JP2022173791A - 電磁波検出器および電磁波検出器集合体 - Google Patents

電磁波検出器および電磁波検出器集合体 Download PDF

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Shoichiro Fukushima
政彰 嶋谷
Masaaki Shimatani
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Abstract

【課題】高い感度を有する電磁波検出器および電磁波検出器集合体を提供する。【解決手段】電磁波検出器100は、第1光増感層2aと、第1電極部4aと、第1絶縁層3aと、二次元材料層1と、第2電極部4bと、第2光増感層2bとを備えている。第1絶縁層3aは、第1光増感層2a上に設けられている。二次元材料層1は、第1絶縁層3a上に設けられている。二次元材料層1は、第1光増感層2aに電気的に接続されている。第1光増感層2aは、二次元材料層1に接続されている。第2光増感層2bは、第1光増感層2aと異なる波長域に吸収最大値を有している。第2光増感層2bは、第1光増感層2aと異なる波長域において電圧変化を生じさせることが可能である。第1絶縁層3aは、第1光増感層2aと二次元材料層1との間に配置されている。【選択図】図2

Description

本開示は、電磁波検出器および電磁波検出器集合体に関するものである。
次世代の電磁波検出器に用いられる電磁波検出層の材料として、二次元材料層の一例であるグラフェンが知られている。グラフェンは、極めて高い移動度を有している。グラフェンの吸収率は、2.3%と低い。このため、二次元材料層としてグラフェンが用いられた電磁波検出器における高感度化手法が提案されている。
特表2013-506303号公報(特許文献1)では、第1の群のフォトダイオード(第1光増感層)および第2の群のフォトダイオード(第2光増感層)を含んだ光検出器(電磁波検出器)が提案されている。第2の群のフォトダイオードは、第1の群のフォトダイオードの波長範囲と異なる第2の波長範囲の入射光子に応答する信号を出力するように構成されている。このため、光検出器は、第1の群のフォトダイオードの検出波長および第2の群のフォトダイオードの検出波長の各々を検出可能である。フォトダイオードに量子ドットが用いられている。
特表2013-506303号公報
しかしながら、電磁波検出器の感度を向上させることができず、電磁波検出器の感度が低い。
本開示は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、高い感度を有する電磁波検出器および電磁波検出器集合体を提供することである。
本開示の電磁波検出器は、第1光増感層と、第1電極部と、第1絶縁層と、二次元材料層と、第2電極部と、第2光増感層とを備えている。第1電極部は、第1光増感層に電気的に接続されている。第1絶縁層は、第1光増感層上に設けられている。二次元材料層は、第1絶縁層上に設けられている。二次元材料層は、第1光増感層に電気的に接続されている。第2電極部は、二次元材料層に電気的に接続されている。第1光増感層は、二次元材料層に接続されている。第2光増感層は、第1光増感層と異なる波長域に吸収最大値を有している。第2光増感層は、第1光増感層と異なる波長域において電圧変化を生じさせることが可能である。第1絶縁層は、第1光増感層と二次元材料層との間に配置されている。
本開示の電磁波検出器によれば、電磁波検出器の感度を高くすることができる。
実施の形態1に係る電磁波検出器の構成を概略的に示す上面図である。 図1のII-II線に沿った断面図である。 実施の形態1に係る電磁波検出器の製造方法を概略的に示すフローチャートである。 実施の形態2に係る電磁波検出器の構成を概略的に示す断面図である。 実施の形態3に係る電磁波検出器の構成を概略的に示す断面図である。 実施の形態4に係る電磁波検出器の構成を概略的に示す断面図である。 実施の形態5に係る電磁波検出器の構成を概略的に示す断面図である。 実施の形態6に係る電磁波検出器の構成を概略的に示す断面図である。 実施の形態7に係る電磁波検出器の構成を概略的に示す断面図である。 実施の形態8に係る電磁波検出器の構成を概略的に示す断面図である。 実施の形態9に係る電磁波検出器の構成を概略的に示す断面図である。 実施の形態10に係る電磁波検出器の構成を概略的に示す断面図である。 実施の形態11に係る電磁波検出器の構成を概略的に示す断面図である。 実施の形態11の第1の変形例に係る電磁波検出器の構成を概略的に示す断面図である。 実施の形態11の第2の変形例に係る電磁波検出器の構成を概略的に示す断面図である。 実施の形態11の第3の変形例に係る電磁波検出器の構成を概略的に示す断面図である。 実施の形態11の第4の変形例に係る電磁波検出器の構成を概略的に示す断面図である。 実施の形態11の第5の変形例に係る電磁波検出器の構成を概略的に示す断面図である。 実施の形態12に係る電磁波検出器集合体の構成を概略的に示す模式図である。 実施の形態12の変形例に係る電磁波検出器集合体の構成を概略的に示す模式図である。
以下、実施の形態について図に基づいて説明する。なお、以下では、同一または相当する部分に同一の符号を付すものとし、重複する説明は繰り返さない。
以下に説明される実施の形態において、図は模式的なものであり、機能または構造を概念的に説明するものである。また、以下に説明する実施の形態により本開示が限定されるものではない。特記する場合を除いて、電磁波検出器の基本構成は全ての実施の形態において共通である。また、同一の符号が付されたものは、上述のように同一またはこれに相当するものである。これは明細書の全文において共通する。
以下に説明される実施の形態では、図1を参照して、電磁波検出器100について、可視光または赤外光を検出する場合の構成を用いて説明するが、本開示はこれらに限定されない。以下に説明される実施の形態の電磁波検出器100は、可視光または赤外光に加えて、例えば、X線、紫外光、近赤外光、テラヘルツ(THz)波またはマイクロ波などの電波を検出する検出器としても有効である。なお、本開示において、これらの光および電波を総称して電磁波と記載する。
本開示では、グラフェンとしてp型グラフェンまたはn型グラフェンの用語が用いられる場合がある。以下の実施の形態では、真性状態のグラフェンよりも正孔が多いものがp型グラフェンと呼ばれる。また、真性状態のグラフェンよりも電子が多いものがn型グラフェンと呼ばれる。
本開示では、二次元材料層1の一例であるグラフェンに接触する部材の材料について、n型またはp型の用語が用いられる場合がある。n型材料は、例えば、電子供与性を有する材料を意味する。p型材料は、例えば、電子求引性を有する材料を意味する。また、分子全体において電荷に偏りが見られ、電子が支配的となるものがn型材料と呼ばれる場合もある。分子全体において電荷に偏りが見られ、正孔が支配的となるものをp型と呼ばれる場合もある。n型材料およびp型材料は、例えば、有機物および無機物のいずれか一方またはそれらの混合物であってもよい。
本開示では、トンネル電流が生じない層が絶縁層と呼ばれる。トンネル電流が生じ得る層がバッファ層と呼ばれる。
また、金属表面と光との相互作用である表面プラズモン共鳴現象等のプラズモン共鳴現象、可視光域および近赤外光域以外での金属表面にかかる共鳴という意味での擬似表面プラズモン共鳴と呼ばれる現象、または、波長以下の寸法の構造により波長を操作するという意味でのメタマテリアルまたはプラズモニックメタマテリアルと呼ばれる現象については、特にこれらを名称により区別せず、現象が及ぼす効果の面からは同等の扱いとする。本開示では、これらの共鳴は、表面プラズモン共鳴、プラズモン共鳴、または単に共鳴と呼ばれる。
実施の形態1.
図1および図2を用いて、実施の形態1に係る電磁波検出器100の構成を説明する。
図1に示されるように、電磁波検出器100は、二次元材料層1と、第1光増感層2aと、第2光増感層2bと、第1絶縁層3aと、第1電極部4aと、第2電極部4bとを含んでいる。
図2に示されるように、二次元材料層1は、第1絶縁層3a上に設けられている。二次元材料層1は、第1光増感層2aに電気的に接続されている。二次元材料層1は、第1光増感層2aの天面から第1絶縁層3aの天面に延在している。二次元材料層1は、第2電極部4bに電気的に接続されている。
より詳細には、二次元材料層1は、第1部分1a、第2部分1b、第3部分1cおよび第4部分1dを含んでいる。第1部分1aは、第1光増感層2aに電気的に接続されている。第1部分1aは、第1光増感層2a上に配置されている。望ましくは、第1部分1aは、第1光増感層2aとショットキー接合によって接合されている。
第2部分1bは、第1絶縁層3aと第2電極部4bに挟み込まれている。第2部分1bは、第2電極部4bに電気的に接続されている。第2部分1bは、第1絶縁層3a上に配置されている。
第3部分1cは、第1部分1aと第2部分1bとの間において第2光増感層2bに電気的に接続されている。第3部分1cは、第2光増感層2b上に配置されている。望ましくは、第3部分1cは、第2光増感層2bとショットキー接合によって接合されている。なお、第3部分1cは、第1絶縁層3a上に配置されているが、二次元材料層1上に配置されていてもよい。この場合、第3部分1cは、第1光増感層2aおよび第2光増感層2bの各々とショットキー接合によって接合されていることが好ましい。
第4部分1dは、第1部分1aと第2部分1bとの間において第3部分1cを除いた領域である。第4部分1dは、第1絶縁層3aの天面表面上および第1絶縁層3aの開口部の内周面上に配置されている。なお、開口部とは、第1光増感層2aを露出させる領域である。第1絶縁層3aは、第4部分1dと第1光増感層2aとを隔てている。
二次元材料層1の第1部分1a、第2部分1b、第3部分1cおよび第4部分1dの各々の厚みは、互いに等しくてもよい。二次元材料層1の天面には、第1部分1a、第2部分1b、第3部分1cおよび第4部分1dに起因した凹凸が設けられていてもよい。第1部分1aの底面と第1光増感層2aの底面との間の距離は、第2部分1b、第3部分1c、第4部分1dの天面と第1光増感層2aの底面との間の距離未満である。第3部分1cの底面と第2光増感層2bの底面との間の距離は、第3部分1cの天面と第1光増感層2aの底面との間の距離未満である。
第1光増感層2aは、二次元材料層1に電気的に接続されている。第1光増感層2aは、電磁波検出器100の検出対象である電磁波の波長域に吸収最大値を有している。
第2光増感層2bは、二次元材料層1に接続されている。本実施の形態において、第2光増感層2bは、二次元材料層1に電気的に接続されている。第2光増感層2bは、二次元材料層1の天面に設けられている。第2光増感層2bは、第1絶縁層3aとで二次元材料層1を挟み込んでいる。
第2光増感層2bは、電磁波検出器100の検出対象である電磁波の波長域に吸収最大値を有している。第2光増感層2bは、第1光増感層2aと異なる波長域に吸収最大値を有している。第2光増感層2bは、第1光増感層2aと異なる波長域において電圧変化を生じさせることが可能である。
本実施の形態に係る電磁波検出器100の検出対象である電磁波の波長域は、第1光増感層2aの検出対象である電磁波の波長域と第2光増感層2bの検出対象である電磁波の波長域の和である。第2光増感層2bの検出対象である電磁波の波長域は、第1光増感層2aの検出対象である電磁波の波長域と異なる波長を有していれば、重複する波長を有していてもよい。
第1絶縁層3aは、第1光増感層2a上に設けられている。第1絶縁層3aは、第1光増感層2aと二次元材料層1との間に配置されている。第1絶縁層3aは、第1光増感層2aと二次元材料層とに直接挟み込まれていてもよい。
第1電極部4aは、第1光増感層2a上に設けられている。第1電極部4aは、第1光増感層2aに電気的に接続されている。第1電極部4aは、二次元材料層1に直接接続されていてもよい。
第2電極部4bは、二次元材料層1上に設けられている。第2電極部4bは、二次元材料層1に電気的に接続されている。第2電極部4bは、第1絶縁層3aとで二次元材料層1を挟み込んでいる。
図示されないが、上述された電磁波検出器100が第1の電磁波検出器として配置され、第1の電磁波検出器と同じ構成を有する第2の電磁波検出器がさらに配置されてもよい。第1の電磁波検出器は、電磁波が照射される空間に配置される。第2の電磁波検出器は、電磁波が遮蔽された空間に配置される。第1の電磁波検出器の電流と第2の電磁波検出器の電流との差分が検出されることで電磁波が検出されてもよい。第1の電磁波検出器の電圧と第2の電磁波検出器の電圧との差分が検出されることで電磁波が検出されてもよい。
図示されないが、グラフェンが用いられた出力増幅回路が電磁波検出器100と同一基板上に設けられてもよい。グラフェンが用いられた出力増幅回路では、シリコン系の半導体材料が用いられた出力増幅回路と比較して動作速度が向上する。このため、高い性能を有する電磁波検出器100が実現され得る。また、読み出し回路等の周辺回路に二次元材料層1と同様にグラフェンが用いられることで、高速読み出しおよび製造プロセスの簡素化が可能となる。
第1電極部4a、二次元材料層1、第1光増感層2aおよび第2電極部4bは、この順に電気的に接続されている。図示されないが、第1電極部4aと第2電極部4bとの間には、電圧を測定するための電圧計が電気的に接続されていてもよい。電圧計は、電磁波照射によって生じた電圧の変化を検出するための回路である。また、第1電極部4aと第2電極部4bとの間には、電流を測定するための電流計が電気的に接続されていてもよい。電圧計および電流計の少なくともいずれかが第1電極部4aと第2電極部4bとの間に電気的に接続されていればよい。
次に、二次元材料層1、電極部、絶縁部、光増感層の構成について詳細に説明する。
〈二次元材料層1の構成〉
二次元材料層1の材料は、グラフェンである。二次元材料層1の材料は、単層のグラフェンであってもよい。この場合、単層のグラフェンが従来の半導体材料と比較して高いキャリア移動度を有することから、従来の半導体材料を用いた電磁波検出器100と比較して光応答速度が向上する。
二次元材料層1の材料は、2層以上のグラフェンであってもよい。この場合、各層のグラフェンの六方格子の光子ベクトルの向きは、一致していてもよいし、一致していなくてもよい。二次元材料層1が2層以上のグラフェンである場合、グラフェンの層数によってバンドギャップの大きさが調整され得る。これにより、二次元材料層1に吸収される電磁波の波長を選択することができる。また、従来の電磁波検出器のように半導体材料の組成によってバンドギャップを調整する必要がなく、二次元材料層1の層の数を調整することでバンドギャップを調整できるため、電磁波検出器100の製造工程が簡易化される。
