JP2022164149A - ゴム組成物およびその製造方法 - Google Patents

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Mizuya Takeuchi
圭介 前島
Keisuke Maejima
雄介 飯塚
Yusuke Iizuka
英征 五十嵐
Hidemasa Igarashi
智子 川角
Tomoko Kawakado
侑利 野口
Fumitoshi Noguchi
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Abstract

【課題】低発熱性および耐摩耗性を従来レベル以上に改良したシリカを含むゴム組成物およびその製造方法を提供する。【解決手段】天然ゴム、共役ジエン単独重合体、共役ジエン共重合体および共役ジエン-芳香族ビニル共重合体から選択される少なくとも1種のゴム成分とシリカを含み、100℃、歪0.4%、歪3%および歪100%の貯蔵弾性率をE′(0.4%)[MPa]、E′(3%)[MPa]およびE′(100%)[MPa]とし、貯蔵弾性率E′(0.4%)と貯蔵弾性率E′(100%)との差A=E′(0.4%)-E′(100%)が1.6MPa以下、貯蔵弾性率E′(0.4%)と貯蔵弾性率E′(3%)との差B=E′(0.4%)-E′(3%)が、0.252×A-0.007≧B≧0.252×A-0.130の関係を満たすことを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、低発熱性および耐摩耗性に優れたゴム組成物およびその製造方法に関する。
トラックやバスに装着する大型車用タイヤに対する環境規制が年々強化されており、例えば欧州では2016年11月からR117-02が導入され、日本でも2023年に施行される。また北米でもGHG(温室効果ガス)の規制が厳しくなり、加えて各車両メーカが独自にこれらを上回る低燃費性能の基準を求めている。このような状況下で、大型車用タイヤの重要特性である耐摩耗性を高いレベルで確保しながら、法規制や車両メーカから求められる低燃費性能を満たすことが求められる。
大型車用タイヤのトレッドを形成するゴム組成物は、耐摩耗性を確保するため天然ゴムを含むことが多い。一方、低燃費性能を向上させるためのゴム組成物には低発熱性が求められ、カーボンブラック一部をシリカに置き換えることが行われ、より発熱性を小さくするためにはシリカの増量および高分散が求められる。しかしながら、天然ゴムやブタジエンゴムを含むゴム組成物中で、多量のシリカを良好に分散させることは困難である。このため、所望のシリカ分散状態が得られず、低発熱性および耐摩耗性を高い次元で両立させたゴム組成物を得ることは非常に難しかった。
例えば特許文献1~3は、シリカを含むゴム組成物の混練方法を提案するが、上述した大型車用タイヤの耐摩耗性および低燃費性能のより厳しい基準を達成するには必ずしも十分ではないという課題があった。
特許第4346351号公報 特許第4243979号公報 特許第4887673号公報
本発明の目的は、低発熱性および耐摩耗性を従来レベル以上に改良したシリカを含むゴム組成物およびその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成する本発明のゴム組成物は、天然ゴム、共役ジエン単独重合体、共役ジエン共重合体、および共役ジエン-芳香族ビニル共重合体から選択される少なくとも1種のゴム成分、シリカおよびシランカップリング剤を含むゴム組成物であって、該ゴム組成物における100℃、歪0.4%の貯蔵弾性率をE′(0.4%)[MPa]、100℃、歪3%の貯蔵弾性率をE′(3%)[MPa]、100℃、歪100%の貯蔵弾性率をE′(100%)[MPa]とし、前記貯蔵弾性率E′(0.4%)と貯蔵弾性率E′(100%)との差Aを、A=E′(0.4%)-E′(100%)[MPa]、前記貯蔵弾性率E′(0.4%)と貯蔵弾性率E′(3%)との差Bを、B=E′(0.4%)-E′(3%)[MPa]とするとき、前記貯蔵弾性率の差Aおよび差Bが、以下の関係式(1)および(2)を満たすことを特徴とする。
A ≦ 1.6 (1)
0.252×A-0.007 ≧ B ≧ 0.252×A-0.130 (2)
また、本発明のゴム組成物の製造方法は、天然ゴム、共役ジエン単独重合体、共役ジエン共重合体、および共役ジエン-芳香族ビニル共重合体から選択される少なくとも1種のゴム成分、シリカおよびシランカップリング剤を含むゴム組成物の製造方法であって、混練機にシリカを投入、混練し放出する少なくとも1回のシリカ投入混練工程を有し、前記シリカ投入混練工程の後、前記ゴム組成物を混練し放出する全量混練工程を有し、前記シリカ投入混練工程を140℃未満の混合温度で行い、かつ少なくとも1回の前記全量混練工程を140℃以上160℃以下の混合温度で行うことを特徴とする。
本発明のゴム組成物によれば、シリカが良好に分散されているので、低発熱性および耐摩耗性を従来レベル以上に改良することができる。
本発明のゴム組成物の製造方法によれば、シリカ投入混練工程でゴム組成物中にシリカをマクロ的に良好に分配した後、140℃以上160℃以下で混合する全量混練工程において、シリカおよびシランカップリング剤を反応させてよりミクロ的に分散させることにより、シリカを高いレベルで良好に分散させることができるので、低発熱性および耐摩耗性を従来レベル以上に改良したゴム組成物を製造可能にする。
