JP2022174518A - ポンプ機場系統配管の加振診断方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポンプ機場において補機の系統配管の異常やその予兆を発見することができるポンプ機場系統配管の加振診断方法の提供。【解決手段】ポンプ機場系統配管の加振診断方法は、主ポンプと、主ポンプを稼働させる補機とが設けられたポンプ機場1において、補機の系統配管100の特定箇所を加振し、当該加振による系統配管100の振動結果に基づいて、系統配管100を診断する。【選択図】図7
Description
本発明は、ポンプ機場系統配管の加振診断方法に関するものである。
従来から、大雨時等に湛水防除の目的で稼働するポンプ機場が知られている。このようなポンプ機場では、洪水時において確実な稼働が必要であり、設備全体の健全性を確認するために、主ポンプ及びその補機の管理及び監視が必要不可欠である。下記特許文献1には、画像取得手段を用いて主ポンプを点検するポンプ点検方法が開示されている。また、下記特許文献2には、主ポンプの停止時間に基づいて、主ポンプの点検・補修時期を予測するポンプ管理方法が開示されている。
上記従来技術のように、主ポンプの保守点検については、様々な方法が開示されているが、補機の系統配管(特に小配管)の保守点検については、未だ有効な方法が確立されていないのが現状である。従来、ポンプ機場では、洪水時の排水運転に備え、定期的に管理運転を行っているが、排水するための水が無い場合や、排水することができない環境下においては、主ポンプを運転させずに、補機の外観目視確認や、補機の運転確認のみを実施している。
補機の外観目視確認や、補機の運転確認のみでは、補機の系統配管にゴミや錆などにより詰まり始めている場合、また、系統配管が腐食により減肉や孔食が生じ始めている場合、また、系統配管が経年劣化や異物衝突などによりクラックが生じ始めている場合など、それら異常に気付くことは困難であり、異常の発見が遅れてしまうことがある。なお、この問題は、管理運転において主ポンプの排水運転ができた場合においても同様である。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ポンプ機場において補機の系統配管の異常やその予兆を発見することができるポンプ機場系統配管の加振診断方法の提供を目的とする。
本発明の一態様に係るポンプ機場系統配管の加振診断方法は、主ポンプと、前記主ポンプを稼働させる補機とが設けられたポンプ機場において、前記補機の系統配管の特定箇所を加振し、当該加振による前記系統配管の振動結果に基づいて、前記系統配管を診断する。
上記ポンプ機場系統配管の加振診断方法においては、前記系統配管には、前記主ポンプの駆動装置に冷却水を供給する冷却水系統の系統配管、前記主ポンプを呼び水で満たす満水系統の系統配管、前記主ポンプの軸封部に封水液を供給する封水系統の系統配管、前記主ポンプの駆動装置に圧縮空気を供給する圧縮空気系統の系統配管、前記ポンプ機場の排水系統の系統配管、のうち少なくとも1つが含まれていてもよい。
上記ポンプ機場系統配管の加振診断方法においては、前記系統配管の振動結果と、過去に測定した前記系統配管の振動結果と、を比較することで前記系統配管を診断してもよい。
上記ポンプ機場系統配管の加振診断方法においては、前記系統配管の診断は、前記ポンプ機場の運転停止時、または、前記ポンプ機場の管理運転時に行ってもよい。
上記ポンプ機場系統配管の加振診断方法においては、前記系統配管を加振する加振点には、前記系統配管の配管同士の接続部、前記接続部と一つ隣の接続部との間、前記系統配管を支持する配管サポート、前記配管サポートと一つ隣の配管サポートとの間、のうち少なくとも1つが含まれていてもよい。
上記ポンプ機場系統配管の加振診断方法においては、前記系統配管の特定箇所には、前記系統配管において常時水が溜まる箇所が含まれていてもよい。
上記ポンプ機場系統配管の加振診断方法においては、前記系統配管の特定箇所には、前記系統配管において設置位置が一番低い箇所が含まれていてもよい。
