JP2022500369A - 骨格筋調節のためのraf−1キナーゼ阻害剤化合物、それらの方法及び使用 - Google Patents

骨格筋調節のためのraf−1キナーゼ阻害剤化合物、それらの方法及び使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、筋幹細胞を調節することによって骨格筋の再生を改善して、筋機能及び/又は筋肉量を維持若しくは向上させるための、新規のRAF−1キナーゼ阻害剤化合物に関する。例えば、本発明は、対象の筋肉修復の促進、並びに/又は前悪液質、悪液質、サルコペニア、ミオパチー、ジストロフィー、及び/又は筋損傷若しくは手術後の回復に苦しむ対象に有用である。【選択図】 なし

Description

本発明は、筋幹細胞を調節することによって骨格筋の再生を改善して、筋機能及び/又は筋肉量を維持若しくは向上させるための、新規のRaf−1キナーゼ阻害剤化合物に関する。例えば、本発明は、対象の筋肉修復の促進、並びに/又は前悪液質、悪液質、サルコペニア、ミオパチー、ジストロフィー、及び/又は筋損傷若しくは手術後の回復に苦しむ対象に有用である。
骨格筋の再生は、生涯にわたって筋肉量及び機能を修復及び維持するための重要な機構である。骨格筋の再生は、筋幹細胞又はサテライト細胞として知られる筋原性前駆細胞の関与を主に必要とする。
非増殖性の休眠状態にあり、平静時の骨格筋に密着しているサテライト細胞は、筋鞘と基底膜との間に局在すること(当該細胞に特徴的な局在である)、核/細胞質体積比が高いこと、オルガネラ(例えば、リボソーム、小胞体、ミトコンドリア、ゴルジ複合体)が少ないこと、核サイズが小さいこと、及び筋核に対して核ヘテロ染色質が多量であること、によって特定することができる。一方で、活性化されたサテライト細胞は、多数のカベオラ、細胞質オルガネラ、及び低レベルのヘテロクロマチンを有する。
これらの筋サテライト細胞は、成体幹細胞ニッチの一部をなし、筋肉の正常な成長、及び損傷又は疾患後の再生に関与する。したがって、これらは、健康な状態及び疾患状態の両方において筋再生を増強することに関し有望な標的である。骨格筋再生は、発達段階を再現する一連の工程に従うものである。筋肉前駆細胞は、休止の状態を脱し、活性化し、増殖し、及び筋分化にコミットする必要がある。
サテライト細胞は、筋形成及び増殖の異なる段階で遺伝子マーカーを発現する。Pax7及びPax3は、サテライト細胞のマーカーであると考えられている。例えば、Pax7の発現が低レベルであり活性化されているサテライト細胞は、より分化にコミットしている。一方でPax7が高レベルであることは、細胞がさほど分化していない状態であることに関連し、そのような細胞はより未分化な幹細胞の性質を有している。筋形成の活性化及び誘導は、典型的には、MyoD、Myf5、ミオゲニン、及びMRF4などの筋分化調節因子によって調整される。ミオスタチン及びTGFbによる負の調整では、サテライト細胞の分化が阻害される(Almeida et al.,2016)。
事前の筋芽細胞の移植を含む実験的な療法では、筋芽細胞及び筋繊維は筋幹細胞と比較してよりコミットされておりかつ分化が進んでおり、再生能が低くなっていることから、満足の行く結果は得られていない。
したがって、筋肉の健康を維持し、筋再生を改善するために、筋肉幹細胞を直接調節する化合物、組成物、及び方法を特定することが、依然として非常に必要とされている。このような化合物、組成物、及び治療方法は、筋機能及び/又は筋肉量の維持を促進し、向上させることにより、筋幹細胞の機能不全を有する対象、及び/又は悪液質又はサルコペニアなどの筋肉疾患及び筋肉状態に苦しむ対象を補助することができる。
[発明の概要]
本発明は、外傷後の筋肉修復を改善するため、又は多数の病的状態、特に悪液質及びサルコペニアで生じる筋消耗の影響を弱めるために、骨格筋機能を調節し、骨格筋再生を改善するための新規の化合物及び組成物を特定した。
一実施形態では、本発明は、式(I)の化合物に関する。
Figure 2022500369
式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、及びR9は、それぞれ独立して、H;OH;OMe;O−アルキル;SH;S−Me;S−アルキル;ハロゲン;第一級アルコール、第二級アルコール、又は第三級アルコール、ケトン、アルデヒド;カルボン酸;第一級アミン、第二級アミン、又は第三級アミン;第一級アミド又は第二級アミド;シアノ;アルキルシアニド;ニトロ;スルホネート;スルフェート;直鎖状、任意に置換された及び/又は任意に分枝したC2〜C10アルケニル;直鎖状、任意に置換された及び/又は任意に分枝したC2〜C10アルキニルである。
アルキル鎖、アルケニル鎖、又はアルキニル鎖は、エーテル、第一級アルコール、第二級アルコール及び第三級アルコール、アルデヒド、並びにカルボン酸のような基に含まれる1つ又は2つの酸素原子によって置換され得る。アルキル鎖、アルケニル鎖、又はアルキニル鎖は、スルフヒドリル及びチオエーテルのような基に含まれる1つ又は2つの硫黄原子によって置換され得る。アルキル鎖、アルケニル鎖、又はアルキニル鎖は、シアニド基によって終端され得る。フェニル環Cは、ピリジル基、ピリミジル基、ナフチル基、キノリニル基、又はイソキノリニル基によって置換され得る。これらの基は、H;OH;OMe;O−アルキル;SH;S−Me;S−アルキル;ハロゲン;第一級アルコール、第二級アルコール、又は第三級アルコール、ケトン、アルデヒド;カルボン酸;第一級アミン、第二級アミン、又は第三級アミン;第一級アミド又は第二級アミド;シアノ;アルキルシアニド;ニトロ;スルホネート;スルフェート;直鎖状、任意に置換された及び/又は任意に分枝したC2〜C10アルケニル;直鎖状、任意に置換された及び/又は任意に分枝したC2〜C10アルキニルによって更に置換され得る。アルキル鎖、アルケニル鎖、又はアルキニル鎖は、エーテル、第一級アルコール、第二級アルコール及び第三級アルコール、アルデヒド、並びにカルボン酸のような基に含まれる1つ又は2つの酸素原子によって置換され得る。アルキル鎖、アルケニル鎖、又はアルキニル鎖は、スルフヒドリル基及びチオエーテル基のような基に含まれる1つ又は2つの硫黄原子によって置換され得る。アルキル鎖、アルケニル鎖、又はアルキニル鎖は、シアニド基によって終端され得る。
別の実施形態では、本発明は、式(II)の化合物に関する。
Figure 2022500369
式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、及びR9は、それぞれ独立して、H;OH;OMe;O−アルキル;SH;S−Me;S−アルキル;ハロゲン;第一級アルコール、第二級アルコール、又は第三級アルコール、ケトン、アルデヒド;カルボン酸;第一級アミン、第二級アミン、又は第三級アミン;第一級アミド又は第二級アミド;シアノ;アルキルシアニド;ニトロ;スルホネート;スルフェート;直鎖状、任意に置換された及び/又は任意に分枝したC2〜C10アルケニル;直鎖状、任意に置換された及び/又は任意に分枝したC2〜C10アルキニルである。アルキル鎖、アルケニル鎖、又はアルキニル鎖は、エーテル、第一級アルコール、第二級アルコール及び第三級アルコール、アルデヒド、並びにカルボン酸のような基に含まれる1つ又は2つの酸素原子によって置換され得る。アルキル鎖、アルケニル鎖、又はアルキニル鎖は、スルフヒドリル基及びチオエーテル基のような基に含まれる1つ又は2つの硫黄原子によって置換され得る。アルキル鎖、アルケニル鎖、又はアルキニル鎖は、シアニド基によって終端され得る。
フェニル環Cは、ピリジル基、ピリミジル基、ナフチル基、キノリニル基、又はイソキノリニル基によって置換され得る。これらの基は、H;OH;OMe;O−アルキル;SH;S−Me;S−アルキル;ハロゲン;第一級アルコール、第二級アルコール、又は第三級アルコール、ケトン、アルデヒド;カルボン酸;第一級アミン、第二級アミン、又は第三級アミン;第一級アミド又は第二級アミド;シアノ;アルキルシアニド;ニトロ;スルホネート;スルフェート;直鎖状、任意に置換された及び/又は任意に分枝したC2〜C10アルケニル;直鎖状、任意に置換された及び/又は任意に分枝したC2〜C10アルキニルによって更に置換され得る。アルキル鎖、アルケニル鎖、又はアルキニル鎖は、エーテル、第一級アルコール、第二級アルコール及び第三級アルコール、アルデヒド、並びにカルボン酸のような基に含まれる1つ又は2つの酸素原子によって置換され得る。アルキル鎖、アルケニル鎖、又はアルキニル鎖は、スルフヒドリル基及びチオエーテル基のような基に含まれる1つ又は2つの硫黄原子によって置換され得る。アルキル鎖、アルケニル鎖、又はアルキニル鎖は、シアニド基によって終端され得る。
別の実施形態では、本発明は、式(III)の化合物に関する。
Figure 2022500369
式中、R2、R3、R4、及びR7は、それぞれ独立して、H;OH;OMe;O−アルキル;SH;S−Me;S−アルキル;ハロゲン;第一級アルコール、第二級アルコール、又は第三級アルコール、ケトン、アルデヒド;カルボン酸;第一級アミン、第二級アミン、又は第三級アミン;第一級アミド又は第二級アミド;シアノ;アルキルシアニド;ニトロ;スルホネート;スルフェート;直鎖状、任意に置換された及び/又は任意に分枝したC2〜C10アルケニル;直鎖状、任意に置換された及び/又は任意に分枝したC2〜C10アルキニルである。アルキル鎖、アルケニル鎖、又はアルキニル鎖は、エーテル、第一級アルコール、第二級アルコール及び第三級アルコール、アルデヒド、並びにカルボン酸のような基に含まれる1つ又は2つの酸素原子によって置換され得る。アルキル鎖、アルケニル鎖、又はアルキニル鎖は、スルフヒドリル基及びチオエーテル基のような基に含まれる1つ又は2つの硫黄原子によって置換され得る。アルキル鎖、アルケニル鎖、又はアルキニル鎖は、シアニド基によって終端され得る。
本発明の好ましい実施形態では、本発明は、式(III)の化合物に関し、式中、R2、R4、及びR7が置換ハロゲンである。
本発明の好ましい実施形態では、本化合物は、3−(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシ−ベンジリデン)−5−ヨード−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン若しくはそれらの異性体又はそれらの塩である。
