JP2022176111A - マレイミド樹脂、硬化性樹脂組成物およびその硬化物 - Google Patents

マレイミド樹脂、硬化性樹脂組成物およびその硬化物 Download PDF

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Masanori Hashimoto
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Daichi Hijikata
政隆 中西
Masataka Nakanishi
ヘロン、ジェシカ
Heron Jessica
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Abstract

【課題】優れた低吸水性、耐熱性、電気特性を示し、良好な硬化性を有するマレイミド樹脂、硬化性樹脂組成物及びその硬化物を提供する。【解決手段】下記式(a)、(b)、(c)、(d)の繰り返し単位を持つマレイミド樹脂。TIFF2022176111000008.tif52165(上記式中、R1~R6は水素原子、炭素数1~10の炭化水素基、またはハロゲン化炭化水素基を表す。l、mは0~5の実数を表し、nは0~4の実数を表す。Nはそれぞれ独立して1~20の実数を表し、L、M、Oは、0~20の実数を表す。)【選択図】なし

Description

本発明は、マレイミド樹脂、硬化性樹脂組成物、及びその硬化物に関するものであり、半導体封止材、プリント配線基板、ビルドアップ積層板などの電気・電子部品、炭素繊維強化プラスチック、ガラス繊維強化プラスチックなどの軽量高強度材料、3Dプリンティング用途に好適に使用される。
近年、電気・電子部品を搭載する積層板はその利用分野の拡大により、要求特性が広範かつ高度化している。従来の半導体チップは金属製のリードフレームに搭載することが主流であったが、中央処理装置(以下、CPUと表す。)などの処理能力の高い半導体チップは高分子材料で作られる積層板に搭載されることが多くなってきている。
現在開発が加速している第5世代通信システム「5G」では、さらなる大容量化と高速通信が進むことが予想されている。低誘電正接材料のニーズがますます高まってきており、少なくとも1GHzで0.005以下の誘電正接が求められている。
更に、自動車分野においては電子化が進み、エンジン駆動部付近に精密電子機器が配置されることもあるため、より高水準での耐熱・耐湿性が求められる。電車やエアコン等にはSiC半導体が使用され始めており、半導体素子の封止材には極めて高い耐熱性が要求されるため、従来のエポキシ樹脂封止材では対応できなくなっている。
このような背景を受けて、耐熱性と電気特性を両立できる高分子材料が検討されている。例えば、特許文献1ではマレイミド樹脂とプロペニル基含有フェノール樹脂を含む組成物が提案されている。しかしながら、一方で硬化反応時に反応に関与しないフェノール性水酸基が残存するため、電気特性が十分とは言えない。
また、近年、三次元造形の手法として3Dプリンティングが注目されており、航空・宇宙、車、さらにそれらに使用される電子部品のコネクタといった信頼性が求められる分野において、この3Dプリンティングの手法が適用され始めている。特に、光硬化系、熱硬化系の樹脂はステレオリソグラフィ(SLA)やデジタル・ライト・プロセッシング(DLP)に代表される用途での検討が進んでいる。そのため、従来の金型から転写する方式では、形状の安定性、正確性が主に求められていたが、3Dプリンティング用途では、耐熱性、機械特性、強靭性、難燃性、さらには電気特性と言った様々な特性が求められ、その材料開発が進められている。
特開平04-359911号公報
本発明は、このような状況を鑑みてなされたものであり、優れた低吸水性、耐熱性、電気特性を示し、良好な硬化性を有するマレイミド樹脂、硬化性樹脂組成物及びその硬化物を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究した結果、特定構造を有するアミン化合物から誘導される、マレイミド樹脂の硬化物が低吸水性、耐熱性、低誘電特性に優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、下記[1]~[8]に関する。
[1]
下記式(a)、(b)、(c)、(d)の繰り返し単位を持つマレイミド樹脂。
Figure 2022176111000001
(上記式中、R~Rは水素原子、炭素数1~10の炭化水素基、またはハロゲン化炭化水素基を表す。l、mは0~5の実数を表し、nは0~4の実数を表す。Nはそれぞれ独立して1~20の実数を表し、L、M、Oは、0~20の実数を表す。(a)、(b)、(c)、(d)はそれぞれ*で結合され、繰り返し位置はランダムでよい。)
[2]
上記式(a)、(b)、(c)中、Rがメチル基、Rがメチル基または水素原子、Rがメチル基または水素原子である前項[1]に記載のマレイミド樹脂。
[3]
上記式(d)中、Oが0である前項[1]に記載のマレイミド樹脂。
[4]
前項[1]乃至[3]のいずれか一項に記載のマレイミド樹脂を含有する硬化性樹脂組成物。
[5]
さらに、前項[1]乃至[3]のいずれか一項に記載のマレイミド樹脂以外の硬化性樹脂を含有する前項[4]に記載の硬化性樹脂組成物。
[6]
さらに、硬化促進剤を含有する前項[4]または[5]に記載の硬化性樹脂組成物。
[7]
前項[1]に記載のマレイミド樹脂を硬化して得られる硬化物。
[8]
前項[4]に記載の硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物。
本発明のマレイミド樹脂は硬化性に優れ、その硬化物は高耐熱性、低誘電特性に優れた特性を有する。そのため、電気電子部品の封止や回路基板、炭素繊維複合材などに有用な材料である。
また、本発明のマレイミド樹脂は、単独で硬化させることも好ましい態様の一つである。
合成例2のH-NMRチャートを示す。 実施例1のH-NMRチャートを示す。 実施例2のH-NMRチャートを示す。
本発明のマレイミド樹脂は下記式(a)、(b)、(c)、(d)の繰り返し単位を持つ。
Figure 2022176111000002
(上記式中、R~Rは水素原子、炭素数1~10の炭化水素基、またはハロゲン化炭化水素基を表す。l、mは0~5の実数を表し、nは0~4の実数を表す。Nはそれぞれ独立して1~20の実数を表し、L、M、Oは、0~20の実数を表す。(a)、(b)、(c)、(d)はそれぞれ*で結合され、繰り返し位置はランダムでよい。)
前記式(a)、(b)、(c)、(d)中、R~Rは通常、水素原子、炭素数1~10の炭化水素基、またはハロゲン化炭化水素基であり、好ましくは水素原子もしくは炭素数1~5の炭化水素基であり、さらに好ましくは水素原子もしくは炭素数1~3の炭化水素基である。Rについては、メチル基、または水素原子であることが特に好ましく、メチル基であることが最も好ましい。R、Rについては、メチル基、または水素原子であることが特に好ましく、水素原子であることが最も好ましい。R~Rが上記範囲にある場合、高周波に晒された際に分子振動をしにくいため、電気特性に優れる。
前記式(a)、(b)、(c)、(d)中、l、mは通常0~5であり、好ましくは0~2、さらに好ましくは0である。n、оは通常0~4であり、好ましくは0~2、さらに好ましくは0である。
前記式(a)、(b)、(c)、(d)中、L、Mは0~20であり、下限値として好ましくは1であり、さらに好ましくは1.1であり、特に好ましくは2である。上限値として好ましくは10であり、さらに好ましくは5である。前記式(a)、(b)、(c)、(d)中、Nは3~20であり、下限値として好ましくは3.1であり、さらに好ましくは5である。上限値として好ましくは15であり、さらに好ましくは10である。Nが上記下限以上であれば官能基密度が大きくなることに伴い、耐熱性が向上する。一方、上記上限以下であれば、極性を有するマレイミドの官能基密度が減少することに伴い、低吸水化される。前記式(a)、(b)、(c)、(d)中、Oは0~20であり、好ましくは0~5であり、さらに好ましくは0~2であり、特に好ましくは0である。
前記式(a)、(b)、(c)、(d)の繰り返し単位を持つマレイミド樹脂(以下、成分(A)ともいう。)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定により求められる重量平均分子量(Mw)は、200以上20,000未満であるときが好ましく、500以上15,000未満であるときがさらに好ましく、1,000以上10,000未満であるときが特に好ましい。数平均分子量(Mn)は、200以上10,000未満であるときが好ましく、500以上8,000未満であるときがさらに好ましく、1,000以上5,000未満であるときが特に好ましい。重量平均分子量、数重量平均分子量が上記範囲にあると水洗による精製が容易となり、溶剤留去工程において目的化合物が揮発することがない。
