JP2022178148A - 木質床材及び木質床材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】施工が容易であり、木質床材の沈み込みが生じず、かつ、木質床材が設置される下地の不陸を吸収することが可能な木質床材及び木質床材の製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】木質床材は、木質基材2と、木質基材2の表面側に設けられる化粧材4と、木質基材2の裏面側に直接的に接合されている吸着材3とを備え、木質基材2の厚さが、1.5mm以上3.0mm以下であり、吸着材3の厚さが、0.2mm以上0.5mm以下であり、吸着材3の平面引張り試験による密着力が、0.045N/mm2以上0.075N/mm2以下である。【選択図】図1
Description
本発明は、木質床材及び木質床材の製造方法に関するものである。
建築物の内装の改修において、床材を新設する際、既存の床材を撤去せずに、既存の床材の表面上に新しく床材を設置する場合がある。これにより、強固に接着されている下地材から床材を剥がしたり、下地面を再度平滑化したりする作業が不要になるため、簡易にリフォーム(改修)工事を行うことができる。
下記の特許文献1では、木質基材の裏面側に密着層が設けられ、かつ、木質基材の厚さが0.8mm~2.0mmである木質床材であって、不陸のある下地材であっても、追加的な作業手間を要することなく、下地材に良好に密着させることが可能な技術が開示されている。
リフォーム工事において既設の床面に対して床材が敷設される建築物としては、既存店舗や住宅などがある。既存店舗では、床材表面に生じている不陸が大きく、不陸の数も多い。そのため、店舗のリフォーム用床材としては、図5に示す木質床材50のように、木質基材51の厚さを0.8mm~2.0mmとして、木質基材51が撓みやすい弾性を有する材質とする場合がある。これにより、比較的大きい不陸のある床材表面に、リフォーム用床材を敷設する場合において、不陸を吸収することができる。図5における木質床材50は、敷設されたときの上面側から化粧材54、木質基材51、クッション材52、吸着材53、離型シート55の順に積層されている。
また、店舗では、住宅に比べて、店員や来店客などのユーザーが立ったままの時間が長く、歩行頻度が高いため、図5に示すように、合成樹脂発泡体などのクッション材52が積層された木質床材50が使用される。
他方、クッション材52を有する木質床材50を住宅等に適用した場合、椅子の脚やキャスターによる荷重がかかると木質床材50が沈み込んでしまい、隣接する木質床材50との間で段差が生じるおそれがある。段差が生じた状態では、隣接する木質床材50の木質基材51の木口面が露出する。その結果、椅子の脚やキャスターを引きずったとき、脚やキャスターが木質基材51の木口と接触し、木質床材50が欠けてしまうという問題が生じる。したがって、椅子の引きずりなどが起きる住宅においてリフォーム用床材を敷設する場合、床材の沈み込みによる床材の欠けなどの不具合を防止する必要がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、施工が容易であり、木質床材の沈み込みが生じず、かつ、木質床材が設置される下地の不陸を吸収することが可能な木質床材及び木質床材の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の木質床材及び木質床材の製造方法は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明に係る木質床材は、木質基材と、前記木質基材の表面側に設けられる化粧材と、前記木質基材の裏面側に直接的に接合されている密着層とを備え、前記木質基材の厚さが、1.5mm以上3.0mm以下であり、前記密着層の厚さが、0.2mm以上0.5mm以下であり、前記密着層の平面引張り試験による密着力が、0.045N/mm2以上0.075N/mm2以下である。
