JP2022178801A - Mg基負極材及びこれを用いたMg二次電池 - Google Patents

Mg基負極材及びこれを用いたMg二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、優れた電気化学特性を有するMg基負極材を提供することを課題としている。【解決手段】炭素、炭化物、酸化物、窒化物のうち1種類またはそれ以上を含むMg基複合材であって、Mg母材の平均結晶粒径が1000μm以下、かつ、前記粒子がMg母相または結晶粒界もしくは両方に分散し、サイクル計測試験では50回以上、電気化学的析出溶解試験の過電圧が30mV以下、析出溶解試験における電極電位±0.5Vのときに±10mAcm-2以上の電流値を示す、電気化学特性に優れたMg基負極材。【選択図】図4A

Description

本発明は、電気化学特性に優れたMg基負極材及びMg基負極材を用いたMg二次電池に関する。
Mg(マグネシウム)金属は、蓄電池の負極に用いた際に、実用されている金属の中でも高い理論容量密度を示すとともに、電析時にデンドライド状の析出部を形成しないことから、高エネルギー密度蓄電池のための負極材として注目を浴びている。しかし、Li(リチウム)金属負極やNa(ナトリウム)金属負極と異なり、Mg金属負極は、電解液との界面にイオン伝導性の被膜を形成しにくく、不動態化しやすいため、可逆な溶解析出挙動が起こりにくいことが問題とされている。
通常、二次電池をはじめとする蓄電池は、負極材に加えて、正極活物質及び電解液を備える。このため、前述の問題を解決するための一手段として、負極材以外の構成要素の改良が行われている。例えば、特許文献1や2、非特許文献1に開示されるように、Mg二次電池に有効な正極活物質と電解液とがそれぞれ開発されている。翻って、負極材自体に注目すると、その構成材料は、Mg金属負極材(及びMg基合金負極材)と、Mgを含有する金属間化合物の二種類に大別できる。
特許文献3、4では、Mg-Bi金属間化合物(MgBi)やMg-Sn金属間化合物(MgSn)を負極材に活用することで、前述の問題の解決を図っている。しかし、金属間化合物負極は、Mg金属負極(及びMg基合金負極)と比較して電位が高くなり、容量密度も低下する問題がある。また、これらの金属間化合物を形成させるためには、Mgと比較して密度の高いBi(ビスマス)やSn(スズ)を高濃度に添加する必要があるため、電池の重量低減の観点からは望ましくない。
一方、金属間化合物を活用せずに、Mg金属を負極としたMg金属負極及びMg基合金負極が、特許文献5に開示されている。特許文献5には、負極を構成するMg基合金として、Mg-Al系合金、Mg-Zn系合金及びMg-Mn系合金が列記されているが、実施例に示されているのはMg-6mass%Al合金のみである。この合金では、熱的平衡及び金属組織の観点からは、Al添加量の高濃度化に起因して、Mg17Al12を代表とする数多くの金属間化合物がMg母相内に高密度に分散することとなる。もちろん、Alは金属間化合物の形成に費やされるため、結晶粒界に溶質元素が偏析しないことは自明である。
また、特許文献6は、Mgを質量比で90%以上含有するMg二次電池に適したMg金属負極及びMg基合金負極を開示している。含有されうる副成分としては、Al(アルミニウム)、Zn(亜鉛)、Mn(マンガン)、Si(ケイ素)、Ca(カルシウム)、Fe(鉄)、Cu(銅)、Ni(ニッケル)のいずれかが例示されている。しかし、Mg合金の内部微細組織は創製方法により大きく異なり、例えば、押出や圧延加工に代表される展伸加工法の使用なしでは、溶質元素を結晶粒界に偏析させることはできない。また、Si、Fe、Cu、Niは、Mgに対する最大固溶量が0.01mol%以下であり、力学特性や機能特性に影響を及ぼす固溶量ではないため、通常、不可避的な不純物元素として扱われる。
特開2012‐150924号公報 特開2016‐96024号公報 特開2014‐512637号公報 特開2015‐515728号公報 特開2012‐221670号公報 特開2014‐143170号公報
