JP2022078488A - 光電変換素子、光電変換モジュール、電子機器、及び電源モジュール - Google Patents

光電変換素子、光電変換モジュール、電子機器、及び電源モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】高温環境下に晒された前後において低照度光での出力低下を抑制する光電変換素子等を提供する。【解決手段】第1電極2、電子輸送層4、第2電極7とを有する光電変換素子101であって、電子輸送層4は、一般式(1)で表される化合物と、一般式(2)で表される化合物とを含む。TIFF2022078488000064.tif30151一般式(1)中、Ar1及びAr2は、アリール基を表す。R1及びR2は、炭素数4~10の直鎖又は分岐状のアルキル基を表す。TIFF2022078488000065.tif22121一般式(2)中、nは1~3、Ar3は、置換基を有してもよいフェニル基、又はナフチル基を表す。【選択図】図1

Description

本発明は、光電変換素子、光電変換モジュール、電子機器、及び電源モジュールに関する。
近年、低照度の光でも効率よく発電できる太陽電池が多くの注目を集めており、設置場所を問わない用途だけでなく、電池交換又は電源配線等が不要な自立型電源として幅広い応用が期待されている。
例えば、屋内向けの光電変換素子としては、アモルファスシリコン又は有機系太陽電池が知られている。有機系太陽電池の中でも色素増感太陽電池は、電荷発生機能と電荷輸送機能とが分離された層によって構成されていることで、容易に作製することができる点で有利である。一般に、色素増感太陽電池は、電解液を内包しているために電解液の揮発及び漏れといった問題があったが、近年、P型半導体材料を用いた固体型の色素増感太陽電池も開発され、注目を集めている。
そこで、高効率でありながら長期安定性の高い光電変換素子を提供することを目的として、例えば、第1電極と、該第1電極上に形成された電子輸送層と、ホール輸送層と、第2電極と、を有する光電変換素子であって、前記電子輸送層は、下記一般式(1)で表される化合物と、下記一般式(2)で表される化合物と、を担持した電子輸送性化合物を含む光電変換素子が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
Figure 2022078488000002
(式中、X及びXは酸素原子、硫黄原子又はセレン原子を表し、Rはメチン基を表し、Rはアルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表し、Rは同一でも異なっていてもよい酸性基を表し、mは1又は2を表し、Z1及びZ2は環状構造を形成する基を表す。)
Figure 2022078488000003
(式中、Rはアリール基又はヘテロ環基を表し、Rはアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキルチオ基又はアリールエーテル基を表す。)
しかしながら、上記特許文献1に記載の従来技術では、高照度光環境下に晒された後に出力低下が生じてしまうという課題がある。
本発明は、高照度光環境下に晒された後において低照度光での出力低下を抑制することができる光電変換素子を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の光電変換素子は、第1電極と、該第1電極上に形成された電子輸送層と、ホール輸送層と、第2電極と、を有する光電変換素子であって、前記電子輸送層は、下記一般式(1)で表される化合物と、下記一般式(2)で表される化合物とを含む。
Figure 2022078488000004
ただし、前記一般式(1)中、Ar及びArは、置換基を有していてもよいアリール基を表す。R及びRは、炭素数4~10の直鎖又は分岐状のアルキル基を表す。Xは、下記構造式で表されるいずれかの置換基を表す。
Figure 2022078488000005
Figure 2022078488000006
ただし、前記一般式(2)中、Arは、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよいナフチル基を表す。nは1~3の整数を表す。
本発明によると、高照度光環境下に晒された後において低照度光での出力低下を抑制することができる光電変換素子を提供することができる。
図1は、第1実施形態の光電変換素子の一例を示す概略図である。 図2は、第2実施形態の光電変換素子の一例を示す概略図である。 図3は、第3実施形態の光電変換素子の一例を示す概略図である。 図4は、第4実施形態の光電変換素子の一例を示す概略図である。 図5は、本発明の電子機器の一例としてのパソコン用マウスのブロック図である。 図6は、図5に示したマウスの一例を示す概略外観図である。 図7は、本発明の電子機器の一例としてのパソコン用キーボードのブロック図である。 図8は、図7に示したキーボードの一例を示す概略外観図である。 図9は、図7に示したキーボードの他の一例を示す概略外観図である。 図10は、本発明の電子機器の一例としてのセンサのブロック図である。 図11は、本発明の電子機器の一例としてのターンテーブルのブロック図である。 図12は、本発明の電子機器の一例を示すブロック図である。 図13は、図12に示した電子機器に電源ICを更に組み込んだ一例を示すブロック図である。 図14は、図13に示した電子機器に蓄電デバイスを更に組み込んだ一例を示すブロック図である。 図15は、本発明の電源モジュールの一例を示すブロック図である。 図16は、図15に示した電源モジュールに蓄電デバイスを更に組み込んだ一例を示すブロック図である。
(光電変換素子)
本発明の光電変換素子は、第1の電極と、該第1の電極上に形成された電子輸送層と、ホール輸送層と、第2の電極とを有し、更に必要に応じてその他の層を有する。
光電変換素子とは、光エネルギーを電気エネルギーに変換することができる素子のことを示し、太陽電池又はフォトダイオードなどに応用されている。
本発明者らが前記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、固体型色素増感太陽電池が高照度光環境下に晒された際に、酸化チタンに吸着された色素から光電変換させた電子を酸化チタンへ注入するために、凝集乖離剤を添加することが重要であることを知見した。特に固体型色素増感太陽電池においては、分子サイズが大きな有機P型半導体が色素から効率的に正孔を注入される際にも、凝集乖離剤の構造が重要であることが、これまでの検討でわかった。更に、リチウム塩におけるリチウムカチオンは、酸化チタンに配位することで電子輸送性が高まり、アニオン成分は有機P型半導体へドープされ正孔輸送性が高まる。固体型色素増感太陽電池においては、高照度光環境下において、効率的に光電変換することができるには、色素に対する凝集乖離剤及び/又はリチウム塩の組合せが非常に重要であることがわかった。
したがって、本発明の光電変換素子は、第1電極と、該第1電極上に形成された電子輸送層と、ホール輸送層と、第2電極と、を有し、前記電子輸送層は、下記一般式(1)で表される化合物と、下記一般式(2)で表される化合物とを含み、好ましくは前記一般式(1)で表される化合物と、前記一般式(2)で表される化合物とが担持された酸化チタン粒子からなる多孔質状であることによって、高照度光環境下に晒された後でも出力低下が生じにくくすることができる。
Figure 2022078488000007
ただし、前記一般式(1)中、Ar及びArは、置換基を有していてもよいアリール基を表す。R及びRは、炭素数4~10の直鎖又は分岐状のアルキル基を表す。Xは、下記構造式で表されるいずれかの置換基を表す。
Figure 2022078488000008
Figure 2022078488000009
ただし、前記一般式(2)中、Arは、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよいナフチル基を表す。nは1~3の整数を表す。
以下、本発明の光電変換素子の各構成部材について、詳細に説明する。
<第1の基板>
第1の基板としては、その形状、構造、大きさについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
第1の基板の材質としては、透光性及び絶縁性を有するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ガラス、プラスチックフィルム、セラミック等の基板が挙げられる。これらの中でも、電子輸送層を形成する際に焼成する工程を含む場合は、焼成温度に対して耐熱性を有する基板が好ましい。また、第1の基板としては、可とう性を有するものが好ましい。
<第1の電極>
第1の電極としては、その形状、大きさについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
第1の電極の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、一層構造であってもよいし、複数の材料を積層する構造であってもよい。
第1の電極の材質としては、可視光に対する透明性及び導電性を有するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、透明導電性金属酸化物、カーボン、金属などが挙げられる。
透明導電性金属酸化物としては、例えば、インジウム・スズ酸化物(以下、「ITO」と称する)、フッ素ドープ酸化スズ(以下、「FTO」と称する)、アンチモンドープ酸化スズ(以下、「ATO」と称する)、ニオブドープ酸化スズ(以下、「NTO」と称する)、アルミドープ酸化亜鉛、インジウム・亜鉛酸化物、ニオブ・チタン酸化物などが挙げられる。
カーボンとしては、例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン、フラーレンなどが挙げられる。
金属としては、例えば、金、銀、アルミニウム、ニッケル、インジウム、タンタル、チタンなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、透明性が高い透明導電性金属酸化物が好ましく、ITO、FTO、ATO、NTOがより好ましい。
第1の電極の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5nm以上100μm以下が好ましく、50nm以上10μm以下がより好ましい。なお、第1の電極の材質がカーボン又は金属の場合には、第1の電極の平均厚みとしては、透光性を得られる程度の平均厚みにすることが好ましい。
第1の電極は、スパッタ法、蒸着法、スプレー法等の公知の方法などにより形成することができる。
第1の電極は、第1の基板上に形成されることが好ましく、予め第1の基板上に第1の電極が形成されている一体化された市販品を用いることができる。
一体化された市販品としては、例えば、FTOコートガラス、ITOコートガラス、酸化亜鉛:アルミニウムコートガラス、FTOコート透明プラスチックフィルム、ITOコート透明プラスチックフィルムなどが挙げられる。他の一体化された市販品としては、例えば、酸化スズ若しくは酸化インジウムに原子価の異なる陽イオン若しくは陰イオンをドープした透明電極、メッシュ状、又はストライプ状等の光が透過できる構造にした金属電極を設けたガラス基板などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用して混合又は積層したものでもよい。また、電気的抵抗値を下げる目的で、金属リード線などを併用してもよい。
金属リード線の材質としては、例えば、アルミニウム、銅、銀、金、白金、ニッケルなどが挙げられる。
金属リード線は、例えば、蒸着、スパッタリング、圧着などで基板に形成し、その上にITO又はFTOの層を設けることにより併用することができる。
<ホールブロッキング層>
ホールブロッキング層は、第1の電極と電子輸送層との間に形成される。ホールブロッキング層は、光増感化合物で生成され、電子輸送層に輸送された電子を第1の電極に輸送し、かつホール輸送層との接触を防ぐことができる。これにより、ホールブロッキング層は、第1の電極へホールを流入しにくくし、電子とホールの再結合による出力低下を抑制することができる。ホール輸送層を設けた固体型の光電変換素子は、電解液を用いた湿式型に比べて、ホール輸送材料中のホールと電極表面の電子の再結合速度が速いことから、ホールブロッキング層の形成による効果は非常に大きい。
ホールブロッキング層の材質としては、可視光に対して透明であり、かつ電子輸送性を有するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリコン、ゲルマニウム等の単体半導体、金属のカルコゲニドに代表される化合物半導体、ペロブスカイト構造を有する化合物などが挙げられる。