すなわち、本発明に係る木質床材は、木質基材と、前記木質基材の表面側に設けられる化粧材と、前記木質基材の裏面側に直接的に接合されている密着層とを備え、前記木質基材の厚さが、1.5mm以上3.0mm以下であり、前記密着層の厚さが、0.2mm以上0.5mm以下であり、前記密着層の平面引張り試験による密着力が、0.045N/mm2以上0.075N/mm2以下である。
この構成によれば、木質基材の厚さが1.5mm以上3.0mm以下であることから、木質床材としての剛性が確保され、密着層の厚さが0.2mm以上0.5mm以下であることから、クッション材などの衝撃吸収層が設けられない場合であっても、密着層のみで不陸を吸収でき、かつ、荷重による密着層の沈み込みが生じにくい。また、密着層の平面引張り試験による密着力が、0.045N/mm2以上0.075N/mm2以下であることから、不陸が比較的小さい床において、吸着性能を確保でき、かつ、施工が容易となる。
上述した木質床材において、前記密着層の前記木質基材とは反対側の面に設けられる離型シートを更に備え、前記離型シートは、合成樹脂発泡体でもよい。
この構成によれば、木質床材の保管時や運搬時には離型シートによって密着層が露出されず、木質床材の施工時に離型シートが剥離されることで密着層が露出される。離型シートが合成樹脂発泡体であることから、密着層の厚さが0.2mm以上0.5mm以下である場合において、密着層に密着した状態とされやすい。
上述した木質床材において、前記離型シートの比重が、0.9g/cm3以上1.1g/cm3以下であることが望ましい。
この構成によれば、離型シートの比重が、0.9g/cm3以上1.1g/cm3以下であることから、木質床材を切断して所望の形状とする際に、離型シートが割れたり、密着層から浮いたりするなどの不具合が起きにくい。
上述した木質床材において、前記離型シートの厚さが、0.03mm以上0.07mm以下であることが望ましい。
この構成によれば、離型シートの厚さが、0.03mm以上0.07mm以下であることから、木質床材を切断して所望の形状とする際に、離型シートが割れたり、密着層から浮いたりするなどの不具合が起きにくい。
上述した木質床材において、前記木質基材の曲げ剛性が、15×104N・mm2以上150×104N・mm2以下であることが望ましい。
この構成によれば、木質基材の曲げ剛性が、15×104N・mm2以上150×104N・mm2以下であることから、木質床材としての剛性が確保される。
本発明に係る木質床材の製造方法は、厚さが1.5mm以上3.0mm以下である木質基材の表面側に化粧材を設ける工程と、前記化粧材が設けられた前記木質基材の裏面側に厚さが0.2mm以上0.5mm以下である密着層を設ける工程と、前記密着層が設けられた前記木質基材を切断する工程とを有し、前記密着層の平面引張り試験による密着力が、0.045N/mm2以上0.075N/mm2以下である。
この構成によれば、化粧材が木質基材の表面側に設けられた後、密着層が木質基材の裏面側に設けられる。したがって、化粧材よりも先に密着層が木質基材に設けられ、その後に化粧材が木質基材に設けられる場合と異なり、密着層が木質基材に対して例えばロールプレスなどによって押し付けられる回数は1回であるため、密着層のつぶれを低減できる。
本発明によれば、施工が容易であり、木質床材の沈み込みが生じず、かつ、木質床材が設置される下地の不陸を吸収することができる。
以下に、本発明の一実施形態に係る木質床材1について、図面を参照して説明する。
木質床材1は、一方向に長い長尺状部材であり、複数の木質床材1が側端部の木口同士を対向させながら平行に配置されることによって、建築物の室内における床を形成する。木質床材1は、新設の床や、既存の床上に敷設されるリフォームの床のいずれの場合にも適用可能である。
木質床材1は、一方向に長い長尺状部材であり、複数の木質床材1が側端部の木口同士を対向させながら平行に配置されることによって、建築物の室内における床を形成する。木質床材1は、新設の床や、既存の床上に敷設されるリフォームの床のいずれの場合にも適用可能である。
木質床材1が施工される床は、オレフィンシート、化粧紙又は突板等の化粧材が貼られた木質基材の木質床材でもよいし、合成樹脂系の床材でもよい。いずれの場合でも、木質床材1は、床の表面に吸着される。
