は、こうした用量が当業者によって治療有効量であるとみなされても、本明細書に記載の状態/疾患の治療に必ずしも効果的であるとは限らないことが強調される。
本明細書で使用される「投与する」という用語は、投与のために処方することならびに実際に投与することを含み、治療される対象別に、または別の対象別に物理的に投与することを含む。
本明細書で使用される「対象」、「患者」、または「個人」は、任意の対象、患者、または個人を指し、本用語は本明細書で互換的に使用される。これに関して、「対象」、「患者」、および「個人」という用語は、哺乳類、および特にヒトを含む。「それを必要とする」と併せて使用される場合、「対象」、「患者」、または「個人」という用語は、特定の症状または障害を有するか、またはそのリスクがある任意の対象、患者、または個人を意図する。
「治療」、「治療する」という用語、またはその任意の変形は、(i)一つまたは複数の特定の症状、および/または(ii)一つまたは複数の特定の障害の症状または影響を低減、改善、または除去することを含む。「予防」、「予防する」という用語、またはその任意の変形は、(i)一つまたは複数の特定の症状、および/または(ii)特定の障害の一つまたは複数の症状または影響を発症するリスクを減少、改善、または低減することを含む。
IV.均等物
本開示は、上記の実施形態と併せて説明されているが、前述の説明および例は、本開示の範囲を説明することを意図していて、限定することを意図していないことが理解されるべきである。本開示の範囲内の他の態様、利点および修正は、本開示が関連する当業者にとって明らかであろう。
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
本明細書に例示的に記載される実施形態は、本明細書に具体的に開示されていない任意の一つまたは複数の要素、一つまたは複数の限定の不在下で、適切に実践されうる。それ故に、例えば「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含有する(containing)」などの用語は、拡張的に限定なく読まれるものとする。加えて、本明細書で用いられる用語および表現は、限定ではなく説明の用語として使用されていて、そのような用語および表現の使用において、示され記載された特徴またはその一部のいかなる均等物も除外する意図はないが、本開示の範囲内で様々な改変が可能であることを認識されたい。
それ故に、本開示は特定の実施形態、および随意の特色によって具体的に開示されているが、本明細書に開示された実施形態の修正、改善、および変形は、当業者によって用いられる場合があること、またこうした修正、改善および変形は、本開示の範囲内であるとみなされることが理解されるべきである。ここに提供される材料、方法、および実施例は、特定の実施形態を代表するものであり、また例示的であり、本開示の範囲に対する限界を意図するものではない。
本開示の範囲は、本明細書で広く一般的に説明されている。一般的な開示内に入るより狭い種および亜属の分類のそれぞれも、本開示の一部を形成する。これには、切除された材料が本明細書に具体的に記載されているかどうかにかかわらず、その部類から任意の主題を除去するという条件または否定的な限定を伴う、本開示の一般的な説明が含まれる。
加えて、本開示の特徴または態様がマーカッシュ群にて記載されている場合、それによって本開示の実施形態がまた、マーカッシュ群の任意の個別のメンバーまたはメンバーのサブグループに関して記載されうることを、当業者は認識する。
本明細書で言及されるすべての刊行物、特許出願、特許およびその他の参考文献は、それぞれが参照により個別に組み込まれるのと同じ程度に、参照によりその全体が明示的に組み込まれる。矛盾する場合、定義を含め、本明細書が支配する。
