JP2023002464A - 研磨方法および研磨装置 - Google Patents

研磨方法および研磨装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2023002464A
JP2023002464A JP2022088291A JP2022088291A JP2023002464A JP 2023002464 A JP2023002464 A JP 2023002464A JP 2022088291 A JP2022088291 A JP 2022088291A JP 2022088291 A JP2022088291 A JP 2022088291A JP 2023002464 A JP2023002464 A JP 2023002464A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polishing
substrate
film thickness
torque
waveform
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022088291A
Other languages
English (en)
Inventor
真朗 大田
Masaaki Ota
雅規 畠山
Masaki Hatakeyama
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ebara Corp
Original Assignee
Ebara Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ebara Corp filed Critical Ebara Corp
Priority to KR1020247001679A priority Critical patent/KR20240024919A/ko
Priority to PCT/JP2022/023734 priority patent/WO2022270345A1/ja
Priority to US18/571,054 priority patent/US20240278380A1/en
Priority to CN202280044190.XA priority patent/CN117581336A/zh
Priority to TW111122773A priority patent/TW202315704A/zh
Publication of JP2023002464A publication Critical patent/JP2023002464A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Constituent Portions Of Griding Lathes, Driving, Sensing And Control (AREA)
  • Finish Polishing, Edge Sharpening, And Grinding By Specific Grinding Devices (AREA)
  • Mechanical Treatment Of Semiconductor (AREA)

Abstract

【課題】膜厚の均一性や、終点検知性能を向上させることができる研磨方法を提供する。【解決手段】本方法は、基板Wを研磨する工程と、基板Wを研磨しながら、トルク波形を生成する工程と、基板Wの研磨前に蓄積した複数の参照トルク波形から1つの参照トルク波形を選択する工程を備える。基板Wを研磨する工程は、段差研磨工程と、平坦研磨工程を含み、段差研磨工程は、第1関係式に基づいて算出された参照膜データの膜厚に基づいて基板W上の複数の測定点における複数の膜厚を決定する工程と、トルク波形と、選択された参照トルク波形とを比較し、段差研磨工程を終了すべきか否かを判断する工程を含み、平坦研磨工程は、第2関係式に基づいて算出された参照膜データの膜厚に基づいて基板W上の複数の測定点における複数の膜厚を決定する工程を含む。【選択図】図24

Description

本発明は、ウェーハなどの基板を研磨する研磨方法および研磨装置に関する。
半導体デバイスの製造工程においては、半導体デバイス表面の平坦化がますます重要になっている。この表面の平坦化において最も重要な技術は、化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)である。この化学機械研磨(以下、CMPという)は、シリカ(SiO)等の砥粒を含んだ研磨液を研磨パッドの研磨面上に供給しつつウェーハなどの基板を研磨面に摺接させて研磨を行うものである。
CMPを行うための研磨装置は、研磨面を有する研磨パッドを支持する研磨テーブルと、基板を保持するための研磨ヘッドを備えている。このような研磨装置は、研磨テーブルと研磨ヘッドとを相対運動させ、さらにスラリーなどの研磨液を研磨パッドの研磨面上に供給しながら、研磨ヘッドにより基板を研磨パッドの研磨面に押し付けるように構成される。基板の表面は、研磨液の存在下で研磨面に摺接し、研磨液の化学的作用、および研磨液に含まれる砥粒の機械的作用により、基板の表面は平坦かつ鏡面に研磨される。
基板をより平坦に研磨するために、従来から基板を研磨しながら膜厚を測定し、膜厚の測定値に基づいて基板面内の残膜厚の分布を制御することや、膜厚の測定値に基づいて基板の研磨終点を検出することが行われている。研磨中の膜厚測定方法として、研磨テーブルに取り付けられた膜厚センサによって基板の膜厚信号を検出し、検出した膜厚信号と予め取得された参照データに基づいて、膜厚を決定する方法がある。
国際公開第2015/163164号 特開2009-194134号公報
ウェーハなどの基板は、半導体、導体、絶縁体などの異なる材質からなる積層構造を有している。そのため、研磨対象の基板は、被研磨膜の下側の層の構造などによって表面に凹凸段差を有することがある。このような基板では、研磨レートが常に一定とならない。そのため、上述した膜厚測定方法では、精度よく膜厚を測定できないことがある。結果として、膜厚の均一性や終点検知性能が悪化することがある。
そこで本発明は、膜厚の均一性や、終点検知性能を向上させることができる研磨方法および研磨装置を提供することを目的とする。
一態様では、研磨パッドを支持する研磨テーブルを回転させ、研磨ヘッドによって基板を前記研磨パッドの研磨面に押し付けて前記基板を研磨する工程と、前記基板を研磨しながら、トルク波形を生成する工程と、前記基板の研磨前に蓄積した複数の参照トルク波形から1つの参照トルク波形を選択する工程を備え、前記トルク波形を生成する工程は、前記研磨テーブルを回転させるためのトルクの測定値、前記研磨ヘッドをその軸心を中心に回転させるためのトルクの測定値、または前記研磨ヘッドを前記研磨面に沿って揺動させるためのトルクの測定値からトルク波形を生成する工程であり、前記基板を研磨する工程は、前記基板の膜厚が段差解消膜厚に到達する前の前記基板の研磨工程である段差研磨工程と、前記段差研磨工程の後に実行される平坦研磨工程を含み、前記段差研磨工程は、第1関係式に基づいて算出された参照膜データの膜厚に基づいて前記基板上の複数の測定点における複数の膜厚を決定する工程と、前記トルク波形と、前記選択された参照トルク波形とを比較し、前記段差研磨工程を終了すべきか否かを判断する工程を含み、前記平坦研磨工程は、第2関係式に基づいて算出された参照膜データの膜厚に基づいて前記基板上の複数の測定点における複数の膜厚を決定する工程を含む、研磨方法が提供される。
一態様では、前記基板の研磨前に蓄積した複数の参照トルク波形から1つの参照トルク波形を選択する工程は、研磨前の前記基板の膜厚プロファイルおよび前記基板の種類に基づいて、前記複数の参照トルク波形から1つの参照トルク波形を選択する工程である。
一態様では、前記段差研磨工程を終了すべきか否かを判断する工程は、前記トルク波形の現在のトルクが前記選択された参照トルク波形から推定される段差解消点に達した場合、段差研磨工程を終了すべきと判断する工程である。
一態様では、前記段差研磨工程を終了すべきか否かを判断する工程は、所定時間経過後、前記トルク波形の形状と、前記選択された参照トルク波形の現在の研磨時間に相当する研磨時間までの形状とを比較し、前記トルク波形の形状と、前記選択された参照トルク波形の形状の一致度を算出する工程と、前記算出された一致度を所定の基準一致度と比較し、前記算出された一致度が前記所定の基準一致度以上の場合、前記選択された参照トルク波形から推定される段差解消点における研磨時間と前記現在の研磨時間との差を算出し、前記基板の研磨時間が、前記現在の研磨時間に前記差、または前記差に係数を掛けた値を加えた時間に達したときに、前記段差研磨工程を終了すべきと判断する工程を含む。
一態様では、所定時間経過後、前記トルク波形の形状と、前記選択された参照トルク波形の現在の研磨時間に相当する研磨時間までの形状とを比較し、前記トルク波形の形状と、前記選択された参照トルク波形の形状の一致度を算出する工程と、前記算出された一致度を所定の基準一致度と比較し、前記算出された一致度が前記所定の基準一致度以下の場合、研磨条件を変更する工程をさらに含む。
一態様では、研磨パッドを支持する研磨テーブルと、前記研磨テーブルを回転させるテーブルモータと、基板を前記研磨パッドの研磨面に押し付けるための複数の圧力室を有する研磨ヘッドと、前記基板の膜厚に従って変化する膜厚信号を出力する膜厚センサと、前記複数の圧力室に連結された複数の圧力レギュレータと、前記研磨テーブルを回転させるためのトルク、前記研磨ヘッドを回転させるためのトルク、または前記研磨ヘッドを前記研磨面に沿って揺動させるためのトルクを測定するトルク測定装置と、研磨装置の動作を制御する動作制御部とを備え、前記動作制御部は、前記研磨テーブルを回転させるためのトルクの測定値、前記研磨ヘッドを回転させるためのトルクの測定値、または前記研磨ヘッドを前記研磨面に沿って揺動させるためのトルクの測定値からトルク波形を生成するように構成されており、前記動作制御部は、前記基板の研磨前に蓄積した複数の参照トルク波形から1つの参照トルク波形を選択するように構成されており、前記動作制御部は、前記基板の膜厚が段差解消膜厚に到達する前の前記基板の研磨工程である段差研磨工程と、前記段差研磨工程の後に実行される平坦研磨工程を実行するように構成されており、前記動作制御部は、前記段差研磨工程中、第1関係式に基づいて算出された参照膜データの膜厚に基づいて前記基板上の複数の測定点における複数の膜厚を決定するように構成されており、前記動作制御部は、前記段差研磨工程中、前記トルク波形と、前記選択された参照トルク波形とを比較し、前記段差研磨工程を終了すべきか否かを判断するように構成されており、前記動作制御部は、前記平坦研磨工程中、第2関係式に基づいて算出された参照膜データの膜厚に基づいて前記基板上の複数の測定点における複数の膜厚を決定するように構成されている、研磨装置が提供される。
一態様では、前記動作制御部は、研磨前の前記基板の膜厚プロファイルおよび前記基板の種類に基づいて、前記複数の参照トルク波形から1つの参照トルク波形を選択するように構成されている。
一態様では、前記動作制御部は、前記トルク波形の現在のトルクが前記選択された参照トルク波形から推定される段差解消点に達した場合、段差研磨工程を終了すべきと判断するように構成されている。
一態様では、前記動作制御部は、所定時間経過後、前記トルク波形の形状と、前記選択された参照トルク波形の現在の研磨時間に相当する研磨時間までの形状とを比較し、前記トルク波形の形状と、前記選択された参照トルク波形の形状の一致度を算出し、前記算出された一致度を所定の基準一致度と比較し、前記算出された一致度が前記所定の基準一致度以上の場合、前記選択された参照トルク波形から推定される段差解消点における研磨時間と前記現在の研磨時間との差を算出し、前記基板の研磨時間が、前記現在の研磨時間に前記差、または前記差に係数を掛けた値を加えた時間に達したときに、前記段差研磨工程を終了すべきと判断するように構成されている。
一態様では、前記動作制御部は、所定時間経過後、前記トルク波形の形状と、前記選択された参照トルク波形の現在の研磨時間に相当する研磨時間までの形状とを比較し、前記トルク波形の形状と、前記選択された参照トルク波形の形状の一致度を算出し、前記算出された一致度を所定の基準一致度と比較し、前記算出された一致度が前記所定の基準一致度以下の場合、前記研磨装置に研磨条件を変更する指令を発するように構成されている。
一態様では、前記膜厚センサは、光学式膜厚センサまたは渦電流センサである。
一態様では、前記基板の膜厚を測定する膜厚測定器をさらに備え、前記膜厚測定器は、前記研磨テーブルに取り付けられている。
一態様では、研磨パッドを支持する研磨テーブルを回転させながら、研磨ヘッドによって基板を前記研磨パッドの研磨面に押し付けて前記基板を研磨し、前記基板を研磨しながら、前記基板を前記研磨面に対して相対的に移動させるために必要なモータの駆動電流を示すトルク波形を生成し、前記トルク波形を段差解消予測モデルに入力し、前記段差解消予測モデルから、前記基板の表面の段差解消指標を出力する、研磨方法が提供される。
一態様では、前記段差解消予測モデルは、訓練用基板を、その表面の段差が解消されるまで研磨しながら、前記訓練用基板を前記研磨面に対して相対的に移動させるために必要なモータの駆動電流を示す複数の訓練用トルク波形を生成し、前記複数の訓練用トルク波形を含む訓練データを用いて機械学習を実行することにより構築された学習済みモデルである。
一態様では、前記訓練データは、前記研磨パッドを使用して過去に研磨された基板の枚数をさらに含み、前記トルク波形に加えて、前記研磨パッドを使用して過去に研磨された基板の枚数を前記段差解消予測モデルに入力する。
一態様では、前記研磨方法は、前記トルク波形を研磨終点予測モデルに入力し、前記研磨終点予測モデルから、前記基板の研磨終点指標を出力することをさらに含む。
一態様では、前記研磨方法は、前記基板を仮想空間内で仮想的に研磨し、前記基板の仮想膜厚プロファイルを生成することをさらに含む。
本発明によれば、本実施形態の研磨装置は、基板Wの表面形状に応じて、研磨中の基板Wの膜厚を決定する際に利用する関係式を変更する。さらに、研磨装置は、研磨中に生成されたトルク波形と、研磨前に取得された参照トルク波形を比較し、上記関係式を変更するタイミングを決定する。これにより、基板が表面に凹凸段差を有する場合でも研磨中の基板の膜厚を精度よく測定することができる。結果として、膜厚の均一性や、終点検知性能を向上させることができる。
本発明の一実施形態に係る研磨装置を示す平面図である。 研磨モジュールの一実施形態を示す模式図である。 動作制御部によって生成されたスペクトルの一例を示す図である。 基板の表面上の複数の測定点の一例を示す模式図である。 研磨レートが一定である場合の参照ウェーハの膜厚と研磨時間との関係を示すグラフである。 凹凸段差を有する基板の一実施形態を示す断面図である。 図7(a)および図7(b)は、研磨対象膜が凹凸段差を有する参照ウェーハの膜厚と研磨時間との関係を示すグラフである。 図2に示す研磨ヘッドの断面図である。 研磨モジュールの他の実施形態を示す模式図である。 研磨モジュールのさらに他の実施形態を示す模式図である。 参照基板の研磨方法の一実施形態を示すフローチャートである。 参照基板の研磨方法の一実施形態を示すフローチャートである。 表面に凹凸段差を有する基板の研磨方法の一実施形態を示すフローチャートである。 表面に凹凸段差を有する基板の研磨方法の一実施形態を示すフローチャートである。 表面に凹凸段差を有する基板の研磨方法の一実施形態を示すフローチャートである。 表面に凹凸段差を有する基板の研磨方法の一実施形態を示すフローチャートである。 表面に凹凸段差を有する基板の研磨方法の一実施形態を示すフローチャートである。 表面に凹凸段差を有する基板の研磨方法の一実施形態を示すフローチャートである。 表面に凹凸段差を有する基板を研磨したときのトルク波形の一例を示す図である。 表面に凹凸段差を有する基板を研磨したときのトルク波形の他の例を示す図である。 表面に凹凸段差を有する基板を研磨したときのトルク波形の他の例を示す図である。 十分なトルク波形が蓄積された後の、表面に凹凸段差を有する基板の研磨方法の一実施形態を示すフローチャートである。 十分なトルク波形が蓄積された後の、表面に凹凸段差を有する基板の研磨方法の一実施形態を示すフローチャートである。 十分なトルク波形が蓄積された後の、表面に凹凸段差を有する基板の研磨方法の一実施形態を示すフローチャートである。 十分なトルク波形が蓄積された後の、表面に凹凸段差を有する基板の研磨方法の一実施形態を示すフローチャートである。 十分なトルク波形が蓄積された後の、表面に凹凸段差を有する基板の研磨方法の一実施形態を示すフローチャートである。 十分なトルク波形が蓄積された後の、表面に凹凸段差を有する基板の研磨方法の一実施形態を示すフローチャートである。 表面に凹凸段差を有する基板の他の実施形態を示す断面図である。 表面に凹凸段差を有する基板の他の実施形態を示す断面図である。 表面に凹凸段差を有する基板の他の実施形態を示す断面図である。 研磨装置の他の実施形態を示す模式図である。 研磨装置のさらに他の実施形態を示す模式図である。 研磨装置のさらに他の実施形態を示す模式図である。 研磨装置のさらに他の実施形態を示す模式図である。 表面に凹凸段差を有する基板を研磨する方法の一実施形態を説明する図である。 学習済みモデルを用いて、基板の段差解消を予測する研磨方法の一実施形態を説明するための図である。 学習済みモデルを用いて、基板の段差解消を予測する研磨方法の他の実施形態を説明するための図である。 学習済みモデルを用いて、基板の段差解消を予測する研磨方法のさらに他の実施形態を説明するための図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る研磨装置を示す平面図である。この研磨装置は、ウェーハなどの基板の表面を研磨し、洗浄し、乾燥させる一連の工程を行うことができる基板処理装置である。図1に示すように、研磨装置は、略矩形状のハウジング60を備えており、ハウジング60の内部は隔壁60a,60bによってロード/アンロード部61と、研磨部63と、洗浄部70とに区画されている。研磨装置は、基板の膜厚を測定する膜厚測定器80と、研磨装置の各構成要素の動作を制御する動作制御部9を備えている。研磨部63は、ロード/アンロード部61と洗浄部70との間に配置されている。
