JP2022165049A - 液体またはスラリーの塗布装置および塗装金属帯の製造方法 - Google Patents

液体またはスラリーの塗布装置および塗装金属帯の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ワイピングによるエッジオーバーコート現象を従来よりも簡易な構成で抑制できる液体またはスラリー塗布装置を提供する。【解決手段】塗布装置は、金属帯に液体等を供給する噴射ノズルと、液体等を金属帯に塗布するロールを有するロールコーターと、ロールコーターの通板方向の下流側に設けられ、金属帯に気体を噴出する気体噴出ノズルと、を有し、気体噴出ノズルは、ノズル本体と、ノズル本体の内部を仕切り幅方向に延在する整流板とを有し、整流板には、幅方向に複数の孔が複数列で設けられ、複数の孔のうち、幅方向の中央にある孔の面積をA0とし、中央から左右方向のk番目にある孔の面積をAk、左右方向の端部の孔の面積をAnとした場合に、Ak-1/Akが0.3以上1.0以下、且つ、A0/Anが1.0未満であり、複数の孔の全面積をSR、開口の面積をSGとした場合に、SR/SGが0.8以上1.8以下である。【選択図】図1

Description

通板される金属帯にロールコーターを用いて液体またはスラリーを塗布する液体またはスラリーの塗布装置および塗装金属帯の製造方法に関する。
従来、連続して通板される鋼板等の金属帯の表面に、様々な物性を有する塗布液を塗布して塗膜を形成し、耐食性、加工性、美観性、絶縁性等の性能を金属帯に付与する処理が行われている。この処理方法を施すコーティング装置としては、ロールコーターが一般的に用いられている。ロールコーターを用いた金属帯に液体またはスラリーを塗布する方式では、金属帯に予め余剰に供給された液体またはスラリーのうちの余剰分を、ロールの押し付け荷重によって金属帯から絞り出し、金属帯上の液体またはスラリーの付着量が調整される。
このようなロールコーター方式では、金属帯上に必要な液体またはスラリーの付着量を確保するために、ロールコーターのロールとして、外周面に溝が彫刻されたゴムロールを使用する場合がある。また、金属帯に対する液体またはスラリーの供給方法としては、スプレーノズルやスリットノズルが一般的に使用される。
ロールコーター方式による液体またはスラリーの塗布処理における代表的な塗布欠陥として、リビングと称されるロールコーターのロール外周方向に発生するスジ状の模様が金属帯に転写される外観欠陥がある。リビングは、ロールコーターのロールと金属帯との間に形成される液メニスカスの流体圧力の変動が表面張力の安定化の効果を上回った際に発生する欠陥として知られている。
リビングを防止する技術として、特許文献1には、スラリーの膜厚をロールコーターによって調整した後、ガスワイピング法により、スラリーに気体を吹き付けることでスラリーの膜厚を再度調整する技術が開示されている。このガスワイピング法は、一般的に製鉄プロセスの連続溶融めっきで適用される技術である。連続溶融めっきプロセスでは、金属帯を溶融金属浴に浸漬させ、当該浴の上方に引き上げた後に、スリットノズルを用いて金属帯の表面に付着しためっきの余剰分を除去し、これにより、所望のめっき付着量に制御している。しかしながら、スリットノズルから噴出させるガス噴出量を、金属帯の幅方向で均一にしたとしても金属帯の幅エッジ部においてガスが横に逃げるので、エッジ部のガス衝突圧が幅方向のエッジ部以外の部分に比べて弱くなる。このため、ガスワイピング後の金属帯で幅方向のエッジ部のめっき付着量が多くなるエッジオーバーコート現象が生じ、生産性を阻害する。
エッジオーバーコート現象を抑制する技術として、特許文献2には、エッジ補助ノズルとメインノズルとを併用し、予めエッジ補助ノズルからエアーを噴出してエッジ部の付着量を調整した上で、下流側のメインノズルで全体をガスワイピングすることでエッジオーバーコート現象を抑制する技術が開示されている。また、特許文献3には、金属帯の表裏側に設けたワイピングノズルを交差させ、幅方向のエッジ部の対向噴流を回避することでエッジオーバーコート現象を抑制する技術が開示されている。
特開平7-62445号公報 特開平4-221054号公報
