JP2022158913A - 電気式膨張弁 - Google Patents

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Abstract

【課題】冷凍サイクルにて冷媒流量を調整する電気式膨張弁に関し、搭載に際しての姿勢の自由度を向上させた電気式膨張弁を提供する。【解決手段】電気式膨張弁1は、本体部40と、弁本体30と、駆動モータ10と、収容部50と、を有している。本体部40は、弁室41及び弁座42を有する。収容部50は、本体部40の一面側に配置され、駆動モータ10のロータ11を含む駆動機構を収容する。弁本体30は、ねじ軸31と、弁体33と、を有している。更に、本体部40は、連通穴26aと、流入部43と、流出部44と、を有している。連通穴26aは、収容部50と弁室41とを連通すると共に、弁本体30が挿通されるように構成されている。流入部43は、冷媒の流れに関して、弁室41における弁座42よりも上流側となる位置に接続されている。【選択図】図1

Description

本開示は、冷凍サイクルにて冷媒流量を調整する電気式膨張弁に関する。
従来、冷凍サイクルにて冷媒流量を調整する電気式膨張弁に関する技術として、特許文献1に記載された技術が知られている。特許文献1に記載された技術では、気密容器内に減速歯車装置を有しており、減速歯車装置を介して、マグネットロータの回転動作を伝達して、ねじ機構により弁体を弁座に対して進退させるように構成されている。
特許5022960号公報
ここで、特許文献1記載の電気式膨張弁では、設置する際の姿勢が問題となる場合がある。例えば、電動式膨張弁における駆動モータ等が弁座よりも下方に位置する逆姿勢で設置された場合、冷凍機油を含む粘性を有する冷媒によって、気密容器の内部が満たされる。又、駆動モータ等が弁座と同じレベルに位置する横姿勢においても、冷凍機油を含む粘性を有する冷媒によって、気密容器の内部が満たされる場合がある。
この場合、気密容器の内部に配置されている駆動モータや減速歯車装置が作動する際、冷媒の粘性によるトルク損失が過大となり、電気式膨張弁として作動不能となる場合が想定される。逆姿勢や横姿勢での搭載が不適切となる為、特許文献1の電気式膨張弁には、車両等への搭載性に制限があると考えられる。
本開示は、上記点に鑑み、冷凍サイクルにて冷媒流量を調整する電気式膨張弁に関し、搭載に際しての姿勢の自由度を向上させた電気式膨張弁を提供することを目的とする。
本開示の一態様に係る電気式膨張弁は、本体部(40)と、弁本体(30)と、駆動モータ(10)と、収容部(50)と、を有している。本体部は、冷凍サイクルの冷媒が流通する弁室(41)及び弁室の内部に配置された弁座(42)を有する。弁本体は、弁室の内部にて弁座の開口を開閉可能に配置されている。駆動モータは、電力の供給を受けて弁本体を動作させる。収容部は、本体部の一面側に配置され、駆動モータのロータ(11)を含む駆動機構を収容する。
そして、弁本体は、ねじ軸(31)と、弁体(33)と、を有している。ねじ軸は、駆動モータを構成するロータの回転動作に伴って、弁本体を弁座に対して進退させる為の部位である。弁本体は、ねじ軸による進退動作に伴って、弁室の内部において弁座の開口を開閉する。
更に、本体部は、連通穴(26a)と、流入部(43)と、流出部(44)と、を有している。連通穴は、収容部と弁室とを連通すると共に、弁本体が挿通されるように構成されている。流入部は、弁室に対して冷媒を流入させるように構成されている。流出部は、弁室から冷媒を流出させるように構成されている。
そして、流入部は、冷媒の流れに関して、弁室における弁座よりも上流側となる位置に接続されており、流出部は、冷媒の流れに関して、弁室における弁座よりも下流側となる位置に接続されている。
電気式膨張弁によれば、弁本体は、ねじ軸と、弁体とを有している為、弁座の開口を開く開動作及び弁座の開口を閉じる閉動作の何れの場合であっても、駆動モータの動作による軸力を弁本体に発生させることができる。
又、電気式膨張弁の本体部には、連通穴と、流入部と、流出部が形成されている。流入部は、冷媒の流れに関して、弁室における弁座よりも上流側となる位置に接続されている為、電気式膨張弁の姿勢変更に伴って、連通穴を介して収容部の内部に冷媒が流入する場合でも、減圧される前の高圧冷媒を流入させることができる。つまり、収容部の内部に流入する冷媒の状態を高温高圧で低粘度の状態にすることができる為、電気式膨張弁は、収容部の内部に流入した冷媒に起因するトルク損失を低減して、駆動機構の円滑な動作を担保することができる。そして、連通穴を介して収容部の内部に冷媒を流入させた場合でも弁本体の円滑な動作を担保できるので、電気式膨張弁は、連通穴を介して収容部の内部に冷媒が流入し易い姿勢(例えば、逆姿勢や横姿勢)での配置を許容し、搭載性の自由度を高めることができる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
第1実施形態に係る電気式膨張弁の構成図である。 第1実施形態に係る電気式膨張弁の弁本体を示す拡大図である。 電気式膨張弁のモータ制御に関するフローチャートである。 電気式膨張弁のモータ制御に関するタイムチャートである。 第2実施形態に係る電気式膨張弁の弁本体を示す説明図である。 第3実施形態に係る電気式膨張弁の弁本体を示す説明図である。
