JP2022165185A - センサ素子及びセンサ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱電変換素子を用いて電磁波を検出するセンサ素子及びセンサ装置を簡易な構成且つ大面積で実現させる。【解決手段】センサ素子10は、基板102と、基板102上に設けられた直方体状の熱電変換素子108と、熱電変換素子108の幅方向(x方向)の両側に左右対称に設けられた2つの低熱伝導絶縁膜110と、熱電変換素子108の長手方向(y方向)の両端部に設けられた電極112a及び112bと、熱電変換素子108及び低熱伝導絶縁膜110を覆うように設けられた高熱伝導絶縁膜106と、高熱伝導絶縁膜106上の吸収体104とを備える。吸収体104は電磁波を吸収して熱を発生し、発生した熱の一部は、高熱伝導絶縁膜106を介して熱電変換素子108に流れ、異常ネルンスト効果等の横熱電効果によって、温度勾配(z方向)と磁化(x方向)の双方に直交する方向(y方向)に起電力が発生する。【選択図】図1

Description

本発明は、電磁波を検出するセンサ素子及びセンサ装置に関する。
近年、近赤外光、テラヘルツ波、マイクロ波などの電磁波を吸収体で吸収し、発生した熱を熱電変換素子を用いてゼーベック効果(Seebeck effect)によって電気信号に変換することで電磁波を検出する電磁波センサが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許第6095856号公報
ゼーベック効果では、温度差が生じる方向と同一方向に起電力が発生することから、熱源表面から垂直方向にp型モジュールとn型モジュールとを交互に設けた構造に作製する必要がある。よって、ゼーベック効果を用いた電磁波センサは、立体的で複雑になり、製造コストが高い上に、大面積化、薄膜化が困難である。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、熱電変換素子を用いて電磁波を検出するセンサ素子及びセンサ装置を、簡易な構成且つ大面積で実現させることを目的とする。
本発明の一実施形態に係るセンサ素子は、電磁波を検出するセンサ素子であって、基板と、電磁波を吸収して熱を発生する吸収体と、基板と吸収体との間に設けられて吸収体の一部を支持し、吸収体で発生した熱から横熱電効果によって起電力を発生する少なくとも1つの熱電変換素子と、を備える。
本発明の一実施形態に係るセンサ装置は、基板と、基板上にマトリクス状に配置された複数のセンサ構造体と、を備え、複数のセンサ構造体の各々は、電磁波を吸収して熱を発生する吸収体と、基板と吸収体との間に設けられて吸収体の一部を支持し、吸収体で発生した熱から横熱電効果によって起電力を発生する少なくとも1つの熱電変換素子と、を備える。
本発明によれば、電磁波を検出するセンサ素子が横熱電効果を示す熱電変換素子を備えることで、センサ素子及びセンサ装置を簡易な構成及び大面積で実現させることができる。
第1実施形態のセンサ素子の構成を模式的に示す斜視図である。 図1のセンサ構造体の平面図である。 図1のIII-III線矢視断面図である。 第1実施形態のセンサ素子の製造方法の一工程を模式的に示す断面図である。 第1実施形態のセンサ素子の製造方法の一工程を模式的に示す断面図である。 第1実施形態のセンサ素子の製造方法の一工程を模式的に示す断面図である。 第1実施形態のセンサ素子の製造方法の一工程を模式的に示す断面図である。 第1実施形態のセンサ素子の製造方法の一工程を模式的に示す断面図である。 第1実施形態のセンサ素子の製造方法の一工程を模式的に示す断面図である。 第1実施形態のセンサ素子の製造方法の一工程を模式的に示す断面図である。 第1実施形態のセンサ素子の製造方法の一工程を模式的に示す断面図である。 第1実施形態のセンサ素子の別の製造方法の一工程を模式的に示す断面図である。 第1実施形態のセンサ素子の別の製造方法の一工程を模式的に示す断面図である。 第1実施形態のセンサ素子の別の製造方法の一工程を模式的に示す断面図である。 第1実施形態の複数のセンサ構造体が基板上に配置されたセンサ装置の構成を模式的に示す斜視図である。 第2実施形態のセンサ素子の構成を模式的に示す斜視図である。 図7のセンサ構造体の平面図である。 図7のIX-IX線矢視断面図である。 第2実施形態のセンサ素子の製造方法の一工程を模式的に示す断面図である。 第2実施形態のセンサ素子の製造方法の一工程を模式的に示す断面図である。 第2実施形態のセンサ素子の製造方法の一工程を模式的に示す断面図である。 第2実施形態のセンサ素子の製造方法の一工程を模式的に示す断面図である。 第2実施形態のセンサ素子の製造方法の一工程を模式的に示す断面図である。 第2実施形態のセンサ素子の製造方法の一工程を模式的に示す断面図である。 第2実施形態のセンサ素子の製造方法の一工程を模式的に示す断面図である。 第2実施形態のセンサ素子の製造方法の一工程を模式的に示す断面図である。 第2実施形態のセンサ素子の製造方法の一工程を模式的に示す断面図である。 第2実施形態の複数のセンサ構造体が基板上に配置されたセンサ装置の構成を模式的に示す斜視図である。 