JP2016538269A - 筋ジストロフィーの処置のための方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、とりわけ、例えば、組成物、例えば、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、プロドラッグもしくは代謝産物を含む組成物を使用する、筋ジストロフィー(例えば、デュシェンヌ型筋ジストロフィー)の処置に関する。本発明は、少なくとも部分的に、MD、例えばDMDを処置するための方法、ならびに対象、例えば、MDに罹患しているまたは感受性の対象、例えば、DMDに罹患しているまたは感受性の対象を、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、代謝産物もしくはプロドラッグを含む組成物を用いて評価、同定および/または処置するための方法およびキットを提供する。

Description

優先権の主張
本出願は、本明細書に参考として援用される2013年10月25日に出願された米国仮特許出願第61/895,832号に対して35 U.S.C. § 119(e)の下に優先権を主張する。
筋ジストロフィー(MD)は、動きをコントロールする骨格筋の進行性衰弱および変性によって特徴付けられる30を超える遺伝病の一群である。MDは、筋骨格系を弱め、移動運動を阻む。MDは、骨格筋線維の進行性変性によって引き起こされる。疾患は、筋タンパク質の欠陥ならびに筋細胞および組織の死によって特徴付けられる。
ジストロフィン異常症は、Xp21領域内のX染色体の短いアーム上に位置したジストロフィン遺伝子中の突然変異から生じる一群の筋ジストロフィーである[Kunkelら、1985年;Monacoら、1985年;Rayら、1985年]。これらのうちで、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は、ジストロフィン遺伝子産物である筋細胞膜下タンパク質ジストロフィンの完全な不在から生じる最も一般的なジストロフィン異常症である。[Hoffmanら、1987年a;Koenigら、1987年;Hoffmanら、1988年]。その対立遺伝子バリアントであるベッカー型筋ジストロフィー(BMD)は、より稀有であり、重症度および提示の時間が様々である。
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は、その自然経過に委ねると、10代後半、20代前半までに呼吸不全によって早期死亡をもたらす容赦なく進行性の骨格筋障害である。DMDの発病率は、男性の出生でおよそ3300人に1人[Jeppesenら、2003年;CDC、2007年]から1:4700[Dooley、2010年]である。遺伝の一般的なモードは、X染色体連鎖劣性である(すなわち、母親がキャリアである)が、この障害は、症例のおよそ30%に寄与する高い自然発生的突然変異率に関連している[BrooksおよびEmery、1977年;van Essenら、1992年]。
この突然変異率は、任意の他の遺伝子障害についてより10倍高いと推定されており[Hoffmanら、1992年]、その理由は、デュシェンヌ遺伝子のサイズが極めて大きいためである[HoffmanおよびKunkel、1989年]。遺伝子を構成する250万塩基対(X染色体の完全な1%)がランダムな突然変異事象の大きな標的をもたらす。この高い突然変異率のために、遺伝カウンセリングによる疾患の根絶は、困難であることが証明されている。
MD、例えばDMDに対する現在の治療手法には、タンパク同化薬、例えば、プレドニゾロン、デフラザコートおよびダントロレンなどステロイドの使用が含まれ、これらは一般に、中程度の有益な効果をもたらす。しかし、タンパク同化薬を用いた処置も、骨粗鬆症、高血圧、クッシング症候群、体重増加、白内障、低身長、胃腸症状、行動変化および肝損傷を含めた厳しい副作用を伴い得る。MD、例えばDMDのための新しい、改善された処理の必要性がある。
本発明は、MD、例えばDMDを処置するためのタンパク同化薬、例えばステロイドの望まれない副作用は、骨格筋以外のアンドロゲン感受性組織に対するこれらの該当する効果に関連し、有益な効果が標的外部位に対するステロイドの作用によってマスクされる可能性を伴う場合があるという認識を包含する。本発明は、とりわけ、本明細書に記載の組成物、例えばタンパク同化薬と比較して、骨および骨格筋に対してより特異的な作用を有し、タンパク同化薬、例えばステロイドを用いた処置の代替となり得る、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、代謝産物もしくはプロドラッグを含む組成物を提供する。本発明は、少なくとも部分的に、MD、例えばDMDを処置するための方法、ならびに対象、例えば、MDに罹患しているまたは感受性の対象、例えば、DMDに罹患しているまたは感受性の対象を、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、代謝産物もしくはプロドラッグを含む組成物を用いて評価、同定および/または処置するための方法およびキットを提供する。提供される組成物および方法は、関連する負の副作用が低減されたMD、例えばDMDの処置を可能にする。
一態様では、本発明は、対象における筋ジストロフィーを処置する方法であって、筋ジストロフィーに罹患している対象に、治療有効量の化合物(I)またはその薬学的に許容される塩
を投与し、それにより対象を処置することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、筋ジストロフィーは、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、Emery−Dreifuss型筋ジストロフィー、肢帯型筋ジストロフィー、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー、筋緊張性ジストロフィー、眼咽頭型筋ジストロフィー、遠位型筋ジストロフィー、または先天型筋ジストロフィーから選択される。一部の実施形態では、筋ジストロフィーは、デュシェンヌ型筋ジストロフィーである。
一部の実施形態では、本方法は、ぎこちない様式の歩行、足取りまたは走行;頻繁な転倒;疲労;運動技能の困難;筋線維の変形;仮性肥大;骨格の変形;低い持久力;人の手を借りないで立っていることの困難または階段を上がることの不能;動きの喪失;麻痺;心筋症;うっ血性心不全の発生;および不規則な心拍の部分的または完全な軽減を含む。
一部の実施形態では、本方法は、寿命を改善する(例えば、増大させ、延長する)。一部の実施形態では、本方法は、少なくとも1つの症状、例えば、本明細書に記載の症状を改善することを含む。一部の実施形態では、症状は、疲労、学習困難、知的障害、筋力低下、運動技能の困難、歩行困難、呼吸困難、心疾患、心筋症、うっ血性心不全、不整脈、脊柱側弯症、仮性肥大、筋肉の消耗、筋拘縮、筋肉の変形、および呼吸器障害(例えば肺炎)である。
一部の実施形態では、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩は、複数回用量、例えば、所定の間隔で投与される。一部の実施形態では、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩は、長期間(1、2、3、4、5、6日毎、1、2、3、4、5、6、7、8、9週間毎、1、2、3、4、5、6、7、8、9カ月毎またはそれ超毎に、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10回)(例えば、1、2、3、4、5、6日、1、2、3、4、5、6、7、8、9週間、1、2、3、4、5、6、7、8、9カ月またはそれ超にわたって)投与される。一部の実施形態では、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩は、1日1回投与される。一部の実施形態では、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩は、単回用量で投与される。
一部の実施形態では、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩は、1対象当たり約0.1mg〜約1mg(例えば、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、または1mg)の用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩は、1対象当たり1mg以下、0.9mg以下、0.8mg以下、0.7mg以下、0.6mg以下、0.5mg以下、0.4mg以下、0.3mg以下、0.25mg以下、0.2mg以下、または0.1mg以下の用量で投与される。一部の実施形態では、用量は、1対象当たり0.1mgである。一部の実施形態では、用量は、1対象当たり0.25mgである。
一部の実施形態では、用量は、1対象当たり0.5mgである。一部の実施形態では、用量は、1対象当たり1mgである。一部の実施形態では、用量は、例えば、約0.2mg〜約0.8mg、約0.3mg〜約0.7mg、または約0.4mg〜約0.6mgである。
一部の実施形態では、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩は、対象の体重1キログラム当たり約2μg〜約1000μgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩は、対象の体重1キログラム当たり1000μg以下、800μg以下、500μg以下、400μg以下、300μg以下、200μg以下、100μg以下、30μg以下、20μg以下、15μg以下、10μg以下、7μg以下、または2μg以下の用量で投与される。一部の実施形態では、用量は、対象の体重1キログラム当たり2μgである。一部の実施形態では、用量は、対象の体重1キログラム当たり7μgである。一部の実施形態では、用量は、対象の体重1キログラム当たり15μgである。一部の実施形態では、用量は、対象の体重1キログラム当たり30μgである。一部の実施形態では、用量は、約2μg〜約1000μg、約5μg〜約800μg、約10μg〜約500μg、約10μg〜約300μg、約10μg〜約200μg、または約10μg〜約100μgである。
一部の実施形態では、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩は、食事摂取をした後に投与される。一部の実施形態では、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩は、食事摂取をして少なくとも60分後に投与される。一部の実施形態では、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩は、食事摂取をして約10分〜約120分後に投与される。
一部の実施形態では、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩は、食事摂取をして約10分、約20分、約30分、約45分、約60分、約75分、約90分、約105分、または約120分後に投与される。一部の実施形態では、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩は、食事摂取をする前に投与される。一部の実施形態では、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩は、食事摂取をする約10分〜約60分前に投与される。一部の実施形態では、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩は、食事摂取をする約10分、約20分、約30分、または約45分前に投与される。一部の実施形態では、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩は、食事摂取をする60分前〜食事摂取をして2時間後に投与される。
一部の実施形態では、化合物は、化合物(II)またはその薬学的に許容される塩もしくは代謝産物
にin vivoで変換する。
一部の実施形態では、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩もしくは組成物は、経口、皮下、静脈内、筋肉内、鼻腔内、経皮、経粘膜、頬側、舌下、または肺投与を介して投与される。一部の実施形態では、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩もしくはその組成物は、経口投与を介して投与される。
一部の実施形態では、対象は、ヒトである。一部の実施形態では、対象は、男性である。一部の実施形態では、対象は、小児である。一部の実施形態では、対象は、思春期前である。一部の実施形態では、対象は、約1歳〜約18歳の年齢である。一部の実施形態では、対象は、病的筋肉(例えば、萎縮、線維性)を有する。
一部の実施形態では、化合物(I)は、いかなる塩または不純物も実質的に含まない。一部の実施形態では、化合物は、少なくとも95%の鏡像体過剰率である。一部の実施形態では、化合物は、少なくとも98%の鏡像体過剰率である。一部の実施形態では、化合物は、少なくとも99%の鏡像体過剰率である。
一部の実施形態では、処置された対象におけるテストステロンのレベルは、処置前の対象におけるテストステロンのレベルと比較して実質的に変化していない。
一部の実施形態では、処置の方法は、いかなる副作用、例えば、肥満、行動の問題、より細いかつ/またはより弱い骨(骨粗鬆症);思春期の遅れ、胃の問題(胃食道逆流もしくはGERD)、白内障、感染に対する感受性;性腺機能低下症、筋肉の消耗、ならびに骨粗鬆症;心血管のリスク(例えば、心血管疾患、冠動脈疾患、高血圧、心不整脈、うっ血性心不全、心発作、突然心臓死);前立腺がんのリスク、ハイポゴンディズム(hypogondism)、ならびにホルモンの不均衡に関する状態(例えば、男性思春期の誘導、女性化乳房、精巣萎縮、および精子産生の減少)も実質的に含まない。
一部の実施形態では、化合物は、(a)タンパク同化ステロイド処置と比較して対象の筋肉および骨に対するより高い活性、ならびに(b)タンパク同化ステロイド処置と比較して対象の前立腺に対するより低い活性の一方または両方によって特徴付けられる。
一態様では、本発明は、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、代謝産物もしくはプロドラッグ
を含む医薬組成物であって、
約0.1mg〜約1mgの化合物(I)またはその薬学的に許容される塩を含む、医薬組成物を提供する。一部の実施形態では、医薬組成物は、0.1、0.2、0.25、0.3、0.4、または0.5mgの化合物(I)またはその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、薬学的に許容される賦形剤を含む。
一部の実施形態では、医薬組成物は、単位剤形で構成される。一部の実施形態では、医薬組成物は、固形剤形(例えば、カプセル剤、錠剤)で構成される。一部の実施形態では、固形剤形は、錠剤、カプセル剤、サッシェ、散剤、顆粒剤、およびロゼンジ剤からなる群から選択される。一部の実施形態では、医薬組成物は、液体剤形で構成される。
一部の実施形態では、医薬組成物は、追加の治療剤を投与することをさらに含む。一部の実施形態では、追加の治療剤は、ステロイド化合物である。一部の実施形態では、ステロイド化合物は、コルチコステロイド、例えば、プレドニロソン(prednilosone)である。一部の実施形態では、治療剤は、非ステロイド化合物である。
一態様では、本発明は、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、
を含む医薬組成物であって、1剤形当たり約0.1mg〜約1mg以下の化合物(I)またはその薬学的に許容される塩を含む剤形で構成された、医薬組成物を提供する。
一態様では、本発明は、請求項34に記載の医薬組成物、および対象の体重1キログラム当たり約0.2μg〜約1000μgの剤形で対象に医薬組成物を経口投与するための指示書を含む、キットを提供する。
一態様では、本発明は、化合物(I)、化合物(I)を含む組成物、およびMD、例えばDMDを有する対象を処置するのに使用するための指示書の1つまたは複数を含む、キットを提供する。
一態様では、本発明は、対象における筋ジストロフィーを処置する方法であって、対象が、筋ジストロフィーに罹患しているか、またはそれに感受性であるか否かを判定することと、判定に基づいて処置のための対象を選択することと、治療有効量の化合物(I)またはその薬学的に許容される塩を投与し、それにより対象における筋ジストロフィーを処置することとを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、判定は、観測値を参照値と比較することを含む。一部の実施形態では、前記対象は、例えば、本明細書に記載の診断の方法において記載されているような、本明細書に記載のパラメータについて評価される。一部の実施形態では、判定は、筋萎縮を測定すること、例えば、歩行試験、階段昇段試験を含む。
本明細書に述べられるすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、その全体が参照により組み込まれる。
本発明を、添付の図面を参照して単なる例として本明細書に記載する。
図1は、横隔膜の収縮性(単収縮張力)に対する薬物処置の例示的な効果を表す。 図2は、横隔膜の収縮性(強縮張力)に対する薬物処置の例示的な効果を表す。 図3は、横隔膜の収縮性(ピークまでの時間)に対する薬物処置の例示的な効果を表す。 図4は、横隔膜の収縮性(緩和時間)に対する薬物処置の例示的な効果を表す。 図5は、横隔膜の収縮性(単収縮張力と強縮張力の比)に対する薬物処置の例示的な効果を表す。 図6は、横隔膜の収縮性に対する薬物処置の例示的な効果を表す。 図7は、横隔膜の収縮性(疲労)に対する薬物処置の例示的な効果を表す。 図8は、EDLの収縮性(単収縮張力)に対する薬物処置の例示的な効果を表す。 図9は、EDLの収縮性(強縮張力)に対する薬物処置の例示的な効果を表す。 図10は、EDLの収縮性(ピークまでの時間)に対する薬物処置の例示的な効果を表す。 図11は、EDLの収縮性(緩和時間)に対する薬物処置の例示的な効果を表す。 図12は、EDLの収縮性(単収縮張力と強縮張力の比)に対する薬物処置の例示的な効果を表す。 図13は、EDLの収縮性に対する薬物処置の例示的な効果を表す。 図14は、EDLの収縮性(疲労)に対する薬物処置の例示的な効果を表す。 図15は、収縮閾値(mechanical threshold)に対する薬物処置の例示的な効果を表す。 図16は、収縮閾値に対する薬物処置の例示的な効果を表す。 図17は、収縮閾値に対する薬物処置の例示的な効果を表す。 図18は、mdxマウスのEDL筋線維の全膜イオン伝導度に対する単一薬物処置の効果を表す。 図19は、クレアチンキナーゼのレベルに対する薬物処置の例示的な効果を表す。 図20は、乳酸脱水素酵素のレベルに対する薬物処置の例示的な効果を表す。 図21は、反応性酸素種のレベルに対する薬物処置の例示的な効果を表す。 図22は、横隔膜筋およびGC筋の組織診断の代表的な写真を表す。 図23は、薬物処置後の代表的な形態計測分析を表す。 図24は、最初における、ならびに化合物(I)、NANDおよびPDNを用いておよび用いないで4週間処置した後における、野生型マウスおよびmdxマウスについての例示的なin vivoパラメータを表す。 図25は、最大で12週間にわたって0.3、3、および30mg/kgで化合物(I)を用いておよび用いないで処置した野生型マウスおよびmdxマウスの例示的なin vivoパラメータを表す。 図26は、アンドロゲン感受性組織および他の潜在的な標的組織の重量に対する化合物(I)を用いた処置の例示的な効果を表す。 図27は、アンドロゲン感受性組織および他の潜在的な標的組織の重量に対する化合物(I)の例示的な用量依存効果および時間依存効果を表す。 図28は、様々な薬物処置を用いたwtマウスおよびmdxマウスに由来する横隔膜筋の最大アイソメトリック単収縮および強縮張力の例示的な値を示す。 図29は、化合物(I)を用いておよび用いないで処置された野生型マウスおよびmdxマウスから単離されたEDL筋の例示的なアイソメトリック収縮およびエキセントリック収縮を表す。 図30は、化合物(I)およびNANDおよびPDNを用いておよび用いないで処置した野生型マウスおよびmdxマウスにおけるEDL筋の例示的な機能的な細胞パラメータを示す。 図31は、化合物(I)を用いておよび用いないで処置された野生型マウスおよびmdxマウスにおけるEDL筋の例示的な機能的な細胞パラメータを示す。 図32は、化合物(I)を用いておよび用いないで処置されたmdxマウスに由来する横隔膜筋および腓腹筋の例示的なヘマトキシリン−エオシン染色を表す。 図33は、化合物(I)、NANDおよびPDNを用いておよび用いないで処置されたmdxマウスの線維症マーカーに対する例示的な効果を示す。 図34は、マウスに化合物を皮下送達した後の8時間にわたる化合物(I)の例示的な血漿レベルを表す。 図35は、化合物(I)を用いておよび用いないで処置された、野生型マウスおよび運動させたまたは運動させていないmdxマウスについての例示的な血清テストステロンレベルを示す。 図36は、化合物(I)を用いておよび用いないで処置された後のハウスキーピング遺伝子GADPHと比較した標的遺伝子の例示的なレベルを表す。
定義
本明細書において、冠詞「a」および「an」は、冠詞の文法的対象の1つまたは1つを超える(例えば、少なくとも1つ)を指す。