以下に、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各実施形態において、先行する実施形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の実施形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組合せが可能であることを明示している部分同士の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示してなくとも実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
(第1実施形態)
図1~図4を用いて、本開示の第1実施形態を説明する。第1実施形態に係る電気式膨張弁1は、小型で大出力かつ高分解能の電動膨張弁であり、車両用空調装置における冷凍サイクルの構成機器の一つとして配置されている。電気式膨張弁1は、駆動源としての駆動モータ10で電磁力によって生じた駆動力を伝達し、弁体を移動させることによって、冷媒の流量を調整すると共に、冷媒を減圧させる。
図示は省略するが、以下の実施形態において、冷凍サイクルは、電気式膨張弁1に加えて、少なくとも、圧縮機、凝縮器、蒸発器を有している。そして、電気式膨張弁1は、冷凍サイクルにて凝縮器と蒸発器の間に配置されており、凝縮器から流出した冷媒を減圧させ、蒸発器へ向かって流出させる。又、車両用空調装置は、空調制御装置を有しており、
電気式膨張弁1における減圧量(即ち、絞り開度)は、空調制御装置からの制御信号によって制御される。
先ず、第1実施形態に係る電気式膨張弁1の概略構成について、図1、図2を参照して説明する。図1に示すように、第1実施形態に係る電気式膨張弁1は、弁室41等が形成された本体部40と、駆動源としても駆動モータ10等を収容する収容部50とを有している。電気式膨張弁1は、車両に縦置き配置されている。縦置き配置とは、弁本体30の軸方向が車両上下方向と略平行となり、かつ収容部50が本体部40に対して車両上方側になるような配置のことであり、標準姿勢ということもできる。
収容部50の内部には、駆動モータ10が配置されている。駆動モータ10は、ロータ11、シャフト12及びステータ13を有しており三相モータにより構成されている。シャフト12は、収容部50を構成するモーターケース53の内部において軸支され、ロータ11と一体に回転する。モーターケース53は、本体部40の上面に対して接合されており、その内部に駆動モータ10のロータ11及びシャフト12と共に、減速機構部20を収容している。モーターケース53の内部は、収容部50の内、駆動機構を収容する機構収容部51を構成する。
駆動モータ10を構成するステータ13は、ケーシング54の内側において、モーターケース53を介して、ロータ11を外側から囲むように配置され、モーターケース53とケーシング54の間に固定されている。ステータ13は、円筒状に構成されており、ステータコイルを有している。ステータ13は、駆動回路部60を介して、ステータコイルに三相交流電流(U相、V相、W相)を通電させることによって、ステータコアの内側に回転磁界を発生させる。
ロータ11は、モーターケース53の内部において、円筒状に構成されたステータ13の内部に位置するように配置されている。ロータ11は、N極およびS極からなる一対の磁石が円周方向に沿って複数組配置されている。
図1に示すように、収容部50は、ケーシング54を有している。ケーシング54は、モーターケース53及びステータ13を内部に収容するように、本体部40の一面側である上面に対して接合されている。更に、モーターケース53の外側であって、ケーシング54の内部には、駆動回路部60及び位置センサ61が配置されている。ケーシング54の内部の内、モーターケース53の外側にあたる部分は、駆動回路部60等を収容する回路収容部52を構成する。つまり、ケーシング54内部で構成される収容部50は、モーターケース53によって、機構収容部51と、回路収容部52に区画されている。
上述したように、モーターケース53の内部には、ロータ11及びシャフト12と共に、減速機構部20が配置されている。減速機構部20は、ロータ11の下方に配置されており、ロータ11で出力される角速度を、予め定められた減速比で減速して出力する機構である。
第1実施形態に係る減速機構部20は、遊星歯車機構によって構成され、太陽ギヤ21と、複数の遊星ギヤ22と、固定ギヤ23と、キャリヤ24とを有している。太陽ギヤ21は、駆動モータ10のシャフト12の下端部に取り付けられており、リングギヤである固定ギヤ23の内部において、ロータ11の回転と同期して回転する。固定ギヤ23は、モーターケース53の内側に固定されており、リング状の固定ギヤ23の内側には、予め定められた歯数の内歯が形成されている。
キャリヤ24は、複数(本実施形態では3つ)の遊星ギヤ22を回転可能に支持してい
る。各遊星ギヤ22は、太陽ギヤ21の外歯と固定ギヤ23の内歯の間に位置し、太陽ギヤ21の外歯と、固定ギヤ23の内歯と夫々噛み合うように、キャリヤ24によって支持されている。
キャリヤ24の下面には、出力軸24aが形成されている。図1に示すように、出力軸24aは、本体部40の上面に配置された出力軸受25によって支持されている。従って、キャリヤ24は、モーターケース53の内部において回転可能に支持されている。このように構成することで、減速機構部20では、ロータ11及び太陽ギヤ21の回転が、予め定められた減速比で減速されてキャリヤ24に伝達され、出力軸24aを中心として回転する。
出力軸24aの下端には、噛合溝が形成されている。出力軸24aの噛合溝には、弁本体30の上端に形成された突出片が噛み合っている。従って、出力軸24aの回転は、噛合溝及び突出片を介して、弁本体30に伝達される。