上記ポンプ機場系統配管の加振診断方法においては、前記系統配管の診断は、前記系統配管が充水されている状態と、前記系統配管が空の状態のそれぞれで行ってもよい。
上記ポンプ機場系統配管の加振診断方法においては、前記系統配管の診断は、前記系統配管の振動結果を周波数分析して行ってもよい。
上記本発明の一態様によれば、ポンプ機場において補機の系統配管の異常やその予兆を発見することができるポンプ機場系統配管の加振診断方法を提供できる。
以下、本発明の一実施形態に係るポンプ機場系統配管の加振診断方法について図面を参照して説明する。以下の説明では、本発明の適用例として、大雨時等に湛水防除の目的で稼働するポンプ機場を例示する。
図1は、一実施形態に係るポンプ機場1の全体構成図である。
図1に示すポンプ機場1は、複数台の主ポンプ10と、主ポンプ10を稼働させる複数台の補機20と、を備える。ポンプ機場1は、主ポンプ10として、4台の横軸ポンプを備える。また、ポンプ機場1は、補機20として、真空ポンプ21、燃料移送ポンプ22、空気圧縮機23(コンプレッサ)、冷却水ポンプ24、封水ポンプ25などを備える。
図1に示すポンプ機場1は、複数台の主ポンプ10と、主ポンプ10を稼働させる複数台の補機20と、を備える。ポンプ機場1は、主ポンプ10として、4台の横軸ポンプを備える。また、ポンプ機場1は、補機20として、真空ポンプ21、燃料移送ポンプ22、空気圧縮機23(コンプレッサ)、冷却水ポンプ24、封水ポンプ25などを備える。
主ポンプ10は、横方向(水平方向)に延びる主軸に羽根車が取り付けられた横軸ポンプである。なお、主ポンプ10は、縦方向(鉛直方向)に延びる主軸に羽根車が取り付けられた立軸ポンプであっても構わない。主ポンプ10は、駆動装置15によって駆動する。駆動装置15は、内燃機関(ディーゼルエンジンなど)を備える回転機4と、回転機4に接続された減速機5と、を備える。
回転機4の駆動軸には減速機5が連結され、減速機5には主ポンプ10の主軸が連結されている。回転機4を駆動することによって、減速機5を介して主ポンプ10の主軸が回転し、主軸に取り付けられた羽根車の回転によって、図示しない吸込水槽の水が揚水されて、その水が、図示しない吐出水槽に吐出されるようになっている。
真空ポンプ21は、主ポンプ10の起動時に、主ポンプ10内の空気を吸引し、主ポンプ10内を呼び水で満たす満水系統30を構成している。真空ポンプ21は、主ポンプ10に系統配管30aを介して接続されている。系統配管30aには、主ポンプ10内の呼び水の満水を検知するための満水検知器14と、系統配管30aを開閉するための吸気弁31(電動弁又は電磁弁)と、が設けられている。
真空ポンプ21は、電動機21aによって駆動する。この真空ポンプ21は、例えば水封式真空ポンプであって、その吸気側には補給水を給水する給水管32が接続され、排気側には吸い込んだ空気を排出する排出管33bが接続されている。給水管32は、補水槽34と接続され、給水管32を開閉する給水弁35(通常は手動弁)が設けられている。
燃料移送ポンプ22は、回転機4の燃料を汲み上げるものである。この燃料移送ポンプ22は、電動機22aによって駆動する。燃料移送ポンプ22は、燃料供給配管40に設けられている。燃料供給配管40においては、燃料移送ポンプ22の駆動によって、燃料を貯蔵する地下貯油槽6から地上の所定高さに設置された燃料小出槽7に燃料が汲み上げられ、この燃料小出槽7から回転機4に燃料が供給される。燃料小出槽7に燃料を蓄えておくことで、燃料移送ポンプ22が駆動していない間でも、必要な供給圧で燃料を回転機4に供給することができる。
空気圧縮機23は、主ポンプ10の回転機4に圧縮空気を供給する圧縮空気系統50を構成している。空気圧縮機23は、空気槽8に系統配管50aを介して接続されている。空気圧縮機23は、回転機4を始動させる圧縮空気(始動用空気)を空気槽8へ充気するものである。この空気圧縮機23は、電動機23aによって駆動する。系統配管50aにおいては、空気圧縮機23の駆動によって圧気された圧縮空気が空気槽8に充気され、この空気槽8から回転機4に圧縮空気が供給される。空気槽8に圧縮空気を蓄えておくことで、圧縮空気を回転機4に供給して、始動することができる。
