JP2022183761A - 硬化性接着剤、並びにその接着剤を含む層を備える、接着テープ、積層体及び部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】高湿度の環境に晒されたとしても良好な接着力を呈し得る、硬化性接着剤、並びにその接着剤を含む層を備える、接着テープ、積層体及び部材を提供する。【解決手段】本開示の一実施態様の硬化性接着剤は、エポキシ基含有(メタ)アクリレートモノマー及びオキセタン基含有(メタ)アクリレートモノマーからなる群から選択される少なくとも一種と、硬化性オキセタン化合物と、第1の光重合開始剤と、第2の光重合開始剤とを含む。【選択図】なし
Description
本開示は、硬化性接着剤、並びにその接着剤を含む層を備える、接着テープ、積層体及び部材に関する。
近年、硬化性の接着剤が、例えば、歯科用途、自動車用途などの種々の用途に幅広く利用されている。
特許文献1(特表2002-516830号公報)には、(a)陽イオン的に活性な官能基と、(b)遊離基的に活性な官能基と、(c)約40℃未満の反応温度で、有限誘導期T1後に前記遊離基的に活性な官能基の遊離基重合を開始し、有限誘導期T3(T3はT1より大きい)後に前記陽イオン的に活性な官能基の陽イオン重合を開始することができる光開始系と、を含み、この光開始系が、(i)遊離基的に活性な官能基の遊離基重合及び陽イオン的に活性な官能基の陽イオン重合を開始することができる種のソースと、(ii)陽イオン重合改質剤と、を含み、この改質剤の存在しない条件下、有限誘導期T2(T2はT3より小さい)の終わりに同じ照射条件で、陽イオン的に活性な官能基の陽イオン重合が開始される、光重合可能な歯科用組成物が記載されている。
特許文献2(特開2004-051738号公報)には、(A)常温で液状のエポキシ樹脂、(B)光カチオン重合開始剤、及び(C)(メタ)アクリル酸エステル、ジエン系単量体及びこれらと他の重合性単量体混合物の中から選ばれた少なくとも1種の単量体単位を含有する重合体を含有する、無溶剤型光硬化性組成物が記載されている。
特許文献3(特開2020-105267号公報)には、(メタ)アクリレートポリマー、硬化性オキセタン化合物、ポリマーフィラー、及び硬化性オキセタン化合物用光開始剤を含む、硬化性接着剤が記載されている。
硬化性接着剤は、例えば、ある基材に適用した後に、かかる基材の接着剤層を介して被着体に適用し、熱等で硬化させて基材と被着体とを接合するように使用されている。このとき、被着体に適用する前の接着剤層を含む基材は、高湿度環境下において被着体に貼り合わされたり、或いは、高湿度環境下で保管されたりする。高湿度の環境に晒された硬化性接着剤は、水分の影響で硬化不良を生じる場合があるため、被着体に対して十分な接着力を発現できないおそれがあった。
本開示は、高湿度の環境に晒されたとしても良好な接着力を呈し得る、硬化性接着剤、並びにその接着剤を含む層を備える、接着テープ、積層体及び部材を提供する。
本開示の一実施形態によれば、エポキシ基含有(メタ)アクリレートモノマー及びオキセタン基含有(メタ)アクリレートモノマーからなる群から選択される少なくとも一種と、硬化性オキセタン化合物と、第1の光重合開始剤と、第2の光重合開始剤とを含む、硬化性接着剤が提供される。
本開示の別の実施形態によれば、上述した硬化性接着剤を含む層と、剥離ライナーとを備える接着テープが提供される。
本開示のさらに別の実施形態によれば、基材と、上述した硬化性接着剤を含む層とを備える積層体が提供される。
本開示のさらに別の実施形態によれば、ミラーボタンと、上述した硬化性接着剤を含む層とを備える部材が提供される。
本開示によれば、高湿度の環境に晒されたとしても良好な接着力を呈し得る、硬化性接着剤、並びにその接着剤を含む層を備える、接着テープ、積層体及び部材を提供することができる。
上述の記載は、本発明の全ての実施形態及び本発明に関する全ての利点を開示したものとみなしてはならない。
以下、本発明の代表的な実施形態を例示する目的で、必要に応じて図面を参照しながらより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されない。
本開示において「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリル」とは、アクリル又はメタクリルを意味する。
本開示において「硬化」とは、典型的には、硬化性オキセタン化合物が重合すること、それに応じて接着層全体が硬くなることを意味する。本開示において「硬化」には、一般的に「架橋」と呼ばれる概念も包含することができる。
本開示において「高湿度」とは、約15℃~約35℃(室温近辺)の範囲内のいずれかの温度における相対湿度が、約75%以上又は約85%以上であることを意図する。
本開示において「アルキル」という用語は、直鎖状又は分岐状の脂肪族炭化水素基を意味する。本開示において「分岐状」という用語は、直鎖状のアルキル鎖に、1個又は複数のアルキル基、例えば、メチル、エチル又はプロピルなどが付いているものを意味する。アルキル基は、非置換でもよく、また、1個又は複数の、ハロ原子、シクロアルキル基、又はシクロアルケニル基などによって置換されていてもよい。
本開示において「シクロアルキル」という用語は、非芳香族の単環式又は多環式の環状系を意味し、例えば3~12個の炭素原子を含む。シクロアルキル環の例としては、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが挙げられる。このシクロアルキル基は、1個又は複数の、ハロ原子、メチレン、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アラルキル、ヘテロアラルキル、アリール又はヘテロアリールなどで置換されていてもよい。本開示において「ヘテロ」という用語は、1個又は複数の炭素原子と置換した酸素、窒素、又は硫黄のことを意味する。
本開示において「シクロアルケニル」という用語は、炭素-炭素二重結合を有する、非芳香族の単環式又は多環式の環状系を意味し、例えば3~10個の炭素原子を含む。このシクロアルケニル基は、非置換でもよく、また、1個又は複数の、ハロ原子、メチレン、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アラルキル、ヘテロアラルキル、アリール、又はヘテロアリール基などで置換されていてもよい。
本開示において「アリール」という用語は、芳香族炭素環式の基を意味する。アリール基の例を挙げれば、場合によっては同一であっても異なっていてもよいが、1個又は複数のアリール基置換基によって置換された、フェニル又はナフチルがある。ここで「アリール基置換基」としては、水素、アルキル、シクロアルキル、場合によっては置換されたアリール、場合によっては置換されたヘテロアリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、ヘテロアラルキル、ヘテロアラルケニル、ヘテロアラルキニル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、カルボキシ、アシル、アロイル、ハロ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アシルアミノ、アロイルアミノ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、その他公知の基などが挙げられる。
本開示において「オキセタン基」とは、オキセタンの3位の水素原子が結合手に入れ替わった構造の基を示す。さらに「オキセタン基」は、その3位に残る水素原子が炭素原子数1~5のアルキル基に置換されたものを含む用語として用いられる。オキセタン基はオキセタン環と称する場合もある。
本開示において「脂肪族オキセタン化合物」とは、非芳香族系のオキセタン化合物であり、かつ、脂環式オキセタン化合物及び複素環式オキセタン化合物を含まないオキセタン化合物を意図する。
上に挙げた化学基の説明は当該技術分野では公知のものであって、これらの記述は、一般に認められている意味を変更しようとするものではない。
本開示において「接着力」とは、接着剤層が被着体又は基材から破壊されて剥がされるときの強度(破壊強度)であるとともに、剥がされるときの破壊が凝集破壊であることを意味する。