成分(A)は、下記式(1)として表すことができる。
Figure 2022176111000003
(式(1)中、R~Rは水素原子、炭素数1~10の炭化水素基、またはハロゲン化炭化水素基を表す。l、mは0~5の実数を表し、nは0~4の実数を表す。Nはそれぞれ独立して3~20の実数を表し、L、M、Oは、0~20の実数を表す。各繰り返し単位は記載の都合上特定の順で示しているが、各繰り返し位置はランダムでよい。)
成分(A)は、下記式(a)、(b)、(d)、(e)の繰り返し単位を持つアミン化合物(以下、成分(B)ともいう。)とマレイン酸またはマレイン酸無水物とを反応させて得られる。
Figure 2022176111000004
(上記式中、R~Rは水素原子、炭素数1~10の炭化水素基、またはハロゲン化炭化水素基を表す。l、mは0~5の実数を表し、nは0~4の実数を表す。Nはそれぞれ独立して3~20の実数を表し、L、M、Oは、0~20の実数を表す。(a)、(b)、(d)、(e)はそれぞれ*で結合され、繰り返し位置はランダムでよい。)
前記式(a)、(b)、(d)、(e)中のR~R、l、m、n、о、L、M、Nの好ましい範囲は、前記式(a)、(b)、(c)、(d)と同様である。
成分(B)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定により求められる重量平均分子量(Mw)は、200以上20,000未満であるときが好ましく、500以上15,000未満であるときがさらに好ましく、1,000以上10,000未満であるときが特に好ましい。数平均分子量(Mn)は、200以上10,000未満であるときが好ましく、500以上8,000未満であるときがさらに好ましく、1,000以上5,000未満であるときが特に好ましい。重量平均分子量、数重量平均分子量が上記範囲にあると水洗による精製が容易となり、溶剤留去工程において目的化合物が揮発することがない。
成分(B)のアミン当量は、100g/eq.以上3,000g/eq.未満であるときが好ましく、200g/eq.以上2,000g/eq.未満であるときがさらに好ましく、300g/eq.以上1,000g/eq.未満であるときが特に好ましい。
成分(B)の製法例を以下に記載するが、これらに限定されるものではない。
まず、ラジカル重合、カチオン重合、もしくはアニオン重合などによりクロロメチル基を有するスチレンモノマーおよび1種類以上のスチレン系モノマーを重合させることで、クロロメチル基を有するポリスチレン化合物を得る。この重合の際には、いかなる溶剤や重合禁止剤、リビングラジカル開始剤を添加してもよい。
つづいて、得られたクロロメチル基を有するポリスチレン化合物に対し、アニリン系化合物を酸性触媒存在下で反応させることで、成分(B)を得ることができる。この反応の際には、いかなる酸触媒を用いても構わないが、必要により塩酸、燐酸、硫酸、蟻酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸のほか、塩化アルミニウム、塩化亜鉛等のルイス酸、活性白土、酸性白土、ホワイトカーボン、ゼオライト、シリカアルミナ等の固体酸、酸性イオン交換樹脂等を使用することができる。これらは単独でも二種以上併用しても良い。製造工程の簡便さや、経済性の観点から、再利用可能な固体酸(活性白土、酸性白土、ホワイトカーボン、ゼオライト、シリカアルミナ等の固体酸、酸性イオン交換樹脂等)を用いることもできる。触媒の使用量は、使用されるアニリン系化合物1モルに対して通常0.1~0.8モルであり、好ましくは0.2~0.7モルである。多すぎると反応溶液の粘度が高すぎて攪拌が困難になる恐れがあり、少なすぎると反応の進行が遅くなる恐れがある。
上記再利用可能な個体酸触媒を使用する場合については仕込むアニリン系化合物の量に対して、1~50wt%、好ましくは5~40wt%、より好ましくは10~30wt%である。固体酸の使用量が上記範囲より多い場合、反応溶液の流動性の確保が困難になり、固体酸の使用料が上記範囲より少ない場合、反応が十分に進行しない、または、反応時間が長くなる。
上記反応は必要によりトルエン、キシレンなどの有機溶剤を使用して行っても、無溶剤で行っても良い。例えば、アニリン系化合物、クロロメチル基を有するポリスチレン化合物、および溶剤の混合溶液に酸性触媒を添加した後、触媒が水を含む場合は共沸により水を系内から除く。しかる後に、40~180℃、好ましくは50~170℃で0.5~20時間反応を行う。その後、系内で発生する水や低分子量成分等を共沸脱水により除去しながら昇温して180~300℃、好ましくは190~250℃、より好ましくは、200℃~240℃で5~50時間、好ましくは5~20時間反応を行う。反応終了後、アルカリ水溶液で酸性触媒を中和後、油層に非水溶性有機溶剤を加えて廃水が中性になるまで水洗を繰り返す。前述の再利用可能な固体酸触媒を使用した場合は、濾過により触媒を除去する。
成分(B)の軟化点は80℃以下であることが好ましく、70℃以下であることがより好ましい。軟化点が80℃以下であるとマレイミド化した樹脂の粘度が高くなりすぎず、取り扱いが容易になる。
成分(B)は、下記式(2)として表すことができる。
Figure 2022176111000005
(式(2)中、R~Rは水素原子、炭素数1~10の炭化水素基、またはハロゲン化炭化水素基を表す。l、mは0~5の実数を表し、nは0~4の実数を表す。Nはそれぞれ独立して3~20の実数を表し、L、M、Oは、0~20の実数を表す。各繰り返し単位は記載の都合上特定の順で示しているが、各繰り返し位置はランダムでよい。)
成分(A)は成分(B)にマレイン酸またはマレイン酸無水物を溶剤、触媒の存在下に反応させて得られるが、例えば日本国特許第6429862号公報に記載の方法等を採用すればよい。その場合、反応中に生成する水を系内から除去する必要があるため、反応で使用する溶剤は非水溶性である。非水溶性の溶剤として、例えばトルエン、キシレンなどの芳香族溶剤、シクロヘキサン、n-ヘキサンなどの脂肪族溶剤、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノンなどのケトン系溶剤などが挙げられるがこれらに限定されるものではなく、2種以上を併用しても良い。また、前記非水溶性溶剤に加えて非プロトン性極性溶剤を併用することもできる。例えば、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、N-メチルピロリドンなどが挙げられ、2種以上を併用しても良い。非プロトン性極性溶剤を使用する場合は、併用する非水溶性溶剤よりも沸点の高いものを使用することが好ましい。触媒は特に限定されないが、p-トルエンスルホン酸、ヒドロキシ-p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、硫酸、リン酸等の酸性触媒が挙げられる。例えばマレイン酸をトルエンに溶解し、撹拌下、成分(B)以外のN-メチルピロリドン溶液を添加し、その後p-トルエンスルホン酸を加えて、還流条件下で生成する水を系内から除去しながら反応を行う。
成分(A)の軟化点は170℃以下が好ましく、140℃以下がより好ましい。軟化点が170℃以下であると、加熱溶解が行いやすく取り扱いが容易になる。希釈溶剤により粘度を下げることもできるが、溶剤を使用できる用途に使用が限定されるため好ましくない。
成分(A)は、重合禁止剤を含有してもよい。使用できる重合禁止剤としては、フェノール系、イオウ系、リン系、ヒンダートアミン系、ニトロソ系、ニトロキシルラジカル系等の重合禁止剤が挙げられる。重合禁止剤は、成分(A)を合成するときに添加しても、合成後に添加してもよい。また、重合禁止剤は単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。重合禁止剤の使用量は、樹脂成分100重量部に対して、通常0.008~1重量部、好ましくは0.01~0.5重量部である。これら重合禁止剤はそれぞれ単独で使用できるが、2種以上を組み合わせて併用しても構わない。本発明では、フェノール系、ヒンダートアミン系、ニトロソ系、ニトロキシルラジカル系が好ましい。
