JP2023015005A - 硬化性樹脂組成物、プリプレグおよびその硬化物 - Google Patents

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政隆 中西
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Abstract

【課題】本発明は、優れた耐熱性、機械特性、寸法安定性、誘電特性を示す硬化性樹脂組成物及びその硬化物を提供する。【解決手段】下記式(1)で表されるマレイミド化合物(A)と、不飽和二重結合を有するポリフェニレンエーテル化合物(B)と、不飽和二重結合を有する硬化剤及び熱可塑性樹脂からなる群より選ばれる1種以上の化合物(C)と、を含有し、成分(A)の重量を成分(B)の重量で除した値Xが0.5<X<2.5、成分(C)の重量を成分(A)の重量で除した値Yが0.1<Y<1.0である硬化性樹脂組成物。TIFF2023015005000009.tif37166(式(1)中、nは繰り返し数であり、その平均値は1<n<5である。)【選択図】なし

Description

本発明は、特定の構成を有する硬化性樹脂組成物、及びその硬化物に関するものであり、半導体封止材、プリント配線基板、ビルドアップ積層板などの電気・電子部品、炭素繊維強化プラスチック、ガラス繊維強化プラスチックなどの軽量高強度材料、3Dプリンティング用途に好適に使用される。
近年、電気・電子部品を搭載する積層板はその利用分野の拡大により、要求特性が広範かつ高度化している。従来の半導体チップは金属製のリードフレームに搭載することが主流であったが、中央処理装置(以下、CPUと表す。)などの処理能力の高い半導体チップは高分子材料で作られる積層板に搭載されることが多くなってきている。
特にスマートフォンなどに使用されている半導体パッケージ(以下、PKGと表す。)では小型化、薄型化および高密度化の要求に応えるために、PKG基板の薄型化が求められているが、PKG基板が薄くなると剛性が低下するため、PKGをマザーボード(PCB)に半田実装する際の加熱によって、大きな反りが発生するなど不具合が発生する。これを低減するために半田実装温度以上の高TgのPKG基板材料が求められている。
加えて、現在開発が加速している第5世代通信システム「5G」では、さらなる大容量化と高速通信が進むことが予想されている。低誘電正接材料のニーズがますます高まってきており、少なくとも10GHzで0.005以下の誘電正接が求められている。
更に、自動車分野においては電子化が進み、エンジン駆動部付近に精密電子機器が配置されることもあるため、より高水準での耐熱性、耐湿性が求められる。電車やエアコン等にはSiC半導体が使用され始めており、半導体素子の封止材には極めて高い耐熱性が要求される。
また、近年、三次元造形の手法として3Dプリンティングが注目されており、航空・宇宙、車、さらにそれらに使用される電子部品のコネクタといった信頼性が求められる分野において、この3Dプリンティングの手法が適用され始めている。特に、光硬化系、熱硬化系の樹脂はステレオリソグラフィ(SLA)やデジタル・ライト・プロセッシング(DLP)に代表される用途での検討が進んでいる。そのため、従来の金型から転写する方式では、形状の安定性、正確性が主に求められていたが、3Dプリンティング用途では、耐熱性、機械特性、強靭性、難燃性、吸湿性、さらには電気特性と言った様々な特性が求められ、その材料開発が進められている。
このような背景を受けて、耐熱性や低誘電正接特性等を有する高分子材料が検討されている。例えば、特許文献1ではマレイミド樹脂とプロペニル基含有フェノール樹脂を含む組成物が提案されている。しかしながら、一方で硬化反応時に反応に関与しないフェノール性水酸基が残存するため、電気特性が十分とは言えない。また特許文献2では水酸基をアリル基で置換したアリルエーテル樹脂が開示されている。しかしながら、190℃においてクライゼン転位が起こることが示されており、一般的な基板の成型温度である200℃においては、硬化反応に寄与しないフェノール性水酸基が生成することから電気特性を満足できるものではない。
特開平04-359911号公報 国際公開2016/002704号
本発明は、このような状況を鑑みてなされたものであり、優れた耐熱性、機械特性、寸法安定性、誘電特性を示す硬化性樹脂組成物及びその硬化物を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究した結果、本発明を完成させるに至った。すなわち本発明は、下記[1]~[10]に関する。なお、本願において「(数値1)~(数値2)」は上下限値を含むことを示す。
[1]
下記式(1)で表されるマレイミド化合物(A)と、不飽和二重結合を有するポリフェニレンエーテル化合物(B)と、不飽和二重結合を有する硬化剤及び熱可塑性樹脂からなる群より選ばれる1種以上の化合物(C)と、を含有し、成分(A)の重量を成分(B)の重量で除した値Xが0.5<X<2.5、成分(C)の重量を成分(A)の重量で除した値Yが0.1<Y<1.0である硬化性樹脂組成物。
Figure 2023015005000001
(式(1)中、nは繰り返し数であり、その平均値は1<n<5である。)
[2]
前記Xが0.5<X<2.0である前項[1]に記載の硬化性樹脂組成物。
[3]
前記成分(B)が(メタ)アクリル基を有するポリフェニレンエーテル化合物である前項[1]または[2]に記載の硬化性樹脂組成物。
[4]
前記成分(B)が下記式(2)で表される前項[1]または[2]に記載の硬化性樹脂組成物。
Figure 2023015005000002
(式(2)中、nは繰り返し数であり、その平均値は1<n<10である。)
[5]
前記不飽和二重結合を有する硬化剤が、ポリブタジエン樹脂、ポリブタジエン共重合体樹脂、エラストマーブロック共重合体からなる群より選ばれる1種以上である、前項[1]乃至[4]のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
[6]
前記ポリブタジエン共重合体樹脂が、ポリブタジエン-スチレン共重合体樹脂、ポリブタジエン-スチレン-ジビニルベンゼングラフト共重合体樹脂、無水マレイン酸変性スチレン-ブタジエン共重合体樹脂、及びアクリル酸エステル変性スチレン-ブタジエン共重合体樹脂からなる群より選ばれる1種以上である、前項[5]に記載の硬化性樹脂組成物。
[7]
さらに硬化促進剤を含有する前項[1]乃至[6]のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
[8]
前項[1]乃至[7]のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物をシート状の繊維基材の保持したプリプレグ。
[9]
前項[1]乃至[7]のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物。
[10]
前項[8]に記載のプリプレグを硬化して得られる硬化物。
本発明の硬化性樹脂組成物は、優れた耐熱性、機械特性、寸法安定性、誘電特性を有する。そのため、電気電子部品の封止や、炭素繊維複合材、回路基板、特にパッケージ基板向け材料などに有用である。
合成例1のGPCチャートである。 合成例2のGPCチャートである。
本発明の硬化性樹脂組成物について、以下に説明する。
本発明の硬化性樹脂組成物は、下記式(1)で表されるマレイミド化合物(以下、成分(A)とも称する。)を含有する。
Figure 2023015005000003
(式(1)中、nは繰り返し数であり、その平均値は1<n<5である)
前記式(1)中、nの値はマレイミド樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、検出器:RI)の測定により求められた数平均分子量の値、あるいは分離したピークの各々の面積比から算出することができる。
前記式(1)中、n=1の場合、溶剤への溶解性が低く、またnが5以上の場合、成型時のフロー性が悪くなり、硬化物としての特性が十分発揮できない。
成分(A)は分子量分布を有することが好ましく、前記式(1)中、n=1体のGPC分析(RI)による含有量は98面積%以下であることが好ましく、より好ましくは20~90面積%、さらに好ましくは30~80面積%、特に好ましくは40~80面積%の範囲である。n=1体の含有量が98面積%以下であると、耐熱性が良好となる。また結晶性が低下し、溶剤溶解性が良好となる。一方、n=1体の下限値が20面積%以上であると樹脂溶液の粘度が低下し、含浸性が良好となる。また固体として取り出す際に低温で溶剤を除去できるため、自己重合が起こりづらく取り扱いが容易となる。
成分(A)はマレイミド基に対する配向性が異なる非対称構造の割合を多くすることで溶剤溶解性が良好となり、またその硬化物において誘電特性を向上させることができる。前記式(1)のn=1体中の配向比はHPLC分析(225nm)から求めることができ、オルト-パラ体はn=1体総量中30面積%以上60面積%未満であることが好ましく、35面積%以上55面積%未満であることがさらに好ましく、40面積%以上55面積%未満が特に好ましい。
成分(A)の軟化点は50℃~150℃であることが好ましく、より好ましくは80℃~120℃であり、更に好ましくは90℃~120℃、特に好ましくは95℃~120℃である。また、150℃での溶融粘度は0.05~100Pa・s、好ましくは0.1~40Pa・sである。
以下、成分(A)の製造方法について説明するが、本製法に限定されるものではない。
[芳香族アミン樹脂の製造方法]
成分(A)は、前駆体として下記式(3)で表される芳香族アミン樹脂を用いることができる。
Figure 2023015005000004
(式(3)中、nは繰り返し数であり、その平均値は1<n<5である。)
前記式(3)で表される芳香族アミン樹脂の製法は特に限定されるものではなく、例えば、特許文献5では、アニリンとm-ジイソプロペニルベンゼンまたはm-ジ(α-ヒドロキシイソプロピル)ベンゼンとを、酸性触媒の存在下で180~250℃で反応させることにより前記式(3)におけるn=1体が主成分として得られる。n=1体の中には1,3-ビス(p-アミノクミル)ベンゼン、1,3-ビス(o-アミノクミル)ベンゼンのようなアニリン2分子に対しての配向性が同じである対称構造の化合物や、1-(o-アミノクミル)-3-(p-アミノクミル)ベンゼンのようなアニリン2分子に対しての配向性が異なった非対称構造の化合物の3つの異性体が含まれている。さらに、副成分としてn=2~5体も生成されるが、特許文献5ではこれらを晶析により精製して純度98%の1,3-ビス(p-アミノクミル)ベンゼンを得ている。また、特許文献6では1,3-ビス(p-アミノクミル)ベンゼンをマレイミド化してN,N’-(1,3-フェニレン-ジ-(2,2-プロピリデン)-ジ-p-フェニレン)ビスマレイミドを合成して結晶の生成物を得ているが、これを溶剤に溶解するためには加熱が必要であり、加熱後に室温で放置すると数時間で結晶が析出してしまう。そのため、樹脂組成物を調整する場合も結晶が析出する可能性があり、N,N’-(1,3-フェニレン-ジ-(2,2-プロピリデン)-ジ-p-フェニレン)ビスマレイミドの濃度が高まるほど結晶化の可能性が高くなる。プリント配線板や複合材を作成するために、ガラスクロスや炭素繊維をワニスに含浸させて樹脂を付着させるが、結晶が析出してしまうと含浸作業が不可能となり、一方溶解状態を保つために温度を上げると組成物の反応が早まってしまい、ワニスの可使時間が短くなってしまう。