冷却水ポンプ24は、主ポンプ10を駆動させる駆動装置15に冷却水を供給する冷却水系統60を構成している。この冷却水ポンプ24は、電動機24aによって駆動する。冷却水ポンプ24は、駆動装置15の熱交換器9に系統配管60aを介して接続されている。図9に示す熱交換器9は、回転機4に設けられているが、さらに減速機5にも設けられていてもよい。系統配管60aにおいては、冷却水ポンプ24の駆動によって冷却水槽61から冷却水が汲み上げられ、各駆動装置15の熱交換器9に冷却水が供給される。また、系統配管60aにおいては、熱交換器9に供給された冷却水は、冷却水槽61に戻り循環する。
冷却水槽61には、系統配管60bを介して原水(河川水など)が供給されるようになっている。系統配管60bには、取水ポンプ72が設けられている。この取水ポンプ72は、電動機72aによって駆動する。系統配管60bにおいては、取水ピット71から取水ポンプ72の駆動によって、原水が取水され、ストレーナ73やサンドセパレーター74などの濾過装置で砂や泥などの異物を除去した原水が冷却水槽61に供給される。
冷却水槽61には、冷却水ポンプ24の他に封水ポンプ25が設けられている。封水ポンプ25は、主ポンプ10の軸封部16に封水液を供給する封水系統80を構成している。この封水ポンプ25は、電動機25aによって駆動する。封水ポンプ25は、主ポンプ10の軸封部16に系統配管80aを介して接続されている。系統配管80aには、各主ポンプ10の軸封部16に接続される枝管81aを開閉する封水弁81(電動弁又は電磁弁)が設けられている。系統配管80aにおいては、封水ポンプ25の駆動によって冷却水槽61から封水液が汲み上げられ、各主ポンプ10の軸封部16に封水液が供給される。
図2は、一実施形態に係る冷却水系統60の系統配管60aの特定箇所Wを示す説明図である。
図2に示すように、冷却水系統60の系統配管60aは、冷却水槽61からポンプ機場1の建屋内の駆動装置15(熱交換器9)に至る上り配管と、駆動装置15(熱交換器9)から冷却水槽61に至る下り配管と、を有している。なお、図2に示す駆動装置15は、主ポンプ10(横軸ポンプの場合)と同じ建屋内の設置フロア2に設置されている。
図2に示すように、冷却水系統60の系統配管60aは、冷却水槽61からポンプ機場1の建屋内の駆動装置15(熱交換器9)に至る上り配管と、駆動装置15(熱交換器9)から冷却水槽61に至る下り配管と、を有している。なお、図2に示す駆動装置15は、主ポンプ10(横軸ポンプの場合)と同じ建屋内の設置フロア2に設置されている。
系統配管60aの上り配管には、その上流側から順に、冷却水ポンプ24、逆流防止弁62、及び開閉弁63が設けられている。このため、系統配管60aの上り配管には、冷却水ポンプ24が停止中は、水を抜かない限り、逆流防止弁62より下流側(2次側)において常時水が溜まる特定箇所Wが発生する。
系統配管60aの下り配管には、冷却水ポンプ24の停止後にサイホン原理により水の流れが止まらなくなることを防ぐために自動空気抜き弁64が設けられている。このため、系統配管60aの下り配管は、冷却水ポンプ24の運転中は充水された状態、冷却水ポンプ24の停止中は空の状態となる。
図3は、一実施形態に係る封水系統80の系統配管80aの特定箇所Wを示す説明図である。図4は、図3に示す矢視IV-IV断面図である。
図3及び図4に示すように、封水系統80の系統配管80aの一部は、ポンプ機場1の建屋内の維持管理通路を確保するために、建屋内の設置フロア2に設けられたピット2a内に配置されている。
図3及び図4に示すように、封水系統80の系統配管80aの一部は、ポンプ機場1の建屋内の維持管理通路を確保するために、建屋内の設置フロア2に設けられたピット2a内に配置されている。
