JP2022187586A - 自動ドア、自動ドアの制御方法、自動ドアの制御プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】非常時において効率的に電力を使用できる自動ドアを提供する。【解決手段】閉状態の扉部10を開方向に移動させる外力を検出した時に扉部10の開動作をアシストする自動ドア100は、扉部10を開閉制御するドアエンジン40と、通常電源300が利用できない非常時に自動ドア100に電力を供給するバッテリ70の残量を示すバッテリ残量パラメータを取得するバッテリ残量パラメータ取得部22と、自動ドア100がバッテリ70からの電力で稼働している時にバッテリ残量パラメータ取得部22が取得したバッテリ残量パラメータに応じて開動作をアシストするか否かを判断する開アシスト判断部23と、を備える。ドアエンジン40は、開アシスト判断部23の判断結果に基づいて扉部10を開閉制御する。【選択図】図3
Description
本発明は自動ドアに関する。
電力によって自動的に開閉する自動ドアとして、停電時に臨時の電力を供給するバッテリを備えるものが知られている(特許文献1)。
バッテリの容量は限られているため、停電中に過度に自動ドアを開閉駆動するとバッテリが切れてしまう恐れがある。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、効率的に電力を使用できる自動ドアを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様の自動ドアは、閉状態の扉を開方向に移動させる外力を検出した時に扉の開動作をアシストする自動ドアであって、扉を開閉制御する制御部と、通常の電源が利用できない非常時に自動ドアに電力を供給するバッテリの残量を示すバッテリ残量パラメータを取得するバッテリ残量パラメータ取得部と、自動ドアがバッテリからの電力で稼働している時にバッテリ残量パラメータ取得部が取得したバッテリ残量パラメータに応じて開動作をアシストするか否かを判断する開アシスト判断部と、を備える。制御部は、開アシスト判断部の判断結果に基づいて扉を開閉制御する。この態様によれば、バッテリ残量パラメータに応じて開アシストの実行可否が判断されるため、非常時において効率的に電力を使用できる。
本発明の別の態様も、自動ドアである。この自動ドアは、閉状態の扉を開方向に移動させる外力による扉の開動作を検知する開動作検知部と、開動作検知部の検知結果に応じて扉の開駆動態様を決定する開駆動態様決定部と、開駆動態様決定部の決定結果に基づいて開動作時に扉の開駆動を行う制御部と、を備える。この態様によれば、開動作検知部の検知結果に応じて扉の開駆動態様が決定されるため、効率的に電力を使用できる。
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、自動ドアにおいて効率的に電力を使用できる。
最初に、図1および図2を参照して、本発明の実施形態が適用される自動ドア100の概要を説明する。図1は、本発明の実施形態に係る自動ドア100を概略的に示す正面図である。自動ドア100は、開閉駆動される扉部10と、自動ドア100全体を制御するコントローラ20と、通行者を検知するセンサ30(起動センサ31、補助センサ32の総称)と、動力を発生させるドアエンジン40と、動力を扉部10に伝達する動力伝達部50とを主に備える。なお、以下の説明では、図1における左右方向を水平方向とし、図1における上下方向を鉛直方向とするが、自動ドア100は任意の姿勢で設置することができ、その設置方向が以下の例に限定されるものではない。
扉部10は、それぞれ水平方向に可動に設けられる第1の可動扉11Lと第2の可動扉11Rと、第1の可動扉11Lおよび第2の可動扉11Rが開状態のときにそれぞれと重なる位置に設けられる第1の固定扉12Lと第2の固定扉12Rと、第1の可動扉11Lと第2の可動扉11Rの水平方向の動作をガイドするガイド機構13を備える。第1の可動扉11L、第2の可動扉11R、第1の固定扉12L、第2の固定扉12Rは、鉛直方向の寸法が水平方向の寸法よりも大きい縦長の矩形状に構成される。扉部10の開駆動時には、図1で左側に示される第1の可動扉11Lが左方向に駆動され、図1で右側に示される第2の可動扉11Rが右側に駆動される。また、扉部10の閉駆動時には、開駆動時とは逆に、第1の可動扉11Lが右方向に駆動され、第2の可動扉11Rが左方向に駆動される。なお、扉部10を構成する扉の数や形状は上記に限られず、設置場所のニーズに合わせて適宜設計可能である。また、同様に、扉部10の可動方向も水平方向に限られず、水平方向から傾斜した方向としてもよい。
ガイド機構13は、走行レール131と、戸車132と、ガイドレール133と、振れ止め部134を備える。走行レール131は、可動扉11L、11Rの上方において、その可動域の全体に亘って水平方向に延伸する柱状のレール部材である。戸車132は、可動扉11L、11Rの上部にそれぞれ二つずつ設けられ、各可動扉11L、11Rを走行レール131に懸架する。各可動扉11L、11Rが水平方向に開閉駆動される際、戸車132が走行レール131を転動するため、円滑な開閉動作が可能となる。ガイドレール133は、可動扉11L、11Rの下方において、その可動域の全体に亘って水平方向に延伸する溝状のレール部材である。振れ止め部134は、可動扉11L、11Rの下部から張り出して溝状のガイドレール133に収まる。各可動扉11L、11Rが水平方向に開閉駆動される際、振れ止め部134がガイドレール133に沿って動くため、各可動扉11L、11Rの見込み方向(図1の紙面に垂直な方向)の振動を抑制できる。
なお、扉部10の開閉に関する各種のパラメータはコントローラ20で設定可能である。例えば、開閉速度、開閉強度、開口幅等を設定できる。開閉速度は、第1の可動扉11Lおよび第2の可動扉11Rの水平方向の速度であり、両扉の速度の方向は互いに逆向きである。両扉で速度の大きさ(速さ)は等しくするのが好適であるが、異なる速さとしてもよい。また、開閉速度は、通常開閉時とそれ以外の時で異なる値を設定してもよい。例えば、扉部10の通常の閉駆動中に、閉じる可動扉11L、11Rに通行者が挟まれるのを緊急回避するために開駆動に切り替えるいわゆる反転の場合、その開駆動時の可動扉11L、11Rの速度は、通常の開駆動時の速度と異なる値を設定してもよい。また、停電時等の通常の電源が利用できない非常時にバッテリから供給される臨時の電力によって扉部10が駆動される際の開速度や閉速度を通常の駆動時と異なる値に設定してもよい。
