JP2022170684A - 研磨装置および研磨方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ウェハの膜厚の均一性を向上させることができる研磨装置が提供される。【解決手段】研磨装置は、複数の圧力室のそれぞれの圧力を個別に制御する動作制御部9を備える。動作制御部9は、制御対象膜厚値と基板の全体の平均膜厚値との差分が低減されるように、特定位置に対応する研磨ヘッド1の圧力室内の圧力を制御する。【選択図】図1
Description
本発明は、研磨装置および研磨方法に関する。
半導体デバイスの製造工程における技術として、化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)が知られている。CMPを行うための研磨装置は、研磨パッドを支持する研磨テーブルと、ウェハを保持するための研磨ヘッドと、を備えている。
このような研磨装置を用いてウェハの研磨を行う場合には、研磨ヘッドによりウェハを保持しつつ、このウェハを研磨パッドの研磨面に対して所定の圧力で押圧する。このとき、研磨テーブルと研磨ヘッドとを相対運動させることによりウェハが研磨面に摺接し、ウェハの表面が研磨される。
さらに、ウェハの膜厚に応じた信号を膜厚センサによって検出し、ウェハの膜厚分布を取得することが行われている。ウェハの膜厚分布に基づいて、研磨の終点を決定したり、研磨ヘッドに同心円状に設けた複数のエアバックの圧力を制御することが行われている。膜厚センサは、研磨テーブルとともに回転し、ウェハを保持する研磨ヘッドも回転する。したがって、ウェハの表面上を横切る膜厚センサの移動経路は、研磨テーブルが1回転するたびに異なる。通常、ウェハの膜厚分布は、円周上の異なる測定点から得られた信号を基に、円周方向においては平均化された値として計算されている。
近年では、必要とされる膜厚の均一性の度合いが高まっている。そのため、成膜装置の特性などによるウェハの初期膜厚の円周方向のばらつきや研磨によって生じる円周方向の研磨量のばらつきをより考慮した研磨工程の管理や制御が必要になってきている(例えば、ウェハの膜が厚い箇所を積極的に研磨して、またはウェハの膜が薄い箇所以外の箇所を積極的に研磨して、ウェハの膜厚の均一性を高めることが有効である)。また、従来の方法では、ウェハ面内の最大膜厚と最小膜厚との差分を許容範囲内に収めることが難しい場合がある。
そこで、本発明は、ウェハの膜厚の均一性を向上させることができる研磨装置および研磨方法を提供することを目的とする。
一態様では、研磨パッドを支持する研磨テーブルと、基板を前記研磨パッドの研磨面に押し付けるための、同心円状に分割された複数の圧力室を有する研磨ヘッドと、前記複数の圧力室に連結された複数の圧力レギュレータと、前記研磨テーブルに埋め込まれた、前記基板の膜厚に応じた信号を出力する膜厚センサと、前記複数の圧力レギュレータを通じて、前記複数の圧力室のそれぞれの圧力を個別に制御する動作制御部と、を備える研磨装置が提供される。前記動作制御部は、前記基板の円周上の一部である特定位置に関する情報を取得し、かつ前記特定位置を含む制御対象領域における制御対象膜厚値と、前記基板の全体の平均膜厚値と、を算出し、前記制御対象膜厚値と前記基板の全体の平均膜厚値との差分が低減されるように、前記特定位置に対応する前記研磨ヘッドの圧力室内の圧力を制御する。
一態様では、前記動作制御部は、研磨前に測定された前記基板の膜厚に基づいて、前記特定位置を特定する。
一態様では、前記動作制御部は、研磨前に測定された前記基板の膜厚に基づいて、最大の膜厚値が得られた最大膜厚位置と、最小の膜厚値が得られた最小膜厚位置と、を決定し、前記最大膜厚位置および前記最小膜厚位置のうちの少なくとも1つを前記特定位置に決定する。
一態様では、前記動作制御部は、研磨前に測定された前記基板の膜厚に基づいて、最大膜厚値と、最小膜厚値と、を決定し、前記基板の全体の平均膜厚値と前記最大膜厚値との差分、および前記基板の全体の平均膜厚値と前記最小膜厚値との差分を算出し、差分の最も大きな膜厚値が得られた前記基板上の位置を前記特定位置に決定する。
一態様では、前記動作制御部は、研磨前に測定された前記基板の膜厚に基づいて、最大の膜厚値が得られた最大膜厚位置と、最小の膜厚値が得られた最小膜厚位置と、を決定し、前記最大膜厚位置および前記最小膜厚位置のうちの少なくとも1つを前記特定位置に決定する。
一態様では、前記動作制御部は、研磨前に測定された前記基板の膜厚に基づいて、最大膜厚値と、最小膜厚値と、を決定し、前記基板の全体の平均膜厚値と前記最大膜厚値との差分、および前記基板の全体の平均膜厚値と前記最小膜厚値との差分を算出し、差分の最も大きな膜厚値が得られた前記基板上の位置を前記特定位置に決定する。
一態様では、前記制御対象膜厚値は、研磨前に測定された前記基板の膜厚に基づいて決定された最大膜厚値および最小膜厚値のうちの少なくとも1つに相当する。
一態様では、前記制御対象膜厚値は、前記制御対象領域内における複数の膜厚値の平均値である。
一態様では、前記動作制御部は、前記膜厚センサから出力された信号に基づいて、研磨中における前記特定位置を含む前記制御対象領域の膜厚を測定し、前記測定された膜厚に基づいて、前記特定位置に対応する前記研磨ヘッドの圧力室内の圧力を制御する。
一態様では、前記制御対象膜厚値は、前記制御対象領域内における複数の膜厚値の平均値である。
一態様では、前記動作制御部は、前記膜厚センサから出力された信号に基づいて、研磨中における前記特定位置を含む前記制御対象領域の膜厚を測定し、前記測定された膜厚に基づいて、前記特定位置に対応する前記研磨ヘッドの圧力室内の圧力を制御する。
一態様では、前記動作制御部は、前記複数の圧力室に応じて分割された前記基板上の複数の押圧領域を、前記制御対象領域を含む特定押圧領域と、前記特定押圧領域を除く他の押圧領域と、に分割し、前記基板の膜厚に基づいて、前記他の押圧領域における平均膜厚値を算出し、前記他の押圧領域の平均膜厚値と前記基板の全体の平均膜厚値との差分が低減されるように、前記他の押圧領域に対応する圧力室内の圧力を制御する。
一態様では、前記動作制御部は、前記基板とは異なる参照基板の円周上の一部である参照位置に関する情報を取得し、前記参照基板の研磨中において、前記膜厚センサによって、前記参照位置を含む前記基板上の領域の膜厚に応じた物理量を検出し、前記膜厚センサから送られた複数の信号に基づいて、前記参照基板の膜厚に応じた複数のデータを取得し、前記複数のデータのそれぞれと、前記複数のデータのそれぞれを取得したときの前記参照基板の膜厚とを関連付ける。
一態様では、前記動作制御部は、研磨前に測定された前記参照基板の膜厚に基づいて、前記参照位置を決定する。
一態様では、前記動作制御部は、前記基板とは異なる参照基板の円周上の一部である参照位置に関する情報を取得し、前記参照基板の研磨中において、前記膜厚センサによって、前記参照位置を含む前記基板上の領域の膜厚に応じた物理量を検出し、前記膜厚センサから送られた複数の信号に基づいて、前記参照基板の膜厚に応じた複数のデータを取得し、前記複数のデータのそれぞれと、前記複数のデータのそれぞれを取得したときの前記参照基板の膜厚とを関連付ける。
一態様では、前記動作制御部は、研磨前に測定された前記参照基板の膜厚に基づいて、前記参照位置を決定する。
一態様では、前記動作制御部は、前記膜厚センサが前記制御対象領域を横切るように、前記研磨ヘッドの回転速度および前記研磨テーブルの回転速度の少なくとも一方を制御する。
一態様では、前記動作制御部は、前記基板の周方向の角度の基準位置と、前記研磨ヘッドの回転角度と、の関係に基づいて、前記基準位置および前記研磨ヘッドの相対角度を決定し、前記決定された相対角度に基づいて、前記研磨ヘッドの回転速度および前記研磨テーブルの回転速度の少なくとも一方を制御する。
一態様では、前記動作制御部は、前記基板の周方向の角度の基準位置と、前記研磨ヘッドの回転角度と、の関係に基づいて、前記基準位置および前記研磨ヘッドの相対角度を決定し、前記決定された相対角度に基づいて、前記研磨ヘッドの回転速度および前記研磨テーブルの回転速度の少なくとも一方を制御する。
一態様では、同心円状に分割された複数の圧力室を有する研磨ヘッドによって、基板を研磨パッドの研磨面に押し付ける研磨方法が提供される。研磨方法は、前記基板の円周上の一部である特定位置に関する情報を取得し、かつ前記特定位置を含む制御対象領域における制御対象膜厚値と、前記基板の全体の平均膜厚値と、を算出し、前記制御対象膜厚値と前記基板の全体の平均膜厚値との差分が低減されるように、前記特定位置に対応する前記研磨ヘッドの圧力室内の圧力を制御する。
一態様では、研磨前に測定された前記基板の膜厚に基づいて、前記特定位置を特定する。
一態様では、研磨前に測定された前記基板の膜厚に基づいて、最大の膜厚値が得られた最大膜厚位置と、最小の膜厚値が得られた最小膜厚位置と、を決定し、前記最大膜厚位置および前記最小膜厚位置のうちの少なくとも1つを前記特定位置に決定する。
一態様では、研磨前に測定された前記基板の膜厚に基づいて、最大膜厚値と、最小膜厚値と、を決定し、前記基板の全体の平均膜厚値と前記最大膜厚値との差分、および前記基板の全体の平均膜厚値と前記最小膜厚値との差分を算出し、差分の最も大きな膜厚値が得られた前記基板上の位置を前記特定位置に決定する。
一態様では、研磨前に測定された前記基板の膜厚に基づいて、最大の膜厚値が得られた最大膜厚位置と、最小の膜厚値が得られた最小膜厚位置と、を決定し、前記最大膜厚位置および前記最小膜厚位置のうちの少なくとも1つを前記特定位置に決定する。
一態様では、研磨前に測定された前記基板の膜厚に基づいて、最大膜厚値と、最小膜厚値と、を決定し、前記基板の全体の平均膜厚値と前記最大膜厚値との差分、および前記基板の全体の平均膜厚値と前記最小膜厚値との差分を算出し、差分の最も大きな膜厚値が得られた前記基板上の位置を前記特定位置に決定する。
一態様では、前記制御対象膜厚値は、研磨前に測定された基板の膜厚に基づいて決定された最大膜厚値および最小膜厚値のうちの少なくとも1つに相当する。
一態様では、前記制御対象膜厚値は、前記制御対象領域内における複数の膜厚値の平均値である。
一態様では、前記膜厚センサの出力信号に基づいて、研磨中における前記特定位置を含む前記制御対象領域の膜厚を測定し、前記測定された膜厚に基づいて、前記特定位置に対応する前記研磨ヘッドの圧力室内の圧力を制御する。
一態様では、前記制御対象膜厚値は、前記制御対象領域内における複数の膜厚値の平均値である。
一態様では、前記膜厚センサの出力信号に基づいて、研磨中における前記特定位置を含む前記制御対象領域の膜厚を測定し、前記測定された膜厚に基づいて、前記特定位置に対応する前記研磨ヘッドの圧力室内の圧力を制御する。
