JP2022155902A - 振動減衰構造 - Google Patents

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Kaito Nakamura
三穂 蔵田
Miho Kurata
栄 寺田
Sakae Terada
周平 成田
Shuhei Narita
大輔 山田
Daisuke Yamada
俊宇 三好
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Abstract

【課題】構成中に含まれる部材間での剛性差を大きくすることなく、高い振動減衰効果を得ることができる振動減衰構造を提供する。【解決手段】振動減衰構造1は、長尺状の構造体である梁10と、梁10に接合される減衰材11とを備える。減衰材11は、梁10が延びるX方向において、当該梁10に沿うように配されている。減衰材11は、梁10の上壁10aからZ方向上側に離間して配された本体部111と、本体部111を梁10に接合するクリップ112とを有する。X方向において、減衰材11におけるクリップ112で梁10に接合された部分が接合部11bであり、減衰材11におけるそれ以外の部分が離間部11aである。減衰材11は、梁10よりも高減衰となるように形成されているとともに、減衰材11の1次の共振周波数が梁10の1次の共振周波数以下となるように形成されている。【選択図】図2

Description

本発明は、振動減衰構造に関し、特に、長尺状の部材を含む振動減衰構造に関する。
車両の車体や建物の構造体などには、一の方向に延びる長尺状の部材が多く使用される。車両や建物などを始めとする種々の分野では、長尺状の部材の振動を減衰させるための技術が種々検討されている。例えば、特許文献1には、車体における長尺状の骨格部材(フロントサイドフレーム)の振動を減衰させるための構造が開示されている。
特許文献1には、筒状のフロントサイドフレームと、当該フロントサイドフレームの筒内に収容されたバルクヘッドとを有する振動減衰構造が開示されている。バルクヘッドは、フロントサイドフレームの筒内において、フロントサイドフレームの長手方向に直交するように配されるとともに、外周部分でフロントサイドフレームの内壁面に固定されている。フロントサイドフレームの内壁面とバルクヘッドとは、スポット溶接により固定された箇所と、粘弾性部材からなる減衰部材により固定された箇所とで互いに固定されている。特許文献1では、フロントサイドフレームの内壁面とバルクヘッドとを上記のように固定することにより、フロントサイドフレームの剛性を向上させながら、振動減衰が可能であるとされている。
特開2013-49375号公報
車両や建築物を始めとする種々の構造体に用いられる長尺状の部材に対しては、振動減衰効果をさらに向上させることが求められている。このような要望に対して、上記特許文献1に開示の構成において、骨格部材であるフロントサイドフレームとバルクヘッドとの剛性差を大きくすることで歪エネルギ蓄積量を大きくするとの方法を採用することが考えられる。
しかしながら、上記のように歪エネルギ蓄積量を大きくするためにフロントサイドフレームとバルクヘッドとの剛性差を大きくした場合には、当該フロントサイドフレームに求められる他の性能に影響を及ぼしてしまうことが考えられる。よって、上記のような方法を採用することは困難である。
本発明は、上記のような問題の解決を図ろうとなされたものであって、構成中に含まれる部材間での剛性差を大きくすることなく、高い振動減衰効果を得ることができる振動減衰構造を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る振動減衰構造は、構造体である長尺状の第1部材と、前記第1部材に沿うように配されるとともに、前記第1部材に接合される第2部材と、を備える。前記第2部材は、複数の接合部と、1または複数の非接合部とを有する。前記複数の接合部は、前記第1部材が延びる第1方向において互いに間隔をあけた状態で前記第1部材に接合される。前記1または複数の非接合部は、前記第1方向において前記接合部に隣接配置された、前記第1部材とは接合されない。本態様に係る振動減衰構造において、前記第2部材は、前記第1部材よりも高減衰となるように形成されているとともに、当該第2部材の1次の共振周波数が前記第1部材の共振周波数以下となるように形成されている。
上記態様に係る振動減衰構造では、第1部材に取り付けられる第2部材が接合部と非接合部とを有する。そして、第2部材は、第1部材よりも高減衰となるように(大きな損失係数を有するように)形成されている。さらに、第2部材は、その1次の共振周波数が第1部材の共振周波数以下となるように設定されている。上記態様に係る振動減衰構造では、第1部材は第1方向に対して面外変形のモードをとるため、第1方向において互いに間隔をあけて配された接合部を介して第1部材から第2部材へと振動が入力され、第2部材における非接合部が第1部材に拘束されることなく共振する。よって、上記態様に係る振動減衰構造では、第2部材の接合部に歪エネルギを蓄積することができる。
従って、上記態様に係る振動減衰構造では、長尺状の構造体である第1部材と当該第1部材に接合される第2部材との間での剛性差を大きくすることなく、高い振動減衰効果を得ることができる。
上記態様に係る振動減衰構造において、前記複数の接合部は、前記第1方向に沿って線状に並ぶように配されている、とすることも可能である。
上記態様に係る振動減衰構造では、当該複数の接合部が第1方向に沿って線状に並ぶように配されているので、上記態様に係る振動減衰構造では、複数の接合部のそれぞれを介して第1部材から第2部材へと入力される振動の振幅方向が同一となる。よって、上記態様に係る振動減衰構造では、第2部材における非接合部が共振する際の共振モードが阻害され難い。
上記態様に係る振動減衰構造において、前記第1部材は、前記第1方向に直交する方向の断面が閉断面である、とすることも可能である。
上記態様に係る振動減衰構造では、第1部材が閉断面構造を有する。このため、第1部材において、質量増加を抑制しながら、曲げ荷重の入力時における捩り剛性の制御が可能であり、第1部材自体でも高い振動減衰効果を得ることが可能である。
上記態様に係る振動減衰構造において、前記第2部材の前記非接合部は、前記第1方向に直交する方向において、前記第1部材に対して離間した状態で対向するように形成されている、とすることも可能である。
上記態様に係る振動減衰構造では、第2部材の非接合部が第1部材に対して離間している。このため、第1部材から振動が入力された場合に、非接合部での共振が第1部材により拘束され難い。
