JP2022160825A - シート定着構造及びシート定着方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明では、シート止め材において下方シートが定着される下方側シート定着部に水が侵入するのを防止できるシート定着構造及びシート定着方法の提供を目的とする。【解決手段】前記課題を解決するための手段は、地面に対して奥行方向に並べて配置される複数のアーチ状の骨組Fを備えた簡易構造物における頂部と地面の間に骨組Fに対して奥行方向に沿って架け渡されるとともに上方側シート定着部2と上方側シート定着部2より地面側に配置され開口部Aを有する下方側シート定着部3とを有するシート止め材4と、骨組Fのシート止め材4より地面側に配置されて下方側シート定着部3の開口部A内に挿入されるとともに、上端を地面側に向けて折り返した状態で定着される下方シートS2とを備え、下方側シート定着部3の開口部Aが下方シートS2の折り返し部分S2aによって覆われることを特徴とする。【選択図】 図3
Description
この発明は、シート定着構造及びシート定着方法に関する。
奥行方向に並べて配置される複数のアーチ状の骨組を備えたビニールハウス等の簡易構造物では、簡易構造物の頂部と地面の間に骨組に対して奥行方向に沿う複数のシート止め材が平行に架け渡されており、各シート止め材にシートを定着することで、シートを骨組に展張するシート定着構造が採用されている。
具体的には、従来のシート定着構造では、シート止め材は、開口幅が底部の幅よりも狭い定着溝を有する上方側シート定着部と、上方側シート定着部よりも地面側に配置されて開口幅が底部の幅よりも狭い定着溝を有する下方側シート定着部とを備える。
そして、シート止め材よりも簡易構造物の頂部側に展張される上方シートの下端を上方側シート定着部の定着溝に挿入し、上方シートの上から上方側シート定着部の定着溝内に弾性部材を挿入することで、上方側シート定着部に上方シートを定着できる。さらに、シート止め材よりも地面側に展張される下方シートの上端を下方側シート定着部の定着溝に挿入し、下方シートの上から下方側シート定着部の定着溝内に弾性部材を挿入することで、下方側シート定着部に下方シートを定着できる(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1のシート定着構造では、シート止め材は、骨組と下方側シート定着部の各交差部において、骨組と下方側シート定着部を抱持するジョイント部材により骨組に固定される。ところが、ジョイント部材は一般的に高価であって、ジョイント部材を利用したシート止め材の骨組への取付作業も面倒である。そこで、安価で下方側シート定着部を骨組に簡単に取付けできるネジを利用することが行われる。具体的には、下方側シート定着部と骨組との交差部において、ネジを下方側シート定着部の底部を貫通させて骨組にねじ込むことで、シート止め材が骨組に固定される。
しかしながら、このようにネジでシート止め材を骨組に連結する場合、ネジが下方側シート定着部を貫通するため、下方側シート定着部の定着溝に雨水等の水が侵入して溜まってしまうと、ネジと下方側シート定着部の隙間を通じて、ビニールハウス内に水が侵入してしまう恐れがある。
そこで、本発明は、シート止め材において下方シートが定着される下方側シート定着部に水が侵入するのを防止できるシート定着構造及びシート定着方法の提供を目的とする。
上記の目的を達成させるため、本発明のシート定着構造は、地面に対して奥行方向に並べて配置される複数のアーチ状の骨組を備えた簡易構造物における頂部と地面の間に前記骨組に対して前記奥行方向に沿って架け渡されるとともに上方側シート定着部と前記上方側シート定着部より前記地面側に配置され開口部を有する下方側シート定着部とを有するシート止め材と、前記骨組の前記シート止め材より前記地面側に配置されて前記下方側シート定着部の前記開口部内に挿入されるとともに、上端を前記地面側に向けて折り返した状態で定着される下方シートとを備え、前記下方側シート定着部の前記開口部が前記下方シートの折り返し部分によって覆われることを特徴とする。この構成によると、下方側シート定着部の開口部が下方シートの折り返し部分によって覆われているので、開口部内に雨水等の水が侵入するのを防止できる。
また、本発明のシート定着構造は、前記骨組の前記シート止め材より前記頂部側を覆って前記上方側シート定着部に定着される上方シートを有し、前記上方シートは前記上方側シート定着部から前記地面側に向けて突出する突出部分を有し、前記突出部分は前記下方シートの上方に配置されていてもよい。この構成によると、下方側シート定着部の開口部が下方シートの折り返し部分に覆われているので、仮に上方シートの突出部分の下端が下方側シート定着部の開口部の上方に配置されていて、上方シートの突出部分の下端から水が垂れたとしても、その水が開口部内に侵入するのを防止できる。よって、上方シートの長さを厳密に決める必要がないため、上方シートを定着させる作業が容易となる。
また、本発明のシート定着構造では、前記上方シートの前記突出部分の下端が前記下方側シート定着部より前記地面側に配置されてもよい。この構成によると、下方側シート定着部の開口部が、上方シートの突出部分と下方シートの折り返し部分によって二重で覆われる。よって、開口部内に水が侵入するのをより確実に防止できる。
また、本発明のシート定着構造では、前記上方側シート定着部は、奥行方向に沿う底壁と、前記底壁の側部に連なる一対の側壁と、前記底壁と前記一対の側壁との間に形成されて前記上方シートが挿入される定着溝と、前記定着溝内に前記上方シートの上から挿入されて前記上方シートを前記一対の側壁へ押圧して前記定着溝に定着させる上方ばねとを有し、前記下方側シート定着部は、前記上方側シート定着部の前記地面側の前記側壁の外側から延びる第一押え片と、前記第一押え片と対向して先端と前記第一押え片の先端との間で前記開口部を形成する第二押え片と、前記第一押え片と前記第二押え片との間に介装されて前記下方シートを前記第一押え片及び前記第二押え片へ押圧する下方ばねとを有してもよい。この構成によると、下方側シート定着部を上方側シート定着部の近くに配置することできるため、上方シートの突出部分を下方シートの上方に配置するために必要な上方シートの長さを短くできるので、コストを削減できる。