聴性脳幹反応を実施する方法
聴性脳幹反応(ABR)を使用して聴力を評価し、これら聴性脳幹反応はAATの1〜3日前、およびAAT後1時間、8時間、24時間、7日および21日のうちの一つまたは複数の時点で測定された。21日目の試験点でのABR閾値シフトは、永久閾値シフト(PTS)であると考えられた。ABR記録は、ケタミン(90mg/kg)およびキシラジン(9mg/kg)麻酔下で実施した。必要に応じて、少量(初回用量の1/3)の追加麻酔を投与した。ABRは、頭皮上に配置された皮下針電極を介して記録され、活性電極は頭頂に位置し、一方で参照電極および接地電極は、それぞれ同側および対側乳様突起に配置した。電極から得た電気的反応を増幅(100,000倍)し、フィルタリング(100〜3,000Hz)し、信号処理ボード上でデジタル化した。これらは、各刺激レベルに対して21/秒の速度で、1024回の反復にわたって平均化された。音響刺激は、2、4、8、16、および32 kHzの周波数で、5ミリ秒のプラトーおよび0.5ミリ秒のcos2上昇−下降エンベロープを有する交番極性のトーンバーストであった。刺激は、端部に外耳道を封止するゴムチップが備えられた高周波変換器を通して送達された。変換器は、騒音計に取り付けられた成人対象の耳と同等の体積のカプラー空洞を使用して較正された。刺激の生成およびデータ取得は、コンピュータ支援型SmartEP(Intelligent Hearing Systems社、フロリダ州マイアミ)を使用して達成された。
聴力閾値を、閾値の近くまで10dBの降下ステップで試験し、次いで5dBの上昇ステップを行って閾値を判定した。閾値は、明確な応答の最低レベルと応答が観察されなかった次のレベルとの間の中間点として定義した。閾値シフトは、AATの前後の閾値の差を指す。ABR測定を実施する調査者は、モルモット群の同一性に関して盲検化されていた。
実施例1
この実施例の目的は、2,4−ジスルホニルPBN(HPN−07)、N−アセチルシステイン(NAC)、およびデキサメタゾンを含む組成物が、モルモットの人工内耳外傷によって誘発される難聴を軽減できることを実証することであった。
外科的処置。この実験では、モルモット用シリコン蝸牛電極およびミニ浸透圧ポンプ装置を一つの耳に移植した。まず、全身麻酔を、キシラジンとケタミンの混合物によって行い、皮膚切開時およびミニポンプ配置時にキシロカインの皮下注射で完了した。その後、耳介後方領域を剪毛し、ヨウ素および70%アルコールで滅菌した。経耳後法を使用して、胞および頂点を露出させた。次いで、胞開口部を2mmのダイヤモンドバーでドリル加工して、正円窓および蝸牛の基底回転を露出させた。次に、外リンパが見えるまで、0.5mmのダイヤモンドバーを使用して、正円窓小窩下で1〜2mmの鼓室階切開(cochleostomy)を実施した。次いで、マイクロ鉗子を使用して鼓室階にシリコン電極を3mm挿入した。胸鎖乳突筋から採取した小さい筋肉移植片(約1×1mm)を電極担体の周りに詰め、一滴の2−オクチルシアノアクリレート(ダーマボンド、エチコン)を使用して、内耳液の漏れを防止した。創傷を二層で完全に縫合した。
以下の表1は、この実施例の治療プロトコルを示す。試験群T−1のモルモット2匹に、送達担体(人工外リンパ)のみを移植した。人工外リンパ指定試験群T−2のモルモット2匹に、HPN07(10mM)+NAC(10mM)+デキサメタゾン(1μg/ml)の活性治療剤を移植した。C群のモルモットは正常対照群であり、人工内耳手術は実施しなかった。表2は、人工内耳手術が実施された直後および4週間後の2kHz、4kHz、8kHz、および16kHzでの聴性脳幹反応としての聴力に対する効果についての結果を列挙している。表3は、正常なモルモットのABRの結果を示す。
Figure 2022500407