しかしながら、特許文献2に開示された技術では、メインノズルの下側の鋼板エッジ部近傍にエッジ補助ノズルを設置しており、メインワイピング時に発生したスプラッシュが下側にあるエッジワイピングノズルに付着し、ノズル目詰まりを誘発するという課題がある。また、メインノズルとエッジ補助ノズルとを使用することで、ノズルの個数が増え、設備導入コストやメンテナンスコストが高くなるという課題があった。本発明はこのような課題を鑑みてなされたものであって、その目的は、ワイピングによるエッジオーバーコート現象を従来よりも簡易な構成で抑制できる液体またはスラリー塗布装置を提供することである。
上記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
(1)通板される金属帯に液体またはスラリーを供給する液体またはスラリー噴射ノズルと、前記金属帯に供給された液体またはスラリーを前記金属帯に塗布するロールを有するロールコーターと、前記ロールコーターの通板方向の下流側に設けられ、前記金属帯に気体を噴出する気体噴出ノズルと、を有し、前記気体噴出ノズルは、一端側に前記金属帯の幅方向に延在する開口と前記開口に向けて傾斜する傾斜面とが設けられ、他端側に前記開口から噴出させる気体が供給される気体供給路が設けられた筐体であるノズル本体と、前記筐体内を前記開口が設けられる領域と前記気体供給路が設けられる領域とに仕切る前記幅方向に延在する整流板とを有し、前記整流板には、前記幅方向に複数の孔が複数列で設けられ、前記複数の孔のうち、前記幅方向の中央にある孔の面積をAとし、前記中央から左右方向のk番目(kは1からnの整数)にある孔の面積をAとし、左右方向の端部の孔の面積をAとした場合に、Ak-1/Aが0.3以上1.0以下であり、且つ、A/Aが1.0未満であり、
前記複数の孔の全面積をSとし、前記開口の面積をSとした場合に、S/Sが0.8以上1.8以下である、液体またはスラリー塗布装置。
(2)前記整流板には前記複数の孔が並行配列で設けられる、(1)に記載の液体またはスラリー塗布装置。
(3)前記整流板には前記複数の孔が千鳥配列で設けられる、(1)に記載の液体またはスラリー塗布装置。
(4)前記気体噴出ノズルから噴出される気体の前記金属帯の通板方向に対する角度は、15°以上75°以下である、(1)から(3)のいずれか1つに記載に液体またはスラリー塗布装置。
(5)(1)から(4)のいずれか1つに記載の液体またはスラリー塗布装置を用いて、液体またはスラリーを金属帯に塗布する、塗装金属帯の製造方法。
本発明に係る液体またはスラリー塗布装置では、気体噴出ノズルにおける整流板の複数の孔の面積と開口の面積とを所定の範囲に調整するだけで、ワイピングによるエッジオーバーコート現象を抑制できる。このように、本発明に係る液体またはスラリー塗布装置は、エッジ補助ノズルを用いることなくワイピングによるエッジオーバーコート現象を抑制できるので、従来よりも簡易な構成でエッジオーバーコート現象を抑制できる装置となる。
本実施形態に係る液体等塗布装置10を示す模式図である。 上部気体噴出ノズル18の斜視透過図である。 整流板32の正面図である。 図1におけるA部の拡大図である。 上部気体噴出ノズル18の断面図である。 他の整流板40の正面図である。
本発明者らは、エッジオーバーコート現象の発生を抑制するべく検討を重ねた結果、気体噴出ノズルに設けられた整流板の複数の孔の面積を調整し、金属帯のエッジ部側に噴出させる気体流量を中央部側よりも増加させることで、エッジオーバーコート現象を抑制できることを見出して本発明を完成させた。以下、本発明の実施形態を通じて、本発明を説明する。なお、以後の説明において、液体またはスラリーを「液体等」と記載する。
図1は、本実施形態に係る液体等塗布装置10を示す模式図である。図1を用いて、本実施形態に係る液体等塗布装置10を説明する。
