JP2022155874A - リチウム硫黄電池用電解液 - Google Patents
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Abstract
【課題】リチウム塩の溶解性が確保され、かつ多硫化物の溶出が抑制されて、サイクル特性等の電池特性に優れるリチウム硫黄電池を与える電解液を提供すること。【解決手段】フッ素化エーテル、クラウンエーテル、及び炭酸エステルを含有する混合有機溶媒、並びに、前記混合有機溶媒に溶解しているリチウム(Li)塩を含む、リチウム硫黄電池用電解液。【選択図】なし
Description
本発明は、リチウム硫黄電池用の電解液に関する。
近年、次世代電池材料の一つとして、リチウム硫黄電池が注目されている。リチウム硫黄電池は負極にリチウム又はリチウム化合物を、正極に硫黄又は硫化物を用いる電池であり、その理論容量は極めて大である。しかも軽量で、原材料の硫黄が資源量豊富で安価であるため、一般的なリチウムイオン電池に比べて電池性能の大幅な改善が期待されている。
リチウム硫黄電池においては通常、電解液としてリチウムイオンを含有する非水溶液が、その溶媒としては特に炭酸エステル(カーボネートエステル)系の溶媒が用いられるが、この電解液中には、充放電の過程で正極にて生じた多硫化物(ポリスルフィド)がしばしば溶出する。溶出した多硫化物は、自己放電の原因となって充電反応効率を低下させ、また、硫化リチウムとして正極以外の部分に析出し、エネルギー密度の低下をもたらす問題を生じる。こうした問題を解決するために、従来よりカーボネートエステル系溶媒を他の溶媒に置き換える検討がなされている。例えば特許文献1には、電解液の溶媒としてグライムを主溶媒とし、クラウンエーテル等の補助溶媒、さらにはアミドやアミン等のドナー溶媒を含有する金属硫黄電池が開示されている。特許文献2記載のリチウム硫黄電池では、アミド類、アルコール類、クラウンエーテル類のような、Li2S2等をむしろ溶解し得る溶媒を使用し、硫黄系電極活物質の正極以外での析出を抑制している。
近年は一部のフッ素化溶媒が多硫化物の溶出を抑制することが知られるようになり、例えば特許文献3には、ハイドロフルオロエーテルとグライム類との混合溶媒を使用したリチウムイオン電池が開示されている。また、特許文献4には、グライムやエーテル、スルホン系溶媒等の多硫化物可溶性溶媒と、フッ素化エーテルや芳香族系化合物等の多硫化物不溶性溶媒とを含有し、さらに多硫化物が不溶又は殆ど不溶な液状錯体又は液状塩を含有する電解液が開示されている。
上記のように一部のフッ素化溶媒、特にハイドロフルオロエーテル類には、電解液中への多硫化物の溶出を抑制する効果があるが、一方で電解質であるリチウム塩が十分に溶解しない場合がある。特許文献3及び4記載のようにハイドロフルオロエーテルをグライム類又は環状もしくは非環状エーテルと混合して用いても、この難点は解消されない。後記する実施例にも示すように、ハイドロフルオロエーテルと環状エーテルの一種であるクラウンエーテルとを併用しても、保管中の電解液からリチウム塩が析出する場合がある。
本発明は、上記のような問題を解決すべく、リチウム塩の溶解性が確保され、かつ多硫化物の溶出が十分に抑制されて、サイクル特性等が良好なリチウム硫黄電池を構成し得る電解液を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、リチウム硫黄電池用電解液の溶媒をハイドロフルオロエーテル、環状エーテル、及び炭酸エステル(カーボネートエステル)の3種混合溶媒とし、かつ環状エーテルとしてクラウンエーテルを使用することにより、リチウム塩の溶解性と多硫化物の溶出抑制との両者が十分に確保され、優れた特性のリチウム硫黄電池が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、以下の(1)~(6)を提供する。
(1)フッ素化エーテル、クラウンエーテル、及び炭酸エステルを含有する混合有機溶媒、並びに、前記混合有機溶媒に溶解しているリチウム(Li)塩を含む、リチウム硫黄電池用電解液。
(2)前記リチウム(Li)塩が、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiN(CF3SO2)2)、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド(LiN(C2F5SO2)2)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、リチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド(LiC(SO2CF3)3)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)、ホウフッ化リチウム(LiBF4)、ペンタフルオロエチルトリフルオロホウ酸リチウム(LiBF3(C2F5))、ジオキサレートホウ酸リチウム(LiB(C2O4)2)、