JP2022182347A - 情報処理装置、及び、情報処理方法 - Google Patents

情報処理装置、及び、情報処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高分解能アルゴリズムを用いたレーダ装置における演算処理に要する負荷及び時間を低減できるようにする。【解決手段】アンテナが受信した受信信号に対してフーリエ変換処理が実行され、前記フーリエ変換処理が実行されて得られた第1のスペクトルに対して、処理範囲を切り取った第2のスペクトルが生成され、前記処理範囲に対応するステアリング行列が生成され、前記第2のスペクトルと前記ステアリング行列とに基づいて、高分解能アルゴリズムが適用される。【選択図】図1

Description

本技術は、情報処理装置、及び、情報処理方法に関し、特に、高分解能アルゴリズムを用いたレーダ装置における演算処理に要する負荷及び時間を低減できるようにした情報処理装置、及び、情報処理方法に関する。
特許文献1には、高分解能アルゴリズム(超分解能アルゴリズム)を用いて高分解能で物標(ターゲット)を検出(認識)するレーダ装置が開示されている。
特許第5114217号公報
レーダ装置において高分解能アルゴリズムを用いて物標を高分解能で検出する場合に、演算処理に要する負荷及び時間を低減することが望まれる。
本技術はこのような状況に鑑みてなされたものであり、高分解能アルゴリズムを用いたレーダ装置における演算処理に要する負荷及び時間を低減できるようにする。
本技術の情報処理装置は、アンテナが受信した受信信号に対してフーリエ変換処理を実行するフーリエ変換部と、前記フーリエ変換処理が実行されて得られた第1のスペクトルに対して、処理範囲を切り取った第2のスペクトルを生成する切取り部と、前記処理範囲に対応するステアリング行列を生成するステアリング行列生成部と、前記第2のスペクトルと前記ステアリング行列とに基づいて、高分解能アルゴリズムを適用する処理部とを備える情報処理装置である。
本技術の情報処理方法は、フーリエ変換部と、切取り部と、ステアリング行列生成部と、処理部とを有する情報処理装置の前記フーリエ変換部が、アンテナが受信した受信信号に対してフーリエ変換処理を実行し、前記切取り部が、前記フーリエ変換処理が実行されて得られた第1のスペクトルに対して、処理範囲を切り取った第2のスペクトルを生成し、前記ステアリング行列生成部が、前記処理範囲に対応するステアリング行列を生成し、前記処理部が、前記第2のスペクトルと前記ステアリング行列とに基づいて、高分解能アルゴリズムを適用する情報処理方法である。
本技術の情報処理装置及び情報処理方法においては、アンテナが受信した受信信号に対してフーリエ変換処理が実行され、前記フーリエ変換処理が実行されて得られた第1のスペクトルに対して、処理範囲を切り取った第2のスペクトルが生成され、前記処理範囲に対応するステアリング行列が生成され、前記第2のスペクトルと前記ステアリング行列とに基づいて、高分解能アルゴリズムが適用される。
本技術が適用されたレーダ装置の第1の実施の形態の構成を例示した図である。 高分解能走査範囲を説明する図である。 角度FFTにより得られる角度スペクトルを例示した図である。 高分解能アルゴリズムの処理により得られる角度スペクトルを例示した図である。 レーダ装置のレーダ処理部が実施する処理の流れを表した図である。 高分解能アルゴリズムの処理で用いられるステアリング行列を説明する図である。 本技術が適用されないレーダ装置のレーダ処理部が実施する処理の流れを例示した図である。 角度スペクトルから高分解能走査範囲のデータを切り取る処理の第1形態を説明する図である。 角度スペクトルから高分解能走査範囲のデータを切り取る処理の第2形態を説明する図である。 本技術が適用されたレーダ装置の第2の実施の形態の構成を例示した図である。 第2の実施の形態のレーダ処理部が実施する処理の流れを表した図である。
以下、図面を参照しながら本技術の実施の形態について説明する。
<レーダ装置の第1の実施の形態>
図1は、本技術が適用されたレーダ装置の第1の実施の形態の構成を例示した図である。
図1のレーダ装置1は、電波を発射し、その反射波をとらえることにより、空間に存在する物体(物標)の距離及び方向等を検出する装置である。レーダ装置1は、例えば、電波としてミリ波(周波数にして30GHz乃至300GHz)を用いたFMCW(Frequency Modulated Continuous Wave:周波数連続変調)方式のレーダ装置である。ただし、本技術は、FMCW方式以外のレーダ装置であっても適用され得る。
レーダ装置1は、送信アンテナ11、受信アンテナ12、RF(Radio Frequency:高周波)フロントエンド部13、レーダ処理部14、検出処理部15、及び、トラッキング部16を有する。
送信アンテナ11は、RFフロントエンド部13から供給される送信信号を電波(送信波)として空中に放射する。
受信アンテナ12は、送信アンテナ11から放射された後、物体(物標)で反射して到来する電波(受信波、反射波、又は、到来波ともいう)を受信する。受信アンテナ12が受信した受信波は、受信信号としてRFフロントエンド部13に供給される。
受信アンテナ12は、例えば直線状に配列された複数の受信アンテナ(アレイアンテナ)からなり、図1上では、それらの複数の受信アンテナが1つの受信アンテナ12として示されている。複数の受信アンテナを明示する場合には、それらを受信アンテナ12-1乃至12-N(Nは受信アンテナの個数)として表すこととする。なお、受信アンテナ12は、直線状に配列されたアレイアンテナに限らず、平面状(2次元状)等に配列されたアレイアンテナであってもよい。
RFフロントエンド部13は、送信信号を生成して送信アンテナ11に供給し、受信アンテナ12からの受信信号に応じたIF(Intermediate Frequency:中間周波数)信号をレーダ処理部14に供給する。
レーダ処理部14は、RFフロントエンド部13からのIF信号に基づいて、距離スペクトル、角度スペクトル、及び、速度スペクトル等を算出する。距離スペクトルは、レーダ装置1により物体の検出が可能な空間範囲の全体であるレーダ装置1の走査範囲(測定範囲)において、レーダ装置1から物体が存在する位置までの距離(物体の距離)を特定する情報である。角度スペクトルは、レーダ装置1の走査範囲において、物体が存在する位置の方向(物体の方向)を特定する情報である。物体の方向は、例えば、レーダ装置1(受信アンテナ12)の位置を基準位置とし、基準位置から見て所定の方向を基準方向(例えばレーダ装置1の走査範囲の中心方向)とした場合に、基準方向に対して、基準位置から物体の存在する位置に向かう方向の角度で表される。物体の方向を物体の角度ともいう。以下において、方向又は角度という場合には、同様に所定の基準位置から見た所定の基準方向に対する方向又は角度を表す。速度スペクトルは、移動している物体の移動速度を特定する情報である。レーダ処理部14により得られた距離スペクトルや角度スペクトル等の情報は、検出処理部15に供給される。
検出処理部15は、レーダ処理部14からの情報に基づいて、注目する物体(物標:ターゲット)を検出し、レーダ装置1に対する物標の距離や方向(角度)等を特定する。なお、物標は、移動物体である場合や、予め決められた種類の物体である場合等であってよい。検出された物標が空間に占める空間領域や、物標の距離及び方向等、検出した物標に関する物標情報は、トラッキング部16に供給される。
トラッキング部16は、検出処理部15からの物標情報に基づいて、検出処理部15で検出された物標を追跡する。追跡した物標のトラッキング情報(移動軌跡等)や検出処理部15からの物標情報は、映像化等の処理を行う不図示の処理部に供給される。
