JP2022189257A - 防眩性反射防止フィルム、防眩性反射防止フィルムの評価方法、および防眩性反射防止フィルムの製造方法 - Google Patents

防眩性反射防止フィルム、防眩性反射防止フィルムの評価方法、および防眩性反射防止フィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高精細な画像表示装置に適用した場合にも、ギラツキが抑制され、良好な防眩性を示すとともに、優れた反射防止性能を示す防眩性反射防止フィルム、またそのような防眩性反射防止フィルムを判別することができる評価方法、およびそのような防眩性反射防止フィルムを製造することができる製造方法を提供する。【解決手段】基材フィルム12上に、防眩層16および低屈折率層14がこの順に形成され、低屈折率層14の表面における抽出凸部密度が、3個/mm以上、30個/mm以下である、防眩性反射防止フィルム10とする。ここで、抽出凸部密度は、レーザー顕微鏡で得られた凹凸分布を任意の直線上でフーリエ変換して得られる波長分布から、波長が14μm以上50μm以下の成分を抽出し、逆フーリエ変換して得られる凹凸抽出分布において、いずれか少なくとも一方向に隣り合う凹部との高低差が0.1μm以上である凸部の数を指す。【選択図】図1

Description

本発明は、防眩性反射防止フィルム、またその評価方法および製造方法に関し、さらに詳しくは、液晶画像表示装置、有機EL画像表示装置、またスマートホンなどの電子機器のタッチパネル等として設けられる画像表示装置の表面に用いられる防眩性反射防止フィルム、またそのような防眩性反射防止フィルムの評価方法および製造方法に関するものである。
液晶画像表示装置、有機EL画像表示装置、またカーナビゲーションシステムやスマートホンなどのタッチパネル等として設けられる画像表示装置の表面には、画面への外光の映り込みを防止するために、防眩性反射防止フィルムを配置することがある。画像表示装置においては、外光の映り込み等の影響を低減し、表示画面を明瞭に視認できるようにする観点から、防眩性や反射防止性が求められる。特に、自動車用画像表示装置やスマートホンなど、屋外での使用を想定した画像表示装置においては、日光などの強い外光を受けても、表示画面を明瞭に視認することができる防眩性、反射防止性が求められる。近年、自動車のメータークラスターパネル等にも画像表示装置が用いられるようになってきており、屋外で使用されるものも含め、多様な機器に、画像表示装置が搭載されるようになっている。また、画像表示装置の高精細化に伴い、従来の防眩性反射防止フィルムを画像表示装置の表面に配置すると、画像の輝度のばらつきが強調されて見えるギラツキが発生して画質が悪化してしまい、そのようなギラツキを抑制することが求められている。それらの背景から、画像表示装置の防眩性や反射防止性を高めることに対する需要が高まってきている。
画像表示装置に防眩性や反射防止性を付与することができる防眩性反射防止フィルムが、複数提案されている。例えば、特許文献1では、防眩性ハードコート層表面の算術平均粗さRaと、粗さ平均線を越える凸状部の個数を規定することにより、ギラツキを防止し、黒表示時における黒の濃さの向上した防眩性ハードコートフィルム、またさらに防眩層上に反射防止層を設けた防眩性ハードコートフィルムを開示している。また、特許文献2は、防眩性ハードコート層の膜厚と、防眩性ハードコート層に含まれる有機微粒子の粒子径との比などのパラメータを規定することにより、黒濃度を向上し、ヘイズ値を抑えた眩性反射防止フィルムを開示している。
特開2010-9007号公報 特開2010-78698号公報
特許文献1,2に開示されたものをはじめとして、公知の防眩性反射防止フィルムは、ある程度良好な防眩性および反射防止性を示すものとなると考えられるが、防眩性反射防止フィルムにおいて、防眩性と反射防止性のさらなる向上を図る余地がある。例えば、特許文献1の防眩性反射防止フィルムは、防眩性ハードコート層の表面において、凸状部の個数を所定の範囲としているものの、高精細な画像表示装置表面に適用した場合、依然としてギラツキが強くなる可能性がある。また、その防眩性ハードコート層の表面にさらに反射防止層を積層したときに、反射防止層の膜厚を均一にすることが困難であり、良好な反射防止性を得られるとは限らない。特許文献2には、防眩性反射防止フィルムの表面粗さについて何ら記載がない。また、特許文献2の防眩性反射防止フィルムは、ヘイズ値が低いことから、照明などの入射光が輪郭を維持したまま反射し、防眩性が不十分となる可能性がある。
本発明が解決しようとする課題は、高精細な画像表示装置に適用した場合にも、ギラツキが抑制され、良好な防眩性を示すとともに、優れた反射防止性能を示す防眩性反射防止フィルム、またそのような防眩性反射防止フィルムを判別することができる評価方法、およびそのような防眩性反射防止フィルムを製造することができる製造方法を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明にかかる防眩性反射防止フィルムは、基材フィルム上に、防眩層および低屈折率層がこの順に形成され、前記低屈折率層の表面における抽出凸部密度が、3個/mm以上、30個/mm以下である。ここで、前記抽出凸部密度は、レーザー顕微鏡で得られた凹凸分布を任意の直線上でフーリエ変換して得られる波長分布から、波長が14μm以上50μm以下の成分を抽出し、逆フーリエ変換して得られる凹凸抽出分布において、いずれか少なくとも一方向に隣り合う凹部との高低差が0.1μm以上である凸部の数を指す。
ここで、前記防眩層の表面における前記抽出凸部密度が、10個/mm以上、38個/mm以下であるとよい。また、前記低屈折率層の表面において、触針式表面粗さ測定装置で測定したJIS B0601:2013で規定される算術平均粗さRaが、0.015μm以上、0.06μm以下であるとよい。さらに、前記防眩層の表面において、触針式表面粗さ測定装置で測定したJIS B0601:2013で規定される算術平均粗さRaが、0.015μm以上、0.06μm以下であるとよい。
前記防眩性反射防止フィルムは、前記低屈折率層の面上に、粘着剤層を介して保護フィルムを有するとよい。また、前記基材フィルムの前記低屈折率層とは反対の面上に透明粘着層を有するとよい。
本発明にかかる防眩性反射防止フィルムの評価方法は、前記防眩性反射防止フィルムの表面に対してレーザー顕微鏡で得られた凹凸分布を任意の直線上でフーリエ変換して得られる波長分布から、波長が14μm以上50μm以下の成分を抽出し、逆フーリエ変換して得られる凹凸抽出分布において、いずれか少なくとも一方向に隣り合う凹部との高低差が0.1μm以上である凸部の数として定義される抽出凸部密度を指標として、前記防眩性反射防止フィルムの品質を評価する。
ここで、前記抽出凸部密度が、3個/mm以上、30個/mm以下であれば、前記防眩性反射防止フィルムが良品であると評価するとよい。
本発明にかかる防眩性反射防止フィルムの製造方法は、基材フィルム上に、表面における前記抽出凸部密度が、10個/mm以上、38個/mm以下となるように、防眩層を形成し、前記防眩層の表面に、塗工によって低屈折率層を形成する。ここで、前記抽出凸部密度は、レーザー顕微鏡で得られた凹凸分布を任意の直線上でフーリエ変換して得られる波長分布から、波長が14μm以上50μm以下の成分を抽出し、逆フーリエ変換して得られる凹凸抽出分布において、いずれか少なくとも一方向に隣り合う凹部との高低差が0.1μm以上である凸部の数を指す。
本発明にかかる防眩性反射防止フィルムによれば、表面において、3個/mm以上、30個/mm以下の範囲の抽出凸部密度を有することにより、例えば画素密度264ppi(pixel per inch)といった高精細な画像表示装置に適用した場合でも、ギラツキを抑制し、良好な防眩性を有するとともに、優れた反射防止性能を有する。
本発明にかかる防眩性反射防止フィルムの評価方法によれば、表面の抽出凸部密度を指標として評価を行うことで、高精細な画像表示装置に適用した場合でも、ギラツキを抑制し、良好な防眩性を有するとともに、優れた反射防止性能を有する防眩性反射防止フィルムを、選別することができる。
本発明にかかる防眩性反射防止フィルムの製造方法によれば、表面の抽出凸部密度が10個/mm以上、38個/mm以下の範囲となるように、防眩層を形成してから、低屈折率層を形成することにより、高精細な画像表示装置に適用した場合でも、ギラツキを抑制し、良好な防眩性を有するとともに、優れた反射防止性能を有する防眩性反射防止フィルムを製造することができる。
本発明の第一実施形態にかかる防眩性反射防止フィルムの断面図である。 本発明の第二実施形態にかかる防眩性反射防止フィルムの断面図である。 本発明の第三実施形態にかかる防眩性反射防止フィルムの断面図である。 本発明の実施例2にかかる防眩性反射防止フィルムについて、防眩層の表面において得られた、(a)断面プロファイルおよび(b)凹凸抽出分布である。 本発明の実施例2にかかる防眩性反射防止フィルムについて、低屈折率層の表面において得られた、(a)断面プロファイルおよび(b)凹凸抽出分布である。 本発明の比較例1にかかる防眩性反射防止フィルムについて、防眩層の表面において得られた、(a)断面プロファイルおよび(b)凹凸抽出分布である。 本発明の比較例1にかかる防眩性反射防止フィルムについて、低屈折率層の表面において得られた、(a)断面プロファイルおよび(b)凹凸抽出分布である。
以下、本発明について詳細に説明する。
[第一実施形態にかかる防眩性反射防止フィルム]
<防眩性反射防止フィルムの全体構成>
図1は、本発明の第一実施形態にかかる防眩性反射防止フィルム10の断面図である。図1に示すように、本発明の第一実施形態にかかる防眩性反射防止フィルム10は、基材フィルム12と、基材フィルム12の面上に形成された低屈折率層14と、基材フィルム12と低屈折率層14の間に形成された防眩層16とを有する。つまり、防眩性反射防止フィルム10は、基材フィルム12、防眩層16、低屈折率層14をこの順に有する。低屈折率層14は、防眩性反射防止フィルム10全体としての最表面に露出している。
(抽出凸部密度)
後に詳しく説明するように、防眩層16が凸部形成用粒子18を含んでいることにより、防眩性反射防止フィルム10の表面には、凹凸構造が形成されている。防眩性反射防止フィルム10の表面の凹凸構造は、防眩性反射防止フィルム10の防眩性および反射防止性能に、大きな影響を与える。
防眩性反射防止フィルム10の表面の凹凸分布(断面プロファイル)は、レーザー顕微鏡によって得ることができる。特に、3Dレーザー測定顕微鏡によって、好適に得ることができる。本実施形態にかかる防眩性反射防止フィルム10の断面プロファイルにおいて、凹凸構造の分布を波長で表現すると、波長14μm以上、50μm以下の凹凸が含まれている。ここで、波長14μm以上、50μm以下の凹凸とは、断面プロファイルをフーリエ変換して得られる、各波長成分の寄与を示すフーリエスペクトルにおいて、波長14~50μm、つまり波数0.2~0.7μm-1となる成分を指す。波長14~50μmmの分布を与える凹凸構造は、防眩性反射フィルム10の防眩性および反射防止性能に、大きな影響を与える。
そこで、本実施形態にかかる防眩性反射防止フィルム10における凹凸構造の分布を、抽出凸部密度によって表現する。抽出凸部密度は、レーザー顕微鏡で得られた断面プロファイルを任意の直線上でフーリエ変換して得られる波長分布から、波長が14μm以上50μm以下の成分を抽出し、逆フーリエ変換して得られる凹凸抽出分布において、いずれか少なくとも一方向(直線上の左右いずれか少なくとも一方)に隣り合う凹部との高低差が0.1μm以上である凸部の数を指す。つまり、断面プロファイルの任意の箇所1mmにおいて、波長が14~50μmの凹凸をバンドパスフィルターで抽出したとき、いずれか少なくとも一方の隣り合う凹部との高低差が0.1μm以上のピークを持つ凸部の数を、抽出凸部密度とする。断面プロファイル上で、フーリエ変換を行う直線の長さは、特に限定されるものではなく、解析を正確に行うのに十分な個数の凸部が含まれるように選択すればよい。例えば、0.5mm以上、2mm以下など、1mm前後の長さの直線を、表面の任意の箇所に設定すればよい。
