JP2022183948A - 吸水性樹脂粒子及び吸収体 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた浸透速度を有すると共に、浸透した液の拡散距離を短くする吸収体を与える吸収性樹脂粒子を提供すること。【解決手段】本発明の一側面は、(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を有する架橋重合体を含む吸水性樹脂粒子であり、膨潤ゲルかさ密度が0.85g/mL以上0.92g/mL以下であり、無加圧DWの1分値が5mL/g以上である、吸水性樹脂粒子に関する。【選択図】なし
Description
本発明は、吸水性樹脂粒子及び吸収体に関する。
吸水性樹脂粒子は、衛生用品の分野で使用されており、例えばおむつ等の吸収性物品に含まれる吸収体の材料として使用されている。例えば、特許文献1及び2には、600rpmのVortex法に基づく所定の吸水速度を有する吸水性樹脂粒子が開示されている。
吸収体に供された液の浸透速度が遅かったり、浸透した液が拡散しすぎたりする場合、吸収体又は吸収性物品の外に液が漏れるといった不具合が生じ得る。そのため、吸収体には、優れた浸透速度で液が浸透し、浸透した液の拡散距離を短くすることで、漏れを防ぐことが求められる。
本発明は、優れた浸透速度を有すると共に、浸透した液の拡散距離を短くする吸収体を与える吸収性樹脂粒子を提供することを目的とする。
本発明の一側面は、(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を有する架橋重合体を含む吸水性樹脂粒子であり、膨潤ゲルかさ密度が0.85g/mL以上0.92g/mL以下であり、無加圧DWの1分値が5mL/g以上である、吸水性樹脂粒子に関する。
本発明の別の一側面は、上記吸水性樹脂粒子を含有する吸収体を提供する。
本発明によれば、優れた浸透速度を有すると共に、浸透した液の拡散距離を短くする吸収体を与える吸収性樹脂粒子を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本明細書において、「アクリル」及び「メタクリル」を合わせて「(メタ)アクリル」と表記する。「アクリレート」及び「メタクリレート」も同様に「(メタ)アクリレート」と表記する。(ポリ)」とは、「ポリ」の接頭語がある場合及びない場合の双方を意味するものとする。本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値と任意に組み合わせることができる。本明細書に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。「水溶性」とは、25℃において水に5質量%以上の溶解性を示すことをいう。本明細書に例示する材料は、単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。「生理食塩水」とは、0.9質量%塩化ナトリウム水溶液をいう。本明細書において、特に温度が記載されていない測定は、室温(25±2℃)で行う。
本実施形態に係る吸水性樹脂粒子は、(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を有する架橋重合体を含み、膨潤ゲルかさ密度が0.85g/mL以上0.92g/mL以下であり、無加圧DWの1分値が5mL/g以上である。このような吸水性樹脂粒子は、吸水性に優れるため、吸収体における浸透速度が速くなるだけでなく、拡散距離を短くすることでき、液漏れを防ぐことができる。
本実施形態に係る膨潤ゲルかさ密度は、実質的に膨潤ゲルに加重をかけない方法で測定される。膨潤ゲルかさ密度の測定は、以下の手順で行われ、具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
(1)吸水性樹脂粒子5gを入れた脱水袋を生理食塩水に浸漬し、無荷重の状態で吸水性樹脂粒子を十分に膨潤させた後、遠心脱水機で粒子間の余剰水を除去することで、膨潤ゲルを得る。
(2)上記膨潤ゲルを、円柱状の受器(内容積:100mL±5mL)に適度な振動を与えながら均一に詰め、受器の内容積と同容量の膨潤ゲルの重量を測定する。
(3)受器の内容積と膨潤ゲルの重量より、膨潤ゲルのかさ密度を算出する。
(1)吸水性樹脂粒子5gを入れた脱水袋を生理食塩水に浸漬し、無荷重の状態で吸水性樹脂粒子を十分に膨潤させた後、遠心脱水機で粒子間の余剰水を除去することで、膨潤ゲルを得る。
(2)上記膨潤ゲルを、円柱状の受器(内容積:100mL±5mL)に適度な振動を与えながら均一に詰め、受器の内容積と同容量の膨潤ゲルの重量を測定する。
(3)受器の内容積と膨潤ゲルの重量より、膨潤ゲルのかさ密度を算出する。
吸水性樹脂粒子の膨潤ゲルかさ密度が0.85g/mL未満では、吸収体に浸透した液の拡散距離が長くなり、液漏れし易くなる。吸水性樹脂粒子の膨潤ゲルかさ密度が0.92g/mLを超えると、局所的に吸水することによりゲルブロッキングが生じ易くなる。ゲルブロッキングとは、吸水した吸水性樹脂粒子が膨潤してゲルを形成し、膨潤ゲルが密集して液の通り道を塞ぎ、その結果、更なる液の通過又は吸収を妨げる現象である。ゲルブロッキングが生じると、吸収体としての浸透速度が低下する傾向がある。
吸水性樹脂粒子の膨潤ゲルかさ密度は、0.86g/mL以上0.92g/mL以下、又は0.87g/mL以上0.92g/mL以下であってもよい。
吸水性樹脂粒子の無加圧DWの1分値が5mL/g以上であると、スポットで吸水することができるため、吸収体における液の浸透速度が速く、浸透した液の拡散距離を短くすることができる。吸水性樹脂粒子の無加圧DWの1分値は、6mL/g以上、7mL/g以上、又は8mL/g以上であってよく、35mL/g以下、30mL/g以下、25mL/g以下、又は20mL/g以下であってもよい。無加圧DWの1分値は、後述する実施例に記載の方法により測定される。
本実施形態に係る吸水性樹脂粒子の生理食塩水に対する保水量は、浸透速度と拡散距離のバランスを向上する観点から、41g/g以上であることが好ましく、42g/g以上、43g/g以上、又は45g/g以上であってよく、54g/g以下、52g/g以下、又は50g/g以下であってもよい。吸水性樹脂粒子の生理食塩水に対する保水量は、後述する実施例に記載の方法により測定される。
吸水性樹脂微粉の遠心分離保持容量(CRC:Centrifuge Retention Capacity)は、例えば、36g/g以上、38g/g以上、又は40g/g以上であってよく、60g/g以下、50g/g以下、又は45g/g以下であってよい。CRCは、後述の実施例に記載の方法によって測定される。
4.14kPaの荷重下での吸水性樹脂粒子の生理食塩水に対する吸水量(以下「荷重下吸水量」ということがある。)は、吸収体の浸透速度をより速める観点から、14mL/g以上、15mL/g以上、又は16mL/g以上であってもよい。吸水性樹脂粒子の荷重下吸水量は、液の拡散距離をより小さくする観点から、30mL/g以下、25mL/g以下、又は20mL/g以下であってもよい。荷重下吸水量は、後述の実施例に記載の方法によって測定される。
吸水性樹脂粒子の生理食塩水に対する吸水速度は、例えば、35秒以上、40秒以上、又は42秒以上であってよく、60秒以下、55秒以下、又は52秒以下であってよい。吸水速度は、Vortex法に基づき、後述する実施例に記載の方法により測定される。
本実施形態に係る吸水性樹脂粒子の形状としては、略球状、破砕状若しくは顆粒状、又はこれらの形状を有する一次粒子が凝集して形成された形状等が挙げられる。本実施形態に係る吸水性樹脂粒子の中位粒子径は、200~700μm、250~600μm、300~500μm、又は320~400μmであってよい。本実施形態に係る吸水性樹脂粒子は、後述する製造方法により得られた時点で所望の粒度分布を有していてよいが、篩による分級を用いた粒度調整等の操作を行うことにより粒度分布を調整してもよい。
本実施形態に係る吸水性樹脂粒子は、例えば、重合体粒子として、エチレン性不飽和単量体を含有する単量体を重合させて得られる架橋重合体を含むことができる。すなわち、本実施形態に係る吸水性樹脂粒子は、エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を有することができる。エチレン性不飽和単量体としては、水溶性エチレン性不飽和単量体を用いることができる。重合方法としては、逆相懸濁重合法、水溶液重合法、バルク重合法、沈殿重合法等が挙げられる。これらのなかでは、得られる吸水性樹脂粒子の良好な吸水特性の確保、及び、重合反応の制御が容易である観点から、逆相懸濁重合法又は水溶液重合法が好ましい。以下においては、エチレン性不飽和単量体を重合させる方法として、逆相懸濁重合法を例にとって説明する。