ここで、図1に示すように、本体部40の上面には、シャフトケース26が取り付けられている。シャフトケース26は、本体部40の上方に形成された開口に対して取り付けられており、弁本体30が挿通される連通穴26aを有している。連通穴26aは、駆動モータ10のシャフト12、出力軸24aと同軸上になるように形成されている。従って、弁本体30は、連通穴26aによって、シャフト12や出力軸24aと同軸上を移動することができる。
第1実施形態における電気式膨張弁1において、本体部40は、弁室41と、弁座42と、流入部43と、流出部44とを有している。弁室41は、本体部40において、冷凍サイクルの冷媒が流通する部分であると同時に、弁本体30の弁体33が移動する空間を構成する。図2に示すように、弁室41の内部には弁座42が形成されている。弁室41における上方に位置する開口に対して、シャフトケース26が取り付けられる為、弁室41は、連通穴26aを介して、収容部50の機構収容部51と連通している。
又、弁室41には、本体部40内部に形成された冷媒流路としての流入部43及び流出部44が接続される。流入部43は、冷凍サイクルにおける凝縮器の流出口から流出した冷媒が流れる冷媒流路を構成している。
冷媒流路である流入部43の弁室41側の端部は、弁室41における冷媒の流れに関して弁座42よりも上流側の位置になるように接続されている。本体部40の外部に配置された流入部43の端部には、車両用空調装置の冷凍サイクルにおいて、凝縮器の流出口から伸びる冷媒配管が、例えばロウ付けによって接合されている。
一方、流出部44は、弁室41から流出した冷媒が冷凍サイクルにおける蒸発器の流入口へ向かって流れる冷媒流路を構成している。冷媒流路である流出部44における弁室41側の端部は、弁室41における冷媒の流れに関して弁座42よりも下流側の位置になるように接続されている。又、本体部40の外部に配置された流出部44の端部には、車両用空調装置の冷凍サイクルにおいて、蒸発器の流入口へ伸びる冷媒配管が、例えばロウ付けによって接合されている。従って、電気式膨張弁1では、弁室41内において、弁体33が弁座42から離れることにより、冷媒が流入部43から流出部44へ流れて減圧膨張する。
図2に示すように、第1実施形態に係る弁本体30は、ねじ軸31、弁棒32、弁体33をこの順に一体的に備える棒状に形成されている。弁本体30におけるねじ軸31側の端部には、上述した噛合溝に噛み合う突出片が形成されている。弁本体30におけるねじ
軸31の外周面には、雄ねじが形成されている。ねじ軸31の雄ねじは、連通穴26aの一部に形成された雌ねじ部26bに螺合している。
弁本体30を構成するねじ軸31の雄ねじと、連通穴26aにおける雌ねじ部26bとによって、ねじ機構部36が構成されている。そして、ねじ機構部36によって、出力軸24aを介して伝達された弁本体30の回転動作は、連通穴26aの内部において軸方向に沿って進退する進退動作に変換される。
弁本体30のねじ軸31における突出片と逆側の端部には、弁棒32が形成されている。弁棒32は、ねじ機構部36により変換された進退動作を、弁室41の内部に配置された弁体33に伝達する。又、弁棒32は、シャフトケース26の連通穴26aと協働することで、弁本体30における弁体33の動作を、弁座42に対する進退方向になるように案内する。
そして、弁棒32の端部には、弁体33が配置されている。弁体33は、弁本体30の進退動作に伴って、弁室41の内部に形成された弁座42に対して当接したり弁座42から離れたりする。これにより、弁体33は、弁座42における開口を開閉する。弁体33によって弁座42の開度を調整することで、電気式膨張弁1における減圧量及び電気式膨張弁1を流通する冷媒流量を調整することができる。
そして、弁室41の上面を構成するシャフトケース26の下端と、弁本体30の弁体33の間には、コイルスプリング34が配置されている。コイルスプリング34は、弁本体30の弁棒32によって挿通された状態で取り付けられている。コイルスプリング34は、弁体33を弁座42に近づける方向に、弁本体30を付勢している。コイルスプリング34は付勢部材の一例である。
これにより、コイルスプリング34の付勢力によって、弁本体30のねじ軸31及びシャフトケース26の雌ねじ部26bにおけるバックラッシュをキャンセルすることができ、電気式膨張弁1における冷媒の流量特性を均一にすることができる。
図2に示すように、コイルスプリング34の下端部と、弁体33の上部との間には、摺動部材35が取り付けられている。摺動部材35は、環状を為す平板状に形成されており、ねじ機構部36による弁本体30の回転に際して、コイルスプリング34と弁本体30の間で摺動する。これにより、摺動部材35は、コイルスプリング34と収容部50の間に生じるトルク損失を低減することができる。
このように構成された第1実施形態に係る電気式膨張弁1の動作について、図面を参照して説明する。第1実施形態に係る電気式膨張弁1では、駆動モータ10において、電磁力によってロータ11を回転させると、減速機構部20の太陽ギヤ21が回転する。減速機構部20では、太陽ギヤ21、複数の遊星ギヤ22、固定ギヤ23の作動によって、ロータ11の回転力が所定の減速比で減速され、出力軸24aを介して、弁本体30に伝達される。
出力軸24aから伝達された回転力により、弁本体30が回転すると、弁本体30の回転動作が、弁本体30のねじ軸31及びシャフトケース26の雌ねじ部26bにより、弁本体30の軸方向への進退動作に変換される。