前記式(3)で表される芳香族アミン樹脂を合成する際、用いられる酸性触媒は、塩酸、燐酸、硫酸、蟻酸、塩化亜鉛、塩化第二鉄、塩化アルミニウム、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の酸性触媒等が挙げられる。本発明においては塩酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸などのプロトン酸が好ましい。これらは単独でも二種以上併用しても良い。触媒の使用量は、使用されるアニリン100重量%に対して、好ましくは1~12重量%、さらに好ましくは1~10重量%、特に好ましくは1~7重量%であり、12重量%より多いと目的とする非対称構造の化合物が少なく、対称構造を有する化合物が優先してできてしまう。一方、1%未満であると反応の進行が遅くなるだけでなく、反応が完結できない場合もあることから好ましくない。
反応は必要によりトルエン、キシレンなどの有機溶剤を使用して行っても、無溶剤で行っても良い。例えば、アニリンと溶剤の混合溶液に酸性触媒を添加した後、触媒が水を含む場合は共沸により水を系内から除くことが好ましい。しかる後にジイソプロペニルベンゼンまたはジ(α-ヒドロキシイソプロピル)ベンゼンを添加し、その後溶剤を系内から除きながら昇温して140~190℃、好ましくは160~190℃で5~50時間、好ましくは5~30時間反応を行う。反応温度が高すぎる場合、非対称構造が生成後に再結合し、対象構造が優先してできてしまうことで、目的とする溶剤溶解性、電気特性を発揮できない。ジ(α-ヒドロキシイソプロピル)ベンゼンを使用した時には水が副生されるため、昇温時に溶剤と共沸させながら系内から除去する。反応終了後、アルカリ水溶液で酸性触媒を中和後、油層に非水溶性有機溶剤を加えて廃水が中性になるまで水洗を繰り返したのち、溶剤および過剰のアニリン誘導体を加熱減圧下において除去する。活性白土やイオン交換樹脂を用いた場合は、反応終了後に反応液を濾過して触媒を除去する。
また、反応温度や触媒の種類によってはジフェニルアミンが副生するため必要に応じて除去することは好ましい。高温・高真空下で、もしくは水蒸気蒸留等の手段を用いて、ジフェニルアミン誘導体を1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.2重量%以下まで除去する。
[マレイミド樹脂の製造方法]
成分(A)は、上記工程により得られる前記式(3)で表される芳香族アミン樹脂と、マレイン酸または無水マレイン酸(以下、「マレイン酸無水物」ともいう。)を溶剤、触媒の存在下に付加もしくは脱水縮合反応させることで得られる。
反応で使用する溶剤は反応中に生成する水を系内から除去する必要があるため、非水溶性の溶剤を使用することが好ましい。例えばトルエン、キシレンなどの芳香族溶剤、シクロヘキサン、n-ヘキサンなどの脂肪族溶剤、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノンなどのケトン系溶剤などが挙げられるがこれらに限定されるものではなく、2種以上を併用しても良い。
また、前記非水溶性溶剤に加えて非プロトン性極性溶剤を併用することもできる。例えば、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、N-メチル-2-ピロリドンなどが挙げられ、2種以上を併用しても良い。非プロトン性極性溶剤を使用する場合は、併用する非水溶性溶剤よりも沸点の高いものを使用することが好ましい。
また、反応で使用する触媒は酸性触媒であり、特に限定されないが、例えば、p-トルエンスルホン酸、ヒドロキシ-p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、硫酸、リン酸等が挙げられる。酸触媒の使用量は、芳香族アミン樹脂に対して通常0.1~10重量%、好ましくは1~5重量%である。
例えば、トルエンとN-メチル-2-ピロリドンに前記式(3)で表される芳香族アミン樹脂を溶解し、そこへマレイン酸無水物を添加してアミック酸を生成し、その後p-トルエンスルホン酸を加えて、還流条件下で生成する水を系内から除去しながら反応を行う。
または、マレイン酸無水物をトルエンに溶解し、撹拌下で前記式(3)で表される芳香族アミン樹脂のN-メチル-2-ピロリドン溶液を添加してアミック酸を生成し、その後p-トルエンスルホン酸を加えて、還流条件下で生成する水を系内から除去しながら反応を行う。
または、マレイン酸無水物をトルエンに溶解し、p-トルエンスルホン酸を加え、撹拌・還流状態において前記式(3)で表される芳香族アミン樹脂のN-メチル-2-ピロリドン溶液を滴下しながら、途中で共沸してくる水は系外へ除き、トルエンは系内へ戻しながら反応を行う(以上、第一段反応)。
いずれの方法においても、マレイン酸無水物は前記式(3)で表される芳香族アミン樹脂のアミノ基に対して、通常1.0~3.0倍当量、好ましくは1.2~2.0倍当量使用する。
未閉環のアミック酸を少なくするためには、上記に列記したマレイミド化反応後に反応溶液に水を加え、樹脂溶液層と水層に分離させ、過剰のマレイン酸や無水マレイン酸、非プロトン性極性溶媒、触媒などは水層側に溶解しているので、これを分液除去し、さらに同様の操作を繰り返して過剰のマレイン酸や無水マレイン酸、非プロトン性極性溶媒、触媒の除去を徹底する。過剰のマレイン酸や無水マレイン酸、非プロトン性極性溶媒、触媒が除去された有機層のマレイミド樹脂溶液に触媒を再度添加して加熱還流条件下での残存アミック酸の脱水閉環反応を再度行うことにより酸価が低いマレイミド樹脂溶液が得られる(以上、第二段反応)。
再脱水閉環反応の時間は通常1~5時間、好ましくは1~3時間であり、必要により前述の非プロトン性極性溶剤を添加しても良い。反応終了後、冷却して、水洗水が中性になるまで水洗を繰り返す。その後、加熱減圧下において水を共沸脱水で除いてから、溶剤を留去したり、別の溶剤を加えたりして所望の濃度の樹脂溶液に調整しても良いし、溶剤を完全に留去して固形の樹脂として取り出しても良い。
成分(A)の含有量は硬化性樹脂組成物総量中0.01~90質量%であることが好ましく、10~80質量%がより好ましく、20~70質量%であることがさらに好ましい。含有量が少なすぎると耐熱性等が低下する傾向があり、多すぎると硬化物が脆すぎる傾向がある。
本発明の硬化性樹脂組成物は、不飽和二重結合を有するポリフェニレンエーテル化合物(以下、成分(B)とも称する。)を含有する。
成分(B)は不飽和二重結合及びポリフェニレンエーテル構造を有するものであれば特に限定されない。また、成分(B)は単独で用いても複数種用いても構わない。成分(B)中の不飽和二重結合としては、(メタ)アクリル基、スチレン基、アリル基、ビニル基、メタリル基を挙げることができ、(メタ)アクリル基であることが好ましい。市販品としては、下記式(2)で表されるSA-9000-111(Sabic社製、メタクリル基を有するポリフェニレンエーテル化合物)やOPE-2St 1200(三菱瓦斯化学社製、スチレン基を有するポリフェニレンエーテル化合物)などが挙げられる。特に、誘電特性の観点から下記式(2)で表される化合物が好ましい。
Figure 2023015005000005
(式(2)中、nは繰り返し数であり、その平均値は1<n<10である)
成分(B)の重量平均分子量(Mw)は、500~5000であることが好ましく、2000~5000であることがより好ましく、2000~4000であることがさらに好ましい。分子量が500以上であると硬化物の耐熱性が向上する。分子量が5000以下であると溶融粘度が低くなり、充分な流動性を得ることができ、成形性が良好となる。また、反応性が向上するため、硬化時間を短くすることができ、硬化物の耐熱性も向上する。重量平均分子量は、具体的には、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー等を用いて測定することができる。
成分(B)は、ポリフェニレンエーテル化合物をメタクリルクロリド、アクリルクロリド、クロロメチルスチレン等の不飽和二重結合を有する化合物と反応させることでラジカル重合性能を付与することができる。
ポリフェニレンエーテル化合物は重合反応により得られたものであっても、重量平均分子量10000~30000の高分子量のポリフェニレンエーテル化合物を再分配反応させて得られたものであってもよい。再分配反応は、例えば、高分子量のポリフェニレンエーテル化合物をトルエン等の溶媒中で、フェノール化合物とラジカル開始剤との存在下で加熱し再分配反応させる。このように再分配反応により得られるポリフェニレンエーテル化合物は、分子鎖の両末端に硬化に寄与するフェノール系化合物に由来する水酸基を有するために、さらに高い耐熱性を維持することができる点から好ましい。また、重合反応により得られるポリフェニレンエーテル化合物は、優れた流動性を示す点から好ましい。
ポリフェニレンエーテル化合物の分子量の調整は、重合反応により得られるポリフェニレンエーテル化合物の場合、重合条件等を調整することにより行うことができる。また、再分配反応によって得られるポリフェニレンエーテル化合物の場合は、再分配反応の条件等を調整することにより、分子量を調整することができる。より具体的には、再分配反応において用いるフェノール系化合物の配合量を調整すること等が考えられる。すなわち、フェノール系化合物の配合量が多いほど、得られる成分ポリフェニレンエーテル化合物の分子量が低くなる。
また、ポリフェニレンエーテル化合物は、具体的には、例えば、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル)等が挙げられる。すなわち、再分配反応によって得られる成分(B)の場合は、高分子量のポリフェニレンエーテル化合物として、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル)を用いて得られたポリフェニレンエーテル化合物等が挙げられる。また、前記再分配反応に用いられるフェノール系化合物としては、特に限定されないが、例えば、ビスフェノールA、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等のように、フェノール性水酸基を分子中に2個以上有する多官能のフェノール系化合物が好ましく用いられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
