JP2022156484A - 速硬性モルタル組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】速硬性混和材やセメントの添加量や作業時の温度による凝結時間の変動が小さい速硬性モルタル組成物を提供する。【解決手段】セメントと、速硬性混和材と、細骨材と、ミョウバンと、炭酸ナトリウムと、酒石酸とを含む速硬性モルタル組成物であって、セメントの含有量が速硬性混和材100質量部に対して100~1900質量部であり、細骨材の含有量が速硬性混和材とセメントの合計量100質量部に対して50~300質量部であり、ミョウバンの含有量が速硬性混和材とセメントの合計量100質量部に対して0.4~10質量部であり、酒石酸の含有量が速硬性混和材とセメントの合計量100質量部に対して0.1~5質量部であり、炭酸ナトリウムの含有量が酒石酸1.0質量部に対して1.0~2.5質量部である速硬性モルタル組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、速硬性モルタル組成物に関する。
コンクリート構造物の補修材などに用いられているモルタル組成物では、補修工事の工事期間の短縮化のために、モルタル組成物に速硬性混和材を添加することが行われている。速硬性混和材としては、カルシウムアルミネートと無水石膏(無機硫酸塩)とを組合せた混和材が知られている。また、モルタル組成物の凝結時間や初期強度などを調整することを目的として、速硬性混和材に凝結調整剤を添加することも行われている。凝結調整剤としては、無機炭酸塩、オキシカルボン酸、アルミン酸ナトリウムなどが用いられている。
特許文献1には、夏場等の高温の環境下でも所定の可使時間を確保した上で良好な初期強度を確保できる速硬性グラウト組成物について記載されている。この特許文献1に記載されている速硬性グラウト組成物は、セメント、カルシウムアルミネート類及び石膏を含有する結合材100質量部に対して、増粘剤の含有量が0.01~0.1質量部、凝結遅延剤の含有量が0.3~1.5質量部、及び骨材の含有量が105~175質量部とされている。
特許文献2には、無水石膏と、無機炭酸塩と、オキシカルボン酸と、ミョウバンとを含みカルシウムアルミネートと無水石膏からなる速硬性混和材が記載されている。この特許文献2に記載のセメント組成物では、アルミン酸ナトリウムの代わりにミョウバンをアルミニウム補助剤として用いている。この特許文献2の実施例では、凝結調整剤として、炭酸ナトリウムと酒石酸と普通ポルトランドセメントとを1:2:3の質量比で混合した混合物が用いられている。ただし、特許文献2の実施例で製造されているセメント組成物全体に含まれている炭酸ナトリウムと酒石酸との比率は、質量比で1:1.32(=炭酸ナトリウム:酒石酸)である。
特開2017-165628号公報 特開2020-164413号公報
速硬性モルタル組成物では、施工現場に応じて速硬性混和材やセメントなどの含有量を調整する必要がある。この場合、速硬性モルタル組成物の組成や施工現場の環境温度などの条件によって、凝結時間(可使時間)が変動すると、作業が煩雑になるおそれがある。特許文献1に記載の速硬性モルタル組成物では増粘剤、凝結遅延剤及び骨材の含有量によって可使時間を調整しているが、増粘剤を用いると施工現場によってはモルタルを充填しにくくなる場合があった。