エチレン性不飽和単量体は水溶性であることが好ましく、例えば、(メタ)アクリル酸及びその塩、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸及びその塩、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。エチレン性不飽和単量体がアミノ基を有する場合、当該アミノ基は4級化されていてもよい。エチレン性不飽和単量体は、単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。上述の単量体のカルボキシル基、アミノ基等の官能基は、後述する表面架橋工程において架橋が可能な官能基として機能し得る。
これらのなかでも、工業的に入手が容易である観点から、エチレン性不飽和単量体は、(メタ)アクリル酸及びその塩、アクリルアミド、メタクリルアミド、並びに、N,N-ジメチルアクリルアミドからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を含むことが好ましく、(メタ)アクリル酸及びその塩、並びに、アクリルアミドからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を含むことがより好ましい。吸水特性を更に高める観点から、エチレン性不飽和単量体は、(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を含むことが更に好ましい。すなわち、吸水性樹脂粒子は、(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも一種に由来する構造単位を有することが好ましい。
吸水性樹脂粒子を得るための単量体としては、上述のエチレン性不飽和単量体以外の単量体が使用されてもよい。このような単量体は、例えば、上述のエチレン性不飽和単量体を含む水溶液に混合して用いることができる。エチレン性不飽和単量体の使用量は、単量体全量(吸水性樹脂粒子を得るための単量体全量。例えば、架橋重合体の構造単位を与える単量体の全量。以下同様。)に対して70~100モル%であってよく、80~100モル%、90~100モル%、95~100モル%、又は100モル%であってよい。なかでも、(メタ)アクリル酸及びその塩の割合が単量体全量に対して70~100モル%であってよく、80~100モル%、90~100モル%、95~100モル%、又は100モル%であってよい。「(メタ)アクリル酸及びその塩の割合」は、(メタ)アクリル酸及びその塩の合計量の割合を意味する。
本実施形態によれば、吸水性樹脂粒子の一例として、エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を有する架橋重合体を含む吸水性樹脂粒子であって、エチレン性不飽和単量体が、(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含み、(メタ)アクリル酸及びその塩の割合が、吸水性樹脂粒子を得るための単量体全量に対して70~100モル%である、吸水性樹脂粒子を提供することができる。
エチレン性不飽和単量体は、通常、水溶液として用いることが好適である。エチレン性不飽和単量体を含む水溶液(以下、単に「単量体水溶液」という)におけるエチレン性不飽和単量体の濃度は、36質量%以上飽和濃度以下が好ましく、39~70質量%がより好ましく、40~55質量%が更に好ましい。水溶液において使用される水としては、水道水、蒸留水、イオン交換水等が挙げられる。
単量体水溶液は、エチレン性不飽和単量体が酸基を有する場合、その酸基をアルカリ性中和剤によって中和して用いてもよい。エチレン性不飽和単量体における、アルカリ性中和剤による中和度は、得られる吸水性樹脂粒子の浸透圧を高くし、吸水特性を更に高める観点から、エチレン性不飽和単量体中の酸性基の10~100モル%であることが好ましく、50~90モル%であることがより好ましく、60~80モル%であることが更に好ましい。アルカリ性中和剤としては、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属塩;アンモニアなどが挙げられる。アルカリ性中和剤は、単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。アルカリ性中和剤は、中和操作を簡便にするために水溶液の状態で用いられてもよい。エチレン性不飽和単量体の酸基の中和は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水溶液を上述の単量体水溶液に滴下して混合することにより行うことができる。
逆相懸濁重合法においては、界面活性剤の存在下、炭化水素分散媒中で単量体水溶液を分散し、ラジカル重合開始剤等を用いてエチレン性不飽和単量体の重合を行うことができる。
重合の際に用いる界面活性剤としては、例えば、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤等が挙げられる。ノニオン系界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルアリルホルムアルデヒド縮合ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピルアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル等が挙げられる。アニオン系界面活性剤としては、脂肪酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルメチルタウリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルのリン酸エステル等が挙げられる。界面活性剤は、単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
W/O型逆相懸濁の状態が良好であり、好適な粒子径を有する吸水性樹脂粒子が得られ易く、工業的に入手が容易である観点から、界面活性剤は、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を含むことが好ましい。吸水性樹脂粒子の適切な粒度分布が得られ易い観点、並びに、吸水性樹脂粒子の吸水特性及びそれを用いた吸収体及び吸収性物品の性能が向上し易い観点から、界面活性剤は、ショ糖脂肪酸エステルを含むことが好ましく、ショ糖ステアリン酸エステルがより好ましい。
界面活性剤の使用量は、使用量に対する効果が充分に得られる観点、及び、経済的である観点から、単量体水溶液100質量部に対して、0.05~10質量部が好ましく、0.08~5質量部がより好ましく、0.1~3質量部が更に好ましい。
逆相懸濁重合では、上述の界面活性剤と共に高分子系分散剤を併せて用いてもよい。高分子系分散剤としては、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体、無水マレイン酸変性EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン・ターポリマー)、無水マレイン酸変性ポリブタジエン、無水マレイン酸・エチレン共重合体、無水マレイン酸・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・ブタジエン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、酸化型ポリエチレン、酸化型ポリプロピレン、酸化型エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。高分子系分散剤は、単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。高分子系分散剤としては、単量体の分散安定性に優れる観点から、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン共重合体、無水マレイン酸・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン・プロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、酸化型ポリエチレン、酸化型ポリプロピレン、及び酸化型エチレン・プロピレン共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましい。
高分子系分散剤の使用量は、使用量に対する効果が充分に得られる観点、及び経済的である観点から、単量体水溶液100質量部に対して、0.05~10質量部が好ましく、0.08~5質量部がより好ましく、0.1~3質量部が更に好ましい。