本開示において「凝集破壊」とは、接着剤層の層内で破壊が生じる現象を意味する。凝集破壊は、接着剤層の全ての層内で破壊していることに限らず、例えば、接着剤層を適用した面積のうち、約70%以上、約80%以上、又は約90%以上が、接着剤層の層内で破壊していることを意味することができる。見た目には、基材側と被着体側とに接着剤層が分かれて剥がれるものが典型だが、その割合は半々である必要はなく、一方の側に多く、他方の側に少な目に分かれて剥がれる状態(いわゆる薄層凝集破壊が多い状態)も含み得る。
本開示において「界面破壊」とは、硬化させた接着剤層と、接着剤層を適用した基材又は被着体との界面における剥離を意味する。界面破壊は、接着剤層が、基材又は被着体の界面から完全に剥がれていることに限らず、例えば、接着剤層を適用した面積のうち、約70%以上、約80%以上、又は約90%以上が、基材又は被着体の界面から剥がれていることを意味することができる。
また、界面破壊と凝集破壊とが併発する場合もあり得る。接着剤層を適用した面積のうち約70%以上、約80%以上、又は約90%以上が、接着剤層の層内で破壊している場合は、凝集破壊とみなすことができる。それ以外は、界面破壊とみなしてもよい。
本開示において「可使時間(オープンタイム)」とは、硬化性接着剤層に対して一段階目の光照射を実施して感圧接着剤(粘着剤)としての機能を発現させた後、二段階目の光照射から、接着剤層の粘着性がなくなるまでの時間を意図する。可使時間(オープンタイム)は、例えば、二段階目の光照射から、後述する可使時間(オープンタイム)試験において記載される接着剤の貯蔵弾性率(G’)が1.0×105Paに達するまでの時間と定義することもできる。
本開示において、例えば「基材の上に配置された接着剤層」における「上」とは、接着剤層が基材に直接的に配置されること、又は、接着剤層が他の層を介して基材の上方に間接的に配置されることを意味している。
以下、硬化性接着剤(「接着剤」と称する場合がある。)の各成分についてさらに説明する。
本開示の硬化性接着剤は、エポキシ基含有(メタ)アクリレートモノマー及びオキセタン基含有(メタ)アクリレートモノマーからなる群から選択される少なくとも一種と、硬化性オキセタン化合物と、第1の光重合開始剤と、第2の光重合開始剤とを含んでいる。本開示の硬化性接着剤は、エポキシ基含有(メタ)アクリレートモノマー及びオキセタン基含有(メタ)アクリレートモノマーからなる群から選択される少なくとも一種を含んでいるため、高湿度の環境に晒されたとしても良好な接着力を呈することができる。ここで、本開示において「第1の光重合開始剤」とは、硬化性オキセタン化合物以外のモノマー成分を重合させて(メタ)アクリレートポリマーを得るための開始剤を意図し、「第2の光重合開始剤」とは、硬化性オキセタン化合物同士、並びに硬化性オキセタン化合物とエポキシ基及び/又はオキセタン基を有する(メタ)アクリレートポリマーとを重合させるための開始剤を意図する。
本開示の硬化性接着剤は、典型的には、第1の光重合開始剤に基づく重合と、第2の光重合開始剤に基づく重合との二段階で重合を実施することができる。すなわち、一段階目の重合では、第1の光重合開始剤の光吸収波長(励起波長)の光を照射し、接着剤中の(メタ)アクリレートモノマー等の第1の光重合開始剤で重合可能なモノマー成分を重合させることによって(メタ)アクリレートポリマーが形成される。このときの(メタ)アクリレートポリマーには、未反応のエポキシ基及び/又はオキセタン基が残存している。この段階での(メタ)アクリレートポリマーを含む接着剤は、粘着性を呈するため、感圧接着剤としての機能を奏することができる。二段階目の重合では、第2の光重合開始剤の光吸収波長(励起波長)の光を照射し、硬化性オキセタン化合物同士、及び硬化性オキセタン化合物とエポキシ基及び/又はオキセタン基を有する(メタ)アクリレートポリマーとを重合させることによって、エポキシ基及び/又はオキセタン基が架橋点となり、硬化性オキセタン化合物と(メタ)アクリレートポリマーとが一体化(架橋)したような架橋構造を有する重合体を形成することができる。本開示の硬化性接着剤は、典型的には、二段階目の光照射で徐々に重合体が形成され、粘着性が徐々に低下する性能を奏する。したがって、例えば、接着剤層を備える基材を被着体に貼り合わせるときに、接着剤層に二段階目の光照射を実施した後でも、ある程度の期間、接着剤層は粘着性を呈しているため(可使時間を有しているため)、接着剤層を介して基材を被着体に適用することができる。本開示では、第1の光重合開始剤で重合した重合体を「(メタ)アクリレートポリマー」と称し、第2の光重合開始剤で重合した重合体を「(メタ)アクリレート複合ポリマー」と称する場合がある。この(メタ)アクリレート複合ポリマーは、硬化性オキセタン化合物とエポキシ基及び/又はオキセタン基を有する(メタ)アクリレートポリマーとの重合体に限らず、存在する場合には、エポキシ基及び/又はオキセタン基を有する(メタ)アクリレートポリマーと反応していない、硬化性オキセタン化合物同士による重合体も包含する。
エポキシ基含有(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジエーテル、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、3-メチル-3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、3-エチル-3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、4-メチル-4,5-エポキシペンチル(メタ)アクリレート、5-メチル-5,6-エポキシヘキシル(メタ)アクリレート、α-エチルグリシジルアクリレート、(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレートを挙げることができる。なかでも、高湿度下での接着力等の観点から、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。エポキシ基含有(メタ)アクリレートモノマーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
オキセタン基含有(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、(3-メチルオキセタン-3-イル)メチル(メタ)アクリレート、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル(メタ)アクリレート、(3-メチルオキセタン-3-イル)エチル(メタ)アクリレート、(3-エチルオキセタン-3-イル)エチル(メタ)アクリレート、(3-クロロメチルオキセタン-3-イル)メチル(メタ)アクリレート、(オキセタン-2-イル)メチル(メタ)アクリレート、(2-メチルオキセタン-2-イル)メチル(メタ)アクリレート、(2-エチルオキセタン-2-イル)メチル(メタ)アクリレート、(1-メチル-1-オキセタニル-2-フェニル)-3-(メタ)アクリレート、(1-メチル-1-オキセタニル)-2-トリフロロメチル-3-(メタ)アクリレート、及び(1-メチル-1-オキセタニル)-4-トリフロロメチル-2-(メタ)アクリレートを挙げることができる。なかでも、高湿度下での接着力等の観点から、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル(メタ)アクリレートが好ましい。オキセタン基含有(メタ)アクリレートモノマーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる
硬化性接着剤中のエポキシ基含有(メタ)アクリレートモノマー及びオキセタン基含有(メタ)アクリレートモノマーの配合量は、例えば、高湿度下での要する接着力、要する可使時間等に応じて適宜設定することができる。例えば、高湿度(例えば、約25℃において相対湿度約95%)下での良好な接着力を得る観点から、エポキシ基含有(メタ)アクリレートモノマー及びオキセタン基含有(メタ)アクリレートモノマーの配合量は各々独立して、接着剤中の第1の光重合開始剤で重合可能なモノマー成分100質量部当たり、約5.0質量部以上、約6.0質量部以上、約7.0質量部以上、約8.0質量部以上、約9.0質量部以上、約10.0質量部以上、約11.0質量部以上、又は約12.0質量部以上であることが好ましく、約14.0質量部以上、又は約14.5質量部以上であることがより好ましい。高湿度下での良好な接着力を得る観点においては、かかる配合量の上限値としては特に制限はない。一方、エポキシ基含有(メタ)アクリレートモノマー及びオキセタン基含有(メタ)アクリレートモノマーは、接着剤の硬化を促進させる性能を有しているため、可使時間(オープンタイム)を低下させる場合がある。したがって、好適な可使時間を得る観点では、かかる配合量の上限値は、約50.0質量部以下であることが好ましい。要する可使時間を考慮して、かかる配合量の上限値を、約45.0質量部以下、約40.0質量部以下、約35.0質量部以下、約30.0質量部以下、約26.0質量部以下、約25.0質量部以下、22.0質量部以下、又は約20.0質量部以下とすることができる。
本開示の接着剤は、上述したエポキシ基含有(メタ)アクリレートモノマー及びオキセタン基含有(メタ)アクリレートモノマー以外に、第1の光重合開始剤で重合可能な単官能モノマー及び/又は多官能モノマーを配合してもよい。
単官能モノマーとしては、例えば、アルキル基の炭素原子数が1~18のアルキル(メタ)アクリレート(「C1~18アルキル(メタ)アクリレート」と称する場合がある。)を挙げることができる。単官能モノマーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
アルキル基の炭素原子数が1~18のアルキル(メタ)アクリレートとは、例えば、アルキル(メタ)アクリレートを、(メタ)アクリル酸とアルキルアルコールのエステルとして見た場合に、当該アルキルアルコールの炭素原子数が1~18であることを意味する。すなわち、例えばアルキルアクリレートをCH2=CH-COO-R1と表した場合、R1が、炭素原子数1~18のアルキル基であることを意味する。
アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基の炭素原子数は、4以上であることが好ましく、12以下であることが好ましい。このようなアルキル(メタ)アクリレートを単官能モノマーとして有すると、接着剤の接着力又は付着力を向上させることができる。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-ヘプチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、n-ウンデシル(メタ)アクリレート、n-ドデシル(メタ)アクリレート、n-トリデシル(メタ)アクリレート、n-テトラデシル(メタ)アクリレート、n-ペンタデシル(メタ)アクリレート、n-ヘキサデシル(メタ)アクリレート、n-ヘプタデシル(メタ)アクリレート、n-オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、及びジシクロペンタニル(メタ)アクリレートが挙げられる。
単官能モノマーの配合量は、例えば、第1の光重合開始剤で重合可能なモノマー成分100質量部当たり、約10.0質量部以上、約20.0質量部以上、約30.0質量部以上、約40.0質量部以上、又は約50.0質量部以上とすることができ、約90.0質量部以下、約85.0質量部以下、約80.0質量部以下、約75.0質量部以下、約70.0質量部以下、又は約65.0質量部以下とすることができる。
多官能モノマーとしては、例えば、多官能(メタ)アクリレートを挙げることができる。多官能モノマーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、及びテトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレートが挙げられる。
多官能モノマーの配合量は、例えば、第1の光重合開始剤で重合可能なモノマー成分100質量部当たり、約1.0質量部以上、約3.0質量部以上、又は約5.0質量部以上とすることができ、約30.0質量部以下、約27.0質量部以下、約25.0質量部以下、約23.0質量部以下、約20.0質量部以下、約17.0質量部以下、又は約15.0質量部以下とすることができる。
いくつかの実施形態において、上述した(メタ)アクリレートポリマーは、例えば、(メタ)アクリレートモノマー等の第1の光重合開始剤で重合可能なモノマー成分を部分重合してなる部分重合体(「プレポリマー」と称する場合がある。)をさらに重合させて得られたものである。あるいは、後述する成形補助ポリマーを使用する場合には、部分重合体の状態を経由せずに、(メタ)アクリレートモノマー等の第1の光重合開始剤で重合可能なモノマー成分を重合させて(メタ)アクリレートポリマーを得てもよい。部分重合体又は成形補助ポリマーを含む接着剤は、厚みをもたせて基材等に適用することができる。
部分重合体(プレポリマー)は、第1の光重合開始剤で重合可能なモノマー成分を部分重合してなるものであり、「第1の光重合開始剤で重合可能なモノマー成分の部分重合体(プレポリマー)」と称することもできる。
ここで部分重合体とは、モノマー成分の少なくとも一部が重合してなる組成物であって、かかる組成物中に、エポキシ基含有(メタ)アクリレートモノマー、オキセタン基含有(メタ)アクリレートモノマー、又は存在する場合は単官能モノマー若しくは多官能モノマーに由来する未反応のエチレン性不飽和結合(C=C)が存在しているものをいう。
部分重合体の25℃における粘度は、例えば、約500mPa・s以上にすることができ、約10,000mPa・s以下、約8,000mPa・s以下又は約5,000mPa・s以下にすることができる。部分重合体の粘度範囲がこのような範囲であると、例えば、接着テープを形成する際に、剥離ライナー等へ液だれせずに厚みをもたせて接着剤を適用することができる。ここで規定する粘度とは、東京計器株式会社(日本国東京都港区)により製造されたB型粘度計(BH型)を用いて測定される値であり、測定は、#5又は#6ローターを用いて25℃で実施し(回転数:20rpm)、測定開始後1分の値を測定値とする。
部分重合体の粘度は、部分重合の進行度合いによって変化し、部分重合が進行するほど部分重合体の粘度は高くなる傾向にある。そのため、部分重合体の粘度は、第1の光重合開始剤の量、部分重合の反応時間等を適宜調整することで、容易に所望の範囲に調整することができる。
部分重合体は、未反応のモノマー成分と、該モノマー成分の重合体である固形分とを含有するということもできる。ここで、部分重合体中の固形分量は、例えば、部分重合体の総量基準で約1質量%以上又は約2質量%以上とすることができ、約10質量%以下又は約7質量%以下とすることができる。
部分重合体中の固形分量は、部分重合体から未反応のモノマー成分を除去した残りの固形分の量を測定することで求めることができ、例えば、部分重合体を約120℃のオーブンで約2時間乾燥させた後の質量を固形分量とすることができる。
部分重合体は、例えば、モノマー成分に光重合開始剤を配合して光照射して、モノマー成分を光重合することによって得ることができる。部分重合体は、第1の光重合開始剤で重合可能なモノマー成分を部分重合してなるものであるため、光重合開始剤としては、第1の光重合開始剤を使用することができる。第1の光重合開始剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
光重合開始剤、すなわち第1の光重合開始剤としては、例えば、アゾビスインブチロニトリル等のアゾ系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾイソエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、α-メチルベンゾイン、α-フェニルベンゾイン等のベンゾイン類;アントラキノン、メチルアントラキノン、クロルアントラキノン等のアントラキノン類;p-メトキシベンゼンジアゾニウム、ヘキサフルオロフォスフェート、ジフェニルアイオドニウム、トリフェニルスルフォニウム等のオニウム塩が挙げられる。