第3実施形態のセンサ素子の構成を模式的に示す斜視図である。 図12のセンサ構造体の平面図である。 図12のXIV-XIV線矢視断面図である。 第3実施形態のセンサ素子の製造方法の一工程を模式的に示す断面図である。 第3実施形態のセンサ素子の製造方法の一工程を模式的に示す断面図である。 第3実施形態のセンサ素子の製造方法の一工程を模式的に示す断面図である。 第3実施形態のセンサ素子の製造方法の一工程を模式的に示す断面図である。 第3実施形態のセンサ素子の製造方法の一工程を模式的に示す断面図である。 第3実施形態の複数のセンサ構造体が基板上に配置されたセンサ装置の構成を模式的に示す斜視図である。 第4実施形態のセンサ素子の構成を模式的に示す斜視図である。 各実施形態のセンサ装置のパッケージングの一例を示す模式図である。
以下、添付の図面を参照して、本発明の例示の実施形態について説明する。以下の実施形態では、図面全体を通して、同一又は同様の構成要素には同一の符号を付している。図面は模式的なものであり、平面寸法と厚さとの関係、及び各部材の厚さの比率は現実のものとは異なる。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
<第1実施形態>
まず、図1~図6を参照して、本発明の第1実施形態を説明する。
図1に、第1実施形態のセンサ素子10の斜視図を示す。センサ素子10は、電磁波を検出する素子であり、図1に示すように、基板102と、基板102上に設けられたセンサ構造体1004とを備える。図2に、センサ構造体1004の平面図を示し、図3に、図1のIII-III線矢視断面図を示す。
センサ構造体1004は、直方体状の熱電変換素子108と、熱電変換素子108の幅方向(x方向)の両側に左右対称に設けられた2つの低熱伝導絶縁膜110と、熱電変換素子108の長手方向(y方向)の両端部に設けられた電極112a及び112bと、熱電変換素子108及び低熱伝導絶縁膜110を覆うように設けられた高熱伝導絶縁膜106と、高熱伝導絶縁膜106上に設けられた吸収体104とを備える。
基板102は、AlN、MgO、又はAlなどの材料からなる。
吸収体104は、電磁波を吸収して熱を発生する受光素子である。吸収体104は公知の吸収体であり、例えば、NiCr、フェライト材料(特開2017-037999号公報参照)、カーボンナノチューブ薄膜(ACS Appl. Nano Mater. 2018, 1, 6, 2469-2475参照)、又はメタマテリアル系材料(Phys. Rev. B 78, 241103(R) (2008);Phys. Rev. B 82, 205117 (2010)参照)からなる。吸収体104が吸収する電磁波は、近赤外光、テラヘルツ波、又はマイクロ波など、目的の波長帯域の電磁波であり、且つ熱が発生するものであれば、特に限定されない。
高熱伝導絶縁膜106は、熱伝導率が熱電変換素子108の材料よりも高い絶縁体からなる。高熱伝導絶縁膜106の材料として、例えば、AlN、SiC、SiN、又はBN等が挙げられる。
図1及び図3に示すように、熱電変換素子108は、吸収体104及び高熱伝導絶縁膜106の一部を支持している。吸収体104で発生した熱の一部は、高熱伝導絶縁膜106を介して熱電変換素子108に流れ、異常ネルンスト効果に代表される横熱電効果によって、温度勾配(z方向)と磁化(x方向)の双方に直交する方向(y方向)に起電力が発生する。熱電変換素子108を構成する異常ネルンスト効果を示す材料として、例えば、FeGa等のFe-Ga合金、FeAl等のFe-Al合金、CoMnGa、Fe-Ni合金、MnSn、MnGe等が挙げられる。
2つの低熱伝導絶縁膜110は、熱電変換素子108の幅方向の両側、及び基板102と高熱伝導絶縁膜106との間に設けられた、同一形状(直方体)、同一寸法の層間絶縁膜である。低熱伝導絶縁膜110は、熱伝導率が熱電変換素子108の材料よりも低い絶縁体からなる。低熱伝導絶縁膜110の材料として、例えば、SiOが挙げられる。
電極112a及び112bは、Cu等の金属からなり、横熱電効果により熱電変換素子108で発生した起電力を取り出す。起電力の信号は周辺回路(図示せず)で増幅され、電磁波の検出及び強度の測定が行われる。
図1及び図2に示すように、電極112a及び112bは、熱電変換素子108の両端部を覆っており、電極112a及び112bと熱電変換素子108との接触面積を大きくすることで、接触抵抗が小さくなっている。また、図2に示すように、電極112a及び112bは、吸収体104、高熱伝導絶縁膜106及び低熱伝導絶縁膜110から離間して設けられている。
図1及び図2では、熱流に垂直な面(x-y平面)において、吸収体104及び高熱伝導絶縁膜106が正方形をなし、熱電変換素子108の両側の2つの低熱伝導絶縁膜110が長方形である場合を示しているが、これらの形状は特に限定されない。
図2に示すように、y方向において、吸収体104の長さla、高熱伝導絶縁膜106の長さlhi、低熱伝導絶縁膜110の長さlidは等しい。熱電変換素子108の長手方向(y方向)の実際の長さは、la、lhi、lidより長いが、熱電変換素子108のうち、高熱伝導絶縁膜106及び吸収体104により覆われている部分が起電力の発生に寄与するため、以下では当該部分の長さを熱電変換素子108の長さlと定義する(la=lhi=lid=l)。
