JP2022165881A - 消臭除菌洗浄剤及びシート状物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】 簡単に対象面の汚れを除去して、サッパリとした仕上りを提供すること。また、ほとんど目に見えないレベルで少量残留する汚れを原因とするニオイの発生や菌の増殖を抑制して清掃後も快適で安全な室内空間が維持される消臭除菌洗浄剤及びシート状物品の提供。【解決手段】 下記成分a)、b)、c)及びd)を含有するpH3.0乃至5.0の消臭除菌洗浄剤。a) 0.05乃至0.2M(モル/L)濃度の弱酸性のクエン酸緩衝液であって、クエン酸と、クエン酸ナトリウムおよび/またはクエン酸カリウムからなるもの70乃至99重量%b) 0.02乃至2.0重量%の緑茶抽出物c) 0.1乃至2.0重量%の両性界面活性剤d) 0.01乃至1.0重量%のカチオン性界面活性剤シート状基材に上記消臭除菌洗浄剤が湿潤状態で保持されてなるシート状物品。【選択図】 なし

Description

本発明は、清掃面の汚れの除去と同時に除菌及びウイルスの除去、並びに清掃面及びその周辺の消臭を行うためのものであり、特に住居内の床や畳、壁紙、リビング、トイレ、キッチン回りの床、壁、設備、電化製品等、或いは、ペットを飼育する室内の清掃、消臭及び除菌に用いられる消臭除菌洗浄剤及びシート状物品に関する。
住居内では様々な場所で汚れや菌、そして気になるニオイが発生する。また、人や動物などを介して住居内のウイルス汚染も発生する。
それらの汚れや菌、不快なニオイ、ウイルスなどを除去するために各種の洗浄剤や消臭剤が提供されている。
近年においては、特に日本では、世帯人数も減少し、単身世帯が主流になりつつある。そういう中で癒しを求めて、ペットを飼う世帯も増えている。室内犬も増加しており、そのような状況を反映して、住居内の汚れ、雑菌、ウイルス、気になるニオイを簡単に除去等できる製品が求められている。
そういう状況を背景にして、これまでに数多くのものが提案されている。
例えば、特開2000-325453には、植物抽出エキスとクエン酸をはじめとする特定種類の有機酸(塩)とグリオキシル酸と、プロピレングリコールをはじめとする特定種類の水溶性溶剤を添加してなる消臭剤が記載されている。明細書中には、植物抽出エキスの具体事例が記載されているが、緑茶抽出物の記載はない。また、シクロデキストリンの記載はない。
特開平4-156851には、シクロデキストリンとクエン酸を含む有機酸からなる消臭剤が示されている。しかしながら、明細書中に緑茶抽出物の記載はない。
特開2002-45893には、硫化水素またはメチルメルカプタン類を含む廃水または汚泥の消臭方法として、過酸化物とカルボン酸基を有する有機酸が示されている。しかしながら、シクロデキストリンや緑茶抽出物の記載はない。
特許3223203号には、クエン酸を含む有機酸と小麦フスマ抽出物を含有するペット用消臭剤が示されている。本文献では、小麦フスマの酸抽出物を得るために、有機酸を用いている。また、小麦フスマ抽出物の小麦臭を除去するために、α-、β-、γ-タイプのシクロデキストリンが用いられている。一方、緑茶抽出物の記載はない。
特許4611498号には、植物抽出物、クエン酸およびその塩、エタノールアミンを含み、pH4乃至5.5の消臭剤組成物が示されている。発明の詳細な説明中では、具体的な植物物抽出物が記載されるが、緑茶抽出物の記載はない。更に、シクロデキストリンの記載もない。
特許4647443号には、緑茶抽出物、クエン酸を含むカルボン酸類から選ばれるpH緩衝効果を有する化合物、アミンオキシド型界面活性剤を含有し、pH6.0乃至7.5の液体消臭剤が示されている。
特許4754267号では、特定の香料成分と緑茶抽出物、およびシクロデキストリンを含む消臭剤が示されている。
特許5031355号では、ナフタレンスルホン酸、シクロデキストリン、緑茶抽出物、およびクエン酸を含む消臭剤が示されている。なお、本文献中での好ましいpH範囲は6乃至9と記載されている。
特開2019-115646には、柿タンニンと、有機酸または有機酸塩を含有し、pH4.0乃至5.5の消臭剤が示されている。
特開2019-156999には、エタノール、両性界面活性剤、第4級アンモニウム塩、およびクエン酸ならびにクエン酸塩を含むpH緩衝剤を含み、pH5.0乃至9.0の消臭性および除菌性を備える洗浄剤が示されている。
特開2000-325453号公報 特開平4-156851号公報 特開2002-45893号公報 特許3223203号公報 特許4611498号公報 特許4647443号公報 特許4754267号公報 特許5031355号公報 特開2019-115646号公報 特開2019-156999号公報
従来、対象面にスプレーすることで除菌消臭する消臭剤では、汚れを除去することができないために、たとえ消臭や除菌ができても、時間の経過とともにニオイの発生や菌の増殖が生じたりすることがあった。また、ペットや幼児が、汚れに触れることで健康を害する心配もあった。
そのようなことから、簡単に対象面の汚れを除去して、サッパリとした仕上りを提供すること。また、ほとんど目に見えないレベルで少量残留する汚れを原因とするニオイの発生や菌の増殖を抑制して清掃後も快適で安全な室内空間が維持されることが望まれている。
本発明は、上記の課題を解決するためのものである。
すなわち、対象面に消臭洗浄剤をスプレーして布等で清拭することにより、あるいはまた消臭洗浄剤が湿潤状態で保持されてなるシート状物品で対象面を清拭することにより、清掃面の汚れの大部分を除去すると同時に、極少量残留してしまう汚れに存在する悪臭物質を消臭すること、汚れを栄養分として増殖する細菌を除菌して清掃面を清潔に保つと同時に、細菌が汚れを代謝することにより新たに悪臭が発生することを抑制すること、更に、人や動物を介して汚染されることがあるウイルスを除去することができる消臭除菌洗浄剤及びシート状物品を提供すること目的とする。