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、速硬性混和材やセメントの添加量や作業時の温度による凝結時間の変動が小さい速硬性モルタル組成物を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の速硬性モルタル組成物は、セメントと、速硬性混和材と、細骨材と、ミョウバンと、炭酸ナトリウムと、酒石酸とを含む速硬性モルタル組成物であって、前記速硬性混和材は、カルシウムアルミネートと無水石膏とを含み、前記カルシウムアルミネートは、Alに対するCaOの含有量がモル比で1.5以上2.0以下の範囲内にあって、ガラス化率が80%以上であり、前記無水石膏の含有量が前記カルシウムアルミネートと前記無水石膏の合計量100質量部に対して35質量部以上65質量部以下の範囲内にあり、前記セメントの含有量が、前記速硬性混和材100質量部に対して100質量部以上1900質量部以下の範囲内にあり、前記細骨材の含有量が、前記速硬性混和材と前記セメントの合計量を100質量部として50質量部以上300質量部以下の範囲内にあり、前記ミョウバンの含有量が、前記速硬性混和材と前記セメントの合計量100質量部に対して0.4質量部以上10質量部以下の範囲内にあり、
前記酒石酸の含有量が、前記速硬性混和材と前記セメントの合計量100質量部に対して0.1質量部以上5質量部以下の範囲内にあり、前記炭酸ナトリウムの含有量が、前記酒石酸1.0質量部に対して1.0質量部以上2.5質量部以下の範囲内にあることを特徴としている。
このような構成とされた本発明の速硬性モルタル組成物によれば、速硬性混和材はカルシウムアルミネートと無水石膏とを上記の割合で含み、さらに細骨材、ミョウバン、炭酸ナトリウム及び酒石酸を上記の割合で含むので、セメントの含有量が速硬性混和材100質量部に対して150質量部以上1900質量部以下と広い範囲内において、凝結時間の変動が小さくなる。
ここで、本発明の速硬性モルタル組成物においては、JIS R 5201:2015(セメントの物理試験方法)に準拠して測定される、環境温度20℃におけるモルタルの凝結始発時間に対する環境温度5℃におけるモルタルの凝結始発時間の変化率が±20%以内であり、環境温度20℃におけるモルタルの凝結始発時間に対する環境温度35℃におけるモルタルの凝結始発時間の変化率が±20%以内である構成とされていてもよい。
この場合、5℃から35℃と実用的な作業の温度範囲における凝結時間の変動が小さくなるので、例えば、夏季と冬季のように環境温度が異なる場合でも作業時間を変える必要が少ない。
また、本発明の速硬性モルタル組成物においては、さらに、短繊維を前記速硬性混和材と前記セメントの合計量100質量部に対して0.01質量部以上1.0質量部以下の範囲内の量にて含む構成とされていてもよい。
この場合、速硬性モルタル組成物は、さらに短繊維を上記の範囲で含むため、速硬性モルタル組成物の硬化物はひび割れ抵抗性が向上して、疲労に対する耐久性が優れたものとなる。このため、断面修復材、床版補修材、PC版・RC版等の接合部グラウト、機械台座グラウト、その他土木・建築工事の緊急用グラウトとして好適に使用することができる。
また、本発明の速硬性モルタル組成物においては、さらに、塩分吸着材を前記速硬性混和材と前記セメントの合計量100質量部に対して1質量部以上30質量部以下の範囲内の量にて含む構成とされていてもよい。
この場合、速硬性モルタル組成物は、さらに塩分吸着材を上記の範囲で含むため、速硬性モルタル組成物の硬化物は塩分に対する耐久性が優れたものとなる。このため、塩害補修用の断面修復材として好適に使用することができる。
本発明によれば、速硬性混和材やセメントの添加量や作業時の温度による凝結時間の変動が小さい速硬性モルタル組成物を提供することが可能となる。
本実施形態の速硬性モルタル組成物は、セメントと、速硬性混和材と、細骨材と、ミョウバンと、炭酸ナトリウムと、酒石酸とを含む組成物(固体)である。速硬性モルタル組成物は、短繊維、塩分吸着材、ケイ酸ナトリウム、消泡剤、減水剤、再乳化粉末樹脂などの混和材を含んでいてもよい。速硬性モルタル組成物は、水とを練り混ぜて調製したモルタルとして利用される。モルタルの水の含有量は、例えば、速硬性モルタル組成物100質量部に対して10質量部以上50質量部以下の範囲内とすることができる。