フェノール系重合禁止剤の具体例としては、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6-ジ-t-ブチル-p-エチルフェノール、ステアリル-β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、イソオクチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス[(オクチルチオ)メチル]-o-クレゾール、等のモノフェノール類;2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナマミド)、2,2-チオ-ジエチレンビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルフォスフォネート-ジエチルエステル、3,9-ビス[1,1-ジメチル-2-{β-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルスルホン酸エチル)カルシウム等のビスフェノール類;1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス-[メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’-ビス-(4’-ヒドロキシ-3’-t-ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、トリス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-イソシアヌレイト、1,3,5-トリス(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシベンジル)-S-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)トリオン、トコフェノール等の高分子型フェノール類が例示される。
イオウ系重合禁止剤の具体例としては、ジラウリル-3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチル-3,3’-チオジプロピオネート、ジステアリルル-3,3’-チオジプロピオネート等が例示される。
リン系重合禁止剤の具体例としては、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビ(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビ(2,4-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ホスファイト、ビス[2-t-ブチル-6-メチル-4-{2-(オクタデシルオキシカルボニル)エチル}フェニル]ヒドロゲンホスファイト等のホスファイト類;9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド、10-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド、10-デシロキシ-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド等のオキサホスファフェナントレンオキサイド類などが例示される。
ヒンダートアミン系重合禁止剤の具体例としては、アデカスタブLA-40MP、アデカスタブLA-40Si、アデカスタブLA-402AF、アデカスタブLA-87、デカスタブLA-82、デカスタブLA-81、アデカスタブLA-77Y、アデカスタブLA-77G、アデカスタブLA-72、アデカスタブLA-68、アデカスタブLA-63P、アデカスタブLA-57、アデカスタブLA-52、Chimassorb2020FDL、Chimassorb944FDL、Chimassorb944LD、Tinuvin622SF、TinuvinPA144、Tinuvin765、Tinuvin770DF、TinuvinXT55FB、Tinuvin111FDL、Tinuvin783FDL、Tinuvin791FB等が例示されるが、これに限定されない。
ニトロソ系重合禁止剤の具体例としては、p-ニトロソフェノール、N-ニトロソジフェニルアミン、N-ニトロソフェニルヒドロキシアミンのアンモニウム塩、(クペロン)等があげられ、好ましくは、N-ニトロソフェニルヒドロキシアミンのアンモニウム塩(クペロン)である。
ニトロキシルラジカル系重合禁止剤の具体例としては、TEMPO(2,2,6,6,-テトラメチルピペリジン 1-オキシル)フリーラジカル、4-ヒドロキシ-TEMPOフリーラジカル等が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の硬化性樹脂組成物は、成分(A)以外の硬化性樹脂として、公知のいかなる材料も用いることができる。具体的には、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アミン樹脂、活性アルケン含有樹脂、イソシアネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、シアネートエステル樹脂、プロペニル樹脂、メタリル樹脂、活性エステル樹脂などが挙げられ、1種類で用いても、複数併用してもよい。また、耐熱性、密着性、誘電特性のバランスから、エポキシ樹脂、活性アルケン含有樹脂、シアネートエステル樹脂を含有することが好ましい。これらの硬化性樹脂を含有することによって、硬化物の脆さの改善および金属への密着性を向上でき、はんだリフロー時や冷熱サイクルなどの信頼性試験におけるパッケージのクラックを抑制できる。
硬化性樹脂の使用量は、成分(A)に対して、好ましくは10質量倍以下、さらに好ましくは5質量倍以下、特に好ましくは3質量倍以下の質量範囲である。また、好ましい下限値は0.5質量倍以上、更に好ましくは1質量倍以上である。10質量倍以下であれば、成分(A)の耐熱性や誘電特性の効果を活かすことができる。
フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アミン樹脂、活性アルケン含有樹脂、イソシアネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、シアネートエステル樹脂、活性エステル樹脂としては、以下に例示するものを使用することができる。
フェノール樹脂:フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、芳香族置換フェノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、アルキル置換ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アルキルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド、フルフラール等)との重縮合物、フェノール類と各種ジエン化合物(ジシクロペンタジエン、テルペン類、ビニルシクロヘキセン、ノルボルナジエン、ビニルノルボルネン、テトラヒドロインデン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジイソプロペニルビフェニル、ブタジエン、イソプレン等)との重合物、フェノール類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等)との重縮合物、フェノール類と置換ビフェニル類(4,4’-ビス(クロルメチル)-1,1’-ビフェニル及び4,4’-ビス(メトキシメチル)-1,1’-ビフェニル等)、もしくは置換フェニル類(1,4-ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,4-ビス(メトキシメチル)ベンゼン及び1,4-ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン等)等との重縮合により得られるフェノール樹脂、ビスフェノール類と各種アルデヒドの重縮合物、ポリフェニレンエーテル。
エポキシ樹脂:前記のフェノール樹脂、アルコール類等をグリシジル化したグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、4-ビニル-1-シクロヘキセンジエポキシドや3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシラートなどを代表とする脂環式エポキシ樹脂、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(TGDDM)やトリグリシジル-p-アミノフェノールなどを代表とするグリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂。
