JP2022180248A - ディスク型粉砕機及び粉砕方法 - Google Patents

ディスク型粉砕機及び粉砕方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高速で回転可能な一対のディスクを有したディスク型粉砕機を提供する。【解決手段】ディスク型粉砕機において、一対のディスク2,3の間の隙間領域Sにおけるディスク回転軸側の第1領域S1に被粉砕物が供給され、隙間領域Sのうちの第1領域S1における最小隙間G1minは隙間領域Sのうちの第1領域S1の外側の第2領域S2における最小隙間G2minより広く設定され、粉砕部2cが相対面2aのうちの第2領域S2に対応する部分に形成されている。一対のディスク2,3のそれぞれは、第1領域S1側の中央ディスク部21と第2領域S2側の粉砕ディスク部22とからなり、粉砕ディスク部22は相対面2aと反対側の部分にバランスウェイト部2wを有する。【選択図】図4

Description

本発明は、ディスク型粉砕機及びこれを用いた粉砕方法に関する。
粉砕は、固体状の被粉砕物に外力を加えることによって被粉砕物を破壊して細かくし、その粒径の減少や表面積の増大を図る機械的操作である。粉砕における被粉砕物への外力の作用としては、圧縮、衝撃、剪断、摩擦等がある。粉砕は、粉砕後の目標粒径によって、解砕、粗粉砕、微粉砕等に大別される。微粉砕は、ミリメーター程度のオーダーの被粉砕物としての原料粒子を概ね10μm以下程度までに粉砕する操作である。
微粉砕には、湿式粉砕と乾式粉砕がある。湿式粉砕は、原料粒子を水などの液中に分散した状態で粉砕する操作である。乾式粉砕は、大気中で行う粉砕操作である。
乾式粉砕で微粉砕が可能な粉砕機としては、主に、高速回転式衝撃粉砕機とジェットミルとディスク型粉砕機がある。
高速回転式衝撃粉砕機としては、ハンマーミルとピンミルが挙げられる。ハンマーミルは、打撃部材を備えたローターを高速回転させて原料粒子に衝撃を加えることによって、原料粒子を粉砕する。ピンミルは、ピン、ブレード等を固定したローターを高速回転させて原料粒子に衝撃を加えることによって、原料粒子を粉砕する。ハンマーミルとピンミルのいずれにおいても、粉砕後の粒子は外周側に設けられたスクリーンを通過し、粉砕後の粒子の粒度はスクリーンの目開きの大きさにより調整される。
ジェットミルは、圧縮空気や高圧ガスを噴出させることで得られるジェット気流によって原料粒子を加速させ、衝突・衝撃作用によって原料粒子を粉砕する。ジェットミルとしては、衝突板等の衝突部材を用いる衝突板式と、原料粒子同士の衝突や原料粒子と流路壁面との衝突によって原料粒子を粉砕する対向気流式や流動層式がある。衝突板式のジェットミルでは、衝突部材への付着や固着が進行するとともに、粉砕性能が低下する。そのため、付着性の高い原料粒子では、対向気流式や流動層式が用いられる。
対向気流式や流動層式のジェットミルでは、粒子の表面が削れるように粉砕され、表面粉砕が生じ易く、角がとれた滑らかな表面の粒子が得られる。そのため、対向気流式や流動層式のジェットミルでは、目標粒径よりも細かい微粉が多量に発生している。
ジェットミルの装置本体には、機械的可動部が無く、モータ等の動力源が付帯されていない。そのため、ジェットミルは、一見すると小型の装置のように思われる。しかし、ジェットミルは、圧縮空気の供給を受けており、大型のコンプレッサーを含む、巨大なシステムから構成されている。したがって、ジェットミルの運転に必要な消費動力は大きい。そして、ジェットミルでは、コンプレッサーの消費するエネルギーの大部分は粉砕以外に使用されており、エネルギーのロスが極めて大きい。
ディスク型粉砕機は、ジェットミルと異なり、微粉砕のために圧縮空気を必要としない粉砕機である。ディスク型粉砕機は、隙間を有して相対し且つ互い逆方向に回転駆動される一対のディスクを備えている。そして、原料粒子は一対のディスクの間の隙間(狭ギャップともいう)に供給される。ディスク型粉砕機では、原料粒子は、狭ギャップを通過する際に、ディスクの相対面に設けられた溝や刃等の粉砕手段(粉砕部)によって粉砕される。ディスク型粉砕機は、一対のディスクを互いに逆方向に回転駆動させることによって、一方のディスクを固定した場合に比べて、一方のディスクと他方のディスク間の相対速度を飛躍的に高めることが可能である。ディスク型粉砕機では、原料粒子が狭ギャップ内を通過する過程で、粒子と溝等との衝突、粒子同士の衝突、それらの再衝突等の複雑な作用により、原料粒子の粉砕が行われる。前記再衝突は、例えば、狭ギャップ内で発生する乱流によって生じる。
ディスク型粉砕機の一例として、特許文献1に記載された合成樹脂粉砕用の円板式微粉砕機が知られている。当該円板式微粉砕機では、各ディスク(円盤)の相対面(円形面)の外周に近い環状部分に半径方向に延びた多数の刃が配列されており、一方のディスク(円盤)の刃の刃先と他方のディスク(円盤)の刃の刃先との間隔が円盤の外周に向かうほど狭くなるようになっている。そして、前記円板式微粉砕機では、相対する一対のディスクの外周における間隔は0.05~0.25mmであり、一対のディスク間の相対速度は外周において150~250m/sである。
特開昭59-32956号公報
しかしながら、特許文献1に記載された前記円板式微粉砕機では、一対のディスクの相対速度としては150~250m/s程度を想定しているだけである。そして、ディスク型粉砕機において、ディスクの更なる高速回転が求められ得る。
本発明は上記課題に着目してなされたもので、近接して相対し且つ従来よりも高速で回転可能な一対のディスクを有したディスク型粉砕機及びこれを用いた粉砕方法を提供することを目的とする。
本発明の一側面によると、ディスク型粉砕機が提供される。このディスク型粉砕機は、隙間を有して相対し且つ互いに逆方向に回転駆動される一対のディスクと、前記一対のディスクのうちの一方のディスクにおける他方のディスクとの相対面と前記他方のディスクにおける前記一方のディスクとの相対面との間の隙間領域におけるディスク回転軸側の第1領域に被粉砕物を供給する供給部と、を備えている。前記ディスク型粉砕機において、前記隙間領域のうちの前記第1領域における最小隙間は前記隙間領域のうちの前記第1領域の外側の第2領域における最小隙間より広く設定され、前記被粉砕物を粉砕するための粉砕部が前記相対面のうちの前記第2領域に対応する部分に形成されている。そして、前記一対のディスクのそれぞれは、前記第1領域側の中央ディスク部と前記第2領域側の粉砕ディスク部とからなり、前記粉砕ディスク部は、前記相対面と反対側の部分にバランスウェイト部を有する。
本発明の他の側面によると、粉砕方法が提供される。この粉砕方法は、前記一側面による前記ディスク型粉砕機を用いて前記被粉砕物を粉砕する方法である。そして、前記粉砕方法は、前記一対のディスクのそれぞれを前記第1領域側の中央ディスク部と前記第2領域側の粉砕ディスク部とに区分することと、前記粉砕ディスク部における前記相対面と反対側の部分にバランスウェイト部を設けることと、を含む。
前記一側面による前記ディスク型粉砕機及び前記他の側面による前記粉砕方法で用いる前記ディスク型粉砕機では、前記隙間領域のうちの前記第1領域における最小隙間は前記隙間領域のうちの前記第1領域の外側の第2領域における最小隙間より広く設定され、前記被粉砕物を粉砕するための粉砕部が前記相対面のうちの前記第2領域に対応する部分に形成されている。したがって、前記隙間領域のうちの前記第2領域の最小隙間は前記第1領域の最小隙間より狭く設定されている。つまり、前記ディスク型粉砕機における各ディスクは、前記相対面において前記粉砕ディスク部が前記中央ディスク部よりもディスク厚み方向に突出した、基本構造を有している。さらに換言すると、前記ディスク型粉砕機における各ディスクは、前記相対面において前記中央ディスク部が前記粉砕ディスク部に対してディスク厚み方向に凹んでいるという、基本構造を有している。
