JP2022184504A - 電気式誘導炉の内張用定形耐火物、および内張用定形耐火物を用いた電気式誘導炉の築炉方法。 - Google Patents
電気式誘導炉の内張用定形耐火物、および内張用定形耐火物を用いた電気式誘導炉の築炉方法。 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】電気式誘導炉の内張りに用いた場合に内張り作業を容易なものとすることができる上、安定した高い耐用寿命を有する内張層を形成可能な定形耐火物を提供する。【解決手段】内張用定形耐火物の主原料は、溶融石英質からなる粗粒子材、マグネシア質材からなる粗粒子材、アルミナ質材からなる粗粒子材、マグネシア質材からなる中粒子材、アルミナ質材からなる中粒子材、マグネシア質材からなる微粒子材およびアルミナ質材からなる微粒子材を含有しており、マグネシア質材の含有量が35質量%以上65質量%未満に調整されており、アルミナ質材の含有量が20質量%以上50質量%未満に調整されており、溶融石英質材の含有量が5質量%以上30質量%未満に調整されている。【選択図】なし
Description
本発明は、金属類の溶解・精錬に用いられる電気式誘導炉の築炉時に、内張りの材料として用いられる定形状の耐火物、およびその製造方法に関するものである。
金属の溶解・精錬を行うための炉として、作業の効率性等に優れた高周波誘導炉等の電気式誘導炉が広く用いられている。通常の電気式誘導炉は、特許文献1の如く、金属製の炉本体の外側に、電気誘導コイルが配設されており、その電気誘導コイルが被覆層によって保護されている。一方、炉本体の内側には、絶縁材層や断熱材層が設けられており、それらの絶縁材層や断熱材層の内側に、耐火物からなる内張層が形成されている。
また、上記の如き電気式誘導炉において、炉本体の内側に内張層を形成する際には、その形成原料として、溶解・精錬を行う金属の種類に応じた特性を有する耐火物が使用される。たとえば、普通鋳物材には珪石質材、低合金鋳物(マンガン鋳物等)の溶解・精錬用の電気式誘導炉の場合には、高アルミナ質材やマグネシア質材が用いられ、高合金鋳物(希土類鋳物等)の溶解・精錬用の電気式誘導炉の場合には、高アルミナ質材やアルミナ質材が用いられ、特殊鋳物(ステンレス鋳物等)の溶解・精錬用の電気式誘導炉の場合には、マグネシア質材やマグネシア-アルミナ質材が用いられる。
一方、電気式誘導炉を築炉する際には、一般的に、炉本体の底部を不定形耐火物により打ち固め、その中央部に鋼製の内枠(所謂、フォーマー)を設置し、その内枠と炉本体との間隙に、乾式不定形耐火物を加振充填する方法、および/または、充填した不定形耐火物を突き固める施工方法(築炉方法)が採用される。
しかしながら、上記従来の電気式誘導炉の内張層の形成材料であるマグネシア質材やアルミナ質材は、処理する金属に含まれるマンガン質材、鉄材やその酸化物や、精錬時の処理材として添加される石灰質材等との化学反応性が小さく、耐食性に優れているものの、その反面、組織内への異物の浸透度が高く変質層を形成しやすい上、熱間線膨張率が高い。それゆえ、従来のマグネシア質材やアルミナ質材からなる電気式誘導炉の内張層は、使用時の加熱・冷却により構造的な剥離損傷や亀裂が発生し易い上、亀裂が生じた場合には亀裂部からの溶湯の侵入等が生じ易い。すなわち、従来のマグネシア質材やアルミナ質材からなる電気式誘導炉の内張層は、マグネシア質材やアルミナ質材が本来有している高い耐食性が十分に生かされておらず、耐久度が低く、かつ、耐用寿命が不安定なものとなっている。
一方、上記従来の電気式誘導炉の築炉方法(内張層の形成方法)は、炉本体とその内側に設置される鋼製の内枠との間隙に乾式不定形耐火物を加振充填するものであるため、形成される内張層が、多孔質で耐食性の低いものとなってしまい易い。また、上記従来の電気式誘導炉の築炉方法は、不定形耐火物の充填度合いに斑ができ易く、内張層中に部分的な損傷部が形成され易いため、内張層の耐久寿命が短く、頻繁な補修が必要となる、という不具合がある。さらに、上記従来の電気式誘導炉の築炉方法においては、炉本体と鋼製の内枠との間隙に多量の乾式不定形耐火物を投入する必要があるため、築炉作業中に多くの有害な粉塵を発生させてしまう、という不具合がある。
本発明の目的は、従来の電気式誘導炉の内張層が有する問題点を解消し、電気式誘導炉の内張りに用いた場合に内張り作業を容易なものとすることができる上、安定した高い耐用寿命を有する内張層を形成可能な定形耐火物を提供することにある。また、本発明の目的は、そのような耐用寿命の高い内張層を形成可能な定形耐火物を安価かつ効率的に製造可能な製造方法を提供することにある。加えて、本発明の目的は、従来の電気式誘導炉の築炉方法(内張層の形成方法)が有する問題点を解消し、電気式誘導炉に耐用寿命の高い内張層を容易に形成可能な築炉方法を提供することにある。
本発明の内、請求項1に記載された発明は、金属類の溶解、精錬に用いられる電気式誘導炉を内張りするために用いられる定形状の耐火物であって、マグネシア質材、アルミナ質材および溶融石英質材を主原料として形成されており、それらの主原料の含有率が90質量%以上であり、かつ、前記主原料が、粒子径が1.0mm以上の粗粒子材と、粒子径が0.1mm以上の1.0mm未満の中粒子材と、粒子径が0.1mm未満の微粒子材とを混合したものであるとともに、前記粗粒子材が、溶融石英質からなる粗粒子材と、マグネシア質材からなる粗粒子材と、アルミナ質材からなる粗粒子材とを含有するものであり、前記中粒子材が、マグネシア質材からなる中粒子材と、アルミナ質材からなる中粒子材とを含有するものであり、前記微粒子材が、マグネシア質材からなる微粒子材と、アルミナ質材からなる微粒子材とを含有するものであり、なおかつ、前記主原料中のマグネシア質材の含有量が35質量%以上65質量%未満であり、主原料中のアルミナ質材の含有量が20質量%以上50質量%未満であるとともに、主原料中の溶融石英質材の含有量が5質量%以上30質量%未満であることを特徴とするものである。