なお、検出処理部15及びトラッキング部16は、レーダ装置1の用途に応じた任意の処理部であってよく、詳細な説明は省略する。
(RFフロントエンド部13の構成及び処理)
RFフロントエンド部13は、チャープ信号生成部31、増幅部32、33、ミキシング部34、LPF(ローパスフィルタ)部35、及び、A/D変換部36を有する。
チャープ信号生成部31は、正弦波信号を周波数変調したチャープ信号を生成し、増幅部32、及び、ミキシング部34に供給する。チャープ信号は、例えば、所定周期で、周波数が所定の最小周波数から所定の最大周波数まで連続的(直線的)に変更(掃引)される信号である。
増幅部32は、チャープ信号生成部31からのチャープ信号を増幅し、送信アンテナ11に供給する。
増幅部33は、受信アンテナ12からの受信信号を増幅し、ミキシング部34に供給する。
ミキシング部34は、チャープ信号生成部31からのチャープ信号と、増幅部33からの受信信号とをミキシング(混合)することにより、IF信号を生成する。IF信号は、受信信号の周波数とチャープ信号の周波数との差分である差周波数(ビート周波数)を有するビート信号である。ミキシング部34で生成されたIF信号は、LPF部35に供給される。
LPF部35は、ミキシング部34からのIF信号からノイズ等の高周波成分を除去し、A/D変換部36に供給する。
A/D変換部36は、LPF部35からのIF信号の値を所定のサンプリング周期でサンプリングし、サンプリングした値をアナログ値からデジタル値に変換する。これにより、IF信号がアナログ信号からデジタル信号に変換される。デジタル信号に変換されたIF信号は、レーダ処理部14に供給される。
なお、RFフロントエンド部13からレーダ処理部14には、受信アンテナ12における複数の受信アンテナ12-1乃至12-Nのそれぞれに対応するNチャネル分のIF信号が供給される。RFフロントエンド部13は、受信アンテナ12-1乃至12-Nのそれぞれに対応してNチャネル分の増幅部33、ミキシング部34、LPF部35、及び、A/D変換部36を有する。但し、これらの処理部33乃至36のいずれか1つ又は複数が、時分割処理により、複数チャネル分の処理を行うことで、RFフロントエンド部13が、Nチャネル分の処理部33乃至36を有していない場合であってもよい。
(レーダ処理部14の構成及び処理)
レーダ処理部14は、DSP(Digital Signal Processor)により構成される処理部であり、プログラムの実行により、FFT(Fast Fourier Transform)部51、範囲切取り部52、及び、高分解能アルゴリズム処理部53を構築する。
FFT部51は、RFフロントエンド部13のA/D変換部36からのIF信号に対して距離FFT、速度FFT、及び、角度FFT(方位FFT)の処理を行う。なお、IF信号は、複素表示で表すと、次式(1)のSigとして表される。
Figure 2022182347000002
ただし、式(1)の第1右辺におけるτは遅延時間を表す。τは次式(2)により表されることから、式(1)の第2右辺が導かれる。
τ={2(R+V・n・Tc)+rx・d・sin(θ)}/c ・・・(2)
ここで、cは光速(m/sec)、fは搬送周波数(Hz)、tはチャープ信号の各チャープ開始時点を0としたときの経過時間(周波数の上昇を開始した時点からの経過時間)、nはチャープ番号(1乃至最大チャープ数)、rxは受信アンテナ12-1乃至12-Nの番号(1乃至N)、Rは物標(ターゲット)とレーダ装置1との距離(m)、Vは物標(ターゲット)とレーダ装置1との相対速度(m/sec)、θは物標(ターゲット)とレーダ装置1との角度(レーダ装置1の走査範囲の中心方向と物標の方向とのなす角)、Tcはチャープ間隔(周期)(sec)、Sはチャープの傾き(掃引周波数の増加率)(Hz/sec)、受信アンテナ12-1乃至12-Nの間隔(m)を表す。
距離FFTは、A/D変換部36からのIF信号に対して、時間領域表現(時間tを変数とする関数での表現)から周波数領域表現(周波数を変数とする関数での表現)への周波数変換を行うFFT(高速フーリエ変換)である。距離FFTは、各受信アンテナ12-1乃至12-Nに対応した各チャネルのIF信号に対して実施される。これにより、レーダ装置1の全走査範囲に存在する物体(物標)の距離に対応した周波数で高い強度を示すスペクトル(スペクトル信号)が得られる。なお、周波数と物体の距離とは一定の関係を有するので、距離FFTにより得られる周波数に対するスペクトル(周波数スペクトル)を周波数に対応する物体の距離(物体が存在し得る位置のレーダ装置1からの距離、以下、単に距離という)に対するスペクトルとみなすことができる。以下において、距離スペクトルという場合には、距離に対するスペクトルを表しているものとする。
速度FFTは、距離FFTにより得られた距離スペクトルのデータにおいて、同一距離に対するデータを時系列順に並べた成分信号に対して、時間領域表現から周波数領域表現への周波数変換を行うFFTである。例えば、RFフロントエンド部13のチャープ信号生成部31から出力される所定周期分(M周期分)のチャープ信号に対応してA/D変換部36からFFT部51に供給されるM周期分(チャープ・フレーム分)のIF信号を1セット分のIF信号とする。距離FFTは1チャープ・フレーム分のIF信号ごとに行われるので、1セット分のIF信号に対して距離FFTが行われると、Mチャープ・フレーム分の距離スペクトルのデータが1セット分の距離スペクトルのデータとして得られる。速度FFTでは、それらの1セット分の距離スペクトルのデータにおいて、同一距離に対するM個分のデータを時系列順に並べた成分信号(距離スペクトルの時間的成分信号)に対してFFTによる周波数変換が行われる。これにより、物体の移動速度(レーダ装置1と物体との相対速度)に対応する周波数で高い強度を示すスペクトルが得られる。速度FFTは、1セット分のIF信号がA/D変換部36からFFT部51に供給されるごとに繰り返し行われる。速度FFTは、距離スペクトルにより物体が存在すると判定される距離に対する距離スペクトルの時間的成分信号に対してのみ行われる場合であってもよいし、距離スペクトルの全範囲の距離に対する距離スペクトルの時間的成分信号に対して行われる場合であってもよい。なお、速度FFTにより周波数変換されたときの周波数領域における周波数と物体の移動速度とは一定の関係を有するので、速度FFTにより得られる周波数に対するスペクトル(周波数スペクトル)を周波数に対応する物体の移動速度(物体が移動し得る速度、以下、単に速度という)に対するスペクトルとみなすことができる。以下において、速度スペクトルという場合には、速度に対するスペクトルを表しているものとする。速度は速度FFTにより検出される場合に限らず、速度FFTが行われない場合であってもよい。
角度FFTは、複数の受信アンテナ12-1乃至12-Nに対応する各チャネルのIF信号に対する距離・速度FFTにより得られた各チャネルの距離・速度スペクトルのデータを用いたFFTである。なお、距離FFT及び速度FFT(距離・速度FFT)により得られた距離スペクトル及び速度スペクトルのデータを、距離・速度スペクトルのデータということとする。具体的には、角度FFTでは、各チャネルの距離・速度スペクトルのデータにおいて、同一距離かつ同一速度に対するN個分(Nチャネル分)のデータを、それぞれに対応する受信アンテナ12-1乃至12-Nの位置での値として空間的に並べた成分信号(距離・速度スペクトルの空間的成分信号)に対して、FFTによる空間領域表現から周波数領域表現への周波数変換が行われる。これにより、物体が存在する角度(レーダ装置1の走査範囲の中心方向と物体の方向とのなす角)に対応する周波数で高い強度を示すスペクトルが得られる。角度FFTは、距離・速度スペクトルにより物体が存在すると判定される距離及び速度に対する距離・速度スペクトルの空間的成分信号に対してのみ行われる場合であってもよいし、距離・速度スペクトルの全範囲の距離及び速度に対する距離・速度スペクトルの空間的成分信号に対して行われる場合であってもよい。なお、角度FFTにより周波数変換されたときの周波数領域における周波数と物体の角度とは一定の関係を有するので、角度FFTにより周波数変換されたときの周波数領域における周波数に対するスペクトル(周波数スペクトル)を周波数に対応する物体の角度(物体が存在し得る位置のレーダ装置1(受信アンテナ12)に対する角度(方向)、以下、単に角度という)に対するスペクトルとみなすことができる。以下において、角度スペクトルという場合には、角度に対するスペクトルを表しているものとする。
