JP2022174763A - ガラスを用いた構造体の製造方法、コーティング層の形成方法およびコーティング液 - Google Patents

ガラスを用いた構造体の製造方法、コーティング層の形成方法およびコーティング液 Download PDF

Info

Publication number
JP2022174763A
JP2022174763A JP2021080704A JP2021080704A JP2022174763A JP 2022174763 A JP2022174763 A JP 2022174763A JP 2021080704 A JP2021080704 A JP 2021080704A JP 2021080704 A JP2021080704 A JP 2021080704A JP 2022174763 A JP2022174763 A JP 2022174763A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mass
parts
polysilazane
glass
organic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2021080704A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6960194B1 (ja
Inventor
敏治 室川
Toshiharu Murokawa
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
AISEL KK
Original Assignee
AISEL KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by AISEL KK filed Critical AISEL KK
Priority to JP2021080704A priority Critical patent/JP6960194B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6960194B1 publication Critical patent/JP6960194B1/ja
Publication of JP2022174763A publication Critical patent/JP2022174763A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Abstract

【課題】ガラスを用いた構造体のガラスの表面にコーティングを行った場合にコーティング層の持続性および撥水性の大幅な向上を図ることができる、ガラスを用いた構造体およびその製造方法を提供する。【解決手段】ガラスを用いた構造体の製造方法は、そのガラスの表面に、フッ素樹脂溶液と無機ポリシラザンおよび有機ポリシラザンのうちの少なくとも無機ポリシラザンとを含有し、無機ポリシラザンおよび有機ポリシラザンの含有量が、フッ素樹脂100質量部に対し、300質量部以上500質量部以下であり、かつ有機ポリシラザンが100質量部以上300質量部以下であり、または、無機ポリシラザンおよび有機ポリシラザンの含有量が、フッ素樹脂100質量部に対し、400質量部以上600質量部以下であり、かつ有機ポリシラザンが0質量部以上200質量部以下であるコーティング液を塗布する工程を有する。【選択図】図1