開閉強度は、可動扉11L、11Rの開閉時の力の大きさであり、後述するモータ42の発生トルク値で制御される。上記の開閉速度と同様に、基本的には可動扉11L、11Rで等しい開閉強度とするのが好適である。また、通常開閉時とそれ以外の時で異なる開閉強度を設定してもよい。開口幅は、典型的には扉部10が全開のときの第1の可動扉11Lと第2の可動扉11Rの水平方向の間隔である。図1に示されるように、第1の可動扉11Lの全閉位置と全開位置の間の移動距離をW1、第2の可動扉11Rの全閉位置と全開位置の間の移動距離をW2とすれば、開口幅はW1+W2で表される。ここで、移動距離W1、W2は、自動ドア100の水平方向寸法に収まる範囲で個別に設定できる。なお、停電時等の通常の電源が利用できない非常時にバッテリから供給される臨時の電力によって扉部10が駆動される際の開口幅を通常時よりも小さくすることで非常時の扉部10の開閉駆動による電力消費を抑制してもよい。
図1には、センサ30の例として、光学センサとしての起動センサ31と、補助センサ32が設けられる。起動センサ31は、扉部10の上方の無目60の表面に設けられる光電センサである。起動センサ31は、赤外線等の光を床面に向けて投光する投光部と、床面からの反射光を受光する受光部を備える。通行者等の物体が自動ドア100に近づいて光を遮ると受光部の受光量が変化するため、物体を検知できる。このような起動センサ31での検知情報がコントローラ20に入力されると、ドアエンジン40の駆動により扉部10が開く。なお、起動センサ31は室内側(例えば図1の紙面の表側)と室外側(例えば図1の紙面の裏側)にそれぞれ設けられ、いずれの側から近づく通行者も検知できる。以下で両者を区別する必要がある場合は、それぞれ室内側起動センサ31、室外側起動センサ31と記載する。
なお、起動センサ31は、マイクロ波等の電波や超音波の反射により通行者を検知する構成としてもよい。また、図1で31Aとして示すように、可動扉11Lおよび11Rの少なくとも一方に設けられるタッチプレートが通行者によって押されることで、扉部10を駆動する構成としてもよい。また、観光施設やアミューズメントパーク等では、通行者の検知や操作に加えてまたは代えて、施設の係員の操作で扉部10を駆動する態様も想定される。このとき施設の係員は扉部10から離れた位置に設けられる操作盤や自動ドア100と通信可能な操作端末で遠隔から扉部10を駆動できる。
補助センサ32は、扉部10の第1の固定扉12Lと第2の固定扉12Rに設けられる光電センサである。補助センサ32は、第1の固定扉12Lおよび第2の固定扉12Rの一方に設けられる投光部と、他方に設けられる受光部を備える。投光部と受光部は床面から同じ高さに設けられ、投光部から水平方向に投光される赤外線等の光を受光部で受光する。扉部10が開いている状態で、その開口部を通行者が通過して光を遮ると受光部の受光量が変化するため、通行者を検知できる。補助センサ32の主な目的は閉保護であり、可動扉11L、11Rの閉動作中に補助センサ32が通行者を検知すると、コントローラ20は閉駆動を中止して開駆動に切り替える反転制御を行う。これにより、通行者が閉じる可動扉11L、11Rに挟まれるのを防止できる。なお、このような閉保護の制御において、補助センサ32と同様に光電センサで構成される起動センサ31の検知情報を併用することで、通行者の検知精度を高めて安全性を更に向上できる。
なお、補助センサ32は、マイクロ波等の電波や超音波の反射により通行者を検知する構成としてもよい。また、補助センサ32は固定扉12L、12Rとは異なる場所に設けてもよい。例えば、起動センサ31と同様に無目60に設けてもよいし、自動ドア100近傍の天井に設置してもよい。このような補助センサ32を複数設ければ、高コストになる一方で安全性が飛躍的に高まる。
ドアエンジン40は、モータ駆動部41と、モータ42と、駆動プーリ43を備える。モータ駆動部41は、インテリジェントパワーモジュール(IPM)で構成され、コントローラ20の制御の下でモータ42を駆動する電圧ないし電流を発生させる。回転動力を発生させる動力源としてのモータ42は、各種の公知のモータとして構成できるが、本実施形態では、一例として、ホール素子を用いたエンコーダを備えるブラシレスモータとする。エンコーダで検出されたモータ42の回転子の位置がモータ駆動部41に入力され、それに応じた駆動電圧ないし駆動電流がモータ42に印加されることで、所望の回転動力が発生される。モータ42によって回転駆動される駆動プーリ43は、図示しない歯車機構等を介してモータ42の回転子と連結され、連動して回転する。
動力伝達部50は、ドアエンジン40で発生された動力を扉部10に伝達し、可動扉11L、11Rを開閉駆動する。動力伝達部50は、動力伝達ベルト51、従動プーリ52、連結部材53を備える。動力伝達ベルト51は、内周面に多数の歯が形成された環状のタイミングベルトであり、図1の右側において駆動プーリ43に巻き付けられ、図1の左側において従動プーリ52に巻き付けられる。この状態において動力伝達ベルト51の水平方向の寸法は、駆動プーリ43と従動プーリ52の水平方向の距離に等しく、また可動扉11L、11Rの可動域の水平方向の寸法と同程度である。モータ42により駆動プーリ43が回転すると、動力伝達ベルト51を介して従動プーリ52が連動して回転する。
連結部材53は、可動扉11L、11Rをそれぞれ動力伝達ベルト51に連結して、開閉駆動する。ここで、一方の可動扉は動力伝達ベルト51の上側に連結され、他方の可動扉は動力伝達ベルト51の下側に連結される。図1の例では、動力伝達ベルト51が反時計回りに回転すると、第1の可動扉11Lが左側に移動し第2の可動扉11Rが右側に移動する開動作となり、動力伝達ベルト51が時計回りに回転すると、第1の可動扉11Lが右側に移動し第2の可動扉11Rが左側に移動する閉動作となる。