上記態様に係る振動減衰構造において、前記第2部材は、前記第1部材に対して前記直交する方向に離間した状態で配される本体部と、前記本体部と前記第1部材とを機械的に締結する機械締結部と、を有し、前記接合部は、前記機械締結部により前記第1部材と接合された部分であり、前記非接合部は、前記本体部における前記機械締結部により前記第1部材と接合された部分を除く部分である、とすることも可能である。
上記態様に係る振動減衰構造では、第2部材の接合部が機械締結部である。よって、上記態様に係る振動減衰構造では、第1部材と第2部材とを機械締結により確実に接合することができる。また、上記態様に係る振動減衰構造では、第2部材において、本体部の機械締結部で第1部材に接合された部分を除く部分が全て非接合部である。よって、上記態様に係る振動減衰構造では、第2部材の1次の共振周波数を第1部材の1次の共振周波数以下とするのが容易に可能である。
上記態様に係る振動減衰構造において、前記第2部材の前記非接合部は、前記第1方向に対して直交する方向において、それぞれが前記第1部材に近接する近接部と、前記第1方向において前記近接部に隣接して配置され、前記直交する方向において前記近接部よりも前記第1部材から離間した非近接部と、を有する、とすることも可能である。
上記態様に係る振動減衰構造では、第2部材における非接合部が近接部と非近接部とを有する。これより、上記態様に係る振動減衰構造では、接合部を介して第1部材から入力された振動により、第2部材の非近接部が第1部材に拘束されることなく共振する。よって、上記態様に係る振動減衰構造では、第2部材の接合部に歪エネルギを蓄積させるのにさらに優位である。
上記態様に係る振動減衰構造において、前記第2部材を前記直交する方向から平面視する場合に、前記近接部は、格子状の形状である、とすることも可能である。
上記態様に係る振動減衰構造では、直交する方向からの平面視で、近接部が格子状の形状である。よって、上記態様に係る振動減衰構造では、第1部材と第2部材との接合方向に対して交差する2次元方向に複数の共振面を有する。このため、上記態様に係る振動減衰構造では、第2部材の1次の共振周波数を第1部材の1次の共振周波数以下に設定し易い。
上記態様に係る振動減衰構造において、前記第2部材の前記近接部は、前記直交する方向において、前記非近接部から前記第1部材に向けて柱状に立設されている、とすることも可能である。
上記態様に係る振動減衰構造では、第2部材の非接合部における近接部を柱状に立設されてなる構造としている。このため、上記態様に係る振動減衰構造では、柱の太さ(横断面積)や柱同士の間隔などにより、第2部材の共振周波数を調整することが容易となる。
上記態様に係る振動減衰構造において、前記第2部材の前記接合部は、前記第1部材における1次および2次の少なくとも一方の共振での腹位置に配置されている、とすることも可能である。
上記態様に係る振動減衰構造では、第2部材の接合部が、第1部材における1次および2次の少なくとも一方の共振での腹位置(振幅が最大値を示す位置)に配置されている。このため、上記態様に係る振動減衰構造では、第1部材から第2部材への振動の伝達が高い効率でなされる。
上記態様に係る振動減衰構造において、前記第2部材は、多孔質材料を用いて形成されている、とすることも可能である。
上記態様に係る振動減衰構造では、多孔質材料を用いて第2部材が形成されている。このため、中実の材料を用いて第2部材を形成する場合に比べて軽量化を図りながら効果的に振動減衰することが可能である。
上記態様に係る振動減衰構造において、前記第2部材の1次の共振周波数は、前記第1部材における1次または2次の共振周波数以下に設定されている、とすることも可能である。
上記態様に係る振動減衰構造では、第2部材の1次の共振周波数が第1部材の1次または2次の共振周波数以下に設定されている。このように第2部材の1次の共振周波数を第1部材の1次または2次の共振周波数以下に設定される場合には、長尺状の構造体である第1部材と当該第1部材に接合される第2部材との間での剛性差を大きくすることなく、高い振動減衰効果を得るのに効果的である。
上記態様に係る振動減衰構造において、前記第2部材の1次の共振周波数は、前記第1部材における1次または2次の共振周波数と略同一に設定されている、とすることも可能である。
上記態様に係る振動減衰構造では、第2部材の1次の共振周波数が第1部材の1次または2次の共振周波数と略同一に設定されている。このように第2部材の1次の共振周波数を第1部材の1次または2次の共振周波数と略同一に設定される場合には、高い振動減衰効果を得るのに特に効果的である。
ここで、上記における「略同一」とは、第2部材の1次の共振周波数が第1部材の1次または2次の共振周波数と一致する場合だけでなく、第1部材の1次または2次の共振周波数の各ピークの裾野に当たる周波数領域を含むことを意味する。具体的には、第1部材の共振周波数をFr、裾野領域をαとするとき、(Fr-α)から(Fr+α)までの範囲が「略同一」と規定できる。なお、上記の「α」は、例えば、(Fr×√2)で規定することができる。
上記態様に係る振動減衰構造において、前記第2部材の1次の共振周波数は、前記第1部材の1次の共振周波数と略同一に設定されている、とすることも可能である。
上記態様に係る振動減衰構造では、第2部材の1次の共振周波数が第1部材の1次共振周波数と略同一に設定されている。このように第2部材の1次の共振周波数を第1部材の1次の共振周波数と略同一に設定される場合には、さらに顕著な振動減衰効果を得ることができる。
上記態様に係る振動減衰構造において、前記第1部材は、金属材料を用いて形成されており、前記第2部材は、0.01以上の損失係数を有する、とすることも可能である。
上記態様に係る振動減衰構造では、第1部材が金属材料を用いて形成されているとともに、第2部材の損失係数が0.01以上に設定されている。これより、該振動減衰構造を採用しない場合に比べて、振動減衰に関して顕著な効果を得ることができる。
上記態様に係る振動減衰構造において、前記第1部材は、車体のピラーであり、前記第2部材は、前記ピラーに対して車室内側に取り付けられるピラートリムである、とすることも可能である。
上記態様に係る振動減衰構造では、第1部材に車体のピラーを適用し、第2部材にピラートリムを適用している。これより、車体におけるピラーの振動を効果的に減衰することが可能となる。
上記の各態様に係る振動減衰構造では、構成中に含まれる部材間での剛性差を大きくすることなく、高い振動減衰効果を得ることができる。
