JP2022183735A - 振動デバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた発振特性を有する振動デバイスを提供すること。【解決手段】振動デバイスは、振動素子と、表裏関係にある第1面および第2面を有し、前記第1面側に前記振動素子が配置されている半導体基板であるベースと、前記ベースに配置されている集積回路と、前記振動素子に対向する内面と、前記内面と表裏関係にある外面とを有し、前記振動素子を収容するように前記ベースに接合されている半導体基板であるリッドと、を有し、前記リッドの前記外面には、凹部が設けられており、前記リッドの前記内面と前記凹部の底面との間の厚みが10μm以上である。【選択図】図1
Description
本発明は、振動デバイスに関する。
特許文献1には、水晶振動子と、温度センサー、温度補償電圧発生回路および発振回路を1チップ化したICと、を有し、水晶振動子とICとがセラミックパッケージに収容されてなる温度補償型発振器が記載されている。また、セラミックパッケージは、上面に開口する凹部を有する箱状のセラミックベースと、凹部の開口を塞ぐようにしてセラミックベースの上面に接合されている金属蓋と、を有し、凹部の底面にICが固定され、凹部の段差面に水晶振動子が固定されている。
しかしながら、特許文献1の温度補償型発振器では、セラミックベースの断熱性が高く、ICからの発熱がセラミックパッケージ内に籠り易い。そのため、セラミックパッケージ内の水晶振動子の温度が安定せず、発振特性が劣化するという課題がある。
本発明の振動デバイスは、振動素子と、
表裏関係にある第1面および第2面を有し、前記第1面側に前記振動素子が配置されている半導体基板であるベースと、
前記ベースに配置されている集積回路と、
前記振動素子に対向する内面と、前記内面と表裏関係にある外面とを有し、前記振動素子を収容するように前記ベースに接合されている半導体基板であるリッドと、を有し、
前記リッドの前記外面には、凹部が設けられており、
前記リッドの前記内面と前記凹部の底面との間の厚みが10μm以上であることを特徴とする。
表裏関係にある第1面および第2面を有し、前記第1面側に前記振動素子が配置されている半導体基板であるベースと、
前記ベースに配置されている集積回路と、
前記振動素子に対向する内面と、前記内面と表裏関係にある外面とを有し、前記振動素子を収容するように前記ベースに接合されている半導体基板であるリッドと、を有し、
前記リッドの前記外面には、凹部が設けられており、
前記リッドの前記内面と前記凹部の底面との間の厚みが10μm以上であることを特徴とする。
以下、振動デバイスの好適な実施形態を添付図面に基づいて説明する。なお、説明の便宜上、図1、図10~図19中の上側を「上」とも言い、下側を「下」とも言う。その場合、図2~図8および図20では、紙面手前側が「上」であり、奥側が「下」である。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る振動デバイスを示す断面図であり、図8中のA-A線断面図である。図2は、リッドの上面に形成された凹部を示す平面図である。図3ないし図7は、それぞれ、凹部の変形例を示す平面図である。図8は、振動素子を示す平面図である。図9は、振動デバイスの製造工程を示す工程図である。図10ないし図18は、それぞれ、振動デバイスの製造方法を説明するための断面図である。
図1は、第1実施形態に係る振動デバイスを示す断面図であり、図8中のA-A線断面図である。図2は、リッドの上面に形成された凹部を示す平面図である。図3ないし図7は、それぞれ、凹部の変形例を示す平面図である。図8は、振動素子を示す平面図である。図9は、振動デバイスの製造工程を示す工程図である。図10ないし図18は、それぞれ、振動デバイスの製造方法を説明するための断面図である。
図1に示す振動デバイス1は、内部に気密な収容部Sを有する略直方体(正六面体)のパッケージ10と、収容部Sに収容された振動素子4と、を有する。また、パッケージ10は、一対の金属バンプ81、82を介して振動素子4が接合されたベース2と、振動素子4を覆ってベース2の上面2aに接合されたリッド3と、を有する。また、ベース2の下面2b側には振動素子4と電気的に接続された集積回路6が形成されている。