以上のような構成の自動ドア100において、起動センサ31が通行者を検知すると、コントローラ20の制御の下、ドアエンジン40が反時計回りの回転動力を発生させ、扉部10を開駆動する。また、開駆動後、通行者が検知されない状態が所定時間継続した場合は、コントローラ20の制御の下、ドアエンジン40が時計回りの回転動力を発生させ、扉部10を閉駆動する。なお、閉駆動中に補助センサ32や起動センサ31が通行者を検知すると、コントローラ20が閉駆動から開駆動に切り替える反転制御を行う。
図2は、自動ドア100の内外で相互に通信可能な各種の構成機器を模式的に示す。自動ドア100は、各構成機器が接続され、構成機器間のデータ通信を行うバス2を有する。バス2は、任意の通信規格、例えばCAN(Controller Area Network)に則って構成される。CANは、ホストコンピュータを介さずに構成機器が相互に通信できるように設計されており、自動ドアに限らず様々なシステムの制御情報の伝送に広く利用されている。バス2に接続された各構成機器は、バス2を介して他の構成機器に情報を送信でき、他の構成機器がバス2に送信した情報のうち自身に必要な情報を選択的に受信できる。
図2には、バス2に接続される構成機器として、コントローラ20、起動センサ31、タッチプレート31A、補助センサ32、操作盤33、認証装置34、電気錠コントローラ35、外部インターフェース36、表示装置37が例示され、いずれの構成機器も自動ドア100を構成する。なお、本図は、バス2に接続されうる構成機器を例示列挙したものであり、図1に示されない構成機器も含まれている。また、実際の自動ドア100に設ける構成機器は目的に応じて選択でき、図示される全ての構成機器を設ける必要はない。例えば、通行者の検知や操作のみで扉部10を駆動する自動ドア100においては、係員等の操作を行うための操作盤33は設ける必要はない。逆に、観光施設やアミューズメントパーク等で、施設の係員の操作のみで扉部10を駆動する自動ドア100においては、通行者の検知や操作のための起動センサ31やタッチプレート31Aを設ける必要はない。ただし、自動ドア100全体を制御するコントローラ20は、多くの場合で必須の構成機器である。
図示される構成機器のうち、コントローラ20、起動センサ31、タッチプレート31A、補助センサ32については前述したので説明を省略する。操作盤33は、観光施設やアミューズメントパーク等で施設の係員が操作し、扉部10を駆動する制御盤である。例えば、利用者が所定のタイミングで異なる部屋を移動するアトラクションにおいては、その移動タイミングに合わせて係員が操作盤33を操作し、各部屋の扉部10を開閉制御することで利用者が円滑に移動できる。なお、操作盤33は、施設に固定的に設置されたものでもよいし、係員が携帯できるものでもよい。また、後述する外部インターフェース36を介してコントローラ20等と通信可能なタブレットやスマートフォン等の通信端末に操作盤33の機能を実装してもよい。
認証装置34は、集合住宅やオフィスの入口など、高いレベルのセキュリティが要求される場所で、通行を許可すべき通行者を認証する。認証の方法は、扉部10近傍に設けられるキーパッドの入力によるパスワード認証や、指紋等の通行者の生体情報を用いた生体認証等がある。認証装置34での認証が成功すると、コントローラ20が扉部10を開駆動し、通行者は自動ドア100を通行できる。認証装置34での認証が失敗すると、たとえ起動センサ31が通行者を検知していたとしても、コントローラ20は扉部10を開駆動せず、未認証の通行者の不正な通行を阻止できる。
電気錠コントローラ35は、自動ドア100を施錠する電気錠35Aを制御する。電気錠35Aは、錠を施錠位置と解錠位置の間で駆動する錠駆動手段として、例えば通電状態に応じた駆動力を発生するソレノイドを備える。
外部インターフェース36は、有線または無線の接続により、自動ドア100外の各種の外部機器36Aとの間で信号を入出力する。外部機器36Aとしては、自動ドア100の設置や保守点検のために現場に赴いた作業員が使用する調整器等の作業端末や、インターネット等の公衆情報通信網を介して接続された遠隔のサーバやコンピュータが例示される。このような外部機器36Aの入力操作により、自動ドア100の各構成機器の制御やパラメータ調整等の各種設定を行える。また、外部機器36Aは、自動ドア100の各構成機器や、それらに付随して設けられるメモリから情報を読み取り、状態診断や保守点検を行える。なお、上述の通り、自動ドア100内のバス2はCAN規格に則って構成されるが、外部機器36Aと外部インターフェース36の間の通信が、それとは別の規格、例えば、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)で行われる場合、外部インターフェース36は一方の規格に基づく信号を他方の規格に基づく信号に変換するプロトコル変換器として機能する。
表示装置37は、他の構成機器から受信した情報に基づいて自動ドア100の稼働状況等を表示する表示部である。この表示装置37がタッチパネル等の入力機能を備える場合は、表示画面上のタッチ操作により、自動ドア100の各構成機器の制御やパラメータ調整等の各種設定を行える。なお、表示装置37は、扉部10の付近に設けてもよいし、扉部10から離れた場所、例えば、自動ドア100と同じ建物内でその管理を行うバックヤードに設けてもよい。
以上で例示列挙した自動ドア100を構成する構成機器、すなわち、コントローラ20、起動センサ31、タッチプレート31A、補助センサ32、操作盤33、認証装置34、電気錠コントローラ35、外部インターフェース36、表示装置37は、CAN規格に則ったバス2を介して相互に通信可能である。つまり、各構成機器はCAN通信のためのCANトランシーバとCANコントローラを内蔵している。外部インターフェース36は、これらに加え、外部機器36Aが利用する通信規格とCAN規格のプロトコル変換を行うプロトコル変換部を有する。これにより、外部インターフェース36に接続された外部機器36Aは、自動ドア100の他の構成機器とバス2を介して相互に通信可能である。
以上、図1および図2を参照して自動ドア100の概要を説明した。続いて、非常時における自動ドア100の制御について説明する。図3は、非常時における自動ドア100の制御を担う機能ブロックを示す。本実施形態において「非常時」とは、停電や非常信号によって、自動ドア100外の商用電源等の通常電源300が扉部10の開閉駆動に利用できない時をいう。通常電源300が利用できない非常時には自動ドア100内または自動ドア100外に設けられるバッテリ70から供給される臨時の電力によって扉部10が開閉駆動される。バッテリ70の容量は限られているため、安全のために扉部10を閉状態に維持することを最優先にバッテリ70の電力が使用される。なお、バッテリ70は充電可能な二次電池であり、通常電源300が利用できる通常時には非常時に備えて通常電源300の電力によって充電される。