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、気孔率が10%以上20%未満であり、圧縮強さが250kg/cm2以上800kg/cm2未満であることを特徴とするものである。
請求項3に記載された発明は、請求項1、または2に記載の電気式誘導炉の内張用定形耐火物を用いた電気式誘導炉の築炉方法であって、炉本体の内側に前記内張用定形耐火物を周状に設置した後、前記炉本体と前記内張用定形耐火物との間隙に不定形耐火物を充填し、その充填された不定形耐火物を押圧する工程を有することを特徴とするものである。
本発明に係る電気式誘導炉の内張用定形耐火物によれば、電気式誘導炉を築炉する際の内張り作業を容易なものとすることができる上、安定した長い耐用寿命を有する内張層を形成することができ、電気式誘導炉のメンテナンスの頻度を低減させることができる。また、本発明に係る電気式誘導炉の内張用定形耐火物の製造方法によれば、耐用寿命の高い内張層を形成可能な内張用定形耐火物を安価かつ効率的に製造することができる。さらに、本発明に係る電気式誘導炉の築炉方法によれば、築炉作業中に多くの粉塵を発生させることなく、電気式誘導炉の内部に、耐食性に優れており安定した長い耐用寿命を有する内張層を、容易にかつ効率良く形成することができる。
以下、本発明に係る電気式誘導炉の内張用定形耐火物(以下、単に、内張用定形耐火物という)の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明においては、各成分の特性、含有量、添加量に関する“~”は、原則的に、左側の数値以上右側の数値未満を意味するものとする。
本発明に係る内張用定形耐火物は、マグネシア質材、アルミナ質材および溶融石英質材を主原料として形成されており、それらの主原料の含有率が90質量%以上であることが必要である。そのように、マグネシア質材およびアルミナ質材中に熱間膨張率の大きく異なる溶融石英質材を加えた混合組成物を、形成用の主原料として用いることによって、加熱・冷却時に原料粒子間に微間隙部が形成された本発明に係る内張用定形耐火物を得ることが可能となる。そして、本発明に係る内張用定形耐火物は、加熱されたときに微間隙部が緩衝体として機能するため、耐熱衝撃性が高く、安定した長い耐用寿命を発現することができる。また、本発明に係る内張用定形耐火物は、上記した主原料以外の酸化鉄(Fe2O3)や酸化カルシウム(CaO)等の成分が不可避成分として10質量%以下の割合で含まれていても特に問題ないが、主原料以外の耐火物成分が5質量%未満であると、より好ましい。
また、本発明に係る内張用定形耐火物は、主原料中の溶融石英質材の含有量が5質量%以上30質量%未満であることが必要である。溶融石英質材の含有量が5質量%未満であると、耐熱衝撃性の改善効果が小さくなり、反対に、溶融石英質材の含有量が30質量%以上となると、耐食度に悪影響を及ぼすようになる。主原料中の溶融石英質材の含有量は、5質量%以上25質量%以下であるとより好ましい。
さらに、本発明に係る内張用定形耐火物は、主原料中のマグネシア質材の含有量が35質量%以上65質量%未満であることが必要である。マグネシア質材の含有量が35質量%未満であると、内張層の耐食性が不十分となり易く、反対に、マグネシア質材の含有量が65質量%以上となると、内張層の浸透防止効果が不十分となる。主原料中のマグネシア質材の含有量は、35質量%以上60質量%以下であるとより好ましい。
加えて、本発明に係る内張用定形耐火物は、主原料中のアルミナ質材の含有量が20質量%以上50質量%未満であることが必要である。アルミナ質材の含有量が20質量%未満であると、内張層の浸透防止効果が不十分となり易く、反対に、アルミナ質材の含有量が50質量%以上となると、内張層の耐食性が不十分となる。主原料中のアルミナ質材の含有量は、25質量%以上45質量%以下であるとより好ましい。
また、本発明に係る内張用定形耐火物は、気孔率が10~20%であり、圧縮強さが250~800kg/cm2であると好ましい。内張用定形耐火物の気孔率および圧縮強さをそのような数値範囲内に調整することによって、耐食性・耐久性ともに優れた内張層を形成することが可能となる。内張用定形耐火物の気孔率が10%未満となると、形成される内張層内で粒子間結合力が高くなりすぎて、耐熱衝撃強度が小さくなるので好ましくなく、反対に、気孔率が20%以上となると、形成される内張層が粗い組織体となってしまい、化学的な耐食性が不十分となるので好ましくない。一方、内張用定形耐火物の圧縮強さが250kg/cm2未満となると、形成される内張層の耐摩耗性が不十分となるので好ましくなく、反対に、圧縮強さが800kg/cm2以上となると、形成される内張層の耐熱衝撃性が不十分となるので好ましくない。