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸リチウム(LiB(C6F5)4)、トリ(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸リチウム(LiPF3(C2F5)3)、ノナフルオロブタンスルホン酸リチウム(LiC4F9SO3)、ペルフルオロオクタンスルホン酸リチウム(LiC8F17SO3)、テトラ[3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニル)]ホウ酸リチウム(LiB[C6H3(CF3)2-3,5]4)、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸リチウム(LiB(C6F5)4)、テトラ[4-(トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸リチウム(LiB[C6H4(CF3)-4]4)、及び硝酸リチウム(LiNO3)からなる群より選択される1種以上の塩である、(1)のリチウム硫黄電池用電解液。
(3)前記フッ素化エーテルが、1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,3,3-テトラフルオロプロピルエーテル、2-トリフルオロメチル-3-エトキシドデカフルオロヘキサン、1-メチル-2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブチル(1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル)エーテル、1H,1H,2’H,3H-デカフルオロジプロピルエーテルからなる群より選択される1種以上の溶媒である、(1)又は(2)のリチウム硫黄電池用電解液。
(4)前記クラウンエーテルが、ジベンゾ-12-クラウン-4-エーテルである、(1)~(3)のいずれかのリチウム硫黄電池用電解液。
(5)前記炭酸エステルが、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、4,5-ジフルオロエチレンカーボネート、及び4,4-ジフルオロエチレンカーボネートからなる群より選択される1種以上の溶媒である、(1)~(4)のいずれかのリチウム硫黄電池用電解液。
(6)硫黄又は硫化物を含む正極活物質を有する正極と、リチウム(Li)又はリチウム(Li)化合物を含む負極活物質を有する負極と、前記正極と前記負極との間に介在する電解液とを備え、
前記電解液が(1)~(5)のいずれかのリチウム硫黄電池用電解液である、リチウム硫黄電池。
(1)フッ素化エーテル、クラウンエーテル、及び炭酸エステルを含有する混合有機溶媒、並びに、前記混合有機溶媒に溶解しているリチウム(Li)塩を含む、リチウム硫黄電池用電解液。
(2)前記リチウム(Li)塩が、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiN(CF3SO2)2)、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド(LiN(C2F5SO2)2)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、リチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド(LiC(SO2CF3)3)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)、ホウフッ化リチウム(LiBF4)、ペンタフルオロエチルトリフルオロホウ酸リチウム(LiBF3(C2F5))、ジオキサレートホウ酸リチウム(LiB(C2O4)2)、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸リチウム(LiB(C6F5)4)、トリ(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸リチウム(LiPF3(C2F5)3)、ノナフルオロブタンスルホン酸リチウム(LiC4F9SO3)、ペルフルオロオクタンスルホン酸リチウム(LiC8F17SO3)、テトラ[3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニル)]ホウ酸リチウム(LiB[C6H3(CF3)2-3,5]4)、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸リチウム(LiB(C6F5)4)、テトラ[4-(トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸リチウム(LiB[C6H4(CF3)-4]4)、及び硝酸リチウム(LiNO3)からなる群より選択される1種以上の塩である、(1)のリチウム硫黄電池用電解液。