二次元材料層1の層数の調整によってバンドギャップの大きさが調整されるため、典型的な波長選択法である光学フィルタを用いる必要がない。このため、光学部品の点数を低減することができる。これにより、光学フィルタを通過することによる入射光の損失も低減することができる。また、二次元材料層1において生じた光キャリアを信号として検出することも可能となることから、電磁波検出器100の検出感度を向上させることができる。
二次元材料層1の材料は、ナノリボン状のグラフェン(グラフェンナノリボン)であってもよい。二次元材料層1の材料は、単体のグラフェンナノリボンであっても。二次元材料層1の材料は、積層された複数のグラフェンナノリボンであってもよいし、平面上に周期的に並べられた複数のグラフェンナノリボンであってもよい。複数のグラフェンナノリボンが平面上に周期的に並べられた場合、グラフェンにおいてプラズモン共鳴が発生するため、電磁波検出器100の検出感度を向上させることができる。この構造は、グラフェンメタマテリアルと呼ばれることもあるが、現象としては同じである。二次元材料層1は、ノンドープのグラフェンであってもよいし、p型またはn型の不純物がドープされたグラフェンであってもよい。
以下に説明する実施の形態では、二次元材料層1の材料として、グラフェンを例に説明を行っているが、二次元材料層1を構成する材料はグラフェンに限られない。たとえば、二次元材料層1の材料としては、遷移金属ダイカルコゲナイド(TMD:Transition Metal Dichalcogenide)、黒リン(Black Phosphorus)、シリセン(シリコン原子による二次元ハニカム構造)、ゲルマネン(ゲルマニウム原子による二次元ハニカム構造)等の材料を適用することができる。遷移金属ダイカルコゲナイドとしては、たとえば、MoS、WS、WSe等の遷移金属ダイカルコゲナイドが挙げられる。
これらの材料は、グラフェンと類似の構造を有しており、原子を二次元面内に単層で配列することが可能な材料である。したがって、これらの材料を二次元材料層1に適用した場合においても、二次元材料層1にグラフェンを適用した場合と同様の作用効果を得ることができる。
二次元材料層1上には、図示されない保護膜が設けられていてもよい。図示されない保護膜は、第1光増感層2a上において二次元材料層1、第1絶縁層3a、第2光増感層2bおよび第2電極部4bの周囲を覆うように設けられていてもよい。保護膜の材料は、任意の材料であってもよいが、例えば、酸化ケイ素(SiO)を含む絶縁層である。保護膜の材料は、酸化物または窒化物等の絶縁体である。保護膜の材料は、例えば、酸化ケイ素(SiO2)、窒化ケイ素(SiN)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化アルミニウム(Al23)、窒化ボロン(BN)(ボロンナイトライド)等である。
二次元材料層1が第2電極部4bに接触することによって、第2電極部4bから二次元材料層1に光キャリアがドープされる。例えば、二次元材料層1がグラフェンであり第2電極部4bが金(Au)である場合、光キャリアは正孔である。グラフェンの仕事関数と金(Au)の仕事関数との差によって、二次元材料層1の第2電極部4bに接している部分に正孔がドープされる。二次元材料層1に正孔がドープされた状態において、電磁波検出器100が電子伝導状態で駆動すると、正孔の影響によって、チャネル内に流れる電子の移動度が低下する。このため、二次元材料層1と第2電極部4bとのコンタクト抵抗が増加する。特に、二次元材料層1の全ての領域が単層グラフェンによって形成されている場合、第2電極部4bから二次元材料層1に注入される光キャリアの量(ドープ量)が大きい。このため、電磁波検出器100の電界効果の移動度の低下は、顕著である。したがって、二次元材料層1の全ての領域が単層グラフェンによって形成されている場合、電磁波検出器100の性能は低下する。また、多層グラフェンに第1電極部4aからドープされる光キャリアの量は、単層グラフェンに第1電極部4aからドープされる光キャリアの量よりも小さい。このため、光キャリアがドープされやすい、二次元材料層1の第2電極部4bに接している部分が多層グラフェンから形成されてもよい。これにより、二次元材料層1と第2電極部4bとの間のコンタクト抵抗の増加を抑制することができる。これにより、電磁波検出器100の電界効果の移動度の低下を抑制することができるため、電磁波検出器100の性能を向上させることができる。
また、第2電極部4bと接続される領域以外の二次元材料層1の領域に単層グラフェンが用いられてもよい。この場合、第2電極部4bとの接触領域以外においては単層グラフェン由来の高いキャリア移動度が得られる。この結果、上述したコンタクト抵抗の増加を抑制するとともに、高いキャリア移動度を維持することができ、電磁波検出器100の性能を向上させることができる。
二次元材料層1は、乱層構造部分を含んでいてもよい。乱層構造部分は、複数のグラフェン層のそれぞれの格子が不整合な状態で複数のグラフェン層が積層された構造である。なお、二次元材料層1は、二次元材料層1の一部として乱層構造部分を含んでいてもよいし、二次元材料層1の全体が乱層構造部分からなっていてもよい。
〈第1光増感層2aおよび第2光増感層2bの構成〉
望ましくは、第1光増感層2aおよび第2光増感層2bの少なくともいずれかは、半導体を含んでいる。また、望ましくは、第1光増感層2aおよび第2光増感層2bの少なくともいずれかは、バンドギャップを有する原子層材料を含んでいる。
本実施の形態において第1光増感層2aの材料は、例えば、ケイ素(Si)等の半導体材料である。具体的には、第1光増感層2aの材料は、例えば、不純物がドープされたシリコン基板等である。第1光増感層2aの材料が半導体材料である場合、半導体材料が10mΩ・cm以上の電気抵抗率を有するように半導体材料に不純物がドーピングされていることが望ましい。半導体材料が低濃度でドーピングされることによって、光照射時に半導体材料内において発生した光キャリアの寿命が長くなる。このため、光キャリアが二次元材料層1に注入される確率が向上する。よって、電磁波検出器100の光感度を向上させることができる。
第1光増感層2aの厚さおよび第2光増感層2bの厚さは、10μm以下であることが望ましい。第1光増感層2aの厚さおよび第2光増感層2bの厚さを薄くしてもよい。これにより、電磁波照射に伴って第1光増感層2aおよび第2光増感層2bにおいて生じかつ二次元材料層1に輸送される光キャリアの第1光増感層2aおよび第2光増感層2bにおける失活量が減少する。このため、電磁波検出器100の感度を向上させることができる。
第1光増感層2aは、多層構造であってもよい。第1光増感層2aは、pn接合フォトダイオード、pinフォトダイオード、ショットキーフォトダイオード、アバランシェフォトダイオード等であってもよい。第1光増感層2aは、フォトトランジスタであってもよい。
第1光増感層2aの材料は上記に限られない。第1光増感層2aの材料は、ゲルマニウム(Ge)、III-V族またはII-V族半導体などの化合物半導体、水銀カドミウムテルル(HgCdTe)、アンチモン化インジウム(InSb)、鉛セレン(PbSe)、鉛硫黄(PbS)、カドミウム硫黄(CdS)、窒化ガリウム(GaN)、シリコンカーバイド(SiC)、リン化ガリウム(GaP)、ヒ化インジウムガリウム(InGaAs)またはヒ化インジウム(InAs)等の材料の単体または上記を組み合わせた材料であってもよい。第1光増感層2aの材料は、量子井戸または量子ドットを含む基板、TypeII超格子などの材料の単体またはそれらを組み合わせた材料を用いてもよい。
第2光増感層2bの材料は、ゲルマニウム(Ge)、III-V族またはII-V族半導体などの化合物半導体、水銀カドミウムテルル(HgCdTe)、アンチモン化インジウム(InSb)、鉛セレン(PbSe)、鉛硫黄(PbS)、カドミウム硫黄(CdS)、窒化ガリウム(GaN)、シリコンカーバイド(SiC)、リン化ガリウム(GaP)、ヒ化インジウムガリウム(InGaAs)またはヒ化インジウム(InAs)等の材料の単体または上記を組み合わせた材料であってもよい。第2光増感層2bの材料は、量子井戸または量子ドットを含む基板、TypeII超格子などの材料の単体またはそれらを組み合わせた材料を用いてもよい。
第2光増感層2bの材料は、量子ドットであってもよい。具体的には、第2光増感層2bの材料は、硫化モリブデン(MoS2)量子ドット、硫化タングステン(WS2)量子ドット、リン化インジウム(InP)と硫化亜鉛(ZnS)のコア・シェル構造型量子ドット、テルル化カドミウム(CdTe)コア型量子ドット、カーボン量子ドット、グラフェン量子ドット、セレン化カドミウム(CdSe)と硫化カドミウム(CdS)コア・シェル構造型量子ドット、セレン化カドミウム(CdSe)と硫化亜鉛(ZnS)コア・シェル構造型量子ドット、硫化カドミウム(CdS)と硫化亜鉛(ZnS)コア・シェル構造型量子ドット、ペロブスカイト(APbX3 [A=Cs、MA(メチルアンモニウム)、FA(ホルムアミジニウム)、X=Cl、Br、I])量子ドット、硫化鉛(PbS)量子ドット、あるいは硫化鉛(PbS)コア型量子ドットであってもよい。
第1光増感層2aおよび第2光増感層2bのいずれかの材料としてケイ素(Si)およびリン化ガリウム(GaP)が用いられた場合の電磁波検出器100の検出波長の範囲は、次の通りである。すなわち、電磁波検出器100の検出波長の範囲は、例えば、ケイ素(Si)の代表的な吸収波長域である0.2μm以上1.1μm以下の範囲と、リン化ガリウム(GaP)の代表的な吸収波長域である0.1μm以上0.6μm以下の範囲とが組み合わせられた、0.1μm以上1.1μm以下である。
第1光増感層2aおよび第2光増感層2bのいずれかの材料としてゲルマニウムが用いられた場合の検出波長の範囲は0.8μm以上1.8μm以下である。第1光増感層2aおよび第2光増感層2bのいずれかの材料としてヒ化インジウムガリウムが用いられた場合の検出波長の範囲は0.7μm以上2.55μm以下である。第1光増感層2aおよび第2光増感層2bのいずれかの材料としてヒ化インジウムが用いられた場合の検出波長の範囲は1μm以上3.1μm以下である。第1光増感層2aおよび第2光増感層2bのいずれかの材料としてアンチモン化インジウムが用いられた場合の検出波長の範囲は1μm以上5.4μm以下である。第1光増感層2aおよび第2光増感層2bのいずれかの材料として水銀カドミウムテルルが用いられた場合の検出波長の範囲は2μm以上16μm以下である。
第2光増感層2bに量子ドットが用いられた場合における検出波長の範囲は、用いられる材料と量子ドットのサイズに依存する。例えば、第2光増感層2bに硫化モリブデン(MoS)量子ドットが用いられた場合における最大量子収率が得られる代表的な検出波長は0.3μmである。第2光増感層2bに硫化タングステン(WS)量子ドットが用いられた場合における最大量子収率が得られる代表的な検出波長は0.4μmである。第2光増感層2bにリン化インジウム(InP)と硫化亜鉛(ZnS)のコア・シェル構造型量子ドットが用いられた場合における最大量子収率が得られる代表的な検出波長は0.4μmである。第2光増感層2bにテルル化カドミウム(CdTe)コア型量子ドットが用いられた場合における最大量子収率が得られる代表的な検出波長は0.4μmである。第2光増感層2bにカーボン量子ドットが用いられた場合における最大量子収率が得られる代表的な検出波長は0.4μmである。第2光増感層2bにグラフェン量子ドットが用いられた場合における最大量子収率が得られる代表的な検出波長は0.4μmである。第2光増感層2bにセレン化カドミウム(CdSe)と硫化カドミウム(CdS)コア・シェル構造型量子ドットが用いられた場合における最大量子収率が得られる代表的な検出波長は0.6μmである。第2光増感層2bにセレン化カドミウム(CdSe)と硫化亜鉛(ZnS)コア・シェル構造型量子ドットが用いられた場合における最大量子収率が得られる代表的な検出波長は0.6μmである。第2光増感層2bに硫化カドミウム(CdS)と硫化亜鉛(ZnS)コア・シェル構造型量子ドットが用いられた場合における最大量子収率が得られる代表的な検出波長は0.6μmである。第2光増感層2bにペロブスカイト(APbX3 [A=Cs、MA(メチルアンモニウム)、FA(ホルムアミジニウム)、X=Cl、Br、I])量子ドットが用いられた場合における最大量子収率が得られる代表的な検出波長は0.6μmである。第2光増感層2bに硫化鉛(PbS)量子ドットが用いられた場合における最大量子収率が得られる代表的な検出波長は1.2μmである。第2光増感層2bに硫化鉛(PbS)コア型量子ドットが用いられた場合における最大量子収率が得られる代表的な検出波長は2.0μmである。
電磁波検出器100の検出波長の範囲は、上記の第1光増感層2aの材料の検出波長および第2光増感層2bの材料の検出波長が組み合わせられた範囲である。
〈第1絶縁層3aの構成〉
第1絶縁層3aの材料は、例えば、酸化ケイ素(SiO2)である。第1絶縁層3aの材料は、酸化ケイ素に限られず、例えば、オルトケイ酸テトラエチル(Si(OC254)、窒化ケイ素(Si34)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化ニッケル(NiO)、窒化ボロン(BN)(ボロンナイトライド)、シロキサン系のポリマー材料であってもよい。例えば、窒化ボロン(BN)の原子配列は、グラフェンの原子配列と似ている。このため、窒化ボロン(BN)がグラフェンからなる二次元材料層1に接触する場合、二次元材料層1の電子移動度の低下が抑制される。よって、窒化ボロン(BN)は、二次元材料層1の下に配置される下地膜としての第1絶縁層3aに好適である。
第1絶縁層3aの厚さは、第1電極部4aが第1光増感層2aに対して電気的に絶縁され、かつトンネル電流が第1電極部4aと第1光増感層2aとの間に生じない限りにおいて、特に制限されない。なお、第1絶縁層3aの厚さが薄いほど、第1絶縁層3aと第1光増感層2aとの界面に生じた光キャリアによる二次元材料層1の電界変化の程度が大きい。このため、第1絶縁層3aの厚さは、可能な限り薄いことが望ましい。
〈第1電極部4aおよび第2電極部4bの構成〉
