JP2022182884A - 固体高分子型燃料電池用金属セパレータ向けステンレス鋼薄帯およびチタン薄帯、多孔質焼結体向けステンレス鋼繊維およびチタン繊維、並びにその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 圧延工程を経ることなく固体高分子型燃料電池用金属セパレータ向けステンレス鋼薄帯およびチタン薄帯を提供する。【解決手段】 組成を特定範囲に定めたステンレス系の合金溶湯を用意する工程、あるいはチタン系の合金溶湯を用意した上、冷却ロール上で前記合金溶湯を急冷凝固可能な装置構成を整えた単ロール溶湯急冷装置にて、前記合金溶湯を噴射ノズルからロール表面速度10m/秒以上40m/秒以下で回転する冷却ロールの表面に噴出することで、固体高分子型燃料電池用金属セパレータ向けに最適な厚み15μm以上120μm以下のステンレス系急冷合金薄帯、あるいは厚みが20μm以上60μm以下のチタン系急冷合金薄帯を合金溶湯から直接、圧延工程を経ることなく製造出来る。【選択図】 図1
Description
本発明は、固体高分子型燃料電池用金属セパレータとして適用するステンレス鋼薄帯およびチタン薄帯、多孔質焼結体向けステンレス鋼繊維およびチタン繊維、並びにその製造方法に関する。
水素と酸素との結合反応の際に発生するエネルギーを利用して発電する燃料電池は、近年、次世代クリーンエネルギーとして省エネルギーと環境対策の両面から期待されている。燃料電池は、電解質の種類によって、固体電解質型、溶融炭酸塩型、リン酸型、及び固体高分子型等に分類されるが、固体高分子型燃料電池は出力密度が高く小型化が可能であり、さらに他の燃料電池よりも低温で作動し、起動・停止が容易であることから、電気自動車や家庭用の小型コジェネレーションへの利用が期待されている。一方、金属繊維を不織布にした後、焼結することで得られる多孔質焼結体は、金属の板材に対して比表面積が大きく、高エネルギー化、化学反応の促進化等が期待出来ることから、二次電池の電極材の他、海水淡水化装置、CO2固定装置等の特殊電極材に加えて、チタン系多孔質焼結体は、人工骨、人工歯根等の基材としても用いられている。
固体高分子型燃料電池用セパレータ( 以下、セパレータ)に求められる主な要求性能を以下に記す。
(1) 燃料ガス、酸化性ガスを電極面内に均一に供給するための流路として機能すること。
(2) カソード側で生成した水を反応後の空気、並びに酸素といったキャリアガスと共に燃料電池から効率的に排出する流路としての機能すること。
(3) 電極膜と接触して通電路となることに加えて単セル間の電気的なコネクタとして機能すること。
(4) 隣接するセル同士間にて一方のセルのアノード室と隣接する他方のセルのカソード室との間において隔壁として働く機能を有すること。
(5) 水冷される燃料電池の場合においては、冷却水流路と隣接するセルとの 隔壁として働く機能を有すること。
(1) 燃料ガス、酸化性ガスを電極面内に均一に供給するための流路として機能すること。
(2) カソード側で生成した水を反応後の空気、並びに酸素といったキャリアガスと共に燃料電池から効率的に排出する流路としての機能すること。
(3) 電極膜と接触して通電路となることに加えて単セル間の電気的なコネクタとして機能すること。
(4) 隣接するセル同士間にて一方のセルのアノード室と隣接する他方のセルのカソード室との間において隔壁として働く機能を有すること。
(5) 水冷される燃料電池の場合においては、冷却水流路と隣接するセルとの 隔壁として働く機能を有すること。
前記の5つの要求性能(=機能)を求められる固体高分子型燃料電池用セパレータとしては、これまでカーボン系セパレータが用いられてきたが、加工が容易で薄膜化による小型化が可能であるという理由により、近年はステンレス鋼およびチタン等の金属セパレータが用いられはじめている。
前記金属セパレータは、金属特有の易加工性によって圧延法にて薄膜化が可能であることから前述の通り燃料電池セルの小型・計量化に貢献出来る。なお、金属基材としては、耐熱性、並びに耐食性を考慮しステンレス鋼あるいはチタンが用いられているが、金属セパレータとして利用するために必要な0.1mm前後まで薄膜化するには熱間・冷間圧延を繰返し実施する工程が必須であるため、圧延後の歪取り焼鈍を含め、薄膜化に係る加工コストが高騰するだけでなく、圧延により薄膜自体が脆くなり、取扱い、並びに加工が困難になるという問題が発生し、金属セパレータの普及において大きな障害となっている。
現行のステンレス鋼およびチタンを基材として金属セパレータに係る前述の問題(薄膜に係る加工コスト高い、薄膜が脆く扱い難い)は、何れも薄膜化工程に圧延法を用いていることが原因であり、圧延することなくステンレス鋼およびチタン基材を薄膜化出来れば固体高分子型燃料電池用セパレータとして最適なものとなり、前記の5つの要求性能と低コスト化を同時に満足できる。
但し、公知のステンレス鋼およびチタンを基材とした金属セパレータの製造方法は何れも圧延方法を採用されており、圧延工程を経ることなく燃料電池セルの小型・軽量化に貢献出来る厚み0.02mm以上0.2mm以下のステンレス鋼薄帯およびチタン薄帯は現在、見出されていない。
特許文献1では、鉄Fe:0.02~1.0質量% 、酸素O:0.02~0.40質量%、残部チタンTiからなり、HCP構造であるα相の結晶粒組織を含むTi板であって、α相の結晶粒における円相当直径が、平均値で20~100μm、最大値300μm以下であり、板表面に平行な方向のうち、0.2%耐力が最小の方向を最小耐力方向とし、前記最小耐力方向と直交する方向を直交耐力方向とした場合、前記最小耐力方向の0.2%耐力をYSRとし、前記直交耐力方向の0.2%耐力をYSTとしたときの比であるYST/YSRが1.17以下であり、板厚が1.0mm以下とすることで、高い強度と、熱交換器および燃料電池に適用可能な高い成形性とを兼ね備えたTi板を提供出来ることを開示しているが、Ti板の製造方法は、Ti材料製造工程と、熱間圧延工程と、焼鈍工程と、冷間圧延工程と、中間焼鈍工程と、冷間圧延工程および最終焼鈍工程含み、この順に行うと明記されており、Ti板の薄板化は圧延法にて実施されている。
特許文献2では、金やレアメタルのような高価な原料を用いることなく、優れた耐食性、低接触抵抗および優れたプレス加工性を有するステンレス鋼板が得られることが開示されており、厚み100μm程度の薄帯を圧延法にて得ることを前提として、薄帯の易加工性を担保する方法としてNi含有量の少ないFe-Cr系ステンレス鋼を鋼板にした後、窒素を吸収させて組織をオーステナイト相化することを見出し、これによって、Mo等の高価な原料を用いなくても、ステンレス鋼板の耐食性を向上させることができる。また、組織をオーステナイト相化することによって、良好なプレス加工性を確保することが可能とされてるが、厚み100μm程度の板厚を得る方法は圧延法である。
特許文献3では、燃料電池用セパレータに用いられるステンレス鋼基材であって、ニオブNbを固溶状態で含み、かつNb含有金属間化合物の析出物を実質的に含まないステンレス鋼基材とすることで、優れた耐食性を確保出来ることが開示されており、併せて鋳造したステンレス鋼基材を熱間圧延する工程と、その後、冷間圧延する工程を経た後、酸洗するステンレス鋼材の製造方法であることがクレームされている。