本発明のゴム組成物は、ゴム成分として、天然ゴム、共役ジエン単独重合体、共役ジエン共重合体、および共役ジエン-芳香族ビニル共重合体から選択される少なくとも1種を含む。天然ゴムは、ゴム組成物に通常用いられるものを使用することができる。共役ジエン単独重合体も、ゴム組成物に通常用いられるものを使用することができ、例えばイソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム等を挙げることができる。なかでも、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、等が好ましい。共役ジエン共重合体は、ゴム組成物に通常用いられるものを使用することができ、例えばブタジエン-イソプレンゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、エチレン-アクリルゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム等を挙げることができる。共役ジエン-芳香族ビニル共重合体は、ゴム組成物に通常用いられるものを使用することができ、例えば乳化重合スチレン-ブタジエンゴム、溶液重合スチレン-ブタジエンゴム、スチレン-イソプレンゴム、乳化重合スチレン-ブタジエン-イソプレンゴム、溶液重合スチレン-ブタジエン-イソプレンゴム、乳化重合スチレン-アクリロニトリル-ブタジエンゴム等を挙げることができる。
ゴム成分は、未変性でもよいが、その分子鎖の末端および/または側鎖に各種官能基を有した変性天然ゴム、変性共役ジエン単独重合体、変性共役ジエン共重合体、変性共役ジエン-芳香族ビニル共重合体であってもよい。なかでも、変性基を有する共役ジエン単独重合体、変性基を有する共役ジエン共重合体、および変性基を有する共役ジエン-芳香族ビニル共重合体から選択される少なくとも1種を含むとよい。官能基として、例えば塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン、ヒドロキシ基、ヒドロキシシリル基、アミノ基、アルコキシ基、シリル基、カルボキシル基、エポキシ基、カルボニル基、アミド基、オキシシリル基、シラノール基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、アルデヒド基、等が挙げられる。
ゴム成分として、なかでも天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、変性天然ゴム、変性ブタジエンゴム、変性スチレン-ブタジエンゴムが好ましい。天然ゴムおよび変性天然ゴムは、ゴム成分100質量%中、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40~70質量%含有するとよい。天然ゴムおよび変性天然ゴムを30質量%以上含有することにより、破断特性が高くなり好ましい。
ブタジエンゴムおよび変性ブタジエンゴムは、ゴム成分100質量%中、好ましくは10~40質量%、より好ましくは15~35質量%含有するとよい。ブタジエンゴムおよび変性ブタジエンゴムを10質量%以上含有することにより、耐摩耗性が高くなり好ましい。また、ブタジエンゴムおよび変性ブタジエンゴムを40質量%以下含有することにより、高い破断特性との両立することができ好ましい。
スチレン-ブタジエンゴムおよび変性スチレン-ブタジエンゴムは、ゴム成分100質量%中、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15~90質量%含有するとよい。スチレン-ブタジエンゴムおよび変性スチレン-ブタジエンゴムを10質量%以上含有することにより、耐ティア性能および耐クラック性能が高くなり好ましい。
シリカは、特に制限されるものではなく、ゴム組成物に通常用いられるものであればよい。例えば湿式法シリカ(含水ケイ酸)、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、或いはカーボンブラック表面にシリカを担持させたカーボン-シリカ(デュアル・フェイズ・フィラー)、シランカップリング剤又はポリシロキサンなどシリカとゴムの両方に反応性或いは相溶性のある化合物で処理した表面処理シリカなどを使用することができる。またこれらシリカを単独または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
シリカのCTAB吸着比表面積は、特に制限されないが、好ましくは100~250m2/g、より好ましくは120~210m2/gであるとよい。シリカのCTAB吸着比表面積を100m2/g以上にすることにより、ゴム組成物の耐摩耗性および機械的特性を確保することができる。またシリカのCTAB吸着比表面積を250m2/g以下にすることにより、ウェット性能および低発熱性を良好にすることができる。本明細書において、シリカのCTAB比表面積は、ISO 5794により測定された値とする。
シリカは、ゴム成分100質量部に、好ましくは20質量部以上200質量部以下、より好ましくは25質量部以上160部以下、さらに好ましくは30質量部以上100質量部以下配合するとよい。シリカを20質量部以上配合することにより、ウェット性能および低発熱性を改良することができる。またシリカを200質量部以下配合することにより、耐摩耗性を確保することができる。
ゴム組成物は、シリカと共にシランカップリング剤を配合することが好ましく、シリカの分散性を良好にすることができる。シランカップリング剤は、通常シリカと共に配合する種類を用いることができる。シランカップリング剤は、シリカ量の好ましくは2~20質量%、より好ましくは4~15質量%を配合するとよい。シランカップリング剤の配合量がシリカ量の2質量%以上にすることにより、シリカの分散性を向上する効果が得られ好ましい。また、シランカップリング剤が20質量%以下にすると、シランカップリング剤同士の縮合を抑制し、所望の効果を得ることができ好ましい。
