JP2022176440A - 光電変換素子の製造方法、光電変換素子、光電変換モジュールの製造方法、光電変換モジュール、電子機器、及び電源モジュール - Google Patents

光電変換素子の製造方法、光電変換素子、光電変換モジュールの製造方法、光電変換モジュール、電子機器、及び電源モジュール Download PDF

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Naomichi Kanei
望 田元
Nozomi Tamoto
正人 田中
Masato Tanaka
裕二 田中
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【課題】低照度光においても良好な光電変換性を有し、耐湿性や機械的耐久性に優れる光電変換素子の製造方法の提供。【解決手段】第1の基板上に第1の電極12を形成する第1の電極形成工程と、第1の電極12上に光電変換層を形成する光電変換層形成工程と、光電変換層上に第2の電極17を形成する第2の電極形成工程と、光電変換層の外周部に、途切れ部19aを有するように封止部材19を付与する封止部材付与工程と、第1の基板における第2の電極17を有する面と、第2の基板を対向させて、途切れ部19aにおいて封止部材19が接触するように押圧して貼り合わせる貼合工程と、を含む光電変換素子の製造方法。【選択図】図1A

Description

本発明は、光電変換素子の製造方法、光電変換素子、光電変換モジュールの製造方法、光電変換モジュール、電子機器、及び電源モジュールに関する。
近年、化石燃料の代替エネルギーとして、また地球温暖化対策として、太陽電池の重要性が高まっている。また、太陽電池やフォトダイオードは、光エネルギーを電気エネルギーに変換することができる光電変換素子を応用したものである。
最近では、太陽光(直射光での照度:約100,000 lux)に限らず、LED(light emitting diode:発光ダイオード)や蛍光灯など、低照度の光(照度:20 lux以上1,000 lux以下)でも高い発電性能を有する室内向けの光電変換素子が注目を集めている。
例えば、光電変換素子を取り囲むように封止部を設けた有機薄膜太陽電池が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
本発明は、低照度光においても良好な光電変換性を有し、耐湿性や機械的耐久性に優れる光電変換素子の製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の光電変換素子の製造方法は、第1の基板上に第1の電極を形成する第1の電極形成工程と、前記第1の電極上に光電変換層を形成する光電変換層形成工程と、前記光電変換層上に第2の電極を形成する第2の電極形成工程と、前記光電変換層の外周部に、途切れ部を有するように封止部材を付与する封止部材付与工程と、前記第1の基板における前記第2の電極を有する面と、第2の基板とを対向させて、前記途切れ部において前記封止部材が接触するように押圧して貼り合わせる貼合工程と、を含む。
本発明によると低照度光においても良好な光電変換性を有し、耐湿性や機械的耐久性に優れる光電変換素子の製造方法を提供することができる。
図1Aは、平面視した本発明の光電変換素子の一例を示す概念図である。 図1Bは、図1Aと同様の途切れ部の封止部を有する平面視した本発明の光電変換素子の一例を示す写真である。 図1Cは、平面視した本発明の光電変換素子の他の一例を示す写真である。 図1Dは、平面視した本発明の光電変換素子の他の一例を示す概念図である。 図1Eは、図1Dと同様の途切れ部を設けて作成した封止部を有する平面視した本発明の光電変換素子の一例を示す写真である。 図2Aは、本発明の光電変換素子の一例を示す概念図である。 図2Bは、本発明の光電変換素子の他の一例を示す概念図である。 図2Cは、本発明の光電変換素子の他の一例を示す概念図である。 図2Dは、本発明の光電変換素子の他の一例を示す概念図である。 図2Eは、本発明の光電変換素子の他の一例を示す概念図である。 図3は、本発明の光電変換素子の断面の一例を示す顕微鏡写真である。 図4は、本発明の光電変換素子モジュールの一例を示す概略図である。 図5は、本発明の電子機器の一例としてのパソコン用マウスのブロック図である。 図6は、図5に示したマウスの一例を示す概略外観図である。 図7は、本発明の電子機器の一例としてのパソコン用キーボードのブロック図である。 図8は、図7に示したキーボードの一例を示す概略外観図である。 図9は、図8に示したキーボードの他の一例を示す概略外観図である。 図10は、本発明の電子機器の一例としてのセンサのブロック図である。 図11は、本発明の電子機器の一例としてのターンテーブルのブロック図である。 図12は、本発明の電子機器の一例を示すブロック図である。 図13は、図12に示した電子機器に電源ICを更に組み込んだ一例を示すブロック図である。 図14は、図13に示した電子機器に蓄電デバイスを更に組み込んだ一例を示すブロック図である。 図15は、本発明の電源モジュールの一例を示すブロック図である。 図16は、図15に示した電源モジュールに蓄電デバイスを更に組み込んだ一例を示すブロック図である。
(光電変換素子の製造方法及び光電変換素子の製造装置)
本発明の光電変換素子の製造方法は、
第1の基板上に第1の電極を形成する第1の電極形成工程と、
前記第1の電極上に光電変換層を形成する光電変換層形成工程と、
前記光電変換層上に第2の電極を形成する第2の電極形成工程と、
前記光電変換層の外周部に、途切れ部を有するように封止部材を付与する封止部材付与工程と、
前記第1の基板における前記第2の電極を有する面と、第2の基板とを対向させて、前記途切れ部において前記封止部材が接触するように押圧して貼り合わせる貼合工程と、を含み、さらに必要に応じてその他の工程を含む。
本発明の光電変換素子の製造方法にかかる光電変換素子の製造装置は、
第1の基板上に第1の電極を形成する第1の電極形成手段と、
前記第1の電極上に光電変換層を形成する光電変換層形成手段と、
前記光電変換層上に第2の電極を形成する第2の電極形成工程と、
前記光電変換層の外周部に、途切れ部を有するように封止部材を付与する封止部材付与手段と、
前記第1の基板における前記第2の電極を有する面と、第2の基板とを対向させて、前記途切れ部において前記封止部材が接触するように押圧して貼り合わせる貼合手段と、を含み、さらに必要に応じてその他の手段を有する。
本発明の光電変換素子の製造方法は、光電変換素子の製造装置により好適に実施される。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、以下のことを見出した。
低照度光において、良好な光電変換性を有し、また、良好な経時安定性を示すためには光電変換層の周囲に封止部を設け、酸素や湿度の侵入を防ぐ必要がある。
従来技術では、貼合工程において、光電変換素子の基板と基板に挟まれた空間(内部)に内包されたガスが貼り合わせ時に、外側に逃げるように移動するため、光電変換素子の内部から外部へ圧力が生じる。それにより、封止部材が内側から押され、想定した封止幅より細くなってしまう場合や、意図しないところからガスが外側に抜けることで封止部に穴が開いてしまうという問題がある。そのため、従来の封止技術では良好な経時安定性と良好な機械的応力に対する耐性を両立するのは困難であるという問題がある。
本発明においては、光電変換層の外周部に、途切れ部を有するように封止部材を付与した後、第1の基板における第2の電極を有する面と、第2の基板を対向させて、途切れ部において封止部材が接触するように押圧して貼り合わせる。このようにすることによって、貼り合わせの際に光電変換素子の内部のガスが途切れ部から逃げられるようにし、途切れ部が塞がるように封止部材が配されているため、貼り合わせ後には光電変換素子における光電変換層を密閉された状態にすることができることを見出した。このため、本発明の光電変換素子を耐湿性や機械耐久性に優れるものとすることができる。
なお、本明細書において、「光電変換素子」とは、光エネルギーを電気エネルギーに変換する素子、又は電気エネルギーを光エネルギーに変換する素子を意味し、具体的には、太陽電池又はフォトダイオードなどが挙げられる。
なお、本発明において、前記層とは、複数の膜が重なった構造だけでなく、単一の膜である場合(単層)を含む。
なお、積層方向とは、光電変換素子における各層の面方向に対して垂直な方向を意味する。また、接続とは、物理的な接触だけでなく、本発明の効果を奏することができる程度の電気的なつながりを意味する。
<第1の電極形成工程及び第1の電極形成手段>
前記第1の電極形成工程は、第1の基板上に第1の電極を形成する工程である。
前記第1の電極形成手段は、第1の基板上に第1の電極を形成する手段である。
前記第1の電極形成工程は前記第1の電極形成手段により好適に実施される。
-第1の基板-
前記第1の基板としては、その形状、構造、大きさについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記第1の基板の材質としては、透光性及び絶縁性を有するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ガラス、プラスチック板、プラスチックフィルム、プラスチック膜、セラミック、無機物透明結晶体等の基板が挙げられる。これらの中でも、後述するように電子輸送層を形成する際に焼成する工程を含む場合は、焼成温度に対して耐熱性を有する基板が好ましい。また、前記第1の基板としては、可とう性を有するものが好ましい。
-第1の電極-
前記第1の電極は、前記基板上に配される電極である。
前記第1の電極としては、その形状、大きさについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記第1の電極の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、一層構造であってもよいし、複数の材料を積層する構造であってもよい。
前記第1の電極の材質としては、可視光に対する透明性及び導電性を有するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、透明導電性金属酸化物、カーボン、金属などが挙げられる。
前記透明導電性金属酸化物としては、例えば、インジウム・スズ酸化物(以下、「ITO」と称する)、フッ素ドープ酸化スズ(以下、「FTO」と称する)、アンチモンドープ酸化スズ(以下、「ATO」と称する)、ニオブドープ酸化スズ(以下、「NTO」と称する)、アルミドープ酸化亜鉛、インジウム・亜鉛酸化物、ニオブ・チタン酸化物などが挙げられる。
前記カーボンとしては、例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン、フラーレンなどが挙げられる。
前記金属としては、例えば、金、銀、アルミニウム、ニッケル、インジウム、タンタル、チタンなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、透明性が高い透明導電性金属酸化物が好ましく、ITO、FTO、ATO、NTOがより好ましい。
前記第1の電極の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5nm以上100μm以下が好ましく、50nm以上10μm以下がより好ましい。なお、前記第1の電極の材質が前記カーボンや前記金属の場合には、前記第1の電極の平均厚みとしては、透光性を得られる程度の平均厚みにすることが好ましい。
前記第1の電極は、スパッタ法、蒸着法、スプレー法等の公知の方法などにより形成することができる。
また、前記第1の電極は、前記第1の基板上に形成されることが好ましく、予め第1の基板上に第1の電極が形成されている一体化された市販品を用いることができる。
前記一体化された市販品としては、例えば、FTOコートガラス、ITOコートガラス、酸化亜鉛:アルミニウムコートガラス、FTOコート透明プラスチックフィルム、ITOコート透明プラスチックフィルムなどが挙げられる。他の一体化された市販品としては、例えば、酸化スズ若しくは酸化インジウムに原子価の異なる陽イオン若しくは陰イオンをドープした透明電極、又はメッシュ状やストライプ状等の光が透過できる構造にした金属電極を設けたガラス基板などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用して混合又は積層したものでもよい。また、電気的抵抗値を下げる目的で、金属リード線などを併用してもよい。
前記金属リード線の材質としては、例えば、アルミニウム、銅、銀、金、白金、ニッケルなどが挙げられる。
前記金属リード線は、例えば、蒸着法、スパッタリング法、圧着法などで基板に形成し、その上にITOやFTOの層を設けることにより併用することができる。
<光電変換層形成工程及び光電変換層形成手段>
前記光電変換層形成工程は、前記第1の電極上に光電変換層を形成する工程である。
前記光電変換層形成手段は、前記第1の電極上に光電変換層を形成する手段である。
前記光電変換層形成工程は前記光電変換層形成手段により好適に実施される。
-光電変換層-
前記光電変換層は、少なくとも電子輸送層と、ホール輸送層とを含み、単層であってもよく、複数の層が積層された多層であってもよい。
また、前記電子輸送層と前記ホール輸送層の間には光増感化合物を有していてもよい。
--電子輸送層--
前記光電変換素子は、光増感化合物を有する前記電子輸送層を有する。
前記電子輸送層は、前記第1の電極と光増感化合物との間に配されていることが好ましい。
前記電子輸送層は、電子輸送を担うとともに、正孔をブロックする機能(ホールブロッキング機能)も担っている。
前記光増感化合物のイオン化ポテンシャルは、ホール輸送層のイオン化ポテンシャルを超える。前記光増感化合物のイオン化ポテンシャルがホール輸送層のイオン化ポテンシャルを超えると、前記ホール輸送層へのホール伝導効率の点で優れる。
前記電子輸送層は、光増感化合物で生成された電子を第1の電極あるいはホールブロッキング層まで輸送する目的で形成される。このため、電子輸送層は、第1の電極あるいはホールブロッキング層に隣接して配置されることが好ましい。
前記電子輸送層の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、互いに隣接する少なくとも2つの光電変換素子において、電子輸送層どうしが互いに延設されていてもよいが、延設されていない方が好ましい。また、電子輸送層の構造としては、単層であってもよく、複数の層が積層された多層であってもよい。
前記電子輸送層は、電子輸送性材料を含み、必要に応じてその他の材料を含む。
前記電子輸送性材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、半導体材料が好ましい。
前記半導体材料は、微粒子状の形状を有し、これらが接合することによって、多孔質状の膜に形成されることが好ましい。多孔質状の電子輸送層を構成する半導体微粒子の表面に、光増感化合物が化学的あるいは物理的に吸着される。
前記半導体材料としては、特に制限はなく、公知のものを用いることができ、例えば、単体半導体、化合物半導体、ペロブスカイト構造を有する化合物などが挙げられる。
前記単体半導体としては、例えば、シリコン、ゲルマニウムなどが挙げられる。
前記化合物半導体としては、例えば、金属のカルコゲニド、具体的には、チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、タンタル等の酸化物半導体;カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモン、ビスマス等の硫化物半導体;カドミウム、鉛等のセレン化物半導体;カドミウム等のテルル化物半導体などが挙げられる。他の化合物半導体としては亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム等のリン化物半導体、ガリウム砒素、銅-インジウム-セレン化物半導体、銅-インジウム-硫化物半導体などが挙げられる。
前記ペロブスカイト構造を有する化合物としては、例えば、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウムなどが挙げられる。
これらの中でも、酸化物半導体が好ましく、特に酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ニオブがより好ましい。前記電子輸送層の前記電子輸送性材料が酸化チタンであると、伝導帯準位が高いため、高い開放電圧を得られ、高い光電変換特性を得ることができる点で有利である。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、半導体材料の結晶型としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、単結晶でも多結晶でもよく、非晶質でもよい。
前記半導体材料の一次粒子の平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1nm以上100nm以下が好ましく、5nm以上50nm以下がより好ましい。また、より大きい半導体材料を混合あるいは積層させてもよく、入射光を散乱させる効果により、変換効率を向上できる場合がある。この場合の平均粒径は、50nm以上500nm以下が好ましい。
前記電子輸送層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50nm以上100μm以下が好ましく、100nm以上50μm以下がより好ましく、120nm以上10μm以下が更に好ましい。前記電子輸送層の平均厚みが好ましい範囲内であると、単位投影面積当たりの光増感化合物の量を十分に確保でき、光の捕獲率を高く維持できるとともに、注入された電子の拡散距離も増加しにくく、電荷の再結合によるロスを少なくできる点で有利である。
