JP2022187468A - グルタチオン産生促進剤とその製造方法 - Google Patents

グルタチオン産生促進剤とその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、安全で有効なグルタチオン産生促進剤とその製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】本発明に係るグルタチオン産生促進剤は、有効成分としてルテオリンまたはその配糖体を含有することを特徴とする。本発明に係るグルタチオン産生促進剤の製造方法は、ルテオリンまたはその配糖体を含む植物から水系溶媒を用いて抽出物を得る工程を含むことを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、安全で有効なグルタチオン産生促進剤とその製造方法に関するものである。
グルタチオンは、グルタミン酸、システイン、及びグリシンからなるペプチドであり、α-カルボキシ基とα-アミノ基がペプチド結合している通常のペプチドとは異なり、グルタミン酸の側鎖γ-カルボキシ基とシステインのα-アミノ基との間のアミド結合を介して結合しているという特有の構造を有する。よってグルタチオンは、一般的なプロテアーゼに対して耐性を示す。
グルタチオンには、還元型グルタチオン(GSH)と、システインの側鎖チオール基同士がジスルフィド結合を介して結合した酸化型グルタチオン(GSSG)があるが、生体内では、グルタチオンレダクターゼの働きにより98%以上が還元型グルタチオンとして存在することが知られている。よって、グルタチオンは、生体内においてフリーラジカルや過酸化物を還元し、細胞から保護する作用を示す。また、グルタチオンの側鎖チオール基は求核性を有するため、有毒な化合物を攻撃して無毒化する作用も示す。更に、タンパク質を構成するアミノ酸であるシステインが生体内において単独で存在すると、互いに反応してシスチンとなり、この際にラジカルを発生させるため、細胞内のシステイン濃度は比較的低く抑えられているが、グルタチオンは、γ-グルタミルトランスペプチダーゼとジペプチダーゼにより各構成アミノ酸に分解されて、生体内におけるシステイン供給源としても働くと考えられている。これら作用により、グルタチオンは、美白効果や肝機能改善効果など、有用な効果を示す。
一方、グルタチオンは、日本では医薬品に分類されているため、薬機法により、例えばサプリメント成分として自由に製造販売することはできない。また、グルタチオンを外用剤に配合する場合には、グルタチオンは容易に酸化されるため、安定性に問題がある。そこで、生体内でグルタチオンの産生を促進する安全で継続摂取可能な成分が種々検討されている。
例えば特許文献1には、ハトムギ、トチュウ、ラカンカ、及びカンゾウの抽出物の発酵物が細胞内グルタチオン産生促進作用を示すと記載されている。特許文献2には、シロキクラゲ抽出物の乳酸菌による発酵物がグルタチオン産生促進作用を示すと記載されている。特許文献3には、特定の波長域を有する光を照射して栽培したエキナセアの抽出物を含有するグルタチオン産生促進剤が開示されている。特許文献4には、ハイビスカスの抽出物を含有するグルタチオン産生促進剤が開示されている。また、非特許文献1には、フラボノイドの一種であり茶やタマネギに含まれるケルセチンが、還元型であるか酸化型であるかは不明であるが、神経細胞培養液中におけるグルタチオンの総量を増加させることが記載されている。
特開2021-4214号公報 特開2020-90544号公報 特開2019-6722号公報 特開2018-193407号公報
Florencia Arredondoら,Free Radical Biology & Medicine,49(2010),pp.738-747
上述したように、天然由来成分を含むグルタチオンの産生促進剤は検討されている。しかし、実用性に欠けるためか、製品化されたものは確認できなかった。
そこで本発明は、安全で有効なグルタチオン産生促進剤とその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、フラボンの一種であるルテオリンまたはその配糖体が細胞によるグルタチオンの産生量を顕著に増加させることを見出して、本発明を完成した。
以下、本発明を示す。
[1] 有効成分としてルテオリンまたはその配糖体を含有することを特徴とするグルタチオン産生促進剤。
[2] 有効成分としてルテオリン配糖体を含有する前記[1]に記載のグルタチオン産生促進剤。