特許文献4では、厚みを薄くしても優れた耐食性、低接触抵抗及び優れたプレス加工性を有するステンレス鋼板を得ることを目的として、Cr、N、Siの含有濃度を限定した上、厚みが30~110μmのオーステナイト相の割合が80体積%、オーステナイト結晶粒の平均結晶粒径が鋼板厚みの1/2以下であることを特徴としているが、工程は「スラブ(基材)準備→熱間・冷間圧延→焼鈍→酸洗」であり、薄帯化には圧延法を必須としている。
特許文献5では、導電性およびプレス加工性を兼ね備えるセパレータ材を製造することが可能な製造方法を提供することを目的として、チタン基材と該チタン基材の上に、炭素粒子及び酸化チタンを含む混合層とを備える燃料電池用セパレータ材を製造する方法が開示されているが、製造工程は、前記チタン基材を圧延する工程と、圧延後に前記チタン基材を焼鈍する工程と、前記焼鈍後に、前記チタン基材の表面に前記炭素粒子を塗布する工程にて製造されることが明記されており、本特許文献も前記の特許文献1~4と同様、薄板化あるいは薄帯化する手法としては、圧延法に限定されている。
非特許文献1では、固体高分子形燃料電池セパレータ用ステンレス箔の開発が紹介されている。
非特許文献2では、ステンレス薄帯及びチタン薄帯を旋削主軸に巻き取り、その端面を切削して金属繊維を製造する方法が紹介されている。
固体高分子形燃料電池セパレータ用ステンレス箔の開発、(住友金属工業株式会社・総合技術研究所)樽谷芳夫、花尾方史、他:まてりあ 第48巻 第1号(2009)
コイル材切削法によるチタン繊維の製造とその応用、(日本工業大学)兼子正生、全敏栄:鋳造工学 第73巻(2001)第12号
燃料電池は、次世代クリーンエネルギーの本命として、発電施設向けの大型品から地域コミュニティやオフィスビル等に設置される中型品、家庭向け小型品として効率的に電気と熱を供給することが出来る。さらに小型のものは自動車、航空機および船舶などの駆動源に用いることが出来るため、様々な用途で燃料電池が活用出来るよう種々の技術開発と普及に向けた標準化などが進められており、中でも主要部品であるセパレータは、従来カーボン製セパレータに代わり、小型軽量化に加えて耐衝撃性などの観点より金属セパレータが注目されている。但し、現在の金属セパレータは熱間/冷間圧延を繰返すことでステンレス鋼やチタンといった高耐食性金属基材を0.1mm以下まで薄くしているが、繰返し圧延により脆い状態となり、取扱いや加工が困難になるだけでなく、圧延工程に係る工程費用が高いため金属セパレータ普及の大きなハードルになっている。そこで、脆くなく加工性が容易であると同時に安価に製造可能な金属セパレータが燃料電池普及の鍵として市場より強く求められている。
圧延法を用いることなく金属を薄帯化する方法としては、単ロール溶湯急冷法がある。単ロール溶湯急冷法は鉄Feを主原料とし珪素Si、硼素Bを加えたアモルファス合金(ガラスと同様、結晶構造を持たない非晶質合金)の製造に用いられている。図1に示す通り単ロール急冷法は合金溶湯をスリットノズルから表面速度25m/秒程度で回転する銅ロール上の表面へ噴出し、溶湯を50000℃/秒前後の超高速で急冷することで非晶質或はナノ結晶化し、材料性能の改質を実施するものであり、Fe-Si-B系アモルファス合金では厚み15μm~30μm急冷合金薄帯が得られる。但し、本単ロール溶湯急冷法はアモルファス生成能を高めるBを必須とする鉄基合金の溶湯急冷に用いられてきた技術であり、B:10~20原子%、並びにSi:1~20原子%含有する鉄基合金以外に適用された例はこれまでなく、さらにBは、合金溶湯と銅ロールの密着性を上げることで急冷合金薄帯の生成に寄与するため、既存技術では、上記の一定組成範囲内のBを添加しない場合、銅ロール表面へ噴射された溶湯は溶滴(スプラッシュ)となり跳ね飛ばされるだけで急冷合金薄帯を生成することが難しい。
そこで本発明は、単ロール溶湯急冷法を用いて合金溶湯から圧延工程を経ることなく直接作製した厚み15μm以上120μm以下の金属セパレータとして適用可能なステンス系薄帯およびチタン系薄帯、並びにその製造方法の提供を目的とする。
本発明に係る圧延を実施することなく単ロール溶湯急冷工程のみにて作製された金属セパレータ向けステンレス系急冷合金は、
組成式(Fe1-x-yCrxNiy)100-l-m-n-q-zMnlSimBnMoqCuz原子%で表現され、組成比率x、yおよびl、m、n、q、zがそれぞれ、
0.15≦x≦0.30
0.002≦y≦0.25
0.00≦l≦2.00原子%
0.00≦m≦3.00原子%
0.00≦n≦10.00原子%
0.00≦q≦3.50原子%
0.00≦z≦4.00原子%
を満足し、本組成式を満足する急冷合金への混入が不可避の不純物である炭素C、窒素N、酸素O、硫黄S、リンPの含有量がそれぞれ、
C≦2000ppm
N≦3000ppm
O≦3000ppm
S≦2000ppm
P≦500ppm
であり、当該組成からなる急冷合金の厚みが15μm以上120μm以下であることを特徴とする。
組成式(Fe1-x-yCrxNiy)100-l-m-n-q-zMnlSimBnMoqCuz原子%で表現され、組成比率x、yおよびl、m、n、q、zがそれぞれ、
0.15≦x≦0.30
0.002≦y≦0.25
0.00≦l≦2.00原子%
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0.00≦n≦10.00原子%
0.00≦q≦3.50原子%
0.00≦z≦4.00原子%
を満足し、本組成式を満足する急冷合金への混入が不可避の不純物である炭素C、窒素N、酸素O、硫黄S、リンPの含有量がそれぞれ、
C≦2000ppm
N≦3000ppm
O≦3000ppm
S≦2000ppm
P≦500ppm
であり、当該組成からなる急冷合金の厚みが15μm以上120μm以下であることを特徴とする。
前記の圧延工程を経ない単ロール溶湯急冷にて作製された金属セパレータ向けステンレス系急冷合金は、180度曲げ試験にて急冷合金に割れ、あるいはクラックがないことを特徴とする。
また、前記の圧延工程を経ない単ロール溶湯急冷にて作製された金属セパレータ向けステンレス系急冷合金はオーステナイト相を60体積%以上含み、急冷合金を構成する金属組織の平均結晶粒径が0.5μm以下であることを特徴とする。
本発明に係る圧延を実施することなく単ロール溶湯急冷工程のみにて作製された金属セパレータ向けチタン系急冷合金は、組成式Ti100-xSix 原子%で表現され、組成比率xが、1.00≦x≦9.00 原子%を満足し、本組成式を満足する急冷合金への混入が不可避の不純物である炭素C、窒素N、酸素O含有量がそれぞれ、
C≦1000ppm
N≦3000ppm
O≦3000ppm
であり、当該組成からなる急冷合金の厚みが20μm以上60μm以下であることを特徴とする。
C≦1000ppm
N≦3000ppm
O≦3000ppm
であり、当該組成からなる急冷合金の厚みが20μm以上60μm以下であることを特徴とする。
