JP2022186454A - 試料加工装置および情報提供方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】加工の終了のタイミングを正確に判断できる試料加工装置を提供する。【解決手段】試料にイオンビームを照射して前記試料を加工する試料加工装置であって、前記試料に前記イオンビームを照射するイオン源と、前記試料を保持する試料ステージと、前記試料を撮影するカメラと、加工終了予定時間の情報を提供する情報提供部と、過去の加工情報を記憶する記憶部と、を含み、前記情報提供部は、前記過去の加工情報に基づいて、前記加工終了予定時間を算出する処理と、前記カメラで撮影された画像を取得する処理と、取得した前記画像に基づいて、加工速度を算出する処理と、前記加工速度に基づいて、前記加工終了予定時間を更新する処理と、を行う。【選択図】図36

Description

本発明は、試料加工装置および情報提供方法に関する。
イオンビームを用いて試料を加工する試料加工装置として、試料の断面を加工するためのクロスセクションポリッシャ(登録商標)や、薄膜試料を作製するためのイオンスライサ(登録商標)などが知られている。
例えば、特許文献1には、バルク試料上に遮蔽ベルトを配置し、遮蔽ベルトを介して試料にイオンビームを照射し、遮蔽ベルトで遮蔽されなかった部分をイオンミリングすることによって透過電子顕微鏡用の薄膜試料を作製する試料作製装置が開示されている。
特開2012-193962号公報
このような試料加工装置では、加工が長時間にわたる場合がある。そのため、あらかじめ加工の終了時間を知ることができれば、ユーザーが装置を確認する頻度を低減でき、作業効率を向上できる。
本発明に係る試料加工装置の一態様は、
試料にイオンビームを照射して前記試料を加工する試料加工装置であって、
前記試料に前記イオンビームを照射するイオン源と、
前記試料を保持する試料ステージと、
前記試料を撮影するカメラと、
加工終了予定時間の情報を提供する情報提供部と、
過去の加工情報を記憶する記憶部と、
を含み、
前記情報提供部は、
前記過去の加工情報に基づいて、前記加工終了予定時間を算出する処理と、
前記カメラで撮影された画像を取得する処理と、
取得した前記画像に基づいて、加工速度を算出する処理と、
前記加工速度に基づいて、前記加工終了予定時間を更新する処理と、
を行う。
このような試料加工装置では、加工を開始した直後から加工終了予定時間を提供できるため、ユーザーが装置を確認する頻度を低減でき、作業効率を向上できる。さらに、このような試料加工装置では、加工中に試料の画像を取得して加工終了予定時間を更新するため、精度の高い加工終了予定時間を提供できる。
本発明に係る情報提供方法の一態様は、
試料にイオンビームを照射するイオン源と、
前記試料を保持する試料ステージと、
前記試料を撮影するカメラと、
を含み、前記試料にイオンビームを照射して前記試料を加工する試料加工装置における情報提供方法であって、
過去の加工情報に基づいて、加工終了予定時間を算出する工程と、
前記カメラで撮影された画像を取得する工程と、
取得した前記画像に基づいて、加工速度を算出する工程と、
前記加工速度に基づいて、前記加工終了予定時間を更新する工程と、
を含む。
このような情報提供方法では、加工を開始した直後から加工終了予定時間を提供できるため、ユーザーが装置を確認する頻度を低減でき、作業効率を向上できる。さらに、このような情報提供方法では、加工中に試料の画像を取得して加工終了予定時間を更新するため、精度の高い加工終了予定時間を提供できる。
実施形態に係る試料加工装置の構成を示す図。 情報処理装置の構成を示す図。 試料および遮蔽部材を模式的に示す斜視図。 試料の揺動動作を説明するための図。 イオン源の動作を説明するための図。 カメラで撮影された画像の一例を示す図。 試料および遮蔽部材を模式的に示す斜視図。 試料の揺動動作について説明するための図。 カメラで撮影された画像の一例を示す図。 二次ミリングを説明するための図。 バルク加工処理の一例を示すフローチャート。 カメラで撮影された画像の一例を示す図。 マスク処理を説明するための図。 非マスク領域の輝度を検出する処理を説明するための図。 カメラで撮影された画像の一例を示す図。 透過光の輝度に応じて設定された加速電圧を示す表。 加工の状況を示すグラフ。 加工深さを説明するための図。 加工深さに応じて設定された加速電圧を示す表。 加工の状況を示すグラフ。 GUI画面の一例を模式的に示す図。 試料室の圧力の変化を示すグラフ。 試料の温度の変化を示すグラフ。 加工深さの変化を示すグラフ。 加工深さの変化を示すグラフ、および透過光の輝度の変化を示すグラフ。 試料の温度の変化を示すグラフ。 バルク加工処理終了予定時間を算出する処理を説明するための図。 バルク加工処理終了予定時間の表示の一例を示す図。 一次ミリング処理の一例を示すフローチャート。 二値化画像を模式的に示す図。 加工幅を測定する処理を説明するための図。 一次ミリングにおける加工の状況を示す図。 位置に応じて設定された加速電圧を示す表。 一次ミリングにおける加工の状況を示すグラフ。 GUI画面の一例を模式的に示す図。 位置の変化を示すグラフ。 位置を測定する手法の一例を示す図。 位置の変化を示すグラフ。 位置の変化を示すグラフ。 二次ミリング処理の一例を示すフローチャート。 加工領域の下端のエッジを検出する処理を説明するための図。 エッジの位置に応じて設定された加速電圧を示す表。 二次ミリングにおける加工の状況を示すグラフ。 GUI画面の一例を模式的に示す図。 エッジの位置の変化を示すグラフ。 変形例に係る試料加工装置の構成を示す図。 断面加工の状況を示す図。 位置に応じて設定された加速電圧を示す表。 断面加工の状況を示すグラフ。 GUI画面の一例を模式的に示す図。 加工深さを測定する手法の一例を説明するための図。 加工深さの変化を示すグラフ。 加工深さを測定する手法の一例を説明するための図。 加工深さの変化を示すグラフ。 加工深さの変化を示すグラフ。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1. 試料加工装置
まず、本発明の一実施形態に係る試料加工装置について図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る試料加工装置100の構成を示す図である。図1には、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸、およびZ軸を図示している。
試料加工装置100は、試料2にイオンビームIBを照射して試料2を加工し、観察や分析用の試料を作製するための装置である。試料加工装置100では、透過電子顕微鏡で観察可能な薄膜試料を作製できる。
試料加工装置100は、図1に示すように、イオン源10と、制御回路12と、真空排気装置14と、圧力計16と、試料ステージ20と、冷却機構22と、ヒーター24と、温度センサー26と、遮蔽部材30と、透過照明装置40と、照明調光回路42と、同軸落射照明装置44と、照明調光回路46と、光学系50と、カメラ60と、情報処理装置70と、を含む。
イオン源10は、試料2にイオンビームIBを照射する。イオン源10は、試料室11の上部に取り付けられており、試料室11に収容された試料2にイオンビームIBを照射する。
イオン源10は、例えば、所定の加速電圧でイオンを加速させてイオンビームIBを放出するイオン銃である。イオン源10は、Z軸に沿ってイオンビームIBを照射する。イオン源10は、例えば、イオンビームIBを試料2に照射する際に、X軸に平行な軸を回転軸として揺動する。イオン源10は、制御回路12で制御される。
試料室11は、真空排気装置14によって真空排気される。これにより、試料室11内
を減圧状態にすることができる。試料室11の圧力は、圧力計16によって測定できる。
試料ステージ20は、試料2を保持する。試料ステージ20には、遮蔽部材30が取り付けられている。遮蔽部材30は、試料2上に配置されている。遮蔽部材30の厚さは、例えば、10μm程度であり、加工前の試料2の厚さは、例えば、100μm程度である。遮蔽部材30は、試料2の厚さ方向の中心に配置される。
試料ステージ20は、試料2および遮蔽部材30を揺動させるスイング機構を備えている。スイング機構は、試料2および遮蔽部材30をスイング軸(傾斜軸)を回転軸として傾斜させる。スイング軸は、例えば、Y軸に平行である。スイング機構は、例えば、一定の周期で、試料2および遮蔽部材30を揺動させる。
試料ステージ20には、冷却機構22およびヒーター24が取り付けられている。試料加工装置100では、冷却機構22によって試料2を冷却でき、ヒーター24によって試料2を加熱できる。試料2の温度は、温度センサー26によって測定できる。温度センサー26は、例えば、試料ステージ20に取り付けられている。
試料ステージ20に保持される試料2は、板状の形状を有している。試料2は、例えば、直方体である。試料2については後述する。
遮蔽部材30は、イオンビームIBを遮蔽する。イオン源10から放出されたイオンビームIBは、遮蔽部材30を介して試料2に照射される。遮蔽部材30は、例えば、帯状である。遮蔽部材30は、例えば、遮蔽ベルトである。遮蔽部材30は、例えば、イオンビームIBでミリングされ難い材料からなる。遮蔽部材30は、試料2の上(+Z方向)に位置している。
透過照明装置40は、試料2を透過照明する照明光を発する。すなわち、透過照明装置40は、試料2の背後から照明光を照射する。透過照明装置40が発する照明光の強度は、照明調光回路42で制御される。
透過照明装置40、試料2、光学系50、およびカメラ60は、この順に、Y軸に沿って並んでいる。
同軸落射照明装置44は、試料2を同軸落射照明する照明光を発する。すなわち、同軸落射照明装置44は、カメラ60の光軸に沿って照明光を試料2に照射する。図示の例では、光学系50は、ハーフミラー52を有しており、ハーフミラー52を用いて、照明光の光軸とカメラ60の光軸とを一致させている。同軸落射照明装置44が発する照明光の強度は、照明調光回路46で制御される。
カメラ60は、光学系50を介して、試料2および遮蔽部材30を撮影する。カメラ60は、例えば、CCDカメラ、CMOSカメラなどのデジタルカメラである。光学系50は、カメラ60で試料2を撮影するための光学系である。
情報処理装置70は、カメラ60で撮影された画像を取得し、当該画像に基づいて加工の終了を判断する処理を行う。また、情報処理装置70は、加工の終了予定時間を計算し、終了予定時間を提供する。
図2は、情報処理装置70の構成を示す図である。
情報処理装置70は、例えば、処理部72と、操作部74と、表示部76と、記憶部7
8と、を含む。
操作部74は、ユーザーが操作情報を入力するためのものであり、入力された操作情報を処理部72に出力する。操作部74の機能は、キーボード、マウス、ボタン、タッチパネル、タッチパッドなどのハードウェアにより実現することができる。
表示部76は、処理部72によって生成された画像を表示する。表示部76の機能は、LCD、CRT、操作部74としても機能するタッチパネルなどにより実現できる。
記憶部78は、処理部72の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラムや各種データを記憶している。また、記憶部78は、処理部72のワーク領域としても機能する。記憶部78の機能は、ハードディスク、RAM(Random Access Memory)などにより実現できる。
処理部72の機能は、各種プロセッサ(CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等)などのハードウェアで、プログラムを実行することにより実現できる。処理部72は、加工制御部720と、情報提供部722と、を含む。
加工制御部720は、試料を加工するための処理を行う。情報提供部722は、加工終了予定時間を提供する処理を行う。
2. 試料加工装置の動作
試料加工装置100では、バルク試料を加工するバルク加工法により試料を作製することができる。さらに、試料加工装置100では、断面方向から観察するための試料を作製する二段ミリング法により、試料を作製できる。以下では、バルク加工法、および二段ミリング法について説明する。