ここで、本願の発明者は、鋭意検討した結果、(1)前記基本構造によると、ディスクの回転駆動の際に前記粉砕部に作用する遠心力に起因して、前記粉砕ディスク部を相対するディスクから遠ざける方向に反り返らす(つまり、ディスク背面側に仰け反らせる)曲げモーメントが各ディスクの粉砕ディスク部に作用すること、詳しくは、前記遠心力に起因して、前記粉砕ディスク部に回転モーメントが発生し、この回転モーメントが前記粉砕ディスク部の付け根における前記曲げモーメントとして作用すること、(2)特に従来よりも高速の回転駆動の際には、この曲げモーメントにより、ディスクが前記中央ディスク部と前記粉砕ディスク部との境界部において変形し、一対のディスクの間の狭ギャップを維持できないおそれがあること、(3)この場合、前記粉砕ディスク部がディスク背面側に反り返るように変形し得るため、安定した回転が困難となり、振動等が発生し、その結果、互いに近接させた状態で従来よりも高速で一対のディスクを回転駆動させることが困難になり得ること、を見出した。
この点において、前記一側面による前記ディスク型粉砕機では、前記基本構造を前提とした構造において、前記一対のディスクのそれぞれは、前記第1領域側の中央ディスク部と前記第2領域側の粉砕ディスク部とからなり、前記粉砕ディスク部は、前記相対面と反対側の部分にバランスウェイト部を有している。つまり、前記バランスウェイト部は、前記粉砕ディスク部における、前記粉砕ディスク部をディスク背面側に反り返らせる曲げモーメント(回転モーメント)の発生の原因となる前記粉砕部と反対側の部分に設けられている。このため、バランスウェイト部によって、各ディスクに前記曲げモーメントを打ち消す方向の曲げモーメント(回転モーメント)を前記粉砕ディスク部に作用させることができる。その結果、前記粉砕部に対応して前記バランスウェイト部を適宜に設けることによって、一対のディスクの間の狭ギャップを維持し、互いに近接させた状態で従来よりも高速で一対のディスクを回転駆動させことができるようになる。
このようにして、近接して相対し且つ従来よりも高速で回転可能な一対のディスクを有したディスク型粉砕機及びこれを用いた粉砕方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係るディスク型粉砕機の要部の内部構造及び全体の構造を説明するための全体図である。 前記ディスク型粉砕機の右側面図である。 前記ディスク型粉砕機の要部の拡大断面図である。 前記ディスク型粉砕機における一対のディスクの間の隙間を説明するための概念図である。 前記ディスク型粉砕機におけるディスクの正面図である。 前記ディスクの断面図である。 前記一対のディスクとの比較例に係る一対の比較ディスクの反りを説明するための概念図である。 各比較ディスクにおける回転モーメントを説明するための概念図である。 各ディスクにおける回転モーメントを説明するための概念図である。 前記ディスク型粉砕機の一対のディスクの変形例(変形例1)を説明するための要部拡大断面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態に係るディスク型粉砕機100の要部の内部構造及び全体の構造を説明するための全体図であり、図2はディスク型粉砕機の右側面図であり、図3はディスク型粉砕機100の要部の拡大断面図である。図1において、上半分は断面図であり、下半分は正面図である。なお、図1の上半分の断面図では、図の明瞭化のため断面を示す図3のような網掛けは省略されている。また、ディスク型粉砕機100は、本発明の粉砕方法に用いられるディスク型粉砕機でもある。
ディスク型粉砕機100は、被粉砕物としての原料粒子を超高速で回転するディスク(2,3)間で、乾式で微粉砕する超高速回転ディスク型の粉砕機である。
[ディスク型粉砕機の全体構成]
図1及び図2に示すように、本実施形態では、ディスク型粉砕機100は、架台1と、一対のディスク2,3と、ケーシング4と、第1駆動ユニット5と、第2駆動ユニット6と、供給部7と、を備えている。
架台1は、一対のディスク2,3、ケーシング4等の大半の構成要素を支持するものであり、上面視矩形状の天板1aと天板1aの四隅に設けられる脚部1bとを有する。
一対のディスク2,3は、隙間Gを有して相対し且つ互いに逆方向に回転駆動されるものである。一方のディスク2の形状と他方のディスク3の形状は、後述する嵌合穴2dの貫通の有無以外については同一であり、各ディスク2,3における要素については同じ符号を付して説明する。一対のディスク2,3のうちの一方のディスク2における他方のディスク3との相対面2aと他方のディスク3における一方のディスク2との相対面2aとの間に隙間領域Sが設けられている。そして、各ディスク2における相対面2aと反対側の面であるディスク背面2bは、ケーシング4の内壁面と間隔をあけて相対している。
以下では、一対のディスク2,3のそれぞれを区別する必要がある場合には、一対のディスク2,3のうちの一方のディスク2を第1ディスク2といい、一対のディスク2,3のうちの他方のディスク3を第2ディスク3という。図1では、第1ディスク2は左側に配置され、第2ディスク3は右側に配置されている。なお、一対のディスク2,3の間の隙間領域S及び各ディスク2,3の形状等については、後に詳述する。
ケーシング4は、一対のディスク2,3を収容する収容室を形成するものである。ケーシング4における左側の側壁には、第1駆動ユニット5の後述する第1駆動軸52の一端部が挿通される孔が開口され、ケーシング4の右側の側壁には、第2駆動ユニット6の後述する第2駆動軸62の一端部が挿通される孔が開口されている。ケーシング4は、例えば、上ケーシング41と下ケーシング42とを備えた上下半割の構造を有している。上ケーシング41は、下ケーシング42に対して下ケーシング42の上部の開口を開閉可能に取り付けられている。つまり、ケーシング4は、メンテナンス時やディスク交換時に、その上側の部分を解放可能に構成されている。
ケーシング4は、例えば、架台1の天板1aにおける長手方向及び幅方向の中央に取り付けられている。下ケーシング42の下部は開口しており、天板1aにおける下ケーシング42の下部の開口に対応する部分には、孔が開口されている。また、天板1aの下面における下ケーシング42に対応する位置には、粉砕後の原料粒子が排出される排出ダクト43が取り付けられている。排出ダクト43は、下方に先絞りに形成されており、その先端部には排出口を有した排出フランジ部43aが設けられている。
図示省略したが、排出ダクト43の排出フランジ部43aの下流側の排出経路には、適宜の分級手段を設けることができる。前記分級手段及び排出経路は、目標粒径に達していない粒子が一対のディスク2,3の間の隙間領域Sのうちの第1領域S1を経由して粉砕部2c(第2領域S2)に再投入されるように構成することができる。つまり、ディスク型粉砕機100は、目標粒径に達していない粒子を粉砕部2cに再投入して繰り返し粉砕する、いわゆる閉回路粉砕を実行可能に構成することができる。ディスク型粉砕機100は、閉回路粉砕の実行により、粉砕部2c(第2領域S2)に一度だけ通すいわゆるワンパス処理と比較すると、更に細かい粒径に連続的に粉砕処理することができる。
第1駆動ユニット5は、第1ディスク2を回転駆動するものであり、第1電動モータ51と第1駆動軸52とを備える。第1駆動ユニット5は、例えば、第1ディスク2の相対面2aに向かって視た平面視で第1ディスク2を反時計回りに回転駆動させる。
第1電動モータ51は、第1ディスク2の回転の駆動源であり、天板1aの下方に配置されている。具体的には、天板1aの下面における左側の部分には、第1支持プレート53が設けられている。そして、第1電動モータ51は、その第1モータ軸部51aが天板1aの上面と平行な方向に延伸するように、第1支持プレート53を介して天板1aに取り付けられている。第1モータ軸部51aには、第1モータ側プーリ51bが取り付けられる。