更には、ペットを室内飼育する住居の汚れの洗浄、雑菌、ウイルスの除去と気になるニオイを消臭することができ、清掃後は、洗浄剤の残留によるベタツキがなく、幼児やペットが床に手足で触れても安全な表面が、2度拭きすることなく得られる消臭除菌洗浄剤及びシート状物品を提供することを目的とする。
本発明は、例えば次のように表すことができる。
下記成分a)、b)、c)及びd)を含有するpH3.0乃至5.0の消臭除菌洗浄剤。
a) 0.05乃至0.2M(モル/L)濃度の弱酸性のクエン酸緩衝液であって、クエン酸と、クエン酸ナトリウムおよび/またはクエン酸カリウムからなるもの70乃至99重量%
b) 0.02乃至2.0重量%の緑茶抽出物
c) 0.1乃至2.0重量%の両性界面活性剤
d) 0.01乃至1.0重量%のカチオン性界面活性剤
シート状基材に上記消臭除菌洗浄剤が湿潤状態で保持されてなるシート状物品。
本発明によれば、2度拭きを必要とせず、一回の清拭により、汚れを除去して、仕上り性に優れた清潔で安全な対象面を提供すると同時に、ほとんど目に見えないレベルで残留するごく少量の汚れを原因とする悪臭の発生や菌の増殖も抑制して、快適で安全な室内を清掃後も維持することができ、更に、人や動物を介して汚染されることがあるウイルスを除去することが可能である。
消臭基剤液接触時と消臭基剤シートによる清拭時の各消臭率の相関関係を示す図である。
(1) 本発明のpH3.0乃至5.0の消臭除菌洗浄剤(本発明のシート状物品における消臭除菌洗浄剤)は、次に示されるような成分a)、b)、c)及びd)を含有する水系液体とすることができる。
a)成分
0.05乃至0.2M(モル/L)濃度の弱酸性のクエン酸緩衝液であって、クエン酸と、クエン酸ナトリウムおよび/またはクエン酸カリウム(すなわちクエン酸ナトリウム及びクエン酸カリウムの何れか一方又は両方)からなるものである。
この弱酸性のクエン酸緩衝液は、
0.05乃至0.2M(モル/L)濃度のクエン酸水溶液と、
0.05乃至0.2M(モル/L)濃度のクエン酸ナトリウム水溶液および/またはクエン酸カリウム水溶液(すなわち、クエン酸ナトリウム水溶液及びクエン酸カリウム水溶液の何れか一方又は両方)
を混合して得ることができる。例えば、pH4.1のクエン酸緩衝液を調製する場合は、0.1Mクエン酸水溶液100gに対して、0.1Mクエン酸3ナトリウム水溶液69.5g程度を混合して得ることができる。
本発明の消臭除菌洗浄剤は、この弱酸性のクエン酸緩衝液を70乃至99重量%含有する。
このクエン酸緩衝液のpHは、混合比等により調整し得るが、消臭性能の面から、3.0乃至5.0であることが好ましい。更に好ましくは3.5乃至4.7、とりわけ好ましくは4.0乃至4.5である。
弱酸性の緩衝液を使用することで、塩基性の悪臭であるアンモニアやトリメチルアミンにとりわけ優れた消臭性能を発揮し得る。
また、このクエン酸緩衝液のモル濃度は、0.075M乃至0.15Mであることが、消臭性能と硬質表面の仕上りの両立の点から好ましい。
b)成分
緑茶抽出物である。
緑茶抽出物は、一般に非常に安全性が高く、かつ消臭効果にも優れた基剤である。それゆえ、消臭除菌洗浄剤や清掃シートとして使用した場合も、対象面にわずかに残っても安全性面で優れている。消臭性能では、アンモニア、トリメチルアミン、脂肪酸臭に対して、優れた消臭効果を発揮するので、前述のクエン酸緩衝液の消臭性能を補完する効果がある。
緑茶抽出物として好適に使用することができるものの具体例としては、白井松新薬株式会社製の緑茶乾留エキス(商品名:フレッシュシライマツ[登録商標])を挙げることができる。
本発明の消臭除菌洗浄剤への緑茶抽出物の配合量は、緑茶乾留エキス等の緑茶抽出物の純分として0.02乃至2.0重量%である。0.02%未満だと消臭効果が十分に得られず、2.0重量を超えると対象面の仕上り性が損なわれやすい。
c)成分
両性界面活性剤である。
両性界面活性剤の中でも、アルキルアミンオキシド、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルアミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタインが好ましい。
アルキルアミンオキシドは、酸性の悪臭と反応して、悪臭成分の揮発を抑制する。アルキルアミンオキシドとしては、炭素数8乃至14のアルキル基を有するアミンオキシドが好ましい。
アルキルアミンオキシド以外の両性界面活性剤は、酸性及び塩基性の両方の悪臭成分と反応して、何れの悪臭成分についても揮発を抑制する効果がある。消臭性能では、アンモニア、トリメチルアミン、メチルメルカプタン、脂肪酸にバランスよく効果があるが、とりわけ脂肪酸臭への効果が高い。それゆえ、前述のクエン酸緩衝液の消臭性能を補完する効果がある。ベタイン型あるいはアミノ酸型両性界面活性剤のアルキル基は、1鎖型で炭素数10乃至14であることが好ましい。更には、アルキル鎖長が炭素数10乃至14のアルキルジメチルアミノ酢酸ベタインおよび/またはアルキルアミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインをc)成分の両性界面活性剤として用いることが好ましい。ここで示したアルキルアミンオキシド、ベタイン型、アミノ酸型を含む両性界面活性剤は、本発明の消臭除菌洗浄剤の必須成分であるカチオン界面活性剤との相溶性に優れており、配合適性に優れた基剤である。
c)成分の両性界面活性剤は、悪臭成分の元となる有機物汚れを対象面から除去し、特定範囲の濃度において、べたつきのないキレイな仕上がりを対象面に与えることができる。さらに、住宅設備、家電などのプラスチックに使用されているABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合)樹脂への損傷性(浸透して、樹脂にクラックや割れを引き起こす)が極めて低く、室内にあるあらゆる物品に対する清掃作業に用いることを可能とする。
両性界面活性剤の消臭除菌洗浄剤中への配合量は0.1乃至2.0重量%である。0.1重量%未満だと、洗浄力や消臭効果が十分に得られず、2.0重量%を超えると対象面の仕上り性が損なわれやすい。
