JP2022179429A - 2次元構造複合材料およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】2次元構造材料およびその他の機能性材料の複合材料であって、2次元構造材料に由来する機能性の向上を図りうる2次元構造複合材料およびその製造方法を提供する。【解決手段】2次元構造複合材料は、2次元構造材料粒子21および機能性材料粒子22のエアロゾルデポジション膜20により構成されている。2次元構造材料粒子21が積層されてc軸配向を示す。機能性材料粒子22が2次元構造材料粒子21により包摂されている。【選択図】 図1

Description

特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年8月31日に、公益社団法人日本金属学会が開催した日本金属学会2021年秋期第169回講演大会のウェブサイト https://confit.atlas.jp/guide/event/jim2021autumn/subject/2L01-10-10/tables?cryptold=において発表 令和3年9月15日に、公益社団法人日本金属学会が開催した日本金属学会2021年秋期第169回講演大会のZoom会議室において発表
本発明は、2次元構造複合材料およびその製造方法に関する。
ナノカーボン材料であるグラフェンに代表される2次元構造材料は、c面面内方向には強固な共有結合、c軸方向には比較的弱いファンデルワールス力で結合している層状物質であり、その2次元構造に起因する特異な電子状態からc面内方向へ非常に高い電気伝導率、熱伝導率、機械的強度を示し、導電性材料、電波吸収材料、電子材料、放熱材料、構造材料などとして多岐に渡る応用への期待からカーボン以外の元素からなる2次元構造材料も多数見出されつつある。
10GHz以上の周波数における電磁波吸収性を確保できる電磁波吸収材として、マトリックスと、当該マトリックスに分散している複数の鱗片状グラファイトフィラーと、からなる複合材が提案されている(例えば、特許文献1参照)。鱗片状グラファイトフィラーのベーサル面と複合材の2つの表面のそれぞれとがなす2つの角度のうち、小さい角度の平均角度θが30°以下に調節されている。
スマートフォンなど移動体通信機器のノイズ抑制に代表される高周波発生源に近い場合(近傍界)で利用する電磁波吸収体の損失は、シート抵抗Rで制御可能な渦電流損失と磁性体固有の強磁性共鳴損失があり、特に前者の渦電流損失の影響が大きいことが知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開2019-134011号公報 特開2006-279912号公報
しかし、熱可塑性樹脂またはエラストマーからなるマトリックスが存在する分だけ、電磁波吸収材におけるフィラーの体積占有率が低くなるため、当該フィラーの電磁波吸収特性が希釈化されてしまう。
2次元構造材料あるいはグラファイトはc面内における電気抵抗が低く単体でも電磁波吸収効果が大きいことが知られているが、高抵抗物質と複合化しシート抵抗Rの調整を行えば渦電流損失を最大化し、近傍界での電磁波吸収特性を向上させることができる。さらに複合化に磁性体を用いれば、強磁性共鳴損失の効果も付与し特性向上が期待できる。
そこで、本発明は、2次元構造材料およびその他の機能性材料の複合材料であって、2次元構造材料に由来する機能性の向上を図りうる2次元構造複合材料およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の2次元構造複合材料は、
2次元構造材料粒子および機能性材料粒子のエアロゾルデポジション膜により構成され、
2次元構造材料粒子が積層されてc軸配向を示し、
機能性材料粒子が2次元構造材料粒子により包摂されている。
本発明の2次元構造複合材料の製造方法は、2次元構造材料粉末および機能性材料の混合粉末をエアロゾルデポジション法にしたがって基板の上に噴射する工程を含んでいる。
