JP2022189037A - 配管 - Google Patents

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幹芳 中道
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Abstract

【課題】温水配管として用いることができる耐熱性、断熱性、強度を備えた配管を提供する。【解決手段】本発明の配管は、外層、内層、中間層からなり、内層及び外層が非発泡性塩素化塩化ビニル系樹脂であり、中間層は、塩素化塩化ビニル系樹脂と芳香族ビニル単量体及び不飽和ニトリルを構造単位に有する共重合体と発泡剤とを含む発泡性樹脂粒子を成形してなる発泡成形体である。【選択図】なし

Description

本発明は、配管に関し、より具体的には、塩素化塩化ビニル系樹脂を用いた三層配管に関する。
プラスチック製の配管は、液体、固体や気体の移送等に用いられている。特に、塩化ビニル系樹脂製の配管は、上下水道管等といった様々な移送配管、または給排水配管等に使用され、さらには、高温液体を移送する際、断熱性能、または保温性能を有するパイプとして幅広く用いられている。塩化ビニル系樹脂製の配管として、外層、内層、および外層と内層との間に設けられた中間層からなる三層配管が提案されている。これにより、高温液体を移送する際に、移送物の温度低下を抑制するとともに、接触による火傷を防護している。
このような塩化ビニル系樹脂製の三層配管は、例えば、特許文献1および2に開示されている。
特許文献1に記載の配管は、外層と内層との間に設けられた中間層が発泡層であり、当該発泡層の発泡倍率は、5倍~15倍である。特許文献2に記載の配管は、外層と内層との間に設けられた中間層が発泡層であり、当該発泡層の発泡倍率は、2倍以上8倍以下である。これにより、中間層は、軽量化するとともに、断熱性が付与される。
また、特許文献2には、発泡層を製造するために発泡層押出機内で発泡層用熱可塑性樹脂組成物を溶融混錬するに際し、発泡層用押出機のベント孔から気体の発泡剤を供給することが記載されている。
特許文献1および2に記載の配管では、発泡層の発泡倍率が比較的低い発泡層の適用に留まっている。このため、高い断熱性能を実現するには不十分である。
断熱性能を向上するため、発泡層の発泡倍率の向上が試行されているが、発泡倍率の上昇に伴い、独立気泡率が低下する傾向にあり、強度の低下と発泡層への水の浸透防止が劣ってしまうという問題がある。従来の技術では三層管の耐熱性能、断熱性能、水の浸透防止の条件を満足するには至っておらず、さらなる改善が求められていた。
特開2003-240165号公報 特開2021-032387号公報
本発明の一態様は、上記事情を鑑み、温水配管として用いることができる耐熱性、断熱性、強度を備えた配管を提供することを目的とする。
本願の発明者らは、上述した課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、配管構造として、外層と内層、外層及び内層との間に設けられた中間層からなる三層管とし、(1)内層及び外層を構成する樹脂を塩素化塩化ビニル系樹脂とするとともに、(2)塩素化塩化ビニル系樹脂と芳香族ビニル単量体及び不飽和ニトリルを構造単位に有する共重合体とを組み合わせて製造された発泡性樹脂粒子からなる塩素化塩化ビニル系樹脂発泡成形体により中間層を構成することにより、耐水性、難燃性、耐熱性、および断熱性に優れた配管を実現できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の一態様に係る配管は、上記の課題を解決するために、外層と、内層と、前記外層及び前記内層の間に設けられた中間層と、を有し、前記外層および前記内層は、非発泡性塩素化塩化ビニル系樹脂によって形成されているとともに、前記中間層は、発泡倍率が15倍以上30倍以下であり、かつ独立気泡率が80%以上である塩素化塩化ビニル系樹脂発泡体によって形成されており、前記塩素化塩化ビニル系樹脂発泡体は、(A)塩素化塩化ビニル系樹脂、(B)芳香族ビニル単量体及び不飽和ニトリルを構造単位に有する共重合体、および(C)発泡剤を含む発泡性塩素化塩化ビニル系樹脂粒子を発泡成形してなり、前記外層及び前記内層は、配管肉厚の5%以上の厚さを有し、前記中間層は、配管肉厚の30%を超え90%未満の厚さを有する。
本発明の一態様に係る配管では、前記(A)塩素化塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、前記(B)芳香族ビニル単量体及び不飽和ニトリルを構造単位に有する共重合体が1重量部以上50重量部以下含有されていることが好ましい。
本発明の一態様に係る配管では、前記(A)塩素化塩化ビニル系樹脂の塩素含有率が60重量%以上75重量%以下であり、かつ、前記(A)塩素化塩化ビニル系樹脂の平均重合度が400以上1500以下であることが好ましい。
本発明の一態様に係る配管では、前記(B)芳香族ビニル単量体及び不飽和ニトリルを構造単位に有する共重合体の重量平均分子量は、前記(A)塩素化塩化ビニル系樹脂の重量平均分子量よりも高いことが好ましい。
本発明の一態様に係る配管では、前記(C)発泡剤は、炭素数4から6の飽和炭化水素、及び/又はケトンを含み、かつ、前記(C)発泡剤を、発泡性塩素化塩化ビニル系樹脂粒子100重量%に対して1重量%以上40重量%以下含有することが好ましい。
本発明の一態様に係る配管の製造方法は、上記の課題を解決するために、外層と、内層と、前記外層及び前記内層の間に設けられた中間層と、を有し、前記外層および前記内層は、非発泡性塩素化塩化ビニル系樹脂によって形成されているとともに、前記中間層は、塩素化塩化ビニル系樹脂発泡体によって形成された、配管の製造方法であって、(A)塩素化塩化ビニル系樹脂、(B)芳香族ビニル単量体及び不飽和ニトリルを構造単位に有する共重合体、および(C)発泡剤を含む発泡性塩素化塩化ビニル系樹脂粒子を発泡させて、前記中間層を形成する工程を有する方法である。
