JP2022170891A - 経口固形製剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、化合物Aの苦味が改善された経口固形製剤、特に口腔内崩壊錠を提供することを目的とする。【解決手段】8-[(3R)-3-アミノピペリジン-1-イル]-7-(ブタ-2-イン-1-イル)-3-メチル-1-[(4-メチルキナゾリン-2-イル)メチル]-3,7-ジヒドロ-1H-プリン-2,6-ジオン又はその薬学的に許容可能な塩と、アニオン性高分子とを含有する経口固形製剤。【選択図】なし

Description

本発明は、8-[(3R)-3-アミノピペリジン-1-イル]-7-(ブタ-2-イン-1-イル)-3-メチル-1-[(4-メチルキナゾリン-2-イル)メチル]-3,7-ジヒドロ-1H-プリン-2,6-ジオンを含有する経口固形製剤に関する。
8-[(3R)-3-アミノピペリジン-1-イル]-7-(ブタ-2-イン-1-イル)-3-メチル-1-[(4-メチルキナゾリン-2-イル)メチル]-3,7-ジヒドロ-1H-プリン-2,6-ジオン(以下、「化合物A」とも言う。)は、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)阻害剤であり、2型糖尿病の治療に使用されるフィルムコート錠が市販されている(非特許文献1)。
近年、高齢者などの嚥下困難な患者等でも服用し易い口腔内崩壊錠が求められているが、市販されている化合物Aを含有する製剤はフィルムコート錠(普通錠)のみである。
特許文献1には、活性成分としてアミノ基を有するDPP IVインヒビター化合物又はその塩、第一の希釈剤、第二の希釈剤、結合剤、錠剤分解物質及び滑剤を含む医薬組成物が開示されている。
特許文献2には、活性成分としての化合物Aまたはその医薬的に許容され得る塩、マンニトール、コポビドン及びステアリン酸マグネシウムを含む医薬組成物が開示されている。
特許文献3には、(a)次のものを含む錠剤コア(i)場合により少なくとも1種の抗糖尿病剤または薬学的に許容されるその塩(抗糖尿病剤はサクサグリプチン以外である);
(b)次のものを含む、錠剤コアを被覆する第一層(i)コーティング物質;および(ii)場合により少なくとも1種の水溶性抗酸化剤;
(c)次のものを含む、第一層を被覆する第二層(i)コーティング物質;(ii)少なくとも1種の水溶性抗酸化剤;および(iii)活性医薬成分または薬学的に許容されるその塩(ここで、活性医薬成分は1級アミンまたは2級アミンである);および
(d)次のものを含む、第二層を被覆する第三層(i)コーティング物質;および(ii)場合により少なくとも1種の水溶性抗酸化剤を含む、被覆錠剤が開示されている。
特許文献4には、有効成分として化合物Aまたは薬学上許容できるその塩を含む医薬組成物であって、前記医薬組成物が結合剤を含まず、且つ前記医薬組成物が直接圧縮によって得られる、前記医薬組成物が開示されている。
特許文献5には、化合物Aと、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム及びクロスカルメロースナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種とを含むことを特徴とする化合物A含有医薬組成物が開示されている。
特許文献6及び7には、DPP-4阻害薬と、パートナー薬と、1種以上の医薬賦形剤と、前記DPP-4阻害薬を分解に対して安定化するための求核性及び/又は塩基性薬剤とを含むか又はこれらから製造される医薬組成物が開示されている。
特許文献8には、DPP-4阻害剤である1-[(4-メチルキナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノピペリジン-1-イル)キサンチン、及びメトホルミンを含むか又はこれらから作られる組み合わせ医薬が開示されている。
特許文献9には、ピオグリタゾン、特にピオグリタゾン塩酸塩と、1種以上の賦形剤とを含む第1パーツ、組成物又は層、及び化合物Aと、1種以上の賦形剤とを含む第2パーツ、組成物又は層を含んでなる医薬組成物が開示されている。
特許文献10には、第1の活性医薬成分としての化合物A及び1種以上の賦形剤を含む医薬組成物が開示されている。
特表2009-535376号公報 特表2015-524831号公報 特表2013-538814号公報 特表2018-530566号公報 特開2020-158435号公報 特表2011-516456号公報 特開2013-237707号公報 特表2013-506640号公報 特表2013-525468号公報 特表2012-517458号公報
トラゼンタ(登録商標)錠 添付文書
