JP2008080283A - 竪型遠心破砕機およびその運転方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】構成が簡単でコンパクトであるにもかかわらず、1回のロータ通過で複数回の破砕・整粒効果が得られ、しかも破砕製品の生産性に優れた竪型遠心破砕機を提供する。
【解決手段】竪型遠心破砕機のロータ7を、回転中心O側に設けられ、原料投入口3aから内部に投入された破砕原料を、表面を介して遠心力により水平方向に投射するデッドストック6bと、このデッドストック6bを形成させるデッドストック形成板8aとからなる第1原料投射手段9と、この第1原料投射手段8の外側に設けられ、この第1原料投射手段8の第1投射位置8cから投射された破砕原料を受けると共に、受けた破砕原料を、表面を介して遠心力により第2投射位置9cから径外方向に投射して、原料投射口10から放出させる第2原料投射手段9とからなる構成とする。
【選択図】図2
【解決手段】竪型遠心破砕機のロータ7を、回転中心O側に設けられ、原料投入口3aから内部に投入された破砕原料を、表面を介して遠心力により水平方向に投射するデッドストック6bと、このデッドストック6bを形成させるデッドストック形成板8aとからなる第1原料投射手段9と、この第1原料投射手段8の外側に設けられ、この第1原料投射手段8の第1投射位置8cから投射された破砕原料を受けると共に、受けた破砕原料を、表面を介して遠心力により第2投射位置9cから径外方向に投射して、原料投射口10から放出させる第2原料投射手段9とからなる構成とする。
【選択図】図2
Description
本発明は、竪型遠心破砕機およびその運転方法の改善に関し、より詳しくは、構成が簡単であるにもかかわらず、複数回の破砕・整粒効果が得られ、しかも破砕製品の生産性に優れた竪型遠心破砕機およびその運転方法に関するものである。
破砕原料を水平方向に投射して破砕体の衝撃面に衝突させることにより、破砕原料を破砕する竪型遠心破砕機としては、例えば後述する構成になるものが公知である。以下、従来例に係る幾つかの典型的な竪型遠心破砕機の概要を説明する。
従来例1,2に係る遠心整粒装置(以下、竪型遠心破砕機という。)は、ロータの回転による遠心力を利用して、このロータの外周を囲繞するハウジング内に材料(以下、破砕原料という。)を振出す(投射する)ことによって、破砕原料の破砕若しくは整粒を行うようにした竪型遠心破砕機である。即ち、この従来例1,2に係る竪型遠心破砕機は、前記ハウジングを構成する第1ハウジングと第1ロータとの間に形成された落下口の下部に、さらに第2ロータが設けられている。また、この第2ロータの外周に第2ハウジングが設けられると共に、前記第1ハウジングと第2ハウジングの上面全周に、第1ロータへの材料供給筒の中途部と連通する通風口が設けられてなる構成のものである。端的にいうならば、従来例1,2に係る竪型遠心破砕機は、第1ロータと第2ロータとの2段のロータにより破砕原料の破砕・整粒効果を向上させることを狙いとしたものである(例えば、特許文献1および2参照。)。
従来例3に係る破砕機(以下、竪型遠心破砕機という)は、後述するように構成されている。即ち、この従来例3に係る竪型遠心破砕機は、機函(破砕機本体に相当する。)の内部に回転体(以下、ロータという。)が回動軸(ロータ主軸)により支持され、前記ロータの中心部に有底回転筒が設けられ、この有底回転筒の側面に原料放出間隙が設けられると共に、この原料放出間隙に原料放出空間を介して放出中の破砕原料が当たる打撃子が前記ロータに設けられてなる構成のものである。つまり、打撃子により飛翔中の破砕原料を打撃して破砕するものである(例えば、特許文献3参照。)。
従来例4に係る破砕機(以下、竪型遠心破砕機という)は、後述するように構成されている。即ち、この従来例4に係る竪型遠心破砕機は、遠心力と、案内面の摩擦抵抗により破砕原料を低速度で放出する。そして、破砕原料の飛翔軌跡上に配置した衝撃面に破砕原料を衝突させて反発させ、反発した破砕原料を、機械本体側に設置した衝撃面に衝突させる構成になるものである。つまり、短時間の間に2回衝突させることにより破砕原料を効果的に破砕するようにしたものである(例えば、特許文献4参照。)。