図2に示すように、x方向において、吸収体104の幅waは、高熱伝導絶縁膜106の幅whiと等しい。図3に示すように、熱電変換素子108の幅をw、1つの低熱伝導絶縁膜110の幅をwidと表記すると、wa=whi=w+2widを満たす。
図3に示すように、z方向において、吸収体104、高熱伝導絶縁膜106、熱電変換素子108、低熱伝導絶縁膜110、及び基板102の厚さを、それぞれ、ta、thi、t、tid、及びtsと表記する。熱電変換素子108の厚さtは、各低熱伝導絶縁膜110の厚さtidと等しい。
次に、第1実施形態及び後述の各実施形態のセンサ素子の性能を表す指標として、感度及び雑音等価電力(noise equivalent power)(以下、「NEP」と呼ぶ。)について説明する。センサ素子に発生する電圧(V)をV、熱流密度(W/m)をqとすると、V/qは、式(1)のように定義される。
Figure 2022165185000002
ここで、SANEは熱電変換素子のネルンスト係数(μV/K)、κANEは熱電変換素子の熱伝導率(W/mK)、pthermは熱収集率、pareaは、センサ素子の熱伝導断面積のうち熱電変換素子が占める割合、AANEは熱電変換素子の面積(m)、Arecは吸収体の面積(m)である。また、lは、上述のように、熱電変換素子の長手方向の長さ(m)である。κ(i=1、2)は、熱電変換素子(i=1)及び低熱伝導絶縁膜(i=2)の熱伝導率(W/mK)であり、Ai(i=1、2)は、それぞれ、熱電変換素子(i=1)及び低熱伝導絶縁膜(i=2)の面積(m)である。なお、本明細書において「熱伝導断面積」及び「面積」は、熱流に垂直な面(図1及び図2のx-y平面)での面積を指している。
吸収体に発生する熱量(W)をQとすると、式(1)より、1つのセンサ素子の感度V/Qは、式(2)のように与えられる。
Figure 2022165185000003
なお、式(2)で表される感度V/Qに対し、吸収体の光から熱への変換効率pを乗算することで、センサ素子全体の感度を求めることができる。式(2)より、センサ素子全体の熱抵抗が高いほど、感度が高くなる。
素子抵抗に起因する熱雑音(V)をVnoiseとすると、NEPは、Vnoise/(V/Q)と定義される。熱雑音Vnoiseは式(3)のように定義される。
Figure 2022165185000004
ここで、k=1.38×10-23(J/K)はボルツマン定数、Tは熱電変換素子の温度(K)、Rは熱電変換素子の電気抵抗(Ω)、ρは熱電変換素子の電気抵抗率(μΩcm)、t及びwは、それぞれ、熱電変換素子の厚さ(m)及び幅(m)(図3参照)である。
よって、式(2)及び式(3)より、1つのセンサ素子のNEPは、式(4)のように与えられる。
Figure 2022165185000005
なお、式(4)で表されるNEPを吸収体の変換効率pで除算することで、センサ素子全体のNEPを求めることができる。
式(2)及び式(4)より、センサ素子全体の熱抵抗が高く、熱電変換素子の体積twlが大きい方が、センサ素子の感度が良く、NEPが低くなる。
次に、図4A~図4Hを参照して、第1実施形態のセンサ素子10の製造方法(以下、「第1製造方法」と呼ぶ。)を説明する。
まず、任意の基板102上にレジストを塗布し、フォトリソグラフィープロセスにより、熱電変換素子108の領域が開口したレジストパターン127を形成する。そして、図4Aに示すように、例えば、スパッタリング法により、横熱電効果を示す材料からなる金属膜128を形成する。次いで、図4Bに示すように、レジストパターン127とともにレジストパターン127上の金属膜128をリフトオフすることにより、熱電変換素子108を得る。
例えば、DCマグネトロンスパッタリングにより、任意の基板102上にFeGa薄膜を室温で成膜することができる。ここで、チャンバーのベース真空度は10-4Pa以下、成膜時の圧力は0.1Pa~1.5Paの範囲で成膜可能であり、例えば、ベース真空度を5×10-7Pa、成膜時の圧力を0.5Paとすることができる。
熱電変換素子108の形成後、レジストを塗布し、フォトリソグラフィープロセスにより、電極112a及び112bの領域が開口したレジストパターン131を形成する。そして、図4Cに示すように、例えば、電子ビーム(EB)蒸着により、電極112a及び112bの材料からなる金属膜132を形成する。次いで、図4Dに示すように、レジストパターン131とともにレジストパターン131上の金属膜132をリフトオフすることにより、電極112a及び112bを得る。
電極112a及び112bの形成後、レジストを塗布し、フォトリソグラフィープロセスにより、低熱伝導絶縁膜110の領域が開口したレジストパターン129を形成する。そして、図4Eに示すように、例えば、スパッタリング法により、低熱伝導絶縁膜110の材料からなる絶縁膜130を熱電変換素子108と同じ厚さで形成する。次いで、図4Fに示すように、レジストパターン129とともにレジストパターン129上の絶縁膜130をリフトオフすることにより、低熱伝導絶縁膜110を得る。なお、スパッタリング法の代わりに、スピンオングラス法によって低熱伝導絶縁膜110を形成してもよい。
