JP2022183969A - 成膜方法および成膜装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】グラフェン膜に対する窒素ドープの位置の割合を制御できる成膜方法および成膜装置を提供する。【解決手段】成膜方法は、グラフェン膜を成膜する成膜方法であって、基板を処理容器内に搬入する搬入工程と、炭素含有ガスを含む第1の処理ガスのプラズマで、基板上にグラフェン膜を形成する第1工程と、ドーパントガスを含む第2の処理ガスのプラズマで、基板およびグラフェン膜のうち1つまたは複数の上に、ドープグラフェン膜を形成する第2工程と、を有する。【選択図】図5

Description

本開示は、成膜方法および成膜装置に関する。
近年、金属窒化膜に代わる新たな薄膜バリア層材料としてグラフェン膜が提案されている。グラフェン成膜技術では、例えば、マイクロ波プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)装置を用いて、高ラジカル密度・低電子温度にてグラフェン成膜を行うことにより、グラフェン膜をシリコン基板や絶縁膜等の上に直接形成することが提案されている(例えば特許文献1)。また、CH4およびN2を含有するプラズマを基材に照射して、基材上に窒素ドープグラフェン膜を生成させることが提案されている(例えば特許文献2)。
特開2019-055887号公報 国際公開第2017/213045号
本開示は、グラフェン膜に対する窒素ドープの位置の割合を制御できる成膜方法および成膜装置を提供する。
本開示の一態様による成膜方法は、グラフェン膜を成膜する成膜方法であって、基板を処理容器内に搬入する搬入工程と、炭素含有ガスを含む第1の処理ガスのプラズマで、基板上にグラフェン膜を形成する第1工程と、ドーパントガスを含む第2の処理ガスのプラズマで、基板およびグラフェン膜のうち1つまたは複数の上に、ドープグラフェン膜を形成する第2工程と、を有する。
本開示によれば、グラフェン膜に対する窒素ドープの位置の割合を制御できる。
図1は、本開示の一実施形態における成膜装置の一例を示す概略断面図である。 図2は、グレインバウンダリの一例を示す図である。 図3は、グレインにおける窒素ドープの位置を説明する図である。 図4は、本実施形態におけるシーケンスごとの各工程の組合せの一例を示す図である。 図5は、本実施形態における成膜処理の一例を示すフローチャートである。 図6は、本実施形態におけるシーケンスSE3の一部の成膜処理の一例を示すフローチャートである。 図7は、本実施形態における成膜処理の一例を示すフローチャートである。 図8は、本実施形態における成膜処理の一例を示すフローチャートである。 図9は、シーケンスSE1の実験結果の一例を示す図である。 図10は、シーケンスSE2の実験結果の一例を示す図である。 図11は、シーケンスSE1とシーケンスSE2の実験結果の比較の一例を示す図である。 図12は、シーケンスSE3の実験結果の一例を示す図である。 図13は、シーケンスSE4の実験結果の一例を示す図である。 図14は、シーケンスSE4の実験結果の一例を示す図である。 図15は、シーケンスSE4の実験結果の一例を示す図である。 図16は、シーケンスSE4とシーケンスSE8の実験結果の比較の一例を示す図である。 図17は、シーケンスSE9とシーケンスSE10の実験結果の比較の一例を示す図である。
以下に、開示する成膜方法および成膜装置の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態により開示技術が限定されるものではない。
窒素ドープグラフェン膜では、窒素原子の置換位置が大きく3種類に分類できる。1つ目は、3つの六員環の中心の炭素原子が窒素原子で置換されたグラフィティック(Graphitic)型である。2つ目は、グレイン端部の六員環の端の炭素原子が窒素原子で置換されたピリジニック(Pyridinic)型である。3つ目は、六員環の端の炭素原子が窒素原子で置換され、さらに五員環になったピロリック(Pyrrolic)型である。これらのグラフィティック型、ピリジニック型およびピロリック型の割合、つまり、グラフェン膜に対する窒素ドープの位置の割合を制御することは困難である。そこで、グラフェン膜に対する窒素ドープの位置の割合を制御することが期待されている。
[成膜装置1の構成]
図1は、本開示の一実施形態における成膜装置の一例を示す概略断面図である。図1に例示される成膜装置1は、例えばRLSA(登録商標)マイクロ波プラズマ方式のプラズマ処理装置として構成される。なお、成膜装置1は、基板処理装置の一例である。
成膜装置1は、装置本体10と、装置本体10を制御する制御部11とを備える。装置本体10は、チャンバ101と、ステージ102と、マイクロ波導入機構103と、ガス供給機構104と、排気機構105とを有する。
チャンバ101は、略円筒状に形成されており、チャンバ101の底壁101aの略中央部には開口部110が形成されている。底壁101aには、開口部110と連通し、下方に向けて突出する排気室111が設けられている。チャンバ101の側壁101sには、基板(以下、ウエハともいう。)Wが通過する開口部117が形成されており、開口部117は、ゲートバルブ118によって開閉される。なお、チャンバ101は、処理容器の一例である。
ステージ102には、処理対象となる基板Wが載せられる。ステージ102は、略円板状をなしており、AlN等のセラミックスによって形成されている。ステージ102は、排気室111の底部略中央から上方に延びる円筒状のAlN等のセラミックスからなる支持部材112により支持されている。ステージ102の外縁部には、ステージ102に載せられた基板Wを囲むようにエッジリング113が設けられている。また、ステージ102の内部には、基板Wを昇降するための昇降ピン(図示せず)がステージ102の上面に対して突没可能に設けられている。
さらに、ステージ102の内部には抵抗加熱型のヒータ114が埋め込まれており、ヒータ114はヒータ電源115から給電される電力に応じてステージ102に載せられた基板Wを加熱する。また、ステージ102には、熱電対(図示せず)が挿入されており、熱電対からの信号に基づいて、基板Wの温度を、例えば350~850℃に制御可能となっている。さらに、ステージ102内において、ヒータ114の上方には、基板Wと同程度の大きさの電極116が埋設されており、電極116には、バイアス電源119が電気的に接続されている。バイアス電源119は、予め定められた周波数および大きさのバイアス電力を電極116に供給する。電極116に供給されたバイアス電力により、ステージ102に載せられた基板Wにイオンが引き込まれる。なお、バイアス電源119はプラズマ処理の特性によっては設けられなくてもよい。
マイクロ波導入機構103は、チャンバ101の上部に設けられており、アンテナ121と、マイクロ波出力部122と、マイクロ波伝送機構123とを有する。アンテナ121には、貫通孔である多数のスロット121aが形成されている。マイクロ波出力部122は、マイクロ波を出力する。マイクロ波伝送機構123は、マイクロ波出力部122から出力されたマイクロ波をアンテナ121に導く。
アンテナ121の下方には誘電体で形成された誘電体窓124が設けられている。誘電体窓124は、チャンバ101の上部にリング状に設けられた支持部材132に支持されている。アンテナ121の上には、遅波板126が設けられている。アンテナ121の上にはシールド部材125が設けられている。シールド部材125の内部には、図示しない流路が設けられており、シールド部材125は、流路内を流れる水等の流体によりアンテナ121、誘電体窓124および遅波板126を冷却する。