膜厚測定器80は、光の干渉を利用して基板の膜厚を測定するように構成されており、基板の膜厚プロファイルを測定することができる。本実施形態の膜厚測定器80は、スタンドアローン型の膜厚測定器である。本実施形態の膜厚測定器80は、基板が静止した状態で基板の膜厚を測定する。このような膜厚測定器の一例として、ITM(In-line Thickness Monitor)が挙げられる。
ロード/アンロード部61は、多数の基板を内部に収容した基板カセットが載置される複数のロードポート65を備えている。このロード/アンロード部61には、ロードポート65の並びに沿って移動可能なローダー(搬送ロボット)66が設置されている。ローダー66はロードポート65に搭載された基板カセット内の基板にアクセスし、基板を膜厚測定器80に搬送することができるように構成されている。さらに、ローダー66は、基板を反転させる機能を有している。
研磨部63は、基板の表面を研磨するための研磨モジュール1と、基板が一時的に置かれる第1仮置き台67および第2仮置き台68と、基板を研磨モジュール1、第1仮置き台67、および第2仮置き台68の間で搬送する搬送ロボット69を備えている。研磨部63と洗浄部70との間には、基板を搬送するためのスイングトランスポータ64が配置されている。研磨部63で研磨された基板は、スイングトランスポータ64によって洗浄部70に搬送される。
洗浄部70は、研磨部63で研磨された基板を洗浄するための第1洗浄モジュール74、第2洗浄モジュール75、および第3洗浄モジュール76を備えており、さらに、これらの洗浄モジュール74,75,76で洗浄された基板を乾燥させる乾燥モジュール77を備えている。洗浄部70は、基板を第1洗浄モジュール74から第2洗浄モジュール75に、第2洗浄モジュール75から第3洗浄モジュール76に、第3洗浄モジュール76から乾燥モジュール77に搬送するリニアトランスポータ78をさらに備えている。
図2は、研磨モジュール1の一実施形態を示す模式図である。図1に示すように、研磨モジュール1は、研磨パッド2を支持する研磨テーブル3と、基板(例えばウェーハ)Wを研磨パッド2に押し付ける研磨ヘッド10と、研磨テーブル3を回転させるテーブルモータ6と、研磨パッド2上にスラリーなどの研磨液を供給するための研磨液供給ノズル5と、膜厚センサ20と、トルク測定装置8を備えている。研磨パッド2の上面は、基板Wを研磨する研磨面2aを構成する。
研磨モジュール1は、支軸14と、支軸14の上端に連結された揺動アーム16と、揺動アーム16の自由端に取り付けられたヘッドシャフト11と、ヘッドシャフト11に連結された研磨ヘッドモータ17と、揺動アーム16に連結され、研磨ヘッド10を研磨面2aに沿って揺動させる揺動モータ18をさらに備えている。研磨ヘッド10はヘッドシャフト11の下端に連結されている。本実施形態では、研磨ヘッドモータ17は、揺動アーム16内に配置されているが、一実施形態では、研磨ヘッドモータ17は、揺動アーム16の外側に配置されてもよい。
ヘッドシャフト11は、研磨ヘッドモータ17によって回転可能に構成されている。研磨ヘッド10は、ヘッドシャフト11を介して揺動アーム16に連結されている。このヘッドシャフト11の回転により、研磨ヘッド10が図の矢印で示す方向にヘッドシャフト11を中心に回転するようになっている。ヘッドシャフト11は、図示しない昇降装置に連結されている。研磨ヘッド10は、昇降装置によってヘッドシャフト11を介して上昇および下降されるようになっている。揺動モータ18は、支軸14内に配置されており、揺動アーム16は支軸14を中心として旋回(回転)可能に構成されている。研磨ヘッド10は、揺動アーム16の旋回により、基板Wの図示しない受取位置と研磨テーブル2の上方位置との間を移動する。一実施形態では、揺動アーム16は支軸14に固定され、揺動モータ18は支軸14に連結されていてもよく、揺動モータ18は、支軸14の回転軸を中心に支軸14と揺動アーム16とを一体に回転させるように構成されていてもよい。
研磨テーブル3はテーブルモータ6に連結されており、テーブルモータ6は研磨テーブル3および研磨パッド2を図2の矢印で示す方向に回転させるように構成されている。研磨ヘッド10および研磨テーブル3の回転方向は、本実施形態に限定されない。
基板Wは次のようにして研磨される。研磨テーブル3および研磨ヘッド10を図2の矢印で示す方向に回転させながら、研磨液供給ノズル5から研磨液が研磨テーブル3上の研磨パッド2の研磨面2aに供給される。基板Wは、研磨ヘッド10によって回転されながら、研磨パッド2上に研磨液が存在した状態で、研磨ヘッド10によって研磨パッド2の研磨面2aに押し付けられる。基板Wの表面は、研磨液の化学的作用と、研磨液に含まれる砥粒または研磨パッド2の機械的作用により研磨される。
一実施形態では、揺動モータ18によって所定の角度範囲で研磨ヘッド10を研磨面2aに沿って揺動(すなわち、支軸14を中心とした往復回転運動)させながら基板Wを研磨してもよい。揺動モータ18には、揺動アーム16の回転角度(すなわち、研磨ヘッド10の支軸14周りの回転角度)を検出する角度検出器19が取り付けられており、動作制御部9は、角度検出器19からの角度信号に基づいて揺動モータ18の角度範囲を制御する。角度検出器19の例としてロータリーエンコーダが挙げられる。
動作制御部9は、プログラムが格納された記憶装置9aと、プログラムに含まれる命令に従って演算を実行する処理装置9bを備えている。処理装置9bは、記憶装置9aに格納されているプログラムに含まれる命令に従って演算を行うCPU(中央処理装置)またはGPU(グラフィックプロセッシングユニット)などを含む。記憶装置9aは、処理装置9bがアクセス可能な主記憶装置(例えばランダムアクセスメモリ)と、データおよびプログラムを格納する補助記憶装置(例えば、ハードディスクドライブまたはソリッドステートドライブ)を備えている。動作制御部9は、少なくとも1台のコンピュータから構成されている。ただし、動作制御部9の具体的構成はこの例に限定されない。
膜厚測定器80、テーブルモータ6、研磨液供給ノズル5、膜厚センサ20、トルク測定装置8、研磨ヘッドモータ17、揺動モータ18、角度検出器19、および昇降装置(図示せず)は、動作制御部9に電気的に接続されている。膜厚測定器80、テーブルモータ6、研磨液供給ノズル5、膜厚センサ20、トルク測定装置8、研磨ヘッドモータ17、揺動モータ18、角度検出器19、および昇降装置の動作は、動作制御部9によって制御される。
トルク測定装置8は、テーブルモータ6に接続されている。本実施形態のトルク測定装置8は、研磨テーブル3を回転させるためのトルクを測定するように構成されている。基板Wの研磨中、研磨テーブル3は、一定の速度で回転するようにテーブルモータ6によって駆動される。したがって、研磨テーブル3を一定の速度で回転させるために必要なトルクが変化すると、テーブルモータ6の駆動電流が変化する。
研磨テーブル3を回転させるためのトルクは、研磨テーブル3をその軸心CP周りに回転させる力のモーメントである。研磨テーブル3を回転させるためのトルクは、テーブルモータ6の駆動電流に相当する。したがって、本実施形態では、トルク測定装置8は、テーブルモータ6の駆動電流を測定する電流測定器である。一実施形態では、トルク測定装置8は、テーブルモータ6を駆動するモータドライバの少なくとも一部から構成されてもよい。この場合、モータドライバは、研磨テーブル3を一定の速度で回転させるために必要な電流値を決定し、この決定された電流値を出力する。決定された電流値は、研磨テーブル3を回転させるためのトルクに相当する。研磨テーブル3を回転させるためのトルク(テーブルモータ6の駆動電流)の測定値は、動作制御部9に送られる。
膜厚センサ20は、基板Wの膜厚に従って変化する膜厚信号を出力するセンサである。膜厚信号は、膜厚を直接または間接に示す数値またはデータである。本実施形態の膜厚センサ20は、光学式膜厚センサである。光学式膜厚センサは、基板Wの表面に光を照射し、基板Wからの反射光の強度を波長ごとに測定し、波長に関連付けられた反射光の強度測定データを出力するように構成される。波長に関連付けられた反射光の強度測定データは、基板Wの膜厚に従って変化する膜厚信号である。
膜厚センサ20は、光を発する光源24と、分光器27と、光源24および分光器27に連結された光学センサヘッド21を備えている。光学センサヘッド21、光源24、および分光器27は研磨テーブル3に取り付けられており、研磨テーブル3および研磨パッド2とともに一体に回転する。光学センサヘッド21の位置は、研磨テーブル3および研磨パッド2が一回転するたびに研磨パッド2上の基板Wの表面を横切る位置である。
光源24から発せられた光は、光学センサヘッド21に伝送され、光学センサヘッド21から基板Wの表面に導かれる。光は基板Wの表面で反射し、基板Wの表面からの反射光は光学センサヘッド21によって受けられ、分光器27に送られる。分光器27は反射光を波長に従って分解し、各波長での反射光の強度を測定する。反射光の強度測定データは、動作制御部9に送られる。動作制御部9は、反射光の強度測定データから反射光のスペクトルを生成し、このスペクトルに基づいて基板Wの膜厚を決定する。反射光のスペクトルは、反射光の波長と強度との関係を示す線グラフ(すなわち分光波形)として表される。反射光の強度は、反射率または相対反射率などの相対値として表わすこともできる。
図3は、動作制御部9によって生成されたスペクトルの一例を示す図である。スペクトルは、光の波長と強度との関係を示す線グラフ(すなわち分光波形)として表される。図3において、横軸は基板から反射した光の波長を表わし、縦軸は反射した光の強度から導かれる相対反射率を表わす。相対反射率とは、反射光の強度を示す指標値であり、光の強度と所定の基準強度との比である。各波長において光の強度(実測強度)を所定の基準強度で割ることにより、装置の光学系や光源固有の強度のばらつきなどの不要なノイズを実測強度から除去することができる。
基準強度は、各波長について予め測定された光の強度であり、相対反射率は各波長において算出される。具体的には、各波長での光の強度(実測強度)を、対応する基準強度で割り算することにより相対反射率が求められる。基準強度は、例えば、光学センサヘッド21から発せられた光の強度を直接測定するか、または膜が形成されていないシリコン基板(ベア基板)に光を照射し、ベア基板からの反射光の強度を測定することによって得られる。
実際の研磨では、実測強度からダークレベル(光を遮断した条件下で得られた背景強度)を引き算して補正実測強度を求め、さらに基準強度から上記ダークレベルを引き算して補正基準強度を求め、そして、補正実測強度を補正基準強度で割り算することにより、相対反射率が求められる。具体的には、相対反射率R(λ)は、次の式(1)を用いて求めることができる。
Figure 2023002464000002
ここで、λは基板から反射した光の波長であり、E(λ)は波長λでの強度であり、B(λ)は波長λでの基準強度であり、D(λ)は光を遮断した条件下で測定された波長λでの背景強度(ダークレベル)である。
光学センサヘッド21は、研磨テーブル3が一回転するたびに、基板Wの表面(被研磨面)に光を導き、基板Wからの反射光を受ける。反射光は分光器27に送られる。分光器27は反射光を波長に従って分解し、各波長での反射光の強度を測定する。反射光の強度測定データは、動作制御部9に送られ、動作制御部9は反射光の強度測定データから図3に示すようなスペクトルを生成する。さらに、動作制御部9は、反射光のスペクトルから基板Wの膜厚を決定する。反射光のスペクトルは、基板Wの膜厚に従って変化する。したがって、動作制御部9は、反射光のスペクトルから基板Wの膜厚を決定することができる。以下、本明細書において、研磨対象の基板Wからの反射光から生成されたスペクトルを、測定スペクトルということがある。
本実施形態の膜厚センサ20は、基板W上の複数の測定点での複数の強度測定データを出力するように構成されている。本実施形態では、光学センサヘッド21が基板Wを一回横切る間、光学センサヘッド21は基板W上の複数の測定点に光を放ち、これら複数の測定点からの反射光を受ける。本実施形態では、1つの光学センサヘッド21のみが研磨テーブル3内に設けられているが、複数の光学センサヘッド21が研磨テーブル3内に設けられてもよい。
図4は、基板Wの表面(被研磨面)上の複数の測定点の一例を示す模式図である。図4に示すように、光学センサヘッド21は、基板Wを横切るたびに、複数の測定点MPに光を導き、これら複数の測定点MPからの反射光を受ける。したがって、動作制御部9は、光学センサヘッド21が基板Wを横切るたびに(すなわち、研磨テーブル3が一回転するたびに)、複数の測定点MPからの反射光の複数の測定スペクトルを生成し、複数の測定スペクトルに基づいて、それぞれの測定点MPにおける膜厚を決定(測定)する。各測定点MPの位置は、光の照射タイミング、研磨テーブル3の回転速度、研磨ヘッド10の位置、および研磨ヘッド10の回転速度等に基づいて決定される。
動作制御部9は、測定スペクトル(膜測定データともいう)と複数の参照スペクトル(参照膜データともいう)との比較から膜厚を決定(測定)するように構成されている。動作制御部9は、基板Wの研磨中に生成された測定スペクトルと複数の参照スペクトルとを比較することで、測定スペクトルに最も形状の近い参照スペクトルを決定し、この決定された参照スペクトルに関連付けられた膜厚を決定する。測定スペクトルに最も形状の近い参照スペクトルは、参照スペクトルと測定スペクトルとの間の相対反射率の差が最も小さいスペクトルである。
複数の参照スペクトルは、研磨対象の基板W(以下、ターゲットウェーハまたはターゲット基板ということがある)と同じ積層構造を有する参照ウェーハ(または参照基板)を研磨しながら予め取得されたものである。各参照スペクトルにはその参照スペクトルが取得されたときの膜厚が関連付けられる。すなわち、各参照スペクトルは、異なる膜厚のときに取得されたものであり、複数の参照スペクトルは複数の異なる膜厚に対応する。したがって、測定スペクトルに最も形状の近い参照スペクトルを特定することにより、基板Wの現在の膜厚を決定(測定)することができる。
複数の参照スペクトルを取得する工程の一例について説明する。まず、ターゲット基板Wと同じ積層構造を有する参照ウェーハが用意される。参照ウェーハは、膜厚測定器80(図1参照)に搬送され、参照ウェーハの初期膜厚が膜厚測定器80によって測定される。参照ウェーハの初期膜厚は、参照ウェーハの研磨前の膜厚である。次に、参照ウェーハは研磨モジュール1に搬送され、研磨液としてのスラリーが研磨パッド2に供給されながら参照ウェーハが研磨される。参照ウェーハの研磨中、上述したように、参照ウェーハの表面に光が照射され、参照ウェーハからの反射光のスペクトル(すなわち参照スペクトル)が取得される。参照スペクトルは、研磨テーブル3が一回転するたびに取得される。したがって、参照ウェーハの研磨中に、複数の参照スペクトルが取得される。参照ウェーハの研磨が終了した後、参照ウェーハは膜厚測定器80に再び搬送され、研磨された参照ウェーハの膜厚(すなわち最終膜厚)が測定される。
動作制御部9は、参照ウェーハの膜厚と参照ウェーハの研磨時間との相関を示す関係式に基づいて、各参照スペクトルに対応する膜厚を算出する。参照スペクトルは、上述したように、研磨テーブル3が一回転するたびに周期的に取得されるので、それぞれの参照スペクトルが取得されたときの研磨時間は、研磨テーブル3の回転速度および回転回数から算出することができる。すなわち、動作制御部9は、上記関係式に、各参照スペクトルが取得された研磨時間を当てはめることによって、各参照スペクトルに対応する膜厚を算出することができる。このようにして、異なる膜厚に対応する複数の参照スペクトルが取得される。
図5は、研磨レートが一定である場合の参照ウェーハの膜厚と研磨時間との関係を示すグラフである。参照ウェーハの研磨レートが一定である場合、図5に示すように、膜厚は研磨時間とともに直線的に減少する。すなわち、参照ウェーハの研磨レートが一定である場合、上記関係式は、研磨レートを含む一次関数を用いて表すことができる。研磨レートが一定である場合、研磨レートは、初期膜厚Tiniと最終膜厚Tfinとの差を、最終膜厚Tfinに到達した研磨時間tで割り算することにより算出することができる。動作制御部9は、算出された研磨レートに基づいて上記関係式を決定する。
研磨対象の基板Wまたは参照ウェーハがその表面(被研磨面)に凹凸段差を有する場合、研磨対象膜の状態によって研磨レートは変化する。研磨対象膜の下側の層が凹凸段差を有している場合、下側の層の構造に従って研磨対象膜も凹凸段差を有することがある。図6は、凹凸段差を有する基板の一実施形態を示す断面図である。図6に示す基板は、凹凸段差を有するシリコン(Si)層100の凸部上に窒化ケイ素(Si)から成るストッパ層101が形成されており、ストッパ層101の上に、凹凸段差を有する研磨対象膜102が形成されている。本実施形態の研磨対象膜102は、二酸化ケイ素(SiO)からなる絶縁膜である。図6に示す積層構造の例としては、シャロートレンチアイソレーション(STI)が挙げられる。