低熱伝導絶縁膜110の形成後、レジストを塗布し、フォトリソグラフィープロセスにより、吸収体104及び高熱伝導絶縁膜106の領域が開口したレジストパターン125を形成する。そして、図4Gに示すように、例えば、スパッタリング法により、高熱伝導絶縁膜106の材料からなる絶縁膜126を形成し、吸収体104の材料からなる金属膜124を絶縁膜126上に形成する。次いで、図4Hに示すように、レジストパターン125とともにレジストパターン125上の絶縁膜126及び金属膜124をリフトオフすることにより、高熱伝導絶縁膜106及び吸収体104を得る。これにより、第1実施形態のセンサ素子10が得られる。
吸収体104の幅wa及び長さla、高熱伝導絶縁膜106の幅whi及び長さlhi、並びに熱電変換素子108の長さlは、10μm~1000μmが好ましいが、特に限定されるものではない。吸収体104の厚さtaは2nm~1000nm、高熱伝導絶縁膜106の厚さthiは5nm~100nmが好ましいが、特に限定されるものではない。また、熱電変換素子108の幅wは0.1μm~200μm、厚さtは10nm~10μmが好ましいが、特に限定されるものではない。これらの寸法は、用途などに応じて任意に設定可能である。
次に、第1製造方法により、表1に規定する寸法及び材料を有するセンサ素子10が製造された場合のセンサ素子10の性能を検討する。
Figure 2022165185000006
表2に、熱電変換素子108としてのFeGa薄膜の熱伝導率κANE、面積AANE、ネルンスト係数SANE、及び電気抵抗率ρを示す。
Figure 2022165185000007
この場合、式(2)及び式(4)より、1つのセンサ素子10のV/Q及びNEPは、以下のようになり、センサ素子10の用途によっては、実用可能な数値であると言える。
V/Q=16mV/W、
NEP=112nW
センサ素子10の製造方法は上述の第1製造方法に限定されない。例えば、アニーリングやエッチングプロセスを含む製造方法(以下、「第2製造方法」と呼ぶ。)を採用してもよい。
図5A~図5Cを参照して、センサ素子10の第2製造方法について説明する。
まず、高真空のチャンバー内で、基板102をアニールする。そして、図5Aに示すように、例えば、スパッタリング法により、横熱電効果を示す材料からなる金属膜138を形成する。その後、同じチャンバー内でポストアニールを行う。
次いで、図5Aに示すように、金属膜138上にレジスト139を塗布し、フォトリソグラフィープロセスにより、熱電変換素子108の領域にレジストパターン141を形成する。そして、図5Bに示すように、レジストパターン141をマスクに、金属膜138をドライエッチングする。その後、図5Cに示すように、レジストパターン141をアッシングによって除去し、熱電変換素子108を得る。
熱電変換素子108を形成した後のプロセスは、図4C~図4Hに示したものと同じであるため、その説明を省略する。
例えば、第2製造方法において、FeGa薄膜を成膜するとき、まず、高真空(<10-5Pa)のチャンバー内で、MgO(001)からなる基板102を800℃で10分間アニールする。次に、DCマグネトロンスパッタリングによりFeGa薄膜を室温で形成する。ここで、チャンバーのベース真空度は10-4Pa以下で、成膜時は0.1Pa~1.5Paの範囲で成膜可能であり、例えば、ベース真空度を5×10-7Pa、成膜時の圧力を0.5Paとすることができる。次いで、同じチャンバー内において500℃で30分間ポストアニールを行う。これにより、D0構造を有するFeGa薄膜を得ることができる。
次に、D0構造のFeGa薄膜を熱電変換素子108として備えるセンサ素子10の性能を検討する。
表3に、D0構造のFeGa薄膜の熱伝導率κANE、面積AANE、ネルンスト係数SANE、及び電気抵抗率ρを示す。ここで、基板102の材料(MgO)を除き、センサ素子10の材料及び寸法は、表1に規定されたものと同じである。
Figure 2022165185000008
表3に示すように、D0構造のFeGa薄膜は、表2に示すFeGa薄膜より、ネルンスト係数SANEは高く、電気抵抗率ρは低い。この場合、式(2)及び式(4)より、1つのセンサ素子10のV/Q及びNEPは、以下のようになり、アニーリングプロセスを含まない第1製造方法で製造されたセンサ素子10よりも感度が高く、ノイズ耐性が向上していることがわかる。
V/Q=30mV/W、
NEP=47nW
第2製造方法においてCoMnGa薄膜を成膜するときは、例えば、高真空(<10-5Pa)のチャンバー内で、MgO(001)からなる基板102を800℃で10分間アニールする。次に、DCマグネトロンスパッタリングによりCoMnGa薄膜を室温で形成する。ここでも、チャンバーのベース真空度は10-4Pa以下で、成膜時は0.1Pa~1.5Paの範囲で成膜可能であり、例えば、ベース真空度を1×10-6Pa、成膜時の圧力を1.2Paとすることができる。次いで、同じチャンバー内において550℃で60分間ポストアニールを行う。これにより、L2構造を有するCoMnGa薄膜を得ることができる。