本発明の第1実施形態に係る振動減衰構造を示す斜視図および断面図である。 図1のII-II線断面の一部を示す断面図である。 解析に用いたベースモデルの構成を示す斜視図および断面図である。 (a)は比較例に係る解析用モデルの構成を示す断面図であり、(b)は実施例1に係る解析用モデルの構成を示す断面図である。 解析方法を説明するための斜視図である。 (a)は比較例および実施例1,1-2に係るモデルでの周波数ごとのイナータンスを示すグラフであり、(b)は比較例および実施例1,1-2に係るモデルでの0~450Hzでの振動伝達特性を示すグラフである。 ベースモデル、比較例に係るモデル、および実施例1に係るモデルのそれぞれにおける損失エネルギ分担を示すグラフである。 振動減衰構造における梁の1次および2次の共振モードを示す模式図である。 減衰材の本体部における損失係数と1次共振ピーク低減量との関係を示すグラフである。 本発明の第2実施形態に係る振動減衰構造を示す斜視図および断面図である。 第2実施形態に係る振動減衰構造における周波数ごとのイナータンスを示すグラフである。 ベースモデル、比較例に係るモデル、実施例1に係るモデル、および実施例2に係るモデルのそれぞれにおける損失エネルギ分担を示すグラフである。 (a)は本発明の第3実施形態に係る振動減衰構造を示す展開断面図であり、(b)は減衰材の構成を示す斜視図である。 (a)は実施例3~5に係る各モデルでの周波数ごとのERPを示すグラフであり、(b)は実施例3~5に係る各モデルでのERPピーク値を示すグラフである。 車体の構成の一部を示す斜視図である。 車体におけるフロントピラーの構成を示す断面図である。 車体におけるセンターピラーの構成を示す断面図である。 変形例1に係る振動減衰構造における減衰材の構成を示す断面図である。 変形例2に係る振動減衰構造における減衰材の構成を示す展開断面図である。 変形例3に係る振動減衰構造における減衰材の構成を示す斜視図である。
以下では、本発明の実施形態について、図面を参酌しながら説明する。なお、以下で説明の形態は、本発明を例示的に示すものであって、本発明は、その本質的な構成を除き何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
[第1実施形態]
1.振動減衰構造1
本発明の第1実施形態に係る振動減衰構造1について、図1および図2を用いて説明する。なお、図1および図2では、振動減衰構造1を模式的に示しており、適用する位置などに応じて種々の変形が可能である。
図1および図2に示すように、本実施形態に係る振動減衰構造1は、構造体であってX方向に長尺な梁(第1部材)10と、梁10に接合された減衰材(第2部材)11と、梁10のX方向の両端を塞ぐ蓋12,13とを備える。梁10は、金属材料(例えば、Fe)を含み構成されており、図1の拡大部分に示すように、X方向に直交する方向で閉断面構造を有する。
減衰材11は、U字状の断面形状を有する本体部111と、本体部111を梁10に接合する複数のクリップ112とを有する。本体部111は、梁10の上壁10aおよび側壁10b,10cから外側に離間して配置されている。なお、本体部111のZ方向下部の端縁部111aについても、梁10の側壁10b,10cとの間に接合部などが介挿されておらず、隙間Gをあけて配されている。
クリップ112は、例えば樹脂材料を用いて形成されており、梁10の上壁10aに開けられた貫通孔を挿通する。振動減衰構造1においては、梁10の長手方向(X方向)の4か所で、クリップ112により本体部111と梁10とが接合されている。即ち、梁10と減衰材11とは複数の機械締結部により接合されている。図1に示すように、本実施形態では、4か所の接合箇所(クリップ112が配置された箇所)は略等間隔に配置されている。具体的には、2か所の接合箇所はX方向における梁10の両端部分にそれぞれ配置され、残りの2か所の接合箇所は、X方向における梁10の長さを略三等分した場合の各境界となる箇所にそれぞれ配置されている。
図2に示すように、振動減衰構造1において、クリップ112により本体部111と梁10とが接合された箇所は、互いにX方向に離間して配置されている。そして、X方向におけるクリップ112による接合箇所同士の間では、本体部111と梁10とは互いに離間している。減衰材11において、梁10と離間した部分を離間部11a、クリップ112により梁10に接合された部分を接合部11bとする。
本実施形態に係る振動減衰構造1では、減衰材11は、梁10よりも高減衰となるように(大きな損失係数を有するように)形成されているとともに、減衰材11の1次の共振周波数が梁10の1次の共振周波数と同じかそれよりも低くなるように形成されている。
2.振動減衰
ある部材の振動減衰性を高めるためには、全体に占める部材の歪エネルギ割合を示す、(i)歪エネルギ分担率と、(ii)部材の損失係数を高めることが必要となる。減衰率については、次式で表される。
Figure 2022155902000002
上記関係式において、ηが構成部材mの損失係数、Ueが要素eの歪エネルギ、Utotalが全歪エネルギを指す。
3.解析用モデルを用いた解析
振動減衰効果を確認するために用いたモデル5~7の構成について、図3および図4を用いて説明する。
(1)解析用モデル(ベースモデル)5
図3に示すように、本解析においてベースとしたモデル(ベースモデル)5は、長さL0の梁10と、当該梁10のX方向の両端を塞ぐ蓋12,13とで構成される。図3の拡大部分に示すように、梁10の幅はW0であり、高さはH0であり、肉厚はT0であり、内側の四隅の曲率半径がRである。
また、ベースモデル5では、梁10および蓋12,13の構成材料としてFeを用いた。蓋12,13は、梁10の端部開口に対して全周溶接により接合した。
(2)比較例に係る解析用モデル6
図4(a)に示すように、比較例に係る解析用モデル6は、上記構成を有するベースモデル5に対して、減衰材61を備える点で異なる。減衰材61は、第1実施形態に係る振動減衰構造1の減衰材11と同様に、本体部111とクリップ112とを有する。比較例に係るモデル6では、減衰材61が接合部材613をさらに有する。接合部材613は、ゴムからなる接着層であって、本体部111の端縁部111aと梁10における側壁10b,10cの外面とを接合している(矢印A1で示す部分)。
また、図4(a)では図示を省略しているが、減衰材61と梁10とは2つのクリップ112で接合されている。具体的には、図1に示したクリップ112のうち、梁10の長手方向(X方向)の両端に配置された2つのクリップ112が、変形例に係るモデル6では省略されている。
なお、モデル6が備える減衰材61の本体部111は、プリプロピレン(PP)から形成され部材である。
(3)実施例1に係る解析用モデル7
図4(b)に示すように、実施例1に係る解析用モデル7は、上記比較例に係るモデル6に対して、減衰材11が接合部材61を有さない点で異なる。即ち、実施例1に係るモデル7では、第1実施形態に係る振動減衰構造1の減衰材11と同様に、本体部111の端縁部111aが梁10の側壁10b,10cの外面に接合されておらず、隙間Gを空けた状態で配されている(矢印A2で示す部分)。
また、実施例1に係るモデル7では、減衰材11と梁10とが、4つのクリップ112で接合されている。4つのクリップ112による接合箇所は、図1に示す接合箇所(クリップ112が配された箇所)と同じである。