[3] 前記ルテオリン配糖体がルテオリン-7-配糖体である前記[2]に記載のグルタチオン産生促進剤。
[4] ルテオリンまたはその配糖体を含む植物抽出物を含有する前記[1]~[3]のいずれかに記載のグルタチオン産生促進剤。
[5] グルタチオン産生促進剤を製造するための方法であって、
ルテオリンまたはその配糖体を含む植物から水系溶媒を用いて抽出物を得る工程を含むことを特徴とする方法。
[6] 前記植物と水系溶媒の混合物を70℃以上、120℃以下で加熱する前記[5]に記載の方法。
[7] 水系溶媒として水を用いる前記[5]に記載の方法。
[8] 前記植物がシシトウである前記[5]~[7]のいずれかに記載の方法。
本発明に係るグルタチオン産生促進剤の有効成分は、フラボンの一種であるルテオリンまたはその配糖体であるので安全であり、毎日の恒常的な摂取も可能であると考えられる。また、本発明者の実験的知見によれば、本発明のグルタチオン産生促進剤は、細胞によるグルタチオン産生量を顕著に増加させることができる。グルタチオンは抗酸化性物質であり、抗老化、美肌、肝機能改善といった作用を示す。よって本発明は、健康に寄与できるものとして、産業上非常に優れている。
図1(1)は、本発明に係るグルタチオン産生促進剤による細胞の還元型グルタチオン(GSH)の産生促進効果を示すグラフであり、図1(2)は、酸化型グルタチオン(GSSG)の産生促進効果を示すグラフである。 図2は、ケルセチン、ルテオリン-7-グルコシド、ケルセチン-3-ラムノシド、ケルセチン-3-グルコシドによる還元型グルタチオン(GSH)の産生促進効果を示すグラフである。
本発明に係るグルタチオン産生促進剤は、有効成分としてルテオリンまたはその配糖体を含有する。ルテオリンまたはその配糖体は、ルテオリンおよびその配糖体との混合物など、ルテオリンまたはその配糖体の2以上の混合物であってもよい。ルテオリンは、フラボンの一種であり、以下の構造を有する。
Figure 2022187468000001
有効成分であるルテオリン配糖体における糖の結合位置は特に制限されないが、例えば、6位、7位、8位、3’位および4’位から選択される1以上の位置が挙げられ、6位、7位および8位から選択される1以上の位置が好ましく、7位がより好ましい。糖の結合数としては、3以下が好ましく、2以下がより好ましく、1がより更に好ましい。結合する糖としては、単糖基でも、2以上の糖が結合した糖鎖基であってもよいが、単糖基が好ましい。単糖基としては、例えば、グリコシル基、ラムノシル基、キシロシル基などの六単糖基;アピオシル基などの五単糖基;ジギトシソシル基などのデオキシ糖基などが挙げられる。糖鎖基としては、例えば、ジグルコシル基、アピオシル-グルコシル基、ネオヘスペリドシル基などが挙げられる。前記糖には、マロン酸やグルクロン酸が結合していてもよい。これら酸の結合により、ルテオリン配糖体の水溶性が高まることがある。
本発明に係るグルタチオン産生促進剤の有効成分であるルテオリンまたはその配糖体は、食用植物にも含まれる場合があるので、安全である。ルテオリンまたはその配糖体を含む植物としては、特に制限されないが、例えば、ミロバラン全草、シャジクソウの花、ブタクサの花粉、サルビア・トメントーサの花、セロリ可食部、ブロッコリー可食部、パセリ可食部、タイム可食部、タンポポ可食部、シソの葉、カモミールの花、ニンジン可食部、オリーブオイル、スペアミントの葉、ペパーミントの葉、ローズマリーの葉、ネーブルオレンジ可食部および皮、オレガノの葉、ヤーバサンタの花および葉、エンジュの花および果実、カルドン可食部、ピーナッツの殻、菊の花、レモン可食部および皮、パッションフルーツ可食部および皮、サヤインゲン可食部および皮、アイファネス・ホリダの果実、カプシカム属に属する、甘長とうがらし可食部および葉、かぐらなんばん可食部および葉、きだちとうがらし可食部および葉、シシトウ可食部および葉、とうがらし可食部および葉、ハバネロ可食部および葉、ピーマン可食部および葉、パプリカ可食部および葉、及びピカンテ可食部および葉が挙げられる。
ルテオリンまたはその配糖体を比較的多く含み、ルテオリンまたはその配糖体を効率良く抽出可能な植物としては、例えば、カプシカム属(Capsicum)植物が挙げられる。カプシカム属植物としては、例えば、甘長とうがらし可食部および葉、かぐらなんばん可食部および葉、きだちとうがらし可食部および葉、シシトウ可食部および葉、とうがらし可食部および葉、ハバネロ可食部および葉、ピーマン可食部および葉、パプリカ可食部および葉、及びピカンテ可食部および葉が挙げられ、ルテオリンまたはその配糖体を特に多く含む植物としてはシシトウ可食部および葉、特にシシトウ可食部が挙げられる。