第1の光重合開始剤としては、例えば、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(ベンジルジメチルケタール)等のベンジルジアルキルケタール類;1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン等のα-ヒドロキシアルキルフェノン類;2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン等のα-アミノアルキルフェノン類;2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド類;ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウム等のチタノセン類;1.2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(0-アセチルオキシム)等のオキシムエステル類も挙げられる。
部分重合体の調製で使用する第1の光重合開始剤の含有量は、第1の光重合開始剤で重合可能なモノマー成分100質量部に対して約0.01質量部以上又は約0.05質量部以上とすることができ、約1.0質量部以下又は約0.5質量部以下とすることができる。
光照射は、例えば、紫外線、電子線、X線等による照射などを採用することができる。例えば、第1の光重合開始剤及びモノマー成分を含む混合物に対し、照射強度約0.05mW/cm2以上又は約0.1mW/cm2以上、約10mW/cm2以下又は約5mW/cm2以下、照射時間約5秒以上又は約10秒以上、約300秒以下又は約240秒以下の条件で紫外線照射して、部分重合体を得ることができる。
(メタ)アクリレートポリマーを形成するときには、成形補助ポリマーを使用してもよい。成形補助ポリマーを使用することによって、部分重合体の状態を経由させなくても、粘度を増加させることができる。その結果、未反応のモノマー成分を使用したとしても、例えば、接着テープを形成するときに、剥離ライナー等へ液だれせずに厚みをもたせて接着剤を適用することができる。
成形補助ポリマーとしては、上述したモノマー成分と相溶し、モノマー成分を含む系に対して増粘化させ得るものであればいかなるものでもよく、特に制限はない。例えば、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、及びフェノキシ樹脂を挙げることができる。成形補助ポリマーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
成形補助ポリマーの配合量は、所望の粘度が得られるように適宜調整すればよく、特に制限はない。かかる配合量としては、例えば、第1の光重合開始剤で重合可能なモノマー成分100質量部当たり、約5.0質量部以上、約7.0質量部以上、又は約10.0質量部以上とすることができ、約30.0質量部以下、約25.0質量部以下、又は約20.0質量部以下とすることができる。
(メタ)アクリレートポリマーの重合における光重合開始剤は、部分重合体の重合において使用し得る上述した第1の光重合開始剤を使用することができる。部分重合体を使用する場合には、部分重合体の製造に用いた光重合開始剤(第1の光重合開始剤)の未反応物であってもよく、部分重合体の製造後に新たに添加されたものであってもよいが、生産性等を考慮すると、後者がより好ましい。
(メタ)アクリレートポリマーの重合において使用する第1の光重合開始剤は、後述する第2の光重合開始剤と相違するものが好ましい。特に、第1の光重合開始剤は、第2の光重合開始剤の光吸収波長(励起波長)よりも、約20nm以上、約30nm以上、又は約40nm以上大きい光吸収波長を有していることが好ましい。このような光重合開始剤を使用することによって、(メタ)アクリレートポリマーの重合と、硬化性オキセタン化合物同士、並びに硬化性オキセタン化合物とエポキシ基及び/又はオキセタン基を有する(メタ)アクリレートポリマーとの重合を二段階で実施することができる。
(メタ)アクリレートポリマーの調製で使用する第1の光重合開始剤の配合量は、第1の光重合開始剤で重合可能なモノマー成分100質量部当たり、約0.01質量部以上又は約0.05質量部以上とすることができ、約1.0質量部以下又は約0.5質量部以下とすることができる。
本開示の接着剤において使用される硬化性オキセタン化合物としては、光(例えば、紫外線、電子線、X線)の照射により硬化し得るオキセタン化合物であればいかなるものでもよい。
硬化性オキセタン化合物としては、分子内に1以上のオキセタン基(オキセタン環)を有する公知の化合物が挙げられ、例えば、脂肪族オキセタン化合物、芳香族オキセタン化合物、脂環式オキセタン化合物、及び複素環式オキセタン化合物が挙げられる。硬化性オキセタン化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
本開示の硬化性接着剤に含まれる、エポキシ基含有(メタ)アクリレートモノマー及びオキセタン基含有(メタ)アクリレートモノマーからなる群から選択される少なくとも一種のモノマーは、二段階目の光照射による反応性を促進させる性能を有しているため、可使時間(オープンタイム)を低下させる場合がある。本発明者は、硬化性オキセタン化合物の中でも脂肪族オキセタン化合物を使用すると、この可使時間の低下を低減又は抑制できることを見出した。可使時間の低下を低減又は抑制する観点から、硬化性オキセタン化合物としては、脂肪族オキセタン化合物単独、又は脂肪族オキセタン化合物と、芳香族オキセタン化合物、脂環式オキセタン化合物及び複素環式オキセタン化合物からなる群から選択される少なくとも一種との混合物が好ましく、脂肪族オキセタン化合物単独、又は脂肪族オキセタン化合物と芳香族オキセタン化合物との混合物がより好ましい。また、可使時間の低下を低減又は抑制する観点から、脂肪族オキセタン化合物及び芳香族オキセタン化合物のうちの少なくとも一方は、2つ以上のオキセタン基(オキセタン環)を有することがより好ましい。
脂肪族オキセタン化合物として、具体的には、2-エチルヘキシルオキセタン、3-エチル-3-{[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ]メチル}オキセタン、3,3-ビス(ビニルオキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(ヒドロキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシルオキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(ヘキシルオキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(クロロメチル)オキセタン、3,3-ビス(クロロメチル)オキセタン、ビス{[1-エチル(3-オキセタニル)]メチル}エーテル、及び3-エチル-3-{[3-(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタンを挙げることができる。なかでも、高湿度下での接着力を低減させることなく、好適な可使時間を得る観点から、3-エチル-3-{[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ]メチル}オキセタンが好ましい。脂肪族オキセタン化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
芳香族オキセタン化合物として、具体的には、例えば、キシリレンビスオキセタン、フェノールノボラックオキセタン、3-エチル-3-[(フェノキシ)メチル]オキセタン、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、及び1,4-ビス{[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼンを挙げることができる。芳香族オキセタン化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