アンテナ121は、例えば表面が銀または金メッキされた銅板またはアルミニウム板等で形成されており、マイクロ波を放射するための複数のスロット121aが予め定められたパターンで配置されている。スロット121aの配置パターンは、マイクロ波が均等に放射されるように適宜設定される。好適なパターンの例としては、T字状に配置された2つのスロット121aを一対として複数対のスロット121aが同心円状に配置されているラジアルラインスロットを挙げることができる。スロット121aの長さや配列間隔は、マイクロ波の実効波長(λg)に応じて適宜決定される。また、スロット121aは、円形状、円弧状等の他の形状であってもよい。さらに、スロット121aの配置形態は特に限定されず、同心円状の他、例えば、螺旋状、放射状に配置されてもよい。スロット121aのパターンは、所望のプラズマ密度分布が得られるマイクロ波放射特性となるように、適宜設定される。
遅波板126は、石英、セラミックス(Al2O3)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド等の真空よりも大きい誘電率を有する誘電体で形成されている。遅波板126は、マイクロ波の波長を真空中より短くしてアンテナ121を小さくする機能を有している。なお、誘電体窓124も同様の誘電体で構成されている。
誘電体窓124および遅波板126の厚さは、遅波板126、アンテナ121、誘電体窓124、および、プラズマで形成される等価回路が共振条件を満たすように調整される。遅波板126の厚さを調整することにより、マイクロ波の位相を調整することができる。アンテナ121の接合部が定在波の「腹」になるように遅波板126の厚さを調整することにより、マイクロ波の反射が極小化され、マイクロ波の放射エネルギーを最大とすることができる。また、遅波板126と誘電体窓124を同じ材質とすることにより、マイクロ波の界面反射を防止することができる。
マイクロ波出力部122は、マイクロ波発振器を有している。マイクロ波発振器は、マグネトロン型であってもよく、ソリッドステート型であってもよい。マイクロ波発振器によって生成されるマイクロ波の周波数は、例えば300MHz~10GHzの周波数である。一例として、マイクロ波出力部122は、マグネトロン型のマイクロ波発振器により、2.45GHzのマイクロ波を出力する。マイクロ波は、電磁波の一例である。
マイクロ波伝送機構123は、導波管127と、同軸導波管128とを有する。なお、さらにモード変換機構を有してもよい。導波管127は、マイクロ波出力部122から出力されたマイクロ波を導く。同軸導波管128は、アンテナ121の中心に接続された内導体、および、その外側の外導体を含む。モード変換機構は、導波管127と同軸導波管128との間に設けられている。マイクロ波出力部122から出力されたマイクロ波は、TEモードで導波管127内を伝播し、モード変換機構によってTEモードからTEMモードへ変換される。TEMモードに変換されたマイクロ波は、同軸導波管128を介して遅波板126に伝搬し、遅波板126からアンテナ121のスロット121a、および、誘電体窓124を介してチャンバ101内に放射される。なお、導波管127の途中には、チャンバ101内の負荷(プラズマ)のインピーダンスをマイクロ波出力部122の出力インピーダンスに整合させるためのチューナ(図示せず)が設けられている。
ガス供給機構104は、チャンバ101の内壁に沿ってリング状に設けられたシャワーリング142を有する。シャワーリング142は、内部に設けられたリング状の流路166と、流路166に接続されその内側に開口する多数の吐出口167とを有する。流路166には、配管161を介してガス供給部163が接続されている。ガス供給部163には、複数のガスソースおよび複数の流量制御器が設けられている。一実施形態において、ガス供給部163は、少なくとも1つの処理ガスを、対応するガスソースから対応の流量制御器を介してシャワーリング142に供給するように構成されている。シャワーリング142に供給されたガスは、複数の吐出口167からチャンバ101内に供給される。
また、基板W上にグラフェン膜が成膜される場合、ガス供給部163は、予め定められた流量に制御された炭素含有ガス、水素含有ガス、および希ガスをシャワーリング142を介してチャンバ101内に供給する。本実施形態において、炭素含有ガスとは、例えばC2H2ガスである。なお、C2H2ガスに代えて、または、C2H2ガスに加えて、C2H4ガス、CH4ガス、C2H6ガス、C3H8ガス、またはC3H6ガス等が用いられてもよい。また、本実施形態において、水素含有ガスとは、例えば水素ガスである。なお、水素ガスに代えて、または、水素ガスに加えて、F2(フッ素)ガス、Cl2(塩素)ガス、またはBr2(臭素)ガス等のハロゲン系ガスが用いられてもよい。また、本実施形態において、希ガスとは、例えばArガスである。Arガスに代えて、Heガス等の他の希ガスが用いられてもよい。
排気機構105は、排気室111と、排気室111の側壁に設けられた排気管181と、排気管181に接続された排気装置182とを有する。排気装置182は、真空ポンプおよび圧力制御バルブ等を有する。
制御部11は、メモリ、プロセッサ、および入出力インターフェイスを有する。メモリには、プロセッサによって実行されるプログラム、および、各処理の条件等を含むレシピが格納されている。プロセッサは、メモリから読み出したプログラムを実行し、メモリ内に記憶されたレシピに基づいて、入出力インターフェイスを介して、装置本体10の各部を制御する。
例えば、制御部11は、後述する成膜方法を行うように、成膜装置1の各部を制御する。詳細な一例を挙げると、制御部11は、基板(ウエハ)Wをチャンバ101内に搬入する搬入工程を実行する。制御部11は、炭素含有ガスを含む第1の処理ガスのプラズマで、基板上にグラフェン膜を形成する第1工程を実行する。制御部11は、ドーパントガスを含む第2の処理ガスのプラズマで、基板およびグラフェン膜のうち1つまたは複数の上に、ドープグラフェン膜を形成する第2工程を実行する。ここで、炭素含有ガスは、ガス供給部163から供給されるアセチレン(C2H2)ガスを用いることができる。また、ドーパントガスは、ガス供給部163から供給されるN2ガスを用いることができる。また、炭素含有ガスはアセチレンに限るものではない。例えば、エチレン(C2H4)、メタン(CH4)、エタン(C2H6)、プロパン(C3H8)、プロピレン(C3H6)、アセチレン(C2H2)等の炭化水素ガス、ベンゼン(C6H6)、トルエン(C7H8)、エチルベンゼン(C8H10)、スチレン(C8H8)、シクロヘキサン(C6H12)等の環式炭化水素ガス、さらには、炭素含有ガスとして、メタノール(CH3OH)、エタノール(C2H5OH)等のアルコール類が用いられてもよい。また、ドーパントガスはN2に限るものではない。例えば、アンモニア(NH3)を用いてもよい。また、ドーパントガスは、窒素含有ガスに限るものでない。例えば、ホウ素含有ガスでもよい。
[グレインバウンダリ]