2.1. バルク加工法
図3~図5は、バルク加工法を説明するための図である。図3は、試料2および遮蔽部材30を模式的に示す斜視図である。図4は、試料2の揺動動作を説明するための図である。図5は、イオン源10の動作を説明するための図である。
試料加工装置100では、図3に示すように、試料2上に遮蔽部材30を配置して、遮蔽部材30の上方に配置されたイオン源10からイオンビームIBを照射する。イオンビームIBは、遮蔽部材30を介して、試料2に照射される。
イオンビームIBを照射して試料2を加工しているときには、図4に示すように、試料ステージ20のスイング機構を動作させて、試料2および遮蔽部材30を軸Aを回転軸として揺動させる。すなわち、試料ステージ20のスイング機構は、試料2および遮蔽部材30を、軸Aを傾斜軸(回転軸)として、往復傾斜(回転)運動させる。軸Aは、例えばY軸に平行な軸である。軸Aは、例えば、試料2と遮蔽部材30の境界に位置している。
なお、図4では、試料2の傾斜角度θ1が0°のとき、試料2の傾斜角度θ1が-30°のとき、試料2の傾斜角度θ1が+30°のときを図示している。なお、図4では、傾斜角度θ1は、試料2がX軸に平行なときをθ1=0°として、反時計回りを「+」、時計回りを「-」で表している。
試料2の加工時には、図5に示すように、イオン源10も揺動させる。例えば、イオン源10をZ軸に対して所定の角度の範囲で傾斜させる。イオン源10を揺動させることによって、試料2の加工面に対して斜め方向からイオンビームIBを照射できる。例えば、
試料2の加工面に対するイオンビームIBの入射角度が2.5°程度になるようにイオン源10を傾斜させる。すなわち、イオン源10の傾斜角度θ2の範囲は、-2.5°から+2.5°の範囲である。
このように、試料加工装置100では、試料2を揺動させ、かつ、イオン源10を揺動させながら、試料2にイオンビームIBを照射して、試料2の加工を行う。
カメラ60は、加工中の試料2を撮影する。カメラ60で撮影された試料2の画像は、リアルタイムで情報処理装置70に送られる。情報処理装置70は、カメラ60で撮影された画像を取得し、表示部76に表示する。
図6は、カメラ60で撮影された画像I2の一例である。バルク加工法により試料2を加工する際には、試料2は透過照明装置40が発する照明光によって透過照明されている。そのため、画像I2では、試料2と遮蔽部材30との間の隙間から漏れる光が確認できる。また、画像I2では、試料2の下側から回り込んだ光が確認できる。
なお、画像I2上には、2重円のカーソルが表示されている。このカーソルについては後述する。
2.2. 二段ミリング法
二段ミリング法は、例えば、基板上に形成された薄膜や、基板上に形成された、配線やトランジスタなどが形成された積層膜など、を断面方向から観察するための試料を作製する手法である。二段ミリング法では、試料を全体的に薄くする一次ミリングと、観察対象物である薄膜や積層膜を透過電子顕微鏡で観察可能な厚さまで薄くする二次ミリングと、を行う。
2.2.1. 一次ミリング
図7および図8は、一次ミリングを説明するための図である。図7は、試料2および遮蔽部材30を模式的に示す斜視図である。図8は、試料2の揺動動作について説明するための図である。
図7に示すように、試料2は、基板4と、積層膜6と、保護部材8と、を含む。基板4は、例えば、シリコン基板、化合物基板などの半導体基板である。積層膜6は、例えば、基板4上に半導体製造技術によって形成された、配線やトランジスタなどを含む。例えば、図示の例では、基板4上に形成された積層膜6の断面を観察するための透過電子顕微鏡用の試料を作製することができる。保護部材8は、加工時に積層膜6を保護するための部材であり、例えば、ガラス基板である。保護部材8は、エポキシ樹脂などで積層膜6に接着されている。保護部材8の厚さは、例えば、100μm程度である。
試料2は、高さ(Z方向の大きさ)が500μm~800μm、幅(Y方向の大きさ)が100μm程度になるように、事前に板状に加工されている。
なお、試料2の構成は、図7に示す例に限定されず、二段ミリング法を用いて、様々な構成の試料を透過電子顕微鏡で観察可能に加工できる。
一次ミリングでは、試料2は、試料2の第1端部2aが上、試料2の第2端部2bが下になるように配置される。試料2の第1端部2aは、試料2の保護部材8側の端部であり、試料2の第2端部2bは、試料2の基板4側の端部である。試料2は、遮蔽部材30の下に配置され、試料2の第1端部2a側からイオンビームIBが照射される。イオンビームIBは、遮蔽部材30を介して、試料2に照射される。
イオンビームIBを照射して試料2を加工しているときには、図8に示すように、試料ステージ20のスイング機構を動作させて、試料2および遮蔽部材30を軸Aを回転軸として揺動させる。すなわち、試料ステージ20のスイング機構は、試料2および遮蔽部材30を、軸Aを傾斜軸(回転軸)として、往復傾斜(回転)運動させる。
試料2の加工時には、図5に示すように、イオン源10も揺動させる。例えば、イオン源10をZ軸に対して所定の角度の範囲で傾斜させる。イオン源10を揺動させることによって、試料2の加工面に対して斜め方向からイオンビームIBを照射できる。例えば、試料2の加工面に対するイオンビームIBの入射角度が0.4°程度になるようにイオン源10を傾斜させる。すなわち、イオン源10の傾斜角度θ2の範囲は、-0.4°から+0.4°の範囲である。イオン源10の傾斜角度θ2は、例えば、試料2の材質等に応じて適宜変更可能である。
このように、試料加工装置100では、試料2を揺動させ、かつ、イオン源10を揺動させながら、試料2にイオンビームIBを照射して、試料2の加工を行う。一次ミリングでは、加工によって、2つの傾斜面3と、2つの傾斜面3の間の加工領域5と、が形成される。一次ミリングでは、加工領域5の全体が遮蔽部材30の厚さとほぼ同じ厚さとなるように加工される。なお、一次ミリングにおいて、加工領域5が遮蔽部材30とほぼ同じ厚さであって、第1端部2aから第2端部2bに向かうにしたがって膜厚が大きくなるように加工されてもよい。
一次ミリングでは、試料2の第2端部2bが二次ミリングに適した厚さになった場合に、加工を終了する。後述するように、二次ミリングでは、第2端部2bが上、第1端部2aが下になるように試料2を配置して、第2端部2b側からイオンビームIBを照射する。そのため、例えば、試料2の第2端部2b側の厚さが大きい場合には、第2端部2b側に照射されるイオンビームIBの量が多くなり、第2端部2b側が急速に削れてしまう。この結果、積層膜6が薄くなるまえに、試料2がなくなってしまう可能性がある。そのため、一次ミリングにおいて、試料2の第2端部2bを二次ミリングに適した厚さにしなければならない。
ここで、試料2の第2端部2bの厚さは、カメラ60で撮影された画像からは確認できない。そのため、試料2の第2端部2b側の加工領域5の幅、すなわち、図7に示す加工幅Wを目安として、一次ミリングの加工を終了するタイミングを判断する。試料加工装置100では、加工が進むにしたがって試料2の加工領域5が薄くなり、加工幅Wが拡がる。そのため、加工幅Wから加工領域5の厚さを推定できる。
例えば、加工幅Wを300μm~600μm程度にすることによって、試料2の第2端部2bの厚さを、二次ミリングに適した厚さである10μm程度にできる。
カメラ60は、加工中の試料2を撮影する。カメラ60で撮影された試料2の画像は、情報処理装置70に送られる。情報処理装置70は、カメラ60で撮影された画像を取得し、表示部76に表示する。
図9は、カメラ60で撮影された画像I2の一例を示す図である。図9に示す画像I2は、同軸落射照明および透過照明された試料2をカメラ60で撮影して得られた画像である。
試料2は、同軸落射照明されているため、図9に示すように、画像I2では、試料2の加工領域5、試料2の未加工領域、および遮蔽部材30が明るくなるのに対して、傾斜面
3が暗くなる。これは、同軸落射照明では、観察方向(カメラ60の光軸)に対して垂直な面のみで、カメラ60に向かって照明光が反射するためである。傾斜面3は、観察方向に対して垂直な面ではないため、傾斜面3で反射した照明光は、カメラ60に向かわない。そのため、画像I2では傾斜面3が暗くなる。同軸落射照明では、試料2を揺動させても、試料2の各領域の面の向きは変化しない。そのため、同軸落射照明では、加工時に試料2を揺動させても、常に、傾斜面3が暗い画像が得られる。
また、試料2は、透過照明されているため、図9に示すように、試料2と遮蔽部材30との間の隙間から照明光が漏れる。また、試料2の下から照明光が回り込む。したがって、画像I2では、試料2と遮蔽部材30との間の隙間および試料2の下の空間が明るくなる。この結果、画像I2では、傾斜面3のみが暗くなる。
情報処理装置70では、画像I2において、2つの傾斜面3のみが暗くなることを利用して、2つの傾斜面3を抽出し、抽出した2つの傾斜面3の間を測定することによって、加工幅Wを測定する。
2.2.2. 二次ミリング
図10は、二次ミリングを説明するための図である。
図10に示すように、二次ミリングでは、試料2の第2端部2bが上、試料2の第1端部2aが下になるように配置される。二次ミリングでは、試料2の第2端部2b側からイオンビームIBが照射される。二次ミリングでは、遮蔽部材30を用いずに、直接、試料2にイオンビームIBを照射する。
二次ミリングでは、試料2の積層膜6が透過電子顕微鏡で観察可能に薄膜化されるまで、試料2を加工する。
3. 試料加工方法
3.1. バルク加工
3.1.1. バルク加工処理の流れ
試料加工装置100では、加工制御部720が、バルク加工法により試料2を加工するバルク加工処理を行う。図11は、バルク加工処理の一例を示すフローチャートである。
ユーザーが操作部74を介して感度係数Kの情報および加工条件を入力すると、加工制御部720は、入力された感度係数Kの情報および加工条件を記憶部78に記憶させる(S100)。
感度係数Kは、試料2を透過した光を検出する感度を示す係数である。感度係数Kは、0%よりも大きく100%以下の値をとる。すなわち、0<K≦1である。ユーザーは、例えば、操作部74を操作して、感度係数Kを設定することができる。加工制御部720は、操作部74からの操作情報に基づいて設定された感度係数Kの情報を取得し、記憶部78に記憶させる。
例えば、試料2が光透過性を有する場合、感度係数Kを90%(K=0.9)程度に設定する。試料2が光透過性を有しない場合、感度係数Kを50%(K=0.5)程度に設定する。光透過性を有する試料2は、例えば、ガラスである。光透過性を有しない試料2は、例えば、シリコン、金属などである。
ユーザーが、試料2を試料ステージ20にセットし、試料2上に遮蔽部材30をセットする。そして、ユーザーが操作部74を介してバルク加工処理を開始する指示を入力する
と、加工制御部720は、真空排気装置14に試料室11を真空排気させる(S102)。加工制御部720は、圧力計16から試料室11の圧力の測定結果を取得し、試料室11の圧力が設定された圧力に到達したか否かを判定する。
加工制御部720は、試料室11の圧力が設定された圧力に到達したと判定した場合、冷却機構22を動作させ、試料2の冷却を開始する(S103)。加工制御部720は、温度センサー26から試料2の温度の測定結果を取得し、試料2の温度が設定された温度に到達したか否かを判定する。
試料加工装置100では、試料2を冷却しながら、試料2の加工を行う。これにより、加工による試料2の損傷を低減できる。
加工制御部720は、試料2の温度が設定された温度に到達したと判定した場合、イオンビームIBを照射する処理を開始する(S104)。具体的には、加工制御部720は、イオンビームIBを照射するための制御信号を生成し、制御回路12に送る。制御回路12は、制御信号に基づいて駆動信号を生成し、イオン源10に出力する。これにより、イオン源10からイオンビームIBが試料2に照射される。このとき、試料ステージ20のスイング機構は、試料2および遮蔽部材30を揺動させる。
試料加工装置100では、上述したように、試料2および遮蔽部材30を揺動させながら、遮蔽部材30を介して試料2にイオンビームIBを照射して、試料2を加工する。試料2の加工中には、カメラ60がリアルタイムで試料2を撮影する。
イオンビームIBの照射が開始されると、加工制御部720は、カメラ60で撮影された試料2の画像I2を取得する(S106)。