ピット2aは、図3に示すように、設置フロア2の床面よりも低くなった溝であり、その開口部は、ピット蓋2bによって覆われている。系統配管80aは、図4に示すように、U字状に曲がって、ピット2a内に配置されている。このため、系統配管80aには、封水ポンプ25の停止中は、水を抜かない限り、少なくともピット2a内に配置される部分において常時水が溜まる特定箇所Wが発生する。なお、系統配管80aのピット2a内に配置される部分は、系統配管80aにおいて設置位置が一番低い特定箇所Lにも該当する。
図5は、一実施形態に係る満水系統30の系統配管30aの特定箇所Lを示す説明図である。図6は、図5に示す矢視VI-VI断面図である。
図5に示すように、満水系統30の系統配管30aは、主ポンプ10の上部に接続されている。系統配管30aにおいては、真空ポンプ21により吸気され、主ポンプ10が満水になると満水検知器14のフロートにより吸気が遮断される。
図5に示すように、満水系統30の系統配管30aは、主ポンプ10の上部に接続されている。系統配管30aにおいては、真空ポンプ21により吸気され、主ポンプ10が満水になると満水検知器14のフロートにより吸気が遮断される。
図6に示すように、この系統配管30aも、建屋内の維持管理通路を確保するために、設置フロア2に設けられたピット2a内に配置されることがある。系統配管30aのピット2a内に配置される部分は、系統配管30aにおいて設置位置が一番低い特定箇所Lに該当する。
ところで、満水検知器14のフロートにより水が遮断されるとき、遮断される直前にはわずかに水を含む空気が吸気され、系統配管30a内に水が入り込む場合がある。また、気温、湿度、圧力変化に伴い、飽和蒸気圧を上回り、系統配管30a内に水が発生することがある。このような水は、系統配管30aにおいて設置位置が一番低い特定箇所Lに溜まり易い。
続いて、上記のように、常時水が溜まり、及び/または、水が溜まりやすく、錆や腐食が発生し易い特定箇所W,Lにおいて効果的に異常やその予兆を診断することができるポンプ機場系統配管の加振診断方法(以下、本手法と称する)について説明する。
図7は、一実施形態に係るポンプ機場系統配管の加振診断方法を示す説明図である。
図7に示すように、本手法では、作業員200が、上述した補機20の系統配管100の特定箇所W,Lを加振し、当該加振による系統配管100の振動結果に基づいて、系統配管100を診断する。
図7に示すように、本手法では、作業員200が、上述した補機20の系統配管100の特定箇所W,Lを加振し、当該加振による系統配管100の振動結果に基づいて、系統配管100を診断する。
ここで、診断の対象となる系統配管100には、上述した図1に示す、主ポンプ10の駆動装置15に冷却水を供給する冷却水系統60の系統配管60a、主ポンプ10を呼び水で満たす満水系統30の系統配管30a、主ポンプ10の軸封部16に封水液を供給する封水系統80の系統配管80a、主ポンプ10の駆動装置15に圧縮空気を供給する圧縮空気系統50の系統配管50a、及び、ポンプ機場1の図示しない排水系統の系統配管、のうち少なくとも1つが含まれている。排水系統の系統配管としては、ポンプ機場1内の雑排水を排水する床排水ポンプを設置する場合の場内排水配管、また、主ポンプ10や補機20の各種ポンプなどからドレンを排水するためのドレン配管などが該当する。
本手法では、図7に示すように、作業員200が、ハンマー201と測定器202を保持しており、ハンマー201で系統配管100を叩き、その打撃音またはその振動を測定器202によって測定する。なお、ハンマー201の形状、使用、特徴は、系統配管100の打撃に適したものを選択するとよい。また、測定器202は、系統配管100から発する打撃音を測定する騒音計や、系統配管100の振動を測定する振動計などであるが、その性能(精密さ)は、系統配管100の打撃音や振動の測定に適したものを選択するとよい。
系統配管100においては、配管の口径、材質、形状、肉厚は特定しないが、系統配管100の多くは、SGP、SGPW、STPGなどの炭素鋼鋼管であったり、SUS管などのステンレス鋼鋼管、あるいは銅管などである。また、系統配管100は、JIS規格で8A~300A(8mm~300mm)程度の口径の円管(いわゆる小配管)などである。