(3)前記フッ素化エーテルが、1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,3,3-テトラフルオロプロピルエーテル、2-トリフルオロメチル-3-エトキシドデカフルオロヘキサン、1-メチル-2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブチル(1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル)エーテル、1H,1H,2’H,3H-デカフルオロジプロピルエーテルからなる群より選択される1種以上の溶媒である、(1)又は(2)のリチウム硫黄電池用電解液。
(4)前記クラウンエーテルが、ジベンゾ-12-クラウン-4-エーテルである、(1)~(3)のいずれかのリチウム硫黄電池用電解液。
(5)前記炭酸エステルが、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、4,5-ジフルオロエチレンカーボネート、及び4,4-ジフルオロエチレンカーボネートからなる群より選択される1種以上の溶媒である、(1)~(4)のいずれかのリチウム硫黄電池用電解液。
(6)硫黄又は硫化物を含む正極活物質を有する正極と、リチウム(Li)又はリチウム(Li)化合物を含む負極活物質を有する負極と、前記正極と前記負極との間に介在する電解液とを備え、
前記電解液が(1)~(5)のいずれかのリチウム硫黄電池用電解液である、リチウム硫黄電池。
本発明の電解液によれば、リチウム塩の溶解性が確保され、かつ多硫化物の溶出が十分に抑制されて、サイクル特性等の物性が良好なリチウム硫黄電池を構成することができる。
以下、本発明を実施形態に基づき詳細に説明する。
本発明は、フッ素化エーテル、クラウンエーテル、及び炭酸エステルを含有する混合有機溶媒、並びに、前記混合有機溶媒に溶解しているリチウム(Li)塩を含む、リチウム硫黄電池用電解液である。
[リチウム硫黄電池]
リチウム硫黄電池自体は公知である。本発明のリチウム硫黄電池用電解液は、負極にリチウム又はリチウム化合物を、正極に硫黄又は硫化物を用いた電池であれば、どのようなタイプのリチウム硫黄電池にも使用することができる。例として、負極材料としてリチウム、リチウム-ゲルマニウム合金、リチウムとグラファイトの複合材等を;正極材料として硫黄、硫黄とアセチレンブラック等の導電補助剤及び結着剤との複合材、硫黄と金属銅及びアセチレンブラックとの複合材、硫黄と銅シェブレル相(Cu2Mo4S7.8)及びアセチレンブラックとの複合材等を用いた電池が挙げられるが、これらに限定されない。本発明は特に、リチウム金属を負極材料とするリチウム硫黄電池や、硫黄とアセチレンブラック等のカーボンブラック及び結着剤との複合材を正極材料とするリチウム硫黄電池に適している。ここで、結着剤にも特に制限はなく、例としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂、スチレン-ブタジエン共重合ゴム(SBR)、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン等の高分子樹脂を用いることができる。
リチウム硫黄電池自体は公知である。本発明のリチウム硫黄電池用電解液は、負極にリチウム又はリチウム化合物を、正極に硫黄又は硫化物を用いた電池であれば、どのようなタイプのリチウム硫黄電池にも使用することができる。例として、負極材料としてリチウム、リチウム-ゲルマニウム合金、リチウムとグラファイトの複合材等を;正極材料として硫黄、硫黄とアセチレンブラック等の導電補助剤及び結着剤との複合材、硫黄と金属銅及びアセチレンブラックとの複合材、硫黄と銅シェブレル相(Cu2Mo4S7.8)及びアセチレンブラックとの複合材等を用いた電池が挙げられるが、これらに限定されない。本発明は特に、リチウム金属を負極材料とするリチウム硫黄電池や、硫黄とアセチレンブラック等のカーボンブラック及び結着剤との複合材を正極材料とするリチウム硫黄電池に適している。ここで、結着剤にも特に制限はなく、例としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂、スチレン-ブタジエン共重合ゴム(SBR)、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン等の高分子樹脂を用いることができる。
[リチウム塩]