図12は、カメラ60で撮影された画像I2を模式的に示す図である。
図12に示すように、画像I2には、遮蔽部材30に対応する像、試料2に対応する像、遮蔽部材30と試料2との間の隙間から漏れる光、および試料2の下から回り込んだ光が確認できる。
加工制御部720は、取得した画像I2において、試料2と遮蔽部材30との間の隙間から漏れる光、および試料2の下から回り込んだ光をマスクする(S108)。
図13は、画像I2に対するマスク処理を説明するための図である。
加工制御部720は、画像I2の輝度の分布に基づいて、隙間から漏れる光および試料2の下から回り込んだ光をマスクする。例えば、図13に示すように、画像I2の縦方向の輝度プロファイルを複数取得し、当該輝度プロファイルに基づいて隙間から漏れる光および試料2の下から回り込んだ光をマスクする。画像I2の縦方向は、図1におけるZ軸に沿った方向である。図13に示す例では、3つの輝度プロファイルを図示しているが、輝度プロファイルを取得する数は特に限定されず、画像I2の横方向に並ぶピクセルごとに輝度プロファイルを取得してもよい。
隙間をマスクするマスク領域M1の形状は、例えば、長方形である。マスク領域M1は、隙間から漏れる光を完全に覆っている。マスク領域M1の一辺は、試料2の上端に平行である。マスク領域M1の下端は、試料2の上端よりも下に位置している。
回り込んだ光をマスクするマスク領域M2の形状は、例えば、長方形である。マスク領
域M2は、試料2の下から回り込んだ光を完全に覆っている。マスク領域M2の一辺は、試料2の下端に平行である。マスク領域M2の上端は、試料2の下端よりも上に位置している。
加工制御部720は、画像I2の輝度プロファイルに基づいて試料2の傾斜角度を算出し、マスクする領域を傾斜角度に応じて傾斜させる。例えば、図13に示すように、まず、複数の輝度プロファイルの各々において遮蔽部材30の下端の位置を特定し、特定された各下端の位置に基づいて遮蔽部材30の傾斜角度、すなわち、試料2の傾斜角度を求める。そして、遮蔽部材30の下端の位置に、隙間の大きさと、所定の大きさと、を加えて、マスク領域M1のエッジとする。所定の大きさは、マスク領域M1に試料2の上端を含めるために加えられる。所定の大きさは適宜設定可能である。
マスク領域M2についても同様に、複数の輝度プロファイルの各々において試料2の下端の位置を特定し、試料2の下端の位置に、隙間の大きさと、所定の大きさと、を加えて、マスク領域M2のエッジとする。
図13に示す例では、試料2の傾斜角度は10°であり、マスク領域M1およびマスク領域M2は、画像の横方向に対して10°傾いている。このように、加工制御部720は、画像I2の輝度の分布に基づいて隙間から漏れる光および試料2の下から回り込んだ光をマスクすることによって、マスク領域M1およびマスク領域M2を試料2の傾斜角度に応じて傾斜させる。
隙間から漏れる光をマスクするマスク領域M1および試料2の下から回り込んだ光をマスクするマスク領域M2を形成することによって、画像I2から試料2に相当する領域を抽出できる。
なお、マスク処理の手法は上記の手法に限定されず、隙間から漏れる光および試料2の下から回り込んだ光をマスクできればよい。
次に、加工制御部720は、画像I2においてマスク領域M1およびマスク領域M2を除いた非マスク領域の最大輝度Imaxを検出する(S110)。
図14は、非マスク領域M0の輝度を検出する処理を説明するための図である。
非マスク領域M0は、画像I2において、マスク領域M1およびマスク領域M2を除いた領域であり、試料2に相当する領域である。そのため、非マスク領域M0における最大輝度Imaxは、試料2に相当する領域の最大輝度に対応する。すなわち、最大輝度Imaxを検出する処理S110では、試料2に相当する領域の最大輝度を検出する。
加工制御部720は、画像I2において、カーソルCで指定された領域内において非マスク領域M0における最大輝度Imaxを検出する。なお、カーソルCによる領域の指定を行わずに、画像I2の全体において、非マスク領域M0における最大輝度Imaxを検出してもよい。
次に、加工制御部720は、画像I2においてマスク領域M1の最大輝度Mmaxを検出する(S112)。マスク領域M1の最大輝度Mmaxは、隙間から漏れる光の最大輝度に対応する。すなわち、最大輝度Mmaxを検出する処理S112では、隙間から漏れる光の最大輝度を検出する。
加工制御部720は、最大輝度Imaxおよび最大輝度Mmaxに基づいて、加工の終
了を判断する(S114)。
加工制御部720は、例えば、最大輝度Imaxが、最大輝度Mmaxに感度係数Kをかけた値よりも大きくなった場合、すなわち、Mmax×K<Imaxを満たした場合に、加工を終了すると判断する。例えば、感度係数Kを50%に設定すると、試料2を透過した光の輝度が、隙間から漏れる光の輝度の50%よりも大きくなった場合に、加工を終了すると判断する。
なお、Imax/Mmax>Kを満たすか否かを判定し、Imax/Mmax>Kを満たした場合に、加工を終了すると判断してもよい。
加工制御部720は、Mmax×K<Imaxを満たしていないと判定した場合(S114のNo)、処理S106に戻って、カメラ60で撮影された画像を取得する。
このように、加工制御部720は、Mmax×K<Imaxを満たすと判定されるまで、画像を取得する処理S106、マスク処理S108、最大輝度Imaxを検出する処理S110、最大輝度Mmaxを検出する処理S112、加工の終了を判断する処理S114を繰り返す。
加工制御部720は、Mmax×K<Imaxを満たすと判定した場合(S114のYes)、イオン源10に対してイオンビームIBの照射を停止させる(S116)。
加工制御部720は、イオンビームIBの照射を停止させるための制御信号を生成し、制御回路12に送る。制御回路12は、制御信号に基づいて駆動信号の出力を停止する。これにより、イオン源10においてイオンビームIBの照射が停止される。
図15は、カメラ60で撮影された画像I2を模式的に示す図である。
加工が進んで試料2の加工領域が薄くなると、照明光が試料2を透過する。照明光が試料2を透過すると、画像I2において透過光に対応する領域の輝度が高くなる。加工制御部720は、画像I2において最大輝度Imaxを検出することによってこの輝度の上昇を検出し、加工の終了を判断する。
なお、試料2の加工領域が薄くなっても光を透過しない場合には、加工が進んで試料2に微小な孔が開いたときに、この孔を照明光が通過するため、孔に相当する領域の輝度が高くなる。したがって、試料2が薄くなっても光を透過しない場合であっても、同様に、加工の終了を判断できる。また、試料2が光透過性を有する場合であっても、画像I2において、隙間の輝度と光透過性を有する試料2を透過した光の輝度の差を検出できる。したがって、感度係数Kを大きくすることによって、試料2が光透過性を有する場合であっても、同様に、加工の終了を判断できる。
加工制御部720は、イオンビームIBの照射を停止した後、冷却機構22の動作を停止し、ヒーター24を動作させて、試料2の温度を室温まで上昇させる(S118)。加工制御部720は、温度センサー26から試料2の温度の測定結果を取得し、試料2の温度が設定された温度(例えば室温)に到達したか否かを判定する。
加工制御部720は、試料2の温度が設定された温度に到達した場合、バルク加工処理を終了する。
なお、上記の図11に示す例では、試料2を冷却する処理S103および試料2を昇温
する処理S118を行ったが、処理S103および処理S118を行わなくてもよい。すなわち、上記では、試料2を冷却しながら加工を行う場合について説明したが、試料2を冷却せずに常温で加工してもよい。
3.1.2. イオンビームの制御
試料2にイオンビームIBを照射して試料2を加工する際には、イオンビームIBによって試料2が損傷し、試料2にダメージ層が形成されてしまう。このダメージ層を薄くするためには、低エネルギーのイオンビームIBで試料2を加工することが望ましい。
しかしながら、低エネルギーのイオンビームIBでは加工に時間がかかってしまうため、試料2の厚さに応じて加工条件を切り替えることが望ましい。例えば、試料2が厚い状態では、高エネルギーのイオンビームIBで加工を行い、試料2が薄くなったときに、低エネルギーのイオンビームIBで加工を行う。
加工制御部720は、取得した画像I2に基づいて、イオンビームIBの照射条件を切り替える。これにより、試料2の厚さに応じて、加工条件を制御することができる。加工条件は、イオンビームIBの加速電圧、およびイオン源10に導入されるガスの流量などを含む。
例えば、シリコンのように薄くなると光を透過する試料では、試料を透過する透過光の輝度は、試料2の厚さに対応している。そのため、ユーザーがあらかじめ透過光の輝度に応じた加工条件を設定することで、加工制御部720は、画像I2から透過光の輝度を検出し、検出した透過光の輝度に応じて加工条件を切り替える。これにより、試料2の厚さに応じて加工条件を切り替えることができる。
図16は、透過光の輝度に応じて設定された加速電圧を示す表である。図16では、試料2を透過した透過光の輝度を、Imax/Mmax(%)で示している。
図16に示すように、透過光の輝度に応じて、加速電圧を設定する。なお、試料の状況に対応する透過光の輝度をあらかじめ設定しておくことで、試料の状況から加速電圧を設定してもよい。例えば、「試料が薄くなり始めるまで」と「透過光の輝度18%」を対応づけておくことで、ユーザーが「試料が薄くなり始めるまで」を選択することで、透過光の輝度が18%になった場合に加速電圧が切り替えられる。
試料2に孔が開いた後は、仕上げ加工として、経過時間に応じて加速電圧を切り替える。
図17は、加工の状況を示すグラフである。図17には、加速電圧の変化を示すグラフ、試料2の厚さの変化を示すグラフ、および試料2を透過した光(透過光)の輝度の変化を示すグラフを示している。
加速電圧の変化を示すグラフは、横軸が時間を示し、縦軸が加速電圧を示している。試料2の厚さの変化を示すグラフは、横軸が時間を示し、縦軸が試料2の厚さを示している。透過光の輝度の変化を示すグラフは、横軸が時間、縦軸が透過光の輝度を示している。
図16の表で示す条件が設定された場合、加工制御部720は、画像I2から透過光の輝度を検出し、図16の表で示す条件に従って、透過光の輝度に応じて加速電圧を切り替える。
具体的には、図17に示すように、加工制御部720は、時刻t0において加速電圧を
6.0kVとする。加工制御部720は、取得された画像I2において透過光の輝度(Imax/Mmax)を検出し、透過光の輝度が18%になると、加速電圧を5.0kVに切り替える。図17に示すグラフでは、時刻t1に加速電圧が5.0kVに切り替えられている。同様に、加工制御部720は、透過光の輝度が20%になると、加速電圧を4.0kVに切り替え(時刻t2)、透過光の輝度が23%になると、加速電圧を3.0kVに切り替え(時刻t3)、透過光の輝度が50%になると、加速電圧を2.0kVに切り替える(時刻t4)。時刻t4において試料2には孔が開く。
加工制御部720は、図16に示す表に従って、時刻t4から時刻t5までの5分間、加速電圧2.0kVで加工を行ったあと、時刻t5から時刻t6までの5分間、加速電圧1.0kVで加工を行う。加工制御部720は、同様に、時刻t6から時刻t7までの5分間、加速電圧0.5kVで加工を行い、時刻t7から時刻t8までの5分間、加速電圧0.3kVで加工を行い、時刻t8から時刻t9までの5分間、加速電圧0.1kVで加工を行う。
なお、上記では、試料2が薄くなると光を透過する場合に、透過光の強度に基づいて各条件を切り替える例について説明したが、試料2が金属など薄くなっても光を透過しない場合には、加工領域5の深さに基づいて加工条件を切り替えてもよい。
図18は、加工領域5の深さである加工深さDを説明するための図である。図19は、加工深さに応じて設定された加速電圧を示す表である。図20は、加工の状況を示すグラフである。図20の上のグラフは、加速電圧の変化を示すグラフであり、横軸が時間を示し、縦軸が加速電圧を示している。図20の下のグラフは、加工深さの変化を示すグラフであり、横軸が時間、縦軸が透過光の輝度を示している。