金属のカルコゲニドとしては、例えば、チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、タンタルの酸化物;カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモン、ビスマスの硫化物;カドミウム、鉛のセレン化物;カドミウムのテルル化物などが挙げられる。他の化合物半導体としては、例えば、亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム等のリン化物;ガリウム砒素、銅-インジウム-セレン化物、銅-インジウム-硫化物などが挙げられる。
ペロブスカイト構造を有する化合物としては、例えば、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウムなどが挙げられる。
これらの中でも、酸化物半導体が好ましく、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化スズなどがより好ましく、酸化チタンが更に好ましい。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、単層としても積層してもよい。また、これらの半導体の結晶型は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、単結晶でもよいし、多結晶でもよいし、又は非晶質であってもよい。
ホールブロッキング層の作製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、真空中で薄膜を形成する方法(真空製膜法)、湿式製膜法などが挙げられる。
真空製膜法としては、例えば、スパッタリング法、パルスレーザーデポジッション法(PLD法)、イオンビームスパッタ法、イオンアシスト法、イオンプレーティング法、真空蒸着法、アトミックレイヤーデポジッション法(ALD法)、化学気相成長法(CVD法)などが挙げられる。
湿式製膜法としては、例えば、ゾル-ゲル法が挙げられる。ゾル-ゲル法は、溶液から、加水分解又は重合・縮合などの化学反応を経てゲルを作製し、その後、加熱処理によって緻密化を促進させる方法である。ゾル-ゲル法を用いた場合、ゾル溶液の塗布方法としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、また、湿式印刷方法として、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷などが挙げられる。また、ゾル溶液を塗布した後の加熱処理の際の温度としては、80℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましい。
ホールブロッキング層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択可能であるが、5nm以上1μm以下が好ましく、湿式製膜では500nm以上700nm以下がより好ましく、乾式製膜では5nm以上30nm以下がより好ましい。
<電子輸送層>
電子輸送層は、光増感化合物で生成された電子を第1の電極又はホールブロッキング層まで輸送する目的で形成される。このため、電子輸送層は、第1の電極又はホールブロッキング層に隣接して配置されることが好ましい。
電子輸送層の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、互いに隣接する少なくとも2つの光電変換素子において、電子輸送層どうしが互いに延設されていないことが好ましい。電子輸送層どうしが互いに延設されていなければ、電子拡散が抑制されてリーク電流が低下するため、光耐久性が向上する点で有利である。また、電子輸送層の構造としては、連続層単層であってもよく、複数の層が積層された多層であってもよい。
電子輸送層は、電子輸送性材料を含み、必要に応じてその他の材料を含む。
電子輸送性材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、半導体材料が好ましい。
半導体材料は、微粒子状の形状を有し、これらが接合することによって、多孔質状の膜に形成されることが好ましい。多孔質状の電子輸送層を構成する半導体微粒子の表面に、光増感化合物が化学的又は物理的に吸着される。
半導体材料としては、特に制限はなく、公知のものを用いることができ、例えば、単体半導体、化合物半導体、ペロブスカイト構造を有する化合物などが挙げられる。
単体半導体としては、例えば、シリコン、ゲルマニウムなどが挙げられる。
化合物半導体としては、例えば、金属のカルコゲニド、具体的には、チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、タンタル等の酸化物;カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモン、ビスマス等の硫化物;カドミウム、鉛等のセレン化物;カドミウム等のテルル化物などが挙げられる。他の化合物半導体としては亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム等のリン化物、ガリウム砒素、銅-インジウム-セレン化物、銅-インジウム-硫化物などが挙げられる。
ペロブスカイト構造を有する化合物としては、例えば、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウムなどが挙げられる。
これらの中でも、酸化物半導体が好ましく、特に酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ及び酸化ニオブがより好ましい。電子輸送層の電子輸送性材料が酸化チタンであると、導電帯(Conduction Band)が高く、高い開放電圧が得られる。また、屈折率が高く、光閉じ込め効果により高い短絡電流が得られる。更に、誘電率が高く、移動度が高くなることで、高い曲線因子が得られる点で有利である。
半導体材料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、半導体材料の結晶型としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、単結晶でも多結晶でもよく、非晶質でもよい。
半導体材料の一次粒子の個数平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1nm以上100nm以下が好ましく、5nm以上50nm以下がより好ましい。また、個数平均粒径よりも大きい半導体材料を混合又は積層させてもよく、入射光を散乱させる効果により、変換効率を向上できる場合がある。この場合の個数平均粒径は、50nm以上500nm以下が好ましい。
電子輸送層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50nm以上100μm以下が好ましく、100nm以上50μm以下がより好ましく、120nm以上10μm以下が更に好ましい。電子輸送層の平均厚みが好ましい範囲内であると、単位投影面積当たりの光増感化合物の量を十分に確保でき、光の捕獲率を高く維持できるとともに、注入された電子の拡散距離も増加しにくく、電荷の再結合によるロスを少なくできる点で有利である。
電子輸送層の作製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スパッタリング等の真空中で薄膜を形成する方法、湿式製膜法などが挙げられる。これらの中でも、製造コストの観点から、湿式製膜法が好ましく、半導体材料の粉末又はゾルを分散したペーストを調製し、電子集電電極基板としての第1の電極の上、又はホールブロッキング層の上に塗布する方法がより好ましい。
湿式製膜法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法などが挙げられる。
湿式印刷方法としては、例えば、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷などの様々な方法を用いることができる。
半導体材料の分散液を作製する方法としては、例えば、公知のミリング装置等を用いて機械的に粉砕する方法が挙げられる。この方法により、粒子状の半導体材料を単独で、又は半導体材料と樹脂の混合物を、水又は溶媒に分散することにより半導体材料の分散液を作製できる。
樹脂としては、例えば、スチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等によるビニル化合物の重合体又は共重合体、シリコーン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリエステル樹脂、セルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
溶媒としては、例えば、水、アルコール溶媒、ケトン溶媒、エステル溶媒、エーテル溶媒、アミド溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、炭化水素溶媒などが挙げられる。
アルコール溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、α-テルピネオールなどが挙げられる。
ケトン溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。
エステル溶媒としては、例えば、ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチルなどが挙げられる。
エーテル溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサンなどが挙げられる。
アミド溶媒としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンなどが挙げられる。
ハロゲン化炭化水素溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、1-クロロナフタレンなどが挙げられる。
炭化水素溶媒としては、例えば、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-オクタン、1,5-ヘキサジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、エチルベンゼン、クメンなどが挙げられる。
前記溶媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
半導体材料を含む分散液、又はゾル-ゲル法等によって得られた半導体材料を含むペーストには、粒子の再凝集を防ぐため、酸、界面活性剤、キレート化剤などを添加してもよい。
酸としては、例えば、塩酸、硝酸、酢酸などが挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルなどが挙げられる。
キレート化剤としては、例えば、アセチルアセトン、2-アミノエタノール、エチレンジアミンなどが挙げられる。
また、製膜性を向上させる目的で、増粘剤を添加することも有効な手段である。
増粘剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、エチルセルロースなどが挙げられる。
半導体材料を塗布した後に、半導体材料の粒子間を電子的に接触させ、膜強度及び基板との密着性を向上させるために焼成したり、マイクロ波又は電子線を照射したり、又はレーザー光を照射することができる。これらの処理は、1種単独で行ってもよく、2種類以上組み合わせて行ってもよい。
半導体材料から形成された電子輸送層を焼成する場合には、焼成温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、温度が高すぎると基板の抵抗が高くなったり、溶融したりすることがあることから、30℃以上700℃以下が好ましく、100℃以上600℃以下がより好ましい。また、焼成時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10分間以上10時間以下が好ましい。
半導体材料から形成された電子輸送層をマイクロ波照射する場合には、照射時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1時間以下が好ましい。この場合、電子輸送層が形成されている面側から照射してもよく、電子輸送層が形成されていない面側から照射してもよい。