また、本発明に係る内張用定形耐火物を製造する際には、原料として、粒子径が1.0mm以上の粗粒子材と、粒子径が0.1mm以上の1.0mm未満の中粒子材と、粒子径が0.1mm未満の微粒子材とを混合して用いるのが好ましい。そして、粗粒子材として、溶融石英質からなる粗粒子材と、マグネシア質材からなる粗粒子材と、アルミナ質材からなる粗粒子材とを含有するものを用い、中粒子材として、マグネシア質材からなる中粒子材と、アルミナ質材からなる中粒子材とを含有するものを用い、微粒子材として、マグネシア質材からなる微粒子材と、アルミナ質材からなる微粒子材とを含有したものを用いるのが好ましい。
上記の如く、粗粒子材を、マグネシア質材およびアルミナ質材のみならず、溶融石英質材を加えた3成分で構成すると、各成分の熱間膨張率の差により、受熱冷却時に組織の中に適度な微間隙が形成されることによって、内張層の耐熱衝撃性を飛躍的に高くすることが可能となる。すなわち、溶融石英質材からなる粗粒子材は、マグネシア質材とアルミナ質材に比べて熱間線膨張率がきわめて小さいため、内張層の耐熱衝撃性の向上に大きく寄与する。その反面、溶融石英質材からなる粗粒子材は、粒径が大きいために、マグネシア質材、アルミナ質材との間で、融点の低い2MgO・2Al2O3・5SiO2の3者より成っているコーディライト(融点=約1370℃)を生じるような化学反応が生じにくく、溶湯・スラグとの化学溶損も小さいため、形成される内張層の耐食度に悪影響を及ぼすことがない。
また、上記の如く、中粒子材・微粒子材を、マグネシア質材とアルミナ質材との2成分で構成することによって、形成される内張層において、それらの成分が本来的に有する良好な耐熱性・耐食性を発現させることが可能となる。すなわち、中粒子材・微粒子材は、粒径が小さいことに起因して、熱間において高い反応結合性を発現するため、そのような微粒子材を、マグネシア質材とアルミナ質材との2成分で構成すれば、使用時の受熱によりスピネル結晶を形成するが、低融点の物質(コーディライト)を生成しないからである。
さらに、本発明に係る内張用定形耐火物は、原料中に、必要に応じて改質材および/または成形性助材を添加することも可能である。改質材としては、耐化学反応改善材や物理的特性改善材(焼結性改善材)を用いることができ、さらに、耐化学反応改善材としては、酸化クロム質材、含ジルコニア質材を用いることができ、物理的特性改善材としては、焼結助剤(長石質材、陶石質材等)を用いることができる。一方、成形性助材としては、耐火粘土質材等を用いることもできる。
また、本発明に係る内張用定形耐火物は、上記した原料に水や硬化剤等を加えて混練してなる坏土を所定の形状に成形した後に所定の温度で熱処理することによって得ることができる。その際の熱処理温度は特に限定されず、300℃~1,000℃の範囲内で必要に応じて適宜選択することができる。
以下、本発明に係る耐火物について実施例によって詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例の態様に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更することが可能である。また、実施例・比較例における物性、特性の評価方法は以下の通りである。
<見掛気孔率>
JIS-R-2205(真空法)に準じた方法によって測定した。
JIS-R-2205(真空法)に準じた方法によって測定した。
<嵩比重>
JIS-R-2205に準じた方法によって測定した。
JIS-R-2205に準じた方法によって測定した。
<残存膨張率>
実施例・比較例で得られた内張用定形耐火物の試料を炉内に設置した後、昇温速度を5℃/分として1,500℃まで昇温させて1時間保持した後、炉内で常温まで冷却した。そして、昇温前の試料の高さをL0、1,500℃で保持して冷却した後の試料の高さをL1とし、下式(1)に基づいて残存膨張率を算出した。
残存膨張率(%)=(L1-L0)/L1×100 ・・(1)
実施例・比較例で得られた内張用定形耐火物の試料を炉内に設置した後、昇温速度を5℃/分として1,500℃まで昇温させて1時間保持した後、炉内で常温まで冷却した。そして、昇温前の試料の高さをL0、1,500℃で保持して冷却した後の試料の高さをL1とし、下式(1)に基づいて残存膨張率を算出した。
残存膨張率(%)=(L1-L0)/L1×100 ・・(1)
<圧縮強さ>
JIS-R-2206に準じた方法によって測定した。
JIS-R-2206に準じた方法によって測定した。
<曲げ強度>
JIS-R-2213に準拠に準じた方法によって測定した。
JIS-R-2213に準拠に準じた方法によって測定した。
<熱間線膨張率>
JIS?R?2207に準じた方法によって測定した。
JIS?R?2207に準じた方法によって測定した。
<耐熱衝撃性(弾性率の残存率)>
実施例・比較例で得られた内張用定形耐火物の試料を用い、1,000℃の電気炉内で3時間加熱保持した後に取り出して室温下で急冷する、というサイクルを5回繰り返して行った。そして、5サイクル繰り返した後の試料の弾性率(Ea)と加熱・急冷前の試料の弾性率(Ei)とから下式(4)を用いて弾性率の残存率を算出し、耐熱衝撃性の指標とした。また、測定された弾性率の残存率を以下の4段階で評価した。
Ea/Ei×100 ・・・(4)
また、5回繰り返された後に測定された弾性率の残存率を以下の4段階で評価した。
◎:20%以上
○:10%~20%
△:1%~10%
×:5回もたなかった
実施例・比較例で得られた内張用定形耐火物の試料を用い、1,000℃の電気炉内で3時間加熱保持した後に取り出して室温下で急冷する、というサイクルを5回繰り返して行った。そして、5サイクル繰り返した後の試料の弾性率(Ea)と加熱・急冷前の試料の弾性率(Ei)とから下式(4)を用いて弾性率の残存率を算出し、耐熱衝撃性の指標とした。また、測定された弾性率の残存率を以下の4段階で評価した。