前記アルキルアミンオキシドは、インフルエンザウイルスやコロナウイルスなどの感染力を弱める働きが認められている。その効果を発揮するためには、アルキルアミンオキシドが消臭除菌洗浄剤中に0.10重量%以上配合されることが好ましい。
両性界面活性剤は、何れか1種を用いることができる他、複数を組み合わせて用いることもできる。
d)成分
カチオン性界面活性剤である。
カチオン性界面活性剤は、殺菌効果を有しており、細菌の代謝による悪臭の発生を抑制することができる。また、カチオン性界面活性剤は、脂肪酸臭の消臭性能が高い特長を有するので、前述のクエン酸緩衝液の消臭性能を補完する効果がある。
カチオン性界面活性剤の消臭除菌洗浄剤中への配合量は0.01乃至1.0重量%である。0.01重量%未満だと十分な殺菌効果が得られず、1.0重量%の配合量であれば十分な殺菌効果を発現できる。
更に、カチオン界面活性剤は、インフルエンザウイルスやコロナウイルスなどの感染力を弱める働きが認められており、その効果を発揮するためには、消臭除菌洗浄剤中へ0.05乃至1.0重量%の範囲で配合されることが好ましい。
カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩型若しくはアルケニルアミン塩型、第4級アンモニウム塩型、ピリジン環塩含有型が好適に用いられる。カチオン性界面活性剤は、何れか1種を用いることができる他、複数を組み合わせて用いることもできる。
アルキルアミン塩型及びアルケニルアミン塩型としては、モノアルキル(又はアルケニル)アミン、ジアルキル(又はジアルケニル)アミン、トリアルキル(又はトリアルケニル)アミンが好ましい。アルキルアミン塩型におけるアルキル基(又はアルケニルアミン塩型におけるアルケニル基)の炭素数は、6乃至20であることが好ましい。より好ましくは、炭素数10乃至18である。アルキル基(又はアルケニル基)は、直鎖又は分岐鎖とすることができるが、好ましくは直鎖である。好ましい具体例としては、LONZA社のLONZABAC12[N-(3-アミノプロピル)-N-ドデシルプロパン-1,3-ジアミン](「LONZABAC」は商標)が挙げられる。
第4級アンモニウム塩型としては、テトラアルキル(又はテトラアルケニル)アンモニウム塩、あるいはベンジルトリアルキル(又はトリアルケニル)アンモニウム塩が好ましい。第4級アンモニウム塩型におけるアルキル基またはアルケニル基の炭素数は、6乃至20であることが好ましい。より好ましくは炭素数10乃至18である。アルキル基(又はアルケニル基)は、直鎖又は分岐鎖とすることができるが、好ましくは直鎖である。好ましい具体例としては、塩化ドデシルトリメチル4級アンモニウム、塩化テトラデシルトリメチル4級アンモニウム、塩化ヘキサデシルトリメチル4級アンモニウム、炭素数8乃至17のアルキル基を有する塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、N,N-ジデシル-N-メチルポリ(オキシエチル)アンモニウムプロピオネートが挙げられる。
ピリジン環塩含有型としては、アルキル(又はアルケニル)ピリジニウム塩が好ましく、そのアルキル基(又はアルケニル基)の炭素数は6乃至20であることが好ましい。より好ましくは炭素数10乃至18である。好ましい具体例としては、塩化セチルピリジニウムが挙げられる。
(2) 本発明の消臭除菌洗浄剤は、消臭性能をさら高める観点から、上記成分a)、b)、c)及びd)に加えて、e)成分として、シクロデキストリンおよび/またはその誘導体を含有するものであることが好ましい。
シクロデキストリンは食品添加物として認可を受けており、消臭除菌洗浄剤に含有させて使用した場合に(その消臭除菌洗浄剤をシート状物品に含浸させる等して使用した場合を含む)、対象面にわずかに残っても安全性面で優れている。
シクロデキストリン又はその誘導体としては、具体的には、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル化β-シクロデキストリン、メチル化β-シクロデキストリン、モノクロロトリアジノ化β-シクロデキストリンなどが挙げられる。これらの中でも、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル化β-シクロデキストリン、メチル化β-シクロデキストリン、モノクロロトリアジノ化β-シクロデキストリンが好ましい。更に好ましくは、ヒドロキシプロピル化β-シクロデキストリン、メチル化β-シクロデキストリンである。
シクロデキストリン又はその誘導体は、何れか1種を用いることができる他、複数を組み合わせて用いることもできる。
シクロデキストリンおよび/またはその誘導体の消臭除菌洗浄剤中への配合量は、0.1乃至2.0重量%であることが好ましい。0.1重量%未満だと、消臭効果への寄与が十分に得られ難く、2.0重量%を超えると対象面の仕上り性が損なわれやすい。
シクロデキストリン又はその誘導体は、水との比較において、塩基性の悪臭よりも酸性の悪臭に対してより良い消臭効果を発揮し、メチルメルカプタンや脂肪酸に対する消臭性能が高い。それゆえ、前述のクエン酸緩衝液の消臭性能を補完する効果がある。
(3) 本発明の消臭除菌洗浄剤は、尿ジミ、糞便、皮脂、油脂、石鹸カスなどの汚れの洗浄性を高める観点及び仕上り性を良好にする観点から、水溶性溶剤を含有することが好ましい。
水溶性溶剤の好ましい例としては、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、ブタンジオール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、へキシレングリコール、イソペンチルジオール、ジプロピレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