本実施形態に係る液体等塗布装置10は、上部液体等噴射ノズル12と、下部液体等噴射ノズル14と、ロールコーター装置16と、上部気体噴出ノズル18と、下部気体噴出ノズル20とを有する。上部液体等噴射ノズル12は、連続的に水平方向に通板される金属帯24の上面側から液体等22を噴射し、金属帯24の上面側に液体等を供給するスプレーノズルである。下部液体等噴射ノズル14は、金属帯24の下面側から液体等22を噴射し、金属帯24の下面側に液体等22を供給するスプレーノズルである。上部液体等噴射ノズル12および下部液体等噴射ノズル14は、スプレーノズルに限定するものではなく、スリットノズルであってもよく、金属帯24に液体等が供給可能なものであればどのような構造のノズルを用いてもよい。なお、本実施形態に係る液体等塗布装置10は、連続して水平方向に通板される金属帯に限らず、垂直方向に通板される金属帯にも適用できる。
ロールコーター装置16は、上部液体等噴射ノズル12および下部液体等噴射ノズル14の金属帯24の通板方向下流側に設けられる。ロールコーター装置16は、上部ロール26と下部ロール28とを有し、上部ロール26および下部ロール28は金属帯24を上下方向に挟み込むように設置される。上部ロール26は、表面に溝が設けられた溝付きロールであって、金属帯24の上面側における液体等22の付着量を調整する。下部ロール28は、上部ロール26と同じく表面に溝が設けられた溝付きロールであって、金属帯24の下面側における液体等22の付着量を調整する。上部ロール26および下部ロール28の材質はゴムであることが好ましく、特に、耐摩耗性に優れるウレタンゴム、ニトリルゴム等であることが好ましい。ゴムロールを形成するゴム硬度は、ロール寿命の延長の観点からショア硬さA45以上A85以下の範囲内であることが好ましい。
ロール径が小さいと金属帯24のパスライン変動が生じやすくなるので、上部ロール26および下部ロール28のロール径はφ50~400mmであることが好ましい。上部ロール26および下部ロール28の回転方向は、金属帯24の走行方向と同一方向であることが好ましい。上部ロール26および下部ロール28の回転方向を金属帯24の走行方向と同一方向にすることで、上部ロール26および下部ロール28の摩耗を抑制できる。
上部気体噴出ノズル18は、ロールコーター装置16よりも金属帯24の通板方向下流側の上方に設けられる。上部気体噴出ノズル18は、金属帯24の上面に気体を噴出する。これにより、金属帯24の上面側にリビングと称される外観欠陥が発生することを抑制できる。
下部気体噴出ノズル20は、ロールコーター装置16の金属帯24の通板方向下流側の下方に設けられる。上部気体噴出ノズル18は、金属帯24の下面側に気体を噴出する。これにより、金属帯24の下面側にリビングと称される外観欠陥が発生することを抑制できる。このようにして、液体等塗布装置10を用いて、液体等が塗布された塗装金属帯が製造される。なお、以後の説明において、上部気体噴出ノズル18および下部気体噴出ノズル20から金属帯24に気体を噴出させることを「ワイピング」と記載する場合がある。
図2は、上部気体噴出ノズル18の斜視透過図である。図2では、上部気体噴出ノズル18の内部構造を説明するために、筐体30を透過した図にしている。図2を用いて、上部気体噴出ノズル18の構成について説明する。なお、下部気体噴出ノズル20の構成は上部気体噴出ノズル18の構成と同じであるので、重複する下部気体噴出ノズル20の構成の説明は省略する。
上部気体噴出ノズル18は、スリットノズルであって、筐体30と、当該筐体30の内部を開口34が設けられる領域と気体供給路38が設けられる領域とに仕切る金属帯24の幅方向に延在する整流板32とを有する。筐体30は中空の部材であって、一端側に設けられた金属帯24の幅方向に延在するスリット(以後、開口34と記載する。)と、当該開口34に向かってなだらかに傾斜する傾斜面36と、他端側に設けられた気体供給路38とを有する。整流板32は、長手方向に複数の孔が上下方向に2列の並行配列で設けられた矩形の板状部材である。
図3は、整流板32の正面図である。本実施形態における上部気体噴出ノズル18では、金属帯24の幅方向両端のエッジ部側に噴出される気体流量を多くするために、整流板32の幅方向中央部の孔の面積を、幅方向端部の孔の面積よりも小さくしている。具体的には、幅方向中央にある孔の面積をAとし、中央から左右方向のk番目(kは1からnの整数)にある孔の面積をAとし、幅方向両端の孔の面積をAとした場合に、Ak-1/Aを0.3以上1.0以下にし、且つ、A/Aを1.0未満にしている。このように孔の面積を規定することで、金属帯24のエッジ部側の気体流量が増加し、エッジ部のワイピング力が向上するので、エッジオーバーコート現象が抑制される。なお、エッジ部側の気体流量を中央部側よりもさらに多くするため、Ak-1/Aは0.3以上1.0未満であることが好ましく、0.5以上0.8以下であることがより好ましい。