半導体材料からなる電子輸送層を焼成した後、電子輸送層の表面積の増大、後述する光増感化合物から半導体材料への電子注入効率を高める目的で、例えば、四塩化チタンの水溶液又は有機溶剤との混合溶液を用いた化学メッキ又は三塩化チタン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行ってもよい。
直径が数十nmの半導体材料を焼結し得られた膜は、多孔質状を形成することができる。このようなナノ多孔質構造は、非常に高い表面積を有し、その表面積はラフネスファクターを用いて表わすことができる。ラフネスファクターは、第1の基板に塗布した半導体粒子の面積に対する多孔質内部の実面積を表す数値である。したがって、ラフネスファクターとしては、大きいほど好ましいが、電子輸送層の平均厚みとの関係から、20以上が好ましい。
また、電子輸送性材料の粒子には、リチウム化合物をドーピングしてもよい。具体的には、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)化合物の溶液を、スピンコートなどを用いて電子輸送性材料の粒子の上に堆積させ、その後、焼成処理する方法である。
リチウム化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)、リチウムビス(フルオロメタンスルホンイミド)、リチウムビス(フルオロメタンスルホニル)(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、過塩素酸リチウム、ヨウ化リチウムなどが挙げられる。
<光増感化合物>
光増感化合物は、出力及び光電変換効率の更なる向上のため、電子輸送層を構成する半導体材料の表面に、光増感化合物を吸着される。
光増感化合物としては、光電変換素子に照射される光により光励起される化合物であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、公知の化合物などが挙げられる。これらの中でも、下記一般式(1)で表される化合物は、固体型色素増感太陽電池において、高い出力を得ることができる点から、特に好ましい。
Figure 2022078488000010
ただし、前記一般式(1)中、Ar及びArは、置換基を有していてもよいアリール基を表す。R及びRは、炭素数4~10の直鎖又は分岐状のアルキル基を表す。Xは、下記構造式で表されるいずれかの置換基を表す。
Figure 2022078488000011
Ar及びArのアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基などが挙げられる。
置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基などが挙げられる。
前記一般式(1)で表される化合物としては、下記一般式(3)で表される化合物であることが、低照度から高照度光環境においても、高い出力が得られる点から好ましい。
Figure 2022078488000012
ただし、前記一般式(3)中、Ar及びArは、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよいナフチル基を表す。Arは、フェニル基、又はチオフェン基を表す。
置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基などが挙げられる。
以下に、上記一般式(1)及び上記一般式(3)で示される塩基性化合物の具体的な例示化合物を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2022078488000013
Figure 2022078488000014
Figure 2022078488000015
Figure 2022078488000016
Figure 2022078488000017
電子輸送層の半導体材料の表面に、光増感化合物を吸着させる方法としては、光増感化合物の溶液中、又は光増感化合物の分散液中に、半導体材料を含む電子輸送層を浸漬する方法、光増感化合物の溶液、又は光増感化合物の分散液を電子輸送層に塗布して吸着させる方法などを用いることができる。光増感化合物の溶液中、又は光増感化合物の分散液中に、半導体材料を形成した電子輸送層を浸漬する方法の場合、浸漬法、ディップ法、ローラ法、エアーナイフ法などを用いることができる。光増感化合物の溶液、又は光増感化合物の分散液を、電子輸送層に塗布して吸着させる方法の場合は、ワイヤーバー法、スライドホッパー法、エクストルージョン法、カーテン法、スピン法、スプレー法などを用いることができる。また、二酸化炭素などを用いた超臨界流体中で吸着させることも可能である。
光増感化合物を半導体材料に吸着させる際には、縮合剤を併用してもよい。
縮合剤としては、半導体材料の表面に物理的もしくは化学的に、光増感化合物を結合させるような触媒的作用をするもの、又は化学量論的に作用し、化学平衡を有利に移動させるもののいずれであってもよい。更に、縮合助剤として、チオール又はヒドロキシ化合物などを添加してもよい。
光増感化合物を溶解、又は分散する溶媒としては、例えば、水、アルコール溶媒、ケトン溶媒、エステル溶媒、エーテル溶媒、アミド溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、炭化水素溶媒などが挙げられる。
アルコール溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどが挙げられる。
ケトン溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。
エステル溶媒としては、例えば、ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチルなどが挙げられる。
エーテル溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサンなどが挙げられる。
アミド溶媒としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンなどが挙げられる。
ハロゲン化炭化水素溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、1-クロロナフタレンなどが挙げられる。
炭化水素溶媒としては、例えば、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-オクタン、1,5-ヘキサジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、エチルベンゼン、クメンなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
光増感化合物は、その種類によっては化合物間の凝集を抑制した方がより効果的に働くものが存在するため、凝集乖離剤を併用してもよい。凝集乖離剤としては、コール酸、ケノデオキシコール酸などのステロイド化合物、長鎖アルキルカルボン酸又は長鎖アルキルホスホン酸などが挙げられるが、特に下記一般式(2)で表される化合物が好ましく、より好ましくは、4-ベンジルオキシ安息香酸(下記例示化合物B2-1)である。
Figure 2022078488000018
ただし、前記一般式(2)中、Arは、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよいナフチル基を表す。nは1~3の整数を表す。
以下、上記一般式(2)で示される凝集乖離剤の具体的な例示化合物を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2022078488000019
Figure 2022078488000020
凝集乖離剤の含有量としては、光増感化合物1モル部に対して0.5モル部以上100モル部以下が好ましく、10モル部以上50モル部以下がより好ましい。
電子輸送層を構成する半導体材料の表面に、光増感化合物、又は、光増感化合物及び凝集乖離剤を吸着させる際の温度としては、-50℃以上200℃以下が好ましい。吸着時間としては、5秒間以上1,000時間以下が好ましく、10秒間以上500時間以下がより好ましく、1分間以上150時間以下が更に好ましい。吸着させる工程は、暗所で行うことが好ましい。また、吸着させる工程は、静置して行ってもよく、撹拌しながら行ってもよい。
撹拌する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スターラー、ボールミル、ペイントコンディショナー、サンドミル、アトライター、ディスパーザー、超音波分散等を用いた方法などが挙げられる。
<ホール輸送層>
ホール輸送層は、ホールを輸送する機能を有していれば特に制限はなく、公知の材料を用いることができ、例えば、酸化還元対を有機溶媒に溶解した電解液、酸化還元対を有機溶媒に溶解した液体をポリマーマトリックスに含浸したゲル電解質、酸化還元対を含有する溶融塩、固体電解質、無機ホール輸送材料、有機ホール輸送材料などが挙げられる。これらの中でも、電解液又はゲル電解質を用いることも可能であるが、固体電解質が好ましく、有機ホール輸送材料がより好ましい。
ホール輸送層には、アルカリ金属塩を更に含有することが好ましい。ホール輸送層がアルカリ金属塩を含有すると、出力を向上させることができ、更に、光照射耐性及び高温保存耐性を向上させることができる。
アルカリ金属塩の具体例としては、下記の(C-1)~(C-86)に示すものが挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2022078488000021
Figure 2022078488000022
Figure 2022078488000023
Figure 2022078488000024
これらの中でも、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニルイミド)(Li-TFSI)、リチウム(フルオロスルホニル)(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Li-FTFSI)が好ましく、リチウム(フルオロスルホニル)(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Li-FTFSI)が特に好ましい。
アルカリ金属塩の含有量は、ホール輸送材料の全量に対して、5モル%以上50モル%以下が好ましく、20モル%以上35モル%以下がより好ましい。
ホール輸送層は、下記一般式(5)で表される塩基性化合物を含有することが好ましい。
Figure 2022078488000025
ただし、前記一般式(5)中、Ar及びArは、置換基を有していてもよいアリール基を表す。
Ar及びArのアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基などが挙げられる。置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基などが挙げられる。
ホール輸送層は、上記一般式(5)で示される塩基性化合物を含有することが好ましい。ホール輸送層に上記一般式(5)で示される塩基性化合物を含有すると、光電変換素子の出力安定性を高める点で有利である。特に、低照度光に対する出力特性のバラツキを低減し、安定に発電することが可能な点でも有利である。
以下に、上記一般式(5)で示される塩基性化合物の具体的な例示化合物を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2022078488000026
上記一般式(5)で表される塩基性化合物以外に、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、4-ピロリジノピリジン(PYP)、4-ピペリジノピリジン(PPP)、ターシャルブチルピリジン(TBP)などの塩基性化合物も好ましい。
ホール輸送層における上記一般式(5)で表される塩基性化合物の含有量としては、ホール輸送材料に対して、20モル%以上65モル%以下であることが好ましく、35モル%以上50モル%以下であることがより好ましい。塩基性化合物の含有量が好ましい範囲であることにより、高い開放電圧を維持でき、高い出力が得られ、かつ様々な環境で長期使用しても高い安定性と耐久性が得られる。
ホール輸送層にはホールを輸送する機能を得るために、ホール輸送材料又はP型半導体材料が含有される。ホール輸送材料又はP型半導体材料としては、公知の有機ホール輸送性化合物が用いられる。その具体例としては、オキサジアゾール化合物、トリフェニルメタン化合物、ピラゾリン化合物、ヒドラゾン化合物、オキサジアゾール化合物、テトラアリールベンジジン化合物、スチルベン化合物、スピロ型化合物などが挙げられる。これらの中でも、スピロ型化合物がより好ましい。