炭化水素分散媒は、炭素数6~8の鎖状脂肪族炭化水素、及び、炭素数6~8の脂環式炭化水素からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を含んでいてもよい。炭化水素分散媒としては、例えば、n-ヘキサン、n-ヘプタン、2-メチルヘキサン、3-メチルヘキサン、2,3-ジメチルペンタン、3-エチルペンタン、n-オクタン等の鎖状脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、trans-1,2-ジメチルシクロペンタン、cis-1,3-ジメチルシクロペンタン、trans-1,3-ジメチルシクロペンタン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素が挙げられる。炭化水素分散媒は、単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
炭化水素分散媒は、工業的に入手が容易であり、かつ、品質が安定している観点から、n-ヘプタン及びシクロヘキサンからなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでいてもよい。また、同様の観点から、上述の炭化水素分散媒の混合物としては、例えば、市販されているエクソールヘプタン(エクソンモービル社製、n-ヘプタン及び異性体の炭化水素を75~85%含有)を用いてもよい。
炭化水素分散媒の使用量は、重合熱を適度に除去し、重合温度を制御し易い観点から、単量体水溶液100質量部に対して、30~1000質量部が好ましく、40~500質量部がより好ましく、50~400質量部が更に好ましい。炭化水素分散媒の使用量が30質量部以上であることにより、重合温度の制御が容易である傾向がある。炭化水素分散媒の使用量が1000質量部以下であることにより、重合の生産性が向上する傾向があり、経済的である。
ラジカル重合開始剤は水溶性であることが好ましい。ラジカル重合開始剤として、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩;メチルエチルケトンパーオキシド、メチルイソブチルケトンパーオキシド、ジ-t-ブチルパーオキシド、t-ブチルクミルパーオキシド、t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシピバレート、過酸化水素等の過酸化物;2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(N-フェニルアミジノ)プロパン]2塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(N-アリルアミジノ)プロパン]2塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]2塩酸塩、2,2’-アゾビス{2-[1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル]プロパン}2塩酸塩、2,2’-アゾビス{2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-プロピオンアミド]、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)等のアゾ化合物が挙げられる。ラジカル重合開始剤は、単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。ラジカル重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]2塩酸塩、及び2,2’-アゾビス{2-[1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル]プロパン}2塩酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましい。
ラジカル重合開始剤の使用量は、エチレン性不飽和単量体1モルに対して0.05~10ミリモルであってよい。ラジカル重合開始剤の使用量が0.05ミリモル以上であると、重合反応に長時間を要さず、効率的である。ラジカル重合開始剤の使用量が10ミリモル以下であると、急激な重合反応が起こることを抑制し易い。ラジカル重合開始剤の使用量は、架橋密度を調整する観点から、エチレン性不飽和単量体1モルに対して0.08~1ミリモル、0.10~0.8ミリモル、又は0.15~0.5ミリモルであってよい。
上述のラジカル重合開始剤は、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸第一鉄、L-アスコルビン酸等の還元剤と併用して、レドックス重合開始剤として用いることもできる。
重合反応の際、重合に用いる単量体水溶液は、連鎖移動剤を含んでいてもよい。連鎖移動剤としては、例えば、次亜リン酸塩類、チオール類、チオール酸類、第2級アルコール類、及びアミン類が挙げられる。
逆相懸濁重合を行う際には、吸水性樹脂粒子の粒子径を制御するために、重合に用いる単量体水溶液は、増粘剤を含んでいてもよい。増粘剤としては、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、デキストリン、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、及びポリエチレンオキサイドが挙げられる。なお、重合時の撹拌速度が同じであれば、単量体水溶液の粘度が高いほど、得られる粒子の中位粒子径は大きくなる傾向にある。
重合の際に自己架橋による内部架橋が生じ得るが、内部架橋剤を用いることで架橋を施してもよい。内部架橋剤を用いると、吸水性樹脂粒子の吸水特性を制御し易い。内部架橋剤は、通常、重合反応の際に反応液に添加される。内部架橋剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリグリセリン等のポリオール類のジ又はトリ(メタ)アクリル酸エステル類;上述のポリオール類と不飽和酸(マレイン酸、フマール酸等)とを反応させて得られる不飽和ポリエステル類;N,N’-メチレンビス(メタ)アクリルアミド等のビス(メタ)アクリルアミド類;ポリエポキシドと(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるジ又はトリ(メタ)アクリル酸エステル類;ポリイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等)と(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルとを反応させて得られるジ(メタ)アクリル酸カルバミルエステル類;アリル化澱粉、アリル化セルロース、ジアリルフタレート、N,N’,N”-トリアリルイソシアヌレート、ジビニルベンゼン等の,重合性不飽和基を2個以上有する化合物;(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリントリグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル等のポリグリシジル化合物;エピクロロヒドリン、エピブロムヒドリン、α-メチルエピクロロヒドリン等のハロエポキシ化合物;イソシアネート化合物(2,4-トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等)などの、反応性官能基を2個以上有する化合物が挙げられる。内部架橋剤は、単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。内部架橋剤としては、ポリグリシジル化合物が好ましく、ジグリシジルエーテル化合物がより好ましく、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、及び(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも一種が更に好ましい。
内部架橋剤の使用量は、吸収性物品において優れた浸透速度を得易い観点、及び、得られる重合体が適度に架橋されることにより水溶性の性質が抑制され、充分な吸水量が得られ易い観点から、エチレン性不飽和単量体1モル当たり、10ミリモル以下が好ましく、0.005~5ミリモルがより好ましく、0.006~1ミリモルが更に好ましく、0.008~0.5ミリモルが特に好ましく、0.009~0.1ミリモルが極めて好ましく、0.010~0.08ミリモルが非常に好ましい。
エチレン性不飽和単量体、ラジカル重合開始剤、必要に応じて内部架橋剤を含む水相と、炭化水素分散媒、界面活性剤、必要に応じて高分子系分散剤等を含む油相とを混合した状態において撹拌下で加熱し、油中水系において逆相懸濁重合を行うことができる。