一方、Ak-1/Aが1.0より大きくなると、金属帯24のエッジ部側の気体流量が減少し、エッジ部側のワイピング力が低下するのでエッジオーバーコート現象を抑制できない。また、Ak-1/Aが0.3未満になるとエッジ部側の気体流量が大きく増加し、エッジ部側のワイピング力が向上し過ぎて、エッジアンダーコート現象が発生する場合がある。なお、エッジアンダーコート現象とは、ワイピング後の金属帯24で幅方向両端側の液体等の付着量が少なくなる現象をいう。
また、整流板32の幅方向両端に設けられた孔と、整流板32の板端からの距離Lは2mm以上15mm以下の範囲内であることが好ましい。距離Lを2mm以上15mm以下の範囲内となるように孔を設けることで、ノズル内壁近傍でガスが衝突し、ガス流れが壁面に沿ってガスが流れる成分とそうでない他の成分とに分岐し、当該他の成分が乱流渦になってガス流れに剥離が生じること、および、金属帯24のエッジ部に噴出させるガスが不均一になることを抑制できる。
整流板32の孔を通過した気体は、傾斜面36に沿って流れ、開口34から金属帯24に向けて噴出される。本実施形態に係る上部気体噴出ノズル18では、整流板32に設けられた全孔の面積をSとし、開口34の面積をSとした場合にS/Sを0.8以上1.8以下にしている。S/Sを上記範囲内にすることで、孔を通過してから開口34に至る間で、気流が乱れることが抑制されるとともに、筐体30内における気体の圧力損失を少なくできる。一方、S/Sが0.8未満になると、ノズル先端部から噴出される気体がブロード状に広がってしまい直進性が失われ、気体の噴出流れが乱れてワイピング力が低下する。また、S/Sが1.8より大きくなると、ノズル先端部の縮流による圧力損失が大きくなる。したがって、S/Sは、0.8以上1.8以下であることが必要であり、1.0以上1.6以下であることがより好ましい。
また、金属帯24の幅方向に設けられた複数の孔の間隔は一定であることが好ましい。複数の孔の間隔を一定にすることで、ノズル内の幅方向におけるガス流れの乱れを抑制でき、これにより、上部気体噴出ノズル18から噴出されるガスの幅方向の流量が安定する。
上部気体噴出ノズル18および下部気体噴出ノズル20から、液体等が塗布された金属帯24に気体を噴出させると、噴出された気体により液体等が飛散するスプラッシュが発生する。上部気体噴出ノズル18から気体を金属帯24の通板方向に対して垂直となる方向から噴出させると、スプラッシュは金属帯24の通板方向の上流側および下流側に向けて発生する。このうち、上流側に飛散したスプラッシュは、再度、上部気体噴出ノズル18から噴出される気体によって堰き止められるので、金属帯24に残存しないが、下流側に飛散したスプラッシュは、金属帯24に付着したまま残存し、表面欠陥になる場合がある。また、金属帯24に対して垂直となる方向から気体を噴出させると、上部気体噴出ノズル18位置と、スプラッシュが発生する位置とが同じ位置になるので、当該スプラッシュが下部気体噴出ノズル20に付着し、ノズル目詰まりを発生させる場合がある。
そこで、本実施形態に係る液体等塗布装置10では、上部気体噴出ノズル18から噴出させる気体の金属帯24の通板方向に対する角度(図4のθ)および下部気体噴出ノズル20から噴出させる気体の金属帯24の通板方向に対する角度のノズル角度(図4のθ)を15°以上75°以下の範囲内にしている。なお、以後の説明において、上部気体噴出ノズル18から噴出させる気体の金属帯24の通板方向に対する角度を「ノズル角度」と記載する。
上述したように、気体の噴出角度は、スプラッシュの発生方向に影響する。すなわち、ノズル角度θおよびθを90°より小さくすると、金属帯24の通板方向上流側へのスプラッシュが増加する一方で、通板方向下流側へのスプラッシュは少なくなる。このため、ノズル角度θおよびθを90°よりも小さい角度にすることで、通板方向下流側に飛散するスプラッシュを抑制できる。これにより、スプラッシュの付着による表面欠陥の発生が抑制される。