実開平1−137739号公報
実開平2−4630号公報
特許1175436号公報
特開平10−137605号公報
上記従来例1乃至4に係る竪型遠心破砕機は、何れもそれなりに有用であると考えられるが、それぞれ後述するような解決すべき問題を有している。先ず、従来例1,2に係る竪型遠心破砕機では、第2ロータがロータ主軸により支持されると共に、第2ロータの上に第1ロータが支持されている。従って、第1ロータの重心がロータ主軸の支持位置から離れるため、異常振動が発生し易いのに加えて、偏荷重によりベアリングの負担が大きくなるため、負荷容量の大きなベアリングを採用しなければならず、竪型遠心破砕機の設計上経済的に不利にならざるを得ないという問題があった。
また、第1ロータが高所に位置しているために、竪型遠心破砕機の上下寸法も大きくなり、原料投入口の位置が高くなる結果、竪型遠心破砕機関連の設備コストも嵩むという問題もあった。さらに、摩耗保守作業をする場合にあっても、ロータの構造が複雑であって、しかも大型であるため、摩耗保守作業の所要時間も長く、かつその所要作業コストも嵩むという問題もあった。
例えば、ロータが高速回転で駆動されるため、ロータ主軸とロータとの重量バランスをとる必要があるが、ロ−タまでの高さが低ければ静バランスをとるだけでも十分実用に供するころができる。しかしながら、ロ−タまでの高さが高い場合には、ロ−タまでの高に対して水平方向のバランスだけでなく、垂直方向のバランスもとらなければ、ローリングを起こしてしまう。従って、組立精度を上げたり、動バランスもとらなければならないため、竪型遠心破砕機のコストに関して不利になる。
従来例3に係る竪型遠心破砕機のロータの場合、単なる円筒に原料放出口が設けられただけの構成である。従って、破砕原料が分散放出されるだけであって、破砕原料を加速投射することができないため、破砕原料の放出速度が不安定で、飛翔軌跡が離散してしまう。そこで、飛翔軌跡の離散に対応するために、打撃子の衝撃面の面積を広くしなければならず、消耗品費が嵩むという問題があった。また、衝突部に硬質材を用いて、本質的に破砕効果を狙ったものであるため、整粒効果は限定的である。
従来例4に係る竪型遠心破砕機では、破砕原料を低速度で放出するため、風の影響・摩耗面との接触状況により破砕原料が離散してしまう。そのため衝突時に破砕効果を発揮する衝撃面の適切な位置に全ての破砕原料を衝突させることが難しく、離散した破砕原料は適切な位置よりも軸中心側に衝突し、破砕原料に与えられる衝撃力が弱いため、破砕効果が低下する。その上、衝撃面の表面に捕らえられた破砕原料は衝撃面の表面を滑走した後に投射されるため、回転衝撃部材の表面が大きく摩耗するという問題がある。
また、破砕原料の放出時に作用する遠心力による予備案内部材の案内面、案内部材の案内面に対する破砕原料の遠心重力が弱く、ロータの放射位置における高さ方向の分散が悪くなり、重力の影響により下方に集中して流れるようになる。従って、破砕原料の層厚が局部的に厚くなり、破砕原料の多くが層厚の影響を受け、衝撃面に直接当らなくなるため通過量が多くなると破砕力が低下する。破砕原料の投射速度が、衝撃面に当った後の破砕原料の排出速度に影響することから、破砕原料の投射速度が遅いと衝撃面上に破砕原料の滞留量が多くなり、投射された破砕原料の衝撃面への直接衝突が阻害されるため、多量の破砕原料に強い衝撃力を与えることができない。つまり、多量の破砕原料を供給すると有効に破砕することができず、破砕処理能力が低くなるという問題があった。
