JP2022180243A - フッ素原子含有ベンゾオキサジン化合物、及びその製造方法、及び硬化物 - Google Patents

フッ素原子含有ベンゾオキサジン化合物、及びその製造方法、及び硬化物 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱等の性能が改良された硬化物を与えるベンゾオキサジン化合物を提供する。
【解決手段】式(1)で表されるベンゾオキサジン化合物
Figure 2022180243000035

(R’、R’’;C1~8の、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロアルキル基、アルキルアミン基、またはアミド基、エステル基、又はハロゲン原子、X;単結合又は2価有機基、a、a;0または1、b;芳香環に結合するR’’の個数でありaが1のとき0~6、及び、aが0のとき0~4の整数、c;は芳香環に結合するR’の個数を示し、aが1のとき0~6、及びaが0のとき0~4、n及びn’;1~5)。
【選択図】なし

Description

本発明は、フッ素原子含有ベンゾオキサジン化合物、及びその製造方法、及びその硬化物に関する。
ベンゾオキサジン化合物は、熱により開環重合反応が進行し、反応により得られる硬化物は耐熱性、難燃性、電気絶縁性、寸法安定性、低誘電率や低吸水率が低い、新規なフェノール熱硬化樹脂として知られている。用途として電子材料用、接着用、FRPのマトリックス樹脂さらには精密機械部品樹脂等への応用、エポキシ樹脂やフェノール樹脂との複合化、あるいはマトリックス樹脂として用いたコンポジット材料も期待されている。
ベンゾオキサジン樹脂の新しい設計と応用展開 シーエムシー出版、41~49頁 第4章「架橋密度制御による高耐熱ポリベンゾオキサジンの開発」 日本接着学会誌 Vol.44 No.8(2008) P.20-26 「芳香族ジアミン類から誘導される新規二官能性ベンゾオキサジンの合成と特性」
本発明は、耐熱等の性能が改良される硬化物を与える、新規のベンゾオキサジン化合物を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、下記一般式(1)で示される新規なベンゾオキサジン化合物を合成し、本発明を成すに至った。すなわち本発明は、下記一般式(1)で表される、ベンゾオキサジン化合物及びその製造方法を提供する。
Figure 2022180243000001
(式(1)中、R’及びR’’は、互いに独立に、炭素原子数1~8の、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロアルキル基、アルキルアミン基、または、アミド基、エステル基、又は、ハロゲン原子であり、Xは、単結合又は2価有機基であり、a及びaは各々独立に0または1であり、bは芳香環に結合するR’’の個数を示し、bは、aが1のとき0~6の整数であり、及び、aが0のとき0~4の整数であり、cは芳香環に結合するR’の個数を示し、cは、aが1のとき0~6の整数であり、及び、aが0のとき0~4の整数であり、n及びn’は互いに独立に1~5の整数である)。
本発明のベンゾオキサジン化合物は、ベンゾオキサジン樹脂の前駆体として有用である。
図1は、実施例1で製造した化合物のH-NMRスペクトルのチャートである。 図2は、実施例1で製造した化合物の13C-NMRスペクトルのチャートである。
本発明は、下記一般式(1)で表される、ベンゾオキサジン化合物である。
Figure 2022180243000002
(式(1)中、R’及びR’’は、互いに独立に、炭素原子数1~8の、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロアルキル基、アルキルアミン基、または、アミド基、エステル基、又は、ハロゲン原子であり、Xは、単結合又は2価有機基であり、a及びaは各々独立に0または1であり、bは芳香環に結合するR’’の個数を示し、bは、aが1のとき0~6の整数であり、及び、aが0のとき0~4の整数であり、cは芳香環に結合するR’の個数を示し、cは、aが1のとき0~6の整数であり、及び、aが0のとき0~4の整数であり、n及びn’は互いに独立に1~5の整数である)。
上記一般式(1)において、R’及びR’’は、互いに独立に、炭素原子数1~8の、好ましくは炭素数1~3の、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロアルキル基、アルキルアミン基、又はアミド基、エステル基、またはハロゲン原子である。より詳細には、メチル、エチル、プロピル等のアルキル基、メトキシ、エトキシ等のアルコキシ基、アルキルチオ基、ハロアルキル基、エステル基、アルキルアミン基である。好ましくは、炭素原子数1~3のアルキル基、炭素原子数1~3のアルコシキ基、又はハロゲン原子から選ばれる基であり、更に好ましくはR’及びR’’はメチル基である。