これらの中でも、仕上り性及び衛生性の観点からは、エタノール、イソプロピルアルコールが更に好ましく、より優れた洗浄力と仕上り性の観点からは、プロピレングリコールモノメチルエーテルが更に好ましく、ニオイや仕上り性、対象面に残留してもべたつかず、プラスチック対象面への低損傷性の観点からは、プロピレングリコール、ブタンジオール、へキシレングリコール、イソペンチルジオールが更に好ましい。水溶性溶剤は、ここで示したような機能特性のバランスを踏まえて、1種または2種以上の複数を組み合わせて用いることができる。
水溶性溶剤は、消臭除菌洗浄剤中に2乃至29重量%含有されるのが好ましい。2%未満では、洗浄力が十分に発揮されず、29重量%を超えると、ニオイやベタツキ、手指の脱脂性などの問題が発生しやすい。含有量は前記a)、b)、c)及びd)の成分を除く残部の範囲内とすることができ、特に好ましい含有量は、3乃至10重量%である。
(4) 本発明の消臭除菌洗浄剤には、他に、例えば、無機塩、金属キレート剤、防汚剤、防腐剤、香料、着色剤、顔料、増粘剤、水を配合することができる。
無機塩としては、例えば、硫酸亜鉛等が挙げられる。硫酸亜鉛は、殺菌効果や消臭効果の面で優れた基剤である。
キッチンシンクや洗面台など、水で濯げるような箇所に用いるものとしては、防汚剤を配合した消臭除菌洗浄剤或いはその消臭除菌洗浄剤が湿潤状態で保持されてなるシート状物品を提供することもできる。使用し得る防汚剤としては、例えば、ジアリルジメチルアンモニウム塩またはメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩の4級アンモニウム塩モノマー15乃至40%(モル比)、アクリルアミドモノマー30乃至60%(モル比)、及び、アクリル酸若しくはその塩またはメタクリル酸若しくはその塩のアニオン性モノマー10乃至45%(モル比)の成分から構成される3元系両性ポリマーが挙げられる。好ましい具体例としては、日本ルーブリゾール株式会社製のマーコート(商標)3940、3330、3331、3330PR、3331PR、2001、2003PRなどが挙げられる。
防腐剤としては、特に殺黴効果が高く、清掃面に残っても安全性の高い基剤として、例えば、3-ヨード-2-プロピニルブチルカーバメイトが挙げられる。好ましい具体例としては、LONZA社のOMACIDE IPBC 100(「OMACIDE」は登録商標)、Glycacilシリーズ(「Glycacil」は登録商標)が挙げられる。
(5) 本発明の消臭除菌洗浄剤の使用時の形態(使用方法)としては、例えば、
トリガーやエアゾール等のスプレーヤーを用いて消臭除菌洗浄剤を直接対象面にスプレーして適用する方法、
消臭除菌洗浄剤を容器から対象面に吐出させる等して液状の状態で適用する方法、
不織布や織物等の繊維製品若しくは紙からなるシート状基材又はその他の物品(例えば多孔質材料製の物品、布状材料からなる非シート状物品、ブラシ状物品等)に、消臭除菌洗浄剤を含浸させる等することにより湿潤状態で又はその他の状態で保持させ、そのシート状基材(シート状物品)又はその他の物品により、対象面に対し清拭又はその他の接触処理を行いつつ、その消臭除菌洗浄剤を対象面に適用する方法
等を挙げることができる。
(6) 本発明の消臭除菌洗浄剤がシート状基材に湿潤状態で保持されてなるシート状物品の態様において、そのシート状基材は、消臭除菌洗浄剤の湿潤状態での保持性や対象面への消臭除菌洗浄剤の徐放性の観点から、セルロース繊維をシート状基材中に30%以上含有している不織布や織物等の繊維製品又は紙からなるものであることが好ましい。また、消臭除菌洗浄剤は、洗浄性、消臭性、除菌性、仕上り性、清掃面積(床であれば6畳乃至12畳)の観点から、シート状基材の重量に対して2乃至4倍量の比率でそのシート状基材に湿潤状態で保持されているものであることが好ましい。
(6-1) 更には、髪の毛やペットの毛、繊維状のホコリを絡めとる観点からは、シート状基材は、セルロース系繊維を30乃至100重量%含有しているスパンレース不織布であることが好ましい。スパンレース不織布をシート状基材として用いる場合においても、消臭除菌洗浄剤の湿潤状態での保持量は、シート基材重量に対して2乃至4倍量の比率であることが好ましい。
(6-2) スパンレース不織布の特性としては、髪の毛やペットの毛、繊維状のホコリを絡めとる観点から、不織布を構成する繊維1本1本が緩く水で交絡された不織布であることが特に好ましい。しかし、水で緩く交絡された不織布は、清掃時に力が加わった際に伸びて、形状が歪に変形して弛んでしまったり、凹凸のある表面を清拭した際に、不織布を構成する繊維が引っかかって抜けるというような問題が発生しやすい。
この点について、例えば、特許3664981号には、高強度を有するシート材料の両面又は片面に、繊維ウェブの繊維絡合で形成された不織布状の繊維集合体を配置して、一体化された床用清掃シートが開示されている。
本発明のシート状物品におけるシート状基材の形態を、このような形態(例えば、不織布を構成する繊維1本1本が緩く水で交絡されたスパンレース不織布を、当該スパンレース不織布に比し高強度のシート材料の両面又は片面に配置して三層又は二層積層状とし、それらを例えば繊維の絡合や熱エンボス加工等により一体化したもの)とすることより、髪の毛やペットの毛、繊維状のホコリを絡めとる性能とシート状基材の形状安定性や繊維の抜けを防ぐことが何れも可能となる。
このような形態のシート状基材を用いた本発明のシート状物品は、更に清掃性能を高めることができる。
なお、高強度のシート材料の例としては、不織布、織物、樹脂製ネット、樹脂フィルム等を挙げることができ、これらのシート材料は、積層一体化したシート状物品の強度を維持する点から高強度であるものとすることができる。
試験例
(1) 試験例1乃至3
各種消臭基剤の消臭性能を把握すべく、消臭基剤として下記のpH緩衝液を調製し、消臭性能試験を実施した。
試験例1:0.1Mクエン酸と0.1Mクエン酸3ナトリウムを混合して、pH4.1のクエン酸緩衝液を調製した。