ベース2は、シリコン基板である。本実施形態では、特に、P型のシリコン基板を用いている。そのため、振動デバイス1の使用時には、ベース2は、定電位であるグランドに接続される。ただし、ベース2としては、特に限定されず、N型のシリコン基板であってもよい。また、シリコン以外の半導体基板、例えば、Ge、GaP、GaAs、InP等の半導体基板を用いてもよい。
図1に示すように、ベース2は、板状であり、表裏関係にある第1面としての上面2aおよび第2面としての下面2bを有する。また、上面2aおよび下面2bにはそれぞれ絶縁膜26が形成されている。絶縁膜26は、例えば、ベース2の表面を熱酸化して形成したシリコン酸化膜である。ただし、絶縁膜26としては、特に限定されず、例えば、シリコン窒化膜であってもよい。また、絶縁膜26の形成方法としては、熱酸化に限定されず、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)であってもよい。
また、ベース2の下面2b側には振動素子4と電気的に接続された集積回路6が形成されている。このように、ベース2に集積回路6を形成することにより、ベース2を有効活用することができる。特に、下面2b側に集積回路6を形成することにより、後述する第2実施形態のように上面2a側に集積回路6を形成する場合と比べて、リッド3との接合領域がない分、集積回路6の形成スペースを広く確保することができる。
また、集積回路6には、例えば、振動素子4の温度を検知する温度センサー6Aと、温度センサー6Aの検知結果に基づいて振動素子4固有の周波数温度特性を補償する温度補償回路6Bと、振動素子4を発振させてクロック信号等の発振信号を生成する発振回路6Cと、が含まれている。つまり、本実施形態の振動デバイス1は、温度補償型の振動デバイスである。これにより、高い周波数安定性を有する振動デバイス1となる。また、集積回路6には、その他、電源回路、出力バッファ等が含まれている。ただし、集積回路6の構成としては、特に限定されない。
下面2bには、配線層62、絶縁層63、パッシベーション膜64および端子層65が積層してなる積層体60が形成されている。そして、配線層62に含まれる配線を介して下面2bに形成された図示しない複数の能動素子が電気的に接続されて集積回路6が構成される。また、端子層65は、集積回路6と電気的に接続された複数の実装端子650を有する。振動デバイス1では、この実装端子650を介して集積回路6と外部装置との接続が行われる。
なお、図示の構成では、積層体60に1つの配線層62が含まれているが、これに限定されず、複数の配線層62が絶縁層63を介して積層されていてもよい。つまり、配線層62と絶縁層63とが交互に複数回積層されていてもよい。これにより、例えば、集積回路6内の配線の引き回し、複数の実装端子650の設置の自由度を高めることができる。
また、ベース2には、ベース2を厚さ方向に貫通する一対の貫通孔21、22が形成されている。各貫通孔21、22内には金属材料等の導電性材料が充填され、貫通電極210、220が形成されている。また、ベース2の上面2aには、振動素子4と電気的に接続された一対の配線28、29が配置されている。配線28は、貫通電極210を介して集積回路6と電気的に接続され、配線29は、貫通電極220を介して集積回路6と電気的に接続されている。
リッド3は、ベース2と同様、シリコン基板である。これにより、ベース2とリッド3との線膨張係数が等しくなり、熱膨張に起因する熱応力の発生が抑えられ、優れた振動特性を有する振動デバイス1となる。また、振動デバイス1を半導体プロセスによって形成することができるため、振動デバイス1を精度よく製造することができると共に、その小型化を図ることができる。ただし、リッド3としては、特に限定されず、シリコン以外の半導体基板、例えば、Ge、GaP、GaAs、InP等の半導体基板を用いてもよい。
また、図2に示すように、リッド3は、上面3aの平面視で矩形である。特に、本実施形態では、長方形である。また、リッド3の長さLすなわち一方の対向する2辺の長さは、それぞれ、1.6mm以下であることが好ましく、リッド3の幅Wすなわち他方の対向する2辺の長さは、それぞれ、1.2mm以下であることが好ましい。これにより、十分に小さい振動デバイス1となる。