ねじ機構部36により弁本体30の回転動作が進退動作に変換される為、弁本体30の回転方向を切り替えることで、弁本体30の軸方向への動作を変更することができる。例えば、ロータ11の回転方向を所定方向に回転させた場合、弁体33を弁座42に近づけ
ることができる。この場合において、ロータ11の回転方向を、所定方向とは逆方向に回転させることで、弁体33を弁座42から遠ざけることができる。
これにより、弁本体30の端部に配置された弁体33は、弁室41内において弁座42に接近又は離間する為、弁座42の開口に関する開度を調整することができる。第1実施形態に係る電気式膨張弁1は、このように各構成を動作させることで、電気式膨張弁1における減圧量及び電気式膨張弁1を通過する冷媒の流量を調整することができる。
ここで、第1実施形態に係る電気式膨張弁1が標準姿勢ではなく、逆姿勢又は横姿勢で配置された場合の動作について検討する。逆姿勢とは、弁本体30の軸方向が車両上下方向と略平行であるが、収容部50が本体部40に対して車両下方側になる姿勢を意味している。又、横姿勢とは、弁本体30の軸方向が車両上下方向に交差しており、収容部50が本体部40と同じ高さになる姿勢のことである。
上述したように、電気式膨張弁1では、収容部50の機構収容部51は、連通穴26aを介して、弁室41と連通している。従って、電気式膨張弁1を逆姿勢又は横姿勢となるように配置した場合、弁室41内に流入した冷媒が、連通穴26aを介して、機構収容部51内に進入することが想定される。
冷凍サイクルの冷媒には、冷凍サイクルを構成する圧縮機を潤滑するための冷凍機油が混入されており、冷凍機油の一部は冷媒とともにサイクルを循環している。従って、冷媒の状態によっては、高い粘性を示す場合がある。高い粘性を示す冷媒が機構収容部51内に流入すると、冷媒の粘性によるトルク損失が過大となり、駆動モータ10のロータ11の動作や、減速機構部20の各構成の動作を妨げることが考えられる。
この点、第1実施形態に係る電気式膨張弁1においては、流入部43は、弁室41における冷媒の流れに関して、弁座42よりも上流側に接続されている。冷凍サイクルの凝縮器から流出した高温高圧で粘性の引く冷媒が、流入部43から弁室41へ流入して、連通穴26aを介して、機構収容部51内に流入する。
つまり、第1実施形態に係る電気式膨張弁1では、逆姿勢や横姿勢にして機構収容部51に流入してしまう状態にしても、機構収容部51に流入する冷媒を粘性が低い状態にしておくことができるので、トルク損失の増大を抑制することができる。換言すると、高い粘性を示す冷媒によって、ロータ11等の動作が妨げられることがない為、電気式膨張弁1は、逆姿勢や横姿勢のような、連通穴26aを介して機構収容部51に冷媒が流入する姿勢での配置を許容して、搭載性の自由度を高めることができる。
ここで、収容部50の回路収容部52に収容されている駆動回路部60について、図面を参照して説明する。上述したように、収容部50は、モーターケース53によって、機構収容部51と、回路収容部52とに区画されている。
回路収容部52には、駆動モータ10のステータ13と、駆動回路部60と、位置センサ61が収容されている。従って、連通穴26aを介して、機構収容部51に冷媒が流入した場合であっても、回路収容部52には冷媒が流入することはなく、駆動回路部60や位置センサ61は冷媒の影響を受けない。
第1実施形態における駆動回路部60は、駆動モータ10である三相モータを制御する為の複数の電子部品を搭載した回路基板を有している。駆動回路部60には、駆動モータ10である三相モータに加えて、図示しないバッテリが電気的に接続されている。バッテリは、車両の各種電気機器に電力を供給するもので、例えば、充放電可能な二次電池(本
実施形態では、リチウムイオン電池)が採用される。駆動回路部60は、バッテリからの入力電力の供給を受けて、三相モータを駆動する為の駆動電流を出力する。
そして、駆動回路部60は、電子部品として、電気式膨張弁1の動作を制御する為のECU等の電子部品を有しており、電気式膨張弁1の動作に関する制御部として働く。具体的に、駆動回路部60は、図3のフローチャートに示すモータ制御プログラムを実行することによって、駆動モータ10に対する電流制御を行い、弁本体30に生じる軸力の大きさを調整する。モータ制御プログラムの詳細については後述する。
又、第1実施形態に係る駆動回路部60には、位置センサ61が接続されている。上述したように、ロータ11には、N極及びS極からなる一対の磁石が円周方向に沿って複数組配置されている。位置センサ61は、ロータ11に配置された複数の磁石を検出することで、ロータ11の回転位置を特定し、特定した回転位置に基づいて、電気式膨張弁1における弁本体30の位置を検出する。位置センサ61は検出センサの一例である。
続いて、第1実施形態に係る電気式膨張弁1におけるモータ制御の内容について、図3を参照して説明する。上述したように、電気式膨張弁1は、車両に搭載された車両用空調装置における冷凍サイクルの構成機器として搭載されている。電気式膨張弁1の絞り開度は、車両用空調装置の空調制御装置からの制御信号によって制御される。駆動回路部60は、空調制御装置からの制御信号に基づいて、駆動モータ10に供給する駆動電流を制御する。従って、モータ制御は、車両用空調装置が起動された時点で、駆動回路部60によって実行される。
先ず、ステップS1では、空調制御装置からの制御信号として、電気式膨張弁1の弁開度を0にする閉弁指示を受信しているか否かが判定される。閉弁指示を受信している場合、ステップS2に処理を進める。一方、受信した制御信号が閉弁指示ではない場合、ステップS7に処理を進める。