スピロ型化合物としては、下記一般式(7)で表される化合物が好ましい。
Figure 2022078488000027
ただし、前記一般式(7)中、RからRは、それぞれ独立して、ジメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ナフチル-4-トリルアミノ基などの置換アミノ基を表す。
スピロ型化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、以下に示す例示化合物(D-1)から(D-20)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
Figure 2022078488000028
Figure 2022078488000029
Figure 2022078488000030
Figure 2022078488000031
Figure 2022078488000032
Figure 2022078488000033
Figure 2022078488000034
これらのスピロ型化合物は、高いホール移動度を有している他に、2つのベンジジン骨格分子が捻れて結合しているため、球状に近い電子雲を形成しており、分子間におけるホッピング伝導性が良好であることにより優れた光電変換特性を示す。また溶解性も高いため各種有機溶媒に溶解し、アモルファス(結晶構造をもたない無定形物質)であるため、多孔質状の電子輸送層に密に充填されやすい。更に、450nm以上の光吸収特性を有さないために、光増感化合物に効率的に光吸収をさせることができ、固体型色素増感太陽電池にとって特に好ましい。
ホール輸送層には、ホール輸送材料及び塩基性化合物以外に、酸化剤を添加することが好ましい。酸化剤を含有させることにより、導電性が向上し、出力特性の耐久性及び安定性を高めることが可能になる。
酸化剤としては、例えば、ヘキサクロロアンチモン酸トリス(4-ブロモフェニル)アミニウム、ヘキサフルオロアンチモネート銀、ニトロソニウムテトラフルオボラート、硝酸銀、金属錯体、超原子価ヨウ素化合物などが挙げられるが、これらの中でも金属錯体がより好ましい。更に好ましくは超原子価ヨウ素化合物である。酸化剤が金属錯体又は超原子価ヨウ素化合物であると、有機溶媒に対する溶解度が高いことで、多く添加することが可能な点で有利である。
金属錯体は、金属カチオン、配位子、アニオンから構成される。
金属カチオンとしては、例えば、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、金、白金等のカチオンを挙げることができ、この中でも、コバルト、鉄、ニッケル、銅のカチオンが好ましく、コバルト錯体がより好ましい。配位子としては、少なくとも一つの窒素を含有する5及び/又は6員複素環を含むものが好ましく、置換基を有していてもよい。具体例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2022078488000035
Figure 2022078488000036
Figure 2022078488000037
アニオンとしては、例えば、水素化物イオン(H)、フッ化物イオン(F)、塩化物イオン(Cl)、臭化物イオン(Br)、ヨウ化物イオン(I)、水酸化物イオン(OH)、シアン化物イオン(CN)、硝酸イオン(NO )、亜硝酸イオン(NO )、次亜塩素酸イオン(ClO)、亜塩素酸イオン(ClO )、塩素酸イオン(ClO )、過塩素酸イオン(ClO )、過マンガン酸イオン(MnO )、酢酸イオン(CHCOO)、炭酸水素イオン(HCO )、リン酸二水素イオン(HPO )、硫酸水素イオン(HSO )、硫化水素イオン(HS)、チオシアン酸イオン(SCN)、テトラフロオロホウ素酸イオン(BF )、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF )、テトラシアノホウ素酸イオン(B(CN) )、ジシアノアミンイオン(N(CN) )、p-トルエンスルホン酸イオン(TsO)、トリフルオロメチルスルホン酸イオン(CFSO2-)、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミンイオン(N(SOCF2-)、テトラヒドロキソアルミン酸イオン([Al(OH)、又は[Al(OH)(HO))、ジシアノ銀(I)酸イオン([Ag(CN))、テトラヒドロキソクロム(III)酸イオン([Cr(OH))、テトラクロロ金(III)酸イオン([AuCl)、酸化物イオン(O )、硫化物イオン(S )、過酸化物イオン(O 2-)、硫酸イオン(SO 2-)、亜硫酸イオン(SO 2-)、チオ硫酸イオン(S 2-)、炭酸イオン(CO 2-)、クロム酸イオン(CrO 2-)、二クロム酸イオン(Cr 2-)、リン酸一水素イオン(HPO 2-)、テトラヒドロキソ亜鉛(II)酸イオン([Zn(OH)2-)、テトラシアノ亜鉛(II)酸イオン([Zn(CN)2-)、テトラクロロ銅(II)酸イオン([CuCl2-)、リン酸イオン(PO 3-)、ヘキサシアノ鉄(III)酸イオン([Fe(CN)3-)、ビス(チオスルファト)銀(I)酸イオン([Ag(S3-)、ヘキサシアノ鉄(II)酸イオン([Fe(CN)4-)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、テトラフロオロホウ素酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、テトラシアノホウ素酸イオン、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミンイオン、過塩素酸イオンが好ましい。
これらの金属錯体の中でも、下記構造式(8)及び(9)で示される3価のコバルト錯体が好ましい。金属錯体が3価のコバルト錯体であると、ホール輸送材料を酸化させる点で有利である。
Figure 2022078488000038
Figure 2022078488000039
より好ましくは、下記一般式(4)で表される3価のコバルト錯体である。
Figure 2022078488000040
ただし、前記一般式(4)中、R~Rは、水素原子、メチル基、エチル基、ターシャルブチル基、又はトリフルオロメチル基を示す。Yは、下記構造式(2)から(5)で表されるいずれかを示す。
Figure 2022078488000041
上記一般式(4)で表される3価のコバルト錯体としては、以下に示す(F-1)~(F-20)が挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
Figure 2022078488000042
Figure 2022078488000043
ホール輸送層は、単一材料からなる単層構造でもよく、複数の化合物を含む積層構造であってもよい。ホール輸送層が積層構造の場合には、第2の電極に近いホール輸送層に高分子材料を用いることが好ましい。製膜性に優れる高分子材料を用いると、多孔質状の電子輸送層の表面をより平滑化することができ、光電変換特性を向上することができる点で有利である。また、高分子材料は、多孔質状の電子輸送層内部へ浸透しにくいことから、多孔質状の電子輸送層表面の被覆性に優れ、電極を設ける際の短絡防止にも効果が得られる場合がある。
ホール輸送層に用いられる高分子材料としては、公知のホール輸送性高分子材料が挙げられる。
ホール輸送性高分子材料としては、例えば、ポリチオフェン化合物、ポリフェニレンビニレン化合物、ポリフルオレン化合物、ポリフェニレン化合物、ポリアリールアミン化合物、ポリチアジアゾール化合物などが挙げられる。
ポリチオフェン化合物としては、例えば、ポリ(3-n-ヘキシルチオフェン)、ポリ(3-n-オクチルオキシチオフェン)、ポリ(9,9’-ジオクチル-フルオレン-コ-ビチオフェン)、ポリ(3,3’’’-ジドデシル-クォーターチオフェン)、ポリ(3,6-ジオクチルチエノ[3,2-b]チオフェン)、ポリ(2,5-ビス(3-デシルチオフェン-2-イル)チエノ[3,2-b]チオフェン)、ポリ(3,4-ジデシルチオフェン-コ-チエノ[3,2-b]チオフェン)、ポリ(3,6-ジオクチルチエノ[3,2-b]チオフェン-コ-チエノ[3,2-b]チオフェン)、ポリ(3,6-ジオクチルチエノ[3,2-b]チオフェン-コ-チオフェン)、ポリ(3,6-ジオクチルチエノ[3,2-b]チオフェン-コ-ビチオフェン)などが挙げられる。
ポリフェニレンビニレン化合物としては、例えば、ポリ[2-メトキシ-5-(2-エチルヘキシルオキシ)-1,4-フェニレンビニレン]、ポリ[2-メトキシ-5-(3,7-ジメチルオクチルオキシ)-1,4-フェニレンビニレン]、ポリ[(2-メトキシ-5-(2-エチルフェキシルオキシ)-1,4-フェニレンビニレン)-コ-(4,4’-ビフェニレン-ビニレン)]などが挙げられる。
ポリフルオレン化合物としては、例えば、ポリ(9,9’-ジドデシルフルオレニル-2,7-ジイル)、ポリ[(9,9-ジオクチル-2,7-ジビニレンフルオレン)-alt-コ-(9,10-アントラセン)]、ポリ[(9,9-ジオクチル-2,7-ジビニレンフルオレン)-alt-コ-(4,4’-ビフェニレン)]、ポリ[(9,9-ジオクチル-2,7-ジビニレンフルオレン)-alt-コ-(2-メトキシ-5-(2-エチルヘキシルオキシ)-1,4-フェニレン)]、ポリ[(9,9-ジオクチル-2,7-ジイル)-コ-(1,4-(2,5-ジヘキシルオキシ)ベンゼン)]などが挙げられる。
ポリフェニレン化合物としては、例えば、ポリ[2,5-ジオクチルオキシ-1,4-フェニレン]、ポリ[2,5-ジ(2-エチルヘキシルオキシ-1,4-フェニレン]などが挙げられる。
ポリアリールアミン化合物としては、例えば、ポリ[(9,9-ジオクチルフルオレニル-2,7-ジイル)-alt-コ-(N,N’-ジフェニル)-N,N’-ジ(p-ヘキシルフェニル)-1,4-ジアミノベンゼン]、ポリ[(9,9-ジオクチルフルオレニル-2,7-ジイル)-alt-コ-(N,N’-ビス(4-オクチルオキシフェニル)ベンジジン-N,N’-(1,4-ジフェニレン)]、ポリ[(N,N’-ビス(4-オクチルオキシフェニル)ベンジジン-N,N’-(1,4-ジフェニレン)]、ポリ[(N,N’-ビス(4-(2-エチルヘキシルオキシ)フェニル)ベンジジン-N,N’-(1,4-ジフェニレン)]、ポリ[フェニルイミノ-1,4-フェニレンビニレン-2,5-ジオクチルオキシ-1,4-フェニレンビニレン-1,4-フェニレン]、ポリ[p-トリルイミノ-1,4-フェニレンビニレン-2,5-ジ(2-エチルヘキシルオキシ)-1,4-フェニレンビニレン-1,4-フェニレン]、ポリ[4-(2-エチルヘキシルオキシ)フェニルイミノ-1,4-ビフェニレン]などが挙げられる。
ポリチアジアゾール化合物としては、例えば、ポリ[(9,9-ジオクチルフルオレニル-2,7-ジイル)-alt-コ-(1,4-ベンゾ(2,1’,3)チアジアゾール]、ポリ(3,4-ジデシルチオフェン-コ-(1,4-ベンゾ(2,1’,3)チアジアゾール)などが挙げられる。
前記ホール輸送性高分子材料の中でも、キャリア移動度及びイオン化ポテンシャルの観点から、ポリチオフェン化合物及びポリアリールアミン化合物が好ましい。
ホール輸送層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、多孔質状の電子輸送層の細孔に入り込んだ構造を有することが好ましく、電子輸送層上に0.01μm以上20μm以下が好ましく、0.1μm以上10μm以下がより好ましく、0.2μm以上2μm以下が更に好ましい。
ホール輸送層は、光増感化合物が吸着された電子輸送層の上に直接形成することができる。ホール輸送層の作製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、真空蒸着等の真空中で薄膜を形成する方法、湿式製膜法などが挙げられる。これらの中でも、製造コストなどの点で、特に湿式製膜法が好ましく、電子輸送層上に塗布する方法が好ましい。
湿式製膜法を用いた場合、塗布方法としては、特に制限はなく、公知の方法にしたがって行うことができ、例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、また、湿式印刷方法として、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等様々な方法を用いることができる。
また、超臨界流体又は臨界点より低い温度及び圧力の亜臨界流体中で製膜してもよい。超臨界流体は、気体と液体が共存できる限界(臨界点)を超えた温度及び圧力領域において非凝集性高密度流体として存在し、圧縮しても凝集せず、臨界温度以上、かつ臨界圧力以上の状態にある流体である限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、臨界温度が低いものが好ましい。