成分(B)の含有量は硬化性樹脂組成物総量中0.01~90質量%であることが好ましく、5~70質量%であることがより好ましく、10~50質量%であることがさらに好ましい。含有量が少なすぎると誘電特性が低下する傾向があり、含有量が多すぎると耐熱性が低下する傾向がある。
本発明の硬化性樹脂組成物は、不飽和二重結合を有する硬化剤(以下、成分(C-1)とも称する。)及び熱可塑性樹脂(以下、成分(C-2)とも称する。)からなる群より選ばれる1種以上の化合物(以下、成分(C)とも称する。)を含有する。
成分(C-1)は、炭素-炭素不飽和二重結合を分子中に有するものであれば、特に限定されない。成分(C-1)は、炭素-炭素不飽和二重結合を分子中に2個以上有する化合物であることが好ましい。
成分(C-1)は、前記成分(A)または成分(B)と反応させることによって、硬化性樹脂組成物内に架橋を形成させて、硬化性樹脂組成物を硬化させることができる。
成分(C-1)の数平均分子量は100~20000であることが好ましく、100~10000であることがより好ましく、100~8000であることがさらに好ましい。数平均分子量が低すぎると、成分(C-1)が硬化性樹脂組成物の配合成分系から揮発するおそれがある。一方、重量平均分子量が高すぎると、硬化性樹脂組成物のワニスの粘度や、加熱成形時の溶融粘度が高くなりすぎるおそれがある。成分(C-1)の数平均分子量が上記範囲内であると、硬化物の耐熱性により優れた硬化性樹脂組成物が得られる。このことは、前記成分(A)または成分(B)との反応により、架橋を好適に形成することができるためであると考えられる。なお、重量平均分子量は、一般的な分子量測定方法で測定したものであればよく、具体的には、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて測定した値等が挙げられる。
成分(C-1)の1分子当たりの炭素-炭素不飽和二重結合の平均個数末端二重結合数は、前記硬化剤の数平均分子量が500未満(例えば、100以上500未満)の場合、1~4個であることが好ましく、数平均分子量が500以上(例えば、500以上5000以下)の場合、3~20個であることが好ましい。それぞれの場合で、末端二重結合数が、上記範囲の下限値より少ないと、前記硬化剤の反応性が低下して、硬化性樹脂組成物の硬化物の架橋密度が低下し、耐熱性やTgを充分に向上させることができなくなるおそれがある。一方、末端二重結合数が、上記範囲の上限値より多いと、硬化性樹脂組成物がゲル化しやすくなるおそれがある。
成分(C-1)としては、例えば、スチレン、ジビニルベンゼン、アクリレート化合物、メタクリレート化合物、トリアルケニルイソシアヌレート化合物、マレイミド化合物、ポリブタジエン樹脂、ブタジエン共重合体樹脂、エラストマーブロック共重合体等が挙げられる。前記アクリレート化合物としては、例えば、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート等の、分子中にアクリル基を2個以上有する多官能メタクリレート化合物等が挙げられる。前記メタクリレート化合物としては、例えば、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(DCP)等の、分子中にメタクリル基を2個以上有する多官能メタクリレート化合物等が挙げられる。前記トリアルケニルイソシアヌレート化合物としては、例えば、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)等が挙げられる。また、前記不飽和二重結合を有する硬化剤としては、上記ポリブタジエン樹脂のように分子中にビニル基を2個以上有するビニル化合物(多官能ビニル化合物)が挙げられ、例えば、分子中にビニルベンジル基を有するスチレン、ジビニルベンゼン等のビニルベンジル化合物等も挙げられる。この中でも、炭素-炭素二重結合を分子中に2個以上有するものが好ましい。具体的には、トリアルケニルイソシアヌレート化合物、多官能アクリレート化合物、多官能メタクリレート化合物、多官能ビニル化合物、及びジビニルベンゼン化合物等が挙げられる。これらを用いると、硬化反応により架橋がより好適に形成されると考えられ、硬化物の耐熱性をより高めることができる。また、成分(C-1)は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、成分(C-1)は、炭素-炭素不飽和二重結合を分子中に2個以上有する化合物と、炭素-炭素不飽和二重結合を分子中に1個有する化合物とを併用してもよい。炭素-炭素不飽和二重結合を分子中に1個有する化合物としては、具体的には、分子中にビニル基を1個有する化合物(モノビニル化合物)等が挙げられる。
前記ポリブタジエン樹脂は1,2-ポリブタジエン樹脂、無水マレイン酸変性ポリブタジエン樹脂、アクリル酸エステル変性ポリブタジエン樹脂、エポキシ変性ポリブタジエン樹脂、アミノ基変性ポリブタジエン樹脂、末端カルボキシ基変性ポリブタジエン樹脂、末端ヒドロキシル基変性ポリブタジエン樹脂等が挙げられる。前記ポリブタジエン樹脂は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記ポリブタジエン共重合体樹脂が、ポリブタジエン-スチレン共重合体樹脂、ポリブタジエン-スチレン-ジビニルベンゼングラフト共重合体樹脂、無水マレイン酸変性スチレン-ブタジエン共重合体樹脂、及びアクリル酸エステル変性スチレン- ブタジエン共重合体樹脂等が挙げられる。前記ポリブタジエン共重合体樹脂は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記エラストマーブロック共重合体は、スチレン-ブタジエンジブロック共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレントリブロック共重合体、スチレン-(エチレン-ブチレン)-スチレントリブロック共重合体、スチレン-イソプレンジブロック共重合体、スチレン-イソプレン-スチレントリブロック共重合体、スチレン-(エチレン-プロピレン)-スチレントリブロック共重合体、及びスチレン-(エチレン-ブチレン)ジブロック共重合体等が挙げられる。からなる群より選ばれる1種又は少なくとも2種の混合物である、前記エラストマーブロック共重合体は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
成分(C-2)としては、例えば、水添ポリブタジエン樹脂、水添ポリブタジエン共重合体樹脂、水添エラストマーブロック共重合体等が挙げられる。
前記水添ポリブタジエン樹脂は、前記ポリブタジエン樹脂の水添体であり、具体的には水添ポリブタジエン樹脂、水添無水マレイン酸変性ポリブタジエン樹脂、水添アクリル酸エステル変性ポリブタジエン樹脂、水添エポキシ変性ポリブタジエン樹脂、水添アミノ基変性ポリブタジエン樹脂、水添末端カルボキシ基変性ポリブタジエン樹脂、水添末端ヒドロキシル基変性ポリブタジエン樹脂等が挙げられる。前記水添ポリブタジエン樹脂は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記水添ポリブタジエン共重合体樹脂は、前記ポリブタジエン共重合体樹脂の水添体であり、具体的には水添ポリブタジエン-スチレン共重合体樹脂、水添ポリブタジエン-スチレン-ジビニルベンゼングラフト共重合体樹脂、水添無水マレイン酸変性スチレン-ブタジエン共重合体樹脂、及び水添アクリル酸エステル変性スチレン-ブタジエン共重合体樹脂等が挙げられる。前記水添ポリブタジエン共重合体樹脂は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記水添エラストマーブロック共重合体は、前記エラストマーブロック共重合体の共重合体であり、具体的には水添スチレン-ブタジエンジブロック共重合体、水添スチレン-ブタジエン-スチレントリブロック共重合体、水添スチレン-(エチレン-ブチレン)-スチレントリブロック共重合体、水添スチレン-イソプレンジブロック共重合体、水添スチレン-イソプレン-スチレントリブロック共重合体、水添スチレン-(エチレン-プロピレン)-スチレントリブロック共重合体、及び水添スチレン-(エチレン-ブチレン)ジブロック共重合体等が挙げられる。前記水添エラストマーブロック共重合体は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
成分(C)の含有量は硬化性樹脂組成物総量中0.01~50質量%であることが好ましく、1~40質量%であることがより好ましく、5~30質量%であることがさらに好ましい。含有量が少なすぎると誘電特性等が低下する傾向があり、含有量が多すぎると寸法安定性が低下する傾向がある。
成分(A)の重量を成分(B)の重量で除した値Xは0.5<X<2.5であることが好ましく、より好ましくは0.5<X<2.0、さらに好ましくは0.7<X<1.5である。このような比率とすることで、耐熱性、機械強度、寸法安定性が良好となる。
成分(C)の重量を成分(A)の重量で除した値Yは0.1<Y<1.0であることが好ましく、より好ましくは0.2<Y<0.8である。このような比率とすることで、誘電特性と寸法安定性が良好となる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、さらに硬化性樹脂として、公知のいかなる材料を用いることができる。具体的には、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アミン樹脂、活性アルケン含有樹脂、イソシアネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、シアネートエステル樹脂、プロペニル樹脂、メタリル樹脂、活性エステル樹脂などが挙げられ、1種類で用いても、複数併用してもよい。また、耐熱性、密着性、誘電特性のバランスから、エポキシ樹脂、活性アルケン含有樹脂、シアネートエステル樹脂を含有することが好ましい。これらの硬化性樹脂を含有することによって、硬化物の脆さの改善および金属への密着性を向上でき、はんだリフロー時や冷熱サイクルなどの信頼性試験におけるパッケージのクラックを抑制できる。