図1に示すように、リッド3は、箱状であり、上面3aと、下面3bと、下面3bに開口し、内部に振動素子4を収容する有底の収容凹部31と、を有する。また、上面3aには凹部32が形成されている。上面3aに凹部32を形成することにより、リッド3の表面積が増えて放熱性が高まり、例えば、集積回路6から発生する熱が速やかに放出され、内部に収容された振動素子4の温度変動が効果的に抑えられる。また、環境温度変化に伴う振動素子4の温度変動についても効果的に抑えられる。したがって、振動素子4の温度が安定するため、周波数偏差が小さく精度の高い発振特性を有する振動デバイス1となる。
以下、凹部32について具体的に説明する。以下では、説明の便宜上、パッケージ10の幅方向に沿う方向を第1方向とし、パッケージ10の長手方向に沿う方向を第2方向とする。つまり、本実施形態では、第1方向と第2方向とが直交している。ただし、第1方向と第2方向とは、交差していればよく、直交する必要はない。
図2に示すように、凹部32は、第1方向に沿って延在する複数の第1凹部321を有する。また、複数の第1凹部321は、第2方向に等間隔に並んで配置されている。さらに、凹部32は、第2方向に沿って延在する複数の第2凹部322を有する。また、複数の第2凹部322は、第1方向に等間隔に並んで配置されている。そのため、凹部32は、格子状をなす。このような構成によれば、簡単な構成でリッド3の表面積をより大きくすることができ、優れた放熱性を発揮することができる。そのため、振動素子4の温度がより安定し、より周波数偏差が小さく、より精度の高い発振特性を有する振動デバイス1となる。
また、各第1凹部321および各第2凹部322は、それぞれ、直線状である。これにより、後述するように、ダイシングブレードを用いて第1、第2凹部321、322を形成することができ、凹部32の形成が容易となる。ただし、第1凹部321および第2凹部322の形状は、特に限定されず、例えば、波状に蛇行していてもよい。
ただし、凹部32の構成としては、特に限定されない。例えば、図3に示すように、第2凹部322が1つであってもよい。また、図4に示すように、第2凹部322が省略され、凹部32が複数の第1凹部321だけを有する構成であってもよい。また、図5に示すように、凹部32が1つの第1凹部321だけを有する構成であってもよい。このような構成の凹部32によっても、本実施形態と同様に、周波数偏差が小さく、精度の高い発振特性を有する振動デバイス1となる。
また、例えば、図6に示すように、凹部32が同心的に配置された円環状の複数の凹部323を有する構成であってもよいし、図7に示すように、凹部32が蛇行状の凹部324を有する構成であってもよい。
また、図1に示すように、リッド3の内面すなわち収容凹部31の底面311と凹部32の底面との間の部分33の厚みTは、10μm以上である。これにより、部分33がパッケージ10のサイズに対して十分に厚くなり、パッケージ10の内外の圧力差に起因する部分33の撓みを抑制することができる。そのため、十分な機械的強度を有する振動デバイス1となる。なお、厚みTは、パッケージ10のサイズに応じて適宜設定することができる。
このようなリッド3は、その下面3bにおいて金属層7を介してベース2の上面2aと接合されている。ベース2とリッド3とを金属層7を介して接合することにより、これらを強固にかつ密に接合することができる。そのため、パッケージ10の強度を高めることができると共に、収容部Sの気密性を高めることができる。
また、リッド3は、金属層7を介してベース2と電気的に接続されている。前述したように、振動デバイス1の使用時にはベース2がグランドに接続されるため、リッド3も同じくグランドに接続される。そのため、パッケージ10全体がシールドとして機能し、外部からの電磁ノイズの影響を低減することができる。したがって、信頼性の高い振動デバイス1となる。
また、図1に示すように、リッド3の内面すなわち収容凹部31の底面311および側面312には、それぞれ、リッド3の放射率より高い放射率を有する放射層8が配置されている。これにより、放射層8が収容部S内の熱(主に、集積回路6からの輻射熱)を吸収し、吸収した熱をリッド3から外部に効率的に放出することができる。そのため、振動素子4の温度がより安定し、より周波数偏差が小さく、より精度の高い発振特性を有する振動デバイス1となる。このように、放射層8を配置することにより、凹部32との協働によって、優れた放熱性を発揮することができ、より精度の高い発振特性を有する振動デバイス1となる。特に、底面311だけではなく、側面312にも放射層8を配置することにより、より高い放熱効果を発揮することができる。