Figure 2022500369
3−(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシ−ベンジリデン)−5−ヨード−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オンは、GW5074としても既知であり、3−(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシベンジリデン)−5−ヨード−1,3−ジヒドロインドール−2−オン;3−[(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)メチレン]−1,3−ジヒドロ−5−ヨード−2H−インドール−2−オン;3−[(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)メチリデン]−5−ヨード−1H−インドール−2−オン;8.5−ヨード−3−[(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)メチレン]−2−インドリノン;10.(Z)−3−(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシベンジリデン)−5−ヨードインドリン−2−オン;CAS番号220904−83−6で分子式C15BrINO及び分子量520.946g/molを有する。
本発明の化合物及び組成物は、筋幹細胞の機能を調節して、対象における骨格筋機能及び/又は骨格筋量を維持若しくは向上させ、及び/又は対象における筋消耗を実質的に予防若しくは低減するのに有用であり得る。特に、筋幹細胞の数、筋幹細胞の機能、筋形成、及び筋成長を強化する。
本発明の化合物及び組成物は、筋再生の促進、筋消耗若しくは筋肉損傷からの回復、及び/又はサルコペニア若しくは悪液質若しくは前悪液質の予防若しくは治療に有用であり得る。特に、サルコペニアは、老化に関連した筋肉量及び/又は筋力の低下であり、悪液質は、例えば、癌、慢性心不全、腎不全、慢性閉塞性肺疾患、AIDS、自己免疫障害、慢性炎症性障害、肝硬変、拒食症、慢性膵炎、代謝性アシドーシス、及び/又は神経変性疾患に関連する疾患に関連するものである(Von Haehling et al.2014)。
GW5074による筋幹細胞の増殖及び筋分化へのコミットメント 図1は、GW5074が、Pax7+細胞の増加によって示されるヒトの初代筋幹細胞の増殖、及びMyoD+細胞の割合の増加によって示されるそれらの筋分化へのコミットメントを促進したことを示す。 図1Aは、化合物GW5074に対する用量依存的反応における総細胞数(%)として、分化している筋芽細胞(MyoD+)細胞の量を示す。MyoD+細胞は、Pax7を発現せず、MyoDのみを発現する細胞を表す。 図1Bは、化合物GW5074に対する用量依存的反応におけるPax7+細胞の数を示す。Pax7+細胞は、MyoD発現には関係なく、Pax7を発現する細胞を表す。 は対照との差を示し、一元配置分散分析p<0.01、データは平均+/−SEMとして表される。 GW5074による筋繊維の成長及び分化 図2は、GW5074がヒトの初代筋細胞の筋分化及び筋線維の成長を強化したことを示す。 図2Aは、化合物GW5074に対する用量依存的反応におけるトロポニンT陽性筋管の核(%)としてフュージョン因子によって評価された筋分化を示す。 図2Bは、化合物GW5074に対する用量依存的反応におけるトロポニンT陽性筋管によって覆われたエリアとして、筋線維の成長を示す。 は対照との差を示し、一元配置分散分析p<0.01、データは平均+/−SEMとして表される。
次に、本発明の様々な好ましい特徴及び実施形態を、非限定的な実施例により記載する。
本発明の化合物
本発明の化合物は、Raf−1阻害剤である。Raf−1は、原癌遺伝子のセリン/スレオニンタンパク質キナーゼファミリーのメンバーであり、c−Rafとしても知られている。
一実施形態では、本発明は、式(I)の化合物に関する。
Figure 2022500369
式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、及びR9は、それぞれ独立して、H;OH;OMe;O−アルキル;SH;S−Me;S−アルキル;ハロゲン;第一級アルコール、第二級アルコール、又は第三級アルコール、ケトン、アルデヒド;カルボン酸;第一級アミン、第二級アミン、又は第三級アミン;第一級アミド又は第二級アミド;シアノ;アルキルシアニド;ニトロ;スルホネート;スルフェート;直鎖状、任意に置換された及び/又は任意に分枝したC2〜C10アルケニル;直鎖状、任意に置換された及び/又は任意に分枝したC2〜C10アルキニルである。
アルキル鎖、アルケニル鎖、又はアルキニル鎖は、エーテル、第一級アルコール、第二級アルコール及び第三級アルコール、アルデヒド、並びにカルボン酸のような基に含まれる1つ又は2つの酸素原子によって置換され得る。アルキル鎖、アルケニル鎖、又はアルキニル鎖は、スルフヒドリル基及びチオエーテル基のような基に含まれる1つ又は2つの硫黄原子によって置換され得る。アルキル鎖、アルケニル鎖、又はアルキニル鎖は、シアニド基によって終端され得る。フェニル環Cは、ピリジル基、ピリミジル基、ナフチル基、キノリニル基、又はイソキノリニル基によって置換され得る。これらの基は、H;OH;OMe;O−アルキル;SH;S−Me;S−アルキル;ハロゲン;第一級アルコール、第二級アルコール、又は第三級アルコール、ケトン、アルデヒド;カルボン酸;第一級アミン、第二級アミン、又は第三級アミン;第一級アミド又は第二級アミド;シアノ;アルキルシアニド;ニトロ;スルホネート;スルフェート;直鎖状、任意に置換された及び/又は任意に分枝したC2〜C10アルケニル;直鎖状、任意に置換された及び/又は任意に分枝したC2〜C10アルキニルによって更に置換され得る。アルキル鎖、アルケニル鎖、又はアルキニル鎖は、エーテル、第一級アルコール、第二級アルコール及び第三級アルコール、アルデヒド、並びにカルボン酸のような基に含まれる1つ又は2つの酸素原子によって置換され得る。アルキル鎖、アルケニル鎖、又はアルキニル鎖は、スルフヒドリル基及びチオエーテル基のような基に含まれる1つ又は2つの硫黄原子によって置換され得る。アルキル鎖、アルケニル鎖、又はアルキニル鎖は、シアニド基によって終端され得る。
別の実施形態では、本発明は、式(II)の化合物に関する。
Figure 2022500369
式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、及びR9は、それぞれ独立して、H;OH;OMe;O−アルキル;SH;S−Me;S−アルキル;ハロゲン;第一級アルコール、第二級アルコール、又は第三級アルコール、ケトン、アルデヒド;カルボン酸;第一級アミン、第二級アミン、又は第三級アミン;第一級アミド又は第二級アミド;シアノ;アルキルシアニド;ニトロ;スルホネート;スルフェート;直鎖状、任意に置換された及び/又は任意に分枝したC2〜C10アルケニル;直鎖状、任意に置換された及び/又は任意に分枝したC2〜C10アルキニルである。アルキル鎖、アルケニル鎖、又はアルキニル鎖は、エーテル、第一級アルコール、第二級アルコール及び第三級アルコール、アルデヒド、並びにカルボン酸のような基に含まれる1つ又は2つの酸素原子によって置換され得る。アルキル鎖、アルケニル鎖、又はアルキニル鎖は、スルフヒドリル基及びチオエーテル基のような基に含まれる1つ又は2つの硫黄原子によって置換され得る。アルキル鎖、アルケニル鎖、又はアルキニル鎖は、シアニド基によって終端され得る。
フェニル環Cは、ピリジル基、ピリミジル基、ナフチル基、キノリニル基、又はイソキノリニル基によって置換され得る。これらの基は、H;OH;OMe;O−アルキル;SH;S−Me;S−アルキル;ハロゲン;第一級アルコール、第二級アルコール、又は第三級アルコール、ケトン、アルデヒド;カルボン酸;第一級アミン、第二級アミン、又は第三級アミン;第一級アミド又は第二級アミド;シアノ;アルキルシアニド;ニトロ;スルホネート;スルフェート;直鎖状、任意に置換された及び/又は任意に分枝したC2〜C10アルケニル;直鎖状、任意に置換された及び/又は任意に分枝したC2〜C10アルキニルによって更に置換され得る。アルキル鎖、アルケニル鎖、又はアルキニル鎖は、エーテル、第一級アルコール、第二級アルコール及び第三級アルコール、アルデヒド、並びにカルボン酸のような基に含まれる1つ又は2つの酸素原子によって置換され得る。アルキル鎖、アルケニル鎖、又はアルキニル鎖は、スルフヒドリル基及びチオエーテル基のような基に含まれる1つ又は2つの硫黄原子によって置換され得る。アルキル鎖、アルケニル鎖、又はアルキニル鎖は、シアニド基によって終端され得る。
別の実施形態では、本発明は、式(III)の化合物に関する。
Figure 2022500369
式中、R2、R3、R4、及びR7は、それぞれ独立して、H;OH;OMe;O−アルキル;SH;S−Me;S−アルキル;ハロゲン;第一級アルコール、第二級アルコール、又は第三級アルコール、ケトン、アルデヒド;カルボン酸;第一級アミン、第二級アミン、又は第三級アミン;第一級アミド又は第二級アミド;シアノ;アルキルシアニド;ニトロ;スルホネート;スルフェート;直鎖状、任意に置換された及び/又は任意に分枝したC2〜C10アルケニル;直鎖状、任意に置換された及び/又は任意に分枝したC2〜C10アルキニルである。アルキル鎖、アルケニル鎖、又はアルキニル鎖は、エーテル、第一級アルコール、第二級アルコール及び第三級アルコール、アルデヒド、並びにカルボン酸のような基に含まれる1つ又は2つの酸素原子によって置換され得る。アルキル鎖、アルケニル鎖、又はアルキニル鎖は、スルフヒドリル基及びチオエーテル基のような基に含まれる1つ又は2つの硫黄原子によって置換され得る。アルキル鎖、アルケニル鎖、又はアルキニル鎖は、シアニド基によって終端され得る。
本発明の好ましい実施形態では、式(III)の化合物、式中、R2、R4、及びR7が置換ハロゲンである。
本発明の好ましい実施形態では、本化合物は、3−(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシ−ベンジリデン)−5−ヨード−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン若しくはそれらの異性体又はそれらの塩である。