従って、本発明の目的は、構成が簡単でコンパクトであるにもかかわらず、1回のロータ通過で複数回の破砕・整粒効果が得られ、しかも破砕製品の生産性に優れた竪型遠心破砕機およびその運転方法を提供することである。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、従って、上記課題を解決するために、本発明の請求項1に係る竪型遠心破砕機が採用した手段の要旨は、垂直軸を回転中心として回転され、回転中心に設けられた原料投入口から内部に投入された破砕原料を遠心力により径外方向に投射して、破砕機本体の破砕室内周のデッドストックに衝突させる複数の原料投射口を有するロータを備えてなる竪型遠心破砕機において、前記ロータは、回転中心側に設けられ、前記原料投入口から内部に投入された破砕原料を、表面を介して遠心力により径外方向に投射する第1デッドストックと、この第1デッドストックを形成させる第1デッドストック形成板とからなる第1原料投射手段と、この第1原料投射手段の外側に設けられ、この第1原料投射手段の第1投射位置から投射された破砕原料を衝突させると共に、衝突した破砕原料を、表面を介して遠心力により第2投射位置から径外方向に投射して、前記原料投射口から放出させる第2原料投射手段とを備えてなることを特徴とするものである。
本発明の請求項2に係る竪型遠心破砕機が採用した手段の要旨は、請求項1に記載の竪型遠心破砕機において、前記第2原料投射手段は、前記第1原料投射手段から投射された破砕原料を衝突させると共に、衝突した破砕原料を、表面を介して遠心力により径外方向に投射する第2デッドストックと、この第2デッドストックを形成させる第2デッドストック形成板とからなることを特徴とするものである。
本発明の請求項3に係る竪型遠心破砕機が採用した手段の要旨は、請求項1に記載の竪型遠心破砕機において、前記第2原料投射手段は、前記第1原料投射手段から投射された破砕原料を衝突させると共に、衝突した破砕原料を、表面を介して遠心力により径外方向に投射する硬質材製の破砕・投射板からなることを特徴とするものである。
本発明の請求項4に係る竪型遠心破砕機が採用した手段の要旨は、請求項1乃至3のうちの何れか一つの項に記載の竪型遠心破砕機において、前記ロータの回転中心から前記第1原料投射手段の先端の第1投射位置までの半径R1と、前記ロータの回転中心から前記第2原料投射手段の先端の第2投射位置までの半径R2との比R2/R1は、1.2以上に設定されてなることを特徴とするものである。
本発明の請求項5に係る竪型遠心破砕機の運転方法が採用した手段の要旨は、請求項1乃至4のうちの何れか一つの項に記載の竪型遠心破砕機のロータを、前記第1投射位置の周速V1が20m/s以上になるように回転させることを特徴とするものである。
本願発明の請求項1乃至4に係る竪型遠心破砕機および本願発明の請求項5に係る竪型遠心破砕機の運転方法によれば、第1原料投射手段の第1投射位置から投射した破砕原料を第2原料投射手段で1次破砕し、そして1破砕された破砕原料を第2原料投射手段の第2投射位置から投射して、破砕機本体の破砕室内周のデッドストックで2次破砕することができるから、整粒された破砕製品を得ることができる。
また、本願発明の請求項1乃至4に係る竪型遠心破砕機および本願発明の請求項5に係る竪型遠心破砕機の運転方法によれば、ロータは1つである。従って、従来例1,2に係る竪型遠心破砕機よりもコンパクトで、しかも構造が簡単であるから、竪型遠心破砕機自体のコストに関して有利になる。また、ロータのバランス調整も容易であるから、メンテナンス作業の所要時間も短時間で済むから、メンテナンスコストに関しても有利になる。
さらに、第2原料投射手段は第1原料投射手段の外側に設けられている関係上、第2投射位置の周速が高速度であり、加えて第1原料投射手段によって破砕原料が加速されて投射されるため、第2原料投射手段の衝撃面に破砕原料が偏在するようなことがなく、破砕原料の飛翔軌跡が分散するようなことがないから、破砕原料を能率よく破砕することができる。
さらに、第2原料投射手段は第1原料投射手段の外側に設けられている関係上、第2投射位置の周速が高速度であり、加えて第1原料投射手段によって破砕原料が加速されて投射されるため、第2原料投射手段の衝撃面に破砕原料が偏在するようなことがなく、破砕原料の飛翔軌跡が分散するようなことがないから、破砕原料を能率よく破砕することができる。
本発明の請求項2に係る竪型遠心破砕機の場合は、第1原料投射手段の第1投射位置から投射された破砕原料を、第2原料投射手段のデッドストックに衝突させて破砕・整粒するものである。従って、本発明の請求項2に係る竪型遠心破砕機によれば、第2原料投射手段のデッドストックは逐次再生され、消耗するようなことがないから、消耗品費が嵩むようなことがない。