Figure 2022500407

Figure 2022500407
図1は、対照モルモットと比較して、試験されたすべての周波数にわたる閾値を示す。図1に実証される通り、HPN−07/NAC/デキサメタゾン治療の最も顕著な効果は、2kHzおよび4kHzで起こった。これは、HPN−07/NAC/デキサメタゾン治療を受けたモルモットが、対照モルモットよりも低いデシベル値で試験トーンを検出できたことを示唆している。
実施例2
この実施例の目的は、人工内耳を有するモルモットに対するNACおよびHPN−07の影響を判定することである。実験プロトコルを以下の表4に示す。
Figure 2022500407
表4に示す通り、モルモットの三つの群を比較する。群1は、手術を受けない対照モルモットを含む。群2は、人工内耳手術を実施したが未処置のモルモットを含む。群3は、人工内耳手術を実施し、術前と術後の両方で2週間にわたり1日2回の腹腔内注射によるHPN−07およびNACで処置されたモルモットを含む。モルモットは、人工内耳手術後4週間観察する。
モルモットは、300mg/kgのHPN−07および300mg/kgのNACで処置される。この用量は各薬剤について、600mg/kgまで増加されうる。
HPN−07およびNACの効果は、移植後4週間でのABRによって、および組織学的分析によって判定される通りの毛細胞損失によって測定される。
実施例3
この実施例の目的は、人工内耳を有するモルモットに対するNACおよびHPN−07の長期の影響を判定することである。この実験は、人工内耳によって引き起こされる傷害の時間経過を定義し、蝸牛挿入外傷に関連する細胞機構を判定することを目的としている。人工内耳手術の早期効果と遅延効果の両方を調査する。
実験設計は、モルモットの片耳に人工内耳手術を行い、手術を受けない対照モルモットと比較して経時的な聴力を評価し、また以下の表5に示す通り、未処置モルモットとHPN−07およびNACで処置したモルモットを並べて比較を行う。人工内耳手術後48時間、10日、8週間、および12週間で、モルモットの難聴を評価した。難聴はABR分析によって判定される。有毛細胞およびらせん神経節の数を測定するために、組織学的分析を実施する。加えて、酸化ストレス、炎症、および細胞死経路のバイオマーカーを測定するために、組織学的解析を実施する。
Figure 2022500407
実施例4
本実施例の目的は、人工内耳手術によって引き起こされる難聴に対するNACおよびHPN−07(NACおよびHPN−07の組み合わせは、時にNHPN−1010と呼ばれることがある)の送達モードの影響を判定することである。
この実験は、以下の表6に示す通り、NACおよびHPN−07の腹腔内注射での全身経路による投与と、正円窓膜(RWM)を介した局所送達による投与と、蝸牛内経路による投与と、電極からの溶出による投与との効果を比較する。実験モルモットは、一つの耳のみ移植され、治療される。各治療群は、不活性担体対照を有し、必要に応じて模擬対照を有してもよい。人工内耳誘発性難聴に対するNACおよびHPN−07の長期的効果は、ABRによって、および有毛細胞損失の組織学的解析によって、治療期間を通して測定される。
Figure 2022500407
実施例5
本実施例の目的は、成体有色素モルモットで実施されたパイロット研究において、人工内耳手術誘発性脳幹反応(ABR)閾値上昇および有毛細胞損失に対する、NACおよびHPN−07の予測される保護効果を評価することであった。
実験設計
術後のABR閾値シフトを測定するために、実験を開始する前に、試験中のすべてのモルモットに対してベースラインABR記録を実施した。次いでモルモットは手術前の2日間にわたり、未処置のままにしたか、またはプラセボ(生理食塩水)または300mg/kgのNACおよびHPN−07を(それぞれ別々に)含有する生理食塩水(i.p.)のいずれかで前処置(b.i.d.)した。ペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)で被覆された銀線(0.0055インチ)を使用して、電極模倣物(A−M System Inc、ワシントン州カールスボーグ)を作製した。移植のための端部を、プロパン/酸素トーチを使用してボール(300〜400um)に溶解した。