第1電極部4aおよび第2電極部4bの材料は、導電体であれば任意の材料であってよい。第1電極部4aおよび第2電極部4bの材料は、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)およびパラジウム(Pd)の少なくともいずれかを含んでいてもよい。第1電極部4aと第1光増感層2aとの間または第2電極部4bと第1絶縁層3aとの間に、図示されない密着層が設けられていてもよい。密着層は、密着性を高めるように構成されている。密着層の材料は、例えば、クロム(Cr)またはチタン(Ti)等の金属材料を含んでいる。
図2では、第1電極部4aは第1光増感層2aの表面に配置されているが、第1電極部4aが第1光増感層2aに電気的に接続されていればこれに限られない。例えば、第1電極部4aは、第1光増感層2aの側面または底面に電気的に接続されていてもよい。第1電極部4aが第1光増感層2aの底面に電気的に接続されている場合、第1光増感層2aの天面側から電磁波が照射された際に、第1光増感層2aに吸収されずに透過された電磁波を第1電極部4aによって反射することができる。これにより、第1光増感層2aおよび第2光増感層2bにおける電磁波の吸収率を高めることができる。
第2電極部4bは、二次元材料層1の天面に配置されていてもよい。この場合、二次元材料層1と第2電極部4bとの接触領域において二次元材料層1の凹凸形状の変化が少ない。このため、二次元材料層1に皺または段差に伴う形状の変化等が生じることが抑制されるため、キャリアの移動度の低下が抑制される。また、図示されないが、二次元材料層1の底面に配置されていてもよい。すなわち、第1絶縁層3aの天面に配置されていてもよい。この場合、電磁波検出器100の作成工程において、二次元材料層1の形成工程が電極の形成工程の後に実施され得る。二次元材料層1は、バルク状の材料と比較して薄いため、形成工程において損傷しやすい。二次元材料層1の形成工程が下流で実施され得るため、二次元材料層1の損傷リスクが低減するため、電磁波検出器100の生産歩留まりが向上する。
〈電磁波検出器100の製造方法〉
次に、図3を用いて、実施の形態1に係る電磁波検出器100の製造方法を説明する。図3に示されるように、電磁波検出器100の製造方法は、準備工程(S1)、絶縁層形成工程(S2)、開口部形成工程(S3)、二次元材料層形成工程(S4)、光増感層形成工程(S5)および電極形成工程(S6)を含んでいる。
まず、準備工程(S1)が実施される。準備工程(S1)では、例えばケイ素(Si)等を含む平坦な基板が第1光増感層2aとして準備される。
次に、絶縁層形成工程(S2)が実施される。絶縁層形成工程(S2)では、第1光増感層2aの表面上に、第1絶縁層3aが形成される。第1絶縁層3aは、例えば第1光増感層2aがケイ素(Si)である場合は、第1光増感層2a表面を熱酸化して形成される酸化ケイ素(SiO)でもよい。CVD(Chemical Vapor Deposition)法やスパッタ法により、第1光増感層2aの表面上に第1絶縁層3aが形成されてもよい。第1絶縁層3aの材料は、例えばNSG(None-doped Silicate Glass)、PSG(Phospho Silicate Glass)、BPSG(Boro-phospho Silicate Glass)等の酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(SiN)、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)等の酸化アルミニウム(Al)、酸化ハフニウム(HfO)等の広バンドギャップ材料のほか、チタン酸バリウム(BaTiO)、ジルコン酸チタン酸鉛(PbZrTiO)、タンタル酸ビスマス酸ストロンチウム(SrBiTa)、ビスマスフェライト(BFO:BiFeO)、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、タンタル酸リチウム(LiTaO)等の誘電体の材料である。なお、後述される開口部形成工程(S3)におけるエッチングによる第1光増感層2aの損傷および汚染の抑制のために、絶縁層形成工程(S2)の直前に第1光増感層2aと第1絶縁層3aの間に図示されないバリア膜が形成されてもよい。バリア膜の材料はエッチング材料に耐性を持つ材料である。バリア膜の材料は、例えば、窒化ケイ素(SiN)、酸化アルミニウム(Al)、グラフェンがある。
次に、開口部形成工程(S3)が実施される。開口部形成工程(S3)では、第1絶縁層3aに開口部が形成される。具体的には、第1絶縁層3a上に写真製版またはEB描画などを用いてレジストマスクが形成される。レジストマスクには、第1絶縁層3aの開口部が形成されるべき領域に開口部が形成されている。その後、ウェットエッチングまたはドライエッチングによって、レジストマスクをマスクとして第1絶縁層3aが部分的に除去され、開口部が形成される。次にレジストマスクが除去される。
次に、二次元材料層形成工程(S4)が実施される。二次元材料層形成工程(S4)では、第2電極部4b、第1絶縁層3aおよび第1絶縁層3aの開口部内において露出する第1光増感層2aの一部もしくは全体を覆うように二次元材料層1が形成される。二次元材料層1は、任意の方法により形成される。例えば、二次元材料層1は、エピタキシャル成長によって形成されてもよい。また、予めCVD法を用いて形成された二次元材料層1が第2電極部4b、第1絶縁層3aおよび第1絶縁層3aの開口部内において露出する第1光増感層2aの一部もしくは全体上に転写して貼り付けられてもよい。また、スクリーン印刷などを用いて二次元材料層1が形成されてもよい。また、機械剥離などで剥離した二次元材料層1が上述した第2電極部4b、第1絶縁層3aおよび第1絶縁層3aの開口部内において露出する第1光増感層2aの一部もしくは全体上に転写されてもよい。次に、写真製版などを用いて二次元材料層1の上にレジストマスクが形成される。レジストマスクは、二次元材料層1が残存する領域を覆うように形成される一方、二次元材料層1が残存しない領域には形成されない。その後、レジストマスクをマスクとして用いて、酸素プラズマにより二次元材料層1がエッチングによって部分的に除去される。これにより、不要な二次元材料層1の部分が除去され、図1および図2に示すような二次元材料層1が形成される。その後、レジストマスクを除去する。
次に、光増感層形成工程(S5)が実施される。光増感層工程(S5)では、二次元材料層1のうち、第2光増感層2bが形成されない領域に図示されない保護膜が形成される。保護膜は例えばレジストである。次に、第2光増感層2bに半導体が用いられる場合、10-10Torr(133×10-10Pa)以下の高真空中において分子線を用いて、単結晶基板上に第2光増感層2bがエピタキシャル成長によって成長する。または、第2光増感層2bの原料となる有機金属化合物が基板近くで熱分解され、エピタキシャル結晶によって成長する。さらに、イオン化した不純物元素を第2光増感層2bに高加速電圧で衝突させ、第2光増感層2bに侵入させることでpn接合の形成、抵抗の形成、導電性の調整を行う。また、単結晶基板上から第2光増感層2bが剥離され、第1光増感層2a、第1電極部4a、二次元材料層1、第1絶縁層3aの一部または複数上に圧着して貼り付けられる。または第2光増感層2bとなるバルクがターゲット材料としてスパッタ法を用いて第1光増感層2a、第1電極部4a、二次元材料層1、第1絶縁層3aの一部または複数上に形成されてもよい。第2光増感層2bに量子ドットが用いられる場合、溶液中に分散した量子ドットが第1光増感層2a、第1電極部4a、二次元材料層1、第1絶縁層3a上に塗布される。
さらに、形成された第2光増感層2bの表面のうち、第2光増感層2bが残留する領域に保護膜が形成される。保護膜は例えばレジストである。その後、第2光増感層2bがエッチングされる。エッチングは、酸、アルカリ等の化学溶液を用いるウェットエッチング、プラズマ中の反応種を用いるドライエッチングどちらであってもよい。最後にレジストが除去される。
次に、電極形成工程(S6)が実施される。電極形成工程(S6)では、第1光増感層2aの表面に第1電極部4aが形成される。また、二次元材料層1の表面に第2電極部4bが形成される。
第1電極部4aおよび第2電極部4bの形成方法は、例えば以下のようなプロセスである。まず、第1光増感層2a、二次元材料層1、第1絶縁層3aの表面上に写真製版またはEB描画などを用いてレジストマスクが形成される。レジストマスクには、第1電極部4aおよび第2電極部4bが形成される領域に開口部が形成されている。その後、レジストマスク上に、第1電極部4aおよび第2電極部4bとなる金属などの膜が形成される。当該膜の形成には、蒸着法やスパッタリング法などを用いることができる。このとき、当該膜はレジストマスクの開口部の内部から当該レジストマスクの天面表面にまで延在するように形成される。その後、レジストマスクが当該膜の一部と共に除去されることで、レジストマスクの開口部に配置されていた膜の他の一部が残存し、第1電極部4aおよび第2電極部4bが形成される。上述した方法は、一般的にはリフトオフと呼ばれる方法である。
第1電極部4aおよび第2電極部4bは、他の方法によって形成されてもよい。例えば、第1電極部4aおよび第2電極部4bとなるべき金属膜などの膜が第1光増感層2a、二次元材料層1、第2光増感層2bの表面に成膜される。その後、フォトリソグラフィ法によって当該膜上にレジストマスクが形成される。レジストマスクは、第1電極部4aおよび第2電極部4bが形成される領域を覆うように形成される一方、第1電極部4aおよび第2電極部4bが形成される領域以外の領域には形成されない。その後、ウェットエッチングまたはドライエッチングにより、レジストマスクをマスクとして当該膜を部分的に除去する。この結果、レジストマスク下に膜の一部が残存する。この膜の一部が第1電極部4aおよび第2電極部4bとなる。その後、レジストマスクが除去される。
以上の工程(S1~S6)により、図1および図2に示した電磁波検出器100が得られる。
〈電磁波検出器100の動作原理〉
第1電極部4aと第2電極部4bとの間には、電圧V1を印加する電源が電気的に接続されている。第1電極部4aと第2電極部4bとの間の電流経路の一部となる二次元材料層1には、電流Iが流れる。電流Iは、例えば、図示されない電流計によって計測される。電流計は、第1電極部4aと第2電極部4bとの間に電気的に接続されている。電磁波が電磁波検出器100に入射した際の二次元材料層1における電流Iの変化ΔIが光電流として読み出される。
なお、電磁波検出器100の構成は、二次元材料層1における電流の変化が検出される構成に限られない。例えば、第1電極部4aと第2電極部4bとの間に一定の電流が流され、かつ電圧の変化(すなわち、二次元材料層1における電圧値の変化)が検出されてもよい。
第1光増感層2aが感度を有する波長(検出波長)の電磁波が第1光増感層2aに入射した場合、第1光増感層2aにおいて光キャリアが発生する。特に、第1光増感層2aのうち二次元材料層1から露出した部分(開口部)において光キャリアが発生する。光キャリアは、二次元材料層1に注入される。これにより、二次元材料層1に流れる電流が変動する。光キャリアが二次元材料層1に注入されることによって変動する電流は、光電流と呼ばれる。
第1光増感層2aに電圧V1が印加されることで、第1光増感層2aと第1絶縁層3aとの界面に空乏層が形成される。電圧V1の正負は、第1光増感層2aのドーピング型に応じて選択される。第1光増感層2aがp型の場合には、正電圧である電圧V1が第1光増感層2aに印加される。第1光増感層2aがn型の場合には、負電圧である電圧V1が第1光増感層2aに印加される。
空乏層において生じた光キャリアは、第1絶縁層3aを介して二次元材料層1に電界効果を与える。これにより、二次元材料層1の抵抗値が変化するため、二次元材料層1を流れる光電流である電流Iの電流値も変化する。本実施の形態において、二次元材料層1に光照射に由来する電界効果が与えられることによって二次元材料層1の電気特性が変化することは、光ゲート効果と呼ばれる。
第2光増感層2bの検出波長の電磁波が第2光増感層2bに入射した場合、第2光増感層2bにおいて光キャリアが発生する。第2光増感層2bの二次元材料層1との接触領域において生じた光キャリアは、二次元材料層1に注入される。これにより、二次元材料層1に光電流が流れる。したがって、第1光増感層2aおよび第2光増感層2bの各々によって、二次元材料層1に光電流を流すことができる。
第1光増感層2aおよび第2光増感層2bの両方の検出波長の電磁波が第1光増感層2aおよび第2光増感層2bの各々に入射した場合、第1光増感層2aおよび第2光増感層2bの各々において光キャリアが発生する。第1光増感層2aおよび第2光増感層2bの一方の検出波長の電磁波が第1光増感層2aおよび第2光増感層2bの各々に入射した場合、第1光増感層2aおよび第2光増感層2bの当該一方において光キャリアが発生する。
第1光増感層2aと第1絶縁層3aとの界面に形成された空乏層に生じた光キャリアによって、二次元材料層1に電界効果が与えられる。このため、光ゲート効果によって、第1光増感層2aにおいて生じて二次元材料層1に注入された光キャリアと、第2光増感層2bにおいて生じて二次元材料層1に注入された光キャリアに伴う光電流との各々を増幅させることができる。
望ましくは、二次元材料層1は、第1光増感層2aおよび第2光増感層2bとショットキー接合によって接合されているため、二次元材料層1に逆バイアスが印加された際には電流が流れない。このため、逆バイアスが印加された際に、電磁波検出器100は、OFF動作をすることができる。
二次元材料層1に順バイアスが印加された際には電圧V1および電圧V2の調整によって電流Iをゼロにすることができる。すなわち、光非照射時には電流Iをゼロにでき、かつ光照射時には二次元材料層1に注入された光キャリアに由来する電流のみを光ゲート効果によって変化した後に電流Iとして検出できる。このため、順バイアスが印加された際に、本実施の形態に係る電磁波検出器100は、OFF動作をすることができる。
第1電極部4aおよび第2電極部4bから印加されるバイアス電流がそれぞれ順方向および逆方向とされてもよい。この場合、第1光増感層2aから二次元材料層1に電流が流されるようにすることができ、かつ第2光増感層2bから二次元材料層1に電流が流されないようにすることができる。また、第1電極部4aおよび第2電極部4bから印加されるバイアス電流がそれぞれ逆方向および順方向とされてもよい。この場合、第2光増感層2bから二次元材料層1に電流が流されるようにすることができ、かつ第1光増感層2aから二次元材料層1に電流が流されないようにすることができる。すなわち、バイアス方向が変更されることのみによって、第1光増感層2aおよび第2光増感層2bのいずれかのみが感度を有する波長域のみを分光して電磁波を検出することができる。