次に、図2を用いてグラフェン膜におけるグレインバウンダリについて説明する。図2は、グレインバウンダリの一例を示す図である。図2に示すウエハ12は、シリコン基板13上にグラフェン膜14を成膜した状態を表している。このとき、グラフェン膜14には、グレインバウンダリ(結晶粒界)15が発生する場合がある。グラフェン膜14にグレインバウンダリ15が発生することで、グラフェン単膜でのバリア性の確保が難しくなる場合がある。つまり、グレインバウンダリ15がディフュージョンパスとなり、シリコン基板13から元素が拡散したり、グラフェン膜14の上にさらに成膜した金属含有膜からシリコン基板13側へと元素が拡散したりする。グレインバウンダリ15の発生を抑制するには、グラフェンに他の元素をドープすることでディフュージョンパスを減少させることが考えられる。そこで、本実施形態では、窒素をドープした窒素ドープグラフェン膜を生成する。なお、グラフェン膜への他の元素のドープとしては、窒素に代えてホウ素をドープしてもよいし、窒素およびホウ素をドープするようにしてもよい。
[窒素ドープの位置]
続いて、図3を用いて窒素ドープの位置について説明する。図3は、グレインにおける窒素ドープの位置を説明する図である。図3に示すように、グレイン20には、グラフィティック型21、ピロリック型22、ピリジニック型23、および、ピリジニック酸化物型24が含まれる。上述のように、グラフィティック型21は、3つの六員環の中心の炭素原子が窒素原子で置換された型である。ピロリック型22は、六員環の端の炭素原子が窒素原子で置換され、さらに五員環になった型である。ピリジニック型23は、グレイン20の端部の六員環において、六員環の端の炭素原子が窒素原子で置換された型である。ピリジニック酸化物型24は、ピリジニック型23の窒素原子が酸素原子を伴って酸化物となっている型である。なお、以下の説明では、グラフィティック型21を「N-Graphitic」、ピロリック型22を「N-pyrrolic」、ピリジニック型23を「N-pyridinic」、ピリジニック酸化物型24を「N-Pyridine oxide」と表す場合がある。
[シーケンス一覧]
次に、図4を用いて成膜処理の各工程の組合せをシーケンス一覧として説明する。図4は、本実施形態におけるシーケンスごとの各工程の組合せの一例を示す図である。図4に示す表30は、成膜処理の第1工程から第4工程までの組合せをシーケンスSE1~SE11として示す。表30では、レ点を付した工程を実行するものとしている。なお、以下の説明では、ドーパントガスとしてN2ガスを用いる場合について説明する。
第1工程は、炭素含有ガスを含む第1の処理ガスのプラズマで、基板W上にグラフェン膜を形成する工程である。第2工程は、N2ガスを含む第2の処理ガスのプラズマで、基板Wおよびグラフェン膜のうち1つまたは複数の上に、ドープグラフェン膜を形成する工程である。
第3工程は、N2ガスとArガスとを含む第3の処理ガスのプラズマで、グラフェン膜およびドープグラフェン膜のうち1つまたは複数の膜を処理する工程である。第4工程は、N2ガスを含みArガスを含まない第4の処理ガスのプラズマで、グラフェン膜およびドープグラフェン膜のうち1つまたは複数の膜を処理する工程である。なお、第3工程および第4工程は、基板W上のグラフェン膜およびドープグラフェン膜のうち1つまたは複数の膜の表面に対して改質を行う工程である。改質を行うことで、基板W上のグラフェン膜およびドープグラフェン膜に窒素をドープすることができる。
シーケンスSE1は、基板Wをチャンバ101内に搬入した後、第2工程のみを行って基板W上にドープグラフェン膜を形成した後、基板Wを搬出するシーケンスである。
シーケンスSE2は、基板Wをチャンバ101内に搬入した後、第1工程を行って基板W上にグラフェン膜を形成し、第2工程を行ってグラフェン膜の上にドープグラフェン膜を形成し、基板Wを搬出するシーケンスである。
シーケンスSE3は、基板Wをチャンバ101内に搬入した後、第2工程として、第1のドーパントガス(N2ガス)を間欠的に供給する第2の処理ガスのプラズマで、ドープグラフェン膜を形成するサイクル処理を行って基板W上にドープグラフェン膜を形成し、基板Wを搬出するシーケンスである。なお、シーケンスSE3では、基板Wをチャンバ101内に搬入した後に、第1工程を終えてから、第2工程のサイクル処理を行うようにしてもよい。
シーケンスSE4は、基板Wをチャンバ101内に搬入した後、第1工程を行って基板W上にグラフェン膜を形成し、第3工程を行ってグラフェン膜に対して窒素をドープしてドープグラフェン膜を形成し、基板Wを搬出するシーケンスである。
シーケンスSE5は、基板Wをチャンバ101内に搬入した後、第2工程を行って基板Wの上にドープグラフェン膜を形成し、第3工程を行ってドープグラフェン膜に対して窒素をさらにドープし、基板Wを搬出するシーケンスである。
シーケンスSE6は、基板Wをチャンバ101内に搬入した後、第1工程を行って基板W上にグラフェン膜を形成し、第2工程を行ってグラフェン膜の上にドープグラフェン膜を形成し、第3工程を行ってドープグラフェン膜に対して窒素をさらにドープし、基板Wを搬出するシーケンスである。
シーケンスSE7は、基板Wをチャンバ101内に搬入した後、第2工程として、シーケンスSE3のサイクル処理を行って基板W上にドープグラフェン膜を形成し、第3工程を行ってドープグラフェン膜に対して窒素をさらにドープし、基板Wを搬出するシーケンスである。なお、シーケンスSE7では、基板Wをチャンバ101内に搬入した後に、第1工程を終えてから、第2工程として、シーケンスSE3のサイクル処理を行うようにしてもよい。
シーケンスSE8は、シーケンスSE4の第3工程の後に、第4工程を行ってグラフェン膜およびドープグラフェン膜のうち1つまたは複数の膜に対して窒素をドープしてドープグラフェン膜を形成し、基板Wを搬出するシーケンスである。なお、シーケンスSE8における第3工程は、第1工程からプラズマを維持したまま第4工程に移行しても構わない。
シーケンスSE9は、シーケンスSE5の第3工程の後に、第4工程を行ってドープグラフェン膜に対して窒素をさらにドープしてドープグラフェン膜を形成し、基板Wを搬出するシーケンスである。なお、シーケンスSE9における第3工程は、第2工程からプラズマを維持したまま第4工程に移行しても構わない。
シーケンスSE10は、シーケンスSE6の第3工程の後に、第4工程を行ってドープグラフェン膜に対して窒素をさらにドープしてドープグラフェン膜を形成し、基板Wを搬出するシーケンスである。なお、シーケンスSE10における第3工程は、第2工程からプラズマを維持したまま第4工程に移行しても構わない。
シーケンスSE11は、シーケンスSE7の第3工程の後に、第4工程を行ってドープグラフェン膜に対して窒素をさらにドープしてドープグラフェン膜を形成し、基板Wを搬出するシーケンスである。なお、シーケンスSE11における第3工程は、第2工程からプラズマを維持したまま第4工程に移行しても構わない。
[成膜方法]
<シーケンスSE2>
続いて、本実施形態に係る成膜処理について説明する。図5は、本実施形態における成膜処理の一例を示すフローチャートである。図5の成膜処理では、シーケンスSE2を一例として説明する。
本実施形態に係る成膜処理では、まず、制御部11は、ゲートバルブ118を制御することにより、開口部117を開放する。基板Wは、開口部117が開放されているときに、開口部117を介してチャンバ101の処理空間に搬入され、ステージ102に載置される。つまり、制御部11は、チャンバ101内に基板Wを搬入する(ステップS1)。制御部11は、ゲートバルブ118を制御することにより、開口部117を閉鎖する。