「約」および「およそ」は一般に、測定の特質または精度を考慮して測定される量についての誤差の許容される程度を意味するものとする。誤差の例示的な程度は、所与の値または値の範囲の20パーセント(%)、典型的には10%以内、より典型的には5%以内である。
「試料」、「組織試料」、「対象試料もしくは患者試料」、「対象もしくは患者の細胞試料もしくは組織試料」、または「検体」はそれぞれ、対象または患者の組織、例えば、体液から得られる生体試料を指す。組織試料の源は、新鮮な、凍結されたおよび/または保存された臓器、組織試料、生検または吸引物に由来する固体組織;血液または任意の血液構成要素(例えば、血清、血漿);体液、例えば、脳脊髄液、全血、血漿および血清などであり得る。試料は、非細胞画分(例えば、血漿、血清、または他の非細胞体液)を含み得る。一実施形態では、試料は、血清試料である。他の実施形態では、試料が個体から得られる体液は、血液(例えば、全血)を含む。ある特定の実施形態では、血液をさらに処理して血漿または血清を得ることができる。一部の実施形態では、試料は、組織、細胞(例えば、末梢血単核細胞(PBMC))を含有する。一実施形態では、試料は、NK細胞を含む。例えば、試料は、とりわけ、細針生検試料、保管試料(archival sample)(例えば、既知の診断および/または処置歴を有する保管された試料)、組織切片(例えば長期間の貯蔵後の、例えば凍結切片またはホルマリン固定切片)(例えば筋組織切片、例えば、骨格筋、心筋、平滑筋)であり得る。用語の試料は、試料から精製または処理されたポリペプチドおよび核酸(例えば、ゲノムDNA、cDNA、RNA)を含めた生体試料から得られ、かつ/またはこれに由来する任意の材料を含む。試料の精製および/または処理は、抽出、濃縮、抗体単離、分類、濃縮、固定、試薬の添加などの1つまたは複数を伴うことができる。試料は、性質上組織と天然に混ざっていない化合物、例えば、防腐剤、抗凝固剤、バッファー、固定液、栄養分、抗生物質などを含有し得る。
本明細書において、「調節因子」または「調節する」は、リガンド(例えば、化合物、薬物)の結合によるタンパク質(例えば、酵素、受容体(例えば、アンドロゲン受容体))の制御を指す。結合は、活性部位またはアロステリックな結合部位において非可逆性、可逆性、完全、または部分的である場合がある。調節因子としては、アンタゴニスト、アゴニスト、アゴニスト−アンタゴニスト、部分アンタゴニスト、部分アゴニストがある。「アゴニスト」は、細胞の一部の受容体(例えば、アンドロゲン受容体)に結合し、かつ/またはそれを上方制御し、しばしば天然に存在する物質の作用を模倣する細胞応答の誘因となる化学物質、例えば、リガンド、化合物、薬物である。例えば、特定の受容体の内因性アゴニストは、その受容体に結合し、それを活性化する、体によって産生される天然に存在する化合物であり、例えば、アンドロゲン受容体の内因性アゴニストは、アンドロゲンである。「アンタゴニスト」は、受容体に結合するとそれ自体は生物学的応答を惹起しないが、アゴニスト媒介応答を遮断し、減衰させ、または下方制御する一タイプのリガンドまたは薬物である。アンタゴニストは一般に、これらの同族の受容体に対して親和性を有するが、有効性を有さず、しかし相互作用を混乱させ、受容体においてアゴニストまたは逆アゴニストの機能を阻害する。アンタゴニストは、アンタゴニスト−受容体複合体の寿命に応じて可逆性または非可逆性であり得る。アンタゴニスト(完全もしくは部分)またはアゴニスト(完全もしくは部分)としての本発明の化合物の活性は、連続的なスペクトルを表示することが当業者によって察知されるであろう。したがって、一部の化合物は、明確にアゴニストまたは明確にアンタゴニストとなるが、一部の化合物は、アゴニスト活性およびアンタゴニスト活性の両方を呈することになる。
処置の方法
本発明は、とりわけ、MD、例えばDMDを処置するための方法であって、本明細書に記載の化合物、例えば、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、代謝産物もしくはプロドラッグを含む組成物を投与することを含む、方法に関する。提供される本発明の組成物および方法は、例えば、骨格筋の質量および/または強度を増大させ、タンパク質合成を増強し、かつ再生および/または代謝効率を増強し得る。
筋ジストロフィー
MDは、動きをコントロールする骨格筋の進行性衰弱および変性によって特徴付けられる30を超える遺伝病の一群である。MDは、筋骨格系を弱め、移動運動を阻む。MDの一部の形態は、乳児期または子供期に見られる一方、他の形態は、中年またはそれより後期まで現れない。障害は、筋力低下(一部の形態のMDは、心筋にも影響する)の分布および程度、開始の年齢、進行の速度、ならびに遺伝のパターンの観点から異なる。MDは、骨格筋線維の進行性変性によって引き起こされる。MDは、筋タンパク質の欠陥ならびに筋細胞および組織の死によって特徴付けられる。DMDなどの最も重度の形態では、再生は、疲弊し、骨格筋は、脂肪および線維性組織によって徐々に置き換えられる。DMDは一般に、患者における進行性衰弱、ならびに最終的に呼吸不全および/または心不全による死を引き起こす。
ジストロフィン異常症は、Xp21領域内のX染色体の短いアーム上に位置したジストロフィン遺伝子中の突然変異から生じる一群の筋ジストロフィーである。[Kunkelら、1985年;Monacoら、1985年;Rayら、1985年]。これらのうちで、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は、ジストロフィン遺伝子産物である筋細胞膜下タンパク質ジストロフィンの完全な不在から生じる最も一般的なジストロフィン異常症である。[Hoffmanら、1987年a;Koenigら、1987年;Hoffmanら、1988年]。その対立遺伝子バリアントであるベッカー型筋ジストロフィー(BMD)は、より稀有であり、重症度および提示の時間が様々である。
ジストロフィン遺伝子は、これまで単離された最も大きいヒト遺伝子である。男児の約90%は、正常なジストロフィン転写を混乱させる「アウトオブフレーム」突然変異に対応するジストロフィンがない[Gillardら、1989年]。これらの突然変異は、未成熟終止コドンおよびmRNA転写の早期終結を引き起こし得る。結果として、急速な崩壊を起こし、ほぼ検出不可能な濃度の短縮タンパク質を生成する不安定なRNAが産生され得る。突然変異が翻訳の読みを維持する場合、「インフレーム」欠失、可変的に減少した量の異常な分子量のジストロフィンを有するBMD表現型が存在する[Hoffmanら、1988年]。この読み枠仮説は、症例の約90%について当てはまり、一般に、ジストロフィン異常症の診断上の確認として、かつDMDおよびBMDの鑑別診断のための両方で使用される。これらの2つの典型的な情勢の例外は、患者のおよそ10〜13%で起こる[Nevoら、2003年]、[Muntoniら、1994年]。デュシェンヌ型およびベッカー型患者の約60%は、欠失型の構造的再配列を顕在化させる[Kunkel、1986年;den Dunnenら、1987年]。2つの欠失ホットスポットは、エクソン45〜55およびエクソン2〜19を含む[Den Dunnenら、1989年;Oudetら、1992年;Nobileら、1995年]。患者の他の40%は、小さい突然変異(枠シフトをもたらす点突然変異もしくはナンセンス突然変異)または重複から生じる。遺伝的欠陥は、X染色体連鎖劣性形質であるので、ジストロフィン異常症は、男児および若い男性において主に発現される。しかし、女児は、彼女らも偏りのあるX染色体不活化(skewed X-inactivation)を呈する場合DMDの症状を顕在化し得る[Lescaら、2003年]。
ジストロフィンは、骨格筋および心筋中の筋細胞膜下領域に局在化し、全筋タンパク質の0.002%をコンポーズする[Hoffmanら、1987年a];[Hoffmanら、1987年b]。ジストロフィンは、細胞骨格系アクチン、および膜貫通型ジストロフィン糖タンパク質複合体(DGC)タンパク質α−ジストログリカンの細胞質尾部に結合し、したがって細胞骨格から細胞外マトリックスへのリンクを形成する。ジストロフィンは、コスタメア(costamer)内で組織化されており、他の筋肉領域より筋腱間接合部および神経筋接合部において、より多い量で存在する。心臓では、これはまた、T細管と関連している。平滑筋では、これは、ビンキュリンと交互して膜に沿って不連続である。
筋ジストロフィーにおける筋細胞死(アポトーシスおよびネクローシスによる)は、条件付きであり得、筋肉と年齢に伴った変化との間で変動する傾向を反映する[Rando、2001年a]。DMDにおける隣接する筋肉群が完全に正常であり得る一方、他の筋肉群が活性なネクローシスを起こしているという事実は、進行が不可避ではなく、処置可能であり得ることを示唆する。内因性の生化学的機構は、筋細胞が生きるか死ぬかの感受性を変更する一方、遺伝的欠陥および生化学的欠陥は、一定のままであり、そのときこれらの経路の薬理学的調節は、DMDおよび他の筋ジストロフィーにとって順調な療法をもたらし得る[Rando、2001年b]。MDの徴候および症状としては、進行性の筋肉の消耗、バランスが悪いこと、眼瞼下垂、萎縮、脊柱側弯症、歩行の不能(inability to walk)、頻繁な転倒、アヒル歩行(waddling gait)、ふくらはぎ変形、限られた範囲の動き、呼吸困難、関節性拘縮、心筋症、不整脈、および筋痙攣がある。症状には、疲労、学習困難、知的障害、筋力低下、運動技能の困難、歩行困難、呼吸困難、心疾患、心筋症、うっ血性心不全、不整脈、脊柱側弯症、仮性肥大、筋肉の消耗、筋拘縮、筋肉の変形、および呼吸器障害(例えば、肺炎)も含まれる。
MDの診断は、筋生検、筋電図検査、心電図検査、DNA分析、および/またはクレアチンホスホキナーゼの増大の判定の結果に基づき得る。医師の検査および患者の医療歴は、患者が提示するMDのタイプの判定における医師の診断を助けることになる。
MDの現存する治療手法は、ステロイド、例えば、プレドニゾロン、デフラザコート、およびダントロレンを伴うことができ、これらは、中程度の有益な効果をもたらし、典型的には重度の副作用が伴い、この副作用としては、骨粗鬆症、高血圧、クッシング症候群、体重増加、白内障、低身長、胃腸症状、ステロイドの場合における行動変化、および肝損傷がある。
MDとしては、例えば、デュシェンヌ型、ベッカー型、肢帯型、先天性、顔面肩甲上腕型、筋緊張性、眼咽頭型、遠位型、およびEmery−Dreifuss型筋ジストロフィーがある。特定の実施形態では、ある特定のタイプのMDは、タンパク質ジストロフィンの欠損または機能不全によって少なくとも部分的に特徴付けられる。このような筋ジストロフィーには、DMDおよびベッカー型筋ジストロフィー(BMD)が含まれる。様々なMDを以下でさらに詳細に論じる。
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)。DMDは、その自然経過に委ねると、10代後半、20代前半までに呼吸不全によって早期死亡をもたらし得る容赦なく進行性の骨格筋障害である。DMDの発病率は、男性の出生でおよそ3300人に1人[Jeppesenら、2003年;CDC、2007年]から1:4700[Dooley、2010年]である。遺伝の一般的なモードは、X染色体連鎖劣性である(すなわち、母親がキャリアである)が、この障害は、症例のおよそ30%に寄与する高い自然発生的突然変異率に関連している[BrooksおよびEmery、1977年;van Essenら、1992年]。この突然変異率は、任意の他の遺伝子障害についてより10倍高いと推定されており[Hoffmanら、1992年]、その理由は、デュシェンヌ遺伝子のサイズが極めて大きいためである[HoffmanおよびKunkel、1989年]。遺伝子を構成する250万塩基対(X染色体の完全な1%)がランダムな突然変異事象の大きな標的をもたらす。この高い突然変異率のために、遺伝カウンセリングによる疾患の根絶は、困難であることが証明されている。
ジストロフィン欠損は、DMDの主原因であり得る一方、複数の二次的な経路が、筋肉ネクローシスの進行、異常な線維症、および徐々に悪化する臨床状況をもたらす再生の失敗に関与する。筋線維の酸化ラジカル損傷[Rando、2002年]、炎症[SpencerおよびTidball、2001年;Porterら、2002年]、異常なカルシウム恒常性[Allen、2010年;Millay、2009年]、筋核アポトーシス[Rando、2001年b;Sandriら、2001年;Tews、2002年]、異常な線維症ならびに再生の失敗[Rando、2001年b;Bernasconi、1995年];[Melone、2000年;Morrison、2000年;Luz、2002年]を支持する証拠がある。この文献の本文は、DMDにおける複数の欠陥機構の全体的な分析を可能にするクロスセクショナルゲノムワイド(cross sectional genome-wide)手法によって検証された[Chenら、2000年;Porter、2003年]。DMDの主な症状は、随意筋、例えば、腰、骨盤領域、大腿、肩、およびふくらはぎの筋肉が最初である筋肉の消耗に関連した筋力低下である。筋力低下は、例えば、腕、首、および他の領域でも起こるが、下半身における場合より後期に起こる。症状は、ぎこちない様式の歩行、足取りまたは走行も含む(例えば、患者は、ふくらはぎの緊張の増大のために自分の前足で歩く場合があり、または膝伸筋の脱力を補うためにつま先で歩く場合がある)。頻繁な転倒、疲労、運動技能(例えば、走行、ホッピング、ジャンピング)の困難、腰椎前彎の増大(例えば、腰屈筋を短縮する)、筋線維が短くなり、線維症が結合組織で起こるために機能性を損なうアキレス腱および膝屈曲筋の筋肉拘縮(contracuture)、歩行の進行性の困難、筋線維の変形、舌筋およびふくらはぎの筋肉の仮性肥大(拡大)、神経行動学的障害(例えば、注意欠陥多動性障害、学習障害(失読症)、および特定の認知スキルにおける非進行性衰弱)のより高いリスク、歩く能力の最終的な喪失、ならびに骨格の変形も、DMDを有する患者に関連し得る。
症状は通常、6歳の年齢の前の男性の子供において現れ、乳児期の早期に目に見える場合がある。症状は、乳児期の早期まで現れないが、検査室検査により出生時に活性突然変異を担持する子供を同定することができる。例えば、症状の開始前のDMDの早期診断のための例示的な遺伝子検査は、本明細書および例えば、Priorら、Arch Pathol Lab Med.、1991年10月;115巻(10号):984〜90頁に記載されている。筋肉量の喪失に関連した脚および骨盤の進行性近位筋力低下が最初に観察され、衰弱は、最終的に腕、首、および他の領域に拡散する。早期の徴候は、ふくらはぎの筋肉および三角筋の拡大(仮性肥大)、低い持久力、ならびに人の手を借りないで立っていることの困難または階段を上がることの不能を含み得る。
状態が進行するにつれて、筋組織は消耗を経験し、最終的に脂肪および線維性組織によって置き換えられる(線維症)。10歳までに、歩行を助けるのにブレースが要求される場合があり、12歳までに、ほとんどの患者は、車椅子に依存する。
より後期の症状は、脊椎の湾曲を含めた骨格の変形に至る異常な骨の発生を含み得る。筋肉の進行性の劣化は、運動の喪失に至り、最終的に麻痺に至る。DMDを有する患者は、知能障害を提示する場合があり、または提示しない場合がある。患者が知能障害を提示する場合、これは、典型的には年齢とともに徐々に悪化しない。DMD患者の平均余命は、およそ25歳の年齢である。
DMDは、例えば、男児が9〜12歳の年齢である時間の間に、患者の崩壊していく歩行能力を観察することによって臨床的に観察され得る。筋肉の消耗は、脚および骨盤に始まり、肩および首の筋肉に進行し、その後腕の筋肉および呼吸筋の喪失が続く。ふくらはぎの筋肉拡大(仮性肥大)が明らかなとなり得る。心筋症(例えば、拡張型心筋症、DCM)が一般的であり、うっ血性心不全または不規則な心拍(不整脈)の発生が場合によって起こる。DMDを有する子供は、通常より容易に疲れ、彼らの同輩より低い全体的な強さを有し、極めて高レベルのクレアチンキナーゼ、Xp21遺伝子中の遺伝的エラーを有し得、かつ/または神経の損傷によってではなく筋組織の破壊によって引き起こされる衰弱を示す筋電図検査を有し得る。筋生検または遺伝子検査により、ジストロフィンの不在を確認することができる。
未処置の男児におけるDMDの進行は、予測可能な過程をたどることができる。しかし、疾患過程は、積極的な薬理学的処置(例えば、コルチコステロイド)、およびリハビリテーション処置を用いて修正することができる。以下の順序の事象が、処置されたおよび未処置のDMDの両方において最終的に起こり得るが、一般に前者ではより後期の年齢で起こる。疾患は、筋線維ネクローシスおよび高血清クレアチンキナーゼ酵素レベルを伴って乳児期に存在するが、臨床的顕在化は、典型的には3歳の年齢またはそれより後まで認識されない。この「治療ウインドウ」は、以前には強調されていなかったが、これはそれ自体、進んだ筋肉変性に続発する症状の開始を場合により防止し、または遅延させるための早期治療的介入の開発に役立つ。歩行は、転倒の増大を伴って遅延され得る。歩行異常性は典型的には、3〜4歳の年齢で明らかである。筋力低下は通常、抗重力より低い力を伴って首の屈筋に最初に存在する。結果として、子供は一般に、床での仰臥位から起き上がるとき自分の横を向く必要が有り、ガウアーの手技(Gower’s maneuver)の最初の徴候を示す。ふくらはぎの筋肉の肥大が典型的には起こり、しばしば3または4歳の年齢までに非常に顕著である。腰帯筋が一般に、肩帯筋より早く影響される。股関節伸筋の衰弱に起因して、これらの患者は、歩いているとき左右に揺れ動く傾向があり、年長のDMD男児に典型的なアヒル歩行を生じさせる。筋力低下によって引き起こされる前方の腰の回転は、肩を腰、膝および足首にわたって整列させて、バランスの中心を安定に保つのに必要な腰椎前彎の増大をもたらす。
未就学児は、床から立ち上がることの困難を有し得、45度、次いで90度、最後に180度向きを変え(首屈筋の衰弱の程度に応じて)、床に手を置いて起き上がる。後に、完全なガウアーの徴候が呈される場合がある。筋肉劣化が前進するにつれて、階段を上がることが困難となり得、手すり上で両手を使用すること、または四つんばいになって這うことを必要とする。腕および脚の遠位筋は、疾患が進行するにつれて衰弱を示し得る。歩行運動は、ステロイドナイーブにおいて10歳までに、ステロイド処置DMDにおいて約3〜10年の後に喪失され得る。活発な、毎日のストレッチングを必要とする踵骨腱、腸脛靭帯および股関節屈筋の拘縮は、4〜5歳の年齢という早期に始まる主要な問題であり得る。
強度およびバランスの劣化の加速はしばしば、介入疾患または外科的に誘導された固定化から生じる。歩行運動がもはや可能でない場合、車椅子が要求され得る。拘縮は、下肢でより顕著になり、すぐに肩を伴い得る。歩行運動が喪失された後、脊柱後側弯症が発生し得る。青年期の患者は、増大する衰弱を顕在化させ、自分の腕、手、および指で日常の一日の作業を実施することができない。肺機能は、肋間筋および横隔膜筋の衰弱ならびに重度の脊柱側弯症のために、損なわれた状態になり得、歩行運動ができない男児の病期の後期に起こり得、DMDにおける死亡率の主原因となり得る。歩行運動ができない状況に到達するまでの時間を遅延させることは、脊柱側弯症の発生および呼吸機能に対して、したがって生存期間において有意なインパクトを有することができ、それは、コルチコステロイド処置で当てはまっていた[Biggarら、2004年]。人工呼吸器の使用ならびに良好な肺および心臓のケアにより、一部の国では25歳において約58%まで生存期間が増大した(未処置のDMDにおいてさえ)[Gomez-MerinoおよびBach、2002年][Eagleら、2002年]。
DMDを有する男児は、特に彼らがエクソン48〜53の欠失を有する場合、心筋症のリスクにある場合がある[Nigroら、1994年]。心電図(ECG)および心エコー図を用いて、5〜6歳、次いで再び10〜12歳の年齢で心筋症について早期にスクリーニングすると、多くの場合心不全の徴候が明らかになる前の心拍出量の障害を伴った心筋症の検出が可能となり得る。DMDにおける軽度の心臓危殆化(cardiac compromise)は、男児の最大で95%で起こり得る[Melaciniら、1996年]。慢性心不全は、最大で50%に影響する場合がある[Melaciniら、1996年]。突然の心不全は、特に青年期中に起こり得る。準臨床的または臨床的な心不全は一般に、DMD/BMD患者の約90%において存在するが、DMD患者のわずか20%およびBMD患者の50%において死の原因である[Melaciniら、1996年;FinstererおよびStollberger、2003年]。
血清クレアチンキナーゼ(CK)レベルは、デュシェンヌ型ジストロフィン異常症の有益な、普遍的に使用される診断上の酵素インジケーターであり得る。CK、筋肉イソエンザイムは、疾患の過程の早期に、典型的には正常の10,000〜30,000倍、大いに上昇する。DMDおよびBMDの遺伝子検査は、特に遺伝子の2つの「ホットスポット」における欠失について広く利用可能である。マルチプレックスPCRによるわずか19のエクソンのスクリーニングにより、すべての欠失の約98%が同定される[Beggsら、1990年]。これらの試料のサザンブロット分析は頻繁に、欠失が、桿状ドメイン内にあるとき、読み枠をシフトさせ、したがって、DMDまたはBMDにとって決定的となり得るか否かを予測することができる。この技法は、一般的な欠失(患者の60%)の分子診断にとって非常に有効である。より最近の技術は、DMDおよびBMDの他の40%に関与する特異的分子欠陥の探索においてジストロフィン遺伝子全体をスクリーニングすることを可能にした[Mendellら、2001年;Dentら、2005年]。筋生検は、線維サイズ変動、変性線維および再生線維、より小さい線維のクラスター、筋内膜線維症(endomesial fibrosis)、ならびにいくつかの散乱したリンパ球を示す。C末端、桿状ドメインおよびN末端に対するモノクローナル抗体とのジストロフィンの免疫反応性の不在は、DMDの正確な診断をもたらす。免疫ブロットによる定量的なジストロフィン分析は、典型的には免疫染色より診断にとってより正確であり、ジストロフィンは、DMD患者において5%未満である。