また、本発明のシート定着構造では、前記第二押え片は、前記第一押え片の斜め下方に配置されていてもよい。この構成によると、第二押え片が第一押え片の斜め下方に配置されることで、第一押え片が上向きではなく地面側に傾いて配置されるため、下方シートを下方側シート定着部へ定着し終えると、下方シートの折り返し部分の先端が、第一押え片の突出方向にならって開口部を覆うように導かれるので、折り返し部分で開口部を自然に覆うことができる。
また、本発明のシート定着構造は、前記下方シートの下側に配置されるネットと、前記第一押え片と前記第二押え片との間に介装されて前記ネットを前記第一押え片及び前記第二押え片へ押圧する定着ばねとを有し、前記ネットの上端部は前記定着ばねと前記下方ばねとの間に挟持されてもよい。この構成によると、ネットの上端部が定着ばねと下方ばねとの間に挟持されているので、ネットの上端部が下方シートの折り返し部分の上にはみ出ることがない。よって、ネットの上端部に水が付着することがないため、ネットを介して開口部内に水が侵入するのを防止できる。
また、本発明のシート定着構造は、前記上方側シート定着部に取付けられて前記上方シートの突出部分を前記突出部分の下端が前記地面側に向くように押える押え金具を有してもよい。この構成によると、上方側シート定着部の定着溝に定着された上方シートの突出部分の下端を地面側へ向く姿勢に維持できるので、上方シートの突出部分を下方シートの折り返し部分の上方に容易に配置することができる。
また、本発明のシート定着構造では、前記下方シートが前記簡易構造物の換気口を開閉可能なシートであって、前記押え金具が前記下方シートのバタつきを防止するバンドの一端を保持するバンド保持金具であってもよい。この構成によると、上方シートの突出部分が自身の復元力で簡易構造物の頂部側に戻ろうとしても、突出部分はバンド保持金具とバンドにより押さえつけられるので、突出部分が簡易構造物の頂部側に戻るのを阻止できる。
また、本発明のシート定着構造では、前記上方側シート定着部の前記頂部側の前記側壁は硬質シートを保持可能なシート保持部を有してもよい。この構成によると、軟質シートだけでなく、硬質シートも骨組に定着させることもできる。
また、本発明のシート定着構造は、前記底壁と前記地面側の前記側壁との境を起点として前記地面側に向けて延びて先端に前記第二押え片が連なって設けられる固定フレームと、前記固定フレームに設けられて前記底壁と対向する水受片とを備え、前記固定フレームは、前記境から前記頂部側に向けて斜めに延びる傾斜部を有してもよい。この構成によると、上方側シート定着部の定着溝に溜まった水が水受片により回収されやすくなるため、ビニールハウス内に雨水が侵入するのをより確実に防止できる。
また、本発明のシート定着構造では、前記シート止め材は、奥行方向視で左右対称形状とされてもよい。この構成によると、シート止め材を骨組に固定する際に組み間違えが生じないので、ビニールハウスの組み立て作業が容易となる。
また、本発明のシート定着方法は、地面に対して奥行方向に並べて配置される複数のアーチ状の骨組を備えた簡易構造物における頂部と地面の間に前記骨組に対して前記奥行方向に沿って架け渡されるとともに上方側シート定着部と前記上方側シート定着部より前記地面側に配置されて開口部を具備した下方側シート定着部とを備えたシート止め材に対して、前記シート止め材よりも前記頂部側の上方シートと前記シート止め材よりも前記地面側の下方シートとを定着するシート定着方法において、前記上方シートを前記上方側シート定着部に定着する行程と、前記下方シートの上端を前記地面側に向けて折り返した状態で前記下方側シート定着部の前記開口部内に定着させるとともに、前記開口部を前記下方シートの折り返し部分によって覆う行程とを含むことを特徴とする。この構成によると、下方シートの折り返し部分により下方側シート定着部の開口部が覆われるため、開口部内への雨水等の水の侵入を防止できる。
本発明のシート定着構造及びシート定着方法によれば、シート止め材において下方シートが定着される下方側シート定着部の開口部内に水が侵入するのを防止して、ビニールハウス内に水が侵入するのを防止できる。
以下に、図面を参照しながら本実施の形態について説明する。いくつかの図面を通して付された同じ符号は同じ部品を示す。
本発明のシート定着構造1は、地面に対して奥行方向に並べて配置される複数のアーチ状の骨組Fを備えた簡易構造物としてのビニールハウスHの骨組Fに上方シートS1と下方シートS2を定着するために利用されている。
本実施の形態のシート定着構造1は、図1から図3に示すように、ビニールハウスHの頂部と地面の間に骨組Fに対して奥行方向に沿って架け渡されるとともに上方側シート定着部2と上方側シート定着部2より地面側に配置され開口部Aを有する下方側シート定着部3とを有するシート止め材4と、骨組Fのシート止め材4より地面側に配置されて下方側シート定着部3に定着される下方シートS2とを備えている。
また、図示しないが、本実施の形態のシート止め材4は、アーチ状の骨組Fの頂点を挟んでビニールハウスHの各側面側上方に奥行方向に沿うようにそれぞれ一つずつ設けられている。そして、各シート止め材4の上方側シート定着部2に上方シートS1の各下端部を定着することで、ビニールハウスHの屋根部に上方シートS1が展張されている。
さらに、図1及び図2に示すように、本実施の形態では、ビニールハウスHは、棟を左右方向に連ねた連棟型となっており、隣り合うビニールハウスH,Hの谷になる部分に換気口Oが設けられている。シート止め材4の下方側シート定着部3には、換気口Oを覆うネットNと換気口Oを開閉する下方シートS2の上端側が定着されている。
また、詳細には説明しないが、図2に示すように、下方シートS2の下端には軸10が装着されており、図示しない駆動機によって、軸10を回転駆動させることで、下方シートS2の巻取り又は繰り出しを行い、換気口Oを開閉して、ビニールハウスH内を換気できるようになっている。
したがって、本実施の形態のシート定着構造1によれば、図1に示すように、ビニールハウスHの骨組Fに対して、ビニールハウスHの屋根部を覆う上方シートS1と換気口Oを開閉する下方シートS2を定着できる。
なお、本実施の形態では、図1に示すように、複数のビニールハウスHが棟を左右方向に連ねた連棟型となっているため、本実施の形態のシート定着構造1は、骨組Fに対して、ビニールハウスHの屋根部を覆う上方シートS1とビニールハウスHの谷部を覆う下方シートS2を定着するために利用されている。ただし、図示しないが各ビニールハウスHがそれぞれ独立して設置されている単棟型である場合には、シート定着構造1は、ビニールハウスHの肩部に設置されて、ビニールハウスHの屋根部を覆う上方シートS1とビニールハウスHの側部を覆う下方シートS2を定着するために利用されてもよい。