Xは、単結合又は2価有機基である。2価有機基とは、エーテル結合、スルフォニル結合、アミド結合、エステル結合、又はチオエーテル結合を有する基、フェニレン、又は炭素数1~5のアルキレンである。炭素数1~5のアルキレンは分岐を有していてもよい。2価有機基とは、好ましくは下記に示される基である。Xは、より好ましくは単結合である。
Figure 2022180243000003
bは芳香環に結合するR’’の個数を示し、bは、aが1のとき0~6の整数であり、好ましくは0又は1~3であり、より好ましくは0又は1である。また、bは、aが0のとき0~4の整数であり、好ましくは0又は1~3であり、より好ましくは0又は1である。cは芳香環に結合するR’の個数を示し、cは、aが1のとき0~6の整数であり、好ましくは0又は1~3であり、より好ましくは0又は1である。また、cは、aが0のとき0~4の整数であり、好ましくは0又は1~3であり、より好ましくは0又は1である。
及びaは各々独立に0または1であり、好ましくは0である。
及びaが1である化合物は、下記一般式で表される。
Figure 2022180243000004
及びaが0である化合物は、下記一般式で表される。
Figure 2022180243000005
-C2n+1及び-Cn’2n’+1は、n及びn’が互いに独立に1~5のパーフルオロアルキル基であり、好ましくはn及びn’が1~3であり、より好ましくはn及びn’は1である。
上記ベンゾオキサジン化合物は、好ましくは下記一般式で表される化合物である。
Figure 2022180243000006
上記式(2)において、R’、R’’、a、a、b及びcは上記の通りである。
さらに好ましくは、上記一般式(2)において、b及びcが1又は0の化合物であり、下記一般式で表される。
b及びcが1の化合物
Figure 2022180243000007
(上記式においてR’R’’、a、及びa、は上記の通りであり、好ましくはメチル基である)
b及びcが0の化合物
Figure 2022180243000008
(上記式においてa、及びa、は上記の通りである)
より好ましくは下記一般式(i)及び(ii)で表される。
Figure 2022180243000009
(上記式においてR’及びR’’は上記の通りであり、好ましくはメチル基である)
Figure 2022180243000010
ベンゾオキサジン化合物の製造方法
上記一般式(1)で表される化合物はベンゾオキサジンを製造するための従来公知の方法に従い、製造することができる。例えば、溶剤の存在下、一級アミン化合物とフェノール化合物及びホルマリン類を撹拌混合し、加熱下に脱水縮合させる方法が挙げられる。または、溶剤存在下、一級アミンとホルマリンとの反応によりトリアジン中間体を製造し、その後、トリアジン中間体と、フェノール及びホルマリンとの反応でベンゾオキサジンを製造する方法も挙げられる。
製造方法1
上記一般式(1)で表されるベンゾオキサジン化合物は、好ましくは、後述するジアミン化合物(一般式(5))を出発原料とし、これを2-ヒドロキシベンズアルデヒド(一般式(6))と脱水縮合させて第2級ジイミン化合物(一般式(4))を得る工程1、該第2級ジイミン化合物(一般式(4))を水素化反応させて第2級ジアミン化合物(一般式(3))を得る工程2、及び、該第2級ジアミン化合物(一般式(3))とホルムアルデヒドとを脱水縮合反応させて環化しベンゾオキサジン化合物(一般式(1))を得る工程3を含む製造方法により得ることができる。
すなわち、本発明は、下記一般式(3)で表されるジアミン化合物を
Figure 2022180243000011
(式中、X、R’、R’’、n、n’、a、a、b、及びcは上記の通り)
ホルムアルデヒドと脱水縮合反応させて環化し、上記一般式(1)で表される化合物を得る工程(工程3)を含む製造方法を提供する。
さらに本発明は下記一般式(4)で表されるジイミン化合物
Figure 2022180243000012
(式中、X、R’、R’’、n、n’、a、a、b、及びcは上記の通り)
を還元剤にて水素化反応させて上記一般式(3)で表される化合物を得る工程(工程2)をさらに含む上記製造方法を提供する。
さらに本発明は下記一般式(5)で表されるジアミン化合物
Figure 2022180243000013
(式中、X、n、及びn’は上記の通り)
と、下記一般式(6)で表されるアルデヒド化合物
Figure 2022180243000014