後述するように、本実施形態では状況に応じて扉部10の手動による開動作をアシストするためにバッテリ70の電力が使用される。このように、扉部10の手動による開動作時にバッテリ70の電力を使用して扉部10の開動作をアシストすることを以下では「開アシスト」という。なお、閉状態の扉部10を開方向に移動させる外力が検出された時に実行される開アシストの態様としては以下が例示される。
・閉方向への駆動力を零にする
・人の代わりに扉部10を開駆動する
・扉部10を手動で開けるのに必要な外力を軽減する
・閉方向への駆動力を零にする
・人の代わりに扉部10を開駆動する
・扉部10を手動で開けるのに必要な外力を軽減する
図3に示されるように、コントローラ20は、非常時検知部21と、バッテリ残量パラメータ取得部22と、開アシスト判断部23と、開駆動態様決定部24と、開動作検知部25と、負荷パラメータ取得部26を備える。
非常時検知部21は、切断検知部211と非常信号取得部212を備え、通常時から非常時への切り替わりを検知して、自動ドア100の電源を通常電源300からバッテリ70に切り替える。切断検知部211は、自動ドア100の通常電源300からの切断を検知して非常時を検知する。通常電源300からの切断は典型的には停電時に発生する。なお、切断検知部211は、何らかの理由で通常電源300から自動ドア100に供給される電力が不安定な状態にあることを検知した場合、停電時に限らず自動ドア100が通常電源300から切断されたとみなしてバッテリ70に切り替えてもよい。非常信号取得部212は、非常時であることを示す非常信号を取得する。非常信号は、自動ドア100外の外部機器36A等から入力される外部信号でもよいし、コントローラ20の自己診断によって自動ドア100が通常電源300から正常に電力を受け取れない状態にあることが判明した場合にコントローラ20自身が生成する内部信号でもよい。
バッテリ残量パラメータ取得部22は、バッテリ残量検知部221と、非常時経過時間検知部222と、扉移動量検知部223と、バッテリ電圧検知部224と、全閉回数検知部225を備え、バッテリ70の残量を示す各種のバッテリ残量パラメータを取得する。バッテリ残量検知部221は、バッテリ残量パラメータとしてバッテリ70の残量、具体的には例えば充電率またはSOC(State Of Charge)を検知する。非常時経過時間検知部222は、バッテリ残量パラメータとしてバッテリ70による電力の供給が開始されてからの経過時間を検知する。なお、当該経過時間の代わりに、非常時検知部21が非常時を検知してからの経過時間を検知してもよい。扉移動量検知部223は、バッテリ残量パラメータとしてバッテリ70による電力の供給が開始されてからの扉部10の移動量を検知する。バッテリ電圧検知部224は、バッテリ残量パラメータとしてバッテリ70の電圧を検知する。全閉回数検知部225は、バッテリ残量パラメータとしてバッテリ70による電力の供給が開始されてからの扉部10の全閉駆動の回数を検知する。これらのバッテリ残量パラメータについては開アシストの具体例と共に後述する。
開アシスト判断部23は、バッテリ残量パラメータ取得部22で取得される各種のバッテリ残量パラメータに応じて、バッテリ70の電力を使用して扉部10の手動による開動作をアシスト(開アシスト)するか否かを判断する。開駆動態様決定部24は、開アシスト判断部23が開アシストすると判断した場合、バッテリ残量パラメータ取得部22で取得される各種のバッテリ残量パラメータに応じて、制御部としてのドアエンジン40による開駆動量や開駆動力等の開駆動態様を決定する。なお、コントローラ20の自己診断によって自動ドア100内部のハードウェアの故障等の異常が検出された場合、バッテリ残量パラメータによらず開アシスト判断部23は開アシストを行わないと判断する。あるいは、開アシスト判断部23は、バッテリ残量パラメータ取得部22が取得したバッテリ残量パラメータが示すバッテリ70の残量が閾値以下の時には開アシストをしないと判断する。
開動作検知部25は、開動作量検知部251と開動作速度検知部252を備え、閉状態の扉部10を開方向に移動させる外力による扉部10の開動作を検知する。開動作量検知部251は扉部10の手動による開動作量を検知し、開動作速度検知部252は、扉部10の手動による開動作速度を検知する。扉部10の開動作量や開動作速度は、扉部10の変位や速度を測定するセンサによって直接的に検知してもよいし、扉部10を駆動するモータ駆動部41、モータ42、駆動プーリ43や、扉部10と連動する動力伝達ベルト51、従動プーリ52等の変位や速度を測定するセンサによって間接的に検知してもよい。
負荷パラメータ取得部26は、ドアエンジン40による扉部10の開駆動の負荷を示す負荷パラメータを取得する。負荷パラメータとしては、扉部10の重量、扉部10の移動時に互いに摺動する走行レール131と戸車132の間およびガイドレール133と振れ止め部134の間の摩擦係数、モータ42の電流等が例示される。扉部10の重量や摺動部の摩擦係数は、自動ドア100の仕様や設置時の測定結果に基づいて、コントローラ20がアクセス可能な自動ドア100内のメモリ(不図示)に予め記録しておくのが好ましい。ここで、扉部10の摺動部の摩擦係数は自動ドア100の経年劣化によって変化するため、メモリに予め記録された値を自動ドア100の設置期間に基づいて補正して負荷パラメータとするのが好ましい。
詳細は後述するが、開動作検知部25および負荷パラメータ取得部26で得られる情報は、開アシスト判断部23における開アシストの判断や開駆動態様決定部24における開駆動態様の決定に利用される。