アミン樹脂:ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ナフタレンジアミン、アニリンノボラック、オルソエチルアニリンノボラック、アニリンとキシリレンクロライドとの反応により得られるアニリン樹脂、日本国特許第6429862号公報に記載のアニリンと置換ビフェニル類(4,4’-ビス(クロルメチル)-1,1’-ビフェニル及び4,4’-ビス(メトキシメチル)-1,1’-ビフェニル等)、もしくは置換フェニル類(1,4-ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,4-ビス(メトキシメチル)ベンゼン及び1,4-ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン等)。
活性アルケン含有樹脂:前記のフェノール樹脂と活性アルケン含有のハロゲン系化合物(クロロメチルスチレン、アリルクロライド、メタリルクロライド、アクリル酸クロリド、アリルクロライド等)の重縮合物、活性アルケン含有フェノール類(2-アリルフェノール、2-プロペニルフェノール、4-アリルフェノール、4-プロペニルフェノール、オイゲノール、イソオイゲノール等)とハロゲン系化合物(4,4’-ビス(メトキシメチル)-1,1’-ビフェニル、1,4-ビス(クロロメチル)ベンゼン、4,4’-ジフルオロベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、4,4’-ジブロモベンゾフェノン、塩化シアヌル等)の重縮合物、エポキシ樹脂もしくはアルコール類と置換もしくは非置換のアクリレート類(アクリレート、メタクリレート等)の重縮合物、マレイミド樹脂(4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、ポリフェニルメタンマレイミド、m-フェニレンビスマレイミド、2,2’-ビス〔4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、3,3’-ジメチル-5,5’-ジエチル-4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、4-メチル-1,3-フェニレンビスマレイミド、4,4’-ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4’-ジフェニルスルフォンビスマレイミド、1,3-ビス(3-マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-マレイミドフェノキシ)ベンゼン)。
イソシアネート樹脂:p-フェニレンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、p-キシレンジイソシアネート、m-キシレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類;イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環構造のジイソシアネート類;イソシアネートモノマーの一種類以上のビュレット体又は、上記ジイソシアネート化合物を3量化したイソシアネート体等のポリイソシアネート;上記イソシアネート化合物とポリオール化合物とのウレタン化反応によって得られるポリイソシアネート。
ポリアミド樹脂:アミノ酸(6-アミノカプロン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸等)、ラクタム(ε-カプロラクタム、ω-ウンデカンラクタム、ω-ラウロラクタム)から選ばれた1種以上を主たる原料とした重合物;または、1種以上のジアミンと1種以上のジカルボン酸とを主たる原料とした重合物。
ジアミン:エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカンジアミン、ウンデカンジアミン、ドデカンジアミン、トリデカンジアミン、テトラデカンジアミン、ペンタデカンジアミン、ヘキサデカンジアミン、ヘプタデカンジアミン、オクタデカンジアミン、ノナデカンジアミン、エイコサンジアミン、2-メチル-1,5-ジアミノペンタン、2-メチル-1,8-ジアミノオクタンなどの脂肪族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、ビス-(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタンなどの脂環式ジアミン;キシリレンジアミンなどの芳香族ジアミン等。
ジカルボン酸:シュウ酸、マロン酸、スクシン酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、2-クロロテレフタル酸、2-メチルテレフタル酸、5-メチルイソフタル酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸;これらジカルボン酸のジアルキルエステル、およびジクロリド。
ポリイミド樹脂:前記のジアミンとテトラカルボン酸二無水物との重縮合物。
テトラカルボン酸二無水物:4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-3-メチル-シクロヘキセン-1,2ジカルボン酸無水物、ピロメリット酸二無水物、1,2,3,4-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、メチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,1-エチリデン-4,4’-ジフタル酸二無水物、2,2’-プロピリデン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,2-エチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,3-トリメチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,4-テトラメチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,5-ペンタメチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸二無水物 、チオ-4,4’-ジフタル酸二無水物、スルホニル-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,3-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ベンゼン二無水物、1,3-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,3-ビス[2-(3,4-ジカルボキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン二無水物、1,4-ビス[2-(3,4-ジカルボキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン二無水物、ビス[3-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]メタン二無水物、ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]メタン二無水物、2,2-ビス[3-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジメチルシラン二無水物、1,3-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8-フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物)、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン-1,2,4,5-テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、カルボニル-4,4’-ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)二無水物、メチレン-4,4’-ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)二無水物、1,2-エチレン-4,4’-ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)二無水物、1,1-エチリデン-4,4’-ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)二無水物、2,2-プロピリデン-4,4’-ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)二無水物、オキシ-4,4’-ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)二無水物、チオ-4,4’-ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)二無水物、スルホニル-4,4’-ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)二無水物、ビシクロ[2,2,2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、rel-[1S,5R,6R]-3-オキサビシクロ[3,2,1]オクタン-2,4-ジオン-6-スピロ-3’-(テトラヒドロフラン-2’,5’-ジオン)、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸無水物、エチレングリコール-ビス-(3,4-ジカルボン酸無水物フェニル)エーテル、4,4’-ビフェニルビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、9,9’-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物。