脂環式オキセタン化合物として、具体的には、例えば、4,4'-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ビシクロヘキシル、及び1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]シクロヘキサンが挙げられる。脂環式オキセタン化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
複素環式オキセタン化合物として、具体的には、例えば、ビス{[1-エチル(3-オキセタニル)]メチル}エーテルに複素環式基が付与された化合物が挙げられる。複素環式オキセタン化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
硬化性オキセタン化合物は、二段階目の光照射により、硬化性オキセタン化合物同士が反応するとともに、硬化性オキセタン化合物と(メタ)アクリレートポリマーのエポキシ基及び/又はオキセタン基とも反応する。このとき、(メタ)アクリレートポリマーのエポキシ基及び/又はオキセタン基が架橋点となり、硬化性オキセタン化合物と(メタ)アクリレートポリマーとが一体化(架橋)したような架橋構造を有する重合体(硬化物)が得られる。つまり、硬化性オキセタン化合物が硬化するときに、(メタ)アクリレートポリマーのエポキシ基及び/又はオキセタン基が架橋点として作用し、ポリマー成分である(メタ)アクリルポリマーと架橋しながら硬化性オキセタン化合物が硬化するので、重合体の分子量の上昇が早くなり、その結果、硬化速度が上昇する。高湿度環境下では、一般的に、接着剤中の水分又は空気中の水分が、接着剤中の硬化性オキセタン化合物の硬化を阻害し、硬化不良を引き起こすため、接着剤の接着力を低下させやすい。一方、本開示の接着剤は、エポキシ基含有(メタ)アクリレートモノマー及びオキセタン基含有(メタ)アクリレートモノマーからなる群から選択される少なくとも一種を含み、上述したように、硬化性オキセタン化合物の硬化が促進されるため、水分による硬化不良に伴う接着力の低下を低減することができる。したがって、硬化性オキセタン化合物は、高湿度(例えば、約25℃において相対湿度約95%)下での良好な接着力を得る観点から、硬化性オキセタン化合物の総量に対する、エポキシ基含有(メタ)アクリレートモノマー及びオキセタン基含有(メタ)アクリレートモノマーからなる群から選択される少なくとも一種の総量の割合が、約5.0%以上、約5.5%以上、又は約6.0%以上となるように接着剤中に含まれていることが好ましい。高湿度下での良好な接着力を得る観点においては、かかる割合の上限値としては特に制限はない。一方、エポキシ基含有(メタ)アクリレートモノマー及びオキセタン基含有(メタ)アクリレートモノマーは、接着剤の硬化を促進させる性能を有しているため、可使時間(オープンタイム)を低下させる場合がある。したがって、例えば、好適な可使時間を得る観点では、かかる割合の上限値は、約15%以下であることが好ましい。要する可使時間を考慮して、かかる割合の上限値を、約14%以下、約13%以下、又は約12%以下とすることができる。
上述したように、脂肪族オキセタン化合物の使用は、可使時間に寄与する。したがって、可使時間の観点から、硬化性オキセタン化合物の総量に対する、脂肪族オキセタン化合物の質量の割合が、約3.0%以上、約4.0%以上、約5.0%以上、約7.0%以上、約10.0%以上、約12.0%以上、又は約15.0%以上であることが好ましい。かかる割合の上限値については特に制限はなく、例えば、100%以下、100%未満、約80.0%以下、約60.0%以下、約50.0%以下、約40.0%以下、約30.0%以下、約20.0%以下、又は約15.0%以下とすることができる。
本開示の接着剤において使用される第2の光重合開始剤としては、光(例えば、紫外線、電子線、X線等)の照射によりカチオン又はルイス酸を発生し、硬化性オキセタン化合物同士の重合、並びに硬化性オキセタン化合物とエポキシ基及び/又はオキセタン基を有する(メタ)アクリレートポリマーとの重合を開始させるものであればいかなるものでもよく、特に限定されない。
第2の光重合開始剤として、例えば、スルホニウム塩光開始剤、ヨードニウム塩光開始剤、及びジアゾニウム塩光重合開始剤が挙げられる。第2の光重合開始剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
スルホニウム塩光重合開始剤としては、例えば、トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル-4-(フェニルチオ)フェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル-4-(フェニルチオ)フェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、4,4’-ビス[ジフェニルスルホニオ]ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート、4,4’-ビス[ジ(β-ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ]ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロアンチモネート、4,4’-ビス[ジ(β-ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ]ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート、7-[ジ(p-トルイル)スルホニオ]-2-イソプロピルチオキサントン ヘキサフルオロアンチモネート、7-[ジ(p-トルイル)スルホニオ]-2-イソプロピルチオキサントン テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4-フェニルカルボニル-4’-ジフェニルスルホニオ-ジフェニルスルフィド ヘキサフルオロホスフェート、4-(p-tert-ブチルフェニルカルボニル)-4’-ジフェニルスルホニオ-ジフェニルスルフィド ヘキサフルオロアンチモネート、4-(p-tert-ブチルフェニルカルボニル)-4’-ジ(p-トルイル)スルホニオ-ジフェニルスルフィド テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等のトリアリールスルホニウム塩が挙げられる。スルホニウム塩光重合開始剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
ヨードニウム塩光重合開始剤としては、例えば、ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、ジ(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、トリルクミルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、(4-メチルフェニル)[4-(2-メチルプロピル)フェニル]-ヘキサフロオロホスフェート、ジ(4-ノニルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(4-アルキルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート等のジアリールヨードニウム塩が挙げられる。ヨードニウム塩光重合開始剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
ジアゾニウム塩光重合開始剤としては、例えば、ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。ジアゾニウム塩光重合開始剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
これらの光重合開始剤の中でも、相溶性、硬化性等の観点から、スルホニウム塩光重合開始剤が好ましい。
第2の光重合開始剤の配合量としては、例えば、硬化性オキセタン化合物100質量部当たり、約0.1質量部以上、約0.5質量部以上、又は約1.0質量部以上とすることができ、約15.0質量部以下、約10.0質量部以下、約5.0質量部以下、又は約3.0質量部以下とすることができる。