なお、実施例1に係るモデル7では、ヤング率が梁10よりも低い樹脂材料を用いて減衰材11が形成されている。
(4)実施例1-2
実施例1-2に係る解析用モデル8は、接合部材613のヤング率が異なること以外は、上記比較例に係るモデル6と同じ構造を採用した。モデル8の接合部材613については、比較例に係るモデル6の接合部材613よりもヤング率が低い材料を用いて形成されている。そして、モデル8では、接合部材613のヤング率を低く設定することにより、減衰材61の1次の共振周波数が梁10の共振周波数(1次または2次の共振周波数)と略同一となるようにした。
(5)解析方法
上記の各モデル6~8を用いた解析方法について、図5を用いて説明する。
図5に示すように、上記の比較例および実施例1,1-2に係る各モデル6~8に対して、蓋12にZ方向の一定荷重加振を行った。そして、もう一方の蓋13で出力されるZ方向の応答を検出した。
なお、実施例1に係るモデル7では、減衰材11に対する梁10の損失係数の比率が3%となる関係性で解析を行った。
(6)解析結果
上記のような方法で解析を行い、得られた結果について、図6および図7を用いて説明する。なお、図6(a)では、比較例および実施例1,1-2に係るモデル6~8での周波数ごとのイナータンスを示し、図6(b)では、比較例および実施例1,1-2に係るモデルでの0~450Hzでの振動伝達特性を示す。なお、イナータンスとは、入力する力と出力される加速度との比である。
図6(a)に示すように、ベースモデル5では、300Hz近傍にピークを有する。300Hz近傍のピークは、ベースモデル5の二節曲げでのピークである。
一方、比較例に係るモデル6では、280Hz近傍、630Hz近傍などにピークを有する。280Hz近傍のピークは、梁10の二節曲げによるピークであり、630Hz近傍のピークは、減衰材61の共振によるピークである。比較例に係るモデル6では、減衰材61の本体部111が接合部材613で梁10の側壁10b,10cに接合されているので、梁10の1次の共振周波数(300Hz近傍)よりも高い周波数帯域に減衰材61の共振周波数(630Hz)が存在する。よって、比較例に係るモデル6では、280Hz近傍のピーク高さが、ベースモデル5における300Hz近傍のピーク高さからほとんど低くならなかった。
実施例1に係るモデル7でも、300Hz近傍にピークを有するが、モデル7における300Hz近傍のピーク高さは、ベースモデル5よりも大幅に低くなっている。これは、実施例1に係るモデル7では、減衰材11の共振周波数が梁10の1次の共振周波数(300Hz近傍)よりも低い周波数帯域に存在していることによるものと考えられる。
実施例1-2に係るモデル8では、梁10の300Hz近傍のピークが著しく低減し、その前後の周波数に低い値のピークを有する。これより、実施例1-2に係るモデル8では、最も振動エネルギを低減することができると考えられる。
図6(b)に示すように、比較例に係るモデル6についての振動伝達特性は、略59dBであった。これに対して、実施例1に係るモデル7についての振動伝達特性は、略53dBであり、実施例1-2に係るモデルについての振動伝達特性は、略47dBであった。振動伝達特性は、比較例に係るモデル6よりも実施例1に係るモデル7が低く、実施例1に係るモデル7よりも実施例1-2に係るモデル8が低くなった。これらより、減衰材11の1次の共振周波数を梁10の共振周波数以下とした実施例1に係るモデル7で振動減衰効果の観点で比較例に係るモデル6よりも優れ、減衰材11の1次の共振周波数を梁10の共振周波数と略同一とした実施例1―2に係るモデル8で特に顕著な振動減衰効果を得ることができることが分かる。
次に、各モデル5~7のそれぞれにおける損失エネルギ分担について、図7を用いて説明する。なお、図7は、各モデル5~7のそれぞれについて、0~500Hzの周波数範囲での損失エネルギ分担を示すグラフである。
図7に示すように、比較例に係るモデル6では、梁10のエネルギ分担率が57~58%となっている。これに対して、実施例1に係るモデル7では、梁10のエネルギ分担率が10%前後と比較例と比べて大幅に低減している。
上記のような結果は、梁10の振動エネルギが当該梁10に接合された減衰材11に伝達され、伝達された減衰材11に吸収されたことで奏されたものと考えられる。また、実施例1に係るモデル7において、梁10のエネルギ分担率が低下したことにより、梁10のエネルギが支配的な曲げモードの伝達特性が大幅に改善されたものと推察できる。
なお、図7では、実施例1-2に係るモデル8でのエネルギ分担率を図示していないが、本発明者等は、実施例1に係るモデル7と同様の現象が生じることを確認している。
4.梁10と減衰材11との接合箇所
上記のように、本実施形態に係る振動減衰構造1では、梁10と減衰材11とを4か所で接合することとしているが、接合箇所の設定方法について、図8を用いて説明する。
図8に示すように、梁10の1次の共振においては、長手方向の中央部分に共振の腹位置(振幅が最大値を示す位置)が存在する。これに対して、梁10の2次の共振においては、梁10を長手方向に3分割した場合の各境界部分(矢印B)に共振の腹部分が存在する。
本実施形態では、図8の矢印Bで示す2次の共振での腹部分に接合箇所を設定している。ただし、実際に振動減衰構造1を適用しようとする構造体において、1次の共振を低減することを目的とする場合であれば、梁10の1次の共振での腹部分に接合箇所を設定することが望ましい。また、梁10の1次の共振での腹部分と2次の共振での腹部分との双方に接合箇所を設定することも可能である。
なお、図1に示したように、本実施形態に係る振動減衰構造1では、Z方向からの平面視で、4か所の接合箇所は線状(直線状)に並んだ状態で配置されている。ただし、骨格部材(第1部材)の形状に応じて、曲線状に複数の接合箇所を配列することも可能である。
5.減衰材11における本体部111の損失係数についての検討
高い振動減衰効果を得るための、減衰材11における本体部111の望ましい損失係数について検討を行った。検討結果を図9に示す。
なお、本検討においては、上記のベースモデル5および実施例1に係るモデル7を用いた。
図9に示すように、減衰材11を備えるモデル7では、1次共振ピーク低減量は、損失係数が“0.001”から“0.1”に向けて漸減して行く。そして、損失係数が“0.1”よりも若干大きい箇所から、逆に漸増して行く。
減衰材11を備えるモデル7において、1次共振ピーク低減量が最も小さい箇所がP1となる。グラフ上にP1を通る垂線を引く。この場合に、減衰材を有さないモデル5での特性線との交点をP2とする。そして、P1とP2との中点P3を通り横軸に平行な線をグラフに引く。このとき、減衰材11を備えるモデル7の特性線との交点をP4とする。