シランカップリング剤は、シリカ配合のゴム組成物に使用可能なものであれば特に制限されるものではないが、硫黄含有シランカップリング剤、アミノ基含有シランカップリング剤等を例示することができる。シランカップリング剤として、例えば、ビス-(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラサルファイド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジサルファイド、3-トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラサルファイド、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-オクタノイルチオ-1-プロピルトリエトキシシラン等の硫黄含有シランカップリング剤、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、等のアミノ基含有シランカップリング剤を例示することができる。なお、3-オクタノイルチオ-1-プロピルトリエトキシシラン等のブロックされたメルカプト基を有するシランカップリング剤を好ましく用いることができる。
ゴム組成物は、シリカおよびシランカップリング剤と共に、炭素数7~20のアルキル基を有するアルキルシランおよび/または液状ポリマーを配合することが好ましく、シリカの分散性をより良好にすることができる。
アルキルシランは、炭素数7~20のアルキル基を有するアルキルトリエトキシシラン、アルキルトリメトキシシラン等を例示することができる。アルキル基として、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基が挙げられる。なかでもゴム成分との相溶性の観点から、炭素数8~10のアルキル基がより好ましく、オクチル基、ノニル基がさらに好ましい。好ましいアルキルシランとして、オクチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、ノニルトリエトキシシラン、ノニルトリメトキシシラン、等を挙げることができる。
アルキルシランの配合量は、シリカ量に対し、好ましくは1~20質量%、より好ましくは2~15質量%にすると良い。アルキルシランをシリカ量の1質量%以上配合することにより、シリカの分散性をより優れたものにすることができる。またアルキルシランをシリカ量の20質量%以下配合することにより、破断物性の低下が抑制され好ましい。
液状ポリマーは、ゴム組成物に使用可能なものであれば特に制限されるものではないが、例えば、液状ブチルゴム、液状イソプレンゴム、液状ブタジエンゴム、液状スチレン-ブタジエンゴム等を挙げることができる。
液状ポリマーの配合量は、シリカ量に対し、好ましくは1~20質量%、より好ましくは2~15質量%にすると良い。液状ポリマーをシリカ量の1質量%以上配合することにより、シリカの分散性をより優れたものにすることができる。また液状ポリマーをシリカ量の20質量%以下配合することにより、破断物性の低下が抑制され好ましい。
ゴム組成物は、シリカ以外の他の充填剤を配合することができる。他の充填材としては、カーボンブラック、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、クレー、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化チタン、硫酸カルシウムを挙げることができる。これらを単独または2種以上を組合わせて使用してもよい。
カーボンブラックとしては、例えばSAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、HMF、SRF等のファーネスカーボンブラックが挙げられ、これらを単独または2種以上を組合わせて使用してもよい。カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、特に制限されるものではないが、好ましくは70~240m2/g、より好ましくは90~200m2/gであるとよい。カーボンブラックの窒素吸着比表面積を70m2/g以上にすることにより、ゴム組成物の機械的特性および耐摩耗性を確保することができる。またカーボンブラックの窒素吸着比表面積を240m2/g以下にすることにより、低発熱性を良好にすることができる。本明細書において、カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、JIS K6217-2に準拠して、測定するものとする。
カーボンブラックは、ゴム成分100質量部に対し好ましくは5~100質量部、より好ましくは10~80質量部配合することができる。カーボンブラックの配合量を5質量部以上にすることにより、ゴム組成物の機械的特性および耐摩耗性を確保することができる。またカーボンブラックの配合量を100質量部以下にすることにより、低発熱性を確保することができる。
ゴム組成物は、加硫又は架橋剤、加硫促進剤、老化防止剤、可塑剤、加工助剤、テルペン系樹脂、熱硬化性樹脂など、一般的に使用される各種添加剤を、本発明の目的を阻害しない範囲内で配合することができる。またかかる添加剤は、ゴム成分に混合、混練してゴム組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量は本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
本発明のゴム組成物は、100℃、歪0.4%の貯蔵弾性率をE′(0.4%)[MPa]、100℃、歪3%の貯蔵弾性率をE′(3%)[MPa]、100℃、歪100%の貯蔵弾性率をE′(100%)[MPa]とし、貯蔵弾性率E′(0.4%)と貯蔵弾性率E′(100%)との差Aを、A=E′(0.4%)-E′(100%)[MPa]、貯蔵弾性率E′(0.4%)と貯蔵弾性率E′(3%)との差Bを、B=E′(0.4%)-E′(3%)[MPa]とするとき、貯蔵弾性率の差Aおよび差Bが、以下の関係式(1)および(2)を満たすものとする。
A ≦ 1.6 (1)
0.252×A-0.007 ≧ B ≧ 0.252×A-0.130 (2)
本明細書において、貯蔵弾性率をE′(0.4%)、E′(3%)、およびE′(100%)は、JIS-K6394に準拠して、粘弾性スペクトロメーターを用い、温度100℃、周波数10Hz、初期歪み0.5%の条件で、動的歪を0.2%から100%まで変化させて測定した動的歪0.4%、3%、および100%のときの動的貯蔵弾性率E′[単位MPa]とする。