第1駆動軸52は、第1ディスク2のディスク背面2bに締結されている。第1駆動軸52は、一対のディスク2,3のディスク回転中心線Xと一致する回転中心線回りに回転可能に、天板1aの上面の上方において支持されている。具体的には、天板1aの上面における左側の部分には、一対のベアリングからなる第1軸受群54aを有した第1駆動軸支持ユニット54が設けられている。そして、第1駆動軸52は、第1軸受群54aを介して回転可能に支持されている。第1駆動軸52は、第1ディスク2に形成される後述する嵌合穴2dに嵌合する一端部と、第1駆動軸側プーリ52aが取り付けられた他端部とを有する。また、第1駆動軸52の一端部側には、第1ディスク2との締結用の第1フランジ部52bが固定されている。そして、第1駆動軸52の一端部は、第1フランジ部52bのフランジ面から第2ディスク3側に突出している。第1駆動軸52の第1駆動軸側プーリ52aと第1モータ側プーリ51bには、第1駆動ベルト55が巻き掛けられている。第1電動モータ51による回転駆動力は、第1駆動ベルト55及び第1駆動軸52を介して第1ディスク2に伝達される。第1駆動軸52は、概ね中空円筒状に形成されている。第1駆動軸52の内部に、供給部7の後述するオーガースクリュー72a及供給管72bが挿通される。なお、本実施形態では、第1駆動軸52は第1ディスク2の中央ディスク部21に第1フランジ部52bを介して第1ディスク2に締結されており、第1駆動軸52が第1ディスク2についての本発明に係る「ディスク回転軸」に相当する。
第2駆動ユニット6は、第2ディスク3を回転駆動するものであり、第2電動モータ61と第2駆動軸62とを備える。第2駆動ユニット6は、例えば、第2ディスク3の相対面2aに向かって視た平面視で第2ディスク3を反時計回りに回転駆動させる。したがって、第1ディスク2と第2ディスク3は、互いに反対方向に回転するようになっている。
第2電動モータ61は、第2ディスク3の回転の駆動源であり、天板1aの下方に配置されている。具体的には、天板1aの下方における右側の領域には、第2支持プレート63が配置されている。そして、第2電動モータ61は、その第2モータ軸部61aが天板1aの上面と平行な方向に延伸するように、第2支持プレート63に取り付けられている。第2モータ軸部61aには、第2モータ側プーリ61bが取り付けられている。
第2駆動軸62は、第2ディスク3のディスク背面2bに締結されている。第2駆動軸53は、一対のディスク2,3のディスク回転中心線Xと一致する回転中心線回りに回転可能に、天板1aの上面の上方において支持されている。具体的には、天板1aの上面における右側の部分には、一対のベアリングからなる第2軸受群64aを有した第2駆動軸支持ユニット64が設けられている。そして、第2駆動軸62は、第2軸受群64aを介して回転可能に支持されている。第2駆動軸62は、第2ディスク3に形成される後述する嵌合穴2dに嵌合する一端部と、第2駆動軸側プーリ62aが取り付けられた他端部とを有する。また、第2駆動軸62の一端部側には、第2ディスク3との締結用の第2フランジ部62bが固定されている。そして、第2駆動軸62の一端部は、第2フランジ部62bのフランジ面から第1ディスク2側に突出している。第2駆動軸側プーリ62aと第2モータ側プーリ61bには、第2駆動ベルト65が巻き掛けられている。第2電動モータ61による回転駆動力は、第2駆動ベルト65及び第2駆動軸62を介して第2ディスク3に伝達される。なお、本実施形態では、第2駆動軸62は第2ディスク3の中央ディスク部21に第2フランジ部62bを介して第2ディスク3に締結されており、第2駆動軸62が第2ディスク3についての本発明に係る「ディスク回転軸」に相当する。
本実施形態では、第2駆動ユニット6は、天板1aの上面に設けられた長手方向に延びた一対のスライドレール1c,1cに沿って、天板1aの長手方向に移動可能に構成されている。具体的には、第2駆動ユニット6の第2駆動軸支持ユニット64の底面には、スライドレール1cに沿って摺動可能な複数のスライダー66が取り付けられている。そして、天板1aにおける一対のスライドレール1c,1cの間の部分には、矩形状に大きく開口された開口部が形成されている。第2駆動ユニット6の第2支持プレート63は、前記開口部を通じて、第2駆動軸支持ユニット64の底面に固定されている。そして、架台1には、第2駆動ユニット6の一対のスライドレール1c,1cに沿った移動を阻止するように第2駆動ユニット6を天板1aに固定する固定具1d(図2参照)が設けられている。そして、通常の運転時には、第2駆動ユニット6の移動は固定具1dによって阻止され、メンテナンス時等には、固定具1dによる固定が解除されることによって、第2駆動ユニット6の移動が許容される。これにより、メンテナンス時、ディスク交換時、一対のディスク2,3の隙間Gの調整時(狭ギャップの調整時)等に、一対のディスク2,3の隙間Gを変更することが可能になっている。また、第1駆動ユニット5及び第2駆動ユニット6は、それぞれ個別に運転可能であり、後述する回転性能試験をディスク毎に単独で行うことができるようになっている。
本実施形態では、各駆動ユニット5,6は、対応するディスク2,3を、一対のディスク2,3の間の最外周における相対速度が340~440m/sの範囲の速度で回転駆動可能に構成されている。具体的には、各駆動ユニット5,6において、第1軸受群54aの軸受や第2軸受群64aの軸受としては、上記相対速度を満たし得る所定の回転速度(例えば、ディスク直径Dが335mmのディスクの場合は約13000rpm)に耐え得る仕様であれば、既存のベアリングを採用することができる。また、第1電動モータ51及び第2電動モータ61としては、前記所定の回転速度(例えば、13000rpm)の出力を有する仕様であれば、既存のモータを採用することができる。なお、図示を省略するが、各駆動ユニット5,6は、第1軸受群54a及び第2軸受群64aを冷却するための冷却ジャケットを備えてもよい。また、ディスク2,3が高速回転することにより、原料粒子がケーシング4に高速で衝突し、その結果、ケーシング4自体も昇温し得る。そのため、被粉砕物である原料粒子の種類によっては、必要に応じて、ケーシング4を冷却する冷却手段がケーシング4に設けられてもよい。
供給部7は、第1ディスク2の相対面2aと第2ディスク3の相対面2aとの間の隙間領域Sにおけるディスク回転軸(第1駆動軸52、第2駆動軸62)側の第1領域S1に被粉砕物を供給するものである。
供給部7は、例えば、供給用駆動源71と、送り機構部72と、補給部73と、を備える。
供給用駆動源71は、電動モータからなる供給用電動モータ71aと、供給用電動モータ71aを支持するモータ支持ユニット71bとからなる。供給用電動モータ71aのモータ軸部71a1には、送り機構部72の後述するオーガースクリュー72aの一端部が接続される。モータ支持ユニット71bは、第1駆動ユニット5の後方において天板1aの上面に固定され、供給用電動モータ71aを支持する。
送り機構部72は、スクリュー刃を有するオーガースクリュー72aと、円筒状の供給管72bと、を有する。オーガースクリュー72aは、供給管72b内に挿通されている。供給管72bの大半の部分は、第1駆動ユニット5の第1駆動軸52の中空部分に挿通されている。供給管72bの一端部は第1駆動軸52の一端部まで到達している。そして、供給管72bの他端部は、第1駆動軸52の他端部から外方(左方)に突出し、供給用駆動源71の端面に接続されている。オーガースクリュー72aは、供給用電動モータ71aが駆動すると、供給管72b内で回転するようになっている。
補給部73は、原料粒子を供給管72b内に補給するためのいわゆるホッパーである。補給部73は、原料粒子を貯留する概ね筒状に形成され、供給管72bの他端部側の部分の上部に取り付けられている。そして、補給部73の内部空間は、補給部73の下端において供給管72b内の空間に連通している。
供給部7において、供給用駆動源71によりオーガースクリュー72aが回転駆動されると、補給部73に充填された原料粒子は、オーガースクリュー72aと供給管72bとの間の隙間に送り込まれて第1ディスク2のディスク背面2bに向かって移送され、その後、一対のディスク2,3の間の隙間領域Sに供給される。なお、特に限定されるものではないが、供給管72bには空気輸送のためのエアーが供給される。また、供給部7は、例えば、供給用電動モータ71aの回転数を変更可能することにより、原料粒子のフィード量(g/min)を調整可能に構成されている。
[ディスクの基本構造]
