JP2022155810A - 船舶の性能推定方法、性能推定プログラム、及び性能推定システム - Google Patents

船舶の性能推定方法、性能推定プログラム、及び性能推定システム Download PDF

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JP2022155810A JP2021059219A JP2021059219A JP2022155810A JP 2022155810 A JP2022155810 A JP 2022155810A JP 2021059219 A JP2021059219 A JP 2021059219A JP 2021059219 A JP2021059219 A JP 2021059219A JP 2022155810 A JP2022155810 A JP 2022155810A
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康雄 一ノ瀬
Yasuo Ichinose
直人 枌原
Naoto Sogihara
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Abstract

【課題】船舶の性能推定を精度よく行うことができる船舶の性能推定方法、性能推定プログラム、及び性能推定システムを提供すること。【解決手段】船舶の船体条件を取得する船体条件取得ステップS1と、船舶の運航条件を取得する運航条件取得ステップS2と、船舶の模型船を用いて船体条件と運航条件に基づいて水槽試験を行い、船舶の抵抗係数及び自航要素を求める水槽試験ステップS3と、船体条件と運航条件に基づいてCFD計算を行い、船舶の抵抗係数及び自航要素を求めるCFD計算ステップS4と、水槽試験とCFD計算による抵抗係数及び自航要素の差分を求め、差分に対し水槽試験における運航条件の変数の設定数に基づいて補正を行い、抵抗係数及び自航要素の補正値を得る抵抗係数及び自航要素補正ステップS5を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、船舶の性能を水槽試験とCFD(数値流体力学)計算を用いて推定する船舶の性能推定方法、性能推定プログラム、及び性能推定システムに関する。
船舶の性能予測は、実船との相似模型を使用した水槽試験からの予測が行われている。近年の数値計算技術の進展によりCFDでも性能計算を行うことが可能だが、まだCFDのみで性能予測ができるレベルには至っていない。
ここで、特許文献1には、船舶の性能推定をするための数値流体力学(CFD)計算に、船舶の模型船を使用して計測した模型船データ及び船舶の実船で計測した実船データの少なくとも1つを用いて数値流体力学(CFD)計算にデータ同化させて、数値流体力学(CFD)計算における船舶の性能推定の精度を向上するデータ同化による船舶性能推定方法が開示されている。
また、特許文献2には、船体の長手方向に沿って複数配置され、船体のトリムおよび喫水を含む姿勢を調整するバラストタンクと、各バラストタンクに注水あるいはそれから排水する注排水装置と、注排水装置の注排水動作を制御する注排水制御部と、を備えているLNG船であって、注排水制御部には、航走中の航走条件に対応して主機の所要馬力が少なくなる姿勢となるように注排水装置を動作させる燃料消費抑制モードが備えられている船舶が開示されている。
また、特許文献3には、船舶の航行に関する基本条件と船舶の傾きとを少なくとも含む船舶の航行条件を示す第1の航行条件と、第1の航行条件に対応する船舶の航行性能とを示す第1のデータを取得する取得手段と、第1のデータに基づき、基本条件が所定の航行条件と一致する第1の航行条件に対応付けられた航行性能を特定する特定手段と、特定手段により特定された航行性能のうちのより高い航行性能に対応する第1の航行条件を第2のデータとして出力する出力手段とを備える船舶管理装置が開示されている。
また、特許文献4には、解析対象の系のシミュレーションを行なうコンピュータに、所定の自由度で系のシミュレーションを行なった結果に基づき系の特徴量として抽出される、所定の自由度よりも少ない数の基底ベクトルと、各基底ベクトルに対応する重み係数との積の総和である線形和により系を表現する低次元化シミュレーションを行ない、低次元化シミュレーションの実行中、定期的または不定期に、系における測定データと低次元化シミュレーションの結果との第1誤差を最小にする重み係数を線形和における重み係数として決定するデータ同化処理を行なう、処理を実行させる、シミュレーションプログラムが開示されている。
特開2020-158072号公報 特開2009-184378号公報 特開2015-83468号公報 特開2014-26440号公報
特許文献2から特許文献4は、水槽試験とCFD計算のデータ同化により船舶の性能推定の精度を向上させようとするものではない。
特許文献1は、数値流体力学(CFD)計算に模型船データ又は実船データをデータ同化させて、あくまでも数値流体力学(CFD)計算における船舶の性能推定の精度を向上させるものであり、水槽試験とCFD計算の結果を有効に活用した、さらなる船舶の性能推定の精度向上が求められている。
そこで本発明は、船舶の性能推定を精度よく行うことができる船舶の性能推定方法、性能推定プログラム、及び性能推定システムを提供することを目的とする。