シアネートエステル樹脂:フェノール樹脂をハロゲン化シアンと反応させることにより得られるシアネートエステル化合物であり、具体例としては、ジシアナートベンゼン、トリシアナートベンゼン、ジシアナートナフタレン、ジシアンートビフェニル、2、2’-ビス(4-シアナートフェニル)プロパン、ビス(4-シアナートフェニル)メタン、ビス(3,5-ジメチル-4-シアナートフェニル)メタン、2,2’-ビス(3,5-ジメチル-4-シアナートフェニル)プロパン、2,2’-ビス(4-シアナートフェニル)エタン、2,2’-ビス(4-シアナートフェニル)ヘキサフロロプロパン、ビス(4-シアナートフェニル)スルホン、ビス(4-シアナートフェニル)チオエーテル、フェノールノボラックシアナート、フェノール・ジシクロペンタジエン共縮合物の水酸基をシアネート基に変換したもの等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
また、特開2005-264154号公報に合成方法が記載されているシアネートエステル化合物は、低吸湿性、難燃性、誘電特性に優れているためシアネートエステル化合物として特に好ましい。
シアネート樹脂は、必要に応じてシアネート基を三量化させてsym-トリアジン環を形成するために、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸銅、ナフテン酸鉛、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、鉛アセチルアセトナート、ジブチル錫マレエート等の触媒を含有させることもできる。触媒は、硬化性樹脂組成物の合計質量100質量部に対して通常0.0001~0.10質量部、好ましくは0.00015~0.0015質量部使用する。
活性エステル樹脂:エポキシ樹脂等、成分(A)以外の硬化性樹脂の硬化剤として1分子中に1個以上の活性エステル基を有する化合物を必要に応じて用いることができる。活性エステル系硬化剤としては、フェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N-ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が好ましい。当該活性エステル系硬化剤は、カルボン酸化合物及びチオカルボン酸化合物の少なくともいずれかの化合物と、ヒドロキシ化合物及びチオール化合物の少なくともいずれかの化合物との縮合反応によって得られるものが好ましい。特に、耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル系硬化剤が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物及びナフトール化合物の少なくともいずれかの化合物とから得られる活性エステル系硬化剤が好ましい。
カルボン酸化合物としては、例えば、安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
フェノール化合物又はナフトール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、カテコール、α-ナフトール、β-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物、フェノールノボラック等が挙げられる。ここで、「ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物」とは、ジシクロペンタジエン1分子にフェノール2分子が縮合して得られるジフェノール化合物をいう。
活性エステル系硬化剤の好ましい具体例としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物が挙げられる。中でも、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物がより好ましい。「ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造」とは、フェニレン- ジシクロペンチレン-フェニレンからなる2価の構造単位を表す。
活性エステル系硬化剤の市販品としては、例えば、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物として、「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「HPC-8000-65T」、「HPC-8000H-65TM」、「EXB-8000L-65TM」、「EXB-8150-65T」(DIC社製);ナフタレン構造を含む活性エステル化合物として「EXB9416-70BK」(DIC社製);フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物として「DC808」(三菱化学社製);フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物として「YLH1026」、「YLH1030」、「YLH1048」(三菱化学社製);フェノールノボラックのアセチル化物である活性エステル系硬化剤として「DC808」(三菱化学社製);リン原子含有活性エステル系硬化剤としてDIC社製の「EXB-9050L-62M」;等が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、さらに硬化促進剤(硬化触媒)を併用して硬化性を向上させることもできる。用い得る硬化促進剤の具体例として、オレフィン樹脂やマレイミド樹脂等のラジカル重合可能な硬化性樹脂の自己重合やその他の成分とのラジカル重合を促進する目的でラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。用い得るラジカル重合開始剤としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、過酸化ベンゾイル等のジアシルパーオキサイド類、ジクミルパーオキサイド、1,3-ビス-(t-ブチルパーオキシイソプロピル)-ベンゼン等のジアルキルパーオキサイド類、t-ブチルパーオキシベンゾエート、1,1-ジ-t-ブチルパーオキシシクロヘキサン等のパーオキシケタール類、α-クミルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルペルオキシピバレート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-アミルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-アミルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-アミルパーオキシベンゾエート等のアルキルパーエステル類、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、1,6-ビス(t-ブチルパーオキシカルボニルオキシ)ヘキサン等のパーオキシカーボネート類、t-ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t-ブチルパーオキシオクトエート、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物やアゾビスイソブチロニトリル、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物の公知の硬化促進剤が挙げられるが、これらに特に限定されるものではない。ケトンパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、アルキルパーエステル類、パーカーボネート類等が好ましく、ジアルキルパーオキサイド類がより好ましい。ラジカル重合開始剤の添加量としては、硬化性樹脂組成物の100質量部に対して0.01~5質量部が好ましく、0.01~3質量部が特に好ましい。用いるラジカル重合開始剤の量が多いと重合反応時に分子量が十分に伸長しない。