P4における損失係数は、“0.01”である。よって、梁10が金属材料(例えば、Fe)から構成されている場合には、減衰材11の本体部(PP:ポリプロピレン)111の損失係数を“0.01”に設定することにより、減衰材を有さないモデル5に比べて最大となる効果の50%以上を確保することが可能となる。
6.効果
本実施形態に係る振動減衰構造1では、梁(第1部材)10に取り付けられる減衰材(第2部材)11が接合部11bと非接合部11aとを有する。そして、減衰材11は、梁10よりも高減衰となるように(大きな損失係数を有するように)形成されている。さらに、減衰材11は、その1次の共振周波数が梁10の共振周波数以下(梁10における1次または2次の共振周波数以下)となるように設定されている。振動減衰構造1では、梁10はX方向に対して面外変形のモードをとるため、X方向において互いに間隔をあけて配された接合部11bを介して梁10から減衰材11へと振動が入力され、減衰材11における非接合部11aが梁10に拘束されることなく共振する。よって、振動減衰構造1では、減衰材11の接合部11bに歪エネルギを蓄積することができる。
振動減衰構造1では、減衰材11における複数(4か所)の接合部11bをZ方向から平面視する場合に、複数の接合部11bはX方向に沿って直線状に並ぶように配されている。このため、振動減衰構造1では、複数の接合部11bのそれぞれを介して梁10から減衰材11へと入力される振動の振幅方向が全域で同一となる。よって、振動減衰構造1では、減衰材11における非接合部11aが共振する際の共振モードが阻害され難い。
振動減衰構造1では、梁10がX方向に対して直交する方向おいて閉断面構造を有する。このため、梁10において、質量増加を抑制しながら、曲げ荷重の入力時における捩り剛性の制御が可能であり、梁10自体でも高い振動減衰効果を得ることが可能である。
振動減衰構造1では、減衰材11の非接合部11aが梁10に対して間隔をあけて離間している。このため、梁10から振動が入力された場合に、非接合部11aでの共振が梁10により拘束され難い。
振動減衰構造1では、減衰材11の接合部11bが機械締結部であるクリップ112により構成されている。よって、振動減衰構造1では、梁10と減衰材11の本体部111とを機械締結により確実に接合することができる。また、振動減衰構造1では、減衰材11において、本体部111におけるクリップ112で梁10に接合された部分を除く部分が全て非接合部11aである。よって、振動減衰構造1では、減衰材11の1次の共振周波数を梁10の1次の共振周波数以下とすることが容易に可能となる。
振動減衰構造1では、減衰材11の接合部11bが、梁10における2次共振での腹位置(振幅が最大値を示す位置)に配置されている。このため、振動減衰構造1では、梁10から減衰材11への振動の伝達が高い効率でなされる。
振動減衰構造1では、梁10が金属材料を用いて形成されている場合に、減衰材11の損失係数が0.01以上に設定されている。これより、該振動減衰構造1を採用しない場合に比べて、振動減衰に関して顕著な効果を得ることができる。
以上のように、本実施形態に係る振動減衰構造1では、構成中に含まれる部材間での剛性差を大きくすることなく、高い振動減衰効果を得ることができる。
[第2実施形態]
1.振動減衰構造2
本発明の第2実施形態に係る振動減衰構造2について、図10を用いて説明する。なお、図10において、上記第1実施形態に係る振動減衰構造1と同じ構成部分に対しては、同一の符号を付している。
図10に示すように、本実施形態に係る振動減衰構造2は、構造体であってX方向に長尺な梁(第1部材)10と、梁10に接合された減衰材(第2部材)21と、梁10のX方向の両端を塞ぐ蓋12,13とを備える。梁10は、上記第1実施形態と同様に、金属材料(例えば、Fe)を含み構成されており、X方向に直交する方向で閉断面構造を有する。
減衰材21は、U字状の断面形状を有する本体部111と、本体部111を梁10に接合する複数のクリップ112と、本体部111の内側に設けられた発泡部213とを有する。本体部111は、梁10の上壁10aおよび側壁10b,10cから外側に離間して配置されている。また、発泡部213についても、拡大部分に示すように、梁10の上壁10aおよび側壁10b,10cから外側に離間して配置されている。そして、発泡部213のZ方向下部の端縁部213aについても、梁10の側壁10b,10cとの間に接合部などが介挿されておらず、隙間Gをあけて配されている。
ここで、本実施形態に係る振動減衰構造2では、減衰材21における本体部111が、上記第1実施形態に係る減衰材11の本体部111よりも高減衰の材料を用い形成されている。また、発泡部213は、多孔質材料(例えば、アクリル発泡材)から形成されている。
発泡部213は、減衰材21に対して、ヤング率が15%程度、損失係数が130%程度の材料を用いて形成されている。
本実施形態に係る振動減衰構造2では、上記第1実施形態で用いた減衰材11の本体部111よりも高い損失係数を有する高減衰材で減衰材21の本体部111を形成し、発泡部213は、ヤング率が本体部111を構成する高減衰材に対して非常に小さな発泡材を用いて形成されている。
クリップ112は、上記第1実施形態と同様に、例えば樹脂材料を用いて形成されており、梁10の上壁10aに開けられた貫通孔を挿通する。振動減衰構造2においても、梁10の長手方向(X方向)の4か所で、クリップ112により本体部111と梁10とが接合されている。即ち、梁10と減衰材21とは複数の機械締結部により接合されている。また、4か所の接合箇所(クリップ112が配置された箇所)は、上記第1実施形態と同様に、略等間隔に配置されている。
詳細な図示を省略するが、振動減衰構造2において、クリップ112により本体部111と梁10とが接合された箇所は、互いにX方向に離間して配置されている。そして、X方向におけるクリップ112による接合箇所同士の間では、発泡部213と梁10とが互いに離間している。減衰材21においても、梁10と離間した部分が離間部であり、クリップ112により梁10に接合された部分が接合部である。
振動減衰構造2では、減衰材21は、梁10よりも高減衰となるように(大きな損失係数を有するように)形成されているとともに、減衰材21の1次の共振周波数が梁10の1次の共振周波数と同じかそれよりも低くなるように形成されている。
2.解析用モデルを用いた解析
上記のモデル5~7に加えて、本実施形態に係る振動減衰構造2をモデル化して、振動減衰効果を確認するための解析を行った。その結果について図11および図12を用いて説明する。
なお、本実施形態に係る振動減衰構造2のモデル(実施例2に係るモデル)は、上記モデル7に対して減衰材21が発泡部213を備える点のみが異なるので、モデルについての詳細な説明を省略する。