本願明細書中の「放射率」の定義は、JIS Z8117に基づき、この放射率は、例えば、JIS R1801に準拠したFTIR(フーリエ変換型赤外分光光度計)による分光放射率測定方法により測定することができる。
なお、リッド3の構成材料であるシリコンの常温における放射率は、約0.2とされているため、放射層8の常温における放射率は、これよりも高ければよい。ただし、放射層8の常温における放射率は、0.5以上であることが好ましい。これにより、より効率的に、収容部S内の熱をリッド3から外部に放出することができ、より精度の高い発振特性を有する振動デバイス1となる。
このような放射層8の構成材料は、少なくとも、酸化銅(0.87)、酸化チタン(0.51~0.61)、酸化シリコン(0.65~0.9)、窒化シリコン(0.75~0.9)、ガラス材料(0.91~0.94)、窒化アルミニウム(0.93)、酸化ニッケル(0.31~0.46)、白金黒(0.93)のいずれかを含んでいることが好ましい。なお、括弧内の数値は、それぞれの放射率を表している。これらの中でも、特に、酸化銅、酸化チタン、酸化シリコン、窒化シリコン、窒化アルミニウムは、それぞれ、半導体プロセスに用い易い材料であるため、これら材料を用いることにより、振動デバイス1の製造が容易となる。また、酸化ニッケル、白金黒は、それぞれ、スパッタに用い易い材料であるため、これら材料を用いることにより、振動デバイス1の製造が容易となる。
また、放射層8の構成材料としては、酸化シリコン、窒化シリコン等のシリコン系材料よりも、酸化銅、酸化チタン、窒化アルミニウム、酸化ニッケル、白金黒等の金属系材料を用いることが好ましい。金属系材料の方がシリコン系材料よりも熱伝導率が高く、より高い放熱効果を発揮することができる。
なお、本実施形態では、収容凹部31の底面311および側面312の両方に放射層8が配置されているが、これに限定されず、例えば、底面311だけに放射層8が配置されていてもよいし、側面312だけに放射層8が配置されていてもよい。また、放射層8は、省略してもよい。
パッケージ10内の収容部Sは、気密であり、減圧状態、好ましくはより真空に近い状態である。これにより、粘性抵抗が減り、振動素子4の発振特性が向上する。ただし、収容部Sの雰囲気は、特に限定されず、例えば、窒素またはAr等の不活性ガスを封入した雰囲気であってもよく、減圧状態でなく大気圧状態または加圧状態となっていてもよい。
図8に示すように、振動素子4は、振動基板41と、振動基板41の表面に配置された電極42と、を有する。振動基板41は、厚みすべり振動モードを有し、本実施形態ではATカット水晶基板から形成されている。ATカット水晶基板は、三次の周波数温度特性を有しているため、優れた温度特性を有する振動素子4となる。また、電極42は、上面に配置された励振電極421と、下面に励振電極421と対向して配置された励振電極422と、を有する。また、電極42は、振動基板41の下面に配置された一対の端子423、424と、端子423と励振電極421とを電気的に接続する配線425と、端子424と励振電極422とを電気的に接続する配線426と、を有する。
なお、振動素子4の構成は、上述の構成に限定されない。例えば、振動素子4は、励振電極421、422に挟まれた振動領域がその周囲から突出したメサ型となっていてもよいし、逆に、振動領域がその周囲から凹没した逆メサ型となっていてもよい。また、振動基板41の周囲を研削するベベル加工や、上面および下面を凸曲面とするコンベックス加工が施されていてもよい。
また、振動素子4としては、厚みすべり振動モードで振動するものに限定されず、例えば、音叉型の振動素子のように複数の振動腕が面内方向に屈曲振動するものであってもよい。つまり、振動基板41は、ATカット水晶基板から形成されたものに限定されず、ATカット水晶基板以外の水晶基板、例えば、Xカット水晶基板、Yカット水晶基板、Zカット水晶基板、BTカット水晶基板、SCカット水晶基板、STカット水晶基板等から形成されていてもよい。