試験例2:0.1M酢酸と0.1M酢酸ナトリウムを混合して、pH5.9の酢酸緩衝液を調製した。
試験例3:0.1M炭酸水素ナトリウムと0.1M炭酸ナトリウムを混合して、pH8.7の炭酸緩衝液を調製した。
調製した緩衝液を用いて、消臭試験を実施した。
<消臭試験>
塩基性の悪臭であるアンモニア及びトリメチルアミン並びに酸性の悪臭であるメチルメルカプタン及び酢酸のそれぞれに関して、試薬とイオン交換水を用いて、下記濃度の悪臭溶液を調製した。
・アンモニア水:25%アンモニア水(試薬[和光純薬社製] 1級)を希釈して、2.5%アンモニア水を調製した。
・トリメチルアミン水:30%トリメチルアミン溶液(和光純薬社製)を希釈して、2.5%トリメチルアミン水を調製した。
・メチルメルカプタンソーダ水:15%メチルメルカプタンソーダ水溶液(東京化成工業製)を希釈して、1.25%メチルメルカプタンソーダ水を調製した。
・酢酸水:酢酸(和光純薬社製 特級)を希釈して、10%酢酸水を調製した。
コック付きの19L容量の真空ポリカデシケーター内の磁製プレート中央部に、内径80mmのガラスシャーレを置き、そのガラスシャーレ内に4cm四方のカット綿(日新医療器株式会社製)を設置した。
そのカット綿に悪臭溶液を滴下し、その直後に、悪臭溶液の滴下部を目掛けて、調製した消臭基剤を0.5ml滴下した。
消臭基剤を滴下した後、直ちにデシケーターのフタをして、フタと本体とをセパラブル用クランプを用いて4箇所固定し、密閉性を確保した。
その状態で30分経過した後、コック部に装着したシリコンチューブに、悪臭濃度を測定するための検知管(ガステック社製)を挿入して、デシケーター内の気体を吸引することにより、デシケーター内の悪臭濃度を測定した。なお、消臭試験は、室内温度を20℃に調整して行った。
以上の手順による消臭試験を、調製した各悪臭溶液(アンモニア水、トリメチルアミン水、メチルメルカプタンソーダ水、酢酸水)毎、及び、各消臭基剤(試験例1乃至3)毎に12通り行い、それぞれ、悪臭濃度を測定した。なお、カット綿に対する悪臭溶液の滴下量は、アンモニア水は91μl、トリメチルアミン水は70μl、メチルメルカプタンソーダ水は50μl、酢酸水は75μlである。
更に、各悪臭溶液について、ブランク(消臭基剤を加えない場合の悪臭濃度)の測定を行った。ブランクの測定は、悪臭溶液をカット綿に滴下した後に消臭基剤の滴下を行わないこと以外は、前記手順と同様に行った。
なお、悪臭溶液の濃度及び悪臭溶液の滴下量は、ブランクの状態での30分経過後のデシケーター内の悪臭濃度が、凡そ、アンモニア100ppm、トリメチルアミン28ppm、メチルメルカプタン8ppm、酢酸10ppmとなるように設定した。これは、SEKマーク繊維製品認証基準における初発の悪臭濃度に準拠したものである。
尤も、ブランクの悪臭濃度は、その時々の温度や湿度の影響を受けて変化するので、試験時の環境条件で測定したブランクの悪臭濃度を基準として、次式により消臭率を算出した。
消臭率(%)=〔(ブランクの悪臭濃度-消臭基剤滴下後の悪臭濃度)/ブランクの悪臭濃度〕×100
各消臭試験における消臭率の結果、すなわち試験例1乃至3のpH緩衝液の各悪臭に対する消臭性能を、表1に示す。
Figure 2022165881000001
表1に示されるように、0.1Mクエン酸緩衝液が、特に、塩基性の悪臭であるアンモニア及びトリメチルアミンに対して、優れた消臭性能を発揮した。
(2) 試験例4
表1における消臭基剤としてのpH緩衝液を、表2に示すイオン交換水並びに表2に化学名及び製品名を示す各消臭基剤についての0.5重量%(純分あるいは有姿)水溶液に代えたこと以外は試験例1乃至3と同様に処理して消臭試験を実施した。
各消臭試験における消臭率の結果、すなわち各消臭基剤の各悪臭に対する消臭性能を、表2に示す。
Figure 2022165881000002
なお、表2に示す各製品の製造者は以下の通りである。
アモーゲンS-H(「アモーゲン」は商標):第一工業製薬株式会社製
アンヒトール20AB(「アンヒトール」は商標):花王株式会社製
アンヒトール20HD:花王株式会社製
ユニセーフA-LM(「ユニセーフ」は商標):日油株式会社製
マイドール12(「マイドール」は商標):花王株式会社製
ノニオンK-220:日油株式会社製
エマルゲン707(「エマルゲン」は商標):花王株式会社製
ニッサンカチオン(「ニッサンカチオン」は商標)BB:日油株式会社製
ニッサンカチオンF2-50R:日油株式会社製
Bardac LF80(「Bardac」は商標):LONZA株式会社製
Lonzabac12(「Lonzabac」は商標):LONZA株式会社製
ニューレックスR(「ニューレックス」は商標):日油株式会社製
ノンサールLN-1(「ノンサール」は商標):日油株式会社製
エマール20CM(「エマール」は商標):花王株式会社製
エマール2F-30:花王株式会社製
フレッシュシライマツFS-500A(「フレッシュシライマツ」は商標):白井松新薬株式会社製
パンシルFG-300(「パンシル」は商標):リリース科学工業株式会社製
クラヴィノール-SE(「クラヴィノール」は商標):キッコーマンバイオケミファ株式会社製
CAVAMAX W6、CAVAMAX W7、CAVASOL W7HP、CAVASOL W7M、CAVASOL W7MCT(「CAVAMAX」及び「CAVASOL」は商標):株式会社シクロケム社製
表2に示されるように、両性界面活性剤(特に、ラウリル酢酸ベタイン及びラウリルアミンオキシド)、カチオン性界面活性剤、ポリフェノール類のうち緑茶抽出物及びブドウ種子抽出物、シクロデキストリンなどが酸性の酢酸臭に優れた消臭性能を発揮した。
(3) 試験例5
(悪臭・消臭液の接触消臭試験)
消臭基剤として、表3に示すイオン交換水及びpH緩衝液、並びに表3に化学名及び製品名を示す各消臭基剤(表2の各消臭基剤のうちブドウ種子抽出物を除く)についての0.5重量%(純分あるいは有姿)水溶液を用い、カット綿に代えて市販のカーペット(ぴたマットループ[商標] ワタナベ工業株式会社製)を4cm×4cmに裁断したものを用い、悪臭溶液としてアンモニア水のみを用いること以外は試験例1乃至3と同様に処理して消臭試験を実施した。