本発明の一態様によれば、温水配管として用いることができる耐熱性、断熱性、強度を備えた配管を実現できる。
本発明の一実施形態に係る配管の一例を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る配管の製造装置の一例を示す平面図である。 本発明の一実施形態に係る配管の製造装置に使用する2種3層フィードブロックおよび成形金型の一例を示す構成図である。
本発明の一実施形態について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能である。また、異なる実施形態または実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態または実施例についても、本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。なお、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。また、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上(Aを含みかつAより大きい)B以下(Bを含みかつBより小さい)」を意図する。
本実施形態に係る配管は、外層と、内層と、前記外層及び前記内層の間に設けられた中間層を有する。また、前記外層および前記内層は、非発泡性塩素化塩化ビニル系樹脂によって形成されている。前記中間層は、発泡倍率が15倍以上30倍以下であり、かつ独立気泡率が80%以上である塩素化塩化ビニル系樹脂発泡体によって形成されている。図1は、本実施形態に係る配管の一例を示す断面図である。図1に示される構成では、配管1は、中間層2と、内層3と、外層4と、を含む三重配管である。
(前記内層、前記外層、および前記中間層に用いられる塩素化塩化ビニル系樹脂)
本実施形態に係る配管では、前記内層、前記外層、および前記中間層に対して、塩素化塩化ビニル系樹脂が用いられている。これにより、本実施形態に係る配管は、塩化ビニル系樹脂製の配管よりも、難燃性、耐熱変形性が向上する。さらに、中間層に対して、塩素化塩化ビニル系樹脂発泡体が用いられることにより、優れた断熱性及び軽量性を両立した配管を得ることができる。
本実施形態で用いられる塩素化塩化ビニル系樹脂は、通常、原料として塩化ビニル系樹脂を用いて、次の方法により製造される。(1)塩化ビニル系樹脂を水性媒体中に分散した状態で塩素を供給し、それに水銀灯を照射し光塩素化するか、あるいは加熱塩素化するなど水性媒体中で塩素化する方法、(2)気層中、水銀灯の照射下で塩化ビニル系樹脂を塩素化するなど、気層中で塩素化する方法。
塩素化塩化ビニル系樹脂としては、各種塩化ビニル系樹脂を塩素化したものが使用される。塩素化される塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニルの単独重合体;塩化ビニルと他の共重合可能な単量体、例えば、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、塩化アリル、アリルグリシジルエーテル、アクリル酸エステル、ビニルエーテル等との共重合体;等が挙げられる。
原料の塩素化前の塩化ビニル系樹脂の平均重合度は、特に限定されないが、下限は300以上が好ましく、400以上がより好ましい。一方、上限は3000以下であることが好ましく、より好ましくは1500以下である。特に、前記中間層に用いられる塩素化塩化ビニル系樹脂発泡体を構成する塩素化塩化ビニル系樹脂(後述する(A)塩素化塩化ビニル系樹脂)の平均重合度は、400以上1500以下であることが好ましい。平均重合度が前記範囲であれば、高い発泡倍率を得られる傾向にある。尚、塩素化塩化ビニル系樹脂の平均重合度は、実質的に塩素化前の塩化ビニル系樹脂の平均重合度と同一とみなす。また、平均重合度はJIS K6720-2に準拠して測定される。
塩素化塩化ビニル系樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、30,000以上400,000以下の範囲であることが好ましい。重量平均分子量が前記範囲であれば、高い発泡倍率を得られる傾向にある。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって、ポリスチレン換算分子量で評価される。
また、発泡性を確保する観点から、中間層に用いられる塩素化塩化ビニル系樹脂発泡体を構成する塩素化塩化ビニル系樹脂の塩素含有率は、好ましくは、60重量%以上75重量%以下の範囲であり、より好ましくは、64重量%以上70重量%以下である。塩素含有率が高いほど発泡倍率が高くなる傾向にある一方、塩素含有率が高すぎると、溶融粘度の上昇により、塩素化塩化ビニル系樹脂発泡体の加工性が著しく損なわれる傾向にある。塩素化塩化ビニル系樹脂及び塩化ビニル系樹脂の塩素含有率は、JIS K7385 B法に準拠して測定される。
(中間層)
前記中間層を構成する塩素化塩化ビニル系樹脂発泡体は、(A)塩素化塩化ビニル系樹脂、(B)芳香族ビニル単量体及び不飽和ニトリルを構造単位に有する共重合体、および(C)発泡剤を含む発泡性塩素化塩化ビニル系樹脂粒子を発泡成形してなるものである。前記(A)塩素化塩化ビニル系樹脂は、「(前記内層、前記外層、および前記中間層に用いられる塩素化塩化ビニル系樹脂)」にて説明した塩素化塩化ビニル系樹脂を採用することができる。以下、(B)芳香族ビニル単量体及び不飽和ニトリルを構造単位に有する共重合体、および(C)発泡剤について、詳述する。
(芳香族ビニル単量体及び不飽和ニトリル単量体を構造単位に有する共重合体)