シシトウは、ナス科トウガラシ属の野菜であり、トウガラシの中でも甘トウガラシの一種であり、正式には獅子唐辛子であり、学名はCapsicum annuum var.grossumである。我が国では千葉県や和歌山県でも栽培されているが、収穫量の約40%かそれ以上は高知県で栽培されている。
本発明に係るグルタチオン産生促進剤の有効成分であるルテオリンまたはその配糖体は、化学合成または酵素合成で得てもよいが、前述した通り食用植物にも含まれているため、ルテオリンまたはその配糖体を含む植物から水系溶媒を用いて抽出することが好ましい。
原料であるルテオリンまたはその配糖体を含む植物は、そのまま抽出に付してもよいが、抽出効率の観点からは、抽出溶媒との接触面積が大きくなるよう微小化することが好ましい。例えば、ルテオリンまたはその配糖体を含む植物をそのまますり潰してもよいし、乾燥した上で粉砕してもよい。
本発明では、抽出溶媒として水系溶媒を用いる。水系溶媒とは、水、及び水と水混和性有機溶媒との混合溶媒をいう。水混和性有機溶媒とは、水と無制限で混和可能な有機溶媒をいう。水混和性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、2-プロパノール等のアルコール系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒が挙げられ、アルコール系溶媒が好ましく、エタノールがより好ましい。抽出溶媒としては、水を用いることが好ましい。水と水混和性有機溶媒との混合溶媒を用いる場合、混合溶媒における水混和性溶媒の割合は適宜調整すればよいが、例えば50質量%以下とすることができ、40質量%以下または30質量%以下が好ましく、20質量%以下または10質量%以下がより好ましく、5質量%以下、2質量%以下、又は1質量%以下がより更に好ましく、0.1質量%以上が好ましい。
抽出溶媒の使用量は、グルタチオン産生促進作用を有する有効成分を原料植物から十分に抽出できる範囲で適宜調整すればよい。例えば、原料植物1g当たりの抽出溶媒量を2mL以上、20mL以下とすることができる。当該割合としては、5mL以上、15mL以下が好ましい。
抽出時には、抽出効率の観点から原料植物と水系溶媒の混合物を加熱することが好ましい。抽出温度は、グルタチオン産生促進作用を有する有効成分を原料植物から十分に抽出できる範囲で適宜調整すればよいが、例えば、70℃以上、120℃以下とすることができる。当該温度としては、80℃以上が好ましく、また、110℃以下が好ましく、100℃未満がより好ましい。また、加熱還流状態で抽出してもよい。
抽出時間も、グルタチオン産生促進作用を有する有効成分を原料植物から十分に抽出できる範囲で適宜調整すればよく、例えば、30分以上、24時間以下とすることができる。
抽出後は、一般的な後処理をすることが好ましい。例えば、原料植物由来の固形分を濾過や遠心分離などで除去することが好ましい。得られた液分から、濃縮、クロマトグラフィー、再結晶、透析、凍結乾燥、及びこれら2以上の組み合わせといった一般的な方法により、本発明に係るグルタチオン産生促進剤の有効成分を精製することができる。
本発明のグルタチオン産生促進剤は、当該グルタチオン産生促進剤を投与しない場合に比べて、生体内におけるグルタチオンの生合成量を増加させることができる。
グルタチオンは抗酸化作用や解毒作用を示すため、抗老化効果、美肌効果、肝機能改善効果といった効果を示す。本発明に係るグルタチオン産生促進剤は、有効成分としてルテオリンまたはその配糖体を含有する。有効成分とは、本発明に係るグルタチオン産生促進剤に含まれる成分のうち前記作用や前記効果を発揮する成分をいい、換言すれば、本発明に係るグルタチオン産生促進剤は、前記作用や前記効果が発揮される量のルテオリンまたはその配糖体を含む。具体的には、特に制限されないが、例えば、本発明に係るグルタチオン産生促進剤において、ルテオリンまたはその配糖体の割合を0.1質量%以上、5質量%以下とすることができ、ルテオリンまたはその配糖体を含む植物抽出物の割合を10質量%以上、100質量%以下とすることができる。また、本発明に係るグルタチオン産生促進剤が外用剤である場合には、ルテオリンまたはその配糖体の割合を0.001質量%以上、0.05質量%以下とすることができ、前記植物抽出物の割合を0.1質量%以上、10質量%以下にすることもできる。