さらに、ノズル角度θおよびθを90°よりも小さくすると、上部気体噴出ノズル18および下部気体噴出ノズル20の位置は、スプラッシュ発生位置から金属帯24の通板方向下流側に離れるので、スプラッシュが下部気体噴出ノズル20に付着する可能性、および、当該ノズルを目詰まりさせる可能性も低くなる。また、ノズル角度θおよびθを15°以上にすることで上部気体噴出ノズル18および下部気体噴出ノズル20と金属帯24とが離れるので、上部気体噴出ノズル18および下部気体噴出ノズル20と金属帯24とが干渉するリスクを軽減できる。したがって、ノズル角度θおよびθは、15°以上75°以下の範囲内であることが好ましく、30°以上60°以下の範囲内にすることがより好ましい。
上部気体噴出ノズル18および下部気体噴出ノズル20から噴出させる気体の圧力は1kPa以上30kPa以下の範囲内であることが好ましい。上部気体噴出ノズル18および下部気体噴出ノズル20から噴出させる気体の圧力を1kPa以上30kPa以下の範囲内にすることで、金属帯24から飛散するスプラッシュ量の増大を抑制できる。
金属帯24から上部気体噴出ノズル18および下部気体噴出ノズル20までの距離は、10mm以上50mm以下の範囲内であることが好ましい。金属帯24から上部気体噴出ノズル18および下部気体噴出ノズル20までの距離を10mm以上にすることで、パスラインが変動したとしても上部気体噴出ノズル18および下部気体噴出ノズル20と金属帯24とが接触することが抑制される。さらに、金属帯24から上部気体噴出ノズル18および下部気体噴出ノズル20までの距離を50mm以下にすることで金属帯24から離れすぎて、リビングの抑制やエッジオーバーコート現象を抑制するのに必要となる気体流量の増加も抑制できる。
図5は、上部気体噴出ノズル18の断面図である。筐体30の開口34に向かって斜面する傾斜面36同士の傾斜角度をノズル先端角度θとすると、ノズル先端角度θは90°以下であることが好ましい。ノズル先端角度θを90°以下にすることで、開口34から噴出される気体の直進性を向上できる。なお、図5に示した例においては、ノズル先端角度θは中心に対して対称である例を示したが、これに限らず、中心に対して非対称であってもよい。
また、図5の寸法Lをノズルギャップとすると、ノズルギャップは0.5mm以上4.0mm以下の範囲内であることが好ましい。ノズルギャップを0.5mm以上4.0mm以下の範囲内にすることで、スプラッシュの発生およびノズルの目詰まりを防止できる。さらに、ノズルギャップを0.5mm以上4.0mm以下の範囲内にすることで、リビングやエッジオーバーコート現象を抑制するのに必要となる気体流量が増えることも抑制できる。したがって、ノズルギャップは0.5mm以上4.0mm以下であることが好ましく、1.0mm以上3.0mm以下であることがより好ましい。
さらに、ワイピングによって掻きとられる液体等の量が多くなるとスプラッシュ量が増加する。このため、液体等の塗布量を目標値に対して僅かに厚くなるようにロールコーター装置16のニップ圧を調整することが好ましい。
以上、説明したように、本実施形態に係る液体等塗布装置10では、上部気体噴出ノズル18および下部気体噴出ノズル20における整流板32の複数の孔に対して、幅方向の中央にある孔の面積をAとし、中央から左右方向のk番目(kは1からnの整数)にある孔の面積をAとし、幅方向両端部の孔の面積をAとした場合に、Ak-1/Aを0.3以上1.0以下にし、且つ、A/Aを1.0未満にし、さらに、整流板32の孔の全面積をSとし、上部気体噴出ノズル18および下部気体噴出ノズル20における開口34の面積をSとした場合にS/Sを0.8以上1.8以下とすることでワイピングによるエッジオーバーコート現象を抑制できる。このように、本実施形態に係る液体等塗布装置10は、エッジ補助ノズルを用いることなくワイピングによるエッジオーバーコート現象を抑制できるので、従来装置よりも簡易な構成でエッジオーバーコート現象を抑制できる装置といえる。なお、図1に示した例では、上部気体噴出ノズル18および下部気体噴出ノズル20を有する液体等塗布装置10の例を示したが、これに限らない。液体等塗布装置は、上部気体噴出ノズル18および下部気体噴出ノズル20の少なくとも一方を有していればよく、これにより、従来装置よりも簡易な構成でエッジオーバーコート現象を抑制できる装置となる。