万代ら、Phys. Chem. Chem. Phys., 2019, 21, 12100 doi: 10.1039/c9cp01400d 万代、ACS Appl. Mater. Interfaces, 2020, 12, 39135 doi: 10.1021/acsami.0c09948
本発明は、MgおよびMg基合金に酸化物、窒化物、炭化物、炭素のうちいずれか1種類またはそれ以上の粒子が含有したMg基複合材であり、Mg基複合材の厚さが1mm以下からなり、結晶粒界、Mg母相のいずれかまたはどちらにも前記の粒子が分散し、優れた電気化学特性を有するMg基負極材及びMg基負極材を用いたMg二次電池を提供することを課題としている。
本発明の第1は、Mg基複合材であって、炭化物、窒化物、酸化物および炭素のうちいずれか一種類またはそれ以上の粒子を含有し、Mg母相、結晶粒界のいずれかまたはいずれにも分散するMg基負極材を提供する。
本発明の第2は、発明1に記載のMg基複合材であって、前記酸化物は、Al(アルミナ)、Y(イットリア)、ZrO(ジルコニア)、TiO(チタニア)、SiO(シリカ)、又はCuO(酸化銅)であり、
前記窒化物は、GaN(窒化ガリウム)、又はLiN(窒化リチウム)であり、
前記炭化物は、TiC(炭化チタン)、又はSiC(炭化ケイ素)であり、
前記炭素は、C(黒鉛)、C60(フラーレン)、又はCNT(カーボンナノチューブ)であるMg基負極材を提供する。
本発明の第3は、発明1または2に記載のMg基複合材であって、前記Mg基複合材は、Mg-Al系合金、Mg-Zn系合金、Mg-Ca系合金、Mg-Bi系合金、又はMg-Mn系合金からなるMg基合金を含むMg基負極材を提供する。
本発明の第4は、発明1から3に記載のMg基複合材であって、Mg基複合材の厚みが1mm以下のMg基負極材を提供する。
本発明の第5は、発明1から4のいずれかに記載のMg基複合材であって、切片法によって計測したMg母相の平均サイズが10μm以上であり、炭化物、窒化物、酸化物および炭素のうちいずれか一種類または複数種類の粒子の分散体積率が、Mg基複合材全体に対して25%以下であることを特徴とするMg基負極材を提供する。
本発明の第6は、発明1から5のいずれかに記載のMg基複合材であって、三極式セルを用いたサイクル計測において、50回以上のサイクル特性を示すことを特徴とするMg基負極材を提供する。
本発明の第7は、発明1から6のいずれかに記載のMg基負極材であって、Mg金属の電気化学的析出溶解試験において、過電圧30mV以下の特性を示すことを特徴とするMg基負極材を提供する。
本発明の第8は、発明1から7のいずれかに記載のMg基負極材であって、Mg金属の電気化学的析出溶解試験において、電極電位±0.5Vのときに、±10mAcm-2以上の電流密度を示すことを特徴とするMg基負極材を提供する。
本発明の第9は、発明1から8のいずれかに記載のMg基負極材と、電解質と正極によって構成されたMg二次電池を提供する。
本発明の第10は、発明9に記載のMg二次電池において、サイクル計測で10回以上のサイクル特性を示すことを特徴とするMg二次電池を提供する。
本発明の一実施例を示すMg―Al(アルミナ)の微細組織観察例で、電子線後方散乱回折手法による場合を示している。 本発明の一実施例を示すMg―Y(イットリア)の微細組織観察例で、電子線後方散乱回折手法による場合を示している。 電気化学試験後のMg基負極材の外観写真例。 本発明の一実施例を示すMg基負極材のクーロン効率結果を示すもので、純Mgの場合を示している。 本発明の一実施例を示すMg基負極材のクーロン効率結果を示すもので、Mg―CNT(カーボンナノチューブ)の場合を示している。 本発明の一実施例を示すMg基負極材のサイクル電圧時間結果を示すもので、酸化物の複合材の場合を示している。 本発明の一実施例を示すMg基負極材のサイクル電圧時間結果を示すもので、Mg―CNT(カーボンナノチューブ)の場合を示している。 本発明のMg基負極材が使用されるMg二次電池の概略的な構成を示す模式図である。