当該構成の2次元構造複合材料によれば、マトリックスが存在しない分だけ2次元構造材料および機能性材料粒子の体積占有率の向上が図られる。このため、2次元構造材料に由来する電磁波吸収特性などの機能が希釈化されることなく、かつ、当該機能性材料粒子により当該機能が補助される。
本発明の一実施形態としての2次元構造複合材料の模式的説明図。 2次元構造複合材料の試料1の走査電子顕微鏡写真。 2次元構造複合材料の試料1の走査電子顕微鏡写真(高倍率)。 試料1のX線回折スペクトルに関する説明図。 試料2のX線回折スペクトルに関する説明図。 試料3のX線回折スペクトルに関する説明図。 試料4のX線回折スペクトルに関する説明図。 試料5のX線回折スペクトルに関する説明図。 参考試料1のX線回折スペクトルに関する説明図。 参考試料2のX線回折スペクトルに関する説明図。 参考試料3のX線回折スペクトルに関する説明図。 試料1の磁化曲線に関する説明図。 試料2の磁化曲線に関する説明図。 試料3の磁化曲線に関する説明図。 試料4の磁化曲線に関する説明図。 試料5の磁化曲線に関する説明図。 参考試料1の磁化曲線に関する説明図。 参考試料2の磁化曲線に関する説明図。 参考試料3の磁化曲線に関する説明図。 試料6のPloss/Pin特性の評価結果に関する説明図。 試料6の反射減衰量S11の評価結果に関する説明図。 試料6の透過減衰量S21の評価結果に関する説明図。
(構成)
図1に模式的に示されている本発明の一実施形態としての2次元構造複合材料は、基板10の上に成膜されたAD膜20(エアロゾルデポジション膜)により構成されている。AD膜20は、c軸配向されて積層された複数の2次元構造材料粒子21と、当該複数の2次元構造材料粒子21の間隙を埋めるように配置されている複数の機能性材料粒子22により構成されている。
基板10としては、例えば、石英、アルミナ、ジルコニア、炭化ケイ素、窒化ケイ素などの各種セラミックス、およびポリエチレンテレフタラート(PET)、アクリル、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、シリコーンゴム、熱分解グラファイトなどのフレキシブルシートからなる群から選択される少なくとも1種の化合物からなる基板が採用される。
AD膜20の厚さは、0.1~2000μmの範囲、好ましくは1~10μmの範囲に含まれている。AD膜20の気孔率は1%~15%の範囲、好ましくは1%~5%の範囲に含まれている。AD膜のシート抵抗RSは0.1~1000Ωの範囲、好ましくは10~200Ωの範囲に含まれている。AD膜20における2次元構造材料粒子21および機能性材料粒子22の合計質量に対する機能性材料粒子22の質量比が0.1~40質量%の範囲に含まれ、好ましくは5~35質量%の範囲に含まれ、さらに好ましくは10~30質量%の範囲に含まれている。
2次元構造材料粒子21は、単層2次元構造材料のみならずベーサル面が重なるように積層されている多層2次元構造材料粒子をも包含する概念である。グラフェン、六方晶窒化ボロン(h-BN)、MoS2などのTMD、フォスフォレン(黒リン)、導電性の炭化物あるいは窒化物であるMXene(マキシン)など単層または多層の2次元構造を有する材料が、2次元構造材料として採用されてもよい。2次元構造材料粒子21の平均径は、0.1~100μmの範囲、好ましくは0.5~50μmの範囲、より好ましくは0.5~10μmの範囲、さらに好ましくは0.5~5μmの範囲に含まれ、厚さは0.3~300nm(2次元構造材料分子1~1000層)の範囲、好ましくは0.3~30nm(2次元構造材料分子1~100層)の範囲、さらに好ましくは0.3~10nm(2次元構造材料分子1~30層)の範囲に含まれている。