FFT部51は、距離FFTにより得られた距離スペクトル、速度FFTにより得られた速度スペクトル、及び、角度FFTにより得られた角度スペクトル等を、レーダ装置1の走査範囲に存在する物体の距離、移動速度、及び、角度に関する情報として、必要に応じて範囲切取り部52、高分解能アルゴリズム処理部53、及び、検出処理部15に供給する。
範囲切取り部52は、FFT部51からの情報に基づいて、高分解能走査範囲を決定(設定)する。高分解能走査範囲とは、レーダ装置1の全体の走査範囲のうち、角度(方向)に関する走査を、高分解能アルゴリズを用いて高分解能に行う範囲を表す。即ち、高分解能走査範囲は、レーダ装置1(受信アンテナ12)に到来する到来波の到来角度(到来方向)を高分解能アルゴリズムを用いて高分解能に推定する角度の範囲を表す。
例えば、範囲切取り部52は、角度FFTにより得られた角度スペクトルにおいて所定の閾値以上の強度を示すピーク(極大)の角度を中心にして、その角度との差が所定の閾値以下となる角度の範囲(全体の走査範囲のうちのピークの角度を含む一部の角度の範囲)を高分解能走査範囲として決定する。
図2は、高分解能走査範囲を説明する図である。図2において、データ列dは、角度FFTにより得られた角度スペクトルのデータを表し、データ列dの中央が角度FFTにより得られた角度スペクトルの角度0(レーダ装置1の走査範囲の中心方向を表す角度)に対するデータ列内での位置を表す。角度スペクトルのデータは角度FFTにより得られた成分値(振幅の大きさと位相との情報を含む複素振幅成分)である。図2では、角度FFTにより角度範囲θaのデータが16個分得られた場合が示されている。
図2において角度θt1と角度θt2とにおいて角度スペクトルの強度(振幅の大きさに応じた強度)のピークを示すデータが得られたとする。これらの角度θt1と角度θt2とのうち、角度θt1のデータが示す振幅の大きさが所定の閾値以上であるとする。この場合に、範囲切取り部52は、角度スペクトルのデータにおいて、その角度θt1のデータに隣接するデータの角度までの範囲を高分解能走査範囲とする。言い換えると、角度スペクトルのデータが角度Δθおきに算出されているときには、角度スペクトルのピークの角度θt1に対して、角度差が閾値Δθ以下となる角度の範囲が高分解能走査範囲として決定される。ただし、高分解能走査範囲は、角度スペクトルの強度がピークを示す角度θt1のデータに対して両側に隣接するデータの角度の範囲ではなく、角度θt1のデータに対して両側にそれぞれ2つ以上の連続して隣接するデータの角度までの範囲であってもよい。一例として、レーダ装置1の走査範囲が120度程度の角度の範囲であるとすると、高分解能走査範囲は、例えば、10度乃至20度程度の大きさに設定される。
角度θt2のデータが示す強度も角度θt1のデータと同様に所定の閾値上であるとする。この場合、範囲切取り部52は、角度θt1の場合と同様に角度θt2に対して角度差が所定の閾値以下となる角度の範囲を高分解能走査範囲として決定する。角度θt1と角度θt2とに対する高分解能走査範囲はそれぞれ独立した高分解能走査範囲として扱われる。
範囲切取り部52は、距離・速度FFTにより得られた距離・速度スペクトルの距離ごと及び速度ごとに、角度FFTにより得られた角度スペクトルに対する高分解能走査範囲を決定する。なお、範囲切取り部52は、距離・速度FFTにより得られた距離・速度スペクトルにおいて所定の閾値以上の強度のピークを示す距離との差が所定の閾値以下である距離に対する角度スペクトルのみに対して高分解能走査範囲を決定してもよい。即ち、範囲切取り部52は、物体が存在すると推定される距離の範囲に制限して物体が存在すると推定される角度の範囲を決定してもよい。この場合に、FFT部51は、距離・速度FFTにより得られた距離・速度スペクトルにおいて所定の閾値以上の強度のピークを示す距離に対して距離の差が所定の閾値以下である距離に対する角度スペクトルのみを算出してもよい。
範囲切取り部52は、決定した高分解能走査範囲の情報とその高分解能走査範囲の角度スペクトルのデータとを高分解能アルゴリズム処理部53に供給する。複数の高分解能走査範囲が決定された場合には、各高分解能走査範囲についての角度範囲情報と角度スペクトルのデータとが高分解能アルゴリズム処理部53に供給される。
高分解能アルゴリズム処理部53は、範囲切取り部52からの高分解能走査範囲の情報と、高分解能走査範囲の角度スペクトルのデータとに基づいて、高分解能アルゴリズムを用いて、高分解能走査範囲に存在する物体の角度、即ち、高分解能走査範囲における到来波の到来角度を高分解能に検出(推定)する。
ここで、FFT部51から範囲切取り部52に供給される角度スペクトルは、到来方向推定法として、フーリエ変換に基づくビームフォーマ法を用いて受信アンテナ12が受信した到来波(受信波)の到来方向を推定した結果である。ビームフォーマ法は、高分解能アルゴリズムを用いた到来方向推定法と比較して分解能が低いが、演算量が少ないので、演算処理に要する負荷及び時間が小さい。したがって、FFT部51による角度スペクトルの算出は、短時間で行われる。
高分解能アルゴリズムは、ビームフォーマ法よりも演算量が多いので、演算処理に要する負荷及び時間が大きいが、分解能が高い。本実施の形態においては、高分解能アルゴリズムは、ビームフォーマ法よりも分解能が高い任意の到来方向推定法を表す。高分解能アルゴリズムとしては、Capon法、CS法(圧縮センシング)、線形予測法(LP:Linear Prediction)、Pisarenko法、MUSIC法(MUltiple SIgnal Classication)、ESPRIT法(Estimation of Signal Parameters via Rotational Invariance Techniques)、Deterministic Maximum Likelihood、Weighted Subspace Fitting、Root-MUSIC等が周知である。高分解能アルゴリズム処理部53は、ビームフォーマ法よりも分解能が高いこれらの周知の高分解能アルゴリズムのうちのいずれの到来方向推定方法を用いる場合であってもよい。
本技術では、レーダ装置1の走査範囲に対しては低分解能でも処理の負荷及び時間が小さい到来方向推定法を用いて物体が存在する方向が推定される。その推定の結果、少なくとも物体が存在しないと推定された走査範囲を除いて、物体が存在すると推定された走査範囲に対してのみ、高分解能の到来方向推定法を用いて物体が存在する角度、即ち、到来波の到来角度(到来方向)の推定が高分解能に行われる。これによって、レーダ装置1の走査範囲の全体に対して高分解能な到来方向推定法を用いて到来角度を推定する場合と比較して、演算処理に要する負荷及び時間の大幅な低減が図られている。このような趣旨によれば、本技術は、低分解能の到来方向推定法を用いるFFT部51と高分解能の到来方向推定法を用いる高分解能アルゴリズム処理部53に関して、前者の方が後者よりも処理の負荷が小さく(演算量が少なく)、かつ、分解能が低いアルゴリズムを用いて到来方向を推定する処理部であり、後者の方が前者よりも分解能が高いアルゴリズムを用いて到来方向を推定する処理部である場合を含む。したがって、本技術は、FFT部51が、到来方向推定法としてビームフォーマ法以外の方法を用いて到来方向を推定する処理部である場合を含む。