試料2が金属のように薄くなっても光を透過しない場合には、図18に示す加工領域5の深さである加工深さDに応じて、加工条件を切り変えてもよい。加工深さDは、試料2の厚さに対応しており、加工深さDから試料2の厚さを推測できる。
図19では、加工深さDは、孔が開いたときの加工深さに対する現在の加工深さの割合で表している。孔が開いたときの加工深さは、加工条件が同じであればほぼ同じであるため、過去の孔が開いたときの加工深さを基準として、加工深さを規格化できる。
図19では、試料に孔が開く直前までは、加工深さDに応じて加速電圧を切り替え、それ以降は、透過光の輝度に応じて加速電圧を切り替えるように条件が設定されている。
加工制御部720は、画像I2から加工深さDを測定し、図19の表で示す条件に従って加工深さDに応じて加速電圧を切り替える。加工深さDは、例えば、画像I2を二値化して加工領域5を囲む傾斜面3を抽出することで測定できる。後述する図30に示すように、試料2を同軸落射照明すると傾斜面3のみが暗くなるため、試料2を同軸落射照明して得られた画像I2を二値化処理することによって、傾斜面3を抽出できる。
3.1.3. GUI
加工制御部720は、加工条件および加工の進捗状況を、GUI(Graphical User Interface)画面に表示させる。
図21は、バルク加工処理におけるGUI画面G2の一例を模式的に示す図である。
GUI画面G2には、図21に示すように、加速電圧、イオン源10の傾斜角度θ2、試料2の傾斜角度(スイング角度)θ1、および次のステップへの移行条件が表示される
。また、GUI画面G2には、加工の進捗状況を示すインジケーターが表示される。例えば、実施前のステップを示す領域は点灯し、実施中のステップを示す領域は点滅し、実施後のステップを示す領域は消灯する。これにより、加工の進捗状況を視覚的に把握できる。なお、進捗状況を示す例は、図21に示すインジケーターに限定されない。
図21に示すように、GUI画面G2の各項目は、加工が次のステップに移行すると、更新される。
なお、図21に示す例では、次のステップへの移行条件として「薄くなり始めたら」「穴が開いたら」などと表示したが、「輝度18%」「輝度50%」などと数値で表示してもよい。
3.1.4. 終了予定時間の提供
情報提供部722は、バルク加工処理が終了する予定の時間であるバルク加工処理終了予定時間の情報を提供する。
図11に示すようにバルク加工処理は、試料室11を真空排気するステップ、試料2を冷却するステップ、試料2を加工するステップ、および試料2を昇温するステップを含む。情報提供部722は、各ステップの終了予定時間を予測し、その合計の時間からバルク加工処理の全体が終了する時間(バルク加工処理終了予定時間)を計算する。以下、各ステップごとに終了予定時間を計算する処理を説明する。
(1)排気終了予定時間の算出
情報提供部722は、試料室11の真空排気が終了する排気終了予定時間を算出し、算出した排気終了予定時間を提供する。排気終了予定時間は、試料室11が大気圧から設定された圧力(設定圧力値)になるまでの予定時間である。
図22は、試料室11の圧力の変化を示すグラフである。図22に示すグラフの横軸は時間であり、縦軸は試料室11の圧力である。図22では、過去の試料室11の圧力のデータ(過去の排気情報)を破線で示し、現在の測定結果から得られた試料室11の圧力のデータ(現在の排気情報)を実線で示している。
真空排気を開始する前および真空排気を開始した直後では、現在の測定結果から圧力の低下速度を計算することはできない。そのため、情報提供部722は、試料室11の過去の排気情報を取得し、当該過去の排気情報に基づいて排気終了予定時間を求める。
過去の排気情報は、記憶部78に記憶されている。過去の排気情報は、例えば、過去に、真空排気装置14を用いて試料室11を真空排気したときの圧力の低下速度の情報である。なお、過去の排気情報は、過去の1回の処理における圧力の低下速度のデータであってもよいし、過去の複数回の処理における圧力の低下速度の平均値のデータであってもよい。過去の排気情報は、過去に試料室11を真空排気した際にかかった時間であってもよい。
情報提供部722は、例えば、記憶部78から過去の圧力の低下速度の情報を取得し、当該情報に基づいて排気終了予定時間を計算する。情報提供部722は、計算された排気終了予定時間を表示部76に表示させる。
圧力計16は、一定の時間間隔で試料室11の圧力の測定結果を出力し、情報提供部722は、出力された測定結果を取得する。圧力の測定結果から、試料室11の圧力の低下速度を計算することができる。そのため、情報提供部722は、試料室11の圧力の測定
結果を取得した場合には、当該測定結果から圧力の低下速度を計算し、当該圧力の低下速度に基づいて排気終了予定時間を計算する。情報提供部722は、例えば、試料室11の圧力の測定結果をグラフにプロットして圧力と時間の関係を示す関数を求め、当該関数から排気終了予定時間を計算する。
なお、圧力を測定した回数が少ないと、圧力の低下速度を正確に求めることができない。そのため、あらかじめ設定された回数だけ圧力が測定された場合やあらかじめ設定された時間が経過した後に、圧力の低下速度を計算してもよい。
図22に示す例では、情報提供部722は、試料室11の真空排気が開始された時刻T0よりも前、および時刻T0から時刻T1までの期間Aは、過去の排気情報に基づいて排気終了予定時間T3を算出する。
情報提供部722は、時刻T1から排気終了時刻T2までの期間Bは、圧力計16から試料室11の圧力の測定結果の情報を取得し、当該測定結果の情報に基づいて圧力の低下速度を計算して、排気終了予定時間を算出し、排気終了予定時間を更新する。情報提供部722は、例えば、圧力計16から測定結果が出力されるごとに、当該測定結果の情報に基づいて圧力の低下速度を計算し、排気終了予定時間を更新する。
情報提供部722は、過去の排気情報に基づいて算出した排気終了予定時間と、測定結果に基づいて算出した排気終了予定時間を区別して表示部76に表示してもよい。例えば、排気終了予定時間を示す文字や数字の色を変えることでこれらを区別してもよいし、排気終了予定時間とともにこれらを区別するための文字や記号を表示してもよい。
情報提供部722は、計算した圧力の低下速度の情報を記憶部78に記憶する。このとき、圧力の低下速度の情報に関連づけて、イオンビームの照射条件、試料2の材質、設定された圧力の情報を記憶部78に記憶してもよい。
(2)冷却終了予定時間の算出
情報提供部722は、試料2の冷却が終了する冷却終了予定時間を算出し、算出した冷却終了予定時間を表示部76に表示させる。冷却終了予定時間は、試料2が常温から設定された温度に冷却されるまでの予定時間である。
図23は、試料2の温度の変化を示すグラフである。図23に示すグラフの横軸は時間であり、縦軸は試料2の温度である。図23では、過去の試料2の温度のデータ(過去の冷却情報)を破線で示し、現在の測定結果から得られた試料2の温度のデータ(現在の冷却情報)を実線で示している。
試料2の冷却を開始する前および試料2の冷却を開始した直後では、現在の測定結果から試料2の冷却速度を計算することはできない。そのため、情報提供部722は、試料2の過去の冷却情報を取得し、当該過去の冷却情報に基づいて冷却終了予定時間を求める。
過去の冷却情報は、記憶部78に記憶されている。過去の冷却情報は、例えば、過去に、冷却機構22を用いて試料2を冷却したときの冷却速度の情報である。なお、過去の冷却情報は、過去の1回の処理における冷却速度のデータであってもよいし、過去の複数回の処理における冷却速度の平均値のデータであってもよい。過去の冷却情報は、過去に試料2を冷却した際にかかった時間であってもよい。
情報提供部722は、記憶部78から過去の冷却速度の情報を取得し、当該情報に基づいて冷却終了予定時間を計算する。情報提供部722は、計算された冷却終了予定時間を
表示部76に表示させる。
温度センサー26は、一定の時間間隔で試料2の温度の測定結果を出力し、情報提供部722は、出力された測定結果を取得する。試料2の温度の測定結果から、冷却機構22による試料2の冷却速度を計算することができる。そのため、情報提供部722は、試料2の温度の測定結果を取得した場合には、当該測定結果から冷却速度を計算し、当該冷却速度に基づいて冷却終了予定時間を計算する。
なお、温度を測定した回数が少ないと、冷却速度を正確に求めることができない。そのため、あらかじめ設定された回数だけ温度が測定された場合やあらかじめ設定された時間が経過した後に、冷却速度を計算してもよい。
図23に示す例では、情報提供部722は、試料2の冷却が開始された時刻T4よりも前および時刻T4から時刻T5までの期間Cは、過去の冷却情報に基づいて冷却終了予定時間T7を算出する。
情報提供部722は、時刻T5から冷却終了時刻T6までの期間Dにおいて、温度センサー26から試料2の温度の測定結果の情報を取得し、当該測定結果の情報に基づいて冷却速度を計算して、冷却終了予定時間を算出し、冷却終了予定時間を更新する。情報提供部722は、例えば、温度センサー26から測定結果が出力されるごとに、当該測定結果の情報に基づいて冷却速度を計算し、冷却終了予定時間を更新する。
情報提供部722は、計算した冷却速度の情報を記憶部78に記憶する。このとき、冷却速度の情報に関連づけて、イオンビームの照射条件、試料2の材質、設定された試料2の温度の情報を記憶部78に記憶してもよい。
(3)粗加工終了予定時間の算出
試料2を加工するステップは、例えば、図16に示すように、試料2に孔が開くまでの粗加工と、試料2に孔が開いてからの仕上げ加工と、を含む。情報提供部722は、粗加工が完了するまでの粗加工終了予定時間を算出し、算出した粗加工終了予定時間を表示部76に表示させる。粗加工終了予定時間は、試料2の粗加工を開始してから粗加工が終了するまでの予定時間である。
図24は、加工深さDの変化を示すグラフである。図24に示すグラフの横軸は時間であり、縦軸は加工深さDである。図24では、現在の測定結果から得られた加工深さDのデータ(現在の加工情報)を実線で示している。
試料2の粗加工を開始する前は、現在の測定結果から加工速度を計算することができない。そのため、情報提供部722は、過去の加工情報を取得し、当該過去の加工情報に基づいて粗加工終了予定時間を求める。
過去の加工情報は、記憶部78に記憶されている。過去の加工情報は、例えば、過去に、試料2を加工したときの加工速度の情報である。なお、過去の加工情報は、過去の1回の処理における加工速度のデータであってもよいし、過去の複数回の処理における加工速度の平均値のデータであってもよい。過去の加工情報は、過去に試料2を加工した際にかかった時間であってもよい。
なお、過去の加工情報は、加工条件(イオンビームの照射条件、試料2の材質等)と関連付けて記憶されており、情報提供部722は、今回の加工条件に一致する過去の加工情報を取得する。
情報提供部722は、記憶部78から過去の加工速度の情報を取得し、当該情報に基づいて粗加工終了予定時間を計算する。情報提供部722は、計算された粗加工終了予定時間を表示部76に表示させる。
粗加工が開始されると、画像I2から加工深さDを測定できる。情報提供部722は、画像I2を取得し、画像I2から加工深さDを測定し、加工深さDの測定結果に基づいて加工速度を計算する。加工速度は、図24に示すグラフの傾きである。情報提供部722は、算出された加工速度から設定加工深さに到達する時間(粗加工終了予定時間)を計算する。なお、設定加工深さは、過去に試料2に孔が開いたときの加工深さであってもよい。この場合、情報提供部722は、記憶部78に記憶された加工に試料2に孔が開いたときの加工深さのデータを読み出して、粗加工終了予定時間を計算する。
なお、加工深さDの測定点数が少ないと、加工速度を正確に求めることができない。そのため、あらかじめ設定された回数だけ画像I2が取得されて加工深さDが測定された場合に、加工速度を計算してもよい。
情報提供部722は、加工が進んで試料2が薄くなって試料2を透過する透過光の輝度が測定可能になった場合には、透過光の輝度に基づいて加工速度を計算し、粗加工終了予定時間を算出する。例えば、試料2を透過照明することで、画像I2から透過光の輝度を検出できる。情報提供部722は、例えば、加工深さDと経過時間の関係を示す関数に基づいて、粗加工終了予定時間の算出を、加工深さDによる算出から透過光の輝度による算出に切り替えてもよい。