Description

この発明は、ガラスを用いた構造体の製造方法、ガラスを用いた構造体、コーティング層およびコーティング方法に関し、例えば、表面にガラスを有する各種製品のガラスの表面改質に適用して好適なものである。
従来、プラズマ溶射法によるセラミックス溶射材の樹脂基材への密着性の向上を図るために、ポリシラザンとフッ素樹脂粉などの無機充填剤とを含む樹脂組成物を樹脂基材の表面に塗布する技術が知られている(特許文献1参照)。特許文献1では、樹脂組成物中の無機充填剤の含有量は、ポリシラザン100質量部に対して、100質量部~300質量部が好ましく、150質量部~250質量部がより好ましいとされている。
一方、有機ポリシラザンと無機ポリシラザンとフッ素コート剤と不活性有機溶剤とを含有し、有機ポリシラザンと無機ポリシラザンとの合計の濃度が0.05質量%以上1.00質量%以下、フッ素コート剤の濃度が20質量%以上70質量%以下であるコーティング液を繊維または皮革を用いた構造体の表面に塗布する技術が知られている(特許文献2参照)。この技術によれば、表面改質効果を失うことなく構造体の表面に対する表面改質コーティング剤の密着性の向上を図ることができ、それによって長期間に亘って撥水、撥油、防汚などの改質効果を得ることができ、耐光性および耐候性に優れており、完成品である繊維製品、皮革製品などを含む各種の繊維または皮革を用いた構造体に適用することができる。
特開2020-158678号公報 特許第6771202号公報
しかしながら、特許文献1、2には、ガラス上にコーティングを行った場合の有効性については何ら開示されていない。
そこで、この発明が解決しようとする課題は、ガラスを用いた構造体のガラスの表面にコーティングを行った場合にコーティング層の持続性および撥水性の大幅な向上を図ることができる、ガラスを用いた構造体およびその製造方法を提供することである。
この発明が解決しようとする他の課題は、上記のガラスを用いた構造体に適用して好適なコーティング層およびコーティング液を提供することである。
上記課題を解決するために、この発明は、
少なくとも表面側の少なくとも一部がガラスにより構成されている、ガラスを用いた構造体の上記ガラスの表面に、フッ素樹脂溶液と無機ポリシラザンおよび有機ポリシラザンのうちの少なくとも無機ポリシラザンとを含有し、上記無機ポリシラザンおよび上記有機ポリシラザンの含有量が、上記フッ素樹脂100質量部に対し、300質量部以上500質量部以下であり、かつ上記有機ポリシラザンが100質量部以上300質量部以下であり、または、上記無機ポリシラザンおよび上記有機ポリシラザンの含有量が、上記フッ素樹脂100質量部に対し、400質量部以上600質量部以下であり、かつ上記有機ポリシラザンが0質量部以上200質量部以下であるコーティング液を塗布する工程を有する、ガラスを用いた構造体の製造方法である。
ここで、フッ素樹脂溶液は、フッ素を含むオレフィンを重合して得られる合成樹脂を不活性有機溶剤に含有させたものである。このフッ素樹脂溶液は、株式会社フロロサーフテクノロジーからフッ素コーティング剤として、商品番号FG-5084TH-0.1やFG-5084F130-0.1で市販されており、これらの商品は各種の濃度のフッ素樹脂含有溶液として入手して使用することができる。無機ポリシラザン(ペルヒドロポリシラザン(PHPS))は、珪素(Si)、窒素(N)および水素(H)のみから構成される化合物であり、炭素などの有機成分を含まない無機のポリマーであり、-(SiH2 NH)-ユニットから構成されている。この無機ポリシラザンは「Durazane」(登録商標)として、商品番号Durazane2200、Durazane2400、Durazane2600、Durazane2800で市販されており、これらの商品は各種の固形分濃度の有機溶剤溶液として入手して使用することができる。特に好ましいものはジブチルエーテルの溶液となっている商品番号Durazane2800である。有機ポリシラザン(オルガノポリシラザン(OPSZ))は、珪素(Si)、窒素(N)、水素(H)およびメチル基(CH3 )から構成される化合物であり、炭素を含む有機のポリマーであり、-(SiH2 NHCH3 )-ユニットから構成されている。この有機ポリシラザンは、ドイツメルク社から「Durazane」(登録商標)として、商品番号Durazane1033、Durazane1800、Durazane1500で市販されており、これらの商品は各種の固形分濃度の有機溶剤溶液として入手して使用することができる。特に好ましいものはジブチルエーテルの溶液となっていてかつ常温での硬化が速い商品番号Durazane1500RCである。