本発明の効果を得るためのMg基素材は、MgおよびMg基合金のMg母相および結晶粒界のいずれか、または両方に、酸化物、窒化物、炭化物、炭素のうち少なくともいずれか一種類が分散している。酸化物は、例えばAl(アルミナ)、Y(イットリア)、ZrO(ジルコニア)、TiO(チタニア)、SiO(シリカ)、CuO(酸化銅)である。窒化物は、例えばGaN(窒化ガリウム)、LiN(窒化リチウム)である。炭化物は、例えばTiC(炭化チタン)、SiC(炭化ケイ素)である。炭素は、例えばC(黒鉛)、C60(フラーレン)、CNT(カーボンナノチューブ)などを意味する。これらの化合物の含有量は、Mg基複合材全体に対して25%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下である。分散量が25%を超えると、Mgとの濡れ性や密着性が低下するため、展伸加工時にMg界面で剥離が起こりやすくなり、1mm以下のバルク体に創製することが難しい。また、分散量が多いと、前記の化合物によってMg独自の電気化学特性が阻害されるため、優れた電気化学特性が得られない。
展伸加工後のMg基バルク体の厚さは、1mm以下であることが好ましい。より好ましくは、0.5mm以下、さらに好ましくは0.3mm以下である。なお、展伸加工とは、押出や圧延、鍛造をはじめとするバルクにせん断ひずみを付与する加工のことである。負極材として使用する場合、電解液に接する表面積が大きいほど電気化学効率に優れるため、厚さが1mmを超えると、その効率低下を引き起こす。また、二次電池の重量が大きくなり、軽量化のメリットが低減する。また、展伸加工後のMg母相の結晶粒サイズは、1000μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましくは、50μm以下であることがさらに好ましい。Mgの溶解は、結晶粒界がサイトになりやすい。そのため、厚さが1mm(=1000μm)で結晶粒サイズが1000μmを超えるMg基複合材を負極として使用した場合、負極内に存在する結晶粒界の体積率が極めて少ない。そのため、均一に溶解挙動が起こりにくく、所定の電気化学特性を取得することができない問題がある。結晶粒サイズの測定は、JIS規格に基づいた切片法(切断法ともいう。JIS H0501、G0551参照)または電子線後方散乱回折によって取得した像から、付属の解析ソフト(例えば、EDAX-TSLver.7)によって自動計測してもかまわない。結晶粒サイズが微細な場合や、結晶粒界が不鮮明な場合、切片法の使用が困難であるため、透過型電子顕微鏡によって得られる明視野像などを用いて、測定してもかまわない。
展伸加工後のMg基複合材に分散する酸化物、窒化物、炭化物などの化合物粒子や炭素粒子は、光学顕微鏡や電子線後方散乱回折法によって分散状態を確認することができる。分散粒子の数密度すなわち分散率は、光学顕微鏡によって取得した像を活用し、点算法によって計測することが好ましい。また、電子線後方散乱回折によって取得した像から、付属の解析ソフトにより分散率を取得してもかまわない。
Mg基複合材に添加する前記の粒子は、溶融状態にあるMgに溶解または反応しないため、重力鋳造、砂型鋳造、ダイキャストなどの鋳造法を活用して作製することができない。そのため、Mg粉末と前記の化合物粉末や炭素粉末を混合、攪拌し、その後、温間または熱間温度域で粉末同士を結合、焼結させる必要がある。いずれの粉末も、大きさが0.5ミクロン以上1000ミクロン以下、好ましくは0.5ミクロン以上500ミクロン以下、より好ましくは0.5ミクロン以上100ミクロン以下である。1000ミクロンを超える粉末を出発粉末とすると、粉末同士の被表面積が低下するため、結合、焼結が促進されず、健全なバルク体を作製することができない。一方、粉末の大きさが0.5ミクロン未満の場合、被表面積が増加する長所があるが、Mg粉末は酸素と結合しやすくなり、混合、攪拌中に発火する危険があり、作業安全面の観点から好ましくない。ただし、粉末同士の結合、焼結は、上記の粉末焼結法だけでなく、展伸加工法を活用して粉末を結合させMg基複合材を得ても良い。また、半溶融凝固プロセスを用いてビレットを創製し、その後、展伸加工によってMg基複合材を得ても良い。
本実施形態で用いられる電解液について説明する。電解液には、Mg塩と有機溶媒が含まれる。Mg塩は有機溶媒に溶解することで解離し、有機溶媒が配位したMg錯カチオンを形成する。この錯カチオンが電気化学的Mg析出溶解活性を担うため、より解離性の高いMg塩を用いた場合に、良好な電気化学特性が得られる傾向にある。良好な電気化学特性を示す電解液としてフルオロアルコキシほう酸Mg塩を、あるいはフルオロアルコキシアルミネートMg塩を、有機エーテル類と配合した電解液がある。