図24で示す例では、情報提供部722は、試料2の加工が開始された時刻T8より前では、過去の加工情報に基づいて粗加工終了予定時間T12を算出する。情報提供部722は、時刻T8から時刻T9までの期間Eにおいて、画像I2に基づいて加工深さDを測定して加工速度を計算し、粗加工終了予定時間T12を更新する。時刻T9において画像I2で試料2を透過した光が検出されると、情報提供部722は、時刻T9から加工終了時刻T11までの期間Fにおいて、透過光の輝度に基づいて加工速度を計算し、粗加工終了予定時間を更新する。
なお、ここでは、粗加工終了予定時間を試料2に孔が開くまでの時間としたが、試料2に孔が開く直前の時間(輝度が23%となる時間)に設定してもよい。図24に示すように、孔が開く直前になると、すなわち、透過光の輝度が23%程度になると、短時間で急激に輝度が上昇してすぐに試料2に孔が開いてしまうためである。
図25は、加工深さの変化を示すグラフ、および透過光の輝度の変化を示すグラフである。金属など光を透過しない試料2の場合には、加工深さDと経過時間の関係を示す関数から孔が開く直前の時間を予測し、予測された時間において、同軸落射照明から透過照明に切り替えて透過光の輝度に基づいて粗加工終了予定時間を算出してもよい。
また、図示はしないが、加工深さDのみから粗加工終了予定時間を算出してもよい。
(4)仕上げ加工終了予定時間の算出
試料2の仕上げ加工は、図16に示すように、加工時間で設定されているため、情報提供部722は、設定された加工時間と経過時間の差を計算することで、仕上げ加工終了予定時間を算出する。
(5)昇温終了予定時間の算出
情報提供部722は、試料2の昇温が終了する昇温終了予定時間を算出し、算出した昇温終了予定時間を表示部76に表示させる。昇温終了予定時間は、試料2が設定された温度から室温に昇温されるまでの予定時間である。
図26は、試料2の温度の変化を示すグラフである。図26に示すグラフの横軸は時間であり、縦軸は試料2の温度である。図26において、データDT1は、過去の試料2の温度のデータ(過去の昇温情報)を示し、データDT2は、現在の測定結果から得られた試料2の温度のデータ(現在の昇温情報)を示している。
試料2の昇温を開始する前および試料2の昇温を開始した直後では、現在の測定結果から試料2の昇温速度を計算することはできない。そのため、情報提供部722は、試料2の過去の昇温情報を取得し、当該過去の昇温情報に基づいて昇温終了予定時間を求める。
過去の昇温情報は、記憶部78に記憶されている。過去の昇温情報は、例えば、過去に、ヒーター24を用いて試料2を昇温したときの昇温速度の情報である。なお、過去の昇温情報は、過去の1回の処理における昇温速度のデータであってもよいし、過去の複数回の処理における昇温速度の平均値のデータであってもよい。過去の昇温情報は、過去に試料2を昇温した際にかかった時間であってもよい。
情報提供部722は、記憶部78から過去の昇温速度の情報を取得し、当該情報に基づいて昇温終了予定時間を計算する。情報提供部722は、計算された昇温終了予定時間を表示部76に表示させる。
温度センサー26は、一定の時間間隔で試料2の温度の測定結果を出力し、情報提供部722は、出力された測定結果を取得する。試料2の温度の測定結果から、ヒーター24による試料2の昇温速度を計算することができる。そのため、情報提供部722は、試料2の温度の測定結果を取得した場合には、当該測定結果から昇温速度を計算し、当該昇温速度に基づいて昇温終了予定時間を計算する。
なお、温度を測定した回数が少ないと、昇温速度を正確に求めることができない。そのため、あらかじめ設定された回数だけ温度が測定された場合やあらかじめ設定された時間が経過した後に、昇温速度を計算してもよい。
図26に示す例では、情報提供部722は、試料2の昇温が開始される時刻T13より前および時刻T13から時刻T14までの期間Gは、過去の昇温情報に基づいて昇温終了予定時間T16を算出する。すなわち、情報提供部722は、試料2の昇温が開始される前および期間Gでは、データDT1に基づいて昇温終了予定時間T16を算出する。
情報提供部722は、時刻T14から昇温終了時刻T15までの期間Hにおいて、温度センサー26から試料2の温度の測定結果の情報を取得し、当該測定結果の情報に基づいて昇温速度を計算して、昇温終了予定時間を算出し、昇温終了予定時間を更新する。すなわち、情報提供部722は、期間Hでは、データDT2に基づいて昇温終了予定時間を算出する。情報提供部722は、例えば、温度センサー26から測定結果が出力されるごとに、当該測定結果の情報に基づいて昇温速度を計算し、昇温終了予定時間を更新する。
情報提供部722は、計算した昇温速度の情報を記憶部78に記憶する。このとき、昇温速度の情報に関連づけて、イオンビームの照射条件、試料2の材質、設定された試料2の温度の情報を記憶部78に記憶してもよい。
(6)バルク加工処理終了予定時間
情報提供部722は、上述したように、排気終了予定時間、冷却終了予定時間、粗加工終了予定時間、仕上げ加工終了予定時間、昇温終了予定時間を算出し、これらの和を計算することでバルク加工処理の全ステップが終了する時間であるバルク加工処理終了予定時間を求める。情報提供部722は、求めたバルク加工処理終了予定時間を表示部76に表示させる。
図27は、バルク加工処理終了予定時間を算出する処理を説明するための図である。図27において、点線の矢印は経過時間を示し、実線は測定結果から得られた各ステップの終了予定時間を示し、破線の矢印は過去の情報から得られた終了予定時間を示している。
図27に示すように、情報提供部722は、過去の情報に基づく終了予定時間と測定結果から得られた現在の情報に基づく終了予定時間を組み合わせて、バルク加工処理終了予定時間を算出する。
図28は、バルク加工処理終了予定時間の表示の一例を示す図である。
図28に示すように、情報提供部722は、バルク加工処理終了予定時間を表示する領域A2と、設定温度や設定されたイオンビームの照射時間、設定圧力を、各ステップに応じて表示させる領域A4と、測定結果を表示させる領域A6と、を含む画像I4を表示部76に表示させる。また、画像I4の枠の部分には、バルク加工処理の進捗度を示すインジケーターA8が表示されている。
図28に示す画像I4-1は、排気ステップにおける表示例である。画像I4-2は、冷却ステップにおける表示例である。画像I4-3および画像I4-4は、粗加工ステップにおける表示例である。画像I4-5は、仕上げ加工ステップにおける表示例である。画像I4-6は、昇温ステップにおける表示例である。なお、各ステップを区別するために、各ステップごとに、文字や背景の色を変化させてもよい。例えば、冷却ステップと昇温ステップで、文字や背景の色を変化させてもよい。
情報提供部722は、図28に示すように、各ステップに応じた情報を画像I4として表示部76に表示させる。
領域A2には、バルク加工処理終了予定時間、すなわち、全部の処理が終了するまでの時間が表示されるが、全部の処理が終了する時刻を表示してもよい。
3.2. 一次ミリング
3.2.1. 一次ミリング処理の流れ
試料加工装置100では、加工制御部720が、一次ミリングにより試料2を加工する一次ミリング処理を行う。図29は、一次ミリング処理の一例を示すフローチャートである。なお、図11に示すバルク加工処理と同様の処理についてはその説明を省略する。
ユーザーが操作部74を介して目標加工幅TWの情報および加工条件を入力すると、加工制御部720は、入力された目標加工幅TWの情報および加工条件を記憶部78に記憶させる(S200)。
ユーザーが試料ステージ20に試料2をセットし、試料2上に遮蔽部材30をセットする。そして、ユーザーが操作部74を介して一次ミリング処理を開始する指示を入力すると、加工制御部720は、真空排気装置14に試料室11を真空排気させる(S202)。
加工制御部720は、試料室11の圧力が設定された圧力に到達したと判定した場合、冷却機構22を動作させ、試料2の冷却を開始する(S203)。
加工制御部720は、試料2の温度が設定された温度に到達したと判定した場合、イオンビームIBを照射する処理を開始する(S204)。
イオンビームIBの照射が開始されると、加工制御部720は、カメラ60で撮影された試料2の画像I2を取得する(S206)。加工制御部720は、試料2が水平になったときにカメラ60で撮影された画像I2を取得する。これにより、後述する画像処理において、試料2の傾斜を考慮しなくてよい。
次に、加工制御部720は、画像I2上において加工幅Wを測定する。
具体的には、まず、加工制御部720は、画像I2を二値化する(S208)。例えば、画像I2の輝度ヒストグラムから最小の輝度のピークが選択されるように閾値を設定し、画像I2を二値化する。これにより、二値化画像を生成できる。
図30は、二値化画像I2Bを模式的に示す図である。
ここで、試料2は、同軸落射照明および透過照明されているため、画像I2では、傾斜面3のみが暗くなる。そのため、画像I2の輝度ヒストグラムから最小の輝度のピークを選択して二値化することによって、傾斜面3を抽出できる。
次に、加工制御部720は、二値化画像I2Bにおいて、傾斜面3に対応する白のピクセルの集合体を特定し、集合体の数が2つか否かを判定する(S210)。加工の初期では、加工領域5が試料2の第2端部2bまで到達していないため、集合体の数は1つになる。加工領域5が試料2の第2端部2bに到達することで、集合体が2つになる。加工制御部720は、集合体の数が2つではないと判定した場合(S210のNo)、画像I2を取得する処理S206に戻る。
加工制御部720は、集合体の数が2つと判定した場合(S210のYes)、2つの集合体の間の距離を測定することによって、加工幅Wを測定する(S212)。
図31は、加工幅Wを測定する処理を説明するための図である。
図31に示すように、まず、2つの集合体の各々について集合体のエッジを直線近似して、近似線L1および近似線L2を引く。そして、二値化画像I2Bにおいて加工幅Wを測定する位置Pを特定し、位置Pにおいて近似線L1と近似線L2との間の距離を測定する。これにより、加工幅Wを測定することができる。加工幅Wを測定する位置Pは、あらかじめ設定されており、例えば、二値化画像I2Bの縦方向の位置座標で特定される。
次に、加工制御部720は、測定された加工幅Wが目標加工幅TW以上になったか否かを判定する(S214)。すなわち、加工制御部720は、W≧TWを満たすか否かを判定する。
加工制御部720は、W≧TWを満たさないと判定した場合(S214のNo)、画像I2を取得する処理S206に戻る。
加工制御部720は、W≧TWを満たすと判定されるまで画像を取得する処理S206、二値化処理S208、集合体が2つか否かを判定する処理S210、加工幅Wを測定す
る処理S212、W≧TWを満たすか否かを判定する処理S214を繰り返す。
加工制御部720は、W≧TWを満たすと判定した場合(S214のYes)、イオン源10に対してイオンビームIBの照射を停止させる(S216)。加工制御部720は、冷却機構22の動作を停止した後、ヒーター24を動作させて、試料2の温度を室温まで上昇させる(S218)。
加工制御部720は、試料2の温度が設定された温度に到達した場合、一次ミリング処理を終了する。
3.2.2. イオンビームの制御
図32は、一次ミリングにおける加工の状況を示す図である。
図32に示すように、加工が進むと、加工領域5が拡がり、加工領域5の幅が目標加工幅TWとなる位置PHが移動する。加工制御部720は、画像I2から位置PHを検出し、位置PHに応じて加工条件を切り替える。これにより、試料2の厚さに応じて加工条件を切り替えることができる。
図33は、位置PHに応じて設定された加速電圧を示す表である。図33では、位置PHは、第1端部2aからの距離を、試料2の厚さ(第1端部2aと第2端部2bとの間の距離)で規格化したものである。すなわち、位置PH=100%は、第2端部2bの位置が目標加工幅TWになったことを意味している。
図33に示すように、位置PHに応じて、加速電圧を設定する。なお、試料の状況に対応する位置PHをあらかじめ設定しておくことで、試料の状況から加速電圧を設定してもよい。例えば、「試料が薄くなり始めるまで」と「位置PH=50%」を対応づけておくことで、ユーザーが「試料が薄くなり始めるまで」を選択することで、位置PHが50%になった場合に加速電圧が切り替えられる。