図11に示すように、実施例2に係るモデルでも、300Hz近傍にピークを有するが、実施例2に係るモデルにおける300Hz近傍のピーク高さは、実施例1に係るモデル7よりもさらに低くなっている。これは、実施例2に係るモデルでは、発泡部213を有する減衰材21を採用することにより、梁10から入力された振動エネルギが減衰材21でより効果的に吸収されたためであると考えられる。
なお、本解析結果でも詳細な説明を省略するが、減衰材21の1次の共振周波数を梁10の1次の共振周波数と同一とすることで、最も高い振動減衰効果をえることができることを確認している。
次に、上記のモデル5~7に加えて実施例2に係るモデルのそれぞれにおける損失エネルギ分担について、図12を用いて説明する。なお、図12も、それぞれのモデルについて、0~500Hzの周波数範囲での損失エネルギ分担を示すグラフである。
図12に示すように、実施例2に係るモデルでは、梁10のエネルギ分担率が1~2%まで大幅に低減している。この結果は、実施例1に係るモデル7が備える構成に加え、減衰材21が発泡部213を備えることにより、梁10から伝達された振動エネルギが減衰材21にさらに効果的に吸収されたことで奏されたものと考えられる。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態に係る振動減衰構造3について、図13および図14を用いて説明する。なお、本実施形態に係る振動減衰構造3は、上記第1実施形態および上記第2実施形態に対して減衰材31の構造が異なり、その他の構成については同じである。よって、以下では、減衰材31の構造を主に説明する。
図13(a)に示すように、振動減衰構造3は、梁10と減衰材31とを備える。減衰材31は、図示を省略する機械締結部(例えば、クリップ)により梁10の上壁10aを含む外壁の外面に接合されている。そして、減衰材31における残りの部分は、梁10から離間し、梁10に接合されていない状態で配置されている。換言すると、本実施形態に係る振動減衰構造3における減衰材31も、上記第1実施形態および上記第2実施形態と同様に、接合部と離間部を有する。
図13(a)、(b)に示すように、減衰材31における離間部は、梁10に近接する近接部31bと、梁10に対して近接部31bよりも外側に離間した非近接部31aとを有する。減衰材31の非近接部31aは、梁10から遠ざかる方向に凹入された凹部である。近接部31bは、隣り合う非近接部31a同士の間を仕切るようにリブ状に形成されており、平面視する場合に全体として格子状の形状をもって形成されている。
なお、本実施形態に係る振動減衰構造3では、減衰材31が多孔質材料(例えば、アクリル発泡材)から形成されており、近接部31bと非近接部31aとが一体に形成されている。
次に、図13(b)に示すように、減衰材31における非近接部31aの各寸法をLr1,Lr2,Drとした。各寸法Lr1,Lr2,Drの望ましい値について、実施例3~5を用いて検討を行った。
ここで、Lr1=Lr2とし、各実施例3~5で、(実施例3)>(実施例4)>(実施例5)とした。また、Drについては、(実施例3)=(実施例4)=(実施例5)とした。
なお、梁10としては、鉄(Fe)からなる部材を用いた。また、減衰材31としては、アクリル発泡材からなる部材であって、図13(b)に示す構造のものを用いた。また、減衰材31は、ヤング率が梁10よりも低い樹脂材料等を用いて形成されている。
そして、上記のような構造の実施例3~5の各モデルを用い、梁10における減衰材31が接合された領域の端部から振動を入力して、周波数ごとの等価放射パワー(ERP)を指標として評価した。なお、減衰材31に対する梁10の損失係数の比率が0.1%となる関係性で解析を行った。
図14(a)に示すように、実施例3のモデルでは、梁10のERPにおいて、50Hz付近および60Hz付近にピークが現れた。実施例4のモデルでは、梁10のERPにおいて、45Hz付近および60Hz付近に低いピークが現れた。また、実施例5のモデルでは、梁10のERPにおいて、45Hz付近および55Hz付近に若干高いピークが現れた。
図14(b)に示すように、実施例3~5におけるERPピーク値は、実施例3のモデルでのERPピーク値を“100”とするとき、実施例4のモデルでは“63”、実施例5のモデルでは“186”となった。
以上の結果より、平面視での近接部31bの形状が格子状の形状を採用する場合、リブのピッチ(Lr1,Lr2)を100mmとした実施例4のモデルで最も梁10の1次共振の振動レベルを低減できることが分かった。なお、この場合に、梁10の1次の共振周波数に近い周波数域に減衰材31の1次の準共振が存在していた。
以上より、凹部(非近接部)31aと近接部31bとがZ方向に対して直交する2方向(X方向およびY方向)に交互に繰り返す構造(ワッフル形状)の減衰材31を採用する場合には、梁10に対して近接部31bよりも離間した非近接部31aの準共振を梁10の1次の共振周波数と一致させることが振動減衰効果を得るうえで最も望ましいと考えられる。
なお、詳細を省略するが、本発明者等は、減衰材31におけるDrの大小にかかわらず、同じ傾向の結果が得られた。
[振動減衰構造の適用例]
上記第1実施形態から上記第3実施形態の各振動減衰構造1~3の適用例について、図15から図17を用いて説明する。
(1)車体100のフロントピラー101への適用例
図16は、図15のXVI-XVI線断面を示す。
図16に示すように、上記第1実施形態から上記第3実施形態の各振動減衰構造1~3を車体100のフロントピラー101に適用する場合には、長尺状の構造体であるピラー1010と、ピラー1010に車体内側から接合されたピラートリム1014および当該ピラートリム1014に取り付けられたウィンドシール104とにより振動減衰構造が形成される。
ピラー1010は、閉断面を構成するアウターパネル1011およびインナーパネル1013と、アウターパネル1011とインナーパネル1013との間で挟まれるように配されたレインフォースメント1012とを有する。ピラー1010の前方部分にはフロントウィンドシール103が取り付けられ、ピラー1010の後方部分にはドアシール105が取り付けられている。
ピラートリム1014は、本体部1015とクリップ(機械締結部)1016とを有する。なお、図16では図示を省略しているが、本体部1015のインナーパネル1013側の部分に、上記第2実施形態の発泡部213を有することにしてもよい。また、図16では、ピラートリム1014の本体部1015を板状として図示しているが、上記第3実施形態の減衰材31を適用することも可能である。