尚、受信した制御信号が閉弁指示ではない場合とは、例えば、電気式膨張弁1の弁開度を、空調制御装置によって定められた目標開度Atにあわせる通常作動を行う場合や、電気式膨張弁1の弁開度を0から開く開弁作動を行う場合を含んでいる。
ステップS2に移行する場合、空調制御装置からの閉弁指示に基づいて、電気式膨張弁1の弁開度を0にする閉弁作動が開始される。具体的に、ステップS2では、駆動モータ10に対して駆動電流が供給される。ステップS2で供給される駆動電流の大きさは、例えば、駆動モータ10の定格電流よりも大きい第1駆動電流Chである。駆動モータ10に第1駆動電流Chを供給することで、駆動モータ10が作動する為、電気式膨張弁1の弁開度は小さくなっていく。
ステップS3においては、電気式膨張弁1の弁開度が予め定められた基準開度Aaになったか否かが判断される。ここで、基準開度Aaは、電気式膨張弁1の閉弁を適切に行う為の準備段階として定められた弁開度の基準値である。電気式膨張弁1の弁開度が基準開度Aa以下になっている場合、ステップS4に処理を進める。一方、電気式膨張弁1の弁開度が基準開度Aaよりも大きい場合は、ステップS2に処理を戻して、駆動モータ10に対する第1駆動電流Chの供給を継続する。
ステップS4では、駆動モータ10に供給する駆動電流の大きさを、第1駆動電流Chから第2駆動電流Clに変更する。第2駆動電流Clは、第1駆動電流Chよりも小さな電流値を示しており、例えば、駆動モータ10の定格電流である。駆動モータ10に供給する駆動電流の大きさを第2駆動電流Clに変更した後、ステップS5に進める。
ステップS5に移行すると、位置センサ61の検出信号がない状態になっているか否かが判断される。上述したように、位置センサ61は、ロータ11に配置された複数組の磁石の磁力を検出する。従って、位置センサ61の検出信号からロータ11の回転量を特定すると同時に、弁本体30の位置を特定することができる。
ステップS5において、位置センサ61の検出信号がない状態とは、ロータ11の回転が停止している状態を意味しており、弁本体30の動きが停止している状態であるということができる。換言すると、位置センサ61の検出信号がない状態には、電気式膨張弁1における閉弁作動が完了して、弁開度が0になっている状態が含まれている。位置センサ61の検出信号がない状態である場合には、ステップS6に処理を進める。一方、位置センサ61の検出信号がある場合には、ステップS4に処理を戻し、駆動モータ10に対する第2駆動電流Clの供給を継続する。
ステップS6においては、駆動モータ10に対する駆動電流の供給を停止し、駆動モータ10の作動を停止する。ステップS5から移行した場合は、位置センサ61の検出信号に基づいて、電気式膨張弁1における閉弁が完了して、駆動モータ10の脱量又はモータロックが生じていると考えられる為、駆動モータ10の停止により閉弁作動を終了する。
ここで、電気式膨張弁1の通常作動や開弁作動の場合におけるモータ制御について、ステップS7からの処理を参照して説明する。通常作動や開弁作動に係る制御信号を受信してステップS7に移行すると、空調制御装置からの制御信号に基づいて、電気式膨張弁1の通常作動又は開弁作動が開始される。
具体的に、ステップS7では、空調制御信号からの制御信号に基づいて、駆動モータ10に対して駆動電流が供給される。ステップS7で供給される駆動電流の大きさは、閉弁作動の際と同様に、第1駆動電流Chである。
ステップS8に移行すると、電気式膨張弁1の弁開度が制御信号にて定められた目標開度Atに到達したか否かが判断される。通常作動の場合の目標開度Atは、車両用空調装置の運転態様に応じて定められた電気式膨張弁1の弁開度である。開弁作動の場合の目標開度Atは、閉弁作動から通常作動へ円滑に移行できるように定められた電気式膨張弁1の弁開度を意味する。
電気式膨張弁1の弁開度が目標開度Atに到達した場合、ステップS6に進み、駆動モータ10への駆動電流の供給を停止して、通常作動又は開弁作動を終了する。一方、電気式膨張弁1の弁開度が目標開度Atに到達していない場合、ステップS7に処理を戻し、駆動モータ10に対する第1駆動電流Chの供給を継続する。
次に、上述したモータ制御による動作の一例について、図4に示すタイムチャートを参照して説明する。図4に示すタイムチャートは、閉弁作動を行った後、開弁動作を行う際の状態を示している。
上述したように、電気式膨張弁1における閉弁動作に際して、駆動モータ10に対する駆動電流として、第1駆動電流Chが供給される。これにより、駆動モータ10のロータ11が回転する為、位置センサ61からのセンサ出力信号が検出される。
又、ロータ11の回転力が、減速機構部20を介して弁本体30に伝達され、ねじ機構部36によって変換される為、弁本体30が弁座42へ向かって移動する。従って、電気式膨張弁1の弁開度は、徐々に小さくなっていく。
電気式膨張弁1の弁開度が基準開度Aaに到達すると、駆動モータ10に対する駆動電流は、第1駆動電流Chから第2駆動電流Clに変更される。この場合も、駆動モータ10のロータ11は回転している為、位置センサ61からのセンサ出力信号は検出される。又、ロータ11の回転に伴って、弁本体30の移動も継続される為、電気式膨張弁1の弁開度も、基準開度Aaを下回っても、徐々に小さくなっていく。