制御部11は、チャンバ101内の圧力を第1の圧力(例えば、5mTorr~1Torr。)に減圧する。また、制御部11は、基板Wの温度を所定の温度(例えば300℃以上。)となるように制御する。制御部11は、吐出口167から、プラズマ生成ガスである第1の処理ガスをチャンバ101に供給するよう制御する。第1の処理ガスは、炭素含有ガスを含むガスである。炭素含有ガスは、例えば、アセチレン(C2H2)を含むガスである。また、第1の処理ガスは水素ガスやアルゴンガスを含んでもよい。また、制御部11は、マイクロ波導入機構103のマイクロ波出力部122から出力されたマイクロ波をアンテナ121に導き、アンテナ121から放射させ、プラズマを着火させる。制御部11は、所定時間(例えば、5秒~60分。)、第1の処理ガスのプラズマにて第1工程を実行する(ステップS2)。第1工程では、基板W上にグラフェン膜が形成される。
制御部11は、第1工程が完了すると、第1の処理ガスのプラズマを維持した状態で、吐出口167から、プラズマ生成ガスである第2の処理ガスをチャンバ101に供給するよう制御する。第2の処理ガスは、例えば、第1の処理ガスとN2ガスとを含む混合ガスである。つまり、制御部11は、吐出口167から、第1の処理ガスをチャンバ101に供給しつつ、N2ガスをチャンバ101に供給するよう制御する。制御部11は、所定時間(例えば、5秒~60分。)、第2の処理ガスのプラズマにて第2工程を実行する(ステップS3)。なお、第2工程における第2の処理ガスの流量は、第1工程における第1の処理ガスの流量と異なる流量である。また、第2工程では、チャンバ101内の圧力を第2の圧力(例えば、5mTorr~1Torr。)に変更するようにしてもよい。第2工程では、グラフェン膜の上に、ドープグラフェン膜が形成される。
制御部11は、第2工程が完了すると、ゲートバルブ118を制御することにより、開口部117を開放する。制御部11は、図示しない昇降ピンをステージ102の上面から突出させて基板Wを持ち上げる。基板Wは、開口部117が開放されているときに、開口部117を介して図示しない搬送室のアームによりチャンバ101内から搬出される。つまり、制御部11は、チャンバ101内から基板Wを搬出するよう制御する(ステップS4)。制御部11は、基板Wの搬出が完了すると、成膜処理を終了する。なお、図5の成膜処理において、第1工程を省略した場合がシーケンスSE1となる。
制御部11は、基板Wを搬出した後、チャンバ101内をクリーニングするクリーニング工程を実行してもよい。クリーニング工程では、ダミーウエハをステージ102に載置してクリーニングガスをチャンバ101内に供給し、チャンバ101の内壁に付着したアモルファスカーボン膜等のカーボン膜をクリーニングする。なお、クリーニングガスとしてはO2ガスを用いることができるが、COガス、CO2ガス等の酸素を含むガスであってもよい。また、クリーニングガスは、Arガス等の希ガスが含まれていてもよい。また、ダミーウエハはなくてもよい。クリーニング工程は、処理ごとに実施してもよいし、特定の処理枚数ごとに実施してもよい。
<シーケンスSE3>
次に、図6を用いて、シーケンスSE3について説明する。図6は、本実施形態におけるシーケンスSE3の一部の成膜処理の一例を示すフローチャートである。シーケンスSE3は、シーケンスSE2の成膜処理のステップ3(第2工程)において、サイクル処理することが相違する。ここでは、相違するサイクル処理について説明し、その他のステップは、シーケンスSE2と同様であるので、その説明を省略する。
制御部11は、ステップS2の第1工程が完了すると、吐出口167から、炭素含有ガスおよび第1の流量のH2ガスを含む第1の処理ガスのプラズマを維持した状態で、所定時間(例えば5秒。)プラズマ処理を実行する(ステップS31)。次に、制御部11は、吐出口167から、第1の処理ガスのH2ガスの流量を第1の流量から第2の流量に変更(例えば、第1の流量より大きい第2の流量に変更)し、H2ガスの流量を変更した第1の処理ガスのプラズマにて、所定時間(例えば5秒。)プラズマ処理を実行する(ステップS32)。第1の流量のH2ガスは、例えば0~100sccmであり、第2の流量のH2ガスは、例えば、0~100sccmである。
次に、制御部11は、吐出口167から、第1の処理ガスのH2ガスの流量を第1の流量に変更し、第1の処理ガスとN2ガスとを含む混合ガスをチャンバ101に供給するよう制御する。つまり、制御部11は、吐出口167から、第1の処理ガスをチャンバ101に供給しつつ、N2ガスをチャンバ101に供給するよう制御する。このとき、N2ガスの流量は、例えば100sccmとする。制御部11は、第1の処理ガスとN2ガスとを含む混合ガスのプラズマにて、所定時間(例えば5秒。)プラズマ処理を実行する。そして、所定時間経過後にN2ガスの供給を停止する(ステップS33)。
制御部11は、ステップS31~S33の処理が所定サイクル(例えば6サイクル。)経過したか否かを判定する(ステップS34)。制御部11は、所定サイクル経過していないと判定した場合(ステップS34:No)、ステップS31に戻る。制御部11は、所定サイクル経過したと判定した場合(ステップS34:Yes)、サイクル処理を終了する。なお、以下の説明では、このサイクル処理のパターンをシーケンスSE3-Cと表す。
また、サイクル処理では、ステップS32のH2ガスの流量を変更した第1の処理ガスによるプラズマ処理を省略し、ステップS31とステップS33とを繰り返すようにしてもよい。以下の説明では、このサイクル処理のパターンをシーケンスSE3-Bと表す。
さらに、シーケンスSE2と同様な処理ステップのうち、ステップS2の第1工程と、サイクル処理のステップS32のH2ガスによるプラズマ処理とを省略してもよい。つまり、ステップS31とステップS33を繰り返すサイクル処理のみである。以下の説明では、このサイクル処理のパターンをシーケンスSE3-Aと表す。
<シーケンスSE6>
続いて、図7を用いて、シーケンスSE6における成膜処理について説明する。図7は、本実施形態における成膜処理の一例を示すフローチャートである。なお、シーケンスSE6では、成膜処理のステップS1~S4の処理は、シーケンスSE2と同様であるので、その説明を省略する。
制御部11は、ステップS3の第2工程が完了すると、第2の処理ガスのプラズマを維持した状態で、吐出口167から、プラズマ生成ガスである第3の処理ガスをチャンバ101に供給するよう制御する。第3の処理ガスは、例えば、N2ガスとArガスとを含む混合ガスである。制御部11は、所定時間(例えば、5秒~60分。)、第3の処理ガスのプラズマにて第3工程を実行する(ステップS11)。第3工程では、ドープグラフェン膜の表面に対してトリートメントが行われ、窒素がドープされる。なお、第3工程では、チャンバ101内の圧力を第3の圧力(例えば、5mTorr~5Torr。)に変更するようにしてもよい。制御部11は、第3工程が完了すると、ステップS4に進む。
なお、シーケンスSE6において、第2工程(ステップS3)を省略し、第1工程(ステップS2)から第3工程(ステップS11)に進むようにしてもよく、この場合がシーケンスSE4に相当する。この場合、第3工程では、グラフェン膜の表面に対して改質処理が行われ、窒素がドープされる。
また、シーケンスSE6において、第1工程(ステップS2)を省略し、基板Wをチャンバ101内に搬入した後、第2工程(ステップS3)に進むようにしてもよく、この場合がシーケンスSE5に相当する。この場合、第3工程(ステップS11)では、ドープグラフェン膜の表面に対して改質処理が行われ、窒素がドープされる。
