JP2022167608A - エネルギ変更装置、加速器、ビーム輸送系、粒子線治療装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】使い勝手のよいエネルギ変更装置を提供すること。【解決手段】エネルギ変更装置1は、ビームの通過する真空空間に設けられる回転モータ30と、回転モータの回転軸に支持部材12,22を介して取り付けられ、回転軸を中心とする円軌道上を移動するエネルギ吸収体装置1とを備える。【選択図】図1
Description
本発明は、エネルギ変更装置、加速器、ビーム輸送系、粒子線治療装置に関する。
加速器を用いた実験並びに粒子線治療では、ビームエミッタンスの初期化、ビームサイズの調整、ビーム散乱角の調整、ビームエネルギの調整、ビームの特性計測など、様々な目的で、干渉体が使用される。干渉体としては、ビームと干渉する、フィルム、金属体、非金属体、液体、モニタなどが用いられる(特許文献1)。
干渉体を駆動するために、一般的に、真空外から駆動する、直線導入機または圧縮空気装置などが用いられていた。近年では、エネルギ吸収体の駆動機構としてモータを使用することも提案されている(特許文献2)。
干渉体を真空空間の外部から駆動する場合、装置が複雑化してコストが増加する上に、駆動時間もかかるため応答性能も低下する。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、その目的は、使い勝手のよいエネルギ変更装置、加速器、ビーム輸送系、粒子線治療装置を提供することにある。
上記課題を解決すべく、本発明に従うエネルギ変更装置は、ビームの通過する真空空間に設けられる回転モータと、回転モータの回転軸に支持部材を介して取り付けられ、回転軸を中心とする円軌道上を移動するエネルギ吸収体装置とを備える。
本発明によれば、真空空間に設けられた回転モータにより、エネルギ吸収体装置を移動させることができるため、装置全体の構成を簡素化でき、エネルギ吸収体装置の駆動に要する時間を短縮することができる。
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。本実施形態では、回転モータにより直接的にエネルギ吸収体を移動させると共に、回転モータおよびエネルギ吸収体をビームの通過する真空空間内に設置する。
エネルギ吸収体装置1は、複数のエネルギ吸収体10,20を含んでもよい。
回転モータ30は、同期して互いに逆回転する第1回転軸O1と第2回転軸O2を有し、エネルギ吸収体装置1は第1エネルギ吸収体としての外側エネルギ吸収体10と第2エネルギ吸収体としての内側エネルギ吸収体20とを備え、外側エネルギ吸収体10は第1回転軸O1を中心とする第1円軌道を移動し、内側エネルギ吸収体は第2回転軸を中心とする第2円軌道を第1エネルギ吸収体とは逆の方向へ移動することもできる。
外側エネルギ吸収体は、厚さ寸法が先端側から第1円軌道に平行な周方向沿って次第に増加する円弧筒状に形成され、内側エネルギ吸収体は、厚さ寸法が先端側から第2円軌道に平行な周方向に沿って次第に増加する円弧筒状に形成されてもよい。円弧筒状とは、平面視が円弧状である筒形状という意味である。円弧は、例えば、二分の一円でもよいし、四分の一円、三分の一円などでもよい。
外側エネルギ吸収体または内側エネルギ吸収体の少なくともいずれか一方は、液状物を収容可能であってもよい。
エネルギ吸収体装置として、散乱体またはモニタを使用してもよい。
エネルギ吸収体装置をビーム輸送系の途中に設けてもよい。エネルギ吸収体装置をビーム輸送系の最下流側に設けてもよい。
エネルギ吸収体装置を加速器本体内に設けてもよい。
シンクロトロンなどの円環加速器、超伝導ライナックまたはレザー加速器などの直線加速器を有する粒子線治療装置にエネルギ吸収体装置を設置してもよい。
以下に述べる一実施例では、エネルギ吸収体装置を真空空間内に設け、モータの回転軸に同心円状に固定された円盤に、干渉体であるエネルギ吸収体、散乱体またはモニタを取り付けて移動させることにより、モータの回転力を直接駆動力とする。
本実施形態によれば、回転モータの回転力を直接駆動力とするため、高速回転を実現し、エネルギ吸収体、散乱体、およびモニタの駆動速度を向上させることができる。さらに、本実施形態によれば、回転モータと一体化したエネルギ吸収体、散乱体またはモニタを真空内に設置するため真空外からの駆動が不要となり、エネルギ吸収体装置を使用する加速器または粒子線治療装置の小型化を実現することができる。