(式中、R’’、a、及びdは上記の通り)
とを反応させて、上記一般式(4)で表されるジイミン化合物を得る工程(工程1)をさらに含む上記製造方法を提供する。
例えば、上記工程1~3を含む製造方法にて、上記一般式(1)で表され、a、b及びcが0であり、Xが単結合であり、n=1であるベンゾオキサジン化合物(上記一般式(ii))を製造する工程を下記反応式で例示する。
工程1
Figure 2022180243000015
工程2
Figure 2022180243000016
工程3
Figure 2022180243000017
工程1は、第一級ジアミン化合物と上記アルデヒド化合物とを脱水縮合反応させてジイミン化合物を得る工程である。
工程1に使用される原料は、2-サリチルアルデヒドの他、3-サリチルアルデヒド、4-サリチルアルデヒド、5-サリチルアルデヒド、3、6-ジメチルサリチルアルデヒド、2-メトキシサリチルアルデヒド、2-エトキシサリチルアルデヒド、3-メトキシサリチルアルデヒド、2-クロロ-6-ヒドロキシベンズアルデヒド、3-クロロサリチルアルデヒド、4-クロロサリチルアルデヒド、5-クロロサリチルアルデヒド、3-フルオロサリチルアルデヒド、5-フルオロサリチルアルデヒド、6-フルオロサリチルアルデヒド、4-ブロモサリチルアルデヒド、及び1-ヒドロキシ-2-ナフトアルデヒドなどのアルデヒド化合物を挙げることができる。添加量は2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル1モルに対し、2~4モル倍の量が好ましい。
工程1の反応に用いられる溶剤は、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノールなどのアルコール系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、およびジエチルエーテル等のエーテル系溶剤が上げられる。溶剤量は適宜調節されればよい。
縮合反応の反応温度および時間は適宜選択されればよい。例えば、50~150℃の範囲にある温度、好ましくは60~100℃の範囲にある温度で、1~24時間、好ましくは3~10時間反応さればよい。反応終了後は、例えば、水を添加し、冷却した後、生成した固体を濾過、水洗、乾燥することによりイミン化合物を得ることができる。
工程2は、上記工程1で得られたジイミン化合物を水素化反応させて第二級ジアミン化合物とする工程である。ジイミン化合物の還元は、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化アルミニウムリチウム、ボラン、シアノトリヒドロホウ酸ナトリウム等の還元剤があげられる。還元剤の使用量は、ジイミン化合物1モルに対し、2~4モル倍の量が好ましい。反応に用いられる溶剤は、例えばメタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-メトキシエタノール、3-エトキシエタノールなどのアルコール系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、およびジエチルエーテル等のエーテル系溶剤があげられる。溶剤量は適宜調節されればよい。
還元反応の反応温度および時間は適宜選択されればよい。例えば、室温~60℃の範囲にある温度、好ましくは60~100℃の範囲にある温度で、1~24時間、好ましくは3~8時間反応すればよい。反応終了後は、例えば、水を添加し、冷却した後、生成した固体を濾過、水洗、乾燥することによりアミン化合物を得ることができる。
工程3は、上記工程2で得られたジアミン化合物をホルムアルデヒドと脱水縮合反応させて環化しベンゾオキサジン化合物とする工程である。原料のホルムアルデヒドとしては、ホルマリンまたはパラホルムアルデヒドがあげられる。ホルムアルデヒドの使用量は、ジアミン化合物1モルに対し2~4モル倍の量が好ましい。反応に用いられる溶剤は、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノールなどのアルコール系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、およびジエチルエーテル等のエーテル系溶剤、クロロホルム、ジクロロエチレン等のハロゲン系溶剤が挙げられる。縮合反応の反応温度および時間は適宜選択されればよい。例えば、50~150℃の範囲にある温度、好ましくは60~100℃の範囲にある温度で、1~24時間、好ましくは3~10時間反応すればよい。反応終了後は、例えば、水を添加し、冷却した後、生成した固体を濾過、水洗、乾燥することによりベンゾオキサジン化合物を得ることができる。また、溶剤をエバポレーターにより濃縮し、ベンゾオキサジン化合物を得る方法もある。