本実施形態にかかる防眩性反射防止フィルム10においては、上記のように定義される抽出凸部密度が、3個/mm以上、かつ30個/mm以下の範囲にある。防眩層16の表面に形成された凸部は、反射光を拡散することで、防眩性を高めるものとなる。抽出凸部密度が3個/mm以上であれば、良好な防眩性を得ることができる。それらの効果をさらに高める観点から、抽出凸部密度は、より好ましくは5個/mm以上、さらに好ましくは6個/mm以上である。一方、防眩層16の表面の凹凸は、ギラツキの原因ともなるが、抽出凸部密度が30個/mm以下に抑えられていれば、ギラツキの発生を抑制し、良好な低反射率を得て、防眩性反射防止フィルム10が、黒色表示部において良好な黒味を有するものとなる。それらの効果をさらに高める観点から、抽出凸部密度は、より好ましく25個/mm以下、さらに好ましくは15個/mm以下である。なお、防眩性反射防止フィルム10の抽出凸部密度は、低屈折率層14の表面、つまり防眩性反射防止フィルム10全体としての表面に対して評価される。防眩性反射防止フィルム10の表面における抽出凸部密度は、低屈折率層14および防眩層16の成分組成や厚さ、特に防眩層16における凸部形成粒子18の粒径および密度等、低屈折率層14および防眩層16の具体的な構成によって制御することができる。
本実施形態において、防眩性反射防止フィルム10の表面の凹凸分布の規定を、表面粗さ測定に汎用されている触針を用いた表面粗さ測定装置ではなく、レーザー顕微鏡を用いて行っているのは、波長14~50μmのように小さいスケールで分布する凹凸構造を、高い空間分解能で評価するためである。また、光の反射を原理とする評価方法を用いることで、光の反射の挙動を反映する現象である防眩性や反射防止性と高い相関性をもって、防眩性反射フィルム10の評価を行うことができる。例えば、後の実施例に示すように、防眩層16に低屈折率層14を積層した際に、触針を用いた表面粗さ測定装置で測定した表面粗さの変化が小さいにもかかわらず、レーザー顕微鏡で得られる断面プロファイルにおける凹凸の減衰(凹凸の高低差や凹凸の分布密度の減衰)が大きくなる傾向がある。特に波長14~50μmの凹凸の減衰が大きくなる傾向がある。これらの傾向は、低屈折率層14の反射防止効果により、レーザー顕微鏡のレーザー光の反射率が低下するためであると推測される。つまり、レーザー顕微鏡を用いることで、防眩性反射防止フィルム10の表面における光学的な特性である防眩性や反射防止性を、低屈折率層14による反射防止効果まで取り込んで評価することができる。
また、本実施形態において、抽出凸部密度を評価する断面プロファイル上の波長を、14μm以上、50μm以下の範囲としているのは、以下の理由による。波長14μm以上の凹凸は、光の拡散反射により、防眩性を向上させるのに高い効果を示す反面、その所産であるレンズ効果によって、高精細な画像表示装置のピクセルを歪ませて輝度分布を大きくし、観察者にとって画像表示装置にギラツキがあると感じさせるものであり、抽出凸部密度として評価することで、ギラツキを抑えて優れた防眩性を示すフィルムであることの指標とできる。なお、波長が14μm未満の凹凸については、低屈折率層14の形成による凹凸の減衰が小さいことなどから、良好に光を拡散反射することができると考えられるものの、レーザー顕微鏡の計測結果にノイズ成分が多く含まれるため、抽出凸部密度の評価の精度を高める観点から、評価対象に含めないようにしている。一方、波長50μm以下の凹凸を抽出凸部密度として評価することで、反射防止性の向上に寄与する凹凸構造を、効果的に評価することができる。波長が50μmを超える凹凸は、低屈折率層14を積層した際の凹凸の減衰が小さいことからも、反射防止性への寄与は小さいと考えられ、評価対象としていない。
ここで、抽出凸部密度の評価に用いている表面プロファイルは、上記のように、バンドパスフィルターなどフィルタリング処理によって抽出されるものであり、表面プロファイルには、山の一部に過ぎない凹凸も含まれる。しかし、そのように山の一部であったとしても、いずれか少なくとも一方の隣り合う凹部との高低差が0.1μm以上のピークを持つ凸部であれば、その凸部はレンズとして働き、ギラツキを感じさせる。したがって、防眩性反射防止フィルム10表面において、波長14~50μmで、いずれか少なくとも一方の隣り合う凹部との高低差が0.1μm以上のピークを持つ凸部の数を制御することによって、ギラツキを抑えた良好な防眩性および反射防止性を得ることができる。
上記のように、波長が50μmを超える凹凸は、防眩性反射防止フィルム10の反射防止性への寄与が小さく、抽出凸部密度の評価対象としていないが、防眩性反射防止フィルム10の表面に存在していれば、防眩性の向上に効果を示す一方で、粒立ちによってディスプレイの外観品位に影響を与える可能性がある。波長が50μmを超える凸部の数は、レーザー顕微鏡で得られた断面プロファイルの任意の箇所1mmにおいて、波長が50μmを超える凹凸をローパスフィルターで抽出したとき、いずれか少なくとも一方の隣り合う凹部との高低差が0.1μm以上のピークを持つ凸部の数として評価される。防眩性を高める観点から、この波長50μmを超える凸部の数が、5個/mm以上、さらには8個/mm以上、10個/mm以上であるとよい。一方、表示装置表面の粒立ちを感じさせずにディスプレイの外観品位を維持する観点から、波長50μmを超える凸部の数は、33個/mm以下、さらには30個/mm以下、25個/mm以下であるとよい。
レーザー顕微鏡での計測結果に基づいて、抽出凸部密度に加え、表面の算術平均粗さRaも評価することができ、本実施形態にかかる防眩性反射防止フィルム10は、上記の範囲の抽出凸部密度を有することに加え、算術平均粗さRaも、以下の範囲にあることが好ましい。ここで、表面の算術平均粗さRaは、レーザー顕微鏡による計測結果に対して、JIS B0601:2013に従って規定することができる(以下においても同様とする)。具体的には、防眩性反射防止フィルム10の表面の算術平均粗さRaが、0.05μm以上であることが好ましい。Raが0.05μm以上であれば、低屈折率層14の表面に比較的均一で微細な凹凸が多数存在することになり、良好な防眩性が得られる。Raは、より好ましくは0.06μm以上、さらに好ましくは0.07μm以上であるとよい。一方、防眩性反射防止フィルム10の表面の算術平均粗さRaは、0.11μm以下であることが好ましい。Raが0.11μm以下であれば、表面のギラツキを効果的に抑制することができる。Raは、より好ましくは0.10μm以下、さらに好ましくは0.09μm以下であるとよい。
(その他の特性)
上記のように、防眩性反射防止フィルム10の表面における凹凸構造を、レーザー顕微鏡を用いて評価することで、触針式の表面粗さ測定装置を用いる場合よりも、防眩性反射防止フィルム10光学的特性として反映される凹凸構造の評価を正確に行うことができるが、触針式表面粗さ測定装置による評価の方が簡便に実施することができ、レーザー顕微鏡を用いた評価と併用することで、防眩性反射防止フィルム10として、さらに優れた特性を有するものを得ることができる。具体的には、防眩性反射防止フィルム10の表面(低屈折率層14の表面)において、触針式表面粗さ測定装置で測定した算術平均粗さRaが、0.015μm以上、さらには0.018μm以上、0.020μm以上であれば、低屈折率層14の表面に比較的均一で微細な凹凸が多数存在することになり、良好な防眩性が得られる。一方、その算術平均粗さRaが、0.06μm以下、さらには0.05μm以下、0.04μm以下であれば、表面のギラツキを効果的に抑制することができる。なお、触針式表面粗さ測定装置による算術平均粗さRaは、JIS B0601:2013に従って規定すればよい(以下においても同様とする)。ここで、触針式表面粗さ測定装置で測定した算術平均粗さRaの好適な範囲が、上記のレーザー顕微鏡での計測結果に基づく算術平均粗さRaの好適な範囲よりも値が小さい領域に存在するのは、レーザー顕微鏡の方が、触針式表面粗さ測定装置よりも高い空間分解能を有していることによる。
さらに、防眩性反射防止フィルム10は、視感度反射率が1.3%以下となっているとよい。すると、画像表示装置の画像背景を黒くしたときの黒さ(黒濃度)が高くなり、画像のコントラストが向上する。その効果をさらに高める観点から、視感度反射率は、より好ましくは1.2%以下、さらに好ましくは1.0%以下であるとよい。視感度反射率は低いほど好ましく、特に下限は設けられないが、通常は0.3%以上である。視感度反射率は、積分球で正反射光を含む(SCI:Specular Component Include)拡散反射光に対して計測すればよい。
防眩性反射防止フィルム10のヘイズ(Hz)は、2.0%以上であるとよい。すると、良好な防眩性が得られる。防眩性向上効果をさらに高める観点から、ヘイズは、より好ましくは4.0%以上、さらに好ましくは6.0%以上であるとよい。一方、防眩性反射防止フィルム10のヘイズは、20%以下であることが好ましい。すると、高精細な画像表示装置においても、表示画面を明瞭に視認することができる。その効果をさらに高める観点から、ヘイズは、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下である。
以下、防眩性反射防止フィルム10を構成する各層について、詳細に説明する。
<基材フィルム>
基材フィルム12の具体的な構成は、透明性を有していれば、特に限定されるものではない。基材フィルム12としては、透明高分子フィルム、ガラスフィルムなどが挙げられる。透明性とは、可視光波長領域における全光線透過率が50%以上であることを言い、全光線透過率は、より好ましくは85%以上である。上記全光線透過率は、JIS K7361-1(1997)に準拠して測定することができる。基材フィルム12の厚みは、特に限定されるものではないが、取り扱い性に優れるなどの観点から、2μm以上500μm以下の範囲内であることが好ましい。より好ましくは2μm以上200μm以下であるとよい。なお、「フィルム」とは、一般に厚さが0.25mm未満のものをいうが、厚さが0.25mm以上のものであっても、ロール状に巻くことが可能であれば、「フィルム」に含まれるものとする。
基材フィルム12が透明高分子フィルムである場合に、基材フィルム12を構成する高分子材料としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂などのポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂、シクロオレフィンコポリマー樹脂などのポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂などが挙げられる。基材フィルム12の高分子材料は、これらのうちの1種のみで構成されていてもよいし、2種以上の組み合わせで構成されていてもよい。これらのうちでは、光学特性や耐久性などの観点から、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂、シクロオレフィンコポリマー樹脂がより好ましい。また、偏光板を含む画像表示装置を偏光サングラスを通して観察する場合に、画像表示装置の偏光の吸収軸と、偏光サングラスの偏光の吸収軸とが直交すると画面が暗くなり見えなくなる現象(ブラックアウト)や、基材フィルム12のリタデーションに起因する色ムラ(虹ムラ)を抑制する観点から、光学的等方性の高いポリシクロオレフィン樹脂、シクロオレフィンコポリマー樹脂、あるいは3000nm以上のリタデーションを有するポリエチレンテレフタレート樹脂から構成されるフィルムが特に好ましい。