コーティング液には、必要に応じて、フッ素樹脂溶液、無機ポリシラザンおよび有機ポリシラザン以外の成分を含有させてもよい。例えば、コーティング液には、フッ素樹脂に加えて酸化チタン、銅、ヨウ素またはナノ銀系改質剤を含ませることができ、そうすることでガラス製品などについて防臭・抗菌・帯電防止効果を付与することができ、防汚効果の向上を図ることができる。
ガラスを用いた構造体に対するコーティング液の塗布方法は特に限定されず、必要に応じて選択されるが、その構造体の形状に適した塗布方法が用いられ、例えば、スプレー法、ディッピング法、刷毛塗り法、ロールコート法、グラビアコート法、フレキソ法、インクジェット法などが挙げられる。塗布量は特に限定されず、必要に応じて選択される。塗布層の硬化は、塗布後に空気中に放置しておいても進行するが、加熱することによって硬化を促進することができる。また、硬化には、塗布物に対するヒートブロワーなどの熱風加工機による加熱を行ってもよい。
ガラスを用いた構造体は、少なくとも表面側の少なくとも一部がガラスにより構成されている限り、特に限定されないが、例えば、表面側の一部がガラスにより構成された各種の製品のほか、ガラス基板そのものも含む。表面側の一部がガラスにより構成された各種の製品としては、例えば、スマートフォン、タブレット端末、太陽電池パネル、自動車、医療機器などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。例えば、スマートフォンやタブレット端末のディスプレイの表面のガラス面にコーティング層を形成することにより、指先でディスプレイを操作するときの滑り性の向上、従って操作性の向上を図ることができることに加えて、ガラス面の防汚性能の向上を図ることができる。また、太陽電池パネル、自動車、医療機器などのガラス面にコーティング層を形成することにより、ガラス面の防汚性能の向上を図ることができる。
また、この発明は、
少なくとも表面側の少なくとも一部がガラスにより構成されている、ガラスを用いた構造体であって、
上記ガラスの表面にコーティング層を有し、
上記コーティング層が、
フッ素樹脂と無機ポリシラザンおよび有機ポリシラザンのうちの少なくとも無機ポリシラザンとを含有し、上記無機ポリシラザンおよび上記有機ポリシラザンの含有量が、上記フッ素樹脂100質量部に対し、300質量部以上500質量部以下であり、かつ上記有機ポリシラザンが100質量部以上300質量部以下であり、または、上記無機ポリシラザンおよび上記有機ポリシラザンの含有量が、上記フッ素樹脂100質量部に対し、400質量部以上600質量部以下であり、かつ上記有機ポリシラザンが0質量部以上200質量部以下である
ことを特徴とする、ガラスを用いた構造体である。
また、この発明は、
フッ素樹脂と無機ポリシラザンおよび有機ポリシラザンのうちの少なくとも無機ポリシラザンとを含有し、上記無機ポリシラザンおよび上記有機ポリシラザンの含有量が、上記フッ素樹脂100質量部に対し、300質量部以上500質量部以下であり、かつ上記有機ポリシラザンが100質量部以上300質量部以下であり、または、上記無機ポリシラザンおよび上記有機ポリシラザンの含有量が、上記フッ素樹脂100質量部に対し、400質量部以上600質量部以下であり、かつ上記有機ポリシラザンが0質量部以上200質量部以下であるコーティング層である。
このコーティング層の発明は、ガラスを用いた構造体のガラスの表面に適用して好適なものである。
また、この発明は、
フッ素樹脂溶液と無機ポリシラザンおよび有機ポリシラザンのうちの少なくとも無機ポリシラザンとを含有し、上記無機ポリシラザンおよび上記有機ポリシラザンの含有量が、上記フッ素樹脂100質量部に対し、300質量部以上500質量部以下であり、かつ上記有機ポリシラザンが100質量部以上300質量部以下であり、または、上記無機ポリシラザンおよび上記有機ポリシラザンの含有量が、上記フッ素樹脂100質量部に対し、400質量部以上600質量部以下であり、かつ上記有機ポリシラザンが0質量部以上200質量部以下であるコーティング液である。
このコーティング液の発明は、上記のコーティング層の形成に適用して好適なものである。
上記の、ガラスを用いた構造体、コーティング層およびコーティング液の各発明においては、特にその性質に反しない限り、上記のガラスを用いた構造体の製造方法の発明に関連して説明したことが成立する。
この発明によれば、ガラスを用いた構造体のガラスの表面に上記のコーティング液を用いてコーティングを行うことにより、コーティング層の表面の初期の摩擦力を低くすることができ、しかもコーティング層の表面が繰り返し摩擦されたときの摩擦力の増加を低く抑えることができることにより優れた持続性を有するだけでなく、高い撥水性を得ることもできる。