逆相懸濁重合を行う際には、界面活性剤(必要に応じて更に高分子系分散剤)の存在下で、エチレン性不飽和単量体を含む単量体水溶液を炭化水素分散媒に分散させる。このとき、重合反応を開始する前であれば、界面活性剤、高分子系分散剤等の添加時期は、単量体水溶液の添加の前後どちらであってもよい。
そのなかでも、得られる吸水性樹脂に残存する炭化水素分散媒の量を低減し易い観点から、高分子系分散剤を分散させた炭化水素分散媒に単量体水溶液を分散させた後に界面活性剤を更に分散させてから重合を行うことが好ましい。
逆相懸濁重合は、1段、又は、2段以上の多段で行うことができる。逆相懸濁重合は、生産性を高める観点から、2~3段で行うことが好ましい。
2段以上の多段で逆相懸濁重合を行う場合には、1段目の逆相懸濁重合を行った後、1段目の重合反応で得られた反応混合物にエチレン性不飽和単量体を添加して混合し、1段目と同様の方法で2段目以降の逆相懸濁重合を行えばよい。2段目以降の各段における逆相懸濁重合では、エチレン性不飽和単量体の他に、上述のラジカル重合開始剤及び/又は内部架橋剤を、2段目以降の各段における逆相懸濁重合の際に添加するエチレン性不飽和単量体の量を基準として、上述のエチレン性不飽和単量体に対する各成分のモル比の範囲内で添加して逆相懸濁重合を行うことが好ましい。なお、2段目以降の各段における逆相懸濁重合では、必要に応じて内部架橋剤を用いてもよい。内部架橋剤を用いる場合は、各段に供するエチレン性不飽和単量体の量を基準として、上述のエチレン性不飽和単量体に対する各成分のモル比の範囲内で添加して逆相懸濁重合を行うことが好ましい。なお、2段目に用いるエチレン性不飽和単量体の量(モル量)は、1段目に用いるエチレン性不飽和単量体の量(モル量)に対し0.5~1.8倍が好ましく、0.8~1.6倍がより好ましい。
重合反応の温度は、使用するラジカル重合開始剤によって異なるが、重合を迅速に進行させ、重合時間を短くすることにより、経済性を高めるとともに、容易に重合熱を除去して円滑に反応を行う観点から、20~150℃が好ましく、40~120℃がより好ましい。反応時間は、通常、0.5~4時間である。重合反応の終了は、例えば、反応系内の温度上昇の停止により確認することができる。これにより、エチレン性不飽和単量体の重合体は、通常、含水ゲルの状態で得られる。
重合後、得られた含水ゲル状重合体に重合後架橋剤を添加して加熱することで架橋を施してもよい。重合後に架橋を行うことで含水ゲル状重合体の架橋度を高めて吸水特性を更に向上させることができる。
重合後架橋を行うための架橋剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリグリセリン等のポリオール;(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル等の、2個以上のエポキシ基を有する化合物;エピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン、α-メチルエピクロルヒドリン等のハロエポキシ化合物;2,4-トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の、2個以上のイソシアネート基を有する化合物;1,2-エチレンビスオキサゾリン等のオキサゾリン化合物;エチレンカーボネート等のカーボネート化合物;ビス[N,N-ジ(β-ヒドロキシエチル)]アジプアミド等のヒドロキシアルキルアミド化合物などが挙げられる。これらのなかでも、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリントリグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル等のポリグリシジル化合物が好ましい。架橋剤は、単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
重合後架橋剤の量は、好適な吸水特性が得られ易い観点から、エチレン性不飽和単量体1モル当たり、30ミリモル以下、10ミリモル以下、又は0.01~5ミリモルであってよい。
重合後架橋剤の添加時期としては、重合に用いられるエチレン性不飽和単量体の重合後であればよく、多段重合の場合は、多段重合後に添加されることが好ましい。なお、重合時及び重合後の発熱、工程遅延による滞留、架橋剤添加時の系の開放、及び架橋剤添加に伴う水の添加等による水分の変動を考慮して、重合後架橋剤は、含水率(後述)の観点から、[重合直後の含水率±3質量%]の領域で添加することが好ましい。
引き続き、得られた含水ゲル状重合体から水分を除去するために乾燥を行うことにより重合体粒子(例えば、エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を有する重合体粒子)が得られる。乾燥方法としては、例えば、(a)含水ゲル状重合体が炭化水素分散媒に分散した状態で、外部から加熱することにより共沸蒸留を行い、炭化水素分散媒を還流させて水分を除去する方法、(b)デカンテーションにより含水ゲル状重合体を取り出し、減圧乾燥する方法、(c)フィルターにより含水ゲル状重合体をろ別し、減圧乾燥する方法等が挙げられる。なかでも、製造工程における簡便さから、(a)の方法を用いることが好ましい。
重合反応時の撹拌機の回転数を調整することによって、あるいは、重合反応後又は乾燥の初期において凝集剤を系内に添加することによって吸水性樹脂粒子の粒子径を調整することができる。凝集剤を添加することにより、得られる吸水性樹脂粒子の粒子径を大きくすることができる。凝集剤としては、無機凝集剤を用いることができる。無機凝集剤(例えば粉末状無機凝集剤)としては、シリカ、ゼオライト、ベントナイト、酸化アルミニウム、タルク、二酸化チタン、カオリン、クレイ、ハイドロタルサイト等が挙げられる。凝集効果に優れる観点から、凝集剤としては、シリカ、酸化アルミニウム、タルク及びカオリンからなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましい。
逆相懸濁重合において、凝集剤を添加する方法としては、重合で用いられるものと同種の炭化水素分散媒又は水に凝集剤を予め分散させてから、撹拌下で、含水ゲル状重合体を含む炭化水素分散媒中に混合する方法が好ましい。
凝集剤の添加量は、重合に使用するエチレン性不飽和単量体100質量部に対して、0.001~1質量部が好ましく、0.005~0.5質量部がより好ましく、0.01~0.2質量部が更に好ましい。凝集剤の添加量が上述の範囲内であることによって、目的とする粒度分布を有する吸水性樹脂粒子が得られ易い。
吸水性樹脂粒子の製造においては、乾燥工程(水分除去工程)又はそれ以降の工程において、架橋剤を用いて含水ゲル状重合体の表面部分(表面及び表面近傍)の表面架橋が行われることが好ましい。表面架橋を行うことで、ゲル拡散縦横比、吸水特性などを制御し易い。表面架橋は、含水ゲル状重合体が特定の含水率であるタイミングで行われることが好ましい。表面架橋の時期は、含水ゲル状重合体の含水率が5~50質量%である時点が好ましく、10~40質量%である時点がより好ましく、15~35質量%である時点が更に好ましい。
含水ゲル状重合体の含水率(質量%)は、次の式で算出される。
含水率=[Ww/(Ww+Ws)]×100
Ww:全重合工程の重合前の単量体水溶液に含まれる水分量から、乾燥工程等の工程により系外部に排出された水分量を差し引いた量に、凝集剤、表面架橋剤等を混合する際に必要に応じて用いられる水分量を加えた含水ゲル状重合体の水分量。
Ws:含水ゲル状重合体を構成するエチレン性不飽和単量体、架橋剤、開始剤等の材料の仕込量から算出される固形分量。
含水率=[Ww/(Ww+Ws)]×100
Ww:全重合工程の重合前の単量体水溶液に含まれる水分量から、乾燥工程等の工程により系外部に排出された水分量を差し引いた量に、凝集剤、表面架橋剤等を混合する際に必要に応じて用いられる水分量を加えた含水ゲル状重合体の水分量。
Ws:含水ゲル状重合体を構成するエチレン性不飽和単量体、架橋剤、開始剤等の材料の仕込量から算出される固形分量。