基材フィルム12は、上記高分子材料の1種または2種以上を含む層からなる単層で構成されていてもよいし、上記高分子材料の1種または2種以上を含む層と、この層とは異なる高分子材料の1種または2種以上を含む層など、2層以上の層で構成されていてもよい。
<防眩層>
防眩層16は、防眩性反射防止フィルム10に防眩性を付与するとともに、耐擦傷性の向上に寄与する。防眩層16は、防眩性反射防止フィルム10の表面に凹凸を形成することで、防眩性反射防止フィルム10に防眩性を付与できるものであれば、具体的な構成を限定されるものではないが、バインダー樹脂、および防眩層16の表面に凸部を形成するための粒子(凸部形成用粒子)18を含むことが好ましい。バインダー樹脂および凸部形成用粒子18の構成の詳細については、後に説明する。
防眩層16は、鉛筆硬度H以上の硬度を有することが好ましい。鉛筆硬度は、JIS K5600-5-4に準拠して測定することができる。防眩層16の膜厚は、十分な硬度を有するなどの観点から、0.5μm以上であることが好ましい。より好ましくは1.2μm以上、さらに好ましくは3.0μm以上である。また、基材フィルム12との熱収縮差に起因するカールが抑えられやすいなどの観点から、防眩層16の膜厚は、20μm以下であることが好ましい。より好ましくは15μm以下、さらに好ましくは10μm以下、特に好ましくは6.0μm以下である。
防眩層16は、表面において、抽出凸部密度が、10個以上であることが好ましい。層表面の抽出凸部密度の定義は、上記で、防眩性反射防止フィルム10全体としての表面、つまり低屈折率層14の表面について説明したものと同じである。抽出凸部密度が10個/mm以上であれば、低屈折率層14を積層しても良好な防眩性を得やすい。この効果をさらに高める観点から、抽出凸部密度は、好ましくは15個/mm以上、より好ましくは20個/mm以上であるとよい。一方、防眩層16の表面の抽出凸部密度は、38個/mm以下であることが好ましい。抽出凸部密度が38個/mm以下であれば、低屈折率層14を積層してもギラツキが生じにくく、防眩性反射防止フィルム10が、良好な低反射率を得て黒色表示部において良好な黒味を有するものとなる。この効果をさらに高める観点から、抽出凸部密度は、好ましくは37個/mm以下、より好ましくは36個/mm以下であるとよい。
また、防眩層16の表面凹凸が形成されている表面において、レーザー顕微鏡での計測結果に基づいて得られる算術平均粗さRaが、0.07μm以上であることが好ましい。このRaが0.07μm以上であれば、防眩層16上に低屈折率層14を形成しても、比較的均一で微細な凹凸が多数存在することにより、良好な防眩性が得られる。Raは、より好ましくは0.08μm以上、さらに好ましくは0.10μm以上であるとよい。一方、防眩層16の表面の上記算術平均粗さRaは、0.15μm以下であることが好ましい。このRaが0.15μm以下であれば、防眩性反射防止フィルム10の表面のギラツキを効果的に抑制することができる。Raは、より好ましくは0.13μm以下、さらに好ましくは0.12μm以下であるとよい。
なお、上記のとおり、防眩性反射フィルム10全体としての表面における抽出凸部密度は、3個/mm以上、30個/mm以下である。また、レーザー顕微鏡の計測結果に基づく好適な算術平均粗さRaは、防眩性反射防止フィルム10全体としての表面において、0.05μm以上、また0.11μm以下である。つまり、ここに防眩層16の表面について挙げた好ましい抽出凸部密度の数および算術平均粗さRaはいずれも、それら防眩性反射防止フィルム10全体についての値よりも大きくなっている。これは、防眩層16の表面に低屈折率層14を形成した際に、凹凸が減衰することを加味して、防眩性反射フィルム10全体としての表面に所定の抽出凸部密度を付与するのに十分な密度および高低差となるように、防眩層16の表面に凹凸構造を形成するためである。低屈折率層14の形成による凹凸の減衰は、低屈折率層14の存在により、表面の凹凸構造の分布密度や高低差が実際に小さくなることに加え、低屈折率層14の反射防止効果により、抽出凸部密度および算術平均粗さRaの評価に用いるレーザー顕微鏡のレーザー光の反射率が低下するためであると推測される。
さらに、防眩層16の表面凹凸が形成されている表面において、触針式表面粗さ測定装置で測定して得られる算術平均粗さRaが、0.015μm以上であることが好ましい。このRaが0.015μm以上であれば、防眩層16上に低屈折率層14を形成しても、比較的均一で微細な凹凸が多数存在することにより、良好な防眩性が得られる。この効果をさらに高める観点から、Raは、より好ましくは0.020μm以上、さらに好ましくは0.025μm以上であるとよい。一方、防眩層16の表面の上記算術平均粗さRaは、0.06μm以下であることが好ましい。このRaが0.06μm以下であれば、防眩性反射防止フィルム10の表面のギラツキを効果的に抑制することができる。Raは、より好ましくは0.05μm以下、さらに好ましくは0.04μm以下であるとよい。なお、ここに防眩層16の表面について、触針式表面粗さ測定装置で得られる算術平均粗さRaの好適な範囲として挙げた、0.015μm以上、また0.06μm以下との範囲は、防眩性反射防止フィルム10全体の表面、つまり低屈折率層14の表面について上で挙げた範囲と同じになっている。この理由は、触針式表面粗さ測定装置によって表面の凹凸を評価する場合には、レーザー顕微鏡を用いる場合とは異なり、空間分解能がそれほど高くないこと、また低屈折率層14による光の反射が測定結果に影響を与えないことによる。
(バインダー樹脂)
防眩層16を構成するバインダー樹脂の具体的な種類は、特に限定されるものではないが、防眩層16の耐擦傷性などの観点から、熱硬化性化合物の硬化物や電離放射線硬化性化合物の硬化物などが好ましい。また、生産性などの観点から、電離放射線硬化性化合物の硬化物がより好ましい。電離放射線とは、電磁波または荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋しうるエネルギー量子を有するものを意味する。電離放射線としては、紫外線(UV)、X線、γ線等の電磁波、電子線(EB)、α線、イオン線等の荷電粒子線などが挙げられる。これらのうちでは、生産性の観点から、紫外線(UV)が特に好ましい。
電離放射線硬化性樹脂としては、電離放射線反応性の反応性基を有するモノマー、オリゴマー、プレポリマーなどが挙げられる。電離放射線反応性の反応性基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、ビニル基等のエチレン性不飽和結合を有するラジカル重合型の反応性基や、オキセタニル基などのカチオン重合型の反応性基などが挙げられる。これらのうちでは、アクリロイル基、メタクリロイル基、オキセタニル基がより好ましく、アクリロイル基、メタクリロイル基が特に好ましい。すなわち、電離放射線硬化性樹脂として、(メタ)アクリレートが特に好ましい。なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」は「アクリレートおよびメタクリレートの少なくとも一方」をいう。「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイルおよびメタクリロイルの少なくとも一方」をいう。「(メタ)アクリル」は「アクリルおよびメタクリルの少なくとも一方」をいう。
電離放射線硬化性樹脂を構成する(メタ)アクリレートとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらのうちでは、柔軟性に優れるなどの観点から、ウレタン(メタ)アクリレートが特に好ましい。防眩層16を形成するための硬化性組成物が電離放射線硬化性樹脂としてウレタン(メタ)アクリレートを含む場合には、例えば基材フィルム12がポリシクロオレフィンやシクロオレフィンコポリマーなどから形成され、比較的割れやすいものでも、基材フィルム12の割れを抑えやすい。
防眩層16を形成する硬化性組成物には、電離放射線硬化性樹脂に加え、非電離放射線硬化性樹脂が含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。また、防眩層16を形成する硬化性組成物には、光重合開始剤が含まれていてもよい。また、必要に応じ、硬化性組成物に一般的に添加される添加剤などが含まれていてもよい。さらに、必要に応じ、硬化性組成物に、凸部形成用粒子18よりも粒子径の小さい粒子である小径粒子が含まれてもよい。
電離放射線硬化性樹脂と併用される非電離放射線硬化性樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などが挙げられる。熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂などが挙げられる。熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。
光重合開始剤としては、アルキルフェノン系、アシルホスフィンオキサイド系、オキシムエステル系などの光重合開始剤が挙げられる。アルキルフェノン系光重合開始剤としては、2,2’-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジルメチル-2-(ジメチルアミノ)-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン、2-(4-メチルベンジル)-2-(ジメチルアミノ)-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン、N,N-ジメチルアミノアセトフェノンなどが挙げられる。アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。オキシムエステル系光重合開始剤としては、1,2-オクタンジオン、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-2-(O-ベンゾイルオキシム)、エタノン-1-[9-エチルー6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾールー3-イル]-1-(O-アセチルオキシム)などが挙げられる。光重合開始剤は、これらの1種単独で用いられてもよいし、2種以上組み合わせて用いられてもよい。光重合開始剤の含有量は、硬化性組成物の固形分全量基準で、0.1質量%以上、さらには1質量%以上とすることが好ましい。一方、その含有量は、10質量%以下、さらには5質量%以下とすることが好ましい。
(凸部形成用粒子)
凸部形成用粒子18は、防眩層16に含まれることで、防眩層16の表面に凸部を形成するものである。凸部形成用粒子18によって防眩層16の表面に凸部が形成されることで、防眩層16が反射光を拡散し、良好な防眩性を有するものとなる。