一態様では、前記複数の圧力室に応じて分割された前記基板上の複数の押圧領域を、前記制御対象領域を含む特定押圧領域と、前記特定押圧領域を除く他の押圧領域と、に分割し、前記基板の膜厚に基づいて、前記他の押圧領域における平均膜厚値を算出し、前記他の押圧領域の平均膜厚値と前記基板の全体の平均膜厚値との差分が低減されるように、前記他の押圧領域に対応する圧力室内の圧力を制御する。
一態様では、前記基板とは異なる参照基板の円周上の一部である参照位置に関する情報を取得し、前記参照基板の研磨中において、前記膜厚センサによって、前記参照位置を含む前記基板上の領域の膜厚に応じた物理量を検出し、前記膜厚センサから送られた複数の信号に基づいて、前記参照基板の膜厚に応じた複数のデータを取得し、前記複数のデータのそれぞれと、前記複数のデータのそれぞれを取得したときの前記参照基板の膜厚とを関連付ける。
一態様では、研磨前に測定された前記参照基板の膜厚に基づいて、前記参照位置を決定する。
一態様では、前記基板とは異なる参照基板の円周上の一部である参照位置に関する情報を取得し、前記参照基板の研磨中において、前記膜厚センサによって、前記参照位置を含む前記基板上の領域の膜厚に応じた物理量を検出し、前記膜厚センサから送られた複数の信号に基づいて、前記参照基板の膜厚に応じた複数のデータを取得し、前記複数のデータのそれぞれと、前記複数のデータのそれぞれを取得したときの前記参照基板の膜厚とを関連付ける。
一態様では、研磨前に測定された前記参照基板の膜厚に基づいて、前記参照位置を決定する。
一態様では、前記研磨パッドを支持する研磨テーブルの回転によって、前記膜厚センサが前記制御対象領域を横切るように、前記研磨ヘッドの回転速度および前記研磨テーブルの回転速度の少なくとも一方を制御する。
一態様では、前記基板の周方向の角度の基準位置と、前記研磨ヘッドの回転角度と、の関係に基づいて、前記基準位置および前記研磨ヘッドの相対角度を決定し、前記決定された相対角度に基づいて、前記研磨ヘッドの回転速度および前記研磨テーブルの回転速度の少なくとも一方を制御する。
一態様では、前記基板の周方向の角度の基準位置と、前記研磨ヘッドの回転角度と、の関係に基づいて、前記基準位置および前記研磨ヘッドの相対角度を決定し、前記決定された相対角度に基づいて、前記研磨ヘッドの回転速度および前記研磨テーブルの回転速度の少なくとも一方を制御する。
一態様では、研磨パッドを支持する研磨テーブルと、基板を前記研磨パッドの研磨面に押し付けるための、同心円状に分割された複数の圧力室を有する研磨ヘッドと、前記複数の圧力室に連結された複数の圧力レギュレータと、前記研磨テーブルに埋め込まれた、前記基板の膜厚に応じた信号を出力する膜厚センサと、前記複数の圧力レギュレータを通じて、前記複数の圧力室のそれぞれの圧力を個別に制御する動作制御部と、を備える研磨装置が提供される。前記動作制御部は、前記膜厚センサによって、前記基板の研磨中に得られた前記基板の膜厚から、最大膜厚値および最小膜厚値を特定し、前記最大膜厚値を検出した前記基板の位置に対応する圧力室と、前記最小膜厚値を検出した前記基板の位置に対応する圧力室と、の少なくとも1つを特定し、前記最大膜厚値に関連する圧力室の圧力を制御する場合、前記最大膜厚値に関連する圧力室に対応する前記基板の平均膜厚値が前記基板の全体の平均膜厚値よりも下回るように、前記最大膜厚値に関連する圧力室の圧力を制御し、前記最小膜厚値に関連する圧力室の圧力を制御する場合、前記最小膜厚値に関連する圧力室に対応する前記基板の平均膜厚値が前記基板の全体の平均膜厚値よりも上回るように、前記最小膜厚値に関連する圧力室の圧力を制御する。
一態様では、前記動作制御部は、前記基板の研磨中において、一定の時間間隔で得られた前記基板の膜厚に基づいて、前記最大膜厚値および前記最小膜厚値を特定する。
一態様では、前記動作制御部は、前記膜厚センサによって取得した前記基板の膜厚から研磨中における研磨速度を算出し、前記研磨速度に基づいて、前記基板の各測定点において前記膜厚センサで前記基板の膜厚を取得した取得時間と基準時間との間の前記基板の膜厚の変化量を算出し、前記変化量を補正値として、前記時間間隔において前記基板の研磨中に得られた前記基板の膜厚を補正し、補正された前記基板の膜厚に基づいて、前記最大膜厚値および前記最小膜厚値を特定する。
一態様では、前記動作制御部は、前記膜厚センサによって取得した前記基板の膜厚から研磨中における研磨速度を算出し、前記研磨速度に基づいて、前記基板の各測定点において前記膜厚センサで前記基板の膜厚を取得した取得時間と基準時間との間の前記基板の膜厚の変化量を算出し、前記変化量を補正値として、前記時間間隔において前記基板の研磨中に得られた前記基板の膜厚を補正し、補正された前記基板の膜厚に基づいて、前記最大膜厚値および前記最小膜厚値を特定する。
一態様では、前記動作制御部は、前記最大膜厚値に関連する圧力室と前記最小膜厚値に関連する圧力室とが同一の圧力室である場合、前記最大膜厚値に関連する圧力室に対応する前記基板の平均膜厚値が前記基板の全体の平均膜厚値よりも下回るように、前記最大膜厚値に関連する圧力室の圧力を制御するか、前記最小膜厚値に関連する圧力室に対応する前記基板の平均膜厚値が前記基板の全体の平均膜厚値よりも上回るように、前記最小膜厚値に関連する圧力室の圧力を制御するか、を予めレシピ設定によって決定する。
一態様では、前記動作制御部は、前記最大膜厚値に関連する圧力室と前記最小膜厚値に関連する圧力室とが同一の圧力室である場合、前記最大膜厚値と前記基板の全体の平均膜厚値との第1差分と、前記最小膜厚値と前記基板の全体の平均膜厚値との第2差分と、を比較し、前記第1差分が前記第2差分よりも大きい場合には、前記最大膜厚値に関連する圧力室に対応する前記基板の平均膜厚値が前記基板の全体の平均膜厚値よりも下回るように、前記最大膜厚値に関連する圧力室の圧力を制御し、前記第2差分が前記第1差分よりも大きい場合には、前記最小膜厚値に関連する圧力室に対応する前記基板の平均膜厚値が前記基板の全体の平均膜厚値よりも上回るように、前記最小膜厚値に関連する圧力室の圧力を制御する。
一態様では、前記動作制御部は、前記最大膜厚値に関連する圧力室と前記最小膜厚値に関連する圧力室とが同一の圧力室である場合、前記最大膜厚値と前記最大膜厚値に対応する押圧領域内の平均膜厚値との第1差分と、前記最小膜厚値と前記最小膜厚値に対応する押圧領域内の平均膜厚値との第2差分と、を比較し、前記第1差分が前記第2差分よりも大きい場合には、前記最大膜厚値に関連する圧力室に対応する前記基板の平均膜厚値が前記基板の全体の平均膜厚値よりも下回るように、前記最大膜厚値に関連する圧力室の圧力を制御し、前記第2差分が前記第1差分よりも大きい場合には、前記最小膜厚値に関連する圧力室に対応する前記基板の平均膜厚値が前記基板の全体の平均膜厚値よりも上回るように、前記最小膜厚値に関連する圧力室の圧力を制御する。
一態様では、前記動作制御部は、前記最大膜厚値に関連する圧力室と前記最小膜厚値に関連する圧力室とが同一の圧力室である場合、前記最大膜厚値と前記基板の全体の平均膜厚値との第1差分と、前記最小膜厚値と前記基板の全体の平均膜厚値との第2差分と、を比較し、前記第1差分が前記第2差分よりも大きい場合には、前記最大膜厚値に関連する圧力室に対応する前記基板の平均膜厚値が前記基板の全体の平均膜厚値よりも下回るように、前記最大膜厚値に関連する圧力室の圧力を制御し、前記第2差分が前記第1差分よりも大きい場合には、前記最小膜厚値に関連する圧力室に対応する前記基板の平均膜厚値が前記基板の全体の平均膜厚値よりも上回るように、前記最小膜厚値に関連する圧力室の圧力を制御する。
一態様では、前記動作制御部は、前記最大膜厚値に関連する圧力室と前記最小膜厚値に関連する圧力室とが同一の圧力室である場合、前記最大膜厚値と前記最大膜厚値に対応する押圧領域内の平均膜厚値との第1差分と、前記最小膜厚値と前記最小膜厚値に対応する押圧領域内の平均膜厚値との第2差分と、を比較し、前記第1差分が前記第2差分よりも大きい場合には、前記最大膜厚値に関連する圧力室に対応する前記基板の平均膜厚値が前記基板の全体の平均膜厚値よりも下回るように、前記最大膜厚値に関連する圧力室の圧力を制御し、前記第2差分が前記第1差分よりも大きい場合には、前記最小膜厚値に関連する圧力室に対応する前記基板の平均膜厚値が前記基板の全体の平均膜厚値よりも上回るように、前記最小膜厚値に関連する圧力室の圧力を制御する。
一態様では、同心円状に分割された複数の圧力室を有する研磨ヘッドによって、基板を研磨パッドの研磨面に押し付ける研磨方法が提供される。前記基板の研磨中に得られた前記基板の膜厚から、最大膜厚値および最小膜厚値を特定し、前記最大膜厚値を検出した前記基板の位置に対応する圧力室と、前記最小膜厚値を検出した前記基板の位置に対応する圧力室と、の少なくとも1つを特定し、前記最大膜厚値に関連する圧力室の圧力を制御する場合、前記最大膜厚値に関連する圧力室に対応する前記基板の平均膜厚値が前記基板の全体の平均膜厚値よりも下回るように、前記最大膜厚値に関連する圧力室の圧力を制御し、前記最小膜厚値に関連する圧力室の圧力を制御する場合、前記最小膜厚値に関連する圧力室に対応する前記基板の平均膜厚値が前記基板の全体の平均膜厚値よりも上回るように、前記最小膜厚値に関連する圧力室の圧力を制御する。
一態様では、前記基板の研磨中において、一定の時間間隔で得られた前記基板の膜厚に基づいて、前記最大膜厚値および前記最小膜厚値を特定する。
一態様では、前記基板の膜厚から研磨中における研磨速度を算出し、前記研磨速度に基づいて、前記基板の各測定点において前記基板の膜厚を取得した取得時間と基準時間との間の前記基板の膜厚の変化量を算出し、前記変化量を補正値として、前記時間間隔において前記基板の研磨中に得られた前記基板の膜厚を補正し、補正された前記基板の膜厚に基づいて、前記最大膜厚値および前記最小膜厚値を特定する。
一態様では、前記基板の膜厚から研磨中における研磨速度を算出し、前記研磨速度に基づいて、前記基板の各測定点において前記基板の膜厚を取得した取得時間と基準時間との間の前記基板の膜厚の変化量を算出し、前記変化量を補正値として、前記時間間隔において前記基板の研磨中に得られた前記基板の膜厚を補正し、補正された前記基板の膜厚に基づいて、前記最大膜厚値および前記最小膜厚値を特定する。
一態様では、前記最大膜厚値に関連する圧力室と前記最小膜厚値に関連する圧力室とが同一の圧力室である場合、前記最大膜厚値に関連する圧力室に対応する前記基板の平均膜厚値が前記基板の全体の平均膜厚値よりも下回るように、前記最大膜厚値に関連する圧力室の圧力を制御するか、前記最小膜厚値に関連する圧力室に対応する前記基板の平均膜厚値が前記基板の全体の平均膜厚値よりも上回るように、前記最小膜厚値に関連する圧力室の圧力を制御するか、を予めレシピ設定によって決定する。