研磨レートは凹部と凸部で異なり、段差が小さくなると研磨レートの差異が小さくなると予測される。
上述のように、段差解消膜厚Tdに到達前は、凸部が優先的に研磨されるため、段差解消膜厚Tdに到達前の研磨対象膜102の研磨レートは、段差解消膜厚Tdに到達後の研磨レートよりも大きくなる。したがって、研磨対象膜が凹凸段差を有する参照ウェーハの膜厚(研磨対象膜の膜厚)と研磨時間との相関を示す関係式は、段差解消点の前後で異なる。
図7(a)および図7(b)は、研磨対象膜が凹凸段差を有する参照ウェーハの膜厚と研磨時間との関係を示すグラフである。図7(a)および図7(b)に示すように、研磨対象膜が凹凸段差を有する場合、参照ウェーハの膜厚(研磨対象膜の膜厚)と研磨時間との相関を示す関係式は、初期膜厚Tiniから段差解消膜厚Tdまでの間の参照ウェーハの膜厚(研磨対象膜の膜厚)と研磨時間との相関を示す第1関係式と、段差解消膜厚Tdから最終膜厚Tfinまでの間の参照ウェーハの膜厚(研磨対象膜の膜厚)と研磨時間との相関を示す第2関係式を含む。
各参照スペクトルに対応する膜厚は、第1関係式および第2関係式に基づいて算出される。本実施形態では、段差解消膜厚Tdから最終膜厚Tfinまでの間の研磨レートは、一定である。この場合、第2関係式は、研磨レートを含む一次関数を用いて表すことができる。研磨レートが一定の場合、第2関係式の研磨レートは、段差解消膜厚Tdと最終膜厚Tfinとの差を、段差解消膜厚Tdから最終膜厚Tfinに到達するまでの間の研磨時間t2で割り算することにより算出することができる。動作制御部9は、算出された研磨レートに基づいて第2関係式を決定する。段差解消膜厚Tdは、段差解消点に達した時点で膜厚測定器80によって測定される。
一実施形態では、段差解消膜厚Tdは、次のようにして決定される。参照ウェーハの膜厚が段差解消膜厚Tdに到達するまでの間は、一定時間毎に膜厚測定器80によって参照ウェーハの膜厚プロファイルが測定される。動作制御部9は、測定された膜厚プロファイルの凸部の膜厚(凸部の平均膜厚)と、予め定められた凸部しきい値を比較し、凸部の膜厚(凸部の平均膜厚)が凸部しきい値に到達したときの研磨対象膜の膜厚を段差解消膜厚Tdとして決定する。さらに一実施形態では、参照ウェーハの膜厚が段差解消膜厚Tdに到達するタイミングは、上記以外の方法としてトルク電流値(テーブルモータ6の駆動電流、研磨ヘッドモータ17の駆動電流、または後述する揺動モータ18の駆動電流)の変化によって検出してもよい。
図7(a)に示す例では、初期膜厚Tiniから段差解消膜厚Tdまでの間の研磨レートは一定である。したがって、図7(a)に示す第1関係式は、研磨レートを含む一次関数を用いて表すことができる。図7(a)に示す第1関係式の研磨レートは、初期膜厚Tiniと段差解消膜厚Tdとの差を、初期膜厚Tiniから段差解消膜厚Tdに到達するまでの間の研磨時間t1で割り算することにより算出することができる。動作制御部9は、算出された研磨レートに基づいて第1関係式を決定する。
図7(b)に示す例では、段差解消膜厚Tdに到達するまで研磨レートは徐々に減少する。図7(b)に示す例における第1関係式の決定方法の一例を以下に示す。段差解消膜厚Tdに到達するまでの間に、互いに異なる研磨時間において複数の膜厚が膜厚測定器80によって測定される。これら複数の膜厚の測定データを、膜厚を表す縦軸と、研磨時間を表す横軸をもつ座標系上にプロットする。これら複数のデータ点に回帰分析を行うことによって回帰式を決定する。この回帰式は、第1関係式である。図7(b)に示す例における第1関係式は、例えば二次関数を用いて表すことができる。
図7(a)および図7(b)に示す例では、段差解消膜厚Tdから最終膜厚Tfinまでの間の研磨レートは、一定であるが、段差解消膜厚Tdから最終膜厚Tfinまでの間の研磨レートは、一定ではない場合もある。したがって一実施形態では、参照ウェーハの膜厚が段差解消膜厚Tdから最終膜厚Tfinに到達するまでの間に、互いに異なる研磨時間において複数の膜厚が膜厚測定器80によって測定されてもよい。これら複数の膜厚の測定データを、膜厚を表す縦軸と、研磨時間を表す横軸をもつ座標系上にプロットし、これら複数のデータ点に回帰分析を行うことによって回帰式を決定し、この回帰式を第2関係式としてもよい。一実施形態では、第2関係式は、例えば二次関数を用いて表すことができる。
一実施形態では、膜厚センサ20は、渦電流センサであってもよい。渦電流センサは、そのセンサコイルが基板Wの導電性膜内に磁束を通過させて渦電流を発生させることにより、基板Wの膜厚に応じた渦電流を検出し、渦電流信号を出力する。渦電流信号は基板Wの膜厚に従って変化する膜厚信号である。渦電流信号は、動作制御部9に送られる。動作制御部9は、渦電流信号に基づいて基板Wの膜厚を決定する。膜厚センサ20は、研磨テーブル3が一回転するたびに、渦電流を検出し、図4を参照して説明した実施形態と同様に、基板Wを一回横切る間、複数の測定点MPにおける渦電流を検出し、それぞれの測定点MPにおける渦電流信号を出力する。動作制御部9は、複数の渦電流信号に基づいて、それぞれの測定点MPにおける膜厚を決定する。以下、本明細書では、ターゲット基板から検出された渦電流信号の測定値(渦電流信号の大きさ)を、測定渦電流値ということがある。
動作制御部9は、測定渦電流値と参照渦電流値との比較から膜厚を決定するように構成されている。動作制御部9は、基板Wの研磨中に測定された測定渦電流値と複数の参照渦電流値とを比較することで、測定渦電流値に最も近い参照渦電流値を特定し、この決定された参照渦電流値に関連付けられた膜厚を決定する。参照渦電流値は、ターゲット基板と同じ積層構造を有する参照ウェーハ(参照基板)から検出された渦電流信号の測定値であり、複数の参照渦電流値は、参照ウェーハ(参照基板)を研磨しながら予め取得される。
以下、本明細書では、測定スペクトルおよび測定渦電流値を総称して膜測定データということがあり、参照スペクトルおよび参照渦電流値を総称して参照膜データということがある。言い換えれば、膜測定データは、膜厚センサ20からの膜厚信号に基づいて取得されるターゲット基板の膜厚情報を含むデータであり、参照膜データは、膜厚センサ20からの膜厚信号に基づいて取得される参照基板の膜厚情報を含むデータである。参照渦電流値を取得する工程は、特に説明しない限り上述した参照スペクトルの取得工程と同様である。上述した参照スペクトルの取得工程は、参照スペクトルを参照渦電流値と読み替えることで、参照渦電流値の取得工程にも適用される。
各参照渦電流値にはその参照渦電流値が取得されたときの膜厚が関連付けられる。動作制御部9は、参照ウェーハの膜厚と参照ウェーハの研磨時間との相関を示す関係式に基づいて、各参照渦電流値に対応する膜厚を算出する。参照ウェーハの研磨対象膜が凹凸段差を有する場合、図6乃至図7を参照して説明した実施形態と同様に各参照渦電流値に対応する膜厚は、第1関係式および第2関係式に基づいて算出される。
初期膜厚のばらつきや、構造の違いにより複数のターゲット基板の段差解消膜厚Tdが異なる場合、各ターゲット基板の研磨前に、各ターゲット基板と同様の構造を有する各参照ウェーハを研磨しながら複数の参照膜データを取得する。動作制御部9は、各ターゲット基板の研磨中に取得された膜測定データと、各ターゲット基板に対応する各参照ウェーハの複数の参照膜データを比較することで各ターゲット基板の膜厚を決定する。
次に、研磨ヘッド10の詳細について説明する。図8は、図2に示す研磨ヘッド10の断面図である。図8に示すように、研磨ヘッド10は、基板Wを研磨パッド2の研磨面2aに対して押し付けるための弾性膜45と、弾性膜45を保持するヘッド本体13と、ヘッド本体13の下方に配置された環状のドライブリング42と、ドライブリング42の下面に固定された環状のリテーナリング40とを備えている。弾性膜45は、ヘッド本体13の下部に取り付けられている。ヘッド本体13は、ヘッドシャフト11の端部に固定されており、ヘッド本体13、弾性膜45、ドライブリング42、およびリテーナリング40は、ヘッドシャフト11の回転により一体に回転するように構成されている。リテーナリング40およびドライブリング42は、ヘッド本体13に対して相対的に上下動可能に構成されている。ヘッド本体13は、エンジニアリングプラスティック(例えば、PEEK)などの樹脂により形成されている。
弾性膜45の下面は、基板Wを研磨パッド2の研磨面2aに対して押し付ける基板押圧面45aを構成する。リテーナリング40は、基板押圧面45aを囲むように配置され、基板Wはリテーナリング40によって囲まれている。弾性膜45とヘッド本体13との間には、4つの圧力室46,47,48,49が設けられている。圧力室46,47,48,49は弾性膜45とヘッド本体13によって形成されている。中央の圧力室46は円形であり、他の圧力室47,48,49は環状である。これらの圧力室46,47,48,49は、同心状に配列されている。
圧力室46,47,48,49にはそれぞれ気体移送ラインF1,F2,F3,F4が接続されている。気体移送ラインF1,F2,F3,F4の一端は、研磨装置が設置されている工場に設けられたユーティリティとしての圧縮気体供給源(図示せず)に接続されている。圧縮空気等の圧縮気体は、気体移送ラインF1,F2,F3,F4を通じて圧力室46,47,48,49にそれぞれ供給されるようになっている。圧力室46~49に圧縮気体が供給されることで、弾性膜45が膨らみ、圧力室46~49内の圧縮気体は、弾性膜45を介して基板Wを研磨パッド2の研磨面2aに押し付ける。
圧力室48に連通する気体移送ラインF3は、図示しない真空ラインに接続されており、圧力室48内に真空を形成することが可能となっている。圧力室48を構成する、弾性膜45の部位には開口が形成されており、圧力室48に真空を形成することにより基板Wが研磨ヘッド10に吸着保持される。また、この圧力室48に圧縮気体を供給することにより、基板Wが研磨ヘッド10からリリースされる。弾性膜45は、エチレンプロピレンゴム(EPDM)等の強度および耐久性に優れたゴム材によって形成されている。
リテーナリング40は、研磨面2aに接触する環状の部材である。リテーナリング40は、基板Wの外周縁を囲むように配置されており、基板Wの研磨中に基板Wが研磨ヘッド10から飛び出してしまうことを防止する。
ドライブリング42の上部は、環状のリテーナリング押圧装置52に連結されている。リテーナリング押圧装置52は、ドライブリング42を介してリテーナリング40の上面の全体に下向きの荷重を与え、これによりリテーナリング40の下面を研磨面2aに押し付ける。
リテーナリング押圧装置52は、ドライブリング42の上部に固定された環状のピストン53と、ピストン53の上面に接続された環状のローリングダイヤフラム54とを備えている。ローリングダイヤフラム54の内部にはリテーナリング圧力室50が形成されている。このリテーナリング圧力室50は、気体移送ラインF5を介して上記圧縮気体供給源に連結されている。圧縮気体は、気体移送ラインF5を通じてリテーナリング圧力室50内に供給される。
上記圧縮気体供給源からリテーナリング圧力室50に圧縮気体を供給すると、ローリングダイヤフラム54がピストン53を下方に押し下げる。ピストン53はドライブリング42およびリテーナリング40を下方に押し下げる。このようにして、リテーナリング押圧装置52は、リテーナリング40の下面を研磨面2aに押し付ける。
気体移送ラインF1,F2,F3,F4,F5は、ヘッドシャフト11に取り付けられたロータリージョイント15を経由して延びている。研磨モジュール1は、圧力レギュレータR1,R2,R3,R4,R5をさらに備えており、圧力レギュレータR1,R2,R3,R4,R5は、気体移送ラインF1,F2,F3,F4,F5にそれぞれ設けられている。圧縮気体供給源からの圧縮気体は、圧力レギュレータR1~R5を通って圧力室46~49、およびリテーナリング圧力室50内にそれぞれ独立に供給される。圧力レギュレータR1~R5は、圧力室46~49、およびリテーナリング圧力室50内の圧縮気体の圧力を調節するように構成されている。圧力レギュレータR1~R5は、動作制御部9に接続されている。
圧力レギュレータR1~R5は、圧力室46~49、およびリテーナリング圧力室50の内部圧力を互いに独立して変化させることが可能であり、これにより、圧力室46~49に対応する基板Wの4つの領域、すなわち、中央部、内側中間部、外側中間部、およびエッジ部における基板Wの研磨面2aに対する押し付け力、およびリテーナリング40の研磨パッド2への押し付け力を独立に調整することができる。気体移送ラインF1,F2,F3,F4,F5は大気開放弁(図示せず)にもそれぞれ接続されており、圧力室46~49、およびリテーナリング圧力室50を大気開放することも可能である。一実施形態では、弾性膜45は4つよりも少ない、または4つよりも多い圧力室を形成してもよい。
図9は、研磨モジュール1の他の実施形態を示す模式図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、図2に示す実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。図9に示すように、本実施形態では、トルク測定装置8は、研磨ヘッドモータ17に接続されている。本実施形態のトルク測定装置8は、研磨ヘッド10を回転させるためのトルクを測定するように構成されている。基板Wの研磨中、研磨ヘッド10は、一定の速度で回転するようにヘッドシャフト11を介して研磨ヘッドモータ17によって駆動される。したがって、研磨ヘッド10を一定の速度で回転させるために必要なトルクが変化すると、研磨ヘッドモータ17の駆動電流が変化する。本実施形態では、トルク測定装置8は、揺動アーム16内に配置されているが、一実施形態では、トルク測定装置8は、揺動アーム16の外側に配置されてもよい。
研磨ヘッド10を回転させるためのトルクは、研磨ヘッド10をヘッドシャフト11の軸心周りに回転させる力のモーメントである。研磨ヘッド10を回転させるためのトルクは、研磨ヘッドモータ17の駆動電流に相当する。したがって、本実施形態では、トルク測定装置8は、研磨ヘッドモータ17の駆動電流を測定する電流測定器である。一実施形態では、トルク測定装置8は、研磨ヘッドモータ17を駆動するモータドライバの少なくとも一部から構成されてもよい。この場合、モータドライバは、研磨ヘッドモータ17を一定の速度で回転させるために必要な電流値を決定し、この決定された電流値を出力する。決定された電流値は、研磨ヘッド10を回転させるためのトルクに相当する。研磨ヘッド10を回転させるためのトルク(研磨ヘッドモータ17の駆動電流)の測定値は、動作制御部9に送られる。
図10は、研磨モジュール1のさらに他の実施形態を示す模式図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、図2に示す実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。図10に示すように、本実施形態では、トルク測定装置8は、揺動モータ18に接続されている。本実施形態のトルク測定装置8は、研磨ヘッド10を研磨面2aに沿って揺動させるためのトルク、すなわち研磨ヘッド10を支軸14を中心に回転させるためのトルクを測定するように構成されている。所定の角度範囲で研磨ヘッド10を揺動させながら基板Wを研磨する場合、基板Wの研磨中、揺動モータ18は、研磨ヘッド10を、研磨面2a上で一定の速度で揺動(支軸14を中心とした往復回転運動)させる。したがって、研磨ヘッド10を一定の速度で揺動(支軸14を中心に往復回転)させるために必要なトルクが変化すると、揺動モータ18の駆動電流が変化する。本実施形態では、トルク測定装置8は、支軸14内に配置されているが、一実施形態では、トルク測定装置8は、支軸14の外側に配置されてもよい。
研磨ヘッド10を研磨面2aに沿って揺動させるためのトルクは、研磨ヘッド10を支軸14の軸心周りに往復回転させる力のモーメントである。研磨ヘッド10を揺動させるためのトルクは、揺動モータ18の駆動電流に相当する。したがって、本実施形態では、トルク測定装置8は、揺動モータ18の駆動電流を測定する電流測定器である。揺動モータ18を一定の速度で往復回転させるための電流は交流電流である。したがって、一実施形態では、トルク測定装置8は、交流電流としての揺動モータ18の駆動電流の実効値を算出し、算出された実効値を揺動モータ18の駆動電流の測定値として出力してもよい。
一実施形態では、トルク測定装置8は、揺動モータ18を駆動するモータドライバの少なくとも一部から構成されてもよい。この場合、モータドライバは、揺動モータ18を一定の速度で往復回転させるために必要な電流値を決定し、この決定された電流値を出力する。決定された電流値は、研磨ヘッド10を揺動させるためのトルクに相当する。一実施形態では、揺動モータ18を駆動するモータドライバは、揺動モータ18を一定の速度で往復回転させるために必要な電流の実効値を決定し、この実効値を、揺動モータ18を一定の速度で往復回転させるために必要な電流値として出力してもよい。研磨ヘッド10を研磨面2aに沿って揺動させるためのトルク(揺動モータ18の駆動電流)の測定値は、動作制御部9に送られる。
次に、表面(被研磨面)に凹凸段差を有する基板の研磨方法について説明する。以下に説明する研磨方法では、トルク波形(テーブルモータ6の駆動電流波形、研磨ヘッドモータ17の駆動電流波形、または揺動モータ18の駆動電流波形)に基づいて段差解消点を推定しながら基板Wを研磨するが、この研磨方法を実行するためには、多くのトルク波形のデータを蓄積する必要がある。一実施形態では、現在のトルク波形に基づいて基板Wの膜厚を推定するために十分なトルク波形のデータが蓄積されるまでは、基板Wは、膜厚測定器80によって基板Wの膜厚を測定しながら研磨される。