表1に示す各種のコーティング液を用いてガラス基板上にコーティングを行うことにより形成されたコーティング層に対してボールオンディスク摩擦摩耗試験機を用いて摩擦摩耗試験を行った結果得られた動的摩擦力の回転ディスクの回転数に対する変化を示す略線図である。
以下、発明を実施するための形態(以下「実施の形態」とする)について説明する。
〈一実施の形態〉
[ガラスを用いた構造体の製造方法]
まず、この製造方法において使用されるコーティング液について説明する。
コーティング液としては、フッ素樹脂溶液と無機ポリシラザンおよび有機ポリシラザンのうちの少なくとも無機ポリシラザンとを含有し、無機ポリシラザンおよび有機ポリシラザンの含有量が、フッ素樹脂100質量部に対し、300質量部以上500質量部以下であり、かつ有機ポリシラザンが100質量部以上300質量部以下であり、または、無機ポリシラザンおよび有機ポリシラザンの含有量が、フッ素樹脂100質量部に対し、400質量部以上600質量部以下であり、かつ有機ポリシラザンが0質量部以上200質量部以下であるコーティング液を用いる。具体的には、ここでは、下記の組成のコーティング液Aまたはコーティング液Bを用いる。
(コーティング液A)
フッ素樹脂溶液:フッ素樹脂成分0.1質量%、不活性有機溶剤99.4質量%以上99.6質量%以下
無機ポリシラザン+有機ポリシラザン:合計で0.3質量%以上0.5質量%以下
無機ポリシラザン:0.2質量%
有機ポリシラザン:0.1質量%以上0.3質量%以下
(コーティング液B)
フッ素樹脂溶液:フッ素樹脂成分0.1質量%、不活性有機溶剤99.3質量%以上99.5質量%以下
無機ポリシラザン+有機ポリシラザン:合計で0.4質量%以上0.6質量%以下
無機ポリシラザン:0.4質量%
有機ポリシラザン:0質量%以上0.2質量%以下
コーティング液Aまたはコーティング液Bを少なくとも表面側の少なくとも一部がガラスにより構成された、ガラスを用いた構造体のガラスの表面に塗布する。塗布方法は既に挙げた方法を用いる。
上記のようにしてコーティング液の塗布を行った後、空気中に放置したり、例えば240℃以下の温度で加熱したり、ヒートブロワーなどの熱風加工機により加熱したりすることにより数分で塗布層を硬化させる。空気中に放置する場合は、コーティング液の溶剤の蒸発とともに、空気中の水分の吸収による加水分解が起き、通常は4日で硬化が完了する。構造体の素材の耐熱温度に従って温度と加熱時間とを調整することにより、耐熱性が低い構造体であっても表面処理を問題なく行うことができる。
以上により、ガラスを用いた構造体のガラスの表面に表面改質コーティングを行うことができる。こうして形成されたコーティング層は、フッ素樹脂と無機ポリシラザンおよび有機ポリシラザンのうちの少なくとも無機ポリシラザンとを含有し、無機ポリシラザンおよび有機ポリシラザンの含有量が、フッ素樹脂100質量部に対し、300質量部以上500質量部以下であり、かつ有機ポリシラザンが100質量部以上300質量部以下であり、または、無機ポリシラザンおよび有機ポリシラザンの含有量が、フッ素樹脂100質量部に対し、400質量部以上600質量部以下であり、かつ有機ポリシラザンが0質量部以上200質量部以下である。
[実施例]
(試験1)
試験1では、コーティング液中の無機ポリシラザンおよび有機ポリシラザンの濃度によって、最終的に得られるコーティング層の持続性にどのような違いが発生するかを評価した。
試験1に用いた試料は次のようにして作製した。
市販の厚さ1mmのシリカガラス大判の表面を無水エタノールで脱脂した後、4cm×4cm(摩擦摩耗試験での最大サイズで、接触角試験でのサイズを維持)に切断し、試料作製用のガラス基板を多数作製した。それぞれのガラス基板の表面に無機ポリシラザンおよび有機ポリシラザンの濃度の異なるコーティング液を塗布した。その際、シリカガラスでの表裏による違いを排除するため、各ガラス基板の同一面を塗布面とした。
試料の番号およびコーティングに使用したコーティング液の組成を表1に示す。表1の冒頭に示されているNoneはコーティングを行っていない試料(ガラス基板そのもの)、Onlyは無機ポリシラザンおよび有機ポリシラザンのいずれも含有せず、フッ素樹脂のみ含有するコーティング液を用いてコーティングを行った場合である。コーティング液中のフッ素樹脂の濃度を0.10質量%に固定し、無機ポリシラザンの濃度および有機ポリシラザンの濃度を変えた。試料10-1、10-2、10-3は上記のコーティング液Aに含まれるコーティング液を用いた場合、試料20-0、20-1、20-2は上記のコーティング液Bに含まれるコーティング液を用いた場合である。有機ポリシラザンとしてはDurazane1500RC(100%溶液)、無機ポリシラザンとしてはDurazane2800(20%溶液)、フッ素樹脂溶液としては株式会社フロロテクノロジーのFG-5084F130-0.1(フッ素樹脂0.1質量%)を用いた。