次に、L2構造のCoMnGa薄膜を熱電変換素子108として備えるセンサ素子10の性能を検討する。
表4に、L2構造のCoMnGa薄膜の熱伝導率κANE、面積AANE、ネルンスト係数SANE、及び電気抵抗率ρを示す。ここで、基板102の材料(MgO)と熱電変換素子108の材料を除き、センサ素子10の材料及び寸法は、表1に規定されたものと同じである。
Figure 2022165185000009
この場合、式(2)及び式(4)より、1つのセンサ素子10のV/Q及びNEPは、以下のようになり、上述のD0構造のFeGa薄膜を備えるセンサ素子10とほぼ同等の感度、ノイズ耐性を示していることがわかる。
V/Q=30mV/W、
NEP=46nW
このように、ポストアニーリングプロセスを含む第2製造方法を採用し、熱電変換素子108の結晶性を高めることで、センサ素子10の感度を高め、ノイズ耐性を向上させることができる。
図1に示すセンサ構造体1004を備える様々なセンサ装置を提供することができる。例えば、図6に示すセンサ装置1000は、基板1002上に、複数のセンサ構造体1004がマトリクス状に配置されたセンサアレイであり、各センサ構造体1004をピクセルとしたイメージング装置として機能させることができる。
<第2実施形態>
次に、図7~図11を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。
図7に、第2実施形態のセンサ素子20の斜視図を示す。センサ素子20は、電磁波を検出する素子であり、図7に示すように、基板202と、基板202上に設けられたセンサ構造体2004とを備える。図8に、センサ構造体2004の平面図を示し、図9に、図7のIX-IX線矢視断面図を示す。
センサ構造体2004は、基板202上に互いに離間して配置された直方体状の第1熱電変換素子208及び第2熱電変換素子209と、層間絶縁膜としての低熱伝導絶縁膜210と、第1熱電変換素子208の長手方向(y方向)の両端部に設けられた電極212a及び212bと、第2熱電変換素子209の長手方向(y方向)の両端部に設けられた電極213a及び213bと、第1熱電変換素子208、第2熱電変換素子209及び低熱伝導絶縁膜210を覆うように設けられた高熱伝導絶縁膜206と、高熱伝導絶縁膜206上に設けられた吸収体204とを備える。
図8及び図9に示すように、第1熱電変換素子208及び第2熱電変換素子209は、同一形状、同一寸法であり、その長手方向(y方向)に垂直な方向(x方向)に離間して平行に配置されている。
低熱伝導絶縁膜210は、基板202と高熱伝導絶縁膜206との間の、第1熱電変換素子208及び第2熱電変換素子209以外の領域に設けられている。図7~図9では、第1熱電変換素子208及び第2熱電変換素子209が、吸収体204及び高熱伝導絶縁膜206の幅方向(x方向)の両端部を支持するように設けられているが、この配置に限定されない。第1熱電変換素子208及び第2熱電変換素子209は、吸収体204及び高熱伝導絶縁膜206の幅方向の中心に対して対称に離間して配置されていれば、どの位置でもよい。よって、第1熱電変換素子208及び第2熱電変換素子209は、中心寄りに配置してもよい。この場合、低熱伝導絶縁膜210は、第1熱電変換素子208と第2熱電変換素子209との間だけでなく、第1熱電変換素子208の外側(-x側)、第2熱電変換素子209の外側(+x側)にも配置され得る。
図7及び図8に示すように、電極212a及び212bは、第1熱電変換素子208の両端部を覆っており、電極213a及び213bは、第2熱電変換素子209の両端部を覆っている。また、図8に示すように、電極212a、212b、213a及び213bは、吸収体204、高熱伝導絶縁膜206及び低熱伝導絶縁膜210から離間して設けられている。
センサ素子20の各構成要素の材料及び機能は、第1実施形態のセンサ素子10の対応する構成要素と同一であり、吸収体204、高熱伝導絶縁膜206、第1熱電変換素子208及び第2熱電変換素子209の形状及び寸法も、第1実施形態のセンサ素子10の対応する構成要素と同一であるため、その説明を省略する。
次に、図10A~図10Iを参照して、第2実施形態のセンサ素子20の製造方法(以下、「第3製造方法」と呼ぶ。)を説明する。
まず、高真空のチャンバー内で、基板202をアニールする。そして、図10Aに示すように、例えば、スパッタリング法により、横熱電効果を示す材料からなる金属膜228を形成する。その後、同じチャンバー内でポストアニールを行う。例えば、MgO(001)からなる基板202に、FeGa薄膜又はCoMnGa薄膜を成膜するとき、上述の第1実施形態の第2製造方法で述べた成膜条件(真空度、圧力、温度、アニール時間など)を採用することができる。
次いで、図10Aに示すように、金属膜228上にレジスト229を塗布し、フォトリソグラフィープロセスにより、第1熱電変換素子208及び第2熱電変換素子209の領域にレジストパターン231及び233を形成する。そして、図10Bに示すように、レジストパターン231及び233をマスクに、金属膜228をドライエッチングする。その後、図10Cに示すように、レジストパターン231及び233をアッシングによって除去し、第1熱電変換素子208及び第2熱電変換素子209を得る。