本発明に係るグルタチオン産生促進剤の投与頻度や投与量は、投与対象の年齢、性別、状態などに応じて適宜調整すればよく、前記作用や前記効果が発揮される量を投与対象へ投与する。例えば、1日当たりのルテオリンまたはその配糖体の投与量としては10μg/kg体重以上、10mg/kg体重以下とすることができ、1日当たりの前記植物抽出物の投与量としては1mg/kg体重以上、1g/kg体重以下とすることができる。また、本発明に係るグルタチオン産生促進剤が外用剤である場合には、一日当たりのルテオリンまたはその配糖体の投与量としては1μg/kg体重以上、1mg/kg体重以下とすることができ、1日当たりの前記植物抽出物の塗布量としては0.1mg以上、10mg以下とすることもできる。1日当たりの投与回数や塗布回数は特に限定されず、所望の投与範囲内において、単回または数回に分けて投与または塗布すればよい。
本発明に係るグルタチオン産生促進剤は、ヒトに限らず、ヒト以外の動物にも投与可能である。投与対象動物としては、例えば、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ラクダ、ラマなどの家畜;競走馬などの競技動物;イヌ、ネコなどの愛玩動物;マウス、ラット、モルモット、ウサギなどの実験動物;ニワトリ、アヒル、七面鳥、駝鳥などの家禽などが挙げられる。
本発明に係るグルタチオン産生促進剤の剤形は特に制限されず、例えば、植物抽出物自体であってもよいし、ルテオリンまたはその配糖体と他の成分と組み合わせた組成物であってもよいし、これらの溶液または懸濁液であってもよい。本発明に係るグルタチオン産生促進剤の剤形としては、特に制限されないが、例えば、錠剤、散剤、カプセル剤、糖衣錠、顆粒剤、液剤、外用剤などを挙げることができる。本発明に係るグルタチオン産生促進剤には、剤形に合わせ、薬学上許容される添加剤を用いてもよい。かかる添加剤としては、例えば、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、酸化防止剤、着色剤、甘味料、凝集防止剤、防腐剤、有効成分の溶解補助剤、安定化剤などを挙げることができる。
本発明に係るグルタチオン産生促進剤の有効成分であるルテオリンまたはその配糖体および植物抽出物は、以下の実施例の通り、細胞によるグルタチオン産生量を顕著に増加せしめることができる。また、本発明に係るグルタチオン産生促進剤の有効成分であるルテオリンまたはその配糖体は、食用植物にも含まれているので、毒性を有さないか或いは極めて低毒性であると考えられる。よって本発明に係るグルタチオン産生促進剤は、前記作用や前記効果などに優れた健康食品などとして恒常的に摂取することも可能である。
例えば、本発明に係るグルタチオン産生促進剤の有効成分であるルテオリンまたはその配糖体および植物抽出物は、グルタチオン産生促進剤として、一般的な飲食品の成分とすることも可能である。本発明に係るグルタチオン産生促進剤の有効成分であるルテオリンまたはその配糖体および植物抽出物を添加する飲食品は特に限定されないが、例えば、乳飲料、清涼飲料、スポーツドリンク、栄養ドリンク、美容ドリンク、液体栄養剤などの飲料;チューインガム、チョコレート、キャンディー、ゼリー、ケーキ、ビスケット、クラッカーなどの菓子類;アイスクリーム、氷菓などの冷菓類;うどん、中華麺、スパゲティー、即席麺などの麺類;蒲鉾、竹輪、半片などの練り製品;ドレッシング、マヨネーズ、ソースなどの調味料;パン、ハム、雑炊、米飯、スープ、各種レトルト食品、各種冷凍食品などが挙げられる。本発明に係るグルタチオン産生促進剤の有効成分であるルテオリンまたはその配糖体および植物抽出物を含有する飲食品は、いわゆる健康食品、サプリメント、機能性食品、機能性表示食品、栄養補助食品、特定保健用食品、栄養機能食品、介護食品、スマイルケア食、咀嚼・嚥下補助食品、濃厚流動食品、病者用食品などの用途に用いることもできる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1
高知県産シシトウを1~2cm程度の大きさに切断し、乾熱機を使って70℃で一晩乾燥させた。得られた乾燥物をミルサーで粉砕し、そこに0.1g/mLの割合で超純水を加え、ヒートブロックを使って90℃で1時間抽出した。次いで、混合物を4000rpmで5分間遠心分離に付し、得られた上清を0.45μmのフィルターに通し、試料液とした。
試験例1
(1)細胞培養