系統配管100は、配管同士を接続する接続部101を備えている。図7に示す接続部101は、フランジ接続の場合を例示しているが、ねじ込み接続、溶接接続であってもよい。このような系統配管100は、複数の配管サポート102によって支持されている。
次に、本手法において、系統配管100を加振する加振点Pの好ましい位置について説明する。
次に、本手法において、系統配管100を加振する加振点Pの好ましい位置について説明する。
図8は、一実施形態に係るポンプ機場系統配管の加振診断方法において好ましい加振点Pを示す説明図である。
図8に示すように、系統配管100を加振する加振点Pには、加振点P1~P4の少なくとも1つが含まれているとよい。
図8に示すように、系統配管100を加振する加振点Pには、加振点P1~P4の少なくとも1つが含まれているとよい。
加振点P1は、系統配管100の配管同士の接続部101である。加振点P2は、接続部101と一つ隣の接続部101との間である。具体的に、加振点P2は、接続部101から一つ隣の接続部101までの距離をAとした場合、A/2の位置であるとよい。加振点P1は、錆や腐食などが比較的発生し易い接続部101を直接加振させるため、その異常や予兆を発見し易くなる。また、加振点P2は、接続部101からある程度離れており、接続部101以外の錆や腐食などを発見し易くなる。
加振点P3は、系統配管100を支持する配管サポート102である。加振点P4は、配管サポート102と一つ隣の配管サポート102との間である。具体的に、加振点P4は、配管サポート102から一つ隣の配管サポート102までの距離をBとした場合、B/2の位置であるとよい。加振点P3は、配管サポート102によって系統配管100が固定されているため、同条件下での振動の測定ができる。また、加振点P4は、配管サポート102と配管サポート102との間であるため、系統配管100の振幅が大きくなり易く、系統配管100の音や振動を測定器202で測定し易くなる。
図9は、一実施形態に係る測定器202の測定結果(初期の測定データ)を周波数分析したグラフである。図10は、一実施形態に係る測定器202の測定結果(異常発生時の測定データ)を周波数分析したグラフである。図9及び図10においては、横軸を周波数、縦軸を音圧レベルとしたFFT分析の結果の例を示している。
図9及び図10に示すように、系統配管100の診断は、系統配管100の振動結果を周波数分析して比較すると行い易い。
図9及び図10に示すように、系統配管100の診断は、系統配管100の振動結果を周波数分析して比較すると行い易い。
図9及び図10に示すように、符号300で囲ったあるピークの周波数成分(卓越周波数)を観察すると、図9よりも図10の方が明らかに高くなっており、図10では何らかの異常が発生していることが分かる。なお、系統配管100の固有周波数は、各機場、各位置により異なるため、図9に示すように、初期の測定データと比較して、系統配管100の異常またはその予兆を診断するとよい。
系統配管100において詰まりが生じた場合、特定周波数で変化する、または、振動波形自体が変化する。その時の異常発生時の測定データは、例えば、図9に示す初期の測定データの卓越周波数の1つまたは複数で、音圧レベルが上がる、下がるなどして変化する場合がある。また、その時の異常発生時の測定データは、例えば、図9に示す初期の測定データと比較して卓越周波数が変わるまたは無くなる場合もある。
以上のような変化を観察することで、系統配管100の異常及びその予兆の発見が可能となる。
以上のような変化を観察することで、系統配管100の異常及びその予兆の発見が可能となる。
このように、上述した本実施形態に係るポンプ機場系統配管の加振診断方法は、主ポンプ10と、主ポンプ10を稼働させる補機20とが設けられたポンプ機場1において、補機20の系統配管100の特定箇所を加振し、当該加振による系統配管100の振動結果に基づいて、系統配管100を診断する。この手法によれば、従来の補機20の外観目視確認や、補機20の運転確認のみでは発見できなかった系統配管100の異常やその予兆を発見することができる。