ここで、閉弁作動時において、電気式膨張弁1の弁開度が基準開度Aaから0になるまでの期間を閉弁実行期間Tcという。閉弁実行期間Tcにおいては、駆動モータ10に供給される駆動電流が第1駆動電流Chから第2駆動電流Clに変更される為、弁本体30に作用する軸力は小さくなる。
電気式膨張弁1の弁開度が0になった時点で、電気式膨張弁1は閉弁状態Taになる。閉弁状態Taに移行した時点で、位置センサ61による検出信号がなくなるが、駆動モータ10に対して、第2駆動電流Clが供給された状態である。位置センサ61の検出信号がない状態が所定時間のあいだ継続した時点で、駆動モータ10に対する駆動電流の供給を停止する。
電気式膨張弁1によれば、弁本体30の弁体33が弁座42に接触した時点から所定時間を経過すると、駆動モータ10に対する駆動電流の供給が停止される為、弁本体30に作用する軸力も0になる。これにより、電気式膨張弁1の閉弁時に弁本体30に作用する荷重を低減することができるので、弁体33の摩耗や変形を抑制でき、電気式膨張弁1の寿命の長期化を図ることができる。
そして、閉弁状態Taの電気式膨張弁1から開弁作動が行われる。この開弁作動が行われる期間を開弁作動期間Toという。開弁作動期間Toでは、駆動モータ10に対する駆動電流として、第1駆動電流Chが供給される。これにより、駆動モータ10のロータ11が回転する為、位置センサ61からのセンサ出力信号が検出される。
又、ロータ11の回転力が、減速機構部20を介して弁本体30に伝達され、ねじ機構部36によって変換される為、弁本体30が弁座42から離れる方向へ移動する。従って、電気式膨張弁1の弁開度は、0の状態から徐々に大きくなっていく。そして、駆動モータ10の駆動電力として、第1駆動電流Chが供給される為、弁本体30に作用する軸力は、閉弁実行期間Tcにて弁本体30に作用する軸力よりも大きい。
このように構成された電気式膨張弁1について、電気式膨張弁1を逆姿勢又は横姿勢で配置した場合の動作について検討する。上述した容易、逆姿勢又は横姿勢で配置した場合において、冷凍機油を含む冷媒の粘性が上がり、駆動モータ10や減速機構部20の動作に関するトルク損失が過大となる場合がある。
この点、図4に示すように、第1実施形態に係る電気式膨張弁1では、閉弁作動の開始時や開弁作動、通常作動において、駆動モータ10の駆動電流として、定格電流よりも大きな第1駆動電流Chが供給される。
これにより、駆動モータ10及び減速機構部20を、より大きな出力で作動させることができるので、冷媒等に起因するトルク損失に抗して作動させることができる。この為、電気式膨張弁1は、駆動モータ10の制御の観点においても、逆姿勢及び横姿勢での配置に対応することができる。
以上説明したように、第1実施形態に係る電気式膨張弁1によれば、弁本体30は、ねじ軸31と、弁体33とを有している為、開弁作動及び閉弁作動の何れの場合でも、駆動モータ10の動作による軸力を弁本体30に発生させることができる。
又、電気式膨張弁1の本体部40には、連通穴26aと、流入部43と、流出部44とが形成されている。流入部43は、冷媒の流れに関して、弁室41における弁座42よりも上流側となる位置に接続されている為、弁室41の内部には、減圧される前の高圧冷媒を流入させることができる。つまり、電気式膨張弁1において、連通穴26aを介して機構収容部51に冷媒が流入した場合であったとしても、流入する冷媒を高温高圧で粘性が低い状態にすることができる。この結果、収容部50内に流入した冷媒に起因するトルク損失を低減して、駆動モータ10の円滑な動作を担保できるので、電気式膨張弁1は、収容部50の内部に冷媒が流入し易い姿勢(例えば、逆姿勢や横姿勢)での配置を許容し、搭載性の自由度を向上できる。
図1に示すように、収容部50における機構収容部51の内部には、遊星歯車機構により構成された減速機構部20が収容されている。上述したように、連通穴26aを介して機構収容部51に流入する冷媒は、高温高圧で粘度の低い状態である為、電気式膨張弁1は、減速機構部20の円滑な動作を担保することができる。つまり、電気式膨張弁1は、減速機構部20の動作という観点においても、電気式膨張弁1の搭載性の自由度を向上させることができる。
更に、図2に示すように、弁室41の上面と弁本体30の間には、弁本体30を弁座42側に向かって付勢する付勢部材として、コイルスプリング34が配置されている。コイルスプリング34の付勢力によって、弁本体30のねじ軸31及びシャフトケース26の雌ねじ部26bにおけるバックラッシュをキャンセルすることができる為、電気式膨張弁1における冷媒の流量特性を均一にすることができる。
そして、コイルスプリング34の下端部と、弁体33の上部との間には、摺動部材35が取り付けられている。摺動部材35は、環状を為す平板状に形成されており、ねじ機構部36による弁本体30の回転に際して、コイルスプリング34と弁本体30の間に生じるトルク損失を低減することができる。
又、電気式膨張弁1の収容部50には、駆動モータ10に供給する駆動電流を制御する駆動回路部60が収容されている。駆動回路部60によって、駆動モータ10の動作を制御することで、電気式膨張弁1における弁本体30の動作を、円滑かつ適確に実現させることができる。
更に、電気式膨張弁1は、検出センサとして、位置センサ61が配置されており、駆動回路部60は、位置センサ61の検出信号を用いて、ロータ11の回転位置を特定し、ロータ11の回転位置から弁本体30の位置を特定している。従って、電気式膨張弁1によれば、検出センサの検出信号を利用して、駆動モータの作動制御を適切に行うことができる。