しかしながら、特許文献1~10に記載された発明は、普通錠に関するものであり、化合物Aを含有する口腔内崩壊錠については記載されていない。更に、特許文献1~10には、化合物Aの苦味を改善する課題および化合物Aの苦味を改善する手段は開示されていない。
そこで、本発明は、化合物Aの苦味が改善された経口固形製剤、特に口腔内崩壊錠を提供することを目的とする。
本発明者が鋭意検討した結果、化合物A又はその薬学的に許容可能な塩と、アニオン性高分子とを含有する経口固形製剤とすることにより、化合物Aの苦味を改善できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、具体的には下記のとおりである。
(1)8-[(3R)-3-アミノピペリジン-1-イル]-7-(ブタ-2-イン-1-イル)-3-メチル-1-[(4-メチルキナゾリン-2-イル)メチル]-3,7-ジヒドロ-1H-プリン-2,6-ジオン又はその薬学的に許容可能な塩と、アニオン性高分子とを含有する経口固形製剤。
(2)前記アニオン性高分子が、クロスカルメロースナトリウム、アルギン酸、カラギーナン及びメタクリル酸コポリマーLからなる群から選択される少なくとも1種である上記(1)に記載の経口固形製剤。
(3)前記アニオン性高分子が、クロスカルメロースナトリウムである上記(1)又は(2)に記載の経口固形製剤。
(4)前記アニオン性高分子の含有量が、8-[(3R)-3-アミノピペリジン-1-イル]-7-(ブタ-2-イン-1-イル)-3-メチル-1-[(4-メチルキナゾリン-2-イル)メチル]-3,7-ジヒドロ-1H-プリン-2,6-ジオン100質量部に対して100質量部以上である上記(1)~(3)のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
(5)更に、スクラロース、タウマチン及びアスパルテームからなる群から選択される少なくとも1種の甘味剤を含有する上記(1)~(4)のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
(6)前記甘味剤の含有量が、8-[(3R)-3-アミノピペリジン-1-イル]-7-(ブタ-2-イン-1-イル)-3-メチル-1-[(4-メチルキナゾリン-2-イル)メチル]-3,7-ジヒドロ-1H-プリン-2,6-ジオン100質量部に対して4質量部以上である上記(5)に記載の経口固形製剤。
(7)口腔内崩壊錠である上記(1)~(6)のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
(8)8-[(3R)-3-アミノピペリジン-1-イル]-7-(ブタ-2-イン-1-イル)-3-メチル-1-[(4-メチルキナゾリン-2-イル)メチル]-3,7-ジヒドロ-1H-プリン-2,6-ジオン又はその薬学的に許容可能な塩と、アニオン性高分子とを含有する主薬顆粒を含む上記(1)~(7)のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
本発明によれば、化合物Aの苦味が改善され、服用し易い経口固形製剤、特に口腔内崩壊錠を提供することができる。
図1は、実施例16、18及び21の口腔内崩壊錠、並びに化合物Aを含有する市販製剤のpH1.2試験液における溶出推移を示すグラフである。 図2は、実施例16、18及び21の口腔内崩壊錠、並びに化合物Aを含有する市販製剤のpH6.8試験液における溶出推移を示すグラフである。 図3は、実施例16、18及び21の口腔内崩壊錠、並びに化合物Aを含有する市販製剤の水における溶出推移を示すグラフである。 図4は、実施例16、18及び21の口腔内崩壊錠、並びに化合物Aを含有する市販製剤の0.2%塩化ナトリウム水溶液における溶出推移を示すグラフである。
本発明の経口固形製剤の一実施形態は、化合物A又はその薬学的に許容可能な塩と、アニオン性高分子とを含有する経口固形製剤である。
経口固形製剤としては、例えば、錠剤、カプセル、顆粒剤、散剤、細粒等が挙げられ、錠剤が好ましく、口腔内崩壊錠がより好ましい。
[化合物A]
化合物Aは、非特許文献1に記載のDPP-4阻害剤であり、2型糖尿病の治療に使用されている。
本発明の経口固形製剤における化合物Aの含有量は、特に限定されず、治療用途や対象患者等に応じて適宜設定することができるが、2型糖尿病の治療に用いる場合は、単位製剤当たり2.5mg~10mgであることが好ましく、5mgであることがより好ましい。
[アニオン性高分子]
本発明に用いられるアニオン性高分子は、繰り返し単位当たり1以上のアニオン性基を含有する高分子(その塩も含む)である。
高分子とは、1種又は数種の原子あるいは原子団が互いに数多く繰り返し連結していることを特徴とする分子からなる物質である。