表面架橋を行うための架橋剤(表面架橋剤)としては、例えば、反応性官能基を2個以上有する化合物を挙げることができる。表面架橋剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリグリセリン等のポリオール類;(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセロールポリグリシジルエーテル等のポリグリシジル化合物;エピクロロヒドリン、エピブロムヒドリン、α-メチルエピクロロヒドリン等のハロエポキシ化合物;2,4-トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート化合物;3-メチル-3-オキセタンメタノール、3-エチル-3-オキセタンメタノール、3-ブチル-3-オキセタンメタノール、3-メチル-3-オキセタンエタノール、3-エチル-3-オキセタンエタノール、3-ブチル-3-オキセタンエタノール等のオキセタン化合物;1,2-エチレンビスオキサゾリン等のオキサゾリン化合物;エチレンカーボネート等のカーボネート化合物;ビス[N,N-ジ(β-ヒドロキシエチル)]アジプアミド等のヒドロキシアルキルアミド化合物が挙げられる。表面架橋剤は、単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。表面架橋剤としては、ポリグリシジル化合物が好ましく、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリントリグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、及びポリグリセロールポリグリシジルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも一種がより好ましい。
表面架橋剤の使用量は、好適な吸水特性が得られ易い観点から、重合に使用するエチレン性不飽和単量体1モルに対して、0.01~20ミリモルが好ましく、0.05~10ミリモルがより好ましく、0.1~5ミリモルが更に好ましく、0.15~1ミリモルが特に好ましく、0.2~0.5ミリモルが極めて好ましい。
表面架橋後又は界面活性剤による表面処理後において、公知の方法で水及び炭化水素分散媒を留去すること、加熱減圧下で乾燥すること等により、表面架橋及び/又は界面活性剤による表面処理がなされた乾燥品である重合体粒子を得ることができる。
重合反応は、撹拌翼を有する各種撹拌機を用いて行うことができる。撹拌翼としては、平板翼、格子翼、パドル翼、プロペラ翼、アンカー翼、タービン翼、ファウドラー翼、リボン翼、フルゾーン翼、マックスブレンド翼等を用いることができる。
本実施形態に係る吸水性樹脂粒子は、重合体粒子のみから構成されていてもよいが、例えば、ゲル安定剤、金属キレート剤(エチレンジアミン4酢酸及びその塩、ジエチレントリアミン5酢酸及びその塩、例えばジエチレントリアミン5酢酸5ナトリウム等)、重合体粒子の流動性向上剤(滑剤)等の追加成分を更に含むことができる。追加成分は、重合体粒子の内部、重合体粒子の表面上、又はこれらの両方に配置され得る。
吸水性樹脂粒子は、重合体粒子の表面上に配置された複数の無機粒子を含んでいてもよい。例えば、重合体粒子と無機粒子とを混合することにより、重合体粒子の表面上に無機粒子を配置することができる。この無機粒子は、非晶質シリカ等のシリカ粒子であってもよい。
吸水性樹脂粒子が、重合体粒子の表面上に配置された無機粒子を含む場合、無機粒子の含有量は、重合体粒子の全質量を基準として下記の範囲であってよい。無機粒子の含有量は、0.05質量%以上、0.1質量%以上、0.15質量%以上、又は0.2質量%以上であってよい。無機粒子の含有量は、5.0質量%以下、3.0質量%以下、1.0質量%以下、0.5質量%以下、又は0.3質量%以下であってよい。
ここでの無機粒子は、通常、重合体粒子の大きさと比較して微小な大きさを有する。例えば、無機粒子の平均粒子径は、0.1~50μm、0.5~30μm、又は1~20μmであってよい。平均粒子径は、粒子の特性に応じて、細孔電気抵抗法又はレーザー回折・散乱法によって測定できる。
本実施形態に係る吸水性樹脂粒子は、尿、血液等の体液の吸収性に優れており、例えば、紙おむつ、生理用ナプキン、タンポン等の衛生用品、ペットシート、犬又は猫のトイレ配合物等の動物排泄物処理材などの分野に応用することができる。
本実施形態に係る吸水性樹脂粒子は、吸収体に好適に用いることができる。本実施形態に係る吸収体は、上述の吸水性樹脂粒子を含有する。
吸収体は、吸水性樹脂粒子に加えて、更に、例えば繊維状物を備えていてよい。吸収体は、例えば、吸水性樹脂粒子及び繊維状物を含む混合物であってよい。吸収体における、吸水性樹脂粒子の質量割合は、吸水性樹脂粒子及び繊維状物の合計に対し、2%~100%であってよく、10%~80%であることが好ましく、20%~70%であることがより好ましい。吸収体の構成としては、例えば、吸水性樹脂粒子及び繊維状物が均一混合された形態であってよく、シート状又は層状に形成された繊維状物の間に吸水性樹脂粒子が挟まれた形態であってもよく、その他の形態であってもよい。
繊維状物としては、例えば、微粉砕された木材パルプ、コットン、コットンリンター、レーヨン、セルロースアセテート等のセルロース系繊維、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン等の合成繊維が挙げられる。繊維状物は、上述の繊維の混合物でもよい。
吸収体の使用前及び使用中における形態保持性を高めるために、繊維状物に接着性バインダーを添加することによって繊維同士を接着させてもよい。接着性バインダーとしては、例えば、熱融着性合成繊維、ホットメルト接着剤、接着性エマルジョン等が挙げられる。
熱融着性合成繊維としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体等の全融型バインダー、ポリプロピレンとポリエチレンとのサイドバイサイドや芯鞘構造からなる非全融型バインダーが挙げられる。上述の非全融型バインダーにおいては、ポリエチレン部分のみ熱融着する。ホットメルト接着剤としては、例えば、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー、スチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマー、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロックコポリマー、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロックコポリマー、アモルファスポリプロピレン等のベースポリマーと粘着付与剤、可塑剤、酸化防止剤等との配合物が挙げられる。
接着性エマルジョンとしては、例えば、メチルメタクリレート、スチレン、アクリロニトリル、2ーエチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、ブタジエン、エチレン、及び酢酸ビニルからなる群より選択される少なくとも1つ以上の単量体の重合物が挙げられる。これら接着性バインダーは、単独で用いられてもよいし、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
本実施形態に係る吸収体は、無機粒子(例えば非晶質シリカ)、消臭剤、顔料、染料、抗菌剤、香料、粘着剤等の添加剤を更に含んでいてもよい。これらの添加剤により、吸収体に種々の機能を付与することができる。吸水性樹脂粒子が無機粒子を含む場合、吸収体は吸水性樹脂粒子中の無機粒子とは別に無機粒子を含んでいてもよい。無機粒子としては、例えば、二酸化ケイ素、ゼオライト、カオリン、クレイ等が挙げられる。
本実施形態に係る吸収体の形状は、特に限定されず、例えばシート状であってよい。吸収体の厚さ(例えば、シート状の吸収体の厚さ)は、例えば0.1~20mm、0.3~15mmであってよい。
本実施形態に係る吸収性樹脂粒子用いることで、液の浸透速度が速く、浸透した液の拡散距離が短い吸収体を作製することができる。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明の内容を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[吸水性樹脂粒子の作製]
(実施例1)
還流冷却器、滴下ロート、窒素ガス導入管、及び攪拌機を備えた、内径11cm、2L容の丸底円筒型セパラブルフラスコを準備した。撹拌機としては、翼径5cmの4枚傾斜パドル翼を2段で有する撹拌翼を有するものを用いた。このフラスコに、炭化水素分散媒としてn-ヘプタン252g、及び高分子系分散剤として無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体(三井化学株式会社、ハイワックス1105A)0.736gを投入して混合した。フラスコ内の混合物を撹拌機の回転数を300rpmで攪拌しつつ、80℃まで昇温することにより、分散剤をn-ヘプタンに溶解させた。形成された分散剤溶液を50℃まで冷却した。
(実施例1)
還流冷却器、滴下ロート、窒素ガス導入管、及び攪拌機を備えた、内径11cm、2L容の丸底円筒型セパラブルフラスコを準備した。撹拌機としては、翼径5cmの4枚傾斜パドル翼を2段で有する撹拌翼を有するものを用いた。このフラスコに、炭化水素分散媒としてn-ヘプタン252g、及び高分子系分散剤として無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体(三井化学株式会社、ハイワックス1105A)0.736gを投入して混合した。フラスコ内の混合物を撹拌機の回転数を300rpmで攪拌しつつ、80℃まで昇温することにより、分散剤をn-ヘプタンに溶解させた。形成された分散剤溶液を50℃まで冷却した。