本発明の硬化性樹脂組成物は、必要に応じてラジカル重合開始剤以外の硬化促進剤を添加、または併用しても差し支えない。用い得る硬化促進剤の具体例としては2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール及び2-エチル-4-メチルイミダゾール等のイミダゾール類、2-(ジメチルアミノメチル)フェノールや1,8-ジアザ-ビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7等の第3級アミン類、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類、テトラブチルアンモニウム塩、トリイソプロピルメチルアンモニウム塩、トリメチルデカニルアンモニウム塩、セチルトリメチルアンモニウム塩、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシドなどの4級アンモニウム塩、トリフェニルベンジルフォスフォニウム塩、トリフェニルエチルフォスフォニウム塩、テトラブチルフォスフォニウム塩などの4級フォスフォニウム塩(4級塩のカウンターイオンはハロゲン、有機酸イオン、水酸化物イオンなど、特に指定は無いが、特に有機酸イオン、水酸化物イオンが好ましい。)、オクチル酸スズ、カルボン酸亜鉛(2-エチルヘキサン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ベヘン酸亜鉛、ミスチリン酸亜鉛)やリン酸エステル亜鉛(オクチルリン酸亜鉛、ステアリルリン酸亜鉛等)等の亜鉛化合物等の遷移金属化合物(遷移金属塩) 等が挙げられる。硬化促進剤の配合量は、エポキシ樹脂100に対して0.01~5.0重量部が必要に応じて用いられる。
さらに本発明の硬化性樹脂組成物には、リン含有化合物を難燃性付与成分として含有させることもできる。リン含有化合物としては反応型のものでも添加型のものでもよい。リン含有化合物の具体例としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシリレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、クレジル-2,6-ジキシリレニルホスフェート、1,3-フェニレンビス(ジキシリレニルホスフェート)、1,4-フェニレンビス(ジキシリレニルホスフェート)、4,4’-ビフェニル(ジキシリレニルホスフェート)等のリン酸エステル類;9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド、10(2,5-ジヒドロキシフェニル)-10H-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド等のホスファン類;エポキシ樹脂と前記ホスファン類の活性水素とを反応させて得られるリン含有エポキシ化合物、赤リン等が挙げられるが、リン酸エステル類、ホスファン類またはリン含有エポキシ化合物が好ましく、1,3-フェニレンビス(ジキシリレニルホスフェート)、1,4-フェニレンビス(ジキシリレニルホスフェート)、4,4’-ビフェニル(ジキシリレニルホスフェート)またはリン含有エポキシ化合物が特に好ましい。リン含有化合物の含有量は(リン含有化合物)/(全エポキシ樹脂)が0.1~0.6(重量比)の範囲であることが好ましい。0.1以下では難燃性が不十分であり、0.6以上では硬化物の吸湿性、誘電特性に悪影響を及ぼす懸念がある。
さらに本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて光安定剤を添加しても構わない。光安定剤としては、ヒンダートアミン系光安定剤(Hindered Amine Light Stabilizers、HALS)等が好適である。HALSとしては特に限定されるものではないが、代表的なものとしては、ジブチルアミン・1,3,5-トリアジン・N,N’―ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル-1,6-ヘキサメチレンジアミンとN-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、コハク酸ジメチル-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ〔{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}〕、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)〔{3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドリキシフェニル}メチル〕ブチルマロネート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1-オクチロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、2-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-n-ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)、等が挙げられる。HALSは1種のみが用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
さらに本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じてバインダー樹脂を配合することも出来る。バインダー樹脂としてはブチラール系樹脂、アセタール系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ-ナイロン系樹脂、NBR(nitrile butadiene rubber)-フェノール系樹脂、エポキシ-NBR系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、シリコーン系樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。バインダー樹脂の配合量は、硬化物の難燃性、耐熱性を損なわない範囲であることが好ましく、樹脂成分100質量部に対して0.05~50質量部であることが好ましく、さらに好ましくは0.05~20質量部が必要に応じて用いられる。
さらに、本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて溶融シリカ、結晶シリカ、多孔質シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、石英粉、炭化珪素、窒化珪素、窒化ホウ素、ジルコニア、窒化アルミニウム、グラファイト、フォルステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア、タルク、クレー、酸化鉄アスベスト、ガラス粉末等の粉体、またはこれらを球形状あるいは破砕状にした無機充填材を添加することができる。また、特に半導体封止用の硬化性樹脂組成物を得る場合、上記の無機充填材の使用量は硬化性樹脂組成物中、通常80~92質量%、好ましくは83~90質量%の範囲である。
さらに、本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて公知の添加剤を配合することが出来る。用いうる添加剤の具体例としては、ポリブタジエン及びこの変性物、アクリロニトリル共重合体の変性物、ポリフェニレンエーテル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリイミド、フッ素樹脂、シリコーンゲル、シリコーンオイル、シランカップリング剤のような充填材の表面処理剤、離型剤、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の着色剤が挙げられる。これら添加剤の配合量は、硬化性樹脂組成物100質量部に対して好ましくは1,000質量部以下、より好ましくは700質量部以下の範囲である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、上記各成分を所定の割合で均一に混合することにより得られ、通常130~180℃で30~500秒の範囲で予備硬化し、更に、150~200℃で2~15時間、後硬化することにより充分な硬化反応が進行し、本発明の硬化物が得られる。又、硬化性樹脂組成物の成分を溶剤等に均一に分散または溶解させ、溶媒を除去した後硬化させることもできる。