超臨界流体としては、例えば、一酸化炭素、二酸化炭素、アンモニア、窒素、水、アルコール溶媒、炭化水素溶媒、ハロゲン溶媒、エーテル溶媒などが挙げられる。
アルコール溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n-ブタノールなどが挙げられる。
炭化水素溶媒としては、例えば、エタン、プロパン、2,3-ジメチルブタン、ベンゼン、トルエンなどが挙げられる。ハロゲン溶媒としては、例えば、塩化メチレン、クロロトリフロロメタンなどが挙げられる。
エーテル溶媒としては、例えば、ジメチルエーテルなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、二酸化炭素が、臨界圧力7.3MPa、臨界温度31℃であることから、容易に超臨界状態をつくり出せるとともに、不燃性で取扱いが容易である点で好ましい。
亜臨界流体としては、臨界点近傍の温度及び圧力領域において、高圧液体として存在する限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。超臨界流体として挙げられる化合物は、亜臨界流体としても好適に使用することができる。
超臨界流体の臨界温度及び臨界圧力は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、臨界温度としては、-273℃以上300℃以下が好ましく、0℃以上200℃以下がより好ましい。
更に、超臨界流体及び亜臨界流体に加え、有機溶媒又はエントレーナーを併用することもできる。有機溶媒又はエントレーナーの添加により、超臨界流体中での溶解度の調整をより容易に行うことができる。
有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ケトン溶媒、エステル溶媒、エーテル溶媒、アミド溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、炭化水素溶媒などが挙げられる。
ケトン溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。
エステル溶媒としては、例えば、ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチルなどが挙げられる。
エーテル溶媒としては、例えば、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサンなどが挙げられる。
アミド溶媒としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンなどが挙げられる。
ハロゲン化炭化水素溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、1-クロロナフタレンなどが挙げられる。
炭化水素溶媒としては、例えば、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-オクタン、1,5-ヘキサジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、エチルベンゼン、クメンなどが挙げられる。
前記有機溶媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、光増感化合物を吸着させた電子輸送層上に、ホール輸送材料を積層した後、プレス処理工程を施してもよい。プレス処理を施すことによって、ホール輸送材料がより多孔質電極である電子輸送層と密着するため、効率が改善できる場合がある。
プレス処理の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、IR錠剤成形器に代表されるような平板を用いたプレス成形法、ローラ等を用いたロールプレス法などを挙げることができる。
圧力としては、10kgf/cm以上が好ましく、30kgf/cm以上がより好ましい。
プレス処理する時間は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1時間以下が好ましい。また、プレス処理時に熱を加えてもよい。プレス処理の際、プレス機と電極との間に離型剤を挟んでもよい。
離型剤としては、例えば、ポリ四フッ化エチレン、ポリクロロ三フッ化エチレン、四フッ化エチレン六フッ化プロピレン共重合体、ペルフルオロアルコキシフッ化樹脂、ポリフッ化ビニリデン、エチレン四フッ化エチレン共重合体、エチレンクロロ三フッ化エチレン共重合体、ポリフッ化ビニル等のフッ素樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
プレス処理工程を行った後、第2の電極を設ける前に、ホール輸送材料と第2の電極との間に金属酸化物を設けてもよい。
金属酸化物としては、例えば、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化バナジウム、酸化ニッケルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、酸化モリブデンが好ましい。
金属酸化物をホール輸送層上に設ける方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、スパッタリング、真空蒸着等の真空中で薄膜を形成する方法又は湿式製膜法などが挙げられる。
湿式製膜法としては、金属酸化物の粉末又はゾルを分散したペーストを調製し、ホール輸送層上に塗布する方法が好ましい。湿式製膜法を用いた場合の塗布方法としては、特に制限はなく、公知の方法にしたがって行うことができ、例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、また、湿式印刷方法として、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等様々な方法を用いることができる。
塗布された金属酸化物の平均厚みとしては、0.1nm以上50nm以下が好ましく、1nm以上10nm以下がより好ましい。
<第2の電極>
第2の電極は、ホール輸送層上に、又はホール輸送層における金属酸化物上に形成することができる。また、第2の電極は、第1の電極と同様のものを用いることができ、強度が十分に保たれる場合には支持体は必ずしも必要ではない。
第2の電極の材質としては、例えば、金属、炭素化合物、導電性金属酸化物、導電性高分子などが挙げられる。
金属としては、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウムなどが挙げられる。
炭素化合物としては、例えば、グラファイト、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラフェンなどが挙げられる。
導電性金属酸化物としては、例えば、ITO、FTO、ATOなどが挙げられる。
導電性高分子としては、例えば、ポリチオフェン、ポリアニリンなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
第2の電極の形成については、用いられる材料の種類、又はホール輸送層の種類により、適宜ホール輸送層上に塗布、ラミネート、蒸着、CVD、貼り合わせなどの手法により形成可能である。
光電変換素子においては、第1の電極と第2の電極の少なくともいずれかは実質的に透明であることが好ましい。第1の電極側が透明であり、入射光を第1の電極側から入射させる方法が好ましい。この場合、第2の電極側には光を反射させる材料を使用することが好ましく、金属、導電性酸化物を蒸着したガラス、プラスチック、又は金属薄膜が好ましく用いられる。また、入射光側に反射防止層を設けることも有効な手段である。
<第2の基板>
第2の基板としては、特に制限されるものではなく、公知のものを用いることができ、例えば、ガラス、プラスチックフィルム、セラミック等の基板が挙げられる。第2の基板と封止部材との接合部は密着性を上げるため、凹凸部を形成してもよい。
凹凸部の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、サンドブラスト法、ウオーターブラスト法、研磨紙、化学エッチング法、レーザー加工法などが挙げられる。
第2の基板と封止部材との密着性を上げる手段としては、例えば、表面の有機物を除去してもよく、親水性を向上させてもよい。第2の基板の表面の有機物を除去する手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、UVオゾン洗浄、酸素プラズマ処理などが挙げられる。
<封止部材>
封止樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、低融点ガラス樹脂などが挙げられる。
アクリル樹脂の硬化物は、分子内にアクリル基を有するモノマー又はオリゴマーが硬化されたものであれば、公知のいずれの材料でも使用することが可能である。
エポキシ樹脂の硬化物は、分子内にエポキシ基を有するモノマー又はオリゴマーが硬化されたものであれば、公知のいずれの材料でも使用することが可能である。
エポキシ樹脂としては、例えば、水分散系、無溶剤系、固体系、加熱硬化型、硬化剤混合型、紫外線硬化型などが挙げられる。これらの中でも熱硬化型及び紫外線硬化型が好ましく、紫外線硬化型がより好ましい。なお、紫外線硬化型であっても、加熱を行うことは可能であり、紫外線硬化した後であっても加熱を行うことが好ましい。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ノボラック型、環状脂肪族型、長鎖脂肪族型、グリシジルアミン型、グリシジルエーテル型、グリシジルエステル型などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂は、必要に応じて硬化剤又は各種添加剤を混合することが好ましい。
硬化剤としては、アミン系、酸無水物系、ポリアミド系及びその他の硬化剤に分類され、目的に応じて適宜選択される。
アミン系硬化剤としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどの脂肪族ポリアミン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族ポリアミンなどが挙げられる。
酸無水物系硬化剤としては、例えば、無水フタル酸、テトラ及びヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ピロメリット酸、無水ヘット酸、ドデセニル無水コハク酸などが挙げられる。
その他の硬化剤としては、例えば、イミダゾール類、ポリメルカプタンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
添加剤としては、例えば、充填材(フィラー)、ギャップ剤、重合開始剤、乾燥剤(吸湿剤)、硬化促進剤、カップリング剤、可とう化剤、着色剤、難燃助剤、酸化防止剤、有機溶剤などが挙げられる。これらの中でも、充填材、ギャップ剤、硬化促進剤、重合開始剤、乾燥剤(吸湿剤)が好ましく、充填材及び重合開始剤がより好ましい。
充填材は、水分又は酸素の浸入を抑制する上で有効であるほか、硬化時の体積収縮の低減、硬化時又は加熱時のアウトガス量の低減、機械的強度の向上、熱伝導性又は流動性の制御等の効果を得ることができ、様々な環境でも安定した出力を維持する上で非常に有効である。特に、光電変換素子の出力特性及びその耐久性は、単に侵入する水分又は酸素の影響だけでなく、封止部材の硬化時又は加熱時に発生するアウトガスの影響が無視できない。特に、加熱時に発生するアウトガスの影響は、高温環境保管における出力特性に大きな影響を及ぼす。
この場合、封止部材に充填材、ギャップ剤、又は乾燥剤を含有させることにより、これら自身が水分又は酸素の浸入を抑制できるほか、封止部材の使用量を低減できることにより、アウトガスを低減させる効果を得ることができる。これは、硬化時だけでなく、光電変換素子を高温環境に保存した際にも有効である。
充填材としては、特に制限されるものではなく、公知のものを用いることができ、例えば、結晶性又は不定形のシリカ、タルク、アルミナ、窒化アルミ、窒化珪素、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム等の無機系充填材が好ましく用いられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。充填材の平均一次粒径は、0.1μm以上10μm以下が好ましく、1μm以上5μm以下がより好ましい。添加量が好ましい範囲内であると、水分又は酸素の侵入を抑制する効果を十分に得ることができ、粘度が適正となり、基板との密着性及び脱泡性の向上、又は封止部の幅の制御及び作業性に対しても有効である。