Figure 2022500369
3−(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシ−ベンジリデン)−5−ヨード−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オンもGW5074としても既知であり、3−(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシベンジリデン)−5−ヨード−1,3−ジヒドロインドール−2−オン;3−[(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)メチレン]−1,3−ジヒドロ−5−ヨード−2H−インドール−2−オン;3−[(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)メチリデン]−5−ヨード−1H−インドール−2−オン;8.5−ヨード−3−[(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)メチレン]−2−インドリノン;10.(Z)−3−(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシベンジリデン)−5−ヨードインドリン−2−オン;CAS番号220904−83−6で分子式C15BrINO及び分子量520.946g/molを有する。
本発明の更なる実施形態では、3−(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシ−ベンジリデン)−5−ヨード−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン及びその塩の異性体はまた、本発明によって具体化される。
一般的な化学用語
用語「アルキル」は、1〜20個の炭素原子、又は1〜15個の炭素原子、又は1〜10個の炭素原子、又は1〜8個の炭素原子、又は1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有する分枝状又は非分枝状の飽和炭化水素鎖を指す。この用語は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソ−プロピル基、n−ブチル基、イソ−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−デシル基、テトラデシル基などの基によって例示される。
用語「置換アルキル」は、以下を指す:
1)アルキル基;アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルコキシ基、シクロアルケニルオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、アシルオキシ基、アミノ基、置換アミノ基、アミノカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アジド基、シアノ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、ケト基、チオカルボニル基、カルボキシ基、カルボキシアルキル基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、ヘテロシクリルチオ基、チオール基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、ヘテロアリール基、アミノスルホニル基、アミノカルボニルアミノ基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロシクリル基、ヘテロシクロオキシ基、ヒドロキシアミノ基、アルコキシアミノ基、ニトロ基、−S(O)−アルキル基、−S(O)−シクロアルキル基、−S(O)−ヘテロシクリル基、−S(O)−アリール基、−S(O)−ヘテロアリール基、−S(O)2−アルキル基、−S(O)2−シクロアルキル基、−S(O)2−ヘテロシクリル基、−S(O)2−アリール基、及び−S(O)2−ヘテロアリール基からなる群から選択される1個、2個、3個、4個又は5個の置換基(いくつかの実施形態では、1個、2個又は3個の置換基)を有する上記のアルキル鎖。定義によって特に制約されない限り、全ての置換基は、任意選択的に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、カルボキシ基、カルボキシアルキル基、アミノカルボニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ハロゲン基、CF3基、アミノ基、置換アミノ基、シアノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基、ヘテロアリール基、及び−S(O)nR<a>[式中、R<a>はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基であり、nは0、1、又は2である]から選択される1個、2個、又は3個の置換基によって更に置換され得る;又は
2)酸素、硫黄、及びNR<a>[式中、R<a>は、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、及びヘテロシクリル基から選択される]から独立して選択される1個、〜10個の原子(例えば、1個、2個、3個、4個又は5個の原子)が介在する、上記定義によるアルキル鎖。全ての置換基は、任意選択的に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、カルボキシ基、カルボキシアルキル基、アミノカルボニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ハロゲン基、CF3基、アミノ基、置換アミノ基、シアノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基、ヘテロアリール基、及び−S(O)nR<a>[式中、R<a>はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基であり、nは0、1、又は2である]によって更に置換され得る;又は
3)1個、2個、3個、4個、又は5個の上記定義による置換基を有しており、かつ上記定義による1個〜10個の原子(例えば、1個、2個、3個、4個又は5個の原子)が介在する、上記定義によるアルキル基。
用語「アルケニル」は、アルキル鎖の種類であって、アルキル基の2個の原子が、芳香族基の一部ではない二重結合を形成するものを指す。すなわち、アルケニル鎖は、R−C(R)=C(R)−Rのパターンを含有しており、式中、Rは、アルケニル基の残りの部分を指し、同じであっても異なっていてもよい。アルケニル鎖の非限定的な例としては、−CH=CH2、−C(CH3)=CH2、−CH=CHCH3、−C(CH3)=CHCH3、−CH2−CH=C(CH3)2、及び−C(CH3)2−CH=CH2が挙げられる。アルケニル部分は、分枝状、直鎖状、又は環状(この場合、該部分は「シクロアルケニル」基としても知られる)であってもよい。
用語「置換アルケニル」は、以下を指す:
1)アルキル基;アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルコキシ基、シクロアルケニルオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、アシルオキシ基、アミノ基、置換アミノ基、アミノカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アジド基、シアノ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、ケト基、チオカルボニル基、カルボキシ基、カルボキシアルキル基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、ヘテロシクリルチオ基、チオール基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、ヘテロアリール基、アミノスルホニル基、アミノカルボニルアミノ基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロシクリル基、ヘテロシクロオキシ基、ヒドロキシアミノ基、アルコキシアミノ基、ニトロ基、−S(O)−アルキル基、−S(O)−シクロアルキル基、−S(O)−ヘテロシクリル基、−S(O)−アリール基、−S(O)−ヘテロアリール基、−S(O)2−アルキル基、−S(O)2−シクロアルキル基、−S(O)2−ヘテロシクリル基、−S(O)2−アリール基、及び−S(O)2−ヘテロアリール基からなる群から選択される1個、2個、3個、4個又は5個の置換基(いくつかの実施形態では、1個、2個又は3個の置換基)を有する上記のアルケニル鎖。定義によって特に制約されない限り、全ての置換基は、任意選択的に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、カルボキシ基、カルボキシアルキル基、アミノカルボニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ハロゲン基、CF3基、アミノ基、置換アミノ基、シアノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基、ヘテロアリール基、及び−S(O)nR<a>[式中、R<a>はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基であり、nは0、1、又は2である]から選択される1個、2個、又は3個の置換基によって更に置換され得る;又は