上記硬化性樹脂の使用量は、前記式(1)で表される化合物に対して、好ましくは10質量倍以下、さらに好ましくは5質量倍以下、特に好ましくは3質量倍以下の質量範囲である。また、好ましい下限値は0.5質量倍以上、更に好ましくは1質量倍以上である。10質量倍以下であれば、前記式(1)で表される化合物の耐熱性や誘電特性の効果を活かすことができる。
フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アミン樹脂、活性アルケン含有樹脂、イソシアネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、シアネートエステル樹脂、活性エステル樹脂としては、以下に例示するものを使用することができる。
フェノール樹脂:フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、芳香族置換フェノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、アルキル置換ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アルキルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド、フルフラール等)との重縮合物、フェノール類と各種ジエン化合物(ジシクロペンタジエン、テルペン類、ビニルシクロヘキセン、ノルボルナジエン、ビニルノルボルネン、テトラヒドロインデン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジイソプロペニルビフェニル、ブタジエン、イソプレン等)との重合物、フェノール類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等)との重縮合物、フェノール類と置換ビフェニル類(4,4’-ビス(クロルメチル)-1,1’-ビフェニル及び4,4’-ビス(メトキシメチル)-1,1’-ビフェニル等)、若しくは置換フェニル類(1,4-ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,4-ビス(メトキシメチル)ベンゼン及び1,4-ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン等)等との重縮合により得られるフェノール樹脂、ビスフェノール類と各種アルデヒドの重縮合物、ポリフェニレンエーテル。
エポキシ樹脂:前記のフェノール樹脂、アルコール類等をグリシジル化したグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、4-ビニル-1-シクロヘキセンジエポキシドや3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシラートなどを代表とする脂環式エポキシ樹脂、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(TGDDM)やトリグリシジル-p-アミノフェノールなどを代表とするグリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂。
アミン樹脂:ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ナフタレンジアミン、アニリンノボラック、オルソエチルアニリンノボラック、アニリンとキシリレンクロライドとの反応により得られるアニリン樹脂、日本国特許第6429862号公報に記載のアニリンと置換ビフェニル類(4,4’-ビス(クロルメチル)-1,1’-ビフェニル及び4,4’-ビス(メトキシメチル)-1,1’-ビフェニル等)、若しくは置換フェニル類(1,4-ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,4-ビス(メトキシメチル)ベンゼン及び1,4-ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン等)。
活性アルケン含有樹脂:前記のフェノール樹脂と活性アルケン含有のハロゲン系化合物(クロロメチルスチレン、アリルクロライド、メタリルクロライド、アクリル酸クロリド、アリルクロライド等)の重縮合物、活性アルケン含有フェノール類(2-アリルフェノール、2-プロペニルフェノール、4-アリルフェノール、4-プロペニルフェノール、オイゲノール、イソオイゲノール等)とハロゲン系化合物(4,4’-ビス(メトキシメチル)-1,1’-ビフェニル、1,4-ビス(クロロメチル)ベンゼン、4,4’-ジフルオロベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、4,4’-ジブロモベンゾフェノン、塩化シアヌル等)の重縮合物、エポキシ樹脂若しくはアルコール類と置換若しくは非置換のアクリレート類(アクリレート、メタクリレート等)の重縮合物、マレイミド樹脂(4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、ポリフェニルメタンマレイミド、m-フェニレンビスマレイミド、2,2’-ビス〔4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、3,3’-ジメチル-5,5’-ジエチル-4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、4-メチル-1,3-フェニレンビスマレイミド、4,4’-ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4’-ジフェニルスルフォンビスマレイミド、1,3-ビス(3-マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-マレイミドフェノキシ)ベンゼン)。
イソシアネート樹脂:p-フェニレンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、p-キシレンジイソシアネート、m-キシレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類;イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環構造のジイソシアネート類;イソシアネートモノマーの一種類以上のビュレット体又は、上記ジイソシアネート化合物を3量化したイソシアネート体等のポリイソシアネート;上記イソシアネート化合物とポリオール化合物とのウレタン化反応によって得られるポリイソシアネート。
ポリアミド樹脂:アミノ酸(6-アミノカプロン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸等)、ラクタム(ε-カプロラクタム、ω-ウンデカンラクタム、ω-ラウロラクタム)および「ジアミン(エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカンジアミン、ウンデカンジアミン、ドデカンジアミン、トリデカンジアミン、テトラデカンジアミン、ペンタデカンジアミン、ヘキサデカンジアミン、ヘプタデカンジアミン、オクタデカンジアミン、ノナデカンジアミン、エイコサンジアミン、2-メチル-1,5-ジアミノペンタン、2-メチル-1,8-ジアミノオクタンなどの脂肪族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、ビス-(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタンなどの脂環式ジアミン;キシリレンジアミンなどの芳香族ジアミン等とジカルボン酸(シュウ酸、マロン酸、スクシン酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、2-クロロテレフタル酸、2-メチルテレフタル酸、5-メチルイソフタル酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸;これらジカルボン酸のジアルキルエステル、およびジクロリド)との混合物から選ばれた1種以上を主たる原料とした重合物。
ポリイミド樹脂:前記のジアミンとテトラカルボン酸二無水物(4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-3-メチル-シクロヘキセン-1,2ジカルボン酸無水物、ピロメリット酸二無水物、1,2,3,4-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、メチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,1-エチリデン-4,4’-ジフタル酸二無水物、2,2’-プロピリデン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,2-エチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,3-トリメチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,4-テトラメチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,5-ペンタメチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸二無水物 