貯蔵弾性率の差A[MPa]は、A=E′(0.4%)-E′(100%)で算出され、関係式(1)に記載のとおり1.6MPa以下、好ましくは0.75MPa以上1.6MPa以下である。貯蔵弾性率の差Aを1.6MPa以下にすることにより、シリカの分散性が良好になり転がり抵抗が小さくなる。貯蔵弾性率の差Aの下限を0.75MPaにすることにより、所望のフィラー配合量、ゴムの架橋密度にして耐摩耗性を高くすることができ好ましい。
貯蔵弾性率の差B[MPa]は、A=E′(0.4%)-E′(3%)で算出され、貯蔵弾性率の差Aとの間で、関係式(2)を満たす。
0.252×A-0.007 ≧ B ≧ 0.252×A-0.130 (2)
貯蔵弾性率の差Bを、(0.252×A-0.130)の値以上にすることにより、フィラー配合量を所望量にして、耐摩耗性を高くすることができる。また、貯蔵弾性率の差Bを、(0.252×A-0.007)の値以下にすることにより、サイズの大きなシリカの分散不良塊が少なく低転がり抵抗性となる。貯蔵弾性率の差Bは、貯蔵弾性率の差Aとの間で、関係式(3)を満たすことがより好ましい。
0.252×A-0.027 ≧ B ≧ 0.252×A-0.110 (3)
本発明のゴム組成物は、その断面を、ISO 11345に準拠しディスパーグレーダーにより測定したとき、10μm以下の粒子または粒子塊に由来するホワイトエリア頻度値が、65μm以下の粒子または粒子塊に由来するホワイトエリア頻度値の80%以上であることが好ましい。本明細書において、ホワイトエリア頻度値は、該当する大きさの粒子および粒子塊の個数とする。
10μm以下の粒子または粒子塊に由来するホワイトエリア頻度値を、65μm以下の粒子または粒子塊に由来するホワイトエリア頻度値に対し、80%以上にすることにより、シリカ分散性におけるサイズの大きな分散不良塊が少なくなり、転がり抵抗が小さくなり好ましい。10μm以下の粒子または粒子塊に由来するホワイトエリア頻度値は、より好ましくは85%以上、更に好ましくは88%以上であるとよい。
本明細書において、種々の直径を有する粒子または粒子塊に由来するホワイトエリア頻度値は、ISO 11345に準拠し、ディスパーグレーダー(MonTech社製Disper Tester 3000)を使用し、ゴム組成物の加硫物を試料作製用カッターで平らで掻き傷がない切り口を出して、拡大倍率100倍で測定する。
一般的にゴム組成物の製造方法は、ゴム成分、シリカ、シランカップリング剤等の、加硫系配合剤を除いた原材料を、混合、混練する混練工程と、この混練工程で得られた混合物を冷却し、加硫系配合剤を混合する工程(最終段階の混合工程)の少なくとも2つの工程からなる。
本発明の製造方法は、通常タイヤ用ゴム組成物の製造に用いられるミキサー(混練機)を使用することができる。またミキサーを構成するローターの形式は噛み合い式、非噛み合い式のいずれでもよい。ローターの回転数は、タイヤ用ゴム組成物を製造するときの通常の回転数に設定することができる。
本発明のゴム組成物の製造方法は、上述した混練工程を複数回、すなわち、混練機にシリカを投入、混練し放出するシリカ投入混練工程を少なくとも1回有し、加えてシリカ投入混練工程の後、ゴム組成物を混練し放出する全量混練工程を少なくとも1回有する。すなわち、シリカ投入混練工程および全量混練工程は、それぞれ1回以上行うことができ、2回以上行ってもよい。
シリカ投入混練工程は、混練機にシリカを投入し、140℃未満の混合温度で混練し放出する工程である。ゴム組成物を製造する最初のステップとして、シリカ投入混練工程を行ってもよいし、或いはシリカ投入混練工程より前に、シリカを除く他の原材料の少なくとも一部を、混練機に投入、混練し放出する工程を行ってもよい。いずれのシリカ投入混練工程においても、混練機にシリカを投入する前、シリカの投入と同時、或いはシリカを投入、混合した後に、他の原材料の一部または全部を投入し混合することができる。好適なシリカ投入混練工程として、空の混練機に最初にシリカおよびシランカップリング剤を投入、混合した後、その混練機にゴム成分の少なくとも1部を投入、混練し放出する操作が挙げられる。シリカおよびシランカップリング剤を先に混合することにより、ミキサーの温度を低下させ、次にゴム成分を混練するときの温度を下げ、ミキサー内の混練強度をより大きくしシリカの分配性をよりよくすることができる。シリカは、設計されたシリカの全量を一括で混練機に投入してもよいし、その一部を分割して、同一のシリカ投入混練工程または異なるシリカ投入混練工程において混練機に投入し混合してもよい。すなわち、シリカ投入混練工程は、上記のとおり、1回以上行うことができ、2回行ってもよい。
シリカ投入混練工程では、混練機にシリカを投入し、140℃未満、好ましくは125℃~135℃の混合温度で混練し放出する。140℃未満でシリカを混合、混練することにより、ゴム成分中にシリカを良好に物理的に分配させることができる。また混合温度を140℃未満とすることにより、シリカとシランカップリング剤との混合に際し両者間の反応を抑制し、両者を同時かつ良好にゴム成分中に分配させることができる。これにより、シリカおよびシランカップリング剤が大きな塊状のままで反応することを防ぐことができる。
シリカ投入混練工程を2回以上行うとき、シランカップリング剤は、1つのシリカ投入混練工程で、その全量を投入してもよいし、複数に分割して投入してもよい。さらに、シリカ投入混練工程および全量混練工程において、シランカップリング剤を複数に分割して投入してもよい。シランカップリング剤を複数に分割して投入することにより、シリカの物理的な分散が十分に進む前にシランカップリング剤とシリカの反応が抑制され好ましい。
全量混練工程は、シリカ投入混練工程の後、加硫系配合剤を混合する最終段階の混合工程よりも前に行う混練工程であり、140℃以上160℃以下の混合温度で行う工程である。140℃以上160℃以下で混合することにより、シリカ投入混練工程で良好に分配させたシリカおよびシランカップリング剤を互いに反応させ、ゴム成分中におけるシリカの分散性をより優れたものにすることができる。全量混練工程における混合温度は、好ましくは145℃~155℃であるとよい。