前記電子輸送層の作製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スパッタリング法等の真空中で薄膜を形成する方法、湿式製膜法、湿式印刷方法などが挙げられる。これらの中でも、製造コストの観点から、湿式製膜法が好ましく、前記半導体材料の粉末あるいはゾルを分散したペースト(半導体材料の分散液)を調製し、電子集電電極基板としての第1の電極の上、あるいはホールブロッキング層の上に塗布する方法がより好ましい。
前記湿式製膜法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、ダイコート法などが挙げられる。
前記湿式印刷方法としては、例えば、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷などの様々な方法を用いることができる。
前記半導体材料の分散液を作製する方法としては、例えば、公知のミリング装置等を用いて機械的に粉砕する方法が挙げられる。この方法により、粒子状の半導体材料を単独で、あるいは半導体材料と樹脂の混合物を、水又は溶媒に分散することにより半導体材料の分散液を作製できる。
前記樹脂としては、例えば、スチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等によるビニル化合物の重合体や共重合体、シリコーン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリエステル樹脂、セルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記溶媒としては、例えば、水、アルコール溶媒、ケトン溶媒、エステル溶媒、エーテル溶媒、アミド溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、炭化水素溶媒などが挙げられる。
前記アルコール溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、α-テルピネオールなどが挙げられる。
前記ケトン溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。
前記エステル溶媒としては、例えば、ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチルなどが挙げられる。
前記エーテル溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサンなどが挙げられる。
前記アミド溶媒としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンなどが挙げられる。
前記ハロゲン化炭化水素溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、1-クロロナフタレンなどが挙げられる。
前記炭化水素溶媒としては、例えば、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-オクタン、1,5-ヘキサジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、エチルベンゼン、クメンなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記半導体材料を含む分散液、あるいはゾル-ゲル法等によって得られた半導体材料を含むペーストには、粒子の再凝集を防ぐため、酸、界面活性剤、キレート化剤などを添加してもよい。
前記酸としては、例えば、塩酸、硝酸、酢酸などが挙げられる。
前記界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルなどが挙げられる。
前記キレート化剤としては、例えば、アセチルアセトン、2-アミノエタノール、エチレンジアミンなどが挙げられる。
また、製膜性を向上させる目的で、増粘剤を添加することも有効な手段である。
前記増粘剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、エチルセルロースなどが挙げられる。
前記半導体材料を塗布した後に、前記半導体材料の粒子間を電子的に接触させ、膜強度や基板との密着性を向上させるために焼成したり、マイクロ波や電子線を照射したり、又はレーザー光を照射することができる。これらの処理は、1種単独で行ってもよく、2種類以上組み合わせて行ってもよい。
前記半導体材料から形成された電子輸送層を焼成する場合には、焼成温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、温度が高すぎると基板の抵抗が高くなったり、溶融したりすることがあることから、30℃以上700℃以下が好ましく、100℃以上600℃以下がより好ましい。また、焼成時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10分間以上10時間以下が好ましい。
前記半導体材料から形成された前記電子輸送層をマイクロ波照射する場合には、照射時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1時間以下が好ましい。この場合、電子輸送層が形成されている面側から照射してもよく、電子輸送層が形成されていない面側から照射してもよい。
前記半導体材料からなる電子輸送層を焼成した後、前記電子輸送層の表面積の増大や、後述する光増感化合物から半導体材料への電子注入効率を高める目的で、例えば、四塩化チタンの水溶液や有機溶剤との混合溶液を用いた化学メッキや三塩化チタン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行ってもよい。
直径が数十nmの半導体材料を焼結し得られた膜は、多孔質状を形成することができる。このようなナノ多孔質構造は、非常に高い表面積を有し、その表面積はラフネスファクターを用いて表すことができる。ラフネスファクターは、第1の基板に塗布した半導体粒子の面積に対する多孔質内部の実面積を表わす数値である。したがって、ラフネスファクターとしては、大きいほど好ましいが、電子輸送層の平均厚みとの関係から、20以上が好ましい。
--光増感化合物--
前記光増感化合物は、前記電子輸送層上に配されている。
前記光増感化合物は、出力や光電変換効率の更なる向上させる化合物を用いることができる。前記電子輸送層を構成する半導体材料の表面に前記光増感化合物を吸着させる。
前記光増感化合物としては、光電変換素子に照射される光により光励起される化合物であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記の公知の化合物などが挙げられる。
具体的には、金属錯体化合物、J.Phys.Chem.C,7224,Vol.111(2007)等に記載のクマリン化合物、Chem.Commun.,4887(2007)等に記載のポリエン化合物、J.Am.Chem.Soc.,12218,Vol.126(2004)、Chem.Commun.,3036(2003)、Angew.Chem.Int.Ed.,1923,Vol.47(2008)等に記載のインドリン化合物、J.Am.Chem.Soc.,16701,Vol.128(2006)、J.Am.Chem.Soc.,14256,Vol.128(2006)等に記載のチオフェン化合物、シアニン色素、メロシアニン色素、9-アリールキサンテン化合物、トリアリールメタン化合物、J.Phys.Chem.,2342,Vol.91(1987)、J.Phys.Chem.B,6272,Vol.97(1993)、Electroanal.Chem.,31,Vol.537(2002)J.Porphyrins Phthalocyanines,230,Vol.3(1999)、Angew.Chem.Int.Ed.,373,Vol.46(2007)、Langmuir,5436,Vol.24(2008)等に記載のフタロシアニン化合物、ポルフィリン化合物などが挙げられる。
これらの中でも、金属錯体化合物、クマリン化合物、ポリエン化合物、インドリン化合物、チオフェン化合物が好ましく、三菱製紙株式会社製の下記構造式(1)、下記構造式(2)、下記構造式(3)で表される化合物、更に下記一般式(3)を含む化合物がより好ましい。なお、これらの光増感化合物は、単独で用いてもよく、2種類以上混合して用いることもできる。
Figure 2022176440000002
Figure 2022176440000003
Figure 2022176440000004

Figure 2022176440000005
前記一般式(3)において、X、Xは酸素原子、硫黄原子、セレン原子を表す。Rは置換基を有していてもよいメチン基を表す。その置換基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基などのアリール基、チエニル基、フリル基などのヘテロ環が挙げられる。
は置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、ヘテロ環基を表す。アルキル基としては、メチル基、エチル基、2-プロピル基、2-エチルヘキシル基等、アリール基及びヘテロ環基としては前述のものが挙げられる。
はカルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸、ボロン酸、フェノール類などの酸性基を表す。Z1、Z2は環状構造を形成する置換基を表す。
Z1は、ベンゼン環、ナフタレン環などの縮合炭化水素系化合物、チオフェン環、フラン環などのヘテロ環が挙げられ、それぞれ置換基を有していてもよい。その置換基の具体例としては前述のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、2-イソプロポキシ基等のアルコキシ基が挙げられる。
Z2は、それぞれ下記に示す(A-1)~(A-22)が挙げられる。
Figure 2022176440000006
上記一般式(3)を含む光増感化合物の具体例としては、以下に示す(B-1)~(B-36)が挙げられる。ただし、これらに限定されるものではない。
Figure 2022176440000007
Figure 2022176440000008
Figure 2022176440000009
Figure 2022176440000010
前記電子輸送層の半導体材料の表面に、光増感化合物を吸着させる方法としては、光増感化合物の溶液中、又は光増感化合物の分散液中に、半導体材料を含む電子輸送層を浸漬する方法、光増感化合物の溶液、又は光増感化合物の分散液を電子輸送層に塗布して吸着させる方法などを用いることができる。光増感化合物の溶液中、又は光増感化合物の分散液中に、半導体材料を形成した電子輸送層を浸漬する方法の場合、浸漬法、ディップ法、ローラ法、エアーナイフ法などを用いることができる。光増感化合物の溶液、又は光増感化合物の分散液を、電子輸送層に塗布して吸着させる方法の場合は、ワイヤーバー法、スライドホッパー法、エクストルージョン法、カーテン法、スピン法、スプレー法などを用いることができる。また、二酸化炭素などを用いた超臨界流体中で吸着させることも可能である。
前記光増感化合物を半導体材料に吸着させる際には、縮合剤を併用してもよい。
前記縮合剤としては、半導体材料の表面に物理的もしくは化学的に、光増感化合物を結合させるような触媒的作用をするもの、又は化学量論的に作用し、化学平衡を有利に移動させるもののいずれであってもよい。更に、縮合助剤として、チオールやヒドロキシ化合物などを添加してもよい。
前記光増感化合物を溶解、又は分散する溶媒としては、例えば、水、アルコール溶媒、ケトン溶媒、エステル溶媒、エーテル溶媒、アミド溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、炭化水素溶媒などが挙げられる。
前記アルコール溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどが挙げられる。
前記ケトン溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。
前記エステル溶媒としては、例えば、ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチルなどが挙げられる。
前記エーテル溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサンなどが挙げられる。
前記アミド溶媒としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンなどが挙げられる。
前記ハロゲン化炭化水素溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、1-クロロナフタレンなどが挙げられる。
前記炭化水素溶媒としては、例えば、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-オクタン、1,5-ヘキサジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、エチルベンゼン、クメンなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記光増感化合物は、その種類によっては化合物間の凝集を抑制した方がより効果的に働くものが存在するため、凝集解離剤を併用してもよい。
前記凝集解離剤としては、特に制限はなく、用いる色素に対して適宜選択することができるが、コール酸、ケノデオキシコール酸などのステロイド化合物、長鎖アルキルカルボン酸又は長鎖アルキルホスホン酸が好ましい。
前記凝集解離剤の含有量は、光増感化合物1質量部に対して、0.01質量部以上500質量部以下が好ましく、0.1質量部以上100質量部以下がより好ましい。
前記電子輸送層を構成する半導体材料の表面に、光増感化合物、又は、光増感化合物及び凝集解離剤を吸着させる際の温度としては、-50℃以上200℃以下が好ましい。吸着時間としては、5秒間以上1,000時間以下が好ましく、10秒間以上500時間以下がより好ましく、1分間以上150時間以下が更に好ましい。吸着させる工程は、暗所で行うことが好ましい。また、吸着させる工程は、静置して行ってもよく、撹拌しながら行ってもよい。
前記撹拌する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スターラー、ボールミル、ペイントコンディショナー、サンドミル、アトライター、ディスパーザー、超音波分散等を用いた方法などが挙げられる。
--ホール輸送層--
前記光電変換素子は、さらにホール(正孔)輸送層を有していてもよい。
前記ホール輸送層は、p型半導体材料、及び塩基性化合物を含有することが好ましい。
前記ホール輸送層は、ホールを輸送する機能を得るため、p型半導体材料を含有する。
前記ホール輸送層のイオン化ポテンシャルは、p型半導体材料のイオン化ポテンシャルを超え、かつ、p型半導体材料のイオン化ポテンシャルの1.07倍未満である。ホール輸送層のイオン化ポテンシャルが、p型半導体材料のイオン化ポテンシャルを超え、かつ、p型半導体材料のイオン化ポテンシャルの1.07倍未満であると、低照度光においても、高い光電変換性と、経時安定性とを両立することができる。
---p型半導体材料---
前記p型半導体材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機p型半導体材料、有機p型半導体材料などが挙げられる。
無機p型半導体材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、CuSCN、CuI、CuBr、NiO、V、酸化グラフェンなどが挙げられる。これらの中でも、有機p型半導体材料が好ましい。
有機p型半導体材料などとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の有機p型半導体材料を用いることができる。
公知の有機p型半導体材料としては、例えば、オキサジアゾール化合物、トリフェニルメタン化合物、ピラゾリン化合物、ヒドラゾン化合物、オキサジアゾール化合物、テトラアリールベンジジン化合物、スチルベン化合物、スピロ型化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、スピロ型化合物が好ましい。
スピロ型化合物としては、例えば、下記一般式(4)を含む化合物などが挙げられる。
Figure 2022176440000011
ただし、前記一般式(4)中、RからRは、ジメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ナフチル-4-トリルアミノ基などの置換アミノ基を表す。
スピロ型化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、以下に示す例示化合物(D-1)から(D-20)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
Figure 2022176440000012
Figure 2022176440000013
Figure 2022176440000014
Figure 2022176440000015
Figure 2022176440000016
Figure 2022176440000017
Figure 2022176440000018
スピロ型化合物は、2つのベンジジン骨格分子が捻れて結合しているため、球状に近い電子雲を形成し、分子間におけるホッピング伝導性が良好であることにより、優れた光電変換特性を示す。また、溶解性が高いため、各種有機溶媒に溶解し、アモルファス(結晶構造をもたない無定形物質)であり、多孔質状の電子輸送層に密に充填されやすい。更に、450nm以上の光吸収特性を有さないため、光増感化合物に効率的に光吸収を行わせることができ、固体型色素増感型太陽電池にとって特に好ましい。