、チオ-4,4’-ジフタル酸二無水物、スルホニル-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,3-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ベンゼン二無水物、1,3-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,3-ビス[2-(3,4-ジカルボキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン二無水物、1,4-ビス[2-(3,4-ジカルボキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン二無水物、ビス[3-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]メタン二無水物、ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]メタン二無水物、2,2-ビス[3-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジメチルシラン二無水物、1,3-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8-フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物)、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン-1,2,4,5-テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、カルボニル-4,4’-ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)二無水物、メチレン-4,4’-ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)二無水物、1,2-エチレン-4,4’-ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)二無水物、1,1-エチリデン-4,4’-ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)二無水物、2,2-プロピリデン-4,4’-ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)二無水物、オキシ-4,4’-ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)二無水物、チオ-4,4’-ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)二無水物、スルホニル-4,4’-ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)二無水物、ビシクロ[2,2,2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、rel-[1S,5R,6R]-3-オキサビシクロ[3,2,1]オクタン-2,4-ジオン-6-スピロ-3’-(テトラヒドロフラン-2’,5’-ジオン)、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸無水物、エチレングリコール-ビス-(3,4-ジカルボン酸無水物フェニル)エーテル、4,4’-ビフェニルビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、9,9’-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物)との重縮合物。
シアネートエステル樹脂:フェノール樹脂をハロゲン化シアンと反応させることにより得られるシアネートエステル化合物であり、具体例としては、ジシアナートベンゼン、トリシアナートベンゼン、ジシアナートナフタレン、ジシアンートビフェニル、2、2’-ビス(4-シアナートフェニル)プロパン、ビス(4-シアナートフェニル)メタン、ビス(3,5-ジメチル-4-シアナートフェニル)メタン、2,2’-ビス(3,5-ジメチル-4-シアナートフェニル)プロパン、2,2’-ビス(4-シアナートフェニル)エタン、2,2’-ビス(4-シアナートフェニル)ヘキサフロロプロパン、ビス(4-シアナートフェニル)スルホン、ビス(4-シアナートフェニル)チオエーテル、フェノールノボラックシアナート、フェノール・ジシクロペンタジエン共縮合物の水酸基をシアネート基に変換したもの等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
また、特開2005-264154号公報に合成方法が記載されているシアネートエステル化合物は、低吸湿性、難燃性、誘電特性に優れているためシアネートエステル化合物として特に好ましい。
シアネート樹脂は、必要に応じてシアネート基を三量化させてsym-トリアジン環を形成するために、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸銅、ナフテン酸鉛、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、鉛アセチルアセトナート、ジブチル錫マレエート等の触媒を含有させることもできる。触媒は、硬化性樹脂組成物の合計質量100質量部に対して通常0.0001~0.10質量部、好ましくは0.00015~0.0015質量部使用する。
活性エステル樹脂:エポキシ樹脂等、本発明の前記式(1)で表される化合物以外の硬化性樹脂の硬化剤として1分子中に1個以上の活性エステル基を有する化合物を必要に応じて用いることができる。活性エステル系硬化剤としては、フェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N-ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が好ましい。当該活性エステル系硬化剤は、カルボン酸化合物及びチオカルボン酸化合物の少なくともいずれかの化合物と、ヒドロキシ化合物及びチオール化合物の少なくともいずれかの化合物との縮合反応によって得られるものが好ましい。特に、耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル系硬化剤が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物及びナフトール化合物の少なくともいずれかの化合物とから得られる活性エステル系硬化剤が好ましい。
カルボン酸化合物としては、例えば、安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
フェノール化合物又はナフトール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、カテコール、α-ナフトール、β-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物、フェノールノボラック等が挙げられる。ここで、「ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物」とは、ジシクロペンタジエン1分子にフェノール2分子が縮合して得られるジフェノール化合物をいう。
活性エステル系硬化剤の好ましい具体例としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物が挙げられる。中でも、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物がより好ましい。「ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造」とは、フェニレン- ジシクロペンチレン-フェニレンからなる2価の構造単位を表す。
活性エステル系硬化剤の市販品としては、例えば、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物として、「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「HPC-8000-65T」、「HPC-8000H-65TM」、「EXB-8000L-65TM」、「EXB-8150-65T」(DIC社製);ナフタレン構造を含む活性エステル化合物として「EXB9416-70BK」(DIC社製);フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物として「DC808」(三菱化学社製);フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物として「YLH1026」、「YLH1030」、「YLH1048」(三菱化学社製);フェノールノボラックのアセチル化物である活性エステル系硬化剤として「DC808」(三菱化学社製);リン原子含有活性エステル系硬化剤としてDIC社製の「EXB-9050L-62M」;等が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、さらに硬化促進剤を併用して硬化性を向上させることもできる。用い得る硬化促進剤の具体例として、オレフィン樹脂やマレイミド樹脂等のラジカル重合可能な硬化性樹脂の自己重合やその他の成分とのラジカル重合を促進する目的でラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。用い得るラジカル重合開始剤としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、過酸化ベンゾイル等のジアシルパーオキサイド類、ジクミルパーオキサイド、1,3-ビス-(t-ブチルパーオキシイソプロピル)-ベンゼン等のジアルキルパーオキサイド類、t-ブチルパーオキシベンゾエート、1,1-ジ-t-ブチルパーオキシシクロヘキサン等のパーオキシケタール類、α-クミルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルペルオキシピバレート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-アミルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-アミルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-アミルパーオキシベンゾエート等のアルキルパーエステル類、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、1,6-ビス(t-ブチルパーオキシカルボニルオキシ)ヘキサン等のパーオキシカーボネート類、t-ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t-ブチルパーオキシオクトエート、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物やアゾビスイソブチロニトリル、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物の公知の硬化促進剤が挙げられるが、これらに特に限定されるものではない。ケトンパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、アルキルパーエステル類、パーカーボネート類等が好ましく、ジアルキルパーオキサイド類がより好ましい。ラジカル重合開始剤の添加量としては、硬化性樹脂組成物の100質量部に対して0.01~5質量部が好ましく、0.01~3質量部が特に好ましい。用いるラジカル重合開始剤の量が多いと重合反応時に分子量が十分に伸長しない。