本発明のリチウム硫黄電池用電解液が含有するリチウム(Li)塩にも特に制限はなく、種々の公知のリチウム塩を使用することができる。特に、電池材料で慣用のリチウム塩は、本発明のリチウム硫黄電池用電解液に好適である。そうしたリチウム塩の例として、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiN(CF3SO2)2)、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド(LiN(C2F5SO2)2)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、リチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド(LiC(SO2CF3)3)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)、ホウフッ化リチウム(LiBF4)、ペンタフルオロエチルトリフルオロホウ酸リチウム(LiBF3(C2F5))、ジオキサレートホウ酸リチウム(LiB(C2O4)2)、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸リチウム(LiB(C6F5)4)、トリ(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸リチウム(LiPF3(C2F5)3)、ノナフルオロブタンスルホン酸リチウム(LiC4F9SO3)、ペルフルオロオクタンスルホン酸リチウム(LiC8F17SO3)、テトラ[3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニル)]ホウ酸リチウム(LiB[C6H3(CF3)2-3,5]4)、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸リチウム(LiB(C6F5)4)、テトラ[4-(トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸リチウム(LiB[C6H4(CF3)-4]4)、及び硝酸リチウム(LiNO3)等が挙げられるが、これらに限定されない。これら塩を、複数混合して含有していてもよい。
本発明のリチウム硫黄電池用電解液が含有するリチウム(Li)塩にも特に制限はなく、種々の公知のリチウム塩を使用することができる。特に、電池材料で慣用のリチウム塩は、本発明のリチウム硫黄電池用電解液に好適である。そうしたリチウム塩の例として、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiN(CF3SO2)2)、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド(LiN(C2F5SO2)2)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、リチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド(LiC(SO2CF3)3)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)、ホウフッ化リチウム(LiBF4)、ペンタフルオロエチルトリフルオロホウ酸リチウム(LiBF3(C2F5))、ジオキサレートホウ酸リチウム(LiB(C2O4)2)、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸リチウム(LiB(C6F5)4)、トリ(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸リチウム(LiPF3(C2F5)3)、ノナフルオロブタンスルホン酸リチウム(LiC4F9SO3)、ペルフルオロオクタンスルホン酸リチウム(LiC8F17SO3)、テトラ[3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニル)]ホウ酸リチウム(LiB[C6H3(CF3)2-3,5]4)、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸リチウム(LiB(C6F5)4)、テトラ[4-(トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸リチウム(LiB[C6H4(CF3)-4]4)、及び硝酸リチウム(LiNO3)等が挙げられるが、これらに限定されない。これら塩を、複数混合して含有していてもよい。
[フッ素化エーテル]
本発明のリチウム硫黄電池用電解液は、混合有機溶媒の成分の一つとしてフッ素化エーテル(フルオロエーテル)を含有する。フッ素化エーテルも公知であり、種々の炭素数及び構造のパーフルオロエーテルやハイドロフルオロエーテル等が知られており、市販もされている。本発明のリチウム硫黄電池用電解液が含有するフッ素化エーテルに特に制限はなく、エーテル分子上の水素原子の一部又は全部がフッ素で置換されたエーテルであれば、どのようなものも使用することができる。水素原子の一部が、塩素や臭素等のフッ素以外のハロゲン原子やフェニル基等で置換されていてもよい。複数種のフッ素化エーテルを併用することもできる。
本発明のリチウム硫黄電池用電解液は、混合有機溶媒の成分の一つとしてフッ素化エーテル(フルオロエーテル)を含有する。フッ素化エーテルも公知であり、種々の炭素数及び構造のパーフルオロエーテルやハイドロフルオロエーテル等が知られており、市販もされている。本発明のリチウム硫黄電池用電解液が含有するフッ素化エーテルに特に制限はなく、エーテル分子上の水素原子の一部又は全部がフッ素で置換されたエーテルであれば、どのようなものも使用することができる。水素原子の一部が、塩素や臭素等のフッ素以外のハロゲン原子やフェニル基等で置換されていてもよい。複数種のフッ素化エーテルを併用することもできる。