次に、図3~図6を参照して、主に一対のディスク2,3の間の隙間領域S及び各ディスク2,3の形状等の基本構造について説明する。図4は一対のディスク2,3の間の隙間Gを説明するための概念図であり、図5はディスク2をその相対面2aに向かって視たディスク2の正面図であり、図6は図5に示すA-A線における断面図である。
図3~図6に示すように、ディスク2,3は、概ね円盤状に形成されている。そして、ディスク型粉砕機100では、隙間領域Sのうちのディスク回転軸(つまり、第1駆動軸52、第2駆動軸62)側の第1領域S1における最小隙間G1minは隙間領域Sのうちの第1領域S1の外側の第2領域S2における最小隙間G2minより広く設定されている。つまり、第2領域S2の最小隙間G2minは第1領域S1の最小隙間G1minより狭く設定されている。そして、各ディスク2,3における相対面2aのうちの第2領域S2に対応する部分(後述する環状部分2a2)には、被粉砕物を粉砕するための粉砕部2cが形成されている。
一対のディスク2,3のそれぞれは、第1領域S1側の中央ディスク部21と第2領域S2側の粉砕ディスク部22とからなる。つまり、ディスク型粉砕機100における各ディスク2,3は、相対面2aにおいて粉砕ディスク部22が中央ディスク部21よりもディスク厚み方向に突出しているという、基本構造を有している。さらに換言すると、各ディスク2,3は、相対面2aにおいて中央ディスク部21が粉砕ディスク部22に対してディスク厚み方向に凹んでいるという、基本構造を有している。
前記基本構造を有したディスク型粉砕機100では、第1ディスク2の相対面2aにおいて、粉砕ディスク部22は中央ディスク部21よりも第2ディスク3の相対面2a側に突出して(近づいて)おり、同様に、第2ディスク3の相対面2aにおいて、粉砕ディスク部22は中央ディスク部21よりも第1ディスク2の相対面2a側に突出して(近づいて)いる。そして、各ディスク2,3における相対面2aは、内側部分2a1と環状部分2a2とに区分される。内側部分2a1は、第1領域S1(中央ディスク部21)に対応する部分である。環状部分2a2は、第2領域S2(粉砕ディスク部22)に対応する部分(つまり、内側部分2a1の外側)である。
隙間領域Sのうちの最も狭い隙間(狭ギャップ)は、第1ディスク2の相対面2aの環状部分2a2と第2ディスク3の相対面2aの環状部分2a2との間で構成されており、隙間領域Sの第2領域S2における最小隙間G2minである。つまり、粉砕ディスク部22は狭ギャップを構成する部分であり、中央ディスク部21よりもディスク厚み方向に突出した形状を有している。
本実施形態では、第2領域S2における最小隙間G2min(つまり、狭ギャップ)は、0.50~3.00mmの範囲の所定値に設定されている。粉砕ディスク部22の相対面2aの環状部分2a2は、ディスク回転中心線Xに対して直交する平坦な面を有しており、第2領域S2において一様な狭ギャップが設けられる。前記狭ギャップは、第1ディスク2の相対面2aの環状部分2a2と第2ディスク3の相対面2aの環状部分2a2における互いに最も接近した部位で規定される。
中央ディスク部21は、前述したように、相対面2aにおいて粉砕ディスク部22に対してディスク厚み方向に凹んでいる。その結果、中央ディスク部21に対応する第1領域S1は、隙間の広がった領域として設けられている。そして、隙間領域Sにおいて、隙間Gは粉砕ディスク部22と中央ディスク部21との境界部において大きく変化している。このように、狭ギャップを構成する第2領域S2の径方向内側に隙間の広がった第1領域S1が設けられることにより、第1領域S1に供給部7からの原料粒子が十分に受け入れられるようになっている。そして、一対のディスク2,3が回転駆動されている状態において、第1領域S1に受け入れられた原料粒子は、第1領域S1において原料粒子よりも小さい粒度に一次粒子化される。また、一次粒子化された原料粒子は、遠心力等によって第2領域S2に供給され、第2領域S2で粉砕される。つまり、中央ディスク部21により構成された第1領域S1は原料粒子を一次粒子化し、第2領域S2に供給する。そのため、一般的に、従来のディスク型粉砕機では、相対面の中心が凹んだ形状になっている。なお、第1領域S1は第2領域S2に一次粒子化した原料粒子を供給する領域として機能する供給ゾーンであり、第2領域S2は一次粒子化された原料粒子を粉砕する領域として機能する粉砕ゾーンである、と表現することもできる。
本実施形態では、相対面2aのうちの中央ディスク部21に対応する部分である内側部分2a1は、円錐台状に凹むように形成されている。つまり、内側部分2a1は、ディスク回転中心線Xと直交する平坦な底面部2a11と、底面部2a11の外縁と相対面2aのうちの粉砕ディスク部22に対応する部分である環状部分2a2の内縁とを接続する接続面部2a12とからなる。接続面部2a12は、径方向外側ほどディスク背面2bから離れる方向に傾斜している。
本実施形態では、第1領域S1における最小隙間G1minは、8mmに設定されている。なお、最小隙間G1minは、これに限らず、好ましくは4mm以上、15mm以下、更に好ましくは5mm以上、10mm以下に設定されているとよい。なお、従来のディスク型粉砕機の中には、第1領域S1(供給ゾーン)に相当する領域を備えていない粉砕機がある。このような粉砕機では、狭ギャップの第2領域S2(粉砕ゾーン)に原料粒子を一次粒子の状態で供給することが困難であり、微粉砕には用いられず、摩砕(grinding)やパルプ等の繊維の叩解(Beating)等に用いられる。
本実施形態では、粉砕部2cは、各ディスク2,3の相対面2aのうちの環状部分2a2の内縁側から外縁側に延び、互いにディスク周方向に離隔した複数の溝22a(図5では、240本)を有する。各溝22aは、特に限定されるものではないが、V字の溝(図1中の部分拡大図参照)として形成される。例えば、前記V字の溝の相対面2aからの溝底までの深さは0.5mm程度であり、V字の角度は概ね90°である。粉砕ディスク部22は、相対面2aの環状部分2a2に溝22aを有することにより、原料粒子を粉砕する。なお、溝22aは、図3、図4、図6では、図示省略されている。
本実施形態では、複数の溝22aは、それぞれ、各ディスク2,3の円周(詳しくは、環状部分2a2の内縁又は外縁)の接線と交差する方向に延びている。特に限定されるものではないが、図5では、溝22aは、前記接線とのなす角度(傾斜角度)が45°になるように傾斜して直線的に延伸している。また、溝22aは、図では、環状部分2a2の内縁側から外縁側に向かうほど、回転方向の先方側に離れるように傾斜しており、ディスク径方向に対して回転方向に傾斜していることになる。このように溝22aが傾斜するこうにより、第2領域S2(粉砕ゾーン)における原料粒子の滞留時間(通過時間)の増大化が効果的に図られる。
各ディスク2,3は、例えば、カーボンスチール、ステンレス等の適宜の金属製材料からなる。各ディスク2,3は、例えば、前記金属材料からなる円盤状素材に切削加工等を施すことにより製作される。また、本実施形態では、各ディスク2,3の前記金属製材料として、径方向及び厚み方向に略均質(略一様)な素材(つまり、一定の密度を有する素材)が採用されている。
粉砕部2c(換言すると、第2領域S2又は粉砕ゾーン)は、相対面2aにおいてディスク直径Dの1/6~5/6の範囲で、環状部分2a2の全体に亘って設けられる。粉砕部2cは、好ましくは、ディスク直径Dの1/6~1/2、更に好ましくは、ディスク直径Dの1/6~1/3の範囲で、相対面2aの環状部分2a2に設けられる。相対面2aの全体における粉砕部2cの範囲がディスク直径の5/6を超えると、原料粒子を一次粒子化するのに十分な第1領域S1(供給ゾーン)が確保できず、原料粒子が第2領域S2(粉砕ゾーン)に入ってから最も高速な領域である最外周に到達するまでの間に、原料粒子がディスク2,3と供回りの状態になってしまうおそれがある。したがって、相対面2aの全体における粉砕部2cの範囲はディスク直径の5/6以下であることが、好ましい。