---塩基性化合物---
ホール輸送層は、塩基性化合物を有する。
塩基性化合物は、電子輸送層近傍の界面に存在すると考えられ、電子輸送層からの逆電子移動(即ち、電子輸送層からホール輸送層への電子移動)を抑制していると考えられる。
塩基性化合物としては、下記一般式(A)又は一般式(B)からなる塩基性化合物が好ましく下記一般式(1)、及び一般式(2)で示される3級アミン化合物が更に好ましい。ホール輸送層に下記一般式(A)又は一般式(B)の塩基性化合物を含有すると、高い開放電圧が得られ、高い光電変換特性が得られる点で有利である。更に、ホール輸送層が一般式(1)、及び一般式(2)で示される3級アミン化合物の少なくともいずれかを有することにより、低照度光においても、高い光電変換性と、経時安定性とを両立することができる。
Figure 2022176440000019
(式中、R、Rは、それぞれ独立に、アルキル基又は芳香族炭化水素基を表し、同一又は異なる基を表すか、若しくは、R、Rは互いに結合し、窒素原子を含む複素環基を表す。)
Figure 2022176440000020
(式中、R、Rは、それぞれ独立に、アルキル基又は芳香族炭化水素基を表し、同一又は異なる基を表すか、若しくは、R、Rは互いに結合し、窒素原子を含む複素環基を表す。)
Figure 2022176440000021
Figure 2022176440000022
ただし、前記一般式(1)、及び前記一般式(2)中、Ar及びArは、置換基を有していてもよいアリール基を表し、前記Ar及び前記Arは、同一でも異なっていてもよく、互いに結合してもよい。
以下に、前記一般式(A)、及び前記一般式(B)の塩基性化合物の具体的な例示化合物を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2022176440000023
Figure 2022176440000024
次に、上記一般式(1)、及び一般式(2)で示される3級アミン化合物の具体例としては、例えば、以下に示す例示化合物C-1からC-20などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
Figure 2022176440000025
Figure 2022176440000026
Figure 2022176440000027
Figure 2022176440000028
ホール輸送層における塩基性化合物の含有量は、ホール輸送材料の全量に対して、1質量部以上50質量部以下が好ましく、10質量部以上30質量部以下がより好ましい。塩基性化合物の含有量が好ましい範囲であることにより、高い開放電圧を維持でき、高い出力が得られ、かつ様々な環境で長期使用しても高い安定性と耐久性が得られる。
塩基性化合物の分子量としては、140g/mol以上が好ましい。塩基性化合物の分子量が140g/mol以上であると、電子輸送層近傍の界面に塩基性化合物が存在することにより、電子輸送層とホール輸送層の物理的、電気的な接触を抑制し、逆電子移動をより低減することができるため、低照度光においても高い光電変換特性を示すことができる。
ホール輸送層の形態としては、ホールを輸送する機能を有していれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化還元対を有機溶媒に溶解した電解液、酸化還元対を有機溶媒に溶解した液体をポリマーマトリックスに含浸したゲル電解質、酸化還元対を含有する溶融塩、固体電解質などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
---酸化剤---
ホール輸送層は、酸化剤を含有することが好ましい。ホール輸送層が酸化剤を含有することにより、有機ホール輸送材料の一部がラジカルカチオンになることで、導電性が向上し、出力特性の耐久性や安定性を高めることができる。
酸化剤により有機ホール輸送材料が酸化されることにより、良好なホール伝導性を示すとともに、光電変換層の周囲環境の影響による酸化状態の解除(還元)を抑制することができることで良好な経時安定性を示す。
酸化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヘキサクロロアンチモン酸トリス(4-ブロモフェニル)アミニウム、ヘキサフルオロアンチモネート銀、ニトロソニウムテトラフルオボラート、硝酸銀、金属錯体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、金属錯体が好ましい。
金属錯体としては、例えば、金属カチオン、配位子、アニオンから構成される構成などが挙げられる。
金属カチオンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クロム、マンガン、亜鉛、鉄、コバルト、ニッケル、銅、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、バナジウム、金、白金などのカチオンなどが挙げられる。これらの中でも、マンガン、亜鉛、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ルテニウム、銀、バナジウムのカチオンが好ましく、コバルト錯体がより好ましい。
配位子としては、少なくとも一つの窒素を含有する5及び/又は6員複素環を含むものが好ましく、置換基を有していてもよい。具体例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2022176440000029
Figure 2022176440000030
Figure 2022176440000031
アニオンとしては、例えば、水素化物イオン(H)、フッ化物イオン(F)、塩化物イオン(Cl)、臭化物イオン(Br)、ヨウ化物イオン(I)、水酸化物イオン(OH)、シアン化物イオン(CN)、硝酸イオン(NO )、亜硝酸イオン(NO )、次亜塩素酸イオン(ClO)、亜塩素酸イオン(ClO )、塩素酸イオン(ClO )、過塩素酸イオン(ClO )、過マンガン酸イオン(MnO )、酢酸イオン(CHCOO)、炭酸水素イオン(HCO )、リン酸二水素イオン(HPO )、硫酸水素イオン(HSO )、硫化水素イオン(HS)、チオシアン酸イオン(SCN)、テトラフロオロホウ素酸イオン(BF )、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF )、テトラシアノホウ素酸イオン(B(CN) )、ジシアノアミンイオン(N(CN) )、p-トルエンスルホン酸イオン(TsO)、トリフルオロメチルスルホン酸イオン(CFSO2-)、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミンイオン(N(SOCF )、テトラヒドロキソアルミン酸イオン([Al(OH)、あるいは[Al(OH)(HO))、ジシアノ銀(I)酸イオン([Ag(CN))、テトラヒドロキソクロム(III)酸イオン([Cr(OH))、テトラクロロ金(III)酸イオン([AuCl)、酸化物イオン(O-)、硫化物イオン(S )、過酸化物イオン(O 2-)、硫酸イオン(SO 2-)、亜硫酸イオン(SO 2-)、チオ硫酸イオン(S 2-)、炭酸イオン(CO 2-)、クロム酸イオン(CrO 2-)、二クロム酸イオン(Cr 2-)、リン酸一水素イオン(HPO 2-)、テトラヒドロキソ亜鉛(II)酸イオン([Z(OH)2-)、テトラシアノ亜鉛(II)酸イオン([Zn(CN)2-)、テトラクロロ銅(II)酸イオン([CuCl2-)、リン酸イオン(PO 3-)、ヘキサシアノ鉄(III)酸イオン([Fe(CN)3-)、ビス(チオスルファト)銀(I)酸イオン([Ag(S3-)、ヘキサシアノ鉄(II)酸イオン([Fe(CN)4-)などが挙げられる。これらの中でも、テトラフロオロホウ素酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、テトラシアノホウ素酸イオン、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミンイオン、過塩素酸イオンが好ましい。
前記金属錯体としては、下記一般式(5)で示される3価のコバルト錯体が特に好ましい。金属錯体が3価のコバルト錯体であると、酸化剤としての機能が優れる点で有利である。
Figure 2022176440000032
ただし、前記一般式(5)中、R~R10は、水素原子、メチル基、エチル基、ターシャルブチル基、又はトリフルオロメチル基を示す。Xは、上記アニオンから選択されるいずれかを示す。
以下に、前記一般式(5)で表されるコバルト錯体の具体例を記載する。ただし、これらに限定されるものではない。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
Figure 2022176440000033
Figure 2022176440000034
また、前記金属錯体としては、下記一般式(6)で示される3価のコバルト錯体も有効に用いられる。
Figure 2022176440000035
ただし、前記一般式(6)中、R11~R12は、水素原子、メチル基、エチル基、ターシャルブチル基、又はトリフルオロメチル基を示す。Xは、上記アニオンから選択されるいずれかを示す。
以下に前記一般式(6)で表されるコバルト錯体の具体例を記載する。ただし、これらに限定されるものではない。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
Figure 2022176440000036
酸化剤の含有量は、ホール輸送材料100質量部に対して、0.5質量部以上50質量部以下が好ましく、5質量部以上30質量部以下がより好ましい。酸化剤の添加によって、すべてのホール輸送材料が酸化される必要はなく、一部のみが酸化されていれば有効である。
---アルカリ金属塩---
ホール輸送層は、添加剤として、アルカリ金属塩を有することが好ましい。これにより、電荷の移動がスムーズになり、良好な光電変換特性を得られる点で有利である。
アルカリ金属塩のカチオンは、電子輸送層近傍の界面に存在すると考えられ、アルカリ金属塩のアニオンは、ホール輸送層中にドープされると考えられる。
アルカリ金属塩としては、例えば、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、過塩素酸リチウム、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)ジイミド、リチウムジイソプロピルイミド、酢酸リチウム、テトラフルオロホウ素酸リチウム、ペンタフルオロリン酸リチウム、テトラシアノホウ素酸リチウム等のリチウム塩、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、ナトリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)ジイミド、酢酸ナトリウム、テトラフルオロホウ素酸ナトリウム、ペンタフルオロリン酸ナトリウム、テトラシアノホウ素酸ナトリウム等のナトリウム塩、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、過塩素酸カリウム等のカリウム塩などが挙げられる。これらの中でも、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)ジイミド、リチウムジイソプロピルイミドが好ましい。
アルカリ金属塩の含有量は、ホール輸送材料100質量部に対して、1質量部以上50質量部以下が好ましく、5質量部以上30質量部以下がより好ましい。
ホール輸送層は、単一材料からなる単層構造でもよく、複数の化合物を含む積層構造であってもよい。ホール輸送層が積層構造の場合には、第2の電極に近いホール輸送層に高分子材料を用いることが好ましい。製膜性に優れる高分子材料を用いると、多孔質状の電子輸送層の表面をより平滑化することができ、光電変換特性を向上させることができる点で有利である。また、高分子材料は、多孔質状の電子輸送層内部へ浸透しにくいことから、多孔質状の電子輸送層表面の被覆性に優れ、電極を設ける際の短絡防止にも効果が得られる場合がある。
ホール輸送層に用いられる高分子材料としては、特に制限はなく、公知のホール輸送性高分子材料などが挙げられる。
ホール輸送性高分子材料としては、例えば、ポリチオフェン化合物、ポリフェニレンビニレン化合物、ポリフルオレン化合物、ポリフェニレン化合物、ポリアリールアミン化合物、ポリチアジアゾール化合物などが挙げられる。
ポリチオフェン化合物としては、例えば、ポリ(3-n-ヘキシルチオフェン)、ポリ(3-n-オクチルオキシチオフェン)、ポリ(9,9’-ジオクチル-フルオレン-コ-ビチオフェン)、ポリ(3,3’’’-ジドデシル-クォーターチオフェン)、ポリ(3,6-ジオクチルチエノ[3,2-b]チオフェン)、ポリ(2,5-ビス(3-デシルチオフェン-2-イル)チエノ[3,2-b]チオフェン)、ポリ(3,4-ジデシルチオフェン-コ-チエノ[3,2-b]チオフェン)、ポリ(3,6-ジオクチルチエノ[3,2-b]チオフェン-コ-チエノ[3,2-b]チオフェン)、ポリ(3,6-ジオクチルチエノ[3,2-b]チオフェン-コ-チオフェン)、ポリ(3,6-ジオクチルチエノ[3,2-b]チオフェン-コ-ビチオフェン)などが挙げられる。
ポリフェニレンビニレン化合物としては、例えば、ポリ[2-メトキシ-5-(2-エチルヘキシルオキシ)-1,4-フェニレンビニレン]、ポリ[2-メトキシ-5-(3,7-ジメチルオクチルオキシ)-1,4-フェニレンビニレン]、ポリ[(2-メトキシ-5-(2-エチルフェキシルオキシ)-1,4-フェニレンビニレン)-コ-(4,4’-ビフェニレン-ビニレン)]などが挙げられる。
ポリフルオレン化合物としては、例えば、ポリ(9,9’-ジドデシルフルオレニル-2,7-ジイル)、ポリ[(9,9-ジオクチル-2,7-ジビニレンフルオレン)-alt-コ-(9,10-アントラセン)]、ポリ[(9,9-ジオクチル-2,7-ジビニレンフルオレン)-alt-コ-(4,4’-ビフェニレン)]、ポリ[(9,9-ジオクチル-2,7-ジビニレンフルオレン)-alt-コ-(2-メトキシ-5-(2-エチルヘキシルオキシ)-1,4-フェニレン)]、ポリ[(9,9-ジオクチル-2,7-ジイル)-コ-(1,4-(2,5-ジヘキシルオキシ)ベンゼン)]などが挙げられる。
ポリフェニレン化合物としては、例えば、ポリ[2,5-ジオクチルオキシ-1,4-フェニレン]、ポリ[2,5-ジ(2-エチルヘキシルオキシ-1,4-フェニレン]などが挙げられる。
ポリアリールアミン化合物としては、例えば、ポリ[(9,9-ジオクチルフルオレニル-2,7-ジイル)-alt-コ-(N,N’-ジフェニル)-N,N’-ジ(p-ヘキシルフェニル)-1,4-ジアミノベンゼン]、ポリ[(9,9-ジオクチルフルオレニル-2,7-ジイル)-alt-コ-(N,N’-ビス(4-オクチルオキシフェニル)ベンジジン-N,N’-(1,4-ジフェニレン)]、ポリ[(N,N’-ビス(4-オクチルオキシフェニル)ベンジジン-N,N’-(1,4-ジフェニレン)]、ポリ[(N,N’-ビス(4-(2-エチルヘキシルオキシ)フェニル)ベンジジン-N,N’-(1,4-ジフェニレン)]、ポリ[フェニルイミノ-1,4-フェニレンビニレン-2,5-ジオクチルオキシ-1,4-フェニレンビニレン-1,4-フェニレン]、ポリ[p-トリルイミノ-1,4-フェニレンビニレン-2,5-ジ(2-エチルヘキシルオキシ)-1,4-フェニレンビニレン-1,4-フェニレン]、ポリ[4-(2-エチルヘキシルオキシ)フェニルイミノ-1,4-ビフェニレン]などが挙げられる。
ポリチアジアゾール化合物としては、例えば、ポリ[(9,9-ジオクチルフルオレニル-2,7-ジイル)-alt-コ-(1,4-ベンゾ(2,1’,3)チアジアゾール]、ポリ(3,4-ジデシルチオフェン-コ-(1,4-ベンゾ(2,1’,3)チアジアゾール)などが挙げられる。
これらの中でも、キャリア移動度やイオン化ポテンシャルの観点から、ポリチオフェン化合物及びポリアリールアミン化合物が好ましい。
ホール輸送材料に各種添加剤を加えても構わない。
添加剤としては、例えば、ヨウ素、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化セシウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化銅、ヨウ化鉄、ヨウ化銀等の金属ヨウ化物、ヨウ化テトラアルキルアンモニウム、ヨウ化ピリジニウム等の4級アンモニウム塩、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化セシウム、臭化カルシウム等の金属臭化物、臭化テトラアルキルアンモニウム、臭化ピリジニウム等の4級アンモニウム化合物の臭素塩、塩化銅、塩化銀等の金属塩化物、酢酸銅、酢酸銀、酢酸パラジウム等の酢酸金属塩、硫酸銅、硫酸亜鉛等の金属硫酸塩、フェロシアン酸塩-フェリシアン酸塩、フェロセン-フェリシニウムイオン等の金属錯体、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール-アルキルジスルフィド等のイオウ化合物、ビオロゲン色素、ヒドロキノン等、ヨウ化1,2-ジメチル-3-n-プロピルイミダゾイニウム塩、ヨウ化1-メチル-3-n-ヘキシルイミダゾリニウム塩、1,2-ジメチル-3-エチルイミダゾリウムトリフロオロメタンスルホン酸塩、1-メチル-3-ブチルイミダゾリウムノナフルオロブチルスルホン酸塩、1-メチル-3-エチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチル)スルホニルイミド等のInorg.Chem.35(1996)1168に記載のイオン液体、ピリジン、4-t-ブチルピリジン、ベンズイミダゾール、又はこれらの誘導体等の塩基性化合物、アルカリ金属塩などが挙げられる。