製造方法2
本発明における製造方法の別の態様として、下記一般式(5)で表されるジアミン化合物を
Figure 2022180243000018
(式中、X、n及びn’は上記の通り)
下記一般式(7)で表されるフェノール化合物
Figure 2022180243000019
(式中、R’’、a、及びdは上記の通り)
及びホルムアルデヒドと反応させて、上記一般式(1)で表される化合物を得る工程を含む、前記製造方法を提供する。
製造方法2は、溶剤の存在下に一級アミン化合物とフェノール化合物およびホルマリン類を撹拌混合して、ベンゾオキサジン化合物を得る方法である。以下に、当該製造方法2について反応式で例示し、詳細に説明する。
Figure 2022180243000020
この製造方法に使用する原料について、先に記載したジアミン化合物(5)とフェノール化合物(7)をあげることができる。ホルムアルデヒドとしては、例えば、ホルムアルデヒド水溶液、1,3,5-トリオキサン、パラホルム等を挙げることができる。
ジアミン化合物、フェノール化合物及びホルムアルデヒドの反応において、添加モル比(ジアミン化合物/フェノール化合物/ホルムアルデヒド)は、通常1.0/1.6/3.6~1.0/4.0/4.4の範囲であり、好ましくは1.0/2.0/4.0~1.0/2.5/4.2の範囲である。
反応に用いられる溶剤は、例えばトルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、酢酸エチル、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。溶剤量は適宜調節されればよい。縮合反応の反応温度および時間は適宜選択されればよい。例えば、50~150℃の範囲にある温度、好ましくは60~100℃の範囲にある温度で、1~24時間、好ましくは3~10時間反応すればよい。反応終了後は、例えば、水を添加し、冷却した後、生成した固体を濾過、水洗、乾燥することによりベンゾオキサジン化合物を得ることができる。また、溶剤をエバポレーターにより濃縮し、ベンゾオキサジン化合物を得る方法もある。反応終了後は、例えば、貧溶剤を添加し、冷却した後、生成した固体を濾過、乾燥することによりベンゾオキサジン化合物を得ることができる。また、溶剤をエバポレーターにより濃縮し、ベンゾオキサジン化合物を得る方法もある。
本発明のベンゾオキサジン化合物は、ベンゾオキサジン樹脂の前駆体として有用なものである。本発明は、さらに、ベンゾオキサジン化合物を重合して成るポリベンゾオキサジンを提供する。本発明のベンゾオキサジン化合物の硬化条件は特に制限されることはないが、例えば、200~400℃の範囲にある温度にて1~4時間硬化させることでポリベンゾオキサジンを得ることができる。
該ポリベンゾオキサジンは耐熱性等に優れ、電子材料用、接着用、FRPのマトリックス樹脂さらには精密機械部品樹脂等への応用、エポキシ樹脂やフェノール樹脂との複合材料、としての利用が期待できる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の実験例に制限されるものではない。
下記実施例においてHPLC測定にはSHIMADZU製SCL-10Avpを使用し、融点測定にはSHIMADZU製DSC-60Plusを使用した。
H核磁気共鳴スペクトル分析には、JEOL製JNM-ECA600型を用い、共鳴周波数600MHzで分析した。測定溶剤は重DMSOを用いた。
13C核磁気共鳴スペクトル分析には、JEOL製JNM-ECA600型を用い、共鳴周波数150MHzで分析した。測定溶剤は重DMSOを用いた。
[実施例1](製造方法1)
[工程1]
4,4’-ジアミノ-2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ビフェニルとサリチルアルデヒドとの反応によるイミン(下記c)の合成
Figure 2022180243000021
温度計、玉入り冷却管を取り付けた300 ml4つ口フラスコに、4,4’-ジアミノ-2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル32.0gと2-メトキシエタノール160gを仕込み溶解させた。そこにサリチルアルデヒド25.0gを加えた後、115~120℃まで昇温し4時間反応させた。水17.8gを加えた後、氷浴下で10℃まで冷却し沈殿物をろ過した。80℃で一夜乾燥することで粗イミン化合物51.6gを得た。そのうち50.0gおよび2-メトキシエタノール800gを1L4つ口フラスコに仕込み、105℃まで昇温し、溶解させた後、10℃まで冷却し析出した沈殿物を濾別した。得られた粉末を80℃で一夜乾燥し、精イミン化合物42.3gを得た。HPLC純度92.0%、mp.226~229℃であった。