前記の圧延工程を経ない単ロール溶湯急冷にて作製された金属セパレータ向けチタン系急冷合金は、180度曲げ試験(密着曲げ試験)にて急冷合金に割れ、あるいはクラックがないことを特徴とする。
前記の圧延工程を経ない単ロール溶湯急冷にて作製された金属セパレータ向けチタン系急冷合金は、急冷合金を構成する金属組織の平均結晶粒径が1.0μm以下であることを特徴とする。
前記の圧延工程を経ない単ロール溶湯急冷にて作製された金属セパレータ向けステンレス系急冷合金は、単ロール溶湯急冷時に急冷合金表面に20nm以下の酸化被膜相が形成されることを特徴とする。
また、本発明の金属セパレータ向けステンレス系急冷合金及びチタン系急冷合金の製造方法は、組成式(Fe1-x-yCrxNiy)100-l-m-n-q-zMnlSimBnMoqCuz原子%で表現され、組成比率x、yおよびl、m、n、q、zがそれぞれ、
0.15≦x≦0.30
0.002≦y≦0.25
0.00≦l≦2.00原子%
0.00≦m≦3.00原子%
0.00≦n≦10.00原子%
0.00≦q≦3.50原子%
0.00≦z≦4.00原子%
を満足する組成のステンレス系の合金溶湯を用意する工程と、あるいは、組成式Ti100-xSix 原子%で表現され、組成比率xが、1.00≦x≦9.00 原子%を満足する組成のチタン系の合金溶湯を用意する工程と、純銅、銅合金、モリブデンおよびタングステンのいずれかを主原料とする冷却ロール上で前記合金溶湯を急冷凝固する急冷凝固工程を備え、前記急冷凝固工程は、前記冷却ロールをロール表面速度10m/秒以上40m/秒以下で回転させながら、前記冷却ロールの表面に前記合金溶湯を窒化硼素(BN)、石英(SiO2)、炭化珪素(SiC)およびアルミナ(Al2O3)のいずれかを主成分とする噴射ノズルから噴射する工程を備えており、前記噴射ノズルは、前記冷却ロールの回転方向に対して直角となる一方向に連続的または断続的に開口するスリット状の開口部が配置され、前記開口部の幅が0.2mm以上1.0mm以下であるスリットノズルを配したステンレス系急冷合金およびチタン系急冷合金の製造方法であることを特徴とする。
0.15≦x≦0.30
0.002≦y≦0.25
0.00≦l≦2.00原子%
0.00≦m≦3.00原子%
0.00≦n≦10.00原子%
0.00≦q≦3.50原子%
0.00≦z≦4.00原子%
を満足する組成のステンレス系の合金溶湯を用意する工程と、あるいは、組成式Ti100-xSix 原子%で表現され、組成比率xが、1.00≦x≦9.00 原子%を満足する組成のチタン系の合金溶湯を用意する工程と、純銅、銅合金、モリブデンおよびタングステンのいずれかを主原料とする冷却ロール上で前記合金溶湯を急冷凝固する急冷凝固工程を備え、前記急冷凝固工程は、前記冷却ロールをロール表面速度10m/秒以上40m/秒以下で回転させながら、前記冷却ロールの表面に前記合金溶湯を窒化硼素(BN)、石英(SiO2)、炭化珪素(SiC)およびアルミナ(Al2O3)のいずれかを主成分とする噴射ノズルから噴射する工程を備えており、前記噴射ノズルは、前記冷却ロールの回転方向に対して直角となる一方向に連続的または断続的に開口するスリット状の開口部が配置され、前記開口部の幅が0.2mm以上1.0mm以下であるスリットノズルを配したステンレス系急冷合金およびチタン系急冷合金の製造方法であることを特徴とする。
前記ステンレス系急冷合金およびチタン系急冷合金の製造方法における前記噴射ノズルにおいて前記冷却ロールの回転方向と直角の一方向に間隔をあけて配置された二孔以上の複数の開口孔を有し、前記開口孔の直径が0.5mm以上2.0mm以下であり、前記開口部を構成する各開口孔同士の間隔が2.0mm以上30.0mm以下である複数孔ノズルを配したステンレス系急冷合金およびチタン系急冷合金の製造方法系急冷合金の製造方法であることを特徴とする。
前記ステンレス系急冷合金および前記チタン系急冷合金を得る単ロール溶湯急冷にて前記複数孔ノズルを用いて得られる幅0.5mm以上3mm以下で、かつ厚みが15μm以上120μm以下の形状であるステンレス系急冷合金繊維およびチタン系急冷合金繊維であることを特徴とする。
前記ステンレス系急冷合金およびチタン系急冷合金の製造方法は、前記急冷凝固工程における雰囲気が、常圧(101.3kPa )の大気下、もしくは1kPa以上100kPa 以下の不活性ガス下において、前記噴射ノズルから噴出される前記合金溶湯の出湯圧力が2kPa以上60kPa以下であることを特徴とする。
前記ステンレス系急冷合金およびチタン系急冷合金の製造方法は、前記急冷凝固工程において、前記冷却ロール表面と前記噴射ノズル先端の距離(ノズル/
ロール間ギャップ)が、0.3mm以上20mm以下であることを特徴とする。
ロール間ギャップ)が、0.3mm以上20mm以下であることを特徴とする。
前記ステンレス系急冷合金およびチタン系急冷合金の製造方法において、前記冷却ロールは、外径200mm以上1500mm以下であり、加えて前記冷却ロール表面の算術平均粗さRaが10nm以上20μm以下であることを特徴とする。
前記ステンレス系急冷合金およびチタン系急冷合金の製造方法は、前記冷却ロールの内部を流れるロール冷却水量が0.1立米/min以上20立米/min以下であり、本ロール冷却水の水温は5℃以上60℃未満であることを特徴とする。
前記ステンレス系急冷合金およびチタン系急冷合金の製造方法において、前記冷却ロールの長さは、前記噴射ノズルにおけるスリット全長に20mm以上400mm以下の長さを加えた幅であり、前記冷却ロールの厚みは5mm以上100mm以下であることを特徴とするが、断続的に開口したスリットノズルもしくは複数孔ノズルの場合は、スリットの長さを断続的スリット、あるいは開口孔の一方の最外から、もう一方のスリットもしくは開口孔の最外までの距離をスリット全長、あるいは複数孔の全長とする。
本発明によれば、密着曲げが可能な易加工性を有しつつ、燃料電池セルの小型軽量化が可能な厚み15μm以上120μm以下の金属セパレータとして最適なステンレス薄帯およびチタン合金薄帯を圧延工程に依ることなく、合金溶湯から直接、得ることが出来るため、従来工程の「素原料配合→基材溶製(鋳造)→熱間圧延→冷間圧延→焼鈍→酸洗」に対して、本発明では、「素原料配合→単ロール溶湯急冷」と、大幅な工程圧縮および製造時間短縮が可能となることから大幅なコストダウンが達成出来る。加えて単ロール溶湯急冷では合金溶湯(1400~1600℃)を50000℃/秒程度にて超急冷することで、ステンレス系の場合では平均結晶粒径が0.2μm以下の非常に微細なオーステナイト相が得られ、繰り返し圧延時に問題となっていた薄帯の脆さが無くなり、優れた加工性を有する薄帯が安定して製造出来る。さらに、不随効果として前記超急冷過程において急冷合金薄帯の表面には絶縁性および耐食性の向上に貢献する20nm以下の酸化膜相が形成される。
さらに、単ロール溶湯急冷時に前記の単孔あるいは複数孔の噴射ノズルを用いることによって、従来、圧延後の薄帯を1mm以下程度に切削加工により裁断することで作製するしか方法のなかったステンレス繊維およびチタン繊維が圧延工程および裁断工程を経ることなく合金溶湯から直接、製造可能となり、得られたステンレス繊維およびチタン繊維を不織布状に二次加工した上、真空焼結することでステンレス系およびチタン系多孔質焼結体が容易に作製可能となる。