速硬性モルタル組成物は、環境温度20℃におけるモルタルの凝結始発時間(T20)に対する環境温度5℃におけるモルタルの凝結始発時間(T)の変化率((T-T20)/T20)×100が±20%以内であることが好ましい。また、環境温度20℃におけるモルタルの凝結始発時間(T20)に対する環境温度35℃におけるモルタルの凝結始発時間(T35)の変化率((T35-T20)/T20)×100が±20%以内であることが好ましい。モルタルの凝結始発時間は、速硬性モルタル組成物と水とを混練してモルタルを調製してから、調製したモルタルに始発用標準針を挿入したときにその始発用標準針の先端が底板の上面から1mmのところに止まるまで硬化するまでの時間である。環境温度5℃、20℃、35℃におけるモルタルの凝結始発時間は、JIS R 5201:2015(セメントの物理試験方法)に準拠して測定する。モルタルの凝結始発時間は、JIS R 5201:2015の9.2.2に準拠した自動測定装置を用いて測定することができる。
(速硬性混和材)
速硬性混和材は、カルシウムアルミネートと無水石膏とを含む。
カルシウムアルミネートは、一般に、12CaO・7Al、11CaO・7Al2O3・CaF及びCaO・Alなどの組成を有する化合物である。本実施形態で用いるカルシウムアルミネートは、Alに対するCaOの含有量がモル比で1.50以上2.0以下の範囲内とされている。Alに対するCaOの含有量が上記の範囲を外れると、速硬性モルタル組成物の初期強度を向上させる作用や白斑の発生を防止する作用が得られにくくなるおそれがある。
また、カルシウムアルミネートは、ガラス化率が80%以上とされている。ガラス化率が低くなりすぎると、速硬性モルタル組成物の初期強度を向上させる作用が得られにくくおそれがある。ガラス化率は、80%以上99%以下の範囲内にあることが好ましく、特に90%以上99%以下の範囲内にあることが好ましい。
なお、上記カルシウムアルミネートのガラス化率(%)は、試料のカルシウムアルミネートのX線回折法により測定したX回折線パターンから、結晶質部分(ピーク)と非晶質部分ハローのフィッティングを行い、各積分強度を以下の式に当てはめてガラス化率を算出した値である。
ガラス化率(%)=100-(100×Ic/(Ic+Is))
Ic:結晶性散乱積分強度
Is:非結晶性散乱積分強度
カルシウムアルミネートは、ブレーン比表面積が3000cm/g以上5500cm/g以下の範囲内にあることが好ましい。カルシウムアルミネートのブレーン比表面積が上記の範囲内にあることによって、速硬性モルタル組成物の硬化速度を速めることができ、初期強度を向上させる作用が向上する。
無水石膏の含有量は、カルシウムアルミネートと無水石膏の合計量100質量部に対して35質量部以上65質量部以下の範囲内にある。カルシウムアルミネートと無水石膏を上記の割合で含有することによって、速硬性モルタル組成物の硬化速度を速めることができ、初期強度を向上させる作用が向上する。
(セメント)
セメントとしては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、高炉セメントなど断面修復材の原料として用いられている各種のセメントを用いることができる。セメントは、普通ポルトランドセメントであることが好ましい。
セメントの含有量は、速硬性混和材100質量部に対して150質量部以上1900質量部以下の範囲内にある。セメントの含有量が上記の範囲内にあることによって、種々の用途に利用することができる。
(細骨材)
細骨材には特に制限はなく、モルタル組成物の細骨材として利用されている公知の細骨材を用いることができる。細骨材としては、例えば、山砂、川砂、陸砂、砕砂、海砂、珪砂3~8号を用いることができる。骨材の含有量は、例えば、速硬性混和材とセメントの合計量100質量部に対して50質量部以上300質量部以下の範囲内にある。
(ミョウバン)