ドアエンジン40は、開アシスト判断部23が開アシストすると判断した場合、開動作検知部25で検知された扉部10の手動による開動作時に、バッテリ70の電力を使用して開駆動態様決定部24で決定された開駆動態様の扉部10の開駆動(開アシスト)を行う。開駆動態様としては主に開駆動量と開駆動力が例示されるが、本実施形態では開駆動力は閉駆動時の駆動力と同等にする。したがって、以下の説明における開駆動態様は主に開駆動量を表す。一方、ドアエンジン40は、開アシスト判断部23が開アシストしないと判断した場合、扉部10の手動による開動作時に扉部10を開駆動しない。この場合は開アシストがないため、扉部10の開動作は完全に手動で行われる。また、ドアエンジン40は、扉部10の手動による開動作時の開アシストの有無によらず、扉部10の手動による開動作後所定時間(例えば1秒)が経過すると、バッテリ70の電力を使用して扉部10を閉駆動する。このように、通常電源300が利用できない非常時には、扉部10の手動による開動作が行われる一部の時間帯を除いて、バッテリ70から供給される臨時の電力によって扉部10が閉状態に維持される。
図4は、非常時における自動ドア100の基本的な動作を示す。本図では図1の扉部10の扉のうち、第2の可動扉11Rおよび第2の固定扉12Rのみを示し、以下では簡略化して可動扉11および固定扉12ともいう。図4(A)では、非常時検知部21が通常時から非常時への切り替わりを検知して、自動ドア100の電源を通常電源300からバッテリ70に切り替える。これに伴い、ドアエンジン40がバッテリ70の電力を使用して可動扉11を閉駆動する。安全のため、この時の可動扉11の閉速度は通常時よりも小さくするのが好ましい。図4(B)では、可動扉11が全閉位置まで移動して停止する。
可動扉11が全閉位置にある図4(C)では、ドアエンジン40がバッテリ70の電力を使用して1秒毎等の所定周期で可動扉11を閉方向(図4の左方向)に駆動することで確実に扉部10の閉状態を維持する。ここで、可動扉11が閉方向に押し付けられていない間は、可動扉11には閉方向にも開方向(図4の右方向)にも力がかかっていないドアフリーの状態になっている。ドアフリーの状態の可動扉11は手動で開方向に動かすこと(手動による開動作)が可能である。
図4(D)では、可動扉11の手動による開動作が行われる。可動扉11の手動による開動作は開動作検知部25によって検知され、可動扉11が開方向に移動している間は常にドアフリーの状態が維持される。このため、可動扉11の手動による開動作中はドアエンジン40の閉駆動による抵抗を受けることなくスムーズに可動扉11を開けることができる。また、後述するように、可動扉11の手動による開動作の間または直後には、バッテリ70の電力を使用して可動扉11を開駆動する開アシストが状況に応じて行われる。
図4(E)では、手動による開動作または開アシストが終了した位置で可動扉11がドアフリーの状態で停止する。図4(E)の状態で所定時間(例えば1秒)が経過すると、ドアエンジン40がバッテリ70の電力を使用して可動扉11を閉駆動し(図4(A))、全閉位置まで移動させる(図4(B))。なお、図4(A)の閉駆動中に可動扉11が人手等で止められた場合は、図4(E)の状態に戻って所定時間(例えば1秒)が経過するまで再び停止する。また、図4(E)の状態から再び可動扉11の手動による開動作が行われた場合は、図4(D)の状態に戻ってドアフリーの状態の可動扉11が手動で開けられる。
続いて、図4(D)の状態で状況に応じて行われる開アシストについて詳細に説明する。図5は、開アシストの第1の態様を示す。この態様では、バッテリ残量パラメータ取得部22で取得される各種のバッテリ残量パラメータに関する「条件」に応じて、開アシスト判断部23がバッテリ70の電力を使用した開アシストの実行可否を判断し、開駆動態様決定部24がドアエンジン40による開アシスト量である「ストローク」を決定する。以下、図示の具体例を順に説明する。
図示の第1の具体例では、非常時経過時間検知部222で検知される非常閉鎖開始からの経過時間(バッテリ70による電力の供給が開始されてからの経過時間または非常時検知部21が非常時を検知してからの経過時間)に応じて開アシストが行われる。非常閉鎖開始からの経過時間が第1の閾値(例えば30分)以内の場合、バッテリ70の残量が十分にあると考えられるため、開アシスト判断部23はバッテリ70の電力を使用した開アシストを実行すると判断し、開駆動態様決定部24は可動扉11を全開幅まで開駆動する開アシスト量を決定する。この結果、図4(D)において可動扉11の手動による開動作が行われると、ドアエンジン40がバッテリ70の電力を使用して可動扉11を全開幅まで開駆動する開アシストを行う。
非常閉鎖開始からの経過時間が第1の閾値(30分)より大きく第2の閾値(例えば60分)以内の場合、バッテリ70の残量には余裕があると考えられるため、開アシスト判断部23はバッテリ70の電力を使用した開アシストを実行すると判断する。ただし、非常時に最優先すべき可動扉11の閉状態の維持(図4(A)~(C))に必要な電力を十分に残しておくために、開駆動態様決定部24は開アシスト量を半開幅等の全開幅未満の一定幅(例えば300mm)に抑える。この結果、図4(D)において可動扉11の手動による開動作が行われると、ドアエンジン40がバッテリ70の電力を使用して可動扉11を一定幅まで開駆動する開アシストを行う。
図4(E)に示されるように開アシストが終了した位置で可動扉11がドアフリーの状態で停止するが、手動による開動作を行った人はその時に形成されている一定幅の開口部を通行できる。なお、開口部の一定幅が人の通行に不十分な場合は、図4(E)の状態から再び可動扉11の手動による開動作(図4(D))を行えばよい。この時にはドアエンジン40による開アシストは行われないが、既に行われた開アシストで可動扉11は一定幅まで開けられているため、手動による開動作量は最小限で済む。
非常閉鎖開始からの経過時間が第2の閾値(60分)より大きい場合、バッテリ70の残量には余裕がないと考えられ、非常時に最優先すべき可動扉11の閉状態の維持に必要な電力を残しておくために、開アシスト判断部23はバッテリ70の電力を使用した開アシストを実行しないと判断する。この結果、図4(D)において可動扉11の手動による開動作が行われても、ドアエンジン40はバッテリ70の電力を使用した開アシストを行わない。ただし、前述したように可動扉11の手動による開動作中はドアフリーの状態が維持されるため、ドアエンジン40の閉駆動による抵抗を受けることなくスムーズに可動扉11を開けることができる。
図示の第2~4の具体例は、参照されるバッテリ残量パラメータまたは「条件」が異なる点を除いて、上記の第1の具体例と同様である。