[合金組成]
ステンレス鋼においてCrは耐食性確保のためには必須の主要元素であり、Feに対する置換率が15%以下の場合、金属セパレータとして求められる耐食性を維持できない。また、Feに対するCrの置換率を30%以上にすると金属セパレータとして求められる加工性が著しく低下するため、本発明によるステンレス系急冷合金薄帯におけるFeに対するCrの置換率は、15%以上30%以下に限定される。なお、Feに対するCrの好ましい置換率は、17%以上29%以下であり、さらに好ましくは18%以上28%以下である。
ステンレス鋼においてCrは耐食性確保のためには必須の主要元素であり、Feに対する置換率が15%以下の場合、金属セパレータとして求められる耐食性を維持できない。また、Feに対するCrの置換率を30%以上にすると金属セパレータとして求められる加工性が著しく低下するため、本発明によるステンレス系急冷合金薄帯におけるFeに対するCrの置換率は、15%以上30%以下に限定される。なお、Feに対するCrの好ましい置換率は、17%以上29%以下であり、さらに好ましくは18%以上28%以下である。
前記のCr同様にステンレス鋼において必須元素であるNiはステンレス鋼のオーステナイト組織を安定化させる役割を担い、このオーステナイト(面心立方結晶)組織がステンレス鋼における優れた靭性に寄与するため、Feに対するNiの置換率を0.2%以下にすると薄帯にした際の加工性が低下する。また、Feに対するNiの置換量を25%以上にすると耐食性の低下、並びにコストアップを招来するため、本発明によるステンレス系急冷合金薄帯におけるFeに対するNiの置換率を0.2%以上25%以下に限定する。なお、Feに対するNiの好ましい置換率は、2%以上23%以下であり、さらに好ましくは5%以上21%以下である。
Mn添加は、Ni同様、ステンレス鋼において靭性を高める働きをするが、添加量が2.0原子%以下の場合、金属セパレータとしての加工性および耐食性に悪影響を及ぼすことから、本発明によるステンレス系急冷合金薄帯におけるMnの添加量を0.0%以上2.0原子%以下に限定する。好ましくは0.5原子%以上2.0原子%以下が良く、さらに好ましくは0.5原子%以上1.8原子%以下が良い。
Si添加は、本発明における単ロール溶湯急冷工程にて溶解時のスケール防止の働きと共に急冷合金組織の微細化に寄与するが、添加量が3.0原子%を超えると金属セパレータとしての加工性を損なうことから、本発明によるステンレス系急冷合金薄帯におけるSiの添加量を0.0%以上3.0原子%以下に限定する。好ましくは0.4原子%以上3.0原子%以下が良く、さらに好ましくは0.4原子%以上2.8原子%以下が良い。
B添加は、本発明おける単ロール溶湯急冷工程における合金溶湯の粘性を低下させ、冷却ロールと合金溶湯の密着性を向上することで、溶湯冷却速度の向上に寄与すると共に合金のガラス形成能を高め、本発明によるステンレス系急冷合金薄帯の金属組織の微細化に貢献するが、添加量が10.0原子%を超えると主相がγ-Feからα-Feに代わり、それに伴い金属セパレータとしての加工性を損なうことから、本発明によるステンレス系急冷合金薄帯におけるBの添加量を0.0%以上10.0原子%以下に限定する。好ましくは0.5原子%以上9.0原子%以下が良く、さらに好ましくは1.0原子%以上8.0原子%以下が良い。
Mo添加は、前記Crと同様、ステンレス鋼の耐食性に貢献するが、3.5原子%以上添加すると金属セパレータとしての加工性が損なわれることから、本発明によるステンレス系急冷合金薄帯におけるMoの添加量を0.0%以上3.50原子%以下に限定する。好ましくは0.0原子%以上3.0原子%以下が良く、さらに好ましくは0.0原子%以上2.0原子%以下が良い。
Cu添加は、Si添加と同様、本発明における単ロール溶湯急冷工程にて得られる急冷合金組織の微細化に寄与するが、添加量が4.0原子%を超えると金属セパレータとしての加工性を損なうことから、本発明によるステンレス系急冷合金薄帯におけるCuの添加量を0.0%以上4.0原子%以下に限定する。好ましくは0.0原子%以上3.0原子%以下が良く、さらに好ましくは0.0原子%以上2.0原子%以下が良い。
本発明によるステンレス系急冷合金薄帯において、不可避の不純物である炭素C、窒素N、酸素O、硫黄SおよびリンPは、金属セパレータとしての加工性および耐食性を維持するため、それぞれC≦2000ppm、N≦3000ppm、O≦3000ppm、S≦2000ppm、P≦500ppmにする必要があるが、CはNiと結びつきオーステナイト相の生成に寄与するため、C≦1700ppmまでなら積極的に添加しても良い。同じくNもオーステナイト相の生成に寄与するため、N≦1700ppmまでなら積極的に添加しても良い。さらに、SおよびPは切削性の向上に寄与するためS≦1500ppm、P≦450ppmを上限として積極的に添加しても良い
本発明によるチタン系急冷合金薄帯を製造する工程において、Ti:100%の場合、Tiの融点が1668℃と高く、合金溶湯の準備、並びに冷却ロール上へ溶湯をノズルから噴射することを想定すると溶湯温度は、融点+100℃以上を確保する必要があるため、1800℃程度の合金溶湯を準備することとなり、既存の酸化物系耐火材および硼化物での対応が困難である。そこで合金溶湯温度を一般的な酸化物系耐火物であるアルミナ(Al2O3)が使用可能な温度まで下げることを目的にTiへSiを添加し、Ti-Si二元合金系とした。ただし、Siの添加量が1.0原子%以下ではアルミナ耐火物が使用出来る溶湯温度まで下がらず、また、Siの添加量が9.0原子%を超えると金属セパレータとしての加工性が著しく低下するため、Siの添加量を1.0原子%以上9.0原子%以下に限定する。なお、好ましいSiの添加量は、1.5原子%以上7原子%以下であり、さらに好ましいSi添加量は1.5原子%以上6.0原子%以下である。
本発明によるチタン系急冷合金薄帯において、不可避の不純物である炭素C、窒素N、酸素Oは、金属セパレータとしての加工性および耐食を維持するため、それぞれC≦1000ppm、N≦3000ppm、O≦3000ppmにする必要がある
[金属組織]
本発明により得られるステンレス系急冷合金薄帯は、主相となるオーステナイト相が体積比率で60%以下になると急冷合金の靭性が低下し金属セパレータとしての加工性を確保出来ないことから、ステンレス系急冷合金薄帯に含まれるオーステナイト相は、60体積%以上とする。好ましくは、70体積%以上が良く、
より好ましくは、80体積%以上が良い
本発明により得られるステンレス系急冷合金薄帯は、主相となるオーステナイト相が体積比率で60%以下になると急冷合金の靭性が低下し金属セパレータとしての加工性を確保出来ないことから、ステンレス系急冷合金薄帯に含まれるオーステナイト相は、60体積%以上とする。好ましくは、70体積%以上が良く、
より好ましくは、80体積%以上が良い