血漿クレアチンキナーゼの顕著な上昇は、MD、例えばDMDの典型的な診断マーカーである。
突然変異されたジストロフィン遺伝子の筋肉特異的アイソフォームを検出するためのDNA試験、ジストロフィンタンパク質の不在を明らかにするための筋生検、および胎児における最も一般的な突然変異の存在についての出産前の試験は、子供が状態を有するか否かを示すことになる。
現在、DMDの治癒はない。一般に症状をコントロールし、生活の質を最大にすることを目的とした処置としては、コルチコステロイド(例えば、プレドニゾロン、デフラザコート)、ベータ2−アゴニスト、穏やかな不快でない身体活動、理学療法、矯正装具(例えば、ブレース、車椅子)、および適切な呼吸補助がある。
ベッカー型筋ジストロフィー(BMD)。BMDは、タンパク質ジストロフィンの異常産生(例えば、十分でないジストロフィンまたは欠陥のあるジストロフィン)をもたらす遺伝子突然変異によって引き起こされる筋ジストロフィーの劣性X染色体連鎖形態である。BMDは、症状が後期に現れ、よりゆっくりと進行する点でDMDのそれほどひどくないバリアントである。BMDは、30,000人の男性中わずか1人に影響し、症状は通常、2歳から16歳の年齢の間に現れ、場合によっては25歳という後期に現れる。状態は、心臓問題を引き起こし得、重症度は様々となる。BMD患者は通常、老齢まで生存する。
先天型筋ジストロフィー。出生時に、または生後最初の数カ月で患者に存在する先天型筋ジストロフィーは、ゆっくりと進行し、男性および女性の両方に影響する。症状は、一般的な筋力低下および可能性がある関節変形を含む。ミオシン欠損を有する2つの同定された形態、福山型筋ジストロフィーおよび先天型筋ジストロフィーは、重度かつ早期の拘縮(例えば、筋肉の短縮または縮小、関節問題)とともに筋力低下を引き起こす。福山先天型筋ジストロフィーは、脳内の異常(例えば、発作)を引き起こす。先天型MDは、典型的にはゆっくりと進行し、一般に、寿命の短縮をもたらす。結果として生じる筋肉変性は、軽度または重度であり得、骨格筋に制限され、または脳および他の臓器系に対する効果と対を成す場合がある。先天型MDの一部の形態は、ジストロフィン−糖タンパク質(gycloprotein)複合体、および筋細胞とその周囲細胞構造との接続に関連するタンパク質の欠陥によって引き起こされる。
遠位型筋ジストロフィー。遠位型筋ジストロフィーは、典型的には約20〜60歳の年齢の成人の男性および女性の両方に影響し、遠位筋(例えば、前腕、手、下腿、足)の衰弱および消耗を引き起こす珍しい形態の筋ジストロフィーである。遠位型筋ジストロフィーは、それほどひどくなく、よりゆっくりと進行し、他の形態の筋ジストロフィーより少ない筋肉に影響する。遠位型MDは、典型的には、生命を危うくしない。
Emery−Dreifuss型筋ジストロフィー。Emery−Dreifuss型は、子供期から10代早期に現れる筋ジストロフィーの珍しい形態であり、男性のみに影響する。筋肉短縮(拘縮)が疾患の早期に起こる場合があり、筋力低下を伴ってゆっくりと進行し、後期に肢帯筋(limb-girdle mucle)、例えば、胸部および骨盤の筋肉に拡散する。Emery−Dreifuss型は、肩、上腕および下腿において筋力低下および消耗を引き起こすが、他の形態の筋ジストロフィーよりそれほどひどくない筋力低下を引き起こす。心臓伝導欠陥および不整脈も患者に生じる場合があり、これは、未処置で放置すると、脳卒中および突然死のリスクが増大する。
Emery−Dreifuss型MDの3つのサブタイプが存在し、通常これらの遺伝のパターンによって区別可能である:X染色体連鎖、常染色体優性、および常染色体劣性。X染色体連鎖形態が最も一般的である。疾患は、EMD遺伝子としても公知のLMNA遺伝子中の突然変異によって引き起こされ得る。両遺伝子は、核膜のタンパク質をコードする。
顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)。FSHDは、顔、肩甲骨、胸部、上腕骨、腕および脚を動かす筋肉に生じる一形態の筋ジストロフィーである。FSHDは通常、10代から早期成人期に始まり、男性および女性の両方に影響し得る。状態は一般に、短い期間の急速な筋肉劣化および衰弱を伴ってゆっくりと進行する。重症度は、非常に軽度から完全に不能に及ぶ場合があり、しばしば歩行、咀嚼、嚥下に影響し、会話問題を引き起こす。ほとんどのFSHD患者は、通常の寿命を生き、約半分がその生涯にわたって歩く能力を保持する。
肢帯型筋ジストロフィー(LGMD)。LGMDは、腰に始まり、肩、腕および脚に移動する進行性衰弱を引き起こす。歩行は、20年以内に困難または不可能となり得、LGMDを有する患者は、典型的には中年から後期成人期まで生きる。多くの形態のLGMDが同定されており、遺伝の異なるパターン、例えば、常染色体劣性、常染色体優性を示す。劣性の形態は、ジストロフィン−糖タンパク質複合体のタンパク質の欠陥と関連している。LGMDに罹患する患者は、いくつかの支援とともに通常の生涯を導くことができるが、極端な場合では、例えば、心肺の合併症から死亡し得る。
筋緊張性筋ジストロフィー。筋緊張性筋ジストロフィー(Mytonic muscular dystrophy)は、MMDまたはシュタイネルト病としても公知であり、成人における筋ジストロフィーの最も一般的な形態である。筋緊張性筋ジストロフィーは、男性および女性の両方に影響し、通常、子供期早期から成人期の任意の時間に提示する。これは時に、新生児において現れる(例えば、先天型MMD)。筋緊張性筋ジストロフィーの症状は、筋肉の長時間の攣縮または硬化(またはミオトニー)であり、それは、寒い気温で悪化し得る。状態は、中枢神経系、心臓、胃腸管、眼、およびホルモン産生腺にも影響する。MMDは通常、日常生活を制限しないが、筋緊張性筋ジストロフィーを有する患者は、減少した平均余命を有する。筋緊張性ジストロフィーは、重症度およびその顕在化が様々であり、骨格筋に加えて多くの体組織、例えば、心臓、内分泌器官、眼、および胃腸管に影響する。MMDは、長時間の筋痙攣、白内障、心臓異常、および内分泌障害によって典型的に表される。MMDを有する個体は、典型的には、長い細い顔、眼瞼下垂、および白鳥のような首を有する。
スタイナート病は、MDの最も一般的な形態であり、筋緊張性ジストロフィープロテインキナーゼ遺伝子のDNA配列中の短いリピートの伸長から生じる。筋緊張性MDタイプ2は、はるかに稀有であり、亜鉛フィンガータンパク質9遺伝子中のCCTGリピートの伸長の結果であり、これは、重要な筋タンパク質の産生を妨害し得る。
眼咽頭型筋ジストロフィー。眼咽頭型筋ジストロフィーは、男性および女性の両方においてその40代、50代、および60代に現れ得、眼および顔の筋肉の衰弱を引き起こす。眼咽頭型筋ジストロフィーは、一般に後期に起こる骨盤および肩の筋肉の衰弱を伴って嚥下困難に至り得る。窒息および再発性肺炎が、この状態を有する患者において起こり得る。
本発明の方法は、例えば、代替の療法、例えば、タンパク同化薬療法と比較して、良好な吸収、良好な半減期、良好な溶解度、良好な生物学的利用能、低いタンパク質結合親和性、低減された薬物間相互作用、良好な代謝的安定性、および低減された副作用、例えば、より低い標的外効果を示し得る、例えば、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、代謝産物もしくはプロドラッグ、あるいは化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、代謝産物もしくはプロドラッグを含む組成物を投与することを含み得る。一態様では、本発明の化合物は、薬理学的性質の有意な改善、例えば、生物学的利用能の改善、有効性の改善、副作用の低減を呈する。本発明の化合物がこれらの改善の任意の1つまたは複数を呈する場合、このような化合物は、化合物の潜在的な使用において利点を付与することになることが予期される。例えば、提供される化合物が生物学的利用能の改善を呈する場合、化合物は、より低い用量で投与することができ、したがって、可能性がある望まれない副作用が起こることを低減することが予期される。
提供される方法は、MD、例えばDMDに罹患している、または感受性の個体を有効に処置するのに使用され得る。用語「処置する」または「処置」は、本明細書において、対象、例えば対象への、単独での、または1つもしくは複数の追加の化合物と組み合わせた化合物および/または組成物の適用または投与、あるいは対象、例えば、障害(例えば、本明細書に記載の障害)、障害の症状、または障害への素因を有する対象に由来する単離された組織または細胞、例えば細胞株への、障害、障害の1つもしくは複数の症状、または障害への素因を治癒させ、癒し、軽減し、緩和し、変更し、矯正し、回復させ、改善し、または影響を与え(例えば、障害の少なくとも1つの症状を最小限にし、または障害の少なくとも1つの症状の開始を遅延させ)、かつ/あるいは疾患の1つまたは複数の症状の重症度または頻度を減らす目的での、化合物および/あるいは組成物の適用あるいは投与を指す。MDの例示的な症状としては、それだけに限らないが、筋肉変性、筋力低下、筋肉の消耗、ぎこちない様式の歩行、足取りまたは走行、頻繁な転倒、疲労、運動技能の困難、筋線維の変形、仮性肥大、骨格の変形、低い持久力、人の手を借りないで立っていることの困難、または階段を上がることの不能、動きの喪失、麻痺、心筋症、およびうっ血性心不全の発生、または不規則な心拍がある。
MDの症状は、任意の利用可能な方法によって測定され得ることが察知されるであろう。例えば、筋萎縮は、例えば、歩行運動試験(例えば、継続時間歩行試験、距離歩行試験)、時限機能試験(例えば、仰臥位から起立するまでの時間、10メートルを走る/歩く時間、階段を昇降する時間)、筋収縮計(例えば、上肢、下肢の筋力測定(myometry))、健康に関連した生活の質(例えば、身体的、情緒的、社会的な機能)、エネルギー消費量(例えば、歩行速度によって除されたアクティブ心拍数対安静時の心拍数)、呼吸機能、または電気インピーダンス筋運動記録法(EIM)により判定される場合の残っている機能活性のパーセントによって測定することができる。EIMは、診断ツールとして個体の筋肉の電気インピーダンスを測定することによって筋肉の健康を測定し、経時的なその変化を追跡することができる非侵襲性技法である。
一部の実施形態では、処置は、筋肉変性、筋力低下または筋肉の消耗の、部分的または完全な軽減、寛解、緩和、阻害、開始の遅延、重症度および/または発病率の低減を指す。一部の実施形態では、筋肉変性、筋力低下、または筋肉の消耗は、ぎこちない様式の歩行、足取りまたは走行、頻繁な転倒、疲労、運動技能の困難、筋線維の変形、仮性肥大、骨格の変形、低い持久力、人の手を借りないで立つことの困難、または階段を上がることの不能、動きの喪失、麻痺、心筋症、およびうっ血性心不全もしくは不規則な心拍の発生によって特徴付けられる。一部の実施形態では、処置は、ぎこちない様式の歩行、足取りまたは走行、頻繁な転倒、疲労、運動技能の困難、筋線維の変形、仮性肥大、骨格の変形、低い持久力、人の手を借りないで立つことの困難、または階段を上がることの不能、動きの喪失、麻痺、心筋症、およびうっ血性心不全もしくは不規則な心拍の発生の、部分的または完全な軽減、寛解、緩和、阻害、開始の遅延、重症度および/または発病率の低減を指す。
一部の実施形態では、処置は、寿命を改善する(例えば、増大させ、延長する)ことを指す。
一部の実施形態では、提供される方法は、対象におけるMD、例えばDMDの1つまたは複数の症状を改善する。例えば、本発明の化合物を、疲労、学習困難、知的障害、筋力低下、運動技能の困難、歩行困難、呼吸困難、心疾患、心筋症、うっ血性心不全、不整脈、脊柱側弯症、仮性肥大、筋肉の消耗、筋拘縮、筋肉の変形、およびMD、例えばDMDに関連した呼吸器障害(例えば肺炎)を低減するのに十分な時間および量で投与し、それによりMD、例えば、DMDの症状を改善することができる。症状のこのような改善は、本明細書に記載の1つまたは複数の方法によって対象において判定され得る。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の症状は、対照、例えば、参照試料もしくは歴史的試料、未処置の対象、またはプラセボで処置された対象と比較して、対象において約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、100%、またはそれ超減少する。
一部の実施形態では、処置は、生存(例えば、生存時間)の増大を指す。例えば、処置は、患者の平均余命を増大させることができる。一部の実施形態では、本発明による処置により、処置を伴わない同様の疾患を有する1つまたは複数の対照個体の平均余命と比較して、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、約105%、約110%、約115%、約120%、約125%、約130%、約135%、約140%、約145%、約150%、約155%、約160%、約165%、約170%、約175%、約180%、約185%、約190%、約200%、またはそれ超、患者の平均余命が増大する。一部の実施形態では、本発明による処置により、処置を伴わない同様の疾患を有する1つまたは複数の対照個体の平均余命と比較して、約6カ月超、約7カ月超、約8カ月超、約9カ月超、約10カ月超、約11カ月超、約12カ月超、約2年超、約3年超、約4年超、約5年超、約6年超、約7年超、約8年超、約9年超、約10年超、またはそれ超、患者の平均余命が増大する。一部の実施形態では、本発明による処置は、患者の長期間の生存をもたらす。本明細書において、用語「長期間の生存」は、約40年超、45年超、50年超、55年超、60年超、またはそれ超の生存時間または平均余命を指す。
標的組織
本明細書において、用語「標的組織」は、MD、例えばDMDによって影響されている任意の組織を指す。例示的な標的組織としては、骨、骨格筋(例えば、病的骨格筋)、随意筋(例えば、腰、骨盤領域、大腿)、上半身(例えば、腕、首、肩)の筋肉、下半身の筋肉(例えば、腰屈筋、ふくらはぎの筋肉、アキレス腱、膝屈曲筋)がある。一部の実施形態では、標的組織は、心筋である。一部の実施形態では、標的組織は、横隔膜である。一部の実施形態では、標的組織には、ジストロフィンタンパク質の不在または異常な存在(例えば、ジストロフィンタンパク質の欠損または機能不全)がある組織が含まれる。標的組織は、例えば、骨格筋、例えば、病的骨格筋を指す場合がある。一部の実施形態では、本発明の方法は、骨格筋に影響する。骨格筋は、3つの主要な筋肉タイプ(骨格、心臓、および平滑)のうちの1つである。骨格筋は、横紋筋組織の一形態であり、体細胞神経系によってコントロールされる(これは、自発的にコントロールされる)。骨格筋は、コラーゲン線維の束である腱によって骨に付着している。
「標的外組織」は、標的組織でない任意の組織、例えば、心臓、性別に関連する臓器、生殖に関連した臓器(例えば、前立腺)を指す。
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法は、1つまたは複数の標的組織に優先的に達成される。一部の実施形態では、本明細書に記載の化合物(例えば、化合物(I))は、これらが標的外組織に結合するより、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10倍、またはそれ超高い親和性で標的組織に結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載の化合物(例えば、化合物(I))は、標的外組織に結合するより、例えば、100%、150%、200%、250%、300%、またはそれ超高い親和性で標的組織に結合する。
副作用
現存する療法、例えば、タンパク同化薬を用いたMD、例えばDMDを有する対象の処置から生じ得る有害な副作用としては、肥満、行動の問題、より細いかつ/またはより弱い骨(骨粗鬆症)、思春期の遅れ、胃の問題(胃食道逆流またはGERD)、白内障、および感染への感受性がある。提供される組成物および方法は、標的組織内で作用する、例えば、生物学的効果を発揮する、例えば、アンドロゲン受容体を調節することができ、例えば、具体的には、有害な副作用を減少させ、または低減する。アンドロゲン、例えば、テストステロンおよびジヒドロテストステロンは、細胞内アンドロゲン受容体によって広範囲の生理的プロセスをコントロールする。アンドロゲンの循環レベルまたはアンドロゲン受容体調節の変更、例えば、動的細胞内アンドロゲン受容体複合体の突然変異または変化は、障害、例えば、性腺機能低下症、筋肉の消耗、および骨粗鬆症などに至り得る。したがって、テストステロンを用いた処置は、潜在的な心血管のリスク(例えば、心血管疾患、冠動脈疾患、高血圧、心不整脈、うっ血性心不全、心発作、突然心臓死)、および前立腺がんのリスクと関連する。
タンパク同化ステロイド、例えば、ナンドロロン、オキサンドロロンは、体内のテストステロンと同様の効果を有するステロイド薬である。タンパク同化ステロイドは、標的組織内でステロイドの有益な効果をマスクする、骨格筋以外のアンドロゲン感受性組織に対する効果を生じさせ得る。タンパク同化ステロイドからの望まれない副作用は、標的外部位(標的組織以外の部位)に対するステロイドの作用に関連する場合があり、心血管のリスク、前立腺がんのリスク、およびハイポゴンディズムを含む。副作用としては、ホルモンの不均衡に関する状態(例えば、男性思春期の誘導、女性化乳房、精巣萎縮、および精子産生の減少)、コレステロールレベルの有害な変化(例えば、低密度リポタンパク質の増大および高密度リポタンパク質の減少)、ざ瘡、高血圧、肝損傷、心臓の左心室の構造の危険な変化もある。副作用は、使用の長さに依存して様々となり、免疫系を損傷させ、血圧(例えば、特に現存する高血圧を有する者における)を上昇させ、早すぎる禿頭症を生じさせ、肝損傷を引き起こし、性機能を低減し、一時的な不妊症をもたらし得る。
特に青年において、副作用として、骨の延びの早すぎる停止(エストロゲン代謝産物のレベルの増大による早すぎる骨端軟骨融合)、発育の止まった成長、加速された骨の成熟、勃起の頻度および継続時間の増大、ならびに早すぎる性的発育を挙げることができる。精神医学的な副作用としては、健康に関連した芳しくない態度、攻撃性、暴力、躁病、精神病、気分障害、および自殺がある。
提供される方法は、処置前の対象に存在するテストステロンのレベルと比較して実質的変化していない、処置された対象におけるテストステロンのレベルをもたらし得る。一部の実施形態では、提供される方法は、同じ性別および年齢の処置されていない対象についての通常の参照範囲内である、処置された対象におけるテストステロンレベルをもたらす。一部の実施形態では、処置の方法は、対象においていずれの副作用も実質的に含まない。
対象
提供される組成物および/または方法によって処置される対象は、MD、例えば、ベッカー型筋ジストロフィー、先天型筋ジストロフィー、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、遠位型筋ジストロフィー、Emery−Dreifuss型筋ジストロフィー、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー、肢帯型筋ジストロフィー、筋緊張性筋ジストロフィー、または眼咽頭型筋ジストロフィーなどに罹患しており、またはそれに感受性である。処置される対象は、例えば、筋生検または他の診断法によって判定される場合、病的筋肉(例えば、萎縮、線維性)を有し得る。本明細書において、用語「対象」は、ヒトならびに非ヒト動物、例えば、脊椎動物、大型動物、および霊長類を含むように意図されている。ある特定の実施形態では、対象は、哺乳動物対象であり、特定の実施形態では、対象は、ヒト対象である。ヒトに対する用途が明確に予見されるが、例えば、非ヒト動物に対する獣医学的用途も、本明細書で想定されている。本発明の用語「非ヒト動物」は、すべての脊椎動物、例えば、非哺乳動物(ニワトリ、両生類、爬虫類など)、ならびに哺乳動物、例えば、非ヒト霊長類、飼いならされた動物、および/または農業で有用な動物など、例えば、とりわけ、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウシ、ブタを含む。
一部の実施形態では、対象は、男性である。一部の実施形態では、対象は、例えば、出生から約21歳の年齢までの小児である。例えば、対象は、21歳の年齢、またはそれより若い、例えば、18歳、16歳、14歳、12歳、10歳、8歳、6歳、4歳、2歳、1歳の年齢、またはそれより若い場合がある。一部の実施形態では、対象は、例えば、男性において思春期前であり、思春期は、典型的には、およそ11歳または12歳の年齢で始まる。典型的には、男性における思春期は、16〜17歳の年齢までに完了する。例えば、対象は、10から18歳の年齢の間、11から17歳の年齢の間、12から16歳の年齢の間、13から15歳の年齢の間の男性であり得る。
例示的なヒト対象には、障害、例えば、本明細書に記載の障害を有するヒト対象、または正常な対象が含まれる。
上記に論じたように、MD、例えば、DMDは、進行性筋力低下に至る進展中の筋肉変性および再生、筋損傷への感受性の増大、ならびに筋細胞および組織の変性および死によって部分的に特徴付けられる筋肉膜または筋タンパク質の欠陥を有する筋肉疾患の群を指す。対象がMDを有するか否かに関する判定、およびMDの特定のタイプの判定は、当業者が受け入れ、利用している任意の尺度によって行うことができる。例えば、対象の診断として、標的化された医療歴および検査、生化学的評価、筋生検、および/または遺伝子検査を挙げることができる。