全量混練工程では、加硫系配合剤を除いた原材料のすべてを含有するゴム組成物を投入、混練することができる。ただし、熱膨張性マイクロカプセルや中空充填材など、最終段階の混合工程において投入、混合することが好ましい配合材料はこの限りではない。また、加硫系配合剤を除いた配合剤は、ゴム成分と同時に投入し混練しても、ゴム成分の混練を終えた後に投入し混合してもよい。加硫系配合剤を除く配合剤としては、老化防止剤、可塑剤、加工助剤、液状ポリマー、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂、石油樹脂、熱硬化性樹脂などのタイヤ用ゴム組成物に一般的に使用される各種添加剤を例示することができる。これら配合剤は、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。例えばカーボンブラックなどのシリカ以外の充填剤をゴム成分の投入と同時に投入、混練したり、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤などの所謂ゴム薬をゴム成分の投入と同時に投入、混練したり、或はゴム成分の混練を終えた後にアロマオイルを投入し混合してもよい。
シリカ投入混練工程の後、140℃以上160℃以下の混合温度で行う全量混練工程を1回以上行うと共に、140℃未満の混合温度で行う混練工程を少なくとも1回実施することができる。この混練工程で混練する成分は、シリカ投入混練工程と同じでもよいし、全量混練工程と同じでもよい。なお、140℃未満の混練工程は、140℃以上160℃以下の混合温度で行う全量混練工程の前に行うとよい。140℃未満の混練工程を全量混練工程の前に行うことにより、シリカとシランカップリング剤との反応前に、ゴム成分中にシリカを良好に物理的に分散させることができ好ましい。
以下、実施例によって本発明をさらに説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1~3,9~11、標準例1,2、および比較例1~3
表5に示す共通配合を有し、表1および3に記載された11種類のゴム組成物(実施例1~3,9~11、標準例1,2、および比較例1~3)を、表1および3に記載されたシリカ投入混練工程Aおよび全量混練工程Aを行うことにより製造した。なお、SBR2は37.5質量部のオイルを含む油展品のため、上段にSBR2としての配合量を記載し、下段の括弧内にSBRの正味の配合量を記載する。なお、後述する表4についても同様に記載する。表5のゴム組成物の共通配合は、表1および3のゴム成分100質量部に対する質量部を記載した。シリカ投入混練工程Aでは、硫黄および加硫促進剤を除く原材料をミキサー(容量1.7リットルの密閉式バンバリーミキサー、神戸製鋼社製)に投入し、表1および3に示すシリカ投入混練工程Aの混合温度で混練し、混練物1を得、ミキサーから放出した。次に全量混練工程Aとして、混練物1を再度ミキサーに投入し、表1および3に示す全量混練工程Aの混合温度で混練し、混練物2を得、ミキサーから放出した。その後、混練物2および硫黄および加硫促進剤をロールに投入し混合することにより、ゴム組成物を調製した。
実施例4
表5に示す共通配合を有し、表2の実施例4のゴム組成物を、シリカ投入混練工程Aおよび全量混練工程Aを行うことにより製造した。表5のゴム組成物の共通配合は、表2のゴム成分100質量部に対する質量部を記載した。シリカ投入混練工程Aでは、最初にシリカおよびカップリング剤をミキサー(容量1.7リットルの密閉式バンバリーミキサー、神戸製鋼社製)に投入し混合した。そのミキサーへ、シリカ、カップリング剤、硫黄および加硫促進剤を除く原材料を投入し、シリカ投入混練工程Aの混合温度で混練し、混練物1を得、ミキサーから放出した。次に全量混練工程Aとして、混練物1を再度ミキサーに投入し、全量混練工程Aの混合温度で混練し、混練物2を得、ミキサーから放出した。その後、混練物2および硫黄および加硫促進剤をロールに投入し混合することにより、実施例4のゴム組成物を調製した。
実施例5
表5に示す共通配合を有し、表2の実施例5のゴム組成物を、シリカ投入混練工程A、シリカ投入混練工程B、および全量混練工程Aを行うことにより製造した。表5のゴム組成物の共通配合は、表2のゴム成分100質量部に対する質量部を記載した。シリカ投入混練工程Aでは、硫黄および加硫促進剤を除く共通配合剤、および表2のシリカ投入混練工程Aに記載した原材料を、ミキサー(容量1.7リットルの密閉式バンバリーミキサー、神戸製鋼社製)に投入し、シリカ投入混練工程Aの混合温度で混練し、混練物1を得、ミキサーから放出した。次にシリカ投入混練工程Bとして、混練物1および表2のシリカ投入混練工程Bに記載した原材料を、再度ミキサーに投入し、シリカ投入混練工程Bの混合温度で混練し、混練物2を得、ミキサーから放出した。更に全量混練工程Aとして、混練物2を再度ミキサーに投入し、全量混練工程Aの混合温度で混練し、混練物3を得、ミキサーから放出した。その後、混練物3および硫黄および加硫促進剤をロールに投入し混合することにより、実施例5のゴム組成物を調製した。
実施例6
表5に示す共通配合を有し、表2の実施例6のゴム組成物を、シリカ投入混練工程A、シリカ投入混練工程B、および全量混練工程Aを行うことにより製造した。表5のゴム組成物の共通配合は、表2のゴム成分100質量部に対する質量部を記載した。シリカ投入混練工程Aでは、最初にシリカおよびカップリング剤をミキサー(容量1.7リットルの密閉式バンバリーミキサー、神戸製鋼社製)に投入し混合した。そのミキサーへ、シリカ、カップリング剤、表5に記載の硫黄および加硫促進剤を除く共通配合剤、並びに表2のシリカ投入混練工程Aに記載した原材料を投入し、シリカ投入混練工程Aの混合温度で混練し、混練物1を得、ミキサーから放出した。次にシリカ投入混練工程Bとして、混練物1および表2のシリカ投入混練工程Bに記載した原材料を、再度ミキサーに投入し、シリカ投入混練工程Bの混合温度で混練し、混練物2を得、ミキサーから放出した。更に全量混練工程Aとして、混練物2を再度ミキサーに投入し、全量混練工程Aの混合温度で混練し、混練物3を得、ミキサーから放出した。その後、混練物3および硫黄および加硫促進剤をロールに投入し混合することにより、実施例6のゴム組成物を調製した。