凸部形成用粒子18は、無機粒子であってもよいし、有機粒子であってもよい。無機粒子としては、チタン、ジルコニウム、ケイ素、アルミニウム、カルシウムなどの金属の酸化物からなる金属酸化物粒子が挙げられる。これらは、無機粒子として1種単独で用いられてもよいし、2種以上組み合わせて用いられてもよい。また、有機粒子としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂、スチレン-(メタ)アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン樹脂、セルロースなどの樹脂からなる樹脂粒子が挙げられる。これらは、有機粒子として1種単独で用いられてもよいし、2種以上組み合わせて用いられてもよい。これらのうちでは、有機粒子が好ましく、透明性に優れるなどの観点から、(メタ)アクリル粒子が特に好ましい。凸部形成用粒子18として、無機粒子と有機粒子を併用してもよい。
凸部形成用粒子18の形状は、特に限定されるものではなく、球状、針状、鱗片状、棒状、繊維状、不定形などであってもよい。これらのうちでは、球状であることが好ましい。また、その粒度分布については、防眩層16中およびその表面における光の拡散又は散乱を均一に行う観点から、粒子径のそろった単分散のものが好ましい。
凸部形成用粒子18の平均粒子径は、反射光を効率的に拡散させる観点から、1μm以上であることが好ましい。平均粒子径が1μm以上であることで、反射光を拡散させる効果が大きくなる。その効果をさらに高める観点から、平均粒子径は、より好ましくは2μm以上、さらに好ましくは3μm以上であるとよい。一方、凸部形成用粒子18の平均粒子径は、20μm以下であることが好ましい。平均粒子径が20μm以下であることで、防眩層16の膜厚が厚くなりすぎないことにより、膜の硬化収縮により防眩性反射防止フィルム10がカールしにくくなる。また、表面の凹凸形状において、1か所あたりの凹凸が大きくなりすぎないことにより、高精細化した画像表示装置へ防眩性反射防止フィルム10を設置した際に、輝度のばらつきによるギラツキが発生しにくく、表示画面を明瞭に視認することができる。それらの効果をさらに高める観点から、凸部形成用粒子18の平均粒子径は、より好ましくは15μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。ここで凸部形成用粒子18の平均粒子径としては、コールターカウンター法により測定された分布を粒子数分布に換算し、得られた粒子数分布から算出される値を採用することができる。なお、コールターカウンター法は、電気抵抗を利用した粒子径測定法であり、粒子が感応領域を通過する際に生じる2電極間の電気抵抗の変化を測定して平均粒子径を測定する方法である。
防眩層16の膜厚(t)と凸部形成用粒子の平均粒子径(d)の比(t/d)は、1.2以上であることが好ましい。t/dが1.2以上であれば、低屈折率層14を積層したときに良好な反射率低減効果を得ることができる。その効果をさらに高める観点から、t/dは、より好ましくは1.3以上、さらに好ましくは1.4以上である。一方、t/dは、2.0以下であることが好ましい。t/dが2.0以下であれば、良好な防眩性を与えうる表面凹凸が、防眩層16に形成される。その効果をさらに高める観点から、t/dは、より好ましくは1.8以下、さらに好ましくは1.6以下である。
(添加剤)
上記のように、防眩層16を構成する硬化性組成物には、必要に応じて、添加剤などが含まれていてもよい。このような添加剤としては、防汚剤、分散剤、レベリング剤、消泡剤、搖変剤、抗菌剤、難燃剤、スリップ剤、屈折率調整剤、密着性向上剤などが挙げられる。また、必要に応じ、溶剤が含まれていてもよい。
防眩層16を形成する硬化性組成物において用いられる溶剤としては、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、n-ブチルアルコール(NBA)、エチレングリコールモノメチルエーテル(EGM)、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(IPG)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのアルコール系溶剤や、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン、アセトンなどのケトン系溶剤、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤、酢酸エチル(EtAc)、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル(BuAc)などのエステル系溶剤、N-メチルピロリドン、アセトアミド、ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶剤などが挙げられる。これらは、溶剤として1種単独で用いられてもよいし、2種以上組み合わせて用いられてもよい。
溶剤を用いる場合に、硬化性組成物の固形分濃度(溶剤以外の成分の濃度)は、塗工性、膜厚などを考慮して適宜定めればよい。例えば、固形分濃度を、1質量%以上、さらには1.5質量%以上、2質量%以上などとすればよい。また、90質量%以下、さらには80質量%以下、70質量%以下などとすればよい。
(小径粒子)
上記のように、硬化性組成物には、凸部形成用粒子18よりも粒子径の小さい粒子である小径粒子が含まれてもよい。小径粒子は、防眩層16の表面に凸部を形成する以外の目的、例えば防眩層16に内部散乱を付与したり、高屈折率に調整したりするなどの目的で添加しうる。小径粒子は、無機粒子または有機粒子とすることができ、それらをともに含むものであってもよい。小径粒子の粒子径は、防眩層16の防眩性を高めすぎないために、好ましくは200nm以下、より好ましくは120nm以下、さらに好ましくは100nm以下であるとよい。
防眩層16の内部散乱を適度に高めることで、ギラツキを軽減することができる。内部散乱を付与する小径粒子の屈折率は、防眩層16全体の屈折率との関係によるが、1.40以上、また1.80以下であることが好ましい。
また、防眩層16を高屈折率にすることで、低屈折率層14を積層したときに、反射防止機能をより高めることができる。高屈折率とは、測定波長589.3nmにおける屈折率が1.50以上となる状態を言う。防眩層16の屈折率は、好ましくは1.55以上、さらには1.60以上であるとよい。また、1.80以下、さらには1.70以下であるとよい。
高屈折率に光学調整可能な無機粒子よりなる小径粒子(高屈折率粒子)としては、チタン、ジルコニウム、スズ、亜鉛、ケイ素、ニオブ、アルミニウム、クロム、マグネシウム、ゲルマニウム、ガリウム、アンチモン、白金などの金属の酸化物からなる金属酸化物粒子が挙げられる。これらは、光学調整可能な無機粒子として1種単独で用いられてもよいし、2種以上組み合わせて用いられてもよい。これらのうちでは、高屈折率と透明性の両立に優れるなどの観点から、チタン酸化物、ジルコニウム酸化物が特に好ましい。
また、高屈折率に光学調整可能な樹脂粒子よりなる小径粒子(高屈折率粒子)としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂、スチレン-(メタ)アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン樹脂、セルロースなどの樹脂からなる樹脂粒子が挙げられる。これらは、樹脂粒子として1種単独で用いられてもよいし、2種以上組み合わせて用いられてもよい。
(防眩層の形成方法)
防眩層16は、基材フィルム12の面上に防眩層16となる組成物を塗工し、必要に応じて乾燥後、電離放射線照射により硬化させることで、基材フィルム12の面上に形成することができる。この際、基材フィルム12と防眩層16の密着性を向上させるために、基材フィルム12の表面には、塗工前に表面処理が施されてもよい。表面処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、熱風処理、オゾン処理、紫外線処理などが挙げられる。
防眩層16を形成する組成物の塗工には、例えば、リバースグラビアコート法、ダイレクトグラビアコート法、ダイコート法、バーコート法、ワイヤーバーコート法、ロールコート法、スピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法、ナイフコート法、キスコート法などの各種コーティング法や、インクジェット法、オフセット印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷などの各種印刷法を用いることができる。
乾燥工程の実施条件は、塗工液に含まれる溶剤等を除去できれば特に限定されるものではないが、50℃以上150℃以下の温度で、10秒から180秒程度行うことが好ましい。特に、乾燥温度は、50℃以上120℃以下の範囲が好ましい。また、防眩層16の表面粗さは、乾燥温度や時間の影響を受けて変化する。このため乾燥工程において、乾燥温度は、できるかぎり一定に保つとよく、所定の温度からの温度変化は、上下ともに10℃以下であることが好ましい。温度変化は、より好ましくは5℃以下、さらに好ましくは3℃以下である。
電離放射線照射には、高圧水銀ランプ、無電極(マイクロ波方式)ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、その他任意の電離放射線照射装置を用いることができる。電離放射線照射は、必要に応じて、窒素などの不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。電離放射線照射量は、特に限定されるものではないが、50~800mJ/cmが好ましく、100~300mJ/cmがより好ましい。
防眩層16を形成するに際し、形成される防眩層16の表面における抽出凸部密度が、10個/mm以上、38個/mm以下となるようにすることが好ましい。すると、低屈折率層14の積層を経て、最終的に得られる防眩性反射防止フィルム10が、表面において、3個/mm以上、30個/mm以下の抽出凸部密度を有し、防眩性と反射防止性に優れたものとなりやすい。防眩層16の表面における抽出凸部密度は、防眩層16の形成に用いる組成物に含有させる凸部形成用粒子18の材質や粒径、含有量、またバインダー樹脂やその他の成分の種類および含有量、組成物を塗工する膜厚、の少なくとも1つのパラメータによって、主に調整することができる。さらに、組成物の塗工時、また塗膜の乾燥時および硬化時の条件によっても、防眩層16の表面の抽出凸部密度を調整することができる。
<低屈折率層>
低屈折率層14は、防眩層16上に形成することで、防眩性反射防止フィルム10の反射防止性を高めることができる。低屈折率層14は、防眩層16の表面に配置することで、防眩性反射防止フィルム10の反射防止性を高めることができるものであれば、特に構成を限定されるものではないが、バインダー樹脂に、中空シリカ粒子22を分散させたものであることが好ましい。低屈折率層14はさらに、含フッ素化合物を含有することが好ましい。
低屈折率層14の膜厚は、60nm以上、また160nm以下であることが好ましい。低屈折率層14の表面で発生する反射光と、低屈折率層14と防眩層16の間の界面で活性する反射光とが打ち消し合って反射率が最小となる波長(最大吸収波長)は、低屈折率層14の膜厚が厚いほど長波長に存在することになるが、低屈折率層の膜厚が60nm以上160nm以下の範囲にあれば、可視域に最大吸収波長を位置させやすい。すると、良好に低減された視感度反射率を得ることができ、光の反射を効果的に軽減することができる。紫外域を避けて、確実に可視域に最大吸収波長を設定する観点から、低屈折率層14の膜厚は、より好ましくは70nm以上、さらに好ましくは80nm以上であるとよい。さらに、低屈折率層14の膜厚を160nm以下としておけば、上記のように可視光に対する反射効果を高められることに加え、防眩層16において凸部形成用粒子18によって付与された凹凸を、低屈折率層14の表面において、良好に維持することができる。それらの効果をさらに高める観点から、低屈折率層14の膜厚は、より好ましくは140nm以下、さらに好ましくは120nm以下であるとよい。