第1熱電変換素子208及び第2熱電変換素子209の形成後、レジストを塗布し、フォトリソグラフィープロセスにより、電極212a、212b、213a及び213bの領域が開口したレジストパターン241を形成する。そして、図10Dに示すように、例えば、EB蒸着により、電極の材料からなる金属膜242を形成する。
次いで、図10Eに示すように、レジストパターン241とともにレジストパターン241上の金属膜242をリフトオフすることにより、電極212a、212b、213a及び213bを得る。
電極212a、212b、213a及び213bの形成後、レジストを塗布し、フォトリソグラフィープロセスにより、低熱伝導絶縁膜210の領域が開口したレジストパターン239を形成する。そして、図10Fに示すように、例えば、スパッタリング法により、低熱伝導絶縁膜210の材料からなる絶縁膜240を第1熱電変換素子208及び第2熱電変換素子209と同じ厚さで形成する。
次いで、図10Gに示すように、レジストパターン239とともにレジストパターン239上の絶縁膜240をリフトオフすることにより、低熱伝導絶縁膜210を得る。なお、スパッタリング法の代わりに、スピンオングラス法によって低熱伝導絶縁膜210を形成してもよい。
低熱伝導絶縁膜210の形成後、レジストを塗布し、フォトリソグラフィープロセスにより、吸収体204及び高熱伝導絶縁膜206の領域が開口したレジストパターン235を形成する。そして、図10Hに示すように、例えば、スパッタリング法により、高熱伝導絶縁膜206の材料からなる絶縁膜236を形成し、吸収体204の材料からなる金属膜234を絶縁膜236上に形成する。
最後に、図10Iに示すように、レジストパターン235とともにレジストパターン235上の絶縁膜236及び金属膜234をリフトオフすることにより、高熱伝導絶縁膜206及び吸収体204を得る。これにより、第2実施形態のセンサ素子20が得られる。
次に、第3製造方法によって、表5に規定する寸法及び材料を有するセンサ素子20を製造した場合のセンサ素子20の性能を検討する。
Figure 2022165185000010
第1熱電変換素子208及び第2熱電変換素子209の各々の熱伝導率κANE、面積AANE、ネルンスト係数SANE、及び電気抵抗率ρは、表4に規定されたものと同じである。
この場合、式(2)及び式(4)より、1つのセンサ素子20のV/Q及びNEPは、以下のようになり、CoMnGa薄膜を備える第1実施形態のセンサ素子10よりも、感度が向上していることがわかる。ここで、式(2)及び式(4)では、2つの熱電変換素子からの寄与が含まれている。
V/Q=41mV/W、
NEP=48nW
第2実施形態においても、図7に示すセンサ構造体2004を備える様々なセンサ装置を提供することができる。例えば、図11に示すセンサ装置2000は、基板2002上に、複数のセンサ構造体2004がマトリクス状に配置されたセンサアレイであり、各センサ構造体2004をピクセルとしたイメージング装置として機能させることができる。
<第3実施形態>
次に、図12~図16を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。
図12に、第3実施形態のセンサ素子30の斜視図を示す。センサ素子30は、電磁波を検出する素子であり、図12に示すように、基板302と、基板302上に設けられたセンサ構造体3004とを備える。図13に、センサ構造体3004の平面図を示し、図14に、図12のXIV-XIV線矢視断面図を示す。
センサ素子30は、第2実施形態のセンサ素子20から低熱伝導絶縁膜210を除いた構成と実質的に同じである。具体的には、センサ素子30のセンサ構造体3004は、高熱伝導絶縁膜306と、高熱伝導絶縁膜306上に設けられた吸収体304と、吸収体304及び高熱伝導絶縁膜306を両持ち支持する直方体状の第1熱電変換素子308及び第2熱電変換素子309と、第1熱電変換素子308の長手方向(y方向)の両端部に設けられた電極312a及び312bと、第2熱電変換素子309の長手方向(y方向)の両端部に設けられた電極313a及び313bとを備える。第1熱電変換素子308と第2熱電変換素子309との間、及び高熱伝導絶縁膜306と基板302との間は中空領域310となっている。
図14に示すように、吸収体304及び高熱伝導絶縁膜306が、第1熱電変換素子308及び第2熱電変換素子309によって両持ち支持されることでブリッジ構造をなしている。センサ素子30が真空中で密封されると、中空領域310は真空となる。
センサ素子30の各構成要素の形状、寸法、材料及び機能は、第2実施形態のセンサ素子20の対応する構成要素と同一であるため、その説明を省略する。
次に、図15A~図15Eを参照して、第3実施形態のセンサ素子30の製造方法(以下、「第4製造方法」と呼ぶ。)を説明する。