ピラートリム1014では、本体部1015がクリップ1016によりピラー1010に接合されており、当該クリップ1016で接合された部分が接合部であり、それ以外の部分が離間部(非接合部)である。即ち、本適用例において、ピラートリム1014の本体部1015は、クリップ1016を介してのみピラー1010に接合されており、本体部1015の他の部分はピラー1010に対して直接接合されていない。
クリップ1016は、図16の紙面に直交する方向において、複数設けられている。複数のクリップ1016は、ピラー1010が延びる方向(図16の紙面に直交する方向)において、等間隔で配置されていてもよいし、非等間隔で配置されていてもよい。
また、フロントウィンドシール103は、ピラートリム1014の本体部1015に接合されているとともに、ピラー1010に対して微細な隙間をあけた状態で配されている。これより、上記第2実施形態の発泡材213などと同様にピラー1010の振動減衰に寄与する。
以上のような構造を有するフロントピラー101では、ピラー1010とピラートリム1014およびウィンドシール104とにより振動減衰構造が構成され、ピラー1010の振動を効果的に減衰させることが可能である。
(2)車体100のセンターピラー102への適用例
図17は、図15のXVII-XVII線断面を示す。
図17に示すように、上記第1実施形態から上記第3実施形態の各振動減衰構造1~3を車体100のセンターピラー102に適用する場合には、長尺状の構造体であるピラー1020と、ピラー1020に車体内側から接合されたピラートリム1024とにより振動減衰構造が形成される。
ピラー1020は、閉断面を構成するアウターパネル1021およびインナーパネル1023と、アウターパネル1021とインナーパネル1023との間で挟まれるように配されたレインフォースメント1022とを有する。ピラー1020の前方および後方の各部分にはドアシール106,107が取り付けられている。
ピラートリム1024は、本体部1025とクリップ(機械締結部)1026とを有する。なお、図17でも図示を省略しているが、本体部1025のインナーパネル1013側の部分に、上記第2実施形態の発泡部213を有することにしてもよい。また、図17でも、ピラートリム1024の本体部1025を板状として図示しているが、上記第3実施形態の減衰材31を適用することも可能である。
ピラートリム1024では、本体部1025がクリップ1026によりピラー1020に接合されており、当該クリップ1026で接合された部分が接合部であり、それ以外の部分が離間部(非接合部)である。即ち、本適用例においても、ピラートリム1024の本体部1025は、クリップ1026を介してのみピラー1020に接合されており、本体部1025の他の部分はピラー1020に対して直接接合されていない。
クリップ1026は、図17の紙面に直交する方向(車体100の上下方向)において、複数設けられている。複数のクリップ1026は、ピラー1020が延びる車体100の上下方向において、等間隔で配置されていてもよいし、非等間隔で配置されていてもよい。
以上のような構造を有するセンターピラー102おいても、ピラー1020とピラートリム1024とにより振動減衰構造が構成され、ピラー1020の振動を効果的に減衰させることが可能である。
なお、上記では、車体100のフロントピラー101およびセンターピラー102に振動減衰構造を適用する例を示したが、本発明の振動減衰構造は、車体における長尺状の部材が配される部分に適宜に適用することが可能である。
また、上記では、振動減衰構造1~3の適用例として車体100の構造体について説明したが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、車体以外にも、建物の一部に適用したり、電気製品などに適用したり、船舶や飛行機などに適用したりすることも可能である。
[変形例1]
変形例1に係る振動減衰構造について、図18を用いて説明する。なお、図18では、上記第3実施形態に係る振動減衰構造3との差異点である減衰材35だけを抜き出して図示している。
図18に示すように、本変形例に係る振動減衰構造の減衰材35は、梁10に接合する側(Z方向上側)に複数の非近接部(凹部)35aと複数の近接部(リブ状部)35bとを有する。なお、図18では、減衰材35が梁10に接合される部分の図示を省略している。
非近接部35aは、X方向および図18の紙面に直交する方向において、隣り合う近接部35b同士の間に形成されており、Z方向において梁10から近接部35bよりも離間して配されている。
本変形例に係る振動減衰構造の減衰材35は、梁10に接合される側とは反対側(図18のZ方向下側)にも複数の凹部35cとリブ状部35dとを有する。凹部35cおよびリブ状部35dの配置形態については、Z方向に直交する方向において、非近接部35aおよび近接部35bの配置形態と同一である。そして、非近接部35aと凹部35cとをZ方向から平面視する場合に、非近接部35aと凹部35cとは互いに重複するように配置されている。
本変形例に係る振動減衰構造では、減衰材35に対してZ方向の一方から梁10を接合し、Z方向の他方から他の骨格部材を接合した場合においても、非近接部35aでの共振が阻害され難い。即ち、非近接部35aに対してZ方向下側となる領域に他の骨格部材と離間する凹部35cが形成されているので、他の骨格部材が接合されていても、非近接部35aの共振モードが阻害され難く、減衰材35の接合部(図示を省略。)や近接部35bに歪エネルギを蓄積させるのに優位であり、振動減衰に係る効果を得るのにさらに優位である。
[変形例2]
変形例2に係る振動減衰構造について、図19を用いて説明する。なお、図19でも、上記第3実施形態に係る振動減衰構造3との差異点である減衰材41だけを抜き出して図示している。
図19に示すように、本変形例に係る振動減衰構造の減衰材41は、互いに接合された板状部材410と格子状部材411とから構成されている。板状部材410は、厚みを有する板状の部材であって、梁10に沿って配される。格子状部材411は、格子状に形成された近接部311bと、それぞれがZ方向の上下に開口を有する複数の非近接部411aとを有する。格子状部材411は、近接面411cが梁10の外面に近接配置され、接合面411dで板状部材410の主面410aに接合される。
本変形例に係る振動減衰構造では、板状部材410と格子状部材411との組み合わせで減衰材41を構成することとしているが、上記第3実施形態に係る振動減衰構造3と同様の構造を有するので、上記同様の効果を得ることができる。
[変形例3]
変形例3に係る振動減衰構造について、図20を用いて説明する。なお、図20でも、上記第3実施形態に係る振動減衰構造3との差異点である減衰材45だけを抜き出して図示している。