2)酸素、硫黄、及びNR<a>[式中、R<a>は、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、及びヘテロシクリル基から選択される]から独立して選択される1個〜10個の原子(例えば、1個、2個、3個、4個又は5個の原子)が介在する、上記定義によるアルケニル鎖。全ての置換基は、任意選択的に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、カルボキシ基、カルボキシアルキル基、アミノカルボニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ハロゲン基、CF3基、アミノ基、置換アミノ基、シアノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基、ヘテロアリール基、及び−S(O)nR<a>[式中、R<a>はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基であり、nは0、1、又は2である]によって更に置換され得る;又は
3)1個、2個、3個、4個、又は5個の上記定義による置換基を有しており、かつ上記定義による1個〜10個の原子(例えば、1個、2個、3個、4個又は5個の原子)が介在する、上記定義によるアルケニル鎖。
用語「アルキニル」は、アルキル鎖の種類であって、アルキル基の2個の原子が三重結合を形成するものを指す。すなわち、アルキニル基は、R−C≡C−Rのパターンを含み、式中、Rは、アルキニル基の残りの部分を指し、同じであっても異なっていてもよい。アルキニル基の非限定的な例としては、−C≡CH、−C≡CCH3、及び−C≡CCH2CH3が挙げられる。アルキニル部分の「R」部分は、分枝状、直鎖状、又は環状であってもよい。
用語「置換アルキニル」は、以下を指す:
1)アルキル基;アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルコキシ基、シクロアルケニルオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、アシルオキシ基、アミノ基、置換アミノ基、アミノカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アジド基、シアノ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、ケト基、チオカルボニル基、カルボキシ基、カルボキシアルキル基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、ヘテロシクリルチオ基、チオール基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、ヘテロアリール基、アミノスルホニル基、アミノカルボニルアミノ基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロシクリル基、ヘテロシクロオキシ基、ヒドロキシアミノ基、アルコキシアミノ基、ニトロ基、−S(O)−アルキル基、−S(O)−シクロアルキル基、−S(O)−ヘテロシクリル基、−S(O)−アリール基、−S(O)−ヘテロアリール基、−S(O)2−アルキル基、−S(O)2−シクロアルキル基、−S(O)2−ヘテロシクリル基、−S(O)2−アリール基、及び−S(O)2−ヘテロアリール基からなる群から選択される1個、2個、3個、4個又は5個の置換基(いくつかの実施形態では、1個、2個又は3個の置換基)を有する上記のアルキニル鎖。定義によって特に制約されない限り、全ての置換基は、任意選択的に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、カルボキシ基、カルボキシアルキル基、アミノカルボニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ハロゲン基、CF3基、アミノ基、置換アミノ基、シアノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基、ヘテロアリール基、及び−S(O)nR<a>[式中、R<a>はアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、nは0、1、又は2である]から選択される1個、2個、又は3個の置換基によって更に置換され得る;又は
2)酸素、硫黄、及びNR<a>[式中、R<a>は、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、及びヘテロシクリル基から選択される]から独立して選択される1〜10個の原子(例えば、1個、2個、3個、4個又は5個の原子)が介在する、上記定義によるアルキニル鎖。全ての置換基は、任意選択的に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、カルボキシ基、カルボキシアルキル基、アミノカルボニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ハロゲン基、CF3基、アミノ基、置換アミノ基、シアノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基、ヘテロアリール基、及び−S(O)nR<a>[式中、R<a>はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基であり、nは0、1、又は2である]によって更に置換され得る;又は
3)1個、2個、3個、4個、又は5個の上記定義による置換基を有しており、かつ上記定義による1個〜10個の原子(例えば、1個、2個、3個、4個又は5個の原子)が介在する、上記定義によるアルキニル鎖。
本明細書で使用するとき、用語「環」は、共有結合により閉鎖されている任意の構造を指す。環には、例えば、炭素環(例えば、アリール及びシクロアルキル)、複素環(例えば、ヘテロアリール及び非芳香族複素環)、芳香族(例えば、アリール及びヘテロアリール)、並びに非芳香族(例えば、シクロアルキル及び非芳香族複素環)が含まれる。環は、任意選択的に置換されていてもよい。環は、環系の一部を形成し得る。本明細書で使用するとき、用語「環系」は、環のうちの2つ以上が縮合している、2つ以上の環を指す。用語「縮合」は、2つ以上の環が1つ以上の結合を共有する構造を指す。
用語「ハロゲン原子」は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を指し得る。
用語「ナフタレン」は、ベンゼン環の縮合対からなる構造を指す。
本明細書で使用するとき、用語「類似体」は、別のものと類似の構造を有するが、特定の構成成分に関して当該別のものとは異なる化合物を指すものと理解される。「誘導体」は、1つ以上の原子を別の原子又は原子からなる基で置換することによって、親化合物から発生すると想像できる、又は実際に合成され得る化合物である。
本明細書で使用するとき、用語「異性体」は、同じ分子式を有するが分子中の原子の配置が異なる化合物を指すものと理解される。
塩は、特に、式I、II又はIIIの化合物の薬学的に許容される塩である。
このような塩は、例えば、塩基性窒素原子を有する式Iの化合物、特に薬学的に許容される塩から、好ましくは有機酸又は無機酸の酸付加塩として形成される。好適な無機酸は、例えば、塩酸、硫酸、又はリン酸などのハロゲン酸である。好適な有機酸は、例えば、カルボン酸、ホスホン酸、スルホン酸又はスルファミン酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、グリコール酸、乳酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、グルタミン酸若しくはアスパラギン酸などのアミノ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、メチルマレイン酸、シクロヘキサンカルボン酸、アダマンタンカルボン酸、安息香酸、サリチル酸、4−アミノサリチル酸、フタル酸、フェニル酢酸、マンデル酸、ケイ皮酸、メタン若しくはエタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、1,5−ナフタレンジスルホン酸、2−、3−、又は4−メチルベンゼンスルホン酸、メチル硫酸、エチル硫酸、ドデシル硫酸、N−シクロヘキシルスルファミン酸、N−メチル−、N−エチル−、若しくはN−プロピル−スルファミン酸、又はアスコルビン酸などの他の有機プロトン酸である。
カルボキシ又はスルホなどの負に帯電したラジカルの存在下で、塩はまた、塩基、例えば、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属塩などの金属塩若しくはアンモニウム塩、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、若しくはカルシウム塩、又はアンモニア若しくは好適な有機アミン(第三級モノアミンなど)とのアンモニウム塩、例えば、トリエチルアミン若しくはトリ(2−ヒドロキシエチル)アミン、又は複素環塩基、例えば、N−エチル−ピペリジン若しくはN,N’−ジメチルピペラジンで形成され得る。
塩基性基及び酸性基が同じ分子中に存在する場合、式Iの化合物はまた、内部塩も形成し得る。
単離又は精製を目的として、薬学的に許容されない塩、例えば、ピクリン酸塩又は過塩素酸塩を使用することも可能である。治療用途では薬学的に許容される塩又は遊離化合物のみが使用され(医薬製剤の形態で適用可能である)、これらの許容される化合物が好ましい。
遊離形態の新規化合物とそれらの塩の形態(例えば、新規化合物の精製又は同定において、中間体として使用することができる塩を含む)の化合物との間の密接な関係を考慮して、本明細書の以上及び以下の遊離化合物に対する任意の言及は、適切かつ好都合なように、対応する塩も指すものとして理解されるべきである。
本発明の一実施形態では、式(I)の化合物若しくはその異性体又はそれらの塩は、対象における骨格筋機能及び/又は骨格筋量を維持若しくは向上させ、及び/又は対象における筋消耗を実質的に予防若しくは低減するために提供され、次式(I)で表される。
Figure 2022500369
式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、及びR9は、それぞれ独立して、H;OH;OMe;O−アルキル;SH;S−Me;S−アルキル;ハロゲン;第一級アルコール、第二級アルコール、又は第三級アルコール、ケトン、アルデヒド;カルボン酸;第一級アミン、第二級アミン、又は第三級アミン;第一級アミド又は第二級アミド;シアノ;アルキルシアニド;ニトロ;スルホネート;スルフェート;直鎖状、任意に置換された及び/又は任意に分枝したC2〜C10アルケニル;直鎖状、任意に置換された及び/又は任意に分枝したC2〜C10アルキニルである。