手術当日、外科手術グレードの銀線蝸牛電極模倣物を、各モルモットの一方の耳に外科的に移植した。経耳後法を使用して、胞および頂点を外科的に露出させた。次いで、胞開口部を2mmのダイヤモンドバーでドリル加工して、正円窓および蝸牛の基底回転を露出させた。次に、外リンパが見えるまで、0.5mmのダイヤモンドバーを使用して、正円窓小窩下で1〜2mmの鼓室階切開(cochleostomy)を実施した。次いで、マイクロ鉗子を使用して銀線を鼓室階に約3.5〜4mm挿入した。胸鎖乳突筋から採取した小さい筋肉移植片(約1×1mm)を電極担体の周りに詰めた。銀線は、歯科セメントを使用して胞に保持した。創傷を二層で完全に縫合した。
手術当日に、モルモットは未処置のままにしたか、または術後にNAC/HPN−07(各300mg/kg)もしくは同等体積の生理食塩水(プラセボ)溶液を単回投与(i.p.)した。その後、モルモットは未処置のままにしたか、またはNAC/HPN−07(b.i.d.)もしくは生理食塩水でさらに7日間にわたり処置された。術後3週間時点で、最終ABR記録を行い、各実験コホートの各モルモットについて閾値シフトを測定した。次に、モルモットを安楽死させて、組織を採取し、HC特異的抗体(抗MyoVIIa抗体)を使用して、全載標本での内毛細胞および外毛細胞(それぞれIHC、OHC)の組織学的評価のために固定した。
結果
図2Aに要約される通り、術後3週時点で、ABR閾値は、蝸牛電極模倣物を移植されてプラセボで処置されたモルモットの蝸牛において広い周波数域(10〜40dB)にわたって有意に上昇し、難聴の段階的変化は頂点から基底(低周波数から高周波数)への様式で起こっていた。これらのモルモットの2〜16kHzの周波数範囲にわたる平均ABR閾値シフト(手術前レベルに対して25.0dB)は、図2Bに示される通り、同じ方法で外科的に移植したが、プラセボまたはNAC/HPN−07のいずれでも処置されなかった未処置対照(25.6DB)について測定されたものと類似していた。しかしながら、NAC/HPN−07で周術期に処置したモルモットの外科的に移植された蝸牛において、平均ABR閾値は、同じ試験周波数範囲にわたって有意に低く(図2A、主な効果、p < 0.01)、平均閾値シフトの顕著な減少(10.4dB)をもたらし、持続的で処置特異的な耳保護効果を示した。本試験の動物数は少数であったが(群当たりn=3)、広範な試験周波数範囲にわたる聴力機能のNAC/HPN−07に特異的な温存は明らかであり、2kHzおよび4kHz試験周波数での平均閾値シフトは3分の1に減少し、16kHzでのABR閾値シフトの統計的に有意な減少は、プラセボまたは未処置対照のいずれで測定されたものよりも2分の1以下の感度閾値を示した。
図3のサイトコクレオグラム(cytocochleogram)に示される通り、著しい外毛細胞(OHC)および内毛細胞(IHC)の損失が、未処置およびプラセボ処置の耳において、蝸牛電極移植手術後3週間時点で測定され、損失の大部分は8〜32kHzの周波数地図の周波数位置にわたって起こっていた。周術期にNAC/HPN−07で処置されたモルモットの中で、この周波数地図のスパンにわたる病変の相対的なサイズは劇的に減少し、統計的に有意な処置効果(主な効果、##、OHCではp < 0.001、IHCではp < 0.01)をもたらした。注目すべきことに、8〜32 kHzに対応する周波数地図の周波数位置にわたって、平均CI手術関連OHC損失は、プラセボ処置対照における85.1(±3.9 SEM)から、NAC/HPN−07で処置したモルモットにおける26.1(±5.4 SEM)に減少した。同様に、プラセボ処置対照(43.4±4.8)における同じ周波数地図の周波数範囲にわたる平均IHC損失は、NAC/HPN−07処置動物(26.9±4.4)において38%減少した。プラセボ処置モルモットにおける蝸牛(16〜32kHzの周波数範囲)の基底回転に沿って、NAC/HPN−07処置の治療効果はさらに顕著であり、プラセボ処置対照における平均OHCおよびIHC損失に対するCI手術誘発性効果は、それぞれ86%(97.0±1.7対13.4±3.8)および64%(50.5±6.4対18.0±3.8)減少した。