図3は、FFT部51での角度FFTにより得られる角度スペクトルの強度を表し、図4は、高分解能アルゴリズム処理部53の高分解能アルゴリズムの処理により得られる角度スペクトルの強度を表す。
図3において、角度スペクトルCは、図2に示した角度スペクトルのデータ列dの強度を表すグラフである。角度θt1及び角度θt2は、図2と同様に角度スペクトルCにおいて強度のピークを示す角度を表す。角度θt1を含む角度範囲である高分解能走査範囲の角度範囲θx(以下、高分解能走査範囲θxという)は、角度θt1に対して範囲切取り部52により決定された高分解能走査範囲を表す。
高分解能アルゴリズム処理部53は、範囲切取り部52から高分解能走査範囲θxの情報と、高分解能走査範囲θx内の角度スペクトルCのデータとに基づいて、高分解能走査範囲θxに対して高分解能アルゴリズムの処理を実施する。その結果、高分解能アルゴリズム処理部53により、例えば図4の角度スペクトルが算出される。
図4において、角度スペクトルCxは、高分解能アルゴリズム処理部53により得られた角度スペクトルの強度を表す。角度θt1及び高分解能走査範囲θxは、図3と同じである。
これによれば、高分解能走査範囲θxは、レーダ装置1の走査範囲(角度範囲が約-60乃至60度)に対して一部の角度範囲に制限され、高分解能走査範囲θxは、図3で示した角度θt1を含む角度範囲(約-25乃至-15度)に設定される。このとき、高分解能アルゴリズム処理部53により、高分解能走査範囲θxの角度スペクトルが高分解能アルゴリムにより高分解能に算出される。
FFT部51での角度FFTにより得られる図3の角度スペクトルCでは、角度θt1の方向に1つにまとまった物体が存在することのみが検出される。これに対して、高分解能アルゴリズム処理部53により得られた図4の高分解能の角度スペクトルCxでは、高分解能走査範囲θx内に2つのピークが現れる。したがって、高分解能走査範囲θx内の異なる角度の方向に2つの物体が離間して存在することが検出される。
高分解能アルゴリズム処理部53は、範囲切取り部52から供給された高分解能走査範囲のそれぞれについて、高分解能の角度スペクトルを算出して、後段の検出処理部15に供給する。
検出処理部15は、FFT部51での距離FFT、速度FFT、及び、角度FFTによりそれぞれ得られた距離スペクトル、速度スペクトル、及び、角度スペクトル(低分解能の角度スペクトル)と、高分解能アルゴリズム処理部53により得られた高分解能の角度スペクトルとに基づいて、レーダ装置1の走査範囲に存在する物体の距離、移動速度、及び、角度等を検出し、注目する物体(物標)等を決定する。
<レーダ装置1のレーダ処理部14の処理の流れ>
図5は、レーダ装置1のレーダ処理部14が実施する処理の流れを表した図である。
ステップS11では、レーダ処理部14のFFT部51は、受信アンテナ12(12-1乃至12-N)及びRFフロントエンド部13を介して、受信アンテナ12-1乃至12-Nのそれぞれに対応したチャネルの受信信号を取得する。受信信号は、レーダ処理部14でRFフロントエンド部13から取得された各チャネルのIF信号に対して距離FFT及び速度FFTが適用された後のある特定の距離及び速度における各チャネル間の信号を表す。ここで、1つの物体(物点)で反射した電波(受信波)が受信アンテナ12-1乃至12-Nに対して所定角度で到来したと仮定する(以下、同様)。このときに受信波の到来角度(物体の角度)に起因して各チャネルのIF信号に位相差が生じる(各チャネルのIF信号の位相が異なる)。即ち、各チャネルのIF信号を複素表示により表した場合に、受信波の到来角度に応じて各IF信号の複素振幅成分の位相ψの差が変化する。受信信号には、各IF信号の複素振幅成分のうちのexp(jφ)の値(以下、exp(jφ)を単に複素振幅成分という)が含まれる。受信信号に含まれる複素振幅成分であるexp(jφ)を受信アンテナ12-1乃至12-Nの配列に対応して列方向(縦方向)に配列したときのデータ列(ステアリングベクトル)が図5のデータ列d1として模擬的なグラフにより表されている。なお、データ列d1のグラフは、例えば、受信波の到来角度(物体の角度)が0度(レーダ装置1の走査範囲の中心方向からの受信波の到来)であれば直線で表される。
ステップS12では、FFT部51は、ステップS11で取得した受信信号に対して角度FFTを行う。角度FFTによって、受信波の到来角度(物体の角度)で高い強度を示す角度スペクトルが得られる。FFT部51で得られた所定間隔おきの角度に対する角度スペクトルの値を列方向に配列したときのデータ列が図5のデータ列D2として模擬的なグラフにより表されている。
ステップS13では、範囲切取り部52は、ステップS12で得られた角度スペクトルのデータのうちから高分解能走査範囲θxとする特定の角度範囲の角度スペクトルのデータを切り取る。例えば、範囲切取り部52は、角度スペクトルのデータのうち、角度スペクトルの強度が所定の閾値以上のピークを示す角度に対して、その角度との差が所定の閾値以下となる角度の範囲を高分解能走査範囲θxとして決定する。範囲切取り部52は、角度スペクトルのデータのうち、高分解能走査範囲θxのデータを切り取る。図5のデータ列D3は、FFT部51で得られた角度スペクトルのデータ列D2に対して一部の高分解能走査範囲θxのデータが切り取られ、その他の範囲θbのデータが不使用となることを表している。
ステップS14では、高分解能アルゴリズム処理部53は、ステップS13で切り取られた高分解能走査範囲θxに対応したステアリング行列の範囲を切り取る。
図6は、高分解能アルゴリズム処理部53で用いられるステアリング行列を説明する図である。
図6において、ステアリング行列Msは、CaponやMUSIC等の高分解能アルゴリズムで用いられる本来のステアリング行列を表す。ステアリング行列Msの各列のデータ(データ列)は、同一波源から所定の到来角度で到来した到来波に対して、受信アンテナ12-1乃至12-Nがそれぞれ受信する受信信号の複素振幅成分のデータを受信アンテナ12-1乃至12-Nの配列に対応させて列方向に配列したデータ列(ステアリングベクトル:方向行列)である。即ち、ステアリング行列Msの列方向の成分値は、到来波(受信波)の到来角度に応じて、各受信アンテナ12-1乃至12-Nで受信された受信信号の間で生じる位相差に起因する振幅の振動を表す。ステアリング行列Msは、受信波の到来角度を所定間隔で変更したときの各到来角度でのステアリングベクトル(図5のデータ列d1参照)を行方向にシフトさせて配列した行列を表す。
ステアリング行列Msfは、本技術が適用された高分解能アルゴリズム処理部53で用いられるステアリング行列を表す。ステアリング行列Msfの各列のデータ列は、ステアリング行列Msの各列のステアリングベクトル(各到来角度に対するステアリングベクトル)を、FFTにより周波数変換して得られる所定間隔の周波数ごとの成分値のデータで置き換えたものに相当する。ステアリングベクトルをFFTにより周波数変換したときの周波数領域における周波数は、到来角度と一定の関係を有するので、ステアリング行列Msfの列方向のデータ列は、到来角度に対応した成分値である。なお、高分解能アルゴリズム処理部53が参照するステアリング行列Msfは、図5及び図6では、ステアリング行列Msと区別してステアリング行列(FFT)と表記されている。以下、ステアリング行列Msfをステアリング行列(FFT)Msfと称する。