図11および図12は、参照基板の研磨方法の一実施形態を示すフローチャートであり、図13乃至図18は、表面(被研磨面)に凹凸段差を有する基板の研磨方法の一実施形態を示すフローチャートである。図13乃至図18に示すフローチャートは、十分なトルク波形のデータが蓄積されていない状態における基板Wの研磨方法を示している。研磨対象の基板Wの例として、図6に示す基板が挙げられるが、研磨対象の基板は、図6に示す基板に限らない。本実施形態では、基板Wの研磨工程の前に、参照膜データや、第1および第2関係式を取得するため、ターゲット基板としての基板Wと同じ積層構造を有する参照基板が研磨される。研磨装置は、複数の参照膜データを取得しながら参照基板を研磨する。
本実施形態では、研磨装置は、研磨テーブル3を回転させるためのトルク(テーブルモータ6の駆動電流)または、研磨ヘッド10をその軸心を中心に回転させるためのトルク(研磨ヘッドモータ17の駆動電流)、または研磨ヘッド10を研磨面2aに沿って揺動させるためのトルク(揺動モータ18の駆動電流)を測定しながら参照基板およびターゲット基板としての基板Wを研磨する。研磨工程中、動作制御部9は、上記トルクの測定値からトルク波形を生成する。このトルク波形は、基板と研磨パッド2の研磨面2aとの摩擦に抗して基板を研磨面2aに対して相対的に移動させるために必要なモータの駆動電流の経時的な波形である。例えば、このトルク波形は、研磨テーブル3(または研磨ヘッドモータ17、または揺動モータ18)を回転させるためのトルクと研磨時間との関係を示す線グラフとして表される。以下、本明細書では、研磨テーブル3を回転させるためのトルクのトルク波形と、研磨ヘッド10をその軸心を中心に回転させるためのトルクのトルク波形と、研磨ヘッド10を研磨面2aに沿って揺動させるためのトルクのトルク波形を総称して単にトルク波形ということがある。
以下、図11および図12を参照して、参照基板の研磨方法の一実施形態について説明する。ステップ1-1~1-8(図11参照)では、参照基板の段差解消前の研磨工程が実行される。ステップ1-1では、膜厚測定器80によって、参照基板の初期膜厚(研磨前の膜厚)が測定される。膜厚測定器80は、研磨前の参照基板上の複数の測定点における複数の膜厚(膜厚プロファイル)を測定する。ステップ1-2では、研磨装置は、参照基板の研磨を開始する。すなわち、テーブルモータ6は、研磨テーブル3を研磨パッド2と一体に一定の回転速度で回転させ、研磨ヘッド10は参照基板を一定の回転速度で回転させる。研磨ヘッド10は、さらに参照基板を研磨パッド2の研磨面2aに押し付けて、参照基板の研磨を開始する。一実施形態では、揺動モータ18によって所定の角度範囲で研磨ヘッド10を研磨面2aに沿って揺動させながら参照基板を研磨してもよい。
ステップ1-3では、参照基板を研磨しながら参照基板上の複数の測定点における複数の参照膜データ(参照スペクトルまたは参照渦電流値)を取得する。動作制御部9は、膜厚センサ20が参照基板を横切るたびに(すなわち、研磨テーブル3が一回転するたびに)、複数の測定点からの複数の参照膜データを周期的に取得する。複数の参照膜データは、動作制御部9の記憶装置9aに格納される。
ステップ1-4では、参照基板の膜厚プロファイルを測定するタイミングか否かを判定する。具体的には、動作制御部9は、現在の研磨時間(後述するステップ1-5を実行した後は現在の研磨時間と、最後に参照基板の膜厚プロファイルを測定したときの研磨時間との差)を予め定められた膜厚測定時間と比較し、現在の研磨時間が膜厚測定時間に達しているときは、参照基板の研磨を一時停止する。その後、参照基板を膜厚測定器80に搬送し、膜厚測定器80によって参照基板の膜厚プロファイルを測定する(ステップ1-5)。膜厚プロファイルの測定データは、動作制御部9に送信される。現在の研磨時間が膜厚測定時間に達していないときは、再びステップ1-3を実行する。
ステップ1-6では、動作制御部9は、測定された膜厚プロファイルに対応する参照基板の膜厚が段差解消膜厚に達しているか否かを判定する。具体的には、動作制御部9は、測定された参照基板の凸部の膜厚(凸部の平均膜厚)と、予め定められた凸部しきい値を比較し、凸部の膜厚(凸部の平均膜厚)が凸部しきい値に到達している場合、参照基板の膜厚が段差解消膜厚に達していると判断する。動作制御部9が基板Wの膜厚が段差解消膜厚に達していると判断した場合は、段差解消前の研磨を終了し、後述するステップ1-7を実行する。動作制御部9が基板Wの膜厚が段差解消膜厚に達していないと判断した場合、再びステップ1-3以降が実行される。参照基板の膜厚が段差解消膜厚に達するまで互いに異なる研磨時間において、参照基板の膜厚プロファイルが複数回測定される。
一実施形態では、動作制御部9は、測定された膜厚プロファイルの凹部の膜厚(凹部の平均膜厚)と、予め定められた凹部しきい値を比較し、凹部の膜厚(凹部の平均膜厚)が凹部しきい値に到達している場合、参照基板の膜厚が段差解消膜厚に達していると判断してもよい。さらに一実施形態では、動作制御部9は、測定された膜厚プロファイルの凸部の膜厚(凸部の平均膜厚)と、測定された膜厚プロファイルの凹部の膜厚(凹部の平均膜厚)との差を算出し、算出された差と予め定められた凹凸差しきい値を比較し、上記差が凹凸差しきい値に到達している場合、参照基板の膜厚が段差解消膜厚に達していると判断してもよい。
さらに一実施形態では、動作制御部9は、ステップ1-5で測定された参照基板上の複数の測定点における複数の膜厚のばらつきを算出し、上記ばらつきと予め定められたばらつきしきい値を比較し、上記ばらつきがばらつきしきい値以上(または以下)である場合、参照基板の膜厚が段差解消膜厚に達していると判断してもよい。上記ばらつきの例として、複数の測定点における複数の膜厚の標準偏差が挙げられる。
上述のように参照基板の研磨中、トルク波形が生成される。一実施形態では、動作制御部9は、トルク波形(研磨テーブル3を回転させるためのトルクのトルク波形、研磨ヘッド10をその軸心を中心に回転させるためのトルクのトルク波形、または研磨ヘッド10を研磨面2aに沿って揺動させるためのトルクのトルク波形)の変化に基づいて参照基板の膜厚が段差解消膜厚に達しているか否かを判定してもよい。この場合、ステップ1-4および1-5を実行しなくてもよく、動作制御部9が、ステップ1-4で参照基板の膜厚プロファイルを測定するタイミングではないと判断した場合、ステップ1-6(すなわち、トルク波形の変化に基づく参照基板の膜厚が段差解消膜厚に達しているか否かの判定)を実行してもよい。
具体的には、動作制御部9は、トルク波形の微分値を算出し、上記微分値と、予め定められた微分しきい値を比較し、上記微分値が微分しきい値以下である場合、参照基板の膜厚が段差解消膜厚に達していると判断する。トルク波形の微分値は、トルクの研磨時間に対する変化率(すなわち、トルクの変化の割合)を算出することによって求められる。
図19は、表面に凹凸段差を有する基板を研磨したときのトルク波形の一例を示す図である。具体的には、図19は、図6に示す基板を研磨したときのテーブルモータ6の駆動電流の波形を示している。図19に示すように、テーブルモータ6の駆動電流は、研磨開始から一定時間経過後、上昇を始める。これは、凹凸段差の凸部の研磨が進むと、凹部と研磨パッド2との接触面積が増加するためである。テーブルモータ6の駆動電流が上昇し始める時点を上昇開始点Aと定義する。
さらに凸部が研磨されると、トルク波形の傾き(微分値)は、徐々に減少し始める。凸部が完全に研磨された後(トルク波形が段差解消点Bに達した後)は、テーブルモータ6の駆動電流は、上昇しなくなる。したがって、トルク波形の微分値に基づいて段差解消点を検出することができる。研磨対象膜の下側の層(図6に示す例ではストッパ層101)が露出し始めるとテーブルモータ6の駆動電流は低下し始める。研磨対象膜の下側の層が露出し始める時点を露出開始点Cと定義する。
トルク波形は、研磨対象の基板の構造の違いや、製造ばらつきによって異なる形状を有する。図20および図21は、表面に凹凸段差を有する基板を研磨したときのトルク波形の他の例を示す図である。具体的には、図20は、凹凸段差の凸部の占める割合が図6の基板よりも大きい基板を研磨したときのテーブルモータ6の駆動電流の波形を示し、図21は、凹凸段差の深さが、図6の基板よりも深い基板を研磨したときのテーブルモータ6の駆動電流の波形を示している。
例えばトルク波形が図20に示すような形状を有する場合等、上記微分値の変化のみから段差解消点を検出することが難しいことがある。したがって、さらに一実施形態では、動作制御部9は、膜厚測定器80によって測定された膜厚プロファイルと上記微分値との組み合わせに基づいて参照基板の膜厚が段差解消膜厚に達しているか否かを判定してもよい。以下に膜厚プロファイルと微分値との組み合わせに基づく段差解消膜厚に到達しているか否かの判定基準の例を示す。なお、以下に示す膜厚プロファイルに基づいて参照基板の膜厚が段差解消膜厚に達していると判断する例として、上述した凸部の膜厚が凸部しきい値に到達している場合、凹部の膜厚が凹部しきい値に到達している場合、凸部と凹部との差が凹凸差しきい値に到達している場合、複数の測定点における複数の膜厚のばらつきがばらつきしきい値以上(または以下)である場合等が挙げられる。
・トルク波形の微分値が微分しきい値以下であり、かつトルク波形の微分値が微分しきい値以下となった時点の直近に測定した膜厚プロファイルに基づいて参照基板の膜厚が段差解消膜厚に達していると判断した場合
・トルク波形の微分値が微分しきい値以下であり、かつトルク波形の微分値が微分しきい値以下となった時点の直後に測定した膜厚プロファイルに基づいて参照基板の膜厚が段差解消膜厚に達していると判断した場合
・トルク波形の微分値が微分しきい値以下であり、かつトルク波形の微分値が微分しきい値以下となった時点の直近に測定した膜厚プロファイルに基づいて参照基板の膜厚が段差解消膜厚に達していると判断し、かつトルク波形の微分値が微分しきい値以下となった時点の直後に測定した膜厚プロファイルに基づいて参照基板の膜厚が段差解消膜厚に達していると判断した場合
さらに一実施形態では、膜厚測定器80の測定結果から段差解消点の補正値を算出してもよい。例えば、トルク波形の微分値が微分しきい値以下となっているのに、その直後の膜厚プロファイルからは参照基板の膜厚が段差解消膜厚に達していると判断できなかった場合等において、参照基板の膜厚が段差解消膜厚に達していると判断したときの膜厚プロファイルの測定時点の研磨時間と、トルク波形のしきい値が微分しきい値以下となったときの研磨時間との差を算出し、次回以降の参照基板の研磨の際に、トルク波形のしきい値が微分しきい値以下となった研磨時間に上記差を加えた時点を段差解消点として決定してもよい。
さらに一実施形態では、動作制御部9は、参照基板の研磨工程中、参照膜データ(参照スペクトルまたは参照渦電流値)から参照膜波形を生成する。この参照膜波形は、参照膜データに含まれる参照基板の膜厚を間接的に表す物理量と研磨時間との関係を示す線グラフとして表される。動作制御部9は、参照基板の膜厚を間接的に表す物理量を、上記物理量を表す縦軸と、研磨時間を表す横軸をもつ座標系上にプロットすることによって参照膜波形を生成する。
例えば、参照スペクトルは、研磨が進むにつれてそのピークおよびボトムの数が減少するが、段差解消点に近付くにつれてその減少速度が緩やかになる。一実施形態では、上記参照基板の膜厚を間接的に表す物理量とは、参照スペクトルのピークおよびボトムの数である。さらに一実施形態では、上記物理量は、参照渦電流値そのものである。
一実施形態では、参照膜波形の変化に基づいて参照基板の膜厚が段差解消膜厚に達しているか否かを判定してもよい。この場合、ステップ1-4および1-5を実行しなくてもよく、動作制御部9が、ステップ1-4で参照基板の膜厚プロファイルを測定するタイミングではないと判断した場合、ステップ1-6(すなわち、参照膜波形の変化に基づく参照基板の膜厚が段差解消膜厚に達しているか否かの判定)を実行してもよい。
具体的には、動作制御部9は、参照膜波形の微分値を算出し、参照膜波形の微分値と、予め定められた参照膜しきい値を比較し、参照膜波形の微分値が参照膜しきい値以下(または以上)である場合、参照基板の膜厚が段差解消膜厚に達していると判断する。参照膜波形の微分値は、参照膜データに含まれる参照基板の膜厚を間接的に表す物理量の研磨時間に対する変化率(すなわち、上記物理量の変化の割合)を算出することによって求められる。
さらに一実施形態では、膜厚測定器80によって測定された膜厚プロファイルと参照膜波形の微分値との組み合わせに基づいて参照基板の膜厚が段差解消膜厚に達しているか否かを判定してもよい。特に説明しない膜厚プロファイルと参照膜波形の微分値との組み合わせに基づく判定方法の詳細は、上述した膜厚プロファイルとトルク波形の微分値との組み合わせに基づく参照基板の膜厚が段差解消膜厚に達しているか否かの判定方法と同じである。上述した膜厚プロファイルとトルク波形の微分値との組み合わせに基づく判定方法のトルク波形の微分値を参照膜波形の微分値と置き換え、微分しきい値を参照膜しきい値と置き換えることで、膜厚プロファイルとトルク波形の微分値との組み合わせに基づく判定方法は、膜厚プロファイルと参照膜波形の微分値との組み合わせに基づく判定方法にも適用することができる。
さらに一実施形態では、上述したトルク波形および/または参照膜波形に基づく段差解消膜厚の判定工程に機械学習を適用してもよい。すなわち、トルク測定装置9は、機械学習を行うことで構築された学習済みモデルを用いて、段差解消膜厚の判定を行ってもよい。
機械学習は、人工知能(AI:Artificial Intelligence)のアルゴリズムである学習アルゴリズムによって実行され、機械学習によって、段差解消膜厚を予測する学習済モデルが構築される。学習済モデルを構築する学習アルゴリズムは特に限定されない。例えば、学習アルゴリズムとして、「教師あり学習」、「教師なし学習」、「強化学習」、「ニューラルネットワーク」などの公知の学習アルゴリズムを採用できる。ニューラルネットワークの例として、ディープラーニングが挙げられる。ディープラーニングは、隠れ層(中間層ともいう)が多層化されたニューラルネットワークをベースとする機械学習法である。
ステップ1-7では、動作制御部9は、段差解消点までの参照基板の膜厚と参照基板の研磨時間との相関を示す第1関係式を生成する。動作制御部9は、ステップ1-1で測定された複数の初期膜厚の平均値と、段差解消膜厚に達していると判断した時点の複数の測定点における複数の膜厚(複数の段差解消膜厚)の平均値を算出し、初期膜厚の平均値と段差解消膜厚の平均値との差を算出する。動作制御部9は、さらに上記差を初期膜厚から段差解消膜厚までの研磨時間で割ることによって、段差解消点までの研磨レートを算出する。動作制御部9は、この研磨レートに基づいて第1関係式を生成する。この場合、段差解消点までの研磨レートは一定であるとして第1関係式が生成される。言い換えれば、研磨時間に研磨レートとしての係数を掛けることにより、参照基板の膜厚を求めることができる。
一実施形態では、動作制御部9は、互いに異なる研磨時間において測定された膜厚プロファイルに基づいて第1関係式を生成してもよい。具体的には、動作制御部9は、各研磨時間において測定された膜厚プロファイルから、各研磨時間における参照基板の膜厚の指標値を算出する。指標値は、例えば、各研磨時間における参照基板の複数の膜厚の平均値を算出するによって算出される。動作制御部9は、各膜厚の指標値を、膜厚を表す縦軸と、研磨時間を表す横軸をもつ座標系上にプロットする。動作制御部9は、プロットされた複数の指標値に回帰分析を行うことによって回帰式を決定する。回帰式は、例えば二次関数を用いて表すことができる。動作制御部9は、この回帰式に基づいて第1関係式を生成する。第1関係式は動作制御部9の記憶装置9aに格納される。
ステップ1-8では、動作制御部9は、第1関係式に基づいて複数の参照膜データに膜厚を割り当てる。すなわち、動作制御部9は、第1関係式に基づいて複数の参照膜データに対応する膜厚を算出する。具体的には、動作制御部9は、第1関係式に、各参照膜データが取得された研磨時間を当てはめることによって、各参照膜データに対応する膜厚を算出する。
ステップ2-1~2-5(図12参照)では、参照基板の段差解消後の研磨工程が実施される。ステップ2-1では、研磨装置は、上述した方法により、段差解消後の参照基板の研磨を開始する。ステップ2-2では、ステップ1-3と同様の方法により、参照基板を研磨しながら参照基板上の複数の測定点における複数の参照膜データを取得する。複数の参照膜データは、動作制御部9の記憶装置9aに格納される。
ステップ2-3では、動作制御部9は、現在の研磨時間(ステップ2-1から現在までの研磨時間)を予め定められた終了研磨時間と比較する。動作制御部9は、現在の研磨時間が終了研磨時間に達していると判断した場合は参照基板の研磨を終了し、後述するステップ2-4を実行する。動作制御部9が、現在の研磨時間が最終研磨時間に達していないと判断した場合は、再びステップ2-2以降を実行する。
終了研磨時間は、最終膜厚に達する研磨時間であり、段差解消膜厚と、最終膜厚と、段差解消後の研磨レートに基づいて決定される。一実施形態では、段差解消後の参照基板の研磨レートは一定とみなしてよい。この場合、段差解消後の参照基板の研磨レートは、被研磨面に凹凸段差を有さない参照基板の研磨レートと同様であるため、実験により求めることができ、段差解消後の参照基板の研磨レートは記憶装置9aに予め格納される。