木質床材1は、図1に示すように、木質基材2と、吸着材3と、化粧材4と、離型シート5などを有し、施工されたときの上面側から、化粧材4、木質基材2、吸着材3、離型シート5の順に積層されている。図1は、本実施形態に係る木質床材1を示す縦断面図であって、木質床材1の長さ方向又は幅方向に対して平行に切断した図である。
木質基材2は、例えばMDF(中密度繊維板)である。なお、木質基材2は、この例に限定されず、他の繊維板、合板、単板積層材(LVL)、無垢材、集成材、又は、それらの複合板などの木質材でもよい。
木質基材2の側端部である四周木口には、雄実又は雌実が形成されず、平滑な面を有する。隣り合う木質床材1同士は、木口同士が突き付けられるようにして敷設される。これにより、雄実又は雌実が形成される場合と異なり、木質床材1の施工が容易となる。
木質基材2の裏面側は、凹状の条溝などが形成されず、平滑な面を有する。裏面に条溝が形成されていないことから、木質床材1が洗面所等の水回りに施工された場合や木質床材1上に水がこぼれた場合であっても、木質床材1同士の継目から木質基材2の裏面に水が浸入しづらい。したがって、条溝が形成されている場合と異なり、継目から条溝への水の浸入による吸着材3の吸着力の低下が生じず、木質床材1の剥離が生じにくい。
本実施形態に係る木質基材2の厚さは、例えば2mmである。住宅では既存店舗に比べて木質床材1の使用状況が良いことから、床の表面に生じている不陸が小さく、不陸の数も少ない。本実施形態に係る木質床材1は、店舗ほど下地材となる床に大きな不陸がなく、木質基材2を撓ませる必要がない住宅などの改修に適している。
木質基材2は、所定の厚さを有することによって、木質床材1の剛性を向上させることができる。本実施形態と異なり、木質基材の厚さが1mm前後である場合は、木質床材を片手で持った状態でも撓む。そのため、本実施形態に係る木質床材1のように、クッション材が積層されていない構成であると、簡単に折れやすく、木質床材としての耐久性に問題が生じる。
本実施形態に係る木質基材2の厚さは、1.5mm以上3.0mm以下であることが好ましく、より好ましくは2.0mm以上3.0mm以下である。木質基材の厚さが1.5mm未満である場合は、木質床材としての剛性が足りず折れてしまったり、撓みやすいため、木質基材に対する化粧材の貼り付けや木質床材の刃物による切断が困難になったりする。
住宅等の既設の床は、ほぼ平滑であるが、木質基材の収縮や膨張によって、既設の木質床材の端部同士が突き上がってしまい、凸部となった不陸が生じている場合がある。新たに敷設する木質床材の木質基材の厚さが3.0mmを超える場合は、剛性が高すぎるため、既設の床の表面に生じている不陸に対して木質床材がなじまず、吸着材が床に対して十分に吸着できない。また、厚みを有することから、カッター等によって容易に切断できず、施工に手間や時間がかかる。
木質基材2の曲げ剛性は、例えば、15×104N・mm2以上150×104N・mm2以下である。なお、この曲げ剛性の値は、上述した木質基材2の幅が150mm、ヤング係数が4400N・mm2で算出したときの値である。
木質基材2の裏面側には、吸着材3が直接的に接合されている。木質基材2と吸着材3の間には、合成樹脂発泡体であるクッション材などが設置されない。
吸着材3は、木質床材1を下地材となる床に対して固定させる。吸着材3は、密着層の一例である。吸着材3は、例えばアクリル系樹脂発泡体である。アクリル系樹脂発泡体は、例えばフィルム又はシートであり、木質基材2に接着される。アクリル系樹脂発泡体は、塗布剤であるアクリル樹脂が木質基材2に塗布されて層状に形成されたものでもよい。アクリル系樹脂発泡体の表面に形成される複数の微細な気泡による凹部それぞれが吸盤となって、吸着材3が下地材や既存の床に吸着する。
なお、本発明に係る密着層は、上述した吸着材3に限定されない。密着層は、例えば、木質床材1を下地材となる床に対して固定できればよく、例えば、アクリル系、シリコーン系、ゴム系、ウレタン系、又は、ポリエステル系の粘着剤でもよい。