アニオン性基とは、酸性基や、酸性基が脱プロトン化した基をいう。酸性基としては、硫酸基、カルボキシ基、リン酸基等が挙げられる。
硫酸基を有するアニオン性高分子としては、例えば、カラギーナン、コンドロイチン硫酸、デキストラン硫酸等が挙げられる。
カルボキシ基を有するアニオン性高分子としては、例えば、アルギン酸、カルメロース、ジェランガム、キサンタンガム、ヘパリン、ヒアルロン酸、ペクチン酸、ポリアクリル酸等が挙げられる。
アニオン性高分子としては、主に服用時に口腔内で崩壊する時の苦味改善効果の点から、クロスカルメロースナトリウム、アルギン酸、カラギーナンが好ましく、後味の苦味改善効果も高い点からクロスカルメロースナトリウムであることがより好ましい。
本発明の経口固形製剤は、化合物A又はその薬学的に許容可能な塩と、アニオン性高分子とを含有する主薬顆粒を含むことが好ましい。化合物A及びアニオン性高分子を造粒して主薬顆粒とすることにより、化合物Aとアニオン性高分子が密に接触する。そして、化合物Aが有する1級アミノ基とアニオン性高分子が有するアニオン性基との間で静電的な相互作用が働き、化合物Aの見掛けの分子量が大きくなることにより、苦味受容体への結合が抑制され、化合物Aの苦味が改善されると考えられる。ただし、本発明はこの作用機序に限定されるものではない。
アニオン性高分子の含有量は、特に限定されないが、苦味改善効果の点から、化合物A100質量部に対して、100質量部以上であることが好ましく、200質量部以上であることがより好ましく、300質量部以上であることが更に好ましい。また、製剤の小型化等の点からは、アニオン性高分子の含有量は、化合物A100質量部に対して、1000質量部以下であることが好ましく、800質量部以下であることがより好ましく、500質量部以下であることがより好ましい。
[結合剤]
本発明に含まれる主薬顆粒は、上記の化合物A、アニオン性高分子の他に、結合剤を含有することができる。
結合剤としては、特に限定されず、例えば、デンプン類、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ポビドン、デキストリン、ゼラチン、プルラン、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール等が挙げられ、好ましくは、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ポビドン、ポリビニルアルコールが挙げられる。
[主薬顆粒の製造方法]
主薬顆粒の製造方法は、特に限定されず公知の製造方法を用いることができ、例えば、乾式造粒法、湿式造粒法等が挙げられる。湿式造粒法としては、撹拌造粒法、流動層造粒法等が挙げられ、好ましくは撹拌造粒法が挙げられる。
[甘味剤]
本発明の経口固形製剤は、甘味剤を含有することが好ましい。甘味剤としては、例えば、アスパルテーム、サッカリン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸ジカリウム、ステビア、タウマチン、アセスルファムカリウム、スクラロース等が挙げられ、苦味改善効果の点からスクラロースが好ましい。
甘味剤の含有量は、特に限定されず、用いられる甘味剤の種類等に応じて適宜設定することができる。例えば、スクラロースの含有量は、化合物A100質量部に対して、苦味改善効果の点から、4質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることがより好ましく、15質量部以上であることがさらに好ましい。また、甘味が残りすぎず服用感が良好である点から、スクラロースの含有量は、化合物A100質量部に対して、50質量部以下であることが好ましく、40質量部以下であることが好ましく、30質量部以下であることがさらに好ましい。
[香料]
本発明の経口固形製剤は、香料を含有することが好ましい。香料としては、例えば、ストロベリー、ヨーグルト、バナナ、パイナップル、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、メントール、ピーチ、アップル、チョコレート、コーヒー、カフェオレ、ココア、バニラ、紅茶、抹茶等の香料が挙げられ、苦味改善効果、服用感の点から、レモン香料、グレープフルーツ香料、カフェオレ香料、チョコレート香料が好ましい。
香料の含有量は、特に限定されず、化合物A100質量部に対して、苦味改善効果、服用感の点から、4質量部以上であることが好ましく、6質量部以上であることがより好ましく、8質量部以上であることがさらに好ましい。また、香りが強くなりすぎず、服用感が良好である点から、化合物A100質量部に対して、20質量部以下であることが好ましく、15質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがさらに好ましい。