図1~図8を用いて第1実施例のエネルギ吸収体装置1を説明する。図1は、外側エネルギ吸収体10と内側エネルギ吸収体20とが基準位置にある場合の概略図である。
エネルギ吸収体装置1は、ビームの持つ運動エネルギを熱エネルギへ変換することにより、ビームの運動エネルギ(以下、エネルギ)を減衰させるものである。本実施例では、エネルギの変更の例として、エネルギの減衰を説明する。エネルギ吸収体装置1は、互いに逆方向へ回動する外側エネルギ吸収体10と内側エネルギ吸収体20とを備える。
外側エネルギ吸収体10と内側エネルギ吸収体20とは、後述のように、周方向へ厚み寸法が次第に変化するように形成されているため、各エネルギ吸収体10,20が互いに逆方向へ回転することにより、両者の重なる範囲の厚さ寸法が可変に変化する。ビームは、内側エネルギ吸収体20および外側エネルギ吸収体10の両方を通過することにより、そのエネルギが減衰する。
外側エネルギ吸収体10と内側エネルギ吸収体20は、例えば、タングステン、鉄、カーボン、セラミックスなどの放射化しにくく、かつ耐熱性のある材料から、略半円筒状のような円弧筒状に形成される。円弧筒状とは、図1および図4~図6などで示すように、平面視が円弧状の湾曲した板状を意味する。円弧は、180度(二分の一円)でもよいし、180度未満でもよい。
外側エネルギ吸収体10は、厚さ寸法が先端側10Tから第1円軌道C1に平行な周方向沿って次第に増加する円弧筒状に形成されている。内側エネルギ吸収体20は、厚さ寸法が先端側20Tから第2円軌道C2に平行な周方向に沿って次第に増加する円弧筒状に形成されている。外側エネルギ吸収体10の後端側10Rは最も厚さ寸法が大きく、先端側10Tは最も厚さ寸法が小さい。同様に、内側エネルギ吸収体20の後端側20Rは最も厚さ寸法が大きく、先端側は最も厚さ寸法が小さい。
エネルギ吸収体装置1は、同一平面上で所定寸法tだけ離間する2つの回転中心O1,O2を有している。本実施例では、一つのモータ30でそれら二つの回転中心O1,O2を通る回転軸をそれぞれ逆方向へ回転させる。他の実施例では、それぞれ異なるモータを用いて、それら回転中心O1,O2を通る回転軸を互いに逆方向へ回転させる。
外側エネルギ吸収体10は、第1回転中心O1を中心とする第1円軌道C1を矢示R方向または矢示L方向へ移動する。内側エネルギ吸収体20は、第1回転中心O1から離れた第2回転中心O2を中心とする第2円軌道C2を矢示L方向または矢示R方向へ回転する。R方向は時計回りの方向であり、L方向は反時計回りの方向である。
図2は、外側エネルギ吸収体10と内側エネルギ吸収体20の肉厚部分が重なり、ビームの減衰率が最も大きくなる場合を示す。
図3は、外側エネルギ吸収体10と内側エネルギ吸収体20の重なりが解消し、ビームの減衰率が最も小さくなる場合を示す。
図4~図7は、エネルギ吸収体装置1の斜視図である。上述の通り、エネルギ吸収体装置1では、外側エネルギ吸収体10と、内側エネルギ吸収体20およびモータ30が主要な部品である。外側エネルギ吸収体10と内側エネルギ吸収体20とは、図5の横断面図に示すように、回転方向に厚み寸法が次第に変化するように形成されている。
外側エネルギ吸収体10は、真空フランジ11に固定された円筒状の外側エネルギ吸収体支持体12にベアリング13を介して支持されている。外側エネルギ吸収体10は、第1連結部材14によってモータ30の回転軸と接続される。第1連結部材14は、外側エネルギ吸収体10とモータ30の回転軸を連結する部材であり、シャフトおよびギアを含んで構成される。第1連結部材14のシャフトはモータ30の回転軸と同軸に接続されており、そのシャフトの下側にはギアが設けられている。第1連結部材14のギアは、第2連結部材24のギアを歯合しており、モータ30の回転力は、外側エネルギ吸収体10と内側エネルギ吸収体20とに同時に等しく分配される。ただし、後述のように、外側エネルギ吸収体10と内側エネルギ吸収体20の回転方向は逆となる。
内側エネルギ吸収体20は、外側エネルギ吸収体支持体12と底板支持体22で接続された底板(内側エネルギ吸収体支持体)21に、ベアリング23を介して支持される。内側エネルギ吸収体20は、第2連結部材24および第1連結部材14を介して、モータ30の回転軸に接続されている。第2連結部材24は、内側エネルギ吸収体20を第1連結部材14を介してモータ30の回転軸に接続する部材であり、シャフトおよびギアを含んで構成される。