また、振動基板41の構成材料としては、水晶に限定されず、例えば、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、四ホウ酸リチウム、ランガサイト、ニオブ酸カリウム、リン酸ガリウム等の圧電単結晶体により構成されていてもよいし、これら以外の圧電単結晶体で構成されていてもよい。更にまた、振動素子4は、圧電駆動型の振動片に限らず、静電気力を用いた静電駆動型の振動片であってもよい。
このような振動素子4は、一対の金属バンプ81、82を介してベース2の上面2aに接合されていると共に配線28、29と電気的に接続されている。金属バンプ81、82は、例えば、スタッドバンプ、めっきバンプ等である。金属バンプ81、82は、例えば、超音波接合により配線28、29に接合され、熱圧着により端子423、424と接合されている。ただし、接合方法は、特に限定されない。例えば、一方の接続を金属バンプで行い、他方の接続を金属ワイヤーで行ってもよい。また、接合部材として、金属バンプ81、82に替えて導電性の接着剤を用いてもよい。
以上、振動デバイス1の構成について説明した。次に、振動デバイス1の製造方法について説明する。図9に示すように、振動デバイス1の製造工程は、準備工程S11と、載置工程S12と、接合工程S13と、凹部形成工程S14と、個片化工程S15と、を含む。以下、これら各工程S11~S15について詳細に説明する。
[準備工程S11]
まず、図10に示すように、表裏関係にある上面20aおよび下面20bを備え、複数の個片化領域Qすなわちベース2となる部分を含むベースウエハ20を準備する。ベースウエハ20は、ベース2の母材であり、シリコン基板である。次に、図11に示すように、個片化領域Q毎に、ベースウエハ20の下面20b側に集積回路6を形成する。
まず、図10に示すように、表裏関係にある上面20aおよび下面20bを備え、複数の個片化領域Qすなわちベース2となる部分を含むベースウエハ20を準備する。ベースウエハ20は、ベース2の母材であり、シリコン基板である。次に、図11に示すように、個片化領域Q毎に、ベースウエハ20の下面20b側に集積回路6を形成する。
次に、図12に示すように、個片化領域Q毎に、ベースウエハ20の上面20a側から集積回路6に到達する貫通孔21、22を形成する。次に、図13に示すように、個片化領域Q毎に、貫通電極210、220、配線28、29および第1金属層71を形成する。
[載置工程S12]
図14に示すように、個片化領域Q毎に、ベースウエハ20の上面20a側に振動素子4を配置する。具体的には、振動素子4を準備し、金属バンプ81、82を介して上面20aに接合する。また、金属バンプ81を介して配線28と振動素子4の端子423とを電気的に接続し、金属バンプ82を介して配線29と端子424とを電気的に接続する。これにより、振動素子4と集積回路6とが電気的に接続される。
図14に示すように、個片化領域Q毎に、ベースウエハ20の上面20a側に振動素子4を配置する。具体的には、振動素子4を準備し、金属バンプ81、82を介して上面20aに接合する。また、金属バンプ81を介して配線28と振動素子4の端子423とを電気的に接続し、金属バンプ82を介して配線29と端子424とを電気的に接続する。これにより、振動素子4と集積回路6とが電気的に接続される。
[接合工程S13]
まず、図15に示すように、複数の個片化領域Qすなわちリッド3となる部分を含むリッドウエハ30を準備する。リッドウエハ30には、個片化領域Q毎に、下面30bに開口する収容凹部31と、収容凹部31の内面すなわち底面311および側面312に配置された放射層8と、下面30bに収容凹部31を囲むように配置された第2金属層72と、が形成されている。なお、第1、第2金属層71、72は、例えば、銅(Cu)の下地層上に、金(Au)の表面層を積層した構成とすることができる。
まず、図15に示すように、複数の個片化領域Qすなわちリッド3となる部分を含むリッドウエハ30を準備する。リッドウエハ30には、個片化領域Q毎に、下面30bに開口する収容凹部31と、収容凹部31の内面すなわち底面311および側面312に配置された放射層8と、下面30bに収容凹部31を囲むように配置された第2金属層72と、が形成されている。なお、第1、第2金属層71、72は、例えば、銅(Cu)の下地層上に、金(Au)の表面層を積層した構成とすることができる。