第2の光重合開始剤の配合量は、一般に、硬化性オキセタン化合物の硬化速度、すなわち可使時間に寄与する。したがって、第2の光重合開始剤の配合量を調整することで、可使時間を調整することもできる。
硬化性オキセタン化合物の硬化速度は、光の照射量を適宜調整することで制御することもできる。
いくつかの実施形態において、本開示の硬化性接着剤はポリマーフィラーを含む。硬化性接着剤の使用用途の中には、接着剤層を適用した基材又は被着体との界面で剥離する界面破壊ではなく、接着剤層の層内で破壊が生じる凝集破壊が望まれる場合がある。このような場合において、ポリマーフィラーの使用は、硬化後の接着剤の凝集破壊性(耐界面破壊性)を向上させることができるため有利である。
ポリマーフィラーは、中実又は中空であってもよい。ポリマーフィラーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
ポリマーフィラーとして、例えば、硬化後の接着剤のマトリックス樹脂((メタ)アクリレート複合ポリマー)と接着しづらいポリマーフィラーを挙げることができる。このようなフィラーとして、例えば、ポリエチレンフィラー等の脂肪族系ポリマーフィラー、アクリロニトリルを構成成分として含むアクリロニトリル系ポリマーフィラーを挙げることができる。
ポリマーフィラーの配合量としては、例えば、第1の光重合開始剤で重合可能なモノマー成分及び硬化性オキセタン化合物((メタ)アクリレート複合ポリマー)100質量部当たり、約5.0質量部以上、約10.0質量部以上、又は約15.0質量部以上とすることができ、約60.0質量部以下、約55.0質量部以下、約50.0質量部以下、約45.0質量部以下、約40.0質量部以下、又は約35.0質量部以下とすることができる。
あるいは、ポリマーフィラーは、接着剤中に、約10.0体積%以上、約15.0体積%以上、又は約20.0体積%以上配合することができ、約80.0体積%以下、約70.0体積%以下、又は約60.0体積%以下配合することができる。
ポリマーフィラーの大きさ(平均粒子径)は、例えば、約5マイクロメートル以上、約7マイクロメートル以上、又は約9マイクロメートル以上とすることができ、約200マイクロメートル以下、約180マイクロメートル以下、又は約160マイクロメートル以下とすることができる。かかる大きさのポリマーフィラーは、硬化後の接着剤を凝集破壊させやすい。ポリマーフィラーの大きさ(平均粒子径)は、レーザー回折・散乱法によって求めることができる。
本開示の硬化性接着剤は、本発明の効果に影響を及ぼさない範囲で、任意成分として、離型剤、ポリマーフィラー以外の充填剤、導電剤、熱伝導性付与剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、分散剤、可塑剤、滑剤、界面活性剤、レベリング剤、シランカップリング剤、触媒、顔料、染料などを含むことができる。シランカップリング剤を配合した場合には、耐湿熱性等の性能を向上させることができる。任意成分は単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
ここで、接着剤のマトリックス樹脂成分と接着しやすい充填剤(例えばシリカ粒子及びPMMA粒子)は、かかるマトリックス樹脂成分と架橋点を形成しやすい傾向にあるため、硬化後の接着剤の凝集破壊性を低下させ、その結果、界面破壊を生じさせやすい傾向にある。したがって、耐界面破壊性を向上させたい場合には、このような充填剤は、約10.0体積%以下、約8.0体積%以下、又は約5.0体積%以下の割合で配合してもよいが、配合しないことがより好ましい。
本開示の硬化性接着剤は、高湿度下での接着力(破壊強度)に優れている。かかる接着力(破壊強度)は、後述する接着力試験で評価することができる。本開示の硬化性接着剤は、例えば、約25℃、相対湿度約75%の調湿箱中で1日以上調湿して調製した試験サンプルを用いたときに、約25℃雰囲気下でのかかる接着力試験で、約1,200N以上、約1,300N以上、又は約1,400N以上の破壊強度を呈することができる。かかる破壊強度の上限値としては特に制限はなく、例えば、約2,000N以下、約1,900N以下、又は約1,800N以下とすることができる。本開示の硬化性接着剤は、約25℃、相対湿度約75%の調湿箱中で1日以上調湿して調製した試験サンプルを用いたときに、約80℃雰囲気下でのかかる接着力試験では、約50N以上、約100N以上、約200N以上、又は約300N以上の破壊強度を呈することができる。かかる破壊強度の上限値としては特に制限はなく、例えば、約1,000N以下、約800N以下、又は約500N以下とすることができる。
いくつかの実施形態では、本開示の硬化性接着剤は、貼り付け作業において好適な十分に長い可使時間を呈する。可使時間は、二段階目の光照射から、後述する可使時間(オープンタイム)試験において記載される接着剤の貯蔵弾性率(G’)が1.0×105Paに達するまでの時間として評価することができる。本開示の硬化性接着剤は、約5.0分以上、約6.5分超、約8.0分以上、約10分以上、約15分以上、約20分以上、又は約30分以上の可使時間を呈することができる。可使時間の上限値としては特に制限はなく、例えば、約10時間以内、約8時間以内、約5時間以内、又は約1時間以内とすることができる。
本開示の硬化性接着剤は、種々の用途に使用することができる。特に光硬化性の接着剤は、接着工程において加熱が必須ではないため作業性に優れ、また、異種材料を接着する場合にも、熱膨張係数の差による収縮での歪みを抑制できる等の利点を有している。本開示の硬化性接着剤は、次のものに限定されないが、例えば、硬化性接着剤層及び剥離ライナーを備える接着テープ;硬化性接着剤層、基材及び任意に剥離ライナーを備える積層体;硬化性接着剤層及びミラーボタンを備える部材;硬化性接着剤又は先の接着テープと、紫外線照射ライトとを備えるキットなどの用途に使用することができる。より具体的には、例えば、車両、船舶、航空機等の各種乗物分野、各種製造装置の分野、ロボット分野、建築分野、医療分野等に使用することができる。
剥離ライナーは、硬化性接着剤層の少なくとも片面に適用することができる。剥離ライナーとしては、例えば、紙;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、酢酸セルロースなどのプラスチック材料;このようなプラスチック材料で被覆された紙を挙げることができる。剥離ライナーは、シリコーンなどにより剥離処理した表面を有してもよい。剥離ライナーの厚さは、例えば、約5マイクロメートル以上、約15マイクロメートル以上、又は約25マイクロメートル以上とすることができ、約500マイクロメートル以下、約300マイクロメートル以下、又は約200マイクロメートル以下とすることができる。
基材とは、剥離ライナーとは異なり剥がすことを意図しない材料であって、以下に示す被着体に対し、接着剤層を介して貼り合わされる材料である。かかる基材としては特に制限はなく、例えば、ミラーボタンに使用されるようなアルミニウム又はステンレス等の金属基材又は金属合金基材;PET等の樹脂基材;ゴム基材;ガラス、セラミックス、コンクリート等の無機基材;木質基材を挙げることができる。
基材の形状も特に制限はなく、例えば、フィルム又は板のような平坦形状;曲面形状;各種三次元形状などであってもよい。
硬化性接着剤層及び基材を備える積層体を適用する被着体については特に制限はない。かかる被着体の材料としては、例えば、アルミニウム等の金属又は金属合金;PET等の樹脂材料;ゴム材料;ガラス、セラミックス、コンクリート等の無機材料;木質材料を挙げることができる。
被着体の形状も特に制限はなく、例えば、フィルム又は板のような平坦形状;曲面形状;各種三次元形状などであってもよい。
硬化性接着剤層の厚さは、要する接着力等を考慮して適宜選択すればよく、例えば、約40マイクロメートル以上、約70マイクロメートル以上、又は約100マイクロメートル以上とすることができ、約4mm以下、約3mm以下、又は約2mm以下とすることができる。
本開示の硬化性接着剤の製造方法としては特に制限はない。一例として、以下に、本開示の硬化性接着剤を使用した接着テープの製造方法について記載する。