Ea/Ei×100 ・・・(4)
また、5回繰り返された後に測定された弾性率の残存率を以下の4段階で評価した。
◎:20%以上
○:10%~20%
△:1%~10%
×:5回もたなかった
<耐食性(溶損量および浸透深さ)>
各実施例・比較例で得られた内張用定形耐火物の試料(幅×奥行き×高さ=40cm×40cm×230cmの直方体状)を、図1の如く、高周波誘導炉内に内張りした。そして、その高周波誘導炉内に、1,600℃の溶融金属(ハイマンガン鋳物材)を満たし、その状態で10時間経過させた。しかる後、試料のスラグライン(溶湯上に浮いた溶鋼スラグ(CaO/SiO2)の高さ位置)、メタルライン(高周波誘導炉の底部からスラグラインまでの亀裂が入り易い高さ位置)における断面から、溶損量(溶損した部分の試験前の内張層の表面からの深さ)、および、浸透深さ(溶湯が浸透した部分の試験後の内張層の表面からの深さ)を測定した。そして、溶損量については、測定されたスラグライン・メタルラインでの数値により、それぞれ、以下の4段階で評価した。
・スラグライン
◎:7.0mm未満
○:7.0~8.0mm
△:8.0mm~9.0mm
×:9.0mm以上
・メタルライン
◎:3.0mm未満
○:3.0~4.0mm
△:4.0mm~5.0mm
×:5.0mm以上
一方、浸透深さ溶損量については、測定されたスラグライン・メタルラインでの数値により以下の4段階で評価した。
◎:3.0mm未満
○:3.0~4.0mm
△:4.0mm~5.0mm
×:5.0mm以上
各実施例・比較例で得られた内張用定形耐火物の試料(幅×奥行き×高さ=40cm×40cm×230cmの直方体状)を、図1の如く、高周波誘導炉内に内張りした。そして、その高周波誘導炉内に、1,600℃の溶融金属(ハイマンガン鋳物材)を満たし、その状態で10時間経過させた。しかる後、試料のスラグライン(溶湯上に浮いた溶鋼スラグ(CaO/SiO2)の高さ位置)、メタルライン(高周波誘導炉の底部からスラグラインまでの亀裂が入り易い高さ位置)における断面から、溶損量(溶損した部分の試験前の内張層の表面からの深さ)、および、浸透深さ(溶湯が浸透した部分の試験後の内張層の表面からの深さ)を測定した。そして、溶損量については、測定されたスラグライン・メタルラインでの数値により、それぞれ、以下の4段階で評価した。
・スラグライン
◎:7.0mm未満
○:7.0~8.0mm
△:8.0mm~9.0mm
×:9.0mm以上
・メタルライン
◎:3.0mm未満
○:3.0~4.0mm
△:4.0mm~5.0mm
×:5.0mm以上
一方、浸透深さ溶損量については、測定されたスラグライン・メタルラインでの数値により以下の4段階で評価した。
◎:3.0mm未満
○:3.0~4.0mm
△:4.0mm~5.0mm
×:5.0mm以上
<実炉での耐久性>
容量1.5tの高周波誘導炉Kの内面に、図2の如く、実施例・比較例で得られた円筒状の内張用定形耐火物Rを設置した。なお、高周波誘導炉Kの炉本体Bと内張用定形耐火物Rとの間隙には、実施例・比較例で得られた坏土を充填させた。そして、充填した坏土の上面に押え板を載置し、坏土を押し固めることによって、高周波誘導炉Kの内面に内張用定形耐火物Rおよび不定形耐火物からなる内張層を形成した(築炉した)。なお、高周波誘導炉Kにおいては、炉本体Bの外側に、電気誘導コイルCが設けられており、その電気誘導コイルCが保護層Pによって保護されている。また、炉本体Bの内側には、絶縁・断熱層Hが形成されており、その絶縁・断熱層Hの内側に、内張層が形成されている。そして、その高周波誘導炉Kを用いて、鋳物材(ハイマンガン鋳物材)の処理(溶解・精錬)(溶解温度1,600℃)を繰り返し行い、加熱後の内張層(内張用定形耐火物R)を下記の項目で評価した。
(a)耐用回数
損傷による補修が必要になるまでの繰り返し使用回数をカウントして耐用回数とした。また、その耐用回数を以下の4段階で評価した。
◎:200回以上
○:160回以上~200回未満
△:120回以上~160回未満
×:120回未満
(b)1回当たりの溶損厚み
上記した耐用回数だけ使用した後の溶損部分の厚みを測定し、その厚みを耐用回数で除した数値を1回当たりの溶損厚みとした。また、測定された1回当たりの溶損厚みを以下の4段階で評価した。
◎:~0.09mm/回
○:0.09~0.11mm/回
△:0.11~0.13mm/回
×:0.13以上mm/回
(c)総損傷厚み
1回のみ使用した後の溶損部分の表面からの深さ(使用前の内張層の表面からの深さ)を測定して表層剥離損傷とした。また、測定された表層剥離損傷を以下の4段階で評価した。
◎:0~5mm
○:5~10mm
△:10~15mm
×:15mm以上
(d)総損傷厚み(1回当たり)
総損傷厚みを耐用回数によって除した数値を算出して総損傷厚み(1回当たり)とした。また、測定された総損傷厚みを以下の4段階で評価した。
◎:0.1mm未満
○:0.1~0.15mm
△:0.15~0.2mm
×:0.2mm以上
(e)亀裂の発生状況
上記した耐用回数に亘って使用した後に内張層に縦方向・横方向の亀裂が発生しているか否かを目視によって判定した。また、亀裂が発生していた場合には、その亀裂の幅、深さ、長さを測定した。そして、亀裂の発生状況を以下の2段階で評価した。
○:亀裂がまったく認められない
×:亀裂が認められる