機能性材料粒子22としては、例えば、磁性体粒子および/または誘電体粒子が採用される。機能性材料粒子22の平均粒径は、0.1~1000μmの範囲、好ましくは0.5~100μmの範囲、好ましくは1~10μmの範囲、好ましくは1~5μmの範囲に含まれ、厚さは1~100μmの範囲、好ましくは1~50μmの範囲に含まれている。AD膜原料における2次元構造材料粉末および機能性材料粉末の合計質量に対する機能性材料粉末の質量比が50~99.9質量%の範囲に含まれ、好ましくは70~99質量%の範囲に含まれ、さらに好ましくは80~95質量%の範囲に含まれている。
磁性体としては、例えば、カルボニル鉄微粒子、還元鉄微粒子を含む鉄ベース合金、ストロンチウムフェライト、バリウムフェライト、スピネルフェライトおよびイプシロンフェライトをベースとした各種元素置換化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物が採用される。AD膜20の3~30GHzの周波数帯における電磁波吸収特性を向上させる観点から、カルボニル鉄微粒子、CoおよびTiを置換したM型ストロンチウムフェライト、Y型、Z型のフェロクスプレーナタイプのバリウムフェライトが磁性体として採用されることが好ましい。M型、Y型、Z型およびスピネルフェライトは通常AD成膜に伴う機械的衝撃により結晶格子が破壊され磁気特性の劣化をもたらすが、2次元構造材料との複合化により衝撃は緩和され特性劣化を防ぐことができる。AD膜20の35~220GHzのミリ波周波数帯における電磁波吸収特性を向上させる観点から、ガリウム、アルミニウム、ロジウムなどの元素置換をほどこしたイプシロンフェライトが磁性体として採用されることが好ましく、また強磁性と強誘電特性を有するマルチフェロ物質であるため複合的効果も期待できる。
誘電体としては、例えば、チタン酸バリウム、ビスマスフェライト、アルミナに代表されるコランダム構造酸化物、ヘマタイト、マイカ、シリカ、チタニアおよびフラーレンからなる群から選択される少なくとも1種の化合物が採用される。AD膜20の10~20GHzの周波数帯における電磁波吸収特性を向上させる観点から、チタン酸バリウムが誘電体として採用されることが好ましい。AD膜20の8~12GHzの周波数帯における電磁波吸収特性を向上させる観点から、ビスマスフェライトが誘電体として採用されることが好ましく、マルチフェロ物質であるため複合的効果も期待できる。AD膜20の渦電流損失を最大化するために各種絶縁性の誘電性微粒子を混合しシート抵抗をあげ2次元構造材料の導電性を制御することが望ましく、特に同じナノカーボンで低密度で絶縁性のフラーレン粉末を用いることが膜質向上の観点からも望ましい。
(製造方法)
本発明の一実施形態としての2次元構造複合材料の製造方法について説明する。
(AD法による成膜)
真空中において、基板10の上に、例えば粒径が0.1~5μm(平均0.6μm)の範囲に含まれる2次元構造材料粉末および機能性材料粉末が別個または共通のノズルから噴射されて基板10に衝突させられることにより、エアロゾルデポジション(AD)による成膜が実施される。このAD法により所望の1~2000μmの厚さのAD膜20が形成される。この時の噴射ガス速度は高いことが望ましく、ヘリウムなどの軽元素ガスの利用、ラバールノズルなどの超音速ノズルの利用、あるいは数百度程度まで加熱した高温ガスの利用などによってガス速度を上げて成膜することが望ましく、膜質の改善とともに2次元構造材料の結晶欠陥の改善にも寄与する。2次元構造材料粉末と機能性材料粉末を混合して成膜する場合には事前にミリング、高速ブレンダーなどによって複合化処理を行うことが望ましい。2次元構造材料の結合力が弱く剥離しやすい場合にはポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)などの無機材料用バインダを利用することが望ましい。真空チャンバーへの粉末供給は通常シェーカーで行われるが、テーブル式パウダーフィーダーを用いることでより安定した供給が可能となり膜質も安定する。