基板302上に第1熱電変換素子308、第2熱電変換素子309、電極312a、312b、313a及び313bを形成する工程は、第2実施形態の図10A~図10Eと同じであるため、その説明を省略する。
第1熱電変換素子308、第2熱電変換素子309、電極312a、312b、313a及び313bの形成後、レジストを塗布し、フォトリソグラフィープロセスにより、中空領域310が開口したレジストパターン339を形成する。そして、図15Aに示すように、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法により、第1熱電変換素子308及び第2熱電変換素子309と同じ厚さの潮解性物質層340を形成する。潮解性物質層340は、例えば、塩化ナトリウムやMgO、又は有機材料からなる。
次いで、図15Bに示すように、レジストパターン339とともにレジストパターン339上の潮解性物質層340をリフトオフすることにより、補間層320を得る。
補間層320の形成後、レジストを塗布し、フォトリソグラフィープロセスにより、吸収体304及び高熱伝導絶縁膜306の領域が開口したレジストパターン335を形成する。そして、図15Cに示すように、例えば、スパッタリング法により、高熱伝導絶縁膜306の材料からなる絶縁膜336を形成し、吸収体304の材料からなる金属膜334を絶縁膜336上に形成する。
次いで、図15Dに示すように、レジストパターン335とともにレジストパターン335上の絶縁膜336及び金属膜334をリフトオフすることにより、高熱伝導絶縁膜306及び吸収体304を得る。
最後に、図15Eに示すように、補間層320を水で溶解することにより、補間層320が除去され、中空領域310が形成される。これにより、第3実施形態のセンサ素子30が得られる。
次に、第4製造方法によって、表6に規定する寸法及び材料を有するセンサ素子30を製造した場合のセンサ素子30の性能を検討する。
Figure 2022165185000011
第1熱電変換素子308及び第2熱電変換素子309の各々の熱伝導率κANE、面積AANE、ネルンスト係数SANE、及び電気抵抗率ρは、表4に規定されたものと同じである。
この場合、式(2)及び式(4)より、1つのセンサ素子30のV/Q及びNEPは、以下のようになる。ここで、式(2)及び式(4)では、2つの熱電変換素子からの寄与が含まれている。
V/Q=60mV/W、
NEP=33nW
このように、第3実施形態のセンサ素子30は、第1実施形態のセンサ素子10、第2実施形態のセンサ素子20よりも、感度及びノイズ耐性が著しく向上している。これは、第1熱電変換素子308と第2熱電変換素子309との間に真空の中空領域310を設けることで、吸収体304からの熱流が、第1熱電変換素子308及び第2熱電変換素子309に集中していることを示している。
第3実施形態においても、図12に示すセンサ構造体3004を備える様々なセンサ装置を実現することができる。例えば、図16に示すセンサ装置3000は、基板3002上に、複数のセンサ構造体3004がマトリクス状に配置されたセンサアレイであり、各センサ構造体3004をピクセルとしたイメージング装置として機能させることができる。
第1~第3実施形態のセンサ素子及びセンサ装置によれば、簡易な構成で大面積のデバイスを実現することができる。また、微細加工装置を用いることなく、非常に安価なデバイスを製造することができる。さらに、熱電変換素子の薄型化により、熱容量を抑えた設計が可能となり、応答速度を向上させることができる。このような優れた特性により、例えば、センサ素子を手荷物検査装置等に組み込み、高速で手荷物の内容物をチェックすることが可能となる。また、バックグラウンドノイズを抑制し、S/N比を高めることができる。さらに、センサ素子の構造及び配置により、100K以上の温度幅でμW程度の分解能を実現することができる。
<第4実施形態>
次に、図17を参照して、本発明の第4実施形態について説明する。
第1~第3実施形態の熱電変換素子は薄膜であるのに対し、第4実施形態の熱電変換素子はバルク構造を有する。
図17に、第4実施形態のセンサ素子40の斜視図を示す。センサ素子40は、電磁波を検出する素子であり、図17に示すように、基板402と、板状の高熱伝導絶縁膜406と、高熱伝導絶縁膜406上に設けられた吸収体404と、基板402上で吸収体404及び高熱伝導絶縁膜406を両持ち支持する直方体状の第1熱電変換素子408及び第2熱電変換素子409と、第1熱電変換素子408の長手方向の両端部に設けられた電極412a及び412b(412bは図示せず)と、第2熱電変換素子409の長手方向の両端部に設けられた電極413a及び413bとを備える。第1熱電変換素子408と第2熱電変換素子409との間、及び高熱伝導絶縁膜406と基板402との間は中空領域410となっている。
図17に示すように、吸収体404及び高熱伝導絶縁膜406が、第1熱電変換素子408及び第2熱電変換素子409によって両持ち支持されることでブリッジ構造をなしている。センサ素子40が真空中で密封されると、中空領域410は真空となる。また、センサ素子40の使用時には、第1熱電変換素子408及び第2熱電変換素子409の幅方向に外部磁場Bが印加される。