試料2が薄くなった後は、仕上げ加工として、経過時間に応じて加速電圧を切り替える。
図34は、一次ミリングにおける加工の状況を示すグラフである。図34の上のグラフは、加速電圧の変化を示すグラフである。図34の下のグラフは、位置PHの変化を示すグラフであり、横軸が時間、縦軸が位置PHを示している。
図33の表で示す条件が設定された場合、加工制御部720は、画像I2から位置PHを検出し、図33の表で示す条件に従って位置PHに応じて加速電圧を切り替える。
具体的には、図34に示すように、加工制御部720は、時刻t0において加速電圧を6.0kVとする。加工制御部720は、取得された画像I2において位置PHを検出し、位置PHが50%になると、加速電圧を5.0kVに切り替える。図34に示すグラフでは、時刻t1に加速電圧が5.0kVに切り替えられている。同様に、加工制御部720は、位置PHが75%になると、加速電圧を4.0kVに切り替え(時刻t2)、位置PHが90%になると、加速電圧を3.0kVに切り替え(時刻t3)、位置PHが100%になると、加速電圧を2.0kVに切り替える(時刻t4)。時刻t4において試料2が遮蔽部材30と同じ厚さになる。
加工制御部720は、図33に示す表に従って、時刻t4から時刻t5までの5分間、加速電圧2.0kVで加工を行ったあと、時刻t5から時刻t6までの5分間、加速電圧
1.0kVで加工を行う。加工制御部720は、同様に、時刻t6から時刻t7までの5分間、加速電圧0.5kVで加工を行い、時刻t7から時刻t8までの5分間、加速電圧0.3kVで加工を行い、時刻t8から時刻t9までの5分間、加速電圧0.1kVで加工を行う。
なお、各加速電圧でイオンビームIBを照射する上限の時間である最大照射時間を設定しておくことで、イオンビームIBを照射しすぎることを防ぐことができる。
3.2.3. GUI
加工制御部720は、加工条件および加工の進捗状況を、GUI画面に表示させる。
図35は、一次ミリング処理におけるGUI画面G4の一例を模式的に示す図である。
GUI画面G4には、図35に示すように、加速電圧、イオン源10の傾斜角度θ2、試料2の傾斜角度(スイング角度)θ1、および次のステップへの移行条件が表示される。また、GUI画面G4には、加工の進捗状況を示すインジケーターが表示される。GUI画面G4の各項目は、加工が次のステップに移行すると、更新される。
3.2.4. 終了予定時間の提供
情報提供部722は、一次ミリング処理が終了する予定の時間である一次ミリング処理終了予定時間の情報を提供する。
図29に示すように一次ミリング処理は、試料室11を真空排気するステップ、試料2を冷却するステップ、試料を加工するステップ、および試料2を昇温するステップを含む。情報提供部722は、各ステップの終了予定時間を予測し、その合計の時間から一次ミリング処理の全体が終了する時間を計算する。
なお、一次ミリング処理終了予定時間を算出する処理は、試料を加工するステップにおける粗加工終了予定時間の算出を除いて上述したバルク加工処理と同様である。そのため、以下では、粗加工終了予定時間を算出する処理のみを説明する。
図36は、位置PHの変化を示すグラフである。図36に示すグラフの横軸は時間であり、縦軸は位置PHである。図36において、データDT1は、過去の位置PHのデータ(過去の加工情報)を示し、データDT2は、現在の測定結果から得られた位置PHのデータ(現在の加工情報)を示している。
試料2の粗加工を開始する前は、現在の測定結果から加工速度を計算することができない。そのため、情報提供部722は、過去の加工情報を取得し、当該過去の加工情報に基づいて粗加工終了予定時間を求める。
また、試料2の粗加工が開始されても、加工領域5が拡大するまでは位置PHを測定することができない。そのため、情報提供部722は、位置PHの測定が可能となるまでは、過去の加工情報に基づいて粗加工終了予定時間を求める。
情報提供部722は、画像I2から位置PHの測定が可能となった場合、位置PHの測定結果から加工速度を計算し、当該加工速度に基づいて粗加工終了予定時間を算出する。
図36に示す例では、情報提供部722は、試料2の加工が開始された時刻T8より前では、過去の加工情報に基づいて粗加工終了予定時間T10を算出する。また、情報提供部722は、時刻T8から時刻T9までの期間Eにおいても、過去の加工情報に基づいて
粗加工終了予定時間T10を算出する。すなわち、情報提供部722は、加工が開始される前および期間Eでは、データDT1に基づいて粗加工終了予定時間を算出する。
時刻T9において位置PHの測定が可能となると、情報提供部722は、時刻T9から加工終了時刻T11までの期間Fにおいて、画像I2に基づいて位置PHを測定して粗加工終了予定時間を算出し、粗加工終了予定時間を更新する。すなわち、情報提供部722は、期間Fでは、データDT2に基づいて粗加工終了予定時間を算出する。
図37は、位置PHを測定する手法の一例を示す図である。図32に示す例では、位置PHは、加工幅Wが目標加工幅TWとなる位置、すなわち、傾斜面3の内側のエッジ間の距離が目標加工幅TWとなる位置であったが、位置PHは、図37に示すように、傾斜面3の外側のエッジ間の距離が目標加工幅TWとなる位置であってもよい。
図38は、位置PHの変化を示すグラフである。図38では、位置PHを、傾斜面3の外側のエッジ間の距離が目標加工幅TWとなる位置に設定している。
図38に示すように、位置PHが傾斜面3の外側のエッジ間の距離が目標加工幅TWとなる位置とすることによって、加工が開始された直後から、画像I2から位置PHを測定して加工速度を算出できる。
図38に示す例では、情報提供部722は、加工が開始された時刻T8から加工終了時刻T9までの期間において、画像I2に基づいて位置PHを測定して加工速度を計算し、粗加工終了予定時間を算出する。例えば、情報提供部722は、傾斜面3の外側のエッジ間の距離をプロットして、データDT0を作成し、粗加工終了予定時間を算出する。
図39は、位置PHの変化を示すグラフである。図39において、データDT0は、位置PHが傾斜面3の外側のエッジ間の距離が目標加工幅TWとした場合のデータを示し、データDT2は、位置PHが傾斜面3の内側のエッジ間の距離が目標加工幅TWとした場合のデータを示し、データDT3は、データDT0から求めた、位置PHが傾斜面3の内側のエッジ間の距離が目標加工幅TWとした場合のデータを示している。
図39に示すように、位置PHを傾斜面3の外側のエッジ間の距離が目標加工幅TWとなる位置に設定する場合と、位置PHを傾斜面3の内側のエッジ間の距離が目標加工幅TWとなる位置に設定する場合と、を組み合わせて、粗加工終了予定時間を更新してもよい。
図39に示す例では、情報提供部722は、加工が開始された時刻T8から時刻T9までの期間Eにおいて、傾斜面3の外側のエッジ間の距離を測定し、測定結果から傾斜面3の内側のエッジ間の距離を推定し、粗加工終了予定時間を算出する。傾斜面3の外側のエッジ間の距離と傾斜面3の内側のエッジ間の距離の関係は、例えば、過去の加工情報から知ることができる。すなわち、情報提供部722は、期間Eでは、データDT0からデータDT3を求め、データDT3に基づいて粗加工終了予定時間を算出する。
情報提供部722は、時刻T9から加工終了時刻T11までの期間Fにおいて、傾斜面3の内側のエッジ間の距離を測定することによって位置PHを測定し、測定結果から加工速度を計算し、当該加工速度に基づいて粗加工終了予定時間を算出する。すなわち、情報提供部722は、期間Fでは、データDT2に基づいて粗加工終了予定時間を算出する。
3.3. 二次ミリング
3.3.1. 二次ミリング処理の流れ
試料加工装置100では、加工制御部720が、二次ミリングにより試料2を加工する二次ミリング処理を行う。図40は、二次ミリング処理の一例を示すフローチャートである。なお、図11に示すバルク加工処理と同様の処理についてはその説明を省略する。
ユーザーが操作部74を介して目標位置TPの情報および加工条件を入力すると、加工制御部720は、入力された目標位置TPの情報および加工条件を記憶部78に記憶させる(S300)。
ユーザーが試料ステージ20に試料2をセットする。そして、ユーザーが操作部74を介して二次ミリング処理を開始する指示を入力すると、加工制御部720は、真空排気装置14に試料室11を真空排気させる(S302)。
加工制御部720は、試料室11の圧力が設定された圧力に到達したと判定した場合、冷却機構22を動作させ、試料2の冷却を開始する(S303)。
加工制御部720は、試料2の温度が設定された温度に到達したと判定した場合、イオンビームIBを照射する処理を開始する(S304)。
加工が開始されると、加工制御部720は、カメラ60で撮影された試料2の画像I2を取得する(S306)。加工制御部720は、試料2が水平になったときにカメラ60で撮影された画像I2を取得する。これにより、後述する画像処理において、試料2の傾斜を考慮しなくてよい。
加工制御部720は、画像I2において加工領域5のエッジを検出する(S308)。
図41は、加工領域5の下端のエッジEを検出する処理を説明するための図である。図41には、加工領域5の下端のエッジEを検出するための輝度プロファイルを取得するラインを、破線で示している。
加工制御部720は、図41に示すように、画像I2の縦方向の輝度プロファイルを複数取得し、加工領域5の下端のエッジEの位置を特定する。画像I2の縦方向の輝度プロファイルでは、加工領域5の下端のエッジEにおいて輝度が大きく変化するため、この輝度の変化からエッジEを検出する。加工制御部720は、複数の輝度プロファイルにおけるエッジEの検出結果から最も目標位置TPとの間の距離が小さいエッジE0を特定する。加工制御部720は、エッジE0と目標位置TPとの間の距離Lを計算する。
次に、加工制御部720は、加工領域5のエッジE0が目標位置TPに到達したか否かを判定する(S310)。
加工制御部720は、加工領域5のエッジE0が目標位置TPに到達していないと判定された場合(S310のNo)、画像I2を取得する処理S306に戻る。
加工制御部720は、加工領域5のエッジE0が目標位置TPに到達したと判定されるまで、画像を取得する処理S306、加工領域5のエッジE0を検出する処理S308、および目標位置TPに到達したか否かを判定する処理S310を繰り返す。
加工制御部720は、加工領域5のエッジE0が目標位置TPに到達したと判定した場合(S310のYes)、イオン源10に対してイオンビームIBの照射を停止させる(S312)。加工制御部720は、冷却機構22の動作を停止した後、ヒーター24を動作させて、試料2の温度を室温まで上昇させる(S314)。
加工制御部720は、試料2の温度が設定された温度に到達した場合、二次ミリング処理を終了する。
3.3.2. イオンビームの制御
二次ミリングでは、加工制御部720は、画像I2からエッジE0の位置を検出し、エッジE0の位置に応じて加工条件を切り替える。
図42は、エッジE0の位置に応じて設定された加速電圧を示す表である。図42では、エッジE0と目標位置TPとの間の距離Lを、加工前のエッジE0と目標位置TPとの間の距離で規格化する。ここでは、この規格化された値を残留膜厚という。例えば、残留膜厚が0%とは、エッジE0が目標位置TPに到達したことを意味している。
図42に示すように、残留膜厚に応じて、加速電圧を設定する。エッジE0が目標位置TPに到達した後は、経過時間に応じて加速電圧を切り替える。
図43は、二次ミリングにおける加工の状況を示すグラフである。図43の上のグラフは、加速電圧の変化を示すグラフであり、横軸が時間を示し、縦軸が加速電圧を示している。図43の下のグラフは、残留膜厚の変化を示すグラフであり、横軸が時間、縦軸が残留膜厚を示している。
図42の表で示す条件が設定された場合、加工制御部720は、画像I2からエッジE0を検出し残留膜厚を求め、図42の表で示す条件に従って残留膜厚に応じて加速電圧を切り替える。