図5のステップS14において、高分解能アルゴリズム処理部53は、予め用意されたステアリング行列(FFT)Msfから、ステップS13で切り取られた高分解能走査範囲θxに対応する成分値の範囲を切り取る。即ち、ステアリング行列(FFT)Msfの列方向(縦方向)の成分値は到来角度(物体の角度)に対応しているので、高分解能アルゴリズム処理部53は、ステアリング行列(FFT)Msfの列方向に関して切り取る範囲を、高分解能走査範囲θx内の到来角度に対応する成分値の範囲とする。ステアリング行列(FFT)Msfの各列は、到来波が所定間隔おきの到来角度で到来した場合に対応している。高分解能アルゴリズム処理部53は、ステアリング行列(FFT)Msfの行方向に関して切り取る範囲を、高分解能走査範囲θx内の到来角度に対応する列の範囲とする。なお、ステアリング行列(FFT)Msfの各列に対応する到来角度の間隔が小さいほど、高分解能アルゴリズムにより得られる角度スペクトルの分解能が高くなる。ただし、その分、ステアリング行列(FFT)Msfの列数が多くなり、演算処理に要する負荷及び時間が増える。以下において、ステアリング行列(FFT)Msfから切り取られた一部の範囲の成分値からなる行列もステアリング行列(FFT)Msfという。
ステップS15では、高分解能アルゴリズム処理部53は、ステップS13により切り取られた高分解能走査範囲θxの角度スペクトルのデータと、ステップS14で切り取られたステアリング行列(FFT)Msfとに基づいて、高分解能アルゴリズムを用いた処理を行う。これによって、高分解能走査範囲θxにおける高分解能の角度スペクトルが算出される。図5のデータ列D4は、ステップS12で得られた角度スペクトルのデータ列D2に対して、高分解能走査範囲θxにおける高分解能の角度スペクトルのデータが算出され、高分解能走査範囲θx以外の角度範囲θbのデータは算出されないことを表す。
高分解能アルゴリズムは、CaponやMUSIC等の周知の高分解能アルゴリズムである。ただし、高分解能アルゴリズム処理部53では、周知の高分解能アルゴリズムで用いられるステアリング行列(図6のステアリング行列Msに相当)の代わりに、ステップS14で切り取られたステアリング行列(FFT)Msfが用いられる。高分解能アルゴリズム処理部53では、周知の高分解能アルゴリズムで用いられる受信信号のデータの代わりに、ステップS13により切り取られた高分解能走査範囲θxの角度スペクトルのデータが用いられる。高分解能アルゴリズム処理部53での高分解能アルゴリズム自体は、周知であるので詳細な説明を省略する。
ここで、ステップS15において、高分解能アルゴリズム処理部53が、ステアリング行列Ms及び受信信号のデータを用いる代わりに、ステアリング行列(FFT)Msf及び角度スペクトルのデータを用いて、高分解能アルゴリズムの処理を行うことができる理由について説明する。受信アンテナ12-1乃至12-Nによりそれぞれ受信された各チャネルの受信信号y1,y2,…,yNを列方向に配列したときの列ベクトルを受信信号ベクトルyとする。受信アンテナ12に到来する電波を到来角度θl(l=1,2,…,L)ごとに表したx1,x2,…,xLを列方向に配列したときの列ベクトルを電力分布xとする。この場合に、受信信号ベクトルyは、図6のステアリング行列Msを用いて次式(3)により表される。ただし、記号「・」は行列の積を表す。
Y=Ms・x ・・・(3)
なお、正確には受信信号ベクトルxは、式(3)の右辺に雑音ベクトルが加算された式で表されるが、ここでは雑音ベクトルを省略する。
高分解能アルゴリズムとしては、式(3)の受信信号ベクトルyを観測値とし、ステアリング行列Msを既知の値として、未知の値である電力分布xを算出する(電波の到来方向を推定する)アルゴリズムが周知である。例えば、MUSIC法では、観測された受信信号ベクトルyを用いて自己相関行列を作成し、自己相関行列とステアリング行列Msとから、受信アンテナ12に到来する電波の到来方向を推定する。
これに対して、式(3)の両辺にフーリエ変換の行列Fを乗算すると次式(4)が得られる。
F・y=F・Ms・x ・・・(4)
ここで、F・yは、受信信号ベクトルyをフーリエ変換したもの(角度スペクトルに対応)であり、F・Msは、ステアリング行列Msの各列をフーリエ変換したもの(ステアリング行列(FFT)Msfに相当)である。F・y=y′、F・Ms=Msfとおくと、式(4)は、次式(5)で表される。
y′=Msf・x ・・・(5)
式(3)と式(5)とは、式の形が同じなので、一般的な式(3)に基づいて電力分布xを算出する(電波の到来方向を推定する)アルゴリズムをそのまま式(5)に適用することができる。したがって、高分解能アルゴリズム処理部53は、式(5)のフーリエ変換後の受信信号ベクトルy′のデータである角度スペクトルのデータと、ステアリング行列(FFT)Msfとを用いて、周知の高分解能アルゴリズムの処理を行うことができ、電力分布xを算出する(電波の到来方向を推定する)ことができる。
<本技術の利点>
以上のレーダ装置1によれば、演算処理に要する負荷が小さいFFTの処理(低分解能のビームフォーマ法による到来方向推定)によって物体が存在する範囲と物体が存在しない範囲とが高速に識別される。これにより、少なくとも物体が存在する範囲のみが演算処理に要する負荷が大きい高分解能アルゴリズムの処理によって走査され、物体が存在する範囲と物体が存在しない範囲とが更に高分解能に識別される。したがって、重要な範囲については高分解能に物体が認識され、演算処理に要する負荷及び時間の増加も抑止される。レーダ装置1によれば、FFTで得られたデータをそのまま使用して高分解能アルゴリズムの処理を行うことができるので、演算量が低減され、演算処理に要する負荷及び時間が低減される。レーダ装置1によれば、高分解能アルゴリズムが適用される範囲がレーダ装置1の走査範囲のうちの一部に限定されるため、高分解能アルゴリズムに入力するデータの次元が減り、演算量が大幅に低減される。なお、高分解能アルゴリズムの1つであるCaponの演算量は入力データの次元に対して3乗のオーダーで増加するので、次元を減らすことによる演算量の低減に対する効果は大きい。
図7は、本技術が適用されないレーダ装置のレーダ処理部が実施する処理の流れを例示した図である。
図7において、ステップS31及びステップS32は、図5のステップS11及びステップS12と同じ処理であるので説明を省略する。
ステップS33では、図5のステップS13と同様にステップS32での角度FFTにより得られた角度スペクトルの全体のうちから高分解能走査範囲θxとする特定の角度範囲が決定される。ただし、図5のステップS13では、角度スペクトルの全角度範囲のデータのうちから高分解能走査範囲のみのデータが切り取られる(抽出される)。図7のステップS33では、角度スペクトルの全角度範囲のデータのうちから高分解能走査範囲以外の範囲のデータが0値に置換される点で図5のステップS13と相違する。
ステップS34では、ステップS33で得られた角度スペクトルに対してIFFT(Inverse Fast Fourier Transform:逆高速フーリエ変換)が行われ、高分解能走査範囲θxの以外の角度スペクトルのデータを除外したIF信号(受信信号)が生成される。即ち、高分解能走査範囲以外の角度を到来方向とする受信波の信号を除去したIF信号が生成される。
本技術が適用されたレーダ処理部14では、このステップS34に相当する処理が不要であるので、演算処理に要する負荷及び時間が低減される。
ステップS35では、ステップS34でのIFFTにより得られたIF信号のデータと、ステアリング行列Msとに基づいて、高分解能アルゴリズムの処理が行われる。これにより、高分解能走査範囲の高分解能の角度スペクトルが算出される。このステップS35では、高分解能アルゴリズムに入力されるデータの次元が低減されていないので、演算量の低減は図られない。