[工程2]
イミン(上記c)の還元によるアミン(下記d)合成
Figure 2022180243000022
温度計、玉入り冷却管を取り付けた1L4つ口フラスコに上記工程1で得た精イミン化合物42.0gとエタノール 370gを仕込み、室温のまま撹拌しながらNaBH 3.5gを添加した。2時間後 NaBH3.5gを追加し、1時間保温した。反応液にイオン交換水370gに注ぎ晶析させた。沈殿物を濾取し、乾燥し、アミン化合物を得た。収量33.1g、LC純度98.7%、融点はみられなかった。
[工程3]
アミン化合物(上記d)の環化によるベンゾオキサジンン(下記e)の合成
Figure 2022180243000023
温度計、玉入り冷却管を取り付けた500ml4つ口フラスコに上記工程2で得たアミン化合物30.0gとクロロホルム300gを仕込み,撹拌しながら37%ホルマリン0.76gを加えた。オイルバスで加熱して還流させながら2時間反応した。室温まで冷却し、水で洗浄・分液した。集めた有機層に硫酸マグネシウムを加えて2時間乾燥した。硫酸マグネシウムを濾別し、溶媒を留去し、白色固体31.1gを得た。DSCにて熱挙動を調べ、266℃から開環重合によるシャープな発熱ピークを観測した。得られた化合物は上記式eで示されるベンゾオキサジン化合物であった。
得られた化合物のH-NMRスペクトルのチャートを図1に示し、13C-NMRスペクトルのチャートを図2に示す。
[実施例2](製造方法2)
一段階によるベンゾオキサジンンの合成
温度計、撹拌機、ジムロート冷却管を備えた100ml4つ口フラスコに37%ホルマリン7.02g、フェノール7.53g、クロロベンゼン50gを仕込み、撹拌しながら4,4’-ジアミノ-2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル6.4g添加し、その後95℃まで昇温し、4時間反応させた。反応終了後、エバポレーターでクロロベンゼンを30g留去し濃縮した。濃縮液を300mlビーカーに仕込んだヘキサン200gにパージすると油滴が沈殿しペースト状になりそのまま固化した。上澄みを廃棄し60℃で減圧乾燥した。ビーカーの底に固着した状態から掻き取りし、淡黄白色固体6.7gを得た。得られた化合物は上記式eで示されるベンゾオキサジン化合物であった。
ベンゾオキサジン化合物の硬化
上記実施例1で得たベンゾオキサジン化合物をオーブン中で2時間、200℃で硬化させ、ポリベンゾオキサジンを得た。
本発明のベンゾオキサジン化合物はポリベンゾオキサジン樹脂の前駆体として有用である。

Claims (18)

  1. 下記一般式(1)で表されるベンゾオキサジン化合物
    Figure 2022180243000024
    (式(1)中、R’及びR’’は、互いに独立に、炭素原子数1~8の、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロアルキル基、アルキルアミン基、または、アミド基、エステル基、又は、ハロゲン原子であり、Xは、単結合又は2価有機基であり、a及びaは各々独立に0または1であり、bは芳香環に結合するR’’の個数を示し、bは、aが1のとき0~6の整数であり、及び、aが0のとき0~4の整数であり、cは芳香環に結合するR’の個数を示し、cは、aが1のとき0~6の整数であり、及び、aが0のとき0~4の整数であり、n及びn'は互いに独立に1~5の整数である)。
  2. Xは、単結合;エーテル結合、スルフォニル結合、アミド結合、エステル結合、又はチオエーテル結合を有する2価有機基;フェニレン、又は炭素数1~5のアルキレンである、請求項1記載のベンゾオキサジン化合物。
  3. Xが単結合である、請求項1又は2記載のベンゾオキサジン化合物。
  4. 下記一般式(2)で表される、請求項1~3のいずれか1項記載のベンゾオキサジン化合物
    Figure 2022180243000025
    (式中、R’、R’’、a、a、b、及びcは上記の通り)。
  5. 及びaが0である、請求項1~4のいずれか1項記載のベンゾオキサジン化合物。
  6. b及びcが0~2の整数である、請求項1~5のいずれか1項記載のベンゾオキサジン化合物。
  7. R’及びR’’は、互いに独立に、炭素原子数1~3のアルキル基、炭素原子数1~3のアルコシキ基、又はハロゲン原子から選ばれる、請求項1~6のいずれか1項記載のベンゾオキサジン化合物。
  8. 下記一般式(1)で表されるベンゾオキサジン化合物
    Figure 2022180243000026