図示の第2の具体例では、扉移動量検知部223で検知される非常閉鎖開始からの可動扉11の移動量に応じて開アシストが行われる。ここで「非常閉鎖開始からの可動扉11の移動量」は、バッテリ70の電力を使用した可動扉11の駆動量とするのが好ましい。具体的には、図4(A)または図4(E)から図4(B)にかけての可動扉11の閉駆動量と、図4(D)で開アシストが行われた場合の可動扉11の開駆動量の合計である。非常閉鎖開始からの可動扉11の駆動量が第1の閾値(例えば100m)以内の場合、バッテリ70の残量が十分にあると考えられるため、開アシスト判断部23はバッテリ70の電力を使用した開アシストを実行すると判断し、開駆動態様決定部24は可動扉11を全開幅まで開駆動する開アシスト量を決定する。
非常閉鎖開始からの可動扉11の駆動量が第1の閾値(100m)より大きく第2の閾値(例えば150m)以内の場合、バッテリ70の残量には余裕があると考えられるため、開アシスト判断部23はバッテリ70の電力を使用した開アシストを実行すると判断する。ただし、開駆動態様決定部24は開アシスト量を半開幅等の全開幅未満の一定幅に抑える。非常閉鎖開始からの可動扉11の駆動量が第2の閾値(150m)より大きい場合、バッテリ70の残量には余裕がないと考えられるため、開アシスト判断部23はバッテリ70の電力を使用した開アシストを実行しないと判断する。
図示の第3の具体例では、バッテリ残量パラメータ取得部22で取得されるバッテリチェックからの経過時間に応じて開アシストが行われる。ここで、バッテリチェックとは、通常電源300が利用できる通常時に定期的に実行される、バッテリ70の充電状態や異常有無の確認プロセスである。バッテリチェックのためにバッテリ70の放電が行われるため、バッテリチェック後は一時的にバッテリ70の残量が低下する。通常時であれば通常電源300によってバッテリ70が再充電されるため、バッテリ70の残量は一定時間(例えば1日)が経過すれば回復するが、バッテリ70の再充電中に非常時に切り替わるとバッテリ70の残量が不十分な状態で非常時の扉部10の駆動を行う必要がある。
バッテリチェックからの経過時間が第1の閾値(例えば1日)以上の場合、バッテリ70の残量が十分にあると考えられるため、開アシスト判断部23はバッテリ70の電力を使用した開アシストを実行すると判断し、開駆動態様決定部24は可動扉11を全開幅まで開駆動する開アシスト量を決定する。バッテリチェックからの経過時間が第1の閾値(1日)より小さく第2の閾値(例えば12時間)以上の場合、バッテリ70の残量には余裕があると考えられるため、開アシスト判断部23はバッテリ70の電力を使用した開アシストを実行すると判断する。ただし、開駆動態様決定部24は開アシスト量を半開幅等の全開幅未満の一定幅に抑える。バッテリチェックからの経過時間が第2の閾値(12時間)より小さい場合、バッテリ70の残量には余裕がないと考えられるため、開アシスト判断部23はバッテリ70の電力を使用した開アシストを実行しないと判断する。
図示の第4の具体例では、バッテリ電圧検知部224で検知されるバッテリ70の電圧に応じて開アシストが行われる。ここで、バッテリ70の電圧は、通常時に実行された直近のバッテリチェックの結果から取得してもよいし、バッテリ70に併設される電圧センサ等によって非常時に簡易的に測定してもよい。バッテリ70の電圧が第1の閾値(例えば「満充電」時の電圧)以上の場合、バッテリ70の残量が十分にあると考えられるため、開アシスト判断部23はバッテリ70の電力を使用した開アシストを実行すると判断し、開駆動態様決定部24は可動扉11を全開幅まで開駆動する開アシスト量を決定する。
バッテリ70の電圧が第1の閾値(「満充電」時の電圧)より小さく第2の閾値(例えば「普通」時の電圧)以上の場合、バッテリ70の残量には余裕があると考えられるため、開アシスト判断部23はバッテリ70の電力を使用した開アシストを実行すると判断する。ただし、開駆動態様決定部24は開アシスト量を半開幅等の全開幅未満の一定幅に抑える。バッテリ70の電圧が第2の閾値(「普通」時の電圧)より小さい「不足」の場合、バッテリ70の残量には余裕がないと考えられるため、開アシスト判断部23はバッテリ70の電力を使用した開アシストを実行しないと判断する。
以上の図示の第1~4の具体例に加えてまたは代えて、バッテリ残量パラメータ取得部22で取得される以下のバッテリ残量パラメータに応じて開アシストを行ってもよい。例えば、バッテリ残量検知部221で検知されるバッテリ70の残量、全閉回数検知部225で検知される非常時検知部21が非常時を検知してからの扉部10の全閉駆動(図4(A)または図4(E)から図4(B)にかけての全閉駆動)の回数、扉部10の手動による開動作または開アシスト(図4(D))の回数等に応じて、開アシスト判断部23における開アシストの判断や開駆動態様決定部24における開駆動態様の決定を行ってもよい。
以上の第1の態様の開アシストにおいて、開アシスト判断部23や開駆動態様決定部24は、負荷パラメータ取得部26で取得される負荷パラメータを参照してもよい。バッテリ70の残量を示すバッテリ残量パラメータに加えて、扉部10の開アシスト時の消費電力を示す負荷パラメータを参照することで、非常時に最優先すべき扉部10の閉状態の維持に必要な電力を残しておくための最適な開アシストの判断と開駆動態様の決定を行うことができる。
以上、開アシストの第1の態様を説明した。この態様では、図4(D)において開動作検知部25が可動扉11の手動による開動作を検知すると、バッテリ残量パラメータに応じた開アシスト判断部23による開アシストの判断と開駆動態様決定部24による開駆動態様の決定が即座に行われるため、可動扉11の手動による開動作の開始直後にドアエンジン40が開アシストを開始できる。以下で説明する開アシストの第2の態様では、開動作検知部25が可動扉11の手動による開動作を一定時間に亘って検知した結果に応じて、開駆動態様決定部24が手動による開動作に追加してドアエンジン40が開アシストを行うときの可動扉11の開駆動態様、特に開駆動量を決定する。このため、第2の態様は第1の態様に比べて、開アシストの開始のタイミングが遅くなる点で不利であるが、手動開動作の検知結果に応じた最適な開駆動量(開アシスト量)を決定できる点で有利である。以下、第2の態様の開アシストの具体例を順に説明する。