本技術が適用されたレーダ装置1では、このステップS35のように受信アンテナ12-1乃至12-Nの数に対応するチャネル数のIF信号のデータを用いることなく高分解能アルゴリズムの処理が行われるので、演算処理に要する負荷及び時間が低減される。
<範囲切取り部52の形態>
図1の範囲切取り部52及び図5のステップS13において、角度FFTにより得られた角度スペクトルから高分解能走査範囲θxとしてデータを切り取る処理の形態について説明する。
(第1形態)
図8は、範囲切取り部52が角度スペクトルから高分解能走査範囲θxのデータを切り取る処理の第1形態を説明する図である。
図8において、角度スペクトルCは、FFT部51での角度FFTにより得られた角度スペクトルの強度を表す。
範囲切取り部52は、角度FFTにより得られた角度スペクトルの全角度範囲のうち、角度スペクトルの強度のピークが、所定の閾値Dth以上である場合に、そのピークを示すときの角度に対して、角度の差が所定の閾値以下となる角度の範囲を高分解能走査範囲θxとする。なお、第1形態は、上述した形態である。
(第2形態)
図9は。範囲切取り部52が角度スペクトルから高分解能走査範囲のデータを切り取る処理の第2形態を説明する図である。
図9において、データ列D3-1乃至D3-4は、FFT部51の角度FFTにより得られた角度スペクトルの同一のデータ列を表す。
各データ列D3-1乃至D3-4において、角度スペクトルCは、各データ列D3-1乃至D3-4のデータを示すグラフであり、FFT部51の角度FFTにより得られた角度スペクトルの強度を例示している。高分解能走査範囲θxは、範囲切取り部52がデータを切り取る角度範囲を表し、角度範囲θbは、データを切り取らない(不使用のデータとする)角度範囲を表す。
範囲切取り部52は、FFT部51の角度FFTにより得られた角度スペクトルのデータ列に対して、角度スペクトルCの値とは関係なく、高分解能走査範囲θxを、例えば、データ列D3-1乃至D3-4の順に切り替える。このとき、高分解能走査範囲のうちの一部の角度範囲は、前回の高分解能走査範囲の一部の角度範囲と重なるように設定する。なお、高分解能走査範囲は、角度スペクトルの角度範囲の両端に設定されるもの以外は、両端の角度範囲が他のいずれかの高分解能走査範囲の一部の角度範囲と重なるように事前に決められていてもよい。角度スペクトルの角度範囲の両端に設定される高分解能走査範囲は、角度スペクトルの角度範囲の端側とは異なる反対側の一部の角度範囲が他のいずれかの高分解能走査範囲の一部の角度範囲と重なるように事前に決められていてもよい。範囲切取り部52は、順に設定した高分解能走査範囲θx内に含まれる角度に対する角度スペクトルのデータを切り出して後段の高分解能アルゴリズム処理部53に供給し、高分解能走査範囲θxの高分解能の角度スペクトルを算出させる。これにより、FFT部51の角度FFTにより得られた角度スペクトルの全角度範囲に対して高分解能のスペクトルが順に算出される。
この第2形態によれば、FFT部51の角度FFTにより得られた角度スペクトルの全角度範囲に対して1度の高分解能アルゴリズムの処理により高分解能な角度スペクトルを算出する場合よりも演算量が低減され、演算処理に要する負荷及び時間が低減される。
(その他の形態)
範囲切取り部52が角度スペクトルから高分解能走査範囲のデータを切り取る処理のその他の形態として、範囲切取り部52は、物標とする対象が存在する角度範囲、又は、重要性が高い角度範囲を高分解能走査範囲として設定してもよい。
例えば、カメラ(撮影部)で撮影されたレーダ装置1の走査範囲の画像を、レーダ処理部14等のレーダ装置1が有する処理部が取得する。レーダ装置1の処理部は、その画像から物標とする対象が存在する方向(角度範囲)を検出する。範囲切取り部52は、処理部により検出された情報に基づいて、FFT部51の角度FFTにより得られた角度スペクトルに対して、物標とする対象が存在する角度範囲を高分解能走査範囲として設定する。
例えば、移動方向が変更可能な自動車等の移動体にレーダ装置1が設置されている場合において、範囲切取り部52は、移動体の位置又は移動方向の情報を、移動体に設置された位置センサや慣性センサ等、又は、移動体の移動方向を変更する操作部のセンサ等から取得する。範囲切取り部52は、センサから取得した情報に基づいて移動体の移動方向が、それまでの移動方向に対して右方向又は左方向等の他の移動方向に変更されたか否かを検出する。なお、移動体の移動方向が変更された場合とは、移動体の移動軌跡が直線以外となる場合を意味する。したがって、レーダ装置1の走査範囲の中心方向に対して移動体の移動方向が変更される場合や、レーダ装置1の走査範囲の中心方向と共に移動体の移動方向が変更される場合のいずれも移動体の移動体が変更された場合となり得る。移動体の移動方向が変更されたことを検出した場合、範囲切取り部52は、FFT部51の角度FFTにより得られた角度スペクトルの全角度範囲に対して、移動体の変更された移動方向に対応する一部の角度範囲を高分解能走査範囲として設定するようにしてもよい。例えば、移動体の移動方向がレーダ装置1の走査範囲の中心方向から右方向に変更された場合、角度スペクトルの全角度範囲(レーダ装置1の走査範囲)のうちの右側よりの一部の角度範囲が高分解能走査範囲として設定される。移動体の移動方向が変更されたことが検出されない場合には、範囲切取り部52は、高分解能走査範囲を設定しないようにしてもよいし、角度スペクトルの全角度範囲のうちの中央の一部の角度範囲又は全角度範囲を高分解能走査範囲として設定してもよい。
<レーダ装置の第2の実施の形態>
本技術が適用されたレーダ装置の第2の実施の形態は、高分解能アルゴリズムとして、高分解能走査範囲が異なる場合に共通のステアリング行列(FFT)の成分値のうちの一部の範囲の成分値を用いて高分解能の角度スペクトルを算出することができないアルゴリズムを採用する場合の形態である。
図10は、本技術が適用されたレーダ装置の第2の実施の形態の構成を例示した図である。なお、図1の第1の実施の形態のレーダ装置1と共通する部分には同一の符号を付してあり、その詳細な説明は適宜省略する。
図10のレーダ装置81は、送信アンテナ11、受信アンテナ12、RFフロントエンド部13、レーダ処理部14、検出処理部15、及び、トラッキング部16を有する。したがって、図10のレーダ装置81は、図1のレーダ装置1の送信アンテナ11、受信アンテナ12、RFフロントエンド部13、レーダ処理部14、検出処理部15、及び、トラッキング部16を有する点で、図1のレーダ装置1と共通する。
図10のレーダ装置81のレーダ処理部14は、FFT部51、範囲切取り部52、及び、CS処理部91を有する。したがって、図10のレーダ装置81は、レーダ処理部14が、FFT部51、及び、範囲切取り部52を有する点で、図1のレーダ装置1のレーダ処理部14と共通する。
ただし、図10のレーダ装置81のレーダ処理部14は、図1のレーダ装置1のレーダ処理部14における高分解能アルゴリズム処理部53の代わりに、CS処理部91が設けられる点で、図1のレーダ装置81のレーダ処理部14と相違する。
図10のレーダ装置81におけるCS処理部91は、高分解能アルゴリズムとして圧縮センシング(CS法)の処理を行う。CS処理部91は、範囲切取り部52からの高分解能走査範囲θxに対応したステアリング行列と、FFT部51での角度FFTにより得られた角度スペクトルの高分解能走査範囲θxのデータとに基づいて高分解能走査範囲の高分解能の角度スペクトルを算出する。
ここで、図6に示したステアリング行列(FFT)Msfから高分解能走査範囲θxに応じて切り取られた成分値からなる行列をステアリング行列Aとする。このとき、次式(6)により、行列A′を算出したとする。
A′=(AA+ρI)-1 ・・・(6)