吸着材3の平面引張り試験による吸着力は、0.045N/mm2以上0.075N/mm2以下である。住宅では既存店舗に比べて床の使用状況が良いことから、床の表面に生じている不陸が小さく(高さ方向約1mm以内の不陸であり)、不陸の数も少ない。上述した吸着力の範囲によれば、不陸が比較的小さい床に対する吸着性能を確保できる。本実施形態に係る木質床材1は、店舗ほど下地となる床に大きな不陸がなく、高い吸着力が要求されない住宅などの用途の建築物に適している。
木質床材1は、比較的低い吸着力を有していることから、居住者等の内装建材に関する施工経験が乏しい人でも施工しやすい。すなわち、吸着材3の吸着力は、間違った位置に敷設した際でも貼り直しや横ずらしが可能な程度の範囲に設定されている。吸着力が0.045N/mm2未満である場合は、吸着力が弱過ぎるため、簡単に剥がれてしまう。また、吸着力が0.075N/mm2を超える場合は、吸着力が強過ぎるため、貼り直しの際に剥がしにくく施工しづらい。
吸着材3の厚さは、例えば0.3mmである。木質床材1は、衝撃吸収層となるクッション材などが設けられない。吸着材3が所定の厚さを有することによって、吸着材3単独で小さい不陸を吸収でき、下地となる床になじみながら吸着することができる。吸着材3の厚さは、0.2mm以上0.5mm以下であることが好ましい。吸着材の厚さが0.2mm未満である場合は、下地面の凹凸に対して吸着材がなじみにくいため、十分な吸着力を発揮できない。また、吸着材の厚さが0.5mmを超える場合は、吸着材の厚さ方向において吸着機能を発揮しない余剰部分ができてしまい、吸着材自身にクッション性が生じる。その結果、椅子の脚やキャスターによる荷重がかかると、余剰部分を有する吸着材が沈み込んで、隣り合う木質床材との間で段差が生じてしまう。その結果、椅子の脚やキャスターを引きずったとき、脚やキャスターが木質基材の木口と接触し、木質床材が欠けてしまうおそれがある。
木質基材2の表面側には、化粧材4が設けられる。化粧材4は、例えばオレフィンシートなどの合成樹脂シート、化粧紙、突板などである。
なお、木質基材2と化粧材4が接着される場合、又は、木質基材2と吸着材3が接着される場合において、接着剤としては、酢酸ビニル系樹脂、PUR(ポリウレタンリアクティブ)系ホットメルト等が使用される。
吸着材3の木質基材2とは反対側の面、すなわち、吸着材3の表面には、施工前の保管時や運搬時において離型シート5が貼付されていることが望ましい。これにより、木質床材1の保管時や運搬時には離型シート5によって吸着材3が露出されず、施工前に吸着材3の吸着性が低下することを防止できる。離型シート5は、施工時に剥離されて、吸着材3を露出させてから、木質床材1が床に敷設される。
離型シート5は、シート状の合成樹脂発泡体であることが好ましい。離型シート5は、例えば、発泡ポリエチレンテレフタレートシート(以下「発泡PETシート」ともいう。)である。離型シート5が合成樹脂発泡体であることから、吸着材3の厚さが0.2mm以上0.5mm以下である場合において、離型シートが紙や発泡体ではない合成樹脂シートであるときと異なり、吸着材3に密着した状態とされやすい。また、木質床材1を切断して所望の形状とする際に、離型シート5が割れたり、密着層から浮いたりするなどの不具合が起きにくい。
次に、本実施形態に係る木質床材1の製造方法について説明する。
ここで説明する製造される木質床材1は、木質基材2がMDF、吸着材3がアクリル系樹脂発泡体、化粧材4がオレフィンシート、離型シート5が発泡PETシートである。
ここで説明する製造される木質床材1は、木質基材2がMDF、吸着材3がアクリル系樹脂発泡体、化粧材4がオレフィンシート、離型シート5が発泡PETシートである。
まず、木質基材2となる板状のMDFが用意される。用意されるMDFは、例えば3尺幅×6尺幅である。このMDFの一方の面(表面)に、接着剤が塗布されて、化粧材4となるオレフィンシートが貼着される。MDFにオレフィンシートを貼着する際、例えばロールプレスが行われる。
また、吸着材3となるシート状のアクリル系発泡体と、離型シート5となる発泡PETシートが一体化されて、アクリル系発泡体と発泡PETシートが一体となった吸着シートが作製される。吸着シートは、上述したMDFとは別の部材として用意される。吸着シートは、本発明に係る密着シートの一例である。