また、必要に応じてラジカル重合開始剤以外の硬化促進剤を添加、または併用しても差し支えない。用い得る硬化促進剤の具体例としては2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール及び2-エチル-4-メチルイミダゾール等のイミダゾール類、2-(ジメチルアミノメチル)フェノールや1,8-ジアザ-ビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7等の第3級アミン類、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類、テトラブチルアンモニウム塩、トリイソプロピルメチルアンモニウム塩、トリメチルデカニルアンモニウム塩、セチルトリメチルアンモニウム塩、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシドなどの4級アンモニウム塩、トリフェニルベンジルフォスフォニウム塩、トリフェニルエチルフォスフォニウム塩、テトラブチルフォスフォニウム塩などの4級フォスフォニウム塩(4級塩のカウンターイオンはハロゲン、有機酸イオン、水酸化物イオンなど、特に指定は無いが、特に有機酸イオン、水酸化物イオンが好ましい。)、オクチル酸スズ、カルボン酸亜鉛(2-エチルヘキサン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ベヘン酸亜鉛、ミスチリン酸亜鉛)やリン酸エステル亜鉛(オクチルリン酸亜鉛、ステアリルリン酸亜鉛等)等の亜鉛化合物等の遷移金属化合物(遷移金属塩)等が挙げられる。硬化促進剤の配合量は、エポキシ樹脂100に対して0.01~5.0重量部が必要に応じて用いられる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、さらに難燃剤を添加してもよい。難燃剤としてはリン含有化合物を挙げることができ、リン含有化合物は反応型のものでも添加型のものでもよい。リン含有化合物の具体例としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシリレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、クレジル-2,6-ジキシリレニルホスフェート、1,3-フェニレンビス(ジキシリレニルホスフェート)、1,4-フェニレンビス(ジキシリレニルホスフェート)、4,4’-ビフェニル(ジキシリレニルホスフェート)等のリン酸エステル類;9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド、10(2,5-ジヒドロキシフェニル)-10H-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド等のホスファン類;エポキシ樹脂と前記ホスファン類の活性水素とを反応させて得られるリン含有エポキシ化合物、赤リン等が挙げられるが、リン酸エステル類、ホスファン類またはリン含有エポキシ化合物が好ましく、1,3-フェニレンビス(ジキシリレニルホスフェート)、1,4-フェニレンビス(ジキシリレニルホスフェート)、4,4’-ビフェニル(ジキシリレニルホスフェート)またはリン含有エポキシ化合物が特に好ましい。リン含有化合物の含有量は(リン含有化合物)/(全エポキシ樹脂)が0.1~0.6(重量比)の範囲であることが好ましい。0.1以下では難燃性が不十分であり、0.6以上では硬化物の吸湿性、誘電特性に悪影響を及ぼす懸念がある。
本発明の硬化性樹脂組成物は、さらに重合禁止剤を含有することができる。使用できる重合禁止剤としては、フェノール系、イオウ系、リン系、ヒンダートアミン系、ニトロソ系、ニトロキシルラジカル系等の重合禁止剤が挙げられる。重合禁止剤は、前記式(1)で表される化合物を合成するときに添加しても、合成後に添加してもよい。また、重合禁止剤は単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。重合禁止剤の使用量は、樹脂成分100重量部に対して、通常0.008~1重量部、好ましくは0.01~0.5重量部である。これら重合禁止剤はそれぞれ単独で使用できるが、2種以上を組み合わせて併用しても構わない。本発明では、フェノール系、ヒンダートアミン系、ニトロソ系、ニトロキシルラジカル系が好ましい。
フェノール系重合禁止剤の具体例としては、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6-ジ-t-ブチル-p-エチルフェノール、ステアリル-β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、イソオクチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス[(オクチルチオ)メチル]-o-クレゾール、等のモノフェノール類;2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナマミド)、2,2-チオ-ジエチレンビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルフォスフォネート-ジエチルエステル、3,9-ビス[1,1-ジメチル-2-{β-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルスルホン酸エチル)カルシウム等のビスフェノール類;1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス-[メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’-ビス-(4’-ヒドロキシ-3’-t-ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、トリス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-イソシアヌレイト、1,3,5-トリス(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシベンジル)-S-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)トリオン、トコフェノール等の高分子型フェノール類が例示される。
イオウ系重合禁止剤の具体例としては、ジラウリル-3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチル-3,3’-チオジプロピオネート、ジステアリルル-3,3’-チオジプロピオネート等が例示される。
リン系重合禁止剤の具体例としては、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビ(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビ(2,4-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ホスファイト、ビス[2-t-ブチル-6-メチル-4-{2-(オクタデシルオキシカルボニル)エチル}フェニル]ヒドロゲンホスファイト等のホスファイト類;9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド、10-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド、10-デシロキシ-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド等のオキサホスファフェナントレンオキサイド類などが例示される。
ヒンダートアミン系重合禁止剤の具体例としては、アデカスタブLA-40MP、アデカスタブLA-40Si、アデカスタブLA-402AF、アデカスタブLA-87、デカスタブLA-82、デカスタブLA-81、アデカスタブLA-77Y、アデカスタブLA-77G、アデカスタブLA-72、アデカスタブLA-68、アデカスタブLA-63P、アデカスタブLA-57、アデカスタブLA-52、Chimassorb2020FDL、Chimassorb944FDL、Chimassorb944LD、Tinuvin622SF、TinuvinPA144、Tinuvin765、Tinuvin770DF、TinuvinXT55FB、Tinuvin111FDL、Tinuvin783FDL、Tinuvin791FB等が例示されるが、これに限定されない。
ニトロソ系重合禁止剤の具体例としては、p-ニトロソフェノール、N-ニトロソジフェニルアミン、N-ニトロソフェニルヒドロキシアミンのアンモニウム塩、(クペロン)等があげられ、好ましくは、N-ニトロソフェニルヒドロキシアミンのアンモニウム塩(クペロン)である。
ニトロキシルラジカル系重合禁止剤の具体例としては、TEMPOフリーラジカル、4-ヒドロキシ-TEMPOフリーラジカル等が挙げられるが、これらに限定されない。
さらに、本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて光安定剤を添加しても構わない。光安定剤としては、ヒンダートアミン系の光安定剤、特にHALS等が好適である。HALSとしては特に限定されるものではないが、代表的なものとしては、ジブチルアミン・1,3,5-トリアジン・N,N’―ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル-1,6-ヘキサメチレンジアミンとN-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、コハク酸ジメチル-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ〔{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}〕、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)〔〔3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドリキシフェニル〕メチル〕ブチルマロネート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1-オクチロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、2-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-n-ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)、等が挙げられる。HALSは1種のみが用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