例えば、第1光増感層2aに順方向バイアスが印加され、第2光増感層2bに逆方向バイアスが印加されることで、第1光増感層2aのみが感度を有する0.2μm以上1μm以下の電磁波を選択して検出することができる。また、第1光増感層2aに逆方向バイアスが印加され、第2光増感層2bに順方向バイアスが印加されることで、第2光増感層2bのみが感度を有する1.1μm以上5.4μm以下の電磁波を選択して検出することができる。
〈電磁波検出器100の動作〉
次に、実施の形態1に係る電磁波検出器100の一例の動作を説明する。
二次元材料層1として単層グラフェン、第1電極部4aおよび第2電極部4bとして金(Au)、第1絶縁層3aとして酸化アルミニウム(AlO)、第1光増感層2aとしてn型シリコン、第2光増感層2bとしてn型アンチモン化インジウムが用いられた場合について説明する。
第1光増感層2aのn型シリコンが感度を有する0.2μm以上1.1μm以下の波長の電磁波が入射すると、第1光増感層2aにおいて光キャリアが生じる。第1光増感層2aの二次元材料層1から露出した部分において生じた光キャリアは、二次元材料層1に注入される。
また、第1光増感層2aに対して逆バイアスになるように、第1電極部4aに正電圧が印加され、または第2電極部4bに負電圧が印加される。これにより、第1光増感層2aの電子が第1電極部4aに引き寄せられ、少数キャリアである正孔が第1絶縁層3aに引き寄せられる。第1光増感層2aと第1絶縁層3aとの界面に空乏層が形成される。
空乏層において生じた光キャリアは、第1絶縁層3aを介して二次元材料層1に電界効果を与えることで、光ゲート効果を生じさせる。二次元材料層1の光キャリアの移動度に応じて、電界変化に対して変位電流が生じる。すなわち、注入された光キャリアに伴う二次元材料層1上の光電流は、光ゲート効果によって増幅される。
第2光増感層2bのn型アンチモン化インジウムが感度を有する1μm以上5.4μm以下の電磁波が入射すると、第2光増感層2bにおいて光キャリアが生じる。第2光増感層2bにおいて生じた光キャリアは、二次元材料層1に注入される。第2光増感層2bに正電圧が印加された場合、正電圧の印加に伴って二次元材料層1のフェルミレベルが上昇する。また、この場合、二次元材料層1内において電磁波照射に伴って生じた光キャリアによって二次元材料層1のフェルミレベルが上昇する。フェルミレベルの上昇によって、第2光増感層2bの伝導帯と二次元材料層1のフェルミレベルとの間に形成されるショットキー障壁の高さが低下する。その結果、二次元材料層1から第2光増感層2bに対して光電子が注入される。言い換えると、第2光増感層2bが光電流の電流源になる。これにより、第2光増感層2bによって電磁波の検出が可能となる。
第1光増感層2aおよび第2光増感層2bの両方の検出感度である1μm以上1.1μm以下の電磁波が入射した場合、第1光増感層2aおよび第2光増感層2bの両方において光キャリアが生じる。第1光増感層2aおよび第2光増感層2bの両方において生じた光キャリアは、二次元材料層1に注入される。
上述の通り、第1光増感層2aと第1絶縁層3aとの界面に形成された空乏層において生じた光キャリアによって、二次元材料層1に電界効果が与えられる。このため、第1光増感層2aから二次元材料層1に注入された光キャリアに伴う光電流のみならず、第2光増感層2bから二次元材料層1に注入された光キャリアに伴う光電流も、光ゲート効果によって大きく増幅される。このため、第1光増感層2aまたは第2光増感層2b単体によって光キャリアが検出される場合と比べて、電磁波検出器100の感度を向上させることができる。
望ましくは、二次元材料層1と第1光増感層2aおよび第2光増感層2bは、ショットキー接合によって接合されている。このため、逆バイアス印加時には電流が流れない。よって、電磁波検出器100は、OFF動作をすることができる。また、順バイアス印加時には少量の電圧変化によって二次元材料層1に大きな電流変化が生じる。これにより、電磁波の検出が可能となる。
続いて、本実施の形態の作用効果を説明する。
本実施の形態に係る電磁波検出器によれば、図2に示されるように、第1絶縁層3aは、二次元材料層1と第1光増感層2aの間に配置されており、かつ二次元材料層1の材料は、グラフェンである。このため、二次元材料層1において光ゲート効果を生じさせることができる。したがって、電磁波検出器100の感度を高くすることができる。
より詳細には、電磁波検出器100は、第1光増感層2aを含んでいる。このため、第1光増感層2aの検出波長の電磁波が第1光増感層2aに照射されることによって第1光増感層2aにおいて光キャリアが生じる。第1光増感層2aにおいて生じた光キャリアは、二次元材料層1に注入されることで、電流変化を生じさせる。さらに、第1絶縁層3aは、第1光増感層2aと二次元材料層1との間に配置されており、かつ二次元材料層1はグラフェンである。このため、第1光増感層2aに電圧が印加されることで、第1光増感層2aと第1絶縁層3aとの界面に空乏層が形成される。空乏層において生じた光キャリアは、第1絶縁層3aを介して二次元材料層1に電界効果を与える。この結果、二次元材料層1において抵抗値が変化し、二次元材料層1に流れる電流を変化させる光ゲート効果を生じさせることができる。
光ゲート効果は、光電変換材料の量子効率を直接的に増強するのではなく、電磁波入射による電流変化を大きくする。このため、等価的に電磁波入射による差分電流から算出された量子効率は100%を超える。よって、本実施の形態に係る電磁波検出器100に電磁波が照射されたときの電流Iの変化量は、光ゲート効果が奏されない従来の電磁波検出器に上記電磁波が入射したときの電流の変化量よりも大きい。したがって、本実施の形態に係る電磁波検出器100の感度を向上させることができる。
二次元材料層1の材料は、グラフェンである。このため、グラフェンによる光ゲート効果を生じさせることができる。したがって、電磁波検出器100の感度を向上させることができる。
二次元材料層1の材料は、グラフェンである。このため、二次元材料層1の形成の際に支持基板を用いなくてもよい。よって、二次元材料層の形成が支持基板に制限されない。したがって、二次元材料層1の形成の際に、二次元材料層1の位置および形状を自由に変更することができる。具体的には、スピンコーティングで形成される量子ドットよりも二次元材料層1の位置および形状を自由に変更することができる。
二次元材料層1の材料が単層のグラフェンである場合、二次元材料層1の厚さは原子層1層分であるため、薄い。また、単層のグラフェンにおけるキャリア移動度は従来半導体材料と比較して大きい。このため、二次元材料層1では、従来の半導体材料と比較して、わずかな電位変化に対して大きな電流変化を生じる。例えば、第1光増感層2aおよび第2光増感層2bにおける電界変化によって二次元材料層1へ印加される電位変化に起因する電流変化量は、通常の半導体における電流変化量より大きくなる。具体的には、二次元材料層1における電子の移動度および厚さなどから算出すると、二次元材料層1での上記電流変化量は、通常の半導体における電流変化量の数百倍から数千倍程度である。このため、本実施の形態に係る電磁波検出器100では、第1光増感層2aおよび第2光増感層2bで生じる光キャリアのみを検出する電磁波検出器と比べて、より高感度の電磁波検出が可能となる。
本実施の形態に係る電磁波検出器100では、光照射によって第1光増感層2aおよび第2光増感層2bで発生する光電流および光ゲート効果に伴う電流に加えて、二次元材料層1の光電変換効果に起因する光電流も生じる。このため、電磁波検出器100は、光ゲート効果に伴う電流に加えて、二次元材料層1本来の光電変換効果に起因する光電流も検出することができる。
図2に示されるように、第1電極部4a、二次元材料層1、第1光増感層2aおよび第2電極部4bは、この順に電気的に接続されている。これにより、第1電極部4aおよび第2電極部4bの間から電磁波検出器100の信号を電気信号として読み出すことができる。
第1光増感層2aおよび第2光増感層2bの少なくともいずれかは、半導体を含んでいてもよい。この場合、半導体に電磁波が照射された際に、半導体内に光キャリアが生じる。このため、光キャリアによって電界効果を生じさせることができる。よって、電磁波検出器100の感度を向上させることができる。
第1光増感層2aおよび第2光増感層2bの少なくともいずれかは、バンドギャップを有する原子層材料を含んでいてもよい。この場合、バンドギャップを有する原子層材料と二次元材料層1との間にショットキー接合が形成される。このため、ショットキー障壁の高さを第1電極部4aまたは第2電極部4bによって変調させることで、光増感層内に生じた光キャリアの二次元材料層1への輸送の程度を調整することができる。
二次元材料層1は、乱層構造部分を含んでいてもよい。この場合、二次元材料層1におけるキャリア移動度を向上させることができる。よって、電磁波検出器100の感度を向上させることができる。
実施の形態2.
次に、図4を用いて、実施の形態2に係る電磁波検出器100の構成を説明する。実施の形態2は、特に説明しない限り、上記の実施の形態1と同一の構成および作用効果を有している。したがって、上記の実施の形態1と同一の構成には同一の符号を付し、説明を繰り返さない。
図4に示されるように、本実施の形態に係る電磁波検出器100は、第3電極部4cをさらに含んでいる。第3電極部4cは、第2光増感層2bに電気的に接続されている。第3電極部4cは、第2光増感層2bに電圧V2を印加可能に構成されている。図4では、第3電極部4cは、第2光増感層2bの天面の全面を覆うように電力変換装置に電気的に接続されているが、第3電極部4cは第2光増感層2bの一部に接触していればよい。例えば、第3電極部4cは、第2光増感層2bの側面および底面に接触していてもよい。これにより、電磁波検出器100に対して第3電極部4cの天面側、側面側および底面側のいずれから電磁波が入射した場合でも、電磁波検出器100は電磁波を検出することができる。
第3電極部4cの材料は、第1電極部4aおよび第2電極部4bの材料と同様に、金属である。第3電極部4cの材料は、第1電極部4aおよび第2電極部4bの材料として上述された金属であれば、第1電極部4aまたは第2電極部4bと同じでなくてもよい。
第1光増感層2aと第2光増感層2bとは、異なる材料によって構成されている。このため、第1光増感層2aと二次元材料層1とのショットキー接合によって形成されるショットキー障壁高さは、第2光増感層2bと二次元材料層1とのショットキー接合によって形成されるショットキー障壁高さと異なっている。第3電極部4cによって電圧を印加することで第2光増感層2bと二次元材料層1との間に形成されるショットキー障壁高さを調整してもよい。この場合、電磁波の照射によって第1光増感層2aおよび第2光増感層2bにおいて生じたキャリアの注入効率が向上する。これにより、電磁波検出器100の感度を向上させることができる。
〈作用効果〉
続いて、本実施の形態の作用効果を説明する。
本実施の形態に係る電磁波検出器100によれば、図4に示されるように、第3電極部4cは、第2光増感層2bに電気的に接続されている。このため、第2光増感層2bと二次元材料層1との間に形成されたショットキー接合の障壁高さを第3電極部4cの電圧V2によって変調させることができる。これにより、電磁波の照射に伴って第2光増感層2b内に生じた光キャリアの二次元材料層1への輸送の程度を調整および増幅することができる。
図4に示されるように、電磁波検出器100は、第3電極部4cを含んでいる。このため、第1電極部4aによる電圧V1とは異なる周波数特性を有するクロックパルス信号を電圧V2として第3電極部4cによって印加することができる。電磁波検出器100に流れる光電流ΔIは、第1光増感層2aへの電磁波照射に伴う第1の光電流ΔI1と第2光増感層2bへの電磁波照射に伴う第2の光電流ΔI2の和である。第1光増感層2aに印加される電圧V1とは異なる周波数特性を有する波形が電圧V2として第2光増感層2bに印加されることで、ΔIに電圧V2の周波数変化に由来する電流変化ΔI2clockが生じる。これにより、ΔI2の電流変化をΔI2clockに基ついて読み出すことができる。以上より、電流I成分中のΔI1の信号値とΔI2の信号値が別個に得られるため、第1光増感層2aに入射した電磁波の光量と第2光増感層2bに入射した電磁波の光量とがそれぞれ別個に得られる。したがって、単一の電磁波検出器100によって多波長の電磁波検出器100の分光検出が可能である。
差分電流ΔI2の電流変化が検出される際に、電圧V2の参照信号も取得されてもよい。この場合、差分電流ΔI2は、測定信号と比較することでロックイン検出によって検出されてもよい。ロックイン検出なしに差分電流ΔI2が検出される場合と比べて、第2光増感層2bに入射した電磁波の光量をさらに精度良く検出することができる。
第1光増感層2aおよび第2光増感層2bの材料は、バンドギャップを有する材料であってもよい。この場合、二次元材料層1は、第1光増感層2aおよび第2光増感層2bとショットキー接合されている。このため、逆バイアス印加時には二次元材料層1に電流が流れないため、電磁波検出器100は、逆バイアス印加時においてOFF動作をすることができる。一方で、順方向バイアス印加時には、第1電極部4aによる電圧V1および第2電極部4bによる電圧V2を調整することで二次元材料層1に流れる電流Iをゼロにすることができる。すなわち、光非照射時には二次元材料層1に流れる電流Iを0にすることができ、かつ光照射時には二次元材料層1に注入される光キャリアに由来する電流のみを光ゲート効果によって変化した後に電流Iとして検出することができる。したがって、本実施の形態に係る電磁波検出器100は、順バイアス印加時においてOFF動作をすることができる。
図4に示されるように、電磁波検出器100は、第3電極部4cをさらに含んでいる。このため、第1電極部4aおよび第3電極部4cの各々によって第1光増感層2aおよび第2光増感層2bの各々にそれぞれ別個に電圧V1および電圧V2をそれぞれ印加することができる。これにより、電圧V1および電圧V2のバイアス方向を逆転させることで、第1光増感層2aおよび第2光増感層2bのいずれかの光電流を単体で取得することができる。例えば、第1光増感層2aに逆バイアスが印加されかつ第2光増感層2bに順バイアスが印加された場合、第1光増感層2aと二次元材料層1との間には電流が流れずかつ第2光増感層2bと二次元材料層1との間には電流が流れる。このため、電磁波検出器100は、第1光増感層2aの検出波長に対してOFF動作をすることができ、かつ第2光増感層2bの検出波長に応答することができる。したがって、電磁波検出器100は、分光動作が可能になる。
実施の形態3.