こうして得られる本発明の硬化性樹脂組成物は、耐湿性、耐熱性、高接着性を有する。従って、本発明の硬化性樹脂組成物は、耐湿性、耐熱性、高接着性の要求される広範な分野で用いることが出来る。具体的には、絶縁材料、積層板(プリント配線板、BGA用基板、ビルドアップ基板など)、封止材料、レジスト等あらゆる電気・電子部品用材料として有用である。又、成形材料、複合材料の他、塗料材料、接着剤、3Dプリンティング等の分野にも用いることが出来る。特に半導体封止においては、耐ハンダリフロー性が有益なものとなる。
半導体装置は本発明の硬化性樹脂組成物で封止されたものを有する。半導体装置としては、例えばDIP(デュアルインラインパッケージ)、QFP(クワッドフラットパッケージ)、BGA(ボールグリッドアレイ)、CSP(チップサイズパッケージ)、SOP(スモールアウトラインパッケージ)、TSOP(シンスモールアウトラインパッケージ)、TQFP(シンクワッドフラットパッケージ)等が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物の調製方法は特に限定されないが、各成分を均一に混合するだけでも、あるいはプレポリマー化してもよい。例えば本発明の硬化性樹脂を触媒の存在下または非存在下、溶剤の存在下または非存在下において加熱することによりプレポリマー化する。同様に、本発明の硬化性樹脂の他、エポキシ樹脂、アミン化合物、マレイミド系化合物、シアネートエステル化合物、フェノール樹脂、酸無水物化合物などの硬化剤及びその他添加剤を追加してプレポリマー化してもよい。各成分の混合またはプレポリマー化は溶剤の非存在下では例えば押出機、ニーダ、ロールなどを用い、溶剤の存在下では攪拌装置つきの反応釜などを使用する。
均一に混合する手法としては50~100℃の範囲内の温度でニーダ、ロール、プラネタリーミキサー等の装置を用いて練りこむように混合し、均一な樹脂組成物とする。得られた樹脂組成物は粉砕後、タブレットマシーン等の成型機で円柱のタブレット状に成型、もしくは顆粒状の粉体、もしくは粉状の成型体とする、もしくはこれら組成物を表面支持体の上で溶融し0.05mm~10mmの厚みのシート状に成型し、硬化性樹脂組成物成型体とすることもできる。得られた成型体は0~20℃でべたつきのない成型体となり、-25~0℃で1週間以上保管しても流動性、硬化性がほとんど低下しない。
得られた成型体についてトランスファー成型機、コンプレッション成型機にて硬化物に成型することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物に有機溶剤を添加してワニス状の組成物(以下、単にワニスという。)とすることもできる。本発明の硬化性樹脂組成物を必要に応じてトルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等の溶剤に溶解させてワニスとし、ガラス繊維、カーボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維、紙などの基材に含浸させて加熱乾燥して得たプリプレグを熱プレス成形することにより、本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物とすることができる。この際の溶剤は、本発明の硬化性樹脂組成物と該溶剤の混合物中で通常10~70重量%、好ましくは15~70重量%を占める量を用いる。また液状組成物であれば、そのまま例えば、RTM(Resin Transfer Molding)方式でカーボン繊維を含有する硬化性樹脂硬化物を得ることもできる。
また、本発明の硬化性組成物をフィルム型組成物の改質剤としても使用できる。具体的にはB-ステージにおけるフレキ性等を向上させる場合に用いることができる。このようなフィルム型の樹脂組成物は、本発明の硬化性樹脂組成物を前記硬化性樹脂組成物ワニスとして剥離フィルム上に塗布し、加熱下で溶剤を除去した後、Bステージ化を行うことによりシート状の接着剤として得られる。このシート状接着剤は多層基板などにおける層間絶縁層として使用することが出来る。
本発明の硬化性樹脂組成物は、加熱溶融し、低粘度化してガラス繊維、カーボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維などの強化繊維に含浸させることによりプリプレグを得ることができる。その具体例としては、例えば、Eガラスクロス、Dガラスクロス、Sガラスクロス、Qガラスクロス、球状ガラスクロス、NEガラスクロス、及びTガラスクロス等のガラス繊維、更にガラス以外の無機物の繊維やポリパラフェニレンテレフタラミド(ケブラー(登録商標)、デュポン株式会社製)、全芳香族ポリアミド、ポリエステル;並びに、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール、ポリイミド及び炭素繊維などの有機繊維が挙げられるが、これらに特に限定されない。基材の形状としては、特に限定されないが、例えば、織布、不織布、ロービング、チョップドストランドマットなどが挙げられる。また、織布の織り方としては、平織り、ななこ織り、綾織り等が知られており、これら公知のものから目的とする用途や性能により適宜選択して使用することができる。また、織布を開繊処理したものやシランカップリング剤などで表面処理したガラス織布が好適に使用される。基材の厚さは、特に限定されないが、好ましくは0.01~0.4mm程度である。また、前記ワニスを、強化繊維に含浸させて加熱乾燥させることによりプリプレグを得ることもできる。
本実施形態の積層板は、上記プリプレグを1枚以上備える。積層板はプリプレグを1枚以上備えるものであれば特に限定されず、他のいかなる層を有していてもよい。積層板の製造方法としては、一般に公知の方法を適宜適用でき、特に限定されない。例えば、金属箔張積層板の成形時には多段プレス機、多段真空プレス機、連続成形機、オートクレーブ成形機などを用いることができ、上記プリプレグ同士を積層し、加熱加圧成形することで積層板を得ることができる。このとき、加熱する温度は、特に限定されないが、65~300℃が好ましく、120~270℃がより好ましい。また、加圧する圧力は、特に限定されないが、加圧が大きすぎると積層板の樹脂の固形分調整が難しく品質が安定せず、また、圧力が小さすぎると、気泡や積層間の密着性が悪くなってしまうため2.0~5.0MPaが好ましく、2.5~4.0MPaがより好ましい。本実施形態の積層板は、金属箔からなる層を備えることにより、後述する金属箔張積層板として好適に用いることができる。
上記プリプレグを所望の形に裁断、必要により銅箔などと積層後、積層物にプレス成形法やオートクレーブ成形法、シートワインディング成形法などで圧力をかけながら硬化性樹脂組成物を加熱硬化させることにより電気電子用積層板(プリント配線板)や、炭素繊維強化材を得ることができる。
本発明の硬化物は成型材料、接着剤、複合材料、塗料など各種用途に使用できる。本発明記載の硬化性樹脂組成物の硬化物は優れた耐熱性と誘電特性を示すため、半導体素子用封止材、液晶表示素子用封止材、有機EL素子用封止材、プリント配線基板、ビルドアップ積層板等の電気・電子部品や炭素繊維強化プラスチック、ガラス繊維強化プラスチック等の軽量高強度構造材用複合材料に好適に使用される。
次に本発明を実施例により更に具体的に説明する。以下、特に断わりのない限り、部は重量部である。尚、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
以下に実施例で用いた各種分析方法について記載する。
<重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)>
ポリスチレン標準液を用いてポリスチレン換算により算出した。
GPC:DGU-20A3R,LC-20AD,SIL-20AHT,RID-20A,SPD-20A,CTO-20A,CBM-20A(いずれも島津製作所製)
カラム:Shodex KF-603、KF-602x2、KF-601x2)
連結溶離液:テトラヒドロフラン
流速:0.5ml/min.
カラム温度:40℃
検出:RI(示差屈折検出器)
<アミン当量>
JIS K-7236 付属書Aに記載された方法に準拠
[合成例1]N-ヒドロキシメチルマレイミド(MI-OH)の合成
3Lの三つ口フラスコ中、室温でホルマリン414.29g(1.11mol)にマレイミド97.07g(5.15mol)を分散させながら、5重量%NaOH15.31mlを滴下漏斗を用い、30分かけて添加した。その後、すべての固体が完全に溶解するまで撹拌したのち、再結晶を開始、さらに氷水につけ再結晶を継続した。十分に結晶が析出したところで、濾過、冷水で洗浄し、乾燥することで60.4gのN-ヒドロキシメチルマレイミド(MI-OH)を得た。