本発明の請求項3に係る竪型遠心破砕機の場合は、第1原料投射手段の第1投射位置から投射された破砕原料を、第2原料投射手段の硬質材製の破砕・投射板で破砕する。従って、本発明の請求項3に係る竪型遠心破砕機によれば、消耗品費に関しては本発明の請求項2に係る竪型遠心破砕機より不利になるが、破砕原料をより効果的に破砕することができる。
本発明の請求項4に係る竪型遠心破砕機の場合は、ロータの回転中心から第1原料投射手段の先端の第1投射位置までの半径R1と、ロータの回転中心から第2原料投射手段の先端の第2投射位置までの半径R2との比R2/R1が、1.2以上になるように設定されている。従って、本発明の請求項4に係る竪型遠心破砕機によれば、第1原料投射手段で加速されて第1投射位置から投射された破砕原料の投射速度と、この破砕原料の第2原料投射手段への衝突速度との間の速度差が大きいため、第2原料投射手段により破砕原料に対して有効な破砕効果を与えることができる。
本発明の請求項5に係る竪型遠心破砕機の運転方法の場合は、竪型遠心破砕機のロータを、第1原料投射手段の第1投射位置の周速V1が20m/s以上になるように回転させる。従って、本発明の請求項5に係る竪型遠心破砕機の運転方法によれば、前記第1原料投射手段の第1投射位置において破砕原料が分散するため投射軌跡を安定させることができる。そして、破砕原料の投射軌跡の拡散が抑制されるため、破砕原料を第2原料投射手段の所定の位置に衝突させることができる。なお、前記第1原料投射手段の第1投射位置の周速V1を20m/s以上にすれば上記効果が得られるという事実については、実機による実証試験により、発明者らが知見したものである。
以下、本発明の竪型遠心破砕機の運転方法を実施する本発明の実施の形態1,2に係る竪型遠心破砕機を、添付図面を順次参照しながら説明する。先ず、本発明の実施の形態1に係る竪型遠心破砕機を、その縦断断面図の図1と、そのロータの横断断面図の図2と、そのロータの縦断断面図の図3とを参照しながら説明する。
図1に示す符号1は、本発明の実施の形態1に係る竪型遠心破砕機であって、この竪型遠心破砕機1は、後述する構成になる破砕機本体2を備えている。この破砕機本体2は、上部ケーシング2aと、この上部ケーシング2aを支える下部ケーシング2bとから構成されている。前記上部ケーシング2aは、径方向の中心位置に円形の穴が開けられた円盤状の天板部と、この天板部を支える円胴部とからなっており、この天板部には前記円形の穴を貫通し、上端に原料投入口3aが開口する原料投入筒3が設けられている。
また、前記上部ケーシング2aの円胴部の内周には、水平な中抜き円板と、この円板の内径側端縁に取付けられ、平板を円形状に形成した端部垂直板とからなるデッドストック形成板4が設けられている。そして、前記上部ケーシング2aの円胴部の内周面と、前記デッドストック形成板4の水平な中抜き円板の上面と、前記端部垂直板の円胴部の内周側の面とにより囲まれた領域に、前記円胴部の内周面に沿って本体側デッドストック(破砕体)4aが形成されている。
前記下部ケーシング2bの径方向の中心位置には、ロータ主軸支持部材5が垂直に配設されている。このロータ主軸支持部材5の径方向の中心部には、このロータ主軸支持部材5の上下端に設けられた軸受収納部に収納された上部軸受5aと下部軸受5bとを介してロータ主軸6が支持されている。このロータ主軸6は、前記ロータ主軸支持部材5から下方に突出する下端に嵌着されてなるVベルトプーリ6bにより回転されるように構成されている。前記ロータ主軸支持部材5は、基端側が下部ケーシング2aの内周面に固着されると共に、先端側が前記ロータ主軸支持部材5の外周面に固着されてなる複数本の支持梁2dによって支持されている。また、前記下部ケーシング2bと前記ロータ主軸支持部材5の間の空間は、破砕製品落下通路になっており、そしてこの下部ケーシング2bの下部側に破砕製品を排出する破砕製品排出口2cが開口している。