本実施形態に係る配管では、前記中間層の材料として、塩素化塩化ビニル系樹脂と芳香族ビニル単量体及び不飽和ニトリル単量体を構造単位に有する共重合体(以下、「共重合体(B)」を称することがある。)とを組み合わせて用いている。これにより、得られる発泡粒子または発泡成形体が、高発泡倍率であり、かつ高独立気泡率となるという効果がある。特に水蒸気加熱条件での予備発泡または発泡成形においては、当該効果が際立って優れる。
芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α―メチルスチレン、エチルスチレン、ハロゲン化スチレン等のスチレン誘導体が挙げられる。また、不飽和ニトリル単量体としては、アクニロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
本発明の効果を損なわない範囲で、共重合体(B)は、上記芳香族ビニル単量体及び不飽和ニトリル単量体以外の単量体由来の構造単位(その他共重合可能な単量体)を有していてもよい。その他共重合可能な単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸N-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、N-置換マレイミドなどが挙げられる。
共重合体(B)中における不飽和二トリル単量体の好ましい範囲としては、共重合体(B)全体を100重量%として、10~45重量%である。前記範囲であることで、高発泡倍率並びに高独立気泡率の発泡粒子並びに発泡成形体を得られやすい。
好ましい共重合体(B)としては、スチレンーアクリロニトリル共重合体が挙げられる。共重合体(B)は、1種のみを使用してもよいし2種以上を組み合わせて使用してもよい。好ましい実施形態としては、共重合体(B)の少なくとも1種としてスチレンーアクリロニトリル共重合体が使用される。
また、高発泡倍率及び高独立気泡率を確保しやすい点から、共重合体(B)の重量平均分子量は、前記(A)塩素化塩化ビニル系樹脂の重量平均分子量よりも高いことが好ましい。尚、共重合体(B)の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって、ポリスチレン換算分子量で評価される。共重合体(B)として、例えばGalata製のBlendex869等が使用できる。
共重合体(B)の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されないが、塩素化塩化ビニル系樹脂100重量部に対して1重量部以上50重量部以下であることが好ましく、5重量部以上50重量部以下がより好ましく、5重量部を超え、30重量部以下が更に好ましい。共重合体(B)の含有量の含有量が1重量部以上であると、高い発泡倍率並びに高い独立気泡率を有する発泡粒子および/または発泡成形体を得やすくなり、また、共重合体(B)の含有量の含有量が50重量部以下であると、難燃性能に優れた発泡粒子および/または発泡成形体を得ることができる。
(発泡剤)
本実施形態で用いられる発泡剤は、特に限定されない。当該発泡剤として、例えば、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、ノルマルヘキサン、又はシクロヘキサン等の炭化水素;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n-ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、フラン、フルフラール、2-メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランなどのエーテル、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルn-プロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、メチル-i-ブチルケトン、メチル-n-ヘキシルケトン、エチル-n-プロピルケトン、エチル-n-ブチルケトンなどのケトン;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、i-プロピルアルコール、ブチルアルコール、i-ブチルアルコール、t-ブチルアルコールなどの炭素数1~4の飽和アルコール;蟻酸メチルエステル、蟻酸エチルエステル、蟻酸プロピルエステル、蟻酸ブチルエステル、蟻酸アミルエステル、プロピオン酸メチルエステル、プロピオン酸エチルエステルなどのカルボン酸エステル;塩化メチル、塩化エチルなどのハロゲン化アルキル;トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(トランス-HFO-1234e)、シス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(シス-HFO-1234ze)、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(トランス-HFO-1234yf)、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(トランス-HCFO-1233zd)、シス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(シス-HCFO-1233zd)などのハイドロフルオロオレフィンまたは塩素化された当該ハイドロフルオロオレフィン;水、二酸化炭素、窒素などの無機発泡剤などの物理発泡剤;アゾ化合物、テトラゾールなどの化学発泡剤;などを用いることができる。これら他の発泡剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