容量1.5tの高周波誘導炉Kの内面に、図2の如く、実施例・比較例で得られた円筒状の内張用定形耐火物Rを設置した。なお、高周波誘導炉Kの炉本体Bと内張用定形耐火物Rとの間隙には、実施例・比較例で得られた坏土を充填させた。そして、充填した坏土の上面に押え板を載置し、坏土を押し固めることによって、高周波誘導炉Kの内面に内張用定形耐火物Rおよび不定形耐火物からなる内張層を形成した(築炉した)。なお、高周波誘導炉Kにおいては、炉本体Bの外側に、電気誘導コイルCが設けられており、その電気誘導コイルCが保護層Pによって保護されている。また、炉本体Bの内側には、絶縁・断熱層Hが形成されており、その絶縁・断熱層Hの内側に、内張層が形成されている。そして、その高周波誘導炉Kを用いて、鋳物材(ハイマンガン鋳物材)の処理(溶解・精錬)(溶解温度1,600℃)を繰り返し行い、加熱後の内張層(内張用定形耐火物R)を下記の項目で評価した。
(a)耐用回数
損傷による補修が必要になるまでの繰り返し使用回数をカウントして耐用回数とした。また、その耐用回数を以下の4段階で評価した。
◎:200回以上
○:160回以上~200回未満
△:120回以上~160回未満
×:120回未満
(b)1回当たりの溶損厚み
上記した耐用回数だけ使用した後の溶損部分の厚みを測定し、その厚みを耐用回数で除した数値を1回当たりの溶損厚みとした。また、測定された1回当たりの溶損厚みを以下の4段階で評価した。
◎:~0.09mm/回
○:0.09~0.11mm/回
△:0.11~0.13mm/回
×:0.13以上mm/回
(c)総損傷厚み
1回のみ使用した後の溶損部分の表面からの深さ(使用前の内張層の表面からの深さ)を測定して表層剥離損傷とした。また、測定された表層剥離損傷を以下の4段階で評価した。
◎:0~5mm
○:5~10mm
△:10~15mm
×:15mm以上
(d)総損傷厚み(1回当たり)
総損傷厚みを耐用回数によって除した数値を算出して総損傷厚み(1回当たり)とした。また、測定された総損傷厚みを以下の4段階で評価した。
◎:0.1mm未満
○:0.1~0.15mm
△:0.15~0.2mm
×:0.2mm以上
(e)亀裂の発生状況
上記した耐用回数に亘って使用した後に内張層に縦方向・横方向の亀裂が発生しているか否かを目視によって判定した。また、亀裂が発生していた場合には、その亀裂の幅、深さ、長さを測定した。そして、亀裂の発生状況を以下の2段階で評価した。
○:亀裂がまったく認められない
×:亀裂が認められる
また、実施例・比較例で用いた各原料(主原料)の化学組成および特性を表1に示す。
[実施例1]
マグネシア質材の粗粒子材(粒子径が1.0mm以上のもの)25質量部と、アルミナ質材の粗粒子材(粒子径が1.0mm以上のもの)15質量部と、溶融石英質材の粗粒子材(粒子径が1.0mm以上のもの)5質量部と、マグネシア質材の中粒子材(粒径=0.1mm~1.0mmのもの)15質量部と、アルミナ質材の中粒子材(粒径=0.1mm~1.0mmのもの)10質量部とを混練機内に投入して混合した。しかる後、バインダーとして第三リン酸ナトリウム(リン酸ソーダ)1重量部および水4.5重量部を混練機内に添加して混合した後、マグネシア質材の微粒子(粒子径が0.1mm未満のもの)15質量部と、アルミナ質材の微粒子(粒子径が0.1mm未満のもの)15質量部とを混練機内に添加して十分に混練することによって、原料の各粒子の表面をバインダーによって被覆させてなる坏土(半湿式用材)を得た。
マグネシア質材の粗粒子材(粒子径が1.0mm以上のもの)25質量部と、アルミナ質材の粗粒子材(粒子径が1.0mm以上のもの)15質量部と、溶融石英質材の粗粒子材(粒子径が1.0mm以上のもの)5質量部と、マグネシア質材の中粒子材(粒径=0.1mm~1.0mmのもの)15質量部と、アルミナ質材の中粒子材(粒径=0.1mm~1.0mmのもの)10質量部とを混練機内に投入して混合した。しかる後、バインダーとして第三リン酸ナトリウム(リン酸ソーダ)1重量部および水4.5重量部を混練機内に添加して混合した後、マグネシア質材の微粒子(粒子径が0.1mm未満のもの)15質量部と、アルミナ質材の微粒子(粒子径が0.1mm未満のもの)15質量部とを混練機内に添加して十分に混練することによって、原料の各粒子の表面をバインダーによって被覆させてなる坏土(半湿式用材)を得た。
そして、得られた坏土を用い、加振充填法により縦長な直方体状(幅×奥行き×高さ=40cm×40cm×230cm)に成形して脱型した。また、得られた坏土を用い、加振充填法により円筒状(外径×高さ×厚み=100cm×200cm×5.5cm)に成形して脱型した。しかる後、それらの成形品(直方体状物、円筒状物)を、トンネルキルンを用いて、室温から500℃まで24時間かけて昇温させることによって加熱した後、500℃で10時間保持し、室温まで自然に冷却することによって、実施例1の内張用定形耐火物(直方体状物、円筒状物)を作製した。
そして、作製された内張用定形耐火物の特性および性能(見掛気孔率、嵩比重、残存膨張率、圧縮強さ、曲げ強度、熱間線膨張率、耐熱衝撃性、耐食性、実炉での耐久性等)を、上記した方法によって評価した。実施例1の内張用定形耐火物の評価結果を、原料の組成とともに表2~4に示す。
[実施例2]
実施例1と同様な方法(すなわち、粗粒子材および中粒子材を混合した後に、バインダーおよび水を添加して混合してから、微粒子材を加えて混練する方法)で成形用の坏土を調整する際に、原料である粗粒子材の配合比を下記のように変更した。