内容積300mLのビーカーに、エチレン性不飽和単量体として80.5質量%のアクリル酸水溶液92.0g(1.03モル)をとり、外部より冷却しつつ、30質量%の水酸化ナトリウム水溶液102.78gをビーカー内に滴下することにより、75モル%の中和を行った。その後、増粘剤としてヒドロキシルエチルセルロース0.0920g(住友精化株式会社、HEC AW-15F)、ラジカル重合開始剤として2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩0.0460g(0.170ミリモル)及び過硫酸カリウム0.0276g(0.102ミリモル)、内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル0.00184g(0.0106ミリモル)、及びイオン交換水9.47gを加えて溶解し、第1段目の単量体水溶液(単量体濃度:44質量%)を調製した。
第1段目の単量体水溶液を、上記フラスコ内の分散剤溶液に添加して10分間撹拌して懸濁液を得た。別途、n-ヘプタン6.62gに界面活性剤としてショ糖ステアリン酸エステル(HLB:3、三菱化学フーズ株式会社、リョートーシュガーエステルS-370)0.736gを溶解させた界面活性剤溶液を用意した。該界面活性剤溶液を、上述の懸濁液に添加した後、撹拌機の回転数を600rpmとして撹拌しながら系内を窒素で十分に置換した。その後、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、重合を60分間行うことにより、第1段目の重合スラリー液を得た。
別の内容積500mLのビーカーに、80.5質量%のアクリル酸水溶液128.8g(1.44モル)を入れ、外部より冷却しつつ、30質量%の水酸化ナトリウム水溶液143.89gを滴下して、75モル%の中和を行った。その後、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩0.129g(0.475ミリモル)、過硫酸カリウム0.0386g(0.143ミリモル)、内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル0.0116g(0.0665ミリモル)、及びイオン交換水11.20gを加えて溶解し、第2段目の単量体水溶液を調製した。
撹拌機の回転数を1000rpmとして撹拌しながら、上記フラスコ内の第1段目の重合スラリー液を25℃に冷却し、そこに第2段目の単量体水溶液の全量を加えた。フラスコ内を窒素で30分間置換した後、再度、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、第2段目の重合反応を60分間行うことにより、含水ゲル状重合体を得た。
第2段目の重合後の含水ゲル状重合体を含む反応液に、45質量%のジエチレントリアミン5酢酸5ナトリウム水溶液0.265gを撹拌下で添加した。その後、125℃に設定した油浴にフラスコを浸漬し、n-ヘプタンと水との共沸蒸留により、n-ヘプタンを還流しながら、222.7gの水を系外へ抜き出した。次いで、フラスコに表面架橋剤として2質量%のエチレングリコールジグリシジルエーテル水溶液4.42g(0.507ミリモル)を添加し、83℃で2時間保持した。
その後、125℃に設定した油浴にフラスコを浸漬し、n-ヘプタンを蒸発させて乾燥させることによって、重合体粒子(乾燥品)を得た。この重合体粒子を目開き850μmの篩に通過させ、重合体粒子の質量に対して0.2質量%の非晶質シリカ(オリエンタルシリカズコーポレーション、トクシールNP-S、親水性)を重合体粒子と混合し、非晶質シリカを含む吸水性樹脂粒子を203.7g得た。該吸水性樹脂粒子の中位粒子径は353μmであった。
(実施例2)
第1段目の単量体水溶液の調製において、n-ヘプタンの量を293g、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩の量を0.0920g(0.339ミリモル)、エチレングリコールジグリシジルエーテルの量を0.00460g(0.0264ミリモル)、イオン交換水の量を8.28gに変更し、第1段目の重合スラリー液の調製において、撹拌機の回転数を550rpmに変更し、共沸蒸留により221.8gの水を系外へ抜き出したこと以外は、実施例1と同様にして、吸水性樹脂粒子を216.8g得た。該吸水性樹脂粒子の中位粒子径は384μmであった。
第1段目の単量体水溶液の調製において、n-ヘプタンの量を293g、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩の量を0.0920g(0.339ミリモル)、エチレングリコールジグリシジルエーテルの量を0.00460g(0.0264ミリモル)、イオン交換水の量を8.28gに変更し、第1段目の重合スラリー液の調製において、撹拌機の回転数を550rpmに変更し、共沸蒸留により221.8gの水を系外へ抜き出したこと以外は、実施例1と同様にして、吸水性樹脂粒子を216.8g得た。該吸水性樹脂粒子の中位粒子径は384μmであった。
(実施例3)
共沸蒸留により221.8gの水を系外へ抜き出したこと以外は、実施例1と同様にして、吸水性樹脂粒子を216.4g得た。該吸水性樹脂粒子の中位粒子径は334μmであった。
共沸蒸留により221.8gの水を系外へ抜き出したこと以外は、実施例1と同様にして、吸水性樹脂粒子を216.4g得た。該吸水性樹脂粒子の中位粒子径は334μmであった。
(比較例1)
共沸蒸留により214.4gの水を系外へ抜き出したこと以外は、実施例1と同様にして、吸水性樹脂粒子を219.7g得た。該吸水性樹脂粒子の中位粒子径は376μmであった。
共沸蒸留により214.4gの水を系外へ抜き出したこと以外は、実施例1と同様にして、吸水性樹脂粒子を219.7g得た。該吸水性樹脂粒子の中位粒子径は376μmであった。
(比較例2)
第1段目の単量体水溶液の調製において、単量体濃度が38質量%となるようにイオン交換水の量を40.93gに変更し、共沸蒸留により233.1gの水を系外へ抜き出したこと以外は、実施例2と同様にして、吸水性樹脂粒子を216.8g得た。該吸水性樹脂粒子の中位粒子径は353μmであった。
第1段目の単量体水溶液の調製において、単量体濃度が38質量%となるようにイオン交換水の量を40.93gに変更し、共沸蒸留により233.1gの水を系外へ抜き出したこと以外は、実施例2と同様にして、吸水性樹脂粒子を216.8g得た。該吸水性樹脂粒子の中位粒子径は353μmであった。
(比較例3)
共沸蒸留により239.4gの水を系外へ抜き出したことに変更し、重合体粒子の質量に対して0.5質量%の非晶質シリカを重合体粒子と混合し、さらに目開き400μm篩に通過させ、粒径を調整したこと以外は、比較例2と同様にして、吸水性樹脂粒子を162.6g得た。該吸水性樹脂粒子の中位粒子径は328μmであった。
共沸蒸留により239.4gの水を系外へ抜き出したことに変更し、重合体粒子の質量に対して0.5質量%の非晶質シリカを重合体粒子と混合し、さらに目開き400μm篩に通過させ、粒径を調整したこと以外は、比較例2と同様にして、吸水性樹脂粒子を162.6g得た。該吸水性樹脂粒子の中位粒子径は328μmであった。
[吸水性樹脂粒子の評価]
実施例及び比較例で作製した吸水性樹脂粒子について、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例及び比較例で作製した吸水性樹脂粒子について、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
(保水量)
吸水性樹脂粒子の生理食塩水の保水量(室温、25±2℃)を下記手順で測定した。まず、吸水性樹脂粒子2.0gを量り取った綿袋(メンブロード60番、横100mm×縦200mm)を内容積500mLのビーカー内に設置した。吸水性樹脂粒子の入った綿袋内に生理食塩水500gを、ママコができないように一度に注ぎ込んだ後、綿袋の上部を輪ゴムで縛り、30分静置させることで吸水性樹脂粒子を膨潤させた。30分経過後の綿袋を、遠心力が167Gとなるように設定した脱水機(株式会社コクサン製、品番:H-122)を用いて1分間脱水した後、脱水後の膨潤ゲルを含んだ綿袋の質量Wa[g]を測定した。吸水性樹脂粒子を添加せずに同様の操作を行い、綿袋の湿潤時の空質量Wb[g]を測定し、下記式から吸水性樹脂粒子の生理食塩水の保水量を算出した。
保水量[g/g]=(Wa-Wb)/2.0