本実施形態で用いられるMg塩は、フルオロアルコキシほう酸アニオン、あるいはフルオロアルコキシアルミネートアニオンを対アニオンとして有する。なお、本実施形態で用いられるMg塩のフルオロアルコキシ基は、特に限定しない。なお、本実施形態で用いられるMg塩としては、テトラキス(ヘキサフルオロイソプロポキシ)ほう酸Mg塩あるいはテトラキス(ヘキサフルオロイソプロポキシ)アルミネートMg塩が用いられる。
Mg合金の電気化学特性について説明する。二極式セルを用いたサイクル計測において、好ましくは5回以上、より好ましくは25回以上、更に好ましくは50回以上のサイクル特性を示す。サイクル特性が5回未満の場合、電解液との副反応の問題があるため、負極として適応することができない。また、化学的析出溶解試験に取得できる過電圧は、好ましくは100mV以下、より好ましくは80mV以下、さらに好ましくは50mV以下である。過電圧が80mV以上であると、電池電圧の損失が大きいため、負極として適応することができない。サイクル計測試験や電気化学的析出溶解試験に使用する電解質は、0.1mol/L以上1.5mol/L以下のフルオロアルコキシほう酸Mg塩をあるいはフルオロアルコキシアルミネートMg塩を溶質として有機エーテル類と配合した電解液の使用が望ましいが、溶質には塩化アルキルマグネシウムや塩化マグネシウム、マグネシウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド塩、マグネシウムヘキサメチルジシラジド塩などを代用してもかまわない。
本実施形態で用いるテトラキス(ヘキサフルオロイソプロポキシ)ほう酸Mg塩は、水素化ホウ素Mg塩と、ヘキサフルオロイソプロパノールとを反応させることでも合成できる。しかし、水素化ホウ素Mg塩を原料に合成したテトラキス(ヘキサフルオロイソプロポキシ)ほう酸Mg塩を溶質として有機エーテル類と配合した電解液は、二極式セルを用いた電気化学的析出溶解試験のサイクル計測において、5~10回程度の予備サイクルを回さないと、十分な特性を示さない。これに対して、本実施形態で合成したテトラキス(ヘキサフルオロイソプロポキシ)ほう酸Mg塩を溶質として有機エーテル類と配合した電解液は、二極式セルを用いた電気化学的析出溶解試験のサイクル計測において、1回目のサイクルから過電圧80mV程度を示す。
(材料創製)
市販の純Mg粉末(粉末径180μm)と、市販のAl粉末(粉末径2~3μm)を用いた。Al粉末は、Mg基複合材のMg母相に分散するAl粒子の面積率;10%に相当するようにそれぞれ秤量し、乳鉢内にて、Mg粉末と乾式混合した。その後、MgとAlの混合粉末を充填するために、外径40mm、長さ70mmからなる市販のMg合金(Mg-3Al-1Zn;AZ31)材を使用し、内径20mm、深さ55mmを機械加工にて穴を開け、コップ型形状からなる押出ビレットを作製した。前記、混合粉を押出ビレット内に充填した後、直径;20mm、厚さ;5mmからなるMg合金(AZ31)材を用いて密閉した。その後、250℃に設定したコンテナ内で30分間以上保持した後、押出比16:1にて押出による熱間展伸加工を行い、直径10mmで長さ500mm以上の形状からなる押出材を作製した。
添加した粉末が異なること以外は、上記実施例と全く同じ手順で、Mg粉末をビレットに充填し、押出加工を行った。なお、Mg粉末の大きさは、平均粉末径180μmであり、イットリアをはじめとする化合物粉末や炭素粉末の大きさは、平均粉末径1~5μmである。
電子線後方散乱回折手法によって取得したMg―Al複合材とMg―Yの微細組織観察例を図1と図2に示す。図1は、本発明の一実施例を示すMg―Al(アルミナ)の微細組織観察例で、(A)は電子線後方散乱回折手法による微細組織写真、(B)は結晶方位と濃淡の関係図で、六方晶でのミラー指数で(0001)、(1-21-0)、(011-0)の場合を示している。ここで、ミラー指数での“1-”は1の上線(オーバーライン)を表している。(C)も結晶方位と濃淡の関係図で、六方晶のミラー指数で(0001)、(1-21-0)、(101-0)の場合を示している。