一態様では、前記最大膜厚値に関連する圧力室と前記最小膜厚値に関連する圧力室とが同一の圧力室である場合、前記最大膜厚値と前記基板の全体の平均膜厚値との第1差分と、前記最小膜厚値と前記基板の全体の平均膜厚値との第2差分と、を比較し、前記第1差分が前記第2差分よりも大きい場合には、前記最大膜厚値に関連する圧力室に対応する前記基板の平均膜厚値が前記基板の全体の平均膜厚値よりも上回るように、前記最大膜厚値に関連する圧力室の圧力を制御し、前記第2差分が前記第1差分よりも大きい場合には、前記最小膜厚値に関連する圧力室に対応する前記基板の平均膜厚値が前記基板の全体の平均膜厚値よりも上回るように、前記最小膜厚値に関連する圧力室の圧力を制御する。
一態様では、前記最大膜厚値に関連する圧力室と前記最小膜厚値に関連する圧力室とが同一の圧力室である場合、前記最大膜厚値と前記最大膜厚値に対応する押圧領域内の平均膜厚値との第1差分と、前記最小膜厚値と前記最小膜厚値に対応する押圧領域内の平均膜厚値との第2差分と、を比較し、前記第1差分が前記第2差分よりも大きい場合には、前記最大膜厚値に関連する圧力室に対応する前記基板の平均膜厚値が前記基板の全体の平均膜厚値よりも下回るように、前記最大膜厚値に関連する圧力室の圧力を制御し、前記第2差分が前記第1差分よりも大きい場合には、前記最小膜厚値に関連する圧力室に対応する前記基板の平均膜厚値が前記基板の全体の平均膜厚値よりも上回るように、前記最小膜厚値に関連する圧力室の圧力を制御する。
一態様では、前記最大膜厚値に関連する圧力室と前記最小膜厚値に関連する圧力室とが同一の圧力室である場合、前記最大膜厚値と前記基板の全体の平均膜厚値との第1差分と、前記最小膜厚値と前記基板の全体の平均膜厚値との第2差分と、を比較し、前記第1差分が前記第2差分よりも大きい場合には、前記最大膜厚値に関連する圧力室に対応する前記基板の平均膜厚値が前記基板の全体の平均膜厚値よりも上回るように、前記最大膜厚値に関連する圧力室の圧力を制御し、前記第2差分が前記第1差分よりも大きい場合には、前記最小膜厚値に関連する圧力室に対応する前記基板の平均膜厚値が前記基板の全体の平均膜厚値よりも上回るように、前記最小膜厚値に関連する圧力室の圧力を制御する。
一態様では、前記最大膜厚値に関連する圧力室と前記最小膜厚値に関連する圧力室とが同一の圧力室である場合、前記最大膜厚値と前記最大膜厚値に対応する押圧領域内の平均膜厚値との第1差分と、前記最小膜厚値と前記最小膜厚値に対応する押圧領域内の平均膜厚値との第2差分と、を比較し、前記第1差分が前記第2差分よりも大きい場合には、前記最大膜厚値に関連する圧力室に対応する前記基板の平均膜厚値が前記基板の全体の平均膜厚値よりも下回るように、前記最大膜厚値に関連する圧力室の圧力を制御し、前記第2差分が前記第1差分よりも大きい場合には、前記最小膜厚値に関連する圧力室に対応する前記基板の平均膜厚値が前記基板の全体の平均膜厚値よりも上回るように、前記最小膜厚値に関連する圧力室の圧力を制御する。
ウェハの膜厚を平坦化するための特定位置を含む制御対象領域に対応する研磨ヘッドの圧力室内の圧力を制御することにより、ウェハの膜厚の均一性を向上させることができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、研磨装置の一実施形態を示す模式図である。図1に示すように、研磨装置は、研磨パッド2を支持する研磨テーブル3と、膜を有するウェハW(基板など)を研磨パッド2に押し付ける研磨ヘッド1と、研磨テーブル3を回転させるテーブルモータ6と、研磨パッド2上にスラリーなどの研磨液を供給するための研磨液供給ノズル5と、ウェハWの膜厚を測定する膜厚センサ40(本実施形態では、光学式膜厚センサ40)と、研磨装置の動作を制御するための動作制御部9と、を備えている。研磨パッド2の上面は、ウェハWを研磨する研磨面2aを構成する。
図1は、研磨装置の一実施形態を示す模式図である。図1に示すように、研磨装置は、研磨パッド2を支持する研磨テーブル3と、膜を有するウェハW(基板など)を研磨パッド2に押し付ける研磨ヘッド1と、研磨テーブル3を回転させるテーブルモータ6と、研磨パッド2上にスラリーなどの研磨液を供給するための研磨液供給ノズル5と、ウェハWの膜厚を測定する膜厚センサ40(本実施形態では、光学式膜厚センサ40)と、研磨装置の動作を制御するための動作制御部9と、を備えている。研磨パッド2の上面は、ウェハWを研磨する研磨面2aを構成する。
研磨ヘッド1はヘッドシャフト10に連結されており、ヘッドシャフト10は、ベルト等の連結手段を介して図示しない研磨ヘッドモータに連結されている。研磨ヘッドモータは、研磨ヘッド1をヘッドシャフト10とともに矢印で示す方向に回転させる。研磨テーブル3はテーブルモータ6に連結されており、テーブルモータ6は研磨テーブル3および研磨パッド2を矢印で示す方向に回転させるように構成されている。
ウェハWは次のようにして研磨される。研磨テーブル3および研磨ヘッド1を図1の矢印で示す方向に回転させながら、研磨液供給ノズル5から研磨液が研磨テーブル3上の研磨パッド2の研磨面2aに供給される。ウェハWは研磨ヘッド1によって、ヘッドシャフト10を中心に回転されながら、研磨パッド2上に研磨液が存在した状態でウェハWは研磨ヘッド1によって研磨パッド2の研磨面2aに押し付けられる。研磨テーブル3は、その中心CPを中心に回転する。ウェハWの表面は、研磨液の化学的作用と、研磨液に含まれる砥粒または研磨パッド2の機械的作用により研磨される。
動作制御部9は、少なくとも1台のコンピュータから構成される。動作制御部9は、プログラムが格納された記憶装置9aと、プログラムに含まれる命令に従って演算を実行する演算装置9bと、を備えている。演算装置9bは、記憶装置9aに格納されているプログラムに含まれている命令に従って演算を行うCPU(中央処理装置)またはGPU(グラフィックプロセッシングユニット)などを含む。記憶装置9aは、演算装置9bがアクセス可能な主記憶装置(例えばランダムアクセスメモリ)と、データおよびプログラムを格納する補助記憶装置(例えば、ハードディスクドライブまたはソリッドステートドライブ)を備えている。
動作制御部9は、膜厚センサ40に電気的に接続されている。本実施形態では、膜厚センサ40は、ウェハWの表面に光を導き、ウェハWからの反射光を検出し、ウェハWの膜厚に応じた信号を動作制御部9に出力する。動作制御部9は、膜厚センサ40から送られる信号(より具体的には、ウェハWからの反射光の強度測定データ)に基づいて、ウェハWの膜厚を測定する。
本実施形態では、膜厚センサ40は、光学式の膜厚センサであるが、動作制御部9によってウェハWの膜厚を測定することができれば、他の膜厚センサであってもよい。言い換えれば、膜厚センサ40は、ウェハWの膜厚に関する物理量を検出するセンサである。一例として、膜厚センサ40は、渦電流センサであってもよい。渦電流センサは、そのセンサコイルがウェハWの導電性膜内に磁束を通過させて渦電流を発生させることにより、ウェハWの膜厚に応じた渦電流を検出し、渦電流信号を出力する。動作制御部9は、この渦電流信号に基づいて、ウェハWの膜厚を測定する。
本実施形態では、膜厚センサ40は、光を発する光源44と、分光器47と、光源44および分光器47に連結された光学センサヘッド7と、を備えている。光学センサヘッド7、光源44、および分光器47は、研磨テーブル3に取り付けられており、研磨テーブル3および研磨パッド2とともに一体に回転する。光学センサヘッド7の位置は、研磨テーブル3および研磨パッド2が一回転するたびに研磨パッド2上のウェハWの表面を横切る位置である。
記憶装置9aは、その内部に、後述するスペクトルの生成およびウェハWの膜厚検出を実行するためのプログラムを格納している。光源44から発せられた光は、光学センサヘッド7に伝送され、光学センサヘッド7からウェハWの表面に導かれる。光はウェハWの表面で反射し、ウェハWの表面からの反射光は光学センサヘッド7によって受けられ、分光器47に送られる。分光器47は反射光を波長に従って分解する。このようにして、膜厚センサ40は、各波長での反射光の強度を検出して、反射光の強度測定データを動作制御部9に送る。
図2は、研磨ヘッドの断面図である。図2に示すように、研磨ヘッド1は、ウェハWを研磨パッド2の研磨面2aに対して押し付けるための弾性膜65と、弾性膜65を保持するヘッド本体21と、ヘッド本体21の下方に配置された環状のドライブリング62と、ドライブリング62の下面に固定された環状のリテーナリング60と、を備えている。
弾性膜65は、ヘッド本体21の下部に取り付けられている。ヘッド本体21は、ヘッドシャフト10の端部に固定されており、ヘッド本体21、弾性膜65、ドライブリング62、およびリテーナリング60は、ヘッドシャフト10の回転により一体に回転するように構成されている。リテーナリング60およびドライブリング62は、ヘッド本体21に対して相対的に上下動可能に構成されている。ヘッド本体21は、エンジニアリングプラスティック(例えば、PEEK)などの樹脂により形成されている。
弾性膜65の下面は、ウェハWを研磨パッド2の研磨面2aに対して押し付ける基板押圧面65aを構成する。リテーナリング60は、基板押圧面65aを囲むように配置され、ウェハWはリテーナリング60によって囲まれている。弾性膜65とヘッド本体21との間には、4つの圧力室70,71,72,73が設けられている。
圧力室70は、中央に位置する円形状の中央圧力室であり、圧力室73は、最外周に位置する環状のエッジ圧力室であり、圧力室71,72のそれぞれは、圧力室70と圧力室73との間に位置する中間圧力室である。
圧力室70,71,72,73は弾性膜65とヘッド本体21によって形成されている。中央の圧力室70は円形であり、他の圧力室71,72,73は環状である。これらの圧力室70,71,72,73は、同心円状に配列(分割)されている。本実施形態では、弾性膜65は、4つの圧力室70~73を形成するが、上述の圧力室の数は例示であり、適宜変更してもよい。
圧力室70,71,72,73には、それぞれ気体移送ラインF1,F2,F3,F4が接続されている。気体移送ラインF1,F2,F3,F4の一端は、研磨装置が設置されている工場に設けられたユーティリティとしての圧縮気体供給源(図示せず)に接続されている。圧縮空気等の圧縮気体は、気体移送ラインF1,F2,F3,F4を通じて圧力室70,71,72,73にそれぞれ供給されるようになっている。圧力室70~73に圧縮気体が供給されることで、弾性膜65が膨らみ、圧力室70~73内の圧縮気体は、弾性膜65を介してウェハWを研磨パッド2の研磨面2aに押し付ける。圧力室70~73は、ウェハWを研磨パッド2の研磨面2aに押し付けるためのアクチュエータとして機能する。
リテーナリング60は、弾性膜65の周囲に配置されており、研磨パッド2の研磨面2aに接触する環状の部材である。リテーナリング60は、ウェハWの周縁部を囲むように配置されており、ウェハWの研磨中にウェハWが研磨ヘッド1から飛び出してしまうことを防止する。