基板402上に、直方体状に加工した第1熱電変換素子408及び第2熱電変換素子409を、幅方向に離間して平行に配置し、第1熱電変換素子408及び第2熱電変換素子409を支持台として、薄膜の吸収体404と薄膜の高熱伝導絶縁膜406からなる構造体を載せることで、センサ素子40が得られる。
次に、第4実施形態のセンサ素子40の性能を検討する。以下では、センサ素子40が、表7に規定する寸法及び材料を有するものとする。
Figure 2022165185000012
表8に、第1熱電変換素子408及び第2熱電変換素子409の各々の熱伝導率κANE、面積AANE、ネルンスト係数SANE、及び電気抵抗率ρを示す。
Figure 2022165185000013
この場合、式(2)及び式(4)より、1つのセンサ素子40のV/Q及びNEPは、以下のようになる。ここで、式(2)及び式(4)では、2つの熱電変換素子からの寄与が含まれている。
V/Q=0.6mV/W、
NEP=47nW
このように、バルク構造のセンサ素子40は、第1~第3実施形態に示した薄膜の熱電変換素子を備えるセンサ素子より、感度及びノイズ耐性は低下するが、ゼーベック効果を用いた電磁波センサと遜色ない信号を得ることができる。また、第1熱電変換素子408及び第2熱電変換素子409の厚さが、第1~第3実施形態の熱電変換素子よりも厚いため、電気抵抗値が小さいという利点がある。
図18に示すように、上述の各実施形態のセンサ素子又はセンサ装置は、筐体160内で真空密封される。筐体160は、目的の波長帯域の電磁波を透過する材料からなる。効率を高めるため、筐体160をハーフミラーで作製してもよい。センサ素子又はセンサ装置の下部は、例えばCuからなる熱浴150に接しているか、又は冷却装置により温度が一定に保たれている。
各実施形態のセンサ素子及びセンサ装置は、従来のボロメータのように相転移しないため、信号の線形性が高く、幅広いレンジの電磁波を検出することができる。また、ゼーベック効果を用いた電磁波センサとは異なり、吸収体の面積を大きく設定することができるため、効率的に電磁波を熱に変換することができる。
10、20、30、40 センサ素子
102、202、302、1002、2002、3002 基板
104、204、304 吸収体
106、206、306 高熱伝導絶縁膜
108 熱電変換素子
110、210 低熱伝導絶縁膜
112a、112b、212a、212b、213a、213b、312a、312b、313a、313b 電極
208、308 第1熱電変換素子
209、309 第2熱電変換素子
310 中空領域
1000、2000、3000 センサ装置
1004、2004、3004 センサ構造体

Claims (7)

  1. 電磁波を検出するセンサ素子であって、
    基板と、
    前記電磁波を吸収して熱を発生する吸収体と、
    前記基板と前記吸収体との間に設けられて前記吸収体の一部を支持し、前記吸収体で発生した熱から横熱電効果によって起電力を発生する少なくとも1つの熱電変換素子と、
    を備えるセンサ素子。
  2. 前記横熱電効果は異常ネルンスト効果である、請求項1に記載のセンサ素子。
  3. 前記吸収体と前記少なくとも1つの熱電変換素子との間に、熱伝導率が前記少なくとも1つの熱電変換素子の材料よりも高い絶縁体からなる高熱伝導絶縁膜を更に備える、請求項1又は2に記載のセンサ素子。
  4. 前記基板と前記高熱伝導絶縁膜との間の前記少なくとも1つの熱電変換素子以外の領域に、層間絶縁膜として、熱伝導率が前記少なくとも1つの熱電変換素子の材料よりも低い絶縁体からなる低熱伝導絶縁膜を更に備える、請求項3に記載のセンサ素子。
  5. 前記少なくとも1つの熱電変換素子は、長手方向に垂直な方向に互いに離間して配置された直方体状の第1熱電変換素子及び第2熱電変換素子を含み、
    前記基板と前記高熱伝導絶縁膜との間の、前記第1熱電変換素子及び前記第2熱電変換素子以外の領域に、層間絶縁膜として、熱伝導率が前記第1熱電変換素子及び前記第2熱電変換素子の材料よりも低い絶縁体からなる低熱伝導絶縁膜を更に備える、請求項3に記載のセンサ素子。
  6. 前記少なくとも1つの熱電変換素子は、長手方向に垂直な方向に互いに離間して配置された直方体状の第1熱電変換素子及び第2熱電変換素子を含み、
    前記吸収体及び前記高熱伝導絶縁膜が、前記第1熱電変換素子及び前記第2熱電変換素子によって両持ち支持されることでブリッジ構造をなし、
    前記第1熱電変換素子と前記第2熱電変換素子との間、及び前記基板と前記高熱伝導絶縁膜との間に真空の中空領域を備える、請求項3に記載のセンサ素子。
  7. 基板と、
    前記基板上にマトリクス状に配置された複数のセンサ構造体と、を備え、
    前記複数のセンサ構造体の各々は、
    電磁波を吸収して熱を発生する吸収体と、
    前記基板と前記吸収体との間に設けられて前記吸収体の一部を支持し、前記吸収体で発生した熱から横熱電効果によって起電力を発生する少なくとも1つの熱電変換素子と、
    を備える、センサ装置。


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