ステップ2-4では、動作制御部9は、段差解消点後の参照基板の膜厚と参照基板の研磨時間との相関を示す第2関係式を生成する。動作制御部9は、予め取得された段差解消後の研磨レートと、段差解消膜厚と、最終膜厚に基づいて、第2関係式を生成する。第2関係式は動作制御部9の記憶装置9aに格納される。
ステップ2-5では、動作制御部9は、第2関係式に基づいて複数の参照膜データに膜厚を割り当てる。すなわち、動作制御部9は、第2関係式に基づいて複数の参照膜データに対応する膜厚を算出する。具体的には、動作制御部9は、第2関係式に、各参照膜データが取得された研磨時間を当てはめることによって、各参照膜データに対応する膜厚を算出する。
段差解消膜厚から最終膜厚までの間の研磨レートは、一定ではない場合もある。したがって、ステップ2-1からステップ2-4までの間の所定時間ごとに参照基板の研磨を一時停止し、膜厚測定器80によって参照基板の膜厚プロファイルを測定してもよい。これにより互いに異なる研磨時間において複数の膜厚プロファイルが測定される。一実施形態では、動作制御部9は、互いに異なる研磨時間において測定された膜厚プロファイルに基づいて第2関係式を生成してもよい。具体的には、動作制御部9は、各研磨時間において測定された膜厚プロファイルから、各研磨時間における参照基板の膜厚の指標値を算出する。指標値は、例えば、各研磨時間における参照基板の複数の膜厚の平均値を算出するによって算出される。動作制御部9は、各膜厚の指標値を、膜厚を表す縦軸と、研磨時間を表す横軸をもつ座標系上にプロットする。動作制御部9は、プロットされた複数の指標値に回帰分析を行うことによって回帰式を決定する。回帰式は、例えば二次関数を用いて表すことができる。動作制御部9は、この回帰式に基づいて第2関係式を生成してもよい。
一実施形態では、膜厚測定器80によって測定された膜厚プロファイルに基づいて参照基板の最終膜厚を決定してもよい。具体的には、動作制御部9は、膜厚測定器80によって測定された参照基板の膜厚(例えば、参照基板上の複数の測定点における複数の膜厚の平均値)と、予め定められた目標膜厚を比較し、参照基板の膜厚が目標膜厚に到達している場合、参照基板の膜厚が最終膜厚に到達したと判断してもよい。
参照基板の研磨工程後、ターゲット基板としての基板Wの研磨工程が実行される。以下、図13乃至図18を参照して、十分なトルク波形のデータが蓄積されていない状態における基板Wの研磨方法の一実施形態について説明する。ステップ3-1~3-19(図13乃至図15参照)では、一定時間毎に研磨が停止され、膜厚測定器80によって参照基板の膜厚が測定される。ステップ3-1~3-19では段差研磨工程が実施される。段差研磨工程は、基板Wの膜厚が段差解消膜厚に到達する前の基板Wの研磨工程であり、第1関係式に基づいて算出された参照膜データの膜厚に基づいて基板W上の複数の測定点における複数の膜厚を決定する工程を含む。本実施形態では、研磨工程中、上述したトルクの測定値からトルク波形が生成され、トルク波形および/または後述するターゲット膜波形のデータが記憶装置9aに蓄積される。
ステップ3-1では、膜厚測定器80によって、基板Wの初期膜厚(研磨前の膜厚)が測定される。膜厚測定器80は、研磨前の基板W上の複数の測定点における複数の膜厚(膜厚プロファイル)を測定する。ステップ3-2では、研磨装置は、上述した方法により、基板Wの研磨を開始する。すなわち、テーブルモータ6は、研磨テーブル3を研磨パッド2と一体に一定の回転速度で回転させ、研磨ヘッド10は基板Wを一定の回転速度で回転させる。研磨ヘッド10は、さらに基板Wを研磨パッド2の研磨面2aに押し付けて、基板Wの研磨を開始する。一実施形態では、揺動モータ18によって所定の角度範囲で研磨ヘッド10を研磨面2aに沿って揺動させながら基板Wを研磨してもよい。
ステップ3-3では、基板Wを研磨しながら基板W上の複数の測定点における複数の膜測定データ(測定スペクトルまたは測定渦電流値)を取得し、複数の膜測定データと複数の参照膜データとの比較を行い、複数の参照膜データ(参照スペクトルまたは参照渦電流値)から各膜測定データに対応する参照膜データ(すなわち、測定スペクトルに最も形状の近い参照スペクトル(測定スペクトルとの誤差が最も少ない参照スペクトル)、または測定渦電流値に最も近い参照渦電流値(測定渦電流値との誤差が最も少ない参照渦電流値))を決定(選択)する。
ステップ3-4では、動作制御部9は、各測定点の膜厚を決定する。すなわち、動作制御部9は、ステップ3-3で決定された参照膜データの膜厚であって、第1関係式に基づいて算出された参照膜データの膜厚(参照膜データに対応する膜厚)を各測定点の膜厚にあてはめる。すなわち、動作制御部9は、ステップ3-3で決定された参照膜データの膜厚であって、第1関係式に基づいて算出された参照膜データの膜厚を、参照膜データに対応する膜測定データが取得された測定点の膜厚として決定する。
ステップ3-5,3-6では、動作制御部9は、基板W上の複数の測定点における膜厚に基づいて、複数の圧力レギュレータR1~R4に指令を発して基板Wの研磨プロファイルを調整させる。具体的な工程は、以下の通りである。
ステップ3-5では、動作制御部9は、上述した基板Wの複数の領域(本実施形態では、4つの領域、すなわち、中央部、内側中間部、外側中間部、およびエッジ部)のそれぞれの平均膜厚と、基板Wの全体の平均膜厚を算出する。各領域ごとの平均膜厚は、各領域における複数の測定点における膜厚の平均値であり、基板Wの全体の平均膜厚は、基板W上の全ての測定点における膜厚の平均値である。
ステップ3-6では、動作制御部9は、圧力レギュレータR1~R4に指令を発して、基板Wの全体の平均膜厚と、上述の複数の領域のそれぞれの平均膜厚との差を低減させるように、基板Wの対応する各領域における基板Wの研磨面2aに対する押し付け力を独立に調整させる。一例として、動作制御部9は、各領域の平均膜厚を基板W全体の平均膜厚と比較し、ある領域の膜厚が基板W全体の平均膜厚よりも大きいときは、動作制御部9は、その領域に対応する圧力レギュレータ(例えば、中央部の場合は圧力レギュレータR1)に指令を発し、対応する圧力室(例えば圧力室46)の内部圧力を増加させる。
ステップ3-7では、トルク波形および/またはターゲット膜波形の特徴点を検出する。上記特徴点とは、例えば波形の傾きがしきい値を越えて変化する点であり、図19乃至図21のB点である。動作制御部9は、基板Wの研磨工程中、膜測定データ(測定スペクトルまたは測定渦電流値)からターゲット膜波形を生成する。このターゲット膜波形は、膜測定データに含まれる基板Wの膜厚を間接的に表す物理量と研磨時間との関係を示す線グラフとして表される。動作制御部9は、基板Wの膜厚を間接的に表す物理量を、上記物理量を表す縦軸と、研磨時間を表す横軸をもつ座標系上にプロットすることによってターゲット膜波形を生成する。例えば、測定スペクトルは、研磨が進むにつれてそのピークおよびボトムの数が減少するが、段差解消点に近付くにつれてその減少速度が緩やかになる。一実施形態では、基板Wの膜厚を間接的に表す物理量とは、測定スペクトルのピークおよびボトムの数である。さらに一実施形態では、上記物理量は、参照渦電流値そのものである。
ステップ3-8では、基板Wの研磨を一時停止し、膜厚測定器80によって基板Wの膜厚プロファイルを測定する。基板Wの膜厚が段差解消膜厚に達するまで互いに異なる研磨時間において、基板Wの膜厚プロファイルが複数回測定される。
ステップ3-9では、基板Wの膜厚プロファイルとトルク波形および/またはターゲット膜波形との相関関係を確認し、かつ、基板Wの膜厚が段差解消膜厚に達しているか否かを判定する。動作制御部9が基板Wの膜厚が段差解消膜厚に達していると判断した場合、段差研磨工程を終了する(ステップ3-10)。
動作制御部9が基板Wの膜厚が段差解消膜厚に達していないと判断した場合、動作制御部9は、基板Wの膜厚プロファイル(残膜プロファイル)が予め定められた基準(スペック)を満たすかを判定する(ステップ3-11)。
ステップ3-12では、残膜プロファイルがスペックを満たすと判断した場合、現状の研磨条件で基板Wの研磨を続行する。ステップ3-12では、ステップ3-3~3-7と同様の工程を実行する。
ステップ3-13では、基板Wの研磨を一時停止し、膜厚測定器80によって基板Wの膜厚プロファイルを測定する。ステップ3-14では、ステップ3-9と同様の方法により、基板Wの膜厚が段差解消膜厚に達しているか否かを判定する。動作制御部9が基板Wの膜厚が段差解消膜厚に達していると判断した場合、膜厚プロファイルとトルク波形および/またはターゲット膜波形との相関関係を動作制御部9の記憶装置9aに蓄積し、段差研磨工程を終了する(ステップ3-15)。
ステップ3-11で、動作制御部9が残膜プロファイルがスペックを満たさないと判断した場合、残膜プロファイルを改善するように(上記基準を満たすように)研磨条件を変更して、基板Wを研磨する(ステップ3-16)。上記研磨条件の例として、各圧力室の内部圧力が挙げられる。例えば、動作制御部9は、上記波形のプロファイルを改善させるため、圧力レギュレータR1~R4の少なくとも1つに指令を発して対応する圧力室の内部圧力を増加(または減少)させる。
ステップ3-17では、基板Wの研磨を一時停止し、膜厚測定器80によって基板Wの膜厚プロファイルを測定する。ステップ3-18では、ステップ3-9と同様の方法により、基板Wの膜厚が段差解消膜厚に達しているか否かを判定する。動作制御部9が基板Wの膜厚が段差解消膜厚に達していると判断した場合、膜厚プロファイルとトルク波形および/またはターゲット膜波形との相関関係を動作制御部9の記憶装置9aに蓄積し、段差研磨工程を終了する(ステップ3-19)。ステップ3-18で、動作制御部9が基板Wの膜厚が段差解消膜厚に達していないと判断した場合、ステップ3-11に戻る。一実施形態では、一度研磨条件を変更した後は、残膜プロファイルがスペックを満たすかを判定する工程(ステップ3-11)を省略してもよい。すなわち、ステップ3-18で、動作制御部9が基板Wの膜厚が段差解消膜厚に達していないと判断した場合、ステップ3-12に戻ってもよい。
段差研磨工程終了後、ステップ4-1~4-17の平坦研磨工程が実行される(図16乃至図18参照)。平坦研磨工程は、第2関係式に基づいて算出された参照膜データの膜厚に基づいて基板W上の複数の測定点における複数の膜厚を決定する工程を含む。特に説明しないステップ4-1~4-17の工程は、ステップ3-3~3-19の工程と同じである。
ステップ4-2では、動作制御部9は、ステップ4-1で決定された参照膜データの膜厚であって、第2関係式に基づいて算出された参照膜データの膜厚(参照膜データに対応する膜厚)を各測定点の膜厚にあてはめる。すなわち、動作制御部9は、ステップ4-1で決定された参照膜データの膜厚であって、第2関係式に基づいて算出された参照膜データの膜厚を、参照膜データに対応する膜測定データが取得された測定点の膜厚として決定する。ステップ4-2のより具体的な工程は、第2関係式に基づいて参照膜データに対応する膜厚が決定される以外は、ステップ3-4と同じである。
ステップ4-7では、動作制御部9は、基板Wの膜厚を予め定められた最終膜厚(目標膜厚)と比較する。基板Wの膜厚が最終膜厚に達した場合、上記膜厚が最終膜厚に達した時点を研磨終点として決定し、基板Wの研磨を終了する(ステップ4-8)。具体的には、動作制御部9は、基板W全体の平均膜厚を予め定められた最終膜厚と比較する。基板W全体の平均膜厚が最終膜厚に達した場合、基板Wの研磨を終了する。
平坦研磨工程中の基板Wの研磨レートが一定と見なせる場合、ステップ4-7では、動作制御部9は、現在の研磨時間(ステップ4-1から現在までの研磨時間)を予め定められた終了研磨時間と比較し、現在の研磨時間が終了研磨時間に達していると判断した場合は基板Wの研磨を終了してもよい。終了研磨時間は、最終膜厚に達する研磨時間であり、段差解消膜厚と、最終膜厚と、段差解消後の研磨レートに基づいて決定される。ステップ4-12,4-16においてもステップ4-7と同様の工程、すなわち、基板Wの膜厚を予め定められた最終膜厚と比較する工程が実行される。ステップ4-13および4-17では、膜厚プロファイルとトルク波形および/またはターゲット膜波形との相関関係を動作制御部9の記憶装置9aに蓄積し、基板Wの研磨を終了する。
上述した平坦研磨工程の終了後、または段差研磨工程中、または平坦研磨工程中、動作制御部9は、測定された基板Wの膜厚プロファイルと、トルク波形および/またはターゲット膜波形とを関連付ける。一実施形態では、動作制御部9は、測定された基板Wの膜厚プロファイルに基づいて、段差解消点Bを決定してもよい。すなわち、動作制御部9は、基板Wの膜厚が段差解消膜厚に達したときの研磨時間に基づいて、トルク波形の段差解消点Bを決定してもよい。
さらに、動作制御部9は、上記トルク波形および/またはターゲット膜波形を、膜厚測定器80によって測定された基板Wの初期膜厚データ、研磨前の基板Wの膜厚プロファイル、研磨中の基板Wの膜厚プロファイル、段差解消膜厚などと関連付けて記憶装置9aに記憶する。
研磨装置は、同一種類で初期膜厚がばらついている複数の基板や、凹凸構造の形状が異なる複数の基板を、トルク波形を生成しながらステップ3-1~3-19およびステップ4-1~4-17と同様の方法により研磨し、各基板の研磨工程中に測定された膜厚プロファイルに基づいて、各トルク波形の段差解消点を決定してもよい。動作制御部9は、各基板の研磨中に生成した各トルク波形および/またはターゲット膜波形を、研磨対象基板の膜厚データと関連付けてもよい。上記膜厚データの例として、研磨対象基板の種類、研磨対象基板の初期膜厚データ、研磨前の基板の膜厚プロファイル、研磨中の基板の膜厚プロファイル、段差解消膜厚データが挙げられる。このようにして、これら膜厚データに関連付けられた複数のトルク波形(テーブルモータ6の駆動電流波形、研磨ヘッドモータ17の駆動電流波形、または揺動モータ18の駆動電流波形)および/またはターゲット膜波形のデータが記憶装置9aに蓄積される。
一実施形態では、上述した参照基板の研磨工程(ステップ1-1~1-8およびステップ2-1~ステップ2-5)において、参照基板の研磨工程中に測定された膜厚プロファイルに基づいて、トルク波形の段差解消点を決定してもよい。動作制御部9は、参照基板の研磨中に生成したトルク波形および/または参照膜波形を、参照基板の膜厚データと関連付ける。膜厚データに関連付けられたトルク波形(テーブルモータ6の駆動電流波形、研磨ヘッドモータ17の駆動電流波形、または揺動モータ18の駆動電流波形)のデータおよび/または参照膜波形のデータは記憶装置9aに蓄積される。
図22乃至図27は、十分なトルク波形が蓄積された後の、表面に凹凸段差を有する基板の研磨方法の一実施形態を示すフローチャートである。本実施形態では、トルク波形に基づいて段差解消点を推定しながら基板を研磨する。研磨対象の基板Wの例として、図6に示す基板が挙げられるが、研磨対象の基板Wは、図6に示す基板に限らない。本実施形態においても、研磨装置は、研磨テーブル3を回転させるためのトルク(テーブルモータ6の駆動電流)、または研磨ヘッド10をその軸心を中心に回転させるためのトルク(研磨ヘッドモータ17の駆動電流)、または研磨ヘッド10を研磨面2aに沿って揺動させるためのトルク(揺動モータ18の駆動電流)を測定しながら参照基板およびターゲット基板としての基板Wを研磨し、研磨工程中、動作制御部9は、上記トルクの測定値からトルク波形を生成する。以下、本実施形態の研磨前に取得され、記憶装置9aに蓄積されたトルク波形を参照トルク波形ということがある。さらに一実施形態では、動作制御部9は、基板Wの研磨工程中、ターゲット膜波形を生成してもよい。以下、本実施形態の研磨前に取得され、記憶装置9aに蓄積された参照膜波形およびターゲット膜波形を蓄積膜波形ということがある。
ステップ5-1~5-21(図22乃至図24参照)では段差研磨工程が実施される。特に説明しないステップ5-1~ステップ5-6の工程は、ステップ3-1~ステップ3-6と同じである。
ステップ5-1では膜厚測定器80によって、研磨対象である基板Wの初期膜厚(研磨前の基板Wの膜厚プロファイル)が測定される。動作制御部9は、膜厚測定器80の測定データ(研磨前の基板Wの膜厚プロファイル)および基板Wの種類に基づいて、複数の参照トルク波形(または複数の蓄積膜波形)から1つの参照トルク波形(または1つの蓄積膜波形)を選択する。具体的には、動作制御部9は、膜厚測定器80の測定データおよび基板Wの種類と、各参照トルク波形(または各蓄積膜波形)に関連付けられた膜厚データおよび基板の種類を比較する。動作制御部9は、基板の種類が同じで、膜厚測定器80の測定データと上記膜厚データ(具体的には、参照トルク波形または蓄積膜波形の生成に使用された基板の研磨前の膜厚プロファイル)がもっとも近い参照トルク波形を基準トルク波形として選択する。一実施形態では、動作制御部9は、基板の種類が同じで、膜厚測定器80の測定データと上記膜厚データ(具体的には、蓄積膜波形の生成に使用された基板の研磨前の膜厚プロファイル)がもっとも近い蓄積膜波形を基準膜波形として選択してもよい。以下、本明細書では、ステップ5-1で選択されたトルク波形を基準トルク波形といい、選択された蓄積膜波形を基準膜波形という。
ステップ5-4では、動作制御部9は、各測定点の膜厚を決定する。すなわち、動作制御部9は、ステップ5-3で決定された参照膜データの膜厚であって、第1関係式に基づいて算出された参照膜データの膜厚(参照膜データに対応する膜厚)を各測定点の膜厚にあてはめる。すなわち、動作制御部9は、ステップ5-3で決定された参照膜データの膜厚であって、第1関係式に基づいて算出された参照膜データの膜厚を、参照膜データに対応する膜測定データが取得された測定点の膜厚として決定する。