ディスク直径Dは、好ましくは150mm~1500mmの範囲、更に好ましくは150~500mmの範囲又は250~600mmの範囲の所定の直径に設定されている。ディスク周速はディスク2,3の大型化により増大する。しかし、ディスク2,3の大型化により、ディスク重量が増加するため、モータの動力やベアリングに対する負荷を考慮する必要が生じる。
各ディスク2,3において、最大のディスク厚みは粉砕ディスク部22の厚みであり、ディスク直径Dの1/5以下に設定されている。最大のディスク厚みは、好ましくはディスク直径Dの1/8以下、更に好ましくはディスク直径Dの1/10以下に設定されている。ディスク2,3が厚いことは、変形に関しては有利である。しかし、ディスク厚みの増大により、ディスク重量が増加するとともにベアリングに対する負荷が大きくなるため、ディスク厚みの増大は、高速回転には好ましくない。
本実施形態では、各ディスク2,3において、ディスク直径Dは概ね335mmであり、最大のディスク厚みは概ね20mmであり、粉砕部2cが形成された粉砕ディスク部22のディスク径方向についての片側の幅は概ね30mmである。したがって、粉砕部2cは相対面2aにおいてディスク直径Dの60/335、つまり、ディスク直径Dの1/6~1/3の範囲で、相対面2aの環状部分2a2に設けられている。そして、最大のディスク厚みはディスク直径Dの20/335以下(概ね0.060、つまり、1/10以下)になるように設定されている。
各ディスク2,3のディスク背面2bの中心には、対応する駆動軸(52,62)の前記一端部と嵌合する嵌合穴2dが形成されている。ここでは、第1ディスク2の嵌合穴2dは原料供給用のため第1ディスク2を貫通しており、第2ディスク3の嵌合穴2dは貫通せず相対面2aの手前まで形成されている。各ディスク2,3における嵌合穴2dの周囲には、対応する駆動軸(52,62)の周囲のフランジ部(52b,62b)との締結用のボルト穴2eが形成されている。ボルト穴2eには、相対面2a側からザグリ加工が施されている。供給部7のオーガースクリュー72a及び供給管72bの端部は第1ディスク2の嵌合穴2dにおける相対面2a側の開口の近傍まで到達しており、この開口を通じて、原料粒子が第1領域S1(供給ゾーン)に供給される。
以上のように構成されたディスク型粉砕機100は、前記基本構造を有している。
ここで、本願の発明者は鋭意検討した結果、(1)前記基本構造によると、ディスク2,3の回転駆動の際に粉砕部2cに作用する遠心力に起因して、粉砕ディスク部22を相対するディスク(2又は3)から遠ざける方向に反り返らす(つまり、ディスク背面2b側に仰け反らせる)曲げモーメントが各ディスクに作用すること、詳しくは、前記遠心力に起因して、粉砕ディスク部22に回転モーメントが発生し、この回転モーメントが粉砕ディスク部22に前記曲げモーメントとして作用すること、(2)特に、本実施形態のように従来よりも高速の回転駆動の際には、この曲げモーメントにより、ディスク2,3が中央ディスク部21と粉砕ディスク部22との境界部において変形し、一対のディスク2,3の間の狭ギャップを維持できないおそれがあること、(3)この場合、粉砕ディスク部22がディスク背面2b側に反り返るように変形し得る(後述する図7参照)ため、安定した回転が困難となり、振動等が発生し、その結果、互いに近接させた状態で従来よりも高速で一対のディスク2,3を回転駆動させることが困難になり得ること、を見出した。
[ディスクの反り]
図7及び図8を参照して、本実施形態の一対のディスク2,3との比較例に係る一対の比較ディスク2X,3Xを一例に挙げて、前記基本構造に起因して生じ得る反りについて説明する。図7は、比較例に係る一対の比較ディスク2X,3Xの反りを説明するための概念図である。図8は各比較ディスク2X,3Xにおける回転モーメントを説明するための概念図である。各比較ディスク2X,3Xは、本実施形態の各ディスク2,3における後述するバランスウェイト部2wに相当する部分(換言すると、ディスク背面2bにおける中央ディスク部21に対応する部分が凹んでおらず平坦であること)を除いて、各ディスク2,3と同じの形状及び寸法を有する。各ディスク2,3と同一の構成要素については、同じ符号を付して説明を省略する。
図7に示すように、各比較ディスク2X,3Xは、一対のディスク2,3と同様に前記基本構造を有している。つまり、各比較ディスク2X,3Xでは、相対面2aにおいて粉砕ディスク部22が中央ディスク部21よりもディスク厚み方向に突出しており、相対面2aにおいて中央ディスク部21が粉砕ディスク部22に対してディスク厚み方向に凹んでいる。そして、中央ディスク部21及び粉砕ディスク部22はそれぞれディスク回転中心線Xを中心とした円環状ディスクであるため、中央ディスク部21の重心と粉砕ディスク部22の重心はそれぞれディスク回転中心線X上に位置する。但し、各比較ディスク2X,3Xを構成する金属製材料としては、ディスク2,3と同じ素材、つまり、径方向及び厚み方向に略均質(略一様)な素材が採用されているものとする。したがって、各比較ディスク2X,3Xを中央ディスク部21と粉砕ディスク部22に区分した場合、粉砕ディスク部22の重心は、中央ディスク部21の重心に対してディスク厚み方向について相対面2a側に所定のずれ量でずれている。ここで、各ディスク2,3と同様に、各比較ディスク2X,3Xの中央ディスク部21におけるディスク背面2bには、対応するフランジ部(第1フランジ部52b、第2フランジ部62b)が強固に締結されるため、中央ディスク部21におけるフランジ部(52b、62b)よりも径方向内側の部分はあたかもフランジ部(52b、62b)と一体化した剛体になっている。したがって、粉砕ディスク部22に対する中央ディスク部21の重心のずれについては、少なくとも、中央ディスク部21のうちのフランジ部(52b、62b)が締結される部分よりも径方向外側の環状部分21aについて考慮すればよい。
前記重心のずれに起因して、粉砕ディスク部22をディスク背面2b側に反り返らす曲げモーメントが各比較ディスク2X,3Xに作用し得る。そして、各比較ディスク2X,3Xが従来よりも高速で回転駆動された場合、特に最外周の相対速度で280~300m/sを超える範囲では、各比較ディスク2X,3Xに作用する曲げモーメントの応力が中央ディスク部21と粉砕ディスク部22との境界部に集中し得る。その結果、各比較ディスク2X,3X(粉砕ディスク部22)がディスク背面2b側に反り返るように変形し得る。この場合、粉砕ディスク部22の外周側では隙間Gが広がり、粉砕ディスク部22のディスク回転中心線X側端部(環状部分2a2の内縁部)では、隙間Gが狭まるおそれがある。
図8を参照して、前記基本構造を有した各比較ディスク2X,3Xにおける反りの発生要因について、さらに詳しく検討する。この検討にあたって、図8に示すように、各比較ディスク2X,3Xにおいて、幾何学上及び力学上の仮想の定義が以下のようになされるものとする。なお、下記の定義は本実施形態に係るディスク2,3においても適用される。
図8に示すように、まず、中央ディスク部21における外周側の部分のうちの最小厚み部分2fのディスク厚み方向の中心を通り且つディスク回転中心線Xに直交する線が基準線Lと定義される。そして、比較ディスク2X,3Xにおける最小厚み部分2fよりも径方向外側の円環状部分2gをディスク周方向に所定刻みΔTで分割することにより得られる各仮想のセグメントがそれぞれ仮想分割片mと定義される。また、複数の仮想分割片mのそれぞれが、基準線Lにより相対面2a側の第1片maと相対面2aと反対側(ディスク背面2b側)の第2片mbとに区分されるものとする。そして、第1片maの重心Gaと第2片mbの重心Gbとを結んだ線Lgと基準線Lとの交点Cを中心とした第1片maについての仮想の回転モーメントが第1モーメントMaと定義され、交点Cを中心とした第2片mbについての仮想の回転モーメントが第2モーメントMbと定義されるものとする。なお、図8では、図の簡略化のため、仮想分割片mは一個(一枚)のみ示されているとともに、嵌合穴2dは図示を省略されている。