対象の医療歴は、MD、例えば、DMDを診断するのに使用してもよい。例えば、DMDを有する対象は、典型的には、5歳の年齢前に症候性であり、走行、ジャンピング、およびステップを登ることの困難を経験する。近位の衰弱は、個体に、床から起き上がる際に自分の腕を使用させる(すなわち、ガワーズの徴候)。独立した歩行運動はしばしば、14歳の年齢までに喪失され、引き続いて呼吸機能の劣化ならびに拘縮および脊柱側弯症の発生を伴う。対象は一般に、静的な認知障害を被る。
DMDを有する男児のおよそ3分の1が14歳の年齢までに心筋症を発生させ、ほとんどすべてが18歳の後に発生させる。うっ血性心不全および不整脈は、末期DMDにおいて一般的である。DMDを有するほとんどの若い男性は、その10代後半または20代前半において呼吸不全または心不全で死亡する。
例えば、酵素活性および発現レベル、例えば、血清クレアチンキナーゼレベル、乳酸脱水素酵素レベルの測定などの生化学的評価を、筋ジストロフィー(例えば、DMD)を有する対象を診断するのに使用することができる。血清クレアチンキナーゼレベルの増大は、筋損傷の増大を示す。本発明は、高いまたは上昇した血清クレアチンキナーゼレベルを伴った筋ジストロフィーを有する対象の処置を提供する。ある特定の実施形態では、本方法を使用して処置するのに適したヒト対象は、特に、対象が本明細書に記載の状態を有する場合に、高いまたは上昇した血清クレアチンキナーゼレベルを伴ったMD、例えばDMDを有する対象である。血清乳酸脱水素酵素レベルの増大は、代謝苦痛の増大を示す。本発明は、高いまたは上昇した乳酸脱水素酵素レベルを伴ったMD、例えばDMDを有する対象の処置を提供する。ある特定の実施形態では、本方法を使用して処置するのに適したヒト対象は、特に、対象が本明細書に記載の状態を有する場合に、高いまたは上昇した血清乳酸脱水素酵素レベルを伴ったMD、例えばDMDを有する対象である。一部の実施形態では、血清クレアチンキナーゼは、1リットル当たりの酵素活性の単位(U/L)で測定した場合、5000、6000、7000、8000、9000、10000、または11000より大きい。一部の実施形態では、血清クレアチンキナーゼは、1リットル当たりの酵素活性の単位(U/L)で測定した場合、5000〜25000、7500〜20000、または10000〜20000の間である。一部の実施形態では、血清クレアチンキナーゼレベルは、出生時の血清クレアチンキナーゼレベルより、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100倍、またはそれ超高い。
筋生検も、MD、例えば、DMDを有すると対象を診断するのに使用され得る。例えば、DMD患者からの筋生検は、筋肉の脂肪および結合組織による置換を伴った線維サイズの変性、再生、および可変性を示す。本発明は、低減されたまたは低い筋肉ジストロフィンレベルを有する対象におけるMD、例えばDMDを処置するための方法を提供する。
遺伝子検査も、筋ジストロフィーを有すると対象を診断するのに使用され得る。遺伝子検査で使用される技法としては、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、サザンブロット法、突然変異スキャニング、および/または配列分析がある。ジストロフィン遺伝子の欠失は、DMD患者の65%およびBMD患者の85%で検出される。ジストロフィンの定量アッセイを、表現型を予測するのに使用してもよい(例えば、DMD患者は、ジストロフィンの正常な量の5%未満を有し、BMD患者は、少なくとも20%の正常なジストロフィンレベルを有する)。筋肉量のコントロールに関与する遺伝子(例えば、筋肉再生または筋肉成長のマーカー、例えば、ミオゲニン、IGF−1、フォリスタチン);筋肉代謝およびメカノトランスダクションシグナル伝達の調節因子(例えば、ペルオキシソーム増殖因子受容体γ−コアクチベーター(PGC)−1α)の分析を使用して、MD、例えばDMDを有すると対象を診断することができる。例えば、遺伝子検査を実施するために、単一の日常の血液試料が収集される場合があり、これをジストロフィンDNAにおける突然変異について分析することができる。試験は、突然変異のタイプ(例えば、欠失、重複、挿入、ミスセンス、ナンセンス)を判定し、ジストロフィン遺伝子内のその場所を判定することもできる。
ジストロフィンDNAにおける欠失および重複を最初に試験し、その後、例えば、遺伝子変化、挿入、ミスセンス、ナンセンス突然変異を判定することができる遺伝子配列決定および配列分析を伴う第2の試験を続けてもよい。
生化学的評価、例えば、代謝産物プロファイリングまたは代謝産物レベル、例えば、テストステロンレベル(例えば、遊離、全)の測定などを使用して、MD(例えばDMD)を有する対象の処置の化合物、組成物、または方法の標的外効果を判定してもよい。テストステロンレベルは、例えば、血液検査、唾液試験、尿試験から判定される場合があり、例えば、電気化学発光イムノアッセイ(ECLIA)、液体クロマトグラフィー−質量分析(LC/MS)法によって分析することができる。
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法は、未処置の対象と比較して、標的外組織(例えば前立腺)と比べて標的組織(例えば骨格筋、例えば病的骨格筋)内でテストステロンのレベルが増大した対象をもたらす。本発明は、とりわけ、筋ジストロフィーを有する対象の処置であって、標的外組織において正常レベル、例えば生理的レベルのテストステロンをもたらす、処置を提供する。一部の実施形態では、処置された対象におけるテストステロンのレベルは、処置前に対象中に存在するテストステロンのレベルと比較して実質的に変化していない。一部の実施形態では、提供される組成物および方法は、(a)タンパク同化薬、例えばステロイド処置と比較して対象の筋肉および骨に対するより高い活性、(b)タンパク同化薬、例えばステロイド処置と比較して対象の前立腺に対するより低い活性の一方または両方によって特徴付けられる。
患者の選択および監視
対象におけるMD、例えばDMDを処置するための組成物および方法が本明細書に提供されている。対象がMD、例えばDMDに罹患しているか否かを判定し、判定に基づいて処置のための対象を選択し(例えば、筋肉の消耗、筋線維症を測定して)、有効量の化合物(I)またはその薬学的に許容される塩を投与し、それにより対象におけるMD、例えばDMDを処置する方法がさらに提供されている。MD、例えばDMDを発生させるリスクのある対象を予測する(例えば生化学的評価、例えば酵素活性および発現レベル、例えば、血清クレアチンキナーゼレベル、乳酸脱水素酵素レベルの測定によって、遺伝子検査、例えば、ジストロフィン、ミオゲニン、ICF−1、フォリスタチン、およびまたは(PGC)−1αの定量アッセイによって)方法も本明細書に記載されている。
一部の実施形態では、対象は、対象の例えば、医療歴、遺伝子検査、筋生検、生化学的評価によって診断される場合に、対象がMD、例えばDMDを有するという判定に基づいて、処置のために選択される。
一部の実施形態では、対象は、ステロイド、アルブテロール、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、ベータ−ブロッカー、利尿薬、プロトンポンプ阻害剤、アミノ酸、カルニチン、補酵素Q10、クレアチン、魚油、緑茶抽出物、またはビタミンEのうちの1つまたは複数を用いてMD、例えば、DMDについて以前に処置されたことがある。
一態様では、本発明は、対象におけるMD、例えば、DMDの処置を評価する方法であって、対象におけるMD、例えば、DMDの状況値を取得することと、取得したMD、例えばDMD値に応答して、化合物(I)を含む医薬組成物を対象に投与することと、1つまたは複数の所定時間間隔で対象におけるMD、例えばDMDの状況値の変化を検出することと、それにより、対象におけるMD、例えばDMDの処置を評価することとを含む、方法である。一部の実施形態では、本方法は、同じスケジュール、経時変化もしくは投薬で医薬組成物の投与を継続すること、変更した用量の医薬組成物を投与すること、医薬組成物の投与のスケジュールもしくは経時変化を変更すること、または代替の療法を投与することのうちの1つまたは複数を実施し、それにより対象におけるMD、例えばDMDを処置することを含む。
化合物
化合物(I)(GLPG0492、G100192としても公知)は、アンドロゲン受容体(AR)の活性に影響し、例えば、ARを調節することができる化合物である。活性剤は、例えば、WO2010/029119に開示されている化合物(I):
またはその薬学的に許容される塩、代謝産物もしくはプロドラッグである。一部の実施形態では、活性剤は、化合物(I)のプロドラッグである。一部の実施形態では、活性剤は、化合物(I)の代謝産物である。一部の実施形態では、化合物(I)は、代謝され、例えばin vivoで酸化されて化合物(II):
またはその薬学的に許容される塩になる。一部の実施形態では、活性剤は、化合物(II)である。一部の実施形態では、活性剤は、化合物(II)のプロドラッグである。
本明細書において、用語「代謝産物」は、例えば、対象の体内で処理されて、薬物になった化合物を指す。代謝産物は、化合物の分解および排除の天然の生化学過程の一部として形成される代謝の中間体および産物である。一実施形態では、処理は、結合、例えば共有結合の切断または形成を含む。一部の実施形態では、処理は、化合物の酸化を含む。一部の実施形態では、処理は、化合物の化学的改質、例えば、グルクロン酸化、グリコシル化を含む。
純度
組成物の「鏡像体過剰率」または「%鏡像体過剰率」は、以下に示す式を使用して計算することができる。以下に示す例では、組成物は、90%の一方の鏡像異性体、例えば、R鏡像異性体、および10%の他方の鏡像異性体、すなわち、S鏡像異性体を含有する。
ee=(90−10)/100=80%。
したがって、90%の一方の鏡像異性体および10%の他方の鏡像異性体を含有する組成物は、80%の鏡像体過剰率を有すると言われる。
一部の実施形態では、提供される組成物は、少なくとも50%、75%、90%、95%、または99%の鏡像体過剰率の、化合物(I)の例えばR−鏡像異性体を含有する。言い換えれば、組成物は、S鏡像異性体に対して鏡像体過剰のR鏡像異性体を含有する。
医薬組成物
本明細書において、障害を処置するのに有効な組成物もしくは化合物の量、または「治療有効量」は、対象に単回用量または複数回用量を投与すると、このような処置の不在化で予期されるものを越えて、組織を処置することにおいて、または障害を有する対象を治癒、軽減、緩和もしくは改善することにおいて有効である組成物または化合物の量を指す。
用語「薬学的に許容される担体またはアジュバント」は、本明細書において、本発明の化合物と一緒に対象に投与してもよく、治療量の化合物を送達するのに十分な用量で投与されるときその薬理活性を破壊せず、無毒性である担体またはアジュバントを指す。
用語「薬学的に許容される塩」は、本明細書において、親化合物が現存する酸または塩基部分をその塩形態に変換することによって修飾されている開示された化合物の誘導体を指す。薬学的に許容される塩の例としては、それだけに限らないが、アミンなどの塩基性残基の無機塩または有機酸塩、カルボン酸などの酸性残基のアルカリ塩または有機塩などがある。本開示の薬学的に許容される塩には、例えば、無毒性の無機酸または有機酸から形成される、親化合物、例えば、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、代謝産物もしくはプロドラッグの慣例的な無毒性の塩が含まれる。本開示の薬学的に許容される塩は、慣例的な化学的方法によって塩基性部分または酸性部分を含有する親化合物、例えば、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、代謝産物もしくはプロドラッグから合成することができる。一般に、このような塩は、これらの化合物の遊離酸形態または遊離塩基形態を、水もしくは有機溶媒、またはこの2者の混合物中の化学量論量の適切な塩基または酸と反応させることにより調製することができ、一般に、非水媒質様エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、もしくはアセトニトリルが好適である。適当な塩のリストは、Remington’s Pharmaceutical Sciences、17版、Mack Publishing Company、Easton、Pa.、1985年、1418頁、およびJournal of Pharmaceutical Science、66巻、2頁(1977年)に見つかり、そのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
語句「薬学的に許容される誘導体またはプロドラッグ」は、本明細書において、レシピエントに投与すると(直接または間接的に)治療剤を提供することができる化合物の任意の薬学的に許容される塩、エステル、エステルの塩、または他の誘導体、例えば塩酸塩を指す。例えば、プロドラッグは、対象の体内で処理されて薬物になる化合物を指す場合がある。一実施形態では、処理は、結合、例えば共有結合の切断または形成を含む。
一実施形態では、処理は、化合物の酸化、例えば、ヒドロキシル化または「−OH」基の付加を含む。例示的な誘導体およびプロドラッグには、このような化合物が哺乳動物に投与される場合に本発明の化合物の生物学的利用能を増大させ(例えば、経口投与された化合物を血液中により容易に吸収させることによって)、または親種と比べて親化合物の生物学的区画(例えば、脳もしくはリンパ系)への送達を増強するものが含まれる。プロドラッグには、水溶解度または腸膜を通じた能動輸送を増強する基が本明細書に記載の式の構造に追加されている誘導体が含まれる。
経口製剤
用語「経口剤形」は、本明細書において、作用物質、例えば、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、代謝産物もしくはプロドラッグを対象に投与するのに使用される組成物または媒体を指す。典型的には、経口剤形は、口を介して投与されるが、「経口剤形」は、対象に投与される任意の物質に及ぶことが意図されており、例えば、口、食道、胃、小腸、大腸および結腸を含めた胃腸管の膜、例えば、粘膜を横断して吸収される。例えば、「経口剤形」は、栄養管によって胃内に投与される溶液に及ぶ。「経口剤形」は、頬側または舌下に投与される場合がある。経口剤形は、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、代謝産物もしくはプロドラッグに加えて、薬学的に許容される担体、1種または複数の薬学的に許容される賦形剤、例えば、結合剤、安定剤、希釈剤、界面活性剤、香料、および着臭剤を含み得る。
用語「溶解可能な」は、ここで使用する場合、化合物または組成物が圧倒的多数の溶媒中に配置されている、例えば、化合物または組成物が少なくとも10:1の溶媒:化合物または組成物(wt/wt)の比で溶媒中に配置されているとき、120分以内に化合物または組成物の少なくとも50%(wt/wt)、例えば、70%、例えば、80%、例えば、90%、例えば、98%が溶液、例えば水溶液になる化合物または組成物を指す。
薬学的に許容される担体は、滅菌液体、例えば、水、および石油、動物、野菜または合成起源のものを含めた油、例えば、ラッカセイ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油などであり得る。水は、経口剤形が液体であるとき好適な担体である。
食塩液ならびに水性デキストロースおよびグリセロール溶液も、液体担体として使用することができる。経口剤形は、当技術分野で周知の処理、例えば、慣例的な混合、溶解、顆粒化、表面析出、糖衣丸作製、均質混合物化(levigating)、乳化、被包、封入、凍結乾燥処理によって製造され得る。活性成分の製剤および投与についてのさらなる技法は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、Mack Publishing Co.、Easton、Pa.、最新版に見つけることができ、これは、本明細書に完全に示されているように参照により本明細書に組み込まれている。
したがって本発明によって使用するための経口剤形は、活性成分の薬学的に使用することができる調製物への処理を促進する賦形剤および補助剤を含む1種または複数の薬学的に許容される担体を使用して従来の様式で製剤化することができる。
経口投与について、活性成分、例えば、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、代謝産物もしくはプロドラッグは、活性成分を当技術分野で周知の薬学的に許容される担体と組み合わせることによって容易に製剤化することができる。このような担体は、本発明の活性成分が、患者が経口摂取するための錠剤、丸剤、糖衣丸、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、散剤、または顆粒剤、水もしくは非水媒体中の懸濁液もしくは溶液などとして製剤化されることを可能にする。経口使用のための薬理学的調製物は、錠剤または糖衣丸コアを得るために、固体賦形剤を使用して、必要に応じて適当な助剤を添加した後、任意選択で得られた混合物を粉砕し、顆粒剤の混合物を処理して作製することができる。適当な賦形剤、例えば、増粘剤、希釈剤、香味料、分散助剤、乳化剤、結合剤、または防腐剤などが望ましい場合がある。
糖衣丸コアは、適当なコーティングを用いて提供される。この目的のために、アラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、二酸化チタン、ラッカー溶液、および適当な有機溶媒または溶媒混合物を任意選択で含有し得る濃縮された糖溶液が使用され得る。色素または顔料を、活性成分用量の異なる組合せを識別し、または特徴付けるために錠剤コーティングまたは糖衣丸コーティングに添加してもよい。
経口的に使用することができる医薬組成物としては、ゼラチン製の押し込み型カプセル剤、ならびにゼラチンおよび可塑剤、例えば、グリセロールまたはソルビトールなどで作製された密封軟カプセル剤がある。押し込み型カプセル剤は、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、タルクまたはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、および任意選択で安定剤との混ぜ物中に活性成分を含有し得る。軟カプセル剤では、活性成分を、適当な液体、例えば、脂肪油、流動パラフィン、または液体ポリエチレングリコールなどの中に溶解または懸濁させてもよい。
さらに、安定剤を添加してもよい。経口投与用のすべての製剤は、選択された投与経路に適した投与量中にあるべきである。
投与量は、使用される剤形および利用される投与経路に応じて変動し得る。正確な製剤、投与経路、および投与量は、患者の状態を考慮して個々の医師によって選択することができる(例えば、Finglら、1975年、「The Pharmacological Basis of Therapeutics」、第1章、1頁を参照)。上記に列挙したものより低いまたは高い用量が要求される場合がある。任意の特定の対象についての具体的な投与量および治療レジメンは、様々な要因に依存することになり、この要因としては、使用される具体的な化合物の活性、年齢、体重、全体的な健康状況、性別、食餌、投与の時間、排泄率、薬物の組合せ、疾患、状態または症状の重症度および過程、疾患、状態または症状に対する対象の処分、ならびに処置医師の判断がある。
対象の状態が改善した後、維持用量の本発明の化合物、組成物、または組合せを必要であれば投与してもよい。引き続いて、投与量もしくは投与の頻度、または両方を、症状が所望のレベルに軽減されたとき、改善された状態が保持されるレベルに症状の関数として低減してもよい。しかし対象は、疾患症状のいずれかの再発の後、長期間に基づく間欠的治療を必要とする場合がある。
経口剤形は、必要に応じて、活性成分を含有する1つまたは複数の単位剤形を含有し得るFDA承認キットなどのパックまたはディスペンサーデバイスで提供されてもよい。パックは、例えば、ブリスターパックなどの金属またはプラスチックのホイルを含み得る。パックまたはディスペンサーデバイスは、投与のための指示書を伴い得る。パックまたはディスペンサーは、医薬品の製造、使用、または販売を規制する行政機関によって規定されたフォームで容器に付けられた通知を伴う場合もあり、この通知は、組成物またはヒトへの投与もしくは獣医学的投与の形態の機関による認可を反映する。このような通知は、例えば、処方薬について米国食品医薬品局によって承認されたラベル、または承認された製品インサートのものであり得る。
用語「非経口剤形」は、本明細書において、作用物質、例えば、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、代謝産物もしくはプロドラッグを、口または胃腸管以外の様式によって対象に投与するのに使用される組成物または媒体を指す。例示的な非経口剤形または投与モードとしては、鼻腔内、頬側、静脈内、筋肉内、皮下、内部非経口(intraparenteral)、粘膜、舌下、眼内(intraoccular)、および局所(例えば、静脈内または皮下)がある。
医薬品として使用される場合、本発明の組成物は、典型的には医薬組成物の形態で投与される。このような組成物は、医薬品分野で周知の様式で調製することができ、少なくとも1種の活性化合物を含むことができる。一般に、本発明の化合物は、治療有効量で投与される。実際に投与される化合物の量は、典型的には、処置される状態、選択される投与経路、投与される実際の化合物、個々の患者の年齢、体重および応答、患者の症状の重症度を含めた妥当な情勢の観点から医師が判定することになる。