Claims (32)

  1. 人工内耳手術を受ける前、手術を受けている間、および/または手術を受けた後に、有効量の2,4−ジスルホニルα−フェニル第三級ブチルニトロン(2,4−DSPBN)またはその医薬的に許容可能な塩、およびN−アセチルシステイン(NAC)またはその医薬的に許容可能な塩を対象に投与することを含む人工内耳手術を必要とする対象における、その人工内耳手術の悪影響を軽減する方法。
  2. 前記投与が経口的に行われる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記投与が局所的に行われる、請求項1に記載の方法。
  4. 前記投与が蝸牛に直接行われる、請求項1に記載の方法。
  5. 前記投与が全身的に行われる、請求項1に記載の方法。
  6. 前記投与が鼓室内に行われる、請求項1に記載の方法。
  7. 前記対象が電極を備えるインプラントの移植を受け、前記対象が前記インプラントの移植を受ける前に前記投与が行われる、請求項1に記載の方法。
  8. 前記対象が前記インプラントの移植を受ける前に、前記投与が、潤滑剤をさらに含む組成物を局所的に滴下することによって行われる、請求項6に記載の方法。
  9. 前記対象が電極を備えるインプラントの移植を受け、前記インプラントが前記組成物を含む外側コーティングを有する、請求項1に記載の方法。
  10. 前記組成物が感熱性ゲルをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  11. 前記投与が、前記人工内耳手術の前に行われる、請求項1に記載の方法。
  12. 前記投与が、前記人工内耳手術の間に行われる、請求項1に記載の方法。
  13. 前記投与が前記人工内耳手術の後に行われる、請求項1に記載の方法。
  14. 前記投与が、前記人工内耳手術の前、手術の間、および手術の後に行われる、請求項1に記載の方法。
  15. 前記投与が静脈内または局所的に行われ、その後に経口投与が行われる、請求項1に記載の方法。
  16. 前記投与が、前記人工内耳手術前に経口的に行われ、前記人工内耳手術時または直前に静脈内に行われ、前記人工内耳手術後に経口的に行われる、請求項1に記載の方法。
  17. 前記対象が電極を備えるインプラントの移植を受け、前記投与が、前記人工内耳手術後に、かつ前記電極をオンにする前に行われる、請求項1に記載の方法。
  18. 前記対象が成人集団に属する、請求項1に記載の方法。
  19. 前記対象が小児集団に属する、請求項1に記載の方法。
  20. 前記小児集団が、新生児(出生〜1カ月)、乳児(1カ月〜2歳)、発達中の小児(2〜12歳)、および青年(12〜16歳)から選択される、請求項19に記載の方法。
  21. 人工内耳手術を受ける前、手術を受けている間、および/または手術を受けた後に、有効量の2,4−ジスルホニルα−フェニル第三級ブチルニトロン(2,4−DSPBN)またはその薬学的に許容可能な塩、およびN−アセチルシステイン(NAC)またはその薬学的に許容可能な塩を対象に投与することを含む人工内耳手術を受ける前、手術を受けている間、および/または手術を受けた後に、感音性難聴と診断されたヒト対象を治療する方法。
  22. 一つまたは複数の試験周波数で、(ABR反応を引き出すために必要な音圧レベル(dB)で測定された)聴性脳幹反応(ABR)閾値記録を実施することをさらに含む、請求項21に記載の方法。
  23. 前記一つまたは複数の試験周波数で前記対象について記録されたABR閾値を、同じ前記一つまたは複数の試験周波数で、未処置または対照の対象について記録されたABR閾値と比較することをさらに含む、請求項22に記載の方法。
  24. 前記一つまたは複数の試験周波数で前記対象について記録された前記ABR閾値が、未処置または対照の対象のものと比較してより低い、請求項23に記載の方法。
  25. ABR閾値記録が、1〜8kHzの範囲の一つまたは複数の試験周波数で実施される、請求項22に記載の方法。
  26. 投与が、前記人工内耳手術を受ける前、手術を受けている間、および手術を受けた後に行われる、請求項21に記載の方法。
  27. 人工内耳手術を受ける前、手術を受けている間、および/または手術を受けた後に、有効量の2,4−ジスルホニルα−フェニル第三級ブチルニトロン(2,4−DSPBN)またはその薬学的に許容可能な塩、およびN−アセチルシステイン(NAC)またはその薬学的に許容可能な塩をヒト対象に投与することを含む人工内耳手術を受ける前、手術を受けている間、および/または手術を受けた後に複数の有毛細胞の損失を低減させる方法を提供する。
  28. 前記有毛細胞が、内毛細胞、または外毛細胞、またはその両方を含む、請求項27に記載の方法。
  29. 1〜8kHzの範囲の周波数地図の周波数位置での前記複数の外毛細胞の損失が、未処置または対照の対象のものと比較して少なくとも約70%低減される、請求項28に記載の方法。
  30. 1〜8kHzの範囲の周波数地図の周波数位置での前記複数の内毛細胞の損失が、未処置または対照の対象のものと比較して少なくとも約38%低減される、請求項28に記載の方法。
  31. 2〜8kHzの範囲の周波数地図の周波数位置での前記複数の外毛細胞の損失が、未処置または対照の対象のものと比較して少なくとも約86%低減される、請求項28に記載の方法。
  32. 2〜8kHzの範囲の周波数地図の周波数位置での前記複数の内毛細胞の損失が、未処置または対照の対象のものと比較して少なくとも約64%低減される、請求項28に記載の方法。
JP2021513852A 2018-09-12 2019-09-11 人工内耳手術に伴う難聴の治療方法 Pending JP2022500407A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201862730431P 2018-09-12 2018-09-12
US62/730,431 2018-09-12
PCT/US2019/050692 WO2020056056A1 (en) 2018-09-12 2019-09-11 Methods for treating hearing loss incident to cochlear implant surgery