本発明の別の実施形態では、式(II)の化合物若しくはその異性体又はそれらの塩は、対象における骨格筋機能及び/又は骨格筋量を維持若しくは向上させ、及び/又は対象における筋消耗を実質的に予防若しくは低減するために提供され、次式(II)で表される。
Figure 2022500369
式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、及びR9は、それぞれ独立して、H;OH;OMe;O−アルキル;SH;S−Me;S−アルキル;ハロゲン;第一級アルコール、第二級アルコール、又は第三級アルコール、ケトン、アルデヒド;カルボン酸;第一級アミン、第二級アミン、又は第三級アミン;第一級アミド又は第二級アミド;シアノ;アルキルシアニド;ニトロ;スルホネート;スルフェート;直鎖状、任意に置換された及び/又は任意に分枝したC2〜C10アルケニル;直鎖状、任意に置換された及び/又は任意に分枝したC2〜C10アルキニルである。アルキル鎖、アルケニル鎖、又はアルキニル鎖は、エーテル、第一級、第二級及び第三級アルコール、アルデヒド、並びにカルボン酸のような基に含まれる1つ又は2つの酸素原子によって置換され得る。
本発明の別の実施形態では、化合物若しくはその異性体又はそれらの塩は、対象における骨格筋機能及び/又は骨格筋量を維持若しくは向上させ、及び/又は対象における筋消耗を実質的に予防若しくは低減するために提供され、次式(III)で表される。
Figure 2022500369
式中、R2、R3、R4、及びR7は、それぞれ独立して、H;OH;OMe;O−アルキル;SH;S−Me;S−アルキル;ハロゲン;第一級アルコール、第二級アルコール、又は第三級アルコール、ケトン、アルデヒド;カルボン酸;第一級アミン、第二級アミン、又は第三級アミン;第一級アミド又は第二級アミド;シアノ;アルキルシアニド;ニトロ;スルホネート;スルフェート;直鎖状、任意に置換された及び/又は任意に分枝したC2〜C10アルケニル;直鎖状、任意に置換された及び/又は任意に分枝したC2〜C10アルキニルである。
本発明の好ましい実施形態では、対象における骨格筋機能及び/又は骨格筋量を維持若しくは向上させ、及び/又は対象における筋消耗を実質的に予防若しくは低減するために提供される化合物は、3−(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシ−ベンジリデン)−5−ヨード−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン若しくはその異性体又はそれらの塩である。
Figure 2022500369
本発明の一実施形態では、本発明の化合物は、筋幹細胞の機能を調節して、対象における骨格筋機能及び/又は骨格筋量を維持若しくは向上させ、及び/又は対象における筋消耗を実質的に予防若しくは低減し、及び/又は例えば、筋線維の修復を加速することによって、若しくは線維症及び筋硬直を低減させることによって、若しくは筋肉の脂肪浸潤を減少させることによって、損傷後の筋肉修復を強化する。
本発明の別の実施形態では、本発明の化合物は、骨格筋幹細胞の増殖及び/又は分化によって筋幹細胞機能を調節する。
本発明の更なる実施形態では、本発明の化合物は、筋形成によって筋幹細胞機能を調節する。
医薬組成物
医薬組成物は、例えば、有効成分を約10%〜約100%、好ましくは約20%〜約60%含有する。経腸又は非経口投与のための医薬製剤は、例えば、糖衣錠、錠剤、カプセル剤又は坐剤、及び更にアンプルなどの単位剤形の製剤である。別段の指示がない場合、これらは、例えば、従来の混合、造粒、糖コーティング、溶解又は凍結乾燥プロセスによるものなどのそれ自体は既知である方法で調製される。必要な有効量は、複数の投薬単位の投与によって達成され得るため、各剤形の個々の用量に含まれる単位含有量はそれ自体が有効量を構成するものである必要はないことが理解されるであろう。
特に、治療有効量の本発明の化合物は、同時に又は任意の順序で連続的に、及び組み合わせて投与されてもよく、成分は別々に、又は固定された組み合わせとして投与されてもよい。例えば、本発明による、癌に対する化学療法に関連する悪液質の治療方法において使用される場合、併用による治療有効量、好ましくは相乗効果的な量で、例えば、本明細書に記載される量に対応する1日投与量での、同時又は任意の順序での連続的な、(i)遊離又は薬学的に許容される塩の形態における組み合わせパートナ(a)の投与、及び(ii)遊離又は薬学的に許容される塩の形態の組み合わせパートナ(b)の投与を含み得る。
本発明の個々の配合パートナは、治療過程の間に別々の時間に別々に投与されてもよく、又は分割された形態若しくは単個の配合形態で同時に投与することができる。本発明は、同時又は交互の治療に関するこのようなレジメンを全て包含し、用語「投与する」は、これにしたがって解釈されるべきである。
有効用量は、用いられる具体的な化合物又は医薬組成物、投与様式、処置される状態、処置される状態の重症度によって様々であり得る。したがって、投与レジメンは、投与経路並びに患者の腎機能及び肝機能を含む様々な因子に従って選択される。当業者のうちの医師、臨床医又は獣医師は、病状の進行を防止、対抗、又は停止するのに必要な有効量の単一の有効成分を容易に決定し、処方することができる。毒性なく有効性をもたらす範囲内の有効成分濃度を達成するにあたって精度を最適なものにするには、標的部位による有効成分の利用能に関する動態に基づいたレジメンが必要とされる。
式I、II又はIIIの化合物は、経口、非経口、例えば、腹腔内、静脈内、筋肉内、皮下、腫瘍内、又は直腸内、又は経腸を含む任意の経路によって投与することができる。好ましくは、式I、II、又はIIIの化合物は、好ましくは1〜300mg/kg体重の1日投与量で、又はより大型の霊長類では、50〜5000、好ましくは500mg〜3000mgの1日投与量で経口投与される。好ましい経口1日投与量は、体重1kg当たり1〜75mg/kgであり、又はより大型の霊長類では、10〜2000mgの1日投与量を単一投与として投与される、若しくは1日2回の投与など複数回の投与に分割される。
式I、II、又はIIIの化合物は、好ましくは、約100〜2000mg/日、より好ましくは500〜1500mg/日、例えば、1000mg/日及び最も好ましくは750mg/日〜1500mg/日の範囲の投与量でヒトに経口投与される。
本発明の一実施形態では、本発明の組成物は、対象における骨格筋機能及び/又は骨格筋量を維持若しくは向上させ、及び/又は対象における筋消耗を実質的に予防若しくは低減するように使用するために提供される。
本発明の別の実施形態では、本組成物は、対象における骨格筋機能及び/又は骨格筋量を維持若しくは向上させ、及び/又は対象における筋消耗を実質的に予防若しくは低減するように使用するために提供される、本発明の医薬組成物又はそれらの薬学的に許容される塩である。
本発明の別の実施形態では、本組成物は、筋幹細胞の機能の調節が、筋幹細胞及び/又は筋芽細胞及び/又は筋管の数の増加によって評価される、本発明の化合物を含む医薬組成物である。
本発明の一実施形態では、対象における筋機能及び/又は筋肉量を維持若しくは向上させ、及び/又は対象における筋消耗を実質的に予防若しくは低減する、医薬組成物又はそれらの薬学的に許容される塩が提供される。
本発明の別の実施形態では、悪液質又は前悪液質;サルコペニア、ミオパチー、ジストロフィーを予防若しくは治療し、及び/又は筋損傷若しくは手術後に回復させる、医薬組成物又はそれらの薬学的に許容される塩が提供される。
本発明の更なる実施形態では、本発明の医薬組成物は、悪液質の予防又は治療への使用のために提供され、悪液質は、癌、慢性心不全、腎不全、慢性閉塞性肺疾患、AIDS、自己免疫障害、慢性炎症性障害、肝硬変、拒食症、慢性膵炎、代謝性アシドーシス、及び/又は神経変性疾患から選択される疾患に関連するものである。
本発明の好ましい実施形態では、本発明の医薬組成物は、癌に関連する悪液質又は前悪液質の予防又は治療への使用のために提供される。
本発明の好ましい実施形態では、本発明の医薬組成物は、膵臓癌、食道癌、胃癌、腸癌、肺癌、及び/又は肝癌から選択される癌に関連する悪液質の治療への使用のために提供される。
本発明の更なる実施形態では、本発明の化合物又は組成物は、悪液質の予防及び/又は治療のための薬剤の製造における使用のために提供される。
癌を治療するための化学療法剤との組み合わせ
本発明の組み合わせは、本発明の少なくとも1つの化合物と、癌を治療するための化学療法剤とを含み、有効成分は、それぞれの場合に、遊離形態又は薬学的に許容される塩、及び任意の少なくとも1つの薬学的に許容されるキャリアの形態で存在する。
組み合わせの投与は、薬学的な有効成分のうちの1つのみを適用する単剤療法と比較して、筋消耗の進行を遅くする、阻止する、又は、逆転させることについて、例えば、悪液質の減少、生活の質の改善、並びに死亡率及び罹患率の低下について驚くべき有益な効果をもたらす。
本発明の一実施形態では、本発明の医薬組成物又はそれらの薬学的に許容される塩は、治療用抗癌化合物と組み合わせて投与され得る。
パーツキット
組み合わせ製剤は、独立して、又は区別された量の組み合わせを伴う異なる固定の組み合わせを使用することによって(すなわち同時に又は異なる時点で)投与され得るという意味で、「パーツキット」として定義することができる。次に、パーツキットのパーツは、例えば、パーツキットの任意のパーツに対して、異なる時点で、かつ等しい又は異なる時間間隔で、同時に、又は経時的にずらして投与することができる。非常に好ましくは、時間間隔は、パーツの併用により処置される疾患に対する効果が、組み合わせパートナ(a)及び(b)のいずれか1つのみを使用することによって得られる効果よりも大きくなるように選択される。例えば、治療を受ける患者集団のニーズ、又は患者個人のニーズ、すなわち患者の具体的な疾患、年齢、性別、体重などに起因し得る様々なニーズ、に対処するために、組み合わされた製剤として投与される、組み合わせパートナ(a)の総量の、組み合わせパートナ(b)の総量に対する比率を変えることができる。好ましくは、少なくとも1つの有益な効果、例えば、組み合わせパートナの効果の相互強化がある。