また、図1に示すように、隣り合うビニールハウスH,H間には、奥行方向に沿って延びて雨水を回収する谷桶Tが設けられている。そして、図示しないが、下方シートS2が最大限繰り出されて、換気口Oを閉じた状態では、軸10が谷桶T内に入り込む。よって、換気口Oを閉じた状態では、下方シートS2の表面に付着した雨水は、下方シートS2の表面を伝って、谷桶Tへと排出される。
また、ビニールハウスHの骨組Fに展張されるシートS1,S2としては、例えば、塩化ビニルフィルム、PETフィルム等のポリオレフィン系フィルムなどの軟質シートが用いられている。
なお、本実施の形態では、シート定着構造1は、ビニールハウスHの構築に利用されているが、ビニールハウスH以外の簡易構造物、例えば、簡易型の倉庫等の構築に利用されてもよい。
以下、本実施の形態のシート定着構造1の各部について詳細に説明する。本実施の形態のシート止め材4は、図3(A)に示すように、上方シートS1が定着される上方側シート定着部2と、上方側シート定着部2の図中右下側に配置されて下方シートS2が定着される下方側シート定着部3と、上方側シート定着部2の図中左下側に配置される露受けフレーム5とを備える。
そして、シート止め材4が骨組Fに取付けられると、下方側シート定着部3は、上方側シート定着部2に対し地面側に配置され、露受けフレーム5は、上方側シート定着部2に対しビニールハウスHの頂部側に配置される。
具体的には、本実施の形態の上方側シート定着部2は、図3(A)に示すように、奥行方向に沿う平板状の底壁21と、底壁21の側端から湾曲して互いに接近する方向に傾斜する一対の側壁22,23とを有し、底壁21と一対の側壁22,23とで開口幅が底壁21の幅よりも狭い定着溝24を形成する上方フレーム20を備える。
そして、図3(A)に示すように、定着溝24には、上方シートS1が挿入されるとともに、上方シートS1の上から波型の上方ばね25が挿入される。上方ばね25は定着溝24内に挿入されると幅方向で一対の側壁22,23によって押し縮められるので、上方シートS1は上方ばね25によって一対の側壁22,23に押圧されて上方フレーム20に定着される。
つまり、本実施の形態における上方側シート定着部2は、上方フレーム20と、上方ばね25とを備えて構成されている。また、図3(A)に示すように、各側壁22,23の先端には、それぞれ断面円形の凸部22a,23aが設けられており、凸部22a,23aに上方シートS1が当接しても、上方シートS1を傷つけないようになっている。なお、本実施の形態の上方ばね25は波型のばねとされているが、波型のばね以外にも、例えば、コイルばねであってもよい。
また、本実施の形態の下方側シート定着部3は、図3(A)に示すように、図中右側の側壁23の外側から図中斜め上向きに延びる第一押え片30と、底壁21の図中右側下部に連結される固定フレーム31と、固定フレーム31に連なって上方側シート定着部2の図中斜め下方に配置されて第一押え片30と対向して第一押え片30との間で開口部Aを形成する第二押え片32と、第一押え片30と第二押え片32との間に介装されて下方シートS2を第一押え片30及び第二押え片32へ押圧して定着する下方ばね33とを有する。
具体的には、本実施の形態の固定フレーム31は、図3(A)に示すように、底壁21の下部から底壁21に対して垂直下方に延びる接続片31aと、接続片31aの先端から図中右方向に延びて接続片31aに対して垂直な平板状の底片31bとを備える。
さらに、図3(A)に示すように、固定フレーム31には、接続片31aの先端から図中左方向に接続片31aに対して垂直に延びて底壁21と対向する水受片35が設けられている。また、水受片35には、先端から接続片31a側に向けて斜めに起立する返し片36が設けられている。
このように水受片35が設けられているので、上方ばね25を定着溝24に挿入する際などに上方シートS1が傷つけられて上方シートS1に孔が開いて、当該孔を通じて上方フレーム20の定着溝24に溜まった雨水が上方フレーム20の奥行方向側端から底壁21の裏側に回ったとしても、当該雨水は上方側シート定着部2に対し下方に配置された接続片31aを伝って水受片35で回収されるため、ビニールハウスH内に雨水が侵入するのを防止できる。また、水受片35には、返し片36が設けられているので、シート止め材4の骨組Fに対する取付角度が多少大きくなっても、水受片35に回収された雨水が外方に漏れることはない。ただし、水受片35は必須の構成ではなく、省略されてもよい。
また、底片31bには、奥行方向に沿ってガイド溝(符示せず)が形成されている。そして、このガイド溝に沿って所定の間隔で複数のネジ11を骨組Fにねじ込むことで、シート止め材4が骨組Fに連結されている。このようにガイド溝を設けると、ネジ11を案内できるとともに、ネジ11の位置決めもできる。
なお、図3(A)に示すように、返し片36と第二押え片32の外形はそれぞれ外側に張り出す互いに左右対称の形状となっている。そのため、図示しないが、複数のネジ11の内、一部のネジ11に代えて、返し片36と第二押え片32に引っ掛けて骨組Fと下方側シート定着部3を抱持するジョイント部材でシート止め材4を骨組Fに固定してもよい。このようにすると、全てのネジ11をジョイント部材に置き換える場合に比べて、コストや労力を低減しつつ、シート止め材4をより強固に骨組Fに連結できる。
また、第二押え片32は、図3(A)に示すように、底片31bの先端から接続片31a側に向けて傾斜しながら延びる傾斜部32aと、傾斜部32aの先端から底片31bに対して垂直方向に延びる直状部32bと、直状部32bの先端に設けられる断面円形の凸部32cとを有し、第一押え片30の斜め下方に配置されている。
そして、図3(A)に示すように、第一押え片30と第二押え片32との間には、換気口Oを覆うネットNの上端側が、第一押え片30と第二押え片32の傾斜部32aとの間にネットNの上から斜め姿勢で介装される波型の定着ばね34によって、第一押え片30と第二押え片32に押圧されて定着されている。
また、図2に示すように、谷桶Tの端部には、底部よりも開口部の幅が狭い溝Taが設けられている。そして、ネットNの下端を溝Taに挿入し、ネットNの上から溝Taに波型のばねTsを挿入することで、ネットNの下端がばねTsの弾発力によって谷桶Tに定着されている。