また、本実施形態においては、系統配管100には、主ポンプ10の駆動装置15に冷却水を供給する冷却水系統60の系統配管60a、主ポンプ10を呼び水で満たす満水系統30の系統配管30a、主ポンプ10の軸封部16に封水液を供給する封水系統80の系統配管80a、主ポンプ10の駆動装置15に圧縮空気を供給する圧縮空気系統50の系統配管50a、ポンプ機場1の排水系統の系統配管、のうち少なくとも1つが含まれている。これらは、錆や腐食が生じ易い系統配管100であるため、本手法により異常やその予兆を発見し易くなる。
また、本実施形態においては、系統配管100の振動結果と、過去に測定した系統配管100の振動結果と、を比較することで系統配管100を診断する。例えば、上述した初期の測定データと、点検時の異常発生時のデータとを比較することにより、初期の測定データとの相違、変化を発見し、異物や錆などによる詰まり、腐食による減肉部、クラックなどの異常を早期に発見することができ、系統配管100の傾向管理を可能とすることができる。また、系統配管100の詰まりや腐食による減肉、クラックなどの各異常状態またはその途中段階での分析結果にある一定の特徴が見いだせると、教師データとして、系統配管100の異常及びその予兆を発見し易くなる。
また、本実施形態においては、系統配管100の診断は、ポンプ機場1の運転停止時、または、ポンプ機場1の管理運転時に行うとよい。この手法によれば、例えば、上述したハンマー201による加振診断は管理運転ができないポンプ機場1において月1回程度とし、管理運転が可能なポンプ機場1においては管理運転時期に合わせて実施すれば、系統配管100を定期的に診断することができる。
また、本実施形態においては、系統配管100を加振する加振点Pには、系統配管100の配管同士の接続部101、接続部101と一つ隣の接続部101との間、系統配管100を支持する配管サポート102、配管サポート102と一つ隣の配管サポート102との間、のうち少なくとも1つが含まれている。なお、同じ位置を加振するため、加振点Pには、シール、塗装などでマークを行い、加振診断の精度を向上させるとよい。
加振点P1は、接続部101において錆や腐食などが比較的発生し易いため、その異常や予兆を発見し易くなる。また、加振点P2は、接続部101からある程度離れており、接続部101以外の錆や腐食などを発見し易くなる。また、加振点P3は、配管サポート102によって系統配管100が固定されているため、同条件下で振動の測定ができる。また、加振点P4は、配管サポート102と配管サポート102との間であるため、系統配管100の振幅が大きくなり、系統配管100の音や振動を測定器202で測定し易くなる。
また、加振点Pを二つ以上設定することで、各々の測定値の違い(周波数変化や減衰)を診断し、異常箇所の位置を特定することができる。また、各々の測定値の変化(経年変化)に合わせ、測定値の変化の傾向を捉えることで、より精度の高い診断が可能となる。なお、加振点Pの1つ(例えば配管サポート102を利用できる加振点P3)に測定器202を取り付けて、加振点P1~P4を順に変えることにより、応答時間の違いから異常箇所の特定ができる。
また、本実施形態においては、系統配管100の上記特定箇所には、系統配管100において常時水が溜まる特定箇所Wが含まれている。この手法によれば、錆や腐食が特に生じ易い特定箇所Wにおける異常及びその予兆の診断が可能になる。
また、本実施形態においては、系統配管100の特定箇所には、系統配管100において設置位置が一番低い特定箇所Lが含まれている。この手法によれば、錆や腐食が特に生じ易い特定箇所Lにおける異常及びその予兆の診断が可能になる。