[添加剤]
本発明の経口固形製剤は、上述した成分以外に、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、着色剤、酸味剤、矯味剤、滑沢剤等の添加剤を適宜用いることができる。これらの添加剤は、主薬顆粒に含まれていてもよく、主薬顆粒外に用いられてもよい。
賦形剤としては、例えば、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、部分アルファー化デンプン、アルファー化デンプン、トレハロース、結晶セルロース、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、無水リン酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、乳酸カルシウム、乳糖、果糖、D-マンニトール、エリスリトール、キシリトール、マルトース、D-ソルビトール、マルチトール等が挙げられる。
賦形剤の含有量は、特に限定されず、適宜設定することができる。主薬顆粒中の賦形剤の含有量は、安定性と苦味改善効果の両立の点からは、本発明の経口固形製剤の全質量に対して、15~30質量%であることが好ましく、18~25質量%であることがより好ましく、20~22質量%であることがさらに好ましい。
結合剤としては、例えば、デンプン類、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ポビドン、デキストリン、ゼラチン、プルラン、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
崩壊剤としては、例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、コメデンプン、トウモロコシデンプン、パレイショデンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルメロース、部分アルファー化デンプン、アルファー化デンプン、クロスポビドン、結晶セルロース等が挙げられる。
着色剤としては、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、黄酸化鉄、褐色酸化鉄、食用黄色4号、食用黄色5号、食用黄色4号アルミニウムレーキ、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色102号、カルミン、リボフラビン等が挙げられる。
酸味剤としては、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸等が挙げられる。
矯味剤としては、例えば、L-アスパラギン酸、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カルシウム、L-グルタミン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、タルク、軽質無水ケイ酸、庶糖脂肪酸エステル、フマル酸ステアリルナトリウム、ポリエチレングリコール、モノステアリン酸グリセリン等が挙げられる。
本発明の経口固形製剤の製造方法は、特に限定されず公知の製造方法を用いることができる。例えば、上述した主薬顆粒、並びに、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、香料及び甘味剤等の添加剤を混合し、打錠することにより、本発明の口腔内崩壊錠を製造することができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例により限定されるものではない。
[苦味官能試験]
健常人2~4名において、下記の参考例及び実施例で調製した錠剤各1錠をそれぞれ口腔内に含み、舌で軽く転がしながら錠剤を崩壊させ、崩壊中(20~40秒程度)の苦味、及び錠剤が全て崩壊した後、検体を吐き出して口腔内を水ですすいだ後に感じる後味の苦味を、苦味スコアとして評価した。苦味スコアは、苦味マスキングされていない参考例1の錠剤の苦味を基準(10点)とし、苦味を感じないレベルを1点とする10段階評価とした。
なお、苦味スコアは、複数の評価者間の評価結果を集約して決定した。そのため、2名又は3名の苦味スコアが疑いなく一致した場合には2名又は3名の評価者間で一致した苦味スコアを採用し、苦味スコアが一致しない場合には、評価者を4名まで増やして最も多かった苦味スコアを採用した。2~4名の評価者間でかけ離れた評価となる事はなかった。