また、シーケンスSE6において、第1工程(ステップS2)を省略し、第2工程(ステップS3)をシーケンスSE3の第2工程と同様にサイクル処理としてもよく、この場合がシーケンスSE7に相当する。この場合、第3工程(ステップS11)では、ドープグラフェン膜の表面に対して改質処理が行われ、窒素がドープされる。
<シーケンスSE10>
続いて、図8を用いて、シーケンスSE10における成膜処理について説明する。図8は、本実施形態における成膜処理の一例を示すフローチャートである。なお、シーケンスSE10では、成膜処理のステップS1~S5,S11の処理は、シーケンスSE6と同様であるので、その説明を省略する。
制御部11は、ステップS11の第3工程が完了すると、第3の処理ガスのプラズマを維持した状態で、吐出口167から、プラズマ生成ガスである第4の処理ガスをチャンバ101に供給するよう制御する。第4の処理ガスは、例えば、N2ガスを含みArガスを含まない混合ガスである。制御部11は、所定時間(例えば、5秒~60分。)、第4の処理ガスのプラズマにて第4工程を実行する(ステップS12)。第4工程では、ドープグラフェン膜の表面に対して改質処理が行われ、窒素がドープされる。なお、第4工程では、チャンバ101内の圧力を第4の圧力(例えば、5mTorr~5Torr。)に変更するようにしてもよい。制御部11は、第4工程が完了すると、ステップS4に進む。なお、シーケンスSE10におけるステップS11の第3工程の処理時間は、第2工程からプラズマを維持した状態で第4工程に移行できる時間(例えば、1秒~60分。)であればよい。
なお、シーケンスSE10において、第2工程(ステップS3)を省略し、第1工程(ステップS2)から第3工程(ステップS11)に進むようにしてもよく、この場合がシーケンスSE8に相当する。この場合、第3工程(ステップS11)および第4工程(ステップS12)では、グラフェン膜およびドープグラフェン膜のうち1つまたは複数の膜の表面に対して改質処理が行われ、窒素がドープされる。なお、第3工程の処理時間が短い場合には第3工程でドープグラフェン膜が生成されず、第4工程においてグラフェン膜に窒素をドープすることになる。
また、シーケンスSE10において、第1工程(ステップS2)を省略し、基板Wをチャンバ101内に搬入した後、第2工程(ステップS3)に進むようにしてもよく、この場合がシーケンスSE9に相当する。この場合、第3工程(ステップS11)および第4工程(ステップS12)では、ドープグラフェン膜の表面に対して改質処理が行われ、窒素がドープされる。なお、第3工程の処理時間が短い場合には第3工程でドープグラフェン膜が生成されず、第4工程においてグラフェン膜に窒素をドープすることになる。
また、シーケンスSE10において、第1工程(ステップS2)を省略し、第2工程(ステップS3)をシーケンスSE3の第2工程と同様にサイクル処理としてもよく、この場合がシーケンスSE11に相当する。この場合、第3工程(ステップS11)および第4工程(ステップS12)では、ドープグラフェン膜の表面に対して改質処理が行われ、窒素がドープされる。なお、第3工程の処理時間が短い場合には第3工程でドープグラフェン膜が生成されず、第4工程においてグラフェン膜に窒素をドープすることになる。
[実験結果]
次に、図9から図17を用いて実験結果について説明する。
<シーケンスSE1>
図9は、シーケンスSE1の実験結果の一例を示す図である。図9に示すグラフ31は、シーケンスSE1を行った基板Wのエッジ部分でフィッティングを行ったXPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy)測定の結果を示している。なお、グラフ31は、バックグラウンド成分を除いたデータである。シーケンスSE1では、炭素(C)に対するグラフェンにドープされた窒素(N)の比率(N/C ratio)は5.6%であった。グラフ32は、基板WのSi(シリコン)と反応したN(窒素)を示す。グラフ33は、ピリジニック型23を示す。グラフ34は、ピロリック型22を示す。グラフ35は、ピリジニック酸化物型24を示す。グラフ36は、グラフ32~35を加算したものである。
表37は、グラフ31の結果を纏めたものである。シーケンスSE1では、N2ガスの流量を100sccmとした。このとき、XPS測定の観察範囲における窒素の全体量(N atm%)は、4.30atm%であった。グラフ32に対応する窒素(N)は、全体量の44.68%であった。グラフ33に対応するピリジニック型23(N-pyridinic)は、全体量の27.46%であった。グラフ34に対応するピロリック型22(N-pyrrolic)は、全体量の19.15%であった。グラフィティック型21(N-Graphitic)は、全体量の0.00%であった。グラフ35に対応するピリジニック酸化物型24(N-Pyridine oxide)は、全体量の10.72%であった。なお、全体量の比率は、グラフ31における面積比に対応する。グラフ31および表37より、シーケンスSE1では、窒素の全体量に対応するグラフ32のピークが大きいが、ピリジニック型23、ピロリック型22およびピリジニック酸化物型24のピークがフィッティングで確認することができる。
<シーケンスSE2>
図10は、シーケンスSE2の実験結果の一例を示す図である。図10に示すグラフ40は、シーケンスSE2を行った基板Wのエッジ部分でフィッティングを行ったXPS測定の結果を示している。また、グラフ40は、バックグラウンド成分を除いたデータである。なお、シーケンスSE2では、N2ガスの流量が100sccmの場合において、炭素(C)に対する窒素(N)の比率(N/C ratio)は2.1%であった。グラフ41は、基板WのSi(シリコン)と反応したN(窒素)を示す。グラフ42は、ピリジニック型23を示す。グラフ43は、ピロリック型22を示す。グラフ44は、グラフィティック型21を示す。グラフ45は、ピリジニック酸化物型24を示す。グラフ46は、グラフ41~45を加算したものである。
表47は、N2ガスの流量が100sccmであるグラフ40の結果を纏めたもの(太枠内)、および、N2ガスの流量をそれぞれ200sccm、300sccmとした場合の同様の結果をまとめたものである。表47に示すように、N2ガスの流量が100sccmである場合、XPS測定の観察範囲における窒素の全体量(N atm%)は、1.75atm%であった。グラフ41に対応する窒素(N)は、全体量の24.09%であった。グラフ42に対応するピリジニック型23は、全体量の43.66%であった。グラフ43に対応するピロリック型22は、全体量の32.78%であった。グラフ44に対応するグラフィティック型21は、全体量の16.79%であった。グラフ45に対応するピリジニック酸化物型24は、全体量の7.69%であった。なお、全体量の比率は、グラフ40における面積比に対応する。
N2ガスの流量が200sccmである場合、XPS測定の観察範囲における窒素の全体量は、4.35atm%であった。基板WのSiと反応した窒素(N)は、全体量の21.13%であった。ピリジニック型23は、全体量の36.47%であった。ピロリック型22は、全体量の32.15%であった。グラフィティック型21は、全体量の11.91%であった。ピリジニック酸化物型24は、全体量の4.42%であった。