[合成例2]N-クロロメチルマレイミド(MI-Cl)の合成
撹拌子を備えた乾燥させた5Lの丸底フラスコに、合成例1で得られたMI-OH288.2g(1当量)、アセトン1441mLを加え溶解した。その後、フラスコを氷浴に入れ、窒素雰囲気下、撹拌しながら注射器を用いて三塩化リン124.6g(0.4当量)を加え、N下、0℃で反応を行い、TLC(1:1ヘキサン/酢酸エチル)によって原料が観察されなくなるまで1.5時間反応を行った。得られた反応混合物から減圧下でロータリーエバポレータを用いてアセトンを留去していき、系内に黄色の結晶が現れた段階で停止し、得られた濃縮液を氷水2000gにあけることで結晶を析出させた。その後、析出した結晶を濾過し、冷水1441gで洗浄することで酸性の不純物を洗い流した。得られた結晶をさらに、トルエン:ヘキサンの1:1溶液200gで再結晶化させ、濾過、真空下35℃で16時間乾燥させ、219gのN-クロロメチルマレイミド(MI-Cl)を得た。得られたN-クロロメチルマレイミド(MI-Cl)の純度は88%であった。得られた化合物のH-NMRチャートを図1に示す。なお、以降、ポリマーのアルキル化反応に使用する前に、結晶を真空下で3~4時間乾燥させた後、反応に用いた。
[合成例3]スチレン-ノルボルネンコポリマー(SNC)の合成
撹拌子、エアフリーアダプターを備えた250ml丸底フラスコに、ノルボルネン12g(1当量)、スチレン108g(1当量)、二塩化ニッケル触媒0.152g(0.001当量)及びトルエン200ml加え溶解させた。得られた懸濁液に窒素を15分間吹き込み、0℃に冷却した。
そこにエチルアルミニウムジクロリドの25wt%トルエン溶液を1.287g(0.002当量)加え、室温で4時間撹拌した。得られたポリマー溶液をろ過し、さらにメタノール2000g中に攪拌しながら再沈殿させた。得られたポリマー粉末をメタノール200gで洗浄し、次に真空オーブン内で50℃24時間乾燥させて、スチレン-ノルボルネンコポリマーを白色粉末として112g得た。DSCによるTgは85℃であり、GPC分析による分子量は、Mn=3800g/mol、Mw=4900g/molであった。
[実施例1]M-1の合成
撹拌子を備えた3つ口フラスコを加熱した後、窒素存在下に冷却を行い、系内を窒素置換した後、(ポリ(スチレン-co-α-メチルスチレン)、Aldrich製)100g(1当量)、ジクロロメタン12000mLを加え、完全に溶解した。ここに合成例2で得られたMI-Clを48.91g(0.35当量)とトリクロロインジウム21.24g(0.1当量)の混合物を窒素存在下に仕込み、その後、40℃に昇温し、窒素雰囲気下のまま18時間撹拌させた。反応終了後、得られた反応混合物を高純度シリカゲル(粒径:63~200μm、平均孔径:60Å)200gのショートカラムに通液し、得られた溶液をロータリーエバポレータにて溶液が800mLになるまで濃縮した。得られた濃縮液をあらかじめ用意した10Lのメタノールに注ぎ、再沈殿を行った。析出した沈殿物をろ過により捕集し、メタノールで洗浄後、真空オーブンで45℃24時間乾燥させて、本発明のマレイミド樹脂(M-1)76gを得た。得られた化合物のH-NMRチャートを図2に示す。H-NMRよりマレイミド基が26mol%含有していることを確認した。
[実施例2]M-2の合成
撹拌子を備えた三口2Lフラスコを窒素下で加熱および冷却した。フラスコに、2-ノルボルネンユニットが12mol%含む合成例3で得られたSNC80g(1当量)をジクロロメタン800mlに完全に溶解するまで攪拌しながら入れた。そこに合成例2で得られたMI-Clを39.35g(0.4当量)および三塩化インジウム14.95g(0.1当量)を入れ、フラスコ内に窒素を充填した。フラスコの内部温度を40℃に上げ、窒素雰囲気下で18時間撹拌してアルキル化を完了させた。ポリマー生成物を過剰のメタノール(2.5L)の攪拌容器に沈殿させ、ろ過した。得られたポリマー粉末をメタノールで洗浄し、次に真空オーブン内で50℃24時間乾燥させて、本発明のマレイミド樹脂(M-2)を白色粉末63gとして得た。GPC分析による分子量は、Mn=3800g/mol、Mw=4900g/molであった。得られた化合物のH-NMRチャートを図3に示す。
得られたマレイミド樹脂10gと熱ラジカル開始剤としてLuperox101(Aldrich製)0.1gをトルエンに溶解して30gのサンプルが得た。そのワニスをフィルムにキャストし、内部温度115℃のオーブンで5分間溶媒を除去しました。得られたBステージフィルムをDSCで分析したところ、BステージフィルムのTgは69℃であった。さらに200℃1時間で硬化後のCステージフィルムのTgは226℃であった。GPC分析による分子量は、Mn=3800g/mol、Mw=4900g/molであった。
[実施例1、2、比較例1、2]
表1に記載材料を所定の割合(質量部)で配合し、金属容器中で加熱溶融混合してそのまま金型に流し込み、220℃で2時間硬化させた。測定結果を表1に示す。
・M-1:前記式(1)で表され、Rはメチル基、Rはメチル基又は水素原子、Rはメチル基又は水素原子、R~Rは水素原子を表し、L、M、Nはそれぞれ1~20であり、Oが0である化合物。
・M-2:前記式(1)で表され、Rはメチル基、Rはメチル基又は水素原子、Rはメチル基又は水素原子、R~Rは水素原子を表し、L、M、N、Oはそれぞれ1~20である化合物。
・SA-9000:ポリフェニレンエーテル化合物(SABIC社製)
・ポリスチレン:アルドリッチ社製、Mw=280,000
・DCP:ジクミルパーオキサイド(化薬ヌーリオン社製)
・TOPAS 5013:シクロオレフィン樹脂(ポリプラスチック社製)
<耐熱性試験>
・ガラス転移温度:動的粘弾性試験機により測定し、tanδ(=損失弾性率/貯蔵弾性率)が最大値のときの温度。
動的粘弾性測定器:TA-instruments製DMA-2980
測定温度範囲:-30~280℃
昇温速度:2℃/分
周波数:10Hz
試験片サイズ:5mm×50mmに切り出した物を使用した(厚みは約800μm)
<誘電率試験・誘電正接試験>
・株式会社AET製の1GHz空洞共振器を用いて、空洞共振器摂動法にてテストを行った。サンプルサイズは幅1.7mm×長さ100mmとし、厚さは1.7mmで試験を行った。
・さらに、サンプルを150℃環境下で500時間放置し、室温まで冷却したのち、同様に空洞共振器摂動法にてテストを行った。
Figure 2022176111000006

表1より、実施例3、4は耐熱性、誘電特性に優れることが確認された。とくに、実施例3については、150℃で500時間放置後も誘電率変化はほとんどないことが確認された。
本発明の化合物は、電気電子部品用絶縁材料(高信頼性半導体封止材料など)及び積層板(プリント配線板、BGA用基板、ビルドアップ基板など)、接着剤(導電性接着剤など)やCFRPを始めとする各種複合材料用、塗料、3Dプリンティング等の用途に有用である。

Claims (8)

  1. 下記式(a)、(b)、(c)、(d)の繰り返し単位を持つマレイミド樹脂。
    Figure 2022176111000007

    (上記式中、R~Rは水素原子、炭素数1~10の炭化水素基、またはハロゲン化炭化水素基を表す。l、mは0~5の実数を表し、nは0~4の実数を表す。Nはそれぞれ独立して1~20の実数を表し、L、M、Oは、0~20の実数を表す。(a)、(b)、(c)、(d)はそれぞれ*で結合され、繰り返し位置はランダムでよい。)
  2. 上記式(a)、(b)、(c)中、Rがメチル基、Rがメチル基または水素原子、Rがメチル基または水素原子である請求項1に記載のマレイミド樹脂。
  3. 上記式(d)中、Oが0である請求項1に記載のマレイミド樹脂。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載のマレイミド樹脂を含有する硬化性樹脂組成物。
  5. さらに、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のマレイミド樹脂以外の硬化性樹脂を含有する請求項4に記載の硬化性樹脂組成物。
  6. さらに、硬化促進剤を含有する請求項4に記載の硬化性樹脂組成物。
  7. 請求項1に記載のマレイミド樹脂を硬化して得られる硬化物。
  8. 請求項4に記載の硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物。
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