ドライブリング62の上部は、環状のリテーナリング押圧装置80に連結されている。リテーナリング押圧装置80は、ドライブリング62を介してリテーナリング60の上面60bの全体に下向きの荷重を与え、これによりリテーナリング60の下面60aを研磨パッド2の研磨面2aに押し付ける。
リテーナリング押圧装置80は、ドライブリング62の上部に固定された環状のピストン81と、ピストン81の上面に接続された環状のローリングダイヤフラム82と、を備えている。ローリングダイヤフラム82の内部には、リテーナリング圧力室83が形成されている。このリテーナリング圧力室83は、気体移送ラインF5を介して上記圧縮気体供給源に連結されている。圧縮気体は、気体移送ラインF5を通じてリテーナリング圧力室83内に供給される。
上記圧縮気体供給源からリテーナリング圧力室83に圧縮気体を供給すると、ローリングダイヤフラム82がピストン81を下方に押し下げ、ピストン81はドライブリング62を押し下げ、さらにドライブリング62はリテーナリング60の全体を下方に押し下げる。このようにして、リテーナリング押圧装置80は、リテーナリング60の下面60aを研磨パッド2の研磨面2aに押し付ける。ドライブリング62は、リテーナリング押圧装置80に着脱可能に連結されている。
気体移送ラインF1,F2,F3,F4,F5は、ヘッドシャフト10に取り付けられたロータリージョイント25を経由して延びている。研磨装置は、圧力レギュレータR1,R2,R3,R4,R5をさらに備えており、圧力レギュレータR1,R2,R3,R4,R5は、気体移送ラインF1,F2,F3,F4,F5にそれぞれ設けられている。圧縮気体供給源からの圧縮気体は、圧力レギュレータR1~R5を通って圧力室70~73、およびリテーナリング圧力室83内にそれぞれ独立に供給される。圧力レギュレータR1~R5は、圧力室70~73、およびリテーナリング圧力室83内の圧縮気体の圧力を調節するように構成されている。圧力レギュレータR1~R5は、動作制御部9に接続されている。
圧力レギュレータR1~R5は、圧力室70~73、およびリテーナリング圧力室83の内部圧力を互いに独立して変化させることが可能であり、これにより、ウェハWの対応する4つの領域、すなわち、中央部、内側中間部、外側中間部、およびエッジ部におけるウェハWの研磨面2aに対する押し付け力、およびリテーナリング60の研磨パッド2への押し付け力を独立に調整することができる。気体移送ラインF1,F2,F3,F4,F5は大気開放弁(図示せず)にもそれぞれ接続されており、圧力室70~73、およびリテーナリング圧力室83を大気開放することも可能である。本実施形態では、弾性膜65は、4つの圧力室70~73を形成するが、一実施形態では、弾性膜65は4つよりも少ない、または4つよりも多い圧力室を形成してもよい。
図3は、動作制御部によって生成されたスペクトルの一例を示す図である。図3において、横軸はウェハから反射した光の波長を表わし、縦軸は反射した光の強度から導かれる相対反射率を表わす。相対反射率とは、反射光の強度を示す指標値であり、光の強度と所定の基準強度との比である。各波長において光の強度(実測強度)を所定の基準強度で割ることにより、装置の光学系や光源固有の強度のばらつきなどの不要なノイズを実測強度から除去することができる。
基準強度は、各波長について予め測定された光の強度であり、相対反射率は各波長において算出される。具体的には、各波長での光の強度(実測強度)を、対応する基準強度で割り算することにより相対反射率が求められる。
動作制御部9は、反射光の強度測定データから反射光のスペクトルを生成するように構成されている。反射光のスペクトルは、反射光の波長と強度との関係を示す線グラフ(すなわち分光波形)として表される。反射光の強度は、反射率または相対反射率などの相対値として表わすこともできる。
実際の研磨では、実測強度からダークレベル(光を遮断した条件下で得られた背景強度)を引き算して補正実測強度を求め、さらに基準強度から上記ダークレベルを引き算して補正基準強度を求め、そして、補正実測強度を補正基準強度で割り算することにより、相対反射率が求められる。具体的には、相対反射率R(λ)は、次の式(1)を用いて求めることができる。
ここで、λは基板から反射した光の波長であり、E(λ)は波長λでの強度であり、B(λ)は波長λでの基準強度であり、D(λ)は光を遮断した条件下で測定された波長λでの背景強度(ダークレベル)である。
動作制御部9は、反射光の強度測定データから図3に示すようなスペクトルを生成する。さらに、動作制御部9は、反射光のスペクトルからウェハWの膜厚を決定する。反射光のスペクトルは、ウェハWの膜厚に従って変化する。したがって、動作制御部9は、反射光のスペクトルからウェハWの膜厚を決定することができる。以下、本明細書において、研磨されるウェハWからの反射光から生成されたスペクトルを、測定スペクトルという。
動作制御部9は、測定スペクトル(すなわち、測定データ)と複数の参照スペクトル(すなわち、参照データ)との比較から膜厚を決定するように構成されている。動作制御部9は、研磨中に生成された測定スペクトルと複数の参照スペクトルとを比較することで、測定スペクトルに最も形状の近い参照スペクトルを決定し、この決定された参照スペクトルに関連付けられた膜厚を取得する。測定スペクトルに最も形状の近い参照スペクトルは、参照スペクトルと測定スペクトルとの間の相対反射率の差が最も小さいスペクトルである。
複数の参照スペクトルは、研磨対象のウェハ(以下、本明細書において、ウェハWは研磨対象のウェハに相当する)と同じ、または、同等の初期膜厚を有する参照ウェハを研磨することによって予め取得されたものである。研磨対象のウェハは、参照ウェハとは異なるウェハであり、膜厚の平坦化工程が実行されるウェハである。参照ウェハは、参照スペクトルを、対応する膜厚に関連付ける工程が実行されるウェハである。各参照スペクトルにはその参照スペクトルが取得されたときの膜厚を関連付けることができる。すなわち、各参照スペクトルは、異なる膜厚のときに取得されたものであり、複数の参照スペクトルは複数の異なる膜厚に対応する。したがって、測定スペクトルに最も形状の近い参照スペクトルを決定することにより、現在の膜厚を推定することができる。
図4は、参照スペクトルを、対応する膜厚に関連付ける工程の一例を示す図である。まず、ウェハWと同じ、または、同等の膜厚を有する参照ウェハが用意される。参照ウェハは、膜厚測定器170(図1参照)に搬送され、参照ウェハの初期膜厚が膜厚測定器170によって測定される(ステップS101参照)。膜厚測定器170は、動作制御部9に電気的に接続されている。動作制御部9は、膜厚測定器170によって測定された参照ウェハの膜厚(分布)に基づいて、幅広い膜厚範囲における参照スペクトルを取得するための参照位置を決定する(ステップS102参照)。
このようにして、動作制御部9は、参照ウェハの円周上の一部である特定の位置に関する情報を膜厚測定器170から取得する。膜厚測定器170は研磨装置の内部に配置されてもよい。この場合、膜厚測定器170は研磨装置の構成要素の一部を構成する。一実施形態では、膜厚測定器170は研磨装置の外部に配置されてもよい。
参照ウェハは、様々な膜厚に対応する参照スペクトルを得るために研磨される。動作制御部9は、測定された参照ウェハの膜厚に基づいて、最大の膜厚値が得られた最大膜厚位置(すなわち、参照ウェハの膜厚が厚い箇所)と、最小の膜厚値が得られた最小膜厚位置(すなわち、参照ウェハの膜厚が薄い箇所)と、を決定し、最大膜厚位置および最小膜厚位置のうちのいずれかを参照位置に決定する。一実施形態では、動作制御部9は、最大膜厚位置および最小膜厚位置の両方を参照位置に決定してもよい。
一実施形態では、動作制御部9は、測定された参照ウェハの膜厚に基づいて、最大膜厚値と、最小膜厚値と、を決定し、参照ウェハの全体の平均膜厚値と最大膜厚値との差分、および参照ウェハの全体の平均膜厚値と最小膜厚値との差分を算出し、差分の最も大きな膜厚値が得られた参照ウェハ上の位置を参照位置に決定してもよい。
次に研磨液としてのスラリーが研磨パッド1に供給されながら参照ウェハが研磨される(ステップS103参照)。参照ウェハの研磨中、参照ウェハの表面に光が照射され、参照ウェハからの反射光のスペクトル(すなわち参照スペクトル)が取得される(ステップS104参照)。
動作制御部9は、研磨テーブル3が一回転するたびに、参照ウェハ上の各測定点における参照スペクトルを取得する。動作制御部9は、研磨中に膜厚センサ40が参照ウェハ上の参照位置を横切るように、研磨ヘッド1の回転速度および研磨テーブル3の回転速度の少なくとも一方を制御する。このような制御により、膜厚センサ40は参照位置の反射光を検出し、動作制御部9は、参照位置を含む参照スペクトルを取得する。
動作制御部9は、参照位置を含む参照スペクトルを取得することにより、膜厚値の、幅広い範囲における参照スペクトルを取得することができる。したがって、動作制御部9は、研磨中に生成された測定スペクトルに最も形状の近い参照スペクトルを、より確実に決定することができ、結果として、あらゆる膜厚を有するウェハWの膜厚を測定(取得)することができる。
参照スペクトルは、研磨テーブル3が一回転するたびに取得される。したがって、参照ウェハの研磨中に、複数の参照スペクトルが取得される。参照ウェハの研磨が終了した後、参照ウェハは膜厚測定器170に再び搬送され、研磨された参照ウェハの膜厚(すなわち最終膜厚)が測定される(ステップS105参照)。
参照ウェハの研磨レートが一定である場合、膜厚は研磨時間とともに直線的に減少する。研磨レートは、初期膜厚と最終膜厚との差を、最終膜厚に到達した研磨時間で割り算することにより算出することができる。参照スペクトルは、上述したように、研磨テーブル3が一回転するたびに周期的に取得されるので、それぞれの参照スペクトルが取得されたときの研磨時間は、研磨テーブル3の回転速度から算出することができる。このようにして、動作制御部9は、各参照スペクトルに対応する膜厚を決定する(ステップS106参照)。
各参照スペクトルは、対応する膜厚に関連付けることができる(結び付けることができる)。したがって、動作制御部9は、ウェハWの研磨中に測定スペクトルに最も形状が近い参照スペクトルを決定することにより、その参照スペクトルに関連付けられた膜厚から、ウェハWの現在の膜厚を決定することができる。
図5は、研磨対象のウェハを研磨する工程の一例を示す図である。研磨対象のウェハWの膜厚の均一性を高めるために、ウェハWの円周上の一部である特定位置を決定する必要がある。そこで、図5のステップS201に示すように、ウェハWは、膜厚測定器170に搬送され、ウェハWの初期膜厚が膜厚測定器170によって測定される。
その後、図4のステップS102と同様に、動作制御部9は、膜厚測定器170によって測定されたウェハWの膜厚に基づいて、ウェハWの特定位置を決定する(ステップS202参照)。