また、図3では、整流板32に複数の孔が上下方向に2列の並行配列で設けられた例を示したが、これに限らない。図6は、他の整流板40の正面図である。図6に示すように、整流板40において複数の孔は、上下方向に2列の千鳥配列で設けられている。このように、複数の孔は、千鳥配列で設けられていてもよい。また、列数も2列に限らず、2以上の複数列であればよい。
さらに、上部液体等噴射ノズル12、下部液体等噴射ノズル14はスプレーノズルやスリットノズルを並べて構成されるものに限らず、金属帯30の幅方向を長手として、液体等の噴射口を幅方向に複数並べて構成されるものであってもよい。上部液体等噴射ノズル12、下部液体等噴射ノズル14の下流側にある上部ロール26、下部ロール28は、ゴムロールに限らず、金属製または樹脂製等のゴムロール以外であってもよい。すなわち、ロールコーター装置16のロールの材質は特に限定するものではない。また、ロールコーター装置16のロールの数、段数、配置形態は、所望のものであってよい。また、本実施形態では溝付のロールを使用する例で説明したが、外周面に溝部が形成されていない溝無しのロールであってもよい。本実施形態に係る液体等塗布装置10で液体またはスラリーが塗布される金属帯は、鋼帯に限らず、鋼以外の鉄合金の金属帯であってもよく、銅またはアルミニウムなどの鉄合金以外の金属帯であってもよい。
次に、板厚0.3mm、板幅1000mmの金属帯である鋼帯に対して、ライン速度160~200mpmでMgOスラリーを塗布して塗装鋼帯を製造した実施例を説明する。ロールコーター装置のロールは、表面に等ピッチの凹凸が形成されたHS58のφ165mmの溝付ゴムロールである。ゴムロール諸元は溝深さ0.3mm、溝ピッチ0.5mmである。ロールの回転方向は、鋼帯の通板方向とゴムロールの接触点において同一方向となるフォワード回転方向である。MgOスラリーの付着量を増やす場合には、各ロールと鋼帯とのニップ圧を下げ、MgOスラリーの付着量を減らす場合には、各ロールと金属帯Sとのニップ圧を上げて、鋼帯へのMgOスラリーの付着量を調整した。
MgOスラリーは、水と酸化マグネシウム(MgO)を懸濁させて調整した。MgOスラリーの固形分濃度は10質量%である。供給ポンプを用いてMgOスラリーを上下の噴出ノズルに供給し、噴出ノズルから鋼帯にMgOスラリーを供給し、鋼帯に供給されたMgOスラリーをロールコーター装置のロールで押圧することで鋼帯にMgOスラリーを塗布した。
次に、ロールコーター装置の下流側に設けられたノズル先端角度θが50°である上部気体噴出ノズルおよび下部気体噴出ノズルを用いてワイピングを実施した。ノズル―鋼帯距離は10mmである。また、整流板には、φ10mmの丸孔を間隔5mmで配列させた。配列方法は並行配列または千鳥配列であり、整流板の板端から両端の丸孔までの距離はそれぞれ7.5mmである。
整流板における丸孔の配列、Ak-1/Aの値、面積比S/S、ノズル角度θおよびノズル角度θを変えた上部気体噴出ノズルおよび下部気体噴出ノズルを用いてワイピング処理を行い、MgOスラリーが塗布された塗装鋼帯を製造した。製造された塗装鋼帯に対して幅方向におけるMgOスラリーの付着量分布と、スプラッシュ性の斑点欠陥数とを評価した。幅方向におけるMgOスラリーの付着量分布は、幅方向の一板端から50mm、250mm、500mmの位置のMgOスラリーの付着量を測定し、当該測定値から幅方向におけるMgOスラリーの付着量分布を確認した。MgOスラリーの付着量分布の評価基準は以下の通りである。
[付着量分布の評価基準]
◎:幅方向の付着量分布で、偏差σ:5.0g/m以下
〇:幅方向の付着量分布で、偏差σ:5.0g/mより大きく7.5g/mより小さい
×:幅方向の付着量分布で、偏差σ:7.5g/m以上
また、塗装鋼帯のスプラッシュ性の斑点欠陥数の評価基準は以下の通りである。
[斑点欠陥の評価基準]
◎:スプラッシュ性の斑点欠陥が3点未満/1000m
○:スプラッシュ性の斑点欠陥が3点以上6点未満/1000m
△:スプラッシュ性の斑点欠陥が6点以上10点未満/1000m
×:スプラッシュ性の斑点欠陥が10点以上/1000m