ホール輸送層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、多孔質状の電子輸送層の細孔に入り込んだ構造を有することが好ましく、電子輸送層上に0.01μm以上20μm以下が好ましく、0.1μm以上10μm以下がより好ましく、0.2μm以上2μm以下が更に好ましい。
ホール輸送層は、光増感化合物が吸着された電子輸送層の上に直接形成することができる。ホール輸送層の作製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、真空蒸着法等の真空中で薄膜を形成する方法、湿式製膜法などが挙げられる。これらの中でも、製造コストなどの点で、特に湿式製膜法が好ましく、電子輸送層上に塗布する方法が好ましい。
湿式製膜法を用いた場合、塗布方法としては、特に制限はなく、公知の方法にしたがって行うことができ、例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、ダイコート法、また、湿式印刷方法として、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等様々な方法を用いることができる。
また、超臨界流体又は臨界点より低い温度及び圧力の亜臨界流体中で製膜してもよい。超臨界流体は、気体と液体が共存できる限界(臨界点)を超えた温度及び圧力領域において非凝集性高密度流体として存在し、圧縮しても凝集せず、臨界温度以上、かつ臨界圧力以上の状態にある流体である限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、臨界温度が低いものが好ましい。
超臨界流体としては、例えば、一酸化炭素、二酸化炭素、アンモニア、窒素、水、アルコール溶媒、炭化水素溶媒、ハロゲン溶媒、エーテル溶媒などが挙げられる。
アルコール溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n-ブタノールなどが挙げられる。
炭化水素溶媒としては、例えば、エタン、プロパン、2,3-ジメチルブタン、ベンゼン、トルエンなどが挙げられる。
ハロゲン溶媒としては、例えば、塩化メチレン、クロロトリフロロメタンなどが挙げられる。
エーテル溶媒としては、例えば、ジメチルエーテルなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、二酸化炭素が、臨界圧力7.3MPa、臨界温度31℃であることから、容易に超臨界状態をつくり出せるとともに、不燃性で取扱いが容易である点で好ましい。
亜臨界流体としては、臨界点近傍の温度及び圧力領域において、高圧液体として存在する限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。超臨界流体として挙げられる化合物は、亜臨界流体としても好適に使用することができる。
超臨界流体の臨界温度及び臨界圧力は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、臨界温度としては、-273℃以上300℃以下が好ましく、0℃以上200℃以下がより好ましい。
更に、超臨界流体及び亜臨界流体に加え、有機溶媒やエントレーナーを併用することもできる。有機溶媒及びエントレーナーの添加により、超臨界流体中での溶解度の調整をより容易に行うことができる。
有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ケトン溶媒、エステル溶媒、エーテル溶媒、アミド溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、炭化水素溶媒などが挙げられる。
ケトン溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。
エステル溶媒としては、例えば、ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチルなどが挙げられる。
エーテル溶媒としては、例えば、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサンなどが挙げられる。
アミド溶媒としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンなどが挙げられる。
ハロゲン化炭化水素溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、1-クロロナフタレンなどが挙げられる。
炭化水素溶媒としては、例えば、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-オクタン、1,5-ヘキサジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、エチルベンゼン、クメンなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、光増感化合物を吸着させた電子輸送層上に、ホール輸送材料を積層した後、プレス処理工程を施してもよい。プレス処理を施すことによって、ホール輸送材料がより多孔質電極である電子輸送層と密着するため、効率が改善できる場合がある。
プレス処理の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、IR錠剤成形器に代表されるような平板を用いたプレス成形法、ローラ等を用いたロールプレス法などを挙げることができる。
圧力としては、10kgf/cm以上が好ましく、30kgf/cm以上がより好ましい。
プレス処理する時間は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1時間以下が好ましい。また、プレス処理時に熱を加えてもよい。プレス処理の際、プレス機と電極との間に離型剤を挟んでもよい。
離型剤としては、例えば、ポリ四フッ化エチレン、ポリクロロ三フッ化エチレン、四フッ化エチレン六フッ化プロピレン共重合体、ペルフルオロアルコキシフッ化樹脂、ポリフッ化ビニリデン、エチレン四フッ化エチレン共重合体、エチレンクロロ三フッ化エチレン共重合体、ポリフッ化ビニル等のフッ素樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
プレス処理工程を行った後、第2の電極を設ける前に、ホール輸送材料と第2の電極との間に金属酸化物を設けてもよい。
金属酸化物としては、例えば、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化バナジウム、酸化ニッケルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、酸化モリブデンが好ましい。
金属酸化物をホール輸送層上に設ける方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、スパッタリング法、真空蒸着法等の真空中で薄膜を形成する方法や湿式製膜法などが挙げられる。
湿式製膜法としては、金属酸化物の粉末又はゾルを分散したペーストを調製し、ホール輸送層上に塗布する方法が好ましい。湿式製膜法を用いた場合の塗布方法としては、特に制限はなく、公知の方法にしたがって行うことができ、例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、ダイコート法、湿式印刷方法として、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等の様々な方法を用いることができる。
塗布された金属酸化物の平均厚みとしては、0.1nm以上50nm以下が好ましく、1nm以上10nm以下がより好ましい。
<第2の電極形成工程及び第2の電極形成手段>
前記第2の電極形成工程は、前記光電変換層上に第2の電極を形成する工程である。
前記第2の電極形成手段は、前記光電変換層上に第2の電極を形成する手段である。
前記第2の電極形成工程は前記第2の電極形成手段により好適に実施される。
-第2の電極-
光電変換素子は、第2の電極を有する。
前記第2の電極は、前記ホール輸送層上に、又は前記ホール輸送層における金属酸化物上に形成することができる。
また、前記第2の電極は、前記第1の電極と同様のものを用いることができ、強度が十分に保たれる場合には支持体は必ずしも必要ではない。
前記第2の電極の材質としては、例えば、金属、炭素化合物、導電性金属酸化物、導電性ポリマーなどが挙げられる。
前記金属としては、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウムなどが挙げられる。
前記炭素化合物としては、例えば、グラファイト、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラフェンなどが挙げられる。
前記導電性金属酸化物としては、例えば、ITO、FTO、ATOなどが挙げられる。
前記導電性ポリマーとしては、例えば、ポリチオフェン、ポリアニリンなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これら金属酸化物をホール輸送材料上に設ける方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スパッタリング法や真空蒸着法等の真空中で薄膜を形成する方法や湿式製膜法が挙げることができる。
前記湿式製膜法においては、金属酸化物の粉末あるいはゾルを分散したペーストを調製し、ホール輸送層上に塗布する方法が好ましい。
この湿式製膜法を用いた場合、塗布方法としては、特に制限はなく、公知の方法にしたがって行うことができる。
例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、ダイコート法また、湿式印刷方法として、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等様々な方法を用いることができる。膜厚としては0.1nm以上50nm以下が好ましく、1nm以上10nm以下がより好ましい。
前記第2の電極は、前記ホール輸送層の形成後あるいは上述の金属酸化物上に新たに付与する。
また、前記第2の電極は、通常前述の第1の電極と同様のものを用いることができ、強度や密封性が充分に保たれるような構成では支持体は必ずしも必要ではない。
前記第2の電極の形成については、用いられる材料の種類やホール輸送層の種類により、適宜ホール輸送層上に塗布法、ラミネート法、蒸着法、CVD法、貼り合わせ法などの手法により形成可能である。
光電変換素子においては、第1の電極と第2の電極の少なくともいずれかは実質的に透明であることが好ましい。第1の電極側が透明であり、入射光を第1の電極側から入射させる方法が好ましい。この場合、第2の電極側には光を反射させる材料を使用することが好ましく、金属、導電性酸化物を蒸着したガラス、プラスチック、あるいは金属薄膜が好ましく用いられる。また、入射光側に反射防止層を設けることも有効な手段である。
<封止部材付与工程及び封止部材付与手段>
前記封止部材付与工程は、前記光電変換層の外周部に、途切れ部を有するように封止部材を付与する工程である。
前記封止部材付与手段は、前記光電変換層の外周部に、途切れ部を有するように封止部材を付与する手段である。
前記封止部材付与工程は前記封止部材付与手段により好適に実施される。
前記光電変換素子の外周部とは、本発明の光電変換素子を平面視したときの外周(外縁)付近の領域を意味する。外周付近の領域とは、前記第1の基板上であって前記光電変換層の外周に沿った領域であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。なお、前記封止部材を配する位置は、後述する貼合工程により本発明の光電変換素子における前記光電変換層を外部環境から隔離(外部雰囲気から遮蔽)するように配されていれば、特に制限はなく、目的応じて適宜選択することができる。
例えば、前記光電変換層(電子輸送層、ホール輸送層)、及び後述する第2の電極を囲むように設けてもよいし、前記封止部材を光電変換層(電子輸送層、ホール輸送層)、及び後述する第2の電極の外周部(外縁)に設け、後述する第2の基板と、第1の基板、第1の電極及びホールブロッキング層の少なくともいずれかと、を前記封止部材で接着するように設けてもよい。
前記封止部材を光電変換層(電子輸送層、ホール輸送層)、及び後述する第2の電極の外周部(外縁)に設け、後述する第2の基板と、第1の基板、第1の電極及びホールブロッキング層の少なくともいずれかと、を前記封止部材で接着するように設けた場合には、光電変換素子、又は光電変換モジュールの内部に空隙部を設けることができる。前記空隙部は、酸素や湿度を制御することが可能であり、出力の向上や耐久性の向上に有効である。
また、前記封止部材は前記光電変換層に接触しないように配することが好ましい。前記封止部材が前記光電変換層に接触しないように配されることによって、前記封止部材が硬化されて形成される封止部が前記光電変換層に接触しないように形成することができる。前記封止部が前記光電変換層に接触しないように形成されていることによって、例えば、機械的応力により光電変換素子が変形したとき、前記封止部の伸縮によって前記光電変換層が破損(剥がれ、クラック)することを抑制することができる。また、経時耐久性において、前記封止部から、未硬化のモノマー成分などが経時で流れ出て前記光電変換層を侵食することを抑制することができる。
-途切れ部-
前記途切れ部は、前記封止部材が連続的に配されていない箇所(領域)を意味する。
前記途切れ部を配することにより、後述する貼合工程において、前記第1の基板と後述する第2の基板とを貼り合わせる際に、光電変換素子内部に内包された気体が、光電変換素子の外側に排出しやすくすることができる。また、前記途切れ部を配することにより、前記封止部材が内側から押され、想定した封止幅より細くなってしまう場合や、意図しないところからガスが外側に抜けることで封止部に穴が開いてしまうことを防止することができる。
前記途切れ部の位置としては、前記貼合工程の前の前記封止部材を付与した前記第1の基板を平面視したときに、角部近傍であることが好ましい。内包ガスの圧力が角部に特にかかりやすいため、前記貼合工程の前の前記封止部材を付与した前記第1の基板を平面視したときに、前記光電変換素子の角部近傍に形成することが効果的である。
また、角部近傍に途切れ部を設けることで、後述する貼合工程において、前記第1の基板と後述する第2の基板とを貼り合わせる際に、封止部材が押し広がることで光電変換層と接触することを抑制することができる。貼合工程における封止部材の押し広がりは、角部近傍において特に顕著であるため、角部近傍の樹脂量を減らして押し広がりを抑制するために、前記貼合工程の前の前記封止部材を付与した前記第1の基板を平面視したときに、前記光電変換素子の角部近傍に形成することが効果的である。
前記封止部が前記光電変換層に接触しないように形成されていることによって、例えば、機械的応力により光電変換素子が変形したとき、前記封止部の伸縮によって前記光電変換層が破損(剥がれ、クラック)することを抑制することができる。また、経時耐久性において、前記封止部から、未硬化のモノマー成分などが経時で流れ出て前記光電変換層を侵食することを抑制することができる。
また、前記途切れ部を形成する位置としては、前記第1の基板側、又は後述する第2の基板と接触する最上面に配するように形成することができればよく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記途切れ部は、光電変換層の外周部に1か所以上形成されることが好ましく、2カ所以上がより好ましく、4カ所以上が更に好ましい。内部ガスの抜ける経路が少ないと、1箇所当たりの抜けるガス量が多く、途切れ部がうまく塞がらなくなるため、ガスが抜ける経路は多い方が良い。
前記途切れ部の幅としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、任意の値をとることができる。なお、前記途切れ部の幅とは、前記封止部材が連続的に配されていない箇所の幅を意味し、連続的に配されている封止部材の末端と、最近接する封止部材との距離を意味する。
例えば、「内包ガスの抜けが発生しない状態の封止部体積」から「内部ガスの抜けが発生した状態の封止部体積」の差を取り、幅方向を所望の封止幅とし、長さ方向を自由とした場合に押し潰した時にどれだけ長くなる期待値があるかを算出し、長くなる期待値分を途切れ部の幅と設定できる。しかし、これに限定されるものではない。
前記封止部材付与工程が、前記途切れ部を有さないように封止部材を付与する第1の封止部材付与工程と、前記途切れ部を有するように封止部材を付与する第2の封止部材付与工程と、を含む、ことが好ましく、前記第2の封止部材付与工程が、前記第1の封止部材付与工程により形成された封止部(又は封止部材)の上に前記途切れ部を有するように封止部材を付与することがより好ましい。
前記封止部材付与工程が、前記第1の封止部材付与工程と、前記第2の封止部材付与工程とを含むことによって、前記封止部材を付与して形成される封止部が2層以上の層構造とすることができる。
また、前記第2の封止部材付与工程が、前記第1の封止部材付与工程により形成された封止部(又は封止部材)の上に前記途切れ部を有するように封止部材を付与することにより、前記第1の封止部材付与工程により付与された前記封止部材が前記第2の封止部材付与工程で付与される前記封止部材の挙動を誘導することができるため、後述する貼合工程において前記第2の封止部材付与工程で付与した前記封止部材が所望の位置から大きくずれることを抑制することができる。
前記第2の封止部材付与工程を行う前に、前記第1の封止部材付与工程で付与した前記封止部材を硬化させる工程を含むことが好ましい。前記第2の封止部材付与工程を行う前に、前記第1の封止部材付与工程で付与した前記封止部材を硬化させることにより、前記第1の封止部材付与工程で付与した前記封止部材が固定されるため、後述する貼合工程において前記第2の封止部材付与工程で付与した前記封止部材とともに位置ずれを引き起こすことを抑制することができる。