培養液としてFibroLifeS2 Comp Kit(KURABO社製)を用いて、ヒト線維芽細胞NHDF(KURABO社製)を37℃、CO2濃度5%で培養した。直径10cmのディッシュに前記培養液40mLを入れ、培養した細胞を5.0×105個の割合で播種し、前記試料液を最終濃度が5%となるよう添加し、48時間培養した。次いで、培養液を採取し、200×Gにて5分間遠心分離し、上清試料を回収した。
比較のために、コントロールとして試料液を添加せず48時間培養した後、また、試料液を添加した直後に培養液を採取し、同様に上清試料を回収した。
全ての群の細胞生存率は99.9%以上であった。
(2)メタボローム解析
(2-1)CE-TOFMAS
キャピラリー電気泳動(CE)-TOFMASにより、上清試料に含まれる低分子化学物質を解析した。
具体的には、前記上清試料80μLに対し、内部標準物質を1,000μM含む水溶液20μLを加えて撹拌し、限外ろ過チューブ(「ウルトラフリーMC PLHCC」Merck社製,遠心式フィルターユニット 5kDa)に移し、9,100×g、4℃で60分間遠心して限外ろ過処理を行い、得られた濾液を測定に供した。内部標準物質としては、カチオンモードの場合、L-メチオニンスルホン(L-2-アミノ-4-(メチルスルホニル)ブタン酸)を用い、アニオンモードの場合、D-カンファー-10-スルホン酸を用いた。
前記濾液を適宜希釈して、キャピラリーとしてFused silica capillary i.d. 50μm×80cmと、CE-TOFMS system(Agilent Technologies社製)を用い、以下の条件のカチオンモードおよびアニオンモードのCE-TOFMASにより、分析した。
カチオンモード
Run buffer: Cation Buffer Solution(p/n: H3301-1001)
Rinse buffer: Cation Buffer Solution(p/n: H3301-1001)
Sample injection: Pressure injection 50mbar,10sec
CE voltage: Positive,30kV
MS ionization: ESI Positive
MS capillary voltage: 4,000V
MS scan range: m/z 50-1,000
Sheath liquid: HMT Sheath Liquid(p/n: H3301-1020)
アニオンモード
Run buffer: Anion Buffer Solution(p/n: I3302-1023)
Rinse buffer: Anion Buffer Solution(p/n: I3302-1023)
Sample injection: Pressure injection 50mbar,22sec
CE voltage: Positive,30kV
MS ionization: ESI Negative
MS capillary voltage: 3,500V
MS scan range: m/z 50-1,000
Sheath liquid: HMT Sheath Liquid(p/n: H3301-1020)
(2-2)データの処理と解析
CE-TOFMSで検出されたピークから、自動積分ソフトウェア(「MasterHands ver.2.18.0.1」慶應義塾大学開発)を用いて、シグナル/ノイズ(S/N)比が3以上であるピークを自動抽出し、それらの質量電荷比(m/z)、ピーク面積値、及び泳動時間(Migration time: MT)を得た。得られたピーク面積値は、下記式を用いて相対面積値に変換した。
相対面積値=目的ピークの面積値/(内部標準物質の面積値×試料量)
精査したピークについて、m/zとMTの値をもとに、各試料間のピークの照合・整列化を行った。
検出されたピークについて、m/zとMTの値をもとに、HMT代謝物質ライブラリ及びKnown-Unknownライブラリに登録された全物質との照合と検索を行った。検索のための許容誤差はMTで±0.5min、m/zでは±10ppmとした。
質量誤差(ppm)=(実測値-理論値)/実測値×106
各上清試料における還元型グルタチオン(GSH)と酸化型グルタチオン(GSSG)のキャピラリー電気泳動ピークを特定し、ピークの相対面積を求めた。還元型グルタチオン(GSH)の結果を図1(1)に、酸化型グルタチオン(GSSG)の結果を図1(2)に示す。