発泡剤は、物理発泡剤であることが好ましく、中でも炭素数4~6の飽和炭化水素がより好ましい。炭素数4~6の飽和炭化水素は、特に限定されないが、発泡剤の塩素化塩化ビニル系樹脂への溶解性及び保持性の観点から、少なくともペンタンが含有されることが好ましい。
また、発泡剤の溶解性向上の観点から、発泡剤は、ケトンを含むことが特に好ましい。例えば、発泡剤として、ケトンと前記炭素数4~6の飽和炭化水素とを併用することにより、炭素数4~6の飽和炭化水素の塩素化塩化ビニル系樹脂への溶解性を更に向上しうる。
また、前記中間層は、発泡剤を、発泡性塩素化塩化ビニル系樹脂粒子100重量%に対して1重量%以上40重量%以下含有することが好ましい。前記所定の範囲になるように発泡剤の含有量を制御することにより、高い発泡倍率及び高い独立気泡率を有する発泡粒子及び発泡成形体を得やすい、という効果を奏する。発泡剤のより好ましい範囲は、発泡性塩素化塩化ビニル系樹脂粒子100重量%に対して5重量%以上20重量%以下である。
本実施形態に使用される中間層の好ましい態様では、発泡剤は、炭素数4から6の飽和炭化水素、及び/又はケトンを含み、かつ、発泡剤を、発泡性塩素化塩化ビニル系樹脂粒子100重量%に対して1重量%以上40重量%以下含有する。
(その他添加剤)
本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、中間層を構成する塩素化塩化ビニル系樹脂発泡体には、難燃剤、安定剤、加工助剤、滑剤、造核剤、発泡助剤、帯電防止剤、耐熱向上剤、輻射伝熱抑制剤、酸化防止剤、溶剤、並びに顔料及び染料などの着色剤等の添加剤を含有しても良い。
添加剤の中でも、耐火性能付与の観点で難燃剤は重要である。難燃剤としては、公知の難燃剤を使用することができ、例えば、臭素系難燃剤、リン系難燃剤、ポリリン酸アンモニウム、メラミンシアヌレート等のイントメッセント系難燃剤、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水酸化化合物、酸化アンチモン、酸化亜鉛などの難燃助剤が挙げられる。
安定剤としては、従来から塩化ビニル系樹脂に用いられるものを使用することができる。例えば、熱安定剤、熱安定化助剤、光安定剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。
上記熱安定剤としては、特に限定されず、例えば、ジブチル錫メルカブト、ジオクチル錫メルカプト、ジメチル錫メルカプト、ジブチル錫メルカプト、ジブチル錫マレート、ジブチル錫マレートポリマー、ジオクチル錫マレート、ジオクチル錫マレートポリマー、ジブチル銀ラウレート、ジブチル錫ラウレートポリマー等の有機錫系安定剤;ステアリン酸鉛、二塩基性亜りん酸鉛、三塩基の鉛系安定剤;カルシウム-亜鉛系安定剤;バリウム-亜鉛系安定剤;バリウム-カドミウム系安定剤などが挙げられる。これらは単独でも、2種以上を併用することもできる。
上記安定化助剤としては、特に限定されず、例えば、エポキシ化大豆油、りん酸エステル等が挙げられる。これらは単独でも、2種以上を併用することもできる。
上記光安定剤としては、特に限定されず、例えば、ヒンダードアミン系等の光安定剤等が挙げられる。
上記紫外線吸収剤としては、特に限定されず、例えば、サリチル酸エステル系、べンゾフエノン系、べンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤などが挙げられる。
其々の安定剤の使用量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、特に限定されないが、塩素化塩化ビニル系樹脂100重量部に対して10重量部以下であることが好ましい。
上記滑剤としては、特に限定されず、例えば、ブチルステアレート、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、エポキシ大豆油、グリセリンモノステアレート、ステアリン酸、ビスアミド等、パラフィンワックス、ポリオレフインワックス、エステルワックス、モンタン酸ワックスなどが挙げられる。これらは単独でも、2種以上を併用することもできる。
上記加工助剤としては、特に限定されず、例えば重量平均分子10万~200万のアルキルアクリレート-アルキルメタクリレート共重合体等のアクリル系加工助剤などが挙げられる。上記アクリル系加工助剤としては、特に限定されず、例えば、n-プチルアクリレート-メチルメタクリレート共重合体、2-エチルヘキシルアクリレート-メチルメタクリレート-ブチルメタクリレート共重合体等が挙げられる。これらは単独でも、2種以上を併用することもできる。
上記耐熱向上剤としては特に限定されず、例えばα-メチルスチレン系、N-フエニルマレイミド系の耐熱向上剤などが挙げられる。
上記酸化防止剤としては特に限定されず、例えば、フェノール系抗酸化剤などが挙げられる。
上記充填剤としては、特に限定されず、例えば、炭酸カルシウム、タルクなどが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記顔料としては、特に限定されず、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、スレン系、染料レーキ系等の有機顔料;酸化物系、クロム酸モリブデン系、硫化物・セレン化物系、フエロシアニン化物系などの無機顔料などが挙げられる。これらは単独でも、2種以上を併用することもできる。
上記輻射伝熱抑制剤としては、近赤外又は赤外領域の光を反射、散乱又は吸収する特性を有する物質が挙げられ、例えば、グラファイト、グラフェン、カーボンブラック、膨張黒鉛、酸化チタンなどが挙げられる。