次に、MDFの他方の面(裏面)に、接着剤が塗布されて、アクリル系発泡体がMDF側となるように、上述した吸着シートが貼着される。MDFに吸着シートを貼着する際、例えばロールプレスが行われる。なお、上述した例では、アクリル系発泡体と発泡PETシートが一体となった吸着シートを作製する場合について説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、吸着材3となるアクリル系発泡体をMDFの他方の面(裏面)に設けて、その後、離型シート5となる発泡PETシートをアクリル系発泡体の露出面側に貼着してもよい。
上記工程によれば、化粧材4となるオレフィンシートが木質基材2となるMDFの表面側に設けられた後、離型シート5となる発泡PETシートと吸着材3となるアクリル系発泡体が一体化された吸着シートが、木質基材2の裏面側に貼着される。したがって、化粧材よりも先に吸着材が木質基材に設けられ、その後に化粧材が木質基材に設けられる場合と異なり、アクリル系発泡体がMDFに対して例えばロールプレスなどによって押し付けられる回数は1回であるため、吸着材3のつぶれを低減できる。
そして、表面側にオレフィンシートが、裏面側に吸着シートが貼着されたMDF(上述したサイズの場合、例えば3尺幅×6尺幅)が、小割りサイズに切断される。
その後、小割りサイズに切断されたMDFが、製品サイズ(例えば150mm×900mm)に切削されながら、必要な場合は、化粧材4が設けられた表面側の角部に面取りが形成される。
以上より、製品サイズを有する木質床材1が製造される。製造された木質床材1は、表面側から化粧材4、木質基材2、吸着材3、離型シート5の順に積層されている。
次に、本実施形態に係る木質床材1の施工方法について説明する。
まず、木質床材1を敷設しようとする床の表面における汚れや塵埃を取り除いておく。
そして、敷設する木質床材1の裏面に貼付された離型シート5を剥がし、吸着材3の吸着面を露出させる。その後、吸着材3が露出した木質床材1を床面に配置して、木質床材1の表面側から押圧しつつ木質床材1を付着させる。このとき、吸着材3は、発泡体の中空構造が押しつぶされて、木質床材1は高さ方向に更に沈み込みにくい状態となる。また、吸着材3の厚さ方向において吸着機能を発揮しない余剰部分ができない。
まず、木質床材1を敷設しようとする床の表面における汚れや塵埃を取り除いておく。
そして、敷設する木質床材1の裏面に貼付された離型シート5を剥がし、吸着材3の吸着面を露出させる。その後、吸着材3が露出した木質床材1を床面に配置して、木質床材1の表面側から押圧しつつ木質床材1を付着させる。このとき、吸着材3は、発泡体の中空構造が押しつぶされて、木質床材1は高さ方向に更に沈み込みにくい状態となる。また、吸着材3の厚さ方向において吸着機能を発揮しない余剰部分ができない。
次に、別の木質床材1について、裏面に貼付された離型シート5を剥がし、既に配置された木質床材1の隣に、新たに吸着材3を露出させた木質床材1を床下地材上又は既存の木質床材1上に配置して付着させる。このとき、先に敷設された木質床材1の木口と、隣接して敷設しようとする木質床材1の木口同士を対向させて、突き付けるようにして別の木質床材1を配置する。
壁際などに沿わせて木質床材1を施工する場合には、任意の形状となるように木質床材1をカッター等の工具で切断する。カッターで切断する場合は、木質床材1の化粧材4側と吸着材3側から複数回切れ目を入れるように刃を入れることが好ましい。
なお、吸着材3による吸着性を高めるため、木質床材1を敷設しようとする床は、表面が平滑な材質であることが望ましい。床材に直接敷設する場合に限定されず、床下地材上又は既存の床材上に合成樹脂を塗布又は合成樹脂シートを貼付することによって、表面を平滑にしてもよい。
次に、図2を参照して、本実施形態に係る木質床材1に設けられた吸着材3の吸着力の試験方法について説明する。
吸着材3が発揮する吸着力の測定は、合板の日本農林規格(JAS)の平面引張り試験に準拠した試験方法で行った。試験では、測定対象となる吸着材3の露出面を、被着体21に密着させた。被着体21は、JIS Z 0237(粘着テープ・粘着シート試験方法)において被着体として用いられているSUS304BA鋼板を採用した。