モータ30の回転軸を反時計回りに回転させると、外側エネルギ吸収体10はモータ30の回転方向と同様に反時計回りに回転する。外側エネルギ吸収体10が反時計回りに回転すると同時に、内側エネルギ吸収体20は、時計回りに回転する。内側エネルギ吸収体20は、ギアを介してモータ30の回転軸と接続されており、モータ30の回転軸の回転方向とは逆回りに回転する。したがって、本実施例では、一台のモータ30で、外側エネルギ吸収体10と内側エネルギ吸収体20とを同期させて互いに逆方向に回転させることができる。これにより、本実施例によれば、ビームが通過する領域のエネルギ吸収体10,20の厚みの合計を一様化することが可能となる。すなわち、外側エネルギ吸収体10と内側エネルギ吸収体20が最初に図1に示す基準位置にある場合、モータ30の回転軸がR方向へ回転するたびに、各エネルギ吸収体10,20の厚みの合計は一定量ずつ増加し、モータ30の回転軸がL方向へ回転するたびに、各エネルギ吸収体10,20の厚み合計は一定量ずつ減少する。本実施例によれば、各エネルギ吸収体10,20の厚みの合計を制御して、ビームのエネルギを容易に調整することができる。
図8は、エネルギ吸収体装置1をビームライン(ビーム輸送系)に設置された真空チャンバ40内に設けた一例である。
ビームダクト41内を通過するビームBM(1)は、エネルギ吸収体装置1の各エネルギ吸収体10,20へ入射して相互作用し、治療計画などに規定された所定値までエネルギが減衰したビームBM(2)となり、送り出される。上述のように、本実施例では、外側エネルギ吸収体10と内側エネルギ吸収体20を互いに逆方向へ等量ずつ回転させることにより、干渉する作用領域(厚み)を安定して変化させることができ、この結果ビームBMのエネルギを変化させることができる。
本実施例では、エネルギ吸収体装置1をビームBMの通過する真空空間内に設け、真空内でモータ30の回転軸を回転させることにより、エネルギ吸収体装置1を直接的に駆動させることができる。したがって、真空内のエネルギ吸収体を真空外のアクチュエータから操作する場合に比べて、小型することができる。さらに、本実施例によれば、真空内のモータ30によりエネルギ吸収体装置1を直接的に駆動するため、真空外のアクチュエータから真空内のエネルギ吸収体装置を駆動する場合に比べて、駆動に要する時間を短縮することができる。
本実施例では、一つのモータ30によって複数のエネルギ吸収体10,20を同時に回動させるため、コストを低減することができる。
図9を用いて第2実施例を説明する。以下に述べる各実施例では、上述した第1実施例との相違を中心に説明する。図9は、本実施例のエネルギ吸収体装置1Aの要部を示す斜視図である。
本実施例のエネルギ吸収体装置1Aでは、外側エネルギ吸収体10を第1モータ30(1)により、内側エネルギ吸収体20を第2モータ30(2)により、それぞれ個別に円軌道C1,C2上をR方向またはL方向へ回動させる。
このように構成される本実施例も第1実施例と同様の作用効果を奏する。さらに、本実施例では、それぞれ別個のモータ30(1),30(2)を用いて各エネルギ吸収体10,20を回動させるため、ギアが不要となり、構成を簡素化できる。なお、本実施例では、モータ30(1),30(2)の各回転軸の回転方向を逆方向にするだけでなく、同一方向にすることもできる。
図10を用いて第3実施例を説明する。図10は、本実施例のエネルギ吸収体装置1Bの要部を拡大して示す斜視図である。本実施例では、外側エネルギ吸収体10または内側エネルギ吸収体20の少なくともいずれか一方を、内部に収容部101,201を有する中空構造とする。収容部101,201内へ液状物質(不図示)を充填することにより、液状のエネルギ吸収体を利用することができる。外側エネルギ吸収体10のみに収容部101を形成してもよいし、内側エネルギ吸収体20のみに収容部201を形成してもよいし、外側エネルギ吸収体10に収容部101を形成すると共に内側エネルギ吸収体20にも収容部201を形成してもよい。
このように構成される本実施例も第1実施例と同様の作用効果を奏する。本実施例は、第1実施例と第2実施例の両方と結合させることができる。
図11,図12を用いて第4実施例を説明する。図11は、本実施例のエネルギ吸収体装置1Cの要部を拡大して示す斜視図である。
本実施例では、外側エネルギ吸収体10および内側エネルギ吸収体20の代わりに、ビーム散乱体50、もしくはビームモニタ60をエネルギ吸収体としても活用する。以下、モータ30に円盤51を介してビーム散乱体50を取り付ける場合と、モータ30に円盤61を介してビームモニタ60を取り付ける場合を説明する。円盤には、ビーム散乱体50またはビームモニタ60のいずれかが取り付けられていればよい。