なお、Aは行列Aのエルミート共役、Iは単位行列、記号(-1)は逆行列を表す。
CSでは、式(6)により算出される行列A′が用いられる。ステアリング行列Aは、レーダ装置の第1の実施の形態で説明したステアリング行列(FFT)Msfから高分解能走査範囲θxに対応する成分値の範囲を切り取られて得られる行列である。したがって、CS処理部91は、行列A′を取得する1つの方法として、高分解能走査範囲θxに応じて行列A′を算出する方法を用いることができる。即ち、CS処理部91は、範囲切取り部52により決定された高分解能走査範囲θxに応じて、事前に用意されたステアリング行列(FFT)Msfからステアリング行列Aを切り取る。CS処理部91は、切り取ったステアリング行例Aを用いて上式(6)の行列A′を算出する。ただし、このように高分解能走査範囲θxに応じて行列A′を算出する場合には、演算処理に時間を要するので、CS処理部91は、予め生成されて不図示の記憶部に記憶された行列A′の複数の候補の中から、高分解能走査範囲θxに対応した行列A′を取得する。例えば、設定され得る高分解能走査範囲のそれぞれに対して事前に対応する行列が行列A′乃至A′として複数生成され、レーダ処理部14等において記憶される。なお、高分解能走査範囲θxについても、設定し得るいくつかの角度範囲が候補として事前に決められていてもよい。
CS処理部91は、範囲切取り部52からの高分解能走査範囲θxに対応した行列A′を事前に生成された行列A′乃至A′の中から選択する。CS処理部91は、選択した行列A′と、FFT部51での角度FFTにより得られた角度スペクトルの高分解能走査範囲θxのデータとに基づいて高分解能走査範囲の高分解能の角度スペクトルを算出する。
<レーダ装置81のレーダ処理部14の処理の流れ>
図11は、レーダ装置81のレーダ処理部14が実施する処理の流れを表した図である。
図11において、ステップS51及びステップS52は、図5のステップS11及びステップS12と同じ処理であるので説明を省略する。
ステップS53では、図5のステップS13と同様に、範囲切取り部52は、ステップS52で得られた角度スペクトルの全角度範囲のうちから高分解能走査範囲θxとする特定の角度範囲の角度スペクトルのデータを切り取る。ただし、高分解能走査範囲θxとして設定可能な複数の角度範囲θ1乃至θXが候補として事前に決められている場合には、範囲切取り部52は、それらの候補の角度範囲θ1乃至θXのうちから適切な角度範囲を高分解能走査範囲θxとして選択する。
ステップS54では、CS処理部91は、事前に生成されて記憶されている行列A′乃至A′のうち、ステップS53で範囲切取り部52により設定された高分解能走査範囲θxに対応する行列を行列A′として選択する。
ステップS55では、CS処理部91は、ステップS53により切り取られた高分解能走査範囲θxの角度スペクトルのデータと、ステップS54で選択された行列A′とに基づいて、高分解能アルゴリズムを用いた処理を行う。これによって、高分解能走査範囲θxにおける高分解能の角度スペクトルが算出される。
以上の第2の実施の形態のレーダ装置81によれば、演算処理に要する負荷が小さいFFTの処理(低分解能のビームフォーマ法による到来方向推定)によって物体が存在する範囲と物体が存在しない範囲とが高速に識別される。これにより、少なくとも物体が存在する範囲のみが演算処理に要する負荷が大きい高分解能アルゴリズムの処理によって走査され、物体が存在する範囲と物体が存在しない範囲とが更に高分解能に識別される。したがって、重要な範囲については高分解能に物体が認識され、演算処理に要する負荷及び時間の増加も抑止される。レーダ装置1によれば、FFTで得られたデータをそのまま使用して高分解能アルゴリズムの処理を行うことができるので、演算量が低減され、演算処理に要する負荷及び時間が低減される。レーダ装置1によれば、高分解能アルゴリズムが適用される範囲がレーダ装置1の走査範囲のうちの一部に限定されるため、高分解能アルゴリズムに入力するデータの次元が減り、演算量が大幅に低減される。なお、レーダ装置の第2の実施の形態のように、事前に生成された行列A′の複数の候補の中から、高分解能走査範囲θxに対応した行列A′を取得する方法は、高分解能アルゴリズムとしてCS法以外の方法を採用する場合にも適用され得る。即ち、本技術は、レーダ装置の第1の実施の形態のように高分解能走査範囲θxに対応したステアリング行列を生成する場合や、第2の実施の形態のように高分解能走査範囲θxに対応したステアリング行列を変換して得られる行列A′を生成する場合に、それらの高分解能アルゴリズムに用いられるステアリング行列や行列A′を、事前に生成された複数の候補の中から選択する場合を含む。
本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
アンテナが受信した受信信号に対してフーリエ変換処理を実行するフーリエ変換部と、
前記フーリエ変換処理が実行されて得られた第1のスペクトルに対して、処理範囲を切り取った第2のスペクトルを生成する切取り部と、
前記処理範囲に対応するステアリング行列を生成するステアリング行列生成部と、
前記第2のスペクトルと前記ステアリング行列とに基づいて、高分解能アルゴリズムを適用する処理部と
を備える情報処理装置。
(2)
前記アンテナは、複数のアンテナからなり、
前記受信信号は、前記複数のアンテナのそれぞれが受信した複数チャネルの受信信号からなる
前記(1)に記載の情報処理装置。
(3)
前記フーリエ変換部は、
前記複数チャネルの受信信号のそれぞれに対して前記フーリエ変換処理を実行することにより、前記複数チャネルの受信信号のそれぞれに対する前記複数チャネルの周波数スペクトルを算出し、前記複数チャネルの周波数スペクトルの同一周波数に対する成分値からなる成分信号を前記フーリエ変換処理することにより、前記第1のスペクトルを算出する
前記(2)に記載の情報処理装置。
(4)
前記第1のスペクトルは、前記受信信号の到来角度に対応する周波数で強度が極大を示し、
前記切取り部は、前記第1のスペクトルの強度が極大となる周波数を含む周波数の範囲を前記処理範囲とする
前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の情報処理装置。
(5)
前記切取り部は、前記第1のスペクトルの全体の周波数の範囲のうちの一部の範囲を前記処理範囲とする
前記(4)に記載の情報処理装置。
(6)
前記切取り部は、前記第1のスペクトルの全体の周波数の範囲のうちの一部の範囲を前記処理範囲とし、かつ、前記処理範囲を異なる周波数の範囲に複数回変更する
前記(1)乃至(5)のいずれかに記載の情報処理装置。
(7)
ステアリング行列生成部は、同一波源から到来した電波を前記複数のアンテナで受信信号として受信した際に、前記複数チャネルの受信信号の間で生じる振幅の振動を列方向の成分値により表した第1行列の前記列方向の成分値に対してフーリエ変換処理を実行して得られる行列に基づいて前記ステアリング行列として生成する
前記(2)乃至(6)のいずれかに記載の情報処理装置。
(8)
前記ステアリング行列生成部は、前記電波の到来角度を所定間隔で変更したときの各到来角度に対する前記列方向の成分値を行方向にシフトさせて配列した行列を前記第1行列とする
前記(7)に記載の情報処理装置。
(9)
前記ステアリング行列生成部は、前記第1行列の所定範囲の成分値を切り取ることにより、前記ステアリング行列を生成する
前記(7)又は(8)に記載の情報処理装置。
(10)
前記ステアリング行列生成部は、前記第1行列の前記処理範囲に対応する成分値の範囲を切り取る
前記(9)に記載の情報処理装置。
(11)
前記ステアリング行列生成部は、