ステップ5-7では、トルク波形および/またはターゲット膜波形の特徴点を検出する。ステップ5-8では、トルク波形および/またはターゲット膜波形に異常が無いかを確認する。一実施形態では、後述するステップ5-12,5-17,5-21の工程において蓄積される膜厚プロファイルとトルク波形および/またはターゲット膜波形との相関関係との比較により、トルク波形および/またはターゲット膜波形に異常が無いかを判断してもよい。動作制御部9が上記波形に異常がないと判断した場合は、段差研磨工程を終了する(ステップ5-9)。動作制御部9が上記波形に異常があると判断した場合は、ステップ5-10以降を実行する。
ステップ5-10では、基板Wの研磨を一時停止し、膜厚測定器80によって基板Wの膜厚プロファイルを測定する。一実施形態では、ステップ5-7~ステップ5-10を実行せず、ステップ5-6の後、ステップ5-11を実行してもよい。さらに一実施形態では、ステップ5-7の後、ステップ5-11を実行してもよい。
ステップ5-11では、動作制御部9は、基板Wの膜厚が段差解消膜厚に達しているか否か、すなわち段差研磨工程を終了すべきか否かを判断する。具体的には、動作制御部9は、研磨中に生成したトルク波形(またはターゲット膜波形)と基準トルク波形(または基準膜波形)を比較し、基板Wの膜厚が段差解消膜厚に達しているか否か、すなわち段差研磨工程を終了すべきか否かを判断する。動作制御部9は、段差研磨工程を終了すべきと判断した場合、膜厚プロファイルとトルク波形および/またはターゲット膜波形との相関関係を動作制御部9の記憶装置9aに蓄積し、段差研磨工程を終了する(ステップ5-12)。一実施形態では、トルク波形またはターゲット膜波形が異常な場合は、段差研磨工程終了後に上記波形のプロファイル調整を行ってもよい。
ステップ5-11の詳細は以下の通りである。具体的には、動作制御部9は、生成したトルク波形(またはターゲット膜波形)の現在のトルク(または現在の物理量、すなわち、膜測定データに含まれる基板Wの膜厚を間接的に表す物理量)が基準トルク波形(または基準膜波形)から推定される段差解消点に達した場合、段差研磨工程を終了すべきと判断する。
一実施形態では、現在のトルク(または現在の物理量)が段差解消点に達していない場合でも段差研磨工程を終了してもよい。例えば、動作制御部9は、現在のトルク(または現在の物理量)の大きさが基準トルク波形(または基準膜波形)の基準レベルの所定割合以下(例えば130%以下)となった場合、および/または現在の研磨時間が基準トルク波形(または基準膜波形)から推定される段差解消点における研磨時間の90%以上となった場合に段差研磨工程を終了すべきと判断してもよい。基準レベルは、予め定められたトルク(または物理量)の大きさのしきい値である。
一実施形態では、動作制御部9は、現在のトルク(または現在の物理量)の大きさが、基準トルク波形微分値(または基準膜波形微分値)の変化量の基準レベルの所定割合以下となった場合、および/または現在の研磨時間が基準トルク波形微分値(または基準膜波形微分値)の変化量から推定される段差解消点における研磨時間の90%以上となった場合に段差研磨工程を終了すべきと判断してもよい。基準レベルは、予め定められたトルク波形微分値(物理量の微分値)の変化量のしきい値である。
さらに一実施形態では、動作制御部9は、所定時間経過後、生成したトルク波形(またはターゲット膜波形)の形状と、基準トルク波形(または基準膜波形)の現在の研磨時間に相当する研磨時間までの形状を比較し、これら形状の一致度を算出してもよい。動作制御部9は、算出された一致度を所定の基準一致度と比較し、算出された一致度が所定の基準一致度以上の場合、基準トルク波形(または基準膜波形)から推定される段差解消点における研磨時間と現在の研磨時間との差を算出し、基板Wの研磨時間が、現在の研磨時間に上記差、または上記差に係数を掛けた値を加えた時間に達したときに、段差研磨工程を終了すべきと判断してもよい。一致度は、0~1までの数値で表され、1に近いほど一致度は高くなる。上記基準一致度は、例えば0.8である。
一実施形態では、所定時間経過後の上記算出された形状の一致度が基準一致度以下の場合、動作制御部9は、研磨異常が発生したと判断し、基板Wの研磨を一時停止してもよい。その後、基板Wを膜厚測定器80に搬送し、膜厚測定器80によって基板Wの膜厚プロファイルを測定してもよい。
さらに一実施形態では、所定時間経過後の上記形状の一致度が基準一致度以下の場合、動作制御部9は、研磨装置に研磨条件を変更する指令を発してもよい。例えば、動作制御部9は、圧力レギュレータR1~R4の少なくとも1つに指令を発して対応する圧力室の内部圧力を増加(または減少)させてもよい。研磨条件を変更した結果、上記形状の一致度が基準一致度以上となった場合は、基準トルク波形(または基準膜波形)から推定される段差解消点における研磨時間と現在の研磨時間との差を算出し、基板Wの研磨時間が、現在の研磨時間に上記差、または上記差に係数を掛けた値を加えた時間に達したときに、段差研磨工程を終了してもよい。一実施形態では、ステップ3-9で説明した方法、すなわち、ステップ1-6と同様の方法によって段差研磨工程を終了すべきか否かを判断してもよい。
ステップ5-11で、動作制御部9が基板Wの膜厚が段差解消膜厚に達していないと判断した場合、動作制御部9は、基板Wの膜厚プロファイル(残膜プロファイル)が予め定められた基準(スペック)を満たすかを判定する(ステップ5-13)。
ステップ5-14では、残膜プロファイルがスペックを満たすと判断した場合、現状の研磨条件で基板Wの研磨を続行する。ステップ5-14では、ステップ5-3~5-7と同様の工程を実行する。
ステップ5-15では、基板Wの研磨を一時停止し、膜厚測定器80によって基板Wの膜厚プロファイルを測定する。ステップ5-16では、ステップ5-11と同様の方法により、基板Wの膜厚が段差解消膜厚に達しているか否かを判定する。動作制御部9が基板Wの膜厚が段差解消膜厚に達していると判断した場合、膜厚プロファイルとトルク波形および/またはターゲット膜波形との相関関係を動作制御部9の記憶装置9aに蓄積し、段差研磨工程を終了する(ステップ5-17)。
ステップ5-13で、動作制御部9が残膜プロファイルがスペックを満たさないと判断した場合、残膜プロファイルを改善するように(上記基準を満たすように)研磨条件を変更して、基板Wを研磨する(ステップ5-18)。上記研磨条件の例として、各圧力室の内部圧力が挙げられる。例えば、動作制御部9は、上記波形のプロファイルを改善させるため、圧力レギュレータR1~R4の少なくとも1つに指令を発して対応する圧力室の内部圧力を増加(または減少)させる。
ステップ5-19では、基板Wの研磨を一時停止し、膜厚測定器80によって基板Wの膜厚プロファイルを測定する。ステップ5-20では、ステップ5-11と同様の方法により、基板Wの膜厚が段差解消膜厚に達しているか否かを判定する。動作制御部9が基板Wの膜厚が段差解消膜厚に達していると判断した場合、膜厚プロファイルとトルク波形および/またはターゲット膜波形との相関関係を動作制御部9の記憶装置9aに蓄積し、段差研磨工程を終了する(ステップ5-21)。ステップ5-20で、動作制御部9が基板Wの膜厚が段差解消膜厚に達していないと判断した場合、ステップ5-13に戻る。一実施形態では、一度研磨条件を変更した後は、残膜プロファイルがスペックを満たすかを判定する工程(ステップ5-13)を省略してもよい。すなわち、ステップ5-20で、動作制御部9が基板Wの膜厚が段差解消膜厚に達していないと判断した場合、ステップ5-14以降を実行してもよい。
一実施形態では、ステップ5-15および5-19を実行せず、ステップ5-14,5-18の後、ステップ5-16,5-20を実行してもよい。さらに一実施形態では、ステップ5-10を実行しなかった場合で、かつステップ5-11で動作制御部9が基板Wの膜厚が段差解消膜厚に達していないと判断した場合、ステップ5-11の後、ステップ5-14~ステップ5-17を実行してもよい。この場合、ステップ5-15を省略してもよい。
段差研磨工程終了後、ステップ6-1~6-19(図25乃至図27参照)の平坦研磨工程が実行される。特に説明しないステップ6-1~6-19の工程は、ステップ5-3~5-21の工程と同じである。平坦研磨工程は、第2関係式に基づいて算出された参照膜データの膜厚に基づいて基板W上の複数の測定点における複数の膜厚を決定する工程を含む。
ステップ6-2では、動作制御部9は、ステップ6-1で決定された参照膜データの膜厚であって、第2関係式に基づいて算出された参照膜データの膜厚を各測定点の膜厚にあてはめる。すなわち、動作制御部9は、ステップ6-1で決定された参照膜データの膜厚であって、第2関係式に基づいて算出された参照膜データの膜厚を、参照膜データに対応する膜測定データが取得された測定点の膜厚として決定する。ステップ6-2のより具体的な工程は、第2関係式に基づいて参照膜データに対応する膜厚が決定される以外は、ステップ5-4と同じである。
ステップ6-9,6-14,6-18では、動作制御部9は、基板Wの膜厚を予め定められた最終膜厚(目標膜厚)と比較する。基板Wの膜厚が最終膜厚に達した場合、上記膜厚が最終膜厚に達した時点を研磨終点として決定し、基板Wの研磨を終了する。具体的には、動作制御部9は、基板W全体の平均膜厚を予め定められた最終膜厚と比較する。基板W全体の平均膜厚が最終膜厚に達した場合、基板Wの研磨を終了する。
平坦研磨工程中の基板Wの研磨レートが一定と見なせる場合、ステップ6-9,6-14,6-18では、動作制御部9は、現在の研磨時間(ステップ6-1から現在までの研磨時間)を予め定められた終了研磨時間と比較し、現在の研磨時間が終了研磨時間に達していると判断した場合は基板Wの研磨を終了してもよい。終了研磨時間は、最終膜厚に達する研磨時間であり、段差解消膜厚と、最終膜厚と、段差解消後の研磨レートに基づいて決定される。ステップ6-10,6-15、および6-19では、膜厚プロファイルとトルク波形および/またはターゲット膜波形との相関関係を動作制御部9の記憶装置9aに蓄積し、基板Wの研磨を終了する。
一実施形態では、ステップ6-5~ステップ6-8を実行せず、ステップ6-4の後、ステップ6-9を実行してもよい。さらに一実施形態では、ステップ6-5の後、ステップ6-9を実行してもよい。さらに一実施形態では、ステップ6-13および6-17を実行せず、ステップ6-12,6-16の後、ステップ6-14,6-18を実行してもよい。
上述のように、本実施形態の研磨装置は、基板Wの表面形状に応じて、研磨中の基板Wの膜厚を決定する際に利用する関係式を変更する。さらに、研磨装置は、研磨中に生成されたトルク波形と、研磨前に取得された参照トルク波形を比較し、上記関係式を変更するタイミングを決定する。これにより、基板が表面に凹凸段差を有する場合でも研磨中の基板の膜厚を精度よく測定することができる。結果として、膜厚の均一性や、終点検知性能を向上させることができる。
一実施形態では、第1関係式および/または第2関係式の修正が必要になった場合には、図22乃至図27を参照して説明した工程で得られた結果に基づいて、第1関係式および/または第2関係式を補正してもよい。さらに一実施形態では、図11および図12を参照して説明した工程と同様の工程により参照基板を研磨し、第1関係式および/または第2関係式を生成し直してもよい。
上述した研磨方法は、図28乃至図30の基板にも適用することができる。図28乃至図30は、表面に凹凸段差を有する基板Wの他の実施形態を示す断面図である。図28(a)、図29(a)、および図30(a)は、研磨前の各基板の状態を示し、図28(b)、図29(b)、および図30(b)は、段差解消膜厚まで最上層膜(タングステン(W)膜109、絶縁膜111、またはタングステン(W)膜117)を研磨した状態を示し、図28(c)、図29(c)、および図30(c)は、各基板を研磨終点まで研磨したときの状態を示している。
図28は、リプレースメントゲートの断面を示している。図28に示す基板Wは、凹凸段差を有するシリコン(Si)層100と、シリコン層100の上方に形成された絶縁膜105と、絶縁膜105の上に形成された窒化チタン(TiN)から成るライナー膜107と、ライナー膜107の上に形成されたタングステン(W)膜109を有している。タングステン(W)膜109は、金属膜であるため、図28に示す基板Wを研磨するときは、膜厚センサ20として渦電流センサが用いられる。
図29は、SAC(セルフアラインドコンタクト)ナイトライドの断面を示している。図29に示す基板Wでは、図28に示す基板Wからタングステン(W)膜109をエッチングでリセスさせた後、絶縁膜(例えば窒化ケイ素(Si))111が形成される。図29に示す基板Wを研磨するときは、膜厚センサ20として光学式膜厚センサが用いられる。
図30は、コンタクト部の断面を示している。図30に示す基板Wは、シリコン(Si)層100と、シリコン層100の上方に形成された絶縁膜113と、絶縁膜113の上に形成された窒化チタン(TiN)から成るライナー膜115と、ライナー膜115の上に形成されたタングステン(W)膜117を有している。
図31は、研磨装置の他の実施形態を示す模式図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、図1乃至図27に示す実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。図31では、一部の構成要素の図示は省略されている。本実施形態では、膜厚測定器80は、研磨テーブル3に取り付けられている。本実施形態の膜厚測定器80は、図1を参照して説明した膜厚測定器80よりも小型化されている。
本実施形態の膜厚測定器80は、基板Wに光を照射する投光部82と、基板Wの表面(被研磨面)で反射した反射光を受光する受光部85とを備えている。投光部82は、光を発する光源(図示せず)を備えている。本実施形態では、投光部82は、斜め下から基板Wに光を照射するように配置されており、受光部85は、基板Wの表面に対して斜めに配置されているが、投光部82および受光部85の配置は、この配置に限定されない。一実施形態では、膜厚測定装置80は、投光部82および受光部85の代わりに渦電流センサを備えた渦電流式膜厚測定器であってもよい。
図31に示す例では、膜厚測定器80として、エリプソメータが用いられる。エリプソメータの原理は一般的に知られている原理である。本実施形態では、研磨ヘッド10に支持された基板Wに適用するために、測定部位の液を排除し反射光の偏向状態を測定する必要がある。そのため、膜厚測定器80は、測定部をドライ状態にするためにCDA(clean dry air)、窒素(N)、アルゴン(Ar)、空気等のガスを基板Wの表面に供給するガス供給ノズル87と、研磨液(例えばスラリー)等の研磨に使用される液体を排出する廃液路89をさらに備えている。基板Wは研磨ヘッド10に支持されているため、回転、X/Y方向の動作が可能であり、基板Wを回転させながら基板W上の任意の点を複数測定して膜厚分布を求めることが可能となる。基板Wの表面状態の保護のため測定部以外は液浸していることが可能となる。
投光部82、受光部85、ガス供給ノズル87、および廃液路89は、研磨テーブル3に取り付けられており、研磨テーブル3および研磨パッド2とともに一体に回転する。本実施形態では、膜厚測定器80が基板Wを一回横切る間、投光部82は回転している基板W上の複数の測定点に光を放ち、受光部85は、これら複数の測定点からの反射光を受ける。膜厚測定器80が渦電流式膜厚測定器の場合、渦電流センサは、基板W上の複数の測定点において渦電流を発生させ、これら複数の測定点における渦電流を検出する。一実施形態では、図32に示すように、膜厚測定器80は、研磨テーブル3の中央部に配置されていてもよい。
本実施形態によれば、基板Wを研磨ヘッド10から取り出さずに膜厚測定器80によって基板Wの膜厚や、膜厚プロファイルを測定することができる。これにより、基板Wの取り外しによる時間ロス低減(スループット向上)し、基板Wの再設置による位置や傾きズレを防ぐことができ、測定座標誤差の低減、測定後のリワークが容易、終点検知用センサ(膜厚センサ20)出力の校正精度向上、基板Wの脱着・搬送によるパーティクル付着低減等の利点を得ることができる。
本実施形態では、膜厚測定器80は、テーブルモータ6、研磨ヘッドモータ17、および揺動モータ18の駆動電流を利用した段差解消点の検出や膜厚センサ20を用いた終点検知と組み合わせることができる。膜厚センサ20センサを用いる時に膜厚センサ20の校正を行う必要がある。そのためには膜厚測定された基板Wと終点検出用センサ出力の相関を求める校正が必要となる。膜厚測定器80が研磨モジュール1から離れて設置されたITM(ex-situ膜厚測定器)である場合、この校正時に基板Wは、研磨ヘッド10から外され、搬送ロボット66,69などによりITMに搬送される。膜厚測定器80が研磨モジュール1から離れて設置されたITMである場合、膜厚の測定位置誤差や複数回の研磨、ITM膜厚測定、複数点の膜厚センサ20の出力取得を行う必要がある場合に誤差要因が発生するが、本実施形態では、このような誤差要因を低減できる。したがって、従来よりも高精度の校正ができるため終点検知精度の向上も可能となる。
さらに本実施形態では、基板Wの高密度配線部の領域の特定を行いその膜測結果をもとに、膜厚分布と精度を判定することができる。研磨ヘッド10から基板Wを外す必要がないため基板Wの座標と膜厚の相関関係を測定した後、座標位置誤差の小さい状態で膜厚センサ20の出力信号の比較が可能となるため、従来よりも膜厚センサ20信号の変化と基板Wの座標位置と膜厚の関係を高精度で求めることが可能となる。パターン構造が複雑なウェーハの場合は特に有効に用いることが可能となる。例えば、本実施形態は、有効領域の波形のみを用いる膜測等に用いられてもよい。