本発明の効果を損なわない範囲で、塩素化塩化ビニル系樹脂に他の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を併用してもよい。難燃性能の点から、塩化ビニル系樹脂が好ましい。塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニルの単独重合体、および塩化ビニルと他の共重合可能な単量体、例えば、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、塩化アリル、アリルグリシジルエーテル、アクリル酸エステル、ビニルエーテル等との共重合体等が挙げられる。塩化ビニル系樹脂の平均重合度は、特に限定はされないが、300以上7000以下であることが好ましい。
他の樹脂を併用する場合、他の樹脂の配合量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されないが、塩素化塩化ビニル系樹脂100重量部に対して0~99重量部が好ましい。
本実施形態にて使用される発泡性塩素化塩化ビニル系樹脂粒子は、後述するような発泡性樹脂粒子を予備発泡・発泡成形できる形状の粒子であれば、粒子の形状は特に問わない。発泡性塩素化塩化ビニル系樹脂粒子は、一般的な粒状物(例えば、球状、略球状、凸レンズ状、紡錘状などの丸みを帯びた小さい粒子)だけでなく、棒状(円柱状)、板状、扁平状の粒子も含まれるものとする。尚、本実施形態にて使用される発泡性塩素化塩化ビニル系樹脂粒子の粒重量は、発泡粒子の成形金型への充填性、ひいては発泡成形体の表面美麗性などの成形性を確保する観点から、0.5~10mg/粒であることが好ましい。
(発泡性塩素化塩化ビニル系樹脂粒子の製造方法)
発泡性塩素化塩化ビニル系樹脂粒子は、公知の製造方法で得ることができる。発泡性塩素化塩化ビニル系樹脂粒子の製造方法は、例えば、以下の工程I~IIIを含む。
工程I:(A)塩素化塩化ビニル系樹脂、及び(B)芳香族ビニル単量体及び不飽和ニトリルを構造単位に有する共重合体、更に必要に応じて他の添加剤を押出機に供給して溶融混練し、溶融混練物Iを得る。工程II:前記押出機または押出機以降の分散設備によって、溶融混練物Iに(C)発泡剤を溶解・分散させ、溶融混練物IIを得る。工程III:押出機以降に取り付けた、小孔を多数有するダイスを通じて、加圧循環水で満たされたカッターチャンバー内に溶融混練物IIを押し出し、押出し直後から、ダイスと接する回転カッターにより溶融混練物IIを切断すると共に加圧循環水により冷却固化し、発泡性塩素化塩化ビニル系樹脂粒子を得る。工程I~IIIを含む方法によれば、より高い発泡倍率及び独立気泡率となる塩素化塩化ビニル発泡粒子を与えうる発泡性塩素化塩化ビニル系樹脂粒子を得ることができる。
(発泡倍率)
中間層を構成する塩素化塩化ビニル系樹脂発泡体の発泡倍率は、15倍以上30倍以下であり、18倍以上25倍以下が好ましい。発泡倍率が15倍未満の場合、断熱性能の発現、吸音効果の発現が劣るとともに、軽量性が劣る傾向にある。また、発泡倍率が30倍を超える場合、発泡体の気泡が均一になり難く、連続気泡形成の懸念が増加する傾向にある。
(独立気泡率)
本実施形態にて使用される塩素化塩化ビニル系樹脂発泡粒子及びその塩素化塩化ビニル系樹脂発泡成形体は、独立気泡率が好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、更に好ましくは90%以上である。独立気泡率の上限値は、特に定めないが、実質的に99%以下である。独立気泡率が前述の範囲内にあることによって、成形時にも発泡粒子が2次発泡しやすく、発泡粒子の成形性が良くなり、得られる発泡成形体の表面性等が良化する等の効果を奏する。また、独立気泡率が前述の範囲にあることによって、低い熱伝導率を長期保持でき、断熱性により優れる。さらに、通水時に接続部位である配管端部から塩素化塩化ビニル系樹脂発泡成形体の気泡内に水が浸入するリスクが低下する効果を奏する。
(平均セル径)
本実施形態にて使用される塩素化塩化ビニル系樹脂発泡粒子及びその塩素化塩化ビニル系樹脂発泡成形体は、平均セル径が好ましくは70~1000μm、より好ましくは90~500μm、さらに好ましくは100~400μmである。平均セル径が前述の範囲にあることによって、断熱性のより高い塩素化塩化ビニル系樹脂発泡成形体となる。平均セル径が70μm以上であると、発泡倍率の高倍化が容易となる傾向にあり、また、1000μm以下であると、熱伝導率が増加、即ち断熱性能が悪化するのを避けることができる。ここでいう、平均セル径は後述の測定方法により求められる。
(内層及び外層への添加剤)
内層及び外層を構成する非発泡性塩素化塩化ビニル系樹脂には、「(前記内層、前記外層、および前記中間層に用いられる塩素化塩化ビニル系樹脂)」にて説明した塩素化塩化ビニル系樹脂が使用される。
内層を構成する非発泡性塩素化塩化ビニル系樹脂には、必要に応じ無機充填剤が添加される。無機充填剤の種類としては特に限定されず、例えば、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、マイカ、クレー、ガラス繊維、酸化チタン、ケイ酸カルシウム、酸化マグネシウム、アルミナ等が挙げられる。これらを必要量添加することで、非発泡性塩素化塩化ビニル系樹脂の比重が増し、内層の内側を流れる水等の流体から発せられる流水音を遮音できるのみならず、流体の圧力に耐えうる内層の強度を増加させることができる。なお、無機充填剤の添加量が多量になりすぎると、成形性が低下する虞がある。
外層を構成する非発泡性塩素化塩化ビニル系樹脂には、例えば、軟質塩化ビニル系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のエラストマー;天然ゴム;スチレン-ブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、ブチルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、ポリイソブチレン等の合成ゴム成分などが添加される。これにより、外層の弾性が増し衝撃強度を向上することができる。