特定位置の決定方法は、参照位置の決定方法と同様である。動作制御部9は、研磨前に測定されたウェハWの膜厚に基づいて、最大の膜厚値が得られた最大膜厚位置(すなわち、ウェハWの膜厚が厚い箇所)と、最小の膜厚値が得られた最小膜厚位置(すなわち、ウェハWの膜厚が薄い箇所)と、を決定し、最大膜厚位置および最小膜厚位置のうちの少なくとも1つを特定位置に決定する。
一実施形態では、動作制御部9は、研磨前に測定された測定されたウェハWの膜厚に基づいて、最大膜厚値と、最小膜厚値と、を決定し、ウェハWの全体の平均膜厚値と最大膜厚値との差分、およびウェハWの全体の平均膜厚値と最小膜厚値との差分を算出し、差分の最も大きな膜厚値が得られたウェハW上の位置を特定位置に決定してもよい。
動作制御部9は、膜厚測定器170によって測定されたウェハWの膜厚分布情報を取得し、ウェハWの特定位置を決定する。一実施形態として、膜厚測定器170が研磨装置の外部に配置されていた場合、動作制御部9は、ウェハWの膜厚分布から定められた特定位置の位置情報のみを取得してもよい。
動作制御部9は、ウェハWの特定位置を決定した後、ウェハWの研磨を開始する(ステップS203参照)。この研磨中、ウェハWの表面に光が照射され、動作制御部9は、ウェハWからの反射光のスペクトル(すなわち、測定スペクトル)を取得する。動作制御部9は、取得した測定スペクトルに最も形状が近い参照スペクトルを決定し、決定された参照スペクトルに関連付けられた膜厚を取得する(ステップS204参照)。
動作制御部9は、圧力レギュレータR1,R2,R3,R4を制御することにより、ウェハWの膜厚に基づいてウェハWの研磨面2aに対する押し付け力を調整させる。本実施形態では、動作制御部9は、ウェハW上の領域を、複数の圧力室70,71,72,73に応じた複数の押圧領域A1,A2,A3,A4に区分する(図6参照)。
図6は、複数の押圧領域に区分されたウェハを示す図である。図6では、ウェハW上の領域は、圧力室70に対応する押圧領域A1と、圧力室71に対応する押圧領域A2と、圧力室72に対応する押圧領域A3と、圧力室73に対応する押圧領域A4と、に区分される。押圧領域A1は円形状を有しており、押圧領域A2~A4のそれぞれは、環状形状を有している。これら押圧領域A1~A4は、ウェハWの中心CPWと同心状に配置されている。動作制御部9は、複数の押圧領域ごとにウェハWの押し付け力を独立して調整するように構成されている。
図6に示すように、ウェハWの押圧領域A4には、特定位置IPが存在する。図6に示す実施形態では、特定位置IPは、ウェハW上の一点であるが、特定位置IPは、ウェハW上の狭い領域に存在する複数の点である場合もあれば、ウェハW上の広い領域に存在する複数の点である場合もある。そこで、動作制御部9は、特定位置IPを含む制御対象領域CAを決定する。また、特定位置IPを含むある程度の大きさの領域を制御対象領域とすれば、以下に説明する膜厚の均一性の調整を安定して行うことができる。本実施形態では、制御対象領域CAは、周方向における範囲(すなわち、領域A1~A4のいずれかに属する範囲)内で決定される。一実施形態では、特定位置IPがウェハW上の一点である場合に、制御対象領域CAもウェハW上の一点であってもよい。
動作制御部9は、制御対象領域CAにおける制御対象膜厚値を決定し、かつ膜厚センサ40によって測定されたウェハWの膜厚に基づいて、ウェハWの全体の平均膜厚値を算出する。制御対象膜厚値は、膜厚センサ40によって測定されたウェハWの膜厚に基づいて決定された最大膜厚値または最小膜厚値に相当してもよく、最大膜厚値および最小膜厚値の両方であってもよい。一実施形態では、制御対象膜厚値は、制御対象領域CAにおける複数の膜厚値の平均値であってもよい。
動作制御部9は、膜厚センサ40がウェハW上の制御対象領域CAを横切るように、研磨ヘッド1の回転速度および研磨テーブル3の回転速度の少なくとも一方を制御する。この制御のためには、動作制御部9は、ウェハWの研磨中に制御対象領域CAの位置を決定する必要がある。
制御対象領域CAの位置を決定する方法の一例として、動作制御部9は、ウェハWの研磨中において、ウェハWの周方向の角度(すなわち、ウェハ角度)の基準位置(例えば、図6のノッチ位置Nt)を特定し、制御対象領域CAの位置をウェハ角度として決定する。
ウェハWが研磨ヘッド1に対して円周方向にずれないと仮定すると、研磨開始時点の研磨ヘッド1に対するウェハWの取付角度を常に一定しておき、ロータリエンコーダ152(図7参照)による研磨ヘッド1の回転角度を把握することにより、動作制御部9は、ノッチ位置Ntを特定し、制御対象領域CAの位置を決定する。ノッチ位置Ntの位置を特定しなくても、ノッチ位置Ntと制御対象領域CAとの位置関係は予め決定されているため、研磨ヘッド1の回転角度から制御対象領域CAの位置を決定することは可能である。
その一方で、ウェハWは、ウェハWと研磨パッド1との間に作用する摩擦力によって、研磨ヘッド1に対して円周方向にずれる場合がある。この場合、ノッチ位置Ntと研磨ヘッド1との相対角度もずれてしまうため、動作制御部9は、ウェハWの研磨中に、リアルタイムでウェハWのノッチ位置Ntを特定し、ノッチ位置Ntに基づいて、制御対象領域CAの位置を決定する。
図7は、ノッチ検出装置を示す図である。図7に示すように、研磨装置は、ウェハWのノッチ位置Ntを検出するノッチ検出装置151を備えてもよい。ノッチ検出装置151は、渦電流センサ、光学式センサ、または画像センサなどのセンサから構成されてもよい。図7に示す実施形態では、ノッチ検出装置151は、研磨テーブル3の側方に配置されている。研磨ヘッド1は、研磨ヘッド1に保持されたウェハWの周縁部(より具体的には、ノッチ位置Nt)が研磨パッド2からはみ出す位置まで移動し、ウェハWを回転させる。
ノッチ検出装置151は、研磨パッド2からはみ出した状態で回転するウェハWのノッチ位置Ntを検出し、検出信号を動作制御部9に出力する。ロータリエンコーダ152は、研磨ヘッド1の回転角度に応じた信号を検出し、検出信号を動作制御部9に出力する。このようにして、動作制御部9は、ノッチ位置Ntと研磨ヘッド1の回転角度との関係を取得し、ノッチ位置Ntと研磨ヘッド1との相対角度をリアルタイムで決定することができる。一実施形態では、動作制御部9は、膜厚センサ40から出力された信号に基づいて、ノッチ位置Ntを特定してもよい。この場合、膜厚センサ40は、ノッチ検出装置に相当する。
図8(a)および図8(b)は、ウェハの表面上を横切る膜厚センサの移動経路を示す図である。図8(a)および図8(b)では、膜厚センサ40の移動経路は、5つの点線で示されている。図8(a)および図8(b)に示す実施形態では、膜厚センサ40は、研磨テーブル3の1回転目で特定位置IPを横切っている。
図8(a)および図8(b)に示すように、動作制御部9は、研磨ヘッド1の回転速度および研磨テーブル3の回転速度の少なくとも一方を制御することにより、膜厚センサ40の移動経路を制御することができる。したがって、動作制御部9は、膜厚センサ40がウェハWの表面上の特定位置IPを横切るように、決定された相対角度に基づいて、研磨ヘッド1の回転速度および研磨テーブル3の回転速度の少なくとも一方を制御する。
例えば、動作制御部9は、研磨ヘッド1の回転速度と研磨テーブル3の回転速度との間の回転速度比を決定することにより、膜厚センサ40の移動経路を決定することができる。図8(a)に示す実施形態における回転速度比と、図8(b)に示す実施形態における回転速度比と、は互いに異なる。したがって、ノッチ位置Ntと研磨ヘッド1との相対角度が変更された場合、動作制御部9は、膜厚センサ40がウェハWの表面上の特定位置IPを横切るように、研磨ヘッド1の回転速度と研磨テーブル3の回転速度との間の回転速度比を決定する。
このようにして、動作制御部9は、膜厚センサ40から出力された信号に基づいて、研磨中における特定位置IPを含む制御対象領域CAの膜厚を測定し、測定された膜厚に基づいて、圧力レギュレータR1~R4を制御することにより、制御対象領域CAに対応する研磨ヘッド1の圧力室70~73内の圧力を制御する。
より具体的には、図5のステップS205に示すように、動作制御部9は、制御対象膜厚値とウェハWの全体の平均膜厚値との差分が低減されるように、特定位置IP(または制御対象領域CA)に対応する研磨ヘッド1の圧力室70~73内の圧力を制御する。図6に示す実施形態では、制御対象領域CAは、ウェハWの、押圧領域A4に対応する位置に存在しており、領域A4は圧力室73に対応している。したがって、動作制御部9は、圧力レギュレータR4を制御して、圧力室73内の圧力を制御する。
動作制御部9は、複数の圧力室70~73に応じて分割されたウェハW上の複数の押圧領域A1~A4を、特定位置IPを含む特定押圧領域と、特定押圧領域を除く他の押圧領域と、に分割する。本実施形態では、特定押圧領域は押圧領域A4に相当し、他の押圧領域は押圧領域A1~A3に相当する。
動作制御部9は、膜厚センサ40によって測定されたウェハWの膜厚に基づいて、他の押圧領域A1~A3のそれぞれにおける平均膜厚値を算出する。その後、動作制御部9は、他の押圧領域A1~A3のそれぞれの平均膜厚値とウェハWの全体の平均膜厚値との差分が低減されるように、圧力レギュレータR1~R3のそれぞれを制御することにより、他の押圧領域A1~A3に対応する圧力室70~72内の圧力を制御する。
図9(a)および図9(b)は、本実施形態に係る研磨工程の効果を説明するための図である。図9(a)では、比較例としての研磨工程による、研磨前後におけるウェハWの平均膜厚のプロファイルが示されており、図9(b)では、本実施形態に係る研磨工程による、研磨前後におけるウェハWの平均膜厚のプロファイルが示されている。図9(a)および図9(b)のそれぞれにおいて、横軸は、ウェハWの中心CPWからの距離を表しており、縦軸は、ウェハWの膜厚を示している。図9(a)および図9(b)では、ウェハWの膜厚は、押圧領域A1~A4内の各測定点の膜厚として、箱ひげ図として表されている。
図9(a)に示すように、研磨前のウェハWの膜厚において、押圧領域A3の最小膜厚値は、他の押圧領域A1,A2,A4の膜厚よりも特に小さい(または薄い)。また、押圧領域A4の最大膜厚値は、他の押圧領域A1,A2,A3の膜厚よりも特に大きい(または厚い)。比較例としての研磨工程では、動作制御部9は、膜厚センサ40によって検出された信号に基づいて、押圧領域A1~A4のそれぞれにおける平均膜厚値と、ウェハWの全体の平均膜厚値と、を算出する。したがって、動作制御部9は、押圧領域A3,A4のそれぞれの平均膜厚値を算出するため、押圧領域A1,A2のそれぞれの平均膜厚値と押圧領域A3,A4のそれぞれの平均膜厚値との間の差分が小さい場合がある。
このような場合であっても、動作制御部9は、押圧領域A1~A4のそれぞれの平均膜厚値とウェハWの全体の平均膜厚値との差分が低減されるように、圧力室70~73のそれぞれの圧力を制御して、ウェハWを研磨する。したがって、研磨後のウェハWでは、ウェハWの全体における膜厚の厚さが所定(所望)の許容範囲内に収まらない場合がある。