具体的には、最小厚み部分2fは、比較ディスク2X,3Xにおけるディスク半径の1/2よりも外側で且つ粉砕ディスク部22の径方向中心側端部よりも内側の範囲において、最も厚みが薄い部分である。つまり、最小厚み部分2fのディスク回転中心線Xを基準とした径方向位置が、比較ディスク2X,3Xにおけるディスク半径の1/2よりも外側で且つ粉砕ディスク部22の径方向中心側端部よりも内側の範囲に位置する。但し、図8に示すように、上記範囲において、最も厚みが薄い部分の前記径方向位置が特定できない場合(換言すると、同じ厚みの部分がある場合)には、最小厚み部分2fは径方向について最も外周側に位置する部分である。
また、第1モーメントMa及び第2モーメントMbは、ディスク回転駆動の際に遠心力(Fa、Fb)に起因して生じる回転モーメントである。第1モーメントMa及び第2モーメントMbは、下記の式(1)~式(5)に基づいて定まる。
Ma=(F1×cosθ)×d1・・・式(1)
Mb=(F2×cosθ)×d2・・・式(2)
F1=m1×r1×ω ・・・式(3)
F2=m2×r2×ω ・・・式(4)
r1=r2+Δr ・・・式(5)
但し、F1、F2はそれぞれディスク回転駆動の際に重心Ga、Gbに作用する遠心力であり、θはディスク回転中心線Xに対する重心Gaと重心Gbとを結んだ線Lgの傾斜角度(つまり、線Lgとディスク回転中心線Xとのなす角度)であり、d1は重心Gaと交点Cとの間の距離であり、d2は重心Gbと交点Cとの間の距離である。そして、m1は第1片maの重量であり、m2は第2片mbの重量であり、r1は重心Gaのディスク回転中心線Xからの径方向の位置であり、r2は重心Gbのディスク回転中心線Xからの径方向の位置であり、ωはディスク2,3の回転の角速度を示すものであり、Δrはr1とr2の差分値である。
以上のように定義された各パラメータを用いて、前記基本構造を有した各比較ディスク2X,3Xに生じ得る反りについて説明する。図8に示すように、各比較ディスク2X,3Xにおいて、第1モーメントMaは交点(換言すると、支点)Cを中心とした反時計回りの回転モーメントであり、第2モーメントMbは交点Cを中心とした時計回りの回転モーメントである。そして、各比較ディスク2X,3Xにおいて、距離d1は距離d2より大きく(d1>d2)、且つ、重量m1は重量m2より大きい(m1>m2)ため、第1モーメントMaの値は第2モーメントMbの値より大きい(Ma>Mb)。したがって、第1モーメントMaの値が第2モーメントMbの値より大きくなるほど、粉砕ディスク部22をディスク背面2b側に反り返らす曲げモーメントが大きくなる。そのため、第1モーメントMaの値と第2モーメントMbの値との差分値ΔMを反り抑制のために低く設定する必要がある。なお、例えば、粉砕ディスク部22における粉砕部2cの部分を硬度の高い別な素材で構成する等、ディスク素材として比重の異なる複数の素材が採用される場合、各重心Ga、Gbは比重の差異を考慮して計算される。
[ディスクの特徴構造]
以上のことを考慮し、本実施形態に係る各ディスク2,3は、ディスク2,3の反り返りを防止又は抑制するための以下のような特徴構造を備えている。
各ディスク2,3において粉砕ディスク部22は、自身の相対面2aと反対側の部分にバランスウェイト部2wを有する。
本実施形態では、バランスウェイト部2wは、自身のディスク背面2bのうちの第1領域S1に対応する部分に対してディスク厚み方向に突出するように形成されている。
突出したバランスウェイト部2wを形成して重量バランスを図る方法としては、(1)ディスク背面2bにおける中央ディスク部21に対応する部分が相対面2aの内側部分2a1と対称な形状に凹むように、ディスク背面2bにおける中央ディスク部21に対応する部分を切削したり、(2)ディスク背面2bにおける粉砕ディスク部22に対応する部分に別部材を取り付けたりすることが挙げられる。強度や耐久性の観点からは、別部材を取り付けるよりも、切削により、突出したバランスウェイト部2wを形成することが好ましい。
本実施形態では、各ディスク2,3は、粉砕ディスク部22のディスク厚み方向の両側の部分がシンメトリーな形状に突出した外観形状を有している。なお、各ディスク2,3の粉砕ディスク部22は完全にシンメトリーな構造に形成されていなくてもよい。この場合、各ディスク2,3において、第1モーメントMaの値と第2モーメントMbの値と差分値ΔMの第2モーメントMbの値に対する割合R(下記の式(6)参照)が所定の割合(%)以下に設定されていればよい。粉砕ディスク部22における相対面2a側には、粉砕部2cとしての複数の溝22aが形成されるため、割合R(換言すると、比率)を所定の範囲内に設定するには、厳密には、粉砕部2cの形状等を考慮する必要がある。
R=(Ma-Mb)/Mb=ΔM/Mb・・・式(6)
第1モーメントMaが第2モーメントMbより小さくなると(Ma<Mb)、曲げモーメントが狭ギャップを構成する第2領域S2の最小隙間G2minを狭める方向に作用するおそれがあり、好ましくない。そのため、各ディスク2,3は、製造公差を考慮しても、第1モーメントMaが第2モーメントMbより小さくならないように、形成される。
本実施形態では、第1モーメントMaの値は第2モーメントMbの値と一致しており(Ma=Mb)、粉砕ディスク部22の重心は中央ディスク部21の環状部分21aの重心と一致している。つまり、差分値ΔM(=Ma-Mb)はゼロであり、割合R(=ΔM/Mb)はゼロである。なお、これに限らず、第1モーメントMaの値は第2モーメントMbの値と一致していなくてもよく、割合Rが前述したように所定の割合(%)以下に設定されていればよい。この場合、粉砕ディスク部22の重心は許容される割合Rに応じた範囲で中央ディスク部21の環状部分21aの重心に対してディスク厚み方向にずれてもよい。
具体的には、直径355mm、厚さ20mmの金属製円盤に対して、切削加工を施すことにより、当該金属円盤の片側の面(相対面2a)に粉砕部2cと凹んだ内側部分2a1を形成し、粉砕ディスク部22の径方向の幅を片側30mmとする。そして、ディスク背面2bにおける中央ディスク部21に対応する部分にも、相対面2aの内側部分2a1と同一の切削加工を施す。例えば、相対面2aにおける中央ディスク部21に相当する部分とディスク背面2bにおける中央ディスク部21に相当する部分をそれぞれ深さ4mmで切削する。そして、最後に、粉砕部2cの形成のための切削量(切削体積)と同一の切削量で、ディスク背面2bにおける粉砕ディスク部22に対応する部分を平らに切削する。これにより、第1モーメントMaの値は第2モーメントMbの値に一致するとともに、粉砕ディスク部22の重心C2が中央ディスク部21の環状部分21aの重心C1に一致する。なお、前述したように、第1モーメントMaの値を第2モーメントMbの値に一致させない場合には、割合Rが、15%以下、好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下、望ましくは3%以下に設定される。
以上のように構成された一対のディスク2,3(以下では、適宜にディスクA1という)では、粉砕ディスク部22の重心を中央ディスク部21の環状部分21aの重心に一致させ、第1モーメントMaの値を第2モーメントMbの値に一致させることにより、高速回転時の曲げモーメントによる変形が効果的に抑制又は防止され、相対速度として340m/sを超える超高速回転が可能で、微粉砕に適していることが、以下の性能試験により確認された。
[性能試験]
次に、本実施形態に係るディスク型粉砕機100について、ディスクA1が高速で回転可能であることを確認する回転性能試験の結果と、ディスクA1が原料粒子を微粉砕することが可能であることを確認する粉砕性能試験の結果を説明する。
作業者は、ディスクA1を用いて、次の手順で回転性能試験と粉砕性能試験を行った。
[回転性能試験]
(1)ディスクA1のディスク2,3の間の隙間Gを通常運転時よりも十分に広げた状態で、各ディスク2,3を単独で500~13000rpmの範囲で回転駆動させ、異常振動や異音が無いことを確認する。