よって、換気口Oが解放状態にある場合にも、換気口OがネットNで覆われるので、換気口Oを介して虫や鳥が侵入するのを防止できる。なお、図3(A)に示すように、ネットNは第二押え片32の先端に当接した状態となるが、第二押え片32の先端が断面円形の凸部32cを有しているため、ネットNが傷つけられないようになっている。
さらに、図3(A)に示すように、下方シートS2は、第一押え片30と第二押え片32との間に、上端を地面側へ向けて折り返した状態で、第一押え片30と第二押え片32の直状部32bとの間に斜め姿勢で介装される波型の下方ばね33によって定着されている。ここで、本実施の形態の第一押え片30は、図3(A)中右側の側壁22から右上方向に傾斜しているため、下方シートS2は、第一押え片30に下方ばね33によって押圧されると、上端が自然と地面側である図中右側に向けて折り返される。
この際、図3(A)に示すように、下方シートS2の折り返し部分S2aは、開口部Aの開口幅よりも長くなるように折り返されており、折り返し部分S2aの先端部は、第二押え片32よりも地面側に位置している。つまり、開口部Aは、図3(A)に示すように、折り返し部分S2aによって覆われている。
このように、下方シートS2の折り返し部分S2aによって開口部Aが覆われると、折り返し部分S2aに雨水が付着したとしても、この雨水は、折り返し部分S2aの表面を伝って、下方シートS2の下端側に流れて谷桶Tへ排出される。よって、本実施の形態では、下方側シート定着部3の開口部A内に雨水が侵入しない。なお、本実施の形態における下方シートS2の折り返し部分S2aとは、下方シートS2において下方ばね33によって第一押え片30に押し付けられている部分から上端までの部分を指す。
また、図3(B)に示すように、本実施の形態では、ネットNにおける第一押え片30に押し付けられた部分より上端側の部分(以下、「ネットNの上端部Na」とする。)は、ネットNの下端側へ向けて折り返されて、下方ばね33と定着ばね34との間に挟持されている。
なお、本実施の形態の下方ばね33と定着ばね34は、それぞれ、波型のばねとされているが、波型のばねには限られず、例えば、コイルばねであってもよい。
また、露受けフレーム5は、図3に示すように、断面L字状であって、上方側シート定着部2の底壁21の図中左側の下部から左方向に延びて形成されている。このようにすると、ビニールハウスHの内外の温度差によって上方シートS1の内側面に生じた結露水は、図中左側の側壁22の外面を伝って露受けフレーム5に回収される。
さらに、シート止め材4の奥行方向側端部には、図示しないが、出口が谷桶Tに配置されたドレンパイプを備える露受け具が装着される。よって、露受けフレーム5に回収された結露水は、当該露受け具によって回収されて、ドレンパイプを通じて谷桶Tへと排出されるようになっている。
また、本実施の形態では、図2,図3(A)に示すように、上方フレーム20の定着溝24には、上方ばね25の上から下方シートS2のバタつきを防止するバンド12の一端を保持するバンド保持金具13が装着されている。
詳細には、バンド保持金具13は、図3(A)に示すように、波型ばね状であって定着溝24に挿入されて取付けられる固定部13aと、固定部13aの一端から湾曲しながら立ち上がる起立部13bと、定着溝24に固定部13aが取付けられた状態で起立部13bの先端から図中右側に向けて固定部13aと平行に延びるフック部13cとを有する。そして、バンド保持金具13は、フック部13cにバンド12の一端を引掛けることで、バンド12の一端を保持できる。
また、バンド12の他端は、図2に示すように、谷桶Tに取付けられたパイプPに結ばれて谷桶Tに連結されている。ただし、図2に示すバンド12の他端の連結方法は一例であって、バンド12の他端の連結方法は特に限定されない。
このように、本実施の形態では、バンド12が下方シートS2の上方に配置される。よって、下方シートS2が風に煽られるなどして下方シートS2がバタつきそうになっても、下方シートS2はバンド12に当たってそれ以上の変形が抑制されるため、下方シートS2のバタつきを抑制できる。
また、バンド保持金具13は、図3(A)に示すように、上方シートS1の下端を地面側である図中右側へ向くように押える押え金具としても機能している。具体的には、バンド保持金具13を定着溝24に挿入する前においては、上方シートS1は、上方ばね25の弾発力で底壁21と、各側壁22,23に押し付けられているため、上方シートS1の下端は、図4に示すように、図中右側の側壁23に沿って定着溝24から突出した状態となる。そして、バンド保持金具13が定着溝24に取付けられると、図4において上方シートS1の定着溝24から右側の側壁23に沿って突出していた突出部分S1aが、図3(A)に示すように、フック部13cによって押さえつけられるので、上方シートS1の突出部分S1aは上方側シート定着部2から地面側に向けて突出し、突出部分S1aの下端は地面側である図中右側に向く姿勢に維持される。
この際、上方シートS1の突出部分S1aの長さが第一押え片30の幅方向の長さと開口部Aの開口幅を合わせた長さよりも長く、上方シートS1の突出部分S1aは、図3(A)に示すように、下方シートS2の上方を覆っており、突出部分S1aの下端は、下方側シート定着部3の図中右端よりも図中右側に配置されている。よって、下方側シート定着部3の開口部Aは、上方シートS1の突出部分S1aと下方シートS2の折り返し部分S2aとによって二重に覆われている。したがって、上方シートS1の下方側シート定着部3と対向する突出部分S1aの表面に付着した雨水は、上方シートS1の下端から下方シートS2の下端側へ流れ、谷桶Tへ排出される。
また、上方シートS1の突出部分S1aに孔が開き、この孔を介して上方シートS1の突出部分S1aの表面に付着した雨水が上方シートS1の裏面に回ってしまったとしても、雨水は表面張力によって突出部分S1aの裏面を伝って下方シートS2の下端側へ流れ、谷桶Tへ排出される。
また、たとえ、上方シートS1の突出部分S1aを伝う雨水が、上方シートS1の突出部分S1aから垂れたとしても、開口部Aは下方シートS2の折り返し部分S2aによっても覆われているので、雨水は下方シートS2の折り返し部分S2aの表面を伝い下方シートS2の下端側へ流れ、谷桶Tへ排出される。よって、下方側シート定着部3の開口部A内に雨水が侵入するのを確実に防止できる。