図20に示すように、本変形例に係る振動減衰構造の減衰材45は、板状部45cと複数の柱状部45aとを有する。板状部45cは、厚みを有する板状の部材であって、梁10に沿って配される。複数の柱状部45aは、それぞれが円柱状の外観形状を有し、互いに間隔をあけて板状部45cのZ方向上側に立設されている。なお、板状部45cと複数の柱状部45aとは、一体形成されていてもよいし、互いに接合されていてもよい。
本変形例に係る振動減衰構造では、複数の柱状部45aのZ方向上側の部分が梁10の外面に近接するように減衰材45が配置される。そして、減衰材45において、板状部45cと梁10の外面との間の領域において、隣り合う柱状部45a同士の空間が非近接部45bとなる。
本変形例に係る振動減衰構造では、図20に示すように、板状部45cと複数の柱状部45aとを有する減衰材45を備えることにより、上記第3実施形態や上記変形例1,2のような格子状の近接部31b,35b,411bを有する減衰材31,35,41を採用する場合に比べて減衰材45の剛性を低減することが可能となる。このため、本変形例に係る振動減衰構造は、当該振動減衰構造の剛性や共振周波数の制御を行うのに採用することができる。
なお、本発明では、上記第1実施形態から上記第3実施形態、および上記変形例1~3の各構成を適宜に組み合わせることも可能である。
また、上記第1実施形態から上記第3実施形態、および上記変形例1~3では、第1部材の一例として内部閉断面構造を有する梁10を採用したが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、中実のバー部材や、開断面構造を有する長尺部材などを第1部材として採用することも可能である。また、第1部材は、必ずしも直線状に延びる部材でなくてもよく、曲線を描くように形成された長尺状の部材やクランク状に曲折された長尺状の部材などを採用することも可能である。
1~3 振動減衰構造
10 梁(第1部材)
11,21,31,35,41,45 減衰材(第2部材)
11a 離間部(非接合部)
11b 接合部
31a,35a,411a 非近接部
31b,35b,411b 近接部
45a 柱状部(近接部)
45b 離間部(非近接部)
100 車体
101 フロントピラー
102 センターピラー
104 ウィンドシール
112,212,1016,1026 クリップ(機械締結部材)
211 本体部
213 発泡部
410 板状部材
411 格子状部材
1010,1020 ピラー(第1部材)
1014,1024 ピラートリム(第2部材)

Claims (15)

  1. 構造体である長尺状の第1部材と、
    前記第1部材に沿うように配されるとともに、前記第1部材に接合される第2部材と、
    を備え、
    前記第2部材は、
    前記第1部材が延びる第1方向において互いに間隔をあけた状態で前記第1部材に接合される複数の接合部と、
    前記第1方向において前記接合部に隣接配置された、前記第1部材とは接合されない1または複数の非接合部と、
    を有し、
    前記第2部材は、前記第1部材よりも高減衰となるように形成されているとともに、当該第2部材の1次の共振周波数が前記第1部材の共振周波数以下となるように形成されている、
    振動減衰構造。
  2. 請求項1に記載の振動減衰構造において、
    前記複数の接合部は、前記第1方向に沿って線状に並ぶように配されている、
    振動減衰構造。
  3. 請求項1または請求項2に記載の振動減衰構造において、
    前記第1部材は、前記第1方向に直交する方向の断面が閉断面である、
    振動減衰構造。
  4. 請求項1から請求項3の何れかに記載の振動減衰構造において、
    前記第2部材の前記非接合部は、前記第1方向に直交する方向において、前記第1部材に対して離間した状態で対向するように配されている、
    振動減衰構造。
  5. 請求項4に記載の振動減衰構造において、
    前記第2部材は、
    前記第1部材に対して前記直交する方向に離間した状態で配される本体部と、
    前記本体部と前記第1部材とを機械的に締結する機械締結部と、
    を有し、
    前記接合部は、前記機械締結部により前記第1部材と接合された部分であり、
    前記非接合部は、前記本体部における前記機械締結部により前記第1部材と接合された部分を除く部分である、
    振動減衰構造。
  6. 請求項1から請求項3の何れかに記載の振動減衰構造において、
    前記第2部材の前記非接合部は、
    前記第1方向に対して直交する方向において、それぞれが前記第1部材に近接する近接部と、
    前記第1方向において前記近接部に隣接して配置され、前記直交する方向において前記近接部よりも前記第1部材から離間した非近接部と、
    を有する、
    振動減衰構造。
  7. 請求項6に記載の振動減衰構造において、
    前記第2部材を前記直交する方向から平面視する場合に、前記近接部は、格子状の形状である、
    振動減衰構造。
  8. 請求項7に記載の振動減衰構造において、
    前記第2部材の前記近接部は、前記直交する方向において、前記非近接部から前記第1部材に向けて柱状に立設されている、
    振動減衰構造。
  9. 請求項1から請求項8の何れかに記載の振動減衰構造において、
    前記第2部材の前記接合部は、前記第1部材における1次および2次の少なくとも一方の共振での腹位置に配置されている、
    振動減衰構造。
  10. 請求項1から請求項9の何れかに記載の振動減衰構造において、
    前記第2部材は、多孔質材料を用いて形成されている、
    振動減衰構造。
  11. 請求項1から請求項10の何れかに記載の振動減衰構造において、
    前記第2部材の1次の共振周波数は、前記第1部材における1次または2次の共振周波数以下に設定されている、
    振動減衰構造。
  12. 請求項1から請求項11の何れかに記載の振動減衰構造において、
    前記第2部材の1次の共振周波数は、前記第1部材における1次または2次の共振周波数と略同一に設定されている、
    振動減衰構造。
  13. 請求項1から請求項12の何れかに記載の振動減衰構造において、
    前記第2部材の1次の共振周波数は、前記第1部材の1次の共振周波数と略同一に設定されている、
    振動減衰構造。
  14. 請求項1から請求項13の何れかに記載の振動減衰構造において、
    前記第1部材は、金属材料を用いて形成されており、
    前記第2部材は、0.01以上の損失係数を有する、
    振動減衰構造。
  15. 請求項1から請求項14の何れかに記載の振動減衰構造において、
    前記第1部材は、車体のピラーであり、
    前記第2部材は、前記ピラーに対して車室内側に取り付けられるピラートリムである、
    振動減衰構造。
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