次に、第1、第2金属層71、72の表面にイオンビームやプラズマを照射し、第1、第2金属層71、72の表面を活性化させ、第1、第2金属層71、72の金属を拡散させることにより、図16に示すように、ベースウエハ20とリッドウエハ30とを接合する。このような第1、第2金属層71、72同士の拡散により金属層7が形成される。これにより、個片化領域Q毎に振動素子4を収容した収容部Sが形成されたデバイスウエハ100が得られる。デバイスウエハ100では、ベースウエハ20とリッドウエハ30とが金属層7を介して電気的に接続されている。
このような接合方法によれば、ベースウエハ20とリッドウエハ30とをより強固にかつ密に接合することができ、振動デバイス1の機械的強度および気密性を高めることができる。また、常温(第1、第2金属層71、72の融点よりも低い温度)でベース2とリッド3とを接合することができるため、パッケージ10に内部応力が残留し難く、振動素子4への熱ダメージも低減される。
[凹部形成工程S14]
図17に示すように、個片化領域Q毎に、リッドウエハ30側から凹部32を形成する。凹部32の形成方法としては、特に限定されないが、本実施形態では、ダイシングブレードを用いたリッドウエハ30の上面30a側からのハーフダイシングにより形成されている。これにより、半導体プロセス中に凹部32を形成することができるため、凹部32の形成が容易となる。なお、ダイシングブレードを用いた形成方法の他にも、例えば、エッチング、サンドブラスト等によっても凹部32を形成することができる。
図17に示すように、個片化領域Q毎に、リッドウエハ30側から凹部32を形成する。凹部32の形成方法としては、特に限定されないが、本実施形態では、ダイシングブレードを用いたリッドウエハ30の上面30a側からのハーフダイシングにより形成されている。これにより、半導体プロセス中に凹部32を形成することができるため、凹部32の形成が容易となる。なお、ダイシングブレードを用いた形成方法の他にも、例えば、エッチング、サンドブラスト等によっても凹部32を形成することができる。
[個片化工程S15]
図18に示すように、ダイシングブレードDBを用いて、デバイスウエハ100を個片化領域Q毎に個片化する。これにより、複数の振動デバイス1が一括して形成される。
図18に示すように、ダイシングブレードDBを用いて、デバイスウエハ100を個片化領域Q毎に個片化する。これにより、複数の振動デバイス1が一括して形成される。
以上、振動デバイス1について説明した。このような振動デバイス1は、前述したように、振動素子4と、表裏関係にある第1面としての上面2aおよび第2面としての下面2bを有し、上面2a側に振動素子4が配置されている半導体基板であるベース2と、ベース2に配置されている集積回路6と、振動素子4に対向する内面としての底面311と、底面311と表裏関係にある外面としての上面3aとを有し、振動素子4を収容するようにベース2に接合されている半導体基板であるリッド3と、を有し、リッド3の上面3aには、凹部32が設けられており、リッド3の内面である底面311と凹部32の底面との間の厚みが10μm以上である。
このように、上面3aに凹部32を形成することにより、リッド3の表面積が増大し、振動デバイス1の放熱性が高まる。そのため、例えば、集積回路6から発生する熱が速やかに放出され、内部に収容された振動素子4の温度変動が効果的に抑えられる。また、環境温度変化に伴う振動素子4の温度変動についても効果的に抑えられる。したがって、振動素子4の温度が安定し、周波数偏差が小さく精度の高い発振特性を有する振動デバイス1となる。
また、前述したように、上面3aは、平面視で矩形状であり、一方の対向する2辺の長さがそれぞれ1.6mm以下であり、他方の対向する2辺の長さがそれぞれ1.2mm以下である。これにより、リッド3のサイズに対して厚みTが十分に厚くなるため、リッド3の撓みを効果的に抑制することができ、十分な機械的強度を有するリッド3となる。
また、前述したように、凹部32は、第1方向に沿って延在する直線状の第1凹部321を有する。これにより、ダイシングブレードにより凹部32を容易に形成することができる。
また、前述したように、凹部32は、第1方向に直交する方向に並んで配置されている複数の第1凹部321を有する。これにより、簡単な構成で上面3aの表面積をさらに大きくすることができる。