ミョウバンはアルミニウムを含有し、凝結調整剤として用いられているアルミン酸ナトリウムと同様に、アルミニウム補助剤として作用して速硬性モルタル組成物の凝結時間や初期強度などを調整する。ミョウバンとしては、ナトリウムミョウバン(NaAl(SO・12HO)、カリウムミョウバン(AlK(SO・12HO)を用いることが好ましく、特に、カリウムミョウバンを用いることが好ましい。ミョウバンの平均粒子径は、1μm以上100μm以下の範囲内にあることが好ましい。
ミョウバンの含有量は、速硬性混和材とセメントの合計量100質量部に対して0.4質量部以上10質量部以下の範囲内にある。ミョウバンの含有量が上記の範囲内にあることによって、ミョウバンが凝結調整剤として好適に作用する。
(酒石酸)
酒石酸は、凝結調整剤として用いられるオキシカルボン酸の一種である。
酒石酸の含有量は、速硬性混和材とセメントの合計量100質量部に対して0.1質量部以上5質量部以下の範囲内にある。酒石酸の含有量が上記の範囲内にあることによって、酒石酸が凝結遅延剤として好適に作用する。
(炭酸ナトリウム)
炭酸ナトリウムは、凝結調整剤として用いられる無機炭酸塩の一種である。
炭酸ナトリウムの含有量は、酒石酸1.0質量部に対して1.0質量部以上2.5質量部以下の範囲内にあり、1.1質量部以上2.2質量部以下の範囲内にあることが好ましい。炭酸ナトリウムの含有量が上記の範囲内にあることによって、酒石酸が凝結遅延剤として好適に作用する。
(短繊維)
短繊維は、速硬性モルタル組成物の硬化物の補強材として作用する。短繊維を添加することによって、速硬性モルタル組成物の硬化物はひび割れ抵抗性が向上して、疲労に対する耐久性が優れたものとなる。短繊維としては、有機短繊維及び炭素短繊維を用いることができる。有機短繊維の例としては、PVA短繊維(ポリビニルアルコール短繊維)、ナイロン短繊維、アラミド短繊維、ポリプロピレン短繊維、レーヨン短繊維等が挙げられる。これらの短繊維は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。短繊維は、繊維長が1mm以上10mm以下の範囲内にあることが好ましい。短繊維の含有量は、例えば、速硬性混和材とセメントの合計量100質量部に対して0.01質量部以上1.0質量部以下の範囲内とすることができる。
(塩分吸着材)
塩分吸着材は、速硬性モルタル組成物の硬化物に侵入した塩分を吸着して固定する吸着剤と共に鉄筋の防錆効果がある亜硝酸イオンを放出する亜硝酸イオン放出剤として機能し、速硬性モルタル組成物の硬化物の塩分に対する耐久性を向上させる作用がある。塩分吸着材としては、ソルカット(日本化学工業社製)が使用できる。塩分吸着材の含有量は、例えば、速硬性混和材とセメントの合計量100質量部に対して1質量部以上30質量部以下の範囲内とすることができる。
(ケイ酸ナトリウム)
ケイ酸ナトリウムは、アルカリ度調整剤として機能し、速硬性モルタル組成物の硬化物の初期強度を高める作用を有する。ケイ酸ナトリウムとしては、例えば、メタケイ酸ナトリウム(NaSiO)、オルトケイ酸ナトリウム(NaSiO)、二ケイ酸ナトリウム(NaSi)、四ケイ酸ナトリウム(NaSi)を用いることができる。また、ケイ酸ナトリウムは無水物であってもよいし、水和物(例えば、NaSiO・9HO)であってもよい。ケイ酸ナトリウムの含有量は、例えば、速硬性混和材とセメントの合計量100質量部に対して0.01質量部以上1.0質量部以下の範囲内とすることができる。
(消泡剤)
消泡剤は、速硬性モルタル組成物を製造する際の粗大な泡の発生を抑えて、流動性を向上させる作用がある。消泡剤としては、例えば、エーテル類、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、高級アルコール、高重合グリコール、シリコーン類等など断面修復材の消泡剤として利用されている公知の材料を用いることができる。消泡剤の含有量は、例えば、速硬性混和材とセメントの合計量100質量部に対して0.01質量部以上1.0質量部以下の範囲内とすることができる。
(減水剤)