モータ30の回転軸(不図示)は、円盤51,61の中央に接続されており、円盤51,61の外周側にはビーム散乱体50またはビームモニタ60が設けられている。モータ30によって円盤51,61を90度回転させることにより、ビーム散乱体50またはビームモニタ60とビームBMとの干渉の有無を高速で切り替え可能である。
さらに、円盤51,61を90度以下の角度(概ね1度から45度)で回転させることにより、ビーム散乱体50またはビームモニタ60とビームとの干渉厚を変化させることが可能である。
図12は、エネルギ吸収体装置1Cを、ビームラインに設置されたチャンバ40内に取り付けた例である。
図13を用いて第5実施例を説明する。本実施例では、上述したエネルギ吸収体装置1,1A,1B,1Cのいずれか一つまたは複数を粒子線治療装置1000に適用する場合を説明する。
図13は、粒子線治療装置100の全体構成図である。粒子線治療装置1000は、例えば加速器100と、加速器100で加速されたビームを輸送するビーム輸送系200と、患者にビームを照射するビーム照射系300と、それらを制御する制御系400とに大きく区分できる。
本実施例の加速器100は、サイクロトロン、シンクロサイクロトロンなどの一定磁場でビームを加速する円形加速器である。ビームBMは、磁場領域102で加速電場(図示せず)で加速され、らせん状に回転半径を大きくしていき、ビーム取り出しライン103から加速器100から取り出される。
取り出されたビームBMは、偏向電磁石210を有するビーム輸送系200によってビーム照射系300へ輸送され、ビーム照射系300の照射ノズル310から天板320上の患者330の患部へ照射される。天板320は、図示せぬ駆動機構により位置を制御することもできる。
制御系400は、粒子線治療装置1000を制御する装置群である。制御系400は、大きく照射制御系410と、加速器・ビーム輸送制御系420、加速器機器制御系430と、エネルギ吸収体制御系440とに分けられる。
エネルギ吸収体制御系440は、エネルギ吸収体装置1,1(50),1(60)を制御する装置である。エネルギ吸収体制御系440は、他の制御系410,420,430の一部として設けてもよいし、独立した制御系として設けてもよい。
エネルギ吸収体制御系440は、他の制御系410,420,430と、各エネルギ吸収体装置1,1(50),1(60)とに電気的に接続されているが、それらの接続線は図示を省略している。
なお、エネルギ吸収体装置1(50)は、ビーム散乱体50をエネルギ吸収体として使用する装置である。エネルギ吸収体装置1(60)は、ビームモニタ60をエネルギ吸収体として使用する装置である。
照射制御系410は、患者330の患部へ照射された線量を監視し、加速器・ビーム輸送制御系420にビームエネルギ、線量(ビーム量)、照射タイミング等を指示する。加速器・ビーム輸送制御系420は、その要求に従って加速器機器の設定値と輸送系機器の設定値を変更するとともに、エネルギ吸収体制御系440にモータ30の回転角の設定値を指示する。この指示に従って、エネルギ吸収体装置1の厚さ、ビームモニタ60の角度、ビーム散乱体50の角度などが制御される。
図13の例では、加速器100からビームが取り出される位置にエネルギ吸収体装置1が配置されており、ビーム輸送系200の途中にエネルギ吸収体装置1(60)が配置されており、ビーム照射系300にビームが供給される入口付近にエネルギ吸収体装置1(50)が配置されている。しかし、図13に示すエネルギ吸収体装置1,1(50),1(60)の設置場所および設置台数は、例示であって、図示する配置および台数以外でもよい。
図14を用いて第6実施例を説明する。図14は、本実施例の粒子線治療装置1000Aの全体構成図である。本実施例では、エネルギ吸収体装置1を加速器100Aの内部に設けている。本実施例では、エネルギ吸収体装置1を加速器100Aに内蔵させるため、粒子線治療装置1000Aを小型化できる。一般的にエネルギ吸収体でエネルギを落とす際に、ビーム損失が生じ放射線が発生するとともに、エネルギ吸収体自体も放射化される。そのため、これらの放射線の影響を避けるために、局所遮蔽体を設けたり、近傍の建屋壁厚を厚くする。本実施例では、加速器100Aのヨーク101により放射線の一部を遮蔽する効果を期待することができる。