<粗粒子材>
・マグネシア質材の粗粒子材 20質量部
・アルミナ質材の粗粒子材 15質量部
・溶融石英質材の粗粒子材 10質量部
そして、上記の如く原料である粗粒子材の配合比を変更した以外は実施例1と同様にして得られた坏土を用いて、実施例1と同様にして、実施例2の内張用定形耐火物を作製した。そして、作製された内張用定形耐火物の特性・性能を、上記した方法によって評価した。実施例2の内張用定形耐火物の評価結果を、原料の組成とともに表2~4に示す。
実施例1と同様な方法(すなわち、粗粒子材および中粒子材を混合した後に、バインダーおよび水を添加して混合してから、微粒子材を加えて混練する方法)で成形用の坏土を調整する際に、原料である粗粒子材の配合比を下記のように変更した。
<粗粒子材>
・マグネシア質材の粗粒子材 20質量部
・アルミナ質材の粗粒子材 15質量部
・溶融石英質材の粗粒子材 10質量部
そして、上記の如く原料である粗粒子材の配合比を変更した以外は実施例1と同様にして得られた坏土を用いて、実施例1と同様にして、実施例2の内張用定形耐火物を作製した。そして、作製された内張用定形耐火物の特性・性能を、上記した方法によって評価した。実施例2の内張用定形耐火物の評価結果を、原料の組成とともに表2~4に示す。
[実施例3]
実施例1と同様な方法で成形用の坏土を調整する際に、原料である粗粒子材の配合比を下記のように変更した。
<粗粒子材>
・マグネシア質材の粗粒子材 15質量部
・アルミナ質材の粗粒子材 15質量部
・溶融石英質材の粗粒子材 15質量部
そして、上記の如く、原料である粗粒子材の配合比を変更した以外は実施例1と同様にして、実施例3の内張用定形耐火物を作製した。そして、作製された内張用定形耐火物の特性・性能を、上記した方法によって評価した。実施例3の内張用定形耐火物の評価結果を、原料の組成とともに表2~4に示す。
実施例1と同様な方法で成形用の坏土を調整する際に、原料である粗粒子材の配合比を下記のように変更した。
<粗粒子材>
・マグネシア質材の粗粒子材 15質量部
・アルミナ質材の粗粒子材 15質量部
・溶融石英質材の粗粒子材 15質量部
そして、上記の如く、原料である粗粒子材の配合比を変更した以外は実施例1と同様にして、実施例3の内張用定形耐火物を作製した。そして、作製された内張用定形耐火物の特性・性能を、上記した方法によって評価した。実施例3の内張用定形耐火物の評価結果を、原料の組成とともに表2~4に示す。
[実施例4]
実施例1と同様な方法で成形用の坏土を調整する際に、原料である粗粒子材の配合比を下記のように変更した。
<粗粒子材>
・マグネシア質材の粗粒子材 10質量部
・アルミナ質材の粗粒子材 15質量部
・溶融石英質材の粗粒子材 20質量部
そして、上記の如く、原料である粗粒子材の配合比を変更した以外は実施例1と同様にして、実施例4の内張用定形耐火物を作製した。そして、作製された内張用定形耐火物の特性・性能を、上記した方法によって評価した。実施例4の内張用定形耐火物の評価結果を、原料の組成とともに表2~4に示す。
実施例1と同様な方法で成形用の坏土を調整する際に、原料である粗粒子材の配合比を下記のように変更した。
<粗粒子材>
・マグネシア質材の粗粒子材 10質量部
・アルミナ質材の粗粒子材 15質量部
・溶融石英質材の粗粒子材 20質量部
そして、上記の如く、原料である粗粒子材の配合比を変更した以外は実施例1と同様にして、実施例4の内張用定形耐火物を作製した。そして、作製された内張用定形耐火物の特性・性能を、上記した方法によって評価した。実施例4の内張用定形耐火物の評価結果を、原料の組成とともに表2~4に示す。
[実施例5]
実施例1と同様な方法で成形用の坏土を調整する際に、原料である粗粒子材の配合比を下記のように変更した。
<粗粒子材>
・マグネシア質材の粗粒子材 5質量部
・アルミナ質材の粗粒子材 15質量部
・溶融石英質材の粗粒子材 25質量部
そして、上記の如く、原料である粗粒子材の配合比を変更した以外は実施例1と同様にして、実施例5の内張用定形耐火物を作製した。そして、作製された内張用定形耐火物の特性・性能を、上記した方法によって評価した。実施例5の内張用定形耐火物の評価結果を、原料の組成とともに表2~4に示す。
実施例1と同様な方法で成形用の坏土を調整する際に、原料である粗粒子材の配合比を下記のように変更した。
<粗粒子材>
・マグネシア質材の粗粒子材 5質量部
・アルミナ質材の粗粒子材 15質量部
・溶融石英質材の粗粒子材 25質量部
そして、上記の如く、原料である粗粒子材の配合比を変更した以外は実施例1と同様にして、実施例5の内張用定形耐火物を作製した。そして、作製された内張用定形耐火物の特性・性能を、上記した方法によって評価した。実施例5の内張用定形耐火物の評価結果を、原料の組成とともに表2~4に示す。
[比較例1]
実施例1と同様な方法で成形用の坏土を調整する際に、原料である粗粒子材、中粒子材、微粒子材の配合比を下記のように変更した。
<粗粒子材>
・マグネシア質材の粗粒子材 45質量部
<中粒子材>
・マグネシア質材の中粒子材 25質量部
<微粒子材>
・マグネシア質材の中粒子材 30質量部
そして、上記の如く、原料である粗粒子材、中粒子材、微粒子材の配合比を変更した以外は実施例1と同様にして、比較例1の内張用定形耐火物を作製した。そして、作製された内張用定形耐火物の特性・性能を、上記した方法によって評価した。比較例1の内張用定形耐火物の評価結果を、原料の組成とともに表2~4に示す。