実施例7
表5に示す共通配合を有し、表2の実施例7のゴム組成物を、シリカ投入混練工程A、全量混練工程A、および全量混練工程Bを行うことにより製造した。表5のゴム組成物の共通配合は、表2のゴム成分100質量部に対する質量部を記載した。シリカ投入混練工程Aでは、硫黄および加硫促進剤を除く共通配合剤、および表2のシリカ投入混練工程Aに記載した原材料を、ミキサー(容量1.7リットルの密閉式バンバリーミキサー、神戸製鋼社製)に投入し、シリカ投入混練工程Aの混合温度で混練し、混練物1を得、ミキサーから放出した。次に全量混練工程Aとして、混練物1を再度ミキサーに投入し、全量混練工程Aの混合温度で混練し、混練物2を得、ミキサーから放出した。更に全量混練工程Bとして、混練物2を再度ミキサーに投入し、全量混練工程Bの混合温度で混練し、混練物3を得、ミキサーから放出した。その後、混練物3および硫黄および加硫促進剤をロールに投入し混合することにより、実施例7のゴム組成物を調製した。
実施例8
表5に示す共通配合を有し、表2の実施例8のゴム組成物を、シリカ投入混練工程A、シリカ投入混練工程B、全量混練工程A、および全量混練工程Bを行うことにより製造した。表5のゴム組成物の共通配合は、表2のゴム成分100質量部に対する質量部を記載した。シリカ投入混練工程Aでは、硫黄および加硫促進剤を除く共通配合剤、および表2のシリカ投入混練工程Aに記載した原材料を、ミキサー(容量1.7リットルの密閉式バンバリーミキサー、神戸製鋼社製)に投入し、シリカ投入混練工程Aの混合温度で混練し、混練物1を得、ミキサーから放出した。次にシリカ投入混練工程Bとして、混練物1および表2のシリカ投入混練工程Bに記載した原材料を、再度ミキサーに投入し、シリカ投入混練工程Bの混合温度で混練し、混練物2を得、ミキサーから放出した。次に全量混練工程Aとして、混練物2を再度ミキサーに投入し、全量混練工程Aの混合温度で混練し、混練物3を得、ミキサーから放出した。更に全量混練工程Bとして、混練物3を再度ミキサーに投入し、全量混練工程Bの混合温度で混練し、混練物4を得、ミキサーから放出した。その後、混練物4および硫黄および加硫促進剤をロールに投入し混合することにより、実施例8のゴム組成物を調製した。
実施例12
表5に示す共通配合を有し、表4の実施例12のゴム組成物を、シリカ投入混練工程Aおよび全量混練工程Aを行うことにより製造した。表5のゴム組成物の共通配合は、表4のゴム成分100質量部に対する質量部を記載した。シリカ投入混練工程Aでは、最初にシリカおよびカップリング剤をミキサー(容量1.7リットルの密閉式バンバリーミキサー、神戸製鋼社製)に投入し混合した。そのミキサーへ、シリカ、カップリング剤、硫黄および加硫促進剤を除く原材料を投入し、シリカ投入混練工程Aの混合温度で混練し、混練物1を得、ミキサーから放出した。次に全量混練工程Aとして、混練物1を再度ミキサーに投入し、全量混練工程Aの混合温度で混練し、混練物2を得、ミキサーから放出した。その後、混練物2および硫黄および加硫促進剤をロールに投入し混合することにより、実施例12のゴム組成物を調製した。
実施例13
表5に示す共通配合を有し、表4の実施例13のゴム組成物を、シリカ投入混練工程A、シリカ投入混練工程B、および全量混練工程Aを行うことにより製造した。表5のゴム組成物の共通配合は、表4のゴム成分100質量部に対する質量部を記載した。シリカ投入混練工程Aでは、硫黄および加硫促進剤を除く共通配合剤、および表4のシリカ投入混練工程Aに記載した原材料を、ミキサー(容量1.7リットルの密閉式バンバリーミキサー、神戸製鋼社製)に投入し、シリカ投入混練工程Aの混合温度で混練し、混練物1を得、ミキサーから放出した。次にシリカ投入混練工程Bとして、混練物1および表4のシリカ投入混練工程Bに記載した原材料を、再度ミキサーに投入し、シリカ投入混練工程Bの混合温度で混練し、混練物2を得、ミキサーから放出した。更に全量混練工程Aとして、混練物2を再度ミキサーに投入し、全量混練工程Aの混合温度で混練し、混練物3を得、ミキサーから放出した。その後、混練物3および硫黄および加硫促進剤をロールに投入し混合することにより、実施例13のゴム組成物を調製した。
実施例14
表5に示す共通配合を有し、表4の実施例14のゴム組成物を、シリカ投入混練工程A、シリカ投入混練工程B、および全量混練工程Aを行うことにより製造した。表5のゴム組成物の共通配合は、表4のゴム成分100質量部に対する質量部を記載した。シリカ投入混練工程Aでは、最初にシリカおよびカップリング剤をミキサー(容量1.7リットルの密閉式バンバリーミキサー、神戸製鋼社製)に投入し混合した。そのミキサーへ、シリカ、カップリング剤、表5に記載の硫黄および加硫促進剤を除く共通配合剤、並びに表4のシリカ投入混練工程Aに記載した原材料を投入し、シリカ投入混練工程Aの混合温度で混練し、混練物1を得、ミキサーから放出した。次にシリカ投入混練工程Bとして、混練物1および表2のシリカ投入混練工程Bに記載した原材料を、再度ミキサーに投入し、シリカ投入混練工程Bの混合温度で混練し、混練物2を得、ミキサーから放出した。更に全量混練工程Aとして、混練物2を再度ミキサーに投入し、全量混練工程Aの混合温度で混練し、混練物3を得、ミキサーから放出した。その後、混練物3および硫黄および加硫促進剤をロールに投入し混合することにより、実施例14のゴム組成物を調製した。
実施例15