さらに本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じてバインダー樹脂を配合することもできる。バインダー樹脂としてはブチラール系樹脂、アセタール系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ-ナイロン系樹脂、NBR-フェノール系樹脂、エポキシ-NBR系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、シリコーン系樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。バインダー樹脂の配合量は、硬化物の難燃性、耐熱性を損なわない範囲であることが好ましく、樹脂成分100質量部に対して0.05~50質量部であることが好ましく、さらに好ましくは0.05~20質量部が必要に応じて用いられる。
さらに、本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて溶融シリカ、結晶シリカ、多孔質シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、石英粉、炭化珪素、窒化珪素、窒化ホウ素、ジルコニア、窒化アルミニウム、グラファイト、フォルステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア、タルク、クレー、酸化鉄アスベスト、ガラス粉末等の粉体、またはこれらを球形状あるいは破砕状にした無機充填材を添加することができる。また、特に半導体封止用の硬化性樹脂組成物を得る場合、上記の無機充填材の使用量は硬化性樹脂組成物中、通常80~92質量%、好ましくは83~90質量%の範囲である。
本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて公知の添加剤を配合することができる。用いうる添加剤の具体例としては、アクリロニトリル共重合体の変性物、ポリフェニレンエーテル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリイミド、フッ素樹脂、シリコーンゲル、シリコーンオイル、シランカップリング剤のような充填材の表面処理剤、離型剤、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の着色剤が挙げられる。これら添加剤の配合量は、硬化性樹脂組成物100質量部に対して好ましくは1,000質量部以下、より好ましくは700質量部以下の範囲である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、上記各成分を所定の割合で均一に混合することにより得られ、通常130~180℃で30~500秒の範囲で予備硬化し、更に、150~200℃で2~15時間、後硬化することにより充分な硬化反応が進行し、本発明の硬化物が得られる。又、硬化性樹脂組成物の成分を溶剤等に均一に分散または溶解させ、溶媒を除去した後硬化させることもできる。
こうして得られる本発明の硬化性樹脂組成物は、耐湿性、耐熱性、高接着性を有する。従って、本発明の硬化性樹脂組成物は、耐湿性、耐熱性、高接着性の要求される広範な分野で用いることができる。具体的には、絶縁材料、積層板(プリント配線板、BGA用基板、ビルドアップ基板など)、封止材料、レジスト等あらゆる電気・電子部品用材料として有用である。又、成形材料、複合材料の他、塗料材料、接着剤、3Dプリンティング等の分野にも用いることができる。特に半導体封止においては、耐ハンダリフロー性が有益なものとなる。
半導体装置は本発明の硬化性樹脂組成物で封止されたものを有する。半導体装置としては、例えばDIP(デュアルインラインパッケージ)、QFP(クワッドフラットパッケージ)、BGA(ボールグリッドアレイ)、CSP(チップサイズパッケージ)、SOP(スモールアウトラインパッケージ)、TSOP(シンスモールアウトラインパッケージ)、TQFP(シンクワッドフラットパッケージ)等が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物の調製方法は特に限定されないが、各成分を均一に混合するだけでも、あるいはプレポリマー化してもよい。例えば本発明の硬化性樹脂を触媒の存在下または非存在下、溶剤の存在下または非存在下において加熱することによりプレポリマー化する。同様に、本発明の硬化性樹脂の他、エポキシ樹脂、アミン化合物、マレイミド系化合物、シアネートエステル化合物、フェノール樹脂、酸無水物化合物などの硬化剤及びその他添加剤を追加してプレポリマー化してもよい。各成分の混合またはプレポリマー化は溶剤の非存在下では例えば押出機、ニーダ、ロールなどを用い、溶剤の存在下では攪拌装置つきの反応釜などを使用する。
均一に混合する手法としては50~100℃の範囲内の温度でニーダ、ロール、プラネタリーミキサー等の装置を用いて練りこむように混合し、均一な樹脂組成物とする。得られた樹脂組成物は粉砕後、タブレットマシーン等の成型機で円柱のタブレット状に成型、もしくは顆粒状の紛体、もしくは粉状の成型体とする、もしくはこれら組成物を表面支持体の上で溶融し0.05mm~10mmの厚みのシート状に成型し、硬化性樹脂組成物成型体とすることもできる。得られた成型体は0~20℃でべたつきのない成型体となり、-25~0℃で1週間以上保管しても流動性、硬化性をほとんど低下させない。
得られた成型体についてトランスファー成型機、コンプレッション成型機にて硬化物に成型することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物に有機溶剤を添加してワニス状の組成物(以下、単にワニスという。)とすることもできる。本発明の硬化性樹脂組成物を必要に応じてトルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等の溶剤に溶解させてワニスとし、ガラス繊維、カーボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維、紙などの基材に含浸させて加熱乾燥して得たプリプレグを熱プレス成形することにより、本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物とすることができる。この際の溶剤は、本発明の硬化性樹脂組成物と該溶剤の混合物中で通常10~70重量%、好ましくは15~70重量%を占める量を用いる。また液状組成物であれば、そのまま例えば、RTM方式でカーボン繊維を含有する硬化性樹脂硬化物を得ることもできる。
また、本発明の硬化性組成物をフィルム型組成物の改質剤としても使用できる。具体的にはB-ステージにおけるフレキ性等を向上させる場合に用いることができる。このようなフィルム型の樹脂組成物は、本発明の硬化性樹脂組成物を前記硬化性樹脂組成物ワニスとして剥離フィルム上に塗布し、加熱下で溶剤を除去した後、Bステージ化を行うことによりシート状の接着剤として得られる。このシート状接着剤は多層基板などにおける層間絶縁層として使用することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、加熱溶融し、低粘度化してガラス繊維、カーボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維などの強化繊維に含浸させることによりプリプレグを得ることができる。その具体例としては、例えば、Eガラスクロス、Dガラスクロス、Sガラスクロス、Qガラスクロス、球状ガラスクロス、NEガラスクロス、及びTガラスクロス等のガラス繊維、更にガラス以外の無機物の繊維やポリパラフェニレンテレフタラミド(ケブラー(登録商標)、デュポン株式会社製)、全芳香族ポリアミド、ポリエステル;並びに、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール、ポリイミド及び炭素繊維などの有機繊維が挙げられるが、これらに特に限定されない。基材の形状としては、特に限定されないが、例えば、織布、不織布、ロービング、チョップドストランドマットなどが挙げられる。また、織布の織り方としては、平織り、ななこ織り、綾織り等が知られており、これら公知のものから目的とする用途や性能により適宜選択して使用することができる。また、織布を開繊処理したものやシランカップリング剤などで表面処理したガラス織布が好適に使用される。基材の厚さは、特に限定されないが、好ましくは0.01~0.4mm程度である。また、前記ワニスを、強化繊維に含浸させて加熱乾燥させることによりプリプレグを得ることもできる。
本実施形態の積層板は、上記プリプレグを1枚以上備える。積層板はプリプレグを1枚以上備えるものであれば特に限定されず、他のいかなる層を有していてもよい。積層板の製造方法としては、一般に公知の方法を適宜適用でき、特に限定されない。例えば、金属箔張積層板の成形時には多段プレス機、多段真空プレス機、連続成形機、オートクレーブ成形機などを用いることができ、上記プリプレグ同士を積層し、加熱加圧成形することで積層板を得ることができる。このとき、加熱する温度は、特に限定されないが、65~300℃が好ましく、120~270℃がより好ましい。また、加圧する圧力は、特に限定されないが、加圧が大きすぎると積層板の樹脂の固形分調整が難しく品質が安定せず、また、圧力が小さすぎると、気泡や積層間の密着性が悪くなってしまうため2.0~5.0MPaが好ましく、2.5~4.0MPaがより好ましい。本実施形態の積層板は、金属箔からなる層を備えることにより、後述する金属箔張積層板として好適に用いることができる。
上記プリプレグを所望の形に裁断、必要により銅箔などと積層後、積層物にプレス成形法やオートクレーブ成形法、シートワインディング成形法などで圧力をかけながら硬化性樹脂組成物を加熱硬化させることにより電気電子用積層板(プリント配線板)や、炭素繊維強化材を得ることができる。
本発明の硬化物は成型材料、接着剤、複合材料、塗料など各種用途に使用できる。本発明記載の硬化性樹脂組成物の硬化物は優れた耐熱性と誘電特性を示すため、半導体素子用封止材、液晶表示素子用封止材、有機EL素子用封止材、プリント配線基板、ビルドアップ積層板等の電気・電子部品や炭素繊維強化プラスチック、ガラス繊維強化プラスチック等の軽量高強度構造材用複合材料に好適に使用される。
以下、実施例、比較例により本発明を具体的に説明する。尚、本文中「部」及び「%」は、それぞれ「重量部」及び「重量%」を表す。
・GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)分析
メーカー:Waters
カラム:SHODEX GPC KF-601(2本)、KF-602、KF-602.5、KF-603
流速:0.5ml/min.