次に、図5を用いて、実施の形態3に係る電磁波検出器100の構成を説明する。実施の形態3は、特に説明しない限り、上記の実施の形態2と同一の構成および作用効果を有している。したがって、上記の実施の形態2と同一の構成には同一の符号を付し、説明を繰り返さない。
図5に示されるように、本実施の形態に係る電磁波検出器100は、第3光増感層2cをさらに含んでいる。第3光増感層2cは、二次元材料層1に接続されている。本実施の形態において、第3光増感層2cは、二次元材料層1に電気的に接続されている。第3光増感層2cは、第1光増感層2aおよび第2光増感層2bと異なる電磁波長域に吸収最大値を有している。第3光増感層2cは、第1光増感層2aおよび第2光増感層2bと異なる波長域において電圧変化を生じさせることが可能である。
望ましくは、第3光増感層2cは、半導体を含んでいる。また、望ましくは、第3光増感層2cは、バンドギャップを有する原子層材料を含んでいる。この場合、第3光増感層2cと二次元材料層1との間にショットキー接合が形成される。
第3光増感層2cの材料は、ゲルマニウム(Ge)、III-V族またはII-V族半導体などの化合物半導体、水銀カドミウムテルル(HgCdTe)、アンチモン化インジウム(InSb)、鉛セレン(PbSe)、鉛硫黄(PbS)、カドミウム硫黄(CdS)、窒化ガリウム(GaN)、シリコンカーバイド(SiC)、リン化ガリウム(GaP)、ヒ化インジウムガリウム(InGaAs)またはヒ化インジウム(InAs)等の材料の単体または上記を組み合わせた材料であってもよい。第3光増感層2cの材料は、量子井戸または量子ドットを含む基板、TypeII超格子などの材料の単体またはそれらを組み合わせた材料を用いてもよい。
第3光増感層2cの材料は、量子ドットであってもよい。具体的には、第3光増感層2cの材料は、硫化モリブデン(MoS)量子ドット、硫化タングステン(WS)量子ドット、リン化インジウム(InP)と硫化亜鉛(ZnS)のコア・シェル構造型量子ドット、テルル化カドミウム(CdTe)コア型量子ドット、カーボン量子ドット、グラフェン量子ドット、セレン化カドミウム(CdSe)と硫化カドミウム(CdS)コア・シェル構造型量子ドット、セレン化カドミウム(CdSe)と硫化亜鉛(ZnS)コア・シェル構造型量子ドット、硫化カドミウム(CdS)と硫化亜鉛(ZnS)コア・シェル構造型量子ドット、ペロブスカイト(APbX3 [A=Cs、MA(メチルアンモニウム)、FA(ホルムアミジニウム)、X=Cl、Br、I])量子ドット、硫化鉛(PbS)量子ドット、あるいは硫化鉛(PbS)コア型量子ドットであってもよい。
第3光増感層2cの厚さは、10μm以下であることが望ましい。第3光増感層2cの厚さが薄くなることで、電磁波照射に伴って第3光増感層2cにおいて生じかつ二次元材料層1に輸送される光キャリアの第3光増感層2cにおける失活量が減少する。このため、電磁波検出器100の感度を向上させることができる。
〈動作原理〉
第3光増感層2cの検出波長の電磁波が第3光増感層2cに入射した場合、第3光増感層2c内において光キャリアが生じる。第3光増感層2cの二次元材料層1に接触している領域において生じた光キャリアは、二次元材料層1に注入される。これにより、二次元材料層1に光電流が生じる。
〈作用効果〉
続いて、本実施の形態の作用効果を説明する。
本実施の形態に係る電磁波検出器100によれば、図5に示されるように、電磁波検出器100は、第3光増感層2cをさらに含んでいる。第2光増感層2bおよび第3光増感層2cの両方の検出波長の電磁波が入射した場合、第2光増感層2bおよび第3光増感層2cの両方において光キャリアが発生する。光キャリアは、二次元材料層1に注入される。第1光増感層2aと第1絶縁層3aとの界面に形成された空乏層に生じた光キャリアによって二次元材料層1に光ゲート効果が生じる。光ゲート効果によって、第3光増感層2cによって生じかつ二次元材料層1に注入された光キャリアに伴う二次元材料層1上の光電流も増幅される。したがって、第1光増感層2a、第2光増感層2bおよび第3光増感層2cのいずれか単体で生じる光キャリアが検出される場合と比べて、電磁波検出器100の感度を向上させることができる。
本実施の形態に係る電磁波検出器100に電磁波が照射されたときの電流Iの変化量は、第1光増感層2aにおいて生じた光キャリアに伴う二次元材料層1の抵抗変化により発生する電流の変化量と、第2光増感層2bにおいて生じた光キャリアに伴う二次元材料層1の抵抗変化により発生する電流の変化量と、第3光増感層2cにおいて生じた光キャリアに伴う二次元材料層1の抵抗変化により発生する電流の変化量とに加えて、二次元材料層1での光電変換により生じる光電流量を含んでいる。すなわち、本実施の形態に係る電磁波検出器100では、電磁波の入射により、上述した光ゲート効果で生じた電流に加えて、二次元材料層1本来の光電変換効率に起因する光電流も検出できること。このため、第1光増感層2a、第2光増感層2bおよび第3光増感層2cの少なくともいずれか単体で生じる光キャリアを検出する従来の電磁波検出器と比べて、より高感度の電磁波検出が可能となる。
電磁波検出器100は、第3光増感層2cを含んでいる。このため、第1光増感層2aの検出波長の電磁波が第1光増感層2aに照射されることによって第1光増感層2aにおいて光キャリアが生じる。第1光増感層2aにおいて生じた光キャリアは、二次元材料層1に注入されることで、電流変化を生じさせる。第1絶縁層3aは、第1光増感層2aと二次元材料層1との間に配置されている。このため、第1光増感層2aに電圧が印加されることで、第1光増感層2aと第1絶縁層3aとの界面に空乏層が形成される。空乏層において生じた光キャリアは、第1絶縁層3aを介して二次元材料層1に電界効果を与える。この結果、二次元材料層1において抵抗値が変化し、二次元材料層1に流れる電流を変化させる光ゲート効果を生じさせることができる。
本実施の形態に係る電磁波検出器100に電磁波が裏面から照射された場合、電磁波は第1光増感層2aを透過して第2光増感層2bおよび第3光増感層2cに入射する。第1光増感層2aが透過しない波長域の電磁波は第2光増感層2bおよび第3光増感層2cに入射しない。したがって、第2光増感層2bおよび第3光増感層2cのそれぞれが感度を有さない(第2光増感層2bおよび第3光増感層2cのそれぞれを透過する)波長域の電磁波が入射した場合でも、迷光の影響を低減できる。
第1電極部4a、第2電極部4bおよび第3電極部4cから印加するバイアス方向を順方向および逆方向のいずれかから選択することで、第1光増感層2a、第2光増感層2bおよび第3光増感層2cから原子層材料への電流を制御できる。したがって、バイアス方向を制御することで、第1光増感層2a、第2光増感層2bおよび第3光増感層2cのそれぞれが感度を有する波長域のみを選択的に分光して電磁波を検出することができる。
第3光増感層2cは、半導体を含んでいてもよい。この場合、半導体に電磁波が照射された際に、半導体内に光キャリアが生じる。このため、光キャリアによって電界効果を生じさせることができる。よって、電磁波検出器100の感度を向上させることができる。
第3光増感層2cは、バンドギャップを有する原子層材料を含んでいてもよい。この場合、バンドギャップを有する原子層材料と二次元材料層1との間にショットキー接合が形成される。このため、ショットキー障壁の高さを変調させることで、光増感層内に生じた光キャリアの二次元材料層1への輸送の程度を調整することができる。
実施の形態4.
次に、図6を用いて、実施の形態4に係る電磁波検出器100の構成を説明する。実施の形態4は、特に説明しない限り、上記の実施の形態3と同一の構成および作用効果を有している。したがって、上記の実施の形態3と同一の構成には同一の符号を付し、説明を繰り返さない。
図6に示されるように、本実施の形態に係る電磁波検出器100は、第4電極部4dをさらに含んでいる。第4電極部4dは、第3光増感層2cに電気的に接続されている。第4電極部4dは、第3光増感層2cに電圧V4を印加可能に構成されている。第4電極部4dは、第3光増感層2cの天面に接続されている。第4電極部4dは、第3電極部4cの側面または底面に接続されていてもよい。電磁波検出器100は、第4電極部4dによって第3光増感層2cに電圧V4を印加可能に構成されている。
〈作用効果〉
続いて、本実施の形態の作用効果を説明する。
本実施の形態に係る電磁波検出器100によれば、図6に示されるように、第4電極部4dは、第3光増感層2cに電気的に接続されている。このため、第3光増感層2cと二次元材料層1との間に形成されたショットキー接合の障壁高さを第4電極部4dの電圧V4によって変調させることができる。これにより、電磁波の照射に伴って第3光増感層2c内に生じた光キャリアの二次元材料層1への輸送の程度を調整および増幅することができる。
電磁波検出器100は、第4電極部4dを含んでいる。このため、第4電極部4dによって、第1電極部4aによる電圧V1および第3電極部4cによる電圧V2とは異なる周波数特性を有するクロックパルス信号を電圧V4として印加することができる。電磁波検出器100に流れる光電流ΔIは、第1光増感層2aへの電磁波照射に伴う第1の光電流ΔI1と第2光増感層2bへの電磁波照射に伴う第2の光電流ΔI2と第3光増感層2cへの電磁波照射に伴う第3の光電流I3の和である。第1光増感層2aに印加される電圧V1および第2光増感層2bに印加される電圧V2とは異なる周波数特性を有する波形が電圧V4として第3光増感層2cに印加されることで、ΔIに電圧V4の周波数変化に由来する電流変化ΔI3clockが生じる。これにより、ΔI3の電流変化をΔI3clockに基ついて読み出すことができる。以上より、電流I成分中のΔI1の信号値とΔI2の信号値とΔI3の信号値とが別個に得られる。このため、第1光増感層2aに入射した電磁波の光量、第2光増感層2bに入射した電磁波の光量および第3光増感層2cに入射した電磁波の光量がそれぞれ別個に得られる。したがって、単一の電磁波検出器100によって多波長の電磁波検出器100の分光検出が可能である。
差分電流ΔI3の電流変化が検出される際に、電圧V2の参照信号も取得されてもよい。この場合、差分電流ΔI3は、測定信号と比較されることでロックイン検出によって検出されてもよい。ロックイン検出なしに差分電流ΔI3が検出される場合と比べて、第3光増感層2cに入射した電磁波の光量をさらに精度良く検出することができる。
電磁波検出器100は、第4電極部4dをさらに含んでいる。このため、第1電極部4a、第3電極部4cおよび第4電極部4dの各々によって第1光増感層2a、第2光増感層2bおよび第3光増感層2cの各々にそれぞれ別個に電圧V1、電圧V2および電圧V4を印加することができる。これにより、電圧V1、電圧V2および電圧V4のバイアス方向を逆転させることで、第1光増感層2a、第2光増感層2bおよび第3光増感層2cのいずれかの光電流を単体で取得することができる。例えば、第1光増感層2aおよび第2光増感層2bに逆バイアスが印加されかつ第3光増感層2cに順バイアスが印加された場合、第1光増感層2aと二次元材料層1との間および第2光増感層2bと二次元材料層1との間には電流が流れずかつ第3光増感層2cと二次元材料層1との間には電流が流れる。このため、電磁波検出器100は、第1光増感層2aおよび第2光増感層2bの検出波長に対してOFF動作をすることができ、かつ第3光増感層2cの検出波長に対して応答することができる。したがって、電磁波検出器100は、分光動作が可能になる。
第1光増感層2a、第2光増感層2bおよび第3光増感層2cは、バンドギャップを有する原子層材料を含んでいてもよい。この場合、二次元材料層1は、第1光増感層2a、第2光増感層2bおよび第3光増感層2cとショットキー接合されている。このため、逆バイアス印加時には二次元材料層1に電流が流れないため、電磁波検出器100は、OFF動作をすることが可能になる。一方で、順方向バイアス印加時には、第1電極部4aによる電圧V1、第2電極部4bによる電圧V2および第3電極部4cによる電圧V4を調整することで二次元材料層1に流れる電流Iをゼロにすることができる。すなわち、光非照射時には二次元材料層1に流れる電流Iを0にすることができ、かつ光照射時には二次元材料層1に注入される光キャリアに由来する電流のみを光ゲート効果によって変化した後に電流Iとして検出することができる。したがって、本実施の形態に係る電磁波検出器100は、順バイアス印加時においてもOFF動作をすることができる。
実施の形態5.
次に、図7を用いて、実施の形態5に係る電磁波検出器100の構成を説明する。実施の形態5は、特に説明しない限り、上記の実施の形態4と同一の構成および作用効果を有している。したがって、上記の実施の形態4と同一の構成には同一の符号を付し、説明を繰り返さない。
図7に示されるように、本実施の形態に係る電磁波検出器100は、信号処理回路5をさらに含んでいる。信号処理回路5は、第1光増感層2aと第1絶縁層3aとの間に配置されている。信号処理回路5は、第1電極部4aと第2電極部4bとの間の電気信号を読み出し可能に構成されている。本実施の形態に係る第1電極部4aの材料は、ケイ素(Si)である。
信号処理回路5は、読み出し回路として構成されている。信号処理回路5は、集積回路である。読み出し形式は、例えば、CTIA(Capacitive Trans-Impedance Amplifier)型、DI(Direct Injection)型である。読み出し形式は、他の形式であってもよい。
望ましくは、信号処理回路5は、第1光増感層2aと同じ材料で作製されているが、これに限られない。信号処理回路5は、例えば、第1光増感層2aの表面に設けられていてもよい。第1光増感層2aの表面に設けられた信号処理回路5は、第1光増感層2aの表面に設けられた第1電極部4aと電気的に接続されてもよい。信号処理回路5は、例えば、第1光増感層2aの裏面に設けられていてもよい。第1光増感層2aの裏面に設けられた信号処理回路5は、第1光増感層2aの裏面に設けられた第1電極部4aと電気的に接続されてもよい。
図示されないが、信号処理回路5は、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)がドープされたアルミニウム(Al)(シリコンドープアルミ)または金(Au)ワイヤボンディングによって第1電極部4aに電気的に接続されていてもよい。一般に、シリコン以外の化合物半導体内にCMOS(Complementary MOS:相補型MOS)、レジスタ等の素子を形成することで信号処理回路5を形成することは困難である。また、第1光増感層2a等の受光材料内に上記の素子を形成することは誤作動、コスト増、生産歩留まりの低下、受光面積の減少に伴う電磁波検出器100の性能低下を招くことから実用的ではない。
上述の通り第1光増感層2aと同一シリコン上に読出し回路と第1電極部4aを形成することは、モノリシック形成と呼ばれる。モノリシック形成された信号処理回路5は、可視光センサや、非冷却型の赤外線センサにおいて一般的に用いられる。モノリシック形成では、シリコン基板中に第1光増感層2aおよび信号処理回路5が形成されるため、生産コストと生産歩留まりが向上する。
〈作用効果〉
続いて、本実施の形態の作用効果を説明する。
本実施の形態に係る電磁波検出器100によれば、図7に示されるように、信号処理回路5をさらに含んでいる。このため、第1光増感層2a、第2光増感層2bおよび第3光増感層2cにおいて生じた光キャリアによって二次元材料層1に生じた光電流を信号処理回路5によって蓄積、増倍および外部回路へ出力することが可能となる。
実施の形態6.