また、本実施形態においては、系統配管100の診断は、系統配管100が充水されている状態と、系統配管100が空の状態のそれぞれで行うとよい。これは、系統配管100の充水時と空の状態または空気だまりの状態で特徴が出るためである。例えば、系統配管100を加振することで、水の有無が分かる。つまり、系統配管100に水だまりが出来ていることや、空気だまりが生じていることが分かる。また、系統配管100で異常が生じている場合、例えば、水があるときには特徴は出ないが、水を抜いて空にすると特徴が出る、またはその逆もある。
また、本実施形態においては、系統配管100の診断は、系統配管100の振動結果を周波数分析して行う。系統配管100の診断は、系統配管100の振動結果を周波数分析して行うと比較し易いためである。なお、周波数分析は、実時間分析又は/及びFFT分析を行い、相違点、変化点を抽出するとよい。
以上、本発明の好ましい実施形態を記載し説明してきたが、これらは本発明の例示的なものであり、限定するものとして考慮されるべきではないことを理解すべきである。追加、省略、置換、およびその他の変更は、本発明の範囲から逸脱することなく行うことができる。従って、本発明は、前述の説明によって限定されていると見なされるべきではなく、特許請求の範囲によって制限されている。
図11は、一実施形態の変形例に係るポンプ機場系統配管の加振診断方法を示す説明図である。
図11に示す手法では、作業員200が、系統配管100に錘211を落として特定箇所W,Lを加振し、当該加振による系統配管100の振動結果に基づいて、系統配管100を診断している。この手法では、系統配管100に一定の打撃を与えるため、系統配管100に筒部210を取り付け、当該筒部210の上端の決まった高さから錘211を落とすようにしている。これにより、同条件下で系統配管100の加振及び診断ができる。
図11に示す手法では、作業員200が、系統配管100に錘211を落として特定箇所W,Lを加振し、当該加振による系統配管100の振動結果に基づいて、系統配管100を診断している。この手法では、系統配管100に一定の打撃を与えるため、系統配管100に筒部210を取り付け、当該筒部210の上端の決まった高さから錘211を落とすようにしている。これにより、同条件下で系統配管100の加振及び診断ができる。
図12は、一実施形態の他の変形例に係るポンプ機場系統配管の加振診断方法を示す説明図である。
図12に示す手法では、作業員200が、系統配管100に振動スピーカー220を接触させて特定箇所W,Lを加振し、当該加振による系統配管100の振動結果に基づいて、系統配管100を診断している。この手法では、振動スピーカー220よって一定の加振を与えるため、同条件下で系統配管100の加振及び診断ができる。
図12に示す手法では、作業員200が、系統配管100に振動スピーカー220を接触させて特定箇所W,Lを加振し、当該加振による系統配管100の振動結果に基づいて、系統配管100を診断している。この手法では、振動スピーカー220よって一定の加振を与えるため、同条件下で系統配管100の加振及び診断ができる。
また、例えば、上記実施形態では、系統配管100の特定箇所として、系統配管100において常時水が溜まる特定箇所Wや、系統配管100において設置位置が一番低い特定箇所Lを例示したが、その他、曲管部や、レジューサ管部などでも加振診断しても構わない。
また、例えば、充水された系統配管100では、流体を伝わる波動の影響も受ける可能性があるため、充水された系統配管の途中に設けられた弁類を利用し、弁類を開閉することにより異常発生位置を判別しても構わない。水系統の系統配管100は基本、充水されていることが常態であるため、加振診断時に特定区間を、弁類を閉操作することにより区切り、診断を行うとよい。閉鎖区間にすることにより内部流体を伝わる波動の影響を受けずに診断を行うことができる。また、弁類に変わり、配管の途中にゴムフレキのような振動絶縁部を設けることにより区切り診断を行っても良い。これにより、系統配管100の表面の振動が伝わらず、流体からの伝搬となるため、配管内部の異常箇所の特定がし易くなる。