本実施形態によれば、動作制御部9は、特定押圧領域の圧力を、他の押圧領域とは異なる圧力で個別に制御する。より具体的には、動作制御部9は、特定押圧領域A3,A4のそれぞれにおける制御対象膜厚値とウェハWの全体の平均膜厚値との差分が低減されるように、圧力室72,73内の圧力を制御し、他の押圧領域A1,A2のそれぞれの平均膜厚値とウェハWの全体の平均膜厚値との差分が低減されるように、圧力室70,71のそれぞれの圧力を制御する。図9(b)に示すように、動作制御部9は、複数の特定押圧領域を決定し、決定された複数の特定押圧領域の圧力を個別に制御してもよい。
図9(b)に示す実施形態では、押圧領域A3における制御対象膜厚値は平均膜厚値よりも小さいため、圧力室72の圧力は比較例における圧力よりも低減される。結果として、押圧領域A3の研磨量は、比較例における研磨量と比較して全体的に小さい。押圧領域A4における制御対象膜厚値は平均膜厚値よりも大きいため、圧力室73の圧力は比較例における圧力よりも増加される。結果として、押圧領域A4の研磨量は、比較例における研磨量と比較して全体的に大きい。このような構成により、研磨ヘッド1は、ウェハWの全体における最も厚い箇所の膜厚の厚さおよび最も薄い箇所の膜厚の厚さを所望の許容範囲内に収めることができる(図9(b)参照)。結果として、ウェハWの全体の膜厚の均一性を向上させることができる。
上述した実施形態において、研磨ヘッドは複数の圧力室(エアバック)を有するが、同心円状に配置された押圧要素を有する研磨ヘッドであれば本発明の技術的思想は適用可能である。同心円状に配置された押圧要素が基板に与える押圧力を、特定位置を含む制御対象領域における制御対象膜厚値に基づいて制御する。押圧要素としては、例えば圧電素子が挙げられる。
上述した実施形態においては、測定スペクトルに最も形状が近い参照スペクトルを決定することで膜厚を推定する方法を用いているが、他のアルゴリズムを用いて膜厚を推定してもよい。
上述した実施形態では、動作制御部9は、膜厚測定器170によって測定されたウェハWの膜厚に基づいて、ウェハWの特定位置を決定し、特定位置に対応する研磨ヘッド1の圧力室内の圧力を制御するように構成されている。一実施形態では、動作制御部9は、ウェハWの膜厚を事前に測定することなく、研磨ヘッド1の圧力室内の圧力を制御するように構成されてもよい。以下、このような動作制御部9の構成について、図面を参照して説明する。
図10は、動作制御部による、圧力室内の圧力制御フローを示す図である。図10のステップS301に示すように、動作制御部9は、膜厚センサ40によって、ウェハWの研磨中に得られたウェハWの全体の膜厚の中から、最大膜厚値および最小膜厚値を特定する。より具体的には、動作制御部9は、膜厚センサ40から出力された信号からウェハWの全体における最大膜厚値および最小膜厚値を特定する。
動作制御部9は、ウェハW上の領域を、複数の圧力室70,71,72,73に応じた複数の押圧領域A1,A2,A3,A4に区分している。言い換えれば、動作制御部9は、膜厚センサ40がウェハWの表面を横切る際の軌跡を元にして、膜厚センサ40が取得する各測定データを各押圧領域A1,A2,A3,A4ごとに区分している。動作制御部9は、最大膜厚値および最小膜厚値のほか、複数の押圧領域A1,A2,A3,A4ごとの平均膜厚値を特定する。さらに動作制御部9は、ウェハWの全体における平均膜厚値も特定する。
図10のステップS302に示すように、動作制御部9は、ウェハWの全体における最大膜厚値と最小膜厚値との差分(すなわち、膜厚レンジ)が所望(所定)の許容範囲内であるか否かを判定する。膜厚レンジが許容範囲内にある場合(ステップS302の「YES」参照)、動作制御部9は、各押圧領域の平均膜厚値とウェハWの全体の平均膜厚値との差分が低減されるように、圧力レギュレータのそれぞれを制御することにより、各圧力室内の圧力を制御する(ステップS303参照)。
膜厚レンジが許容範囲外である場合(ステップS302の「NO」参照)、動作制御部9は、最大膜厚値を検出したウェハWの位置に対応する圧力室と、最小膜厚値を検出したウェハWの位置に対応する圧力室と、の少なくとも1つを特定する(ステップS304参照)。
最大膜厚値に関連する圧力室の圧力を制御する場合、動作制御部9は、対象となる圧力室に対応するウェハWの平均膜厚値がウェハWの全体の平均膜厚値よりも下回るように、圧力室の圧力を制御する(ステップS305A参照)。最小膜厚値に関連する圧力室の圧力を制御する場合、動作制御部9は、対象となる圧力室に対応するウェハWの平均膜厚値がウェハWの全体の平均膜厚値よりも上回るように、圧力室の圧力を制御する(ステップS305B参照)。
具体的には、最大膜厚値に関連する圧力室の圧力を制御する場合、動作制御部9は、ウェハWの全体の平均膜厚値に対して所定量あるいは所定割合、減少させた目標膜厚値を計算し、最大膜厚値の測定点が属する押圧領域の平均膜厚値が目標膜厚値に近づくように、対象となる圧力室の圧力を調整する。より具体的には、最大膜厚値の測定点が属する押圧領域の平均膜厚値が目標膜厚値を上回っていた場合、動作制御部9は、最大膜厚値の測定点が属する押圧領域に関連する圧力室の圧力を増加させる。
膜厚レンジを小さくするために、動作制御部9は、最大膜厚値に関連する圧力室の圧力のみを上記のように制御してもよく、最小膜厚値に関連する圧力室の圧力のみを上記のように制御してもよく、あるいは最大膜厚値に関連する圧力室の圧力と最小膜厚値に関連する圧力室の圧力の両方を上記のように制御してもよい。なお、他の圧力室については、動作制御部9は、対応する押圧領域の平均膜厚値とウェハWの全体の平均膜厚値との差分が低減されるように、他の圧力室を制御する。
このような構成により、膜厚レンジが許容範囲外にある場合、最大膜厚値に対応する押圧領域の研磨量あるいは一定期間内の研磨速度は、本発明を適用しない場合に比べて大きくなり、最小膜厚値に対応する押圧領域の研磨量あるいは一定期間内の研磨速度は、本発明を適用しない場合に比べて小さくなる。結果として、研磨ヘッド1は、ウェハWの全体における最も厚い箇所の膜厚の厚さと最も薄い箇所の膜厚の厚さとの差分を所望の許容範囲内に収めることができる。
図11は、他の実施形態に係る研磨工程の効果を説明するための図である。図11に示す実施形態では、ウェハWの研磨中において、押圧領域A1,A2における最大膜厚値および最小膜厚値は許容範囲内にある。したがって、動作制御部9は、押圧領域A1,A2のそれぞれの平均膜厚値とウェハWの全体の平均膜厚値との差分が低減されるように、押圧領域A1,A2のそれぞれに対応する圧力室70,71のそれぞれの圧力を制御する。
押圧領域A3における最小膜厚値は許容範囲外にあるため、動作制御部9は、押圧領域A3の平均膜厚値がウェハWの全体の平均膜厚値よりも上回るように、圧力室72の圧力を制御する。結果として、押圧領域A3の研磨量は小さくなり、研磨ヘッド1は、押圧領域A3の膜厚の厚さを許容範囲内に収めることができる。
押圧領域A4における最大膜厚値は許容範囲外にあるため、動作制御部9は、押圧領域A4の平均膜厚値がウェハWの全体の平均膜厚値よりも下回るように、圧力室73の圧力を制御する。結果として、押圧領域A4の研磨量は大きくなり、研磨ヘッド1は、押圧領域A4の膜厚の厚さを許容範囲内に収めることができる。
本実施形態によれば、動作制御部9は、ウェハWの膜厚を事前に測定することなく、ウェハWの研磨中における膜厚センサ40によって測定されたウェハWの膜厚に基づいて、ウェハW面内における膜厚の差分を許容範囲内に収めることができる。
なお、最大膜厚値に対応するウェハW上の押圧領域と最小膜厚値に対応するウェハW上の押圧領域を除くウェハW上の押圧領域においてもなお膜厚レンジが許容範囲内から外れている場合、動作制御部9は、当該押圧領域の圧力制御を上記と同様に行ってもよい。
一実施形態では、動作制御部9は、ウェハWの研磨中において、一定の時間間隔で得られたウェハWの膜厚に基づいて、ウェハWにおける最大膜厚値および最小膜厚値を特定してもよい。例えば、研磨テーブル3と研磨ヘッド1との間の回転速度比(研磨テーブル3の回転速度/研磨ヘッド1の回転速度)が100/90min-1である場合、60秒間で研磨テーブル3が研磨ヘッド1に対して10回転、多く回転する。
上記回転速度比である場合、研磨テーブル3は6秒間で10回転し、研磨ヘッド1は6秒間で9回転するため、研磨テーブル3および研磨ヘッド1の相対位置は、6秒間で1回、元の位置に戻る。膜厚センサ40は研磨テーブル3に埋め込まれているため、膜厚センサ40がウェハWの表面上を横切る回数は研磨テーブル3の回転に依存する。したがって、膜厚センサ40の移動経路は、6秒間に1度の頻度で元の位置に戻る。このように、動作制御部9は、膜厚センサ40の移動経路が元の位置に戻るまでの時間間隔で得られたウェハWの膜厚に基づいて最大膜厚値および最小膜厚値を特定してもよい。
一実施形態では、動作制御部9は、研磨テーブル3が1回転するごと(すなわち、膜厚センサ40が1つの移動経路を通過するごと)に複数の押圧領域A1,A2,A3,A4のそれぞれにおける最大膜厚値および最小膜厚値を特定し、圧力室70,71,72,73のそれぞれの圧力を制御してもよい。
膜厚センサ40が1つの移動経路を通過するごとに、圧力室70,71,72,73のそれぞれの圧力を制御すると、制御(調整)された圧力による研磨が進行してウェハWの膜厚変化に反映される前に、動作制御部9は、次の圧力調整を開始してしまうおそれがある。
また、一定の期間内で行われた膜厚の測定結果を元に最大膜厚値と最小膜厚値の差分を計算し、それに応じて関連する圧力室の圧力調整をあまり頻繁に行うと、弾性膜の圧力応答性なども関連して正常に制御されない可能性がある。そこで、動作制御部9は、圧力室の圧力調整の効果が出てくるような期間を空けて、ある間隔で次の膜厚レンジの確認を行うことが望ましい。また、動作制御部9は、圧力調整を行った後でもう一度同じ測定点での膜厚測定を行い、圧力調整の結果を確認するようにしてもよい。
動作制御部9が最大膜厚値および最小膜厚値を特定するとき、研磨テーブル3および研磨ヘッド1は常に回転しており、ウェハWの研磨は常に進行している。したがって、例えば、時間間隔を6秒間に決定した場合、1秒目に取得したウェハWの膜厚と、5秒目に取得したウェハWの膜厚と、の関係において、動作制御部9は、5秒目に取得した膜厚を、1秒目に取得した膜厚よりも薄く求めてしまい、実際の膜厚の均一性を精度よく評価することができない。そこで、動作制御部9は、ウェハWの研磨速度に基づいて、各取得タイミングにおけるウェハWの膜厚値を補正するように構成されている。