各消臭試験における消臭率の結果、すなわち各消臭基剤の悪臭(アンモニア)に対する接触時の消臭性能を、表3に示す。
(悪臭・消臭液の清拭消臭試験)
「4cm×4cmに裁断したカーペットの悪臭溶液の滴下部を目掛けて消臭基剤を0.5ml滴下すること」に代えて、「4cm×4cmに裁断したカーペットの悪臭溶液の滴下部(悪臭溶液が浸み込んだ場所)を消臭基剤シートで2往復清拭すること」以外は前記(悪臭・消臭液の接触消臭試験)と同様に処理して消臭試験を実施した。
用いた消臭基剤シート(シート状物品)は、スパンレース不織布(レーヨン40%、ポリエステル60% 45g/m)を200mm×300mmに裁断した重量2.7gの1枚(単層)シート(シート状基材)に、前記(悪臭・消臭液の接触消臭試験)に用いた各消臭基剤液2.7倍量(7.3g)を均一状に湿潤状態で保持させたものである。
各消臭試験における消臭率の結果、すなわち各消臭基剤シートの悪臭(アンモニア)に対する清拭時消臭性能を、表3に示す。
Figure 2022165881000003
更に、表3に示される消臭基剤液接触時の消臭率と消臭基剤シートによる清拭時の消臭率の相関関係を図1に示す。
表3に示されるように、アンモニア水と消臭基剤液との液同士の接触による消臭率よりも消臭基剤液を湿潤状態で保持した消臭基剤シートの清拭操作による消臭率の方が高いことがわかる。これは、悪臭物質そのものを清拭操作により物理的に除去していることによると推定される。更に、図1に示されるように、液同士の接触消臭と消臭基剤シートによる清拭消臭の間には相関関係(相関係数0.741)が認められ、清拭による悪臭物質の物理的な除去に加えて、清拭操作で拭きとれなかった悪臭物質と消臭基剤が化学的・物理的に相互作用することで、優れた消臭効果が得られることがわかった。
(1) 実施例1乃至7及び比較例1乃至8
実施例1乃至7として、それぞれ表4に示す組成の消臭除菌洗浄剤を調製した。
また、比較例1乃至8として、それぞれ表5に示す組成の消臭除菌洗浄剤を調製した。
各実施例及び比較例に用いた成分の製法又は製造者は以下の通りである。
0.2Mクエン酸緩衝液:0.2Mクエン酸水溶液と0.2Mクエン酸3ナトリウム水溶液を混合してpH4.1のクエン酸緩衝液を調製した。クエン酸及びクエン酸3ナトリウムは、何れも和光純薬社製の試薬を用いた。
カチオン界面活性剤:塩化ベンザルコニウムは日油株式会社製のニッサンカチオンF2-50R、トリアルキルアミンはLONZA株式会社製のLonzabac12を用いた。
両性界面活性剤:ラウリル酢酸ベタインは第一工業製薬株式会社製のアモーゲンS-Hを、ラウリルアミンオキシドは日油株式会社製のユニセーフA-LMを用いた。
緑茶エキス:白井松新薬株式会社製のフレッシュシライマツFS-500Aを用いた。
シクロデキストリン:株式会社シクロケム製のCAVAMAX W6(α-シクロデキストリン)、CAVAMAX W7(β-シクロデキストリン)、CAVASOL W7HP(ヒドロキシプロピル化β-シクロデキストリン)を用いた。
ノニオン界面活性剤:ラウリルグルコシドとして花王株式会社製マイドール12を用いた。
柿タンニン:リリース科学工業株式会社製のパンシルFG-300を用いた。
実施例1乃至7及び比較例1乃至8としてそれぞれ調製した消臭除菌洗浄剤について、調製後のpHを測定すると共に、0.1Mクエン酸緩衝液がやや苦手とした酸性の悪臭である酢酸とメチルメルカプタンに対する消臭試験を、試験例1乃至3と同様に処理して実施した。
実施例1乃至7についての結果を、試験例1の結果と併せて表4に示し、比較例1乃至8を表5に示す。
Figure 2022165881000004
Figure 2022165881000005
表4及び表5に示されるように、0.1Mクエン酸緩衝液(pH4.1)に緑茶エキス、両性界面活性剤及びカチオン界面活性剤を添加した消臭除菌洗浄剤(実施例1、2、5、7)は、比較例に比べて、酸性悪臭に対して良好な消臭性能を示した。更に、実施例1の処方に各種シクロデキストリンを添加した除菌消臭洗浄剤(実施例3、4、6)も、比較例に比べて良好な消臭性能を示した。
(2) 実施例8及び9
0.2Mクエン酸緩衝液、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、緑茶抽出物、シクロデキストリン、エタノール、イオン交換水を用いて、表6に示す組成の消臭除菌洗浄剤を調製した。
得られた消臭除菌洗浄液100mlを、トリガースプレー容器(フレッシュブリーズ[商標]用スプレー容器 山崎産業株式会社製)に入れて評価試験に供した。
また、試験例5に記載のスパンレース不織布(レーヨン40%、ポリエステル60% 45g/m)を200mm×300mmに裁断した重量2.7gのシートに対し、前記調製された消臭除菌洗浄液2.7倍量(7.3g)を均一状に湿潤状態で保持させた消臭除菌清掃用シートを作製して評価試験に供した。
何れについての評価試験も、消臭性能、洗浄力、仕上り、除菌性能、及び抗ウイルス性について下記のように行った。結果を表6に示す。
(2-1) 消臭性能評価試験
(a) 接触消臭試験と清拭消臭試験
アンモニア水、トリメチルアミン水、メチルメルカプタンソーダ水、及び酢酸水の各悪臭溶液毎に、試験例5と同様に、悪臭・消臭液の接触消臭試験と、悪臭・消臭液の清拭消臭試験を行い、それぞれの消臭率を接触消臭率及び清拭消臭率とした。
(b) 間接接触消臭試験
悪臭溶液と消臭基剤が直接接触しない状態での、揮発した悪臭と消臭液との接触による消臭性能を評価するべく、次のような悪臭・消臭液の間接接触消臭試験を行った。
すなわち、カット綿に代えて市販のカーペット(ぴたマットループ ワタナベ工業株式会社製)を4cm×4cmに裁断したものを用いること、