また、封止部材を塗布した後にレベリング工程を設けても良い。ここで言うレベリング工程とは、封止部材が塗布された界面の馴染みを良くすることと、封止部材に含まれる気泡を脱泡することなどが含まれる。レベリング工程は、静置時間を置く工程でも良く、加熱工程を入れても良く、真空脱泡工程を入れても良く、これらの組みあわせでも良い。
-封止部材-
前記封止部材としては、外気や、水蒸気の侵入を阻害することができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、低融点フリットガラス、エポキシ樹脂、又はアクリル樹脂などの紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、上記に加え、より水蒸気の浸入を阻害するため、乾燥剤を混合してもよい。
本発明においては、封止部材としてエポキシ樹脂を用いることが好ましい。
前記封止部材としてエポキシ樹脂を用い、かつホール輸送層が上記一般式(1)、及び上記一般式(2)で示される3級アミン化合物の少なくともいずれかを有することにより、光電変換素子を高温高湿環境下に保存した場合においても、保存前の高い出力を維持することができる。
また、硬化物(封止部)の柔軟性と基板との密着力が良好に保てるため、良好な機械的耐久性も得られる。
前記エポキシ樹脂としては、分子内にエポキシ基を有するモノマーあるいはオリゴマーが硬化した樹脂であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水分散型、無溶剤型、固体型、熱硬化型、硬化剤混合型、紫外線硬化型などが挙げられる。これらの中でも、熱硬化型、紫外線硬化型が好ましく、紫外線硬化型がより好ましい。なお、紫外線硬化型であっても加熱されてもよい。
前記エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ノボラック型、環状脂肪族型、長鎖脂肪族型、グリシジルアミン型、グリシジルエーテル型、グリシジルエステル型などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記エポキシ樹脂は、必要に応じて、硬化剤、各種添加剤を含んでもよい。
硬化剤としては、例えば、アミン系、酸無水物系、ポリアミド系、その他の硬化剤などが挙げられる。
前記アミン系硬化剤は、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどの脂肪族ポリアミン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホンなどの芳香族ポリアミンなどが挙げられる。
前記酸無水物系硬化剤としては、例えば、無水フタル酸、テトラ及びヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ピロメリット酸、無水ヘット酸、ドデセニル無水コハク酸などが挙げられる。
前記その他の硬化剤としては、例えば、イミダゾール類、ポリメルカプタンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記添加剤としては、例えば、充填材(フィラー)、スペーサー、重合開始剤、乾燥剤(吸湿剤)、硬化促進剤、カップリング剤、可とう化剤、着色剤、難燃助剤、酸化防止剤、有機溶剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、充填材、ギャップ剤、重合開始剤、乾燥剤(吸湿剤)、硬化促進剤、カップリング剤が好ましく、充填材、重合開始剤が特に好ましい。
--充填材--
前記充填材としては、外部環境下の水分や酸素の浸入を抑制する上で有効であるほか、硬化時の体積収縮の低減、硬化時あるいは加熱時のガスの発生量の低減、機械的強度の向上、熱伝導性や流動性の制御等の効果を得ることができ、本発明においても様々な環境でも安定した出力を維持する上で非常に有効である。
前記光電変換素子の出力特性や耐久性は、外部環境から光電変換素子内部に侵入する水分や酸素の影響だけでなく、封止部材の硬化時、及び加熱時に発生するガスによる影響を無視することができない。特に、加熱時に発生するガスの影響は、高温環境下で保存する場合における出力特性に大きな影響を及ぼす。
この場合、封止部材に充填材やギャップ剤、乾燥剤を含有させることにより、これら自身が水分や酸素の浸入を抑制できるほか、封止部材の使用量を低減できることにより、ガスの発生を低減させる効果を得ることができる。これは、硬化時だけでなく、前記光電変換素子を高温環境に保存した際にも有効である。
前記充填材としては、特に制限はなく、公知のものを用いることができ、例えば、結晶性あるいは不定形のシリカ、タルク、アルミナ、窒化アルミ、窒化珪素、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム等の無機充填材が好ましく用いられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記充填材の平均一次粒径としては、0.1μm以上10μm以下が好ましく、1μm以上5μm以下がより好ましい。充填材の平均一次粒径が0.1μm以上10μm以下であることにより、水分や酸素の侵入を抑制する効果を十分に得ることができ、粘度が適正となり、基板との密着性や脱泡性の向上、あるいは封止部の幅の制御や作業性に対しても有効である。
前記充填材は封止部内に満遍なく配置されることが好ましい。これにより、水分や酸素の侵入を抑制する効果を十分に得ることができる。ギャップ剤やスペーサーを用いた場合、その界面付近にフィラーの密度が少ない層が形成されることがある。その場合、封止部幅方向において、フィラーの密度が少ない層の距離を長くすることで水分や酸素の侵入を抑制する効果を十分に得ることができる。フィラーの密度については、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)で測定することができる。
前記充填材の含有量としては、前記封止部材の全量に対して、10質量部以上90質量部以下が好ましく、20質量部以上70質量部以下がより好ましい。充填材の含有量が10質量部以上90質量部以下であると、水分や酸素の浸入抑制効果が十分に得られ、粘度も適正となり、密着性や作業性も良好となる。
--ギャップ剤--
前記ギャップ剤とは、ギャップ制御剤、スペーサー剤とも称され、封止部のギャップを制御することができる。例えば、第1の基板、又は第1の電極の上に、封止部材を付与し、その上に第2の基板を載せて封止を行う場合、エポキシ樹脂にギャップ剤を混合していることにより、封止部のギャップがギャップ剤のサイズに揃うため、容易に封止部のギャップを制御することができる。
前記ギャップ剤としては、粒状でかつ粒径が均一であり、耐溶剤性や耐熱性が高いものであれば、公知の材料を使用できる。前記エポキシ樹脂と親和性が高く、粒子形状が球形であるものが好ましい。具体的には、ガラスビーズ、シリカ微粒子、有機樹脂微粒子等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ギャップ剤の粒径としては、設定する封止部のギャップに合わせて選択可能であるが、1μm以上100μm以下が好ましく、5μm以上50μm以下がより好ましい。
前記封止部のギャップを制御する他の方法として、スペーサーを設けてもよい。
前記スペーサーは、前記光電変換層の外周部であればどこに配置されていてもよい。例えば、第1の基板上、第1の電極上、ホールブロッキング層上、デリーション残渣上、第2の電極上、第2の基板上などに配置してよく、これらの組み合わせでもよい。
前記スペーサーは、封止部の外側に配置されてもよく、封止部の内部に内包されてもよい。
前記スペーサーの材料としては、外気の水蒸気の侵入を阻害するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ガラス材料、金属材料、金属酸化物材料、エポキシ樹脂又はアクリル樹脂などの紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
--重合開始剤--
前記重合開始剤は、熱や光を用いて重合を開始させることを目的として添加される材料である。前記重合開始剤としては、例えば、熱重合開始剤、光重合開始剤などが挙げられる。
前記熱重合開始剤は、加熱によってラジカルやカチオンなどの活性種を発生する化合物であり、具体的には、2,2'-アゾビスブチロニトリル(AIBN)のようなアゾ化合物、過酸化ベンゾイル(BPO)等の過酸化物などが挙げられる。
熱カチオン重合開始剤としては、例えば、ベンゼンスルホン酸エステル、アルキルスルホニウム塩などが挙げられる。
前記光重合開始剤は、エポキシ樹脂の場合、光カチオン重合開始剤が好ましく用いられる。エポキシ樹脂に光カチオン重合開始剤を混合し、光照射を行うと光カチオン重合開始剤が分解して、強酸を発生し、酸がエポキシ樹脂の重合を引き起こし、硬化反応が進行する。前記光カチオン重合開始剤は、硬化時の体積収縮が少なく、酸素阻害を受けず、貯蔵安定性が高いといった効果を有する。
前記光カチオン重合開始剤としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタセロン化合物、シラノール・アルミニウム錯体などが挙げられる。また、光を照射することにより酸を発生する機能を有する光酸発生剤も使用できる。
前記光酸発生剤は、カチオン重合を開始する酸として作用し、例えば、カチオン部とアニオン部からなるイオン性のスルホニウム塩系やヨードニウム塩系等のオニウム塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記重合開始剤の含有量としては、封止部材の全量に対して、0.5質量部以上10質量部以下が好ましく、1質量部以上5質量部以下がより好ましい。重合開始剤の含有量が0.5質量部以上10質量部以下であると、硬化が適正に進み、未硬化物の残存を低減することができ、ガスの発生量が過剰になるのを防止でき、有効である。
--乾燥剤--
前記乾燥剤は、吸湿剤とも称され、水分を物理的あるいは化学的に吸着、吸湿する機能を有する材料であり、前記封止部材に含有させることにより、耐湿性を更に高めたり、前記アウトガスの影響を低減できたりする場合もあることから有効である。
前記乾燥剤としては、粒子状であるものが好ましく、例えば、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、塩化カルシウム、シリカゲル、モレキュラーシーブ、ゼオライト等の無機吸水材料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、吸湿量が多いゼオライトが好ましい。
--硬化促進剤--
前記硬化促進剤は、硬化触媒とも称され、硬化速度を速めることを目的として用いられ、主に熱硬化型のエポキシ樹脂に用いられる。
前記硬化促進剤としては、例えば、DBU(1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセン-7)やDBN(1,5-ジアザビシクロ(4,3,0)-ノネン-5)等の三級アミンあるいは三級アミン塩、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾールや2-エチル-4-メチルイミダゾール等のイミダゾール系、トリフェニルホスフィンやテトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレ-ト等のホスフィンあるいはホスホニウム塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
-カップリング剤-
前記カップリング剤は、分子結合力を高める効果を有し、シランカップリング剤が挙げられ、例えば、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N-(2-(ビニルベンジルアミノ)エチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記封止部材は、封止材、シール材あるいは接着剤として市販されているエポキシ樹脂組成物が知られており、本発明においても有効に使用することができる。これらの中でも、太陽電池や有機EL素子用途向けに開発、市販されているエポキシ樹脂組成物もあり、本発明において特に有効に使用できる。
前記市販品としては、例えば、商品名:TB3118、TB3114、TB3124、TB3125F(以上、スリーボンド社製)、WorldRock5910、WorldRock5920、WorldRock8723(以上、協立化学産業株式会社製)、WB90US(P)(以上、モレスコ社製)などが挙げられる。
また、前記エポキシ樹脂組成物は、例えば、特許第4918975号公報、特許第5812275号公報、特許第5835664号公報、特許第5930248号公報、特開2012-136614号公報に開示されており、これらも使用することができる。
また、本発明においては、シート状封止材も有効に使用できる。
前記シート状封止材とは、シート上に予めエポキシ樹脂層を形成したもので、シートはガラスやガスバリア性の高いフィルム等が用いられ、本発明における基板に該当する。シート状封止材を、光電変換素子、又は光電変換モジュールの第2の電極の上に貼り付け、その後、硬化させることにより、封止部材及び基板を一度に形成することができる。シート上に形成するエポキシ樹脂層の形成パターンにより、光電変換素子の内部に空隙部を設けた構造にすることもでき、有効である。
前記空隙部に特に酸素を含有させることが好ましい。酸素を含有させることによって、ホール輸送層のホール輸送機能を長期にわたって安定に維持することが可能になり、光電変換素子あるいは光電変換モジュールの耐久性を向上させることができる。封止することによって設けられた光電変換素子内部の空隙部の酸素濃度は、酸素が含有していれば効果が得られるが、1.0体積%以上21.0体積%以下が好ましく、3.0体積%以上15.0体積%以下がより好ましい。
前記空隙部の酸素濃度は、酸素濃度を設定したグローブボックス内で封止を行うことにより制御することができる。酸素濃度の設定は、特定の酸素濃度を有するガスボンベを使用する方法や、窒素ガス発生装置を用いる方法によって行うことができる。グローブボックス内の酸素濃度は、市販されている酸素濃度計あるいは酸素モニターを用いて測定される。
封止によって形成された前記空隙部内の酸素濃度の測定は、例えば、大気圧イオン化質量分析計(API-MS)によって行うことができる。具体的には、光電変換素子、又は光電変換モジュールを不活性ガスで満たしたチャンバー内に設置し、チャンバー内で封止を開封し、チャンバー内の気体をAPI-MSで定量分析することにより、空隙部内に含まれる気体中のすべての成分を定量し、その総和に対する酸素の割合を算出することにより、酸素濃度を求めることができる。
酸素以外のガスとしては、不活性ガスが好ましく、窒素やアルゴンなどが挙げられる。
また、第2の電極と封止部材との間にパッシベーション層を設けてもよい。パッシベーション層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化アルミニウム、窒化シリコン、酸化シリコンなどが好ましい。
前記封止部材の付与方法(手段)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ディスペンス法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、凸版、オフセット、凹版、ゴム版、スクリーン印刷などが挙げられる。任意のパターンに塗布する場合には、特にスクリーン印刷が好ましい。
ここで、図面を参照して本発明についてより詳細に説明する。
図1Aは、平面視した光電変換素子の一例を示す概念図である。図1Aは、封止部材付与工程において光電変換素子を平面視したときにおける光電変換素子の角部近傍に途切れ部を有するように封止部材を付与したものを、貼合工程による押圧を行う直前に平面視した場合の概念図である。図1Aに示すように、貼合工程による押圧を行う直前に平面視した場合、光電変換素子の角部近傍に途切れ部19aを有する。図1A中、12は第1の電極、17は第2の電極、19は封止部材をそれぞれ示す。
図1Bは、図1Aと同様の段階における実際に作成した光電変換素子の顕微鏡観察による撮影画像の一例である。図1Bに示すように、図1Aに示したのと同様の途切れ部を観察することができる。
図1Cは、図1A及び図1Bに示した途切れ部19aを有する光電変換素子において、貼合工程による押圧を行ったものの顕微鏡観察による撮影画像の一例である。図1Cに示すように、途切れ部19aを有する光電変換素子において、貼合工程による押圧を行うと、封止部材19の光電変換層と対向する側とは反対側の角部に凹部19bが形成される。凹部19bは、封止部材19に途切れ部19aを設けたことによって、形成されるものである。
なお、途切れ部19aとしては、光電変換素子を平面視したときにおける光電変換素子の角部近傍に有するように形成することができれば、特に制限はなく、図1Aに示すような態様だけでなく、例えば、図1Dに示すように、1つの角部に2つの途切れ部19aを有するように形成してもよい。
<第2の基板>
前記第2の基板としては、特に制限はなく、公知のものを用いることができ、例えば、ガラス、透明プラスチック板、透明プラスチック膜、無機物透明結晶体、プラスチックフィルム、セラミック等の基板が挙げられる。第2の基板と封止部材との接合部は密着性を上げるため、凹凸部を形成してもよい。
前記凹凸部の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、サンドブラスト法、ウオーターブラスト法、研磨紙、化学エッチング法、レーザー加工法などが挙げられる。