表5に示す共通配合を有し、表4の実施例15のゴム組成物を、シリカ投入混練工程A、全量混練工程A、および全量混練工程Bを行うことにより製造した。表5のゴム組成物の共通配合は、表4のゴム成分100質量部に対する質量部を記載した。シリカ投入混練工程Aでは、硫黄および加硫促進剤を除く共通配合剤、および表4のシリカ投入混練工程Aに記載した原材料を、ミキサー(容量1.7リットルの密閉式バンバリーミキサー、神戸製鋼社製)に投入し、シリカ投入混練工程Aの混合温度で混練し、混練物1を得、ミキサーから放出した。次に全量混練工程Aとして、混練物1を再度ミキサーに投入し、全量混練工程Aの混合温度で混練し、混練物2を得、ミキサーから放出した。更に全量混練工程Bとして、混練物2を再度ミキサーに投入し、全量混練工程Bの混合温度で混練し、混練物3を得、ミキサーから放出した。その後、混練物3および硫黄および加硫促進剤をロールに投入し混合することにより、実施例15のゴム組成物を調製した。
実施例16
表5に示す共通配合を有し、表4の実施例16のゴム組成物を、シリカ投入混練工程A、シリカ投入混練工程B、全量混練工程A、および全量混練工程Bを行うことにより製造した。表5のゴム組成物の共通配合は、表4のゴム成分100質量部に対する質量部を記載した。シリカ投入混練工程Aでは、硫黄および加硫促進剤を除く共通配合剤、および表2のシリカ投入混練工程Aに記載した原材料を、ミキサー(容量1.7リットルの密閉式バンバリーミキサー、神戸製鋼社製)に投入し、シリカ投入混練工程Aの混合温度で混練し、混練物1を得、ミキサーから放出した。次にシリカ投入混練工程Bとして、混練物1および表4のシリカ投入混練工程Bに記載した原材料を、再度ミキサーに投入し、シリカ投入混練工程Bの混合温度で混練し、混練物2を得、ミキサーから放出した。次に全量混練工程Aとして、混練物2を再度ミキサーに投入し、全量混練工程Aの混合温度で混練し、混練物3を得、ミキサーから放出した。更に全量混練工程Bとして、混練物3を再度ミキサーに投入し、全量混練工程Bの混合温度で混練し、混練物4を得、ミキサーから放出した。その後、混練物4および硫黄および加硫促進剤をロールに投入し混合することにより、実施例16のゴム組成物を調製した。
得られたタイヤ用ゴム組成物を、所定形状の金型(内寸;長さ150mm、幅150mm、厚さ2mm)を用いて150℃、30分間加硫し、加硫ゴム試験片を作成した。得られた加硫ゴム試験片を使用して、以下に示す試験方法で、動的粘弾性、シリカ分散度(10μm以下のホワイトエリア頻度値の割合%)、耐摩耗性および低転がり抵抗性を測定した。
動的粘弾性
得られた加硫ゴム試験片を使用し、JIS-K6394に準拠して、粘弾性スペクトロメーター(GABO社製EPLEXOR 500N)を用い、温度100℃、周波数10Hz、初期歪み0.5%の条件で、動的歪を0.2%から100%まで変化させて測定した動的歪0.4%、3%、および100%のときの動的貯蔵弾性率E′[Mpa]を、E′(0.4%)、E′(3%)、およびE′(100%)として求めた。得られた結果より、
A=E′(0.4%)-E′(100%)[MPa]
B=E′(0.4%)-E′(3%)[MPa]
を算出し、表1~4に記載した。また、関係式(2)の左辺および右辺の値を算出し、併せて記載した。
シリカ分散度(10μm以下のホワイトエリア頻度値の割合%)
得られた加硫ゴム試験片のシリカ分散度を、ISO 11345に準拠し、MonTech社製Disper Tester 3000を用いて、加硫ゴム試験片を試料作製用カッターで平らで掻き傷がない切り口を出して、拡大倍率100倍で観察するという操作手順により、10μm以下の粒子または粒子塊に由来するホワイトエリア頻度値および65μm以下の粒子または粒子塊に由来するホワイトエリア頻度値を測定した。得られた結果から65μm以下の粒子または粒子塊に由来するホワイトエリア頻度値に対する10μm以下の粒子または粒子塊に由来するホワイトエリア頻度値の割合[%]を算出し、表1~4に記載した。10μm以下のホワイトエリア頻度値の割合%が大きいほどシリカの分散性が良好であることを意味する。
耐摩耗性(ランボーン摩耗)
得られた試験片をJIS K6264に準拠して、ランボーン摩耗試験機(岩本製作所社製)を使用して、温度20℃、荷重39N、スリップ率30%、時間4分の条件で摩耗量を測定した。得られた結果は、表1,2では標準例1の逆数を100にする指数とし、表3,4では標準例2の逆数を100にする指数として、表1~4の「耐摩耗性」の欄に示した。この指数が大きいほど耐摩耗性が優れることを意味する。
低転がり抵抗性[60℃のtanδ]
得られた加硫ゴム試験片の動的粘弾性を、岩本製作所(株)製の粘弾性スペクトロメーターを用い初期歪み10%、振幅±2%、振動数20Hz、温度60℃の条件にて測定し、tanδ(60℃)を求めた。得られた結果は、表1,2では標準例1の逆数を100にする指数とし、表3,4では標準例2の逆数を100にする指数として、表1~4の「転がり抵抗性」の欄に記載した。また転がり抵抗性の指数が大きいほどtanδ(60℃)が小さく低発熱性であり、タイヤにしたとき転がり抵抗が小さく燃費性能が優れることを意味する。
Figure 2022164149000001
Figure 2022164149000002
Figure 2022164149000003
Figure 2022164149000004
Figure 2022164149000005
表1~5において、使用した原材料の種類は、以下の通りである。
・NR:天然ゴム、TSR20、ガラス転移温度:-65℃
・BR:ブタジエンゴム、日本ゼオン社製Nipol BR1220、ガラス転移温度:-105℃
・変性BR1:変性ブタジエンゴム、日本ゼオン社製Nipol BR1261
・変性BR2:変性ブタジエンゴム、JSR社製BR54
・SBR:スチレンブタジエンゴム、日本ゼオン社製Nipol SBR1502
・SBR2:スチレンブタジエンゴム、日本ゼオン社製Nipol 1723、SBR100質量部に37.5質量部のオイルを含む油展品
・変性SBR1:変性スチレンブタジエンゴム、ZS Elastomers社製 Nipol NS612