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂としては、低屈折率層14の耐擦傷性向上などの観点から、熱硬化性化合物の硬化物や電離放射線硬化性化合物の硬化物などが好ましい。また、生産性などの観点から、電離放射線硬化性化合物の硬化物がより好ましい。
電離放射線硬化性化合物としては、電離放射線反応性の反応性基を有するモノマー、オリゴマー、プレポリマーなどが挙げられる。電離放射線反応性の反応性基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、ビニル基等のエチレン性不飽和結合を有するラジカル重合型の反応性基やオキセタニル基などのカチオン重合型の反応性基などが挙げられる。これらのうちでは、アクリロイル基、メタクリロイル基、オキセタニル基がより好ましく、アクリロイル基、メタクリロイル基が特に好ましい。すなわち、電離放射線硬化性化合物として、(メタ)アクリレートが特に好ましい。
(メタ)アクリレートとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。(メタ)アクリレートは、単官能(メタ)アクリレートのみで構成されていてもよいし、多官能(メタ)アクリレートで構成されていてもよいし、単官能(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートの組み合わせで構成されていてもよい。(メタ)アクリレートとして、多官能(メタ)アクリレートを含むことがより好ましい。電離放射線硬化性樹脂は、下に挙げるもの等、1種の(メタ)アクリレート単独で構成されていてもよいし、2種以上で構成されていてもよい。
単官能(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、1-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-メチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-エチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1-ナフチルメチル(メタ)アクリレート、2-ナフチルメチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ-2-メチルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、3-フェノキシ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、4-フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、3-(2-フェニルフェニル)-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートとしては、二官能(メタ)アクリレート、三官能(メタ)アクリレート、四官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。より具体的には、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
低屈折率層14を形成する硬化性組成物には、電離放射線硬化性樹脂に加え、非電離放射線硬化性樹脂が含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。また、低屈折率層14を形成する硬化性組成物には、光重合開始剤が含まれていてもよい。また、必要に応じ、硬化性組成物に一般的に添加される添加剤などが含まれていてもよい。このような添加剤としては、分散剤、レベリング剤、消泡剤、搖変剤、防汚剤、抗菌剤、難燃剤、スリップ剤などが挙げられる。また、必要に応じ、溶剤が含まれていてもよい。
低屈折率層14を形成する硬化性組成物に含有させることができる非電離放射線硬化性樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などが挙げられる。熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂などが挙げられる。熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。
光重合開始剤としては、アルキルフェノン系、アシルホスフィンオキサイド系、オキシムエステル系などの光重合開始剤が挙げられる。アルキルフェノン系光重合開始剤としては、2,2’-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジルメチル-2-(ジメチルアミノ)-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン、2-(4-メチルベンジル)-2-(ジメチルアミノ)-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン、N,N-ジメチルアミノアセトフェノンなどが挙げられる。アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。オキシムエステル系光重合開始剤としては、1,2-オクタンジオン、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-2-(O-ベンゾイルオキシム)、エタノン-1-[9-エチルー6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾールー3-イル]-1-(O-アセチルオキシム)などが挙げられる。光重合開始剤は、これらの1種単独で用いられてもよいし、2種以上組み合わされて用いられてもよい。光重合開始剤の含有量は、硬化性組成物の固形分全量基準で、0.1質量%以上、さらには1質量%以上であることが好ましい。一方、その含有量は、10質量%以下、さらには5質量%以下であることが好ましい。
低屈折率層14の形成用組成物において用いられる溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル(EGM)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのアルコール系溶剤や、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン、アセトンなどのケトン系溶剤、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤、N-メチルピロリドン、アセトアミド、ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶剤などが挙げられる。これらは、溶剤として1種単独で用いられてもよいし、2種以上組み合わせて用いられてもよい。
(中空シリカ粒子)
中空シリカ粒子22は、粒子の内部に空洞を有している粒子であり、特に空洞の割合が体積の5%以上である粒子をいう。中空とは、外殻とその内部の空洞からなるコアシェル構造のものや、多数の空洞を有する多孔質構造のものなどをいう。中空シリカ粒子22は、中空構造であることで、低屈折率層14の屈折率を低くして、光の反射を低減させることができる。中空シリカ粒子22は、低屈折率層14の平均厚さよりも平均粒子径の小さい粒子であり、低屈折率層14の表面凹凸の形成に実質的に寄与しない。中空シリカ粒子22は、防眩層16の表面に凸部を形成する凸部形成用粒子18よりも平均粒子径の小さい粒子であるとよい。中空シリカ粒子22の形状は、特に限定されるものではないが、球状、紡錘状、卵状、平板状、立方体状、不定形などが好ましい。これらのうちでは、球状、平板状、立方体状などが特に好ましい。
中空シリカ粒子22において、空洞の割合は、体積(中空シリカ粒子22が占める体積全体)の10%以上であることが好ましい。空洞の割合が体積の10%以上であると、屈折率を低くして光の反射を低減しやすい。その効果をさらに高める観点から、空洞の割合は、より好ましくは体積の20%以上、さらに好ましくは体積の30%であるとよい。一方、空洞の割合は、体積の80%以下であることが好ましい。空洞の割合が体積の80%以下であると、中空シリカ粒子22の分散性の低下を抑えることができる。その効果をさらに高める観点から、空洞の割合は、より好ましくは体積の60%以下である。
中空シリカ粒子22の平均粒子径は、低屈折率層14の平均膜厚にもよるが、5nm以上、さらには20nm以上、40nm以上であることが好ましい。また、100nm以下、さらには80nm以下、70nm以下であることが好ましい。中空シリカ粒子22の平均粒子径がこれら好ましい範囲内であると、低屈折率層14において、優れた反射防止効果と透明性を得ることができる。平均粒子径は、JIS Z8825に従うレーザー回折・散乱法により得られる体積基準の平均算術値として表現することができる。中空粒子22が凝集体を構成する場合に、上記平均粒子径は、一次粒子径だけではなく、粒子の凝集体である二次粒子径にも当てはまる。
中空シリカ粒子22の屈折率は、1.01以上、さらには1.15以上であることが好ましい。また、1.45以下、さらには1.38以下、1.35以下であることが好ましい。中空粒子22の屈折率がこの範囲内であると、低屈折率層14において、優れた反射防止効果が得られる。
低屈折率層14における中空シリカ粒子22の含有量は、低屈折率層14の固形分100質量%に対し、6.0質量%以上であることが好ましい。すると、低屈折率層14において、優れた反射防止性を得ることができる。その効果をさらに高める観点から、中空シリカ粒子22の含有量は、低屈折率層14の固形分100質量%に対し、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上、特に好ましくは30質量%以上であるとよい。一方、低屈折率層14における中空シリカ粒子22の含有量は、低屈折率層14の固形分100質量%に対し、49.9質量%以下であることが好ましい。すると、低屈折率層14の耐擦傷性の低下が抑えられる。その効果をさらに高める観点から、中空シリカ粒子22の含有量は、低屈折率層14の固形分100質量%に対し、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。
(含フッ素化合物)
含フッ素化合物は、低屈折率層14において、防汚剤として機能しうる。また、含フッ素化合物により、低屈折率層14の表面の滑り性が向上するため、耐擦傷性の向上に寄与しうる。含フッ素化合物としては、パーフルオロアルキル基を含有する(メタ)アクリレートなどが挙げられる。このような化合物としては、信越化学工業製「KY-1203」、DIC製「メガファックRS-75」、ダイキン工業製「オプツールDAC-HP」、ネオス製「フタージェント601AD」などが挙げられる。このような含フッ素化合物により、汚れや指紋の付着を抑え、汚れや指紋の除去を容易にすることができる。含フッ素化合物が、パーフルオロアルキル基を含有する(メタ)アクリレートなど、電離放射線硬化性の化合物である場合には、低屈折率層14において、含フッ素化合物は、電離放射線の照射による硬化を経て、バインダー樹脂としての電離放射線硬化性化合物と共重合体を形成することができる。