(2)異常振動や異音について問題が無ければ、各ディスク2,3の回転を止める。そして、第2駆動ユニット6(可動側ユニット)を一対のスライドレール1c,1cに沿って第1駆動ユニット5(固定側ユニット)に近づける方向にスライド移動させ、シックネスゲージを使用して隙間G(第2領域S2の最小隙間G2min)を設定する。その際にディスク2,3に対して上下左右4点における最小隙間G2minが一定になっていることを確認する。
(3)最小隙間G2minについて問題が無ければ、一対のディスク2,3を互いに逆方向に、500rpm、1000rpm、3000rpm、5000rpm、7000rpm、8000rpm、9000rpm、10000rpm、11000rpm、12000rpm、13000rpmの回転数の順で回転させ、ディスクの振動や異音が無いことを確認する。
ディスクA1について、最小隙間G2minが1.00mmで、各ディスク2,3の回転数が500~13000rpmの範囲で、振動や異音の発生の無いことが確認された。続いて、最小隙間G2minが0.50mmで、各ディスク2,3の回転数が500~13000rpmの範囲で、振動や異音の発生の無いことが確認された。
[粉砕性能試験]
粉砕性能試験では、前述したワンパス処理後の粒径を確認し、更に再投入し粉砕性評価を行った。
前記分級手段を備える粉砕機において、閉回路粉砕による粉砕処理を実行して、粉砕性能試験を行うと、粗粉が再処理されることにより、見かけ上、微粉砕が進行するため、粉砕部2cの本質的なポテンシャルを把握することが難しくなる。そのため、ディスクA1についての粉砕性能試験では、純粋に粉砕性能を評価するために、ワンパス処理後の粒径を確認した。その後、ワンパス処理後の粒子を再投入して、更に粒径分布の変化を確認することで、粉砕性評価を行った。
粉砕性能試験は、回転性能試験において問題が無いことを確認した後に、原料粒子を供給して行った。具体的には、粉砕性能試験は、ディスクA1における最小隙間G2minが3.00mm、1.00mm及び0.50mmの三つの場合について、それぞれ行われた。各試験では、回転数が10000rpm(相対速度350m/s)の条件で、粉砕前のd50(メディアン径)が350μmのテスト用粒子(炭酸カルシウム)を用いて、フィード量は15g/分に設定し、ワンパス処理での粉砕性能試験をそれぞれ行った。
上記粉砕性能試験の結果、最小隙間G2minが3.00mmの場合、粉砕後のd50が9.6μm、1μm以下の粒径の割合が2.91wt%、100μm以上の粒径の割合が32.3wt%であった。最小隙間G2minが1.00mmの場合、粉砕後のd50が5.7μm、1μm以下の粒径の割合が3.34wt%、100μm以上の粒径の割合が24.7wt%であった。最小隙間G2minが0.50mmの場合、粉砕後のd50が5.3μm、1μm以下の粒径の割合が3.62wt%、100μm以上の粒径の割合が25.1wt%であった。ワンパス処理であるため、いずれの場合も、100μm以上の粗粉が含まれているが、d50については、いずれの場合も十分な粉砕性能を有している。特に最小隙間G2minが0.5mm~1.0mmの場合において粉砕性能を有することが確認された。更に、最小隙間G2minが1.00mmの条件で得られたワンパス処理粉砕物を再投入したところ、粉砕後のd50が3.6μm、1μm以下の粒径の割合が3.50wt%、100μm以上の粒径の割合が0.0wt%であった。2回の処理によっても微粉の過度の増加は認められず、100μm以上の粗粉が消失しており、微粉砕機として、優れた性能を有することが確認された。
[比較例]
次に、一対の比較ディスク2X,3Xについての、差分ΔMの第2モーメントMbに対する割合Rや回転性能試験の結果と粉砕性能試験の結果等を説明する。一対の比較ディスク2X,3Xとしては、図7及び図8で示したもの(以下では、適宜に比較ディスクX1という)と図示を省略した比較ディスクX2を挙げて説明する。比較ディスクX2は、相対面2aにおける内側部分2a1が凹んでおらず環状部分2a2と連続した平坦に形成されていることを除いて、比較ディスクX1と同じ形状及び寸法を有している。
比較ディスクX1では、基準線Lgと粉砕ディスク部22のディスク厚み方向の中心とはディスク厚み方向に2.00mmずれている。換言すると、粉砕ディスク部22の重心は中央ディスク部21の環状部分21aの重心に対してディスク厚み方向に2.00ずれている。また、第1片maの重量m1が第2片mbの重量m2より大きい。そして、比較ディスクX1について、上記式(1)~式(6)に基づいて算出された割合R(=ΔM/Mb)は、97.5%であった。
比較ディスクX1について、ディスクA1と同様に回転性能試験を行ったところ、回転数が8000rpm(相対速度280m/s)において、ディスクの変形に起因する振動が発生した。
比較ディスクX2について、最小隙間G2minが1.00mmであり、回転数が5000rpm(相対速度175m/s)の条件で、粉砕性能試験を行った。この場合、ディスクの回転自体には問題は無かったが、原料粒子を相対面2aの第1領域S1に供給することが困難であり、原料粒子が供給部7の供給管72bの中で滞った。そのため、フィード量を落として粉砕性能試験を行った。この場合、粉砕後の粒子のd50は290μmであった。
次に、本実施形態に係るディスク型粉砕機100を用いた粉砕方法について説明する。この粉砕方法は、ディスク型粉砕機100を用いて被粉砕物としての原料粒子を粉砕する方法である。この粉砕方法は、一対のディスク2,3のそれぞれを第1領域S1側の中央ディスク部21と第2領域S2側の粉砕ディスク部22とに区分することと、粉砕ディスク部22における相対面2aと反対側の部分にバランスウェイト部2wを設けることと、を含む。
本実施形態に係るディスク型粉砕機100及びこれを用いた粉砕方法では、前記基本構造を前提とした構造において、粉砕ディスク部22は自身の相対面2aと反対側の部分にバランスウェイト部2wを有している。つまり、バランスウェイト部2wは、粉砕ディスク部22における、粉砕ディスク部22をディスク背面2b側に反り返らせる曲げモーメントの発生の原因となる粉砕部2cと反対側の部分に設けられている。このため、バランスウェイト部2wによって、各ディスク2,3に前記曲げモーメントを打ち消す方向の曲げモーメントを粉砕ディスク部22に作用させることができる。その結果、粉砕部2cに対応してバランスウェイト部2wを適宜に設けることによって、一対のディスク2,3の間の狭ギャップ(最小隙間G2min)を維持し、互いに近接させた状態で従来よりも高速で一対のディスク2,3を回転駆動させことができるようになる。
このようにして、近接して相対し且つ従来よりも高速で回転可能な一対のディスク2,3を有したディスク型粉砕機100及びこれを用いた粉砕方法を提供することができる。
なお、本実施形態に係るディスクA1では、第1モーメントMaの値は第2モーメントMbの値と一致しているが、これに限らず、両モーメントの値は一致していなくてもよく、割合Rが所定の割合(%)以下に設定され、粉砕ディスク部22の重心が許容される割合Rに応じた範囲で中央ディスク部21の環状部分21aの重心に対してディスク厚み方向にずれてもよい。割合Rを所定の範囲内に設定することにより、高速回転時の曲げモーメントによる変形が効果的に抑制又は防止され、相対速度として340m/sを超える超高速回転が可能で、微粉砕に適していることが、以下の性能試験により確認された。
具体的には、ディスクA1をベースに、ディスク背面2bにおける中央ディスク部21(供給ゾーン)に相当する部分の切削深さを変更することにより、割合R(=ΔM/Mb)を変更した実施例相当のディスクA2~ディスクA5を作製した(表1参照)。ディスクA1~A5では、割合Rが3.00%~15.00%、好ましくは0.00%~10.00%、更に好ましくは0.00%~5.00%、更に好ましくは0.00%~3.00%の範囲の所定値になるように調整されている。
Figure 2022180248000002