「悪臭溶液を滴下し、その直後に、悪臭溶液の滴下部を目掛けて消臭基剤を0.5ml滴下すること」に代えて、「上面に約0.5gの消臭除菌洗浄液を付着させたPタイル片を、デシケーター内の磁製プレート上における中央部に置かれたガラスシャーレから4cm離隔した位置に置き、その直後に、そのガラスシャーレ内のカーペットに悪臭溶液を滴下すること」
並びに、
コック部に装着したシリコンチューブに検知管を挿入してデシケーター内の気体を吸引することによるデシケーター内の悪臭濃度の測定を、デシケーターのフタをして密閉性を確保した状態で30分経過した後ではなく120分経過した後に行うこと
以外は、試験例1乃至3と同様に処理することにより、アンモニア水、トリメチルアミン水、及びメチルメルカプタンソーダ水の各悪臭溶液毎に悪臭・消臭液の間接接触消臭試験を実施した。
なお、Pタイル片は、田島ルーフィング株式会社製のPRD-401ビニル床タイルを6cm×6cmに裁断したものであり、
実施例8においては、予め別の場所で1m離れた位置から消臭除菌洗浄剤をスプレーして上面に約0.5gの消臭除菌洗浄液を付着させたPタイル片を用い、その消臭率を間接接触消臭率とし、
実施例9においては、予め別の場所で消臭除菌清掃用シートにより上面を清拭して当該上面に約0.5gの消臭除菌洗浄液を付着させたPタイル片を用い、その消臭率を間接清拭消臭率とした。
また、消臭除菌洗浄液を付着させないPタイル片を同様の位置に載置した上で、ガラスシャーレ内のカーペットに悪臭溶液を滴下したブランクについての、デシケーター内の悪臭濃度の測定も、デシケーターのフタをして密閉性を確保した状態で120分経過した後に行った。
消臭率の算出式は、
消臭率(%)=〔(ブランクの悪臭濃度-消臭除菌洗浄液付着Pタイルを載置した悪臭濃度)/ブランクの悪臭濃度〕×100
である。
(2-2) 洗浄評価試験
一般家庭住宅のキッチン周り、特に、換気扇天板、ガスコンロ周辺に沈着した油汚れの除去性について、評価を行った。
トリガースプレー容器に入れた消臭除菌洗浄剤については、汚れた面に消臭除菌洗浄剤をスプレーし、ペーパータオルで擦ることによって洗浄性を評価した。
また、消臭除菌洗浄剤を湿潤保持した消臭除菌清掃用シートについては、汚れた面を、そのシートで直接に清拭することによって、洗浄性を評価した。
洗浄性の評価は下記の基準で行った。
◎:軽い力で擦るだけで、沈着した油汚れを除去することができた。
○:少し強めに擦ると、沈着した油汚れを除去することができた。
△:強めに擦ると、沈着した油汚れの一部を除去することができた。
×:強めに擦っても、沈着した汚れはほとんど除去することができなかった。
(2-3) 仕上り性評価試験
きれいに洗浄して乾燥させた大きさ200mm×200mm、厚み5mmの正方形のガラス板を用いて、仕上り性の評価を行った。
トリガースプレー容器に入れた消臭除菌洗浄剤については、ガラス板上に2回スプレー(0.75g/回 ×2回=1.5g)して、ペーパータオルでガラス面全体を清拭した後、30分間室温で放置して乾燥させた上で、ガラス面の拭き残りを目視で評価した。
また、消臭除菌洗浄剤を湿潤保持した消臭除菌清掃用シートについては、そのシートで直接、ガラス面全体を清拭した後、30分間室温で放置して乾燥させた上で、ガラス面の拭き残りを目視で評価した。
仕上り性の評価は下記の基準で行った。
◎:ガラス板を光に透かしてみても、拭き残り跡が全く観察されない。
○:ガラス板を光に透かしてみても、僅かに拭き残り跡が観察される程度で、ほとんど気にならない。
△:ガラス板を光に透かしてみて、拭き残りが少し観察される。距離を離しても拭き跡は観察されるため、気になる。
×:光に透かすまでもなく、拭き残りが観察される。乾いた布での二度拭きを必要とするレベルである。
(2-4) 除菌評価試験
トリガースプレー容器に入れた消臭除菌洗浄剤(以下、「A液」と言う。)4.5ml、及び、消臭除菌洗浄剤を湿潤保持した消臭除菌清掃用シートから圧力により絞り出した消臭除菌洗浄剤(以下、「B液」と言う。)4.5mlを、各々25℃に保温した。
一方、黄色ブドウ球菌(s.aureus)、大腸菌(E.coli)及び緑膿菌(P.aeruginos)を等量混合した上で100倍希釈して、106cfu/mlの3種混合の菌母液を調製した。
A液及びB液各4.5mlに3種混合の菌母液を0.5ml添加したものを10秒間試験管ミキサーで攪拌し、50秒間放置後(消臭除菌液と菌液との接触時間1分間)、その混合物から直ちに0.5mlを採取して不活化剤(LP液:レシチン/ポリソルベート80=1.5%/5%)を添加したSCD培地4.5mlと混合攪拌することにより、殺菌反応を停止させた。
反応停止液については、そのままの液、100倍希釈液及び10000倍希釈液(何れも希釈液として生理食塩水を用いて調製)の3種類それぞれ1.0mlを、SCDLP培地(Soybean Casein Digest Agar with Lecitin, polysorbate 80)の入った各々のシャーレに塗抹し、恒温槽で37℃ にて24時間培養した後、コロニー数を測定した。
なお、ブランク(未処理)として、A液及びB液に代えて生理食塩水を用い、同様の操作を行って37℃の恒温槽で24時間培養した後、コロニー数を測定した。
測定結果から、下記式に基づいて、除菌活性値を求めた。
除菌活性値:log(ブランクの生菌数)- log(A液又はB液の生菌数)
この試験では、除菌活性値が2以上であれば効果ありとされている。
(2-5) 抗ウイルス性評価試験
消臭除菌洗浄剤を湿潤保持した消臭除菌清掃用シートから圧力により絞り出した消臭除菌洗浄剤についての抗ウイルス性試験を、外部機関(QTEC)に委託して実施した。
試験概要
・試験ウイルス:A型インフルエンザウイルス(H3N2)
・宿主細胞:MDCK細胞(イヌ腎臓由来細胞)
・対象サンプル:リン酸生理食塩水(以下、PBS)
・試験サンプル:消臭除菌清掃用シートから絞り出した消臭除菌洗浄液
・試験条件:作用温度 25℃、作用時間 1分間
・薬剤不活化剤:SCDLP培地
・感染価測定法:プラーク測定法
試験方法
1) 宿主細胞検証試験
1) -1 細胞毒性確認試験