又、駆動回路部60による駆動モータ10の制御に関して、図3、図4に示すように、閉弁作動時に駆動モータ10に供給される第2駆動電流Clが、通常作動や開弁作動の際に供給される第1駆動電流Chよりも小さくなるように制御される。つまり、通常作動や開弁作動時には、閉弁作動時よりも大きな駆動電流が供給される為、通常作動時等における駆動モータ10の出力を高め、冷媒に起因するトルク損失に抗して、通常作動や開弁作動を行うことができる。
これにより、電気式膨張弁1は、駆動モータ10の作動制御の観点においても、逆姿勢や横姿勢での電気式膨張弁1の搭載を許容することができ、電気式膨張弁1の搭載性の自由度を向上させることができる。
そして、図3、図4に示すように、閉弁作動時において、位置センサ61の検出信号を用いて、駆動モータ10の脱調やモータロックが検出された場合、駆動モータ10に対する駆動電流の供給を停止する。
これにより、弁体33が弁座42に接触した状態で、弁本体30に加えられる閉弁荷重を低減することができるので、弁本体30における弁体33の摩耗や変形を抑制することができ、電気式膨張弁1の寿命の長期化を図ることができる。
(第2実施形態)
次に、上述した実施形態と異なる第2実施形態について、図5を参照して説明する。第2実施形態では、弁本体30の構成が上述した実施形態と相違している。その他の電気式膨張弁1の基本的構成等については、上述した実施形態と同様である為、再度の説明を省略する。
図5に示すように、第2実施形態に係る電気式膨張弁1において、弁本体30は、第1弁部材37aと、第2弁部材37bを、継手部38によって一体化して構成されている。第1実施形態における弁本体30は、一つの材料(例えば、金属材料や樹脂等)によって一つの部材として構成されているのに対して、第2実施形態では、2つの部材を組み合わせて構成している点が相違している。
第2実施形態に係る第1弁部材37aは、主にねじ軸31を有して構成されている。ねじ軸31の構成及び機能については、第1実施形態と同様である。第1弁部材37aの上端には、第1実施形態と同様に、突出片が形成されている。そして、第1弁部材37aの下端には、継手部38を構成する突状部38aが形成されている。
そして、第2実施形態に係る第2弁部材37bは、弁棒32及び弁体33を有して構成されている。弁棒32及び弁体33の構成及び機能は、第1実施形態と同様である。第2弁部材37bの上端には、継手部38を構成する接続凹部38bが形成されている。
ここで、継手部38は、第1弁部材37aの突状部38aを、第2弁部材37bの接続凹部38bに嵌め合わせることによって構成される。これにより、ねじ機構部36による第1弁部材37aの弁座42に近づく方向への移動と、弁座42から離れる方向の何れに対しても、第1弁部材37aに対して、第2弁部材37bを追従させることができる。
従って、第2実施形態に係る電気式膨張弁1によれば、弁本体30を第1弁部材37a及び第2弁部材37bで構成した場合であっても、第1実施形態と同様の作動を実現することができる。
以上説明したように、第2実施形態に係る電気式膨張弁1によれば、電気式膨張弁1における弁本体30の構成を変更した場合であっても、上述した実施形態と同様の構成から、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第3実施形態)
続いて、上述した実施形態と異なる第3実施形態について、図6を参照して説明する。第3実施形態では、弁本体30の構成が上述した実施形態と相違している。その他の電気式膨張弁1の基本的構成等については、上述した実施形態と同様である為、再度の説明を省略する。
図6に示すように、第3実施形態に係る電気式膨張弁1において、弁本体30は、第2実施形態と同様に、複数の部材を継手部38で一体化して構成されている。第3実施形態に係る弁本体30は、ねじ軸31及び弁棒32を有する第1弁部材37aと、主に弁体33で構成される第2弁部材37bにより構成されている。
第3実施形態においても、第1弁部材37aの上端には、突出片が形成されており、弁棒32の下部にあたる第1弁部材37aの下端には、継手部38を構成する突状部38aが形成されている。そして、第2弁部材である弁体33の上面には、継手部38を構成する接続凹部38bが形成されている。
この場合においても、ねじ機構部36による第1弁部材37aの弁座42に近づく方向への移動と、弁座42から離れる方向の何れに対しても、第1弁部材37aに対して、第2弁部材37bを追従させることができる。
従って、第3実施形態に係る電気式膨張弁1によれば、第1弁部材37a及び第2弁部材37bの構成を変更した場合であっても、上述した実施形態と同様の作動を実現することができる。
以上説明したように、第3実施形態に係る電気式膨張弁1によれば、弁本体30を為す第1弁部材37a、第2弁部材37bの構成を変更した場合であっても、上述した実施形態と同様の構成から、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下のように種々変形可能である。また、上記各実施形態に開示された手段は、実施可能な範囲で適宜組み合わせてもよい。
(a)上述した実施形態では、駆動モータ10の電流制御に際し、閉弁作動で弁開度が基準開度Aaである場合、通常作動時、開弁作動時では、第1駆動電流Chを供給し、閉弁作動にて弁開度が基準開度Aaよりも小さい場合、第2駆動電流Clを供給していた。
しかしながら、駆動モータ10の電流制御の態様は、上述した実施形態に限定されることなく、様々に変更することが可能である。閉弁作動にて弁開度が基準開度Aaよりも小さい場合の駆動電流が小さくなっていれば良く、閉弁作動で弁開度が基準開度Aaである場合、通常作動時、開弁作動時の内で、駆動電流の大小があっても良い。