低屈折率層14における含フッ素化合物の含有量は、低屈折率層14の固形分100質量%に対し、1.0質量%以上であることが好ましい。すると、低屈折率層14の表面の滑り性および耐擦傷性の向上効果が高く得られる。また、防汚性も向上する。それらの効果をさらに高める観点から、含フッ素化合物の含有量は、低屈折率層14の固形分100質量%に対し、より好ましくは2.0質量%以上、さらに好ましくは3.0質量%以上であるとよい。一方、低屈折率層14における含フッ素化合物の含有量は、低屈折率層14の固形分100質量%に対し、15.0質量%以下であることが好ましい。すると、低屈折率層14において、耐擦傷性の低下が抑えられる。その効果をさらに高める観点から、含フッ素化合物の含有量は、低屈折率層14の固形分100質量%に対し、より好ましくは13.0質量%以下、さらに好ましくは10.0質量%以下、特に好ましくは5.0質量%以下であるとよい。
(他の形態の低屈折率層)
上記では、低屈折率層14として、バインダー樹脂に中空シリカ粒子を含有させることで、屈折率を所望の範囲に構成した硬化膜を用いて、防眩性反射防止フィルム10の表面に反射防止機能を付与する形態について説明した。低屈折率層14は、他の形態によって、反射防止機能を発揮するものであってもよい。例えば、低屈折率層14は、膜厚および屈折率を制御した2層以上を積層してなる多層低屈折率層として構成されてもよい。多層低屈折率層は、光の干渉効果を利用して入射光と反射光の逆転した位相を互いに打ち消し合わせることで反射防止機能を発現する。反射防止機能を発現させる可視光線の波長領域は、例えば、380~780nmとするとよい。特に視感度が高い波長領域は450~650nmの範囲であり、その中心波長である550nmの反射率を最小にするように低屈折率層14を設計することが好ましい。多層低屈折率層においては、屈折率の異なる成分を所定の厚さで複数層形成することで、低屈折率層14の光学設計の自由度が上がり、より反射防止効果を向上させることができる。分光反射特性も可視光領域で均一(フラット)に近づけることが可能になる。
多層低屈折率層としては、屈折率の異なる酸化物層を順次積層する形態を挙げることができる。例えば、屈折率の高い酸化チタン層や酸化ジルコニア層の上に、屈折率の低い酸化ケイ素層を積層した2層構成のものを挙げることができる。より好ましくは、酸化チタン層、酸化ケイ素層、酸化チタン層、酸化ケイ素層を下からこの順に積層した4層構成のものや、酸化ケイ素層、酸化ニオブ層、酸化ケイ素層、酸化ニオブ層、酸化ケイ素層を下からこの順に積層した5層構成のものを挙げることができる。これらの2層低屈折率層もしくは4層低屈折率層、5層低屈折率層を形成することにより、可視光線の波長領域(例えば、380~780nmの範囲)の反射を、高い均一性をもって低減することが可能となる。
(低屈折率層の形成方法)
低屈折率層14の形成は、基材フィルム12の面上に防眩層16を形成した後、低屈折率層14となる組成物を塗工することにより得ることができる。低屈折率層14の塗工には、例えば、ウェットコーティング法等を用いることができる。ウェットコーティング法としては、例えばリバースグラビアコート法、ダイレクトグラビアコート法、ダイコート法、バーコート法、ワイヤーバーコート法、ロールコート法、スピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法、ナイフコート法、キスコート法などの各種コーティング法や、インクジェット法、オフセット印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷などの各種印刷法を用いることができる。
防眩層16の面上に低屈折率層14となる組成物を塗工し、必要に応じて乾燥後、電離放射線照射により硬化させて、防眩層16の面上に低屈折率層14を形成することにより、低屈折率層14を形成することができる。この際、防眩層16と低屈折率層14の密着性を向上させるために、基材フィルム12の表面には、塗工前に表面処理が施されてもよい。表面処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、熱風処理、オゾン処理、紫外線処理などが挙げられる。
乾燥工程の実施条件は、塗工液に用いた溶剤等を除去できれば特に限定されるものではないが、50℃以上150℃以下の温度で10秒から180秒程度行うことが好ましい。特に、乾燥温度は、50℃以上120℃以下の範囲が好ましい。
電離放射線照射には、高圧水銀ランプ、無電極(マイクロ波方式)ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、その他任意の電離放射線照射装置を用いることができる。電離放射線照射は、必要に応じて、窒素などの不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。電離放射線照射量は、特に限定されるものではないが、50~800mJ/cmが好ましく、100~300mJ/cmがより好ましい。
上記で他の形態の低屈折率層として挙げたように、2層以上を積層した構造の多層低屈折率層として低屈折率層14を形成する場合には、各層において高い厚み精度が要求されるため、各層の形成には、ドライコーティング法を用いることが好ましい。ドライコーティング法としては、真空蒸着法、反応性蒸着法、イオンビームアシスト法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD(Physical Vapor Deposition)法や、CVD(Chemical Vapor Deposition)法などが挙げられる。この中では、スパッタリング法が好適に用いられる。
以上に説明した防眩性反射防止フィルム10においては、低屈折率層14の表面における抽出凸部密度が、3個/mm以上、30個/mm以下となっている。その結果として、防眩性反射防止フィルム10は、ギラツキを抑制し、良好な防眩性および黒色表示部における黒濃度を有するとともに、優れた反射防止性能を有する。
本発明にかかる防眩性反射防止フィルムは、上記の第一実施形態にかかる防眩性反射防止フィルム10の構成に限定されるものではない。以下に、本発明にかかる防眩性反射防止フィルムの他の実施形態について説明する。
[第二実施形態にかかる防眩性反射防止フィルム]
図2に、本発明の第二実施形態にかかる防眩性反射防止フィルム20を示している。第二実施形態にかかる防眩性反射防止フィルム20は、基材フィルム12と、基材フィルム12の一方の面上に形成された低屈折率層14と、基材フィルム12と低屈折率層14の間に形成された防眩層16と、を有する。また、基材フィルム12の他方の面上に透明粘着層24を有する。透明粘着層24の面上には、必要に応じて離型フィルム26が配置される。離型フィルム26は、使用前に透明粘着層24の保護層として機能し、使用時には、透明粘着層24から剥がされる。
第二実施形態にかかる防眩性反射防止フィルム20は、第一実施形態にかかる防眩性反射防止フィルム10と比較して、基材フィルム12の他方の面上に透明粘着層24を有する点において相違し、これ以外については第一実施形態にかかる防眩性反射防止フィルム10と同様であり、同様の構成についてはその説明を省略する。
透明粘着層24は、防眩性反射防止フィルム20をタッチパネル等の画像表示装置の表面に密着性良く貼り付けるためのものである。また、防眩性反射防止フィルム20は、透明粘着層24を有することで、タッチパネル等の画像表示装置のガラスの飛散を防止する効果を有する。すなわち、防眩性反射防止フィルム20は、飛散防止フィルムとしての機能も有する。
透明粘着層24を形成する粘着剤組成物は、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤などの公知の粘着性樹脂を含有することができる。中でも、光学的な透明性や耐熱性の観点から、アクリル系粘着剤が好ましい。粘着剤組成物は、透明粘着層24の凝集力を高めるために、架橋剤をさらに含有することが好ましい。アクリル系粘着剤は、(メタ)アクリル重合体および架橋剤を含む粘着剤組成物から形成されることが好ましい。
(メタ)アクリル重合体は、(メタ)アクリルモノマーの単独重合体もしくは共重合体である。(メタ)アクリルモノマーとしては、アルキル基含有(メタ)アクリルモノマー、カルボキシル基含有(メタ)アクリルモノマー、水酸基含有(メタ)アクリルモノマーなどが挙げられる。
アルキル基含有(メタ)アクリルモノマーとしては、炭素数2~30のアルキル基を有する(メタ)アクリルモノマーが挙げられる。炭素数2~30のアルキル基は、直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよいし、環状であってもよい。アルキル基含有(メタ)アクリルモノマーとしては、より具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸イソステアリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸メチルなどが挙げられる。
カルボキシル基含有(メタ)アクリルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸カルボキシエチル、(メタ)アクリル酸カルボキシペンチルなどが挙げられる。カルボキシル基は、アルキル鎖の末端に位置していてもよいし、アルキル鎖の中間に位置していてもよい。
水酸基含有(メタ)アクリルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸ヒドロキシラウリル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルなどが挙げられる。水酸基は、アルキル鎖の末端に位置していてもよいし、アルキル鎖の中間に位置していてもよい。
(メタ)アクリル重合体を形成する(メタ)アクリルモノマーは、上記のいずれか1種であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤などが挙げられる。架橋剤は、これらの1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
粘着剤組成物は、(メタ)アクリル重合体、架橋剤以外に、その他の添加剤を含んでもよい。その他の添加剤としては、架橋促進剤、架橋遅延剤、粘着性付与樹脂(タッキファイヤー)、帯電防止剤、シランカップリング剤、可塑剤、剥離助剤、顔料、染料、湿潤剤、増粘剤、電離放射線吸収剤、防腐剤、酸化防止剤、金属不活性剤、アルキル化剤、難燃剤などが挙げられる。また、生産性などの観点から、粘着剤組成物は、有機溶剤を使用して希釈されてもよい。これらは粘着剤の用途や使用目的に応じて、適宜選択して使用される。
透明粘着剤層24の膜厚は、特に限定されるものではないが、5μm以上、さらには10μm以上、また100μm以下、さらには50μm以下であることが好ましい。透明粘着層24は、ガラスの飛散防止効果の観点から、ガラスに対する粘着力が、4N/25mm以上であることが好ましい。より好ましくは6N/25mm以上、さらに好ましくは10N/25mm以上である。
透明粘着層24を基材フィルム12の他方の面上に形成する方法としては、基材フィルム12の他方の面上に粘着剤組成物を直接塗布して透明粘着層24を形成する方法、離型フィルム26の面上に粘着剤組成物を塗布して透明粘着層24を形成した後、基材フィルム12の他方の面上に転写する方法、第一の離型フィルムの面上に粘着剤組成物を塗布して透明粘着層24を形成した後、第二の離型フィルムを貼り合わせ、いずれか一方の離型フィルムを剥離して基材フィルム12の他方の面上に転写する方法などが挙げられる。
[第三実施形態にかかる防眩性反射防止フィルム]