しかしながら本発明においては、フッ素化エーテルとしてハイドロフルオロエーテル(HFE)を含有することが好ましい。ハイドロフルオロエーテルをフッ素化エーテルとして含有することにより、リチウム塩の溶解性とのバランスを保持しつつ、電解液中への多硫化物の溶出を十分に抑制することができる。ハイドロフルオロエーテルはまた、各種の製品が例えばスリーエムジャパン(株)からNovec(登録商標)の商品名で市販されており、入手が容易という利点も有する。特に、構成元素として炭素(C)、水素(H)、フッ素(F)、及び酸素(O)のみを含有するハイドロフルオロエーテルが好ましい。ハイドロフルオロエーテル分子における水素原子とフッ素原子のモル比にも特に制限はないが、好ましくはH/F比が1/5~2/1、より好ましくは1/3~1/1のものを使用する。また、分子中に2個以上の酸素原子を有するハイドロフルオロエーテルであってもよい。ハイドロフルオロエーテルは、室温~40℃付近で液状である限り、その分子量や炭素原子数に特に制限はないが、好ましくは炭素原子数1~20、より好ましくは2~15、特に好ましくは3~10のものを使用する。また、沸点は30~200℃、特に50~100℃程度の範囲内であることが好ましい。
本発明において前記フッ素化エーテルは、より好ましくは1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,3,3-テトラフルオロプロピルエーテル、2-トリフルオロメチル-3-エトキシドデカフルオロヘキサン、1-メチル-2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブチル(1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル)エーテル、1H,1H,2’H,3H-デカフルオロジプロピルエーテルからなる群より選択される1種以上の溶媒である。これらのハイドロフルオロエーテルを含有することにより、電解液中への多硫化物の溶出の抑制と、リチウム塩の溶解性とを、より確実に両立させることができる。特に好ましくは、1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,3,3-テトラフルオロプロピルエーテルを使用する。
[クラウンエーテル]
本発明のリチウム硫黄電池用電解液はまた、混合有機溶媒の成分としてクラウンエーテルを含有する。クラウンエーテルは一般式(-CH2-CH2-O-)nで表される環状のエーテルで、様々な種類のものが市販もされている。例として、12-クラウン-4-エーテル類、15-クラウン-5-エーテル類、18-クラウン-6-エーテル類等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの中でも2-クラウン-4-エーテル類及び15-クラウン-5-エーテル類は、凝固点(融点)が概して20℃以下であり、電解液用の溶媒として好ましい。特に12-クラウン-4-エーテル類は、リチウムイオンの包接能に優れるため、本発明のリチウム硫黄電池用電解液中の有機溶媒成分として有用である。これらクラウンエーテルを含有することにより、電解液中への多硫化物の溶出の抑制と、リチウム塩の溶解性の改善とを、バランスよく達成することが可能となる。また、これらクラウンエーテルは、引火点が一般に100℃以上と高く、電解液に多用されるグライム系溶媒に比べて安全性の面でも利点がある。
本発明のリチウム硫黄電池用電解液はまた、混合有機溶媒の成分としてクラウンエーテルを含有する。クラウンエーテルは一般式(-CH2-CH2-O-)nで表される環状のエーテルで、様々な種類のものが市販もされている。例として、12-クラウン-4-エーテル類、15-クラウン-5-エーテル類、18-クラウン-6-エーテル類等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの中でも2-クラウン-4-エーテル類及び15-クラウン-5-エーテル類は、凝固点(融点)が概して20℃以下であり、電解液用の溶媒として好ましい。特に12-クラウン-4-エーテル類は、リチウムイオンの包接能に優れるため、本発明のリチウム硫黄電池用電解液中の有機溶媒成分として有用である。これらクラウンエーテルを含有することにより、電解液中への多硫化物の溶出の抑制と、リチウム塩の溶解性の改善とを、バランスよく達成することが可能となる。また、これらクラウンエーテルは、引火点が一般に100℃以上と高く、電解液に多用されるグライム系溶媒に比べて安全性の面でも利点がある。