前記ロータ主軸6の上部には、このロータ主軸6により回転される、後述するロータ7が支持されている。このロータ7は、径方向の中心位置に前記原料投入筒3の下端が貫通する円形の穴を有する円板状の上板7aを備えている。また、同じく径方向の中心位置に、前記ロータ主軸6の上端に連結され、前記原料投入口3aから投入された破砕原料を四方八方に分散させる略円錐台状のディストリビュータ6aが貫通する円形の穴を有する円板状の下板7bを備えている。そして、これら上板7aと下板7bは、これら上板7aと下板7bの間に配設されてなる複数の第1原料投射手段8の一部を構成する第1デッドストック形成板8a、および第2原料投射手段9の一部を構成する第2デッドストック形成板9aとにより連結されて一体的に構成されている。
前記第1原料投射手段8の一部を構成する第1デッドストック形成板8aは、前記ロータ7の回転中心O側に在って、かつこのロータ7の回転中心Oを中心とする略円線上の4箇所に等配設されている。第1デッドストック形成板8aは、本発明の実施の形態においては、ロータ7の回転中心Oを通る直径線と略一致する位置に背面板8dを備えている。また、この背面板8dは前記第1デッドストック形成板8aの回転方向下流側の端部に接合されている。また、前記第1デッドストック形成板8aは、前記ロータ7の外周側方向に膨出するように湾曲形成された底板8eを備えている。
前記底板8eには、前記ロータ7の外周の円弧に対する接線と平行に角度変更された直線部が設けられている。前記底板8eの直線部の反背面板8d側の端部には、硬質チップ等が埋込まれてなるビットを装着するためのビット取付板8fが取付けられている。また、前記背面板8dと底板8eとビット取付板8fとの間の前記ロータ7の回転中心O側に開口する凹所に、第1原料投射手段8の残りの一部を構成する第1デッドストック8bが形成されている。なお、前記第1デッドストック形成板8aのビット取付板に装着されたビットの先端が破砕原料を投射する第1投射位置8cとなる。
前記第2原料投射手段9の一部を構成する第2デッドストック形成板9aは、前記ロータ7の外周側に在って、かつロータ7の回転中心Oを中心とする略円線上の4箇所に等配設されている。この第2デッドストック形成板9aは、前記第1デッドストック形成板8aの背面板8dと、外側面が略平行な背面板9dを備えている。また。この背面板9dの前記ロータ7の外周側の端部に直角に接合された平板状の底板9eを備えている。また、前記底板9eの先端に、この底板9eと直角に接合された先端板9fを備えている。
さらに、前記背面板9dと底板9eと先端板9fとの間に形成され、前記ロータ7の略回転中心O側に開口する凹所に、第2原料投射手段の残りの一部を構成する第2デッドストック9bが形成されている。そして、前記第2デッドストック形成板9aの先端板9fの先端が、前記第1投射位置8cから投射された破砕原料を第2デッドストック9bにより受けると共に、受けた破砕原料を投射する第2投射位置9cとなる。なお、前記ロータ7の第2原料投射手段9同士の間の空間のそれぞれが、原料投射口10となる。
前記第1原料投射手段8と、前記第2原料投射手段9それぞれのロータ7の回転中心Oから投射位置までの距離は下記のように設定されている。即ち、前記ロータ7の回転中心Oから第1原料投射手段8の先端の第1投射位置8cまでの半径R1と、前記ロータ7の回転中心Oから第2原料投射手段9の先端の第2投射位置9cまでの半径R2との比R2/R1が、1.2以上になるように設定されている。
換言すれば、前記第2原料投射手段9の先端の第2投射位置9cの周速は、前記第1原料投射手段8の先端の第1投射位置8cの周速の1.2倍以上になるように設定されている。このように、1.2以上になるように周速の比R2/R1を設定したのは、前記第1投射位置8cから投射される破砕原料の第1投射速度と、前記第2原料投射手段の衝突速度との速度差を大きくすることにより、破砕原料に対する大きな破砕・整粒効果を得るためである。