2次元構造材料およびグラファイトは還元作用があるため、機能性微粒子として鉄などの酸化によって磁気特性が劣化する材料と複合化する場合には、成膜後800℃以上の高温熱処理によって表面酸化を還元することができるが、フェライトあるいは各種誘電性酸化物と複合化する場合の成膜後高温熱処理は、鉄など構成する純元素まで還元され特性劣化をもたらすため望ましくない。
(試料)
(試料1)
2次元構造材料粉末として、平均粒径dが0.6μmであり、層数nが10以上(c軸方向の厚さが約3.3nm以上)の粒子数比率が70%以上であり、かつ、層数nが30以上(c軸方向の厚さが約10nm以上)の粒子数比率が95%以上であるグラフェン粉末(2次元構造材料、グラフェンプラットフォーム社製)が用いられた。この2次元構造材料粉末は、天然グラファイトに対しジェットミルあるいはボールミルの機械的粉砕とプラズマあるいはマイクロ波の物理的エネルギー照射の複合的作用によって層間を剥離させた粉末である。
機能性材料粉末として、粒径D50が1.8μm以下の範囲に含まれているリン酸コートカルボニル鉄(CIP)粉末(Jiangsu Tianyi Ultrafine Metal Powder社製)が用いられた。
AD膜原料における2次元構造材料粉末および機能性材料粉末の合計質量に対する2次元構造材料粉末の質量比が20質量%に調整された。石英SiO2からなる35×35mm×厚さ500μmの矩形板状基板10(東芝セラミックス社製)に対して、2次元構造材料粉末および機能性材料粉末が、AD法にしたがって噴射されることにより、試料1としての膜厚116μmのAD膜20が作製された。試料1としてのAD膜20における2次元構造材料粒子21および機能性材料粒子22の合計質量に対する2次元構造材料粉末21の質量比は90.4質量%で、シート抵抗Rは0.63Ωであった。
事前に2次元構造材料粉末と機能性材料粉末は高速ブレンダーで混合され、シェーカーのガラス容器に封入された。チャンバー内はロータリーポンプで真空排気された後、20L/minの流量のヘリウムガスをシェーカーからチャンバーに流し基板上へガス粉末流を吹き付けた。噴射ノズルは10mm幅の線状吹き出し口を有し、1mm/secの速度で基板上をスキャンして成膜を行った。
図2Aおよび図2Bのそれぞれには、試料2の表面の走査電子顕微鏡写真が示されている。白い球状に見えるのがリン酸表面処理を行ったカルボニル鉄微粒子で、それ以外の黒い部分が2次元構造材料である。図2Bの拡大図からカルボニル鉄粒子上の一部が半透明の2次元構造材料によって覆われていることが確認できる。X線回折からc軸配向が確認できることから、基板と平行に積層した2次元構造材料層間にカルボニル鉄粒子が入り込んでいると考えられる。
(試料2)
AD膜原料における2次元構造材料粉末および機能性材料粉末の合計質量に対する2次元構造材料粉末の質量比が10質量%に調整されたほかは、試料1と同様の成膜条件下で試料2としての膜厚524μmのAD膜20が作製された。試料2としてのAD膜20における2次元構造材料粒子21および機能性材料粒子22の合計質量に対する2次元構造材料粉末21の質量比は90.6質量%で、シート抵抗Rは0.18Ωであった。
(試料3)
AD膜原料における2次元構造材料粉末および機能性材料粉末の合計質量に対する2次元構造材料粉末の質量比が5質量%に調整されたほかは、試料1と同様の成膜条件下で試料3としての膜厚24μmのAD膜20が作製された。試料3としてのAD膜20における2次元構造材料粒子21および機能性材料粒子22の合計質量に対する2次元構造材料粉末21の質量比は80.5質量%で、シート抵抗Rは4.1Ωであった。
(試料4)