図1に示される結果の通り、シシトウ抽出物により48時間処理した後のヒト線維芽細胞の培養上清中における還元型グルタチオン(GSH)と酸化型グルタチオン(GSSG)の量は、共に明らかに増加していた。よって、本発明に係るシシトウ抽出物は、生体内におけるグルタチオンの生合成を促進し、グルタチオンによる生理作用を発現させ得ることが明らかになった。なお、図1(1)において試料液添加直後に検出された還元型グルタチオンは、原料シシトウに元々含まれていたものであると考えられる。また、検出された酸化型グルタチオンは、還元型グルタチオンが抽出中や試験中に酸化されたものである可能性がある。
試験例2: トウガラシ属植物におけるルテリオングルコシドの定量
市場で購入した、高知県産シシトウ、千葉県産シシトウ、土佐甘とう、又はピーマンの試料(4g)にメタノール(100mL)を加え、加熱還流下、80℃で1時間抽出した。
同様の操作を再度行い、抽出液を合わせた後、遠心分離した。得られた上清にメタノールを加え、総量を250mLに調整した。得られた溶液を、下記条件の液体クロマトグラフィータンデム型質星分析法で分析し、ルテオリングルコシドを定量した。試料100gあたりのルテオリングルコシド量を表1に示す。なお、土佐甘とうは、万願寺唐辛子(Capsicum annuum var.angulosum)から得られた交配種である。
カラム: InertSustain C18,φ2.1mm×150mm,粒径:3μm
移動相: 水、アセトニトリル、及び酢酸の混液
流速: 0.2mLl/min
カラム温度: 40℃
イオン化法: エレクトロスプレー(正イオン検出モード)
設定質量数(m/z): 449.4→286.9
Figure 2022187468000002
表1に示される結果の通り、シシトウに含まれるルテオリングルコシド量が比較的多く、その中でも高知県産シシトウにおけるルテオリングルコシドの含量は特に多かった。
実施例2: グルタチオン生合成促進作用試験
トウガラシ変種(Capsicum annuum var.Biskra)に含まれているポリフェノール(Meriem Mokhtarら,J.Sep.Sci.,2015,38,pp.171-178を参照)のうち、入手し易い、ケルセチン(富士フィルム和光純薬社製)、ルテオリン-7-グルコシド(富士フィルム和光純薬社製)、ケルセチン-3-ラムノシド(フナコシ社製)、又はケルセチン-3-グルコシド(フナコシ社製)を少量のDMSOに溶解し、更に純水を加えて濃度を10mMに調整した。得られた溶液を0.45μmのフィルターで濾過し、試料液とした。
各化合物の最終濃度が50μMとなるように培養液に試料液を添加した以外は上記試験例1と同様にして、ヒト線維芽細胞の培養上清試料を得た。グルタチオン定量キット(「G257 GSSG/GSH Quantification Kit」同仁化学研究所社製)を使い、各培養上清試料における還元型グルタチオン(GSH)の濃度を求めた。結果を図2に示す。
図2に示される結果の通り、ケルセチン、ルテオリン-7-グルコシド、ケルセチン-3-ラムノシド、ケルセチン-3-グルコシドを含む培地により48時間培養した後のヒト線維芽細胞の培養上清中における還元型グルタチオン(GSH)量は、他の化合物に比べて、ルテオリン-7-グルコシドにより顕著に増加していた。
よって、本発明に係るルテオリン配糖体は、生体内におけるグルタチオンの生合成を促進し、またそれによりグルタチオンによる生理作用を発現させ得ることが明らかになった。

Claims (8)

  1. 有効成分としてルテオリンまたはその配糖体を含有することを特徴とするグルタチオン産生促進剤。
  2. 有効成分としてルテオリン配糖体を含有する請求項1に記載のグルタチオン産生促進剤。
  3. 前記ルテオリン配糖体がルテオリン-7-配糖体である請求項2に記載のグルタチオン産生促進剤。
  4. ルテオリンまたはその配糖体を含む植物抽出物を含有する請求項1~3のいずれかに記載のグルタチオン産生促進剤。
  5. グルタチオン産生促進剤を製造するための方法であって、
    ルテオリンまたはその配糖体を含む植物から水系溶媒を用いて抽出物を得る工程を含むことを特徴とする方法。
  6. 前記植物と水系溶媒の混合物を70℃以上、120℃以下で加熱する請求項5に記載の方法。
  7. 水系溶媒として水を用いる請求項5に記載の方法。
  8. 前記植物がシシトウである請求項5~7のいずれかに記載の方法。
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