経口投与用組成物は、バルク液体溶液もしくは懸濁液、またはバルク散剤の形態をとり得る。しかしより一般には、組成物は、正確な投薬を促進するために単位剤形で提供される。用語「単位剤形」は、ヒト対象および他の哺乳動物について単位投与量として適当な物理的に別々の単位を指し、各単位は、適当な薬学的賦形剤、ビヒクル、または担体と共同して所望の治療効果を生じさせるように計算された所定量の活性材料を含有する。典型的な単位剤形としては、液体組成物の事前充填、事前測定されたアンプルもしくはシリンジ、または固体組成物の場合では丸剤、錠剤、カプセル剤などがある。このような組成物では、活性化合物は通常、微量コンポーネントであり(約0.1〜約50重量%または好ましくは約1〜約40重量%)、残りは、所望の投薬形態を形成するのに有用な様々なビヒクルまたは担体および加工助剤である。
経口投与に適した液体形態は、バッファー、懸濁剤および分配剤、着色剤、香料などとともに、適当な水性または非水性ビヒクルを含み得る。固体形態は、例えば、以下の成分のいずれか、または同様の特質の化合物を含み得る:結合剤、例えば、微結晶性セルロース、トラガカントガム、もしくはゼラチンなど;賦形剤、例えば、デンプンもしくはラクトースなど、崩壊剤、例えば、アルギン酸、プリモゲル、もしくはコーンスターチなど;ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤;コロイド二酸化ケイ素などの流動促進剤;甘味剤、例えば、スクロースもしくはサッカリンなど;または香味剤、例えば、ペパーミント、サリチル酸メチル、もしくはオレンジ香味料など。
経口投与可能な組成物について上述したコンポーネントは、単に代表的なものである。他の材料および処理技法などは、Remington’s Pharmaceutical Sciences、17版、1985年、Mack Publishing Company、Easton、Pennsylvaniaの第8部に示されており、これは、参照により本明細書に組み込まれている。
本発明の化合物は、徐放形態でまたは徐放薬物送達系から投与することもできる。代表的な徐放材料の記載は、Remington’s Pharmaceutical Sciencesに見つけることができる。
ある特定の実施形態では、活性剤は、インプラントおよびマイクロカプセル化送達系を含めたコントロール放出製剤など、迅速放出から化合物を保護する担体を用いて調製され得る。生分解性、生体適合性ポリマー、例えば、エチレンビニルアセテート、ポリアンヒドリド、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸などを使用することができる。このような製剤を調製するための多くの方法が特許されており、一般に公知である。例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems、J. R. Robinson編、Marcel Dekker, Inc.、New York、1978年を参照。
医薬組成物は、医療用デバイスを用いて投与することができる。例えば、医薬組成物は、無針皮下注射デバイス、例えば、米国特許第5,399,163号、同第5,383,851号、同第5,312,335号、同第5,064,413号、同第4,941,880号、同第4,790,824号、または同第4,596,556号に開示されたデバイスなどを用いて投与することができる。周知のインプラントおよびモジュールの例としては、コントロールされた速度で薬剤を分配するためのインプラント可能マイクロ注入ポンプを開示している米国特許第4,487,603号;皮膚を通じて医薬を投与するための治療用デバイスを開示している米国特許第4,486,194号;正確な注入速度で医薬を送達するための医薬注入ポンプを開示している米国特許第4,447,233号;連続的な薬物送達のための可変流量インプラント可能注入装置を開示している米国特許第4,447,224号;マルチチャンバー区画を有する浸透圧薬物送達系を開示している米国特許第4,439,196号;および浸透圧薬物送達系を開示している米国特許第4,475,196号がある。もちろん、多くの他のこのようなインプラント、送達システム、およびモジュールも公知である。
投与量単位形態または「固定用量」は、本明細書において、処置される対象にとって単位投与量として適した物理的に別々の単位を指し、各単位は、要求される薬学的担体と共同して、かつ任意選択で他の作用物質と共同して、所望の治療効果を生じさせるように計算された所定量の活性化合物を含有する。
一部の実施形態では、医薬組成物は、薬学的に許容される賦形剤を含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、単位剤形で構成される。一部の実施形態では、医薬組成物は、固形剤形(例えば、カプセル剤、錠剤)で構成される。一部の実施形態では、固形剤形は、錠剤、カプセル剤、サッシェ、散剤、顆粒剤、およびロゼンジ剤からなる群から選択される。
一部の実施形態では、医薬組成物は、液体剤形で構成される。一部の実施形態では、医薬組成物は、経口投与される。
組合せ
一部の場合では、提供される組成物、例えば、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、代謝産物もしくはプロドラッグを含む組成物は、追加の作用物質、例えば、治療剤をさらに含み、または追加の作用物質、例えば、治療剤を含む組成物と組み合わせて投与される。
一インプリメンテーションでは、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、代謝産物もしくはプロドラッグ、および追加の作用物質は、組成物として提供され、この組成物が対象に投与される。例えば、組成物を投与する少なくとも24時間前または後に、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、代謝産物もしくはプロドラッグを含む一用量の組成物、次いで追加の作用物質、例えば、治療剤を含む一用量の組成物を別個に投与することがさらに可能である。別のインプリメンテーションでは、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、代謝産物もしくはプロドラッグ、および追加の作用物質、例えば治療剤を含む組成物は、別個の組成物として提供され、投与するステップは、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、代謝産物もしくはプロドラッグを含む組成物、および追加の作用物質を含む組成物を逐次的に投与することを含む。逐次投与は、同じ日(例えば、互いに1時間以内、または少なくとも3、6、もしくは12時間離して)あるいは異なる日に提供することができる。
一般に、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、代謝産物もしくはプロドラッグの組成物、および追加の作用物質の組成物はそれぞれ、時間で分離した複数の用量として投与される。組成物は一般に、それぞれレジメンに従って投与される。一方または両方の組成物のレジメンは、通常の周期性を有し得る。化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、代謝産物もしくはプロドラッグを含む組成物のレジメンは、追加の作用物質を含む組成物のレジメンと異なる周期性を有することができ、例えば、一方を他方より頻繁に投与することができる。例えば、1つの実施では、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、代謝産物もしくはプロドラッグの組成物、および追加の作用物質の組成物は、1日1回投与され、他方は、毎週1回投与される。
一部の実施形態では、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、代謝産物もしくはプロドラッグの組成物、および追加の作用物質のそれぞれは、それぞれが単独療法のために処方されるのと同じ用量で投与される。他の実施形態では、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、代謝産物もしくはプロドラッグの組成物は、単独で投与される場合の有効性のために要求される量と等しい、またはその量未満である投与量で投与される。同様に、追加の作用物質は、単独で投与される場合の有効性のために要求される量と等しい、またはその量未満である投与量で投与することができる。
化合物(I、またはその薬学的に許容される塩、代謝産物もしくはプロドラッグと組み合わせてMD、例えばDMDを処置するための追加の作用物質の非限定的な例としては:
追加の作用物質には、アンドロゲン受容体の調節因子(例えば、アゴニスト、アンタゴニスト)が含まれる。例示的な追加の作用物質としては、タンパク同化剤(例えば、α−メチルプレドニゾロン、ナンドロロン、オキサンドロロン)、アンドロゲン(例えば、テストステロン、ジヒドロテストステロン)、ミオスタチン遮断剤、β2−アドレナリン受容体(adrenocepttor)アゴニスト、および/または選択的アンドロゲン受容体調節因子(SARM)がある。例示的な追加の作用物質としては、ステロイド、例えば副腎皮質ステロイド、例えば、プレドニゾン(プレドニゾロンも)、デフラザコートがある。一部の実施形態では、追加の作用物質としては、クレアチン一水和物;グルタミン;リボソームに結合し、未成熟終止コドンのリードスルー(ナンセンス突然変異)を引き起こす作用物質、例えば、アミノグリコシド抗生物質、例えば、ゲンタマイシンなど;異常な終止コドンのスキップを引き起こす作用物質、例えば、PTC124;または細胞のスプライシング機構に突然変異を含有するジストロフィン遺伝子エクソンを強制的にスキップさせる作用物質、例えば、アンチセンスRNAもしくはモルホリノアンチセンスオリゴヌクレオチドがある。
追加の作用物質には、サプリメントも含まれ、または他の薬物としては、コエンザイムQ10、カルニチン、アミノ酸(例えば、グルタミン、アルギニン)、抗炎症剤/抗酸化剤(例えば、魚油、ビタミンE、緑茶抽出物、ペントキシフィリン)、ハーブまたは植物の抽出物がある。
追加の作用物質の組成物に加えて、他の作用物質を対象に送達することも可能である。しかし、一部の実施形態では、化合物(I)、またはその薬学的に許容される塩、代謝産物、もしくはプロドラッグ以外の追加の作用物質、例えば、小分子治療剤は、医薬組成物として対象に投与されない。
一部の実施形態では、本発明の組成物は、非薬理学的管理と組み合わせて投与される。例えば、筋力低下が進行すると、呼吸筋強度の喪失は、結果として効果的でない咳および呼吸の減少が起こり、肺炎、無気肺、および睡眠中および覚醒中の呼吸不全に至る[Gozal、2000年]。これらの合併症は一般に、慎重な経過観察および呼吸機能の評価を用いて防止できる。DMDを有する患者は、肺炎球菌ワクチンおよび毎年のインフルエンザワクチンを含めた日常の免疫化を受ける場合がある。年長の外来DMD男児は、毎年の肺活量測定を受けることができる。子供が車椅子に束縛された後、彼の強制肺活量(force vital capacity)(FVC)が予測される80%未満に低下し、かつ/または子供が12歳の年齢である場合、彼は、小児呼吸ケアを専門とする医師によって1年に2回診てもらってもよい[Finderら、2004年]。機械的に支援された気道クリアランス療法または機械的に支援された呼吸を必要とするより進んだ患者は、3〜6カ月毎に呼吸器科医に診てもらってもよい。これらの訪問時の日常の評価として、パルス酸素飽和度測定によるオキシヘモグロビン飽和度、肺活量測定、ならびに吸気圧および呼気圧ならびにピーク咳フローの測定を挙げることができる[Bachら、1997年]。支援された咳の技術(assisted cough technology)の使用は、ピーク咳フローが270L/分未満であり、かつ/またはその最大呼気圧が60cm H2O未満であるとき推奨され得る[Finderら、2004年]。DMD患者は、睡眠時無呼吸、夜間低呼吸、および低酸素血症のリスクが増大している。非侵襲性の夜間の呼吸を有する者を処置すると、生活の質を著しく増大させることができる[Baydurら、2000年]。
高抵抗運動、特にエキセントリック収縮を伴うもの(すなわち、重量挙げ)は、筋細胞膜に損傷を与える場合があり、回避されるべきであるが[Ansved、2003年]、運動をしない生活も同等に損傷を与え得る[McDonald、2002年]。アクティブな生活様式を保つこと、例えば、水泳などの非抵抗運動(non-resistive exercise)は、特に子供がステロイドに頼っている場合、過剰な体重増加を防止し得る。スイベルウォーカー(Swivel walker)を使用して、低エネルギー歩行運動をもたらし、生活品質を改善してもよい。
アキレス腱の拘縮、および後期の他の関節の拘縮が一般的である。受動的ストレッチングによって補われた能動的な範囲の運動訓練は、早い段階で拘縮を防止し、より良好な歩行力学を維持するのに重要である。スタンディングボードを歩行運動しない男児に使用して、アキレス腱の一定のストレッチングをもたらしてもよい。精力的なストレッチングが有効でない場合、堅い踵骨腱の外科的解放が有益であり得る[Bushby、2010年b]。長下肢装具(long leg bracing)を、拘縮が補正された後にいくらかの歩行運動を保つために提供することができる。腸脛靭帯も、安定性を維持するために使用される幅広い歩行のために堅くなり得る。股関節屈筋は、歩行運動が腰の前方回転の結果として依然として存在するとき、または後期に、車椅子で長期にわたって座っているために収縮した状態になり得る。腰の屈曲拘縮は、外科的解放、その後のロングレッグブレースの適用によって恩恵を得る場合がある。大腿筋膜の切除(Rideau手順)は、一部の患者にとって有益であり得る[Do、2002年]。
DMDを有する多くの患者は、独立した歩行運動を喪失した後、脊柱側弯症を発生させる。適切にフィットした車椅子に堅固な座席および背中のインサートを使用することは、体幹の姿勢を直立に保つことによって脊柱側弯症を防止するのに有用であり得る。一部の男児について、ロングレッグブレースをフィットさせて毎日立ってブレースされた直立状態を可能にして、湾曲を防止することができる。ステロイドの使用は、おそらくそれが10代早期の成長刺激(growth spur)を越えて歩行運動を延長するために、子供が最終的に車椅子に束縛される場合でさえ、脊柱側弯症を遅延させ、または防止する[Almanら、2004年;Yilmazら、2004年]。脊柱側弯症が30度に到達すると、これは、典型的には年齢および成長とともに進行する。DMDにおける脊柱側弯症を修復することに失敗すると、入院率の増大、肺機能の悪化、および芳しくない生活の質をもたらし得る[bFinderら、2004年]。外科的介入は、肺機能および心臓機能が十分である間に行われ得るが(最良の回復は一般に、FVCが40%超のときである)、肺機能に基づく脊柱側弯症手術についての絶対的禁忌はない[Finderら、2004年]。手術は通常、脊柱側弯症フィルムで測定されるコブ角が30から50度の間になった後計画される[Brookら、1996年]。
心臓障害とDMDの予後との相関は、心エコー検査によって左心室機能不全を測定することによって作製され得る[Corradoら、2002年]。DMDにおける心臓障害の試験についての最近のガイドラインでは[Bushby、2003年;FinstererおよびStollberger、2003年;Bushby、2010年b]、診断時にEKGおよび心エコー検査が推奨され、次いで最大で10歳まで2年毎、引き続いて毎年スクリーニングされる。ACE阻害剤の早期の防止的使用および後のベータ−ブロッカーは、必要な場合使用してもよい[Bushby、2003年;FinstererおよびStollberger、2003年]。
投与および投与量
投与の方法
本発明の独創的な方法は、治療有効量の本明細書に記載の組成物の単回投与および複数回投与を企図する。組成物、例えば、本明細書に記載の組成物は、対象の状態の特質、重症度、および程度に応じて一定間隔で投与することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、単回用量で投与される。一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、複数回用量で投与される。一部の実施形態では、治療有効量の組成物、例えば、本明細書に記載の組成物は、経口で、かつ一定間隔で(例えば、1、2、3、4、5、もしくは6日毎、または1、2、3、4、5、6、7、8、もしくは9週間毎、または1、2、3、4、5、6、7、8、9カ月もしくはそれ超毎に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回またはそれ超)定期的に投与され得る。
一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、所定の間隔で(例えば、1、2、3、4、5、もしくは6日毎、または1、2、3、4、5、6、7、8、もしくは9週間毎、または1、2、3、4、5、6、7、8、9カ月もしくはそれ超毎に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回またはそれ超)投与される。一部の実施形態では、組成物は、長期間投与される。
一部の実施形態では、組成物は、1日1回投与される。
1日当たり、約0.01〜約100mg/体重1kg、好ましくは1日当たり約0.01〜約10mg/体重1kgの投与量レベルが、MD、例えば、DMDの処置に有用である。一部の実施形態では、投与量レベルは、1対象当たり約0.01〜約5g/日、例えば、約0.025〜約2g/日、約0.05〜約1g/日である(約20kgで計算された対象の平均サイズに基づいて)。典型的には、本発明の、および本発明による医薬組成物は、1日当たり約1〜約5回、好ましくは1日当たり約1〜約3回投与されることになる。
一部の実施形態では、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、代謝産物もしくはプロドラッグは、長期間投与される。一部の実施形態では、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、代謝産物もしくはプロドラッグは、1、2、3、4、5、6日毎、1、2、3、4、5、6、7、8、9週間毎、1、2、3、4、5、6、7、8、9カ月毎もしくはそれ超毎に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回またはそれ超投与される。一部の実施形態では、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、代謝産物もしくはプロドラッグは、1日1回投与される。
一部の実施形態では、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、代謝産物もしくはプロドラッグの用量は、例えば、1日に約0.1mg〜約10mg、例えば、1日に約0.25mgまたは約1mgの用量とすることができる。例えば、約0.5/日の用量の化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、代謝産物もしくはプロドラッグを患者に、例えば、1日に1回の0.5mgの用量として投与することができる。一部の実施形態では、0.5mgの用量は、約5mg、10mg、20mg、25mg、30mg、50mg、75mg、100mg、150mg、200mg、またはそれ超の錠剤中にある。一例として、約0.5mg/日の用量の化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、代謝産物もしくはプロドラッグを患者に、例えば、1日2回投与される約0.25mgを投与することができる。
一部の実施形態では、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、代謝産物もしくはプロドラッグは、1対象当たり約0.1mg〜1mg、1対象当たり約0.2mg〜約0.8mg、1対象当たり約0.3mg〜約0.7mg、1対象当たり約0.4mg〜約0.6mgの用量で投与される。
一部の実施形態では、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、代謝産物もしくはプロドラッグは、1対象当たり、1mg以下、0.5mg以下、0.25mg以下、または0.1mg以下の用量で投与される。一部の実施形態では、用量は、1対象当たり0.1mgである。一部の実施形態では、用量は、1対象当たり0.25mgである。一部の実施形態では、用量は、1対象当たり0.5mgである。一部の実施形態では、用量は、1対象当たり1mgである。
一部の実施形態では、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、代謝産物もしくはプロドラッグは、対象の体重1kg当たり約0.1ng〜約1g、対象の体重1kg当たり約100ng〜約10mg、対象の体重1kg当たり約1μg〜約100μg、対象の体重1kg当たり約5μg〜約25μg、約10μg〜約20μg、または約3μg〜約30μgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、代謝産物もしくはプロドラッグは、対象の体重1キログラム当たり250μg以下、150μg以下、100μg以下、50μg以下、30μg以下、15μg以下、7μg以下、または3μg以下の用量で投与される。
一部の実施形態では、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、代謝産物もしくはプロドラッグは、対象の体重1キログラム当たり約3μgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、代謝産物もしくはプロドラッグは、対象の体重1キログラム当たり約7μgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、代謝産物もしくはプロドラッグは、対象の体重1キログラム当たり約15μgの用量で投与される(例えば)。一部の実施形態では、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、代謝産物もしくはプロドラッグは、対象の体重1キログラム当たり約30μgの用量で投与される。