本発明の一実施形態では、本発明の化合物若しくは組成物又はそれらの薬学的に許容される塩を含む、悪液質又は前悪液質の予防又は治療のためのパーツキットが提供される。
本発明の別の実施形態では、抗癌治療薬と別々に又は一緒に投与される、本発明の化合物若しくはそれらの薬学的に許容される塩を含む、悪液質又は前悪液質の予防又は治療のためのパーツキットが提供される。
本発明の別の実施形態では、対象における筋機能及び/又は筋肉量を維持若しくは向上させ、及び/又はサルコペニア、ミオパチー、ジストロフィーを有する対象における筋消耗を実質的に予防若しくは低減し、及び/又は筋損傷若しくは手術後に回復させるパーツキットであって、本発明の化合物又は組成物又はそれらの薬学的に許容される塩を含む、パーツキットを提供する。
本発明の更なる実施形態では、パーツキットが提供され、このキットは、毎日投与を行う、高カロリー食、高タンパク質食、高炭水化物食、ビタミンB3、B12、及び/若しくはビタミンD補給食、抗酸化剤、ω脂肪酸、並びに/又はポリフェノールによる食事介入についての指示を更に含む。
本発明の化合物及び組成物と食事介入との組み合わせ
用語「食事介入」は、対象に与えられ、対象の食生活に変化をもたらす、外部因子を指す。一実施形態では、食事療法は、高カロリー食である。別の実施形態では、食事療法は、高タンパク質食及び/又は高炭水化物食である。別の実施形態では、食事介入は、ビタミン及びミネラル、特にビタミンB12及び/又はビタミンDを補給した食事である。別の実施形態では、食事介入には、酸化防止剤、例えばN−アセチル−システインが補給される。更なる実施形態では、食事介入ではω脂肪酸が補給される。更なる実施形態では、食事介入では、例えばニコチンアミドリボシドなどの、ミトコンドリア活性を増加させるポリフェノール又はビタミンB3が補給される。
規定食は、対象の初期体重に合わせて調整したものであってよい。
食事介入には、少なくとも1つの規定食製品の投与が含まれていてもよい。規定食製品は、食事代替製品又は栄養補給製品(例えば対象の食欲を増強し得るもの)であってよい。規定食製品は、食品製品、飲料、ペットフード製品、食品栄養補給剤、機能性食品、食品添加物、又は栄養配合物を含み得る。経口栄養補給剤の例としては、Nestle Boost、Resource及びMeritene製品が挙げられる。
本発明の一実施形態では、本発明の化合物又は組成物は、高カロリー食、高タンパク質食、高炭水化物食、ビタミンB3、ビタミンB12、及び/若しくはビタミンD補給食、抗酸化剤、ω脂肪酸、並びに/又はポリフェノールによる食事介入と組み合わせて、悪液質の予防若しくは治療方法に使用することができる。
悪液質及び関連疾患
本発明は、骨格筋幹細胞を調節することによって、悪液質又は骨格筋消耗症候群を予防及び/又は治療する化合物、組成物、及び方法を提供する。悪液質は、基礎疾患に関連する複雑な代謝症候群であり、筋肉の減少を特徴とし、脂肪量の減少を伴う場合も伴わない場合もある。悪液質に顕著な臨床的特徴は、成人における(体液貯留分を補正した)体重減少又は小児の成長障害(内分泌障害を除く)である。
悪液質は、癌、慢性心不全、腎不全、慢性閉塞性肺疾患、AIDS、自己免疫障害、慢性炎症性障害、肝硬変、拒食症、慢性膵炎、並びに/又は代謝性アシドーシス及び神経変性疾患などの疾患を有する患者においてしばしば見られる。
特定の種類の癌、例えば、膵臓癌、食道癌、胃癌、腸癌、肺癌、及び/又は肝臓癌では、悪液質が特に一般的に見られる。
悪液質について国際的に認められている診断基準は、現在の体重及び身長(体格指数[BMI]が20kg/m未満である)又は骨格筋量(DXA、MRI、CT、又は生体インピーダンスによって測定される)により消耗を既に示している個体における、制限された期間、例えば、6か月間での5%を超える体重減少、又は2%を超える体重減少というものである。悪液質は、様々なステージを経て、すなわち前悪液質から悪液質、難治性悪液質へと徐々に進行し得る。重篤度は、エネルギー貯蔵及び身体タンパク質(BMI)の消耗度に応じて、進行中の体重減少と組み合わせて分類することができる。
特に、癌悪液質は、過去6ヶ月間(単純な飢餓のない状態で)での体重減少が5%超であること;又はBMIが20未満でありかつ体重減少度が2%超であること;又は体肢筋肉量がサルコペニアに相当するものであること(男性で7.26kg/m未満、女性で5.45kg/m未満)、及び任意の体重減少度が2%超であること、として定義されている(Fearon et al.2011)。
前悪液質は、拒食症及び代謝の変化と併せて体重減少が5%以下であることとして定義され得る。現在、更に進行する可能性が高い前悪液質の患者、又は前悪液質が進行する速度、を特定するための強力なバイオマーカーは存在しない。難治性悪液質は、本質的に患者の臨床的特性及び状況に基づいて定義される。
本発明の化合物、組成物、及び方法は、前悪液質及び悪液質の状態の予防及び/又は治療に、特に骨格筋肉量及び/又は筋機能の維持又は向上に有益であり得ることが理解され得る。
本発明の一実施形態では、本発明は、有効量の本発明の化合物若しくはその異性体又はそれらの薬学的に許容される塩を、ヒト対象又は動物対象に投与することを含む、悪液質又は前悪液質の治療方法を提供する。
本発明の別の実施形態では、本発明は、有効量の本発明の化合物若しくはその異性体又はそれらの薬学的に許容される塩を、ヒト対象又は動物対象に投与することを含む、悪液質又は前悪液質の治療方法を提供し、悪液質又は前悪液質は、癌、慢性心不全、腎不全、慢性閉塞性肺疾患、AIDS、自己免疫障害、慢性炎症性障害、肝硬変、拒食症、慢性膵炎、代謝性アシドーシス、及び/又は神経変性疾患から選択される疾患に関連するものである。
本発明の好ましい実施形態では、本発明は、膵臓癌、食道癌、胃癌、腸癌、肺癌、及び/又は肝癌から選択される癌に関連する癌悪液質の治療方法を提供する。
本発明の更に別の実施形態では、本発明は、癌悪液質の治療が、体重減少を低減すること、体重減少を予防すること、体重を維持すること、又は体重を増加させることによって評価される、治療方法を提供する。
本発明の別の実施形態では、本発明の化合物又は組成物は、癌悪液質が化学療法剤による癌の治療により生じたものである、治療方法において使用され得る。
本発明の更なる実施形態では、本発明の化合物又は組成物は、高カロリー食、高タンパク質食、高炭水化物食、ビタミンB3、ビタミンB12、及び/若しくはビタミンD補給食、抗酸化剤、ω脂肪酸、並びに/又はポリフェノールによる食事介入と組み合わせて、悪液質の予防若しくは治療方法において、使用することができる。
サルコペニア及び関連疾患
サルコペニアは、筋肉量低下、筋力低下、及び身体パフォーマンス低下のうちの1つ以上によって評価することができる。
対象において、サルコペニアは、例えばChen et al.,2014に記載のように、AWGSOP(Asian Working Group for Sarcopenia in Older People)の定義に基づいて診断できる。低筋肉量は、一般に、身長の二乗に対し正規化した体肢除脂肪量(ALM指数)が低いこと、特に男性の場合は7.00kg/m2未満、女性の場合は5.40kg/m2未満のALM指数であることに基づくものとすることができる。身体パフォーマンスの低下は、概ね、歩行速度、具体的には0.8m/秒以下の歩行速度を基準とすることができる。筋力低下は、概ね、握力低下を基準とすることができ、具体的には男性で26kg未満及び女性で18kg未満の握力を基準とすることができる。
対象において、サルコペニアは、例えばCrutz−Jentoft et al.,2010.に記載のように、EWGSOP(European Working Group for Sarcopenia in Older People)の定義に基づいて診断できる。低筋肉量は、一般に、身長の二乗に対し正規化した体肢除脂肪量(ALM指数)が低いこと、特に男性の場合は7.23kg/m2未満、女性の場合は5.67kg/m2未満のALM指数であることに基づくものとすることができる。身体パフォーマンスの低下は、概ね、歩行速度、具体的には0.8m/秒以下の歩行速度を基準とすることができる。筋力低下は、概ね、握力低下を基準とすることができ、具体的には男性で30kg未満及び女性で20kg未満の握力を基準とすることができる。
対象において、サルコペニアは、例えば Studenski et al.,2014に記載のように、FNIH(Foundation for the National Institutes of Health)の定義に基づいて診断することができる。低筋肉量は、一般に、体格指数(BMI、kg/m2)に対し正規化した体肢除脂肪量(ALM)が低いこと、特にALM対BMIが男性の場合は0.789未満、女性の場合は0.512未満であることに基づくものとすることができる。身体パフォーマンスの低下は、概ね、歩行速度、具体的には0.8m/秒以下の歩行速度を基準とすることができる。筋力低下は、概ね、握力低下を基準とすることができ、具体的には男性で26kg未満及び女性で18kg未満の握力を基準とすることができる。筋力低下はまた、概ね、握力対体格指数の低下を基準とすることができ、具体的には男性で1.00未満及び女性で0.56未満の握力対体格指数を基準とすることができる。
筋肉量を測定する別のアプローチにはD3クレアチン希釈法がある。この方法は、ロバストな標準であり、将来的にはDXAの代替法となり得る方法として、より広く受け入れられている。D3クレアチン希釈法は、これまでにClark et al.(1985)及びStimpson et al.(2013)によって説明されている。
本発明の化合物、組成物、及び方法は、サルコペニア及び/又は関連する状態の予防及び/又は治療に、特に骨格筋肉量及び/又は筋機能の維持又は向上に有益であり得ることが理解され得る。
ミオパチー及び関連する状態
ミオパチーは、筋線維の機能不全に起因する筋力低下が一次症状である神経筋障害である。ミオパチーの他の症状としては、筋肉痙攣、硬直、及び痙縮が挙げられ得る。ミオパチーは、遺伝性(筋ジストロフィーなど)、又は後天性(一般的な筋痙攣など)であり得る。
ミオパチーは以下のように分類される:
(i)先天性ミオパチー:運動技能の発達遅延を特徴とし;出生時に骨格異常及び顔面異常が明白である場合がある
(ii)筋ジストロフィー:随意筋の進行性の衰弱を特徴とし、出生時に認められる場合がある