試験の際、被着体21は、下側チャック23内に納められる。20mm×20mmの試験体である木質床材1の表面の化粧材4側(オレフィンシート側)が、シアノアクリレート系接着剤で専用治具22に接着され、専用治具22が、上側チャック24に係合される。試験体である木質床材1の吸着材3と被着体21が密着された状態で測定を開始し、下側チャック23が固定されたまま上側チャック24を毎分5880N以下の荷重で上昇させる。そして、木質床材1が被着体21から剥がれる時に測定される最大荷重の値を吸着材3の吸着力として記録する。
次に、本実施形態に係る離型シート5について詳しく説明する。
離型シート5は、材質として合成樹脂発泡体、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂発泡体を使用することが好ましい。離型シート5をシート状のポリエチレンテレフタレート樹脂発泡体(発泡PETシート)とすることによって、木質床材1として製造された後の保管時又は運搬時の吸着材3の表面(吸着面)を平滑に保つことができ、木質床材1を敷設したときの床面と吸着材3の吸着面が接触する実質上の面積を確実に確保できる。その結果、木質床材1が所望の吸着性能を発揮でき、木質床材1が床面から剥離しにくくなる。
離型シート5は、材質として合成樹脂発泡体、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂発泡体を使用することが好ましい。離型シート5をシート状のポリエチレンテレフタレート樹脂発泡体(発泡PETシート)とすることによって、木質床材1として製造された後の保管時又は運搬時の吸着材3の表面(吸着面)を平滑に保つことができ、木質床材1を敷設したときの床面と吸着材3の吸着面が接触する実質上の面積を確実に確保できる。その結果、木質床材1が所望の吸着性能を発揮でき、木質床材1が床面から剥離しにくくなる。
吸着材3に適用する離型シートの材質として通常用いられている紙を採用することも考えられる。紙製の離型シートは、吸着材3に対する吸着力が比較的弱い。そのため、紙製の離型シートは、製造工程時において生じる木質基材2に設けられた吸着材3の動きに影響を受けやすい。すなわち、木質床材1において吸着材3は所定の範囲内で厚さを維持しているが、アクリル発泡樹脂体であって厚さが約0.3mm前後の吸着材3は、柔軟性を有しており、振動等によってわずかな動きが生じる。
吸着材3が動いた場合、紙製の離型シートと吸着材3との間の吸着度合いの低い部分では、紙製の離型シートがずれて断面が波形状の皺ができてしまう。その結果、離型シートの皺の形状が吸着材3に転写され、吸着材3の吸着面が平滑面ではなく、皺状に固定されたままになるという問題が生じる。吸着材3に形成された皺は凹み部分を有するため、吸着材3が床面と接触しない部分が生じ、施工時に十分な吸着力を発揮することができない。これに対し、離型シート5をシート状の合成樹脂発泡体、例えば発泡PETシートとすることによって、離型シート5のずれを防止でき、吸着材3の吸着面を平滑面に維持できる。
また、吸着材3に適用する離型シートの材質として発泡体ではないポリエチレンテレフタレート樹脂シート(単なるPETシート)を採用することも考えられる。しかし、単なるPETシートは、発泡PETシートに比べて撓みにくい性質を有する。
木質床材1の製造工程には、上述したとおり、離型シート5が貼られた状態で製品サイズに切断する工程がある。図3及び図4には、木工機械30に設けられた刃31によって、木質床材1を切断する状態を示す。離型シートをPETシートとした場合、木質床材1の切断時に、刃31の回転によって、PETシートの切断部分から平面内側にわたって割れてひびが入ったり、又は、図4に示すように、吸着材3から浮いてしまったりする。その結果、吸着材3とPETシート製の離型シートの間に木粉が混入してしまうという不具合が生じる。木質床材1の角部に面取りを形成する場合にも同様の問題が生じうる。
そこで、本実施形態に係る離型シート5では、比重が1.0g/cm3前後の発泡PETシートを採用することによって、単なるPETシート(比重は1.4g/cm3)よりも撓みやすくする。これにより、切断時の加工性が高まり、木質床材1を切断して所望の形状とする際に、離型シート5が割れたり、吸着材3から浮いたりするなどの不具合が起きにくい。