クラウンエーテルはまた、分子内の水素原子の1個以上が、直鎖状、分枝状、環状、特に芳香族系の炭化水素基で置換された、修飾物であってもよい。例としてベンゾ-12-クラウン-4-エーテル、ジベンゾ-12-クラウン-4-エーテル、2-ヒドロキシメチル-12-クラウン-4-エーテル、テトラメチル-12-クラウン-4-エーテル、ベンゾ-15-クラウン-5-エーテル、2-ヒドロキシメチル-15-クラウン-5-エーテル等を挙げることができるが、これらに限定されない。複数種のクラウンエーテルを併用することもできる。本発明のリチウム硫黄電池用電解液は、クラウンエーテルとして、特に好ましくはジベンゾ-12-クラウン-4-エーテルを含有する。
[炭酸エステル]
本発明のリチウム硫黄電池用電解液はさらに、混合有機溶媒の成分として炭酸エステル(カーボネートエステル)を含有する。炭酸エステルも公知であり、電解液としても種々のものが使用されている。例としてフルオロエチレンカーボネート(FEC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、4,5-ジフルオロエチレンカーボネート、及び4,4-ジフルオロエチレンカーボネートからなる群より選択される1種以上の溶媒が挙げられるが、これらに限定されず、本発明においては種々の公知の炭酸エステルを使用することができる。その沸点にも特に制限はないが、一般に沸点が50~300℃、特に80~200℃の炭酸エステルを使用することが好ましい。
本発明のリチウム硫黄電池用電解液はさらに、混合有機溶媒の成分として炭酸エステル(カーボネートエステル)を含有する。炭酸エステルも公知であり、電解液としても種々のものが使用されている。例としてフルオロエチレンカーボネート(FEC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、4,5-ジフルオロエチレンカーボネート、及び4,4-ジフルオロエチレンカーボネートからなる群より選択される1種以上の溶媒が挙げられるが、これらに限定されず、本発明においては種々の公知の炭酸エステルを使用することができる。その沸点にも特に制限はないが、一般に沸点が50~300℃、特に80~200℃の炭酸エステルを使用することが好ましい。
本発明においては炭酸エステルとして、分子中の水素原子の一部又は全部がフッ素化されたものを使用してもよい。フッ素化炭酸エステルの使用により、本発明の電解液の難燃性を高めることができる。また、フッ素化炭酸エステルはフッ素不含の炭酸エステルに比べ、より少量で効果を奏する傾向がある。炭酸エステルとしては特に、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、4,5-ジフルオロエチレンカーボネート、及び4,4-ジフルオロエチレンカーボネートが好ましい。
[混合有機溶媒]
本発明のリチウム硫黄電池用電解液は、混合有機溶媒の成分として、上記のフッ素化エーテル、クラウンエーテル、及び炭酸エステルを含有する。それら有機溶媒の含有比に特に制限はなく、電解質として使用するリチウム塩や、所望の電池特性、正極及び負極の材料等に応じて、任意に設定することができる。これら以外の溶媒、例えばアルコール、ケトン、エステル、エーテル、ハロゲン化炭化水素等を含有していてもよい。但し、電解液中への多硫化物の溶出の抑制と、リチウム塩の溶解性とを両立させる観点からは、これら他の溶媒の含有率は、混合有機溶媒全体積の10体積%以下、特に5体積%以下とすることが好ましい。本発明の最も好ましい態様においては、混合有機溶媒は、水分等の不可避的に混入する溶媒を除き、上記のフッ素化エーテル、クラウンエーテル、及び炭酸エステルのみを含有する。
本発明のリチウム硫黄電池用電解液は、混合有機溶媒の成分として、上記のフッ素化エーテル、クラウンエーテル、及び炭酸エステルを含有する。それら有機溶媒の含有比に特に制限はなく、電解質として使用するリチウム塩や、所望の電池特性、正極及び負極の材料等に応じて、任意に設定することができる。これら以外の溶媒、例えばアルコール、ケトン、エステル、エーテル、ハロゲン化炭化水素等を含有していてもよい。但し、電解液中への多硫化物の溶出の抑制と、リチウム塩の溶解性とを両立させる観点からは、これら他の溶媒の含有率は、混合有機溶媒全体積の10体積%以下、特に5体積%以下とすることが好ましい。本発明の最も好ましい態様においては、混合有機溶媒は、水分等の不可避的に混入する溶媒を除き、上記のフッ素化エーテル、クラウンエーテル、及び炭酸エステルのみを含有する。
本発明のリチウム硫黄電池用電解液の好ましい態様においては、上記3種の溶媒を、フッ素化エーテル:クラウンエーテル:炭酸エステルの体積比が1~9:0.1~8:0.05~4、さらには2~7:0.3~4:0.1~2、特に3~6:0.5~2.0:0.2~1.2となる量にて含有する。ここで、クラウンエーテル及び炭酸エステルの好ましい体積比の範囲に関して、各上限値及び下限値の対応は任意である。すなわち、クラウンエーテル:炭酸エステルの好ましい体積比は、8:0.05~0.1:4の範囲に及ぶ。これら溶媒の体積比が上記の範囲内であれば、電解液中への多硫化物の溶出の抑制と、リチウム塩の溶解性の改善とを、バランスよく、より確実に達成することができる。尚、前記のように炭酸エステルの内でもフッ素化炭酸エステルは少量でも効果を奏する傾向があるので、含有量を少なめにすることも可能である。例えばフッ素化エーテル:クラウンエーテル:フッ素不含の炭酸エステルの体積比を2~6:1:0.3~1.5前後、特に3~5:1:0.5~1.2前後とし、フッ素化エーテル:クラウンエーテル:フッ素化炭酸エステルの体積比を2~6:1:0.1~1.0前後、特に3~5:1:0.2~0.8前後としてもよい。