なお、本実施の形態では、上方シートS1の下端は、図3(A)に示すように、下方側シート定着部3よりも地面側に配置されているが、下方側シート定着部3の開口部Aの上方に配置されていてもよい。そのような場合であっても、下方側シート定着部3の開口部Aは、下方シートS2の折り返し部分S2aによって覆われているため、雨水が下方側シート定着部3の開口部A内に侵入することはない。
つづいて、骨組FにシートS1,S2を定着する方法の手順について詳細に説明する。まず、図5に示すように、上方側シート定着部2における上方フレーム20の定着溝24に上方シートS1を挿入し、さらに上方シートS1の上から上方ばね25を定着溝24に挿入する。すると、上方シートS1は、上方ばね25の弾発力によって一対の側壁22,23へ押圧されて定着溝24に定着される。
次に、図6に示すように、下方側シート定着部3における第一押え片30と第二押え片32との間にネットNを挿入した状態で、ネットNの上から第一押え片30と第二押え片32の傾斜部32aとの間に定着ばね34を斜め姿勢で介装する。すると、ネットNは、定着ばね34によって第一押え片30と第二押え片32に押し付けられて、第一押え片30と第二押え片32との間に定着される。
その後、図6に示すように、ネットNの上端部Naを下端側へ向けて折り返した状態で、図4に示すように、第一押え片30と第二押え片32との間に、下方シートS2の上端側を上端から折り返し部分S2aの長さ分だけ余らせた状態で挿入し、下方シートS2の上から第一押え片30と第二押え片32の直状部32bとの間に下方ばね33を斜め姿勢で介装する。すると、下方シートS2は、下方ばね33によって第一押え片30と第二押え片32に押し付けられて、第一押え片30と第二押え片32との間に、上端を下端側へ向けて折り返した状態で定着される。
ここで、下方シートS2の折り返し部分S2aの長さは、少なくとも開口部Aの幅よりも長くなるように設定されている。よって、第一押え片30と第二押え片32との間に定着された下方シートS2は、折り返し部分S2aによって、下方側シート定着部3の開口部Aを覆うことができる。
また、仮にネットNの上端部Naが下方シートS2の折り返し部分S2aの上側にはみ出ていた場合、ネットNの上端部Naに雨水が付着するなどしてネットNが濡れると、ネットNが毛細管現象により雨水を吸い上げてしまうため、ネットNを介して開口部A内である固定フレーム31内に雨水が侵入してしまう恐れがある。これに対し、本実施の形態では、ネットNの上端部Naが定着ばね34と下方ばね33との間に挟持されているので、ネットNの上端部Naが下方シートS2の折り返し部分S2aの上にはみ出でしまうことがない。よって、本実施の形態のように、ネットNの上端部Naを定着ばね34と下方ばね33との間に挟むようにすると、ネットNを介して開口部A内に雨水が侵入することがない。
ただし、図示しないが、ネットNの上端部Naが、定着ばね34と下方ばね33との間に挟持されていない状態であっても、下方シートS2の折り返し部分S2aの上にはみ出ることのない長さに設定されている場合は、ネットNの上端部Naは定着ばね34と下方ばね33との間に挟持されていなくともよい。
最後に、図3(A)に示すように、フック部13cがビニールハウスHの谷側を向くように、固定部13aを定着溝24に挿入して、固定部13aの弾発力により、バンド保持金具13を定着溝24に取り付ける。すると、上方シートS1の突出部分S1aがフック部13cによって押さえつけられるので、上方シートS1の突出部分S1aの下端を地面側へ向く姿勢に維持できる。
ここで、図4に示すように、上方フレーム20の定着溝24に定着された上方シートS1の突出部分S1aの長さは、突出部分S1aがバンド保持金具13のフック部13cによって押さえつけられた際に、上方シートS1の下端が下方側シート定着部3よりも地面側に位置する長さに設定されている。
そのため、図3(A)に示すように、定着溝24にバンド保持金具13が取付けられると、下方側シート定着部3の開口部Aは、上方シートS1の突出部分S1aと下方シートS2の折り返し部分S2aとによって二重で覆われるので、開口部A内への雨水の侵入をより確実に防止できる。
前述したように、本実施の形態のシート定着構造1は、簡易構造物としてのビニールハウスHにおける頂部と地面の間に骨組Fに対して奥行方向に沿って架け渡されるとともに上方側シート定着部2と上方側シート定着部2より地面側に配置され開口部Aを有する下方側シート定着部3とを有するシート止め材4と、骨組Fのシート止め材4より地面側に配置されて下方側シート定着部3の開口部A内に挿入されるとともに、上端を地面側に向けて折り返した状態で定着される下方シートS2とを備え、下方側シート定着部3の開口部Aが下方シートS2の折り返し部分S2aによって覆われている。
この構成によると、下方シートS2の折り返し部分S2aにより下方側シート定着部3の開口部Aが覆われるため、開口部A内に雨水等の水が入らないようになっている。よって、シート止め材4を骨組Fに連結するために、下方側シート定着部3の底片31bにねじ込まれたネジ11と下方側シート定着部3の隙間を通じて、ビニールハウスH内に水が侵入するのを防止できる。
また、本実施の形態のシート定着構造1は、骨組Fのシート止め材4よりビニールハウスHの頂部側を覆って上方側シート定着部2に定着される上方シートS1を有し、上方シートS1は上方側シート定着部2から地面側に向けて突出する突出部分S1aを有し、突出部分S1aは下方シートS2の上方に配置されている。
この構成によると、下方側シート定着部3の開口部Aが下方シートS2の折り返し部分S2aに覆われているので、仮に上方シートS1の突出部分S1aの下端が下方側シート定着部3の開口部Aの上方に配置されていて、上方シートS1の突出部分S1aの下端から水が垂れたとしても、その水が下方側シート定着部3の開口部A内に侵入するのを防止できる。よって、本実施の形態によれば、上方シートS1の長さを厳密に決める必要がないため、上方シートS1を定着させる作業が容易となる。
さらに、特許文献1に示す従来のシート定着構造では、上方シートが定着される上方側シート定着部と下方シートが定着される下方側シート定着部との間に、上方シートの裏面を伝う水を回収する溝を有する溝フレーム部を設けることで、下方側シート定着部に水が侵入するのを防止しているが、本実施の形態では、当該溝フレーム部を設けることなく、下方側シート定着部3の開口部A内に水が侵入するのを防止できるため、従来のシート定着構造に比べて、シート止め材4の材料を削減できる。