カラム温度:40℃
使用溶剤:THF(テトラヒドロフラン)
検出器:RI(示差屈折検出器)
・HPLC(高速液体クロマトグラフィー)分析
カラム:Inertsil ODS-2
流速:1.0ml/min.
カラム温度:40℃
使用溶剤:アセトニトリル・水
検出器:フォトダイオードアレイ(225nm)
・耐熱性試験 DMA分析
メーカー:TAインスツルメント
装置:DMAQ800
測定モード:引張
昇温速度:2℃/min.
測定温度範囲:25℃~350℃
測定周波数:10Hz
tanδの値が最大となった温度をTgとした。
DMA分析での貯蔵弾性率曲線において、貯蔵弾性率が低下する前のベースライン接線と、貯蔵弾性率低下時の変曲点(貯蔵弾性率の温度微分曲線の極小値)での接線との交点の温度を弾性率低下温度とした。
・機械強度
メーカー:島津製作所
装置:オートグラフAGS-X
引張速度:0.5mm/min
試験片の長さが5cmになるように挟み、180°方向に上記の試験速度で引っ張り測定した。
・寸法安定性試験 TMA分析
メーカー:TAインスツルメント
装置:TMAQ400
測定モード:引張
昇温速度:2℃/min.
測定温度範囲:25℃~330℃
・誘電率試験、誘電正接試験
メーカー:株式会社AET
装置:10GHz空洞共振器
幅2.5mm、長さ5cmの試験片を、乾燥機で120℃2時間乾燥させたのちに測定を行った。得られた測定値を誘電率、誘電正接とした。
[合成例1]芳香族アミン樹脂(A-1)の合成
温度計、冷却管、ディーンスターク共沸蒸留トラップ、撹拌機を取り付けたフラスコにアニリン192部とトルエン112部、1,3-ビス(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ベンゼン100部を仕込み、35%塩酸21.5部を10分かけて滴下した。系内を160℃に昇温し、水、トルエンを留去しながら同温度で17時間反応を行った。その後80℃まで冷却したのち、トルエン124部を加え、30%水酸化ナトリウム水溶液30部を10分かけて滴下した。その後同温度で2時間攪拌し、30分静置した。分離した下層の水層を除去し、反応液の水洗を洗浄液が中性になるまで繰り返した。次いでロータリーエバポレーターで油層から加熱減圧下において過剰のアニリンとトルエンを留去することにより前記式(2)で表される芳香族アミン樹脂(A-1)158部を得た。芳香族アミン樹脂(A-1)のアミン当量は186.1g/eq、軟化点は58.8℃であった。GPC分析(RI)により、n=1体は62.5面積%であった。GPCチャートは図1に記す。
[合成例2]マレイミド樹脂(M-1)の合成
温度計、冷却管、ディーンスターク共沸蒸留トラップ、撹拌機を取り付けたフラスコに無水マレイン酸73.5部とトルエン126部、メタンスルホン酸1.86部、N-メチル-2-ピロリドン12,6部を仕込み、加熱還流状態とした。次に、芳香族アミン樹脂(A-1)93部をトルエン55.8部に溶解した樹脂溶液を、還流状態を保ちながら4時間かけて滴下した。この間、還流条件で共沸してくる縮合水とトルエンをディーンスターク共沸蒸留トラップ内で冷却・分液した後、有機層であるトルエンは系内に戻し、水は系外へ排出した。樹脂溶液の滴下終了後、還流状態を保ち、脱水操作をしながら10時間反応を行った。
反応終了後、水洗を4回繰り返してメタンスルホン酸及び過剰の無水マレイン酸を除去し、70℃以下の加熱減圧下においてトルエンと水の共沸により、水を系内から除去した。次いで、メタンスルホン酸0.93部を加え、加熱還流状態で4時間反応を行った。反応終了後、水洗水が中性になるまで4回水洗を繰り返したのち、70℃以下の加熱減圧下においてトルエンと水の共沸により、水を系内から除去したのち、トルエンを加熱減圧下において約70-80%程度の樹脂濃度になるまで溶剤を留去した後、トルエンを追加して樹脂濃度60%に調整をした。これにより本発明のマレイミド(M-1)を含有するマレイミド溶液(V-1)を得た。得られたマレイミド樹脂(M-1)のn=1体はGPC分析(RI)により57.4面積%、n=2体は21.3面積%、n=3体以上は21.3面積%であった。n=1体中の配向比(オルト-オルト体/パラ-パラ体/オルト-パラ体)は、HPLC分析(225nm)から、32.0%/25.4%/42.6%であった。また、軟化点は115.5℃、粘度は6.0Pa・sであった。GPCチャートは図2に記す。
[実施例1~5、比較例1~11]
各種材料を表1に示す割合で測り取り、樹脂固形分50%になるようにトルエンとアセトン(トルエン:アセトンの重量比は75:25)を加えたのち、室温で撹拌混合することでワニスを作製した。
さらに、硬化促進剤としてDCP(ジクミルパーオキサイド、化薬ヌーリオン社製)をワニスに溶解させた。硬化促進剤が溶解したワニスを真空乾燥機にて60℃で30分、120℃で1時間加熱することで硬化性樹脂組成物を調製した。得られた硬化性樹脂組成物を銅箔で挟み、真空下で1MPaの圧力をかけ220℃で2時間硬化させた。なお、比較例8は真空下で1MPaの圧力をかけ250℃時間の条件で硬化させた。得られた硬化物について各種測定した結果は表1に示す。
・M-1(合成例2で得られたV-1の溶剤を加熱減圧により留去したもの)
・SA-9000-111(Sabic社製)Mw:3653、Mn:2648
・Ricon100(Cray valley製)
・DCP(ジクミルパーオキサイド、化薬ヌーリオン社製)
Figure 2023015005000006
表1の結果より、本発明の硬化性樹脂組成物は耐熱性に優れるとともに機械特性、寸法安定性、誘電特性に優れることが確認された。

Claims (10)

  1. 下記式(1)で表されるマレイミド化合物(A)と、不飽和二重結合を有するポリフェニレンエーテル化合物(B)と、不飽和二重結合を有する硬化剤及び熱可塑性樹脂からなる群より選ばれる1種以上の化合物(C)と、を含有し、成分(A)の重量を成分(B)の重量で除した値Xが0.5<X<2.5、成分(C)の重量を成分(A)の重量で除した値Yが0.1<Y<1.0である硬化性樹脂組成物。
    Figure 2023015005000007
    (式(1)中、nは繰り返し数であり、その平均値は1<n<5である。)
  2. 前記Xが0.5<X<2.0である請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
  3. 前記成分(B)が(メタ)アクリル基を有するポリフェニレンエーテル化合物である請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
  4. 前記成分(B)が下記式(2)で表される請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
    Figure 2023015005000008
    (式(2)中、nは繰り返し数であり、その平均値は1<n<10である。)
  5. 前記不飽和二重結合を有する硬化剤が、ポリブタジエン樹脂、ポリブタジエン共重合体樹脂、エラストマーブロック共重合体からなる群より選ばれる1種以上である、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
  6. 前記ポリブタジエン共重合体樹脂が、ポリブタジエン-スチレン共重合体樹脂、ポリブタジエン-スチレン-ジビニルベンゼングラフト共重合体樹脂、無水マレイン酸変性スチレン-ブタジエン共重合体樹脂、及びアクリル酸エステル変性スチレン-ブタジエン共重合体樹脂からなる群より選ばれる1種以上である、請求項4に記載の硬化性樹脂組成物。
  7. さらに硬化促進剤を含有する請求項1乃至6のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
  8. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物をシート状の繊維基材の保持したプリプレグ。
  9. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物。
  10. 請求項8に記載のプリプレグを硬化して得られる硬化物。

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