離型シート5は、シート状の合成樹脂発泡体であって、離型シート5が割れたり、密着層から浮いたりしなければ、PET以外の材質でもよい。例えば、離型シート5は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)等の発泡体でもよい。
離型シート5の比重は、0.9g/cm3以上1.1g/cm3以下が好ましい。比重が0.9g/cm3未満である場合、又は、1.1g/cm3を超える場合、木質床材1の切断時に、離型シートの切断部分が割れやすくなる。比重が0.9g/cm3未満である場合は、シート状の合成樹脂発泡体の比重が小さくなるにつれて脆くなるため、耐久性が低いことから割れやすい。また、比重が1.1g/cm3を超える場合は、比重が高くなるにつれて撓みにくくなるため、刃31との接触時の反力が強くなり割れやすくなる。
離型シート5の厚さは、例えば、0.05mm(50μm)であり、好ましくは0.03以上0.07mm以下である。厚さが0.03mm未満である場合、又は、0.07mmを超える場合、木質床材1の切断時に、離型シートの切断部分が割れやすくなる。厚さが0.03mm未満である場合は、シート状の合成樹脂発泡体の厚さが薄くなるにつれて刃31が通りやすくなるため、耐久性が低いことから割れやすく、厚さが0.07mmを超える場合は、厚さが厚くなるにつれて撓みにくくなるため、刃31との接触時の反力が強くなり割れやすくなる。
以下、本実施形態に係る木質床材1が奏する作用効果について説明する。
既設の床は、ほぼ平滑であるが、使用によって凹凸が形成されて不陸が生じている場合や、木質基材の収縮や膨張によって、既設の木質床材1の端部同士が突き上がってしまい、凸部となった不陸が生じている場合がある。本実施形態に係る木質床材1は、木質基材2と吸着材3の総厚(合計厚さ)が1.7mm以上3.5mm以下であることから、高さ約1mm以下の不陸であれば、木質床材1を剥がれずに吸着施工することができる。なお、木質床材1を剥がれにくくするため、不陸の位置は、木質床材1の端部ではなく平面内側であることが望ましい。また、従来のリフォーム用床材の総厚が4mmから6mmであるのに対して、総厚が比較的薄いことから、本実施形態に係る木質床材1は、建具の下部におけるクリアランス内に納まりやすい。
既設の床は、ほぼ平滑であるが、使用によって凹凸が形成されて不陸が生じている場合や、木質基材の収縮や膨張によって、既設の木質床材1の端部同士が突き上がってしまい、凸部となった不陸が生じている場合がある。本実施形態に係る木質床材1は、木質基材2と吸着材3の総厚(合計厚さ)が1.7mm以上3.5mm以下であることから、高さ約1mm以下の不陸であれば、木質床材1を剥がれずに吸着施工することができる。なお、木質床材1を剥がれにくくするため、不陸の位置は、木質床材1の端部ではなく平面内側であることが望ましい。また、従来のリフォーム用床材の総厚が4mmから6mmであるのに対して、総厚が比較的薄いことから、本実施形態に係る木質床材1は、建具の下部におけるクリアランス内に納まりやすい。
本実施形態に係る木質床材1において、木質基材2と吸着材3の間には、合成樹脂発泡体であるクッション材などの衝撃吸収層が設置されないが、木質基材2の厚さは、1.5mm以上3.0mm以下であり、木質床材1としての剛性が確保されつつ、剛性が高すぎないため、小さな不陸に対して木質床材1をなじませることができる。
また、木質基材2の裏面側には、吸着材3が直接的に接合されており、吸着材3の平面引張り試験による吸着力は、0.045N/mm2以上0.075N/mm2以下である。これにより、不陸が比較的小さい床に対する吸着性能を確保でき、比較的高い吸着力を有していないことから、居住者等の内装建材に関する施工経験が乏しい人でも施工しやすい。