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2022500407A true JP2022500407A (ja) 2022-01-04
JPWO2020056056A5 JPWO2020056056A5 (ja) 2022-11-25

Family

ID=69778172

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021513852A Pending JP2022500407A (ja) 2018-09-12 2019-09-11 人工内耳手術に伴う難聴の治療方法

Country Status (8)

Country Link
US (1) US12121501B2 (ja)
EP (1) EP3849530A4 (ja)
JP (1) JP2022500407A (ja)
KR (1) KR20210056361A (ja)
CN (1) CN112638370A (ja)
AU (1) AU2019339352A1 (ja)
CA (1) CA3111793A1 (ja)
WO (1) WO2020056056A1 (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011528558A (ja) * 2008-07-24 2011-11-24 エヌエスジーン・アクティーゼルスカブ 成長因子metrnlの治療的使用
JP2013502461A (ja) * 2009-08-24 2013-01-24 ハフ イヤ インスティテュート 急性音響外傷の治療方法
JP2013515752A (ja) * 2009-12-28 2013-05-09 アウディオキュア ファーマ ゲーエムベーハー 聴力損傷および目まいの治療用のβ−カルボリン
US20180000950A1 (en) * 2016-06-29 2018-01-04 Otonomy, Inc. Triglyceride otic formulations and uses thereof