減水剤は、速硬性モルタル組成物中のセメントおよび混和材料等の分散性を高めて、モルタルの流動性を向上させる作用がある。減水剤としては、減水剤、高性能減水剤、AE減水剤、高性能AE減水剤を用いることができる。減水剤の材料としては、例えば、リグニンスルフォン酸塩、オキシ有機酸塩、βナフタリンスルフォン酸塩、ポリカルボン酸塩、メラミン樹脂スルフォン酸塩、クレオソート油スルフォン酸縮合物塩など断面修復材の減水剤として利用されている公知の材料を用いることができる。減水剤の含有量は、速硬性混和材とセメントの合計量100質量部に対して0.01質量部以上2.0質量部以下の範囲内とすることができる。
(再乳化粉末樹脂)
再乳化粉末樹脂は、速硬性モルタル組成物を硬化させた硬化物に対して水を浸透しにくくする作用がある。また、再乳化粉末樹脂は、PC舗装板や道路の舗装面に対する速硬性モルタル組成物の付着力を向上させる作用がある。このため、再乳化粉末樹脂を含む速硬性モルタル組成物は、水に浸漬させた後の凍結融解抵抗性に優れ、PC舗装板や道路の舗装面に対する付着力が向上する。再乳化粉末樹脂の例としては、酢酸ビニル/ベオバ/アクリル酸エステル共重合樹脂、酢酸ビニル共重合樹脂、酢酸ビニル/エチレン共重合、酢酸ビニル/アクリル共重合樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。これらの再乳化粉末樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。再乳化粉末樹脂の含有量は、例えば、速硬性混和材とセメントの合計量100質量部に対して0.1質量部以上10.0質量部以下の範囲内とすることができる。
(製造方法)
本実施形態の速硬性モルタル組成物は、上述の材料を混合することによって製造することができる。速硬性モルタル組成物製造用の混合装置としては、ロッキングミキサー、V型混合機、縦型ミキサー、万能混合機、プロシェアミキサー等の通常の粉体混合装置を用いることができる。また、本実施形態の速硬性モルタル組成物を用いたモルタルは、速硬性モルタル組成物と水とを混練することによって製造することができる。
モルタル製造用の混合装置としては、モルタルミキサー、コンクリートミキサー、ハンドミキサーなどの通常の固液混合装置を用いることができる。
以上のような構成とされた本実施形態の速硬性モルタル組成物によれば、速硬性混和材はカルシウムアルミネートと無水石膏とを上記の割合で含み、さらに細骨材、ミョウバン、炭酸ナトリウム及び酒石酸を上記の割合で含むので、セメントの含有量が速硬性混和材100質量部に対して150質量部以上1900質量部以下と広い範囲内において、凝結時間の変動が小さくなる。
本実施形態の速硬性モルタル組成物において、JIS R 5201:2015(セメントの物理試験方法)に準拠して測定される、環境温度20℃におけるモルタルの凝結始発時間に対する環境温度5℃におけるモルタルの凝結始発時間の変化率が±20%以内であり、環境温度20℃におけるモルタルの凝結始発時間に対する環境温度35℃におけるモルタルの凝結始発時間の変化率が±20%以内である場合は、5℃から35℃と実用的な作業の温度範囲における凝結時間の変動が小さくなるので、例えば、夏季と冬季のように環境温度が異なる場合でも作業時間を変える必要が少なくなる。
また、本実施形態の速硬性モルタル組成物において、さらに、短繊維を前記速硬性混和材と前記セメントの合計量100質量部に対して0.01質量部以上1.0質量部以下の範囲内の量にて含む場合、速硬性モルタル組成物の硬化物はひび割れ抵抗性が向上して、疲労に対する耐久性が優れたものとなる。このため、緊急補修工事の断面修復材として好適に使用することができる。
また、本実施形態の速硬性モルタル組成物において、さらに、塩分吸着材を前記速硬性混和材と前記セメントの合計量100質量部に対して1質量部以上30質量部以下の範囲内の量にて含む場合、速硬性モルタル組成物の硬化物は塩分に対する耐久性が優れたものとなる。このため、断面修復材、床版補修材、PC版・RC版等の接合部グラウト、機械台座グラウト、その他土木・建築工事の緊急用グラウトとして好適に使用することができる。