機能性材料粉末として、粒径が3~40μmの範囲(D50=7μm)に含まれている還元鉄粉末(DOWA-IPクリエーション社製)が用いられたほかは、試料1と同様の成膜条件下で試料4としての膜厚2.8μmのAD膜20が作製された。試料4としてのAD膜20における2次元構造材料粒子21および機能性材料粒子22の合計質量に対する2次元構造材料粉末21の質量比は96.0質量%で、シート抵抗Rは81.0Ωであった。
(試料5)
機能性材料粉末として、平均粒径が1.18μm、比表面積が2.17m/g、圧縮密度3.22g/cmのSrフェライト粉末(DOWAエフテック社製)が用いられたほかは、試料1と同様の成膜条件下でAD法にしたがって、シリコン単結晶基板(アズワン(株)供給)としての基板10に対して噴射されることにより、試料5としての膜厚950μmのAD膜20が作製された。試料5としてのAD膜20における2次元構造材料粒子21および機能性材料粒子22の合計質量に対する2次元構造材料粒子21の質量比は87.7質量%であった。
(試料6)
2次元構造材料粉末として、試料1の作製に用いられたものと同一のグラフェン粉末と、平均粒径8.0μmのマキシンMXene(Ti、日本材料技研社製)粉末の混合粉末が用いられた。
AD膜原料における2次元構造材料粉末および機能性材料粉末CIPの質量比が、グラフェン22.5wt%+マキシン7.5wt%+CIP70wt%に調整され、基板10としてアルミナAl3からなる35×35mm×厚さ500μmの矩形板状基板(日本ファインセラミックス社製)が用いられたほかは、試料1と同様の成膜条件下で試料6としての膜厚39μm、シート抵抗R=38.8ΩのAD膜20が作製された。
(参考試料1)
試料1~3の作成に際して機能性材料粉末として用いられたリン酸コートカルボニル鉄(CIP)粉末が、試料1と同様の成膜条件下でAD法にしたがって、ガラス基板としての基板10(コーニング社製、EagleXG)に対して噴射されることにより、参考試料1としての膜厚1.08μmのAD膜が作製された。
(参考試料2)
試料5の作成に際して機能性材料粉末として用いられたSrフェライト粉末が、参考試料1と同様の成膜条件下でAD法にしたがって、シリコン単結晶基板(アズワン(株)供給)としての基板10に対して噴射されることにより、参考試料2としての膜厚2.7μmのAD膜が作製された。
(参考試料3)
試料1~3の作成に際して機能性材料粉末として用いられたリン酸コートカルボニル鉄(CIP)粉末と、試料5の作成に際して機能性材料粉末として用いられたSrフェライト粉末とが、参考試料1と同様の成膜条件下でAD法にしたがって、シリコン単結晶基板(アズワン(株)供給)としての基板10に対して噴射されることにより、参考試料3としての膜厚2.3μmのAD膜が作製された。AD膜原料におけるリン酸コートカルボニル鉄(CIP)粉末と、Srフェライト粉末との仕込み質量比は0.8:0.2になるように調整された。
(X線回折スペクトル)
図3A~図3Eのそれぞれには、(1)試料1、(2)試料2、(3)試料3、(4)試料4および(5)参考試料1のそれぞれのXRDスペクトルが示されている。図3A~図3Dのそれぞれに示されているように、試料1~4のそれぞれのXRDスペクトルには、2次元構造材料粒子21に由来する(002)、(004)および(006)ピークが存在し他の配向に起因するピークは観測されないことから、いずれの場合も2次元構造材料粒子がc軸配向していることがわかる。図3Eに示されているように、試料5のXRDスペクトルには、2次元構造材料粒子21に由来する(002)および(004)ピークが存在し他の配向に起因するピークは観測されないことから、2次元構造材料粒子がc軸配向していることがわかる。
図4A~図4Cのそれぞれには、(1)参考試料1、(2)参考試料2および(3)参考試料3のそれぞれのXRDスペクトルが示されている。図4A~図4Cのそれぞれに示されているように、参考試料1~3としてのカルボニル鉄からなるAD膜には(110)配向付近にのみ低強度のブロードなハローが確認され、アモルファスライクの結晶性であることがわかる。試料1~5としての2次元構造材料と機能性材料との複合AD膜には、鉄の複数の結晶性ピークが明瞭に観測され、2次元構造材料によって結晶格子の破壊が緩和されていると考えられる。