図12は、動作制御部による、膜厚値を補正するフローを示す図である。図12のステップS401に示すように、動作制御部9は、膜厚センサ40によって取得したウェハWの膜厚から研磨中におけるウェハWの研磨速度を算出する。その後、動作制御部9は、ウェハWの研磨速度に基づいて、ウェハWの各測定点において膜厚センサ40でウェハWの膜厚を取得した取得時間と所定の基準時間との間のウェハWの膜厚の変化量を算出する(ステップS402参照)。
動作制御部9は、膜厚の変化量を補正値として、一定の時間間隔においてウェハWの研磨中に得られたウェハWの膜厚を補正する(ステップS403参照)。例えば、所定の基準時間を上記時間間隔の開始時刻、すなわち、0秒とした場合には、ウェハWの膜厚は基準時間から徐々に減少するため、動作制御部9は、補正値としての膜厚の減少量を、研磨中に得られたウェハWの膜厚に加算して、ウェハWの膜厚を補正する。
逆に、所定の基準時間を上記時間間隔の終了時刻(上述した実施形態では、6秒)とした場合には、ウェハWの膜厚は基準時間における膜厚よりも厚めに測定されるため、動作制御部9は、補正値としての膜厚の変化量を、研磨中に得られたウェハWの膜厚から減算して、ウェハWの膜厚を補正する。基準時間を上記時間間隔の開始時刻とするか、あるいはその中間の時刻とするか、は任意に決定される。
ステップS403の後、動作制御部9は、補正されたウェハWの膜厚に基づいて、最大膜厚値および最小膜厚値を特定する(ステップS404参照)。ステップS404の後、動作制御部9は、圧力室70,71,72,73の圧力を図10に示す圧力制御フローと同様に制御する。
上述した実施形態では、最大膜厚値に関連する圧力室と、最小膜厚値に関連する圧力室と、が別個(または異なる)の圧力室である場合について説明したが、最大膜厚値に関連する圧力室と、最小膜厚値に関連する圧力室と、が同一の圧力室である場合もある。この場合、動作制御部9は、当該圧力室に対応するウェハWの平均膜厚値がウェハWの全体の平均膜厚値よりも下回るように、対象となる圧力室の圧力を制御するか、当該圧力室に対応するウェハWの平均膜厚値がウェハWの全体の平均膜厚値よりも上回るように、対象となる圧力室の圧力を制御するか、を予め研磨レシピ設定によって決定してもよい。
一実施形態では、最大膜厚値に関連する圧力室と、最小膜厚値に関連する圧力室と、が同一の圧力室である場合、動作制御部9は、最大膜厚値とウェハWの全体の平均膜厚値との第1差分と、最小膜厚値とウェハWの全体の平均膜厚値との第2差分と、を算出してもよい。
動作制御部9は、第1差分と第2差分とを比較し、第1差分が第2差分よりも大きい場合には、最大膜厚値に関連する圧力室に対応するウェハWの平均膜厚値がウェハWの全体の平均膜厚値よりも下回るように、対象となる圧力室の圧力を制御してもよい。第2差分が第1差分よりも大きい場合には、動作制御部9は、最小膜厚値に関連する圧力室に対応するウェハWの平均膜厚値がウェハWの全体の平均膜厚値よりも上回るように、対象となる圧力室の圧力を制御してもよい。
上述した実施形態では、最大膜厚値とウェハWの全体の平均膜厚値との差を第1差分とし、最小膜厚値とウェハWの全体の平均膜厚値との差を第2差分としたが、最大膜厚値と最大膜厚値に対応する押圧領域内の平均膜厚との差を第1差分とし、最小膜厚値と最小膜厚値に対応する押圧領域内の平均膜厚との差を第2差分としてもよい。
上述した実施形態では、動作制御部9は、最大膜厚値と最小膜厚値との差分(膜厚レンジ)が所望(所定)の許容範囲内であるか否かを判定し、許容範囲から外れていた場合に最大膜厚値に関連する圧力室およびまたは最小膜厚値に関連する圧力室の圧力を調整する。一実施形態では、動作制御部9は、最大膜厚値と最小膜厚値との差分と許容範囲との比較を行うことなく、最大膜厚値に関連する圧力室およびまたは最小膜厚値に関連する圧力室の圧力を調整してもよい。それによっても、最大膜厚値に関連する押圧領域の平均膜厚値がウェハWの全体の平均膜厚値を下回るように圧力室の圧力が制御され、また、最小膜厚値に関連する押圧領域の平均膜厚値がウェハWの全体の平均膜厚値を上回るように圧力室の圧力が制御されるので、結果として、最大膜厚値と最小膜厚値との差分が低減され、ウェハWの膜厚の均一性を向上させることができる。
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
1 研磨ヘッド
2 研磨パッド
2a 研磨面
3 研磨テーブル
5 研磨液供給ノズル
6 テーブルモータ
7 光学センサヘッド
9 動作制御部
9a 記憶装置
9b 演算装置
10 ヘッドシャフト
21 ヘッド本体
40 膜厚センサ
44 光源
47 分光器
60 リテーナリング
60a 下面
60b 上面
62 ドライブリング
65 弾性膜
65a 基板押圧面
70 中央圧力室
71 中間圧力室
72 中間圧力室
73 エッジ圧力室
80 リテーナリング押圧装置
81 ピストン
82 ローリングダイヤフラム
83 リテーナリング圧力室
151 ノッチ検出装置
152 ロータリエンコーダ
170 膜厚測定器
2 研磨パッド
2a 研磨面
3 研磨テーブル
5 研磨液供給ノズル
6 テーブルモータ
7 光学センサヘッド
9 動作制御部
9a 記憶装置
9b 演算装置
10 ヘッドシャフト
21 ヘッド本体
40 膜厚センサ
44 光源
47 分光器
60 リテーナリング
60a 下面
60b 上面
62 ドライブリング
65 弾性膜
65a 基板押圧面
70 中央圧力室
71 中間圧力室
72 中間圧力室
73 エッジ圧力室
80 リテーナリング押圧装置
81 ピストン
82 ローリングダイヤフラム
83 リテーナリング圧力室
151 ノッチ検出装置
152 ロータリエンコーダ
170 膜厚測定器
Claims (36)
- 研磨パッドを支持する研磨テーブルと、
基板を前記研磨パッドの研磨面に押し付けるための、同心円状に分割された複数の圧力室を有する研磨ヘッドと、
前記複数の圧力室に連結された複数の圧力レギュレータと、
前記研磨テーブルに埋め込まれた、前記基板の膜厚に応じた信号を出力する膜厚センサと、
前記複数の圧力レギュレータを通じて、前記複数の圧力室のそれぞれの圧力を個別に制御する動作制御部と、を備え、
前記動作制御部は、
前記基板の円周上の一部である特定位置に関する情報を取得し、かつ前記特定位置を含む制御対象領域における制御対象膜厚値と、前記基板の全体の平均膜厚値と、を算出し、
前記制御対象膜厚値と前記基板の全体の平均膜厚値との差分が低減されるように、前記特定位置に対応する前記研磨ヘッドの圧力室内の圧力を制御する、研磨装置。 - 前記動作制御部は、研磨前に測定された前記基板の膜厚に基づいて、前記特定位置を特定する、請求項1に記載の研磨装置。
- 前記動作制御部は、
研磨前に測定された前記基板の膜厚に基づいて、最大の膜厚値が得られた最大膜厚位置と、最小の膜厚値が得られた最小膜厚位置と、を決定し、
前記最大膜厚位置および前記最小膜厚位置のうちの少なくとも1つを前記特定位置に決定する、請求項1または請求項2に記載の研磨装置。 - 前記動作制御部は、
研磨前に測定された前記基板の膜厚に基づいて、最大膜厚値と、最小膜厚値と、を決定し、
前記基板の全体の平均膜厚値と前記最大膜厚値との差分、および前記基板の全体の平均膜厚値と前記最小膜厚値との差分を算出し、
差分の最も大きな膜厚値が得られた前記基板上の位置を前記特定位置に決定する、請求項1または請求項2に記載の研磨装置。 - 前記制御対象膜厚値は、研磨前に測定された前記基板の膜厚に基づいて決定された最大膜厚値および最小膜厚値のうちの少なくとも1つに相当する、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の研磨装置。
- 前記制御対象膜厚値は、前記制御対象領域内における複数の膜厚値の平均値である、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の研磨装置。
- 前記動作制御部は、
前記膜厚センサから出力された信号に基づいて、研磨中における前記特定位置を含む前記制御対象領域の膜厚を測定し、
前記測定された膜厚に基づいて、前記特定位置に対応する前記研磨ヘッドの圧力室内の圧力を制御する、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の研磨装置。 - 前記動作制御部は、
前記複数の圧力室に応じて分割された前記基板上の複数の押圧領域を、前記制御対象領域を含む特定押圧領域と、前記特定押圧領域を除く他の押圧領域と、に分割し、
前記基板の膜厚に基づいて、前記他の押圧領域における平均膜厚値を算出し、
前記他の押圧領域の平均膜厚値と前記基板の全体の平均膜厚値との差分が低減されるように、前記他の押圧領域に対応する圧力室内の圧力を制御する、請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の研磨装置。 - 前記動作制御部は、
前記基板とは異なる参照基板の円周上の一部である参照位置に関する情報を取得し、
前記参照基板の研磨中において、前記膜厚センサによって、前記参照位置を含む前記基板上の領域の膜厚に応じた物理量を検出し、
前記膜厚センサから送られた複数の信号に基づいて、前記参照基板の膜厚に応じた複数のデータを取得し、
前記複数のデータのそれぞれと、前記複数のデータのそれぞれを取得したときの前記参照基板の膜厚とを関連付ける、請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の研磨装置。 - 前記動作制御部は、研磨前に測定された前記参照基板の膜厚に基づいて、前記参照位置を決定する、請求項9に記載の研磨装置。
- 前記動作制御部は、前記膜厚センサが前記制御対象領域を横切るように、前記研磨ヘッドの回転速度および前記研磨テーブルの回転速度の少なくとも一方を制御する、請求項1~請求項10のいずれか一項に記載の研磨装置。
- 前記動作制御部は、
前記基板の周方向の角度の基準位置と、前記研磨ヘッドの回転角度と、の関係に基づいて、前記基準位置および前記研磨ヘッドの相対角度を決定し、
前記決定された相対角度に基づいて、前記研磨ヘッドの回転速度および前記研磨テーブルの回転速度の少なくとも一方を制御する、請求項11に記載の研磨装置。 - 同心円状に分割された複数の圧力室を有する研磨ヘッドによって、基板を研磨パッドの研磨面に押し付ける研磨方法であって、
前記基板の円周上の一部である特定位置に関する情報を取得し、かつ前記特定位置を含む制御対象領域における制御対象膜厚値と、前記基板の全体の平均膜厚値と、を算出し、
前記制御対象膜厚値と前記基板の全体の平均膜厚値との差分が低減されるように、前記特定位置に対応する前記研磨ヘッドの圧力室内の圧力を制御する、研磨方法。 - 研磨前に測定された前記基板の膜厚に基づいて、前記特定位置を特定する、請求項13に記載の研磨方法。
- 研磨前に測定された前記基板の膜厚に基づいて、最大の膜厚値が得られた最大膜厚位置と、最小の膜厚値が得られた最小膜厚位置と、を決定し、