図2は、本発明の一実施例を示すMg―Y(イットリア)の微細組織観察例で、(A)は電子線後方散乱回折手法による微細組織写真、(B)は結晶方位と濃淡の関係図で、六方晶でのミラー指数で(0001)、(1-21-0)、(011-0)の場合を示している。(C)も結晶方位と濃淡の関係図で、立方晶のミラー指数で(001)、(010)、(111)の場合を示している。
同一のコントラストからなる塊がMg相からなる結晶粒一つであり、その大きさは20μmである。添加した化合物の種類や炭素に関係なく、いずれも平均結晶粒サイズが100μm以下である。
比較例
化合物や炭素などの粉末を添加せず、Mg粉末のみを用いたこと以外は、上記実施例と全く同じ手順で、Mg粉末をビレットに充填し、押出加工を行った。なお、Mg粉末の大きさは、平均粉末径180μmである。また、押出加工後のMg相からなる結晶粒の大きさ(平均)は、電子線後方散乱回折手法による測定の結果、20μmであった。以下、純Mgと称する。
(電気化学評価)
次に、電気化学評価によって取得した特性を明記する。電解液の調製、2極式セルの組み立てなどのすべての操作はアルゴン雰囲気のグローブボックスにおいて行った。テトラキス(ヘキサフルオロイソプロポキシ)ほう酸マグネシウム塩をジエチレングリコールジメチルエーテルと配合し、電解液を調製した。Mg合金を作用電極とし、ガラス繊維フィルターをセパレータとして0.2mLの上記電解液を滴下し、多孔質炭素材料を対極として、2極式セルを組み立てた。0.5mAcm-2の電流密度で定電流電圧テストを行った。
複合材の定電流電圧測定プロファイルを図4A、Bに、マグネシウム析出溶解反応のクーロン効率を図5A、Bに示す。
図4Aに示す定電流電圧測定プロファイルにおいて、0Vvs.Mgを基準として、負の電圧が印可されている領域ではマグネシウム析出反応が、正の電圧が印可されている領域ではマグネシウム溶解反応が起きている。また析出、溶解いずれの反応も、0Vvs.Mgからの偏差が過電圧に対応する。析出-溶解の1サイクルにおいて、マグネシウム析出に要した電流量とマグネシウム溶解に要した電流量の比を取ることでクーロン効率が算出できる。図4Bから分かるように、複合材は純粋なマグネシウム金属材と同様のマグネシウム析出溶解特性を示し、複合成分はマグネシウム析出溶解反応を阻害しないことが分かった。特にCNT(カーボンナノチューブ)を複合化した場合には、析出溶解の過電圧が純Mg材よりも低下し、析出溶解反応を促進することが分かった。
図5A、Bに、各種複合材の定電流電圧測定から算出したクーロン効率を示す。複合材の種類によってクーロン効率は異なり、AlやSiOなど酸化物の複合材ではクーロン効率は純Mg材よりも低下した。一方で、CNTを複合化した場合には、純Mg材よりも高いクーロン効率を示した。純Mg材では30サイクル以降にクーロン効率の低下が確認されたが、CNT複合材では100サイクルに亘って極めて安定にマグネシウム析出溶解反応が起こることが分かった。
図6は、本発明のMg基負極材が使用されるMg二次電池の概略的な構成を示す模式図である。同図に示すとおり、Mg二次電池1は、正極11と、負極12と、電解液13と、容器14を備えている。
正極11においては、図示しない正極集電体によって、図示しない正極活物質が保持されている。正極集電体は、放電時に正極活物質に電子を供与する機能を有する。正極集電体として使用される物質は、ニッケル、鉄、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム等が、耐食性が比較的優れていることと、安価であることから好ましく用いられる。正極活物質として使用される物質は、Mgイオンを挿入及び脱離可能なものであれば特に制限されないが、MgFeSiO、MgMn、又はV等が好ましく用いられる。正極11の具体的な構成としては、例えばステンレス上にVを塗工した構成が挙げられる。
負極12には、本発明のMg基負極材が用いられる。