・変性SBR2:変性スチレンブタジエンゴム、旭化成社製 TUFDENE E581
・シリカ:Solvay社製ZEOSIL 1165MP、CTAB吸着比表面積が157m2/g
・シランカップリング剤:スルフィド系シランカップリング剤、エボニック デグサ社製Si69
・カーボンブラック:CB,新日化カーボン社製ニテロン#300IH、窒素吸着比表面積が115m2/g
・オイル:昭和シェル石油社製エキストラクト4号S
・ステアリン酸:日油社製ステアリン酸
・酸化亜鉛:正同化学工業社製酸化亜鉛3種
・老化防止剤1:フレキシス社製サントフレックス 6PPD
・硫黄:鶴見化学工業社製金華印微粉硫黄
・加硫促進剤1:大内新興化学工業社製ノクセラーCZ-G(CZ)
・加硫促進剤2:住友化学社製 ソクシールD-G
表1~4から明らかなように実施例1~16の製造方法により得られたゴム組成物は、シリカの分散性が優れ、耐摩耗性および低転がり抵抗性を改良することが確認された。
比較例1で得られたゴム組成物は、全量混練工程の混練温度が140℃未満で、関係式(1)および(2)を満たさず、シリカ分散性、耐摩耗性および低転がり抵抗性が悪化する。
比較例2で得られたゴム組成物は、関係式(1)を満たすが、関係式(2)を満たさず、低転がり抵抗性が悪化する。
比較例3で得られたゴム組成物は、全量混練工程の混練温度が140℃未満で、関係式(1)および(2)を満たさず、シリカ分散性、耐摩耗性および低転がり抵抗性が悪化する。

Claims (12)

  1. 天然ゴム、共役ジエン単独重合体、共役ジエン共重合体、および共役ジエン-芳香族ビニル共重合体から選択される少なくとも1種のゴム成分、シリカおよびシランカップリング剤を含むゴム組成物であって、該ゴム組成物における100℃、歪0.4%の貯蔵弾性率をE′(0.4%)[MPa]、100℃、歪3%の貯蔵弾性率をE′(3%)[MPa]、100℃、歪100%の貯蔵弾性率をE′(100%)[MPa]とし、前記貯蔵弾性率E′(0.4%)と貯蔵弾性率E′(100%)との差Aを、A=E′(0.4%)-E′(100%)[MPa]、前記貯蔵弾性率E′(0.4%)と貯蔵弾性率E′(3%)との差Bを、B=E′(0.4%)-E′(3%)[MPa]とするとき、前記貯蔵弾性率の差Aおよび差Bが、以下の関係式(1)および(2)を満たすことを特徴とするゴム組成物。
    A ≦ 1.6 (1)
    0.252×A-0.007 ≧ B ≧ 0.252×A-0.130 (2)
  2. 前記ゴム組成物の断面を、ISO 11345に準拠しディスパーグレーダーにより測定したとき、10μm以下の粒子または粒子塊に由来するホワイトエリア頻度値が、65μm以下の粒子塊に由来するホワイトエリア頻度値の80%以上であることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 前記ゴム成分100質量部に対し、前記シリカを20質量部以上200質量部以下配合することを特徴とする請求項1または2に記載のゴム組成物。
  4. 前記ゴム成分が、変性基を有する共役ジエン単独重合体、変性基を有する共役ジエン共重合体、および変性基を有する共役ジエン-芳香族ビニル共重合体から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のゴム組成物。
  5. 前記シランカップリング剤が、ブロックされたメルカプト基を有することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のゴム組成物。
  6. 更に、炭素数7~20のアルキル基を有するアルキルシランおよび/または液状ポリマーを配合することを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のゴム組成物。
  7. 前記ゴム成分100質量%中、天然ゴムを30質量%以上含むことを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載のゴム組成物。
  8. 天然ゴム、共役ジエン単独重合体、共役ジエン共重合体、および共役ジエン-芳香族ビニル共重合体から選択される少なくとも1種のゴム成分、シリカおよびシランカップリング剤を含むゴム組成物の製造方法であって、混練機にシリカを投入、混練し放出する少なくとも1回のシリカ投入混練工程を有し、前記シリカ投入混練工程の後、前記ゴム組成物を混練し放出する全量混練工程を有し、前記シリカ投入混練工程を140℃未満の混合温度で行い、かつ少なくとも1回の前記全量混練工程を140℃以上160℃以下の混合温度で行うことを特徴とするゴム組成物の製造方法。
  9. 請求項1~7のいずれかに記載のゴム組成物の製造方法であって、混練機にシリカを投入、混練し放出する少なくとも1回のシリカ投入混練工程を有し、前記シリカ投入混練工程の後、前記ゴム組成物を混練し放出する全量混練工程を有し、前記シリカ投入混練工程を140℃未満の混合温度で行い、かつ少なくとも1回の前記全量混練工程を140℃以上160℃以下の混合温度で行うことを特徴とするゴム組成物の製造方法。
  10. 前記混練機に前記シリカおよびシランカップリング剤を投入、混合した後、その混練機に前記ゴム成分の少なくとも1部を投入、混練し放出する、前記シリカ投入混練工程を最初に行うことを特徴とする請求項8または9に記載のゴム組成物の製造方法。
  11. 前記シリカ投入混練工程の後、前記全量混練工程に加え、140℃未満の混合温度で行う混練工程を少なくとも1回実施することを特徴とする請求項8~10のいずれかに記載のゴム組成物の製造方法。
  12. 2回以上の前記シリカ投入混練工程、または前記シリカ投入混練工程および全量混練工程において、シランカップリング剤を複数に分割して投入することを特徴とする請求項8~11のいずれかに記載のゴム組成物の製造方法。
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