前記第2の基板と前記封止部材との密着性を上げる手段としては、例えば、表面の有機物を除去してもよく、親水性を向上させてもよい。前記第2の基板の表面の有機物を除去する手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、UVオゾン洗浄、酸素プラズマ処理などが挙げられる。
<貼合工程及び貼合手段>
前記貼合工程は、前記第1の基板における前記第2の電極を有する面と、第2の基板とを対向させて、前記途切れ部において前記封止部材が接触するように押圧して貼り合わせる工程である。
前記貼合手段は、前記第1の基板における前記第2の電極を有する面と、第2の基板とを対向させて、前記途切れ部において前記封止部材が接触するように押圧して貼り合わせる手段である。
前記貼合工程は前記貼合手段により好適に実施される。
前記貼合工程は、前記第1の基板側、及び前記第2の基板側の少なくとも一方の面において前記封止部材を付与した状態で貼り合わせる。
また、前記封止部材は少なくとも1層以上は硬化されていない状態が好ましい。硬化されていない状態であれば、貼合工程により、前記封止部材が押し潰されることで前記途切れ部を塞ぐことができる。即ち、貼合工程により、前記封止部材が前記途切れ部に向かって押しつぶされることで、前記途切れ部を塞ぐことができる。
前記第1の基板における前記第2の電極を有する面と、第2の基板とを対向させて、前記途切れ部において前記封止部材が接触するように押圧して貼り合わせるときの圧力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記貼合手段としては、貼り合わせ時の押し付け速度や、荷重を任意で制御できるものが好ましい。押し付け速度は特に限定されるものではなく任意の値が使用できる。例えば1mm/secでも良く、5mm/secでも良い、その他任意の値でよい。
前記荷重は特に限定されるものではなく任意の値が使用できる。例えば、200N以上が好ましく、600N以上がより好ましく、その他任意の値でよい。
前記貼合工程において、途切れ部の両端から押し潰された封止部材が途切れ部の領域(例えば、図1Aなどの相互矢印の領域)に移動し、最終的には合一することで途切れ部が塞がる。
前記封止部材の合一により、前記封止部材が混ざり合うための静置時間を設けてもよく、加熱工程を入れてもよく、真空脱泡工程を入れてもよく、これらを組みあわせてもよい。
このとき、加熱によって内包ガスが膨張することで封止部材を突き破る可能性があるため、加熱する場合は注意が必要である。
このようにして作製された光電変換素子の封止部は、途切れ部を形成した箇所の少なくとも一部において、平面視したときに前記封止部における前記光電変換層と対向する側と反対側の領域に、凹部を有する。
前記封止部材が2層以上からなる場合、前記凹部は途切れ部を形成した層において形成される。
凹部における封止幅(例えば、図1CのA―A’における平面視したときの封止部の幅)は、所望の高温高湿耐性と機械的応力に対する耐久性を示す封止幅以上であることが好ましく、適宜選択することができるが、光電変換層の外周に設けられた封止部の最小封止幅と同等以上である方がより好ましい。前記所望の封止幅以上であれば、高い高温高湿耐性と機械的応力に対する耐久性を十分両立することができる。
貼り合わせ(封止)を行う際、グローブボックス内は酸素濃度とともに、露点を制御することが好ましく、出力やその耐久性向上に有効である。
露点とは、水蒸気を含む気体を冷却した時、凝結が開始される温度として定義される。 露点としては、0℃以下が好ましく、-20℃以下がより好ましい。下限としては、-50℃以上が好ましい。
前記貼合手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、貼り合わせ時にチャンバー内部の内部ガスを制御できるものが好ましい。
<その他の工程及びその他の手段>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ホールブロッキング層形成工程、デリーション部形成工程、UVカット層形成工程、ガスバリア層形成工程、絶縁性多孔質層形成工程、劣化防止層形成工程、保護層形成工程などが挙げられる。
前記その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ホールブロッキング層形成手段、デリーション部形成手段、などが挙げられる。
<<ホールブロッキング層形成工程及びホールブロッキング層形成手段>>
前記ホールブロッキング層形成工程は、前記第1の電極と、前記電子輸送層との間にホールブロッキング層を形成する工程である。
前記ホールブロッキング層形成手段は、前記第1の電極と、前記電子輸送層との間にホールブロッキング層を形成する手段である。
前記ホールブロッキング層形成工程は前記ホールブロッキング層形成手段により好適に実施される。
-ホールブロッキング層-
光電変換素子は、ホールブロッキング層を有してもよい。
前記ホールブロッキング層は、第1の電極と電子輸送層との間に形成されることが好ましい。
前記ホールブロッキング層は、光増感化合物で生成され、電子輸送層に輸送された電子を第1の電極に輸送し、かつホール輸送層との接触を防ぐ層である。これにより、ホールブロッキング層は、第1の電極へホールを流入しにくくし、電子とホールの再結合による出力低下を抑制することができる。ホール輸送層を設けた固体型の光電変換素子は、電解液を用いた湿式型に比べて、ホール輸送材料中のホールと電極表面の電子の再結合速度が速いことから、ホールブロッキング層の形成による効果は非常に大きい。
前記ホールブロッキング層の材質としては、可視光に対して透明であり、かつ電子輸送性を有するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリコン、ゲルマニウム等の単体半導体、金属のカルコゲニドに代表される化合物半導体、ペロブスカイト構造を有する化合物などが挙げられる。
前記金属のカルコゲニドとしては、例えば、チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、タンタルの酸化物;カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモン、ビスマスの硫化物;カドミウム、鉛のセレン化物;カドミウムのテルル化物などが挙げられる。他の化合物半導体としては、例えば、亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム等のリン化物;ガリウム砒素、銅-インジウム-セレン化物、銅-インジウム-硫化物などが挙げられる。
前記ペロブスカイト構造を有する化合物としては、例えば、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウムなどが挙げられる。
これらの中でも、酸化物半導体が好ましく、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化スズがより好ましく、酸化チタンが更に好ましい。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、単層としても積層してもよい。また、これらの半導体の結晶型は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、単結晶でもよいし、多結晶でもよいし、あるいは非晶質でもよい。
前記ホールブロッキング層の作製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、湿式製膜のゾルゲル法、四塩化チタンからの加水分解法、乾式製膜のスパッタリング法などが挙げられるが、これらの中でもスパッタリング法が好ましい。ホールブロッキング層の製膜方法がスパッタリング法であると、膜密度を十分に高くでき、損失電流を抑制することができる。
ホールブロッキング層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択可能であるが、5nm以上1μm以下が好ましく、湿式製膜では500nm以上700nm以下がより好ましく、乾式製膜では5nm以上30nm以下がより好ましい。
<<デリーション部形成工程及びデリーション部形成手段>>
前記デリーション部形成工程は、前記第1の基板、前記第1の電極、及び前記ホールブロッキング層の少なくともいずれかの表面にデリーション部を形成する工程である。
前記デリーション部形成手段は、前記第1の基板、前記第1の電極、及び前記ホールブロッキング層の少なくともいずれかの表面にデリーション部を形成する手段である。
前記デリーション部形成工程は前記デリーション部形成手段により好適に実施される。
前記デリーション部は、前記第1の基板、前記第1の電極、及び前記ホールブロッキング層の少なくともいずれかの表面にデリーション部を形成する。
前記デリーション部とは、デリーション加工を施した領域を意味する。前記デリーション部は前記第1の基板、前記第1の電極、及び前記ホールブロッキング層の少なくともいずれかの表面に形成される。
前記デリーション部の形成により、前記第1の基板、前記第1の電極、及び前記ホールブロッキング層の少なくともいずれかの残渣が前記第1の基板、前記第1の電極、及び前記ホールブロッキング層の少なくともいずれかの表面に生じることがある。本明細書ではデリーション残渣と称する。
前記デリーション部は前記デリーション残渣により凹凸が形成されることが好ましい。
前記デリーション残渣の最大厚みは、5nm以上1000nm以下が好ましく、10nm以上300nm以下がより好ましい。
最小厚みは、最大厚みの10分の1以下が好ましく、0nmがより好ましい。最小厚みが0nmの場合、デリーション部における、デリーション残渣を有する領域が30%以上95%以下であることが好ましく、40%以上80%以下がより好ましい。
凸部の形状は、周期的な構造でもよく、ランダム構造でも良い。粒子が結着した構造でもよい。
凹部には十分に封止部材が充填されている方がよい。充填の様子は走査型電子顕微鏡(SEM)によって確認することができる。
前記最大厚みと最小厚みが好ましい範囲であると微細な凹凸によるアンカー効果により封止部との密着力が高まるとともに、デリーション残渣が基板と封止部との界面におけるフィラーの役割をすることで湿度侵入を遅らすことができ、高い高温高湿耐性を維持しながら機械的応力に対する耐久性を向上させることができる。
前記デリーション残渣はホールブロッキング層と同じ材料を含むことが好ましい。同じ材料であると、デリーション残渣とホールブロッキング層が強固に密着するため、高い高温高湿耐性を維持しながら機械的応力に対する耐久性を向上させることができる。
前記デリーション残渣は、前記光電変換層の構成材料を1種以上含むことが好ましく、少なくとも前記電子輸送層と同じ材料を含むことがより好ましい。
前記デリーション残渣は酸化物半導体を含むものが好ましく、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ及び酸化ニオブがより好ましく、酸化チタンが特に好ましい。デリーション残渣はさらに光増感化合物、ホール輸送層を含んでもよい。封止部材の硬化不良を抑制するため、ホール輸送層は含まない方がより好ましい。
前記デリーション残渣は前記デリーション加工時に生じた残渣により形成される。
前記デリーション残渣の確認は、前記厚み測定の他に、表面の元素分析を行うことでも確認ができる。例えば、エネルギー分散型X線分光法SEM-EDXで測定することにより、前記電子輸送層や前記ホール輸送層を構成する元素の検出を行うことで確認をすることができる。
前記最大厚み、最小厚みの確認方法は、特に制限はなく、公知の手段を用いて確認することができる。例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて測定することができる。
厚みを確認する際の断面形成方法は、特に制限はなく、従来の手段を用いることができ、例えばダイヤカットソーやダイヤモンドワイヤーソー、イオンミリング、や集束イオンビーム加工(FIB)など公知の手段によって形成することができる。
前記デリーション残渣はnm単位なので、走査型電子顕微鏡(SEM)などを用いて測定する場合、判別できる視野範囲で測定を行う。例えば、図3に記載の測定条件(加速電圧3kV,アパーチャーサイズ60um)が好ましい。ここで、最小厚み0nmは図27のような測定条件(加速電圧3kV,アパーチャーサイズ60um)でデリーション残渣が確認できなかった箇所を0nmとしている。
前記デリーション部における、デリーション残渣を有する領域は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて評価することができ、図3に示すように約3.8μm幅内で、下記の計算により算出される。
前記デリーション残渣を有する幅/全体幅=デリーション残渣を有する領域(%)
前記デリーション残渣により、前記第1の基板や前記第1の電極に凹凸部を設けなくても、微細な凹凸部を形成することが可能である。また、例えば、封止部との結合領域が、第1の基板と、第1の電極の複数の界面があった場合、封止部材の濡れ性が変わり密着力に差ができてしまう。一方、例えば、前記デリーション残渣が第1の基板と、第1の電極を覆った場合、封止部との結合領域がデリーション残渣により同一界面になるため、濡れ性が変わらず密着力が均一になる。密着力の差は応力への耐性に影響するため、同一界面である方がより好ましい。
前記デリーション加工方法(デリーション残渣の形成方法、デリーション部形成手段)は、特に制限はなく、公知の方法にしたがって行うことができ、例えば、サンドブラスト法、ウオーターブラスト法、研磨法、化学エッチング法、レーザー加工法などが挙げられる。これらの中でも、レーザー加工法が好ましい。
前記レーザー加工法の場合、第1の電極側からか第2の電極側からかのどちらからのレーザー照射でもよいが、第1の電極側からが好ましい。
また、デフォーカスすることで電極へのダメージを減らすことも有用である。デフォーカスは、-1mm~-10mmが好ましい。
加工のタイミングとしては電子輸送層のみでなく、ホール輸送層を製膜した後、まとめて加工する方が好ましい。
前記レーザーのパワーは5.0μJ以上9.5μJ以下が好ましく、7.0μJ~9.0μJがより好ましい。レーザーのパワーが10μJ以上であると電極のダメージにより光電変換特性が低下する可能性がある。
前記レーザーのピッチは1μm以上80μm以下が好ましく、10μm以上30μm以下がより好ましい。ピッチ制御により、周期的なレーザー跡が得られる。レーザー跡は顕微鏡などで確認できる。
前記レーザーのピッチの好ましい範囲であると、電極へのダメージを抑制しながらデリーション残渣を緻密に形成することができ、高い高温高湿耐性を維持しながら機械的応力に対する耐久性を向上させることができる。
<<UVカット層形成工程及びUVカット層形成手段>>
前記UVカット層形成工程は、基板上の光入射面を覆うようにUVカット層を形成する工程である。
前記UVカット層形成手段は、基板上の光入射面を覆うようにUVカット層を形成する手段である。
前記UVカット層形成工程は前記UVカット層形成手段により好適に実施される。
-UVカット層-
前記UVカット層は、UV光による光電変換素子の劣化を抑制するために、基板上の光入射面を覆うように配されている層である。
前記のUVカット層の構成部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一般的には接着層と基板等から構成され、UV光を吸収する接着層もしくは基板、又は、その両方を含むフィルム構成となっている。また、目的に応じて、封止層とUVカット層を複数層設けることができ、その他の層を適宜選択することができる。
前記UVカット層に要求される能力は、一般的に、光透過率で表現され、光電変換素子や有機薄膜太陽電池の種類にもよるが、光波長370nm以下の光透過率が1%未満であることが好ましく、光波長410nm以下の光透過率が1%未満であることがより好ましい。
<<ガスバリア層形成工程及びガスバリア層形成手段>>
前記ガスバリア層形成工程は、前記基板と前記第1の電極との間、前記UVカット層と前記基板との間にガスバリア層を形成する工程である。
前記ガスバリア層形成手段は、前記基板と前記第1の電極との間、前記UVカット層と前記基板との間にガスバリア層を形成する手段である。
前記ガスバリア層形成工程は前記ガスバリア層形成手段により好適に実施される。
-ガスバリア層-
前記ガスバリア層は、光電変換素子の耐久性を向上させるために設ける層である。
前記ガスバリア層は、例えば、前記基板と前記第1の電極との間、前記UVカット層と前記基板との間に設けられる。
前記ガスバリア層としては、JIS K7129 B法準拠に準拠する水蒸気透過度(g/(m/day))が1×10-2g/(m/day)以下で、JIS K7126-2準拠する酸素ガス透過度(cm/(m・24h・atm))が1cm/(m・24h・atm)以下であるものを意味する。
前記ガスバリア層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ガスバリア層としての機能を有するフィルムを張り付ける方法などが挙げられる。
前記ガスバリア層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、SiO、SiNx、Al、SiC、SiCN、SiOC、SiOAl、シロキサン系材料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ガスバリア層を有する基板を用いた構成としては、前記基板上に、第1の電極と、ホールブロッキング層と、光電変換層と、第2の電極と、第2の基板とをこの順で有する光電変換素子であって、光入射面となる基板側に、UVカット層を設けた構成が好ましい。
本発明の光電変換素子は、1つ以上の中間電極を介して2層以上の光電変換層を積層(タンデム化)して直列接続を形成したり、並列接続したりしてもよい。
また、入射光をダイクロイックミラーやプリズムなどを用いて波長分解した上で、直列あるいは並列接続された2つ以上の発電領域を有する光電変換素子に入射させ、光電変換効率の向上を図ってもよい。