電解液13は、図示しないセパレータによって保持され、正極11と負極12との間にイオン電導性を生じさせる。電解液13は、Mgイオンを含む。放電時にMgイオンは正極11で還元反応(例えば、後述の式(1)の反応)を、負極12で酸化反応(例えば、後述の式(2)の反応)を起こす。充電時にMgイオンは正極11で酸化反応(例えば、後述の式(3)の反応)を、負極12で還元反応(例えば、後述の式(4)の反応)を起こす。これら酸化還元反応により、Mg二次電池の充放電が可能となる。
[化1]
+Mg2++2e- → MgV … 式(1)
Mg → Mg2++2e- … 式(2)
MgV → V+Mg2++2e- … 式(3)
Mg2++2e- → Mg … 式(4)
これら正極11、負極12、電解液13は、容器14に封入される。容器14の材質等は電解液の漏れがなく、耐食性を有するものであれば特に制限されないが、鉄等の金属板をプレス加工して形成され、内面及び外面の表面全体に耐食のためのニッケル等のめっき層が形成されたもの等が好ましく用いられる。
本実施形態に係る電解液13は、主溶媒としての有機溶媒と、Mg塩を含むものでもよく、またMgイオン伝導性を有する無機溶媒でもよい。
なお、上記の本発明の実施形態は、Mg二次電池の一例を説明したものにすぎず、制限的に解釈されるべきものではなく、Mg二次電池の技術分野において自明な技術的事項も含まれる。
本発明のMg基合金は、優れた電気化学特性を示すことから、Mg一次電池はもちろんのことMg二次電池用のMg基負極材として使用が可能である。
本発明のMg基負極材は、Mg二次電池に用いることができる。
また、Mgは低密度であり、素材の厚さが薄いため、本発明のMg基負極材の組成を有するMg基合金箔として、アルミニウム箔に代替できる軽量箔材として適応が可能である。
1…Mg二次電池
11…正極
12…負極
13…電解液
14…容器

Claims (10)

  1. Mg基複合材であって、炭化物、窒化物、酸化物および炭素のうちいずれか一種類または複数種類の粒子が含有し、Mg母相、結晶粒界のいずれかまたはいずれにも分散するMg基負極材。
  2. 前記酸化物は、Al(アルミナ)、Y(イットリア)、ZrO(ジルコニア)、TiO(チタニア)、SiO(シリカ)、又はCuO(酸化銅)であり、
    前記窒化物は、GaN(窒化ガリウム)、又はLiN(窒化リチウム)であり、
    前記炭化物は、TiC(炭化チタン)、又はSiC(炭化ケイ素)であり、
    前記炭素は、C(黒鉛)、C60(フラーレン)、又はCNT(カーボンナノチューブ)である請求項1に記載のMg基負極材。
  3. 前記Mg基複合材は、Mg-Al系合金、Mg-Zn系合金、Mg-Ca系合金、Mg-Bi系合金、又はMg-Mn系合金からなるMg基合金を含む請求項1又は2に記載のMg基負極材。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載のMg基負極材であって、Mg基複合材の厚みが1mm以下のMg基負極材。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載のMg基負極材であって、切片法によって計測したMg母相の平均サイズが10μm以上であり、炭化物、窒化物、酸化物および炭素のうちいずれか一種類または複数種類の前記粒子の分散体積率が、Mg基複合材全体に対して25%以下であることを特徴とするMg基負極材。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載のMg基負極材であって、三極式セルを用いたサイクル計測において、50回以上のサイクル特性を示すことを特徴とするMg基負極材。
  7. 請求項1から5のいずれかに記載のMg基負極材であって、Mg金属の電気化学的析出溶解試験において、過電圧30mV以下の特性を示すことを特徴とするMg基負極材。
  8. 請求項1から5のいずれかに記載のMg基負極材であって、Mg金属の電気化学的析出溶解試験において、電極電位±0.5Vのときに、±10mAcm-2以上の電流密度を示すことを特徴とするMg基負極材。
  9. 請求項1から8のいずれかに記載のMg基負極材と、電解質と正極によって構成されたMg二次電池。
  10. サイクル計測で10回以上のサイクル特性を示すことを特徴とする請求項9に記載のMg二次電池。
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