単ロール溶湯急冷法により達成される超急冷により、本発明によるステンレス系急冷合金薄帯は、平均結晶粒径0.5μm以下の微細金属組織が得られるが、金属セパレータとしての加工性に影響する強度・延性の向上、加えて金属疲労に対する耐性向上を考慮すると好ましい平均結晶粒径は0.3μm以下であり、さらに好ましくは、平均結晶粒径0.19μm以下が良い。なお、結晶粒径の下限は溶湯急冷条件により異なるがステンレス鋼としての機械的性質を維持出来る粒径として平均結晶粒径0.01μm以上が好ましく、平均結晶粒径0.02μm以上がさらに好ましい。
本発明により得られるSiを添加したチタン系急冷合金薄帯は、体積比率で80%以上のTi相とTi5Si3等のTi-Si二元組成化合物相からなり、単ロール溶湯急冷法により達成される超急冷により平均結晶粒径1.0μm以下の微細金属組織を有しているが、金属セパレータとしての加工性を考慮すると好ましい平均結晶粒径は0.8μm以下であり、さらに好ましくは、平均結晶粒径0.5μm以下が良い。なお、結晶粒径の下限は溶湯急冷条件により異なるがTiとしての機械的性質を維持出来る粒径として平均結晶粒径0.01μm以上が好ましく、平均結晶粒径0.02μm以上がさらに好ましい。
[加工性]
本発明にて得られるステンレス系急冷合金およびチタン系急冷合金は、圧延工程を経ることなく、微細な金属組織を有する厚み15μm~120μmの薄帯が得られることから、圧延法で作製された薄帯にはない優れた靭性を持ち、金属セパレータとして最適な加工容易性を有する。なお、180度曲げ試験(密着曲げ試験)にて急冷合金に割れ、あるいはクラックが発生する場合は、金属セパレータとしての加工性に劣ることから、180度曲げ試験(密着曲げ試験)にて急冷合金に割れ、あるいはクラックが発生しない急冷合金が良い。
本発明にて得られるステンレス系急冷合金およびチタン系急冷合金は、圧延工程を経ることなく、微細な金属組織を有する厚み15μm~120μmの薄帯が得られることから、圧延法で作製された薄帯にはない優れた靭性を持ち、金属セパレータとして最適な加工容易性を有する。なお、180度曲げ試験(密着曲げ試験)にて急冷合金に割れ、あるいはクラックが発生する場合は、金属セパレータとしての加工性に劣ることから、180度曲げ試験(密着曲げ試験)にて急冷合金に割れ、あるいはクラックが発生しない急冷合金が良い。
[酸化被膜]
本発明にて得られるステンレス系急冷合金は、単ロール溶湯急冷時に急冷合金表面に20nm以下の酸化被膜が形成されるが、前記ステンレス系急冷合金の絶縁性および耐食性の向上効果を考慮すると前記酸化被膜の下限は1nm以上必要であり、好ましい前記酸化被膜の厚みは、2nm以上20nm以下、さらに好ましくは5nm以上20nm以下が良い。
本発明にて得られるステンレス系急冷合金は、単ロール溶湯急冷時に急冷合金表面に20nm以下の酸化被膜が形成されるが、前記ステンレス系急冷合金の絶縁性および耐食性の向上効果を考慮すると前記酸化被膜の下限は1nm以上必要であり、好ましい前記酸化被膜の厚みは、2nm以上20nm以下、さらに好ましくは5nm以上20nm以下が良い。
[溶湯急冷]
本発明の単ロール溶湯急冷工程において合金溶湯を噴射するノズルは、前記冷却ロールの回転方向に対して直角となる一方向に図面(c-1)に示すように
連続的または図面(c-2)の通り断続的に開口するスリット状の開口部が配置されるが、前記開口部の幅が0.2mm以下では合金溶湯をノズルから噴出する際の単位時間当たり溶湯出湯量が少なくなり、開口部が冷却固化した合金溶湯により閉塞する。一方、前記開口部の幅が1.0mm以上では単位時間当たり溶湯出湯量が多くなり過ぎるため、前記冷却ロールによる合金溶湯の抜熱が間に合わず、溶湯急冷が実施出来ないことから、急冷合金の金属組織における平均結晶粒径が1μm以上となり、金属セパレータとしての加工性が低下するため、前記開口部の幅は、0.2mm以上1.0mm以下であることが良い。好ましくは、0.2mm以上0.8mm以下が良く、さらに好ましくは、0.4mm以上0.8mm以下が良い。なお、図面(c-2)のように断続した複数のスリットを配する場合は、ノズルからの溶湯噴出時、スリット間の脱落を防止するため、各スリットの間隔を2mm以上離すことが良い。
本発明の単ロール溶湯急冷工程において合金溶湯を噴射するノズルは、前記冷却ロールの回転方向に対して直角となる一方向に図面(c-1)に示すように
連続的または図面(c-2)の通り断続的に開口するスリット状の開口部が配置されるが、前記開口部の幅が0.2mm以下では合金溶湯をノズルから噴出する際の単位時間当たり溶湯出湯量が少なくなり、開口部が冷却固化した合金溶湯により閉塞する。一方、前記開口部の幅が1.0mm以上では単位時間当たり溶湯出湯量が多くなり過ぎるため、前記冷却ロールによる合金溶湯の抜熱が間に合わず、溶湯急冷が実施出来ないことから、急冷合金の金属組織における平均結晶粒径が1μm以上となり、金属セパレータとしての加工性が低下するため、前記開口部の幅は、0.2mm以上1.0mm以下であることが良い。好ましくは、0.2mm以上0.8mm以下が良く、さらに好ましくは、0.4mm以上0.8mm以下が良い。なお、図面(c-2)のように断続した複数のスリットを配する場合は、ノズルからの溶湯噴出時、スリット間の脱落を防止するため、各スリットの間隔を2mm以上離すことが良い。
また、本発明の単ロール溶湯急冷工程において合金溶湯を噴射するノズルは、前記冷却ロールの回転方向に対して直角となる一方向に間隔をあけて配置された二孔以上の複数の開口孔を有する図面(c-3)に記載の複数孔ノズルを用いても良いが、開口孔の直径が0.5mm以下では合金溶湯をノズルから噴出する際の単位時間当たり溶湯出湯量が少なくなりの開口部が冷却固化した合金溶湯により閉塞する。一方、前記開口孔の直径が1.0mm以上では単位時間当たり溶湯出湯量が多くなり過ぎるため、前記冷却ロールによる合金溶湯の抜熱が間に合わず溶湯急冷が出来ないため、急冷合金薄帯の金属組織における平均結晶粒径が1μm以上となり、金属セパレータとしての加工性が低下することから、前記開口孔の直径は、0.5mm以上2.0mm以下が良い。好ましくは、0.5mm以上1.5mm以下が良く、さらに好ましくは、0.7mm以上1.2mm以下が良い。なお、複数の開口孔同士の間隔は、ノズルからの溶湯噴出時、開口孔同士間の脱落を防止するため、各スリットの間隔を2.0mm以上離すことが良い。加えて複数の開口孔同士の間隔は、急冷合金の生成能率を上げるため30.0mm以下であることが良い。
前記のスリットノズルおよび複数孔ノズルを用い、銅、銅合金、MoおよびWのいずれかを主原料とする冷却ロールの表面上に本発明の合金組成になるよう配合し溶解した合金溶湯を噴射することで、厚み15μm以上120μm以下のステンレス系急冷合金薄帯および厚み20μm以上60μm以下のチタン系急冷合金薄帯を得ることが出来るが、ロール表面速度10m/秒以下の場合は、急冷合金の厚みが120μm以上となるため、急冷合金薄帯の金属組織が粗大化し、金属セパレータとしての加工性が損なわれる。一方、ロール表面速度が40m/秒以上ではノズルから冷却ロール表面上へ噴射されて合金溶湯が冷却ロール表面と密着出来ず、急冷合金薄帯の生成が不安定になるため、ロール表面速度は10m/秒以上40m/秒以下が良い。なお、急冷合金組織の微細化および急冷合金薄帯の生成を安定化するには、ロール表面速度15m/秒以上40m/秒以下が好ましく、前記ステンレス系急冷合金薄帯において微細なγ-Fe相を安定して得るためには18m/秒以上38m/秒以下がさらに好ましい。