本発明のリチウム硫黄電池用電解液においては、上記混合有機溶媒にリチウム塩が溶解しているが、その濃度にも特に制限はなく、使用するリチウム塩の種類や所望の電池特性に応じた任意の濃度とすることができる。しかしながら十分な電池特性を発現させる観点から、電解液中のリチウム塩の濃度は、0.1~10M(モル/L)、特に0.3~3M程度とすることが好ましい。
本発明のリチウム硫黄電池用電解液はまた、任意成分として種々の添加剤を含有していてもよい。例えばビニル基含有化合物、γ-ブチロラクトン、エチレンスルフィド、環状スルホン酸エステル、安息香酸メチル、無水コハク酸、ポリジメチルシロキサン、AgPF6、Cu(CF3SO3)2等の負極又は正極保護膜形成剤;2,4-ジフロロアニソール等の過充電防止剤;リン酸エステル、フォスファゼン類、イミダゾール塩等の難燃性付与剤等を、0.01~5質量%程度、特に0.1~1質量%程度含有させることができる。
本発明のリチウム硫黄電池用電解液は、上記のようにリチウム塩の溶解性に優れ、かつ多硫化物の溶出を十分に抑制することができる。そのため、サイクル特性等の物性が良好なリチウム硫黄電池を構成することが可能である。本発明はまた、硫黄又は硫化物を含む正極活物質を有する正極と、リチウム(Li)又はリチウム(Li)化合物を含む負極活物質を有する負極と、前記正極と前記負極との間に介在する、上記の電解液とを備えたリチウム硫黄電池をも包含する。
以下、本発明を、実施例に基づきより具体的に説明する。なお、これらの実施例は、本明細書に開示され、また添付の請求の範囲に記載された、本発明の概念及び範囲の理解を、より容易なものとする上で、特定の態様及び実施形態の例示の目的のためにのみ記載するのであって、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
HFEとして1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,3,3-テトラフルオロプロピルエーテル、クラウンエーテル(CE)としてベンゾ-12-クラウン-4-エーテル、及び炭酸エステル(C)としてフルオロエチレンカーボネート(FEC)を、体積比4:1:0.5で混合した後、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)を、濃度が1Mとなるように溶解し、電解液を調製した。
HFEとして1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,3,3-テトラフルオロプロピルエーテル、クラウンエーテル(CE)としてベンゾ-12-クラウン-4-エーテル、及び炭酸エステル(C)としてフルオロエチレンカーボネート(FEC)を、体積比4:1:0.5で混合した後、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)を、濃度が1Mとなるように溶解し、電解液を調製した。
別途、硫黄、アセチレンブラック、及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)の各粉末を、質量比2:1:1で混合し、N-メチルピロリドン(NMP)を添加してスラリーとした。これをアルミニウム箔に塗布し、乾燥して正極を作製した。
上記で調製した電解液、正極、及びリチウム金属の負極を用いてリチウム硫黄電池を作製した。この電池について、電位窓1.0~3.0V、0.1Cにて充放電を行い、北斗電工社製のポテンショスタット/ガルバノスタット HAシリーズを用いて電池特性を測定した。充放電は50サイクル行ったが、多硫化物の溶出が抑制され、50サイクル目にも高い電池容量を示した。また、リチウム塩等の析出も見られず、優れた溶解性が保持されていた。試験結果を、後記する表1に示す。
[比較例1~4]
電解液の混合有機溶媒の組成を表1のように変えた以外は、実施例1と同様の操作を行った。試験結果を、表1に示す。
電解液の混合有機溶媒の組成を表1のように変えた以外は、実施例1と同様の操作を行った。試験結果を、表1に示す。
リチウム塩と共に、有機溶媒としてフッ素化エーテル、クラウンエーテル、及び炭酸エステルを含有する本発明の電解液を用いた実施例1では、多硫化物の溶出やリチウム塩の溶解性が観察されず、溶出の抑制と溶解性とがバランスよく優れていた。一方、炭酸エステル不含の電解液を用いた比較例1では、リチウム塩が析出し、十分な溶解性が得られなかった。