N2ガスの流量が300sccmである場合、XPS測定の観察範囲における窒素の全体量は、5.34atm%であった。基板WのSiと反応した窒素(N)は、全体量の21.12%であった。ピリジニック型23は、全体量の30.19%であった。ピロリック型22は、全体量の31.66%であった。グラフィティック型21は、全体量の21.95%であった。ピリジニック酸化物型24は、全体量の9.90%であった。グラフ40および表47より、シーケンスSE2では、N2ガスの流量を増加することで、窒素の全体量と、グラフィティック型21が増加した。また、N2ガスの流量によらず、窒素(N)、ピリジニック型23、ピロリック型22、ピリジニック酸化物型24は、大きな変化がなかった。
<シーケンスSE1とSE2の比較>
図11は、シーケンスSE1とシーケンスSE2の実験結果の比較の一例を示す図である。図11に示す表48は、シーケンスSE1とシーケンスSE2の実験結果を纏めたものである。表48に示すように、シーケンスSE1は第2工程の処理時間を80秒とし、シーケンスSE2は、第1工程の処理時間を48秒、第2工程の処理時間を30秒とした。また、N2ガスの流量は、いずれも100sccmとした。シーケンスSE1とシーケンスSE2の実験結果を比較すると、窒素のドープ量が異なり、窒素が置換されやすい場所が異なることがわかる。シーケンスSE2では、シーケンスSE1と比較して、基板WのSiと反応した窒素(N)、および、ピリジニック酸化物型24が少なく、ピリジニック型23、ピロリック型22、および、グラフィティック型21が多くなっている。
<シーケンスSE3>
図12は、シーケンスSE3の実験結果の一例を示す図である。図12に示す表50は、シーケンスSE3-A,SE3-B,SE3-Cの第1工程および第2工程について纏めたものである。第1工程は処理時間を20秒とし、第2工程のサイクルCY1~CY3は処理時間をそれぞれ5秒とした。また、サイクルCY2のH2ガスの流量は60sccm、サイクルCY3のN2ガスの流量は100sccmとした。表50において、○印は当該工程またはサイクルを実行し、×印は当該工程またはサイクルを実行しないことを示す。また、第2工程の所定サイクル数は、シーケンスSE3-Aが8サイクル、シーケンスSE3-B,SE3-Cが6サイクルとした。
グラフ51は、シーケンスSE3-A,SE3-B,SE3-Cをそれぞれ行った基板WのXPS測定の結果を示している。表52は、グラフ51の結果を纏めたものである。表52に示すように、シーケンスSE3-Aの場合、XPS測定の観察範囲における窒素の全体量(N atm%)は、25.09atm%であった。基板WのSiと反応した窒素(N)は、全体量の72.99%であった。ピリジニック型23は、全体量の27.66%であった。ピロリック型22は、全体量の0.09%であった。グラフィティック型21は、全体量の0.00%であった。ピリジニック酸化物型24は、全体量の0.00%であった。シーケンスSE3-Aは、膜中にNが取り込まれやすく(置換しているわけではない。)、ほとんどが基板WのSiと反応した窒素(N)であり、次点がピリジニック型23であった。
シーケンスSE3-Bの場合、XPS測定の観察範囲における窒素の全体量は、4.75atm%であった。基板WのSiと反応した窒素(N)は、全体量の41.76%であった。ピリジニック型23は、全体量の27.65%であった。ピロリック型22は、全体量の8.75%であった。グラフィティック型21は、全体量の9.27%であった。ピリジニック酸化物型24は、全体量の12.10%であった。シーケンスSE3-Bは、シーケンスSE3-A,SE3-Cよりも、ピリジニック酸化物型24が多くなった。
シーケンスSE3-Cの場合、XPS測定の観察範囲における窒素の全体量は、3.16atm%であった。基板WのSiと反応した窒素(N)は、全体量の22.59%であった。ピリジニック型23は、全体量の26.86%であった。ピロリック型22は、全体量の23.25%であった。グラフィティック型21は、全体量の22.39%であった。ピリジニック酸化物型24は、全体量の4.45%であった。シーケンスSE3-Cは、シーケンスSE3-A,SE3-Bよりも、グラフィティック型21が多くなった。
<シーケンスSE4>
図13から図15は、シーケンスSE4の実験結果の一例を示す図である。図13に示すグラフ53は、第1工程の処理時間を50秒とし、第3工程のチャンバ101内の圧力を1.0Torrとして、シーケンスSE4を行った基板WのXPS測定の結果を示している。また、グラフ53は、バックグラウンド成分を除いたデータである。グラフ54は、基板WのSi(シリコン)と反応したN(窒素)を示す。グラフ55は、ピリジニック型23を示す。グラフ56は、ピロリック型22を示す。グラフ57は、グラフィティック型21を示す。グラフ58は、ピリジニック酸化物型24を示す。グラフ59は、グラフ54~58を加算したものである。
表60は、グラフ53の結果を纏めたものである。表60に示すように、シーケンスSE4では、N2ガスの流量を100sccmとした。このとき、XPS測定の観察範囲における窒素の全体量(N atm%)は、8.7atm%であった。グラフ54に対応する窒素(N)は、全体量の13.8%であった。グラフ55に対応するピリジニック型23は、全体量の57.3%であった。グラフ56に対応するピロリック型22は、全体量の24.4%であった。グラフ57に対応するグラフィティック型21は、全体量の2.1%であった。グラフ58に対応するピリジニック酸化物型24は、全体量の3.5%であった。なお、全体量の比率は、グラフ53における面積比に対応する。グラフ53および表60より、シーケンスSE4では、ピリジニック型23が支配的であり、次にピロリック型22が多かった。
図14に示すグラフ61は、第3工程のチャンバ101内の圧力を0.1Torr、0.2Torr、0.4Torr、1.0Torrに変化させて、それぞれシーケンスSE4を行った基板Wのセンター部分でのXPS測定の結果を示している。なお、第3工程のチャンバ101内には、ArガスとN2ガスの混合ガスである第3の処理ガスが供給されている。また、第3工程の処理時間は、図13と同様に50秒としている。
表62は、グラフ61に対してフィッティングを行った結果を纏めたものである。表62に示すように、圧力が0.1Torrの場合、XPS測定の観察範囲における窒素の全体量(N atm%)は、8.8atm%であった。基板WのSiと反応した窒素(N)は、全体量の5.92%であった。ピリジニック型23は、全体量の67.24%であった。ピロリック型22は、全体量の10.91%であった。グラフィティック型21は、全体量の7.53%であった。ピリジニック酸化物型24は、全体量の9.39%であった。炭素(C)に対する窒素(N)の比率(N/C ratio)は、11.1%であった。
圧力が0.2Torrの場合、XPS測定の観察範囲における窒素の全体量は、7.1atm%であった。基板WのSiと反応した窒素(N)は、全体量の0.56%であった。ピリジニック型23は、全体量の66.01%であった。ピロリック型22は、全体量の21.02%であった。グラフィティック型21は、全体量の10.96%であった。ピリジニック酸化物型24は、全体量の3.56%であった。炭素(C)に対する窒素(N)の比率(N/C ratio)は、8.6%であった。