つまり、比R2/R1が1.2であると、前記第1投射位置8cから投射される破砕原料の第1投射速度と、前記第2原料投射手段の衝突速度との速度差が小さく、前記第2原料投射手段9によって破砕原料の大きな破砕効果を得ることができず、この第2原料投射手段9を設けることの意義が失われてしまうからである。即ち、大きな破砕効果を得るための好ましい比R2/R1は1.5以上であり、より好ましい比R2/R1は1.8以上である。ところで、比R2/R1の上限値は、例えば経済的理由等によって適宜に定まるものである。
端的にいえば、上記構成になる本発明の実施の形態1に係る竪型遠心破砕機1は、破砕原料をロータ7内において1回破砕するようにしたものである。より詳しくは、破砕効果と整粒効果を得るために、第1原料投射手段8で加速されて第1投射位置8cから径外方向へ高速で投射した破砕原料を第2原料投射手段9に衝突させて1次破砕を行い、そして1次破砕を行った破砕原料を第2原料投射手段9の第2投射位置9cからロータ7の径外方向へ向けて投射して、破砕機本体2の上部ケーシング2aの内周に形成されてなる本体側デッドストック4aに衝突させて2次破砕を行うように構成したものである。
以下、上記構成になる本発明の実施の形態1に係る竪型遠心破砕機1の作用態様を説明する。即ち、本発明の実施の形態1に係る竪型遠心破砕機1では、破砕原料を破砕するに当り、先ず図示しない回転数設定手段によりロータ7の第1投射位置8cにおける周速が20m/s以上の所定値になるよう設定可能な電動機により回転されるロータ主軸6を介してロータ7の回転が開始される。そして、ロータ7の回転速度が次第に上昇し、第1原料投射手段8の第1投射位置8cの周速V1が20m/s以上の設定値になった後に、原料投入筒3の上端の原料投入口3aから破砕原料が投入され、投入された破砕原料はロータ7内に落下し、ディストリビュータ6aにより四方八方に分散され、回転している第1原料投射手段8の第1デッドストック8bにより捕捉される。
ところで、前記第1原料投射手段8の第1投射位置8cの周速V1が20m/s以上になるようにロータ7を回転させるのは、第1投射位置8cの周速V1が20m/s未満であると、破砕原料に十分な遠心力が作用せず、破砕原料の前記第1原料投射位置8cにおける上下方向の分散状況が悪くなり、投射した破砕原料を第2原料投射手段9の第2デッドストック9bの所定の位置に衝突させることが難しくなるからである。つまり、第1原料投射手段8の第1投射位置8cから投射される破砕原料の第1投射軌跡11が安定せず拡散してしまうからである。従って、破砕原料の第1投射軌跡11をより安定させるためには、第1原料投射手段8の第1投射位置8cの周速V1が25m/s以上になるようにロータ7を回転させるのが好ましい。
前記第1原料投射手段8の第1デッドストック8bにより捕捉された破砕原料は遠心力を受けながら加速されて第1投射位置8cから投射され、第1投射軌跡11を描いて飛翔し、回転している第2原料投射手段9の第2デッドストック9bの所定位置に衝突して1次破砕される。1次破砕された破砕原料は、第2原料投射手段9の第2投射位置9cから再度投射され、第2投射軌跡12を描いて飛翔し、破砕機本体2の上部ケーシング2aの内周に形成されてなる本体側デッドストック4aに衝突して2次破砕される。2次破砕により製造された破砕原料は、破砕機本体2の下部ケーシング2bと前記ロータ主軸支持部材5の間の空間を落下すると共に、下部ケーシング2bの下部側に開口する破砕製品排出口2cから系外に排出され、破砕製品として使用に供されることとなる。
本発明の実施の形態1に係る竪型遠心破砕機1によれば、破砕原料は、上記のとおり、第2デッドストック9bで一次破砕されると共に、一次破砕された破砕原料が本体側デッドストック4aで2次破砕される。このときに2回破砕されると共に2回整粒されて破砕製品となるから、1回破砕・整粒した場合より、より整粒された破砕製品を得ることができる。また、ロータ7は1つであるから、従来例1または2に係る竪型遠心破砕機よりもコンパクトで、しかも構造が簡単あるから、竪型遠心破砕機1自体のコストに関して有利になる。また、ロータのバランス調整も容易であり、メンテナンス作業の所要時間も短時間で済むから、竪型遠心破砕機1自体のメンテナンスコストに関しても有利になる。