[参考例1、実施例1~4 直打;アニオン性高分子による苦味マスキング効果の検証]
下記表1に示す量比に従って、化合物A、アニオン性高分子及びその他の添加剤を混合した後、単発打錠機を用いて打錠し、口腔内崩壊錠(以下、「OD錠」とも言う。)を得た。
得られた参考例1及び実施例1~4の錠剤について苦味官能試験を実施した。結果を下記表1に示す。
Figure 2022170891000001
アニオン性高分子を含まない参考例1のOD錠は崩壊中及び後味のいずれも耐え難い苦味があった。
アニオン性高分子であるアルギン酸を添加した実施例1は、崩壊中は明確に苦味を感じるが耐えられるものであり、参考例1に比べて大幅に苦味を抑制できたが、後味の苦味は変わらなかった。
アニオン性高分子であるカラギーナンを添加した実施例2は、崩壊中は明確に苦味を感じるが耐えられるものであり、参考例1に比べて大幅に苦味を抑制できたが、後味の苦味は変わらなかった。
アニオン性高分子であるクロスカルメロースナトリウム(製品名 アクヂゾル)を添加した実施例3は、崩壊中は明確に苦味を感じるが耐えられるものであり、参考例1に比べて大幅に苦味を抑制できたが、後味の苦味は変わらなかった。
アニオン性高分子であるメタクリル酸コポリマーL(製品名 オイドラギット(登録商標)L100)を添加した実施例4は、崩壊中は明確に苦味を感じるが耐えられるものであり、参考例1に比べて大幅に苦味を抑制できたが、後味の苦味は変わらなかった。
[実施例5~7 湿式造粒;アニオン性高分子による苦味マスキング効果の検証]
直打処方の実施例2~4で苦味マスキング効果が比較的良好であったアルギン酸、カラギーナン及びクロスカルメロースナトリウムを選定し、アニオン性高分子を化合物Aに密に接触させることを目的として、混錬機を用いて造粒することを想定した下記の製法により、実施例5~7のOD錠を調製し、苦味の評価を行った。
具体的には下記表2に示す量比で、化合物A及び各アニオン性高分子を乳鉢で混合し、ヒドロキシプロピルセルロース水溶液を加えてペースト状にしたところに、トウモロコシデンプンを添加して造粒し、主薬顆粒を得た。次に、得られた主薬顆粒と、下記表2に示す後添加の各成分を混合した後、単発打錠機を用いて打錠し、実施例5~7のOD錠を得た。
得られた実施例5~7のOD錠について苦味官能試験を実施した。結果を下記表2に示す。
Figure 2022170891000002
アルギン酸を添加した実施例5は、崩壊中は明確に苦味を感じるが苦味発現までタイムラグがあり、実施例1に比べて苦味を抑制できたが、後味の苦味は変わらなかった。また、造粒後変色が認められた。
カラギーナンを添加した実施例6は、崩壊中は苦味を感じるが耐えられるものであり、実施例2に比べて苦味を抑制でき、後味の苦味は実施例2に比べて若干改善傾向だった。
クロスカルメロースナトリウムを添加した実施例7は、崩壊中は明確に苦味を感じるが、実施例3に比べて苦味を抑制でき、後味の苦味は実施例3に比べて改善傾向であった。
実施例6及び7においては、化合物Aとアニオン性高分子を造粒し、密に接触させることによって、後味の苦味に対しても一定の改善効果が認められた。また、実施例6及び7のOD錠は造粒後も変色は認められなかった。
[実施例8~11 湿式造粒;甘味剤による苦味マスキング効果の検証]
後味の苦味改善効果が高かったクロスカルメロースナトリウムを含む実施例7の処方に、甘味剤を添加することにより、崩壊中の苦味をより抑制可能か検討した。
後添加として甘味剤であるタウマチン、アスパルテーム又はスクラロースを下記表3に示す量比で加えた以外は、実施例7と同様にして、実施例8~11のOD錠を得た。
得られた実施例8~11のOD錠について苦味官能試験を実施した。結果を下記表3に示す。
Figure 2022170891000003
タウマチン1mgを添加した実施例8は、崩壊中は実施例7に比べて苦味の改善が認められたが、後味の苦味は実施例7と変わらなかった。
アスパルテーム0.2mgを添加した実施例9は、崩壊中は実施例7に比べて苦味の改善がやや認められたが、後味の苦味は実施例7と変わらなかった。
スクラロース0.2mgを添加した実施例10は、崩壊中は実施例7に比べて苦味の改善がやや認められ、後味は苦味と甘味が拮抗し、実施例7に比べてやや改善傾向が認められた。
スクラロース1mgを添加した実施例11は、崩壊中は実施例7に比べて苦味の改善が認められ、後味は苦味と甘味が拮抗し、実施例7に比べて改善傾向が認められた。
実施例10及び11で用いたスクラロースは甘味の持続時間が長く、後味に対する改善効果が高かった。但し、甘味と苦味が拮抗することによる不快感が残った。
[実施例12~15 湿式造粒;香料による苦味マスキング効果の検証]