以上、本発明の実施形態である速硬性モルタル組成物について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、本発明の速硬性モルタル組成物は、膨張材、保水剤、高炉スラグ微粉末、シリカフューム、炭酸カルシウム等を含んでいてもよい。
本発明の作用効果を、実施例により詳しく説明する。
本実施例において使用した材料の種類、名称、製造会社及び記号を下記の表1に示す。また、本実施例において使用したカルシウムアルミネートクリンカーの組成を下記の表2に示す。
Figure 2022156484000001
Figure 2022156484000002
[速硬性混和材(SA)の製造方法]
カルシウムアルミネートクリンカー(CA)100質量部に対して、炭酸ナトリウム(Na)を1.0質量部、酒石酸(Ta)を0.5質量部となる割合で混合粉砕機に投入し、粉砕混合してカルシウムアルミネート粉砕物を得た。得られたカルシウムアルミネート粉砕物の組成とブレーン比表面積を、下記の表3に示す。
Figure 2022156484000003
カルシウムアルミネート粉砕物と無水石膏(CS)とを、質量比で50:50の割合で混合機に投入し、混合して速硬性混和材(SA)を製造した。得られた速硬性混和材(SA)の組成と、酒石酸(Ta)及び炭酸ナトリウム(Na)の含有量を、下記の表4に示す。
Figure 2022156484000004
[凝結調整剤(SET)の製造方法]
オキシカルボン酸(酒石酸(Ta)、クエン酸(C)、リンゴ酸(R))と、炭酸塩(炭酸ナトリウム(Na))とを、下記の表5に示す組成となるように混合機に投入し、混合して凝結調整剤(SET1~12)を製造した。
Figure 2022156484000005
本実施例で得られた速硬性モルタル組成物に対して行なった評価項目を、下記に示す。
(1)J14ロート流下時間
土木学会基準のJSCE-F541-2013(充填モルタルの流動性試験方法)に準拠して測定した。
(2)凝結時間(凝結始発時間、凝結終結時間)
JIS R 5201:2015(セメントの物理試験方法)に準拠し、自動凝結試験機を用いて測定した。
(3)圧縮強度
JIS A 1108:2018(コンクリートの圧縮強度試験方法)に準拠して測定した。なお、供試体のサイズは、直径5cm、高さ10cmとした。
(4)圧縮強さ、曲げ強さ
JIS R 5201:2015(セメントの物理試験方法)に準拠して測定した。なお、供試体のサイズは、4cm×4cm×16cmとした。
[本発明例1~4、比較例1~8]
速硬性混和材(SA)、普通ポルトランドセメント(N)、珪砂(S)、カリウムミョウバン(BK)、メタケイ酸ナトリウム(MS)、減水剤(6681F)、消泡剤(14HP)、凝結調整剤(SET)を、下記の表6Aに示す含有量となるように、V型混合機を用いて混合して速硬性モルタル組成物を製造した。表6Aに、得られた速硬性モルタル組成物のオキシカルボン酸及び炭酸ナトリウムの合計含有量を示す。オキシカルボン酸及び炭酸ナトリウムの合計含有量は、速硬性混和材(SA)と凝結調整剤(SET)に含まれているオキシカルボン酸及び炭酸ナトリウムの含有量から算出した。
Figure 2022156484000006
本発明例1~4及び比較例1~8で得られた速硬性モルタル組成物100質量部に対して水を18質量部加えて混練してモルタルを調製した。得られたモルタルを用いて、J14ロート流下時間、凝結時間、圧縮強度を測定した。これらの物性の測定は、5℃、20℃、35℃の環境で行った。また、環境温度によるモルタルの凝結始発時間の変化率として、環境温度20℃のモルタルの凝結始発時間(T20)に対する環境温度5℃のモルタルの凝結始発時間(T)の変化率((T-T20)/T20)×100と、環境温度35℃のモルタルの凝結始発時間(T35)の変化率((T35-T20)/T20)×100を算出した。その結果を、下記の表6Bに示す。