(磁化曲線)
図5A~図5Eのそれぞれには、(1)試料1、(2)試料2、(3)試料3、(4)試料4および(5)試料5のそれぞれの磁化曲線が示されている。いずれの場合も粒径の小さい場合によく見られる高い飽和磁場が確認されている。試料1~3としてのカルボニル鉄-2次元構造材料複合AD膜と比較して、試料4としての還元鉄-2次元構造材料複合AD膜および参考試料1としてのカルボニル鉄AD膜の磁化は一桁から二桁だけ小さな値となっている。試料4には表面保護層がないために酸化の影響が現われ、参考試料1には2次元構造材料による衝撃緩和効果がないためと考えられる。
図6A~図6Cのそれぞれには、(1)参考試料1、(2)参考試料2および(3)参考試料3のそれぞれの磁化曲線が示されている。いずれの場合も粒径の小さい場合によく見られる高い飽和磁場が確認されている。試料5と比較して、参考試料2および参考試料3の磁化は1/25倍程度の小さな値となっている。参考試料2および参考試料3には2次元構造材料による衝撃緩和効果がないためと考えられる。
(電磁波減衰・透過特性の評価)
各試料をマイクロストリップライン上に固定し10M~40GHzの周波数範囲でベクトルネットワークアナライザを用いて近傍界でのPloss/Pin特性が測定された。測定された(1)入射量Pinに対する当該入射量Pinおよび透過量の差Plossの比率Ploss/Pin、(2)反射減衰量S11および(3)透過減衰量S21の関係は次式(01)により表され、反射および透過減衰量が小さく、1に近いPloss/Pinであるほど良好な特性とされる。
loss/Pin=1-(|S212+|S112) ‥(01)。
図7A~図7Cのそれぞれには、試料6の当該測定結果(1)~(3)のそれぞれ周波数依存性(10M~40GHz)が、基板単独での測定結果(破線)とともに示されている。
(本発明の効果)
(1.c軸配向特性)
本発明における2次元構造材料ベース複合AD膜の2次元構造材料は、複合化の際の機能性材料粉末の組み合わせに関わらずc軸配向するため、AD成膜は電磁波吸収材料に有利な製造方法であり、電磁波吸収特性を高めるための機能性材料粉末としてカルボニル鉄粉、還元鉄粉、Srフェライト、εフェライト、フラーレン、アルミナ、チタン酸バリウムなどが適用可能である。2次元構造材料はその特異な化学結合状態の二次元性から、c軸方向と比較してc面(a-b面)内に極めて高い電気伝導特性を有するため、導電性あるいは電磁波遮蔽・吸収材料として利用可能であるが、同時にc面(a-b面)内に極めて高い熱伝導特性も有するため、放熱あるいは熱分散シートとしても利用可能である。電磁波吸収・遮蔽特性と熱分散・放熱特性を同時に有することは、データ処理量の増加に伴う電子デバイスの発熱が問題となる5G、6G移動体通信機器などへの応用に有利である。カーボンナノチューブと同様に2次元構造複合材料は機械的変形に伴う電気抵抗変化が大きく、圧力あるいは歪みセンサとしても応用可能である。カーボン系材料は、金属・セラミックスなどの無機材料と比較して低密度で軽量化が可能となるため、上記用途に有利となる。
(2.衝撃緩和特性)
M型のBaあるいはSrフェライトは飽和磁界の大きなハードフェライトであるため、SHF帯(3~30GHz)あるいはEHF帯(30~300GHz)の高周波数帯における電波吸収材として有望であるが、AD成膜の際に生じる機械的衝撃によって結晶格子が破壊され保磁力、角型性などの磁気特性が大きく劣化するため、劣化した特性復元のために1000℃付近までの高温熱処理が必要となるが、ポリイミドなどの低耐熱性のフレキシブルシート上で利用する場合には不利となる。他のカーボン系材料でも同様の効果が報告されているが、2次元構造材料との複合化により機能性材料粒子に衝撃緩和作用が生じていると考えられ、成膜前後でX線回折パターンおよび磁気特性にほとんど変化は見られず、成膜後処理が不要となり応用上有利である。