また、本実施の形態のシート定着構造1では、上方シートS1の突出部分S1aの下端が下方側シート定着部3より地面側に配置されている。この構成によると、下方側シート定着部3の開口部Aが、上方シートS1の突出部分S1aと下方シートS2の折り返し部分S2aによって二重で覆われる。そのため、上方シートS1の下方側シート定着部3と対向する突出部分S1aの表面に付着した水は、上方シートS1の突出部分S1aから下方シートS2の下端側へ流れる。
さらに、上方シートS1の突出部分S1aに孔が開くなどして、上方シートS1の突出部分S1aの表面に付着した水が上方シートS1の裏面に回ってしまったとしても、水は表面張力によって上方シートS1の裏面を伝い下方シートS2の下端側に流れる。
よって、上記構成によれば、開口部A内に水が侵入するのをより確実に防止できる。ただし、上方シートS1の突出部分S1aの下端は、下方側シート定着部3の上方に配置されていてもよい。そのような場合であっても、下方側シート定着部3の開口部Aは、下方シートS2の折り返し部分S2aによって覆われているため、水が下方側シート定着部3の開口部A内に侵入するのを防止できる。
また、本実施の形態のシート定着構造1では、上方側シート定着部2は、奥行方向に沿う底壁21と、底壁21の側部に連なる一対の側壁22,23と、底壁21と一対の側壁22,23との間に形成されて上方シートS1が挿入される定着溝24と、定着溝24内に上方シートS1の上から挿入されて上方シートS1を一対の側壁22,23へ押圧して定着溝24に定着させる上方ばね25とを有し、下方側シート定着部3は、上方側シート定着部2の地面側の側壁23の外側から延びる第一押え片30と、第一押え片30と対向して先端と第一押え片30の先端との間で開口部Aを形成する第二押え片32と、第一押え片30と第二押え片32との間に介装されて下方シートS2を第一押え片30及び第二押え片32へ押圧する下方ばね33とを有している。
この構成によると、下方側シート定着部3を上方側シート定着部2の近くに配置することできる。そのため、上方シートS1の突出部分S1aを下方シートS2の上方に配置するために必要な上方シートS1の長さを短くできるので、コストを削減できる。
また、本実施の形態のシート定着構造1では、第二押え片32は、第一押え片30の斜め下方に配置されている。
この構成によると、第二押え片32が第一押え片30の斜め下方に配置されることで、第一押え片30が上向きではなく、地面側に傾いて配置されるため、下方シートS2を下方側シート定着部3へ定着し終えると、下方シートS2の折り返し部分S2aの先端が、第一押え片30の突出方向にならって開口部Aを覆うように導かれるので、折り返し部分S2aで開口部Aを自然に覆うことができる。
また、本実施の形態のシート定着構造1は、下方シートS2の下側に配置されるネットNと、第一押え片30と第二押え片32との間に介装されてネットNを第一押え片30及び第二押え片32へ押圧する定着ばね34とを有し、ネットNの上端部Naは定着ばね34と下方ばね33との間に挟持されている。
この構成によると、ネットNの上端部Naが定着ばね34と下方ばね33との間に挟持されているので、ネットNの上端部Naが下方シートS2の折り返し部分S2aの上にはみ出ることがない。よって、ネットNの上端部Naに水が付着することがないため、ネットNを介して開口部A内に水が侵入するのを防止できる。ただし、ネットNの上端部Naが、定着ばね34と下方ばね33との間に挟持されていない状態で、下方シートS2の折り返し部分S2aの上にはみ出ることのない長さに設定されている場合は、ネットNの上端部Naは定着ばね34と下方ばね33との間に挟持されていなくともよい。
なお、本実施の形態では、下方側シート定着部3には、ネットNと下方シートS2が定着されているが、下方シートS2のみが定着されていてもよい。
また、本実施の形態のシート定着構造1は、上方側シート定着部2に取付けられて上方シートS1の突出部分S1aを突出部分S1aの下端が地面側を向くように押える押え金具としてのバンド保持金具13を有している。
この構成によると、上方側シート定着部2の定着溝24に定着された上方シートS1の突出部分S1aの下端を地面側へ向く姿勢に維持できるので、上方シートS1の突出部分S1aを下方シートS2の折り返し部分S2aの上方に容易に配置することができる。
また、本実施の形態では、上方シートS1の突出部分S1aの下端を地面側へ向くように押える押え金具を、換気口Oを開閉可能な下方シートS2のバタつきを防止するバンド12の一端を保持するバンド保持金具13としている。よって、上方シートS1の突出部分S1aが自身の復元力でビニールハウスHの頂部側に戻ろうとしても、突出部分S1aはバンド保持金具13とバンド12により押さえつけられるので、突出部分S1aがビニールハウスHの頂部側に戻るのを阻止できる。したがって、上方シートS1の突出部分S1aが、下方シートS2の折り返し部分S2aの上方を覆う姿勢を維持できる。
さらに、この構成によると、押え金具が、突出部分S1aを突出部分S1aの下端が地面側に向くように押える機能だけでなく、バンド12の一端を保持する機能も兼ねるので、部品点数の増加を回避できる。ただし、バンド保持金具13とは別に押え金具専用の金具が設けられてもよい。
また、本実施の形態のシート定着方法は、地面に対して奥行方向に並べて配置される複数のアーチ状の骨組Fを備えた簡易構造物としてのビニールハウスHにおける頂部と地面の間に骨組Fに対して奥行方向に沿って架け渡されるとともに上方側シート定着部2と上方側シート定着部2より地面側に配置されて開口部Aを具備した下方側シート定着部3とを備えたシート止め材4に対して、シート止め材4よりもビニールハウスHの頂部側の上方シートS1とシート止め材4よりも地面側の下方シートS2とを定着するシート定着方法において、上方シートS1を上方側シート定着部2に定着する行程と、下方シートS2の上端を地面側に向けて折り返した状態で下方側シート定着部3の開口部A内に定着させるとともに、開口部Aを下方シートS2の折り返し部分S2aによって覆う行程とを含む。