前記合金溶湯を急冷ロール表面上へ噴出するノズルの材質は、石英(SiO2)、窒化硼素(BN)、炭化珪素素(SiC)およびアルミナ(Al2O3)のいずれかを主成分とすることが好ましい。
前記急冷合金薄帯を作製する際は、合金溶湯と冷却ロールの密着性が重要であり、本溶湯の密着性は冷却ロールの素材にも影響されることから冷却ロールの素材は熱伝導と融点も考慮し、銅または銅を主成分とする合金、MoまたはMoを主成分とする合金、あるいは、WまたはWを主成分とする合金のいずれかが良いが、急冷凝固合金の製造に係る設備およびランニングコスト点を鑑み、銅または銅を主成分とする合金が好ましい。加えて、冷却ロール表面の表面粗度も合金溶湯と冷却ロールの密着性に影響することから、冷却ロール表面の算術平均粗さRaを10nm以上20μm以下とすることが良く、生産効率と品質を考慮してRaは50nm以上10μm以下が好ましく、100nm以上10μm以下がより好ましい。
本発明における合金溶湯と冷却ロールの密着性は、前記の冷却ロールの表面粗度に加えて、ノズルから冷却ロール表面へ噴射される合金溶湯の出湯圧力にも影響する。前記出湯圧力が2kPa以下では合金溶湯の冷却ロール表面への押し付けが弱く、合金溶湯が冷却ロール表面に密着出来ないことから溶湯急冷が実施出来ない。一方、前記出湯圧力が60kPa以上では、冷却ロール表面への合金溶湯の押し付け圧が強過ぎるため、合金溶湯が冷却ロール上で跳ね飛ばされ溶湯急冷が実施出来ないことから出湯圧力は、2kPa以上60kPa以下が良い。好ましくは5kPa以上40kPa以下良く、より好ましくは、10kPa以上30kPa以下が良い。
さらに本発明において重要な合金溶湯と冷却ロールの密着性は、前記冷却ロールの内部を流れるロール冷却水量および冷却水温にも影響する。ロール冷却水が0.1立米/min以下の場合、ノズルから冷却ロール表面上に噴射された合金溶湯の熱量を冷却ロールで抜熱出来ず、冷却ロールの表面温度が徐々に上がり冷却ロール表面が局所的に溶融するため溶湯急冷が実施出来ない。一方、20立米/min以上のロール冷却水量では、ロール冷却水IN側の温度とロール冷却水OUT側の温度差ΔTが1℃以下となり、溶湯冷却中の冷却ロールの表面温度が上がらず、冷却ロール表面と合金溶湯の密着性が不安定な状態になることから、0.1立米/min以上20立米/min以下のロール冷却水量が良いが、好ましくは0.2立米/min以上15立米/min以下が良く、より好ましくは0.3立米/min以上15立米/min以下が良い。
なお、前記ロール冷却水の水温は、5℃以上60℃以下であることが良い。5℃以下では前記合金溶湯と冷却ロールの密着性を確保出来ず、60℃以上では急冷合金薄帯の冷却ロールからの剥離が不安定になる。好ましくは、10℃以上60℃以下が良く、より好ましくは、15℃以上55℃以下が良い。
前記ステンレス系急冷合金およびチタン系急冷合金の製造方法において、前記冷却ロールは、外径200mm以上1500mm以下が良い。外径200mm以下では冷却ロール表面上にて急冷合金薄帯が生成された後、冷却ロールから急冷合金薄帯が剥離する時間が短く、十分に溶湯急冷が実施されず、微細な金属組織が得られない。一方、外径1500mm以上の冷却ロールは鍛造方法で作製することが困難である。好ましくは、外径230mm以上1300mm以下が良く、より好ましくは外径280mm以上1200mm以下が良い。
本発明におけるステンレス系急冷合金およびチタン系急冷合金の製造方法において、前記冷却ロールの長さ(冷却ロール全長)は、前記噴射ノズルにおけるスリット全長に20mm以上400mm未満の長さを加えたロール全長が良く、加えて前記冷却ロールの厚みは5mm以上100mm以下が良い。前記噴射ノズルにおけるスリット全長に20mm以下の長さを加えた冷却ロール全長、並びに前記冷却ロールの厚みが5mm以下の場合は、前記冷却ロールのヒートシンクとしての熱容量を考慮した場合、噴射ノズルから冷却ロールに供給される合金溶湯が持つ熱量を前記ロール冷却水にて抜熱される前に冷却ロールの温度が上がり過ぎることから、安定した溶湯急冷が実施出来ない。一方、前記噴射ノズルにおけるスリット全長に400mm以上の長さ加えたロール全長、並びに前記冷却ロールの厚みが100mm以上の場合は、前記冷却ロールの加工コストが大幅に上がることに加えて、前記ロール冷却水への熱伝導が遅く、冷却ロールの表面温度が上がり過ぎるため安定した溶湯急冷が実施出来ない。好ましい前記冷却ロールの長さは、前記噴射ノズルにおけるスリット全長に30mm以上300mm以下の長さを加えた冷却ロール全長が良く、加えて前記冷却ロールの厚みは5mm以上70mm以下が良く、さらに好ましくは、前記噴射ノズルにおけるスリット全長に40mm以上300mm以下の長さを加えた冷却ロール全長が良く、加えて前記冷却ロールの厚みは7mm以上50mm以下が良い。なお、断続的に開口したスリットノズルもしくは複数孔ノズルの場合は、スリットの長さを断続的スリットあるいは開口孔の一方の最外から、もう一方のスリットもしくは開口孔の最外までの距離をスリット全長、あるいは複数孔の全長とする。
なお、本発明における単ロール溶湯急冷装置の冷却ロールと噴出ノズルの位置関係において噴出ノズルを冷却ロールの長さ方向に水平往復移動(トラバース)させながら合金溶湯を噴出ノズルから冷却ロールへ供給することで、冷却ロール表面の局所的溶融による粗を低減出来ることから、噴出ノズルをトラバースさせない場合に比べて急冷凝固時間を延ばせるが、噴出ノズルのトラバース範囲は、冷却ロールの長さ以内に収めることが良く、好ましくは冷却ロールの長さの90%以内、より好ましくは80%以内が良い。
また、本発明における単ロール溶湯急冷装置を用いた合金溶湯の急冷凝固過程において冷却ロール表面の局所的溶融による粗を低減する方法として、溶湯急冷中、冷却ロール表面を研磨もしくは研削加工を施し、粗を取り除くことでも急冷凝固時間を延ばすことが可能となる。
以下、本発明の実施例を説明する。
(実施例)
表1に示す各合金組成となるよう、純度99.5%以上のFe、Cr、Ni、Mn、Si、B、Mo、Cu並びにTiの各元素を配合した素原料100kgをアルミナ製坩堝へ挿入した後、高周波誘導加熱により溶解し合金溶湯を用意した後、表1に記載のBN製のスリットノズル(スリット長さ×幅を表1に記載)および複数孔ノズル(孔径、孔間隔、孔数を表1に記載)を底部に配した内径200mm×高さ400mmのアルミナ製貯湯容器へ前記合金溶湯50kgを注いだ。なお、出湯ノズル直下には表1に記載のノズル/ロール間ギャップにてクロムジルコン銅製の冷却ロール(外径600mm×幅200mm)が配置されている。