(光電変換素子)
本発明の光電変換素子は、第1の基板と、第1の電極と、光電変換層と、第2の電極と、封止部と、第2の基板とを有し、
前記封止部が前記光電変換層の外周部に配され、
平面視したときに、前記封止部における前記光電変換層と対向する側と反対側の領域に、凹部を有し、更に必要に応じてその他の部材を有する。
-第1の基板-
前記第1の基板としては、本発明の光電変換素子の製造方法において説明したものと同様である。
-第1の電極-
前記第1の電極は、前記基板上に配される電極である。
前記第1の電極としては、本発明の光電変換素子の製造方法において説明したものと同様である。
-光電変換層-
前記光電変換層は、前記第1の電極上に配されている。
前記光電変換層としては、本発明の光電変換素子の製造方法において説明したものと同様である。
-第2の電極-
前記第2の電極は、光電変換層上に配置される電極層である。
前記第2の電極としては、本発明の光電変換素子の製造方法において説明したものと同様である。
-封止部-
前記封止部としては、本発明の光電変換素子の製造方法において説明した、封止材料を硬化させてなるものである。
前記封止部としては、本発明の光電変換素子の製造方法において説明した、封止材料と同様である。
-第2の基板-
前記第2の基板としては、本発明の光電変換素子の製造方法において説明したものと同様である。
前記その他の部材としては、例えば、ホールブロッキング層などが挙げられる。
-ホールブロッキング層-
前記ホールブロッキング層は、前記第1の電極上に配される電極である。
前記ホールブロッキング層としては、本発明の光電変換素子の製造方法において説明したものと同様である。
ここで、本発明の光電変換素子の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。また、下記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好ましい数、位置、形状等にすることができる。
<第1の実施形態>
図2Aは、第1の実施形態の光電変換素子の一例を示す概略図である。この図2Aの光電変換素子は、第1の基板11上に第1の電極12が形成され、第1の電極12上にはホールブロッキング層13が形成される。ホールブロッキング層13上には電子輸送層14が形成され、電子輸送層14を構成する電子輸送性材料の表面に光増感化合物15が吸着される。電子輸送層14の上部及び内部にはホール輸送層16が形成され、ホール輸送層16の上に第2の電極17が形成される。前記第2の電極17の上方には第2の基板18が配置され、第2の基板18は第1の電極12との間で封止部材19によって固定される。
なお、図示しないが、第1の電極12及び第2の電極17は、各々電極取出し端子まで導通する経路を有することができる。
<第2の実施形態>
図2Bは、第2の実施形態の光電変換素子の一例を示す概略図である。この図2Bの光電変換素子は、第1の電極12上に設けたホールブロッキング層13を第1の電極12と同じ大きさとし、第2の基板18はホールブロッキング層13との間で封止部材19によって固定される以外は、第1の実施形態の光電変換素子と同様である。
なお、第2の実施形態において、既に説明した第1の実施の形態と同一の構成については、同じ参照符号を付してその説明を省略する。
<第3の実施形態>
図2Cは、第3の実施形態の光電変換素子の一例を示す概略図である。この図2Cの光電変換素子は、第1の電極12上にデリーション残渣21aを有するデリーション部21を設け、第2の基板18はデリーション残渣21aとの間で封止部材19によって固定される以外は、第1の実施形態の光電変換素子と同様である。
なお、第3の実施形態において、既に説明した第1の実施の形態と同一の構成については、同じ参照符号を付してその説明を省略する。
<第4の実施形態>
図2Dは、第4の実施形態の光電変換素子の一例を示す概略図である。この図2Dの光電変換素子は、第1の電極12上に設けたホールブロッキング層13を第1の電極12と同じ大きさとし、ホールブロッキング層13上にデリーション残渣21aを有するデリーション部21設け、第2の基板18はデリーション残渣21aとの間で封止部材19によって固定される以外は、第1の実施形態の光電変換素子と同様である。
なお、第4の実施形態において、既に説明した第1の実施の形態と同一の構成については、同じ参照符号を付してその説明を省略する。
<第5実施形態>
図2Eは、第5の実施形態の光電変換素子の一例を示す概略図である。この図2Eの光電変換素子は、第1の電極12上に設けたホールブロッキング層13を第1の電極12と同じ大きさとし、ホールブロッキング層13上にデリーション残渣21aを有するデリーション部21を設け、第2の基板18はデリーション残渣21aとの間でスペーサー22を有する封止部材19によって固定される以外は、第1の実施形態の光電変換素子と同様である。
なお、第5の実施形態において、既に説明した第1の実施の形態と同一の構成については、同じ参照符号を付してその説明を省略する。
(光電変換モジュールの製造方法)
本発明の光電変換モジュールの製造方法は、第1の基板上に第1の電極を形成する第1の電極形成工程と、
前記第1の電極上に光電変換層を形成する光電変換層形成工程と、
前記光電変換層上に第2の電極を形成する第2の電極形成工程と、
前記光電変換層の外周部に、途切れ部を有するように封止部材を付与する封止部材付与工程と、
前記第1の基板における前記第2の電極を有する面と、第2の基板を対向させて、前記途切れ部において前記封止部材が接触するように押圧して貼り合わせる貼合工程と、を含み、さらに必要に応じてその他の工程を含む。
本発明の光電変換モジュールの製造方法における各工程においては、本発明の光電変換素子の製造方法と同様である。
(光電変換モジュール)
本発明の光電変換モジュールは、第1の基板と、第1の電極と、光電変換層と、第2の電極と、封止部と、第2の基板とを有し、
前記封止部が前記光電変換層の外周部に配され、
平面視したときに、前記封止部における前記光電変換層と対向する側と反対側の領域に、凹部を有し、更に必要に応じてその他の部材を有する。
また、本発明の光電変換モジュールは、複数の光電変換素子が隣接して配置された光電変換素子配置領域を有し、前記複数の光電変換素子が、第1の電極と、光増感化合物を有する電子輸送層と、ホール輸送層と、第2の電極とを少なくとも有し、前記光電変換素子配置領域の外縁に配置され、かつ前記電子輸送層を前記光電変換素子の外部環境から遮蔽する、封止部を有し、必要に応じて、その他の層を有する。各層は、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。
また、本発明の光電変換モジュールは、前記光電変換素子を、複数有する構成とすることができる。
光電変換モジュールの各層の構成としては、本発明の光電変換素子と同様の構成とすることができる。
光電変換モジュールとしては、複数の光電変換素子が、直列又は並列に接続される構成などが挙げられる。
光電変換モジュールは、互いに隣接する少なくとも2つの前記光電変換素子において、少なくとも前記ホール輸送層どうしが互いに延設された連続層の形態であってもよい。
光電変換モジュールは、一対の基板を有し、前記一対の基板の間に前記光電変換素子配置領域を有し、前記封止部材が前記一対の基板に挟持された構成とすることができる。
以下に、本発明の光電変換モジュールの一例について、図面を用いて説明する。ただし、本発明は、これらに限定されるものではなく、例えば、下記構成部材の数、位置、形状等について、本実施の形態に記載されていないものについても、本発明の範疇に含まれる。
図4は、本発明の光電変換モジュールの一例を示す概略図であり、複数の光電変換素子を含み、それらが直列に接続された光電変換モジュールのある一部の断面を示す一例である。
本発明の光電変換モジュールは図2Eに示した光電変換素子において、下記の点で異なる。
図4は、ホール輸送層16を形成した後、貫通部23を形成し、その後、第2の電極17を形成することによって、貫通部23の内部に第2の電極材料が導入され、隣接するセルの第1の電極12と導通させることができる。なお、図4には図示しないが、第1の電極12及び第2の電極17は、更に隣接するセルの電極、あるいは出力取出し端子まで導通する経路を有する。
貫通部23は、第1の電極12を貫通し、第1の基板11まで達していてもよいし、第1の電極12の内部で加工をやめ、第1の基板11にまで達していなくてもよい。
貫通部23の形状を第1の電極12を貫通し、第1の基板11まで到達する微細孔とする場合、貫通部23の面積に対して微細孔の開口面積合計が大きくなりすぎると、第1の電極12の膜断面積が減少することで抵抗値が増大してしまい、光電変換効率の低下を引き起こす場合がある。そのため、前記貫通部23の面積に対する微細孔の開口面積合計の比率としては、5/100以上60/100以下が好ましい。
貫通部23の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、サンドブラスト法、ウオーターブラスト法、研磨法、化学エッチング法、レーザー加工法などが挙げられる。これらの中でも、レーザー加工法が好ましい。これにより、微細な孔をサンドやエッチング、レジスト等を使うことなく形成でき、また、清浄に再現性よく加工することが可能となる。また、貫通部23を形成する場合に、ホールブロッキング層13、電子輸送層14、ホール輸送層16、及び第2の電極17のうち少なくとも一つをレーザー加工法による衝撃剥離によって除去することが可能になる。これにより、積層時にマスクを設ける必要がなく、また、除去と微細な貫通部23の形成を一度に簡易的に行うことができる。
(電子機器)
本発明の電子機器は、本発明の光電変換素子及び/又は光電変換モジュールと、前記光電変換素子及び/又は光電変換モジュールが光電変換することによって発生した電力によって動作する装置と、を有し、更に必要に応じてその他の装置を有する。
(電源モジュール)
本発明の電源モジュールは、本発明の光電変換素子及び/又は光電変換モジュールと、電源ICと、を有し、更に必要に応じてその他の装置を有する。
本発明の光電変換素子、及び光電変換モジュールと、これらが発電することによって得られた電力により動作する装置を有する電子機器の具体的な実施形態について説明する。
図5には、前記電子機器として、マウスを用いた一例を示す。
図5に示すように、光電変換素子、及び光電変換モジュールと電源IC、更に蓄電デバイスとを組み合わせ、供給される電力をマウスの制御回路の電源に接続する。これにより、マウスを使用していない時に蓄電デバイスに充電し、その電力でマウスを動作させることができ、配線や電池交換が不要なマウスを得ることができる。また、電池が不要になることで軽量化も可能となり、有効である。
図6には、マウスに光電変換素子を実装させた概略図を示した。光電変換素子及び電源IC、蓄電デバイスはマウス内部に実装されるが、光電変換素子に光が当たるように光電変換素子の上部は透明の筐体で覆われている。また、マウスの筐体すべてを透明な樹脂で成形することも可能である。光電変換素子の配置はこれに限られるものではなく、例えばマウスを手で覆っていても光が照射される位置に配置することも可能であり、好ましい場合がある。
本発明の光電変換素子、及び光電変換モジュールと、これらが発電することによって得られた電力により動作する装置を有する電子機器の他の実施形態について説明する。
図7には、前記電子機器として、パソコンに用いられるキーボードを用いた一例を示す。
図7に示すように、光電変換素子と電源IC、蓄電デバイスを組み合わせ、供給される電力をキーボードの制御回路の電源に接続する。これにより、キーボードを使用していない時に蓄電デバイスに充電し、その電力でキーボードを動作させることができ、配線や電池交換が不要なキーボードを得ることができる。また、電池が不要になることで軽量化も可能となり、有効である。
図8には、キーボードに光電変換素子を実装させた概略図を示した。光電変換素子及び電源IC、蓄電デバイスはキーボード内部に実装されるが、光電変換素子に光が当たるように光電変換素子の上部は透明の筐体で覆われている。キーボードの筐体すべてを透明な樹脂で成形することも可能である。光電変換素子の配置はこれに限られるものではない。
光電変換素子を組み込むスペースが小さい小型のキーボードの場合には、図9に示すように、キーの一部に小型の光電変換素子を埋め込むことも可能であり、有効である。
本発明の光電変換素子、及び光電変換モジュールと、これらが発電することによって得られた電力により動作する装置を有する電子機器の他の実施形態について説明する。
図10には、前記電子機器として、センサを用いた一例を示す。
図10に示すように、光電変換素子と電源IC、蓄電デバイスを組み合わせ、供給される電力をセンサ回路の電源に接続する。これにより、外部電源に接続する必要がなく、また電池交換を行う必要もなく、センサモジュールを構成することが可能となる。センシング対象としては、温湿度、照度、人感、CO、加速度、UV、騒音、地磁気、気圧など、様々なセンサに応用でき、有効である。センサモジュールは、図10中Aに示すように、定期的に測定対象をセンシングし、読み取ったデータをPCやスマートフォンなどに無線通信で送信する構成になっている。
IoT社会の到来により、センサは急増することが予想されている。この無数のセンサの電池を一つ一つ交換するには大きな手間がかかり、現実的ではない。またセンサは、天井や壁など、電池交換しにくい場所にあることも作業性を悪くしている。光電変換素子により電力供給できることもメリットは非常に大きい。また、本発明の光電変換素子は、低照度でも高い出力を得ることができ、かつ出力の光入射角依存性が小さいことから、設置自由度が高いといったメリットも得られる。
本発明の光電変換素子、及び光電変換モジュールと、これらが発電することによって得られた電力により動作する装置を有する電子機器の他の実施形態について説明する。
図11には、前記電子機器として、ターンテーブルを用いた一例を示す。
図11に示すように、光電変換素子と電源IC、蓄電デバイスを組み合わせ、供給される電力をターンテーブル回路の電源に接続する。これにより、外部電源に接続する必要がなく、また電池交換を行う必要もなく、ターンテーブルを構成することが可能となる。
ターンテーブルは、例えば、商品を陳列するショーケースなどに用いられるが、電源の配線は見栄えが悪く、また電池交換の際には陳列物を撤去しなければならず、大きな手間がかかっていた。本発明の光電変換素子を用いることで、そのような不具合を解消でき、有効である。
<用途>
以上、本発明の光電変換素子、及び光電変換モジュールと、これらが発電することによって得られた電力により動作する装置を有する電子機器、及び電源モジュールについて説明したが、これらはごく一部であり、本発明の光電変換素子、あるいは光電変換モジュールが、これらの用途に限定されるものではない。
光電変換素子、及び光電変換モジュールは、発生した電流を制御する回路基盤等と組み合わせることにより、例えば、電源装置に応用できる。
電源装置を利用している機器類としては、例えば、電子卓上計算機、腕時計、携帯電話、電子手帳、電子ペーパーなどが挙げられる。
また、充電式や乾電池式の電気器具の連続使用時間を長くするための補助電源として、光電変換素子を有する電源装置を用いることができる。
本発明の光電変換素子、及び光電変換モジュールは、自立型電源として機能させることができ、光電変換によって発生した電力を用いて、装置を動作させることが可能である。本発明の光電変換素子、及び光電変換モジュールは、光が照射されることにより発電することが可能であるため、電子機器を電源に接続したり、あるいは電池交換したりする必要がない。そのため、電源設備がない場所でも電子機器を動作させたり、身に着けて持ち歩いたり、電池交換が困難な場所でも電池を交換することなく、電子機器を動作させたりすることが可能である。また、乾電池を用いる場合は、その分、電子機器が重くなったり、サイズが大きくなったりするため、壁や天井への設置、あるいは持ち運びに支障を来すことがあるが、本発明の光電変換素子、及び光電変換モジュールは、軽量で薄いため、設置自由度が高く、身に着けたり、持ち歩く上でもメリットが大きい。
このように、本発明の光電変換素子、及び光電変換モジュールは、自立型電源として使用でき、様々な電子機器に組み合わせることができる。例えば、電子卓上計算機、腕時計、携帯電話、電子手帳、電子ペーパーなどの表示機器、マウスやキーボードなどのパソコンの付属機器、温湿度センサや人感センサなどの各種センサ機器、ビーコンやGPSなどの発信機、補助灯、リモコン等数多くの電子機器と組み合わせて使用することができる。
本発明の光電変換素子、及び光電変換モジュールは、特に低照度の光でも発電できるため、室内でも、更に薄暗い影のところでも発電することが可能であるため、適用範囲が広い。また、乾電池のように液漏れがなく、ボタン電池のように誤飲することもなく安全性が高い。更に、充電式や乾電池式の電気器具の連続使用時間を長くするための補助電源として用いることができる。このように、本発明の光電変換素子、及び光電変換モジュールと、それが光電変換することによって発生した電力によって動作する装置とを組み合わせることで、軽量で使い勝手がよく、設置自由度が高く、交換が不要で、安全性に優れ、かつ環境負荷低減にも有効な電子機器に生まれ変わることができる。
本発明の光電変換素子及び/又は光電変換モジュールと、それが光電変換することによって発生した電力によって動作する装置とを組み合わせた電子機器の基本構成図を図15に示す。これは、光電変換素子に光が照射されると発電し、電力を取り出すことができる。機器の回路は、その電力によって動作することが可能になる。
しかし、光電変換素子は周囲の照度によって出力が変化するため、図12に示す電子機器は安定に動作することができない場合がある。この場合、図13に示すように、回路側に安定した電圧を供給するために、光電変換素子と機器の回路の間に光電変換素子用の電源ICを組み込むことが可能であり、有効である。