図3には、第三実施形態にかかる防眩性反射防止フィルム30を示している。第三実施形態にかかる防眩性反射防止フィルム30は、基材フィルム12と、基材フィルム12の一方の面上に形成された低屈折率層14と、基材フィルム12と低屈折率層14の間に形成された防眩層16と、低屈折率層14の面上に粘着剤層28を介して配置された保護フィルム32と、を有する。また、基材フィルム12の他方の面上に透明粘着層24を有する。透明粘着層24の面上には、必要に応じて離型フィルム26が配置される。
第三実施形態にかかる防眩性反射防止フィルム30は、第二実施形態にかかる防眩性反射防止フィルム20と比較して、低屈折率層14の面上に粘着剤層28を介して保護フィルム32を有する点において相違し、これ以外については第二実施形態にかかる防眩性反射防止フィルム20と同様であり、同様の構成についてはその説明を省略する。
保護フィルム32は、例えば、ロールプロセスなどで防眩性反射防止フィルム30を連続加工する際や、タッチパネルなどの対象物に防眩性反射防止フィルム30を貼り合わせる際など、防眩性反射防止フィルム30の取扱い時において、低屈折率層14の表面に傷が付くのを抑えることができるものである。保護フィルム32は、粘着剤層28を介して低屈折率層14の面に貼り付けられている。保護フィルム32は、防眩性反射防止フィルム30の加工後や貼り付け後などにおいては、粘着剤層28とともに低屈折率層14の面から剥がされる。このため、粘着剤層28においては、低屈折率層14と粘着剤層28の間の接着力よりも保護フィルム32と粘着剤層28の間の接着力のほうが強く、低屈折率層14と粘着剤層28の間で界面剥離可能な接着力に調整される。本実施形態にかかる防眩性反射防止フィルム30において、表面の抽出凸部密度は、保護フィルム32および粘着剤層28を剥離して低屈折率層14を露出させた状態について規定される。つまり、保護フィルム32および粘着剤層28を剥離した低屈折率層14の表面において、抽出凸部密度が、3個/mm以上、30個/mm以下となっている。
保護フィルム32を構成する材料は、基材フィルム12を構成する材料として例示したものなどを適宜選択することができる。保護フィルム32の厚みは、特に限定されるものではないが、2μm以上、また500μm以下、さらには200μm以下の範囲内とすることができる。
粘着剤層28を形成する粘着剤は、特に限定されるものではなく、上記第二の実施形態における透明粘着層24と同様の粘着剤より好適に形成することができる。具体的には、粘着剤層28としても、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤などを好適に用いることができる。特に、アクリル系粘着剤は、透明性や耐熱性に優れるため、好適である。アクリル系粘着剤は、(メタ)アクリル重合体および架橋剤を含む粘着剤組成物から形成されることが好ましい。
(メタ)アクリル重合体は、(メタ)アクリルモノマーの単独重合体もしくは共重合体である。(メタ)アクリルモノマーとしては、アルキル基含有(メタ)アクリルモノマー、カルボキシル基含有(メタ)アクリルモノマー、水酸基含有(メタ)アクリルモノマーなどが挙げられる。
アルキル基含有(メタ)アクリルモノマーとしては、炭素数2~30のアルキル基を有する(メタ)アクリルモノマーが挙げられる。炭素数2~30のアルキル基は、直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよいし、環状であってもよい。アルキル基含有(メタ)アクリルモノマーとしては、より具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸イソステアリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸メチルなどが挙げられる。
カルボキシル基含有(メタ)アクリルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸カルボキシエチル、(メタ)アクリル酸カルボキシペンチルなどが挙げられる。カルボキシル基は、アルキル鎖の末端に位置していてもよいし、アルキル鎖の中間に位置していてもよい。
水酸基含有(メタ)アクリルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸ヒドロキシラウリル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルなどが挙げられる。水酸基は、アルキル鎖の末端に位置していてもよいし、アルキル鎖の中間に位置していてもよい。
(メタ)アクリル重合体を形成する(メタ)アクリルモノマーは、上記のいずれか1種であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤などが挙げられる。架橋剤は、これらの1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
粘着剤組成物は、(メタ)アクリル重合体、架橋剤以外に、その他の添加剤を含んでもよい。その他の添加剤としては、架橋促進剤、架橋遅延剤、粘着性付与樹脂(タッキファイヤー)、帯電防止剤、シランカップリング剤、可塑剤、剥離助剤、顔料、染料、湿潤剤、増粘剤、電離放射線吸収剤、防腐剤、酸化防止剤、金属不活性剤、アルキル化剤、難燃剤などが挙げられる。これらは粘着剤の用途や使用目的に応じて、適宜選択して使用される。
粘着剤層28の膜厚は、特に限定されるものではないが、1μm以上、さらには2μm以上であることが好ましい。また、10μm以下、さらには7μm以下であることが好ましい。
[防眩性反射防止フィルムの評価方法]
次に、本発明の実施形態にかかる防眩性反射防止フィルムの評価方法について説明する。
本実施形態にかかる防眩性反射防止フィルムの評価方法においては、抽出凸部密度を指標として、防眩性反射防止フィルムの品質を評価する。上記でも説明したとおり、抽出凸部密度は、防眩性反射防止フィルムの表面に対してレーザー顕微鏡で得られた凹凸分布(断面プロファイル)を、任意の直線上でフーリエ変換して得られる波長分布から、波長が14μm以上50μm以下の成分を抽出し、逆フーリエ変換して得られる凹凸抽出分布において、いずれか少なくとも一方向に隣り合う凹部との高低差が0.1μm以上である凸部の数として定義される。つまり、断面プロファイルの任意の箇所1mmにおいて、波長が14~50μmの凹凸をバンドパスフィルターで抽出したとき、いずれか少なくとも一方の隣り合う凹部との高低差が0.1μm以上のピークを持つ凸部の数が、抽出凸部密度である。
上記で、第一実施形態にかかる防眩性反射防止フィルム10について詳しく説明したように、防眩性反射防止フィルム10の表面において、抽出凸部密度が所定の下限以上となっている場合に、良好な防眩性を得やすくなる。一方、抽出凸部密度が所定の上限以下に抑えられている場合に、良好な低反射率を得て、防眩性反射防止フィルムが、黒色表示部において良好な黒味を有するものとなりやすい。そこで、任意の防眩性反射防止フィルムについて、表面において、所定の上限および下限によって定まる範囲の抽出凸部密度を有する場合に、その防眩性反射防止フィルムは、良品であると判定することができる。良品とは、所望の防眩性と反射防止性能を両立する防眩性反射防止フィルムを指す。良品とみなしうる防眩性に応じて、抽出凸部密度の下限値を定め、良品とみなしうる反射防止性能に応じて、抽出凸部密度の上限値を定めておけばよい。
例えば、任意の防眩性反射防止フィルムにおいて、表面の抽出凸部密度が、3個/mm以上、30個/mm以下であれば、前記防眩性反射防止フィルムが良品であると評価することができる。抽出凸部密度は、より好ましくは5個/mm以上、さらに好ましくは6個/mm以上であるとよい。また、抽出凸部密度は、より好ましくは25個/mm以下、さらに好ましくは15個/mm以下であるとよい。
本実施形態にかかる防眩性反射防止フィルムの評価方法による評価の対象とする防眩性反射防止フィルムとしては、表面に凹凸構造を有するものであれば、特に限定されるものではないが、上記第一、第二、第三実施形態にかかる防眩性反射防止フィルム10,20,30のように、防眩層16の表面に低屈折率層14が積層された構造を含む防眩性反射防止フィルムを、好適な評価対象として例示することができる。防眩性反射防止フィルムの表面に、使用時には剥離される層が設けられている場合には、それらの層を剥離した状態で、評価を行う。例えば、第三実施形態にかかる防眩性反射防止フィルム30の保護フィルム32および粘着剤層28のように、使用時には剥離される層が低屈折率層14の表面に設けられている場合には、それらの層を剥離し、低屈折率層14を露出させた状態で、評価を行う。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。例えば上記実施形態では、基材フィルム12の表面に表面処理を施してもよいと記載しているが、表面処理に代えて、基材フィルム12の表面に、易接着層を設ける構成であってもよい。また、基材フィルム12の表面には、各層を形成する前に、ガスバリア性向上層、帯電防止層、オリゴマーブロック層などの各種機能層を予め設けてもよい。さらに、上記保護フィルム32は、図3に示すように、図2に示す第二実施形態の防眩性反射防止フィルム20に追加する形で示しているが、図1に示す第一実施形態の防眩性反射防止フィルム10に追加する形であってもよい。
以下、実施例および比較例を用いて本発明を詳細に説明する。特記しない限り、試料の作製および評価にかかる各工程は、大気中、室温にて実施している。
<防眩層形成用組成物の調製>
表1に記載の配合組成(質量%)で各成分を配合することにより、防眩層形成用組成物を調製した。
防眩層形成用組成物の材料として用いた材料は以下の通りである。以下、各種物質の粒子径は、平均粒子径で表記している。
<バインダー樹脂>
・バインダー樹脂組成物1:アイカ工業製「Z-735-3L」;(メタ)アクリル樹脂、ポリメタクリル酸メチル粒子(粒子径80nm)、光重合開始剤、溶剤(メチルエチルケトン(MEK),酢酸エチル)を含む組成物;固形分濃度50質量%
・バインダー樹脂組成物2:アイカ工業製「Z-878-17HL」;(メタ)アクリル樹脂、シリカ粒子(粒子径25nm)、光重合開始剤、溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM))を含む組成物-固形分濃度50質量%)
・バインダー樹脂組成物3:アイカ工業製「Z-757-CL7」とアイカ工業製「Z-757-CL8」の80:20(質量比)混合物
「Z-757-CL7」:(メタ)アクリル樹脂、シリカ粒子(粒子径20nm)、光重合開始剤、溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテル)を含む組成物;固形分濃度40質量%
「Z-757-CL8」:(メタ)アクリル樹脂、光重合開始剤、溶剤(PGM)を含む組成物;固形分濃度40質量%
<凸部形成用粒子>
・凹凸形成用粒子1:積水化成品工業製「テクポリマーSSX-105」;ポリメタクリル酸メチル(PMMA)粒子;粒子径5.5μm
・凹凸形成用粒子2:積水化成品工業製「テクポリマーSSX-104」;PMMA粒子;粒子径4.0μm
・凹凸形成用粒子3:日産化学製「オプトビーズ3500M」;メラミンシリカ複合粒子;粒子径3.5μm
・凹凸形成用粒子4:積水化成品工業製「テクポリマーSSX-103」;PMMA粒子;粒子径3.1μm
・凹凸形成用粒子5:綜研化学製「ケミスノーMX300」;PMMA粒子;粒子径3.0μm
・凹凸形成用粒子6:アイカ工業製「Z-AGD-10」;シリカ粒子;粒子径2.0μm
<その他の成分>
・高屈折率粒子1:日本触媒製「ジルコスターZP-153」;ジルコニア粒子(粒子径10nm)と分散媒(MEK)を含む;固形分濃度60%