(内層の厚さ)
本実施形態に係る配管では、内層は、配管肉厚の5%以上の厚さ、好ましくは10%以上の厚さ、より好ましくは12%以上の厚さを有する。内層の厚さが配管肉厚の5%未満である場合、耐熱性能が劣る傾向にあり、また、内層の内側に通水させた際、水が発泡層へ浸透する虞があり、内層の強度保持がし難くなる傾向にある。
(外層の厚さ)
本実施形態に係る配管では、外層は、配管肉厚の5%以上の厚さ、好ましくは10%以上の厚さ、より好ましくは12%以上の厚さを有する。外層の厚さが配管肉厚の5%未満である場合、使用時の衝撃強度が保持できない傾向にある。
(中間層の厚さ)
本実施形態に係る配管では、中間層は、配管肉厚の30%を超え90%未満の厚さ、好ましくは配管肉厚の40%以上80%以下の厚さ、より好ましくは配管肉厚の44%以上76%以下の厚さ有する。中間層の厚さが配管肉厚の30%以下である場合、断熱性能が劣り、温水配管としての機能が低下する傾向にある。さらに、耐衝撃性も劣る傾向にあり、軽量性が損なわれる虞がある。中間層の厚さが配管肉厚の90%以上である場合、断熱性能は向上するものの、相対的に内層および外層の厚みが減少し、耐熱性能の低下、衝撃強度が低下する傾向にある。
(配管の製造方法)
本実施形態に係る配管の製造方法は、従来公知の方法であれば、特に限定されない。当該製造方法として、例えば、次の(1)の方法が挙げられる。
(1)非発泡性塩素化塩化ビニル系樹脂からなる内層の外面に塩素化塩化ビニル系発泡樹脂を被覆し、中間層を形成する。次いで、この中間層の外面に非発泡性塩素化塩化ビニル系樹脂を被覆して外層を形成する方法。
また、内層および外層が同一樹脂(二種三層構成)からなる場合、本実施形態に係る配管の製造方法として、次の(2)の方法が挙げられる。
(2)中間層を形成する発泡層押出機、並びに内層および外層を形成する非発泡層押出機を備え、それぞれの押出機に金型が接続配置された押出装置を利用して、配管を製造する方法。
また、内層および外層が異種樹脂(三種三層構成)からなる場合、本実施形態に係る配管の製造方法として、次の(3)の方法が挙げられる。
(3)中間層を形成する発泡層押出機、内層を形成する非発泡樹脂押出機、及び外層を形成する非発泡樹脂押出機を備え、各押出機に金型が接続配置された押出装置を利用して製造する方法。
本実施形態に係る製造方法は、(A)塩素化塩化ビニル系樹脂、(B)芳香族ビニル単量体及び不飽和ニトリルを構造単位に有する共重合体、および(C)発泡剤を含む発泡性塩素化塩化ビニル系樹脂粒子を発泡させて、前記中間層を形成する工程を有することを特徴としている。
例えば特許文献2に開示された従来の製造方法では、中間層(発泡層)を製造するために発泡層押出機内で発泡層用樹脂組成物を溶融混錬するに際し、別途、発泡剤を、発泡層用押出機のベント孔から供給していた。
これに対して、本実施形態に係る製造方法では、中間層を製造するに際し、発泡剤を含む発泡性塩素化塩化ビニル系樹脂粒子を使用するので、別途発泡剤を発泡層用樹脂組成物に供給する必要がなく工程管理等が容易となる。発泡剤が気体である場合、特に工程管理等が容易となるという効果が顕著である。
以下、本実施形態に係る配管の製造方法の一例として、内層および外層が同一樹脂(2種3層構成)からなる配管の製造方法(上記(2)の方法)について説明する。図2は、本実施形態に係る配管を製造するための製造装置の概略構成を示す全体構成図である。
図2に示すように、製造装置10は、主要な構成として、中間層製造のための発泡用押出機11、内層及び外層製造のための非発泡用押出機12、2種3層フィードブロック13、成形金型14、冷却水槽15、引取機16、及び切断機17から構成される。
発泡用押出機11は、中間層を形成する前記塩素化塩化ビニル系樹脂発泡粒子を溶融混錬し、成形金型14に押し出すものである。なお、発泡用押出機11には、中下層の発泡倍率調整のため、必要に応じ、ベント孔から、発泡剤を圧入できるよう発泡剤ボンベと定量圧入ポンプが接続されてもよい。
また、非発泡用押出機12は、内層及び外層を形成する非発泡性塩素化塩化ビニル系樹脂を溶融混錬し、金型に押し出すものである。
2種3層フィードブロック13は、発泡用押出機11から押し出された発泡性塩素化塩化ビニル系樹脂組成物と、非発泡用押出機12から押し出された内層及び外層用の非発泡性塩素化塩化ビニル系樹脂とから、未硬化の配管材を成形するものである。成形金型14は、2種3層フィードブロック13から出た未硬化の配管材を所定寸法に成形するための菅外面用の成形金型である。
冷却水槽15は、未硬化の配管材の外面を冷却するものである。引取機16は、冷却水槽で冷却された配管を引取りするものである。切断機17は、引取機16から搬出された配管を所定寸法に切断するものである。
発泡用押出機11及び非発泡用押出機12は、並列しており、ともに2種3層フィードブロック13に接続している。また、2種3層フィードブロック13は、成形金型14に接続され、成形金型14には冷却水槽15が接続されている。さらに、冷却水槽15には引取機16が接続されており、引取機16には切断機17が接続されている。
本実施形態に係る製造方法では、まず、内層及び外層を形成する非発泡性塩素化塩化ビニル系樹脂を非発泡用押出機12に供給し、溶融混錬する。これとは別に、前記塩素化塩化ビニル系樹脂発泡粒子を発泡用押出機11に供給し、溶融混錬する。