しかし、光電変換素子は十分な照度の光が照射されていれば発電できるが、発電するだけの照度が足りなくなると、所望の電力が得られなくなり、これが光電変換素子の欠点でもある。この場合には、図14に示すように、キャパシタ等の蓄電デバイスを電源ICと機器回路の間に搭載することによって、光電変換素子からの余剰電力を蓄電デバイスに充電することが可能となり、照度が低すぎる場合や、光電変換素子に光が当たらない場合でも、蓄電デバイスに蓄えられた電力を機器回路に供給することが可能になり、安定に動作させることが可能となる。
このように、本発明の光電変換素子及び/又は光電変換モジュールと、機器回路とを組み合わせた電子機器において、電源ICや蓄電デバイスを組み合わせることで、電源のない環境でも動作可能であり、また電池交換が不要で、安定に駆動させることが可能になり、光電変換素子のメリットを最大限に活かすことができる。
一方、本発明の光電変換素子及び/又は光電変換モジュールは、電源モジュールとしても使用することが可能であり、有用である。例えば、図15に示すように、本発明の光電変換素子及び/又は光電変換モジュールと、光電変換素子用の電源ICを接続すると、光電変換素子が光電変換することによって発生した電力を電源ICにて一定の電圧レベルで供給することが可能な直流電源モジュールを構成することができる。
更に、図16に示すように、電源ICに蓄電デバイスを追加することにより、光電変換素子が発生させた電力を蓄電デバイスに充電することが可能になり、照度が低すぎる場合や、光電変換素子に光が当たらない状態になっても、電力を供給することが可能な電源モジュールを構成することができる。
図15及び図16に示した本発明の電源モジュールは、従来の一次電池のように電池交換をすることなく、電源モジュールとして使用することが可能である。
以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
<光電変換素子の作製>
まず、第1の基板としてのガラス基板上に、第1の電極としてインジウムドープ酸化錫(ITO)とニオブドープ酸化錫(NTO)を順次スパッタ製膜した。次に、形成した第1の電極上に、金属チタンからなるターゲットを用いた酸素ガスによる反応性スパッタにより、ホールブロッキング層として酸化チタンからなる緻密な層を形成した。
次に、酸化チタン(商品名:P90、日本アエロジル株式会社製)3g、アセチルアセトン0.2g、及び界面活性剤としてのポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル(和光純薬工業株式会社製)0.3gを、水5.5g、エタノール1.0gとともに12時間ビ-ズミル処理を施し、酸化チタン分散液を作製した。作製した酸化チタン分散液にポリエチレングリコール(商品名:ポリエチレングリコール20,000、和光純薬工業株式会社製)1.2gを加えてペーストを作製した。作製したペーストを、前記ホールブロッキング層上に塗布し(平均厚み:1.2μm)、50℃で乾燥した後、空気中、550℃で30分間焼成し、多孔質状の電子輸送層を形成した。
前記電子輸送層を形成したガラス基板を、下記構造式(A)で表される光増感化合物(商品名:DN455、株式会社ケミクレア製)0.2mM及びケノデオキシコール酸(CDCA、東京化成工業株式会社製)0.4mMのアセトニトリル/t-ブタノール(体積比1:1)溶液に浸漬し、1時間暗所で静置して、電子輸送層の表面に光増感化合物を吸着させた。
次に、前記D-7で表されるホール輸送材料(メルク株式会社製)246.5mgのクロロベンゼン溶液1mLに、添加剤としてのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(商品名:LiTFSI、東京化成工業株式会社製)37.0mg、前記C-1で表される塩基性化合物37.5mgを加えて溶解し、ホール輸送層塗布液を調製した。
Figure 2022176440000037
ただし、Phはフェニル基を表す。
次に、前記光増感化合物を吸着させた電子輸送層上に、前記ホール輸送層塗布液を用いたダイコートにより、ホール輸送層を形成した(平均厚み:600nm)。
このとき、電子輸送層及びホール輸送層は基板全面に塗布され、その後、ホール輸送層上に銀を真空蒸着し、第2の電極(平均厚み:100nm)をマスクによりパターン形成した。
その後、第2の電極より外側の電子輸送層及びホール輸送層をレーザーにより同時に衝撃剥離させ、デリーション部を形成した。
第1の電極側からレーザーを照射し、レーザー装置は、西進商事株式会社製レーザーパターニング装置を用い、発振器をTHG(Third Harmonic Generation)発振器、パワーを8.5μJ、デフォーカス-5mm、加工ピッチは20um、波長を355nmとした。
デリーション残渣の厚みと表面の元素分析は、ダイヤモンドワイヤーソー(メイワフォーシス社製DWS3100)により断面を切り出し、集束イオンビーム走査電子顕微鏡 FIB-SEM(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)により断面を加工し、エネルギー分散型X線分光法SEM-EDX(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)で測定した。得られたSEM画像とSEMの測定条件(加速電圧3kV,アパーチャーサイズ60um)を図4に示し、更に得られたデリーション残渣の最大厚みは160nm、最小厚みは0nmと、デリーション残渣を有する領域は73(%)であった。表面の元素分析では、電子輸送層輸送由来の元素(Ti)が確認された。
デリーション部を形成後、封止部材としてのエポキシ樹脂(紫外線硬化型、商品名:WorldRockNo.5910、協立化学産業株式会社製)を、スクリーン印刷機(マイクロ・テック社製)を用いて塗布した。
封止部材は、光電変換層を囲うように四角形状に塗布され、幅方向は1.5mmとし、角部は直角形状で塗布した。
封止部材を塗布後、紫外線照射装置により、紫外線を照射し封止部材を硬化した。
その後、再度封止部材をスクリーン印刷機により塗布した。この時、封止部の角部にあたる箇所に途切れ部を設けたパターンで塗布した。途切れ部の幅は0.4mmとし、4つの角部に設けた(図1A参照)。
次に、グローブボックス内に窒素ガスを導入し、その中に移して、前記封止部材の上に第2の基板としてのカバーガラスを載せた後、1cm当たり0.7Nの荷重をかけて貼り合わせを行った。また、貼り合わせ後にその荷重をかけたまま約90秒静置した。
紫外線照射により前記封止部材を硬化させ、発電領域の封止を行い、実施例1の光電変換素子を作製した。
図1Cに実施例1で作製した光電変換素子の顕微鏡写真を示す。
封止角部には、途切れ部を設けたことによる凹部が確認できた。
このような構成にすることにより、水分や酸素の過剰な浸入を防ぐ封止効果を高めるとともに、ねじりや荷重などの機械的応力に対して耐久性を向上させることができた。
(実施例2)
実施例1において、2層目の封止部の角部にあたる箇所に途切れ部を設け、途切れ部の幅は0.2mmとし、4つの角部にそれぞれ2箇所ずつ設けた以外は実施例1と同様にして光電変換素子を作製した(図1D参照)。
図1Eに実施例2で作製した光電変換素子の顕微鏡写真を示す。
封止角部には、途切れ部を設けたことによる凹部19bが確認できた。
(比較例1)
実施例1において、途切れ部を設けずに、光電変換層を囲うように四角形状で封止部材を塗布した以外は実施例1と同様にして光電変換素子を作成した。
比較例1では、貼合工程において、封止部の角部近傍の1箇所から内包ガスが抜けることで穴が形成された。
また、光電変換層の4つの角部では、封止部と光電変換層とが接触している状態を確認した。これは、貼合工程において封止部材が押し広がることで形成された。
封止部の穴と封止部材の被覆は、光学顕微鏡により確認した。
次に、得られた実施例1~2及び比較例1の光電変換素子について、以下のようにして、初期最大出力電力(Pmax1)、及び耐久性維持率(Pmax2/Pmax1)を求めた。
<初期最大出力電力(Pmax1)、及び耐久性維持率(Pmax2/Pmax1)>
作製した各光電変換素子について、200luxに調整した白色LED照射下で、太陽電池評価システム(直流電圧・電流源/モニター、6241A、株式会社エーディーシー製)を用いて、IV特性を評価し、初期最大出力電力Pmax1(μW/cm)を求めた。
次に、作製した各光電変換素子について、光電変換素子の中心部に1kgfの力で6分間荷重を加える荷重試験を実施した。直径1cmの金属円柱を用いて荷重を加えた。
更に、荷重試験後の光電変換素子を、40℃90%RH環境下暗所で250時間保存し、その後40℃、90%RH環境下で200 luxに調整した白色LED照射下に250時間保存し、その後、再度IV特性を評価し、高温高湿使用試験後の最大出力電力Pmax2(μW/cm)を求めた。得られたPmax2を初期値であるPmax1で除することにより、「耐久性維持率」(Pmax2/Pmax1)を求めた。
-測定結果-
実施例1では、Pmax1は9.5(μW/cm)耐久性維持率は95%であった。
実施例2では、Pmax1は9.5(μW/cm)耐久性維持率は96%であった。
比較例1では、Pmax1は9.0(μW/cm)耐久性維持率は24%であった。
実施例1~2の光電変換素子は、荷重試験における機械的応力に対する耐久性と経時安定性に優れる。
このような構成にすることにより、水分や酸素の過剰な浸入を防ぐ封止効果を高めるとともに、ねじりや荷重などの機械的応力に対して耐久性を向上させることができる。
以上の結果から、本発明の光電変換素子は、機械的応力に対する耐久性と経時安定性に優れることがわかった。
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 第1の基板上に第1の電極を形成する第1の電極形成工程と、
前記第1の電極上に光電変換層を形成する光電変換層形成工程と、
前記光電変換層上に第2の電極を形成する第2の電極形成工程と、
前記光電変換層の外周部に、途切れ部を有するように封止部材を付与する封止部材付与工程と、
前記第1の基板における前記第2の電極を有する面と、第2の基板とを対向させて、前記途切れ部において前記封止部材が接触するように押圧して貼り合わせる貼合工程と、を含む、ことを特徴とする光電変換素子の製造方法である。
<2> 前記封止部材を付与して形成される封止部が2層以上の層構造を有する、前記<1>に記載の光電変換素子の製造方法である。
<3> 前記封止部材付与工程が、前記途切れ部を有さないように封止部材を付与する第1の封止部材付与工程と、前記途切れ部を有するように封止部材を付与する第2の封止部材付与工程と、を含む、前記<1>から<2>のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法である。
<4> 前記第2の封止部材付与工程が、前記第1の封止部材付与工程により形成された封止部の上に前記途切れ部を有するように封止部材を付与する、前記<3>に記載の光電変換素子の製造方法である。
<5> 前記途切れ部が、前記貼合工程の前の前記封止部材を付与した前記第1の基板を平面視したときに、角部に形成される、前記<1>から<4>のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法である。
<6> 第1の基板と、第1の電極と、光電変換層と、第2の電極と、封止部と、第2の基板とを有し、
前記封止部が前記光電変換層の外周部に配され、
平面視したときに、前記封止部における前記光電変換層と対向する側と反対側の領域に、凹部を有する、ことを特徴とする光電変換素子である。
<7> 第1の基板上に第1の電極を形成する第1の電極形成工程と、
前記第1の電極上に光電変換層を形成する光電変換層形成工程と、
前記光電変換層上に第2の電極を形成する第2の電極形成工程と、
前記光電変換層の外周部に、途切れ部を有するように封止部材を付与する封止部材付与工程と、
第2の基板上に第2の電極を形成する第2の電極形成工程と、
前記第1の基板における前記第2の電極を有する面と、第2の基板を対向させて、前記途切れ部において前記封止部材が接触するように押圧して貼り合わせる貼合工程と、を含む、ことを特徴とする光電変換モジュールの製造方法である。
<8> 第1の基板と、第1の電極と、光電変換層と、第2の電極と、封止部と、第2の基板とを有し、
前記封止部が前記光電変換層の外周部に配され、
平面視したときに、前記封止部における前記光電変換層と対向する側と反対側の領域に、凹部を有する、ことを特徴とする光電変換モジュールである。
<9> 前記<6>に記載の光電変換素子を2以上有することを特徴とする光電変換素子モジュールである。
<10>前記光電変換素子が直列及び並列の少なくともいずれかで接続している、前記<9>に記載の光電変換素子モジュールである。
<11> 前記<6>に記載の光電変換素子及び前記<8>から<10>のいずれかに記載の光電変換モジュールのいずれかと、
前記光電変換素子及び前記光電変換モジュールによって発生した電力によって動作する装置と、
を有することを特徴とする電子機器である。
<12> 前記<6>に記載の光電変換素子及び前記<8>から<10>のいずれかに記載の光電変換モジュールのいずれかと、
電源ICと、
を有することを特徴とする電源モジュールである。
<13> 前記<12>に記載の電源モジュールと、蓄電デバイスと、を有することを特徴とする電子機器である。
前記<1>から<5>のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法、前記<6>に記載の光電変換素子、前記<7>に記載の光電変換モジュールの製造方法、前記<8>から<10>のいずれかに記載の光電変換素子モジュール、前記<11>及び<13>に記載の電子機器、及び前記<12>に記載の電源モジュールによると、従来における諸問題を解決し、本発明の目的を達成することができる。
11 第1の基板
12 第1の電極
13 ホールブロッキング層
14 電子輸送層
15 光増感化合物
16 ホール輸送層
17 第2の電極
18 第2の基板
19 封止部材、封止部
19a 途切れ部
特開2016-174086号公報

Claims (13)

  1. 第1の基板上に第1の電極を形成する第1の電極形成工程と、
    前記第1の電極上に光電変換層を形成する光電変換層形成工程と、
    前記光電変換層上に第2の電極を形成する第2の電極形成工程と、
    前記光電変換層の外周部に、途切れ部を有するように封止部材を付与する封止部材付与工程と、
    前記第1の基板における前記第2の電極を有する面と、第2の基板とを対向させて、前記途切れ部において前記封止部材が接触するように押圧して貼り合わせる貼合工程と、を含む、ことを特徴とする光電変換素子の製造方法。
  2. 前記封止部材を付与して形成される封止部が2層以上の層構造を有する、請求項1に記載の光電変換素子の製造方法。
  3. 前記封止部材付与工程が、前記途切れ部を有さないように封止部材を付与する第1の封止部材付与工程と、前記途切れ部を有するように封止部材を付与する第2の封止部材付与工程と、を含む、請求項1から2のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法。
  4. 前記第2の封止部材付与工程が、前記第1の封止部材付与工程により形成された封止部の上に前記途切れ部を有するように封止部材を付与する、請求項3に記載の光電変換素子の製造方法。
  5. 前記途切れ部が、前記貼合工程の前の前記封止部材を付与した前記第1の基板を平面視したときに、角部に形成される、請求項1から4のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法。
  6. 第1の基板と、第1の電極と、光電変換層と、第2の電極と、封止部と、第2の基板とを有し、
    前記封止部が前記光電変換層の外周部に配され、
    平面視したときに、前記封止部における前記光電変換層と対向する側と反対側の領域に、凹部を有する、ことを特徴とする光電変換素子。
  7. 第1の基板上に第1の電極を形成する第1の電極形成工程と、
    前記第1の電極上に光電変換層を形成する光電変換層形成工程と、
    前記光電変換層上に第2の電極を形成する第2の電極形成工程と、
    前記光電変換層の外周部に、途切れ部を有するように封止部材を付与する封止部材付与工程と、
    前記第1の基板における前記第2の電極を有する面と、第2の基板を対向させて、前記途切れ部において前記封止部材が接触するように押圧して貼り合わせる貼合工程と、を含む、ことを特徴とする光電変換モジュールの製造方法。
  8. 第1の基板と、第1の電極と、光電変換層と、第2の電極と、封止部と、第2の基板とを有し、
    前記封止部が前記光電変換層の外周部に配され、
    平面視したときに、前記封止部における前記光電変換層と対向する側と反対側の領域に、凹部を有する、ことを特徴とする光電変換モジュール。
  9. 請求項6に記載の光電変換素子を2以上有することを特徴とする光電変換素子モジュール。
  10. 前記光電変換素子が直列及び並列の少なくともいずれかで接続している、請求項9に記載の光電変換モジュール。
  11. 請求項6に記載の光電変換素子及び請求項8から10のいずれかに記載の光電変換モジュールのいずれかと、
    前記光電変換素子及び前記光電変換モジュールによって発生した電力によって動作する装置と、
    を有することを特徴とする電子機器。
  12. 請求項6に記載の光電変換素子及び請求項8から10のいずれかに記載の光電変換モジュールのいずれかと、
    電源ICと、
    を有することを特徴とする電源モジュール。
  13. 請求項12に記載の電源モジュールと、蓄電デバイスと、を有することを特徴とする電子機器。

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