・レベリング剤1:ネオス製「フタージェント602A」;電離放射線反応性含フッ素化合物と溶剤(酢酸エチル)を含む;固形分濃度50質量%
・レベリング剤2:共栄社化学製、「LE-604」;電離放射線反応性含フッ素化合物と溶剤(3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール)を含む;固形分濃度30質量%
<防眩層の作製>
基材フィルム(東洋紡製PETフィルム、「コスモシャインTA-048」、厚み80μm)に、表1に記載の膜厚となるように、ワイヤーバーを用いて、上記で調製した防眩層形成用組成物を塗布し、80℃×60秒で乾燥後、無電極(マイクロ波方式)ランプを用いて光量80mJ/cmの紫外線を照射し、防眩層を形成した。
<低屈折率層形成用組成物の調製>
下記の中空シリカ含有電離放射線硬化型樹脂組成物に、下記の含フッ素化合物を、樹脂固形分100重量部当たり4重量部加え、固形分濃度が4質量%となるようにメチルイソブチルケトン(MIBK)を用いて希釈し、低屈折率層形成用組成物を調整した。
・中空シリカ含有電離放射線硬化型樹脂組成物:荒川化学工業製「オプスターTU2361」;中空シリカ粒子、(メタ)アクリル樹脂、フッ素系樹脂、添加剤、光重合開始剤、溶剤を含む;固形分濃度10質量%
・含フッ素化合物:信越化学工業製「KY-1203」;パーフルオロアルキル基含有(メタ)アクリレート
<防眩性反射防止フィルムの作製>
上記で形成した防眩層の面上に、調製した低屈折率層形成用組成物を、#4のワイヤーバーを用いて塗布した。そして、80℃×60秒で乾燥後、窒素雰囲気下、無電極(マイクロ波方式)ランプを用いて光量80mJ/cmの紫外線を照射して、低屈折率層を形成した。
以上により、実施例1~9、および比較例1~3の防眩性反射防止フィルムを作製した。
<評価方法>
(1)屈折率
防眩層および低屈折率層の屈折率を、顕微分光膜厚計(大塚電子製「OPTM-F1」)を用い、評価した。この際、波長領域380~780nmの反射スペクトルから、波長550nmにおける屈折率を算出した。
(2)膜厚
防眩層および反射防止層の各膜厚を、分光干渉法により測定した。測定には、フィルメトリクス製「Filmetrics F20 膜厚測定システム」を用いた。
(3)レーザー顕微鏡による評価
3D測定レーザー顕微鏡(オリンパス製「LEXT OLS5000」;レーザー波長405nm、対物レンズ倍率10倍、ビームスポット半径0.2μm)を用いて、防眩層および低屈折率層の表面において任意に選択した長さ0.65mmの領域における断面プロファイルを得た。
得られた断面プロファイルに対して、フーリエ変換して得られる波長分布から、波長が14μm以上50μm以下の成分を抽出し、さらに、逆フーリエ変換して、凹凸抽出分布を得た。具体的には、グラフ作成ソフト(Wave Metrics社製「Igor Pro」)の解析機能を利用してバンドパスフィルター(FIRフィルター、ハニングウィンドウ)をかけて、波長14~50μm(波数0.02~0.07μm-1)の成分を抽出してグラフにプロットすることで、凹凸抽出分布を得た。得られた凹凸抽出分布においていずれか少なくとも一方の隣り合う凹部との高低差が0.1μm以上である凸部の数を数え、1mm当たりの凸部個数に換算したものを、抽出凸部密度とした。
合わせて、3D測定レーザー顕微鏡によって得られた断面プロファイルから、JIS B0601:2013に基づいて、防眩層および低屈折率層の表面の算術平均粗さRaを求めておいた。
(4)触針式表面粗さ測定装置による評価
触針式の表面粗さ形状測定装置(東京精密製「Surfcom1500 SD2」 触針の先端曲率半径1μm)を用いて、JIS B0601:2013に基づいて、防眩層および低屈折率層の表面の算術平均粗さRaを求めた。
(5)ヘイズ(Hz)
ヘイズメーター(BYK-GARDNER製「Haze-gard plus」)を使用し、防眩層および低屈折率層の表面からヘイズ(Hz)を測定した。ヘイズが2.0%以上であれば、防眩性反射防止フィルムが高い防眩性を有するとみなすことができる。
(6)視感度反射率(SCI)
作製した防眩性反射防止フィルムの低屈折率層とは反対側の面を#400のサンドペーパーで荒らし、黒色塗料で塗りつぶした。そして、紫外可視近赤外分光光度計(島津製作所社製「UV-3600」)に専用積分球付属装置(島津製作所製「ISR-3100A」)を取り付けた装置によって、低屈折率層の表面の8°反射率を測定した。得られた8°反射率の測定値に比視感度値を乗じて、正反射光を含む(SCI:Speclar Component Include)拡散反射光における視感度反射率を算出した。視感度反射率が1.3%以下であれば、防眩性反射防止フィルムが高い反射防止性能を有するとみなすことができる。
(7)ギラツキ
高精細液晶ディスプレイとしてiPad(登録商標)(第3世代、画面解像度:264ppi)の画面上に、防眩性反射防止フィルムを、低屈折率層側の面を上にして置き、画面全体を緑色(RGB表色系でR0、G255、B0)にして、目視でギラツキを評価した。評価に際して、以下のランクを付与した。
◎ ギラツキ無し
〇 ギラツキがわずかにあるが、視認性への影響はない
△ ギラツキが見えるが、実用上は問題ない
× ギラツキがはっきりわかる
<評価結果>
図4~7に、代表として、実施例2および比較例1について、レーザー顕微鏡による計測の結果を示す。図4および図6は、それぞれ実施例2および比較例1の防眩性反射防止フィルムについて、防眩層の表面において得られた、(a)断面プロファイルおよび(b)凹凸抽出分布である。図5および図7は、それぞれ実施例2および比較例1の防眩性反射防止フィルムについて、低屈折率層の表面において得られた、(a)断面プロファイル、および(b)凹凸抽出分布である。
図4~7のいずれにおいても、(a)のレーザー顕微鏡で得られた断面プロファイルに対して、波長14~50μmの成分を抽出して、(b)の凹凸抽出分布とすることで、微細なノイズや、大きなうねり成分が除去され、凸部形成用粒子によって形成される凹凸構造が強調されている。それぞれの凹凸抽出分布には、いずれか少なくとも一方向に隣り合う凹部との高低差が0.1μm以上である凸部を三角印(▽)で指示している。それらの凸部の個数を長さ1mmあたりに換算したものが、抽出凸部密度となる。
実施例2と比較例1のそれぞれにおいて、防眩層表面の凹凸抽出分布と、低屈折率層表面の凹凸抽出分布を比較すると、つまり図4(b)と図5(b)、また図6(b)と図7(b)を比較すると、低屈折率層表面の方が、凹凸の高低差が小さくなっており、さらに三角印で指示された凸部の数も少なくなっている。このことから、低屈折率層を形成することで、レーザー顕微鏡で検出される凹凸が減衰していることが分かる。
さらに、防眩層表面および低屈折率層表面のそれぞれの凹凸抽出分布を、実施例2と比較例1で比較すると、つまり図4(b)と図6(b)、また図5(b)と図7(b)を比較すると、防眩層と低屈折率層の両方の表面において、実施例2の方が、凹凸の高低差が小さくなっており、さらに三角印で指示された凸部の数も少なくなっている。この凹凸分布の差は、次に説明するように、防眩層の構成の差異に対応付けることができる。
下の表1に、実施例1~9および比較例1~3の各防眩性反射防止フィルムについて、防眩層の構成と、防眩層および低屈折率層に対する各種評価結果を示す。ここで、低屈折率層の評価結果は、完成した防眩性反射防止フィルム全体に対して評価したものである。
Figure 2022189257000002
実施例1~9においては、基材の表面に防眩層および低屈折率層がこの順に形成されて防眩性反射防止フィルムが形成されている。そして、その防眩性反射防止フィルムの低屈折率層の表面において、抽出凸部密度が、3個/mm以上、30個/mm以下となっている。このことと対応して、防眩性反射防止フィルムは、ギラツキを抑制し、良好な防眩性を有するとともに、優れた反射防止性能を有するものとなっている。
比較例1および比較例2では、低屈折率層表面の抽出凸部密度が30個/mmを超えていることと対応し、反射防止性に劣り、ギラツキもはっきりとわかる。一方、比較例3では、低屈折率層表面の抽出凸部密度が3個/mm未満であることと対応し、ヘイズが低くなっている。すなわち防眩性に劣っている。
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
10 防眩性反射防止フィルム
12 基材フィルム
14 低屈折率層
16 防眩層
24 透明粘着層
26 離型フィルム
28 粘着剤層
32 保護フィルム

Claims (9)

  1. 基材フィルム上に、防眩層および低屈折率層がこの順に形成され、
    前記低屈折率層の表面における抽出凸部密度が、3個/mm以上、30個/mm以下である、防眩性反射防止フィルム。
    ここで、前記抽出凸部密度は、レーザー顕微鏡で得られた凹凸分布を任意の直線上でフーリエ変換して得られる波長分布から、波長が14μm以上50μm以下の成分を抽出し、逆フーリエ変換して得られる凹凸抽出分布において、いずれか少なくとも一方向に隣り合う凹部との高低差が0.1μm以上である凸部の数を指す。
  2. 前記防眩層の表面における前記抽出凸部密度が、10個/mm以上、38個/mm以下である、請求項1記載の防眩性反射防止フィルム。
  3. 前記低屈折率層の表面において、触針式表面粗さ測定装置で測定したJIS B0601:2013で規定される算術平均粗さRaが、0.015μm以上、0.06μm以下である、請求項1または請求項2に記載の防眩性反射防止フィルム。
  4. 前記防眩層の表面において、触針式表面粗さ測定装置で測定したJIS B0601:2013で規定される算術平均粗さRaが、0.015μm以上、0.06μm以下である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルム。
  5. 前記低屈折率層の面上に、粘着剤層を介して保護フィルムを有する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の反射防止フィルム。
  6. 前記基材フィルムの前記低屈折率層とは反対の面上に透明粘着層を有する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の反射防止フィルム。
  7. 前記防眩性反射防止フィルムの表面に対してレーザー顕微鏡で得られた凹凸分布を任意の直線上でフーリエ変換して得られる波長分布から、波長が14μm以上50μm以下の成分を抽出し、逆フーリエ変換して得られる凹凸抽出分布において、いずれか少なくとも一方向に隣り合う凹部との高低差が0.1μm以上である凸部の数として定義される抽出凸部密度を指標として、前記防眩性反射防止フィルムの品質を評価する、防眩性反射防止フィルムの評価方法。
  8. 前記抽出凸部密度が、3個/mm以上、30個/mm以下であれば、前記防眩性反射防止フィルムが良品であると評価する、請求項7に記載の防眩性反射防止フィルムの評価方法。
  9. 基材フィルム上に、
    表面における抽出凸部密度が、10個/mm以上、38個/mm以下となるように、防眩層を形成し、
    前記防眩層の表面に、塗工によって低屈折率層を形成する、防眩性反射防止フィルムの製造方法。
    ここで、前記抽出凸部密度は、レーザー顕微鏡で得られた凹凸分布を任意の直線上でフーリエ変換して得られる波長分布から、波長が14μm以上50μm以下の成分を抽出し、逆フーリエ変換して得られる凹凸抽出分布において、いずれか少なくとも一方向に隣り合う凹部との高低差が0.1μm以上である凸部の数を指す。
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