Figure 2022174763000002
表1に示す各組成のコーティング液をガラス基板上にマイクロファイバークロスにて3回塗布した。塗布後、48時間超放置し、乾燥硬化させた。
こうしてコーティング層を形成した各試料に対し、ボールオンディスク摩擦摩耗試験機(株式会社ナノテック製)を使用して常温で摩擦摩耗試験を行った。この摩擦摩耗試験では、直径1/6インチのポリテトラフルオロエチレン製のボールを使用し、試料が載せられる回転ディスクの回転数は50rpm、ボールに加えられる荷重は1ニュートン(N)、ボールの回転半径は18mm、計測は1Hzで行った。
表1に各試料のコーティング層の持続性の評価結果を示す。ここで、持続性は、無機ポリシラザンおよび有機ポリシラザンを含有せず、フッ素樹脂のみ含有するコーティング液を用いてコーティングを行うことにより得られたNoneの試料と比較して摩擦力(動的摩擦力)および傾斜率(回転ディスクの回転数に対する摩擦力の変化率)が共に低いことが高評価であるものとする。また、図1は各試料について回転ディスクの回転数に対する摩擦力の推移をグラフ化したものである。表1より、無機ポリシラザンと有機ポリシラザンとの合計の濃度が0.30質量%以上0.50質量%以下かつ有機ポリシラザンの濃度が0.10質量%以上0.30質量%以下のコーティング液を用いてコーティングを行った試料10-1、10-2、10-3および無機ポリシラザンと有機ポリシラザンとの合計の濃度が0.40質量%以上0.60質量%以下かつ有機ポリシラザンの濃度が0質量%以上0.20質量%以下のコーティング液を用いてコーティングを行った試料20-0、20-1、20-1の持続性は極めて良好である。また、図1に示す結果からも、これらの試料10-1、10-2、10-3、20-0、20-1、20-2については、傾斜率が小さく持続性が良好であることが確認できる。
(2)試験2
試験2では、摩擦摩耗試験を行う前の表1に示す試料について、コーティング液中の無機ポリシラザンおよび有機ポリシラザンの濃度によって、最終的に得られるコーティング層の撥水性にどのような違いが発生するかを接触角の測定を行って評価した。
接触角の試験は、水滴接触角試験機(株式会社協和界面科学社製DM-501)を使用して行った。水滴接触角試験機では、液滴法で2μリットルの純水を滴下し、その接触角を測定した。
接触角の測定結果を表1に示す。表1より、試料10-1、10-2、10-3、20-0、20-1、20-2については、接触角が90度~99度と極めて大きく、極めて優れた撥水性を有することが確認できる。
試験1、2の結果より、試料10-1、10-2、10-3、20-0、20-1、20-2については、持続性および撥水性とも優れていることがわかる。
以上のように、この一実施の形態によれば、少なくとも表面側の少なくとも一部がガラスにより構成された、ガラスを用いた構造体のガラスの表面に、フッ素樹脂溶液と無機ポリシラザンおよび有機ポリシラザンのうちの少なくとも無機ポリシラザンとを含有し、無機ポリシラザンおよび有機ポリシラザンの含有量が、フッ素樹脂100質量部に対し、300質量部以上500質量部以下であり、かつ有機ポリシラザンが100質量部以上300質量部以下であり、または、無機ポリシラザンおよび有機ポリシラザンの含有量が、フッ素樹脂100質量部に対し、400質量部以上600質量部以下であり、かつ有機ポリシラザンが0質量部以上200質量部以下であるコーティング液を塗布することにより、持続性および撥水性が共に優れたコーティング層を形成することができ、それによって長期間に亘って構造体のガラスの表面を低摩擦および高撥水性の状態に維持し続けることができる。また、コーティングは1回で済むため極めて容易でコストも掛からない。
以上、この発明の実施の形態および実施例について具体的に説明したが、この発明は上述の実施の形態および実施例に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
この発明は、表面にガラスを有する製品などの、ガラスを用いた構造体のガラスの表面改質に利用することが可能である。
上記課題を解決するために、この発明は、