後味の苦味改善効果が高かったクロスカルメロースナトリウム及びスクラロースを含む実施例11の処方に、香料を添加することにより、苦味、不快感の改善が可能か検討した。
後添加としてチョコレート香料、カフェオレ香料、グレープフルーツ香料又はレモン香料を下記表4に示す量比で加えた以外は、実施例11と同様にして、実施例12~15のOD錠を得た。
得られた実施例12~15のOD錠について苦味官能試験を実施した。結果を下記表4に示す。
Figure 2022170891000004
チョコレート香料を添加した実施例12は、実施例11に比べて崩壊中は苦味を感じにくいが、後味は甘味が強く感じられた。
カフェオレ香料を添加した実施例13は、実施例11に比べて崩壊中は苦味を感じにくく、後味は甘味が強く感じられたが実施例12よりも自然に感じた。
グレープフルーツ香料を添加した実施例14は、実施例11に比べて崩壊中は苦味を感じにくく、後味は清涼感があり、苦味が不快でなかった。
レモン香料を添加した実施例15は、実施例11に比べて崩壊中は苦味を感じにくく、後味は清涼感があり、苦味が不快でなかった。
実施例12~15は、香料を添加することにより、苦味、甘味が自然になり、服用感の改善が認められ、特にカフェオレ香料、グレープフルーツ香料及びレモン香料が良好であった。
[実施例16~18 湿式造粒:賦形剤による苦味マスキング効果の検証]
クロスカルメロースナトリウム、スクラロース及びグレープフルーツ香料を含む実施例14のOD錠は、苦味改善効果が高く、服用感が良好であったが、製造する際に、化合物A及びクロスカルメロースナトリウムの混合物を造粒液でペースト状にしたところにトウモロコシデンプンを加えて造粒するため、工程に時間が掛かる。そこで、工程時間を短縮できる撹拌造粒機の使用を想定した下記の製法でも同様の効果があるか検討した。また、主薬顆粒の賦形剤の種類及び賦形剤の有無が及ぼす影響を検討した。
下記表5に示す量比で、化合物A、クロスカルメロースナトリウム、及び賦形剤(実施例16はトウモロコシデンプン、実施例17は乳糖、実施例18は添加無し)を混合し、ヒドロキシプロピルセルロースを精製水に溶解させた造粒液を加え、乳鉢で造粒し、主薬顆粒を得た。
次に、得られた主薬顆粒、下記表5に示す後添加の各成分を混合した後、単発打錠機を用いて打錠し、実施例16~18のOD錠を得た。
得られた実施例16~18のOD錠について苦味官能試験を実施した。結果を下記表5に示す。
Figure 2022170891000005
主薬顆粒の賦形剤としてトウモロコシデンプンを添加した実施例16は、実施例14に比べて苦味が少し強く感じられたが、後味は実施例14と差が感じられなかった。
主薬顆粒の賦形剤として乳糖を添加した実施例17は、実施例14に比べて苦味が少し強く感じられたが、後味は実施例14と差が感じられなかった。
主薬顆粒に賦形剤を添加しなかった実施例18は、実施例14に比べてさらに苦味を感じにくく、後味は苦味を感じにくかった。
また、実施例16~18の結果から、撹拌造粒機の使用を想定した製法でも実施例14と大差のない苦味マスキング効果が得られることが分かった。
また、実施例16及び17の結果から、主薬顆粒に添加する賦形剤の種類は苦味マスキング効果に影響しないことが分かった。
また、実施例16~18の結果から、主薬顆粒に賦形剤を添加しなかった実施例18が最も苦味改善効果が認められた。
[実施例19及び20 撹拌造粒:クロスカルメロースナトリウム量依存性の検証]
クロスカルメロースナトリウムの含有量による苦味マスキング効果への影響を検討した。
クロスカルメロースナトリウム及びトウモロコシデンプンを下記表6に示す量比に変更した以外は、実施例16と同様にして、実施例19及び20のOD錠を得た。
得られた実施例19及び20のOD錠について苦味官能試験を実施した。結果を下記表6に示す。
Figure 2022170891000006
クロスカルメロースナトリウム10mgを含有する実施例19、及びクロスカルメロースナトリウム5mgを含有する実施例20でも、服用できる程度に苦味を改善することができた。
ただし、実施例19は、崩壊中及び後味のいずれも明確に苦味を感じ、クロスカルメロースナトリウム15mgを含有する実施例16に比べると、苦味マスキング効果はやや低かった。
実施例20は、特に後味の苦味を長時間感じ、実施例16に比べると苦味マスキング効果は低かった。
[実施例21~23 色素の有無による苦味マスキング効果への影響及び光安定性への影響の検証]
下記表7に示す量比で、化合物A、クロスカルメロースナトリウム、トウモロコシデンプン及び色素(実施例21は添加無し、実施例22は三二酸化鉄、実施例23は黄色三二酸化鉄)を混合し、精製水を加え、撹拌造粒機で造粒し、主薬顆粒を得た。