充填材の含有量としては、封止部材全体が100質量部に対し、10質量部以上90質量部以下が好ましく、20質量部以上70質量部以下がより好ましい。充填材の含有量が上記範囲内であることにより、水分又は酸素の浸入抑制効果が十分に得られ、粘度も適正となり、密着性及び作業性も良好となる。
ギャップ剤とは、ギャップ制御剤又はスペーサー剤とも称され、封止部のギャップを制御することが可能になる。例えば、第1の基板もしくは第1の電極の上に、封止部材を付与し、その上に第2の基板を載せて封止を行う場合、エポキシ樹脂にギャップ剤を混合していることにより、封止部のギャップがギャップ剤のサイズに揃うため、容易に封止部のギャップを制御することができる。
ギャップ剤としては、粒状でかつ粒径が均一であり、耐溶剤性及び耐熱性が高いものであれば、公知の材料を使用できる。エポキシ樹脂と親和性が高く、粒子形状が球形であるものが好ましい。具体的には、ガラスビーズ、シリカ微粒子、有機樹脂微粒子等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ギャップ剤の粒径としては、設定する封止部のギャップに合わせて選択可能であるが、1μm以上100μm以下が好ましく、5μm以上50μm以下がより好ましい。
重合開始剤は、熱又は光を用いて重合を開始させることを目的として添加される材料である。
熱重合開始剤は、加熱によってラジカル、カチオンなどの活性種を発生する化合物で、具体的には2,2’-アゾビスブチロニトリル(AIBN)のようなアゾ化合物、過酸化ベンゾイル(BPO)などの過酸化物等が用いられる。熱カチオン重合開始剤としてはベンゼンスルホン酸エステル、アルキルスルホニウム塩等が用いられる。一方、光重合開始剤は、エポキシ樹脂の場合光カチオン重合開始剤が好ましく用いられる。エポキシ樹脂に光カチオン重合開始剤を混合し、光照射を行うと光カチオン重合開始剤が分解して、強酸を発生し、酸がエポキシ樹脂の重合を引き起こし、硬化反応が進行する。光カチオン重合開始剤は、硬化時の体積収縮が少なく、酸素阻害を受けず、貯蔵安定性が高いといった効果を有する。
光カチオン重合開始剤としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタセロン化合物、シラノール・アルミニウム錯体などが挙げられる。
また、光を照射することにより酸を発生する機能を有する光酸発生剤も使用できる。光酸発生剤は、カチオン重合を開始する酸として作用し、例えば、カチオン部とアニオン部からなるイオン性のスルホニウム塩系、ヨードニウム塩系などのオニウム塩が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合開始剤の添加量としては、使用する材料によって異なる場合があるが、封止部材全体が100質量部に対し、0.5質量部以上10質量部以下が好ましく、1質量部以上5質量部以下がより好ましい。添加量が上記範囲内であることにより、硬化が適正に進み、未硬化物の残存を低減することができ、またアウトガスが過剰になるのを防止でき、有効である。
乾燥剤は、吸湿剤とも称され、水分を物理的又は化学的に吸着、吸湿する機能を有する材料であり、封止部材に含有させることにより、耐湿性を更に高めたり、アウトガスの影響を低減できたりする場合もあることから有効である。
乾燥剤としては、粒子状であるものが好ましく、例えば、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、塩化カルシウム、シリカゲル、モレキュラーシーブ、ゼオライトなどの無機吸水材料が挙げられる。これらの中でも、吸湿量が多いゼオライトが好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
硬化促進剤は、硬化触媒とも称され、硬化速度を速めることを目的として用いられ、主に熱硬化型のエポキシ樹脂に用いられる。
硬化促進剤としては、例えば、DBU(1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセン-7)、DBN(1,5-ジアザビシクロ(4,3,0)-ノネン-5)等の三級アミン又は三級アミン塩、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール等のイミダゾール系、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート等のホスフィン又はホスホニウム塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
カップリング剤は、分子結合力を高める効果を有し、シランカップリング剤が挙げられ、例えば、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N-(2-(ビニルベンジルアミノ)エチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
低融点ガラス樹脂は、樹脂塗布後に550℃程度の焼成工程により、樹脂成分を分解させた後、赤外線レーザー等により溶融させながら、ガラス基板と密着させる。この時、低融点ガラス成分は金属酸化物層の内部に拡散し、物理的に接合されることで、高い封止性能を得ることができる。また、樹脂成分が消失していることで、アクリル樹脂又はエポキシ樹脂のようなアウトガスが発生しないことで、光電変換素子を劣化させることがない。
更に、封止部材は、封止材、シール材又は接着剤として市販されているエポキシ樹脂組成物が知られており、本発明においても有効に使用することができる。中でも、太陽電池及び有機EL素子用途向けに開発、市販されているエポキシ樹脂組成物もあり、本発明において特に有効に使用できる。例えば、TB3118、TB3114、TB3124、TB3125F(スリーボンド社製)、WorldRock5910、WorldRock5920、WorldRock8723(協立化学株式会社製)、WB90US(P)(モレスコ社製)などが挙げられる。
本発明においては、シート状封止材を用いることができる。
シート状封止材とは、シート上に予めエポキシ樹脂層を形成したもので、シートはガラス及びガスバリア性の高いフィルム等が用いられ、本発明における第2の基板に該当する。シート状封止材を、第2の基板上に貼り付け、その後、硬化させることにより、封止部材及び第2の基板を一度に形成することができる。シート上に形成するエポキシ樹脂層の形成パターンにより、中空部を設けた構造にすることもでき、有効である。
封止部材の形成方法としては、特に制限はなく、公知の方法にしたがって行うことができ、例えば、ディスペンス法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、凸版、オフセット、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等様々な方法を用いることができる。
更に、封止部材と第2の電極との間にパッシベーション層を設けてもよい。パッシベーション層としては、封止部材が第2の電極に接しないように配置されていれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、酸化アルミニウム、窒化シリコン、酸化シリコンなどが好ましく用いられる。
次に、図面を用いて、本発明の光電変換素子について説明する。ただし、本発明は、これらに限定されるものではなく、例えば、下記構成部材の数、位置、形状等について、本実施の形態に記載されていないものについても、本発明の範疇に含まれる。
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態の光電変換素子の一例を示す概略図である。この図1の第1の実施形態の光電変換素子101は、第1の基板1上に第1の電極2が形成される。第1の電極2上には電子輸送層4が形成され、電子輸送層4を構成する電子輸送性材料の表面に光増感化合物5が吸着されている。電子輸送層4の上部及び内部にはホール輸送層6が形成され、ホール輸送層6の上に第2の電極7が形成される。第2の電極7の上方には第2の基板9が配置され、第2の基板9は第1の電極2との間で封止部材8によって固定される。
この図1の第1の実施形態の光電変換素子101は、第2の電極7と第2の基板9の間に中空部10を有する。中空部10を有することにより、中空部内の水分量及び酸素濃度を制御することが可能になり、発電性能及びその耐久性を向上できるメリットがある。更に、第2の電極7と第2の基板9が接触していないため、第2の電極7の剥離及び破壊を防止することができる。中空部内の酸素濃度は、特に制限はなく、自由に選択できるが、0%以上21%以下が好ましく、5%以上15%以下がより好ましい。
なお、図示を省略しているが、第1の電極2及び第2の電極7は各々電極取出し端子まで導通する経路を有する。
<第2の実施形態>
図2は、第2の実施形態の光電変換素子の一例を示す概略図である。この図2の第2の実施形態の光電変換素子101は、第1の基板1と電子輸送層4との間にホールブロッキング層3が形成されている。ホールブロッキング層3を形成することにより、電子とホールの再結合を防止することができ、発電性能の向上に有効である。図2に示される光電変換素子は、図1と同様に第2の電極7と第2の基板9の間に中空部10を有する。
<第3の実施形態>
図3は、第3の実施形態の光電変換素子の一例を示す概略図である。この図3の第3の実施形態の光電変換素子101は、封止部の中空部を設けずに、図2に示す中空部10を封止部材8で覆ったものである。例えば、封止部材8を第2の電極7上の全面に塗布し、その上に第2の基板9を設ける方法、前述のシート状封止材を用いる方法により形成できる。この場合、封止内部の中空部を完全に無くしてもよいし、中空部を一部残してもよい。このように、ほぼ全面を封止部材で覆うことにより、第2の基板9が剥離したり、破壊したりすることを低減でき、光電変換素子の機械的強度を高めることが可能になる。
<第4の実施形態>
図4は、第4の実施形態の光電変換素子の一例を示す概略図である。この図4の第4の実施形態の光電変換素子101は、封止部材8が第1の基板1と第2の基板9に接着されている。このような構成にすることにより、封止部材8の基板との接着性が高くなり、光電変換素子の機械的強度が高まる効果が得られる。また、密着性が高まることにより、水分又は酸素の浸入を防ぐ封止効果をより一層高める効果も得ることができる。
(光電変換モジュール)
本発明の光電変換モジュールにおいては、本発明の前記光電変換素子が直列又は並列に電気的に接続されている。
本発明の光電変換モジュールは、例えば、複数の光電変換素子が隣接して配置され、かつ直列又は並列に接続された光電変換素子配置領域を有し、前記複数の光電変換素子が、第1の電極と第2の電極との間に、電子輸送層及びホール輸送層を含む光電変換層が形成される。
本発明の光電変換モジュールは、前記光電変換素子を、複数有する構成とすることができる。また、前記複数の光電変換素子は、直列及び/又は並列で接続されていてもよいし、接続されておらず独立した光電変換素子を含んでいてもよい。
光電変換モジュールの各層の構成としては、前記光電変換素子と同様の構成とすることができる。
光電変換モジュールの構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、第1の電極、電子輸送層、第2の電極は、互いに隣接する少なくとも2つの光電変換素子において、分割されていることが好ましく、これによりショートのリスクを低減することができる。一方、ホール輸送層は、互いに隣接する少なくとも2つの光電変換素子において、分割されていてもよいし、前記ホール輸送層どうしが互いに延設された連続層の形態であってもよい。
また、光電変換モジュールは、互いに隣接する少なくとも2つの前記光電変換素子において、一の前記光電変換素子における前記第1の電極と、他の前記光電変換素子における前記第2の電極とが、少なくとも前記ホール輸送層から前記ホールブロッキング層までを貫通した導通部により電気的に接続される形態であってもよい。
光電変換モジュールは、一対の基板を有し、かつ直列又は並列に接続された光電変換素子配置領域を前記一対の基板の間に有し、前記封止部材が前記一対の基板に挟持された構成とすることができる。
本発明の光電変換モジュールは、発生した電流を制御する回路基盤等と組み合わせることにより電源装置に応用できる。電源装置を利用している機器類として、例えば、電子卓上計算機、腕時計が挙げられる。また、携帯電話、電子手帳、電子ペーパー等に本発明の光電変換モジュールを有する電源装置を適用することもできる。また、充電式又は乾電池式の電気器具の連続使用時間を長くするための補助電源、2次電池などと組み合わせることにより夜間等でも利用できる電源などとしても、本発明の光電変換モジュールを有する電源装置を用いることができる。更に、電池交換又は電源配線等が不要な自立型電源として、IoTデバイス、人工衛星などに用いることもできる。