(iii)ミトコンドリアミオパチー:エネルギーを制御する細胞内構造体ミトコンドリアの遺伝子異常に起因し、カーンズ・セイヤー症候群、MELAS及びMERRF筋型糖原病を含み、グリコーゲン及びグルコース(血糖)を代謝する酵素を制御する遺伝子の変異に起因し;ポンペ病、アンダーソン病及びコリ病を含む
(iv)ミオグロビン尿症:筋肉の働きに必要な燃料(ミオグロビン)の代謝障害に起因し;マッカードル病、タルイ病及びディマウロ病を含む
(v)皮膚筋炎:皮膚及び筋肉の炎症性ミオパチー
(vi)骨化性筋炎:筋組織で骨が成長することを特徴とする
(vii)家族性周期性四肢麻痺:腕及び脚の筋力低下に関するエピソードを特徴とする
(viii)多発性筋炎、封入体筋炎、及び関連するミオパチー:骨格筋の炎症性ミオパチー
(ix)神経筋緊張症:ひきつり及び硬直の交互のエピソードを特徴とし;及びスティッフパーソン症候群:硬直及び反射性痙縮のエピソードを特徴とする一般的な筋肉痙攣及び硬直
(x)テタニー:腕及び脚の痙縮が長引くことを特徴とする。(参照https://www.ninds.nih.gov/disorders/all−disorders/myopathy−information−page)。
本発明の化合物、組成物、及び方法は、上述の疾患又は状態の予防及び/又は治療に、特に骨格筋肉量及び/又は筋機能の維持又は向上に有益であり得ることが理解され得る。
筋ジストロフィー
筋ジストロフィーは、運動を制御する骨格筋又は随意筋の進行性の衰弱及び変性を特徴とする遺伝疾患群である。主な種類の筋ジストロフィーとしては、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、肢帯型筋ジストロフィー、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー、先天性筋ジストロフィー、眼咽頭筋ジストロフィー、遠位筋ジストロフィー、エメリー・ドレイフス筋ジストロフィー、及び筋緊張性ジストロフィーが挙げられる。(参照:https://www.medicalnewstoday.com/articles/187618.php)
本発明の化合物、組成物、及び方法は、上述の疾患若しくは状態の予防及び/又は治療に、特に骨格筋肉量及び/又は筋機能の維持又は向上に有益であり得ることが理解され得る。
手術及び筋肉外傷による筋損傷後の回復
筋損傷は、筋、腱、又はこれらの両方における急性又は慢性軟組織損傷を引き起こす、挫傷、伸張、又は裂傷によって引き起こされ得る。筋損傷は、筋肉の疲労、酷使、又は不適切な使用の結果として生じ得る。肉体活動中の落下、骨折、又は酷使などの肉体外傷後に生じ得る。筋損傷はまた、関節置換関節鏡手術などの手術後にも生じ得る。
本発明の化合物、組成物、及び方法は、手術及び/又は筋肉外傷後の回復に関する上述の状態の予防及び/又は治療に、特に骨格筋肉量及び/又は筋機能の維持又は向上に有益であり得ることが理解され得る。
治療方法
本明細書において「治療」についてなされる全ての言及は、治癒的、緩和的、及び予防的治療を含むものの、本発明の文脈においてなされる「予防」についての言及は、より一般的には予防的治療に関連することは認識されるであろう。治療には、疾患の重症度の進行を抑止することも含まれ得る。
任意の疾患又は障害に関し、「治療する」、「治療している」、又は「治療」なる用語は、一実施形態では、疾患又は障害を改善させることを指す(すなわち、疾患又はその臨床症状の少なくとも1つの発症を遅らせる、又は阻止する、又は減らす)。別の実施形態では、「治療する」、「治療している」、又は「治療」は、患者が認識できないものを含む少なくとも1つの肉体的パラメーターを緩和又は改善することを指す。更に別の実施形態では、「治療する」、「治療している」、又は「治療」は、肉体的に(例えば、認識できる症状の安定化)、生理学的に(例えば、肉体的パラメーターの安定化)、又はこれらの両方のいずれかで、疾患又は障害を調節することを指す。更に別の実施形態では、「治療する」、「治療している」、又は「治療」は、疾患又は障害の始まり又は発症又は進行を予防又は遅延させることを指す。本明細書で使用するとき、当該治療から対象が生物学的な利益、医学的な利益、又は生活の質に対する利益を得る場合、当該対象は治療を必要とする。
対象
用語「対象」は、ヒト及びコンパニオンアニマルを含む任意の動物を意味する。概して、対象動物は、ヒト、又は鳥類、ウシ、イヌ、ウマ、ネコ、ヤギ、ネズミ、ヒツジ若しくはブタである。対象は、ウマ又はコンパニオンアニマル、例えば、ネコ又はイヌであり得る。好ましくは、対象は、ヒトである。
哺乳動物、特にヒトの治療が、好ましい。しかしながら、ヒト及び動物の治療の両方が、本発明の範囲内である。
獣医の対象に関しては、対象はイヌ、ネコ、及びウマであることが好ましい。
本発明はまた、鳥類、ウシ、ヒツジ又はブタ動物などのヒト以外の動物対象においても、骨格筋肉量及び/又は機能を向上させることによって肉の生産を最適化するために有用であり得る。
筋幹細胞
本明細書で用いる用語「筋幹細胞」は、サテライト細胞を指し、好ましくは休止しており、かつ分化運命が決定されていないサテライト細胞を指すことができる。
サテライト細胞は、骨格筋細胞の前駆体である。成人の筋肉では、サテライト細胞は通常は休止しているが、疾患、又は損傷若しくは運動などの機械的ひずみに応答して活性化し、筋形成し得る。サテライト細胞はまた、筋肉の正常な成長にも関与する。活性化により、サテライト細胞は筋肉を形成する分化の前に増殖し、最終的には既存の筋線維と融合する、又は組織外傷の程度に応じて新しい筋線維を形成する。分化した、筋形成能のある子孫細胞を生成することに加えて、少なくともいくつかのサテライト細胞は自己複製することができ、それにより、正真正銘の常在幹細胞について定義されている基準を満たす。Pax7は、筋幹細胞が発現する、最もよく知られており、特性が明らかになっているマーカーである。すなわち、筋幹細胞は、ペアードボックス転写因子Pax7の発現に基づいて確実に識別できる。筋幹細胞はまた、NCAM、CD56、CD29、及び/又はCD82を発現し得る。すなわち、筋幹細胞は、NCAM+、CD56+、CD29+、及び/又はCD82+であり得る。
MyoD+は、休止状態のサテライト細胞と、コミットしたサテライト細胞とを区別するために使用できるコミットメントマーカーである。
筋機能及び筋肉量
本明細書で開示される化合物、組成物、使用、及び方法は、筋機能及び/又は筋肉量の維持又は向上を提供することができる。
用語「筋機能」は、対象の生活に悪影響は及ぼさないような様式で筋肉を働かせる能力を指し、筋力、筋収縮、筋持久力、及び/又は筋弾性のパラメーターを包含する。
筋機能を評価する好適な試験としては、握力計を用いた握力測定、レッグプレス、チェストプレス、又は脚部伸展における1回最大反復測定(one repeat maximum)、歩行速度、6分間歩行検査、TUGテスト(time up and go)、簡易身体能力バッテリー、Friedによるフレイル基準、並びに段差を上る時間の測定(stair climbing time assessments)が挙げられる。
筋肉量(筋体積、筋肉厚、又は筋線維のサイズに等しい)は、二重エネルギーX線吸収測定法(DXA)又は生体インピーダンス試験によって測定することができる。同様にして、筋体積の評価にはMRIを使用でき、筋肉の厚み及び羽状角の評価には超音波を使用できる。
「筋消耗」とは、筋肉量の減少であり、例えば筋肉の消失により衰弱段階に至るまでの減少があり得る。一実施形態では、対象は、自身の筋肉量を10%、5%、4%、3%、2%、又は1%を超えて消失することはない。
好ましくは、本明細書で開示される化合物、組成物、使用、及び方法は、筋肉量の維持又は向上を提供する。
用語「維持」は、筋機能及び/又は筋肉量などの特定のパラメーターがある程度の期間にわたり(例えば、5、10、15、20、25、30、40、又は50年以上)実質的に変化なく保たれることを指す。
一実施形態では、筋肉量は少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、又は20%増大する。
別の実施形態では、筋肉量は1〜2.5%、1〜5%、1〜10%、又は1〜20%増大する。
好ましくは、筋肉は骨格筋である。
実施例1:筋幹細胞を調節する化合物の選択
ヒト骨格筋筋芽細胞の選択
本発明者らは、インビトロでヒトの初代成人筋細胞に対して化合物を試験するための高含有量スクリーニングを開発した。ヒト骨格筋筋芽細胞(HSMM)は、Lonza(https://bioscience.lonza.com)から購入した。これらの細胞は、正常ドナーの上腕又は脚筋組織から単離し、2回目の継代後に使用した。最終ドナー(36歳の白人女性を選択するまでに、7名のドナーを試験して細胞の生存性及び純度を確保した。
筋幹細胞コミットメントについてのアッセイ
一次スクリーニングアッセイは、免疫蛍光による、2つの重要な筋分化調節因子(Pax7及びMyoD)が高含有量であるとの検出に基づくものとした。Pax7及びMyoDは、筋幹細胞の幹細胞性及びコミットメントについての主要な特徴であり、筋幹細胞の子孫細胞を監視するために使用することができる。特に、筋分化へのコミットメントに関し、Pax7は早期に増幅を示すのに対し、MyoDは後期のマーカーであり、これらのマーカーの組み合わせにより、増殖、分化、及び自己再生に関する異なる状態が定義される。
ヒット選択は、主に筋分化(Pax7−/MyoD+細胞)に向かうコミットメントを強化できる化合物に基づくものとし、これは、筋分化へのコミットメントにおける欠陥が筋消耗の原因である可能性があることが明らかにされている癌悪液質の状況において特に関連する(He et al.2013)。
ヒト初代筋芽細胞を、1ウェル当たり1,000個の密度で、384ウェルプレートの骨格筋増殖培地(SKM−M,AMSbio)に播種した。処理のために、最初の播種から16時間後に、筋芽細胞培養物に化合物を直接添加した。次いで、全ての培養物を96時間増殖させた。Pax7及びMyoDに対する抗体を使用して、Pax7及びMyoDの発現について細胞を染色し、Hoechst 33342で対比染色して細胞核を可視化した。MyoD+は、Pax7を発現せず、MyoDは発現する細胞として定義される。ImageXpress(Molecular Devices)プラットフォームを使用して画像取得を実施した。定量には、MetaXpressソフトウェアの多重波長セルスコアに基づくカスタムモジュール分析を使用した。図1は、筋分化へのコミットメントを評価することを目的として、総細胞数に対し正規化したPax7+細胞及びMyoD+細胞の数を示す。