そして、図3に示すように、非発泡用押出機12により溶融混錬された内外層用樹脂21(非発泡性塩素化塩化ビニル系樹脂)と、発泡用押出機11により溶融混錬された中間層用樹脂22(発泡性塩素化塩化ビニル系樹脂)を、2種3層フィードブロック13内部で合流させて、二種三層構造からなる未硬化の配管材を形成する。未硬化の配管材は、非発泡性塩素化塩化ビニル系樹脂からなる内層および外層の間に発泡性塩素化塩化ビニル系樹脂からなる中間層が形成されてなる構成を採る。
さらに、未硬化の配管材を2種3層フィードブロック13より吐出することで、中間層用樹脂22の発泡性塩素化塩化ビニル系樹脂が発泡する。未硬化配管材を、冷却水槽15を用いてチューブ状になるよう冷却し、配管1を形成する。さらに、冷却形成された配管1は、引取機16で引取られ、切断機17に送られ、切断機17にて所定寸法に切断される。
本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれら例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる形態で実施しうる。
(実施例)
以下、実施例に基づき本発明の実施形態を具体的に説明する。
実施例および比較例の各例にて得られた配管材について、発泡倍率、独立気泡率、平均気泡径、発泡性、熱変形性、断熱性、強度の各試験・評価をそれぞれ以下の手順で測定した。
[発泡倍率]
配管から円周方向10mm以上、軸方向50mmを切り出し、非発泡性樹脂である内層及び外層をフライスで切削し、中間層のみを長さ約50mm程度の板状に加工したものを試験片とした。なお、試験片は内周方向に均等に5分割した点を中心に5個作成した。
試験片をJIS K 7112:1999に従い、23℃±2℃条件下、水置換式比重測定機にて見かけ密度を小数点以下3桁まで求め、下記式(1)により発泡倍率を算出した。
m=γc/γ ・・・(1)
[式(1)中、mは発泡倍率であり、γは発泡層の見かけ密度(g/cm)であり、γcは発泡層の未発泡時の密度(g/cm)である。]。
[独立気泡率]
配管を約50mmの長さに切断し、周長約30mmとなるように周方向に切断し、NTカッターにて非発泡である内層と外層を除去したものを試験片とした。試験片について、JIS K 7138:2006に従い、23℃±2℃条件下、空気比較式比重計にて体積を測定し、JIS K 7112:1999に従い、23℃±2℃条件下、水置換式比重計で求めた体積を測定し、下記式(2)により独立気泡率を測定した。
Cc=(Va/Vaq)×100 ・・・(2)
[式(2)中、Ccは独立気泡率(%)であり、Vaは空気比較式体積(cm)であり、Vaqは水置換法体積(cm)である。]。
[平均気泡径]
JIS K 6400-1に従い、走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した配管の円周方向断面画像上に1mm直線を引き、直線上の気泡数で割った値を気泡径とし、3本の直線、つまり、3データの平均値を平均気泡径とした。
[発泡外観性]
各実施例および比較例で製造した配管の中間層断面を目視にて観察し、気泡の形成状態を以下の指標で評価した。
<評価基準>
○:独立気泡状態として観察される
△:一部気泡が連通状態として観察される
×:破泡状態が観察される。
[耐熱性(熱変形性)]
配管の外層の外周面を上面として、JIS K7206に準拠し、ビカット軟化温度を測定した。
[断熱性]
長さ10mの配管材サンプルに80℃の温水を5L/分の割合で移送し、温水出口温度を測定した。
[強度(耐衝撃性)]
配管を長さ100mmに切断し試験片とし、この試験片を23±2℃の条件で1時間以上条件調整後、該条件、扁平試験機の2枚の圧縮板完に挟み込み、配管の管軸直角方向に10±2mm/分の速さで管の外径寸法が元外径寸法の1/2になるまで圧縮し,管外表面を目視にて評価した。
<評価基準>
○:割れ、ヒビがなく、外観良好である。
×:割れ、ヒビが発生し、外観不良が認められる。
<総合評価>
○:発泡外観性が良好であって、
1)耐熱性評価指標のビカット軟化温度が100℃以上、
2)断熱性指標の熱水出口温度77.5℃以上、
3)強度評価において外観不良が認められない、
を全て満足するもの。
△:発泡外観性において、気泡の一部が連通構造として観察されるものの、
1)耐熱性評価指標のビカット軟化温度が95℃以上、
2)断熱性指標の熱水出口温度75.0℃以上、
3)強度評価において外観不良が認められない、
を全て満足するもの。
×:発泡外観性において、破泡状態が観察され、
1)耐熱性評価指標のビカット軟化温度が95℃未満、
2)断熱性指標の熱水出口温度75.0℃未満、
3)強度評価において外観不良が認められる、
のうち、1条件でも満たしているもの。
上記総合評価において、〇または△が、発泡外観性、耐熱性(熱変形性)、断熱性、および強度(耐衝撃性)の点で合格であると判断される。
以下に、実施例及び比較例で用いた原材料を示す。
(塩素化塩化ビニル系樹脂)
(A-1)塩素化塩化ビニル系樹脂[(株)カネカ製、H716S、平均重合度600,塩素含有量67.6重量%]
(塩化ビニル系樹脂)
(A-2)塩化ビニル樹脂[(株)カネカ製、平均重合度600、塩素含有量56.8重量%]
(芳香族ビニル単量体及び不飽和ニトリル単量体を構造単位とする共重合体)
(B)スチレン-アクリロニトリル共重合体[Galata製、Blendex869、重量平均分子量286万、共重合体中のアクリロニトリル由来成分比率;20重量%]
(発泡剤)
(C-1)ノルマルペンタン[富士フィルム和光純薬(株)製]
(C-2)アセトン[富士フィルム和光純薬(株)製]
(実施例1)
[発泡性塩素化塩化ビニル系樹脂粒子の作製]
塩素化塩化ビニル系樹脂(A-1)100重量部に対し、芳香族ビニル単量体由来の構造単位及び不飽和ニトリル単量体由来の構造単位を有する共重合体(B)を5重量部、更にブチル錫メルカプト系安定剤5重量部、滑剤(エステルワックス、ポリエチレンワックス)3重量部、塩素含有量35重量%の塩素化ポリエチレン5重量部を加え、この配合物をブレンドし均一な配合物を得た。そして、この配合物を、同方向噛み合い二軸押出機にて溶融混練し、上記配合比率のペレットを得た。