例えば、エポキシ基含有(メタ)アクリレートモノマー及びオキセタン基含有(メタ)アクリレートモノマーからなる群から選択される少なくとも一種と、第1の光重合開始剤と、任意に単官能モノマー及び/又は多官能モノマーとを混合した材料に光照射して部分的に予備重合させた(プレポリマー化した)溶液を調製する、あるいは、かかる(メタ)アクリレートモノマーと、第1の光重合開始剤と、成形補助ポリマーと、任意に単官能モノマー及び/又は多官能モノマーとを混合して混合物を調製する。これらのいずれかと、硬化性オキセタン化合物と、第2の光重合開始剤と、任意にポリマーフィラーとを混合して硬化性接着剤を調製する。
得られた硬化性接着剤を、剥離ライナー上にコーティング法等の公知の方法を用いて適用し、必要に応じて、接着剤層上に剥離ライナーをさらに適用する。次いで、第1の光重合開始剤のみに反応する特定波長の光(例えば紫外線)を接着剤層に対して照射し、第1の光重合開始剤で重合可能なモノマー成分を重合させて(メタ)アクリレートポリマーを調製し、接着テープを得ることができる。
本開示の接着テープの使用方法としては特に制限はない。一例として、以下に、遅延硬化型の接着テープの使用方法について記載する。
例えば、接着テープの両面に剥離ライナーが適用されている場合、片方の剥離ライナーを除去し、露出した硬化性接着剤層を上述した基材(例えばミラーボタン)に適用して積層体を調製する。ここで、剥離ライナーが除去しづらい場合には、接着テープを冷却してもよい。
次いで、かかる積層体の剥離ライナー上から、或いは、剥離ライナーを除去して露出させた硬化性接着剤層に対して第2の光重合開始剤が反応する光(例えば紫外線)を照射し、硬化性オキセタン化合物同士、並びに硬化性オキセタン化合物とエポキシ基及び/又はオキセタン基を有する(メタ)アクリレートポリマーの重合反応を開始させる。次いで、かかる重合反応が完了する前に硬化性接着剤層を上述した被着体(例えばガラス)に貼り合わせる。
本開示の硬化性接着剤は適宜遅延硬化させることができるため、基材及び被着体が不透明な材料であったとしても、光照射後に基材及び被着体に対して良好な接着力を提供することができる。
以下の実施例において、本開示の具体的な実施形態を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。部及びパーセントは全て、特に明記しない限り質量による。数値は本質的に測定原理及び測定装置に起因する誤差を含む。数値は通常の丸め処理が行われた有効数字で示される。
表1には、使用した各種の材料を示す。
試験例1
試験例1では、硬化性接着剤の高湿度下での接着力(破壊強度及び凝集破壊性)について検討した。
試験例1では、硬化性接着剤の高湿度下での接着力(破壊強度及び凝集破壊性)について検討した。
硬化性接着剤の調製
表2~3に示す(メタ)アクリレートモノマー成分(GMA、OXMA、OXA、HEA、AA、DEAEMA、IBXA、HDDA)と、成形補助ポリマーのポリビニルブチラール(B76)を、表2~3に示す割合でガラス瓶に入れ、約70℃のオーブンで約30分間加熱した後、ARE310ミキサー(シンキー株式会社製(日本国東京都千代田区))を用いて約1日間撹拌して溶液を調製した。この溶液に、硬化性オキセタン化合物(OXT121)、シランカップリング剤(KBM403)、ポリエチレンフィラー(1055C)を添加した後、ARE310ミキサーにより約2000rpmで約1分間撹拌した。続いて、第1の光重合開始剤(IRG819)と第2の光重合開始剤(CPI-101A)を溶液に加えて再度撹拌した後、250型真空脱泡ミキスタ(ミキスタ工業株式会社(日本国東京都江東区))で約15分間脱泡し、硬化性接着剤を各々調製した。
表2~3に示す(メタ)アクリレートモノマー成分(GMA、OXMA、OXA、HEA、AA、DEAEMA、IBXA、HDDA)と、成形補助ポリマーのポリビニルブチラール(B76)を、表2~3に示す割合でガラス瓶に入れ、約70℃のオーブンで約30分間加熱した後、ARE310ミキサー(シンキー株式会社製(日本国東京都千代田区))を用いて約1日間撹拌して溶液を調製した。この溶液に、硬化性オキセタン化合物(OXT121)、シランカップリング剤(KBM403)、ポリエチレンフィラー(1055C)を添加した後、ARE310ミキサーにより約2000rpmで約1分間撹拌した。続いて、第1の光重合開始剤(IRG819)と第2の光重合開始剤(CPI-101A)を溶液に加えて再度撹拌した後、250型真空脱泡ミキスタ(ミキスタ工業株式会社(日本国東京都江東区))で約15分間脱泡し、硬化性接着剤を各々調製した。
接着テープの調製
約0.5~約0.6mmのギャップ間隔を有するハンドコーターを使用して、シリコーンで剥離処理された第1の剥離PETライナー上に、各硬化性接着剤をコーティングしながら、かかるコーティング層上に第2の剥離PETライナーをさらに適用し、積層体Aを調製した。次いで、積層体Aに対し、窒素雰囲気下、ピーク発光波長405nmのUV-LEDライトを用いて紫外線を照射強度3mW/cm2で約5分間照射し、(メタ)アクリレートポリマーのみを重合させて粘着性を有する接着テープを調製した。
約0.5~約0.6mmのギャップ間隔を有するハンドコーターを使用して、シリコーンで剥離処理された第1の剥離PETライナー上に、各硬化性接着剤をコーティングしながら、かかるコーティング層上に第2の剥離PETライナーをさらに適用し、積層体Aを調製した。次いで、積層体Aに対し、窒素雰囲気下、ピーク発光波長405nmのUV-LEDライトを用いて紫外線を照射強度3mW/cm2で約5分間照射し、(メタ)アクリレートポリマーのみを重合させて粘着性を有する接着テープを調製した。
硬化性接着剤層を備える接着テープの接着力(破壊強度及び凝集破壊率)を、以下の方法を用いて評価した。その結果を表2~3に示す。ここで、表2は以下に示す接着力評価試験時の温度が約25℃のときの評価結果であり、表3は接着力評価試験時の温度が約80℃のときの評価結果である。
試験サンプルの調製
約25mm×約30mmの接着面を有するステンレス製のミラーボタン及び約100mm×約100mm×約5mmの強化ガラスを用意し、ミラーボタン及び強化ガラスの接着面をイソプロピルアルコールで洗浄した。接着テープを約25mm×約30mmの大きさにカットし、第1の剥離PETライナーを、必要に応じて冷却しながら除去し、接着テープの硬化性接着剤層をミラーボタンの接着面に押圧して適用した。第2の剥離PETライナーを、必要に応じて冷却しながら除去した後、接着剤層中の水分量をコントロールするために、硬化性接着剤層を備えるミラーボタンを、温度約25℃、相対湿度約23%、約33%、約43%、約60%、約75%、又は約85%の調湿箱中に各々1日以上保管して試験サンプルを各々調製した。ここで、調湿箱の相対湿度は飽和塩水で制御し、塩の種類によって相対湿度を変化させた。
約25mm×約30mmの接着面を有するステンレス製のミラーボタン及び約100mm×約100mm×約5mmの強化ガラスを用意し、ミラーボタン及び強化ガラスの接着面をイソプロピルアルコールで洗浄した。接着テープを約25mm×約30mmの大きさにカットし、第1の剥離PETライナーを、必要に応じて冷却しながら除去し、接着テープの硬化性接着剤層をミラーボタンの接着面に押圧して適用した。第2の剥離PETライナーを、必要に応じて冷却しながら除去した後、接着剤層中の水分量をコントロールするために、硬化性接着剤層を備えるミラーボタンを、温度約25℃、相対湿度約23%、約33%、約43%、約60%、約75%、又は約85%の調湿箱中に各々1日以上保管して試験サンプルを各々調製した。ここで、調湿箱の相対湿度は飽和塩水で制御し、塩の種類によって相対湿度を変化させた。
調湿後の試験サンプルの露出した硬化性接着剤層に、ピーク発光波長365nmのUV-LEDライト(UVX365;マイクロ・スクェア株式会社(日本国神奈川県相模原市))を用いてUV-A放射線を約5.5秒照射した。ここで、このUV-A照射量は、Power Puck II放射計(EIT社製)で測定した結果、約7.5J/cm2であった。
露光した硬化性接着剤層を強化ガラスに押圧して適用した後、室温で72時間以上放置して硬化を完了させ、試験サンプルを調製した。
調製した試験サンプルに対し、以下に示す評価を実施した。
接着力評価試験(破壊強度及び凝集破壊性)