筋形成のアッセイ
上記の一次アッセイの結果を確認するための、一次スクリーニングアッセイで得られた全てのヒットに対するインビトロでの筋形成の二次アッセイ。この二次アッセイでは、筋細胞が一緒に融合して多核筋管を形成する筋形成後期に焦点を置いた。アッセイは、筋管で発現される成熟トロポニン−Tタンパク質の検出に基づくものとした。具体的には、次の2つの測定を行った。
フュージョン因子:多核筋管の内側にある核を全ての核と比較した割合(%)であり、筋細胞の分化のリードアウトとなる。
筋管エリア:トロポニンT染色に基づいて測定され、筋管のサイズ及び筋線維の成長のリードアウトとなる。
ヒト初代筋芽細胞を、1ウェルあたり3,000個の密度で384ウェルプレートの骨格筋増殖培地に播種した(SKM−M,AMSbio)。1日後、培地交換によって分化を誘導する。処理のために、筋芽細胞培養物に化合物を直接添加して96時間置いた。トロポニンTに対する抗体を使用して、トロポニンTの発現について筋管を染色し、Hoechst 33342で対比染色して細胞核を可視化した。ImageXpress(Molecular Devices)プラットフォームを使用して画像取得を行った。定量には、MetaXpressソフトウェアの多重波長セルスコアに基づくカスタムモジュール分析を使用した。図2は、細胞数によって評価した細胞の生存率、トロポニンT陽性筋管の核の割合(%)としてフュージョン因子によって評価した筋分化、及びトロポニンT陽性筋管によって覆われたエリアとしての筋線維の成長を示す。
実施例2:化合物GW5074による臨床試験
GW5074について実施中のフェーズI/IIaの臨床試験では、対象に、GW5074とソラフェニブとの併用療法の投与レジメン(フェーズIで定義される安全投与範囲内のもの)を168日間以上(24週間)投与している。GW5074の投与量:750mg〜1500mg(1日投与量)。
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03406364
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Claims (22)

  1. 対象における骨格筋機能及び/又は骨格筋量を維持若しくは向上させ、及び/又は対象における筋消耗を実質的に予防若しくは低減する、式(I)で表される式(I)の化合物若しくはその異性体又はそれらの塩。
    Figure 2022500369

    [式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、及びR9は、それぞれ独立して、H;OH;OMe;O−アルキル;SH;S−Me;S−アルキル;ハロゲン;第一級アルコール、第二級アルコール、又は第三級アルコール、ケトン、アルデヒド;カルボン酸;第一級アミン、第二級アミン、又は第三級アミン;第一級アミド又は第二級アミド;シアノ;アルキルシアニド;ニトロ;スルホネート;スルフェート;直鎖状、任意に置換された及び/又は任意に分枝したC2〜C10アルケニル;直鎖状、任意に置換された及び/又は任意に分枝したC2〜C10アルキニルである。]
  2. 対象における骨格筋機能及び/又は骨格筋量を維持若しくは向上させ、及び/又は対象における筋消耗を実質的に予防若しくは低減する、式(III)で表される請求項1に記載の化合物若しくはその異性体又はそれらの塩。
    Figure 2022500369

    [式中、R2、R3、R4、及びR7は、それぞれ独立して、H;OH;OMe;O−アルキル;SH;S−Me;S−アルキル;ハロゲン;第一級アルコール、第二級アルコール、又は第三級アルコール、ケトン、アルデヒド;カルボン酸;第一級アミン、第二級アミン、又は第三級アミン;第一級アミド又は第二級アミド;シアノ;アルキルシアニド;ニトロ;スルホネート;スルフェート;直鎖状、任意に置換された及び/又は任意に分枝したC2〜C10アルケニル;直鎖状、任意に置換された及び/又は任意に分枝したC2〜C10アルキニルである。]
  3. 前記化合物が、3−(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシ−ベンジリデン)−5−ヨード−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン、若しくはその異性体又はそれらの塩である、請求項1又は2に記載の化合物。
    Figure 2022500369
  4. 筋幹細胞の機能を調節することによって、対象における筋機能及び/又は筋肉量を維持若しくは向上させ、及び/又は対象における筋消耗を実質的に予防若しくは低減するものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
  5. 対象における筋機能及び/又は筋肉量を維持若しくは向上させ、及び/又は対象における筋消耗を実質的に予防若しくは低減するものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物を含む組成物。
  6. 対象における筋機能及び/又は筋肉量を維持若しくは向上させ、及び/又は対象における筋消耗を実質的に予防若しくは低減するものである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の医薬組成物又はそれらの薬学的に許容される塩。
  7. 悪液質又は前悪液質;サルコペニア、ミオパチー、ジストロフィーを予防若しくは治療し、及び/又は筋損傷若しくは手術後に回復させるものである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  8. 悪液質が、癌、慢性心不全、腎不全、慢性閉塞性肺疾患、AIDS、自己免疫障害、慢性炎症性障害、肝硬変、拒食症、慢性膵炎、代謝性アシドーシス、及び/又は神経変性疾患から選択される疾患に関連するものである、請求項7に記載の医薬組成物。
  9. 悪液質又は前悪液質が癌に関連するものである、請求項7又は8に記載の医薬組成物。
  10. 癌に関連する悪液質の前記治療が、膵臓癌、食道癌、胃癌、腸癌、肺癌、及び/又は肝癌から選択されるものである、請求項9に記載の医薬組成物。
  11. 抗癌治療用化合物若しくは組成物と別々に又は一緒に投与するものである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の医薬組成物又はそれらの薬学的に許容される塩。
  12. 有効量の請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物若しくは請求項5〜11のいずれか一項に記載の組成物若しくはそれらの異性体又はそれらの薬学的に許容される塩を、対象とするヒト又は動物に投与することを含む、悪液質又は前悪液質の治療方法。
  13. 悪液質又は前悪液質が、癌、慢性心不全、腎不全、慢性閉塞性肺疾患、AIDS、自己免疫障害、慢性炎症性障害、肝硬変、拒食症、慢性膵炎、代謝性アシドーシス、及び/又は神経変性疾患から選択される疾患に関連するものである、請求項12に記載の悪液質又は前悪液質の治療方法。
  14. 癌悪液質の治療が、膵臓癌、食道癌、胃癌、腸癌、肺癌、及び/又は肝癌から選択される癌に関連するものである、請求項13に記載の治療方法。
  15. 癌悪液質の治療が、体重減少を低減すること、体重減少を予防すること、体重を維持すること、又は体重を増加させることによって評価される、請求項14に記載の治療方法。
  16. 癌悪液質が化学療法剤による癌治療の結果である場合の治療方法における、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物の使用又は請求項5〜11のいずれか一項に記載の組成物の使用。
  17. 高カロリー食、高タンパク質食、高炭水化物食、ビタミンB3、B12、及び/若しくはビタミンD補給食、抗酸化剤、ω脂肪酸、並びに/又はポリフェノールによる食事介入と組み合わせた悪液質の予防若しくは治療方法における、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物の使用又は請求項5〜11のいずれか一項に記載の組成物の使用。
  18. 悪液質若しくは前悪液質、サルコペニア、ミオパチー、ジストロフィーの前記予防及び/若しくは治療、並びに/又は筋損傷若しくは手術後の回復用の薬剤の製造における、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物の使用又は請求項5〜11のいずれか一項に記載の組成物の使用。
  19. ヒト以外の動物において骨格筋量及び/又は骨格筋機能を向上させることによって肉の生産を最適化するための、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物の使用又は請求項5〜11のいずれか一項に記載の組成物の使用。
  20. 抗癌治療薬と別々に又は一緒に投与される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物若しくはそれらの薬学的に許容される塩、又は請求項5〜11のいずれか一項に記載の組成物若しくはそれらの薬学的に許容される塩を含む、悪液質又は前悪液質の予防又は治療のためのキット。
  21. 対象における筋機能及び/又は筋肉量を維持若しくは向上させ、及び/又はサルコペニア、ミオパチー、ジストロフィーを有する対象における筋消耗を実質的に予防若しくは低減し、及び/又は筋損傷若しくは手術後に回復させるキットであって、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物又は請求項5〜11のいずれか一項に記載の組成物又はそれらの薬学的に許容される塩を含む、キット。
  22. 前記キットが、高カロリー食、高タンパク質食、高炭水化物食、ビタミンB3、B12、及び/若しくはビタミンD補給食、抗酸化剤、ω脂肪酸、及び/又はポリフェノールによる追加的な食事介入、並びに毎日の投与の指示を含む、請求項20又は21に記載のキット。

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