圧力が0.4Torrの場合、XPS測定の観察範囲における窒素の全体量は、6.8atm%であった。基板WのSiと反応した窒素(N)は、全体量の4.73%であった。ピリジニック型23は、全体量の59.92%であった。ピロリック型22は、全体量の23.41%であった。グラフィティック型21は、全体量の13.33%であった。ピリジニック酸化物型24は、全体量の0.78%であった。炭素(C)に対する窒素(N)の比率(N/C ratio)は、8.2%であった。
圧力が1.0Torrの場合、XPS測定の観察範囲における窒素の全体量は、8.7atm%であった。基板WのSiと反応した窒素(N)は、全体量の13.76%であった。ピリジニック型23は、全体量の57.31%であった。ピロリック型22は、全体量の24.39%であった。グラフィティック型21は、全体量の2.12%であった。ピリジニック酸化物型24は、全体量の3.53%であった。炭素(C)に対する窒素(N)の比率(N/C ratio)は、11.7%であった。
グラフ63は、炭素(C)に対する窒素(N)の比率(N/C ratio)をグラフ化したものである。グラフ63に示すように、第3工程のチャンバ101内の圧力変化に対して、炭素(C)に対する窒素(N)の比率(N/C atm% ratio)は大きく変化せず、圧力依存性はあまりないといえる。また、表62から、窒素の全体量も大きく変化せず、圧力依存性はあまりないといえる。
表62から、圧力がいずれの場合であっても、ピリジニック型23とピロリック型22が支配的であることがわかる。また、ピロリック型22は、圧力が上昇するとともに割合が増加している。
図15に示すグラフ64は、第1工程のみを実施した場合(Ref)と、第3工程のチャンバ101内の圧力を0.1Torr、0.2Torr、0.4Torr、1.0Torrに変化させた場合との基板Wのラマン分光法による測定結果である。ピーク65は、G-bandを示し、ピーク66はD-bandを示している。グラフ67は、ピーク65における各圧力による変化を示す。第1工程のみを実施した場合(Ref)におけるピーク65を基準値68とすると、第3工程の各圧力の測定結果69が、圧力の上昇とともにピークがシフトしていることがわかる。つまり、各圧力において、グラフェンが窒素と反応し、グラフェンの状態が変化していることがわかる。グラフ70は、基準値68と、各圧力におけるG/D Ratioと、基板Wのセンター部分の膜厚(Thickness of CTR)とを表したものである。なお、G/D Ratioは、D-bandに対するG-bandの比率である。グラフ70から、窒素ドープグラフェンではG/D Ratioが良いように見えるが、膜厚起因と考えられる。また、ドープグラフェン膜の表面には、明らかなダメージは見られなかった。
<シーケンスSE4とSE8の比較>
図16は、シーケンスSE4とシーケンスSE8の実験結果の比較の一例を示す図である。図16に示すグラフ71は、第1工程の処理時間を75秒とし、第3工程および第4工程のチャンバ101内の圧力を1.0Torrとして、シーケンスSE8を行った基板WのXPS測定の結果を示している。なお、グラフ71は、バックグラウンド成分を除いたデータである。グラフ72は、基板WのSi(シリコン)と反応したN(窒素)を示す。グラフ73は、ピリジニック型23を示す。グラフ74は、ピロリック型22を示す。グラフ75は、グラフィティック型21を示す。グラフ76は、ピリジニック酸化物型24を示す。グラフ77は、グラフ72~76を加算したものである。なお、シーケンスSE4のXPS測定の結果のグラフは、図13のグラフ53と同様であるので省略している。
表78は、シーケンスSE4とシーケンスSE8の結果を纏めたものである。表78に示すように、シーケンスSE4の場合、XPS測定の観察範囲における窒素の全体量(N atm%)は、8.7atm%であった。基板WのSiと反応した窒素(N)は、全体量の13.8%であった。ピリジニック型23は、全体量の57.3%であった。ピロリック型22は、全体量の24.4%であった。グラフィティック型21は、全体量の2.1%であった。ピリジニック酸化物型24は、全体量の3.5%であった。なお、シーケンスSE4は、第1工程の処理時間を75秒とし、第3工程のチャンバ101内の圧力を1.0Torrとしている。
シーケンスSE8の場合、XPS測定の観察範囲における窒素の全体量は、5.2atm%であった。グラフ72に対応する窒素(N)は、全体量の9.9%であった。グラフ73に対応するピリジニック型23は、全体量の50.7%であった。グラフ74に対応するピロリック型22は、全体量の29.7%であった。グラフ75に対応するグラフィティック型21は、全体量の14.5%であった。グラフ76に対応するピリジニック酸化物型24は、全体量の1.6%であった。なお、全体量の比率は、グラフ71における面積比に対応する。
シーケンスSE4とシーケンスSE8の結果を比較すると、シーケンスSE8の方がグラフィティック型21の割合が増加している。また、ピリジニック型23とピロリック型22が支配的である点は、シーケンスSE4とシーケンスSE8とで変化はないことがわかる。
<シーケンスSE9とSE10の比較>
図17は、シーケンスSE9とシーケンスSE10の実験結果の比較の一例を示す図である。図17に示すグラフ79は、第2工程の処理時間を80秒とし、第3工程および第4工程のチャンバ101内の圧力を1.0Torrとして、シーケンスSE9を行った基板WのXPS測定の結果を示している。なお、グラフ79は、バックグラウンド成分を除いたデータである。グラフ80は、基板WのSi(シリコン)と反応したN(窒素)を示す。グラフ81は、ピリジニック型23を示す。グラフ82は、ピロリック型22を示す。グラフ83は、グラフィティック型21を示す。グラフ84は、ピリジニック酸化物型24を示す。グラフ85は、グラフ80~84を加算したものである。
グラフ86は、第1工程の処理時間を48秒、第2工程の処理時間を30秒とし、第3工程および第4工程のチャンバ101内の圧力を1.0Torrとして、シーケンスSE10を行った基板WのXPS測定の結果を示している。なお、グラフ86は、バックグラウンド成分を除いたデータである。グラフ87は、基板WのSi(シリコン)と反応したN(窒素)を示す。グラフ88は、ピリジニック型23を示す。グラフ89は、ピロリック型22を示す。グラフ90は、グラフィティック型21を示す。グラフ91は、ピリジニック酸化物型24を示す。グラフ92は、グラフ87~91を加算したものである。
表93は、シーケンスSE9とシーケンスSE10の結果を纏めたものである。表93に示すように、シーケンスSE9の場合、XPS測定の観察範囲における窒素の全体量(N atm%)は、9.36atm%であった。グラフ80に対応する窒素(N)は、全体量の19.44%であった。グラフ81に対応するピリジニック型23は、全体量の64.45%であった。グラフ82に対応するピロリック型22は、全体量の8.97%であった。グラフ83に対応するグラフィティック型21は、全体量の3.59%であった。グラフ84に対応するピリジニック酸化物型24は、全体量の2.29%であった。なお、全体量の比率は、グラフ79における面積比に対応する。
シーケンスSE10の場合、XPS測定の観察範囲における窒素の全体量は、9.88atm%であった。グラフ87に対応する窒素(N)は、全体量の32.07%であった。グラフ88に対応するピリジニック型23は、全体量の37.51%であった。グラフ89に対応するピロリック型22は、全体量の15.38%であった。グラフ90に対応するグラフィティック型21は、全体量の12.00%であった。グラフ91に対応するピリジニック酸化物型24は、全体量の3.31%であった。なお、全体量の比率は、グラフ86における面積比に対応する。