吸水性樹脂粒子の生理食塩水の保水量(室温、25±2℃)を下記手順で測定した。まず、吸水性樹脂粒子2.0gを量り取った綿袋(メンブロード60番、横100mm×縦200mm)を内容積500mLのビーカー内に設置した。吸水性樹脂粒子の入った綿袋内に生理食塩水500gを、ママコができないように一度に注ぎ込んだ後、綿袋の上部を輪ゴムで縛り、30分静置させることで吸水性樹脂粒子を膨潤させた。30分経過後の綿袋を、遠心力が167Gとなるように設定した脱水機(株式会社コクサン製、品番:H-122)を用いて1分間脱水した後、脱水後の膨潤ゲルを含んだ綿袋の質量Wa[g]を測定した。吸水性樹脂粒子を添加せずに同様の操作を行い、綿袋の湿潤時の空質量Wb[g]を測定し、下記式から吸水性樹脂粒子の生理食塩水の保水量を算出した。
保水量[g/g]=(Wa-Wb)/2.0
(CRC)
EDANA法(NWSP 241.0.R2(15)、page.769~778)を参考に吸水性樹脂粒子のCRCを下記の手順で測定した。
EDANA法(NWSP 241.0.R2(15)、page.769~778)を参考に吸水性樹脂粒子のCRCを下記の手順で測定した。
60mm×170mmの大きさの不織布(製品名:ヒートパックMWA-18、日本製紙パピリア株式会社製)を長手方向に半分に折ることで60mm×85mmの大きさに調整した。長手方向に延びる両辺のそれぞれにおいて不織布同士をヒートシールで圧着することにより60mm×85mmの不織布バッグを作製した(幅5mmの圧着部を長手方向に沿って両辺に形成した)。不織布バッグの内部に上述の吸水性樹脂粒子を0.2g収容した。その後、短手方向に延びる残りの一辺をヒートシールで圧着することにより不織布バッグを閉じた。
不織布バッグが折り重ならない状態で、ステンレス製バット(240mm×320mm×45mm)に収容された生理食塩水1000g上に不織布バッグを浮かべることにより、不織布バッグの全体を完全に湿らせた。不織布バッグを生理食塩水に投入してから1分後にスパチュラにて不織布バッグを生理食塩水に浸漬することにより、ゲルが収容された不織布バッグを得た。
不織布バッグを生理食塩水に投入してから30分後(浮かべた時間1分、及び、浸漬時間29分の合計)に生理食塩水の中から不織布バッグを取り出した。そして、遠心分離機(株式会社コクサン製、型番:H-122)に不織布バッグを入れた。遠心分離機における遠心力が250Gに到達した後、3分間不織布バッグの脱水を行った。脱水後、ゲルの質量を含む不織布バッグの質量Maを秤量した。吸水性樹脂粒子を収容することなく不織布バッグに対して上述の操作と同様の操作を施し、不織布バッグの質量Mbを測定した。下記式に基づきCRCを算出した。なお、Mcは、測定に用いた吸水性樹脂粒子の質量0.2gの精秤値である。
CRC[g/g]={(Ma-Mb)-Mc}/Mc
CRC[g/g]={(Ma-Mb)-Mc}/Mc
(荷重下吸水量)
吸水性樹脂粒子の荷重下(加圧下)の生理食塩水の吸水量(室温)を、図1に示す測定装置Yを用いて測定した。測定装置Yは、ビュレット部61、導管62、測定台63、及び、測定台63上に置かれた測定部64から構成される。ビュレット部61は、鉛直方向に伸びるビュレット61aと、ビュレット61aの上端に配置されたゴム栓61bと、ビュレット61aの下端に配置されたコック61cと、コック61cの近傍において一端がビュレット61a内に伸びる空気導入管61dと、空気導入管61dの他端側に配置されたコック61eとを有している。導管62は、ビュレット部61と測定台63との間に取り付けられている。導管62の内径は6mmである。測定台63の中央部には、直径2mmの穴があいており、導管62が連結されている。測定部64は、円筒64a(アクリル樹脂(プレキシグラス)製)と、円筒64aの底部に接着されたナイロンメッシュ64bと、重り64cとを有している。円筒64aの内径は20mmである。ナイロンメッシュ64bの目開きは75μm(200メッシュ)である。そして、測定時にはナイロンメッシュ64b上に測定対象の吸水性樹脂粒子65が均一に撒布される。重り64cの直径は19mmであり、重り64cの質量は119.6gである。重り64cは、吸水性樹脂粒子65上に置かれ、吸水性樹脂粒子65に対して4.14kPaの荷重を加えることができる。
吸水性樹脂粒子の荷重下(加圧下)の生理食塩水の吸水量(室温)を、図1に示す測定装置Yを用いて測定した。測定装置Yは、ビュレット部61、導管62、測定台63、及び、測定台63上に置かれた測定部64から構成される。ビュレット部61は、鉛直方向に伸びるビュレット61aと、ビュレット61aの上端に配置されたゴム栓61bと、ビュレット61aの下端に配置されたコック61cと、コック61cの近傍において一端がビュレット61a内に伸びる空気導入管61dと、空気導入管61dの他端側に配置されたコック61eとを有している。導管62は、ビュレット部61と測定台63との間に取り付けられている。導管62の内径は6mmである。測定台63の中央部には、直径2mmの穴があいており、導管62が連結されている。測定部64は、円筒64a(アクリル樹脂(プレキシグラス)製)と、円筒64aの底部に接着されたナイロンメッシュ64bと、重り64cとを有している。円筒64aの内径は20mmである。ナイロンメッシュ64bの目開きは75μm(200メッシュ)である。そして、測定時にはナイロンメッシュ64b上に測定対象の吸水性樹脂粒子65が均一に撒布される。重り64cの直径は19mmであり、重り64cの質量は119.6gである。重り64cは、吸水性樹脂粒子65上に置かれ、吸水性樹脂粒子65に対して4.14kPaの荷重を加えることができる。
測定装置Yの円筒64aの中に0.100gの吸水性樹脂粒子65を入れた後、重り64cを載せて測定を開始した。吸水性樹脂粒子65が吸水した生理食塩水と同容積の空気が、空気導入管より、速やかにかつスムーズにビュレット61aの内部に供給されるため、ビュレット61aの内部の生理食塩水の水位の減量が、吸水性樹脂粒子65が吸水した生理食塩水量となる。ビュレット61aの目盛は、上から下方向に0mLから0.5mL刻みで刻印されており、生理食塩水の水位として、吸水開始前のビュレット61aの目盛りVaと、吸水開始から60分後のビュレット61aの目盛りVbとを読み取り、下記式より荷重下の吸水量を算出した。
荷重下の吸水量[mL/g]=(Vb-Va)/0.1
荷重下の吸水量[mL/g]=(Vb-Va)/0.1
(吸水速度)
吸水性樹脂粒子の生理食塩水に対する吸水速度を、Vortex法に基づき下記手順で測定した。まず、恒温水槽にて25±0.2℃の温度に調整した生理食塩水50±0.1gを容量100mLのビーカーに量りとった。次に、マグネチックスターラーバー(8mmφ×30mm、リング無し)を用いて600rpmで撹拌することにより渦を発生させた。吸水性樹脂粒子2.0±0.002gを生理食塩水中に一度に添加した。吸水性樹脂粒子の添加後から、液面の渦が収束する時点までの時間[秒]を測定し、当該時間を吸水性樹脂粒子の吸水速度として記録した。
吸水性樹脂粒子の生理食塩水に対する吸水速度を、Vortex法に基づき下記手順で測定した。まず、恒温水槽にて25±0.2℃の温度に調整した生理食塩水50±0.1gを容量100mLのビーカーに量りとった。次に、マグネチックスターラーバー(8mmφ×30mm、リング無し)を用いて600rpmで撹拌することにより渦を発生させた。吸水性樹脂粒子2.0±0.002gを生理食塩水中に一度に添加した。吸水性樹脂粒子の添加後から、液面の渦が収束する時点までの時間[秒]を測定し、当該時間を吸水性樹脂粒子の吸水速度として記録した。
(無加圧DW)
吸水性樹脂粒子の無加圧DWは、図2に示す測定装置Zを用いて測定した。測定は1種類の吸水性樹脂粒子に関して5回実施し、最低値と最高値とを除いた3点の測定値の平均値を求めた。
吸水性樹脂粒子の無加圧DWは、図2に示す測定装置Zを用いて測定した。測定は1種類の吸水性樹脂粒子に関して5回実施し、最低値と最高値とを除いた3点の測定値の平均値を求めた。
測定装置Zは、ビュレット部71、導管72、平板状の測定台73、ナイロンメッシュ74、架台75、及び、クランプ76を有する。ビュレット部71は、目盛が記載されたビュレット71aと、ビュレット71aの上部の開口を密栓するゴム栓71bと、ビュレット71aの下部の先端に連結されたコック71cと、ビュレット71aの下部に連結された空気導入管71d及びコック71eとを有する。ビュレット部71はクランプ76で固定されている。測定台73は、その中央部に形成された直径2mmの貫通孔73aを有しており、高さが可変の架台75によって支持されている。測定台73の貫通孔73aとビュレット部71のコック71cとが導管72によって連結されている。導管72の内径は6mmである。