Figure 2022156484000007
表6Bの結果から、オキシカルボン酸として酒石酸を用い、酒石酸と炭酸ナトリウムとを本発明の範囲内で含む本発明例1~4の速硬性モルタル組成物は、環境温度によるモルタルの凝結始発時間の変化率が±20%以内にあり、環境温度によるモルタルの凝結始発時間の変動が小さいことが確認された。これに対して、酒石酸と炭酸ナトリウムの割合が本発明の範囲から外れる比較例1~3の速硬性モルタル組成物、オキシカルボン酸としてクエン酸を用いた比較例4~6の速硬性モルタル組成物、オキシカルボン酸としてリンゴ酸を用いた比較例7~8の速硬性モルタル組成物は、環境温度によるモルタルの凝結始発時間の変化率が±20%を大きく超えており、環境温度によるモルタルの凝結始発時間の変動が大きくなった。
[本発明例5~13、比較例9~14]
速硬性混和材(SA)、普通ポルトランドセメント(N)、珪砂(S)、カリウムミョウバン(BK)、メタケイ酸ナトリウム(MS)、減水剤(6681F)、消泡剤(14HP)、凝結調整剤(SET)を、下記の表7Aに示す含有量となるように、V型混合機を用いて混合して速硬性モルタル組成物を製造した。
Figure 2022156484000008
本発明例5~13及び比較例9~14で得られた速硬性モルタル組成物100質量部に対して水を18質量部加えて混練してモルタルを調製した。得られたモルタルを用いて、J14ロート流下時間、凝結時間、圧縮強度を測定した。各物性の測定は、5℃、20℃、35℃の環境で行った。その結果を、下記の表7Bに示す。
Figure 2022156484000009
表7Bの結果から、オキシカルボン酸として酒石酸を用い、酒石酸と炭酸ナトリウムとを本発明の範囲内で含む本発明例5~13の速硬性モルタル組成物は、速硬性混和材100質量部に対するセメントの含有量が150~900質量部と広い範囲内において、環境温度によるモルタルの凝結始発時間の変化率が±20%以内にあり、環境温度によるモルタルの凝結始発時間の変動が小さいことが確認された。これに対して、酒石酸と炭酸ナトリウムの割合が本発明の範囲から外れる比較例9~14の速硬性モルタル組成物は、環境温度によるモルタルの凝結始発時間の変化率が±20%を大きく超えており、環境温度によるモルタルの凝結始発時間の変動が大きくなった。
[本発明例14、比較例15~16]
速硬性混和材(SA)、普通ポルトランドセメント(N)、珪砂(S)、再乳化粉末樹脂(P)、カリウムミョウバン(BK)、メタケイ酸ナトリウム(MS)、短繊維(PVA)、消泡剤(14HP)、凝結調整剤(SET)を、下記の表8Aに示す含有量となるように、V型混合機を用いて混合して速硬性モルタル組成物を製造した。
Figure 2022156484000010
本発明例14及び比較例15~16で得られた速硬性モルタル組成物100質量部に対して水を17質量部加えて混練してモルタルを調製した。得られたモルタルを用いて、凝結時間、圧縮強度を測定した。各物性の測定は、5℃、20℃、35℃の環境で行った。その結果を、下記の表8Bに示す。
Figure 2022156484000011
表8Bの結果から、再乳化粉末樹脂と短繊維を含む速硬性モルタル組成物においても、オキシカルボン酸として酒石酸を用い、酒石酸と炭酸ナトリウムとを本発明の範囲内で含む本発明例14の速硬性モルタル組成物は、環境温度によるモルタルの凝結始発時間の変化率が±20%以内にあり、環境温度によるモルタルの凝結始発時間の変動が小さいことが確認された。これに対して、酒石酸と炭酸ナトリウムの割合が本発明の範囲から外れる比較例15~16の速硬性モルタル組成物は、環境温度によるモルタルの凝結始発時間の変化率が±20%を大きく超えており、環境温度によるモルタルの凝結始発時間の変動が大きくなった。