次に、得られた主薬顆粒、下記表7に示す後添加の各成分を混合した後、単発打錠機を用いて打錠し、実施例21~23のOD錠を得た。
得られた実施例21~23のOD錠について苦味官能試験を実施した。
また、得られた実施例21~23のOD錠について、開始時、及び5000lxの光を5日間照射後の時点で、液体クロマトグラフィーにより試験を行い、各々のピーク面積を自動積分法により測定し、化合物Aの総不純物量(面積百分率法による)を求めた。
結果を下記表7に示す。
Figure 2022170891000007
実施例21~23のOD錠は、いずれも苦味を少し感じるが許容できる程度に改善することができた。
また、色素を含まない実施例21のOD錠は光照射後に類縁物質が増加したが、色素を添加した実施例22及び23のOD錠は光照射後の類縁物質の増加を比較的抑制することができた。
[実施例16、18及び21 クロスカルメロースナトリウムの体内動態への影響の検証]
実施例16、18及び21のOD錠、並びに化合物Aを含有する市販製剤(非特許文献1;クロスカルメロースナトリウム不含有)について、第17改正日本薬局方 溶出試験法 バドル法に準じて、pH1.2、pH6.8、水及び0.2%塩化ナトリウム水溶液の溶出試験用試験液を用いて、化合物Aの所定時間当たりの溶出率を測定した。結果を図1~図4に示す。
図1及び図2に示すとおり、イオン強度の高いpH1.2及びpH6.8の試験液では、実施例16、18及び21のいずれも化合物Aを含有する市販製剤と同様に早い溶出推移を示した。
しかし、図3に示すとおり、水では、実施例16、18及び21のいずれも、10%程度の溶出率で頭打ち傾向が認められた。この結果からは、化合物Aが有する1級アミノ基と、クロスカルメロースナトリウムが有するカルボキシ基の間で静電的な相互作用が働き、水での溶出率が低くなったものと推測される。
一方、図4に示すとおり、0.2%塩化ナトリウム水溶液では、実施例16、18及び21のいずれも化合物Aを含有する市販製剤と同様に早い溶出推移を示した。
以上の結果より、実施例16、18及び21を投与した場合の体内動態は同等と考えられ、更に、実施例16、18及び21のいずれかと化合物Aを含有する市販製剤を投与する場合も、クロスカルメロースナトリウムの影響はなく、体内動態は同等であると考えられる。

Claims (8)

  1. 8-[(3R)-3-アミノピペリジン-1-イル]-7-(ブタ-2-イン-1-イル)-3-メチル-1-[(4-メチルキナゾリン-2-イル)メチル]-3,7-ジヒドロ-1H-プリン-2,6-ジオン又はその薬学的に許容可能な塩と、アニオン性高分子とを含有する経口固形製剤。
  2. 前記アニオン性高分子が、クロスカルメロースナトリウム、アルギン酸、カラギーナン及びメタクリル酸コポリマーLからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1に記載の経口固形製剤。
  3. 前記アニオン性高分子が、クロスカルメロースナトリウムである請求項1又は2に記載の経口固形製剤。
  4. 前記アニオン性高分子の含有量が、8-[(3R)-3-アミノピペリジン-1-イル]-7-(ブタ-2-イン-1-イル)-3-メチル-1-[(4-メチルキナゾリン-2-イル)メチル]-3,7-ジヒドロ-1H-プリン-2,6-ジオン100質量部に対して100質量部以上である請求項1~3のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
  5. 更に、スクラロース、タウマチン及びアスパルテームからなる群から選択される少なくとも1種の甘味剤を含有する請求項1~4のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
  6. 前記甘味剤の含有量が、8-[(3R)-3-アミノピペリジン-1-イル]-7-(ブタ-2-イン-1-イル)-3-メチル-1-[(4-メチルキナゾリン-2-イル)メチル]-3,7-ジヒドロ-1H-プリン-2,6-ジオン100質量部に対して4質量部以上である請求項5に記載の経口固形製剤。
  7. 口腔内崩壊錠である請求項1~6のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
  8. 8-[(3R)-3-アミノピペリジン-1-イル]-7-(ブタ-2-イン-1-イル)-3-メチル-1-[(4-メチルキナゾリン-2-イル)メチル]-3,7-ジヒドロ-1H-プリン-2,6-ジオン又はその薬学的に許容可能な塩と、アニオン性高分子とを含有する主薬顆粒を含む請求項1~7のいずれか1項に記載の経口固形製剤。

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