本実施形態はさらに、酸化膜、窒化膜、金属膜、それらの混成したパターン膜、STI,SACプロセスの膜等、種々のプロセスパターン膜に適用可能である。一実施形態では、図31および図32を参照して説明した膜厚測定器80として、カメラ画像の処理方式を利用した膜厚測定器や、マルチスペクトルカメラや、ハイパースペクトルカメラを用いてもよい。さらに一実施形態では、膜厚測定器80として、画像処理や光干渉方式を利用した膜厚測定器を用いてもよい。
さらに一実施形態では、図33に示すように、また、研磨テーブル3の脇(近傍)に膜厚測定器80を設置してもよい。膜厚測定器80が研磨テーブル3の近傍に設置される場合は、液浸の無い状態で測定が可能である。又、表面酸化防止のためガス供給ノズル87より液やミスト照射をしながら基板Wの表面を液膜形成し測定部付近だけドライにすることも可能である。さらに一実施形態では、より小型化された膜測測定器を用いるために、測定機器や機構をMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)により構成されてもよい。投光部82および受光部85の接続は直結式またはファイバ接続式が可能である。
膜厚測定器80を研磨テーブル3内または研磨テーブル3に近接して設置することの利点として、基板Wを研磨ヘッド10から外す必要がなく研磨ヘッド10に基板Wが設置された状態で膜厚測定が可能となることが挙げられる。他の利点として、基板Wの研磨ヘッド10からの取り外しによる時間ロス低減(スループット向上)、基板Wの研磨ヘッド10への再設置による基板Wの位置や傾きズレ低減、測定座標誤差の低減、測定後の基板Wのリワークが容易、終点検知用センサ出力の校正精度向上、脱着・搬送によるパーティクル付着低減などが挙げられる。
図34は、膜厚測定器80のさらに他の実施形態を示す断面図である。この実施形態では、膜厚測定器80は、液体供給ノズル90を通じて液体(例えば、純水、薬液、スラリー)を膜厚測定部位に供給し、この膜厚測定部位を液体に浸した状態で基板Wからの反射光の干渉状態を測定する。液体を液体供給ノズル90を通じて供給しながら、液体を廃液路89を通じて排出し、液体のリフレッシュを行い不純物の排除を行う。基板Wは研磨ヘッド10に設置してあるため、基板Wの回転および並進運動が可能である。例えば、基板Wを研磨ヘッド10で回転させながら基板W上の任意の複数点での膜厚を測定して膜厚分布を求めることが可能となる。一実施形態では、図34に示す膜厚測定器80は研磨テーブル3の脇(近傍)に膜厚測定器80を設置してもよい。
図35は、表面に凹凸段差を有する基板を研磨する方法の一実施形態を説明する図である。一般に、基板の露出面の状態が変化したとき(例えば、露出膜が除去されて下層膜が露出したとき、あるいは露出面の段差が解消されたとき)、基板の研磨条件が変更される。基板の研磨条件には、例えば、基板を研磨パッドの研磨面に対して押し付ける力が含まれる。以下に説明する実施形態は、段差解消点とその前または後の膜厚測定点とに基づいて研磨条件の変更点を決定する方法を提供するものである。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、先に説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
上記研磨装置は、基板W(ターゲットウェーハまたはターゲット基板)と同じ積層構造を有する参照基板(または参照ウェーハ)の研磨を開始する。参照基板の研磨開始から研磨終点までの間に、少なくとも2回、参照基板の研磨は一時的に中断され、参照基板の膜厚は膜厚測定器80により測定される。より具体的には、膜厚測定器80は、参照基板の複数の測定点での膜厚(すなわち膜厚プロファイル)を測定する。膜厚測定器80にて膜厚が測定された後、参照基板の研磨が再度開始され、最終的に研磨終点に達するまで参照基板が研磨される。このようにして、参照基板は、膜厚測定器80により膜厚(すなわち膜厚プロファイル)が複数回測定される。
動作制御部9は、図35に示すような第1トルク波形を生成する。第1トルク波形は、参照基板を研磨しているときに研磨装置(例えば、研磨テーブル3および/または研磨ヘッド10)に必要なトルクの研磨時間に沿った変化を表す。さらに、動作制御部9は、第1トルク波形の特徴点から段差解消点Bを決定する。この特徴点とは、例えば第1トルク波形の傾きがしきい値を越えて変化する点である。第1トルク波形は、動作制御部9の記憶装置9a内に格納される。
図35の記号Dおよび記号Eは、膜厚測定器80により参照基板の複数の測定点での膜厚が測定された膜厚測定点を示している。膜厚測定点Dは、参照基板の表面段差が解消された後の時点であり、膜厚測定点Eは参照基板の表面段差が解消される前の時点である。表面段差が解消されたか否かは、参照基板の膜厚プロファイルから分かる。
さらに、動作制御部9は、膜厚測定点Dおよび膜厚測定点Eのうちのいずれか一方と、段差解消点Bとの間にある研磨条件変更点Fを決定する。一例では、研磨条件変更点Fは、段差解消点Bからの所定の時間、または第1トルク波形の変化に基づいて決定される。
次に、ターゲット基板である基板Wが上記研磨装置により研磨される。動作制御部9は、基板Wの研磨中に第2トルク波形を生成する。第2トルク波形は、基板Wを研磨しているときに研磨装置(例えば、研磨テーブル3および/または研磨ヘッド10)に必要なトルクの研磨時間に沿った変化を表す。基板Wと参照基板は同じ積層構造を有しているので、第1トルク波形と第2トルク波形は相似形である。動作制御部9は、第2トルク波形を生成しながら、第2トルク波形上の点が研磨条件変更点Fに一致する点を決定し、その決定された点で基板Wの研磨条件を変更する。本実施形態によれば、参照基板の段差解消点と膜厚測定点とから、研磨条件の最適な変更点を決定することができる。
膜厚測定点Dと段差解消点Bとの間、すなわち段差解消点Bの後である研磨条件変更点Fを決定する実施形態は、段差解消の変化が緩やかな場合に有効である。つまり、段差解消状態や膜厚分布が膜厚測定点Dにおいて問題の無いレベル(段差が十分に解消されている、あるいは膜厚均一性が高い)の場合に有効である。
膜厚測定点Eと段差解消点Bとの間、すなわち段差解消点Bの前である研磨条件変更点Fを決定する実施形態は、段差解消の変化が急な場合に有効である。さらに膜厚測定点Dにおいて膜厚分布の不均一性が大きくなっていたり、スペック上の劣化が見られる場合は、動作制御部9は、膜厚測定点Eと段差解消点Bとの間、すなわち段差解消点Bの前である研磨条件変更点Fを決定する。
このように、全体的な波形の変化、変化点の前後の変化の緩急により研磨条件の変更点を決定することが可能となり、膜分布均一性がよい効率的な研磨を行う事が可能となる。
波形予測ではAI(人工知能)を用いることも可能である。蓄積されたデータのデータセットを用いて学習した学習済モデルにより波形予測を行いながら研磨条件変更点を求めることが可能となる。
次に、学習済みモデルを用いて、基板Wの段差解消を予測する研磨方法の一実施形態について、図36を参照して説明する。特に説明しない本実施形態の構成及び動作は、上述した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
動作制御部9は、その記憶装置9a内に格納された段差解消予測モデルM1を有している。研磨装置は、研磨パッド2を支持する研磨テーブル3を回転させながら、研磨ヘッド10によって基板Wを研磨パッド2の研磨面2aに押し付けて基板Wを研磨し、動作制御部9は、基板Wの研磨中に、基板Wを研磨面2aに対して相対的に移動させるために必要なモータの駆動電流を示すトルク波形(テーブルモータ6の駆動電流波形、研磨ヘッドモータ17の駆動電流波形、または揺動モータ18の駆動電流波形)を生成し、トルク波形を段差解消予測モデルM1に入力し、段差解消予測モデルM1から、基板Wの表面の段差解消指標を出力する。
段差解消指標は、現在のトルク波形から段差解消予測モデルM1によって算定された段差解消度合い(%、レベル、段差解消点までの時間などで表される)である。したがって、動作制御部9は、段差解消度合いに基づいて、基板Wの現在の表面段差と、段差解消点との差を算定することができる。動作制御部9は、段差解消点に到達したときに、基板Wの研磨条件を変更してもよい。
段差解消予測モデルM1は、以下に示す複数の指標のうちの少なくとも1つをさらに出力するように構成されてもよい。
・基板Wの研磨条件を変更すべき点
・段差解消点の前後の予測トルク波形
・トルク波形の異常を示す警報
・段差解消時点と現時点でのトルク波形との差(時間、波形)
・研磨パッド2のドレッシング推奨
段差解消予測モデルM1は、以下に示すバーチャルメトロロジーの複数の指標のうちの少なくとも1つをさらに出力するように構成されてもよい。
・段差解消時の予測膜厚プロファイル
・段差解消前後の予測膜厚プロファイル
・現時点と段差解消時の膜厚プロファイル変化予測
・凹凸解消前後の膜厚プロファイル変化に基づく研磨条件の切り替え予測時点
段差解消予測モデルM1は、ディープラーニング、強化学習、量子コンピューティングなどの機械学習により構築された学習済みモデルである。学習済みモデルは、調整されたモデルまたは調整されたニューラルネットワークとも呼ばれる。機械学習に使用される訓練データは、少なくとも1つの訓練用基板を、その表面の段差が解消されるまで研磨したときに得られた複数の訓練用トルク波形を含む。より具体的には、訓練用基板を、その表面の段差が解消されるまで研磨しながら、動作制御部9は、訓練用基板を研磨面2aに対して相対的に移動させるために必要なモータ(テーブルモータ6、研磨ヘッドモータ17、または揺動モータ18)の駆動電流を示す複数の訓練用トルク波形を生成する。さらに、動作制御部9は、複数の訓練用トルク波形と、正解ラベルとしての複数の段差解消度合いを含む訓練データを用いて機械学習を実行することにより段差解消予測モデルM1を構築する。
学習済みモデルである段差解消予測モデルM1に入力されるトルク波形、および機械学習に使用される訓練用トルク波形は、加工されたトルク波形であってもよい。加工されたトルク波形の例としては、トルク波形にフィルターを適用することにより得られたトルク波形、トルク波形を増幅器により増幅させることにより得られたトルク波形が挙げられる。
一実施形態では、訓練データは、研磨パッド2を使用して過去に研磨された基板の枚数をさらに含んでもよい。動作制御部9は、トルク波形に加えて、研磨パッド2を使用して過去に研磨された基板の枚数を段差解消予測モデルM1に入力するように構成されてもよい。研磨パッド2を使用して過去に研磨された基板の枚数は、研磨パッド2の減耗に関係し、段差解消点に到達するまでの研磨時間に影響を与えると予想される。したがって、本実施形態は、より正確な段差解消指標を出力することができる。
段差解消予測モデルM1に入力される入力データは、トルク波形に加えて、以下に示すデータのうちの少なくとも1つをさらに含んでもよい。
・膜厚センサ20の出力信号
・膜厚センサ20の加工された出力信号
・ドレッシング後の研磨パッド2を使用して過去に研磨された基板の枚数
訓練データは、以下に示す入力データのうちの少なくとも1つをさらに含んでもよい。
・研磨パッド2を使用して過去に研磨された基板の枚数と、各基板の研磨レート
・研磨パッド2を使用して過去に研磨された基板の枚数と、各基板の研磨レートプロファイル
・ドレッシング後の研磨パッド2を使用して過去に研磨された基板の枚数
次に、学習済みモデルを用いて、基板Wの段差解消を予測する研磨方法の他の実施形態について、図37を参照して説明する。特に説明しない本実施形態の構成及び動作は、上図36を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
図37に示すように、動作制御部9は、段差解消予測モデルM1に加え、その記憶装置9a内に格納された研磨終点予測モデルM2を有している。動作制御部9は、基板Wの研磨中に、トルク波形を研磨終点予測モデルM2に入力し、研磨終点予測モデルM2から、基板Wの研磨終点指標を出力するように構成されている。研磨終点予測モデルM2に入力されるトルク波形は、段差解消予測モデルM1に入力されるトルク波形と同じである。研磨終点指標は、現時点と研磨終点との差を示す指標(%、レベル、研磨終点までの時間などで表される)である。
研磨終点予測モデルM2は、ディープラーニング、強化学習、量子コンピューティングなどの機械学習により構築された学習済みモデルである。学習済みモデルは、調整されたモデルまたは調整されたニューラルネットワークとも呼ばれる。機械学習に使用される訓練データは、少なくとも1つの訓練用基板を、その研磨終点に達するまで研磨したときに得られた複数の訓練用トルク波形(テーブルモータ6の駆動電流波形、研磨ヘッドモータ17の駆動電流波形、または揺動モータ18の駆動電流波形)を含む。より具体的には、訓練用基板を、その研磨終点に達するまで研磨しながら、動作制御部9は、訓練用基板を研磨面2aに対して相対的に移動させるために必要なモータ(テーブルモータ6、研磨ヘッドモータ17、または揺動モータ18)の駆動電流を示す複数の訓練用トルク波形を生成する。さらに、動作制御部9は、複数の訓練用トルク波形と、正解ラベルとしての複数の研磨終点指標を含む訓練データを用いて機械学習を実行することにより研磨終点予測モデルM2を構築する。
研磨装置は、研磨パッド2を支持する研磨テーブル3を回転させながら、研磨ヘッド10によって基板Wを研磨パッド2の研磨面2aに押し付けて基板Wを研磨し、動作制御部9は、基板Wの研磨中に、基板Wを研磨面2aに対して相対的に移動させるために必要なモータの駆動電流を示すトルク波形(テーブルモータ6の駆動電流波形、研磨ヘッドモータ17の駆動電流波形、または揺動モータ18の駆動電流波形)を生成し、トルク波形を段差解消予測モデルM1(学習済みモデル)に入力し、段差解消予測モデルM1から、基板Wの表面の段差解消指標を出力し、さらにトルク波形を研磨終点予測モデルM2(学習済みモデル)に入力し、研磨終点予測モデルM2から、基板Wの研磨終点指標を出力する。
学習済みモデルである研磨終点予測モデルM2に入力されるトルク波形、および機械学習に使用される訓練用トルク波形は、加工されたトルク波形であってもよい。加工されたトルク波形の例としては、トルク波形にフィルターを適用することにより得られたトルク波形、トルク波形を増幅器により増幅させることにより得られたトルク波形が挙げられる。
一実施形態では、研磨終点予測モデルM2の構築のための機械学習に使用される訓練データは、研磨パッド2を使用して過去に研磨された基板の枚数をさらに含んでもよい。動作制御部9は、トルク波形に加えて、研磨パッド2を使用して過去に研磨された基板の枚数を研磨終点予測モデルM2に入力するように構成されてもよい。研磨パッド2を使用して過去に研磨された基板の枚数は、研磨パッド2の減耗に関係し、研磨終点に到達するまでの研磨時間に影響を与えると予想される。したがって、本実施形態は、より正確な研磨終点指標を出力することができる。
研磨終点予測モデルM2に入力される入力データは、トルク波形に加えて、以下に示すデータをさらに含んでもよい。
・膜厚センサ20の出力信号
・膜厚センサ20の加工された出力信号
・ドレッシング後の研磨パッド2を使用して過去に研磨された基板の枚数
研磨終点予測モデルM2の構築のための機械学習に使用される訓練データは、以下に示す入力データをさらに含んでもよい。
・研磨パッド2を使用して過去に研磨された基板の枚数と、各基板の研磨レート
・研磨パッド2を使用して過去に研磨された基板の枚数と、各基板の研磨レートプロファイル
・ドレッシング後の研磨パッド2を使用して過去に研磨された基板の枚数
次に、学習済みモデルを用いて、基板Wの段差解消を予測する研磨方法の他の実施形態について、図38を参照して説明する。特に説明しない本実施形態の構成及び動作は、上図37を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。図38に示す研磨装置は、基板Wを仮想空間内で仮想的に研磨する仮想研磨装置110をさらに備えている。この仮想研磨装置110は、膜厚センサ20に接続されており、基板Wの膜厚を示す膜厚信号を基板Wの研磨中に膜厚センサ20から受け取る。
仮想研磨装置110は、プログラムが格納された記憶装置110aと、プログラムに含まれる命令に従って演算を実行する処理装置110bを備えている。処理装置110bは、記憶装置110aに格納されているプログラムに含まれる命令に従って演算を行うCPU(中央処理装置)またはGPU(グラフィックプロセッシングユニット)などを含む。記憶装置110aは、処理装置110bがアクセス可能な主記憶装置(例えばランダムアクセスメモリ)と、データおよびプログラムを格納する補助記憶装置(例えば、ハードディスクドライブまたはソリッドステートドライブ)を備えている。仮想研磨装置110は、少なくとも1台のコンピュータから構成されている。ただし、仮想研磨装置110の具体的構成はこの例に限定されない。
仮想研磨装置110は、動作制御部9に接続されている。動作制御部9の段差解消予測モデルM1から出力された段差解消指標は、仮想研磨装置110に送られるように構成されている。さらに、動作制御部9の研磨終点予測モデルM2から出力された研磨終点指標は、仮想研磨装置110に送られるように構成されている。
仮想研磨装置110は、その記憶装置110a内に格納された初期膜厚プロファイルモデルM3、段差解消膜厚プロファイルモデルM4、および研磨終点膜厚プロファイルモデルM5を有している。仮想研磨装置110は、基板Wの膜厚を示す膜厚信号を膜厚センサ20から受け取り、膜厚信号を初期膜厚プロファイルモデルM3に入力し、基板Wの仮想初期膜厚プロファイルを初期膜厚プロファイルモデルM3から出力する。