(電子機器)
本発明の電子機器は、本発明の光電変換モジュールと、前記光電変換モジュールが光電変換することによって発生した電力によって動作する装置と、を有し、更に必要に応じてその他の装置を有する。
(電源モジュール)
本発明の電源モジュールは、本発明の光電変換モジュールと、電源IC(Integrated Circuit)と、を有し、更に必要に応じてその他の装置を有する。
次に、本発明の光電変換モジュールと、これらが発電することによって得られた電力により動作する装置を有する電子機器の具体的な実施形態について説明する。
図5は、本発明の電子機器の一例としてのパソコン用マウスのブロック図である。
図5に示すように、光電変換モジュールと電源IC、更に蓄電デバイスとを組み合わせ、供給される電力をマウスの制御回路の電源に接続する。これにより、マウスを使用していない時に蓄電デバイスに充電し、その電力でマウスを動作させることができ、配線又は電池交換が不要なマウスを得ることができる。また、電池が不要になることで軽量化も可能となり、有効である。
図6は、図5に示したマウスの一例を示す概略外観図である。
図6に示すように、光電変換モジュール及び電源IC、蓄電デバイスはマウス内部に実装されるが、光電変換モジュールの光電変換素子に光が当たるように光電変換素子の上部は透明の筐体で覆われている。また、マウスの筐体すべてを透明な樹脂で成形することも可能である。光電変換素子の配置はこれに限られるものではなく、例えばマウスを手で覆っていても光が照射される位置に配置することも可能であり、好ましい場合がある。
次に、本発明の光電変換モジュールと、これらが発電することによって得られた電力により動作する装置を有する電子機器の他の実施形態について説明する。
図7は、本発明の電子機器の一例としてのパソコン用キーボードのブロック図である。
図7に示すように、光電変換モジュールの光電変換素子と電源IC、蓄電デバイスを組み合わせ、供給される電力をキーボードの制御回路の電源に接続する。これにより、キーボードを使用していない時に蓄電デバイスに充電し、その電力でキーボードを動作させることができ、配線又は電池交換が不要なキーボードを得ることができる。また、電池が不要になることで軽量化も可能となり、有効である。
図8は、図7に示したキーボードの一例を示す概略外観図である。
図8に示すように、光電変換モジュールの光電変換素子及び電源IC、蓄電デバイスはキーボード内部に実装されるが、光電変換素子に光が当たるように光電変換素子の上部は透明の筐体で覆われている。キーボードの筐体すべてを透明な樹脂で成形することも可能である。光電変換素子の配置はこれに限られるものではない。光電変換素子を組み込むスペースが小さい小型のキーボードの場合には、図9に示すように、キーの一部に小型の光電変換素子を埋め込むことも可能であり、有効である。
次に、本発明の光電変換モジュールと、これらが発電することによって得られた電力により動作する装置を有する電子機器の他の実施形態について説明する。
図10は、本発明の電子機器の一例としてのセンサのブロック図である。
図10に示すように、光電変換モジュールの光電変換素子と電源IC、蓄電デバイスを組み合わせ、供給される電力をセンサ回路の電源に接続する。これにより、外部電源に接続する必要がなく、また電池交換を行う必要もなく、センサモジュールを構成することが可能となる。センシング対象としては、温湿度、照度、人感、CO、加速度、UV、騒音、地磁気、気圧など、様々なセンサに応用でき、有効である。センサモジュールは、図11に示すように、定期的に測定対象をセンシングし、読み取ったデータをPC、スマートフォンなどに無線通信で送信する構成になっている。
IoT(Internet of Things)社会の到来により、センサは急増することが予想されている。この無数のセンサの電池を一つ一つ交換するには大きな手間がかかり、現実的ではない。またセンサは、天井や壁など、電池交換しにくい場所にあることも作業性を悪くしている。光電変換素子により電力供給できることもメリットは非常に大きい。また、本発明の光電変換モジュールは、低照度でも高い出力を得ることができ、かつ出力の光入射角依存性が小さいことから、設置自由度が高いといったメリットも得られる。
次に、本発明の光電変換モジュールと、これらが発電することによって得られた電力により動作する装置を有する電子機器の他の実施形態について説明する。
図11は、本発明の電子機器の一例としてのターンテーブルのブロック図である。
図11に示すように、光電変換素子と電源IC、蓄電デバイスを組み合わせ、供給される電力をターンテーブル回路の電源に接続する。これにより、外部電源に接続する必要がなく、また電池交換を行う必要もなく、ターンテーブルを構成することが可能となる。
ターンテーブルは、例えば商品を陳列するショーケースなどに用いられるが、電源の配線は見栄えが悪く、また電池交換の際には陳列物を撤去しなければならず、大きな手間がかかっていた。本発明の光電変換モジュールを用いることで、そのような不具合を解消でき、有効である。
以上、本発明の光電変換モジュールと、これらが発電することによって得られた電力により動作する装置を有する電子機器、及び電源モジュールについて説明したが、これらはごく一部であり、本発明の光電変換モジュールが、これらの用途に限定されるものではない。
<用途>
本発明の光電変換モジュールは、自立型電源として機能させることができ、光電変換によって発生した電力を用いて、装置を動作させることが可能である。本発明の光電変換モジュールは、光が照射されることにより発電することが可能であるため、電子機器を電源に接続したり、又は電池交換したりする必要がない。そのため、電源設備がない場所でも電子機器を動作させたり、身に着けて持ち歩いたり、電池交換が困難な場所でも電池を交換することなく、電子機器を動作させたりすることが可能である。また、乾電池を用いる場合は、その分、電子機器が重くなったり、サイズが大きくなったりするため、壁や天井への設置、又は持ち運びに支障を来すことがあるが、本発明の光電変換モジュールは、軽量で薄いため、設置自由度が高く、身に着けたり、持ち歩く上でもメリットが大きい。
このように、本発明の光電変換モジュールは、自立型電源として使用でき、様々な電子機器に組み合わせることができる。例えば、電子卓上計算機、腕時計、携帯電話、電子手帳、電子ペーパーなどの表示機器、マウス、キーボード等のパソコンの付属機器、温湿度センサ、人感センサ等の各種センサ機器、ビーコン、GPS等の発信機、補助灯、リモコン等の数多くの電子機器と組み合わせて使用することができる。
本発明の光電変換モジュールは、特に低照度の光でも発電できるため、室内でも、更に薄暗い影のところでも発電することが可能であるため、適用範囲が広い。また、乾電池のように液漏れがなく、ボタン電池のように誤飲することもなく安全性が高い。更に、充電式又は乾電池式の電気器具の連続使用時間を長くするための補助電源として用いることができる。このように、本発明の光電変換モジュールと、それが光電変換することによって発生した電力によって動作する装置とを組み合わせることで、軽量で使い勝手がよく、設置自由度が高く、交換が不要で、安全性に優れ、かつ環境負荷低減にも有効な電子機器に生まれ変わることができる。
本発明の光電変換モジュールと、それが光電変換することによって発生した電力によって動作する装置とを組み合わせた電子機器の基本構成図を図12に示す。これは、光電変換素子に光が照射されると発電し、電力を取り出すことができる。機器の回路は、その電力によって動作することが可能になる。
しかし、光電変換モジュールの光電変換素子は周囲の照度によって出力が変化するため、図12に示す電子機器は安定に動作することができない場合がある。この場合、図13に示すように、回路側に安定した電圧を供給するために、光電変換素子と機器の回路の間に光電変換素子用の電源ICを組み込むことが可能であり、有効である。
しかし、光電変換モジュールの光電変換素子は十分な照度の光が照射されていれば発電できるが、発電するだけの照度が足りなくなると、所望の電力が得られなくなり、これが光電変換素子の欠点でもある。この場合には、図14に示すように、キャパシタ等の蓄電デバイスを電源ICと機器回路の間に搭載することによって、光電変換素子からの余剰電力を蓄電デバイスに充電することが可能となり、照度が低すぎる場合、光電変換素子に光が当たらない場合でも、蓄電デバイスに蓄えられた電力を機器回路に供給することが可能になり、安定に動作させることが可能となる。
このように、本発明の光電変換モジュールと、機器回路とを組み合わせた電子機器において、電源IC又は蓄電デバイスを組み合わせることで、電源のない環境でも動作可能であり、また電池交換が不要で、安定に駆動させることが可能になり、光電変換素子のメリットを最大限に活かすことができる。
一方、本発明の光電変換モジュールは、電源モジュールとしても使用することが可能であり、有用である。例えば、図15に示すように、本発明の光電変換モジュールと、光電変換素子用の電源ICを接続すると、光電変換モジュールの光電変換素子が光電変換することによって発生した電力を電源ICにて一定の電圧レベルで供給することが可能な直流電源モジュールを構成することができる。
更に、図16に示すように、電源ICに蓄電デバイスを追加することにより、光電変換モジュールの光電変換素子が発生させた電力を蓄電デバイスに充電することが可能になり、照度が低すぎる場合、光電変換素子に光が当たらない状態になっても、電力を供給することが可能な電源モジュールを構成することができる。
図15及び図16に示した本発明の電源モジュールは、従来の一次電池のように電池交換をすることなく、電源モジュールとして使用することが可能である。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
<光電変換素子の作製>
第1の基板としてのガラス基板上に、第1の電極としてのインジウムドープ酸化錫(ITO)とニオブドープ酸化錫(NTO)を順次スパッタ製膜した。
次に、ホールブロッキング層として酸化チタンからなる緻密な層(平均厚み20nm)を酸素ガスによる反応性スパッタにより形成した。
次に、酸化チタン(Greatcell Solar Materials社製、18NR-T)ペーストを、ホールブロッキング層上に平均厚みが約1.5μmになるように塗布し、120℃で乾燥後、空気中、550℃で30分間焼成し、多孔質状の電子輸送層を形成した。
電子輸送層を形成したガラス基板を、上記「B1-10」で表される光増感化合物(0.2mM)と、上記「B2-1」で表される凝集乖離剤(5mM)にアセトニトリル/t-ブタノール(体積比1:1)混合液を加え撹拌した溶液に浸漬し、1時間暗所で静置して、電子輸送層の表面に光増感化合物を吸着させた。
予め、クロロベンゼン溶液1mLに上記「D-7」で表される有機ホール輸送材料(SHT-263、メルク株式会社製)150mM、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)のリチウム塩(キシダ化学株式会社製)65mM、上記「H-1」で表される塩基性化合物130mM、及び上記「F-11」で表されるコバルト錯体(FK209、Greatcell solar materials)10mMを加えて溶解し、ホール輸送層塗布液を調製した。
次に、光増感化合物を吸着させた電子輸送層上に、ホール輸送層塗布液を用い、ダイコート法により、平均厚み500nmのホール輸送層を形成した。その後、封止部材が設けられるガラス基板の端部をレーザー加工によりエッチング処理し、更にレーザー加工により端子取り出し部となるITO層に接続するための貫通孔を形成した。更に、その上に銀を真空蒸着し、約70nmの第2の電極を形成した。
次に、ガラス基板の端部を、発電領域が取り囲まれるように、紫外線硬化樹脂(TB3118、株式会社スリーボンドホールディングス製)をディスペンサー(2300N、株式会社サンエイテック製)を用いて塗布した。その後、露点マイナス40℃かつ酸素濃度を10%に制御したグローブボックス内に移して、紫外線硬化樹脂の上に第2の基板としてのカバーガラスを載せ、紫外線照射により硬化させた後、80℃で60分間加熱した。発電領域の封止を行い、図1で示されるような、実施例1の光電変換素子を作製した。
(実施例2~19)
実施例1において、リチウム塩を、リチウム(フルオロスルホニル)(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)(東京化成工業株式会社製)に変更し、色素及び凝集乖離剤を表1に示す材料に変更した以外は、実施例1と同様にして、図1で示されるような、実施例2~19の光電変換素子を作製した。