シーケンスSE9とシーケンスSE10の結果を比較すると、シーケンスSE10の方が比較的グラフィティック型21が多いことがわかる。また、シーケンスSE9では、ピリジニック型23の割合が特に多いことがわかる。上述の実験結果に示すように、各シーケンスを用いることで、グラフェン膜に対する窒素ドープの位置の割合を制御することができる。
なお、上記の実施形態では、処理対象の基板Wの枚葉ごとにクリーニング工程を実行したが、例えばロットごとといった複数枚の基板Wの処理後にクリーニング工程を実行してもよい。
以上、本実施形態によれば、成膜装置1は、基板Wを収容可能な処理容器(チャンバ101)と、制御部11とを有する。制御部11は、基板Wを処理容器内に搬入する搬入工程と、炭素含有ガスを含む第1の処理ガスのプラズマで、基板W上にグラフェン膜を形成する第1工程と、ドーパントガスを含む第2の処理ガスのプラズマで、基板Wおよびグラフェン膜のうち1つまたは複数の上に、ドープグラフェン膜を形成する第2工程とを実行する。その結果、グラフェン膜に対する窒素ドープの位置の割合を制御できる。
また、本実施形態によれば、第1の処理ガスは、第1の流量の水素含有ガスを含む。その結果、グラフェン膜の形成を制御することができる。
また、本実施形態によれば、第2の処理ガスは、第1の処理ガスを含む。その結果、第1工程から第2工程にプラズマを維持したまま移行することができる。
また、本実施形態によれば、第2工程は、ドーパントガスを間欠的に供給する第2の処理ガスのプラズマで、ドープグラフェン膜を形成する。その結果、ピリジニック型23の割合を増加させることができる。
また、本実施形態によれば、第2工程は、間欠的に供給するドーパントガスの供給前に、第2の流量の水素含有ガスを供給する。その結果、グラフィティック型21とピリジニック型23の割合を増加させることができる。
また、本実施形態によれば、さらに、ドーパントガスとアルゴンガスとを含む第3の処理ガスのプラズマで、グラフェン膜およびドープグラフェン膜のうち1つまたは複数の膜を処理する第3工程を有する。その結果、グラフェン膜に対する窒素ドープの位置の割合を制御できる。
また、本実施形態によれば、第1の処理ガスは、ドーパントガスを含み、第2の処理ガスは、アルゴンガスを含む。その結果、グラフェン膜に対する窒素ドープの位置の割合を制御できる。
また、本実施形態によれば、さらに、ドーパントガスを含みアルゴンガスを含まない第4の処理ガスのプラズマで、グラフェン膜およびドープグラフェン膜のうち1つまたは複数の膜を処理する第4工程を有する。その結果、グラフェン膜に対する窒素ドープの位置の割合を制御できる。
また、本実施形態によれば、ドーパントガスは、窒素およびホウ素のうち1つまたは複数を含む。その結果、グラフェン膜に対する窒素およびホウ素のうち1つまたは複数のドープの位置の割合を制御できる。
また、本実施形態によれば、第2工程における第2の処理ガスの流量は、第1工程における第1の処理ガスの流量と異なる流量である。その結果、グラフェン膜に対する窒素ドープの位置の割合を制御できる。
また、本実施形態によれば、プラズマは、マイクロ波プラズマである。その結果、ドーパントガスとしてN2ガスを用いて、低イオンエネルギーかつ低ダメージでの窒素ドープを実現することができる。また、グラフェン膜に対する窒素ドープの位置の割合を制御できる。
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲およびその主旨を逸脱することなく、様々な形体で省略、置換、変更されてもよい。
また、上記した実施形態では、プラズマ源としてマイクロ波プラズマを用いて基板Wに対してエッチングや成膜等の処理を行う成膜装置1を例に説明したが、開示の技術はこれに限られない。プラズマを用いて基板Wに対して処理を行う装置であれば、プラズマ源はマイクロ波プラズマに限られず、例えば、容量結合型プラズマ、誘導結合型プラズマ、マグネトロンプラズマ等、任意のプラズマ源を用いることができる。
1 成膜装置
11 制御部
20 グレイン
21 グラフィティック型
22 ピロリック型
23 ピリジニック型
24 ピリジニック酸化物型
101 チャンバ
102 ステージ
103 マイクロ波導入機構
104 ガス供給機構
105 排気機構
SE1~SE11 シーケンス
W 基板

Claims (12)

  1. グラフェン膜を成膜する成膜方法であって、
    基板を処理容器内に搬入する搬入工程と、
    炭素含有ガスを含む第1の処理ガスのプラズマで、前記基板上に前記グラフェン膜を形成する第1工程と、
    ドーパントガスを含む第2の処理ガスのプラズマで、前記基板および前記グラフェン膜のうち1つまたは複数の上に、ドープグラフェン膜を形成する第2工程と、
    を有する成膜方法。
  2. 前記第1の処理ガスは、第1の流量の水素含有ガスを含む、
    請求項1に記載の成膜方法。
  3. 前記第2の処理ガスは、前記第1の処理ガスを含む、
    請求項1または2に記載の成膜方法。
  4. 前記第2工程は、前記ドーパントガスを間欠的に供給する前記第2の処理ガスのプラズマで、前記ドープグラフェン膜を形成する、
    請求項1~3のいずれか1つに記載の成膜方法。
  5. 前記第2工程は、間欠的に供給する前記ドーパントガスの供給前に、第2の流量の水素含有ガスを供給する、
    請求項4に記載の成膜方法。
  6. さらに、前記ドーパントガスとアルゴンガスとを含む第3の処理ガスのプラズマで、前記グラフェン膜および前記ドープグラフェン膜のうち1つまたは複数の膜を処理する第3工程を有する、
    請求項1~5のいずれか1つに記載の成膜方法。
  7. 前記第1の処理ガスは、前記ドーパントガスを含み、
    前記第2の処理ガスは、アルゴンガスを含む、
    請求項1に記載の成膜方法。
  8. さらに、前記ドーパントガスを含みアルゴンガスを含まない第4の処理ガスのプラズマで、前記グラフェン膜および前記ドープグラフェン膜のうち1つまたは複数の膜を処理する第4工程を有する、
    請求項1~7のいずれか1つに記載の成膜方法。
  9. 前記ドーパントガスは、窒素およびホウ素のうち1つまたは複数を含む、
    請求項1~8のいずれか1つに記載の成膜方法。
  10. 前記第2工程における前記第2の処理ガスの流量は、前記第1工程における前記第1の処理ガスの流量と異なる流量である、
    請求項1~9のいずれか1つに記載の成膜方法。
  11. 前記プラズマは、マイクロ波プラズマである、
    請求項1~10のいずれか1つに記載の成膜方法。
  12. 成膜装置であって、
    基板を収容可能な処理容器と、
    制御部と、を有し、
    前記制御部は、前記基板を前記処理容器内に搬入するよう前記成膜装置を制御するように構成され、
    前記制御部は、炭素含有ガスを含む第1の処理ガスのプラズマで、前記基板上にグラフェン膜を形成するよう前記成膜装置を制御するように構成され、
    前記制御部は、ドーパントガスを含む第2の処理ガスのプラズマで、前記基板および前記グラフェン膜のうち1つまたは複数の上にドープグラフェン膜を形成するよう前記成膜装置を制御するように構成される、
    成膜装置。
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