前記処理範囲に対応する前記ステアリング行列、又は、前記ステアリング行列を変換して得られる行列であって前記高分解能アルゴリズムに用いられる行列を、複数の異なる前記処理範囲ごとに事前に作成された複数の候補のうちから選択する
前記(1)乃至(6)に記載の情報処理装置。
(12)
前記フーリエ変換部は、
前記第1のスペクトルとして、前記アンテナが受信する電波の到来角度に対する角度スペクトルであって、前記アンテナが受信した電波の到来角度で極大の強度を示す角度スペクトルをビームフォーマ法に基づいて生成する
前記(1)乃至(11)のいずれかに記載の情報処理装置。
(13)
前記処理部は、
前記ビームフォーマ法よりも高い分解能で前記アンテナが受信した電波の到来角度を推定する前記高分解能アルゴリズムに基づいて前記処理範囲における前記角度スペクトルを生成する
前記(12)に記載の情報処理装置。
(14)
前記処理部は、
前記高分解能アルゴリズムとして、Capon法、CS法、線形予測法、Pisarenko法、MUSIC法、及び、ESPRIT法のうちのいずれかの到来方向推定法を用いる
前記(13)に記載の情報処理装置。
(15)
前記切取り部は、
前記アンテナからの距離ごとに得られる前記第1のスペクトルのそれぞれに対して、前記第2のスペクトルを生成する
前記(1)乃至(14)のいずれかに記載の情報処理装置。
(16)
前記切取り部は、
前記アンテナからの距離ごとに得られる前記第1のスペクトルのうち、物体が存在する距離の前記第1のスペクトルに対して、前記第2のスペクトルを生成する
前記(1)乃至(15)のいずれかに記載の情報処理装置。
(17)
フーリエ変換部と、
切取り部と、
ステアリング行列生成部と、
処理部と
を有する情報処理装置の
前記フーリエ変換部が、アンテナが受信した受信信号に対してフーリエ変換処理を実行し、
前記切取り部が、前記フーリエ変換処理が実行されて得られた第1のスペクトルに対して、処理範囲を切り取った第2のスペクトルを生成し、
前記ステアリング行列生成部が、前記処理範囲に対応するステアリング行列を生成し、
前記処理部が、前記第2のスペクトルと前記ステアリング行列とに基づいて、高分解能アルゴリズムを適用する
情報処理方法。
1,81 レーダ装置, 11 送信アンテナ, 12 受信アンテナ, 13 RFフロントエンド部, 14 レーダ処理部, 15 検出処理部, 16 トラッキング部, 51 FFT部, 52 範囲切取り部, 53 高分解能アルゴリズム処理部, 91 CS処理部

Claims (17)

  1. アンテナが受信した受信信号に対してフーリエ変換処理を実行するフーリエ変換部と、
    前記フーリエ変換処理が実行されて得られた第1のスペクトルに対して、処理範囲を切り取った第2のスペクトルを生成する切取り部と、
    前記処理範囲に対応するステアリング行列を生成するステアリング行列生成部と、
    前記第2のスペクトルと前記ステアリング行列とに基づいて、高分解能アルゴリズムを適用する処理部と
    を備える情報処理装置。
  2. 前記アンテナは、複数のアンテナからなり、
    前記受信信号は、前記複数のアンテナのそれぞれが受信した複数チャネルの受信信号からなる
    請求項1に記載の情報処理装置。
  3. 前記フーリエ変換部は、
    前記複数チャネルの受信信号のそれぞれに対して前記フーリエ変換処理を実行することにより、前記複数チャネルの受信信号のそれぞれに対する前記複数チャネルの周波数スペクトルを算出し、前記複数チャネルの周波数スペクトルの同一周波数に対する成分値からなる成分信号を前記フーリエ変換処理することにより、前記第1のスペクトルを算出する
    請求項2に記載の情報処理装置。
  4. 前記第1のスペクトルは、前記受信信号の到来角度に対応する周波数で強度が極大を示し、
    前記切取り部は、前記第1のスペクトルの強度が極大となる周波数を含む周波数の範囲を前記処理範囲とする
    請求項1に記載の情報処理装置。
  5. 前記切取り部は、前記第1のスペクトルの全体の周波数の範囲のうちの一部の範囲を前記処理範囲とする
    請求項4に記載の情報処理装置。
  6. 前記切取り部は、前記第1のスペクトルの全体の周波数の範囲のうちの一部の範囲を前記処理範囲とし、かつ、前記処理範囲を異なる周波数の範囲に複数回変更する
    請求項1に記載の情報処理装置。
  7. ステアリング行列生成部は、同一波源から到来した電波を前記複数のアンテナで受信信号として受信した際に、前記複数チャネルの受信信号の間で生じる振幅の振動を列方向の成分値により表した第1行列の前記列方向の成分値に対してフーリエ変換処理を実行して得られる行列に基づいて前記ステアリング行列を生成する
    請求項2に記載の情報処理装置。
  8. 前記ステアリング行列生成部は、前記電波の到来角度を所定間隔で変更したときの各到来角度に対する前記列方向の成分値を行方向にシフトさせて配列した行列を前記第1行列とする
    請求項7に記載の情報処理装置。
  9. 前記ステアリング行列生成部は、前記第1行列の所定範囲の成分値を切り取ることにより、前記ステアリング行列を生成する
    請求項7に記載の情報処理装置。
  10. 前記ステアリング行列生成部は、前記第1行列の前記処理範囲に対応する成分値の範囲を切り取る
    請求項9に記載の情報処理装置。
  11. 前記ステアリング行列生成部は、
    前記処理範囲に対応する前記ステアリング行列、又は、前記ステアリング行列を変換して得られる行列であって前記高分解能アルゴリズムに用いられる行列を、複数の異なる前記処理範囲ごとに事前に作成された複数の候補のうちから選択する
    請求項1に記載の情報処理装置。
  12. 前記フーリエ変換部は、
    前記第1のスペクトルとして、前記アンテナが受信する電波の到来角度に対する角度スペクトルであって、前記アンテナが受信した電波の到来角度で極大の強度を示す角度スペクトルをビームフォーマ法に基づいて生成する
    請求項1に記載の情報処理装置。
  13. 前記処理部は、
    前記ビームフォーマ法よりも高い分解能で前記アンテナが受信した電波の到来角度を推定する前記高分解能アルゴリズムに基づいて前記処理範囲における前記角度スペクトルを生成する
    請求項12に記載の情報処理装置。
  14. 前記処理部は、
    前記高分解能アルゴリズムとして、Capon法、CS法、線形予測法、Pisarenko法、MUSIC法、及び、ESPRIT法のうちのいずれかの到来方向推定法を用いる
    請求項13に記載の情報処理装置。
  15. 前記切取り部は、
    前記アンテナからの距離ごとに得られる前記第1のスペクトルのそれぞれに対して、前記第2のスペクトルを生成する
    請求項1に記載の情報処理装置。
  16. 前記切取り部は、
    前記アンテナからの距離ごとに得られる前記第1のスペクトルのうち、物体が存在する距離の前記第1のスペクトルに対して、前記第2のスペクトルを生成する
    請求項1に記載の情報処理装置。
  17. フーリエ変換部と、
    切取り部と、
    ステアリング行列生成部と、
    処理部と
    を有する情報処理装置の
    前記フーリエ変換部が、アンテナが受信した受信信号に対してフーリエ変換処理を実行し、
    前記切取り部が、前記フーリエ変換処理が実行されて得られた第1のスペクトルに対して、処理範囲を切り取った第2のスペクトルを生成し、
    前記ステアリング行列生成部が、前記処理範囲に対応するステアリング行列を生成し、
    前記処理部が、前記第2のスペクトルと前記ステアリング行列とに基づいて、高分解能アルゴリズムを適用する
    情報処理方法。
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