少なくとも表面側の少なくとも一部がガラスにより構成されている、ガラスを用いた構造体の上記ガラスの表面に、フッ素樹脂溶液と無機ポリシラザンおよび有機ポリシラザンのうちの少なくとも無機ポリシラザンとを含有し、上記無機ポリシラザンおよび上記有機ポリシラザンの含有量が、上記フッ素樹脂100質量部に対し、300質量部以上500質量部以下であり、かつ上記有機ポリシラザンが100質量部以上300質量部以下であり、または、上記無機ポリシラザンおよび上記有機ポリシラザンの含有量が、上記フッ素樹脂100質量部に対し、400質量部以上600質量部以下であり、かつ上記無機ポリシラザンが400質量部で上記有機ポリシラザンが0質量部以上200質量部以下であるコーティング液を塗布する工程を有する、ガラスを用いた構造体の製造方法である。
また、この発明は、
少なくとも表面側の少なくとも一部がガラスにより構成されている、ガラスを用いた構造体の製造方法であって、
ッ素樹脂と無機ポリシラザンおよび有機ポリシラザンのうちの少なくとも無機ポリシラザンとを含有し、上記無機ポリシラザンおよび上記有機ポリシラザンの含有量が、上記フッ素樹脂100質量部に対し、300質量部以上500質量部以下であり、かつ上記有機ポリシラザンが100質量部以上300質量部以下であり、または、上記無機ポリシラザンおよび上記有機ポリシラザンの含有量が、上記フッ素樹脂100質量部に対し、400質量部以上600質量部以下であり、かつ上記無機ポリシラザンが400質量部で上記有機ポリシラザンが0質量部以上200質量部以下であるコーティング液を上記ガラスの表面に塗布して硬化させることによりコーティング層を形成する
ことを特徴とする、ガラスを用いた構造体の製造方法である。
また、この発明は、
フッ素樹脂と無機ポリシラザンおよび有機ポリシラザンのうちの少なくとも無機ポリシラザンとを含有し、上記無機ポリシラザンおよび上記有機ポリシラザンの含有量が、上記フッ素樹脂100質量部に対し、300質量部以上500質量部以下であり、かつ上記有機ポリシラザンが100質量部以上300質量部以下であり、または、上記無機ポリシラザンおよび上記有機ポリシラザンの含有量が、上記フッ素樹脂100質量部に対し、400質量部以上600質量部以下であり、かつ上記無機ポリシラザンが400質量部で上記有機ポリシラザンが0質量部以上200質量部以下であるコーティング液を塗布して硬化させることによりコーティング層を形成する、コーティング層の形成方法である。
また、この発明は、
フッ素樹脂溶液と無機ポリシラザンおよび有機ポリシラザンのうちの少なくとも無機ポリシラザンとを含有し、上記無機ポリシラザンおよび上記有機ポリシラザンの含有量が、上記フッ素樹脂100質量部に対し、300質量部以上500質量部以下であり、かつ上記有機ポリシラザンが100質量部以上300質量部以下であり、または、上記無機ポリシラザンおよび上記有機ポリシラザンの含有量が、上記フッ素樹脂100質量部に対し、400質量部以上600質量部以下であり、かつ上記無機ポリシラザンが400質量部で上記有機ポリシラザンが0質量部以上200質量部以下であるコーティング液である。
コーティング液としては、フッ素樹脂溶液と無機ポリシラザンおよび有機ポリシラザンのうちの少なくとも無機ポリシラザンとを含有し、無機ポリシラザンおよび有機ポリシラザンの含有量が、フッ素樹脂100質量部に対し、300質量部以上500質量部以下であり、かつ有機ポリシラザンが100質量部以上300質量部以下であり、または、無機ポリシラザンおよび有機ポリシラザンの含有量が、フッ素樹脂100質量部に対し、400質量部以上600質量部以下であり、かつ無機ポリシラザンが400質量部で有機ポリシラザンが0質量部以上200質量部以下であるコーティング液を用いる。具体的には、ここでは、下記の組成のコーティング液Aまたはコーティング液Bを用いる。
以上により、ガラスを用いた構造体のガラスの表面にコーティング層を形成することができ、表面改質を行うことができる
以上のように、この一実施の形態によれば、少なくとも表面側の少なくとも一部がガラスにより構成された、ガラスを用いた構造体のガラスの表面に、フッ素樹脂溶液と無機ポリシラザンおよび有機ポリシラザンのうちの少なくとも無機ポリシラザンとを含有し、無機ポリシラザンおよび有機ポリシラザンの含有量が、フッ素樹脂100質量部に対し、300質量部以上500質量部以下であり、かつ有機ポリシラザンが100質量部以上300質量部以下であり、または、無機ポリシラザンおよび有機ポリシラザンの含有量が、フッ素樹脂100質量部に対し、400質量部以上600質量部以下であり、かつ無機ポリシラザンが400質量部で有機ポリシラザンが0質量部以上200質量部以下であるコーティング液を塗布することにより、持続性および撥水性が共に優れたコーティング層を形成することができ、それによって長期間に亘って構造体のガラスの表面を低摩擦および高撥水性の状態に維持し続けることができる。また、コーティングは1回で済むため極めて容易でコストも掛からない。