図15を用いて第7実施例を説明する。図15は、本実施例の粒子線治療装置1000Bの全体構成図である。本実施例の粒子線治療装置1000Bは、シンクロトロン等の円環加速器100Bを使用する。円環加速器100Bは、偏向電磁石110と出射用電磁石120を備える。
シンクロトロンの場合、加速器自体でエネルギ変更が可能である。微小エネルギ帯域、例えば150MeVから160MeVの10MeVのエネルギ幅で、第1実施例のエネルギ吸収体装置1とシンクロトロンとを併用することにより、加速器本体によるエネルギ変更よりも高速にエネルギが変更となる。
一例として、エネルギ吸収体装置1のモータ30を90度回転させる場合、10MeVエネルギを変更できる。モータ30の回転速度を500rpmとすると、約30msで10MeVのエネルギ変更が可能となる。なお、エネルギ吸収体装置1よりも下流側での電磁石による磁場が一定であって、エネルギの異なるビームを輸送できる輸送系を用いてもよい。
エネルギ吸収体装置をビーム輸送系200の最下流に設置してもよい。この場合、エネルギ変更後に通過する電磁石はスキャニング電磁石(図示せず)のみであるため、スキャニング電磁石で制御可能な時間までエネルギ変更時間を短くすることができる。この例のように本エネルギ吸収体装置を横置き、もしくは斜め置きにする場合にはベアリングの位置を変更することによって対応が可能である。
図16は、第9実施例に係る粒子線治療装置1000Cの概略構成である。本実施例では、線形加速器100Cを用いる。このように構成される本実施例も実施例7と同様の作用効果を奏する。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されない。当業者であれば、本発明の範囲内で、種々の追加や変更等を行うことができる。上述の実施形態において、添付図面に図示した構成例に限定されない。本発明の目的を達成する範囲内で、実施形態の構成や処理方法は適宜変更することが可能である。エネルギ吸収体の厚さ寸法は滑らかに変化してもよいし、段差のように段階的に変化してもよい。
また、本発明の各構成要素は、任意に取捨選択することができ、取捨選択した構成を具備する発明も本発明に含まれる。さらに特許請求の範囲に記載された構成は、特許請求の範囲で明示している組合せ以外にも組み合わせることができる。
1,1A~1C:エネルギ吸収体装置、10:外側エネルギ吸収体、11:真空フランジ、12:外側エネルギ吸収体支持体、14:連結部材、20:内側エネルギ吸収体、22:底板支持体、24:連結部材、30:モータ、40:真空チャンバ、41:ビームダクト、50:ビーム散乱体、51:円盤、60:ビームモニタ、61:円盤、100,100A,100B,100C:加速器、101:ヨーク、102:磁場領域、1000,1000A,1000B,1000C:粒子線治療装置
Claims (9)
- ビームのエネルギを変化させるエネルギ変更装置であって、
ビームの通過する真空空間に設けられる回転モータと、
前記回転モータの回転軸に支持部材を介して取り付けられ、前記回転軸を中心とする円軌道上を移動するエネルギ吸収体装置とを
備えるエネルギ変更装置。 - 前記エネルギ吸収体装置は、複数のエネルギ吸収体を含む
請求項1に記載のエネルギ変更装置。 - 前記回転モータは、同期して互いに逆回転する第1回転軸と第2回転軸を有し、
前記エネルギ吸収体装置は、第1エネルギ吸収体と第2エネルギ吸収体を備え、
前記第1エネルギ吸収体は、前記第1回転軸を中心とする第1円軌道を移動し、
前記第2エネルギ吸収体は、前記第2回転軸を中心とする第2円軌道を前記第1エネルギ吸収体とは逆の方向へ移動する、
請求項2に記載のエネルギ変更装置。 - 前記第1エネルギ吸収体は、厚さ寸法が先端側から前記第1円軌道に平行な周方向沿って次第に増加する円弧筒状に形成されており、
前記第2エネルギ吸収体は、厚さ寸法が先端側から前記第2円軌道に平行な周方向に沿って次第に増加する円弧筒状に形成されている
請求項3に記載のエネルギ変更装置。 - 前記第1エネルギ吸収体または前記第2エネルギ吸収体の少なくともいずれか一方は、液状物を収容可能である
請求項3に記載のエネルギ変更装置。 - 前記エネルギ吸収体装置として、散乱体またはモニタが使用される
請求項1に記載のエネルギ変更装置。 - 請求項1~5のいずれか一項記載のエネルギ変更装置を内蔵する加速器。
- 請求項1~6のいずれか一項記載のエネルギ変更装置を備えたビーム輸送系。
- 請求項8記載のビーム輸送系を備えた粒子線治療装置。
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