得られたペレットを、φ40mm同方向噛み合い二軸押出機に40kg/hrの供給量で溶融混練した。
二軸押出機の途中から、前記ペレットの樹脂組成物100重量部に対して、ノルマルペンタン(C-1)9重量部、アセトン(C-2)4重量部を圧入した。その後、二軸押出機先端に取り付けられた継続管、単軸押出機、ギアポンプ、ダイバータバルブを経て、樹脂温度170℃に冷却し、ダイバータバルブの下流に取り付けられた口金から、吐出量45kg/hrで、温度70℃及び1.3MPaの加圧循環水中に押出した。なお、前記口金は、直径1.0mm、ランド長3.5mmの小孔を30個有し、230℃に設定されている。加圧循環水中に押出された溶融樹脂は、口金に接触する回転カッターを用いて、切断・小粒化され、遠心脱水機に移送されて、粒重量6mgの発泡性塩素化塩化ビニル系樹脂粒子を得た。
得られた発泡性塩素化塩化ビニル系樹脂粒子の発泡剤含有量は、11重量%、真密度は1290kg/mであった。
[塩素化塩化ビニル系樹脂粒子の作製]
塩素化塩化ビニル系樹脂(A-1)100重量部に対し、芳香族ビニル単量体由来の構造単位及び不飽和ニトリル単量体由来の構造単位を有する共重合体(B)を5重量部、更にブチル錫メルカプト系安定剤5重量部、滑剤(エステルワックス、ポリエチレンワックス)3重量部、塩素含有量35重量%の塩素化ポリエチレン5重量部を加え、この配合物をブレンドし均一な配合物を得た。そして、得られた配合物を、同方向噛み合い二軸押出機にて溶融混練し、上記配合比率のペレットを得た。
得られたペレットを、φ26mm同方向噛み合い二軸押出機にて吐出量8kg/hrの条件で溶融混練し、押出機先端に取り付けられた直径1.7mmの小穴が13個設けられたダイスを通じてストランド状とし、水槽で冷却固化させた後、ストランドカッターで裁断し、塩素化塩化ビニル系樹脂粒子を得た。
上記の発泡性塩素化塩化ビニル系樹脂粒子を中間層用の発泡層用塩素化塩化ビニル系樹脂とし、塩素化塩化ビニル系樹脂粒子を内層及び外層用の非発泡性塩素化塩化ビニル系樹脂として準備した。
これらの樹脂を、図2に示す製造装置10を用いて押出成形を行った。
具体的には、前記非発泡性塩素化塩化ビニル系樹脂を190℃で非発泡用押出機12にて混練し、押出量50kg/hrで2種3層フィードブロック13に注入した。また、前記発泡層用塩素化塩化ビニル系樹脂を発泡用押出機11にて190℃で混練し、75kg/hrにて2種3層フィードブロック13に注入した。2種3層フィードブロック13として、製品外径90mm、内径70mmの金型を用いた。2種3層フィードブロック13から吐出した組成物を、成形金型14内に挿入し、冷却水槽15内で冷却し、引取機16で引き取った後、切断機17で所定の長さに切断して三層配管を得た。得られた配管の評価結果を表1に示した。
(実施例2~5、比較例1~4)
表1に記載の条件に変更した以外は、実施例1と同様にして三層配管を得た。
Figure 2022189037000001
1 配管
2 中間層
3 内層
4 外層

Claims (6)

  1. 外層と、内層と、前記外層及び前記内層の間に設けられた中間層と、を有し、
    前記外層および前記内層は、非発泡性塩素化塩化ビニル系樹脂によって形成されているとともに、
    前記中間層は、発泡倍率が15倍以上30倍以下であり、かつ独立気泡率が80%以上である塩素化塩化ビニル系樹脂発泡体によって形成されており、
    前記塩素化塩化ビニル系樹脂発泡体は、
    (A)塩素化塩化ビニル系樹脂、(B)芳香族ビニル単量体及び不飽和ニトリルを構造単位に有する共重合体、および(C)発泡剤を含む発泡性塩素化塩化ビニル系樹脂粒子を発泡成形してなり、
    前記外層及び前記内層は、配管肉厚の5%以上の厚さを有し、
    前記中間層は、配管肉厚の30%を超え90%未満の厚さを有する、配管。
  2. 前記(A)塩素化塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、前記(B)芳香族ビニル単量体及び不飽和ニトリルを構造単位に有する共重合体が1重量部以上50重量部以下含有されている、請求項1に記載の配管。
  3. 前記(A)塩素化塩化ビニル系樹脂の塩素含有率が60重量%以上75重量%以下であり、かつ、前記(A)塩素化塩化ビニル系樹脂の平均重合度が400以上1500以下である、請求項1または2に記載の配管。
  4. 前記(B)芳香族ビニル単量体及び不飽和ニトリルを構造単位に有する共重合体の重量平均分子量は、前記(A)塩素化塩化ビニル系樹脂の重量平均分子量よりも高い、請求項1~3のいずれか1項に記載の配管。
  5. 前記(C)発泡剤は、炭素数4から6の飽和炭化水素、及び/又は、ケトンを含み、かつ、
    前記(C)発泡剤を、発泡性塩素化塩化ビニル系樹脂粒子100重量%に対して1重量%以上40重量%以下含有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の配管。
  6. 外層と、内層と、前記外層及び前記内層の間に設けられた中間層と、を有し、
    前記外層および前記内層は、非発泡性塩素化塩化ビニル系樹脂によって形成されているとともに、前記中間層は、塩素化塩化ビニル系樹脂発泡体によって形成された、配管の製造方法であって、
    (A)塩素化塩化ビニル系樹脂、(B)芳香族ビニル単量体及び不飽和ニトリルを構造単位に有する共重合体、および(C)発泡剤を含む発泡性塩素化塩化ビニル系樹脂粒子を発泡させて前記中間層を形成する工程を有する、配管の製造方法。
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