1.試験サンプル0.1mlをSCDLP培地0.9mlに加え、混合する。
2.得られた混合液の10倍希釈系列を、EMEM (Eagle's minimal essential medium)を用いて作製する。
3.プラーク測定法と同様に細胞を染色し、細胞毒性の有無を確認する。
1) -2 ウイルスへの細胞の感受性確認試験
1.試験サンプル0.5mlをSCDLP培地4.5mlに加え、混合する。
2.得られた混合液の10倍希釈系列を、EMEM (Eagle's minimal essential medium)を用いて作製する。
3.4乃至6×104PFU/mlに調製した試験ウイルス懸濁液を、2.の各希釈系列の1/100量添加する。
4.室温で10分間静置する。
5.プラーク測定法にてウイルス感染価を測定し、ウイルスへの細胞の感受性を確認する。
上記の確認試験については、以下の基準を満たすことで、本試験を実施する。
1) -1:細胞毒性なし
1) -2:ウイルスへの細胞の感受性確認:
log(PBSのウイルス感染価(PFU/ml))-log(試験サンプルのウイルス感染価(PFU/ml))≦0.5
2) 本試験
1.宿主細胞にウイルスを感染させ、培養後、遠心分離によって細胞残渣を除去したものをウイルス懸濁液(>108PFU/ml)とする。
2.試験サンプル0.9mlにウイルス懸濁液0.1mlを加え、25℃で1分間放置する。これを試験液とする。
3.宿主細胞検証試験で不活化が確認された条件で試験液を不活化する。これを反応停止液とする。
4.上記3.の反応停止液を100とし、EMEMで10倍希釈系列を作製し、反応停止液0.1mlあたりのウイルス感染価をプラーク測定法にて測定し、試験液1ml当たりのウイルス感染価を算出する。
抗ウイルス活性値は次の式から算出される。
抗ウイルス活性値=log(Vb)-log(Vc)
[式中、(Vb)は対象サンプル(PBS)のウイルス感染価、(Vc)は試験サンプルのウイルス感染価]
本試験では、抗ウイルス活性値が2以上で効果あり、3以上で十分な効果ありとされている。
Figure 2022165881000006
表6に示されるように、実施例8の消臭除菌洗浄剤(トリガースプレー容器内)及び実施例9の消臭除菌清掃用シート(消臭除菌洗浄剤を湿潤保持)は、塩基性の悪臭から酸性の悪臭にわたって良好な消臭性能を発現した。
また、表6に示される間接接触消臭試験の間接接触消臭率及び間接清拭消臭率の結果より、悪臭物質と消臭液が直接接触せずとも、揮発した悪臭分子に対しても消臭成分が作用して、消臭効果を発揮し得ることが示された。これにより、例えば、床や壁などの硬質表面を洗浄・清拭することで、その表面に存在する悪臭物質のみならず、空間に漂う悪臭分子が、洗浄・清拭により消臭基剤が付着した硬質表面に接触する際に化学的あるいは物理的消臭が発揮されることが示された。
また表6には、各成分を所定の配合率で組み合わせることにより、優れた洗浄率と仕上り性が両立することが示されると共に、カチオン界面活性剤を所定量配合することにより、良好な除菌性能を発揮することが示されている。
更に、表6における実施例9の抗ウイルス活性値は、消臭除菌洗浄剤(消臭除菌清掃用シートから圧力により絞り出したもの)が、インフルエンザウイルスに対して、優れた感染力低下効果を有することを示している。

Claims (8)

  1. 下記成分a)、b)、c)及びd)を含有するpH3.0乃至5.0の消臭除菌洗浄剤。
    a) 0.05乃至0.2M(モル/L)濃度の弱酸性のクエン酸緩衝液であって、クエン酸と、クエン酸ナトリウムおよび/またはクエン酸カリウムからなるもの70乃至99重量%
    b) 0.02乃至2.0重量%の緑茶抽出物
    c) 0.1乃至2.0重量%の両性界面活性剤
    d) 0.01乃至1.0重量%のカチオン性界面活性剤
  2. e) α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル化β-シクロデキストリン、メチル化β-シクロデキストリン、及びモノクロロトリアジノ化β-シクロデキストリンからなる群から選ばれる1又は2以上
    を0.1乃至2.0重量%含有する請求項1の消臭除菌洗浄剤。
  3. c) の両性界面活性剤が、アルキルアミンオキシド、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルアミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、及びアルキルヒドロキシスルホベタインからなる群から選ばれる1又は2以上である請求項1又は2記載の消臭除菌洗浄剤。
  4. d) のカチオン性界面活性剤が、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、及びトリアルキルアミンからなる群から選ばれる1又は2以上である請求項1乃至3の何れか1項に記載の消臭除菌洗浄剤。
  5. f) エタノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、へキシレングリコール、イソペンチルジオール、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルからなる群から選ばれる1又は2以上の水溶性溶剤を2乃至29重量%含有する請求項1乃至4の何れか1項に記載の消臭除菌洗浄剤。
  6. 抗ウイルス効果を有する請求項1乃至5の何れか1項に記載の消臭除菌洗浄剤。
  7. セルロース系繊維を30重量%以上含有する繊維製品又は紙からなるシート状基材に、請求項1乃至6の何れか1項に記載の消臭除菌洗浄剤が、そのシート状基材の重量に対し2乃至4倍量の比率で湿潤状態で保持されてなるシート状物品。
  8. シート状基材が、セルロース系繊維を30重量%以上含有するスパンレース不織布である請求項7記載のシート状物品。
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