第1の具体例では、開動作量検知部251で検知される可動扉11の手動による開動作量に応じて可動扉11の追加の開アシスト量が決定される。ここで「可動扉11の手動による開動作量」とは、図4(E)において可動扉11の手動による開動作が終了した位置の全閉位置(図4の左端)からの変位Bである。開駆動態様決定部24は、開動作量検知部251で検知された開動作量Bに応じて、図4(E)の停止状態(変位B)からの可動扉11の追加の開駆動量を決定する。
例えば、開駆動態様決定部24は、可動扉11の所定の開口幅Aを示す開口幅パラメータと、開動作量検知部251で検知された開動作量Bの比較に応じて可動扉11の追加の開駆動量を決定する。ここで「所定の開口幅A」とは、人が通行できる最低限の開口幅であり、自動ドア100毎に固有の値が予め設定されている。この開口幅Aに対して1以下の任意の正の係数αを掛けたα×Aが開口幅パラメータとして用いられる。以下では例としてα=0.5とし、開口幅パラメータα×AをA/2(=0.5×A)と表す。
開駆動態様決定部24は、開動作量検知部251で検知された開動作量Bが開口幅パラメータA/2未満の場合は可動扉11を開口幅Aまで開駆動するのに必要な開駆動量を追加の開駆動量として決定する。この結果、図4(E)において手動で開動作量B(A/2未満)まで開けられた状態で停止した可動扉11が、ドアエンジン40が行う開アシストによって、人が通行可能な開口幅Aまで開駆動される。なお、開口幅Aが人の通行に不十分な場合は、再び可動扉11の手動による開動作(図4(D))を行えばよい。この際、次に説明するように、全開幅までの開アシストが行われる。
開駆動態様決定部24は、開動作量検知部251で検知された開動作量Bが開口幅パラメータA/2以上の場合は可動扉11を全開幅まで開駆動する開駆動量を追加の開駆動量として決定する。この結果、図4(E)において手動で開動作量B(A/2以上)まで開けられた状態で停止した可動扉11が、ドアエンジン40がバッテリ70の電力を使用して行う開アシストによって、複数人でも通行可能な全開幅まで開駆動される。
以上の第1の具体例では、開動作量Bを開口幅パラメータα×Aと比較して追加の開アシスト量を決定したが、開動作量Bを所定の開動作量閾値と比較して追加の開アシスト量を決定してもよい。例えば、開動作量Bが開動作量閾値(例えば200mm)未満であれば開口幅Aまで開アシストし、開動作量Bが開動作量閾値以上であれば全開幅まで開アシストしてもよい。また、開動作量Bによらず全開幅以下の一律の一定幅まで開アシストしてもよい。例えば、全開幅が2000mmを超える扉部10の場合、開動作量Bによらず一律に全開幅以下の1200mmまで開アシストしてもよい。
第2の具体例では、開動作速度検知部252で検知される可動扉11の手動による開動作速度に応じて可動扉11の追加の開アシスト量が決定される。例えば、開動作速度が所定の第1開動作速度閾値(例えば200mm/s)以上であれば開口幅Aまで開アシストし、開動作速度が所定の第2開動作速度閾値(例えば300mm/s)以上であれば全開幅まで開アシストしてもよい。
以上の第2の態様の開アシストにおいて、開駆動態様決定部24は、バッテリ残量パラメータ取得部22で取得される各種のバッテリ残量パラメータや、負荷パラメータ取得部26で取得される負荷パラメータに応じて、扉部10の追加の開駆動量を決定してもよい。バッテリ残量パラメータはバッテリ70の残量を示し、負荷パラメータは扉部10の開アシスト時の消費電力を示すため、非常時に最優先すべき扉部10の閉状態の維持に必要な電力を残しておくための最適な開アシスト量を決定できる。
以上、本発明を実施形態に基づいて説明した。実施形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
なお、実施形態で説明した各装置の機能構成はハードウェア資源またはソフトウェア資源により、あるいはハードウェア資源とソフトウェア資源の協働により実現できる。ハードウェア資源としてプロセッサ、ROM、RAM、その他のLSIを利用できる。ソフトウェア資源としてオペレーティングシステム、アプリケーション等のプログラムを利用できる。
本明細書で開示した実施形態のうち、複数の機能が分散して設けられているものは、当該複数の機能の一部又は全部を集約して設けても良く、逆に複数の機能が集約して設けられているものを、当該複数の機能の一部又は全部が分散するように設けることができる。機能が集約されているか分散されているかにかかわらず、発明の目的を達成できるように構成されていればよい。
10 扉部、11 可動扉、20 コントローラ、21 非常時検知部、22 バッテリ残量パラメータ取得部、23 開アシスト判断部、24 開駆動態様決定部、25 開動作検知部、26 負荷パラメータ取得部、40 ドアエンジン、42 モータ、70 バッテリ、100 自動ドア、211 切断検知部、212 非常信号取得部、221 バッテリ残量検知部、222 非常時経過時間検知部、223 扉移動量検知部、224 バッテリ電圧検知部、225 全閉回数検知部、251 開動作量検知部、252 開動作速度検知部、300 通常電源。
Claims (22)
- 閉状態の扉を開方向に移動させる外力を検出した時に前記扉の開動作をアシストする自動ドアであって、
前記扉を開閉制御する制御部と、
通常の電源が利用できない非常時に前記自動ドアに電力を供給するバッテリの残量を示すバッテリ残量パラメータを取得するバッテリ残量パラメータ取得部と、
前記自動ドアが前記バッテリからの電力で稼働している時に前記バッテリ残量パラメータ取得部が取得したバッテリ残量パラメータに応じて前記開動作をアシストするか否かを判断する開アシスト判断部と、を備え、
前記制御部は、前記開アシスト判断部の判断結果に基づいて前記扉を開閉制御する、
自動ドア。 - 前記開アシスト判断部は、前記バッテリ残量パラメータ取得部が取得したバッテリ残量パラメータが示す前記バッテリの残量が閾値以下の時には前記開動作のアシストをしないと判断する、請求項1に記載の自動ドア。
- 前記バッテリ残量パラメータ取得部が取得したバッテリ残量パラメータが示す前記バッテリの残量に応じて、前記開動作をアシストする時の前記扉の開駆動態様を決定する開駆動態様決定部を更に備え、