一部の実施形態では、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、代謝産物もしくはプロドラッグは、単回用量で投与される。
一部の実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、経口剤形、例えば、本明細書に記載の経口剤形で提供される。一部の実施形態では、経口剤形は、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、またはそれ超の化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、代謝産物もしくはプロドラッグを含有する。
一部の実施形態では、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、代謝産物もしくはプロドラッグは、100%効能のある、または純粋ではなく(例えば、効能または純度は、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約92%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%効能のあるものである)、この場合では、上述した用量は、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、代謝産物もしくはプロドラッグの合計量ではなく、患者に投与される効能のある、または純粋な化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、代謝産物もしくはプロドラッグの量を指す。これらの用量は、単独療法として、かつ/または例えば、本明細書に記載の組合せ療法の一部として患者に投与することができる。
このような投与は、長期療法として使用することができる。単一剤形を生成するのに担体材料と組み合わされてもよい活性成分の量は、処置される対象に応じて変動し得る。典型的な調製物は、約5%〜約95%の活性化合物(w/w)を含有することになる。好ましくは、このような調製物は、約20%〜約80%、約25%〜約70%、約30%〜約60%の活性化合物(w/w)を含有する。
本開示の組成物が、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、代謝産物もしくはプロドラッグと、1種または複数の追加の治療剤または予防剤との組合せを伴う場合、化合物および追加の作用物質はともに、単独療法レジメンで通常投与される投与量の約10〜100%の間、より好ましくは約10〜80%の間の投与量レベルで存在するはずである。
患者の状態が改善した後、維持用量の本明細書に記載の組成物を必要であれば投与してもよい。引き続いて、投与量もしくは投与の頻度、または両方を、症状が所望のレベルに軽減されたとき、改善された状態が保持されるレベルに、症状の関数として、例えば、約1/2もしくは1/4またはそれ未満の投与量または投与の頻度に低減してもよく、処置を終えるべきである。しかし患者は、疾患症状のいずれかの再発の後、長期間に基づく間欠的治療を必要とする場合がある。
任意の特定の患者の具体的な投与量および治療レジメンは、様々な要因に依存することになり、この要因としては、使用される具体的な化合物の活性、年齢、体重、全体的な健康、食餌、投与の時間、排泄率、薬物の組合せ、および処置医師の判断、および処置される疾患の重症度があることも理解されるべきである。活性成分の量は、特定の記載された化合物、ならびに組成物中の追加の作用物質の存在または不在および特質にも依存することになる。
食物効果
提供される組成物および方法は、食事摂取によって、処置される対象によって影響される場合がある。例えば、食事摂取は、処置の有効性または治療活性を増減させる場合がある。例えば、食事摂取は、化合物、例えば、本明細書に記載の化合物の、例えば、生物学的利用能を増減させることによって治療活性に影響し、化合物、例えば、本明細書に記載の化合物の、タンパク質、例えば、受容体(例えば、AR)を調節する能力に影響し得る。用語「食事摂取」は一般に、例えば、カロリーを含有する液体または固体の摂取量による、栄養分の摂取量を指すことが察知されるであろう。一部の実施形態では、食事は、1杯のミルクまたは他のタンパク質含有飲料であり得る。一般に、食事とともに投与される組成物は、空腹時期間、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12時間またはそれ超の空腹時の期間中に服用されない。
食事の不在化で投与される組成物は、空腹時期間、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12時間、またはそれ超の空腹時の期間中に服用されるべきである。
一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、食事摂取をした後に投与される。一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、食事摂取をして少なくとも10分、少なくとも20分、少なくとも30分、少なくとも45分、少なくとも60分、少なくとも90分、少なくとも120分、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも6時間後に投与される。
一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、食事摂取をする前に投与される。一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、食事摂取をする少なくとも10分、少なくとも20分、少なくとも30分、少なくとも45分、少なくとも60分、少なくとも90分、少なくとも120分、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも6時間前に投与される。
キット
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の1種または複数の遺伝子のレベルを検出または判定するために、試料、例えば、MD、例えばDMD患者に由来する試料を評価するためのキットを特徴として備える。キットは、本明細書に記載の1種または複数の遺伝子を検出するための手段(この遺伝子を特異的に検出する試薬)を含む。ある特定の実施形態では、キットは、MD、例えばDMD療法を含む。
本明細書に記載の方法、デバイス、反応混合物、キット、および他の発明は、本明細書に記載の方法、アッセイ、および/またはキットによって判定された評価または処置のデータを含有する情報、例えば、報告を提供もしくは生産、および/または伝達することをさらに含み得る。情報は、報告を受領する当事者または実体(例えば、患者、医療提供者、診断提供者、および/もしくは管理機関、例えば、FDA)に伝達することができ、またはそうでなければ、本明細書に開示の方法、アッセイおよびキットについての情報を別の当事者に提出する。本方法は、規制上の要件、例えば、管理機関、例えばFDAの認可前または認可後の要件の順守に関する場合がある。一実施形態では、報告書を受領する当事者またはエンティティは、所定の要件または参照値がデータによって満たされているか否かを判定することができ、任意選択で、報告を受領するエンティティまたは当事者からの応答が、例えば、医師、患者、診断提供者によって受領される。
本明細書に記載の本発明の化合物は、キットで提供される場合がある。キットは、本明細書に提供される組成物、例えば、本明細書に記載の化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、プロドラッグもしくは代謝産物を含む組成物、ならびに任意選択で容器、薬学的に許容される担体、および/または情報資料を含む。情報資料は、本明細書に記載の方法および/または本明細書に記載の方法のためのα4アンタゴニストの使用に関する説明的な、教育用の、マーケティングの、または他の資料であり得る。
キットの情報資料は、その形態において限定されない。一実施形態では、情報資料は、本明細書に提供される組成物、例えば、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、プロドラッグもしくは代謝産物を含む組成物の生成、化合物の物理的性質、濃度、有効期限日、バッチまたは生成場所情報などについての情報を含み得る。一実施形態では、情報資料は、本明細書に提供される組成物、例えば、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、プロドラッグもしくは代謝産物を含む組成物を、例えば、本明細書に記載の投与経路によって、かつ/または本明細書に記載の用量および/もしくは投薬スケジュールで投与するための方法に関する。
一実施形態では、情報資料は、本明細書に提供される組成物、例えば、本明細書に記載の化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、プロドラッグもしくは代謝産物を含む組成物を、本明細書に記載の方法を実施するのに適した様式で、例えば、適当な用量、剤形、または投与モード(例えば、本明細書に記載の用量、剤形、または投与モード)で投与するための指示書を含むことができる。別の実施形態では、情報資料は、本明細書に提供される組成物、例えば、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、プロドラッグもしくは代謝産物を含む組成物を、適当な対象、例えばヒト、例えば筋ジストロフィーを有するヒト、例えばDMDを有するヒトに投与するための指示書を含むことができる。
キットの情報資料は、その形態において限定されない。多くの場合では、情報資料、例えば、指示書は、印刷物、例えば、印刷されたテキスト、図面、および/またはフォトグラフ、例えば、ラベルまたは印刷されたシートで提供される。しかし、情報資料は、他のフォーマット、例えば、点字、コンピューター可読材料、録画、または録音などで提供することもできる。別の実施形態では、キットの情報資料は、キットのユーザーが本明細書に提供される組成物、例えば、本明細書に記載の化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、プロドラッグもしくは代謝産物を含む組成物および/あるいは本明細書に記載の方法でのその使用についての実質的な情報を得ることができる連絡先情報、例えば、実際の住所、電子メールアドレス、ウェブサイト、あるいは電話番号である。情報資料は、フォーマットの任意の組合せで提供することもできる。
本明細書に提供される組成物、例えば、本明細書に記載の化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、プロドラッグもしくは代謝産物を含む組成物に加えて、キットの組成物は、他の成分、例えば、界面活性剤、リオプロテクタントもしくは安定剤、抗酸化剤、抗菌剤、増量剤、キレート化剤、不活性ガス、等張化剤および/もしくは粘性剤、溶媒もしくはバッファー、安定剤、防腐剤、薬学的に許容される担体、ならびに/または本明細書に記載の状態もしくは障害を処置するための第2の作用物質などを含み得る。代わりに、他の成分をキット中に、しかし、本明細書に提供される組成物、例えば、本明細書に記載の化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、プロドラッグもしくは代謝産物を含む組成物と異なる組成物または容器中に含めることができる。
一部の実施形態では、キットのコンポーネントは、例えば、ゴムまたはシリコーンクロージャー(例えば、ポリブタジエンまたはポリイソプレンクロージャー)を有する密封バイアル中に貯蔵される。一部の実施形態では、キットのコンポーネントは、不活性条件下で(例えば、窒素、またはアルゴンなどの別の不活性ガス下で)貯蔵される。一部の実施形態では、キットのコンポーネントは、無水条件下で(例えば、乾燥剤とともに)貯蔵される。一部の実施形態では、キットのコンポーネントは、アンバーバイアルなどの遮光容器中に貯蔵される。
本明細書に提供される組成物、例えば、本明細書に記載の化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、プロドラッグもしくは代謝産物を含む組成物は、任意の形態、例えば、液体、凍結、乾燥、または凍結乾燥形態で提供することができる。本明細書に提供される組成物、例えばSARM、例えば、本明細書に記載の化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、プロドラッグもしくは代謝産物を含む組成物は、実質的に純粋であり、かつ/または滅菌したものであることが好適である。本明細書に提供される組成物、例えば、本明細書に記載の化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、プロドラッグもしくは代謝産物を含む組成物が液体溶液で提供される場合、液体溶液は、好ましくは水溶液であり、滅菌水溶液が好適である。一実施形態では、本明細書に提供される組成物、例えばSARM、例えば、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、プロドラッグもしくは代謝産物を含む組成物は、希釈剤または希釈のための指示書とともに供給される。希釈剤は、例えば、塩溶液または食塩液、例えば、6から9の間のpHを有する塩化ナトリウム溶液、乳酸リンガー注射液、D5W、またはPLASMA−LYTE A Injection pH7.4(登録商標)(Baxter、Deerfield、IL)を含み得る。
キットは、本明細書に提供される組成物、例えば、本明細書に記載の化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、プロドラッグもしくは代謝産物を含む組成物を含有する組成物のための1つまたは複数の容器を含み得る。一部の実施形態では、キットは、組成物および情報資料のための別個の容器、仕切りまたは区画を含有する。例えば、組成物は、ボトル、バイアル、IV混合バッグ、IV注入セット、ピギーバックセット、またはシリンジ中に収めることができ、情報資料は、プラスチックスリーブまたは小包中に収めることができる。他の実施形態では、キットの別個の要素が単一の分割されていない容器内に収められる。例えば、組成物は、ラベルの形態で情報資料を付着させたボトル、バイアルまたはシリンジ内に収められる。キットの容器は、気密、防水(例えば、水分の変化もしくは蒸発に不透過性)、および/または遮光であり得る。
本発明を以下の実施例によってさらに例示する。これらは、さらに限定的であると解釈されるべきでない。
(実施例1)
運動させたmdxマウスのモデルに対する、ナンドロロンおよびα−メチル(methy)−プレドニゾロン(PDN)と比較した化合物(I)のin vivo処置の効果の集学的評価。
緒言
本試験は、長期間運動させたmdxマウスのモデルに対する、化合物(I)、筋肉特異的作用を有する選択的アンドロゲン受容体調節因子(SARM)の効果を、集学的なin vivoおよびex vivo手法によって試験することを目的とする。デュシェンヌ型患者におけるグルココルチコイドの臨床用途と一致して、化合物(I)(30mk/kg、s.c.、6日/週)の効果を、α−メチル−プレドニゾロン(PDN)(1mg/kg、i.p.、6日/週)を用いた並列処置の効果、およびタンパク同化薬ナンドロロン(5mg/kg、s.c.、6日/週)の効果と比較した。
実験は、主要な機能的および形態学的エンドポイントのex vivo判定によって得た結果を、方法論的な手法およびin vivoデータに関してこれらを修正して記述する。
方法
化合物(I)およびナンドロロンを、体積0.1ml/体重10gで必要な最終的な投与量を有するために、10%エタノール/90%コーン油(Sigma−Aldrich)中に溶解させた。PDN(市販の製剤URBASONからの)は、注射用希釈滅菌水であった(0.1ml/体重10g)。生後5〜6週間の40匹のmdxマウス(Charles River Italy for Jackson Lab)を、最初に(運動/処置期間の開始時に(時間0))、以下の通り、体重、前肢強度、および基準化された力(前肢強度/体重)について均一な群内でランダム化した:
・ 7匹の運動をしないMDX+ビヒクル(エタノールおよびコーン油)
・ 7匹の未処置の運動させたMDX+ビヒクル(エタノールおよびコーン油)
・ 9匹の運動させたMDX+化合物(I) 30mg/kg
・ 8匹の運動させたMDX+ナンドロロン 5mg/kg
・ 3匹の運動させたMDX+ビヒクル(滅菌水)
・ 6匹の運動させたMDX+PDN 1mg/kg
処置の継続時間は、4〜6週間であった。4週間の最後に、34匹のマウスが、以下の通りプロトコール上に残った:
・ 7匹の運動をしないMDX+ビヒクル(エタノールおよびコーン油)
・ 7匹の未処置の運動させたMDX+ビヒクル(エタノールおよびコーン油)
・ 6匹の運動させたMDX+化合物(I) 30mg/kg
・ 5匹の運動させたMDX+ナンドロロン 5mg/kg
・ 3匹の運動させたMDX+ビヒクル(滅菌水)
・ 6匹の運動させたMDX+PDN 1mg/kg
長期的な運動は、1週間に2回、12m/分での水平トレッドミル上の30分の走行からなっていた。薬物処置は、運動プロトコールの1日前に開始した。少なくとも4週間の運動を実施した後、ex vivo実験を開始した。in vivoパラメータは、毎週を通して監視した。ex−vivo実験の時点でのマウスの年齢:9〜12週。次いで試験化合物の有効性をex vivoで評価した:
・ アイソメトリック収縮によるEDL筋および横隔膜ストリップの機械的性質
・ EDL筋の収縮閾値、すなわち、興奮−収縮カップリング機構およびカルシウム恒常性の指標としての線維収縮についての電圧閾値(二微小電極「ポイント」電圧クランプ法)
・ ケーブルパラメータ(cable parameter)および巨視的なイオン伝導度(二微小電極電流クランプ記録)
・ 筋細胞膜損傷の指標としてのクレアチンキナーゼ(CK)、代謝寛容(metabolic sufferance)の指標としての乳酸脱水素酵素(LDH)、酸化的ストレスのマーカーとしての反応性酸素種の血漿レベルの分光光度判定
・ 腓腹(gastrocnemious)(GC)筋および横隔膜の形態計測分析
値は、平均±S.E.M.として表現する。統計分析は、多重比較についての分散のANOVA試験、その後の事後ボンフェローニt検定によって行った。スチューデントt検定も、2つの群間の比較のために使用した。
血漿試料を貯蔵し、化合物(I)の血漿レベルについて後に分析した。脚全体の骨を解剖し、周囲組織を清掃し、−80℃で凍結させた。
反対側の(Controlateral)脛骨も収集し、清掃し、40%エタノール中で4℃にて貯蔵した。骨試料を、骨密度分析およびモルフォロジー分析のために使用した。SARM作用の可能な標的(心臓、前立腺、肛門挙筋(levator anii)、ヒラメ筋)または有毒な薬物作用の可能なマーカー(肝臓、腎臓、脾臓)である臓器も収集し、秤量した。さらなる最終的な生化学分析(ELISAによる前線維性サイトカインおよび/もしくは炎症促進性サイトカインならびに/または増殖因子および転写因子)あるいは免疫組織化学検査(DHE染色、NF−kB染色、ユートロフィン)のために、余分の筋肉試料(GC、TA、横隔膜ストリップ)を収集し、液体窒素中にスナップ凍結させ、または冷却したイソペンタン中で凍結させ、−80℃で貯蔵した。
結果
アイソメトリック収縮によるEDL筋および横隔膜筋の機械的性質
EDL筋および横隔膜ストリップの両方に対する標準的なアイソメトリック収縮測定は、2本の軸方向の白金線を介した電場刺激によって得た。各調製物について、事前の安定化手順(取り扱い後の適切な温度平衡化および緩和についての)の後、最適な安静時長、すなわち、0.2msの継続時間の40Vの脱分極ステップによって最大の張力を誘発させた安静時張力の判定を行った。次いで調製物を約30分間安静にさせた後、記録手順を開始した。
横隔膜
単収縮張力:40Vおよび0.2msのパルス(30秒毎)によって誘発される5回の単一単収縮 → 最大単収縮張力および収縮動態の判定(ピークまでの時間および半緩和時間);
力−周波数曲線:10〜140Hzの0.2ms 40Vパルスの450msのトレイン → 最大強縮張力および半最大活性化の周波数(Hz50)の判定 疲労:100Hz(450ms)および5秒間隔での5回の強縮 → 緊張の%下落の判定
横隔膜の収縮性に対する薬物処置の効果を図1〜7に示す。各図について、パネルBは、一緒にプールした運動させたmdxマウスの2つのビヒクル処置群からの値を示す。絶対的なおよび基準化された単収縮および強縮張力、ならびに収縮動態の平均ならびに個々の値も提供する。