(実施例20)
実施例1において、「F-11」で表されるコバルト錯体を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして、図1で示されるような光電変換素子を作製した。
(実施例21)
実施例1において、「H-1」で表される塩基性化合物を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして、図1で示されるような光電変換素子を作製した。
(実施例22)
実施例9において、塩基性化合物を、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)(東京化成工業株式会社製)に変更した以外は、実施例9と同様にして、図1で示されるような、実施例22の光電変換素子を作製した。
(実施例23)
実施例9において、塩基性化合物を、4-ピロリジノピリジン(PYP)(東京化成工業株式会社製)に変更した以外は、実施例9と同様にして、図1で示されるような、実施例23の光電変換素子を作製した。
(実施例24)
実施例9において、塩基性化合物を、4-ピペリジノピリジン(PPP)(アルドリッチ社製)に変更した以外は、実施例9と同様にして、図1で示されるような、実施例24の光電変換素子を作製した。
(実施例25)
実施例9において、塩基性化合物を、上記「H-3」で表される塩基性化合物に変更した以外は、実施例9と同様にして、図1で示されるような、実施例25の光電変換素子を作製した。
(比較例1)
実施例9において、色素を、色素(D102、三菱製紙株式会社製)に変更した以外は、実施例9と同様にして、図1で示されるような、比較例1の光電変換素子を作製した。
(比較例2)
実施例9において、色素を、色素(D358、三菱製紙株式会社製)に変更した以外は、実施例9と同様にして、図1で示されるような、比較例2の光電変換素子を作製した。
(比較例3)
実施例9において、色素を、下記構造式で表される色素Aに変更した以外は、実施例9と同様にして、図1で示されるような、比較例3の光電変換素子を作製した。
Figure 2022078488000044
(比較例4)
実施例9において、凝集乖離剤を、ケノデオキシコール酸(CDCA)(東京化成工業株式会社製)に変更した以外は、実施例9と同様にして、図1で示されるような、比較例4の光電変換素子を作製した。
(比較例5)
実施例9において、凝集乖離剤を、4-(ヘプチルオキシ)安息香酸(HeBA)(東京化成工業株式会社製)に変更した以外は、実施例9と同様にして、図1で示されるような、比較例5の光電変換素子を作製した。
(比較例6)
実施例9において、凝集乖離剤を添加無しに変更した以外は、実施例9と同様にして、図1で示されるような、比較例6の光電変換素子を作製した。
次に、得られた各光電変換素子について、以下のようにして、諸特性を評価した。結果を表1~表3に示した。
<光電変換素子の評価>
得られた各光電変換素子について、200 luxに調整した5000Kの白色LED照射下で、太陽電池評価システム(As-510-PV03、株式会社エヌエフ回路設計ブロック製)を用いて、IV特性を評価し、初期の開放電圧Voc1(V)及び、最大出力電力Pmax1(μW/cm)を求めた。
5000Kの白色LED2万lux下においで1000時間照射し、再度同条件の光源におけるIV特性を評価し、高照度光照射後の開放電圧Voc2及び、最大出力電力Pmax2(μW/cm)を測定し、Voc維持率(Voc2/Voc1)(%)、Pmax維持率(Pmax2/Pmax1)(%)を求めた。
Figure 2022078488000045
Figure 2022078488000046
Figure 2022078488000047
表1から表3の結果から、実施例1~25は、比較例1~6と比べると、高照度光下に晒された後において低照度光で特性低下を抑制することができることがわかった。固体型色素増感太陽電池においては、高照度光環境下において、効率的に光電変換されるためには、色素に対する凝集乖離剤やリチウム塩の組合せが非常に重要であり、また塩基材料によっても特性結果が異なることがわかった。
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 第1電極と、該第1電極上に形成された電子輸送層と、ホール輸送層と、第2電極と、を有する光電変換素子であって、
前記電子輸送層は、下記一般式(1)で表される化合物と、下記一般式(2)で表される化合物とを含むことを特徴とする光電変換素子である。
Figure 2022078488000048
ただし、前記一般式(1)中、Ar及びArは、置換基を有していてもよいアリール基を表す。R及びRは、炭素数4~10の直鎖又は分岐状のアルキル基を表す。Xは、下記構造式で表されるいずれかの置換基を表す。
Figure 2022078488000049
Figure 2022078488000050
ただし、前記一般式(2)中、Arは、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよいナフチル基を表す。nは1~3の整数を表す。
<2> 前記電子輸送層は、上記一般式(1)で表される化合物と、上記一般式(2)で表される化合物とが担持された酸化チタン粒子からなる多孔質状である前記<1>に記載の光電変換素子である。
<3> 前記一般式(2)で表される化合物が下記構造式(1)で表される化合物である、前記<1>から<2>のいずれかに記載の光電変換素子である。
Figure 2022078488000051
<4> 前記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(3)で表される化合物である、前記<1>から<3>のいずれかに記載の光電変換素子である。
Figure 2022078488000052
ただし、前記一般式(3)中、Ar及びArは、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよいナフチル基を表す。Arは、フェニル基、又はチオフェン基を表す。
<5> 前記ホール輸送層がリチウム(フルオロスルホニル)(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを含有する、前記<1>から<4>のいずれかに記載の光電変換素子である。
<6> 前記ホール輸送層が下記一般式(4)で表される3価のコバルト錯体化合物を含有する、前記<1>から<5>のいずれかに記載の光電変換素子である。
Figure 2022078488000053
ただし、前記一般式(4)中、R~Rは、水素原子、メチル基、エチル基、ターシャルブチル基、又はトリフルオロメチル基を示す。Yは、下記構造式(2)から(5)で表されるいずれかを示す。
Figure 2022078488000054
<7> 前記ホール輸送層が下記一般式(5)で表される塩基性化合物を含有する、前記<1>から<6>のいずれかに記載の光電変換素子である。
Figure 2022078488000055
ただし、前記一般式(5)中、Ar及びArは、置換基を有していてもよいアリール基を表す。
<8> 前記<1>から<7>のいずれかに記載の光電変換素子が直列又は並列に電気的に接続されたことを特徴とする光電変換モジュールである。
<9> 前記<8>に記載の光電変換モジュールと、
前記光電変換モジュールが光電変換することによって発生した電力によって動作する装置と、
を有することを特徴とする電子機器である。
<10> 前記<8>に記載の光電変換モジュールと、
前記光電変換モジュールが光電変換することによって発生した電力を蓄電する蓄電池と、前記光電変換モジュールが光電変換することによって発生した電力及び/又は前記蓄電池に蓄電された電力によって動作する装置を有することを特徴とする電子機器である。
<11> 前記<8>に記載の光電変換モジュールと、
電源ICと、
を有することを特徴とする電源モジュールである。
前記<1>から<7>のいずれかに記載の光電変換素子、前記<8>に記載の光電変換モジュール、前記<9>から<10>のいずれかに記載の電子機器、及び前記<11>に記載の電源モジュールは、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
1 第1の基板
2 第1の電極
3 ホールブロッキング層
4 電子輸送層
5 光増感化合物
6 ホール輸送層
7 第2の電極
8 封止部材
9 第2の基板
10 中空部
101 光電変換素子
特開2018-113437号公報

Claims (11)

  1. 第1電極と、該第1電極上に形成された電子輸送層と、ホール輸送層と、第2電極と、を有する光電変換素子であって、
    前記電子輸送層は、下記一般式(1)で表される化合物と、下記一般式(2)で表される化合物とを含むことを特徴とする光電変換素子。
    Figure 2022078488000056
    ただし、前記一般式(1)中、Ar及びArは、置換基を有していてもよいアリール基を表す。R及びRは、炭素数4~10の直鎖又は分岐状のアルキル基を表す。Xは、下記構造式で表されるいずれかの置換基を表す。
    Figure 2022078488000057
    Figure 2022078488000058
    ただし、前記一般式(2)中、Arは、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよいナフチル基を表す。nは1~3の整数を表す。
  2. 前記電子輸送層は、上記一般式(1)で表される化合物と、上記一般式(2)で表される化合物とが担持された酸化チタン粒子からなる多孔質状である、請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記一般式(2)で表される化合物が下記構造式(1)で表される化合物である、請求項1から2のいずれかに記載の光電変換素子。
    Figure 2022078488000059
  4. 前記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(3)で表される化合物である、請求項1から3のいずれかに記載の光電変換素子。
    Figure 2022078488000060
    ただし、前記一般式(3)中、Ar及びArは、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよいナフチル基を表す。Arは、フェニル基、又はチオフェン基を表す。
  5. 前記ホール輸送層がリチウム(フルオロスルホニル)(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを含有する、請求項1から4のいずれかに記載の光電変換素子。
  6. 前記ホール輸送層が下記一般式(4)で表される3価のコバルト錯体化合物を含有する、請求項1から5のいずれかに記載の光電変換素子。
    Figure 2022078488000061
    ただし、前記一般式(4)中、R~Rは、水素原子、メチル基、エチル基、ターシャルブチル基、又はトリフルオロメチル基を示す。Yは、下記構造式(2)から(5)で表されるいずれかを示す。
    Figure 2022078488000062
  7. 前記ホール輸送層が下記一般式(5)で表される塩基性化合物を含有する、請求項1から6のいずれかに記載の光電変換素子。
    Figure 2022078488000063
    ただし、前記一般式(5)中、Ar及びArは、置換基を有していてもよいアリール基を表す。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載の光電変換素子が直列又は並列に電気的に接続されたことを特徴とする光電変換モジュール。
  9. 請求項8に記載の光電変換モジュールと、
    前記光電変換モジュールが光電変換することによって発生した電力によって動作する装置と、
    を有することを特徴とする電子機器。
  10. 請求項8に記載の光電変換モジュールと、
    前記光電変換モジュールが光電変換することによって発生した電力を蓄電する蓄電池と、前記光電変換モジュールが光電変換することによって発生した電力及び/又は前記蓄電池に蓄電された電力によって動作する装置を有することを特徴とする電子機器。
  11. 請求項8に記載の光電変換モジュールと、
    電源ICと、
    を有することを特徴とする電源モジュール。
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