約25℃又は約80℃の雰囲気下、図1に示す冶具100を使用し、ミラーボタン103の長軸方向の先端部分の片方からミラーボタンを引き剥がすような力(図1(a)の上向き矢印)を、50mm/分の速度でミラーボタン103に適用し、最大の破壊強度(「引き剥がし強さ」と称する場合がある。)を測定した。同時に、接着剤層の凝集破壊性を評価した。その結果を表2~3に示す。ここで、表中の「凝集破壊率(%)」とは、接着剤層を適用した面積のうち、接着剤層の層内で破壊している箇所、すなわちミラーボタン又はガラスの表面が現れていない箇所の割合を意味し、この値が100%に近付くほど凝集破壊性(耐界面破壊性)に優れているといえる。
約25℃又は約80℃の雰囲気下、図1に示す冶具100を使用し、ミラーボタン103の長軸方向の先端部分の片方からミラーボタンを引き剥がすような力(図1(a)の上向き矢印)を、50mm/分の速度でミラーボタン103に適用し、最大の破壊強度(「引き剥がし強さ」と称する場合がある。)を測定した。同時に、接着剤層の凝集破壊性を評価した。その結果を表2~3に示す。ここで、表中の「凝集破壊率(%)」とは、接着剤層を適用した面積のうち、接着剤層の層内で破壊している箇所、すなわちミラーボタン又はガラスの表面が現れていない箇所の割合を意味し、この値が100%に近付くほど凝集破壊性(耐界面破壊性)に優れているといえる。
試験例2
試験例2では、硬化性接着剤の可使時間について検討した。なお、可使時間の優位性は、本開示の硬化性接着剤における付随的な効果である。実施例4は硬化性オキセタン化合物として脂肪族オキセタン化合物を含んでおらず、一方、実施例5~11では脂肪族オキセタン化合物を含んでいる。
試験例2では、硬化性接着剤の可使時間について検討した。なお、可使時間の優位性は、本開示の硬化性接着剤における付随的な効果である。実施例4は硬化性オキセタン化合物として脂肪族オキセタン化合物を含んでおらず、一方、実施例5~11では脂肪族オキセタン化合物を含んでいる。
硬化性接着剤の調製
表4の組成に変更したこと以外は、試験例1の硬化性接着剤の調製と同様にして、試験例2の硬化性接着剤を各々調製した。
表4の組成に変更したこと以外は、試験例1の硬化性接着剤の調製と同様にして、試験例2の硬化性接着剤を各々調製した。
試験サンプルの調製
約0.5~約0.6mmのギャップ間隔を有するハンドコーターを使用して、シリコーンで剥離処理された約1mm厚の剥離PETライナーに硬化性接着剤をコーティングし、窒素雰囲気下、ピーク発光波長405nmのUV-LEDライトを用いて紫外線を照射強度3mW/cm2で約5分間照射し、(メタ)アクリレートポリマーのみを重合させて粘着性を有する接着テープを調製した。この接着テープを、温度約25℃、相対湿度約33%の調湿箱中に1日以上保管して試験サンプルを調製した。
約0.5~約0.6mmのギャップ間隔を有するハンドコーターを使用して、シリコーンで剥離処理された約1mm厚の剥離PETライナーに硬化性接着剤をコーティングし、窒素雰囲気下、ピーク発光波長405nmのUV-LEDライトを用いて紫外線を照射強度3mW/cm2で約5分間照射し、(メタ)アクリレートポリマーのみを重合させて粘着性を有する接着テープを調製した。この接着テープを、温度約25℃、相対湿度約33%の調湿箱中に1日以上保管して試験サンプルを調製した。
調製した試験サンプルに対し、以下に示す評価を実施した。その結果を表4に示す。ここで、表中の「>15」とは、可使時間が15分を超えることを意味している。
可使時間(オープンタイム)試験
UV光源、温度制御ステージ、及びFT-IR検出器を備えたHAAKE MARS IIIレオメーター(Thermo Scientific社製)を用いてリアルタイムUVレオメーター測定を以下のように実施し、試験サンプルの可使時間を決定した。
UV光源、温度制御ステージ、及びFT-IR検出器を備えたHAAKE MARS IIIレオメーター(Thermo Scientific社製)を用いてリアルタイムUVレオメーター測定を以下のように実施し、試験サンプルの可使時間を決定した。
調製した試験サンプルを、測定直前にレオメーターのサンプルステージに配置した。回転セルの直径は約8mmであり、試験サンプルの高さは約1.0mmとした。UV光源として、高圧水銀ランプのOmniCure(商標)2000(SUNSTAR社製)を使用した。UV-Aの総エネルギーが約7.5J/cm2となるように、UV照射時間を約5.5秒とした。UV照射後の硬化過程において、25℃で周波数1Hzのオシレーションモードにより、貯蔵弾性率(G’)を測定した。UV照射後、貯蔵弾性率(G’)が1.0×105Paになるまでの経過時間を可使時間(オープンタイム)とした。
表4に示す通り、脂肪族オキセタン化合物を含む実施例5~11の構成では、脂肪族オキセタン化合物を含まない実施例4の構成に比べ、可使時間に対しても有利な効果を奏していた。
本発明の基本的な原理から逸脱することなく、上記の実施形態及び実施例が様々に変更可能であることは当業者に明らかである。また、本発明の様々な改良及び変更が本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに実施できることは当業者には明らかである。
100 冶具
101 強化ガラス
103 ミラーボタン
101 強化ガラス
103 ミラーボタン
Claims (10)
- エポキシ基含有(メタ)アクリレートモノマー及びオキセタン基含有(メタ)アクリレートモノマーからなる群から選択される少なくとも一種、
硬化性オキセタン化合物、
第1の光重合開始剤、及び
第2の光重合開始剤、を含む、
硬化性接着剤。 - 前記硬化性オキセタン化合物が、脂肪族オキセタン化合物、又は脂肪族オキセタン化合物及び芳香族オキセタン化合物を含む、請求項1に記載の接着剤。
- 前記脂肪族オキセタン化合物及び前記芳香族オキセタン化合物のうちの少なくとも一方は、2つ以上のオキセタン基を有する、請求項2に記載の接着剤。
- 5.0分以上の可使時間を呈する、請求項2又は3に記載の接着剤。
- ポリマーフィラーを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の接着剤。
- 成形補助ポリマーを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の接着剤。
- 25℃、相対湿度75%の調湿箱中で1日以上調湿して調製した試験サンプルを用いたときに、25℃の雰囲気下での接着力試験において、1,200N以上の接着力を呈する、請求項1~6のいずれか一項に記載の接着剤。
- 請求項1~7のいずれか一項に記載の接着剤を含む層、及び剥離ライナーを備える、接着テープ。
- 基材、及び請求項1~7のいずれか一項に記載の接着剤を含む層を備える、積層体。
- ミラーボタン、及び請求項1~7のいずれか一項に記載の接着剤を含む層を備える、部材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021091241A JP2022183761A (ja) | 2021-05-31 | 2021-05-31 | 硬化性接着剤、並びにその接着剤を含む層を備える、接着テープ、積層体及び部材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Publications (1)
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JP2022183761A true JP2022183761A (ja) | 2022-12-13 |
Family
ID=84437636
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2021091241A Pending JP2022183761A (ja) | 2021-05-31 | 2021-05-31 | 硬化性接着剤、並びにその接着剤を含む層を備える、接着テープ、積層体及び部材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2022183761A (ja) |
-
2021
- 2021-05-31 JP JP2021091241A patent/JP2022183761A/ja active Pending
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