下記表1に塗装鋼帯の製造条件、付着量分布の判定結果および斑点欠陥の判定結果を示す。
Figure 2022165049000002
比較例1、2では、付着量の偏差σが各々8.2g/m、7.9g/mであったので付着量分布を「×」「×」とした。また、スプラッシュが鋼板に付着し、斑点欠陥が各々13、9点存在したので斑点欠陥を「×」「△」とした。
一方、発明例1~8は、付着量の偏差σが全て7.5g/m未満と良好であった。この結果から、本実施形態に係る液体等塗布装置を用いることで、エッジオーバーコート現象を抑制できることが確認された。
また、発明例1~8は気体衝突位置が上面と下面同一であったことから、パスライン変動もほぼ発生しなかった。さらに、発明例1~8では、リビング欠陥も発生しておらず、整流板の並行配列および千鳥配列による幅方向付着量分布への影響は見られなかった。
一方、発明例1~4の斑点欠陥は6点以上となった。これに対し、上部気体噴出ノズルおよび下部気体噴出ノズルのノズル角度を上流側に向けた発明例5~8の斑点欠陥はいずれも5点未満であった。具体的には、発明例5の斑点欠陥は4点であり、発明例6、7の斑点欠陥は2点未満であり、発明例8の斑点欠陥は5点であった。この結果から、ノズル角度θおよびθは、15°以上75°以下であることが好ましく、30°以上60°以下であることがさらに好ましく、これにより、エッジオーバーコート現象を抑制できるとともに斑点欠陥を少なくできることが確認された。
これらの結果から、本実施形態に係る液体等塗布装置を用いることで、エッジ補助ノズルを用いることなくワイピングによるエッジオーバーコート現象を抑制できることが確認され、従来よりも簡易な構成でエッジオーバーコート現象を抑制できることが確認された。
10 液体等塗布装置
12 上部液体等噴射ノズル
14 下部液体等噴射ノズル
16 ロールコーター装置
18 上部気体噴出ノズル
20 下部気体噴出ノズル
22 液体等
24 金属帯
26 上部ロール
28 下部ロール
30 筐体
32 整流板
34 開口
36 傾斜面
38 気体供給路
40 整流板

Claims (5)

  1. 通板される金属帯に液体またはスラリーを供給する液体またはスラリー噴射ノズルと、
    前記金属帯に供給された液体またはスラリーを前記金属帯に塗布するロールを有するロールコーターと、
    前記ロールコーターの通板方向の下流側に設けられ、前記金属帯に気体を噴出する気体噴出ノズルと、を有し、
    前記気体噴出ノズルは、一端側に前記金属帯の幅方向に延在する開口と前記開口に向けて傾斜する傾斜面とが設けられ、他端側に前記開口から噴出させる気体が供給される気体供給路が設けられた筐体と、前記筐体内を前記開口が設けられる領域と前記気体供給路が設けられる領域とに仕切る前記幅方向に延在する整流板とを有し、
    前記整流板には、前記幅方向に複数の孔が複数列で設けられ、前記複数の孔のうち、前記幅方向の中央にある孔の面積をAとし、前記中央から左右方向のk番目(kは1からnの整数)にある孔の面積をAとし、左右方向の端部の孔の面積をAとした場合に、Ak-1/Aが0.3以上1.0以下であり、且つ、A/Aが1.0未満であり、
    前記複数の孔の全面積をSとし、前記開口の面積をSとした場合に、S/Sが0.8以上1.8以下である、液体またはスラリー塗布装置。
  2. 前記整流板には前記複数の孔が並行配列で設けられる、請求項1に記載の液体またはスラリー塗布装置。
  3. 前記整流板には前記複数の孔が千鳥配列で設けられる、請求項1に記載の液体またはスラリー塗布装置。
  4. 前記気体噴出ノズルから噴出される気体の前記金属帯の通板方向に対する角度が15°以上75°以下である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載に液体またはスラリー塗布装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の液体またはスラリー塗布装置を用いて、液体またはスラリーを金属帯に塗布する、塗装金属帯の製造方法。
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