単収縮および強縮張力はともに、ウェート(weight)に対して、運動させたmdxマウスの横隔膜ストリップにおいて有意に低い(図1および2)。化合物(I)およびナンドロロン処置横隔膜ストリップの単収縮張力値は、未処置のものの単収縮張力値より大きく、ウェートの単収縮張力値に対してもはや有意に異ならなかった。このパラメータについて、2種のタンパク同化化合物(anabolic compound)は、PDNより大きい保護を発揮した。強縮力の増大に向かう明らかな傾向も、薬物処置群において、特に2種のタンパク同化化合物で処置されたマウスにおいて観察された。ビヒクルで処置された運動させたmdxマウスの群を一緒にプールしたとき、化合物(I)で、ナンドロロンで、およびPDNで処置された横隔膜の強縮力の値は、未処置の値より有意に大きかったが、依然としてウェートの値より低かった(図2B)。実験群間でカルシウム依存パラメータ(単収縮/強縮比およびHz50)においても、収縮動態(ピークまでの時間、緩和時間など)においても有意な差異は観察されなかった(図3〜6)。mdxマウスの横隔膜筋は、ウェートのものより疲労性であり、疲労のさらなる増大が運動させた群において観察された(図7)。興味深いことに、保護が薬物処置群において、具体的には化合物(I)およびPDNの処置で観察された。これらの2つの群において、5回の繰り返しの強縮後の力の下落は、ウェートのものに対して有意に異ならなかった。
EDL筋
単収縮張力:40Vおよび0.2msのパルス(30秒毎)によって誘発される5回の単一単収縮
→ 最大単収縮張力および収縮動態の判定(ピークまでの時間および半緩和時間);
力−周波数曲線:10〜140Hzの0.2ms 40Vパルスの350msのトレイン→
最大強縮張力および半最大活性化の周波数(Hz50)の判定 疲労:100Hz(350ms)および5秒間隔での5回の強縮 → 緊張の%下落の判定
結果を図8〜14に示す。各図について、パネルBは、一緒にプールした運動させたmdxマウスの2つのビヒクル処置群からの値を示す。絶対的なおよび基準化された単収縮および強縮張力、ならびに収縮動態の平均ならびに個々の値も提供する。
Mdx EDL筋は、運動をしないものも運動させたものも、ウェートのEDL筋に対して有意に低い値の基準化された単収収縮および強縮張力を示した。筋力のわずかな減少が、運動をしない動物に対して運動させた動物において観察された。薬物処置動物の群において絶対値および基準化された値の両方としての有意な寛解は、単収縮力または強縮力に対して観察されなかった(図8〜9)。単収縮張力の増大に向かった傾向がナンドロロン処置群において観察された(図8)。収縮時間および緩和時間について、有意な差異が実験群間で観察されなかった(図10〜11)。次いでカルシウム恒常性の指標であるパラメータ、特に、単収縮/強縮比および力−周波数曲線を判定した。単収縮/強縮比は、ウェートのEDL筋に対して未処置の運動させたmdxにおいて有意に増大する;これは、細胞質ゾルカルシウムレベルの記載した増大と一致している。しかし、効果は、化合物(I)処置動物においてもナンドロロン処置動物においても観察されず、わずかであるが有意でない減少がPDN処置群において観察された(図12)。同様に、半最大活性化の周波数に対して、有意な効果は観察されなかった(図13)。
次いで、処置の、疲労に対して筋肉を保護する可能な能力を試験した。250msの強縮を5秒間隔で印加した。最初の5回の強縮中に起こる下落に注目した。この下落が疲労の動的相を代表するためである。運動させたmdx EDL筋は、ウェートおよびmdxの運動をしないEDL筋より疲労し、これらの後者は、疲労に対する予想外の耐性を示した。これは、この年齢辺りの四肢筋で起こるアクティブな再生に関連している可能性がある(De Lucaら、2003年)。興味深いことに、このパラメータの部分的な回復が、ナンドロロンおよびまたPDNで観察された。実際には、PDNで処置された筋肉は、運動をしないmdxの値と同様の値を示した(図14B)。すべての群において10回のストレッチプロトコール(stretched protocol)(最大強直性攣縮中の安静時張力に対して20%のストレッチ)後に力の同様の60〜70%の下落が観察されたので(データを示さず)、処置のいずれかによる有意な保護は、エキセントリック収縮に対して見出されなかった。
EDL筋に対する電気生理学的記録
収縮閾値(MT)は、興奮収縮カップリングおよびカルシウム恒常性の電気生理学的指標である(De Lucaら、JPET、2003年;Fraysseら、Neurobiol. Dis.、2004年)。漸増継続時間の脱分極電圧ステップを適用すると、一定の基電流電圧に到達するまでより負の電位に向かって線維収縮の収縮がシフトする。基電流電圧は、筋小胞体(sarcoplasmis reticulum)から放出されるカルシウムと再取り込みされるカルシウムとが定常状態にある電圧を代表する。より負の電位に向かう基電流電圧のシフトは、ジストロフィーmdx EDL筋線維中で起こる場合、より大きい放出もしくはより遅い再取り込み、またはより高い基底細胞質ゾルレベルのいずれかから生じて、より多くのカルシウムが収縮に利用可能であることを示す。
MTに対する薬物処置の効果を図15〜17に示す。分かるように、化合物(I)で処置すると、脱分極パルスのすべての継続時間で、線維収縮の電位がウェートの値に向かって有意にシフトする。ナンドロロンおよびPDNはともに、化合物(I)より有効性が低い(図15)。実際には、データ点のフィッティングから計算した基電流電圧は、化合物(I)で処置されたEDL筋の基電流電圧は、ウェートのものとほとんど重複している一方、ナンドロロンおよびPDNは、未処置のmdxとウェートとの間の中間の値を示すことを示した(図16)。寛解も、平衡状態に到達するための動的プロセスにおいて観察された。実際には、化合物(I)で処置されたEDL筋線維についての基電流に到達するための時定数は、未処置の運動させたものの時定数より著しく短く、ウェートの時定数に対して有意に異ならなかった(図17)。このパラメータに対する化合物(I)の効果は、ナンドロロンおよびPDNの効果より大きかった。強度−継続時間曲線、基電流電圧および時定数の両方に対するPDNの効果は、以前の治験で観察された効果と一致した(De Lucaら、JPET、2003年)。
ケーブルパラメータ
パッシブケーブル性(passive cable property)を、過分極正方形電流パルスに応答した膜電位の空間的変化および時間的変化について計算する。これらの変化は、標準的なケーブル解析を使用することによって実験値から計算することができる線維直径、膜容量、および膜抵抗に依存する。ケーブルパラメータの中で、相対的に低い膜抵抗(Rm)値が、高い全膜イオン伝導度(gm)に起因して骨格筋線維の典型的な特徴である。高いgmは、安静時膜電位で開いている特異的チャネルによる塩化物イオンおよびカリウムイオンに対する安静時筋細胞膜の高浸透性に起因する。特に、EDL筋線維の全gmは、80%についてはClC−1塩化物チャネルの塩化物チャネル伝導性(gCl)に起因する一方、残りの20%は、異なるカリウムチャネルサブセットのカリウム伝導性に起因する。Rmの増大およびgmの有意な減少(主にgClの減少に起因する)は、mdx横隔膜および運動させたEDL筋の典型的な細胞のホールマークである。gmの減少は、筋肉変性の間のClC−1チャネルの発現および生化学的調節の両方を伴う複雑な機構に関連する。gmの減少は、組織寛容(tissue sufferance)の細胞マーカーと見なされる。
本試験では、安静時膜電位の任意の変化の不在化での運動をしないmdxマウスおよびウェートマウスに対する運動させたmdxマウスのEDL筋線維におけるRmのより高い値が観察された(図18)。mdxマウスの2つのビヒクル処置群のRm値およびgm値においてわずかな差異が観察された。すべての薬物処置は、gmの増大と並行してRmの有意な減少をもたらす。効果は、化合物(I)で特に明白であり、これは、PDNの効果と同等の効果を生じさせた。PDNは、以前の試験で観察された効果と一致する効果を生じさせた(De Lucaら、JPET、2003年)。
生化学的マーカー:クレアチンキナーゼ、乳酸脱水素酵素、および反応性酸素種に対する処置の効果
血漿クレアチンキナーゼの顕著な上昇は、筋ジストロフィーの典型的な診断マーカーである。並行して、乳酸脱水素酵素の増大も、代謝寛容の徴候として観察され、一方、反応性酸素種の増大は、進展中の酸化的ストレスの結果として起こり得る。一般に、これらの生化学的指標は、運動プロトコールによってさらに悪化する。しかし、本試験では、3つすべてのパラメータ、CK、LDH、およびROSは、運動をしないmdxマウスにおいて特に変化し、したがって運動の注目すべき効果は観察されなかった。様々な薬物処置で観察された効果を図19〜21に示す。分かるように、有意な寛解は、これらの生化学的マーカーのいずれに対しても、使用した薬物のいずれを用いても観察されなかった。わずかな、しかし有意でないLDHの低減が、化合物(I)で処置されたmdxマウスにおいて観察された。これにより、以前の試験で既に見出されていたCKおよびLDHにおけるPDNの効果の欠如が確認される。
組織診断および形態計測
様々な実験条件における横隔膜筋およびGC筋の組織診断プロファイルの代表的な写真を図22に示す。両筋肉は、典型的なジストロフィーの特徴、例えば、おそらく線維性組織および脂肪組織の沈着に起因するネクローシスの領域、浸潤、および大きい非筋肉領域を伴った筋構築の変化などを示した。線維サイズの大きな可変性および有中心核線維(centronucleated fiber)(CNF)の存在も明らかに検出可能であった。変化は、処置された筋肉の群において依然として存在したが、寛解のいくつかの定性的徴候を観察することができた。制限した数の切片に対する事前の形態計測分析は、薬物で処置された動物の横隔膜およびGC筋中の、有中心核線維の百分率の変化無し、ならびにネクローシスおよび/または非筋肉領域のわずかな低減を示唆した。ナンドロロンおよびPDNで処置された筋肉中の正常線維および有中心核線維の両方の線維領域の増大も観察されたが、化合物(I)で処置された筋肉では観察されなかった(図23)。
(実施例2)
化合物(I)、ナンドロロン、およびα−メチルプレドニゾロンを用いたmdxマウスの処置の比較
化合物(I)、ナンドロロン、およびα−メチルプレドニゾロンを、野生型(Wt)マウスおよびmdxマウスに1週間当たり6日与えた。図24は、コーン油(Mdx+V1)、または化合物(I)を含む30mg/kgの組成物(Mdx+化合物(I))、5mg/kgのナンドロロン(Mdx+NAND)、水(Mdx+V2)、もしくは1mg/kgのα−メチルプレドニゾロン(Mdx+PDN)で処置された野生型(Wt)マウスおよびmdxマウスについてのプロトコールの開始時(T0)および4(T4)週間後のin vivoパラメータを示す。各グラフにおいて、バーは、5〜7匹の動物からの平均±S.E.M.である。群同士間の有意な差異を、多重比較についてのANOVA検定およびボンフェローニt−検定事後補正を使用して評価した。
(A)では、バーは、gでの体重値(体重)を示す。ANOVA検定を使用して、mdxマウス(処置された、または処置されていない)の値間で有意な差異を観察しなかった。(B)では、バーは、kgでの最大前肢強度(前肢力)を示す。ANOVA検定は、時間0(T0)でいずれの有意な差異も示さなかった。有意な差異を時間4(T4)で見出した(F>5.79;p<0.005)。事後ボンフェローニt−検定の結果を、以下の通り示す:p<0.003でWtマウスに対して有意に異なる;°0.007<p<0.01でそれぞれのビヒクルで処置された運動させたmdxマウスに対して有意に異なる。(C)では、バーは、各マウスについて前肢強度をそれぞれの体重に基準化することによって計算した基準化された前肢力値(基準化された前肢力)を示す。ANOVA検定は、時間0(T0)について有意な差異を示さなかった。有意な差異を時間4(T4)について見出した(F>5.8;p<0.006)。事後ボンフェローニt−検定の結果を以下の通り示す:0.0006<p<0.03でWtマウスに対して有意に異なる;°0.003<p<0.02で運動させたmdxマウスに対して有意に異なる。(D)では、全距離(mでの)を、トレッドミル疲弊試験での走行について示す。すべての値は、T0およびT4の両方においてwt動物に対して有意に異なった。事後ボンフェローニt−検定の結果を以下の通り示す:5.5×10−7<p<0.01でwtマウスに対して有意に異なる。
(実施例3)
様々な量の化合物(I)を用いたmdxマウスの処置
化合物(I)を野生型(Wt)マウスおよびmdxマウスに1週間当たり6日与えた。図25は、開始(T0)から最大で12週間のプロトコール(T12)までの様々な時点における、コーン油(Mdx+V1)または0.3、3、および30mg/kgでの化合物(I)(Mdx+化合物(I))で処置した野生型(Wt)マウスおよびmdxマウスのin vivoパラメータを示す。各グラフにおいて、5〜8匹の動物からの平均±S.E.M.として値を示す。群同士間の有意な差異を、多重比較についてのANOVA検定およびボンフェローニt−検定事後補正を使用して評価した。
(A)では、バーは、gでの体重値(体重)を示す。ANOVA検定は、時間0、時間4、および時間6でBWについて有意な差異を示さなかった。時間8(F>3.9;p<0.02)および時間12(F>3.8;p<0.03)でBWについて有意な差異を見出した。事後ボンフェローニt−検定の結果を以下の通り示す:0.006<p<0.01でWtマウスに対して有意に異なり、°p<0.05で運動させたmdxマウスに対して有意に異なる。(B)では、バーは、プロトコールの開始(Fmax T0)、第4週(Fmax T4)、第8週(Fmax T8)、および第12週(Fmax T12)におけるkgでの最大前肢強度(前肢力)を示す。ANOVA検定は、T0(F>9;p<0.0006)、T4(F>11;p<0.0002)、T8(F>3.76;p<0.02)、およびT12(F>5.4;p<0.006)で有意な差異を示した。事後ボンフェローニt−検定の結果を以下の通り示す:9.3×10−8<p<0.02でwtマウスに対して有意に異なり、°3.6×10−6<p<0.01で運動させたmdxマウスに対して有意に異なる。(C)では、基準化された前肢力値(基準化された前肢力)を、各マウスについて前肢強度をそれぞれの体重に基準化することによって計算した。ANOVA検定は、T4以降のすべての時点で有意な差異を示した(F>4;p<0.02)。事後ボンフェローニt−検定の結果を、以下の通り示す:p<0.0005でwtマウスに対して有意に異なり、°0.002<p<0.02で運動させたmdxマウスに対して有意に異なる。(D)では、トレッドミル上での疲弊試験で走らせた全距離(mでの)を示す。群同士間の有意な差異をANOVA検定およびスチューデントt検定によって評価した。すべての値は、対応する時点でwt動物に対して有意に異なった。有意な差異を、T4(F>5.4;p<0.007)、T8(F>4;p<0.02)、およびT12(F>5;p<0.009)で見出した。事後ボンフェローニt−検定の結果を、以下の通り示す:0.0009<p<0.02でwtマウスに対して有意に異なり、°0.009<p<0.03で運動させたmdxマウスに対して有意に異なる。
(実施例4)
アンドロゲン感受性組織および他の潜在的な標的組織に対する化合物(I)、ナンドロロン、およびα−メチルプレドニゾロンを用いた処置の効果
化合物(I)、ナンドロロン、およびα−メチルプレドニゾロンを用いたmdxマウスの処置を1週間当たり6日にわたって与えた。図26は、アンドロゲン感受性組織および他の潜在的な標的組織の重量に対する化合物(I)および比較物(comparator)を用いた4週間の処置の効果を示す。各バーは、5〜10匹の動物からの平均±S.E.M.を表し、ビヒクル(コーン油および水;Mdx+VTOT)、または30mg/kgの化合物(I)(Mdx+化合物(I))、5mg/kgのナンドロロン(Mdx+NAND)、もしくは1mg/kgのα−メチルプレドニゾロン(Mdx+PDN)で処置されたmdxマウスの個々の体重に対して基準化された組織質量を示す。
(A)では、図は、アンドロゲン感受性組織、すなわち、心臓、前立腺、肛門挙筋、EDL、およびヒラメ筋の重量を示す。肛門挙筋についての基準化された値は、グラフの理由で10のファクターで倍率変更した。ANOVA分析およびボンフェローニt検定は、肛門挙筋の重量についてのみ有意な差異を示した(F>4;p<0.015)。°mdxビヒクル処置に対して有意に異なる(p<0.05)。(B)では、図は、脾臓、肝臓、および腎臓の重量を示す。肝臓についての基準化された値は、グラフの理由で10のファクターで倍率変更した。ANOVA分析およびボンフェローニt検定は、肝重量についてのみ有意な差異を示した(F>3;p<0.04);°mdxビヒクル処置に対して有意に異なる(p<0.02)。
(実施例5)
アンドロゲン感受性組織および他の潜在的な標的組織に対する用量依存効果処置および時間依存効果処置
アンドロゲン感受性組織および他の潜在的な標的組織の重量に対する化合物(I)の用量依存効果および時間依存効果を図27に示す。各バーは、5〜8匹の動物からの平均±S.E.M.を表し、コーン油(Mdx+V)または0.3、3、もしくは30mg/kgでの化合物(I)(Mdx+化合物(I))で処置されたmdxマウスの個々の体重に対して基準化された組織質量を示す。薬物は、1週間当たり6日与えた。
(A)では、図は、アンドロゲン感受性組織、すなわち、心臓、前立腺、肛門挙筋、EDL、およびヒラメ筋の重量を示す。肛門挙筋についての基準化された値は、グラフの理由で10のファクターで倍率変更した。ANOVA分析およびボンフェローニt検定は、前立腺の重量についてのみ有意な差異を示した(F>12;p<5.4×10−5);°mdxビヒクル処置に対して有意に異なる(p<1.4×10−5)。(B)では、図は、脾臓、肝臓、および腎臓の重量を示す。肝臓についての基準化された値は、グラフの理由で10のファクターで倍率変更した。ANOVA分析およびボンフェローニt検定は、腎臓の重量についてのみ有意な差異を示した(F>19;p<1.9×10−6);°mdxビヒクル処置に対して有意に異なる(p<0.03)。
(実施例6)
横隔膜の最大アイソメトリック単収縮および強縮張力に対する様々な薬物処置の効果
図28、(A)および(B)は、第1の試験からの処置されたまたは処置されていないwtマウスおよびmdxマウスに由来する横隔膜ストリップの最大アイソメトリック単収縮(kN/mで測定したsPtw)および強縮張力(kN/mで測定したsP)の基準化された値を列挙する。図は、以下の群を列挙する:野生型マウス(Wt)およびビヒクル(水もしくはコーン油:Mdx+VTOT)、30mg/kgの化合物(I)(Mdx+化合物(I))、5mg/kgのナンドロロン(Mdx+NAND)、または1mg/kgのα−メチルプレドニゾロン(Mdx+PDN)で処置されたmdxマウス。薬物は、1週間当たり6日与えた。各バーは、1群当たり4〜7匹の動物についての平均±S.E.M.である。群同士間の有意な差異を、以下の通り多重比較についてANOVA検定(F値)によって評価した:F=3;p<0.05。ボンフェローニt−検定事後補正を使用して個々の平均値間の有意な差異を推定した。これらを以下の通り示す:wtに対して有意な差異(0.001<p<0.05);°Mdx+VTOTに対して有意な差異(p<0.01)。(C)および(D)では、第2の試験に属する、処置されたまたは処置されていないWTマウスおよびmdxマウスに由来する横隔膜ストリップの最大アイソメトリック単収縮(kN/mで測定したsPtw)および強縮張力(kN/mで測定したsP)の基準化された値を示す。図は、野生型マウス(Wt)およびビヒクル(コーン油のみ:mdx+V1)、または0.3、3、もしくは30mg/kgでの化合物(I)(mdx+化合物(I))で処置されたmdxマウスを示す。薬物は、1週間当たり6日与えた。各バーは、1群当たり4〜7匹の動物についての平均S.E.M.を表す。群同士間の有意な差異を、以下の通り多重比較についてのANOVA検定(F値)によって評価した:F=3;p<0.05。ボンフェローニt−検定事後補正を使用した。結果を以下の通り示す:wtに対して有意な差異(0.001<p<0.05)および°Mdx+V1に対して有意な差異(p<0.01)。
(実施例7)
単離されたEDL筋の収縮パラメータに対する処置の効果
コーン油(Mdx+V1)または0.3、3、もしくは30mg/kgでの化合物(I)(Mdx+化合物(I))で1週間当たり6日処置されたwtマウスおよびmdxマウスから単離されたEDL筋の収縮パラメータを図29に示す。
(A)では、最大アイソメトリック単収縮(kN/mで測定したsPtw)についての基準化された値を示す。ANOVA検定は、F=4およびp<0.05で有意な差異を示した。事後ボンフェローニt−検定の結果を以下の通り示す:wt(p<0.05)に対して、および°Mdx+V1(0.005<p<0.05)に対して有意な差異。(B)では、最大アイソメトリック強縮張力(kN/mで測定したsP)の基準化された値を示す。ANOVA検定は、F=4およびp<0.03で有意な差異を示した。事後ボンフェローニt−検定の結果を以下の通り示す:wtに対して有意な差異(0.01<p<0.05)。(C)では、第1の収縮に対して10番目のパルスにおける力の百分率下落として定義された筋肉疲労を示す。ANOVAで評価した場合、有意な差異を観察しなかった。ボンフェローニt−検定は、有意な差異を示した。結果を以下の通り示す:wtに対して有意な差異(p<0.005)。(D)では、エキセントリック収縮中の張力低減の百分率(第1のエキセントリック刺激における張力に対する10番目のパルスにおける下落として計算した)を示す。ANOVA検定は、F=4およびp<0.02で有意な差異を示した。事後ボンフェローニt−検定の結果を以下の通り示す:wtに対して有意な差異(p<0.05)。各バーは、1群当たり4〜7匹の動物についての平均S.E.M.を表す。
(実施例8)
様々な薬物で処置されたmdxにおける収縮閾値の比較
