JP2004316290A - 床材 - Google Patents

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Atsushi Makiguchi
篤 巻口
Kazuteru Kato
一照 加藤
Hiroshi Shibata
洋 柴田
Yoshiteru Horikawa
義晃 堀川
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Abstract

【課題】木質系や樹脂系などの硬質の床材基材を用いた床材であっても、下地への固定材が下地の不陸や段差に追従し、床鳴りの発生を抑えることができる床材を提供する。
【解決手段】床材基材1の裏面に、発泡材または繊維材などのクッション材2が設けられ、クッション材2の裏面の一部に、下地への固定材3が設けられてなる床材において、下地への固定材3に粘着材もしくは両面粘着テープを用いてあり、且つ、床材基材1とクッション材2との間の接着剤5等による接着位置4と、下地への固定材3の貼着位置とをずらしてあることを特徴とする床材である。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、戸建て住宅やマンション、オフィスビル等の建築物の床仕上げに使用する床材に関し、特に、下地への固定材が下地の不陸や段差に追従し、床鳴りの発生を抑えた床材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、床材と下地との固定材としては接着剤が用いられ、広く利用されている。しかし、接着剤は塗布時に専門の技術が必要であり、また塗布後も乾燥までに時間がかかるため、施工性において非常に不便なものであった。また、一旦、床材を下地に接着してしまうと、床材の傷付きなどにより、床材のその一枚だけを交換したい場合にも、一枚だけを剥がすことが困難であった。この為、両面粘着テープやピールアップ粘着材による施工方法が検討されている。
【0003】
ピールアップ粘着剤による施工では、塗布の難しさや乾燥性の悪さなどは接着剤使用の場合とほぼ同等である。しかし一旦下地に貼着した床材を剥がすことは容易であり、施工時に一旦貼った床材の位置を修正することも非常に容易で、施工性は接着剤よりも優れている。この為、粘着材による施工はタイルカーペットなどの施工に広く用いられている。
【0004】
両面粘着テープによる施工は、床材を製造する工場において床材基材に事前に貼っておく事も可能であり、又現場で貼るとしても手間のかかる液状接着剤の塗布や乾燥の工程が不要なので、現場における施工性は遥かに優れたものである。
【0005】
しかし、粘着材、両面粘着テープとも、いつまでもタックが切れない為、下地に凹凸(不陸)や段差がある場合、床材基材がその不陸に追従できないと、踏まれた時だけ一時的に凹部に付き、その後離れるといった動きを繰り返し、粘着質の不快な床鳴りの発生原因となってしまう。
【0006】
この為、粘着材や両面粘着テープの使用は、床材基材が非常に柔らかい、タイルカーペットやクッションフロアーなどの施工に限定され、床材基材が硬い木質系床材や樹脂系床材の固定には、釘や接着剤の使用を余儀なくされ、施工性に問題があった。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−349047号公報
【特許文献2】
特開2002−349049号公報
【特許文献3】
特開2003−003649号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、木質系や樹脂系などの硬質の床材基材を用いた床材であっても、下地への固定材が下地の不陸や段差に追従し、床鳴りの発生を抑えることができる床材を提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、床材基材の裏面にクッション材が設けられ、クッション材の裏面の一部に下地への固定材が設けられてなる床材において、下地への固定材に粘着材もしくは両面粘着テープを用いてあり、且つ、床材基材とクッション材との間の接着位置と、下地への固定材の貼着位置とをずらしてあることを特徴とする床材である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の床材は、図1や図2に例示する様に、床材基材1の裏面に、クッション性を付与するためのクッション材2が設けられており、該クッション材2の裏面には、その全面ではなく任意の一部分のみに、床材を施工する下地に固定するための下地への固定材3が設けられている。この下地への固定材3には、粘着材もしくは両面粘着テープを用いてある。
【0011】
下地への固定材3を設ける位置の形状は、図1に示した様な縞状でも良ければ、口の字状でも良いし、その他、市松状や波状、放射状や同心円状等、所望により任意の形状とすることができる。但し、極端に偏った形状は、床材の固定が不安定となるので避けるべきである。
【0012】
そして、床材基材1とクッション材2とは、その全面で接着するのではなく、クッション材2の裏面に下地への固定材3を設けた部分とは重ならない様な箇所(床材基材1とクッション材2との接着位置4:底面図中の斜線部)だけで接着する。つまり、下地への固定材3を設けた部分では、クッション材2が床材基材1とは接着されていない様にする。
【0013】
図1の例では、下地への固定材3を設けた部分以外の全ての部分で、クッション材2が床材基材1と接着されているが、図2の例の様に、クッション材2の裏面に下地への固定材3が設けられておらず、しかも床材基材1とも接着されていない部分が存在していてもよい。
【0014】
本発明が上記のような構造を採用したのは、粘着材等を全面に設けた従来の床材で粘着成分に起因する床鳴りが発生する原因としては、下地の不陸や段差に追従できない床材基材の動きに、粘着材等が引きずられる為と考えられるからである。
【0015】