前記最大膜厚位置および前記最小膜厚位置のうちの少なくとも1つを前記特定位置に決定する、請求項13または請求項14に記載の研磨方法。 - 研磨前に測定された前記基板の膜厚に基づいて、最大膜厚値と、最小膜厚値と、を決定し、
前記基板の全体の平均膜厚値と前記最大膜厚値との差分、および前記基板の全体の平均膜厚値と前記最小膜厚値との差分を算出し、
差分の最も大きな膜厚値が得られた前記基板上の位置を前記特定位置に決定する、請求項13または請求項14に記載の研磨方法。 - 前記制御対象膜厚値は、研磨前に測定された基板の膜厚に基づいて決定された最大膜厚値および最小膜厚値のうちの少なくとも1つに相当する、請求項13~請求項16のいずれか一項に記載の研磨方法。
- 前記制御対象膜厚値は、前記制御対象領域内における複数の膜厚値の平均値である、請求項13~請求項16のいずれか一項に記載の研磨方法。
- 前記膜厚センサの出力信号に基づいて、研磨中における前記特定位置を含む前記制御対象領域の膜厚を測定し、
前記測定された膜厚に基づいて、前記特定位置に対応する前記研磨ヘッドの圧力室内の圧力を制御する、請求項13~請求項18のいずれか一項に記載の研磨方法。 - 前記複数の圧力室に応じて分割された前記基板上の複数の押圧領域を、前記制御対象領域を含む特定押圧領域と、前記特定押圧領域を除く他の押圧領域と、に分割し、
前記基板の膜厚に基づいて、前記他の押圧領域における平均膜厚値を算出し、
前記他の押圧領域の平均膜厚値と前記基板の全体の平均膜厚値との差分が低減されるように、前記他の押圧領域に対応する圧力室内の圧力を制御する、請求項13~請求項19のいずれか一項に記載の研磨方法。 - 前記基板とは異なる参照基板の円周上の一部である参照位置に関する情報を取得し、
前記参照基板の研磨中において、前記膜厚センサによって、前記参照位置を含む前記基板上の領域の膜厚に応じた物理量を検出し、
前記膜厚センサから送られた複数の信号に基づいて、前記参照基板の膜厚に応じた複数のデータを取得し、
前記複数のデータのそれぞれと、前記複数のデータのそれぞれを取得したときの前記参照基板の膜厚とを関連付ける、請求項13~請求項20のいずれか一項に記載の研磨方法。 - 研磨前に測定された前記参照基板の膜厚に基づいて、前記参照位置を決定する、請求項21に記載の研磨方法。
- 前記研磨パッドを支持する研磨テーブルの回転によって、前記膜厚センサが前記制御対象領域を横切るように、前記研磨ヘッドの回転速度および前記研磨テーブルの回転速度の少なくとも一方を制御する、請求項13~請求項22のいずれか一項に記載の研磨方法。
- 前記基板の周方向の角度の基準位置と、前記研磨ヘッドの回転角度と、の関係に基づいて、前記基準位置および前記研磨ヘッドの相対角度を決定し、
前記決定された相対角度に基づいて、前記研磨ヘッドの回転速度および前記研磨テーブルの回転速度の少なくとも一方を制御する、請求項23に記載の研磨方法。 - 研磨パッドを支持する研磨テーブルと、
基板を前記研磨パッドの研磨面に押し付けるための、同心円状に分割された複数の圧力室を有する研磨ヘッドと、
前記複数の圧力室に連結された複数の圧力レギュレータと、
前記研磨テーブルに埋め込まれた、前記基板の膜厚に応じた信号を出力する膜厚センサと、
前記複数の圧力レギュレータを通じて、前記複数の圧力室のそれぞれの圧力を個別に制御する動作制御部と、を備え、
前記動作制御部は、
前記膜厚センサによって、前記基板の研磨中に得られた前記基板の膜厚から、最大膜厚値および最小膜厚値を特定し、
前記最大膜厚値を検出した前記基板の位置に対応する圧力室と、前記最小膜厚値を検出した前記基板の位置に対応する圧力室と、の少なくとも1つを特定し、
前記最大膜厚値に関連する圧力室の圧力を制御する場合、前記最大膜厚値に関連する圧力室に対応する前記基板の平均膜厚値が前記基板の全体の平均膜厚値よりも下回るように、前記最大膜厚値に関連する圧力室の圧力を制御し、
前記最小膜厚値に関連する圧力室の圧力を制御する場合、前記最小膜厚値に関連する圧力室に対応する前記基板の平均膜厚値が前記基板の全体の平均膜厚値よりも上回るように、前記最小膜厚値に関連する圧力室の圧力を制御する、研磨装置。 - 前記動作制御部は、前記基板の研磨中において、一定の時間間隔で得られた前記基板の膜厚に基づいて、前記最大膜厚値および前記最小膜厚値を特定する、請求項25に記載の研磨装置。
- 前記動作制御部は、
前記膜厚センサによって取得した前記基板の膜厚から研磨中における研磨速度を算出し、
前記研磨速度に基づいて、前記基板の各測定点において前記膜厚センサで前記基板の膜厚を取得した取得時間と基準時間との間の前記基板の膜厚の変化量を算出し、
前記変化量を補正値として、前記時間間隔において前記基板の研磨中に得られた前記基板の膜厚を補正し、
補正された前記基板の膜厚に基づいて、前記最大膜厚値および前記最小膜厚値を特定する、請求項26に記載の研磨装置。 - 前記動作制御部は、前記最大膜厚値に関連する圧力室と前記最小膜厚値に関連する圧力室とが同一の圧力室である場合、前記最大膜厚値に関連する圧力室に対応する前記基板の平均膜厚値が前記基板の全体の平均膜厚値よりも下回るように、前記最大膜厚値に関連する圧力室の圧力を制御するか、前記最小膜厚値に関連する圧力室に対応する前記基板の平均膜厚値が前記基板の全体の平均膜厚値よりも上回るように、前記最小膜厚値に関連する圧力室の圧力を制御するか、を予めレシピ設定によって決定する、請求項25~請求項27のいずれか一項に記載の研磨装置。
- 前記動作制御部は、
前記最大膜厚値に関連する圧力室と前記最小膜厚値に関連する圧力室とが同一の圧力室である場合、前記最大膜厚値と前記基板の全体の平均膜厚値との第1差分と、前記最小膜厚値と前記基板の全体の平均膜厚値との第2差分と、を比較し、
前記第1差分が前記第2差分よりも大きい場合には、前記最大膜厚値に関連する圧力室に対応する前記基板の平均膜厚値が前記基板の全体の平均膜厚値よりも下回るように、前記最大膜厚値に関連する圧力室の圧力を制御し、
前記第2差分が前記第1差分よりも大きい場合には、前記最小膜厚値に関連する圧力室に対応する前記基板の平均膜厚値が前記基板の全体の平均膜厚値よりも上回るように、前記最小膜厚値に関連する圧力室の圧力を制御する、請求項25~請求項27のいずれか一項に記載の研磨装置。 - 前記動作制御部は、
前記最大膜厚値に関連する圧力室と前記最小膜厚値に関連する圧力室とが同一の圧力室である場合、前記最大膜厚値と前記最大膜厚値に対応する押圧領域内の平均膜厚値との第1差分と、前記最小膜厚値と前記最小膜厚値に対応する押圧領域内の平均膜厚値との第2差分と、を比較し、
前記第1差分が前記第2差分よりも大きい場合には、前記最大膜厚値に関連する圧力室に対応する前記基板の平均膜厚値が前記基板の全体の平均膜厚値よりも下回るように、前記最大膜厚値に関連する圧力室の圧力を制御し、
前記第2差分が前記第1差分よりも大きい場合には、前記最小膜厚値に関連する圧力室に対応する前記基板の平均膜厚値が前記基板の全体の平均膜厚値よりも上回るように、前記最小膜厚値に関連する圧力室の圧力を制御する、請求項25~請求項27のいずれか一項に記載の研磨装置。 - 同心円状に分割された複数の圧力室を有する研磨ヘッドによって、基板を研磨パッドの研磨面に押し付ける研磨方法であって、
前記基板の研磨中に得られた前記基板の膜厚から、最大膜厚値および最小膜厚値を特定し、
前記最大膜厚値を検出した前記基板の位置に対応する圧力室と、前記最小膜厚値を検出した前記基板の位置に対応する圧力室と、の少なくとも1つを特定し、
前記最大膜厚値に関連する圧力室の圧力を制御する場合、前記最大膜厚値に関連する圧力室に対応する前記基板の平均膜厚値が前記基板の全体の平均膜厚値よりも下回るように、前記最大膜厚値に関連する圧力室の圧力を制御し、
前記最小膜厚値に関連する圧力室の圧力を制御する場合、前記最小膜厚値に関連する圧力室に対応する前記基板の平均膜厚値が前記基板の全体の平均膜厚値よりも上回るように、前記最小膜厚値に関連する圧力室の圧力を制御する、研磨方法。 - 前記基板の研磨中において、一定の時間間隔で得られた前記基板の膜厚に基づいて、前記最大膜厚値および前記最小膜厚値を特定する、請求項31に記載の研磨方法。
- 前記基板の膜厚から研磨中における研磨速度を算出し、
前記研磨速度に基づいて、前記基板の各測定点において前記基板の膜厚を取得した取得時間と基準時間との間の前記基板の膜厚の変化量を算出し、
前記変化量を補正値として、前記時間間隔において前記基板の研磨中に得られた前記基板の膜厚を補正し、
補正された前記基板の膜厚に基づいて、前記最大膜厚値および前記最小膜厚値を特定する、請求項32に記載の研磨方法。 - 前記最大膜厚値に関連する圧力室と前記最小膜厚値に関連する圧力室とが同一の圧力室である場合、前記最大膜厚値に関連する圧力室に対応する前記基板の平均膜厚値が前記基板の全体の平均膜厚値よりも下回るように、前記最大膜厚値に関連する圧力室の圧力を制御するか、前記最小膜厚値に関連する圧力室に対応する前記基板の平均膜厚値が前記基板の全体の平均膜厚値よりも上回るように、前記最小膜厚値に関連する圧力室の圧力を制御するか、を予めレシピ設定によって決定する、請求項31~請求項33のいずれか一項に記載の研磨方法。
- 前記最大膜厚値に関連する圧力室と前記最小膜厚値に関連する圧力室とが同一の圧力室である場合、前記最大膜厚値と前記基板の全体の平均膜厚値との第1差分と、前記最小膜厚値と前記基板の全体の平均膜厚値との第2差分と、を比較し、
前記第1差分が前記第2差分よりも大きい場合には、前記最大膜厚値に関連する圧力室に対応する前記基板の平均膜厚値が前記基板の全体の平均膜厚値よりも上回るように、前記最大膜厚値に関連する圧力室の圧力を制御し、
前記第2差分が前記第1差分よりも大きい場合には、前記最小膜厚値に関連する圧力室に対応する前記基板の平均膜厚値が前記基板の全体の平均膜厚値よりも上回るように、前記最小膜厚値に関連する圧力室の圧力を制御する、請求項31~請求項33のいずれか一項に記載の研磨方法。 - 前記最大膜厚値に関連する圧力室と前記最小膜厚値に関連する圧力室とが同一の圧力室である場合、前記最大膜厚値と前記最大膜厚値に対応する押圧領域内の平均膜厚値との第1差分と、前記最小膜厚値と前記最小膜厚値に対応する押圧領域内の平均膜厚値との第2差分と、を比較し、
前記第1差分が前記第2差分よりも大きい場合には、前記最大膜厚値に関連する圧力室に対応する前記基板の平均膜厚値が前記基板の全体の平均膜厚値よりも下回るように、前記最大膜厚値に関連する圧力室の圧力を制御し、
前記第2差分が前記第1差分よりも大きい場合には、前記最小膜厚値に関連する圧力室に対応する前記基板の平均膜厚値が前記基板の全体の平均膜厚値よりも上回るように、前記最小膜厚値に関連する圧力室の圧力を制御する、請求項31~請求項33のいずれか一項に記載の研磨方法。
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