次に、図8を用いて、実施の形態6に係る電磁波検出器100の構成を説明する。実施の形態6は、特に説明しない限り、上記の実施の形態5と同一の構成および作用効果を有している。したがって、上記の実施の形態5と同一の構成には同一の符号を付し、説明を繰り返さない。
図8に示されるように、本実施の形態に係る電磁波検出器100では、信号処理回路5上に、第1電極部4aが接続されている。第1光増感層2aは、信号処理回路5に電気的に接続されている。第1光増感層2a上に、第1絶縁層3aおよび第2電極部4bが設けられている。二次元材料層1は、第2電極部4bの天面から第1絶縁層3aの天面、第2絶縁層3bの底面、第3光増感層2cの底面および第2光増感層2bの底面に延在している。第3絶縁層3cは、二次元材料層1の天面に設けられている。第3光増感層2cは、第2光増感層2bの底面と二次元材料層1の天面および第2絶縁層3bの天面に設けられている。第2光増感層2bは、第1電極部4aの天面、二次元材料層1の正面および第3光増感層2cの天面に設けられている。第2絶縁層3bは、二次元材料層1の天面に設けられている。
二次元材料層1は、第1部分、第2部分、第3部分および第4部分を含んでいる。第1部分は、第1絶縁層3aおよび第2絶縁層3bに接続されている。第1部分は、第1絶縁層3aの天面および第2絶縁層3bの底面に接している。第2部分は、第3光増感層2cに電気的に接続されている。第2部分は、第3光増感層2cの底面に接している。望ましくは、第2部分は、第3光増感層2cとショットキー接合によって接合されている。第3部分は、第2光増感層2bに電気的に接続されている。望ましくは、第3部分は、第2光増感層2bとショットキー接合によって接合されている。第4部分は、第2電極部4bに電気的に接続されている。第4部分は、第1絶縁層3aの底面および第2電極部4bの天面に接続されるように配置されている。
第1部分~第4部分の各々の厚みは、互いに等しくてもよい。二次元材料層1の表面には、第1部分~第4部分の各々に起因した凹凸が形成されていてもよい。第3部分の天面と第2光増感層2bの底面との間の距離は、第1部分、第2部分、第4部分の天面と第1光増感層2aの底面との間の距離未満である。第2部分の天面と第3光増感層2cの底面との間の距離は、第1部分および第4部分の天面と第3光増感層2cの底面との間の距離未満である。
図8では、第1部分が全ての領域において第1絶縁層3aおよび第2絶縁層3bに接するように配置されているが、第1部分は第1絶縁層3aおよび第2絶縁層3bのいずれかのみに接する領域を含んでいてもよい。第1部分の第1絶縁層3aおよび第2絶縁層3bに接する領域が小さい場合、電磁波入射時に第1絶縁層3aおよび第2絶縁層3bを通過することで吸収される電磁波の光量が減少するため、電磁波検出器100の感度を向上させることができる。
二次元材料層1の第2部分の表面および第3部分の表面には、図示されない保護膜が形成されていてもよい。第1光増感層2a上において二次元材料層1、第1絶縁層3a、第2光増感層2b、第2電極部4bおよび第3電極部4cの周囲を覆うように設けられていてもよい。保護膜の材料は、任意の材料であってもよいが、例えば、酸化ケイ素(SiO)を含む絶縁層である。保護膜の材料は、酸化物または窒化物等の絶縁体である。保護膜の材料は、例えば、酸化ケイ素(SiO2)、窒化ケイ素(SiN)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化アルミニウム(Al23)、窒化ボロン(BN)(ボロンナイトライド)等である。
第1電極部4aは、信号処理回路5と第2光増感層2bとを電気的に接続している。第2電極部4bは、第1光増感層2aと二次元材料層1とを電気的に接続している。
第1電極部4aおよび第2電極部4bは、第1光増感層2aおよび二次元材料層1を電気的に接続する図示されない金属バンプを含んでいてもよい。金属バンプの材料は、例えば、金(Au)またはインジウム(In)等の導電性材料である。第1光増感層2aと二次元材料層1との金属バンプによる接続は、フリップチップ実装またはハイブリッド接合と呼ばれる。フリップチップ実装またはハイブリッド接合は、量子型赤外線センサにおいて一般的に用いられる。フリップチップ実装またはハイブリッド接合は、ワイヤボンディングまたは金属配線が用いられる場合と比較して、実装面積を縮小しかつ配線を短くすることができる。このため、フリップチップ実装またはハイブリッド接合によって電源雑音または配線のインダクタンス抵抗に由来する損失を低減することができる。したがって、良好な電気特性が得られる。
金属バンプと第1電極部4aとの間または金属バンプと二次元材料層1との間に、図示されない電極パッドが設けられてもよい。電極パッドの材料は、例えば、アルミニウムシリコン(Al-Si)系合金、ニッケル(Ni)、金(Au)等の導電性材料である。
信号処理回路5を介して、第1電極部4aと第1光増感層2aとの間に図示されない電圧が印加される。電磁波照射時の電流変化が電磁波の検出量として測定される。電流変化のみならず、定電流によって電磁波検出器100が駆動した際の電圧変化が電磁波の検出量として検出されてもよい。
〈作用効果〉
続いて、本実施の形態の作用効果を説明する。
本実施の形態に係る電磁波検出器100によれば、図8に示されるように、第2光増感層2b上に第3光増感層2c、第2絶縁層3bおよび二次元材料層1を含む第1の電磁波検出器の部分と、第1光増感層2a、信号処理回路5、第1絶縁層3a、第1電極部4aおよび第2電極部4bを含む第2の電磁波検出器の部分とをそれぞれあらかじめ別個に作製することができる。第1の電磁波検出器の部分と第2の電磁波検出器の部分とをフリップチップ接合により一体化することで、電磁波検出器100を作製することができる。このとき、二次元材料層1上への光増感層、電極形成のためのリソグラフィ工程を省略できる。加えて、二次元材料層1が第1光増感層2aおよび第2光増感層2bによって保護される。したがって、作製プロセスにおける二次元材料層1の欠陥、故障を抑制することで、生産歩留まりを向上することができる。
実施の形態7.
次に、図9を用いて、実施の形態7に係る電磁波検出器100の構成を説明する。実施の形態7は、特に説明しない限り、上記の実施の形態5と同一の構成および作用効果を有している。したがって、上記の実施の形態5と同一の構成には同一の符号を付し、説明を繰り返さない。
図9に示されるように、本実施の形態に係る電磁波検出器100は、第2絶縁層3bをさらに含んでいる。第2絶縁層3bは、第2光増感層2bと二次元材料層1との間に配置されている。第2絶縁層3bは、二次元材料層1および第2光増感層2bに接続されるように設けられている。第2光増感層2bは、二次元材料層1に直接接続された部分と、二次元材料層1に第2絶縁層3bを介して接続された部分とを含んでいる。
電磁波検出器100は、第3絶縁層3cをさらに含んでいる。第3絶縁層3cは、第3光増感層2cと二次元材料層1との間に配置されている。第3絶縁層3cは、二次元材料層1および第3光増感層2cに接続されるように配置されている。第3光増感層2cは、二次元材料層1に直接接続された部分と、二次元材料層1に第3絶縁層3cを介して接続された部分とを含んでいる。
第2絶縁層3bおよび第3絶縁層3cの材料は、例えば、酸化ケイ素(SiO2)である。第2絶縁層3bおよび第3絶縁層3cの材料は、酸化ケイ素に限られず、例えば、オルトケイ酸テトラエチル(Si(OC254)、窒化ケイ素(Si34)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化ニッケル(NiO)、窒化ボロン(BN)(ボロンナイトライド)、シロキサン系のポリマー材料であってもよい。例えば、窒化ボロン(BN)の原子配列は、グラフェンの原子配列と似ている。このため、窒化ボロン(BN)がグラフェンからなる二次元材料層1に接触する場合、二次元材料層1の電子移動度の低下が抑制される。よって、窒化ボロン(BN)は、二次元材料層1の下に配置される下地膜としての第2絶縁層3bおよび第3絶縁層3cに好適である。
第2絶縁層3bの厚さと第3絶縁層3cの厚さは、二次元材料層1の第2絶縁層3bの下に位置する領域と第2光増感層2bの第2絶縁層3bの上に位置する領域および二次元材料層1の第3絶縁層3cの下に位置する領域と第3光増感層2cの第3絶縁層3cの上に位置する領域が絶縁され、かつトンネル電流が生じなければ特に限定されない。なお、第2絶縁層3bおよび第3絶縁層3cの厚さが薄いほど、第2絶縁層3bと第2光増感層2bとの界面に生じた光キャリアおよび第3絶縁層3cと第3光増感層2cとの界面に生じた光キャリアによる二次元材料層1の電界変化の程度が大きくなる。そのため、第2絶縁層3bおよび第3絶縁層3cの厚さは可能な限り薄いことが望ましい。
なお、本実施の形態に係る電磁波検出器100について、第2絶縁層3bおよび第3絶縁層3cの両方を有する構成が説明されたが、第2絶縁層3bのみまたは第3絶縁層3cのみを有する場合でも、同様の効果が得られる。すなわち、上記の通り第2光増感層2bと第2絶縁層3bとの間に形成される空乏層に由来する光ゲート効果および高感度化、または、第3光増感層2cおよび第3絶縁層3cの間に形成される空乏層に由来する光ゲート効果と高感度化が得られる。
〈作用効果〉
続いて、本実施の形態の作用効果を説明する。
本実施の形態に係る電磁波検出器100によれば、図9に示されるように、電磁波検出器100は、第2光増感層2bを含んでいる。このため、第2光増感層2bの検出波長の電磁波が第2光増感層2bに照射されることによって第2光増感層2bにおいて光キャリアが生じる。第2光増感層2bにおいて生じた光キャリアは、二次元材料層1に注入されることで、電流変化を生じさせる。第2絶縁層3bは、第2光増感層2bと二次元材料層1との間に配置されている。このため、第2光増感層2bに電圧が印加されることで、第2光増感層2bと第2絶縁層3bとの界面に空乏層が形成される。空乏層において生じた光キャリアは、第2絶縁層3bを介して二次元材料層1に電界効果を与える。この結果、二次元材料層1において抵抗値を変化させることで二次元材料層1に流れる電流を変化させる光ゲート効果を生じさせることができる。したがって、電磁波検出器100の感度を向上させることができる。
図9に示されるように、電磁波検出器100は、第3光増感層2cを含んでいる。このため、第3光増感層2cの検出波長の電磁波が第3光増感層2cに照射されることによって第3光増感層2cにおいて光キャリアが生じる。第3光増感層2cにおいて生じた光キャリアは、二次元材料層1に注入されることで、電流変化を生じさせる。第3絶縁層3cは、第3光増感層2cと二次元材料層1との間に配置されている。このため、第3光増感層2cに電圧が印加されることで、第3光増感層2cと第3絶縁層3cとの界面に空乏層が形成される。空乏層において生じた光キャリアは、第3絶縁層3cを介して二次元材料層1に電界効果を与える。この結果、二次元材料層1において抵抗値を変化させることで二次元材料層1に流れる電流を変化させる光ゲート効果を生じさせることができる。したがって、電磁波検出器100の感度を向上させることができる。
本実施の形態に係る電磁波検出器100に電磁波が照射されたときの電流Iの変化量は、第1光増感層2aにおいて生じた光キャリアに伴う二次元材料層1の抵抗変化により発生する電流の変化量と、第2光増感層2bにおいて生じた光キャリアに伴う二次元材料層1の抵抗変化により発生する電流の変化量と、第3光増感層2cにおいて生じた光キャリアに伴う二次元材料層1の抵抗変化により発生する電流の変化量に加えて、二次元材料層1における光電変換によって生じる光電流量を含んでいる。すなわち、本実施の形態に係る電磁波検出器100では、電磁波の入射により、上述した光ゲート効果で生じた電流に加えて、二次元材料層1本来の光電変換効率に起因する光電流も検出される。このため、第1光増感層2a、第2光増感層2bおよび第3光増感層2c単体において生じる光キャリアが検出される従来電磁波検出器と比べて、より高感度の電磁波検出が可能となる。
実施の形態8.
次に、図10を用いて、実施の形態8に係る電磁波検出器100の構成を説明する。実施の形態8は、特に説明しない限り、上記の実施の形態7と同一の構成および作用効果を有している。したがって、上記の実施の形態7と同一の構成には同一の符号を付し、説明を繰り返さない。
図10に示されるように、本実施の形態に係る電磁波検出器100では、第2光増感層2bの全面は、第2絶縁層3bに覆われている。このため、二次元材料層1は、第2絶縁層3bを介して第2光増感層2bに接続されている。二次元材料層1と第2光増感層2bは、電気的に接続されていない。
第3光増感層2cの全面は、第3絶縁層3cに覆われている。このため、二次元材料層1は、第3絶縁層3cを介して第3光増感層2cに接続されている。二次元材料層1と第2光増感層2bは電気的に接続されていない。
〈作用効果〉
続いて、本実施の形態の作用効果を説明する。
本実施の形態に係る電磁波検出器100によれば、図10に示されるように、第2光増感層2bの全面は、第2絶縁層3bに覆われている。このため、第2光増感層2bにおいて生じた光キャリアを二次元材料層1に送ることなく、電界効果のみを選択的に二次元材料層1に生じさせることができる。
図10に示されるように、第3光増感層2cの全面は、第3絶縁層3cに覆われている。このため、第3光増感層2cにおいて生じた光キャリアを二次元材料層1に送ることなく、電界効果のみを選択的に二次元材料層1に生じさせることができる。
実施の形態9.