このため本発明では、床材基材1とクッション材2との接着を、全面ではなく部分的なものとし、床材基材1と接着され固定されていない部分のクッション材2のみを、下地への固定材3により下地に固定することにより、床材基材1の動きが直接、下地への固定材3に伝わることのない構造とすることにより、粘着質の床鳴りが発生しない構造としたものである。
【0016】
本発明に使用される床材基材1としては特に限定はないが、合板等の木質系や、木粉混合樹脂等の樹脂系など、硬質のフローリング基材が適する。特にオレフィン樹脂と木粉とを任意の割合で混合して成る木質樹脂系床材においては、接着剤による床材基材1とクッション材2との接着が困難であり、この両者の貼着に両面粘着テープが用いられる場合が多い。この為、クッション材2と床材基材1の貼着位置を限定し易く、下地への固定材3の位置も設定し易い利点がある。
【0017】
更に、床材基材1の裏面にその厚みの10〜80%程度の深さの溝加工を施すと、床材基材1の柔軟性が増し、更に不陸への追従が良くなる。但し、溝加工は工程が煩雑になる上に、床材基材1そのものの強度低下の原因ともなる為、慎重に行われる必要がある。
【0018】
本発明に使用されるクッション材2としては特に限定はなく、例えばオレフィン系発泡材やエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)系発泡材、ウレタン発泡材等の合成樹脂発泡材や、不織布、フェルト等の繊維材、ラテックス系シート等の弾性材などから任意に選ばれる。
【0019】
本発明に下地への固定材3として使用される粘着材としては特に限定はなく、タイルカーペットなどの施工に通常使用されるものの中から任意に選ばれる。但し、健康への悪影響が懸念される揮発性有機化合物(VOC)の低減の観点からは、エマルジョン系のものが望ましい。
【0020】
本発明に下地への固定材3として使用される両面粘着テープとしては特に限定は無いが、あまり厚すぎると両面粘着テープの厚みにより床材の浮きの発生の懸念がある為、2.0mm以下の厚みであることが望ましい。
【0021】
【実施例】
実施例1
図1に示す様に、厚さ10mm、巾300mmの木質系床材基材の裏面に、梯子状にアクリル系粘着剤を塗布し、クッション材として発泡倍率10倍、2mm厚のEVA系発泡体を貼着した。そして、該EVA系発泡体の裏面に、下地への固定材として、150μm厚のアクリル系両面粘着テープを、床材基材とクッション材とが接着されていない部分を選択して貼着して、本発明の床材を得た。
【0022】
実施例2
図2に示す様に、厚さ5mm、巾150mmの木粉混合オレフィン系樹脂製の床材基材の裏面の四周にアクリル系両面粘着テープを貼着し、クッション材として発泡倍率15倍、2mm厚のポリエチレン(PE)系発泡体を積層した。そして、該PE系発泡体の裏面に、下地への固定材として、500μm厚のブチルゴム系両面粘着テープを、巾方向の中央部に沿って、床材基材とクッション材とが接着された部分を避けて積層して、本発明の床材を得た。
【0023】
比較例1
厚さ10mm、巾300mmの木質系床材基材の裏面に、ウレタンエマルジョン系接着剤を全面塗布し、クッション材として発泡倍率10倍、2mm厚のEVA系発泡体を貼着した。そして、該EVA系発泡体の裏面に、下地への固定材として、150μm厚のアクリル系両面粘着テープを、図3に示す様に、巾方向の両端部に沿って永手方向に平行に2列に貼着して、床材を得た。
【0024】
比較例2
厚さ10mm、巾300mmの木質系床材基材の裏面に、アクリル共重合樹脂を主体とする接着剤を全面塗布し、クッション材として発泡倍率10倍、2mm厚のEVA系発泡体を貼着して、床材を得た。なお、この床材は、下地への固定には、現場にてウレタンエマルジョン系接着剤を用いて施工を行うものである。
【0025】
評価
コンクリートスラブ上に、モルタルにて不陸を作成した下地の上に、上記実施例1〜2及び比較例1〜2の床材を施工し、その際の施工性と、歩行時の床鳴りを評価し、さらに一枚交換(床面に敷き詰めた床材のうち一枚のみを除去して、そこに新たな床材を補充すること)を実施して、その際の作業性(一枚交換性)を評価した。
【0026】
結果
【表1】
Figure 2004316290
【0027】
【発明の効果】
本発明の床材は、裏面に予め、粘着材または両面粘着テープからなる下地への固定材が設けられているので、通常の接着剤や釘による施工に比べて、非常に簡便で手早く仕上がり、施工性に優れている。しかも、下地への固定材である粘着材や両面粘着テープは、クッション材の裏面に部分的にのみ設けられていることも相俟って、一旦下地に貼着した床材を剥がすことも容易であり、貼着後の位置の修正や一枚交換時の剥離などの作業性も良い。
【0028】
さらに、床材基材とクッション材との接着位置と、下地への固定材の貼着位置とがずらされているので、不陸や段差のある下地に施工しても、上から踏まれた時の床材基材の動きが直接、下地との固定材に伝わることがなく、従って、粘着材または両面粘着テープからなる下地との固定材が、床材基材の動きに引きずられて粘着質の音を発生することがないので、床鳴りの発生が抑えられた床材である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の床材の一例の模式図であり、(a)は断面図、(b)は底面図。
【図2】本発明の床材の他の一例の模式図であり、(a)は断面図、(b)は底面図。
【図3】比較例1の床材の底面図。
【符号の説明】
1 床材基材
2 クッション材
3 下地への固定材
4 床材基材とクッション材との接着位置
5 接着剤層

Claims (1)

  1. 床材基材の裏面にクッション材が設けられ、クッション材の裏面の一部に下地への固定材が設けられてなる床材において、下地への固定材に粘着材もしくは両面粘着テープを用いてあり、且つ、床材基材とクッション材との間の接着位置と、下地への固定材の貼着位置とをずらしてあることを特徴とする床材。
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