(b)又、駆動モータ10の電流制御に際し、基準開度Aaよりも大きな開度の場合、第1駆動電流Chを供給し、基準開度Aaよりも小さな開度の場合、第2駆動電流Clを供給しているが、この態様に限定されるものではない。基準開度Aaよりも小さな開度の場合に駆動モータ10に供給される駆動電流は、基準開度Aaよりも大きな開度の場合の駆動電流である第1駆動電流Chよりも低い範囲であれば、駆動電流の大きさに変動があっても良い。
(c)そして、上述した実施形態においては、位置センサ61の検出信号を用いて、ロータ11の回転位置を特定し、ロータ11の回転位置から弁本体30の位置を特定している。そして、特定された弁本体30の位置に従って、駆動電流の制御を行っている。
しかしながら、駆動回路部60による駆動電流の制御は、この態様に限定されるものではない。弁本体30の位置を特定することができればよく、種々の方法で特定された弁本体30の位置に基づいて、駆動電流の制御を行うことができる。弁本体30の位置の特定手法としては、ロータ11の回転位置に限られず、他の構成部材の移動量をセンサで検出する方法であっても良い。又、センサ等による検出に限られず、他の物理量から弁本体30の位置を推定する構成を採用することもできる。
(d)又、第2実施形態、第3実施形態における継手部38として、突状部38a及び接続凹部38bを挙げていたが、この態様に限定されるものではない。ねじ軸31を有する第1弁部材37aの移動の内、弁座42に近づく移動及び弁座42から離れる移動に関して、第2弁部材37bを追従させることができれば、種々の形状を採用することができる。又、継手部38によって、第1弁部材37aに対して第2弁部材37bを回転可能に接続した構成であっても良い。
(e)そして、上述の実施形態では、本開示に係る電気式膨張弁を、車両に搭載される車両用空調装置の冷凍サイクルの構成機器としていたが、この態様に限定されるものではない。冷凍サイクルの構成機器であれば、本開示に係る電気式膨張弁を採用することができ、冷凍サイクルが適用される装置や機器であれば、家庭用空調装置等に適用することも可能である。
1 電気式膨張弁
10 駆動モータ
26a 連通穴
30 弁本体
31 ねじ軸
33 弁体
40 本体部
41 弁室
43 流入部
50 収容部

Claims (8)

  1. 冷凍サイクルの冷媒が流通する弁室(41)及び弁室の内部に配置された弁座(42)を有する本体部(40)と、
    前記弁室の内部にて前記弁座の開口を開閉可能に配置された弁本体(30)と、
    電力の供給を受けて前記弁本体を動作させる駆動モータ(10)と、
    前記本体部の一面側に配置され、前記駆動モータのロータ(11)を含む駆動機構を収容する収容部(50)と、を有し、
    前記弁本体は、
    前記駆動モータを構成する前記ロータの回転動作に伴って、前記弁本体を前記弁座に対して進退させる為のねじ軸(31)と、
    前記ねじ軸による進退動作に伴って、前記弁室の内部において前記弁座の開口を開閉する弁体(33)と、を有し、
    前記本体部は、
    前記収容部と前記弁室とを連通すると共に、前記弁本体が挿通される連通穴(26a)と、
    前記弁室に対して前記冷媒を流入させる為の流入部(43)と、
    前記弁室から前記冷媒を流出させる流出部(44)と、を有し、
    前記流入部は、前記冷媒の流れに関して、前記弁室における前記弁座よりも上流側となる位置に接続されており、
    前記流出部は、前記冷媒の流れに関して、前記弁室における前記弁座よりも下流側となる位置に接続されている電気式膨張弁。
  2. 前記駆動機構は、前記駆動モータにおける前記ロータで出力される角速度を、予め定められた減速比で減速して、前記弁本体の前記ねじ軸の角速度とする減速機構部(20)を含んでいる請求項1に記載の電気式膨張弁。
  3. 前記弁室の内部には、前記弁座の開口を閉じる方向に作用する付勢力を前記弁本体に作用させる付勢部材(34)が配置されている請求項1又は2に記載の電気式膨張弁。
  4. 前記弁室の内部には、前記弁本体の動作に際して、前記弁本体と前記付勢部材の間を摺動する摺動部材(35)が配置されている請求項3に記載の電気式膨張弁。
  5. 前記駆動モータに供給する電力を調整して、前記駆動モータの動作を制御する為の駆動回路部(60)を有している請求項1ないし4の何れか1つに記載の電気式膨張弁。
  6. 前記駆動回路部は、前記弁体の位置に基づいて、前記駆動モータに対して供給する電力を調整して、前記駆動モータの動作を制御する請求項5に記載の電気式膨張弁。
  7. 前記駆動回路部は、前記弁本体に関する動作を行う際に前記駆動モータに対して供給する電力に関して、前記弁本体による前記弁座の開度に関して、予め定められた第1開度にする場合に前記駆動モータに対して供給する第1電力が、前記第1開度よりも大きな第2開度にする場合に前記駆動モータに対して供給する第2電力よりも小さくなるように制御する請求項5又は6に記載の電気式膨張弁。
  8. 前記駆動回路部は、前記弁体により前記弁座の開口を閉じた状態における前記駆動モータの脱調又はモータロックを検出した場合、前記駆動モータに対する電力の供給を停止して、前記駆動モータの動作を停止する請求項5ないし7の何れか1つに記載の電気式膨張弁。
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