このシート定着方法によると、下方シートS2の折り返し部分S2aにより下方側シート定着部3の開口部Aが覆われるため、開口部A内に雨水等の水が入らない。よって、シート止め材4を骨組Fに連結するために、下方側シート定着部3の底片31bにねじ込まれたネジ11と下方側シート定着部3の隙間を通じて、ビニールハウスH内に水が侵入するのを防止できる。
なお、図3(A)に示すシート止め材4の構成は一例であって、シート止め材4の構成は、図3(A)に示す構成には限定されない。そこで、以下、シート止め材4の第一から第三の変形例について詳細に説明する。
まず、第一の変形例に係るシート止め材4Aを備えるシート定着構造1Aについて説明する。本変形例に係るシート定着構造1Aの基本的な構成は、図3(A)に示すシート定着構造1と同様である。以下、図3(A)に示すシート定着構造1と異なる構成について説明し、共通の構成については同一の符合を付して詳細な説明を省略する。
図7に示すように、第一の変形例のシート止め材4Aは、奥行方向視で左右対称形状とされており、上方側シート定着部2の左右両側にそれぞれ下方側シート定着部3A,3Bが設けられている点で異なる。
具体的には、図7に示すように、下方側シート定着部3A,3Bは、それぞれ、上方側シート定着部2の各側壁22,23の外側から図中斜め上向きに延びる第一押え片30A,30Bと、上方側シート定着部2の底壁21の図中左右両側の下部から互いに遠ざかる方向に向けて延びる断面略L字状の固定フレーム31A,31Bと、各固定フレーム31A,31Bの先端と連なって各第一押え片30A,30Bと対向して第一押え片30A,30Bとの間で開口部A1,B1を形成する第二押え片32A,32Bとを有する。
そして、図3(A)に示すシート止め材4を備えるシート定着構造1と同様の手順で、図7に示すように、上方側シート定着部2に上方シートS1を定着し、二つの下方側シート定着部3A,3Bのうち上方側シート定着部2の地面側である図中右側に配置される下方側シート定着部3AにネットNと下方シートS2を定着する。
また、例えば、図7に示すシート止め材4Aが、左右を反転させて骨組Fに固定される場合には、下方側シート定着部3Bが上方側シート定着部2の地面側である図中右側に配置されるので、下方側シート定着部3BにネットNと下方シートS2を定着すればよい。
つまり、第一の変形例のシート止め材4Aは、奥行方向視で左右対称形状とされているため、骨組Fに対する取付け向きを問わない。よって、第一の変形例のシート止め材4Aを備えるシート定着構造1Aでは、シート止め材4Aを骨組Fに固定する際に組み間違えが生じないので、ビニールハウスHの組み立て作業が容易となる。
次に、第二の変形例に係るシート止め材4Bを備えるシート定着構造1Bについて説明する。本変形例に係るシート定着構造1Bの基本的な構成は、図3(A)に示すシート定着構造1と同様である。以下、図3(A)に示すシート定着構造1と異なる構成について説明し、共通の構成については同一の符合を付して詳細な説明を省略する。
図8に示すように、第二の変形例のシート止め材4Bは、図3(A)に示すシート止め材4の上方側シート定着部2のビニールハウスHの頂部側である図中左側の側壁22に代えて、ポリエステルフィルム、フッ素フィルムなどの硬質シートS3を保持可能なシート保持部40を有している点で異なる。
具体的には、シート保持部40は、図8に示すように、底片40aと底片40aの各端部から垂直に起立する一対の側片40b,40bと、各側片40b,40bの上端からそれぞれ外側へ向けて突出する受け片40c,40cとを有し、図中右側の側片40bが上方側シート定着部2Aの底壁21の図中左側端に接続されて、上方側シート定着部2Aの底壁21の図中左側端と露受けフレーム5との間に設けられている。また、各側片40b、40bの内側面には、奥行方向に沿って平行に複数の溝(符示せず)が形成されている。
そして、上方側シート定着部2に軟質シートからなる上方シートS1を定着するのに代えて、シート保持部40に硬質シートS3を保持させる場合には、図8に示すように、シート保持部40の受け片40c,40cに硬質シートS3の下端を被せた状態で、硬質シートS3の上から断面コ字状の押え材41を被せ、固定ビスVを押え材41と硬質シートS3を貫通させて各側片40b,40bの内側面に形成される溝に噛みこむようにねじ込む。すると、硬質シートS3は、押え材41と各受け片40c、40cとの間に挟持されて、シート保持部40に保持されて定着される。
なお、図示しないが、第二の変形例のシート止め材4Bの上方側シート定着部2Aに軟質シートからなる上方シートS1を定着する場合には、シート保持部40の側片40bと側壁23とで形成される定着溝24内に上方シートS1を挿入した状態で、上方シートS1の上から上方ばね25を定着溝24内に挿入して、上方シートS1を互いに対向する側片40bと側壁23とに押し付けるようにすればよい。
したがって、第二の変形例のシート止め材4Bを備えるシート定着構造1Bでは、軟質シートからなる上方シートS1だけでなく、硬質シートS3を定着させることもできる。
つづいて、第三の変形例に係るシート止め材4Cを備えるシート定着構造1Cについて説明する。本変形例に係るシート定着構造1Cの基本的な構成は、図3(A)に示すシート定着構造1と同様である。以下、図3(A)に示すシート定着構造1と異なる構成について説明し、共通の構成については同一の符合を付して詳細な説明を省略する。
図9に示すように、第三の変形例のシート止め材4Cでは、固定フレーム50が、底壁21と地面側の側壁22との境を起点としてビニールハウスHの頂部側に向けて斜めに延びる傾斜片50aを備えている点で異なる。
具体的には、図9に示すように、第三の変形例のシート止め材4Cにおける固定フレーム50は、底壁21と図中右側の側壁22との境からビニールハウスHの頂部側である図9中左斜め方向に延びる傾斜片50aと、傾斜片50aの先端から底壁21に対して垂直方向に沿って延びる垂直片50bと、垂直片50bの先端から地面側である図9中右方向に延びて垂直片50bに対して垂直な平板状の底片50cとを備える。
さらに、固定フレーム50の底片50cの先端には第二押え片32が連なって設けられている。そして、固定フレーム50には、垂直片50bの先端からビニールハウスHの頂部側である図9中左方向に延び垂直片50bに対して垂直であって底壁21と対向する水受片35が設けられている。