[本発明例15、比較例17~18]
速硬性混和材(SA)、普通ポルトランドセメント(N)、珪砂(S)、再乳化粉末樹脂(P)、塩分吸着材(SOL)、カリウムミョウバン(BK)、メタケイ酸ナトリウム(MS)、減水剤(6681F)、短繊維(PVA)、消泡剤(14HP)、凝結調整剤(SET)を、下記の表9Aに示す含有量となるように、V型混合機を用いて混合して速硬性モルタル組成物を製造した。
Figure 2022156484000012
本発明例15及び比較例17~18で得られた速硬性モルタル組成物100質量部に対して水を15質量部加えて混練してモルタルを調製した。得られたモルタルを用いて、凝結時間、圧縮強度を測定した。各物性の測定は、5℃、20℃、35℃の環境で行った。その結果を、下記の表9Bに示す。
Figure 2022156484000013
表9Bの結果から、塩分吸着材を含む速硬性モルタル組成物においても、オキシカルボン酸として酒石酸を用い、酒石酸と炭酸ナトリウムとを本発明の範囲内で含む本発明例15の速硬性モルタル組成物は、環境温度によるモルタルの凝結始発時間の変化率が±20%以内にあり、環境温度によるモルタルの凝結始発時間の変動が小さいことが確認された。これに対して、酒石酸と炭酸ナトリウムの割合が本発明の範囲から外れる比較例17~18の速硬性モルタル組成物は、環境温度によるモルタルの凝結始発時間の変化率が±20%を大きく超えており、環境温度によるモルタルの凝結始発時間の変動が大きくなった。

Claims (4)

  1. セメントと、速硬性混和材と、細骨材と、ミョウバンと、炭酸ナトリウムと、酒石酸とを含む速硬性モルタル組成物であって、
    前記速硬性混和材は、カルシウムアルミネートと無水石膏とを含み、前記カルシウムアルミネートは、Alに対するCaOの含有量がモル比で1.5以上2.0以下の範囲内にあって、ガラス化率が80%以上であり、前記無水石膏の含有量が前記カルシウムアルミネートと前記無水石膏の合計量100質量部に対して35質量部以上65質量部以下の範囲内にあり、
    前記セメントの含有量が、前記速硬性混和材100質量部に対して100質量部以上1900質量部以下の範囲内にあり、
    前記細骨材の含有量が、前記速硬性混和材と前記セメントの合計量を100質量部として50質量部以上300質量部以下の範囲内にあり、
    前記ミョウバンの含有量が、前記速硬性混和材と前記セメントの合計量100質量部に対して0.4質量部以上10質量部以下の範囲内にあり、
    前記酒石酸の含有量が、前記速硬性混和材と前記セメントの合計量100質量部に対して0.1質量部以上5質量部以下の範囲内にあり、
    前記炭酸ナトリウムの含有量が、前記酒石酸1.0質量部に対して1.0質量部以上2.5質量部以下の範囲内にあることを特徴する速硬性モルタル組成物。
  2. JIS R 5201:2015(セメントの物理試験方法)に準拠して測定される、環境温度20℃におけるモルタルの凝結始発時間に対する環境温度5℃におけるモルタルの凝結始発時間の変化率が±20%以内であり、環境温度20℃におけるモルタルの凝結始発時間に対する環境温度35℃におけるモルタルの凝結始発時間の変化率が±20%以内であることを特徴とする請求項1に記載の速硬性モルタル組成物。
  3. さらに、短繊維を前記速硬性混和材と前記セメントの合計量100質量部に対して0.01質量部以上1.0質量部以下の範囲内の量にて含むことを特徴とする請求項1または2に記載の速硬性モルタル組成物。
  4. さらに、塩分吸着材を前記速硬性混和材と前記セメントの合計量100質量部に対して1質量部以上30質量部以下の範囲内の量にて含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の速硬性モルタル組成物。
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