本発明に従う電解液を用いた実施例1のリチウム硫黄電池では、多硫化物の溶出が抑制された結果、初期電池容量が1200mAh/gを超える大きな値となり、50サイクル後も800mAh/gを超える値を示した。慣用のエチレンカーボネート(EC)/プロピレンカーボネート(PC)混合液を用いた比較例2や、メチルプロピルピリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミドを用いた比較例3のリチウム硫黄電池に比べ、電池特性の相違は歴然としている。
尚、フッ素化エーテル不含の電解液を用いた比較例4のリチウム硫黄電池でも、初期電池容量は1100mAh/gを超える値となったが、50サイクル後の電池容量は初期値の半分程度に低下してしまった。一方、有機溶媒としてフッ素化エーテル、クラウンエーテル、及び炭酸エステルを含有する本発明の電解液を用いた実施例1では、50サイクル後にも初期電池容量の66%の値が維持され、良好なサイクル特性が発現していた。本発明の電解液においては、多硫化物の溶出が十分に抑制されていると考えられる。
以上より、本発明の電解液によれば、リチウム塩の溶解性が確保され、かつ多硫化物の溶出が十分に抑制されて、サイクル特性等の電池特性に優れるリチウム硫黄電池を構成することが可能であることが示された。
Claims (6)
- フッ素化エーテル、クラウンエーテル、及び炭酸エステルを含有する混合有機溶媒、並びに、前記混合有機溶媒に溶解しているリチウム(Li)塩を含む、リチウム硫黄電池用電解液。
- 前記リチウム(Li)塩が、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiN(CF3SO2)2)、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド(LiN(C2F5SO2)2)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、リチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド(LiC(SO2CF3)3)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)、ホウフッ化リチウム(LiBF4)、ペンタフルオロエチルトリフルオロホウ酸リチウム(LiBF3(C2F5))、ジオキサレートホウ酸リチウム(LiB(C2O4)2)、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸リチウム(LiB(C6F5)4)、トリ(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸リチウム(LiPF3(C2F5)3)、ノナフルオロブタンスルホン酸リチウム(LiC4F9SO3)、ペルフルオロオクタンスルホン酸リチウム(LiC8F17SO3)、テトラ[3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニル)]ホウ酸リチウム(LiB[C6H3(CF3)2-3,5]4)、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸リチウム(LiB(C6F5)4)、テトラ[4-(トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸リチウム(LiB[C6H4(CF3)-4]4)、及び硝酸リチウム(LiNO3)からなる群より選択される1種以上の塩である、請求項1に記載のリチウム硫黄電池用電解液。
- 前記フッ素化エーテルが、1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,3,3-テトラフルオロプロピルエーテル、2-トリフルオロメチル-3-エトキシドデカフルオロヘキサン、1-メチル-2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブチル(1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル)エーテル、及び1H,1H,2’H,3H-デカフルオロジプロピルエーテルからなる群より選択される1種以上の溶媒である、請求項1又は2に記載のリチウム硫黄電池用電解液。
- 前記クラウンエーテルが、ジベンゾ-12-クラウン-4-エーテルである、請求項1~3のいずれか一項に記載のリチウム硫黄電池用電解液。
- 前記炭酸エステルが、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、4,5-ジフルオロエチレンカーボネート、及び4,4-ジフルオロエチレンカーボネートからなる群より選択される1種以上の溶媒である、請求項1~4のいずれか一項に記載のリチウム硫黄電池用電解液。
- 硫黄又は硫化物を含む正極活物質を有する正極と、リチウム(Li)又はリチウム(Li)化合物を含む負極活物質を有する負極と、前記正極と前記負極との間に介在する電解液とを備え、
前記電解液が請求項1~5のいずれか一項に記載のリチウム硫黄電池用電解液である、リチウム硫黄電池。
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