Claims (4)

  1. 少なくとも表面側の少なくとも一部がガラスにより構成されている、ガラスを用いた構造体の上記ガラスの表面に、フッ素樹脂溶液と無機ポリシラザンおよび有機ポリシラザンのうちの少なくとも無機ポリシラザンとを含有し、上記無機ポリシラザンおよび上記有機ポリシラザンの含有量が、上記フッ素樹脂100質量部に対し、300質量部以上500質量部以下であり、かつ上記有機ポリシラザンが100質量部以上300質量部以下であり、または、上記無機ポリシラザンおよび上記有機ポリシラザンの含有量が、上記フッ素樹脂100質量部に対し、400質量部以上600質量部以下であり、かつ上記有機ポリシラザンが0質量部以上200質量部以下であるコーティング液を塗布する工程を有する、ガラスを用いた構造体の製造方法。
  2. 少なくとも表面側の少なくとも一部がガラスにより構成されている、ガラスを用いた構造体であって、
    上記ガラスの表面にコーティング層を有し、
    上記コーティング層が、
    フッ素樹脂と無機ポリシラザンおよび有機ポリシラザンのうちの少なくとも無機ポリシラザンとを含有し、上記無機ポリシラザンおよび上記有機ポリシラザンの含有量が、上記フッ素樹脂100質量部に対し、300質量部以上500質量部以下であり、かつ上記有機ポリシラザンが100質量部以上300質量部以下であり、または、上記無機ポリシラザンおよび上記有機ポリシラザンの含有量が、上記フッ素樹脂100質量部に対し、400質量部以上600質量部以下であり、かつ上記有機ポリシラザンが0質量部以上200質量部以下である
    ことを特徴とする、ガラスを用いた構造体。
  3. フッ素樹脂と無機ポリシラザンおよび有機ポリシラザンのうちの少なくとも無機ポリシラザンとを含有し、上記無機ポリシラザンおよび上記有機ポリシラザンの含有量が、上記フッ素樹脂100質量部に対し、300質量部以上500質量部以下であり、かつ上記有機ポリシラザンが100質量部以上300質量部以下であり、または、上記無機ポリシラザンおよび上記有機ポリシラザンの含有量が、上記フッ素樹脂100質量部に対し、400質量部以上600質量部以下であり、かつ上記有機ポリシラザンが0質量部以上200質量部以下であるコーティング層。
  4. フッ素樹脂溶液と無機ポリシラザンおよび有機ポリシラザンのうちの少なくとも無機ポリシラザンとを含有し、上記無機ポリシラザンおよび上記有機ポリシラザンの含有量が、上記フッ素樹脂100質量部に対し、300質量部以上500質量部以下であり、かつ上記有機ポリシラザンが100質量部以上300質量部以下であり、または、上記無機ポリシラザンおよび上記有機ポリシラザンの含有量が、上記フッ素樹脂100質量部に対し、400質量部以上600質量部以下であり、かつ上記有機ポリシラザンが0質量部以上200質量部以下であるコーティング液。
JP2021080704A 2021-05-12 2021-05-12 ガラスを用いた構造体の製造方法、コーティング層の形成方法およびコーティング液 Active JP6960194B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021080704A JP6960194B1 (ja) 2021-05-12 2021-05-12 ガラスを用いた構造体の製造方法、コーティング層の形成方法およびコーティング液