(3.異種材料との複合化あるいは官能基での修飾(-COOH,-NH3)による膜質改善)
2次元構造材料間の結合は比較的弱いファンデルワールス力であるため、2次元構造材料単体では高密度の膜質を得ることは難しいが、異種材料との複合化あるいはカルボニル基(-COOH)あるいはアミノ基(-NH3)などの官能基での修飾により改善される。また、2次元構造材料および機能性材料粒子間の結合力を補強するために、ポリビニルアルコール(PVA)などのバインダを添加し予備処理した粉体をAD成膜の原料として用いることができ、チタニア(TiO2)微粒子との複合化で色素増感太陽電池への適用も可能である。
(4.複合化した磁性体あるいは誘電体の電波吸収特性への影響)
2次元構造材料は導電性材料であるため渦電流損が電波吸収特性発現に支配的と考えられるが、特定周波数帯域に吸収を持つ磁性体あるいは誘電体との複合化で吸収特性の増強が見込まれる。カルボニル鉄(f~30GHz)、Srフェライト(Co,Ti,Al置換 f<~80GHz)、εフェライト(Ga,Al,Rh置換 f= 35~220GHz)、フラーレン、アルミナ、BaTiO3(f>10GHz)と、ゴムなどとの混錬シートではフィラー含有量は30%程度までだが、AD成膜では100%も可で、電波吸収特性を高められる。
(本発明の応用分野)
本発明に係る2次元構造複合材料は、10~300GHzの周波数帯域における電波吸収材料として用いられてもよい。5G・6G移動体通信、高度道路交通システム(ITS)、無線LANなどの技術分野に適用できる。10~40GHz帯域で高いPloss/Pin特性を有する。本発明に係る2次元構造複合材料は、スマホ内など電子素子の熱分散シートなど、放熱・熱分散材料として用いられてもよい。本発明に係る2次元構造複合材料は、リチウムイオン電池、リチウム空気電池、色素増感太陽電池、スーパーキャパシタなどの電池の電極材料として用いられてもよい。本発明に係る2次元構造複合材料は、ストレッチャブル歪みセンサ、半導体と同程度のゲージ率100~200を示し、生体モニタ(脈拍・血圧)、モーションセンサなどの圧力・歪みセンサとして用いられてもよい。
10‥基板
20‥AD膜(2次元構造複合材料)
21‥2次元構造材料粒子
22‥機能性材料粒子。

Claims (4)

  1. 2次元構造材料粒子および機能性材料粒子のエアロゾルデポジション膜により構成され、
    2次元構造材料粒子が積層されてc軸配向を示し、
    機能性材料粒子が2次元構造材料粒子により包摂されている
    2次元構造複合材料。
  2. 請求項1に記載の2次元構造複合材料において、
    2次元構造材料粒子および機能性材料粒子の合計質量に対する2次元構造材料粒子の質量比が60~99.9質量%の範囲に含まれている
    2次元構造複合材料。
  3. 請求項1に記載の2次元構造複合材料の製造方法であって、
    2次元構造材料粉末および機能性材料粉末をエアロゾルデポジション法にしたがって基板の上に噴射する工程を含んでいる
    2次元構造複合材料の製造方法。
  4. 請求項3に記載の2次元構造複合材料の製造方法において、
    2次元構造材料粉末および機能性材料粉末の合計質量に対する機能性材料粉末の質量比が50~99.9質量%の範囲に含まれている
    2次元構造複合材料の製造方法。
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CN117144226B (zh) * 2023-10-27 2024-02-13 西安欧中材料科技股份有限公司 一种双形态单相高铬铸铁基复合材料的制备方法

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