具体的には、図43に示すように、加工制御部720は、時刻t0において加速電圧を6.0kVとする。加工制御部720は、取得された画像I2においてエッジE0を検出し、残留膜厚が90%になると、加速電圧を5.0kVに切り替える。図43に示すグラフでは、時刻t1に加速電圧が5.0kVに切り替えられている。同様に、加工制御部720は、残留膜厚が50%になると、加速電圧を4.0kVに切り替え(時刻t2)、残留膜厚が10%になると、加速電圧を3.0kVに切り替え(時刻t3)、残留膜厚が0%になると、加速電圧を2.0kVに切り替える(時刻t4)。時刻t4においてエッジE0が目標位置TPに到達する。
加工制御部720は、図42に示す表に従って、時刻t4から時刻t5までの5分間、加速電圧2.0kVで加工を行ったあと、時刻t5から時刻t6までの5分間、加速電圧1.0kVで加工を行う。加工制御部720は、同様に、時刻t6から時刻t7までの5分間、加速電圧0.5kVで加工を行い、時刻t7から時刻t8までの5分間、加速電圧0.3kVで加工を行い、時刻t8から時刻t9までの5分間、加速電圧0.1kVで加工を行う。
3.3.3. GUI
加工制御部720は、加工条件および加工の進捗状況を、GUI画面に表示させる。
図44は、2次ミリング処理におけるGUI画面G6の一例を模式的に示す図である。
GUI画面G6には、図44に示すように、加速電圧、イオン源10の傾斜角度θ2、試料2の傾斜角度(スイング角度)θ1、および次のステップへの移行条件が表示される。また、GUI画面G6には、加工の進捗状況を示すインジケーターが表示される。GUI画面G6の各項目は、加工が次のステップに移行されると、更新される。
3.3.4. 終了予定時間の提供
情報提供部722は、二次ミリング処理が終了する予定の時間である二次ミリング処理終了予定時間の情報を提供する。
図40に示すように二次ミリング処理は、試料室11を真空排気するステップ、試料2を冷却するステップ、試料を加工するステップ、および試料2を昇温するステップを含む。情報提供部722は、各ステップの終了予定時間を予測し、その合計の時間から二次ミリング処理の全体が終了する時間を計算する。
なお、二次ミリング処理終了予定時間を算出する処理は、試料を加工するステップにおける粗加工終了予定時間の算出を除いて上述したバルク加工処理と同様である。そのため、以下では、粗加工終了予定時間を算出する処理のみを説明する。
図45は、エッジE0の変化を示すグラフである。図45に示すグラフの横軸は時間であり、縦軸はエッジE0の位置である。図45において、データDT1は過去の加工エッジE0の位置のデータ(過去の加工情報)を示し、データDT2は現在の測定結果から得られた加工エッジE0の位置のデータ(現在の加工情報)を示している。
試料2の粗加工を開始する前は、現在の測定結果から加工速度を計算することができない。そのため、情報提供部722は、過去の加工情報を取得し、当該過去の加工情報に基づいて粗加工終了予定時間を求める。
また、試料2の粗加工が開始されても、加工領域5がある程度拡大するまではエッジE0の位置を測定することができない。そのため、情報提供部722は、エッジE0の位置の測定が可能となるまでは、過去の加工情報を取得し、当該過去の加工情報に基づいて粗加工終了予定時間を求める。
情報提供部722は、画像I2からエッジE0の位置の測定が可能となった場合、エッジE0の位置の測定結果から加工速度を計算し、当該加工速度に基づいて粗加工終了予定時間を算出する。
図45に示す例では、情報提供部722は、試料2の加工が開始された時刻T8より前では、過去の加工情報に基づいて粗加工終了予定時間T10を算出する。また、情報提供部722は、時刻T8から時刻T9までの期間Eにおいても、過去の加工情報に基づいて粗加工終了予定時間T10を算出する。すなわち、情報提供部722は、試料2の加工が開始される前および期間Eでは、データDT1に基づいて粗加工終了予定時間を算出する。
時刻T9においてエッジE0の位置の測定が可能となると、情報提供部722は、時刻T9から加工終了時刻T11までの期間Fにおいて、画像I2に基づいてエッジE0の位置を測定して粗加工終了予定時間を算出し、粗加工終了予定時間を更新する。すなわち、情報提供部722は、期間Fでは、データDT2に基づいて粗加工終了予定時間を算出する。
4. 効果
試料加工装置100では、情報提供部722は、過去の加工情報に基づいて加工終了予定時間を算出する処理と、画像I2を取得する処理と、取得した画像I2に基づいて加工速度を算出する処理と、加工速度に基づいて加工終了予定時間を更新する処理と、を行う。そのため、試料加工装置100では、加工を開始した直後から加工終了予定時間を提供
できるため、ユーザーが装置を確認する頻度を低減でき、作業効率を向上できる。さらに、試料加工装置100では、加工中に画像I2を取得して加工終了予定時間を更新するため、精度の高い加工終了予定時間を提供できる。
試料加工装置100は、過去の加工情報が記憶された記憶部78を含むため、過去の加工情報と、加工中の画像I2から得られた加工情報と、を比較することができる。これにより、装置のエラーを検出でき、例えば、メンテナンスの時期の目安を知ることができる。
試料加工装置100では、情報提供部722は、加工終了予定時間を表示部76に表示させる処理を行う。そのため、試料加工装置100では、ユーザーが容易に加工終了予定時間を把握できる。
試料加工装置100では、過去の加工情報は、過去の加工速度の情報である。そのため、試料加工装置100では、加工を開始した直後から加工終了予定時間を提供できる。
試料加工装置100は、試料室11を真空排気する真空排気装置14と、試料室11の圧力を測定する圧力計16と、試料室11の過去の排気情報が記憶された記憶部78と、を含み、情報提供部722は、過去の排気情報に基づいて試料室11が大気圧から設定された圧力になるまでの排気終了予定時間を算出する処理と、圧力計16から試料室11の圧力の測定結果の情報を取得する処理と、取得した試料室11の圧力の測定結果に基づいて圧力の低下速度を算出する処理と、圧力の低下速度に基づいて排気終了予定時間を更新する処理と、を行う。
そのため、試料加工装置100では、試料室11の排気を開始した直後から排気終了予定時間を提供できるため、ユーザーが装置を確認する頻度を低減でき、作業効率を向上できる。さらに、試料加工装置100では、試料室11の排気中に試料室11の圧力の測定結果を取得して排気終了予定時間を更新するため、精度の高い排気終了予定時間を提供できる。
試料加工装置100は、試料2を冷却する冷却機構22と、試料2の温度を測定する温度センサー26と、試料2の過去の冷却情報が記憶された記憶部78と、を含み、情報提供部722は、過去の冷却情報に基づいて試料2の温度が設定された温度に冷却されるまでの冷却終了予定時間を算出する処理と、温度センサー26から試料2の温度の測定結果の情報を取得する処理と、取得した試料2の温度の測定結果に基づいて冷却速度を算出する処理と、冷却速度に基づいて冷却終了予定時間を更新する処理と、を行う。
そのため、試料加工装置100では、試料2の冷却を開始した直後から冷却終了予定時間を提供できるため、ユーザーが装置を確認する頻度を低減でき、作業効率を向上できる。さらに、試料加工装置100では、試料2の冷却中に試料2の温度の測定結果を取得して冷却終了予定時間を更新するため、精度の高い冷却終了予定時間を提供できる。
試料加工装置100では、加工制御部720は、取得した画像I2に基づいて、イオン源10によるイオンビームIBの照射条件を切り替える。そのため、試料加工装置100では、加工条件の切り替えを自動で行うことができ、作業効率を向上できる。例えば、試料加工装置100では、試料2の厚さに応じて加速電圧を切り替えることができるため、試料2の損傷を低減でき、品質の良い透過電子顕微鏡用の試料および走査電子顕微鏡用の試料を作製できる。また、試料加工装置100では、同じ加工条件で繰り返し試料の加工できるため、ユーザーの経験によらず、品質の良い試料を繰り返し作製できる。
試料加工装置100では、試料2上に配置され、イオンビームIBを遮蔽する遮蔽部材30と、試料2を透過照明する照明光を発する透過照明装置40と、を含み、カメラ60は、照明光で透過照明された試料2を撮影する。また、加工制御部720は、イオンビームIBの照射条件を設定する処理において、取得した画像I2において試料2と遮蔽部材30との間の隙間から漏れる光の輝度を検出し、取得した画像I2において試料2に相当する領域の輝度を検出し、隙間から漏れる光の輝度および試料2に相当する領域の輝度に基づいて照射条件を切り替える。このように、試料加工装置100では、試料2に相当する領域の輝度を、隙間から漏れる光の輝度と比較して、照射条件を切り替えるため、試料2の厚さを正確に知ることができ、イオンビームIBの照射条件を切り替えるタイミングを正確に判断できる。
試料加工装置100では、加工制御部720は、照射条件を設定する処理において、取得した画像I2において加工幅Wを測定し、測定された加工幅Wに基づいて照射条件を切り替える。そのため、試料加工装置100では、加工幅Wから試料2の厚さを推測して試料2の厚さを正確に知ることができ、イオンビームIBの照射条件を切り替えるタイミングを正確に判断できる。
5. 変形例
5.1. 試料加工装置
上述した実施形態では、試料加工装置100が薄膜試料を作製するためのイオンスライサ(登録商標)である場合について説明したが、試料加工装置100は、例えば、試料の断面を加工するためのクロスセクションポリッシャ(登録商標)であってもよい。
図46は、変形例に係る試料加工装置200の構成を示す図である。図46に示す試料加工装置200において、図1に示す試料加工装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
試料加工装置200では、遮蔽部材30は、板状の遮蔽板であり、試料2の直上に配置される。イオン源10からイオンビームIBが照射されると、試料2の遮蔽部材30から突き出た部分がスパッタされ、遮蔽部材30の端面の位置で試料2の断面が露出される。これにより、断面試料を作製できる。なお、試料加工装置200では、加工時に試料2は揺動させるが、イオン源10は揺動させない。
図47は、試料加工装置200における断面加工の状況を示す図である。加工制御部720は、目標領域5aの位置に位置PHが到達した場合に、イオンビームIBの照射を停止する処理を行う。目標領域5aの位置は、任意に設定可能である。
5.2. 試料加工方法
5.2.1. イオンビームの制御
試料加工装置200では、一次ミリングにおけるイオンビームIBの制御方法と同様に、加工領域5の幅が目標加工幅TWとなる位置PHに応じて加工条件を切り替える。
図48は、位置PHに応じて設定された加速電圧を示す表である。図48では、位置PHは、第1端部2aからの距離を、第1端部2aと目標領域5aの位置との間の距離で規格化したものである。すなわち、位置PH=100%では、目標領域5aの位置が目標加工幅TWになったことを意味している。
図48に示すように、位置PHに応じて、加速電圧を設定する。目標領域5aの位置が目標加工幅TWになった場合(位置PH=100%の場合)、仕上げ加工として、経過時間に応じて加速電圧を切り替える。
図49は、断面加工の状況を示すグラフである。図49の上のグラフは、加速電圧の変化を示すグラフであり、横軸が時間を示し、縦軸が加速電圧を示している。図49の下のグラフは、位置PHの変化を示すグラフであり、横軸が時間、縦軸が位置PHを示している。
図48の表で示す条件が設定された場合、加工制御部720は、画像I2から位置PHを検出し、図48の表で示す条件に従って位置PHに応じて加速電圧を切り替える。
具体的には、図49に示すように、加工制御部720は、時刻t0において加速電圧を6.0kVとする。加工制御部720は、取得された画像I2において位置PHを検出し、位置PHが50%に到達すると、加速電圧を5.0kVに切り替える。図49に示すグラフでは、時刻t1に加速電圧が5.0kVに切り替えられている。同様に、加工制御部720は、位置PHが75%に到達すると、加速電圧を4.0kVに切り替え(時刻t2)、位置PHが90%に到達すると、加速電圧を3.0kVに切り替え(時刻t3)、位置PHが100%に到達すると、加速電圧を2.0kVに切り替える(時刻t4)。時刻t4において目標領域5aの位置が目標加工幅TWとなる。