また、前述したように、凹部32は、第1方向と異なる第2方向に沿って延在し、第1凹部321と交差する直線状の第2凹部322を有する。これにより、ダイシングブレードにより凹部32を容易に形成することができる。
また、前述したように、凹部32は、第2方向に直交する方向に並んで配置されている複数の第2凹部322を有する。これにより、簡単な構成で上面3aの表面積をさらに大きくすることができる。
また、前述したように、振動デバイス1は、底面311に配置され、リッド3の放射率より高い放射率を有する放射層8を有する。これにより、放射層8が収容部S内の熱を吸収し、吸収した熱をリッド3から外部に効率的に放出することができる。そのため、振動素子4の温度がより安定し、より周波数偏差が小さく、より精度の高い発振特性を有する振動デバイス1となる。
また、前述したように、放射層8の常温における放射率は、0.5以上であることが好ましい。これにより、より効率的に、収容部S内の熱をリッド3から外部に放出することができ、より精度の高い発振特性を有する振動デバイス1となる。
また、前述したように、放射層8の構成材料は、少なくとも、酸化銅、酸化チタン、酸化シリコン、窒化シリコン、ガラス材料、窒化アルミニウム、酸化ニッケル、白金黒のいずれかを含む。これにより、放射層8の形成が容易となる。
また、前述したように、リッド3は、前記内面を底面311として振動素子4を収容している収容凹部31を有し、放射層8は、収容凹部31の側面312にも配置されている。これにより、放射層8の面積が増加し、放射層8の効果がより顕著となる。そのため、振動素子4の温度がより安定し、より周波数偏差が小さく、より精度の高い発振特性を有する振動デバイス1となる。
<第2実施形態>
図19は、第2実施形態に係る振動デバイスを示す断面図である。
図19は、第2実施形態に係る振動デバイスを示す断面図である。
本実施形態は、主に、集積回路6の配置が異なること以外は、前述した第1実施形態と同様である。以下の説明では、本実施形態に関し前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、本実施形態における各図において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
図19に示すように、本実施形態の振動デバイス1では、集積回路6は、ベース2の上面2a側に配置されており、収容部Sに収容されている。このような構成とすることにより、集積回路6を水分や埃から保護することができる。そのため、振動デバイス1の信頼性を向上させることができる。本実施形態の場合、集積回路6上に振動素子4が搭載されており、端子層65に、金属バンプ81、82を介して振動素子4と電気的に接続される配線651、652が含まれている。また、ベース2の下面2b側に貫通電極210、220を介して集積回路6と電気的に接続された外部端子25が配置されている。
このような構成では、前述した第1実施形態と比較して集積回路6の熱が収容部S内に籠り易いため、放射層8および凹部32の効果がより顕著となる。
以上のような第2実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
<第3実施形態>
図20は、第3実施形態に係る振動デバイスを示す平面図である。
図20は、第3実施形態に係る振動デバイスを示す平面図である。
本実施形態は、主に、凹部32が上面3aの一部に形成されていること以外は、前述した第1実施形態と同様である。以下の説明では、本実施形態に関し前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、本実施形態における各図において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
図20に示すように、本実施形態の振動デバイス1では、上面3aの一部に凹部32が形成されている。特に、図示の構成では、1つの角部33Aに偏って形成されている。これに対して集積回路6の特に発熱する部分H(例えば、電源回路、出力バッファー等)が、角部33Aの対角である角部33Bに偏って配置されている。このように、振動デバイス1の平面視で、発熱源となる部分Hに重ならないように凹部32を形成し、かつ、部分Hと凹部32とをなるべく離間させることにより、矢印Cで示すような熱の流れが生まれ、これにより、振動デバイス1の温度ムラが減少する。そのため、振動素子4の温度を温度センサー6Aによって精度よく検出することができる。