さらに、第1投射位置8cの周速が比較的高速であって、第2原料投射手段9の衝撃面に破砕原料が偏在するようなことがないから、破砕原料の飛翔軌跡が分散せず、破砕原料を効率よく破砕することができる。
さらに、第1投射位置8cの周速が比較的高速であって、第2原料投射手段9の衝撃面に破砕原料が偏在するようなことがないから、破砕原料の飛翔軌跡が分散せず、破砕原料を効率よく破砕することができる。
また、本発明の実施の形態1に係る竪型遠心破砕機1の場合には、第1原料投射手段8の第1投射位置8cから投射された破砕原料を、第2原料投射手段9の再生され続ける第2デッドストック9bにより破砕・整粒するものである。従って、従来例3に係る竪型遠心破砕機のように、金属製の打撃子の衝突面が損耗するようなことがないから、消耗品費が嵩むようなことがない。
また、本発明の実施の形態1に係る竪型遠心破砕機1のロータ7は、回転数設定手段および電動機によって第1原料投射手段8の第1投射位置8cの周速V1が20m/s以上になる回転速度で駆動されるため、第1原料投射手段8の第1投射位置8cの上下方向に破砕原料が分散し、第1投射位置8cを通過する原料層厚が均一化される。そのため、破砕原料の投射軌跡が安定するため破砕原料の拡散が抑制されるから、破砕原料を第2原料投射手段9の所定の位置に衝突させることができる。従って、従来例4のように、予備案内部材の案内面、案内部材の案内面が偏摩耗するようなことがなくなるため、消耗品費が嵩むようなことがない。
次に、本発明の竪型遠心破砕機の運転方法を実施する本発明の実施の形態2に係る竪型遠心破砕機を、添付図面を順次参照しながら説明する。図4は本発明の実施の形態2に係る竪型遠心破砕機のロータの横断断面図であり、図5は本発明の実施の形態2に係る竪型遠心破砕機のロータの縦断断面図である。但し、本発明の実施の形態2が上記実施の形態1と相違するところは、第2原料投射手段の構成の相違にあり、これ以外の構成については全く上記実施の形態1と同一であるから、同一のものに同一符号を付し、主としてその相違する点について説明する。
即ち、本発明の実施の形態2に係る竪型遠心破砕機のロータ7は、図2と図4との比較、および図3と図5との比較において、良く理解されるように、本発明の実施の形態2に係る竪型遠心破砕機のロータ7の第2原料投射手段9は、板状の硬質材製の破砕・投射板から構成されている。また、上記実施の形態1の第2原料投射手段9の衝撃面は、第1原料投射手段8の第1投射位置から投射された破砕原料が略直角に衝突する向きになるように設定されている。それに対して、本実施の形態2の第2原料投射手段9の衝撃面は第1原料投射手段8の第1投射位置から投射された破砕原料が斜め方向から衝突する向きになるように設定されている。
その理由は下記のとおりである。即ち、本実施の形態2の第2原料投射手段9が板状の硬質材製の破砕・投射板であって、上記実施の形態1の第2原料投射手段9の衝撃面(第2デッドストック)よりも反発力強いのに加えて滑り易い。従って、第2原料投射手段9の衝撃面の向きを、上記実施の形態1の第2原料投射手段9の衝撃面の向きと同じように設定すると、第2原料投射手段9から本体側デッドストックに対して適切な向きで衝突させるように投射できないからである。なお、第2原料投射手段9を構成する硬質材としては、例えば超硬合金が用いられる。
従って、本発明の実施の形態2に係る竪型遠心破砕機によれば、第2原料投射手段の構造が上記実施の形態1に係る竪型遠心破砕機と相違するだけであるから、上記実施の形態1と同等の効果を得ることができる。また、第2原料投射手段9の板状の硬質材製の破砕・投射板は消耗品であるから消耗品費に関しては、上記実施の形態1に係る竪型遠心破砕機より不利になるが、破砕原料をより効果的に破砕することができ、その後本体側デッドストック4aで整粒されるので、1回のロータ7通過で整粒された破砕製品をより効率よく製造することができるという点において上記実施の形態1に係る竪型遠心破砕機よりも優れている。