動作制御部9の段差解消予測モデルM1から出力された段差解消指標が、基板Wの表面段差が解消されたことを示しているとき、仮想研磨装置110は、膜厚センサ20から受け取った膜厚信号を段差解消膜厚プロファイルモデルM4に入力し、基板Wの仮想段差解消膜厚プロファイルを段差解消膜厚プロファイルモデルM4から出力する。
動作制御部9の研磨終点予測モデルM2から出力された研磨終点指標が、基板Wの研磨終点に達したことを示しているとき、仮想研磨装置110は、膜厚センサ20から受け取った膜厚信号を研磨終点膜厚プロファイルモデルM5に入力し、基板Wの仮想研磨終点膜厚プロファイルを研磨終点膜厚プロファイルモデルM5から出力する。
初期膜厚プロファイルモデルM3、段差解消膜厚プロファイルモデルM4、および研磨終点膜厚プロファイルモデルM5は、ディープラーニング、強化学習、量子コンピューティングなどの機械学習により構築された学習済みモデルである。
動作制御部9および仮想研磨装置110は、並列に処理を実行することができる。すなわち、動作制御部9が、段差解消予測モデルM1および研磨終点予測モデルM2を用いて段差解消指標および研磨終点指標をそれぞれ算定し、その一方で、仮想研磨装置110は、初期膜厚プロファイルモデルM3、段差解消膜厚プロファイルモデルM4、および研磨終点膜厚プロファイルモデルM5を用いて仮想初期膜厚プロファイル、仮想段差解消膜厚プロファイル、および仮想研磨終点膜厚プロファイルを生成することができる。
一実施形態では、仮想研磨装置110は、段差解消膜厚プロファイルモデルM4または研磨終点膜厚プロファイルモデルM5のいずれかを有してもよい。さらに、一実施形態では、仮想研磨装置110は、初期膜厚プロファイルモデルM3、段差解消膜厚プロファイルモデルM4、および研磨終点膜厚プロファイルモデルM5に代えて、シミュレーションにより、仮想初期膜厚プロファイル、仮想段差解消膜厚プロファイル、および仮想研磨終点膜厚プロファイルを算定するように構成されてもよい。
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
1 研磨モジュール
2 研磨パッド
2a 研磨面
3 研磨テーブル
5 研磨液供給ノズル
6 テーブルモータ
8 トルク測定装置
9 動作制御部
10 研磨ヘッド
11 ヘッドシャフト
13 ヘッド本体
14 支軸
15 ロータリージョイント
16 揺動アーム
17 研磨ヘッドモータ
18 揺動モータ
19 角度検出器
20 膜厚センサ
21 光学センサヘッド
24 光源
27 分光器
40 リテーナリング
42 ドライブリング
45 弾性膜
46,47,48,49 圧力室
50 リテーナリング圧力室
52 リテーナリング押圧装置
53 ピストン
54 ローリングダイヤフラム
60 ハウジング
61 ロード/アンロード部
63 研磨部
64 スイングトランスポータ
65 ロードポート
66 ローダー(搬送ロボット)
67 第1仮置き台
68 第2仮置き台
69 搬送ロボット
70 洗浄部
74 第1洗浄モジュール
75 第2洗浄モジュール
76 第3洗浄モジュール
77 乾燥モジュール
78 リニアトランスポータ
80 膜厚測定器
82 投光部
85 受光部
87 ガス供給ノズル
89 廃液路
90 液体供給ノズル
100 シリコン層
101 ストッパ層
102 絶縁膜
110 仮想研磨装置
R1,R2,R3,R4,R5 圧力レギュレータ

Claims (17)

  1. 研磨パッドを支持する研磨テーブルを回転させ、研磨ヘッドによって基板を前記研磨パッドの研磨面に押し付けて前記基板を研磨する工程と、
    前記基板を研磨しながら、トルク波形を生成する工程と、
    前記基板の研磨前に蓄積した複数の参照トルク波形から1つの参照トルク波形を選択する工程を備え、
    前記トルク波形を生成する工程は、前記研磨テーブルを回転させるためのトルクの測定値、前記研磨ヘッドをその軸心を中心に回転させるためのトルクの測定値、または前記研磨ヘッドを前記研磨面に沿って揺動させるためのトルクの測定値からトルク波形を生成する工程であり、
    前記基板を研磨する工程は、前記基板の膜厚が段差解消膜厚に到達する前の前記基板の研磨工程である段差研磨工程と、前記段差研磨工程の後に実行される平坦研磨工程を含み、
    前記段差研磨工程は、
    第1関係式に基づいて算出された参照膜データの膜厚に基づいて前記基板上の複数の測定点における複数の膜厚を決定する工程と、
    前記トルク波形と、前記選択された参照トルク波形とを比較し、前記段差研磨工程を終了すべきか否かを判断する工程を含み、
    前記平坦研磨工程は、第2関係式に基づいて算出された参照膜データの膜厚に基づいて前記基板上の複数の測定点における複数の膜厚を決定する工程を含む、研磨方法。
  2. 前記基板の研磨前に蓄積した複数の参照トルク波形から1つの参照トルク波形を選択する工程は、研磨前の前記基板の膜厚プロファイルおよび前記基板の種類に基づいて、前記複数の参照トルク波形から1つの参照トルク波形を選択する工程である、請求項1に記載の研磨方法。
  3. 前記段差研磨工程を終了すべきか否かを判断する工程は、前記トルク波形の現在のトルクが前記選択された参照トルク波形から推定される段差解消点に達した場合、段差研磨工程を終了すべきと判断する工程である、請求項1または2に記載の研磨方法。
  4. 前記段差研磨工程を終了すべきか否かを判断する工程は、
    所定時間経過後、前記トルク波形の形状と、前記選択された参照トルク波形の現在の研磨時間に相当する研磨時間までの形状とを比較し、前記トルク波形の形状と、前記選択された参照トルク波形の形状の一致度を算出する工程と、
    前記算出された一致度を所定の基準一致度と比較し、前記算出された一致度が前記所定の基準一致度以上の場合、前記選択された参照トルク波形から推定される段差解消点における研磨時間と前記現在の研磨時間との差を算出し、前記基板の研磨時間が、前記現在の研磨時間に前記差、または前記差に係数を掛けた値を加えた時間に達したときに、前記段差研磨工程を終了すべきと判断する工程を含む、請求項1または2に記載の研磨方法。
  5. 所定時間経過後、前記トルク波形の形状と、前記選択された参照トルク波形の現在の研磨時間に相当する研磨時間までの形状とを比較し、前記トルク波形の形状と、前記選択された参照トルク波形の形状の一致度を算出する工程と、
    前記算出された一致度を所定の基準一致度と比較し、前記算出された一致度が前記所定の基準一致度以下の場合、研磨条件を変更する工程をさらに含む、請求項1または2に記載の研磨方法。
  6. 研磨パッドを支持する研磨テーブルと、
    前記研磨テーブルを回転させるテーブルモータと、
    基板を前記研磨パッドの研磨面に押し付けるための複数の圧力室を有する研磨ヘッドと、
    前記基板の膜厚に従って変化する膜厚信号を出力する膜厚センサと、
    前記複数の圧力室に連結された複数の圧力レギュレータと、
    前記研磨テーブルを回転させるためのトルク、前記研磨ヘッドを回転させるためのトルク、または前記研磨ヘッドを前記研磨面に沿って揺動させるためのトルクを測定するトルク測定装置と、
    研磨装置の動作を制御する動作制御部とを備え、
    前記動作制御部は、前記研磨テーブルを回転させるためのトルクの測定値、前記研磨ヘッドを回転させるためのトルクの測定値、または前記研磨ヘッドを前記研磨面に沿って揺動させるためのトルクの測定値からトルク波形を生成するように構成されており、
    前記動作制御部は、前記基板の研磨前に蓄積した複数の参照トルク波形から1つの参照トルク波形を選択するように構成されており、
    前記動作制御部は、前記基板の膜厚が段差解消膜厚に到達する前の前記基板の研磨工程である段差研磨工程と、前記段差研磨工程の後に実行される平坦研磨工程を実行するように構成されており、
    前記動作制御部は、前記段差研磨工程中、第1関係式に基づいて算出された参照膜データの膜厚に基づいて前記基板上の複数の測定点における複数の膜厚を決定するように構成されており、
    前記動作制御部は、前記段差研磨工程中、前記トルク波形と、前記選択された参照トルク波形とを比較し、前記段差研磨工程を終了すべきか否かを判断するように構成されており、
    前記動作制御部は、前記平坦研磨工程中、第2関係式に基づいて算出された参照膜データの膜厚に基づいて前記基板上の複数の測定点における複数の膜厚を決定するように構成されている、研磨装置。
  7. 前記動作制御部は、研磨前の前記基板の膜厚プロファイルおよび前記基板の種類に基づいて、前記複数の参照トルク波形から1つの参照トルク波形を選択するように構成されている、請求項6に記載の研磨装置。
  8. 前記動作制御部は、前記トルク波形の現在のトルクが前記選択された参照トルク波形から推定される段差解消点に達した場合、段差研磨工程を終了すべきと判断するように構成されている、請求項6または7に記載の研磨装置。
  9. 前記動作制御部は、所定時間経過後、前記トルク波形の形状と、前記選択された参照トルク波形の現在の研磨時間に相当する研磨時間までの形状とを比較し、前記トルク波形の形状と、前記選択された参照トルク波形の形状の一致度を算出し、前記算出された一致度を所定の基準一致度と比較し、前記算出された一致度が前記所定の基準一致度以上の場合、前記選択された参照トルク波形から推定される段差解消点における研磨時間と前記現在の研磨時間との差を算出し、前記基板の研磨時間が、前記現在の研磨時間に前記差、または前記差に係数を掛けた値を加えた時間に達したときに、前記段差研磨工程を終了すべきと判断するように構成されている、請求項6または7に記載の研磨装置。
  10. 前記動作制御部は、所定時間経過後、前記トルク波形の形状と、前記選択された参照トルク波形の現在の研磨時間に相当する研磨時間までの形状とを比較し、前記トルク波形の形状と、前記選択された参照トルク波形の形状の一致度を算出し、前記算出された一致度を所定の基準一致度と比較し、前記算出された一致度が前記所定の基準一致度以下の場合、前記研磨装置に研磨条件を変更する指令を発するように構成されている、請求項6または7に記載の研磨装置。
  11. 前記膜厚センサは、光学式膜厚センサまたは渦電流センサである、請求項6に記載の研磨装置。
  12. 前記基板の膜厚を測定する膜厚測定器をさらに備え、
    前記膜厚測定器は、前記研磨テーブルに取り付けられている、請求項6に記載の研磨装置。
  13. 研磨パッドを支持する研磨テーブルを回転させながら、研磨ヘッドによって基板を前記研磨パッドの研磨面に押し付けて前記基板を研磨し、
    前記基板を研磨しながら、前記基板を前記研磨面に対して相対的に移動させるために必要なモータの駆動電流を示すトルク波形を生成し、
    前記トルク波形を段差解消予測モデルに入力し、
    前記段差解消予測モデルから、前記基板の表面の段差解消指標を出力する、研磨方法。
  14. 前記段差解消予測モデルは、
    訓練用基板を、その表面の段差が解消されるまで研磨しながら、前記訓練用基板を前記研磨面に対して相対的に移動させるために必要なモータの駆動電流を示す複数の訓練用トルク波形を生成し、
    前記複数の訓練用トルク波形を含む訓練データを用いて機械学習を実行することにより構築された学習済みモデルである、請求項13に記載の研磨方法。
  15. 前記訓練データは、前記研磨パッドを使用して過去に研磨された基板の枚数をさらに含み、
    前記トルク波形に加えて、前記研磨パッドを使用して過去に研磨された基板の枚数を前記段差解消予測モデルに入力する、請求項14に記載の研磨方法。
  16. 前記トルク波形を研磨終点予測モデルに入力し、
    前記研磨終点予測モデルから、前記基板の研磨終点指標を出力することをさらに含む、請求項13に記載の研磨方法。
  17. 前記基板を仮想空間内で仮想的に研磨し、
    前記基板の仮想膜厚プロファイルを生成することをさらに含む、請求項13に記載の研磨方法。
JP2022088291A 2021-06-22 2022-05-31 研磨方法および研磨装置 Pending JP2023002464A (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
KR1020247001679A KR20240024919A (ko) 2021-06-22 2022-06-14 연마 방법 및 연마 장치
PCT/JP2022/023734 WO2022270345A1 (ja) 2021-06-22 2022-06-14 研磨方法および研磨装置
US18/571,054 US20240278380A1 (en) 2021-06-22 2022-06-14 Polishing method and polishing apparatus
CN202280044190.XA CN117581336A (zh) 2021-06-22 2022-06-14 研磨方法及研磨装置
TW111122773A TW202315704A (zh) 2021-06-22 2022-06-20 研磨方法及研磨裝置

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021102959 2021-06-22
JP2021102959 2021-06-22

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023002464A true JP2023002464A (ja) 2023-01-10

Family

ID=84797757

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022088291A Pending JP2023002464A (ja) 2021-06-22 2022-05-31 研磨方法および研磨装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023002464A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024180889A1 (ja) * 2023-03-02 2024-09-06 株式会社Screenホールディングス 学習装置、情報処理装置、基板処理装置、学習モデル生成方法および処理条件決定方法
WO2024202369A1 (ja) * 2023-03-24 2024-10-03 株式会社Screenホールディングス 予測アルゴリズム生成装置、情報処理装置、予測アルゴリズム生成方法および処理条件決定方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024180889A1 (ja) * 2023-03-02 2024-09-06 株式会社Screenホールディングス 学習装置、情報処理装置、基板処理装置、学習モデル生成方法および処理条件決定方法
WO2024202369A1 (ja) * 2023-03-24 2024-10-03 株式会社Screenホールディングス 予測アルゴリズム生成装置、情報処理装置、予測アルゴリズム生成方法および処理条件決定方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2023002464A (ja) 研磨方法および研磨装置
TWI657894B (zh) 研磨方法及研磨裝置
US7989348B2 (en) Polishing method and polishing apparatus
US8858296B2 (en) Method and system for endpoint detection
KR101884049B1 (ko) 연마 장치 및 연마 방법
KR101715726B1 (ko) 피드 백 및 피드 포워드 프로세스 제어를 위한 광학적 측정 이용
KR101078007B1 (ko) 폴리싱장치 및 폴리싱방법
KR100434189B1 (ko) 화학 기계적 연마장치 및 그 제어방법
KR101767291B1 (ko) 연마 방법
US20230139947A1 (en) Polishing method, polishing apparatus, and computer-readable storage medium storing program
WO2022270345A1 (ja) 研磨方法および研磨装置
US7988529B2 (en) Methods and tools for controlling the removal of material from microfeature workpieces
US20220168864A1 (en) Polishing recipe determination device
CN117581336A (zh) 研磨方法及研磨装置
JP2022170119A (ja) 研磨方法
US20230381910A1 (en) Method for estimating life of polishing pad and polishing device
US20240198480A1 (en) Method of creating responsive profile of polishing rate of workpiece, polishing method, and polishing apparatus
KR20230175244A (ko) 연마 장치 및 연마 방법