そして、シート止め材4CがビニールハウスHの頂部と地面の間に設置されると、底壁21と地面側の側壁22との境が定着溝24の最下点となるため、上方ばね25を定着溝24に挿入する際などに上方シートS1が傷つけられて上方シートS1に孔が開くなどした場合、当該孔を通じて漏れた水は、定着溝24の最下点に溜まる。
ここで、第三の変形例のシート止め材4Cでは、底壁21と側壁22との境に傾斜片50aが接続されているため、定着溝24の最下点に溜まった水が上方フレーム20の奥行方向側端から底壁21の裏側に回ったとしても、当該水は、傾斜片50aによって案内されながら垂直片50bを伝って水受片35に回収される。
よって、第三の変形例に係るシート止め材4Cを備えるシート定着構造1Cによると、上方側シート定着部2の定着溝24に溜まった雨水を水受片35に回収しやすくなるため、ビニールハウスH内に雨水が侵入するのをより確実に防止できる。
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱なく改造、変形及び変更ができるのは当然である。
1,1A,1B,1C・・・シート定着構造、2・・・上方側シート定着部、3・・・下方側シート定着部、4,4A,4B,4C・・・シート止め材、13・・・バンド保持金具(押え金具)、21・・・底壁、22,23・・・側壁、24・・・定着溝、25・・・上方ばね、30・・・第一押え片、31,50・・・固定フレーム、32,32A,32B・・・第二押え片、33・・・下方ばね、34・・・定着ばね、35・・・水受片、40・・・シート保持部、50a・・・傾斜片、A,A1,B1・・・開口部、F・・・骨組、H・・・ビニールハウス(簡易構造物)、S1・・・上方シート、S1a・・・突出部分、S2・・・下方シート、S2a・・・折り返し部分、S3・・・硬質シート、N・・・ネット、Na・・・ネットの上端部、O・・・換気口
Claims (12)
- 地面に対して奥行方向に並べて配置される複数のアーチ状の骨組を備えた簡易構造物における頂部と地面の間に前記骨組に対して前記奥行方向に沿って架け渡されるとともに上方側シート定着部と前記上方側シート定着部より前記地面側に配置され開口部を有する下方側シート定着部とを有するシート止め材と、
前記骨組の前記シート止め材より前記地面側に配置されて前記下方側シート定着部の前記開口部内に挿入されるとともに、上端を前記地面側に向けて折り返した状態で定着される下方シートとを備え、
前記下方側シート定着部の前記開口部が前記下方シートの折り返し部分によって覆われる
ことを特徴とするシート定着構造。 - 前記骨組の前記シート止め材より前記頂部側を覆って前記上方側シート定着部に定着される上方シートを有し、
前記上方シートは、前記上方側シート定着部から前記地面側に向けて突出する突出部分を有し、
前記突出部分は前記下方シートの上方に配置される
ことを特徴とする請求項1に記載のシート定着構造。 - 前記上方シートの前記突出部分の下端が前記下方側シート定着部より前記地面側に配置される
ことを特徴とする請求項2に記載のシート定着構造。 - 前記上方側シート定着部は、奥行方向に沿う底壁と、前記底壁の側部に連なる一対の側壁と、前記底壁と前記一対の側壁との間に形成されて前記上方シートが挿入される定着溝と、前記定着溝内に前記上方シートの上から挿入されて前記上方シートを前記一対の側壁へ押圧して前記定着溝に定着させる上方ばねとを有し、
前記下方側シート定着部は、前記上方側シート定着部の前記地面側の前記側壁の外側から延びる第一押え片と、前記第一押え片と対向して先端と前記第一押え片の先端との間で前記開口部を形成する第二押え片と、前記第一押え片と前記第二押え片との間に介装されて前記下方シートを前記第一押え片及び前記第二押え片へ押圧する下方ばねとを有する
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のシート定着構造。 - 前記第二押え片は、前記第一押え片の斜め下方に配置される
ことを特徴とする請求項4に記載のシート定着構造。 - 前記下方シートの下側に配置されるネットと、
前記第一押え片と前記第二押え片との間に介装されて前記ネットを前記第一押え片及び前記第二押え片へ押圧する定着ばねとを有し、
前記ネットの上端部は前記定着ばねと前記下方ばねとの間に挟持される
ことを特徴とする請求項4又は5に記載のシート定着構造。 - 前記上方側シート定着部に取付けられて前記上方シートの前記突出部分を前記突出部分の下端が前記地面側を向くように押える押え金具を有する
ことを特徴とする請求項4から6のいずれか一項に記載のシート定着構造。 - 前記下方シートが前記簡易構造物の換気口を開閉可能なシートであって、
前記押え金具が前記下方シートのバタつきを防止するバンドの一端を保持するバンド保持金具である
ことを特徴とする請求項7に記載のシート定着構造。 - 前記上方側シート定着部の前記頂部側の前記側壁は硬質シートを保持可能なシート保持部を有する
ことを特徴とする請求項4から8のいずれか一項に記載のシート定着構造。 - 前記底壁と前記地面側の前記側壁との境を起点として前記地面側に向けて延びて先端に前記第二押え片が連なって設けられる固定フレームと、
前記固定フレームに設けられて前記底壁と対向する水受片とを備え、
前記固定フレームは、前記境から前記頂部側に向けて斜めに延びる傾斜部を有する
ことを特徴とする請求項4から9のいずれか一項に記載のシート定着構造。 - 前記シート止め材は、奥行方向視で左右対称形状とされている
ことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のシート定着構造。 - 地面に対して奥行方向に並べて配置される複数のアーチ状の骨組を備えた簡易構造物における頂部と地面の間に前記骨組の前記奥行方向に沿って架け渡されるとともに上方側シート定着部と前記上方側シート定着部より前記地面側に配置されて開口部を具備した下方側シート定着部とを備えたシート止め材に対して、前記シート止め材よりも前記頂部側の上方シートと前記シート止め材よりも前記地面側の下方シートとを定着するシート定着方法において、
前記上方シートを前記上方側シート定着部に定着する行程と、
前記下方シートの上端を前記地面側に向けて折り返した状態で前記下方側シート定着部の前記開口部内に定着させるとともに、前記開口部を前記下方シートの折り返し部分によって覆う行程とを含む
ことを特徴とするシート定着方法。
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