測定は温度25℃、湿度60±10%の環境下で行った。まずビュレット部71のコック71cとコック71eを閉め、25℃に調節された生理食塩水77をビュレット71a上部の開口からビュレット71aに入れた。ゴム栓71bでビュレット71aの開口の密栓した後、コック71c及びコック71eを開けた。気泡が入らないように導管72内部を生理食塩水77で満たした。貫通孔73a内に到達した生理食塩水77の水面の高さが、測定台73の上面の高さと同じになるように、測定台73の高さを調整した。調整後、ビュレット71a内の生理食塩水77の水面の高さをビュレット71aの目盛で読み取り、その位置をゼロ点(0秒時点の読み値)とした。
測定台73上の貫通孔73aの近傍にてナイロンメッシュ74(100mm×100mm、250メッシュ、厚さ:約50μm)を敷き、その中央部に、内径30mm、高さ20mmのシリンダーを置いた。このシリンダーに1.00gの吸水性樹脂粒子78を均一に散布した。その後、シリンダーを注意深く取り除き、ナイロンメッシュ74の中央部に吸水性樹脂粒子78が円状に分散されたサンプルを得た。次いで、吸水性樹脂粒子78が載置されたナイロンメッシュ74を、その中心が貫通孔73aの位置になるように、吸水性樹脂粒子78が散逸しない程度にすばやく移動させて、測定を開始した。空気導入管71dからビュレット71a内に気泡が最初に導入された時点を吸水開始(0秒)とした。
ビュレット71a内の生理食塩水77の減少量(すなわち、吸水性樹脂粒子78が吸水した生理食塩水77の量)を0.1mL単位で順次読み取り、吸水性樹脂粒子78の吸水開始から起算して1分後の生理食塩水77の減量分Wc[g]を読み取った。Wcから、下記式により無加圧DWの1分値を求めた。無加圧DWは、吸水性樹脂粒子78の1.00g当たりの吸水量である。
無加圧DW値[mL/g]=Wc/1.00
無加圧DW値[mL/g]=Wc/1.00
(膨潤ゲルかさ密度)
ナイロンメッシュ(20cm×25cm、250メッシュ、厚さ:約50μm)を半分に折り、短辺側一箇所残し、端から1cmの間でヒートシーラー(富士インパルスシーラー、型番:FI-450-5形、富士インパルス製)で圧着して、脱水袋(20cm×12.5cm)を作製した。脱水袋に吸水性樹脂粒子5gを入れてヒートシーラーで脱水袋の口(短辺側)を閉じ、生理食塩水3Lが入ったバットに脱水袋を30分間浸漬し、吸水性樹脂粒子を膨潤させた。浸漬後の脱水袋を、遠心力が167Gとなるように設定した脱水機(株式会社コクサン製、品番:H-122)を用いて1分間脱水し、膨潤ゲルを得た。
ナイロンメッシュ(20cm×25cm、250メッシュ、厚さ:約50μm)を半分に折り、短辺側一箇所残し、端から1cmの間でヒートシーラー(富士インパルスシーラー、型番:FI-450-5形、富士インパルス製)で圧着して、脱水袋(20cm×12.5cm)を作製した。脱水袋に吸水性樹脂粒子5gを入れてヒートシーラーで脱水袋の口(短辺側)を閉じ、生理食塩水3Lが入ったバットに脱水袋を30分間浸漬し、吸水性樹脂粒子を膨潤させた。浸漬後の脱水袋を、遠心力が167Gとなるように設定した脱水機(株式会社コクサン製、品番:H-122)を用いて1分間脱水し、膨潤ゲルを得た。
厚さ0.1cm、内径4cm、深さ8cmである円柱状のステンレス製受器(内容積101mL)を準備し、受器の質量W1[g]を測定した。受器をステンレスバットの上に置き、受器から5cm上の高さに目開き0.95cmの篩を設置した。その篩の上に脱水袋から取り出した膨潤ゲルを載せ、膨潤ゲルに荷重をかけないようにほぐし、篩を通過した膨潤ゲルのみが受器に入るようにした。その際、受器の容量以上になり、あふれるようになるまで膨潤ゲルを通過させた。膨潤ゲルが受器からあふれるほどに入らなかった場合、ステンレスバット上にこぼれた膨潤ゲルを回収し、再度篩を通過させて受器に入れた。膨潤ゲルが受器容量以上にまで入った後、受器を1cm持ち上げ、手を離す工程(タッピング)を20回行い、受器内の膨潤ゲルを均一に整えた。ステンレスバット上にこぼれた膨潤ゲルを再度篩に通して受器よりあふれるまで投入し、再度膨潤ゲルを整える工程(タッピング)を行った。更に、ステンレスバット上にこぼれた膨潤ゲルを再度篩に通して受器よりあふれるまで投入した。その後、受器からはみ出た膨潤ゲルを表面上に窪みができないようにゆっくりすり切り、受器の周りについた膨潤ゲルをふき取った。膨潤ゲルが入った受器の質量W2[g]を測定した。膨潤ゲルを回収後、受器を洗浄及び乾燥してこの測定を計5回行い、測定値の最大、最小を除く3回分の測定値を用いて、下記式から膨潤ゲルかさ密度の平均値を算出した。
膨潤ゲルかさ密度[g/mL]=(W2-W1)/受器の内容積[mL]
膨潤ゲルかさ密度[g/mL]=(W2-W1)/受器の内容積[mL]
[吸収体及び吸収性物品の作製]
実施例及び比較例で作製した吸水性樹脂粒子を用いて、吸収体及び吸水性物品を作製し、以下の評価を行った。結果を表2に示す。
実施例及び比較例で作製した吸水性樹脂粒子を用いて、吸収体及び吸水性物品を作製し、以下の評価を行った。結果を表2に示す。
気流型混合装置(有限会社オーテック社製、パッドフォーマー)を用いて、吸水性樹脂粒子10g及び粉砕パルプ8gを空気抄造によって均一混合することにより、40cm×12cmの大きさのシート状の吸収体を作製した。次に、シート状の吸収体と同じ大きさを有する坪量16g/m2の2枚のティッシュッペーパーで吸収体の上下を挟んだ状態で全体に196kPaの荷重を30秒間加えてプレスすることにより、積層体を得た。さらに、吸収体と同じ大きさを有する坪量22g/m2のポリエチレン-ポリプロピレン製のエアスルー型多孔質液体透過性シートを積層体の上面に配置することにより、吸収性物品を作製した。
(人工尿の調製)
イオン交換水を5919.6g、NaClを60.0g、CaCl2・H2Oを1.8g、MgCl2・6H2Oを3.6g、1%-トリトンX-100を15.0g混合した溶液に、少量の食用青色1号を配合して人工尿を調製した。
イオン交換水を5919.6g、NaClを60.0g、CaCl2・H2Oを1.8g、MgCl2・6H2Oを3.6g、1%-トリトンX-100を15.0g混合した溶液に、少量の食用青色1号を配合して人工尿を調製した。
(浸透速度及び拡散距離)
温度25±2℃の室内において、10°に傾けた板の上にナイロンシートを引き、その上に吸収性物品を配置した。吸収性物品の中心部から5cm下に、3.6kgの重り(1辺が10cm正方形)を置いた。次に、内径3cmの投入口を有する容量100mLの液投入用シリンダー(両端が開口した円筒)を吸収性物品の主面(液体透過性シート側の面)の中心部に置いた。続いて、25±1℃に調整した80mLの人工尿をシリンダー内に一度に投入した(鉛直方向から供給した)。ストップウォッチを用いて、投入開始から、生理食塩水がシリンダー内から完全に消失するまでの吸収時間を測定した。この操作を10分間隔で更に2回(計3回)行い、吸収時間の合計値を浸透速度[秒]とした。また、3回目の投入から5分後に、重りを取り除き、吸収体の中心部から吸収体に沿って真下に拡散した距離を測定した。
温度25±2℃の室内において、10°に傾けた板の上にナイロンシートを引き、その上に吸収性物品を配置した。吸収性物品の中心部から5cm下に、3.6kgの重り(1辺が10cm正方形)を置いた。次に、内径3cmの投入口を有する容量100mLの液投入用シリンダー(両端が開口した円筒)を吸収性物品の主面(液体透過性シート側の面)の中心部に置いた。続いて、25±1℃に調整した80mLの人工尿をシリンダー内に一度に投入した(鉛直方向から供給した)。ストップウォッチを用いて、投入開始から、生理食塩水がシリンダー内から完全に消失するまでの吸収時間を測定した。この操作を10分間隔で更に2回(計3回)行い、吸収時間の合計値を浸透速度[秒]とした。また、3回目の投入から5分後に、重りを取り除き、吸収体の中心部から吸収体に沿って真下に拡散した距離を測定した。
61,71…ビュレット部、61a,71a…ビュレット、61b,71b…ゴム栓、61c,71c,71e…コック、61d,71d…空気導入管、61e…コック、62,72…導管、63,73…測定台、64…測定部、64a…円筒、64b,74…ナイロンメッシュ、64c…重り、73a…貫通孔、75…架台、76…クランプ、77…生理食塩水。
Claims (4)
- (メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を有する架橋重合体を含む、吸水性樹脂粒子であり、
膨潤ゲルかさ密度が0.85g/mL以上0.92g/mL以下であり、無加圧DWの1分値が5mL/g以上である、吸水性樹脂粒子。 - 生理食塩水の保水量が41g/g以上である、請求項1に記載の吸水性樹脂粒子。
- 4.14kPaの荷重下での生理食塩水に対する吸水量が14mL/g以上である、請求項1又は2に記載の吸水性樹脂粒子。
- 請求項1~3のいずれか一項に記載の吸水性樹脂粒子を含有する、吸収体。
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