実施例1と同様な方法で成形用の坏土を調整する際に、原料である粗粒子材、中粒子材、微粒子材の配合比を下記のように変更した。
<粗粒子材>
・マグネシア質材の粗粒子材 45質量部
<中粒子材>
・マグネシア質材の中粒子材 25質量部
<微粒子材>
・マグネシア質材の中粒子材 30質量部
そして、上記の如く、原料である粗粒子材、中粒子材、微粒子材の配合比を変更した以外は実施例1と同様にして、比較例1の内張用定形耐火物を作製した。そして、作製された内張用定形耐火物の特性・性能を、上記した方法によって評価した。比較例1の内張用定形耐火物の評価結果を、原料の組成とともに表2~4に示す。
[比較例2]
実施例1と同様な方法で成形用の坏土を調整する際に、原料である粗粒子材、中粒子材、微粒子材の配合比を下記のように変更した。
<粗粒子材>
・マグネシア質材の粗粒子材 30質量部
・アルミナ質材の粗粒子材 15質量部
<中粒子材>
・マグネシア質材の中粒子材 25質量部
<微粒子材>
・マグネシア質材の中粒子材 30質量部
そして、上記の如く、原料である粗粒子材、中粒子材、微粒子材の配合比を変更した以外は実施例1と同様にして、比較例2の内張用定形耐火物を作製した。そして、作製された内張用定形耐火物の特性・性能を、上記した方法によって評価した。比較例2の内張用定形耐火物の評価結果を、原料の組成とともに表2~4に示す。
実施例1と同様な方法で成形用の坏土を調整する際に、原料である粗粒子材、中粒子材、微粒子材の配合比を下記のように変更した。
<粗粒子材>
・マグネシア質材の粗粒子材 30質量部
・アルミナ質材の粗粒子材 15質量部
<中粒子材>
・マグネシア質材の中粒子材 25質量部
<微粒子材>
・マグネシア質材の中粒子材 30質量部
そして、上記の如く、原料である粗粒子材、中粒子材、微粒子材の配合比を変更した以外は実施例1と同様にして、比較例2の内張用定形耐火物を作製した。そして、作製された内張用定形耐火物の特性・性能を、上記した方法によって評価した。比較例2の内張用定形耐火物の評価結果を、原料の組成とともに表2~4に示す。
[比較例3]
実施例1と同様な方法で成形用の坏土を調整する際に、原料である粗粒子材、中粒子材の配合比を下記のように変更した。
<粗粒子材>
・マグネシア質材の粗粒子材 30質量部
・アルミナ質材の粗粒子材 15質量部
<中粒子材>
・マグネシア質材の中粒子材 15質量部
・アルミナ質材の中粒子材 10質量部
そして、上記の如く、原料である粗粒子材、中粒子材の配合比を変更した以外は実施例1と同様にして、比較例3の内張用定形耐火物を作製した。そして、作製された内張用定形耐火物の特性・性能を、上記した方法によって評価した。比較例3の内張用定形耐火物の評価結果を、原料の組成とともに表2~4に示す。
実施例1と同様な方法で成形用の坏土を調整する際に、原料である粗粒子材、中粒子材の配合比を下記のように変更した。
<粗粒子材>
・マグネシア質材の粗粒子材 30質量部
・アルミナ質材の粗粒子材 15質量部
<中粒子材>
・マグネシア質材の中粒子材 15質量部
・アルミナ質材の中粒子材 10質量部
そして、上記の如く、原料である粗粒子材、中粒子材の配合比を変更した以外は実施例1と同様にして、比較例3の内張用定形耐火物を作製した。そして、作製された内張用定形耐火物の特性・性能を、上記した方法によって評価した。比較例3の内張用定形耐火物の評価結果を、原料の組成とともに表2~4に示す。
[比較例4]
実施例1と同様な方法で成形用の坏土を調整する際に、原料である粗粒子材、中粒子材の配合比を下記のように変更した。
<粗粒子材>
・マグネシア質材の粗粒子材 15質量部
・アルミナ質材の粗粒子材 15質量部
・溶融石英質材の粗粒子材 15質量部
<中粒子材>
・マグネシア質材の中粒子材 10質量部
・アルミナ質材の中粒子材 10質量部
・溶融石英質材の中粒子材 5質量部
そして、上記の如く、原料である粗粒子材、中粒子材の配合比を変更した以外は実施例1と同様にして、比較例4の内張用定形耐火物を作製した。そして、作製された内張用定形耐火物の特性・性能を、上記した方法によって評価した。比較例4の内張用定形耐火物の評価結果を、原料の組成とともに表2~4に示す。
実施例1と同様な方法で成形用の坏土を調整する際に、原料である粗粒子材、中粒子材の配合比を下記のように変更した。
<粗粒子材>
・マグネシア質材の粗粒子材 15質量部
・アルミナ質材の粗粒子材 15質量部
・溶融石英質材の粗粒子材 15質量部
<中粒子材>
・マグネシア質材の中粒子材 10質量部
・アルミナ質材の中粒子材 10質量部
・溶融石英質材の中粒子材 5質量部
そして、上記の如く、原料である粗粒子材、中粒子材の配合比を変更した以外は実施例1と同様にして、比較例4の内張用定形耐火物を作製した。そして、作製された内張用定形耐火物の特性・性能を、上記した方法によって評価した。比較例4の内張用定形耐火物の評価結果を、原料の組成とともに表2~4に示す。
[比較例5]
実施例1と同様な方法で成形用の坏土を調整する際に、原料である粗粒子材、微粒子材の配合比を下記のように変更した。
<粗粒子材>
・マグネシア質材の粗粒子材 15質量部
・アルミナ質材の粗粒子材 15質量部
・溶融石英質材の粗粒子材 15質量部
<微粒子材>
・マグネシア質材の微粒子材 10質量部
・アルミナ質材の微粒子材 15質量部
・溶融石英質材の微粒子材 5質量部