    (式(1)中、R’及びR’’は、互いに独立に、炭素原子数1~8の、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロアルキル基、アルキルアミン基、または、アミド基、エステル基、又は、ハロゲン原子であり、Xは、単結合又は2価有機基であり、a及びaは各々独立に0または1であり、bは芳香環に結合するR’’の個数を示し、bは、aが1のとき0~6の整数であり、及び、aが0のとき0~4の整数であり、cは芳香環に結合するR’の個数を示し、cは、aが1のとき0~6の整数であり、及び、aが0のとき0~4の整数であり、n及びn’は互いに独立に1~5の整数である)
    の製造方法であって、
    下記一般式(3)で表される化合物
    Figure 2022180243000027
    (式中、R’、R’’、n、n’、a、a、b、c、及びXは上記の通り)
    をホルムアルデヒドと脱水縮合反応させて上記一般式(1)で表される化合物を得る工程を含む、前記製造方法。
  9. 下記一般式(4)で表されるジイミン化合物
    Figure 2022180243000028
    (式中、R’、R’’、n、n’、a、a、b、c、及びXは上記の通り)
    を還元剤にて水素化反応させて上記一般式(3)で表される化合物を得る工程をさらに含む、請求項8記載の製造方法。
  10. 下記一般式(5)で表されるジアミン化合物
    Figure 2022180243000029
    (式中、n、n’、及びXは上記の通り)
    と、下記一般式(6)で表されるアルデヒド化合物
    Figure 2022180243000030
    (式中、R’’は上記の通りであり、aは0または1であり、dは、aが1のとき0~6の整数であり、及び、aが0のとき0~4の整数である)
    とを反応させて上記一般式(4)で表されるジイミン化合物を得る工程をさらに含む、請求項9記載の製造方法。
  11. 下記一般式(1)で表されるベンゾオキサジン化合物
    Figure 2022180243000031
    (式(1)中、R’及びR’’は、互いに独立に、炭素原子数1~8の、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロアルキル基、アルキルアミン基、または、アミド基、エステル基、又は、ハロゲン原子であり、Xは、単結合又は2価有機基であり、a及びaは各々独立に0または1であり、bは芳香環に結合するR’’の個数を示し、bは、aが1のとき0~6の整数であり、及び、aが0のとき0~4の整数であり、cは芳香環に結合するR’の個数を示し、cは、aが1のとき0~6の整数であり、及び、aが0のとき0~4の整数であり、n及びn’は互いに独立に1~5の整数である)
    の製造方法であって、
    下記一般式(5)で表されるジアミン化合物
    Figure 2022180243000032
    (式中、n、n’、及びXは上記の通りである)
    と、下記一般式(7)で表されるフェノール化合物
    Figure 2022180243000033
    (式中、R’’は上記の通りであり、aは0または1であり、dは、aが1のとき0~6の整数であり、及び、aが0のとき0~4の整数である)
    及びホルムアルデヒドとを反応させて上記一般式(1)で表される化合物を得る工程を含む、前記製造方法。
  12. Xは、単結合;エーテル結合、スルフォニル結合、アミド結合、エステル結合、又はチオエーテル結合を有する2価有機基;フェニレン、又は炭素数1~5のアルキレンである、請求項8~11のいずれか1項の製造方法。
  13. Xが単結合である、請求項8~12のいずれか1項記載の製造方法。
  14. 前記ベンゾオキサジン化合物(1)が下記一般式(2)で表される、請求項8~13のいずれか1項記載の製造方法
    Figure 2022180243000034
    (式中、R’、R’’、a、a、b、及びcは上記の通り)
  15. 及びaが0である、請求項8~14のいずれか1項記載の製造方法。
  16. b及びcが0~2の整数である、請求項8~15のいずれか1項記載の製造方法。
  17. R’及びR’’は、互いに独立に、炭素原子数1~3のアルキル基、炭素原子数1~3のアルコシキ基、又はハロゲン原子から選ばれる、請求項8~16のいずれか1項記載の製造方法。
  18. 請求項1~7のいずれか1項記載のベンゾオキサジン化合物を重合して成るポリベンゾオキサジン。
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