次に、図11を用いて、実施の形態9に係る電磁波検出器100の構成を説明する。実施の形態9は、特に説明しない限り、上記の実施の形態7と同一の構成および作用効果を有している。したがって、上記の実施の形態7と同一の構成には同一の符号を付し、説明を繰り返さない。
図11に示されるように、本実施の形態に係る電磁波検出器100は、フローティング電極6をさらに含んでいる。フローティング電極6は、二次元材料層1に接触している。フローティング電極6は、電源回路等に接続されていない。
フローティング電極6の材料は、導電体であれば適宜に決められてもよい。フローティング電極6の材料は、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、または、パラジウム(Pd)等の金属である。フローティング電極6の材料は、表面プラズモン共鳴を生じさせる材料であってもよい。
フローティング電極6が二次元材料層1上に形成される方法は適宜に決められてもよい。フローティング電極6は、例えば、第1電極部4aおよび第2電極部4bと同様の製法によって二次元材料層1上に形成されてもよい。
フローティング電極6は、複数のフローティング電極部60を含んでいてもよい。複数のフローティング電極部60の各々は、導電体である。複数のフローティング電極部60は、互いに間隔を空けて配置されている。複数のフローティング電極部60は、表面プラズモン共鳴を生じさせるように配置されていてもよい。複数のフローティング電極部60は、第1の方向に沿って間隔を開けて配置されていてもよい。複数のフローティング電極部60は、第1の方向および第1の方向に直交する第2の方向の各々に沿って間隔を空けて配置されている。第1の方向は、例えば、二次元材料層1上において第2光増感層2bから第3光増感層2cに向かう方向である。複数のフローティング電極部60は、周期的に配置されていてもよい。複数のフローティング電極部60が周期的に配置されるとは、電磁波検出器100の平面視において、例えば、正方格子または三角格子等の複数の格子点の各々に対応する位置に複数のフローティング電極部60の各々がそれぞれ配置されることである。複数のフローティング電極部60は、平面視において対称性を有するように配置されていてもよい。複数のフローティング電極部60は、平面視において非対称に配置されていてもよい。
複数のフローティング電極部60の各々の平面形状は、例えば、円形、楕円形または三角形もしくは四角形等の多角形等である。複数のフローティング電極部60の各々の平面形状は、適宜に決められてもよい。
図11では、フローティング電極6は、二次元材料層1に対して第1光増感層2aの反対側に配置されているが、フローティング電極6の配置はこれに限られない。フローティング電極6は、二次元材料層1と第2光増感層2bとの間および二次元材料層1と第3光増感層2cとの間に配置されていてもよい。この場合、第2光増感層2bおよび第3光増感層2cにおいて生じかつ二次元材料層1に注入される光キャリアの寿命が向上する。このため、電磁波検出器100の感度を向上させることができる。また、フローティング電極6は、二次元材料層1と第1絶縁層3aとの間に配置されていてもよい。
図示されないが、二次元材料層1は、凹凸部をさらに含んでいてもよい。凹凸部は、複数のフローティング電極部60と同様に、周期的または非対称に配置されていてもよい。この場合、複数のフローティング電極部60が配置された場合と同様の効果が得られる。
〈作用効果〉
続いて、本実施の形態の作用効果を説明する。
本実施の形態に係る電磁波検出器100によれば、図11に示されるように、フローティング電極6は、二次元材料層1に接触している。このため、第1光増感層2aにおいて電磁波の照射によって生じた光キャリアを、フローティング電極6と二次元材料層1との間を行き来させることができる。これにより、光キャリアの寿命を長くすることができる。よって、電磁波検出器100の感度を向上させることができる。
フローティング電極6の材料が表面プラズモン共鳴が生じる材料であり、かつ複数のフローティング電極部60が表面プラズモン共鳴を生じさせるように配置されていてもよい。この場合、表面プラズモン共鳴によってフローティング電極6に偏光依存性が生じる。これにより、表面プラズモン共鳴によって偏光した電磁波のみを第1光増感層2aに照射させることができる。したがって、電磁波検出器100は、偏光した電磁波を選択的に検出することができる。
フローティング電極6の材料が表面プラズモン共鳴が生じる材料であり、かつ複数のフローティング電極部60が表面プラズモン共鳴を生じさせるように配置されていてもよい。この場合、表面プラズモン共鳴によって電磁波を共鳴させることができる。これにより、電磁波検出器100は、電磁波を選択的に検出することができる。
実施の形態10.
次に、図12を用いて、実施の形態10に係る電磁波検出器100の構成を説明する。実施の形態10は、特に説明しない限り、上記の実施の形態7と同一の構成および作用効果を有している。したがって、上記の実施の形態7と同一の構成には同一の符号を付し、説明を繰り返さない。
図12に示されるように、本実施の形態に係る電磁波検出器100は、バッファ層7をさらに含んでいる。バッファ層7は、二次元材料層1と第1光増感層2aとの間、二次元材料層1と第2光増感層2bとの間および二次元材料層1と第3光増感層2cとの間の少なくともいずれかに配置されている。図12では、バッファ層7は、二次元材料層1と第1光増感層2aとの間に配置されている。
バッファ層7は、二次元材料層1と第1光増感層2aとの間、二次元材料層1と第2光増感層2bとの間および二次元材料層1と第3光増感層2cとの間の少なくともいずれかにトンネル電流を形成することが可能な厚みを有している。本実施の形態において、バッファ層7は、二次元材料層1と第1光増感層2aとの間にトンネル電流を形成することが可能な厚さを有している。バッファ層7は、例えば、1nm以上10nm以下の厚さを有する絶縁膜である。バッファ層7は、第1絶縁膜よりも薄い。バッファ層7の材料は、例えば、アルミナ(酸化アルミニウム)または酸化ハフニウム(HfO2)などの金属酸化物、酸化ケイ素などの半導体酸化物、窒化ケイ素(Si34)などの半導体窒化物である。バッファ層7の材料は、窒化ボロン(ボロンナイトライド)であってもよい。
バッファ層7の作製方法は、適宜に決められてもよいが、例えばALD(Atomic Layer Deposition)法、真空蒸着法、およびスパッタ法などから選択され得る。また、バッファ層7は、第1光増感層2aの表面を酸化または窒化させることにより形成されてもよい。また、バッファ層7は、第1光増感層2aの表面に形成される自然酸化膜であってもよい。
なお、図12では、バッファ層7は、第1光増感層2aと二次元材料層1との間にのみ設けられているが、バッファ層7は第2光増感層2bと二次元材料層1との間または第3光増感層2cと二次元材料層1との間に設けられていてもよい。この場合、バッファ層7の厚みは、第2光増感層2bから二次元材料層1にトンネル注入が生じる厚みであり、かつ第3光増感層2cから二次元材料層1にトンネル注入が生じる厚みであることが好ましい。
〈作用効果〉
続いて、本実施の形態の作用効果を説明する。
本実施の形態に係る電磁波検出器100によれば、図12に示されるように、電磁波検出器100は、バッファ層7をさらに含んでいる。バッファ層7は、二次元材料層1と第1光増感層2aとの間、二次元材料層1と第2光増感層2bとの間および二次元材料層1と第3光増感層2cとの間の少なくともいずれかに配置されている。このため、二次元材料層1と第1光増感層2a、第2光増感層2bおよび第3光増感層2cとの接合界面における漏れ電流を抑制することができる。したがって、暗電流を低減することができる。
バッファ層7は、二次元材料層1と第1光増感層2aとの間、二次元材料層1と第2光増感層2bとの間および二次元材料層1と第3光増感層2cとの間の少なくともいずれかにトンネル電流を形成することが可能な厚みを有している。このため、トンネル電流によって注入効率が改善されることにより二次元材料層1に大きな光電流が注入される。よって、電磁波検出器100の感度を向上させることができる。
実施の形態11.
次に、図13~図17を用いて、実施の形態2に係る電磁波検出器100の構成を説明する。実施の形態2は、特に説明しない限り、上記の実施の形態1と同一の構成および作用効果を有している。したがって、上記の実施の形態1と同一の構成には同一の符号を付し、説明を繰り返さない。
図13に示されるように、本実施の形態に係る電磁波検出器100の第3光増感層2cは、強誘電体材料8を含んでいる。第3光増感層2cは、強誘電体材料8からなっていてもよい。強誘電体材料8は、二次元材料層1上に設けられている。第4電極部4dは、強誘電体材料8に電気的に接続されている。
強誘電体材料8の材料は、検出波長に対して分極が生じる材料であれば適宜に決められてもよい。強誘電体材料8の材料は、例えば、BaTiO(チタン酸バリウム)、LiNbO(ニオブ酸リチウム)、LiTaO(タンタル酸リチウム)、SrTiO(チタン酸ストロンチウム)、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)、SBT(タンタル酸ビスマス酸ストロンチウム)、BFO(ビスマスフェライト)、ZnO(酸化亜鉛)、HfO(酸化ハフニウム)、および有機ポリマーであるポリフッ化ビニリデン系強誘電体(PVDF、P(VDF-TrFE)、P(VDF-TrFE-CTFE)等)の少なくともいずれかを含んでいる。
強誘電体材料8は、異なる強誘電体が積層、混合されたものでもよい。強誘電体材料8の作成方法は、適宜に決められてもよい。例えば、強誘電体材料8がポリマー系材料を含む場合、スピンコート法等によりポリマー膜が形成された後に、フォトリソグラフィ法によって加工される。強誘電体材料8が他の材料である場合は、スパッタや蒸着、MODコート法などで成膜された後に、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングされる。また、レジストマスクがマスクとして用いられて強誘電体材料8が成膜された後に、レジストマスクを除去するリフトオフと呼ばれる方法が用いられてもよい。
なお、強誘電体材料8を構成する材料は、上記の強誘電体の材料に限られるものではなく、焦電効果を奏する任意の焦電体であればよい。具体的には、強誘電体材料8を構成する材料は、熱エネルギーの変化に対して分極変化が生じる任意の強誘電体であればよい。焦電効果において電磁波は単に熱源として作用するため、焦電効果には基本的に波長依存性はない。このため、強誘電体材料8は、広帯域の電磁波に感度を有している。
望ましくは、強誘電体材料8は、強誘電体材料8における誘電分極の変化速度が可能な限り短くなるように設計されている。具体的には、強誘電体材料8の厚さは二次元材料層1に電圧を与えることが可能である範囲で薄いことが好ましい。
また、強誘電体材料8の膜厚は、電磁波が二次元材料層1に照射された場合に二次元材料層1に印加される電圧値が極大値となる厚さであることが好ましい。また、強誘電体材料8の分極方向は、特に制限されないが、二次元材料層1に電圧が印加される方向に沿っていることが望ましい。
図示されないが、電磁波検出器100は、強誘電体材料8と接触しており、かつ光照射により光誘起相転移が生じて物性(例えば温度)が変化するモット絶縁体をさらに含んでいてもよい。
図14に示されるように、第1絶縁層3aには、二次元材料層1に対して第3光増感層2cとは反対側において貫通孔T1が設けられていてもよい。第1光増感層2aには、二次元材料層1に対して第3光増感層2cとは反対側において凹部T2が設けられていてもよい。この場合、第1絶縁層3aおよび第1光増感層2aは、貫通孔T1および凹部T2が設けられたトレンチ構造Tを構成している。二次元材料層1は、トレンチ構造Tにまたがった架橋構造を有している。
図15に示されるように、第2光増感層2bは、強誘電体材料8を含んでいてもよい。第2光増感層2bは、強誘電体材料8からなっていてもよい。強誘電体材料8の検出波長の電磁波が強誘電体材料8に入射した場合、強誘電体材料8内において分極が生じる。これにより、第3電極部4cから印加される電圧V4が変化する。すなわち、第2光増感層2bと強誘電体材料8との界面に蓄積した光キャリアに伴う電界効果に加えて、強誘電体材料8において生じた分極に伴う電圧値変化が生じる。これにより、強誘電体材料8が設けられていない場合と比較して、さらに大きい光ゲート効果が生じる。この結果、二次元材料層1において生じる光電流量が増加するため、さらに高い感度を有する電磁波検出器100が得られる。
図16に示されるように、第1光増感層2aは、強誘電体材料8を含んでいてもよい。第1光増感層2aは、強誘電体材料8からなっていてもよい。
図17に示されるように、強誘電体材料8は、第2光増感層2bと二次元材料層1との間に配置されていてもよい。すなわち、強誘電体材料8は、二次元材料層1と第2光増感層2bとを接続していてもよい。誘電体材料の検出波長の電磁波が強誘電体材料8に入射した場合、強誘電体材料8内において分極が生じる。これにより、第2電極部4bから印加される電圧V2が変化する。すなわち、第2光増感層2bと強誘電体材料8との界面に蓄積した光キャリアに伴う電界効果に加えて、強誘電体材料8において生じた分極に伴う電圧値変化が生じる。これにより、強誘電体材料8が設けられていない場合と比較して、さらに大きい光ゲート効果が生じる。この結果、二次元材料層1において生じる光電流量が増加するため、さらに高い感度を有する電磁波検出器100が得られる。
図18に示されるように、第1絶縁層3aおよび第2絶縁層3bの少なくともいずれかは、強誘電体材料8を含んでいてもよい。また、第3絶縁層3cは、強誘電体材料8を含んでいてもよい。図18では、第2絶縁層3bおよび第3絶縁層3cは、強誘電体材料8を含んでいる。第1絶縁層3a、第2絶縁層3bおよび第3絶縁層3cの少なくともいずれかは、強誘電体材料8からなっていてもよい。強誘電体材料8は、第1光増感層2aと二次元材料層1との間に配置されていてもよい。
〈作用効果〉
続いて、本実施の形態の作用効果を説明する。
本実施の形態に係る電磁波検出器100によれば、図13、図15および図16に示されるように、第1光増感層2a、第2光増感層2bおよび第3光増感層2cの少なくともいずれかは、強誘電体材料8を含んでいる。この場合、強誘電体材料8に電磁波が照射されることで、強誘電体材料8の焦電効果によって強誘電体材料8の内部に誘電分極の変化が生じる。これにより、強誘電体材料8から二次元材料層1に電荷が注入される。この結果、電磁波検出器100に対して擬似的にバイアス電圧が印加される。よって、二次元材料層1の抵抗値が変化する。二次元材料層1の抵抗値の変化を検出することで電磁波検出器100に照射された電磁波を検出することができる。
強誘電体材料8に第4電極部4dによって電圧V4が印加されてもよい。この場合、焦電効果によって強誘電体材料8の誘電分極が変化することで、二次元材料層1に印加される電圧が変調される。具体的には、電圧V4が電圧V4+ΔV4になるように変調される。印加電圧が変調されることで、二次元材料層1のフェルミレベルが変調される。よって、二次元材料層1の抵抗値が変化する。
すなわち、強誘電体材料8から二次元材料層1に注入された電荷による二次元材料層1の抵抗値の変化と、強誘電体材料8の誘電分極に伴う二次元材料層1のフェルミレベル変調による抵抗値の変化とが生じる。したがって、二次元材料層1のみまたは強誘電体材料8のみが用いられた電磁波検出器100と比較して、さらに大きい光電流量が得られるため、電磁波検出器100の感度を向上させることができる。
より詳細には、図15に示されるように、第2光増感層2bは、強誘電体材料8を含んでいてもよい。強誘電体材料8は、二次元材料層に直接接続されていてもよい。第2光増感層2bが感度を有する波長の電磁波が第2光増感層2bに入射すると、半導体材料内において光キャリアが発生する。第2光増感層2bに対して電圧が印加されると、強誘電体材料8に空乏層が形成される。空乏層において生じた光キャリアは、強誘電体材料8を介して二次元材料層1に電界効果を与える。強誘電体材料8が感度を有する電磁波が強誘電体材料8に入射すると、強誘電体材料8において分極が生じる。これにより、強誘電体材料8の界面に蓄積した光キャリアに伴う電界効果に加えて、強誘電体材料8で生じた分極に伴う電圧値変化によって、強誘電体材料8が設けられていない場合と比較して、より大きな光ゲート効果が生じる。この結果、二次元材料層1で生じる光電流量が増加するため、電磁波検出器100の感度を向上させることができる。
図14に示されるように、第1絶縁層3aおよび第1光増感層2aは、貫通孔T1および凹部T2が設けられたトレンチ構造Tを構成している。このため、強誘電体材料8に接続された構造体(第1絶縁層3aおよび第1光増感層2a)の熱容量が低減される。よって、電磁波検出器100に伴う強誘電体材料8による温度変化量を大きくすることができる。これにより、強誘電体材料8に生じる分極変化量を大きくすることができるため、二次元材料層1に印加される電圧を大きくすることができる。したがって、電磁波検出器100の感度を向上させることができる。
図18に示されるように、第1絶縁層3aおよび第2絶縁層3bの少なくともいずれかは、強誘電体材料8を含んでいてもよく、第3絶縁層3cは、強誘電体材料8を含んでいてもよい。この場合、強誘電体材料8に電磁波が照射されることで、強誘電体材料8の焦電効果によって強誘電体材料8の内部に誘電分極の変化が生じる。これにより、強誘電体材料8から二次元材料層1に電荷が注入される。この結果、電磁波検出器100に対して擬似的にバイアス電圧が印加される。よって、二次元材料層1の抵抗値が変化する。二次元材料層1の抵抗値の変化を検出することで電磁波検出器100に照射された電磁波を検出することができる。
実施の形態12.