1…ポンプ機場、2…設置フロア、2a…ピット、2b…ピット蓋、4…回転機、5…減速機、6…地下貯油槽、7…燃料小出槽、8…空気槽、9…熱交換器、10…主ポンプ、14…満水検知器、15…駆動装置、16…軸封部、20…補機、21…真空ポンプ、21a…電動機、22…燃料移送ポンプ、22a…電動機、23…空気圧縮機、23a…電動機、24…冷却水ポンプ、24a…電動機、25…封水ポンプ、25a…電動機、30…満水系統、30a…系統配管、31…吸気弁、32…給水管、33b…排出管、34…補水槽、35…給水弁、40…燃料供給配管、50…圧縮空気系統、50a…系統配管、60…冷却水系統、60a…系統配管、60b…系統配管、61…冷却水槽、62…逆流防止弁、63…開閉弁、64…自動空気抜き弁、71…取水ピット、72…取水ポンプ、72a…電動機、73…ストレーナ、74…サンドセパレーター、80…封水系統、80a…系統配管、81…封水弁、81a…枝管、100…系統配管、101…接続部、102…配管サポート、200…作業員、201…ハンマー、202…測定器、210…筒部、211…錘、220…振動スピーカー、L…特定箇所、P…加振点、P1…加振点、P2…加振点、P3…加振点、P4…加振点、W…特定箇所
Claims (9)
- 主ポンプと、前記主ポンプを稼働させる補機とが設けられたポンプ機場において、前記補機の系統配管の特定箇所を加振し、当該加振による前記系統配管の振動結果に基づいて、前記系統配管を診断する、ことを特徴とするポンプ機場系統配管の加振診断方法。
- 前記系統配管には、
前記主ポンプの駆動装置に冷却水を供給する冷却水系統の系統配管、
前記主ポンプを呼び水で満たす満水系統の系統配管、
前記主ポンプの軸封部に封水液を供給する封水系統の系統配管、
前記主ポンプの駆動装置に圧縮空気を供給する圧縮空気系統の系統配管、
前記ポンプ機場の排水系統の系統配管、のうち少なくとも1つが含まれる、ことを特徴する請求項1に記載のポンプ機場系統配管の加振診断方法。 - 前記系統配管の振動結果と、過去に測定した前記系統配管の振動結果と、を比較することで前記系統配管を診断する、ことを特徴とする請求項1または2に記載のポンプ機場系統配管の加振診断方法。
- 前記系統配管の診断は、前記ポンプ機場の運転停止時、または、前記ポンプ機場の管理運転時に行う、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のポンプ機場系統配管の加振診断方法。
- 前記系統配管を加振する加振点には、
前記系統配管の配管同士の接続部、
前記接続部と一つ隣の接続部との間、
前記系統配管を支持する配管サポート、
前記配管サポートと一つ隣の配管サポートとの間、のうち少なくとも1つが含まれる、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のポンプ機場系統配管の加振診断方法。 - 前記系統配管の特定箇所には、前記系統配管において常時水が溜まる箇所が含まれる、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のポンプ機場系統配管の加振診断方法。
- 前記系統配管の特定箇所には、前記系統配管において設置位置が一番低い箇所が含まれる、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載のポンプ機場系統配管の加振診断方法。
- 前記系統配管の診断は、前記系統配管が充水されている状態と、前記系統配管が空の状態のそれぞれで行う、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載のポンプ機場系統配管の加振診断方法。
- 前記系統配管の診断は、前記系統配管の振動結果を周波数分析して行う、ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載のポンプ機場系統配管の加振診断方法。
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