図30(A)では、2〜5つの調製物に由来する14〜30の値からの平均±S.E.M.として表現したデータは、野生型マウス(WT、黒色円)、およびビヒクル(コーン油および水;Mdx+VTOT、白色円)、30mg/kgの化合物(I)(白色三角形)、5mg/kgのナンドロロン(逆さまの黒色三角形)、または1mg/kgのPDN(白色ひし形)で処置されたmdxマウスにおける漸増パルス持続時間でのEDL筋原線維の収縮についての電圧(収縮閾値)を示す。薬物は、1週間当たり6日与えた。30mg/kgの化合物(I)、5mg/kgのナンドロロン、または1mg/kgのPDNで処置されたmdxマウスの筋原線維の電圧閾値値は、各パルス持続時間においてビヒクルで処置されたmdxマウスの電圧閾値値に対して有意により正であった(スチューデントt検定によりp<0.03またはそれ未満)。いくつかのデータ点については、標準誤差バーは、それが記号サイズより小さいために目に見えない。(B)および(C)では、相対標準誤差とともに、mVでの基電流電圧およびmsでの時定数を、Aにおける電圧−継続時間曲線のデータ点のフィッティングから計算した。(D)では、Aで記載した同じ実験群のEDL筋線維のμS/cmでの全安静時膜イオン伝導度(g)を示す。バーは、3〜5つの調製物/25〜37の線維からの平均±SEMを表す。各パラメータについて、群同士間の有意な差異を、多重比較についてのANOVA(F値)およびボンフェローニt−検定事後補正を使用して評価した。有意な差異を、基電流電圧(F>4;p<0.003)およびg(F>7;p<0.0002)について見出した。事後ボンフェローニt−検定の結果を以下の通り示す:p<0.05でwtマウスに対して有意に異なり、°p<0.02で運動させたmdxマウスに対して有意に異なる。
(実施例9)
処置された、および未処置のmdxマウスについての収縮閾値の比較
図31(A)では、3つの調製物に由来する27〜41の値からの平均±S.E.M.として表現したデータは、野生型マウス(WT、黒色円)、およびコーン油(Mdx+V1、白色円)または0.3(白色正方形)、3(黒色正方形)、または30mg/kg(白色三角形)での化合物(I)で処置されたmdxマウスにおける漸増パルス持続時間でのEDL筋原線維の収縮についての電圧(収縮閾値)を示す。薬物は、1週間当たり6日与えた。任意の用量での化合物(I)で処置されたmdxマウスの筋原線維の電圧閾値値は、ビヒクルで処置されたmdxマウスの電圧閾値値に対して有意により正であった(スチューデントt検定によりp<0.01またはそれ未満)。いくつかのデータ点については、標準誤差バーは、それが記号サイズより小さいために目に見えない。(B)および(C)では、相対標準誤差とともに、mVでの基電流電圧およびmsでの時定数を、それぞれAにおける電圧−継続時間曲線のデータ点のフィッティングから計算した。(D)では、Aで記載した同じ実験群のEDL筋線維のμS/cmでの全安静時膜イオン伝導度(g)を示す。バーは、2〜3つの調製物/21〜41の線維からの平均±SEMを表す。各パラメータについて、群同士間の有意な差異を、多重比較についてのANOVA検定(F値)およびボンフェローニt−検定事後補正を使用して評価した。有意な差異を、基電流電圧(F>4;p<0.003)およびg(F>22;p<1.3×10−6)について見出した。事後ボンフェローニt−検定の結果を以下の通り示す:1.1×10−13<p<0.02でwtマウスに対して有意に異なり、°p<1×10−6で運動させたmdxマウスに対して有意に異なる。
(実施例10)
化合物(I)で処置した後の横隔膜筋および腓腹筋の組織診断
未処置の(ビヒクル)、または異なる投与量(0.3、3、および30mg/kg)でのGPL0492で処置されたmdxマウスに由来する横隔膜(DIA)筋および腓腹(GC)筋の形態学的プロファイルを示すヘマトキシリン−エオシン染色を図32で示す。薬物は、1週間当たり6日与えた。定性的な比較のために、GC筋の典型的なプロファイルを図の上部に示す。切片は、線維寸法の大きなばらつき、単核浸潤を伴った大きい領域のネクローシスおよび/または小さい再生線維とともに、ジストロフィー筋の不十分に均質な構造を示す。非筋組織の領域も目に見える。画像は、20倍の拡大率である。
(実施例11)
線維症マーカーに対する化合物(I)、ナンドロロン、またはα−メチルプレドニゾロンの効果
Mdxマウスを、1週間当たり6日にわたってコーン油(Mdx+V1)、または30mg/kgの化合物(I)(Mdx+化合物(I))、5mg/kgのナンドロロン(Mdx+NAND)、水(Mdx+V2)、または1mg/kgのα−メチルプレドニゾロン(Mdx+PDN)で処置した。図33(A)は、ヘマトキシリン−エオシン染色によって測定した場合の横隔膜筋の筋損傷の領域の百分率(左)および非筋肉領域の百分率(右)を表す。各バーは、少なくとも3つの筋肉/1筋肉当たりおよそ10のフィールドの平均である。群同士間の有意な差異を、ANOVA検定およびボンフェローニt−検定事後補正を使用して評価した。結果を以下の通り示す:°コーン油で処置したmdxに対して有意に異なる p<0.03。(B)では、バーは、ELISAによって測定した場合のビヒクル(コーン油、Mdx+V1)、30mg/kgの化合物(I)(Mdx+化合物(I))、または5mg/kgのナンドロロン(Mdx+NAND)で処置されたmdxマウスにおける横隔膜筋中の全(左)および活性TGF−β1(右)のレベルを示す。各値は、4〜5つの調製物からの平均±S.E.M.である。群同士間の多重比較のためのANOVA検定は、TGF−β1レベルにおいていずれの有意な差異も示さなかった。事後ボンフェローニt−検定の結果を以下の通り示す:°ビヒクルで処置されたmdxマウスに対して有意に異なる、p<0.03。(C)では、バーは、ELISAによって測定した場合のコーン油(Mdx+V1)、または0.3、3、もしくは30mg/kgでの化合物(I)(Mdx+化合物(I))で処置されたmdxマウスについての横隔膜筋中の全(左)および活性TGF−β1(右)のレベルを示す。薬物は、1週間当たり6日与えた。各値は、4〜5つの調製物からの平均±S.E.M.である。群同士間の有意な差異をスチューデントt検定を使用して評価した。°運動させたmdxマウスに対して有意に異なる、0.05<p<0.025。
(実施例12)
皮下注射後の化合物(I)の血漿レベル
図34は、単一の短時間用量を受けている野生型マウス(スラッシュを有する黒色円)、または長期的な投薬を受けているmdxマウス(黒色円)中に0.3mg/kg(A)、3mg/kg(B)、または30mg/kg(C)の化合物をs.c.送達した後に8時間の期間にわたって評価した化合物(I)の血漿レベルを示す。
(実施例13)
野生型の、運動させた、および運動させていないmdxマウスにおけるテストステロンレベルの比較
図35(A)では、バーは、4週間運動させた(WT EXER;MDX EXER)または運動させていない(WT SED;MDX SED)生後8週の野生型マウスおよびmdxマウスの血清テストステロンレベルを示す。各バーは、5〜6匹の動物からの平均±S.E.M.である。群同士間の有意な差異をスチューデントt検定によって評価した。p<0.05でwtマウスに対して有意に異なる。(B)では、バーは、mdxマウスにおける血漿テストステロンレベルに対する化合物(I)の効果を示す。各バーは、5〜7匹の動物からの平均±S.E.M.である。
(実施例14)
ICF−1レベルおよびフォリスタチン遺伝子レベルに対する化合物(I)の処置の効果
リアルタイムPCR分析を、インスリン様増殖因子−1(IGF−1)およびフォリスタチン、筋肉量のコントロールに関与する遺伝子;ミオゲニン、筋肉再生のマーカー;ならびにペルオキシソーム増殖因子受容体γ−コアクチベーター(PGC)−1α、筋肉代謝およびメカノトランスダクションシグナル伝達の調節因子について実施した。
図36は、横隔膜(左側;DIA)および腓腹筋(右側;GC)におけるビヒクル(Mdx+V1);0.3mg/kgの化合物(I)(Mdx+0.3mg/kgの化合物(I))、および3mg/kgの化合物(I)(Mdx+3mg/kgの化合物(I))についてのハウスキーピング遺伝子(GADPH)に対する標的遺伝子の基準化された値を示す。薬物は、1週間当たり6日与えた。各値は、4〜5つの調製物からの平均±S.E.M.である。

Claims (66)

  1. 対象における筋ジストロフィーを処置する方法であって、筋ジストロフィーに罹患している対象に、治療有効量の化合物(I)またはその薬学的に許容される塩
    を投与し、それにより対象を処置する工程を含む、方法。
  2. 前記筋ジストロフィーが、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、Emery−Dreifuss型筋ジストロフィー、肢帯型筋ジストロフィー、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー、筋緊張性ジストロフィー、眼咽頭型筋ジストロフィー、遠位型筋ジストロフィー、または先天型筋ジストロフィーから選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記筋ジストロフィーが、デュシェンヌ型筋ジストロフィーである、請求項2に記載の方法。
  4. ぎこちない様式の歩行、足取りまたは走行;頻繁な転倒;疲労;運動技能の困難;筋線維の変形;仮性肥大;骨格の変形;低い持久力;人の手を借りないで立っていることの困難または階段を上がることの不能;動きの喪失;麻痺;心筋症;うっ血性心不全の発生;および不規則な心拍の、部分的または完全な軽減を含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
  5. 寿命を改善する(例えば、増大させ、延長する)、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  6. 少なくとも1つの症状、例えば、本明細書に記載の症状を改善する工程を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記症状が、疲労、学習困難、知的障害、筋力低下、運動技能の困難、歩行困難、呼吸困難、心疾患、心筋症、うっ血性心不全、不整脈、脊柱側弯症、仮性肥大、筋肉の消耗、筋拘縮、筋肉の変形、および呼吸器障害(例えば肺炎)である、請求項6に記載の方法。
  8. 前記化合物(I)またはその薬学的に許容される塩が、複数回用量、例えば、所定の間隔で投与される、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記化合物(I)またはその薬学的に許容される塩が、長期間(例えば、1、2、3、4、5、6日毎、1、2、3、4、5、6、7、8、9週間毎、1、2、3、4、5、6、7、8、9カ月毎またはそれ超毎に、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10回)(例えば、1、2、3、4、5、6日、1、2、3、4、5、6、7、8、9週間、1、2、3、4、5、6、7、8、9カ月またはそれ超にわたって)投与される、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記化合物(I)またはその薬学的に許容される塩が、1日1回投与される、請求項9に記載の方法。
  11. 前記化合物(I)またはその薬学的に許容される塩が、単回用量で投与される、請求項9または10に記載の方法。
  12. 前記化合物(I)またはその薬学的に許容される塩が、1対象当たり約0.1mg〜約1mg(例えば、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、または1mg)の用量で投与される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
  13. 前記化合物(I)またはその薬学的に許容される塩が、1対象当たり1mg以下、0.9mg以下、0.8mg以下、0.7mg以下、0.6mg以下、0.5mg以下、0.4mg以下、0.3mg以下、0.25mg以下、0.2mg以下、または0.1mg以下の用量で投与される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
  14. 前記用量が、1対象当たり0.1mgである、請求項12または13に記載の方法。
  15. 前記用量が、1対象当たり0.25mgである、請求項12または13に記載の方法。
  16. 前記用量が、1対象当たり0.5mgである、請求項12または13に記載の方法。
  17. 前記用量が、1対象当たり1mgである、請求項12または13に記載の方法。
  18. 前記用量が、例えば、約0.2mg〜約0.8mg、約0.3mg〜約0.7mg、または約0.4mg〜約0.6mgである、請求項12または13に記載の方法。
  19. 前記化合物(I)またはその薬学的に許容される塩が、対象の体重1キログラム当たり約2μg〜約1000μgの用量で投与される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記化合物(I)またはその薬学的に許容される塩が、対象の体重1キログラム当たり1000μg以下、800μg以下、500μg以下、400μg以下、300μg以下、200μg以下、100μg以下、30μg以下、20μg以下、15μg以下、10μg以下、7μg以下、または2μg以下の用量で投与される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記用量が、対象の体重1キログラム当たり2μgである、請求項19または20に記載の方法。
  22. 前記用量が、対象の体重1キログラム当たり7μgである、請求項19または20に記載の方法。
  23. 前記用量が、対象の体重1キログラム当たり15μgである、請求項19または20に記載の方法。
  24. 前記用量が、対象の体重1キログラム当たり30μgである、請求項19または20に記載の方法。
  25. 前記用量が、約2μg〜約1000μg、約5μg〜約800μg、約10μg〜約500μg、約10μg〜約300μg、約10μg〜約200μg、または約10μg〜約100μgである、請求項19または20に記載の方法。
  26. 前記化合物(I)またはその薬学的に許容される塩が、食事摂取をした後に投与される、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
  27. 前記化合物(I)またはその薬学的に許容される塩が、食事摂取をして少なくとも60分後に投与される、請求項26に記載の方法。
  28. 前記化合物(I)またはその薬学的に許容される塩が、食事摂取をして約10分〜約120分後に投与される、請求項26に記載の方法。
  29. 前記化合物(I)またはその薬学的に許容される塩が、食事摂取をして約10分、約20分、約30分、約45分、約60分、約75分、約90分、約105分、または約120分後に投与される、請求項26に記載の方法。
  30. 前記化合物(I)またはその薬学的に許容される塩が、食事摂取をする前に投与される、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
  31. 前記化合物(I)またはその薬学的に許容される塩が、食事摂取をする約10分〜約60分前に投与される、請求項30に記載の方法。
  32. 前記化合物(I)またはその薬学的に許容される塩が、食事摂取をする約10分、約20分、約30分、または約45分前に投与される、請求項30に記載の方法。
  33. 前記化合物(I)またはその薬学的に許容される塩が、食事摂取をする60分前〜食事摂取をして2時間後に投与される、請求項30に記載の方法。
  34. 前記化合物が、化合物(II)またはその薬学的に許容される塩もしくは代謝産物
    にin vivoで変換する、請求項1に記載の方法。
  35. 前記化合物(I)またはその薬学的に許容される塩もしくは組成物が、経口、皮下、静脈内、筋肉内、鼻腔内、経皮、経粘膜、頬側、舌下、または肺投与を介して投与される、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
  36. 前記化合物(I)またはその薬学的に許容される塩もしくは組成物が、経口投与を介して投与される、請求項35に記載の方法。
  37. 前記対象がヒトである、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
  38. 前記対象が男性である、請求項37に記載の方法。
  39. 前記対象が小児である、請求項38に記載の方法。
  40. 前記対象が思春期前である、請求項38に記載の方法。
  41. 前記対象が、約1歳〜約18歳の年齢である、請求項38に記載の方法。
  42. 前記対象が、病的筋肉(例えば、萎縮、線維性)を有する、請求項38に記載の方法。
  43. 前記化合物(I)が、いかなる塩も不純物も実質的に含まない、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
  44. 前記化合物が、少なくとも95%の鏡像体過剰率である、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
  45. 前記化合物が、少なくとも98%の鏡像体過剰率である、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
  46. 前記化合物が、少なくとも99%の鏡像体過剰率である、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
  47. 処置された前記対象におけるテストステロンのレベルが、処置前の該対象におけるテストステロンのレベルと比較して実質的に変化していない、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
  48. 前記処置の方法が、いかなる副作用、例えば、肥満、行動の問題、より細いかつ/またはより弱い骨(骨粗鬆症);思春期の遅れ、胃の問題(胃食道逆流もしくはGERD)、白内障、感染に対する感受性;性腺機能低下症、筋肉の消耗、ならびに骨粗鬆症;心血管のリスク(例えば、心血管疾患、冠動脈疾患、高血圧、心不整脈、うっ血性心不全、心発作、突然心臓死);前立腺がんのリスク、ハイポゴンディズム(hypogondism)、ならびにホルモンの不均衡に関する状態(例えば、男性思春期の誘導、女性化乳房、精巣萎縮、および精子産生の減少)も実質的に含まない、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
  49. 前記化合物が、
    (a)タンパク同化ステロイド処置と比較した場合に前記対象の筋肉および骨に対するより高い活性;ならびに
    (b)タンパク同化ステロイド処置と比較した場合に該対象の前立腺に対するより低い活性
    の一方または両方によって特徴付けられる、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
  50. 化合物(I)またはその薬学的に許容される塩、代謝産物もしくはプロドラッグ
    を含む医薬組成物であって、
    約0.1mg〜約1mgの該化合物(I)またはその薬学的に許容される塩を含む、医薬組成物。
  51. 0.1、0.2、0.25、0.3、0.4、または0.5mgの前記化合物(I)またはその薬学的に許容される塩を含む、請求項50に記載の医薬組成物。
  52. 薬学的に許容される賦形剤を含む、請求項50または51に記載の医薬組成物。
  53. 単位剤形で構成される、請求項50から52のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  54. 固形剤形(例えば、カプセル剤、錠剤)で構成される、請求項50から53のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  55. 前記固形剤形が、錠剤、カプセル剤、サッシェ、散剤、顆粒剤、およびロゼンジ剤からなる群から選択される、請求項54に記載の医薬組成物。
  56. 液体剤形で構成される、請求項50から53のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  57. 追加の治療剤を投与する工程をさらに含む、請求項50から56のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  58. 前記追加の治療剤がステロイド化合物である、請求項57に記載の医薬組成物。
  59. 前記ステロイド化合物が、コルチコステロイド、例えばプレドニロソンである、請求項58に記載の医薬組成物。
  60. 前記追加の治療剤が非ステロイド化合物である、請求項57に記載の医薬組成物。
  61. 請求項50に記載の医薬組成物、および対象の体重1キログラム当たり約0.2μg〜約1000μgの剤形で対象に該医薬組成物を経口投与するための指示書を含む、キット。
  62. 化合物(I)、化合物(I)を含む組成物、およびMD、例えばDMDを有する対象を処置するのに使用するための指示書の1つまたは複数を含む、キット。
  63. 対象における筋ジストロフィーを処置する方法であって、
    対象が、筋ジストロフィーに罹患しているか、または感受性であるか否かを判定する工程と、
    該判定する工程に基づいて処置のための該対象を選択する工程と、
    治療有効量の化合物(I)またはその薬学的に許容される塩を投与し、それにより前記対象における筋ジストロフィーを処置することと
    を含む、方法。
  64. 前記判定する工程が、観測値を参照値と比較する工程を含む、請求項63に記載の方法。
  65. 前記対象が、本明細書に記載の診断の方法において記載されているような、本明細書に記載のパラメータについて評価される、請求項63に記載の方法。
  66. 前記判定する工程が、筋萎縮を測定すること、例えば、歩行試験、階段昇段試験を含む、請求項63に記載の方法。
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