次に、図19を用いて、実施の形態12に係る電磁波検出器集合体の構成を説明する。実施の形態12は、特に説明しない限り、上記の実施の形態1と同一の構成および作用効果を有している。したがって、上記の実施の形態1と同一の構成には同一の符号を付し、説明を繰り返さない。
本実施の形態に係る電磁波検出器集合体200は、実施の形態1~11に係る電磁波検出器100を複数有している。複数の電磁波検出器100は、第1方向DR1および第1方向DR1に交差する第2方向DR2の少なくともいずれかに沿って並んで配置されている。本実施の形態において、電磁波検出器集合体200に含まれる複数の電磁波検出器100は、互いに同じ電磁波検出器100である。
図19に図示された電磁波検出器集合体200では、4つの電磁波検出器100が2×2の集合体状に配置されているが、配置される電磁波検出器100の数はこれに限定されない。例えば、9つの電磁波検出器100が3×3の集合体状に配置されてもよい。また、図19に示される電磁波検出器集合体200は、複数の電磁波検出器100が二次元に周期的に配列されているが、複数の電磁波検出器100は1つの方向に沿って周期的に配列されていてもよい。また、複数の電磁波検出器100のうち隣り合う電磁波検出器100同士の間隔は等間隔であってもよいし、異なる間隔であってもよい。
複数の電磁波検出器100の各々が互いに分離されていれば、複数の電磁波検出器100において1つの第1電極部4a(図1参照)が共通電極として用いられてもよい。これにより、複数の第1電極部4aが独立している場合よりも電磁波検出器集合体200の配線を少なくすることができるため、電磁波検出器集合体200の解像度を高めることができる。
次に、図20を用いて、実施の形態12に係る電磁波検出器集合体200の変形例の構成を説明する。
電磁波検出器集合体200に含まれる複数の電磁波検出器100は、互いに異なる種類の電磁波検出器101~104である。互いに異なる種類の電磁波検出器101~104が集合体状(マトリックス状)に配置されている。複数の電磁波検出器101~104の各々は、互いに異なる検出波長をそれぞれ有していてもよい。具体的には、複数の電磁波検出器101~104の各々は、互いに異なる検出波長選択性を有していてもよい。
例えば、複数の電磁波検出器101~104の各々の第1光増感層2a(図9参照)、第2光増感層2b(図9参照)、第3光増感層2c(図9参照)または強誘電体材料8(図13参照)を構成する材料がそれぞれ互いに異なる検出波長を有していてもよい。この場合、例えば、検出波長が可視光の波長である半導体材料または強誘電体材料8(図13参照)と、検出波長が赤外線の波長である半導体材料または強誘電体材料8(図13参照)とが用いられてもよい。例えば、当該電磁波検出器集合体200が車載センサに適用された場合、電磁波検出器集合体200は、昼間は可視光画像用カメラとして使用され得る。さらに、電磁波検出器集合体200は、夜間は赤外線カメラとしても使用され得る。このようにすれば、電磁波の検出波長に応じて複数のカメラを使い分ける必要がない。
続いて、本実施の形態の作用効果を説明する。
本実施の形態に係る電磁波検出器集合体200によれば、図19に示されるように、電磁波検出器集合体200は、実施の形態1~11に係る電磁波検出器100を複数有している。このため、複数の電磁波検出器100の各々を検出素子とすることによって、電磁波検出器集合体200に画像センサとしての機能を持たせることができる。
本実施の形態に係る電磁波検出器集合体200の変形例によれば、図20に示されるように、複数の電磁波検出器101~104の各々は、互いに異なる検出波長をそれぞれ有している。このため、電磁波検出器集合体200は、少なくとも2つ以上の異なる波長の電磁波を検出することができる。
これにより、電磁波検出器集合体200は、可視光域で用いられるイメージセンサと同様に、例えば、紫外光、赤外光、テラヘルツ波、電波の波長域などの任意の波長域において、電磁波の波長を識別できる。この結果、例えば波長の相違を色の相違として示した、カラー化された画像を得ることができる。
また、電磁波検出器集合体200は、画像センサ以外のセンサとして用いられてもよい。電磁波検出器集合体200は、例えば、少ない画素数であっても物体の位置を検出できる位置検出用センサとして用いられ得る。また、例えば、電磁波検出器集合体200は、複数の波長において電磁波の強度を検出できる画像センサとして用いられ得る。これにより、従来、CMOS(Complementary MOS:相補型MOS)センサ等で必要とされていたカラーフィルタを用いることなく、複数の電磁波を検出し、カラー化された画像を得ることができる。
複数の電磁波検出器101~104の各々は、互いに異なる偏光を有する電磁波を検出するように構成されている。これにより、電磁波検出器集合体200に偏光識別イメージセンサとしての機能を持たせることができる。例えば、検知する偏光角度が0°、90°、45°、135°である4つの画素を一単位として、当該一単位の電磁波検出器100を複数配置することで偏光イメージングが可能になる。偏光識別イメージセンサによって、例えば、人工物と自然物の識別、材料の識別、赤外波長域においてそれぞれ同一温度を有する複数の物体の識別、複数の物体間の境界の識別、または、等価的な分解能の向上などが可能になる。
以上のように、電磁波検出器集合体200は、広い波長域の電磁波を検出することができる。また、電磁波検出器集合体200は、異なる波長の電磁波を検出することができる。
なお、上述した各実施の形態において、第1光増感層2a~第3光増感層2c、第1絶縁層3a~第3絶縁層3c、バッファ層7、強誘電体材料8の材料は、電磁波の照射により特性が変化することで二次元材料層1に電位の変化を与える材料であることが好ましい。
電磁波の照射により特性が変化することで二次元材料層1に電位の変化を与える材料としては、例えば、量子ドット、強誘電体の材料、液晶材料、フラーレン、希土類酸化物、半導体材料、pn接合材料、金属-半導体接合材料、または、金属-絶縁物-半導体接合材料等である。例えば、強誘電体材料8として、電磁波による分極効果(焦電効果)を有する強誘電体の材料が用いられる場合、電磁波の照射によって強誘電体の材料に分極の変化が生じる。この結果、二次元材料層1に電位の変化が与えられる。
上述のように第1光増感層2a等の材料として上記のような材料を用いる場合、第1光増感層2a~第3光増感層2c、第1絶縁層3a~第3絶縁層3c、バッファ層7または強誘電体層では、電磁波の照射により特性が変化する。その結果、二次元材料層1に電位の変化が与えられる。
なお、電磁波の照射により特性が変化することで二次元材料層1に電位の変化を与える材料が第1光増感層2a~第3光増感層2c部分、第1絶縁層3a~第3絶縁層3c、バッファ層7または強誘電体層に適用される例が説明された。しかしながら、上述した各部材のうちの少なくとも一つ以上に、電磁波の照射により特性が変化することで二次元材料層1に電位の変化を与える材料が適用されればよい。例えば、バッファ層7に電磁波の照射により特性が変化することで二次元材料層1に電位の変化を与える材料が適用される場合、強誘電体材料8は必ずしも二次元材料層1に直接接触している必要はない。例えば、電位の変化が二次元材料層1に与えられることができれば、バッファ層7は絶縁層等を介して二次元材料層1に接続されていてもよい。
上述した各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。さらに、上記実施の形態は実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、上記実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出されうる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 二次元材料層、2a 第1光増感層、2b 第2光増感層、2c 第3光増感層、3a 第1絶縁層、3b 第2絶縁層、3c 第3絶縁層、4a 第1電極部、4b 第2電極部、4c 第3電極部、4d 第4電極部、5 信号処理回路、6 フローティング電極、7 バッファ層、8 強誘電体材料、100 電磁波検出器、200 電磁波検出器集合体、T トレンチ構造、T1 貫通孔、T2 凹部。

Claims (22)

  1. 第1光増感層と、
    前記第1光増感層に電気的に接続された第1電極部と、
    前記第1光増感層上に設けられた第1絶縁層と、
    前記第1絶縁層上に設けられ、かつ前記第1光増感層に電気的に接続された二次元材料層と、
    前記二次元材料層に電気的に接続された第2電極部と、
    前記二次元材料層に接続された第2光増感層とを備え、
    前記第2光増感層は、前記第1光増感層と異なる波長域に吸収最大値を有しており、かつ前記第1光増感層と異なる波長域において電圧変化を生じさせることが可能であり、
    前記第1絶縁層は、前記第1光増感層と前記二次元材料層との間に配置される、電磁波検出器。
  2. 第3電極部をさらに備え、
    前記第3電極部は、前記第2光増感層に電気的に接続されている、請求項1に記載の電磁波検出器。
  3. 第2絶縁層をさらに備え、
    前記第2絶縁層は、前記第2光増感層と前記二次元材料層との間に配置されている、請求項2に記載の電磁波検出器。
  4. 前記第2光増感層の全面は、前記第2絶縁層に覆われている、請求項3に記載の電磁波検出器。
  5. 前記第1絶縁層および前記第2絶縁層の少なくともいずれかは、強誘電体材料を含んでいる、請求項3または4に記載の電磁波検出器。
  6. 第3光増感層をさらに備え、
    前記第3光増感層は、前記二次元材料層に接続されており、かつ前記第1光増感層および前記第2光増感層と異なる電磁波長域に吸収最大値を有しており、かつ前記第1光増感層および前記第2光増感層と異なる波長域において電圧変化を生じさせることが可能であり、請求項1~5のいずれか1項に記載の電磁波検出器。
  7. 第4電極部をさらに備え、
    前記第4電極部は、前記第3光増感層に電気的に接続されている、請求項6に記載の電磁波検出器。
  8. 第3絶縁層をさらに備え、
    前記第3絶縁層は、前記第3光増感層と前記二次元材料層との間に配置されている、請求項6または7に記載の電磁波検出器。
  9. 前記第3光増感層の全面は、前記第3絶縁層に覆われている、請求項8に記載の電磁波検出器。
  10. 前記第3絶縁層は、強誘電体材料を含んでいる、請求項8または9に記載の電磁波検出器。
  11. 前記第1光増感層、前記第2光増感層および前記第3光増感層の少なくともいずれかは、半導体を含んでいる、請求項6~10のいずれか1項に記載の電磁波検出器。
  12. 前記第1光増感層、前記第2光増感層および前記第3光増感層の少なくともいずれかは、バンドギャップを有する原子層材料を含んでいる、請求項6~11のいずれか1項に記載の電磁波検出器。
  13. 前記第1光増感層、前記第2光増感層および前記第3光増感層の少なくともいずれかは、強誘電体材料を含んでいる、請求項6~12のいずれか1項に記載の電磁波検出器。
  14. 前記第1絶縁層には、前記二次元材料層に対して前記第3光増感層とは反対側において貫通孔が設けられており、
    前記第1光増感層には、前記二次元材料層に対して前記第3光増感層とは反対側において凹部が設けられており、
    前記第1絶縁層および前記第1光増感層は、前記貫通孔および前記凹部が設けられたトレンチ構造を構成している、請求項13に記載の電磁波検出器。
  15. バッファ層をさらに備え、
    前記バッファ層は、前記二次元材料層と前記第1光増感層との間、前記二次元材料層と前記第2光増感層との間および前記二次元材料層と前記第3光増感層との間の少なくともいずれかに配置されている、請求項6~14のいずれか1項に記載の電磁波検出器。
  16. 前記バッファ層は、前記二次元材料層と前記第1光増感層との間、前記二次元材料層と前記第2光増感層との間および前記二次元材料層と前記第3光増感層との間の少なくともいずれかにトンネル電流を形成することが可能な厚みを有している、請求項15に記載の電磁波検出器。
  17. 前記第1電極部、前記二次元材料層、前記第1光増感層および前記第2電極部は、この順に電気的に接続されている、請求項1~16のいずれか1項に記載の電磁波検出器。
  18. 信号処理回路をさらに備え、
    前記信号処理回路は、前記第1光増感層と前記第1絶縁層との間に配置されている、請求項1~17のいずれか1項に記載の電磁波検出器。
  19. フローティング電極をさらに備え、
    前記フローティング電極は、前記二次元材料層に接触している、請求項1~18のいずれか1項に記載の電磁波検出器。
  20. 前記二次元材料層は、乱層構造部分を含んでいる、請求項1~19のいずれか1項に記載の電磁波検出器。
  21. 前記二次元材料層は、グラフェン、遷移金属ダイカルゴゲナイト、黒リン、シリセン、グラフェンナノリボンおよびボロフェンからなる群から選択されるいずれかの材料を含む、請求項1~20のいずれか1項に記載の電磁波検出器。
  22. 請求項1~21のいずれか1項に記載の電磁波検出器を複数備え、
    前記複数の電磁波検出器は、第1方向および前記第1方向に交差する第2方向の少なくともいずれかに沿って並んで配置されている、電磁波検出器集合体。
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