なお、上記実施の形態1,2に係る竪型遠心破砕機は、何れも本発明の具体例に過ぎない。従って、上記実施の形態1,2に係る構成によって、本発明の竪型遠心破砕機の形態が限定されるものではなく、また、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内における設計変更等は自由自在である。例えば、原料投入口数を2、3、5または6等としても効果は、上記実施の形態と同様である。また、投射段数を3以上にして、さらなる破砕・整粒効果を得ることも可能である。
1…竪型遠心破砕機
2…破砕機本体,2a…上部ケーシング,2b…下部ケーシング,2c…破砕製品排出口,2d…支持梁
3…原料投入筒,3a…原料投入口
4…デッドストック形成板,4a…本体側デッドストック
5…ロータ主軸支持部材,5a…上部軸受,5b…下部軸受
6…ロータ主軸,6a…ディストリビュータ,6b…Vベルトプーリ
7…ロータ,7a…上板,7b…下板
8…第1原料投射手段,8a…第1デッドストック形成板,8b…第1デッドストック,8c…第1投射位置,8d…背面板,8e…底板,8f…ビット取付板
9…第2原料投射手段,9a…第2デッドストック形成板,9b…第2デッドストック,9c…第2投射位置,9d…背面板,9e…底板,9f…先端板
10…原料投射口
11…第1投射軌跡
12…第2投射軌跡
O…ロータの回転中心
2…破砕機本体,2a…上部ケーシング,2b…下部ケーシング,2c…破砕製品排出口,2d…支持梁
3…原料投入筒,3a…原料投入口
4…デッドストック形成板,4a…本体側デッドストック
5…ロータ主軸支持部材,5a…上部軸受,5b…下部軸受
6…ロータ主軸,6a…ディストリビュータ,6b…Vベルトプーリ
7…ロータ,7a…上板,7b…下板
8…第1原料投射手段,8a…第1デッドストック形成板,8b…第1デッドストック,8c…第1投射位置,8d…背面板,8e…底板,8f…ビット取付板
9…第2原料投射手段,9a…第2デッドストック形成板,9b…第2デッドストック,9c…第2投射位置,9d…背面板,9e…底板,9f…先端板
10…原料投射口
11…第1投射軌跡
12…第2投射軌跡
O…ロータの回転中心
Claims (5)
- 垂直軸を回転中心として回転され、回転中心に設けられた原料投入口から内部に投入された破砕原料を遠心力により径外方向に投射して、破砕機本体の破砕室内周のデッドストックに衝突させる複数の原料投射口を有するロータを備えてなる竪型遠心破砕機において、前記ロータは、回転中心側に設けられ、前記原料投入口から内部に投入された破砕原料を、表面を介して遠心力により径外方向に投射する第1デッドストックと、この第1デッドストックを形成させる第1デッドストック形成板とからなる第1原料投射手段と、この第1原料投射手段の外側に設けられ、この第1原料投射手段の第1投射位置から投射された破砕原料を衝突させると共に、衝突した破砕原料を、表面を介して遠心力により第2投射位置から径外方向に投射して、前記原料投射口から放出させる第2原料投射手段とを備えてなることを特徴とする竪型遠心破砕機。
- 前記第2原料投射手段は、前記第1原料投射手段から投射された破砕原料を衝突させると共に、衝突した破砕原料を、表面を介して遠心力により径外方向に投射する第2デッドストックと、この第2デッドストックを形成させる第2デッドストック形成板とからなることを特徴とする請求項1に記載の竪型遠心破砕機。
- 前記第2原料投射手段は、前記第1原料投射手段から投射された破砕原料を衝突させると共に、衝突した破砕原料を、表面を介して遠心力により径外方向に投射する硬質材製の破砕・投射板からなることを特徴とする請求項1に記載の竪型遠心破砕機。
- 前記ロータの回転中心から前記第1原料投射手段の先端の第1投射位置までの半径R1と、前記ロータの回転中心から前記第2原料投射手段の先端の第2投射位置までの半径R2との比R2/R1は、1.2以上に設定されてなることを特徴とする請求項1乃至3のうちの何れか一つの項に記載の竪型遠心破砕機。
- 上記請求項1乃至4のうちの何れか一つの項に記載の竪型遠心破砕機のロータを、前記第1投射位置の周速V1が20m/s以上になるように回転させることを特徴とする竪型遠心破砕機の運転方法。
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