表1に示す各合金組成となるよう、純度99.5%以上のFe、Cr、Ni、Mn、Si、B、Mo、Cu並びにTiの各元素を配合した素原料100kgをアルミナ製坩堝へ挿入した後、高周波誘導加熱により溶解し合金溶湯を用意した後、表1に記載のBN製のスリットノズル(スリット長さ×幅を表1に記載)および複数孔ノズル(孔径、孔間隔、孔数を表1に記載)を底部に配した内径200mm×高さ400mmのアルミナ製貯湯容器へ前記合金溶湯50kgを注いだ。なお、出湯ノズル直下には表1に記載のノズル/ロール間ギャップにてクロムジルコン銅製の冷却ロール(外径600mm×幅200mm)が配置されている。
その後、貯湯容器の周囲に設置された高周波加熱用コイルへ通電することで、前記合金溶湯50kgをさらに加熱し、溶湯温度が配合組成合金の融点より約100℃以上の溶湯温度に到達した後、出湯ノズル上部に配したアルミナ製溶湯ストッパーを引き抜き、出湯ノズル底部に配した多重スリットノズルおよび縦列多孔ノズルから合金溶湯を表2に記載の噴射圧にて、同じく表2に記載のロール表面速度にて回転している冷却ロールの表面上へ噴出した。なお、冷却ロールの表面粗度は急冷凝固工程前に予め表2に記載の算術平均粗さ(Ra)になるよう調節した。
前記冷却ロールの表面へ噴出されロール上に押し付けられた前記合金溶湯は冷却ロール表面上にて湯だまり(パドル)を形成、パドルと冷却ロールの界面にて急冷凝固され、表3に示す平均厚みおよび平均幅を持つ薄帯状の急冷凝固合金を得た。
実施例にて作製した各急冷合金薄帯のX線回折(XRD)評価により確認された急冷合金の構成相を表4に示す。なお、ステンレス系急冷合金についてはXRDにてγ-Fe相の体積比率についてもXRDにて評価した。また、急冷合金を構成する結晶粒の平均結晶粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)にて観察明視野像の画像に対して二値化処理を行い、主相と粒界を分けた後、JIS規格(JIS G 0551:2005)に基づく画像解析により評価した。前記評価に得た平均結晶粒径を表4に示す。代表例として図2に実施例1、図3に実施例7および図4に実施例13における急冷合金のX線回折プロファイルを示す。
なお、実施例1~14の急冷合金薄帯の断面を透過型電子顕微鏡により酸素含有濃度を分析したところ急冷合金薄帯の表面から20nm以下の厚みに酸素が濃化しており、急冷合金薄帯の表面に酸化膜相が形成されていることを確認した。
実施例にて作製した各急冷合金について180度曲げ試験(密着曲げ試験)を実施した際の急冷合金に割れ、クラック発生の有無について表4に示す。
(比較例)
鉄基の単ロール溶湯急冷合金の作製においてSiとBは非晶質化に必須な添加元素でありステンレス系合金においてもSiおよびB添加量は急冷合金薄帯の微細組織化に大きな影響を与えることから本発明におけるSiおよびBの添加組成範囲外の合金組成を比較例とする。同じくTi-Si合金において本発明のSi添加組成範囲外の合金組成も比較例として併せて比較例とする。表1に示す各合金組成となるよう、純度99.5%以上のFe、Cr、Ni、Mn、Si、B並びにTiの各元素を配合した素原料100kgをアルミナ製坩堝へ挿入した後、高周波誘導加熱により溶解し合金溶湯を用意した後、表1に記載のBN製のスリットノズル(スリット長さ×幅を表1に記載)および複数孔ノズル(孔径、孔間隔、孔数を表1に記載)を底部に配した内径200mm×高さ400mmのアルミナ製貯湯容器へ前記合金溶湯50kgを注いだ。なお、出湯ノズル直下には表1に記載のノズル/ロール間ギャップにてクロムジルコン銅製の冷却ロール(外径600mm×幅200mm)が配置されている。なお、比較例18は、前記アルミナ製貯湯容器へ注げる溶湯粘性が得られるまで溶湯温度が上げられず急冷凝固工程に至ることが出来なかった。
鉄基の単ロール溶湯急冷合金の作製においてSiとBは非晶質化に必須な添加元素でありステンレス系合金においてもSiおよびB添加量は急冷合金薄帯の微細組織化に大きな影響を与えることから本発明におけるSiおよびBの添加組成範囲外の合金組成を比較例とする。同じくTi-Si合金において本発明のSi添加組成範囲外の合金組成も比較例として併せて比較例とする。表1に示す各合金組成となるよう、純度99.5%以上のFe、Cr、Ni、Mn、Si、B並びにTiの各元素を配合した素原料100kgをアルミナ製坩堝へ挿入した後、高周波誘導加熱により溶解し合金溶湯を用意した後、表1に記載のBN製のスリットノズル(スリット長さ×幅を表1に記載)および複数孔ノズル(孔径、孔間隔、孔数を表1に記載)を底部に配した内径200mm×高さ400mmのアルミナ製貯湯容器へ前記合金溶湯50kgを注いだ。なお、出湯ノズル直下には表1に記載のノズル/ロール間ギャップにてクロムジルコン銅製の冷却ロール(外径600mm×幅200mm)が配置されている。なお、比較例18は、前記アルミナ製貯湯容器へ注げる溶湯粘性が得られるまで溶湯温度が上げられず急冷凝固工程に至ることが出来なかった。
その後、貯湯容器の周囲に設置された高周波加熱用コイルへ通電することで、前記合金溶湯50kgをさらに加熱し、溶湯温度が配合組成合金の融点より約100℃以上の溶湯温度に到達した後、出湯ノズル上部に配したアルミナ製溶湯ストッパーを引き抜き、出湯ノズル底部に配した多重スリットノズルおよび縦列多孔ノズルから合金溶湯を表2に記載の噴射圧にて、同じく表2に記載のロール表面速度にて回転している冷却ロールの表面上へ噴出した。なお、冷却ロールの表面粗度は急冷凝固工程前に予め表2に記載の算術平均粗さ(Ra)になるよう調節した。
前記冷却ロールの表面へ噴出されロール上に押し付けられた前記合金溶湯は冷却ロール表面上にて湯だまり(パドル)を形成、パドルと冷却ロールの界面にて急冷凝固され、表3に示す平均厚みおよび平均幅を持つ薄帯状の急冷凝固合金を得た。
比較例にて作製した各急冷合金のX線回折(XRD)評価により確認された急冷合金の構成相を表4に示す。なお、ステンレス系急冷合金についてはXRDにてγ-Fe相の体積比率についてもXRDにて評価した。また、急冷合金を構成する結晶粒の平均結晶粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)にて観察明視野像の画像に対して二値化処理を行い、主相と粒界を分けた後、JIS規格(JIS G 0551:2005)に基づく画像解析により評価した。前記評価に得た平均結晶粒径を表4に示す。代表例として図5に比較例15における急冷合金のX線回折プロファイルを実施例6のX線解析プロファイルと比較して示す。
比較例にて作製した各急冷合金について180度曲げ試験(密着曲げ試験)を実施した際の急冷合金に割れ、クラック発生の有無について表4に示す。
1 溶解坩堝
2 溶解用誘導加熱コイル(ワークコイル)
3 溶解坩堝傾動軸
4 貯湯容器(タンデッシュ)
5 貯湯容器誘導加熱コイル(ワークコイル)
6 出湯ノズル
7 ストッパー
8 合金溶湯
9 冷却ロール
10 急冷凝固合金
12 スリットノズル
13 断続スリットノズル
14 複数孔ノズル
15 冷却ロール回転方向
2 溶解用誘導加熱コイル(ワークコイル)
3 溶解坩堝傾動軸
4 貯湯容器(タンデッシュ)
5 貯湯容器誘導加熱コイル(ワークコイル)
6 出湯ノズル
7 ストッパー
8 合金溶湯
9 冷却ロール
10 急冷凝固合金