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021080704A JP6960194B1 (ja) 2021-05-12 2021-05-12 ガラスを用いた構造体の製造方法、コーティング層の形成方法およびコーティング液

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6960194B1 JP6960194B1 (ja) 2021-11-05
JP2022174763A true JP2022174763A (ja) 2022-11-25

Family

ID=78409710

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021080704A Active JP6960194B1 (ja) 2021-05-12 2021-05-12 ガラスを用いた構造体の製造方法、コーティング層の形成方法およびコーティング液

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6960194B1 (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009008380A1 (ja) * 2007-07-06 2009-01-15 Asahi Glass Company, Limited 表面処理剤、物品、および新規含フッ素エーテル化合物
JP2013129557A (ja) * 2011-12-21 2013-07-04 Sharp Corp ガラス基板への成膜方法
WO2019065035A1 (ja) * 2017-09-27 2019-04-04 信越化学工業株式会社 含フッ素コーティング剤組成物、表面処理剤及び物品
JP2019514829A (ja) * 2016-04-28 2019-06-06 ディーエヌエフ カンパニー リミテッドDNF Co. Ltd. 防眩ガラスおよびその製造方法
JP2019183149A (ja) * 2018-03-30 2019-10-24 住友化学株式会社 混合組成物

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009008380A1 (ja) * 2007-07-06 2009-01-15 Asahi Glass Company, Limited 表面処理剤、物品、および新規含フッ素エーテル化合物
JP2013129557A (ja) * 2011-12-21 2013-07-04 Sharp Corp ガラス基板への成膜方法
JP2019514829A (ja) * 2016-04-28 2019-06-06 ディーエヌエフ カンパニー リミテッドDNF Co. Ltd. 防眩ガラスおよびその製造方法
WO2019065035A1 (ja) * 2017-09-27 2019-04-04 信越化学工業株式会社 含フッ素コーティング剤組成物、表面処理剤及び物品
JP2019183149A (ja) * 2018-03-30 2019-10-24 住友化学株式会社 混合組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP6960194B1 (ja) 2021-11-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Cao et al. Sprayable superhydrophobic coating with high processibility and rapid damage-healing nature
Hsieh et al. Improvement of water and oil repellency on wood substrates by using fluorinated silica nanocoating
JP5713079B2 (ja) パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物および表面処理剤
Meuler et al. Examination of wettability and surface energy in fluorodecyl POSS/polymer blends
KR100672857B1 (ko) 실리콘 이형조성물 및 이를 이용한 실리콘 이형 플라스틱필름
US8580027B1 (en) Sprayed on superoleophobic surface formulations
Zhao et al. Synthesis of a waterborne polyurethane-fluorinated emulsion and its hydrophobic properties of coating films
Hsieh et al. Water and oil repellency of flexible silica-coated polymeric substrates
WO2014120662A1 (en) Super hydrophobic coating
Söz et al. Simple processes for the preparation of superhydrophobic polymer surfaces
Rosu et al. Sustainable and long-time ‘rejuvenation’of biomimetic water-repellent silica coating on polyester fabrics induced by rough mechanical abrasion
Lei et al. Fabrication of durable superhydrophobic coatings with hierarchical structure on inorganic radome materials
Zhou et al. Castor oil-based transparent and omniphobic polyurethane coatings with high hardness, anti-smudge and anti-corrosive properties
Liu et al. Robust and chemically stable superhydrophobic composite ceramic coating repellent even to hot water
Lionti et al. Hybrid silica coatings on polycarbonate: enhanced properties
Nagappan et al. Polymethylhydrosiloxane-based organic–inorganic hybrids for amphiphobic coatings
JP2022174763A (ja) ガラスを用いた構造体の製造方法、コーティング層の形成方法およびコーティング液
Ejenstam et al. Toward superhydrophobic polydimethylsiloxane− silica particle coatings
CN111716832B (zh) 抗静电有机硅离型膜
Sun et al. Bioinspired Bola polysiloxane for wettability, breathability, and softness in fabrics
JP2006307124A (ja) 常温硬化型無機質コーティング膜及びコーティング剤
Jiang et al. Fabrication of fluoride-free water repellency cotton fabrics with water-borne polyurethane/acrylate dispersion
Liu et al. Double cross-linked transparent superhydrophilic coating capable of anti-fogging even after abrasion and boiling
JP7118380B1 (ja) 鉄系金属を用いた構造体の製造方法、アルミニウムまたはアルミニウム合金を用いた構造体の製造方法、硬質合成樹脂を用いた構造体の製造方法およびコーティング液
Liu et al. Interfacial adhesion of polyamide 66 fibres to an aqueous polyurethane–acrylic hybrid polymer adhesive

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210512

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20210512

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210707

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210811

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210922

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20211004

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6960194

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150