そして、上記の如く、原料である粗粒子材、微粒子材の配合比を変更した以外は実施例1と同様にして、比較例5の内張用定形耐火物を作製した。そして、作製された内張用定形耐火物の特性・性能を、上記した方法によって評価した。比較例5の内張用定形耐火物の評価結果を、原料の組成とともに表2~4に示す。
実施例1と同様な方法で成形用の坏土を調整する際に、原料である粗粒子材、微粒子材の配合比を下記のように変更した。
<粗粒子材>
・マグネシア質材の粗粒子材 15質量部
・アルミナ質材の粗粒子材 15質量部
・溶融石英質材の粗粒子材 15質量部
<微粒子材>
・マグネシア質材の微粒子材 10質量部
・アルミナ質材の微粒子材 15質量部
・溶融石英質材の微粒子材 5質量部
そして、上記の如く、原料である粗粒子材、微粒子材の配合比を変更した以外は実施例1と同様にして、比較例5の内張用定形耐火物を作製した。そして、作製された内張用定形耐火物の特性・性能を、上記した方法によって評価した。比較例5の内張用定形耐火物の評価結果を、原料の組成とともに表2~4に示す。
[比較例6]
実施例1と同様な方法で成形用の坏土を調整する際に、原料である粗粒子材の配合比を下記のように変更した。
<粗粒子材>
・アルミナ質材の粗粒子材 15質量部
・溶融石英質材の粗粒子材 30質量部
そして、上記の如く、原料である粗粒子材の配合比を変更した以外は実施例1と同様にして、比較例6の内張用定形耐火物を作製した。そして、作製された内張用定形耐火物の特性・性能を、上記した方法によって評価した。比較例6の内張用定形耐火物の評価結果を、原料の組成とともに表2~4に示す。
実施例1と同様な方法で成形用の坏土を調整する際に、原料である粗粒子材の配合比を下記のように変更した。
<粗粒子材>
・アルミナ質材の粗粒子材 15質量部
・溶融石英質材の粗粒子材 30質量部
そして、上記の如く、原料である粗粒子材の配合比を変更した以外は実施例1と同様にして、比較例6の内張用定形耐火物を作製した。そして、作製された内張用定形耐火物の特性・性能を、上記した方法によって評価した。比較例6の内張用定形耐火物の評価結果を、原料の組成とともに表2~4に示す。
表2~4から、粗粒子材としてマグネシア質材、アルミナ質材および溶融石英質材からなるものを用い、中粒子材、微粒子材としてマグネシア質材およびアルミナ質材からなるもののみを用いるとともに、主原料中のマグネシア質材、アルミナ質材および溶融石英質材の含有量を所定の割合(請求項1で特定された割合)に調整した実施例1~5の内張用定形耐火物は、いずれも、耐熱衝撃性、耐食性、耐久性(実炉での耐久性)とも良好であることが分かる。
これに対して、溶融石英質材を用いていない比較例1~3の内張用定形耐火物は、耐熱衝撃性、耐食性(耐浸透性)、耐久性とも不良であることが分かる。また、中粒子材として溶融石英質材を用いた比較例4の内張用定形耐火物は、耐食性(耐溶損性)が不良であることが分かる。一方、微粒子材として溶融石英質材を用いた比較例5の内張用定形耐火物や、粗粒子材としてマグネシア質材からなるものを用いていない比較例6の内張用定形耐火物は、耐食性(耐溶損性)および耐久性が不良であることが分かる。
本発明に係る内張用定形耐火物は、上記の如く優れた効果を奏するものであるので、電気式誘導炉の内張り用の炉材として好適に用いることができる。また、本発明に係る内張用定形耐火物を用いた電気式誘導炉の築炉方法は、電気式誘導炉に耐久性の良好な内張層を効率的に形成するための方法として好適に用いることができる。
K・・高周波誘導炉
B・・炉本体
C・・電気誘導コイル
P・・保護層
H・・絶縁・断熱層
I・・内張層
r・・不定形耐火物層
R・・内張用定形耐火物
B・・炉本体
C・・電気誘導コイル
P・・保護層
H・・絶縁・断熱層
I・・内張層
r・・不定形耐火物層
R・・内張用定形耐火物
Claims (3)
- 金属類の溶解、精錬に用いられる電気式誘導炉を内張りするために用いられる定形状の耐火物であって、
マグネシア質材、アルミナ質材および溶融石英質材を主原料として形成されており、それらの主原料の含有率が90質量%以上であり、かつ、
前記主原料が、粒子径が1.0mm以上の粗粒子材と、粒子径が0.1mm以上の1.0mm未満の中粒子材と、粒子径が0.1mm未満の微粒子材とを混合したものであるとともに、
前記粗粒子材が、溶融石英質からなる粗粒子材と、マグネシア質材からなる粗粒子材と、アルミナ質材からなる粗粒子材とを含有するものであり、
前記中粒子材が、マグネシア質材からなる中粒子材と、アルミナ質材からなる中粒子材とを含有するものであり、
前記微粒子材が、マグネシア質材からなる微粒子材と、アルミナ質材からなる微粒子材とを含有するものであり、なおかつ、
前記主原料中のマグネシア質材の含有量が35質量%以上65質量%未満であり、主原料中のアルミナ質材の含有量が20質量%以上50質量%未満であるとともに、主原料中の溶融石英質材の含有量が5質量%以上30質量%未満であることを特徴とする電気式誘導炉の内張用定形耐火物。 - 気孔率が10%以上20%未満であり、圧縮強さが250kg/cm2以上800kg/cm2未満であることを特徴とする請求項1に記載の電気式誘導炉の内張用定形耐火物。
- 請求項1、または2に記載の内張用定形耐火物を用いた電気式誘導炉の築炉方法であって、
前記内張用定形耐火物を炉本体の内側に周状に設置した後、前記炉本体と前記内張用定形耐火物との間隙に不定形耐火物を充填し、その充填された不定形耐火物を押圧する工程を有することを特徴とする電気式誘導炉の築炉方法。
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