さらに、吸着材3の厚さが0.2mm以上0.5mm以下であることから、クッション材などの衝撃吸収層が設けられない場合であっても、吸着材3のみで不陸を吸収可能である。そして、吸着材3の厚さ方向において吸着機能を発揮しない余剰部分ができないため、吸着材3自身にクッション性が生じず、椅子の脚やキャスターによる荷重がかかったとき、吸着材3が沈み込むことがない。そのため、椅子の脚やキャスターを引きずったとき、脚やキャスターが木質基材2の木口と接触することがなく、木質床材1が欠けてしまうという不具合を解消又は低減できる。
本実施形態において、離型シート5が合成樹脂発泡体、例えば発泡PETシートであることから、吸着材3の厚さが0.2mm以上0.5mm以下である場合において、離型シートが、紙や発泡体ではない合成樹脂シートと異なり、吸着材3に密着した状態とされやすい。また、木質床材1を切断して所望の形状とする際に、離型シート5が割れたり、密着層から浮いたりするなどの不具合が起きにくい。
1,50 :木質床材
2,51 :木質基材
3,53 :吸着材(密着層)
4,54 :化粧材
5,55 :離型シート
21 :被着体
22 :専用治具
23 :下側チャック
24 :上側チャック
30 :木工機械
31 :刃
52 :クッション材
2,51 :木質基材
3,53 :吸着材(密着層)
4,54 :化粧材
5,55 :離型シート
21 :被着体
22 :専用治具
23 :下側チャック
24 :上側チャック
30 :木工機械
31 :刃
52 :クッション材
Claims (6)
- 木質基材と、
前記木質基材の表面側に設けられる化粧材と、
前記木質基材の裏面側に直接的に接合されている密着層と、
を備え、
前記木質基材の厚さが、1.5mm以上3.0mm以下であり、
前記密着層の厚さが、0.2mm以上0.5mm以下であり、
前記密着層の平面引張り試験による密着力が、0.045N/mm2以上0.075N/mm2以下である木質床材。 - 前記密着層の前記木質基材とは反対側の面に設けられる離型シートを更に備え、
前記離型シートは、合成樹脂発泡体である請求項1に記載の木質床材。 - 前記離型シートの比重が、0.9g/cm3以上1.1g/cm3以下である請求項2に記載の木質床材。
- 前記離型シートの厚さが、0.03mm以上0.07mm以下である請求項2又は3に記載の木質床材。
- 前記木質基材の曲げ剛性が、15×104N・mm2以上150×104N・mm2以下である請求項1から4のいずれか1項に記載の木質床材。
- 厚さが1.5mm以上3.0mm以下である木質基材の表面側に化粧材を設ける工程と、
前記化粧材が設けられた前記木質基材の裏面側に厚さが0.2mm以上0.5mm以下である密着層を設ける工程と、
前記密着層が設けられた前記木質基材を切断する工程と、
を有し、
前記密着層の平面引張り試験による密着力が、0.045N/mm2以上0.075N/mm2以下である木質床材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021084721A JP2022178148A (ja) | 2021-05-19 | 2021-05-19 | 木質床材及び木質床材の製造方法 |
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Publications (1)
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Family Applications (1)
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JP2021084721A Pending JP2022178148A (ja) | 2021-05-19 | 2021-05-19 | 木質床材及び木質床材の製造方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2022178148A (ja) |
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2021
- 2021-05-19 JP JP2021084721A patent/JP2022178148A/ja active Pending
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