加工制御部720は、図48に示す表の条件に従って、時刻t4から時刻t5までの5分間、加速電圧2.0kVで加工を行ったあと、時刻t5から時刻t6までの5分間、加速電圧1.0kVで加工を行う。加工制御部720は、同様に、時刻t6から時刻t7までの5分間、加速電圧0.5kVで加工を行い、時刻t7から時刻t8までの5分間、加速電圧0.3kVで加工を行い、時刻t8から時刻t9までの5分間、加速電圧0.1kVで加工を行う。
5.2.2. GUI
図50は、断面加工処理におけるGUI画面G8の一例を模式的に示す図である。
GUI画面G8には、図50に示すように、加速電圧、試料2の傾斜角度(スイング角度)θ1、および次のステップへの移行条件が表示される。また、GUI画面G8には、加工の進捗状況を示すインジケーターが表示される。GUI画面G8の各項目は、加工が次のステップに移行されると、更新される。
5.2.3. 終了予定時間の提供
情報提供部722は、断面加工処理が終了する予定の時間である断面加工処理終了予定時間の情報を提供する。
断面加工処理は、一次ミリング処理と同様に、試料室11を真空排気するステップ、試料2を冷却するステップ、試料2を加工するステップ、および試料2を昇温するステップを含む。情報提供部722は、各ステップの終了予定時間を予測し、その合計の時間から断面加工処理の全体が終了する時間を算出する。
なお、断面加工処理終了予定時間を算出する処理は、試料を加工するステップにおける粗加工終了予定時間の算出を除いて上述したバルク加工処理と同様である。そのため、以下では、粗加工終了予定時間を算出する処理のみを説明する。
粗加工終了予定時間を算出する処理は、上述した図36、図38、および図39に示す一次ミリング処理における処理と同様である。すなわち、断面加工処理では、情報提供部722は、位置PHを測定することができない期間は、加工の加工情報に基づいて粗加工終了予定時間を算出し、位置PHの測定が可能な期間は、画像I2に基づいて粗加工終了
予定時間を算出する。
5.2.4. 変形例
上記の実施形態では、試料加工装置200は、位置PHに基づいて、加工を終了するタイミングの判断、加工条件の変更、および粗加工終了予定時間の算出を行った。これに対して、試料加工装置200は、例えば、加工領域5の深さである加工深さに基づいて、加工を終了するタイミングの判断、加工条件の変更、および粗加工終了予定時間の算出を行ってもよい。
図51は、断面加工処理において加工深さD1を測定する手法の一例を説明するための図である。
図51に示す例では、加工領域5の深さである加工深さD1を、傾斜面3の内側のエッジの最も深い位置としている。
加工制御部720は、図51に示す加工深さD1が目標位置に到達した場合に、イオンビームIBの照射を停止する。また、加工制御部720は、加工深さD1に基づいて、加工条件(加速電圧)を切り替える。
図52は、加工深さD1の変化を示すグラフである。図52に示すグラフの横軸は時間であり、縦軸は加工深さD1である。図52において、データDT1は、過去の加工深さD1のデータ(過去の加工情報)を示し、データDT2は、現在の測定結果から得られた加工深さD1のデータ(現在の加工情報)を示している。
情報提供部722は、加工深さD1の測定が可能となるまでは、過去の加工情報を取得し、当該過去の加工情報に基づいて粗加工終了予定時間を求める。情報提供部722は、画像I2から加工深さD1の測定が可能となった場合、加工深さD1の測定結果から加工速度を計算し、当該加工速度に基づいて粗加工終了予定時間を算出する。
図52に示す例では、情報提供部722は、試料2の加工が開始された時刻T8より前では、過去の加工情報に基づいて粗加工終了予定時間T10を算出する。また、情報提供部722は、時刻T8から時刻T9までの期間Eにおいても、過去の加工情報に基づいて粗加工終了予定時間T10を算出する。すなわち、情報提供部722は、試料2の加工が開始される前および期間Eでは、データDT1に基づいて粗加工終了予定時間を算出する。
時刻T9において加工深さD1の測定が可能となると、情報提供部722は、時刻T9から加工終了時刻T11までの期間Fにおいて、画像I2に基づいて加工深さD1を測定して粗加工終了予定時間を算出し、粗加工終了予定時間を更新する。すなわち、情報提供部722は、期間Fでは、データDT2に基づいて粗加工終了予定時間を算出する。
図53は、断面加工処理において加工深さD2を測定する手法の一例を説明するための図である。図51に示す例では、加工深さD1は傾斜面3の内側のエッジの最も深い位置であったが、図53に示すように、加工深さD2を傾斜面3の外側のエッジの最も深い位置にしてもよい。
加工制御部720は、図53に示す加工深さD2が目標位置に到達した場合に、イオンビームIBの照射を停止する。また、加工制御部720は、加工深さD2に基づいて、加工条件を切り替える。
図54は、加工深さD2の変化を示すグラフである。図54に示すグラフの横軸は時間であり、縦軸は加工深さD2である。図54において、データDT0は、現在の測定結果から求めた加工深さD2のデータ(現在の加工情報)を示している。
図54に示すように、画像I2から加工深さD2を測定して粗加工終了予定時間を算出することによって、加工が開始された直後から、画像I2に基づいて粗加工終了予定時間を算出できる。
図54に示す例では、情報提供部722は、加工が開始された時刻T8から加工終了時刻T9までの期間において、画像I2に基づいて加工深さD2を測定して加工速度を計算し、粗加工終了予定時間を更新する。例えば、情報提供部722は、加工深さD2をプロットして、データDT0を作成し、粗加工終了予定時間を算出する。
図55は、加工深さの変化を示すグラフである。
図55に示すように、加工深さD1に基づいて粗加工終了予定時間を算出する場合と、加工深さD2に基づいて粗加工終了予定時間を算出する場合と、を組み合わせて、粗加工終了予定時間を更新してもよい。
図55に示す例では、情報提供部722は、加工が開始された時刻T8から時刻T9までの期間Eにおいて、加工深さD2を測定し、測定結果から加工深さD1を推測し、粗加工終了予定時間を算出する。加工深さD1と加工深さD2の関係は、例えば、過去の加工情報から知ることができる。すなわち、情報提供部722は、期間Eでは、データDT0からデータDT3を求め、データDT3に基づいて粗加工終了予定時間を算出する。
情報提供部722は、時刻T9から加工終了時刻T11までの期間Fにおいて、画像I2から加工深さD1を測定し、測定結果から加工速度を計算し、当該加工速度に基づいて粗加工終了予定時間を算出する。すなわち、情報提供部722は、期間Fでは、データDT2に基づいて粗加工終了予定時間を算出する。
5.3. 効果
試料加工装置200では、試料加工装置100と同様の作用効果を奏することができる。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成を含む。実質的に同一の構成とは、例えば、機能、方法、及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成である。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
2…試料、2a…第1端部、2b…第2端部、3…傾斜面、4…基板、5…加工領域、5a…目標領域、6…積層膜、8…保護部材、10…イオン源、11…試料室、12…制御回路、14…真空排気装置、16…圧力計、20…試料ステージ、22…冷却機構、24…ヒーター、26…温度センサー、30…遮蔽部材、40…透過照明装置、42…照明調光回路、44…同軸落射照明装置、46…照明調光回路、50…光学系、52…ハーフミラー、60…カメラ、70…情報処理装置、72…処理部、74…操作部、76…表示部、78…記憶部、100…試料加工装置、200…試料加工装置、720…加工制御部、
722…情報提供部

Claims (9)

  1. 試料にイオンビームを照射して前記試料を加工する試料加工装置であって、
    前記試料に前記イオンビームを照射するイオン源と、
    前記試料を保持する試料ステージと、
    前記試料を撮影するカメラと、
    加工終了予定時間の情報を提供する情報提供部と、
    過去の加工情報を記憶する記憶部と、
    を含み、
    前記情報提供部は、
    前記過去の加工情報に基づいて、前記加工終了予定時間を算出する処理と、
    前記カメラで撮影された画像を取得する処理と、
    取得した前記画像に基づいて、加工速度を算出する処理と、
    前記加工速度に基づいて、前記加工終了予定時間を更新する処理と、
    を行う、試料加工装置。
  2. 請求項1において、
    前記情報提供部は、前記加工終了予定時間を表示部に表示させる処理を行う、試料加工装置。
  3. 請求項1または2において、
    前記過去の加工情報は、過去の加工速度の情報である、試料加工装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、
    前記試料が収容される試料室と、
    前記試料室を真空排気する真空排気装置と、
    前記試料室の圧力を測定する圧力計と、
    を含み、
    前記記憶部には、前記試料室の過去の排気情報が記憶され、
    前記情報提供部は、
    前記過去の排気情報に基づいて、前記試料室が大気圧から設定された圧力になるまでの排気終了予定時間を算出する処理と、
    前記圧力計から前記試料室の圧力の測定結果の情報を取得する処理と、
    取得した前記試料室の圧力の測定結果に基づいて、前記試料室の圧力の低下速度を算出する処理と、
    前記低下速度に基づいて、前記排気終了予定時間を更新する処理と、
    を行う、試料加工装置。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項において、
    前記試料を冷却する冷却機構と、
    前記試料の温度を測定する温度センサーと、
    を含み、
    前記記憶部には、前記試料の過去の冷却情報が記憶され、
    前記情報提供部は、
    前記過去の冷却情報に基づいて、前記試料の温度が設定された温度に冷却されるまでの冷却終了予定時間を算出する処理と、
    前記温度センサーから前記試料の温度の測定結果の情報を取得する処理と、
    取得した前記試料の温度の測定結果に基づいて、冷却速度を算出する処理と、
    前記冷却速度に基づいて、前記冷却終了予定時間を更新する処理と、
    を行う、試料加工装置。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項において、
    取得した前記画像に基づいて、前記イオン源による前記イオンビームの照射条件を切り替える加工制御部を含む、試料加工装置。
  7. 請求項6において、
    前記試料上に配置され、前記イオンビームを遮蔽する遮蔽部材と、
    前記試料を透過照明する照明光を発する透過照明装置と、
    を含み、
    前記カメラは、前記照明光で透過照明された前記試料を撮影し、
    前記加工制御部は、前記照射条件を設定する処理において、
    取得した前記画像において、前記試料と前記遮蔽部材との間の隙間から漏れる光の輝度を検出し、
    取得した前記画像において、前記試料に相当する領域の輝度を検出し、
    前記隙間から漏れる光の輝度および前記試料に相当する領域の輝度に基づいて、前記照射条件を切り替える、試料加工装置。
  8. 請求項6において、
    前記加工制御部は、前記照射条件を設定する処理において、
    取得した前記画像において、加工幅を測定し、
    測定された前記加工幅に基づいて、前記照射条件を切り替える、試料加工装置。
  9. 試料にイオンビームを照射するイオン源と、
    前記試料を保持する試料ステージと、
    前記試料を撮影するカメラと、
    を含み、前記試料にイオンビームを照射して前記試料を加工する試料加工装置における情報提供方法であって、
    過去の加工情報に基づいて、加工終了予定時間を算出する工程と、
    前記カメラで撮影された画像を取得する工程と、
    取得した前記画像に基づいて、加工速度を算出する工程と、
    前記加工速度に基づいて、前記加工終了予定時間を更新する工程と、
    を含む、情報提供方法。
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