以上のような第3実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
以上、本発明の振動デバイスを図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。また、各実施形態を適宜組み合わせてもよい。
1…振動デバイス、10…パッケージ、100…デバイスウエハ、2…ベース、2a…上面、2b…下面、20…ベースウエハ、20a…上面、20b…下面、21…貫通孔、210…貫通電極、22…貫通孔、220…貫通電極、25…外部端子、26…絶縁膜、28…配線、29…配線、3…リッド、3a…上面、3b…下面、30…リッドウエハ、30a…上面、30b…下面、31…収容凹部、311…底面、312…側面、32…凹部、321…第1凹部、322…第2凹部、33…部分、33A…角部、33B…角部、323…凹部、324…凹部、4…振動素子、41…振動基板、42…電極、421…励振電極、422…励振電極、423…端子、424…端子、425…配線、426…配線、6…集積回路、6A…温度センサー、6B…温度補償回路、6C…発振回路、60…積層体、62…配線層、63…絶縁層、64…パッシベーション膜、65…端子層、7…金属層、71…第1金属層、72…第2金属層、8…放射層、81…金属バンプ、82…金属バンプ、650…実装端子、651…配線、652…配線、C…矢印、DB…ダイシングブレード、H…部分、L…長さ、Q…個片化領域、S…収容部、S11…準備工程、S12…載置工程、S13…接合工程、S14…凹部形成工程、S15…個片化工程、T…厚み、W…幅
Claims (10)
- 振動素子と、
表裏関係にある第1面および第2面を有し、前記第1面側に前記振動素子が配置されている半導体基板であるベースと、
前記ベースに配置されている集積回路と、
前記振動素子に対向する内面と、前記内面と表裏関係にある外面とを有し、前記振動素子を収容するように前記ベースに接合されている半導体基板であるリッドと、を有し、
前記リッドの前記外面には、凹部が設けられており、
前記リッドの前記内面と前記凹部の底面との間の厚みが10μm以上であることを特徴とする振動デバイス。 - 前記上面は、平面視で矩形状であり、一方の対向する2辺の長さがそれぞれ1.6mm以下であり、他方の対向する2辺の長さがそれぞれ1.2mm以下である請求項1に記載の振動デバイス。
- 前記凹部は、第1方向に沿って延在する直線状の第1凹部を有する請求項1または2に記載の振動デバイス。
- 前記凹部は、前記第1方向に直交する方向に並んで配置されている複数の前記第1凹部を有する請求項3に記載の振動デバイス。
- 前記凹部は、第1方向と異なる第2方向に沿って延在し、前記第1凹部と交差する直線状の第2凹部を有する請求項3または4に記載の振動デバイス。
- 前記凹部は、前記第2方向に直交する方向に並んで配置されている複数の前記第2凹部を有する請求項5に記載の振動デバイス。
- 前記内面に配置され、前記リッドの放射率より高い放射率を有する放射層を有する請求項1ないし6のいずれか1項に記載の振動デバイス。
- 前記放射層の常温における放射率は、0.5以上である請求項7に記載の振動デバイス。
- 前記放射層の構成材料は、少なくとも、酸化銅、酸化チタン、酸化シリコン、窒化シリコン、ガラス材料、窒化アルミニウム、酸化ニッケル、白金黒のいずれかを含む請求項7または8に記載の振動デバイス。
- 前記リッドは、前記内面を底面として前記振動素子を収容している収容凹部を有し、
前記放射層は、前記収容凹部の側面にも配置されている請求項7ないし9のいずれか1項に記載の振動デバイス。
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2021
- 2021-05-31 JP JP2021091204A patent/JP2022183735A/ja active Pending
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