12 スリットノズル
13 断続スリットノズル
14 複数孔ノズル
15 冷却ロール回転方向
Claims (13)
- 単ロール溶湯急冷工程のみにて作製された金属セパレータ向けステンレス系急冷合金おいて、組成式(Fe1-x-yCrxNiy)100-l-m-n-q-zMnlSimBnMoqCuz原子%で表現され、組成比率x、yおよびl、m、n、q、zがそれぞれ、
0.15≦x≦0.30
0.002≦y≦0.25
0.00≦l≦2.00原子%
0.00≦m≦3.00原子%
0.00≦n≦10.00原子%
0.00≦q≦3.50原子%
0.00≦z≦4.00原子%
を満足し、本組成式を満足する急冷合金への混入が不可避の不純物である炭素C、窒素N、酸素O、硫黄S、リンPの含有量がそれぞれ、
C≦2000ppm
N≦3000ppm
O≦3000ppm
S≦2000ppm
P≦500ppm
であり、当該組成からなる急冷合金の厚みが15μm以上120μm以下である固体高分子型燃料電池用金属セパレータ向けステンレス系急冷合金。 - 請求項1の圧延工程を経ない単ロール溶湯急冷にて作製された金属セパレータ向けステンレス系急冷合金おいて、オーステナイト相を60体積%以上含み、急冷合金を構成する金属組織の平均結晶粒径が0.5μm以下である急冷合金であり、180度曲げ試験にて急冷合金に割れ、あるいはクラックがない固体高分子型燃料電池用金属セパレータ向けステンレス系急冷合金。
- 単ロール溶湯急冷工程のみにて作製された金属セパレータ向けチタン系急冷合金において、組成式Ti100-xSix 原子%で表現され、組成比率xが、1.00≦x≦9.00 原子%を満足し、本組成式を満足する急冷合金への混入が不可避の不純物である炭素C、窒素N、酸素O含有量がそれぞれ、
C≦1000ppm
N≦3000ppm
O≦3000ppm
であり、当該組成からなる急冷合金の厚みが20μm以上60μm以下である固体高分子型燃料電池用金属セパレータ向けチタン系急冷合金。 - 請求項3の圧延工程を経ない単ロール溶湯急冷にて作製された金属セパレータ向けチタン系急冷合金において、急冷合金を構成する金属組織の平均結晶粒径が1.0μm以下であり、180度曲げ試験(密着曲げ試験)にて急冷合金に割れ、あるいはクラックがない固体高分子型燃料電池用金属セパレータ向けチタン系急冷合金。
- 請求項1および請求項3の単ロール溶湯急冷にて作製された金属セパレータ向けステンレス系急冷合金において、単ロール溶湯急冷時に急冷合金表面に20nm以下の酸化被膜相が形成される固体高分子型燃料電池用金属セパレータ向けステンレス系急冷合金。
- 組成式(Fe1-x-yCrxNiy)100-l-m-n-q-zMnlSimBnMoqCuz原子%で表現され、組成比率x、yおよびl、m、n、q、zがそれぞれ、
0.15≦x≦0.30
0.002≦y≦0.25
0.00≦l≦2.00原子%
0.00≦m≦3.00原子%
0.00≦n≦10.00原子%
0.00≦q≦3.50原子%
0.00≦z≦4.00原子%
を満足する組成のステンレス系の合金溶湯を用意する工程と、あるいは、組成式Ti100-xSix 原子%で表現され、組成比率xが、1.00≦x≦9.00 原子%を満足する組成のチタン系の合金溶湯を用意する工程と、純銅、銅合金、モリブデンおよびタングステンのいずれかを主原料とする冷却ロール上で前記合金溶湯を急冷凝固する急冷凝固工程を備え、前記急冷凝固工程は、前記冷却ロールをロール表面速度10m/秒以上40m/秒以下で回転させながら、前記冷却ロールの表面に前記合金溶湯を窒化硼素(BN)、石英(SiO2)、炭化珪素(SiC)およびアルミナ(Al2O3)のいずれかを主成分とする噴射ノズルから噴射する工程を備え、前記噴射ノズルは、前記冷却ロールの回転方向に対して直角となる一方向に連続的または断続的に開口するスリット状の開口部が配置され、前記開口部の幅が0.2mm以上1.0mm以下であるスリットノズルを配した固体高分子型燃料電池用金属セパレータ向けステンレス系急冷合金およびチタン系急冷合金の製造方法。 - 請求項6における噴射ノズルにおいて、請求項6に記載する冷却ロールの回転方向と直角の一方向に間隔をあけて配置された二孔以上の複数の開口孔を有し、前記開口孔の直径が0.5mm以上2.0mm以下であり、前記開口部を構成する各開口孔同士の間隔が2.0mm以上30.0mm以下である複数孔ノズルを配した固体高分子型燃料電池用金属セパレータ向けステンレス系急冷合金およびチタン系急冷合金の製造方法。
- 請求項1および請求項3の単ロール溶湯急冷にて作製された金属セパレータ向けステンレス系急冷合金およびチタン系急冷合金において、請求項6の複数孔ノズルを用いて得られる幅0.5mm以上3mm以下で、かつ厚みが15μm以上120μm以下の形状であるステンレス系急冷合金繊維およびチタン系急冷合金繊維。
- 請求項6の急冷凝固工程における雰囲気が、常圧(101.3kPa )の大気下、もしくは1kPa以上100kPa 以下の不活性ガス下において、前記噴射ノズルから噴出される前記合金溶湯の出湯圧力が2kPa以上60kPa以下である固体高分子型燃料電池用金属セパレータ向けステンレス系急冷合金およびチタン系急冷合金の製造方法。
- 請求項6の急冷凝固工程において、前記冷却ロール表面と前記噴射ノズル先端の距離(ノズル/ロール間ギャップ)が、0.3mm以上20mm以下である固体高分子型燃料電池用金属セパレータ向けステンレス系急冷合金およびチタン系急冷合金の製造方法。
- 請求項6において、冷却ロールの外径が200mm以上1500mm以下であり、加えて冷却ロール表面の算術平均粗さRaが10nm以上20μm以下である固体高分子型燃料電池用金属セパレータ向けステンレス系急冷合金およびチタン系急冷合金の製造方法。
- 請求項6において、冷却ロールの内部を流れるロール冷却水量が0.1立米/min以上20立米/min未満であり、本ロール冷却水の水温は5℃以上60℃以下である固体高分子型燃料電池用金属セパレータ向けステンレス系急冷合金およびチタン系急冷合金の製造方法。
- 請求項6において、冷却ロールの長さは、噴射ノズルにおけるスリット全長に20mm以上400mm以下の長さを加えた幅であり、冷却ロールの厚みは5mm以上100mm以下であることを特徴とするが、断続的に開口したスリットノズルもしくは複数孔ノズルの場合は、スリットの長さを断続的スリットあるいは開口孔の一方の最外から、もう一方のスリットもしくは開口孔の最外までの距離をスリット全長、あるいは複数孔の全長とする固体高分子型燃料電池用金属セパレータ向けステンレス系急冷合金およびチタン系急冷合金の製造方法。
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JP2021090657A JP2022182884A (ja) | 2021-05-28 | 2021-05-28 | 固体高分子型燃料電池用金属セパレータ向けステンレス鋼薄帯およびチタン薄帯、多孔質焼結体向けステンレス鋼繊維およびチタン繊維、並びにその製造方法 |
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