ディスクA2~A5についての回転性能試験では、最小隙間G2minが1.00mmの場合と0.50mmの場合において、回転数が500~13000rpmの範囲で、振動や異音の発生が無いことがそれぞれ確認された。ディスクA2~A5についての粉砕性能試験は、最小隙間G2minが1.00mmの場合について行われた。この粉砕試験では、回転数が10000rpm(相対速度350m/s)の条件で、粉砕前のd50(メディアン径)が350μmのテスト用粒子(炭酸カルシウム)を用いて、フィード量は15g/分に設定し、ワンパス処理での粉砕性能試験を行った。この粉砕性能試験の結果が下記表2に示されている。続いて、同様に、ワンパス粉砕処理物を再投入して粉砕性能試験をそれぞれ行った結果が下記表3に示されている。以上より、ディスク型粉砕機100は、ディスクA2~A5のいずれの場合も、微粉砕機として、優れた性能を有することが確認された。
Figure 2022180248000003
Figure 2022180248000004
なお、本実施形態では、第1ディスク2の粉砕部2cと第2ディスク3の粉砕部2cはディスク厚み方向に互いに重なり合うことなく離隔しているが、これに限らない。図10に示すように、第1ディスク2の粉砕部2c及び第2ディスク3の粉砕部2cは、互いに重なり合うように凹凸形状に形成されたラップ型であってもよい。この場合、粉砕部2cは、ディスク径方向に間隔をあけた位置においてディスク周方向に延伸するように形成された複数の突条22bを有し、且つ、第1ディスク2における径方向に隣り合う二つの突条22bの間に、第2ディスク3における突条22bが入り込むようになっている。これにより、第2領域S2(粉砕ゾーン)における原料粒子の滞留時間(通過時間)の増大化が効果的に図られる。
また、バランスウェイト部2wの比重は、粉砕ディスク部22における相対面2a側の部分の比重より高く設定されていてもよい。この場合、バランスウェイト部2wは、ディスク背面2bのうちの第1領域S1に対応する部分に対してディスク厚み方向に突出せずに、ディスク背面2bのうちの粉砕部2cに対応する部分と連続した平坦になっていてもよい。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態及び上記変形例に制限されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形及び変更が可能である。
2,3…一対のディスク、
2…一方のディスク、
2a…相対面、
2a2…環状部分(相対面のうちの第2領域に対応する部分)、
2b…ディスク背面、
2c…粉砕部、
2w…バランスウェイト部、
2f…最小厚み部分、
2g…円環状部分、
21…中央ディスク部、
22…粉砕ディスク部、
22a…溝、
3…他方のディスク、
100…ディスク型粉砕機、
C…交点、
D…ディスク直径、
G…隙間、
Ga…第1片の重心、
Gb…第2片の重心、
G1min…第1領域における最小隙間、
G2min…第2領域における最小隙間、
L…基準線、
Lg…第1片の重心と第2片の重心とを結んだ線、
m…仮想分割片、
ma…第1片、
mb…第2片、
m1…第1片の重量、
m2…第2片の重量、
Ma…第1モーメント、
Mb…第2モーメント、
S…隙間領域、
S1…第1領域、
S2…第2領域、
X…ディスク回転中心線

Claims (15)

  1. 隙間を有して相対し且つ互いに逆方向に回転駆動される一対のディスクと、
    前記一対のディスクのうちの一方のディスクにおける他方のディスクとの相対面と前記他方のディスクにおける前記一方のディスクとの相対面との間の隙間領域におけるディスク回転軸側の第1領域に被粉砕物を供給する供給部と、
    を備え、前記隙間領域のうちの前記第1領域における最小隙間は前記隙間領域のうちの前記第1領域の外側の第2領域における最小隙間より広く設定され、前記被粉砕物を粉砕するための粉砕部が前記相対面のうちの前記第2領域に対応する部分に形成されている、ディスク型粉砕機であって、
    前記一対のディスクのそれぞれは、前記第1領域側の中央ディスク部と前記第2領域側の粉砕ディスク部とからなり、
    前記粉砕ディスク部は、前記相対面と反対側の部分にバランスウェイト部を有する、ディスク型粉砕機。
  2. 前記バランスウェイト部は、前記相対面と反対側の面であるディスク背面のうちの前記第1領域に対応する部分に対してディスク厚み方向に突出するように形成されている、請求項1に記載のディスク型粉砕機。
  3. 前記バランスウェイト部の比重は、前記粉砕ディスク部における前記相対面側の部分の比重より高く設定されている、請求項1又は2に記載のディスク型粉砕機。
  4. 前記第2領域における前記最小隙間は、0.50~3.00mmの範囲の所定値に設定されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のディスク型粉砕機。
  5. 前記中央ディスク部における外周側の部分のうちの最小厚み部分のディスク厚み方向の中心を通り且つディスク回転中心線に直交する線を基準線とし、
    前記ディスクにおける前記最小厚み部分よりも径方向外側の円環状部分をディスク周方向に所定刻みで分割することにより得られる複数の仮想分割片のそれぞれを、前記基準線により前記相対面側の第1片と前記相対面と反対側の第2片とに区分し、
    前記第1片の重心と前記第2片の重心とを結んだ線と前記基準線との交点を中心とした前記第1片についての仮想の回転モーメントを第1モーメントとし、前記交点を中心とした前記第2片についての仮想の回転モーメントを第2モーメントとした場合に、
    前記第1モーメントの値と前記第2モーメントの値との差分値の前記第2モーメントの値に対する割合が15%以下に設定されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のディスク型粉砕機。
  6. 前記割合は10%以下に設定されている、請求項5に記載のディスク型粉砕機。
  7. 前記割合は5%以下に設定されている、請求項5に記載のディスク型粉砕機。
  8. 前記第1モーメントの値は前記第2モーメントの値と一致している、請求項5に記載のディスク型粉砕機。
  9. 前記一対のディスクは、最外周の相対速度が340~440m/sの範囲の速度で回転可能に構成された、請求項1~8のいずれか一項に記載のディスク型粉砕機。
  10. 前記一対のディスクのそれぞれの最大のディスク厚みは、ディスク直径の1/5以下である、請求項1~9のいずれか一項に記載のディスク型粉砕機。
  11. 前記最大のディスク厚みは、ディスク直径の1/10以下である、請求項10に記載のディスク型粉砕機。
  12. 前記粉砕部は、前記相対面のうちの前記第2領域に対応する部分の内縁側から外縁側に延び、互いにディスク周方向に離隔した複数の溝を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載のディスク型粉砕機。
  13. 前記複数の溝は、それぞれ、各ディスクの円周の接線と交差する方向に延びている、請求項12に記載のディスク型粉砕機。
  14. 前記一方のディスクの前記粉砕部及び前記他方のディスクの前記粉砕部は、互いに重なり合うように凹凸形状に形成されたラップ型である、請求項1~11のいずれか一項に記載のディスク型粉砕機。
  15. 隙間を有して相対し且つ互いに逆方向に回転駆動される一対のディスクと、前記一対のディスクのうちの一方のディスクにおける他方のディスクとの相対面と前記他方のディスクにおける前記一方のディスクとの相対面との間の隙間領域におけるディスク回転軸側の第1領域に被粉砕物を供給する供給部と、を備え、前記隙間領域のうちの前記第1領域における最小隙間は前記隙間領域のうちの前記第1領域の外側の第2領域における最小隙間より広く設定され、前記被粉砕物を粉砕するための粉砕部が前記相対面のうちの前記第2領域に対応する部分に形成されている、ディスク型粉砕機を用いて前記被粉砕物を粉砕する粉砕方法であって、
    前記一対のディスクのそれぞれを前記第1領域側の中央ディスク部と前記第2領域側の粉砕ディスク部とに区分することと、
    前記粉砕ディスク部における前記相対面と反対側の部分にバランスウェイト部を設けることと、
    を含む、粉砕方法。
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