前記制御部は、前記開アシスト判断部が前記開動作をアシストすると判断した時に、前記開駆動態様決定部の決定結果に基づいて前記扉を開閉制御する、
請求項1または2に記載の自動ドア。 - 前記制御部による前記扉の開駆動の負荷を示す負荷パラメータを取得する負荷パラメータ取得部を更に備え、
前記開駆動態様決定部は、前記開アシスト判断部が前記開動作をアシストすると判断した場合、前記バッテリ残量パラメータおよび前記負荷パラメータに応じて、前記制御部による開駆動態様を決定する、
請求項3に記載の自動ドア。 - 前記制御部は、前記扉の外力による開動作後に前記バッテリの電力を使用して前記扉を閉駆動する、請求項1から4のいずれかに記載の自動ドア。
- 前記バッテリ残量パラメータは前記バッテリの残量である、請求項1から5のいずれかに記載の自動ドア。
- 前記バッテリ残量パラメータは前記バッテリによる電力の供給が開始されてからの経過時間である、請求項1から6のいずれかに記載の自動ドア。
- 前記バッテリ残量パラメータは前記非常時になってからの前記扉の移動量である、請求項1から7のいずれかに記載の自動ドア。
- 前記バッテリ残量パラメータは前記バッテリの電圧である、請求項1から8のいずれかに記載の自動ドア。
- 前記バッテリ残量パラメータは前記非常時になってからの前記扉の全閉駆動の回数である、請求項1から9のいずれかに記載の自動ドア。
- 閉状態の扉を開方向に移動させる外力を検出した時に前記扉の開動作をアシストする自動ドアの制御方法であって、
通常の電源が利用できない非常時に前記自動ドアに電力を供給するバッテリの残量を示すバッテリ残量パラメータを取得するバッテリ残量パラメータ取得ステップと、
前記自動ドアが前記バッテリからの電力で稼働している時に取得した前記バッテリ残量パラメータに応じて前記開動作をアシストするか否かを判断する開アシスト判断ステップと、
前記開アシスト判断ステップの判断結果に基づいて前記扉を開閉制御するステップと、
を備える自動ドアの制御方法。 - 閉状態の扉を開方向に移動させる外力を検出した時に前記扉の開動作をアシストする自動ドアの制御プログラムであって、
通常の電源が利用できない非常時に前記自動ドアに電力を供給するバッテリの残量を示すバッテリ残量パラメータを取得するバッテリ残量パラメータ取得ステップと、
前記自動ドアが前記バッテリからの電力で稼働している時に取得した前記バッテリ残量パラメータに応じて前記開動作をアシストするか否かを判断する開アシスト判断ステップと、
前記開アシスト判断ステップの判断結果に基づいて前記扉を開閉制御するステップと、
をコンピュータに実行させる自動ドアの制御プログラム。 - 閉状態の扉を開方向に移動させる外力による前記扉の開動作を検知する開動作検知部と、
前記開動作検知部の検知結果に応じて前記扉の開駆動態様を決定する開駆動態様決定部と、
前記開駆動態様決定部の決定結果に基づいて前記開動作時に前記扉の開駆動を行う制御部と、
を備える自動ドア。 - 前記開動作検知部は、前記閉状態の扉を開方向に移動させる外力による前記扉の開動作量を検知し、
前記開駆動態様決定部は、前記開動作量に応じて前記扉の開駆動態様を決定する、
請求項13に記載の自動ドア。 - 前記開駆動態様決定部は、前記扉の所定の開口幅パラメータと前記開動作量の比較に応じて前記扉の開駆動態様を決定する、請求項14に記載の自動ドア。
- 前記開駆動態様決定部は、前記開動作量が前記開口幅パラメータ未満の場合は当該開口幅パラメータまで開駆動する開駆動量を前記扉の開駆動態様として決定する、請求項15に記載の自動ドア。
- 前記開駆動態様決定部は、前記開動作量が前記開口幅パラメータ以上の場合は前記扉を全開幅まで開駆動する開駆動量を前記扉の開駆動態様として決定する、請求項15または16に記載の自動ドア。
- 前記開動作検知部は、前記閉状態の扉を開方向に移動させる外力による前記扉の開動作速度を検知し、
前記開駆動態様決定部は、前記開動作速度に応じて前記扉の開駆動態様を決定する、
請求項13から17のいずれかに記載の自動ドア。 - 前記開駆動態様決定部は、前記扉の全開幅以下の所定の幅まで前記扉を開駆動する開駆動量を前記扉の開駆動態様として決定する、請求項13から18のいずれかに記載の自動ドア。
- 通常の電源が利用できない非常時に前記自動ドアに臨時の電力を供給するバッテリの残量を示すバッテリ残量パラメータを取得するバッテリ残量パラメータ取得部を更に備え、
前記開駆動態様決定部は、前記バッテリ残量パラメータに応じて前記扉の開駆動態様を決定する、
請求項13から19のいずれかに記載の自動ドア。 - 閉状態の扉を開方向に移動させる外力による前記扉の開動作を検知する開動作検知ステップと、
前記開動作検知ステップの検知結果に応じて前記扉の開駆動態様を決定する開駆動態様決定ステップと、
前記開駆動態様決定ステップの決定結果に基づいて前記開動作時に前記扉の開駆動を行う扉駆動ステップと、
を備える自動ドアの制御方法。 - 閉状態の扉を開方向に移動させる外力による前記扉の開動作を検知する開動作検知ステップと、
前記開動作検知ステップの検知結果に応じて前記扉の開駆動態様を決定する開駆動態様決定ステップと、
前記開駆動態様決定ステップの決定結果に基づいて前記開動作時に前記扉の開駆動を行う扉駆動ステップと、
をコンピュータに実行させる自動ドアの制御プログラム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021095651A JP2022187586A (ja) | 2021-06-08 | 2021-06-08 | 自動ドア、自動ドアの制御方法、自動ドアの制御プログラム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2021095651A Pending JP2022187586A (ja) | 2021-06-08 | 2021-06-08 | 自動ドア、自動ドアの制御方法、自動ドアの制御プログラム |
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- 2021-06-08 JP JP2021095651A patent/JP2022187586A/ja active Pending
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