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5488145A (en) 1993-12-23 1996-01-30 Oklahoma Medical Research Foundation 2,4-disulfonyl phenyl butyl nitrone, its salts, and their use as pharmaceutical free radical traps
US20090280153A1 (en) * 2005-05-10 2009-11-12 Angiotech International Ag electrical devices, anti-scarring agents, and therapeutic compositions
US20130096170A1 (en) 2011-10-14 2013-04-18 Hospira, Inc. Methods of treating pediatric patients using dexmedetomidine
JP6308656B2 (ja) 2014-02-21 2018-04-11 株式会社エヌエフ回路設計ブロック 電源装置及び電圧源接続判定回路
CN110248650A (zh) 2016-10-31 2019-09-17 霍夫耳科研究所 用于增强突触发生和神经突发生的方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011528558A (ja) * 2008-07-24 2011-11-24 エヌエスジーン・アクティーゼルスカブ 成長因子metrnlの治療的使用
JP2013502461A (ja) * 2009-08-24 2013-01-24 ハフ イヤ インスティテュート 急性音響外傷の治療方法
JP2013515752A (ja) * 2009-12-28 2013-05-09 アウディオキュア ファーマ ゲーエムベーハー 聴力損傷および目まいの治療用のβ−カルボリン
US20180000950A1 (en) * 2016-06-29 2018-01-04 Otonomy, Inc. Triglyceride otic formulations and uses thereof

Non-Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
ACTA OTO-LARYNGOLOGICA, vol. 136, no. 4, JPN6023036310, 2016, pages 420 - 424, ISSN: 0005144744 *
HEARING RESEARCH, vol. 259, JPN6023036312, 2010, pages 24 - 30, ISSN: 0005144745 *
PLOS ONE, vol. 12, no. 8, JPN6023036311, 2017, pages 0183089, ISSN: 0005144746 *

Also Published As

Publication number Publication date
CN112638370A (zh) 2021-04-09
US20230157980A1 (en) 2023-05-25
EP3849530A4 (en) 2022-06-22
KR20210056361A (ko) 2021-05-18
CA3111793A1 (en) 2020-03-19
WO2020056056A1 (en) 2020-03-19
EP3849530A1 (en) 2021-07-21
AU2019339352A1 (en) 2021-03-25
US12121501B2 (en) 2024-10-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8507525B2 (en) Methods for the treatment of tinnitus induced by cochlear excitotoxicity
EP1729753B1 (en) Use of an nmda receptor antagonist for the treatment of tinnitus induced by cochlear excitotoxicity
US9889107B2 (en) Methods and compositions for preventing and treating auditory dysfunctions
Pulec Cochlear nerve section for intractable tinnitus
US20200188332A1 (en) Methods for the treatment of tinnitus induced by cochlear excitotoxicity
RU2359693C2 (ru) Композиции и способы введения средств, связывающих тубулин, для лечения глазных заболеваний
Tabuchi et al. The effect of mannitol upon cochlear dysfunction induced by transient local anoxia
JP2022500407A (ja) 人工内耳手術に伴う難聴の治療方法
AU2016337507A1 (en) Methods and compositions for treating traumatic brain injury
Alsughayer et al. Cochlear electrode array tip fold-over in incomplete partition-I–A case report
JP2004536847A (ja) 眼の疾患の処置のためのチューブリン結合薬剤を投与するための組成物および方法
WO2011049954A2 (en) Compositions comprising wnt modulators or neurotoxins for the treatment of otic disorders
TWI858583B (zh) 組成物於製備用於預防或治療聽力缺損的藥物的用途
CN109310698A (zh) 用于治疗耳部病症的(+)-阿扎司琼
RU2354398C2 (ru) Композиции и способы введения средств, связывающих тубулин, для лечения глазных заболеваний
Baklacı The potential therapeutic and/or protective effects of steroid, PRP and melatonin on noise-induced hearing loss in rats
TW202400127A (zh) 組成物於製備用於預防或治療聽力缺損的藥物的用途
Fairbanks et al. Unilateral Vestibular Ablation With Streptomycin: A Study in Cats
Tange et al. Hörverlust und Innenohrveränderungen bei einem Patienten nach hochdosierter Gentamyzin-Applikation

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220908

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220908

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20221115

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230823

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230905

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20231129

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20240130

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240304

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20240625

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20241023

A524 Written submission of copy of amendment under article 19 pct

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A524

Effective date: 20241023