請求項1記載に対応した船舶の性能推定方法においては、船舶の性能を水槽試験とCFD(数値流体力学)計算を用いて推定する性能推定方法であって、船舶の船体条件を取得する船体条件取得ステップと、船舶の運航条件を取得する運航条件取得ステップと、船舶の模型船を用いて船体条件と運航条件に基づいて水槽試験を行い、船舶の抵抗係数及び自航要素を求める水槽試験ステップと、船体条件と運航条件に基づいてCFD計算を行い、船舶の抵抗係数及び自航要素を求めるCFD計算ステップと、水槽試験とCFD計算による抵抗係数及び自航要素の差分を求め、差分に対し水槽試験における運航条件の変数の設定数に基づいて補正を行い、抵抗係数及び自航要素の補正値を得る抵抗係数及び自航要素補正ステップとを有することを特徴とする。
請求項1に記載の本発明によれば、同じ船体条件と運航条件のもとで導出された水槽試験とCFD計算の各々の結果を用いて、抵抗係数及び自航要素の補正値を得ることにより、船舶の性能推定を精度よく行うことができる。
請求項2記載の本発明は、運航条件は、船舶の速度、トリム、喫水、気象及び海象の少なくとも一つであることを特徴とする。
請求項2に記載の本発明によれば、船舶の運航に及ぼす影響が大きい運航条件を用いることで、運航に関わる船舶の性能推定の精度を向上させ、最適な運航に繋げることができる。
請求項3記載の本発明は、抵抗係数は、造波抵抗係数、形状影響係数、及び波浪中抵抗増加係数であり、自航要素は、推力減少係数、有効伴流係数、及びプロペラ効率比であることを特徴とする。
請求項3に記載の本発明によれば、船舶の運航に関わる性能推定の上で重要な抵抗係数と自航要素の精度を向上させることができる。
請求項4記載の本発明は、変数の設定数が一つの場合、式(1)に基づいて線形補間をして補正値を求めることを特徴とする。
請求項4に記載の本発明によれば、運航条件の変数の設定数が一つの場合に補正値を精度よく求めることができる。
請求項5記載の本発明は、変数の設定数が二つの場合、式(2)に基づいて線形補間をして補正値を求めることを特徴とする。
請求項5に記載の本発明によれば、運航条件の変数の設定数が二つの場合に補正値を精度よく求めることができる。
請求項6記載の本発明は、変数の設定数が三つの場合、式(3)に基づいて線形補間をして補正値を求めることを特徴とする。
請求項6に記載の本発明によれば、運航条件の変数の設定数が三つの場合に補正値を精度よく求めることができる。
請求項7記載の本発明は、船舶の性能推定方法を利用して船舶の性能推定を行う性能推定方法であって、抵抗係数及び自航要素補正ステップで得られた補正された抵抗係数の補正値に基づいて、船舶の速度と船体抵抗との関係を導出する船体抵抗導出ステップを有することを特徴とする。
請求項7に記載の本発明によれば、補正した抵抗係数に基づいて精度よく船舶の速度と船体抵抗との関係を導出することができる。
請求項8記載の本発明は、自航要素の補正値に基づいて、船舶の速度と駆動力との関係を導出する駆動力導出ステップをさらに有することを特徴とする。
請求項8に記載の本発明によれば、補正した自航要素に基づいて精度よく船舶の速度と駆動力との関係を導出することができる。
請求項9記載の本発明は、船体抵抗導出ステップで導出された速度と船体抵抗の関係と、駆動力導出ステップで導出された速度と駆動力との関係に基づいて、船舶の速度と馬力との関係を導出する馬力導出ステップをさらに有することを特徴とする。
請求項9に記載の本発明によれば、船舶の速度と馬力との関係を精度よく推定することができる。
請求項10記載の本発明は、速度と馬力との関係は、船舶のトリムと喫水を考慮した関係であることを特徴とする。
請求項10に記載の本発明によれば、船舶のトリムと喫水を考慮した速度と馬力との関係を精度よく推定することができ、実際の船舶の運航に役立てることが可能となる。
請求項11記載の本発明は、馬力に基づいて船舶の速度とトリムごとの船舶の燃料消費量を求める燃料消費量導出ステップを有することを特徴とする。
請求項11に記載の本発明によれば、船舶の速度とトリムごとの燃料消費量を把握することができ、実際の船舶の運航に直接、役立てることが可能となる。
請求項12記載の本発明は、船舶の速度と、トリムと、燃料消費量との関係をチャートにするチャート化ステップをさらに有することを特徴とする。
請求項12に記載の本発明によれば、例えば、平水中の船舶の速度とトリムと燃料消費量との関係のチャートを得ることができる。
請求項13記載の本発明は、チャート化ステップで得られたチャートに、気象及び海象を考慮し、船舶の速度と、トリムと、燃料消費量の実海域における変化を加えた実海域チャートを得る実海域チャート化ステップをさらに有することを特徴とする。
請求項13に記載の本発明によれば、例えば、得られた実海域チャートに基づいて、船舶の速度やトリムを調整し、実海域において最適な速度配分運航やトリム運航を行うことができる。
請求項14記載の本発明は、船舶の実海域での運航データを考慮し、実海域チャートを補正する補正ステップをさらに有することを特徴とする。
請求項14に記載の本発明によれば、実海域での運航データに基づき実海域チャートを補正してアップデートすることができる。
請求項15記載の本発明は、船舶の実海域で遭遇する気象及び海象の観測データを考慮し、実海域チャートを差し替える差替ステップをさらに有することを特徴とする。
請求項15に記載の本発明によれば、観測データを考慮して最適な実海域チャートに差替えることで、より適切な速度配分やトリムで運航することができる。
請求項16記載の本発明は、船舶の積載情報を考慮し、実海域チャートに従って船舶のトリムを自動調整する自動トリム調整ステップをさらに有することを特徴とする。
請求項16に記載の本発明によれば、船舶を最適なトリムに自動調整することで、最適トリム運航が可能となる。
請求項17記載に対応した船舶の性能推定プログラムにおいては、船舶の性能推定方法を利用して船舶の性能推定を行う性能推定プログラムであって、コンピュータに、補正された抵抗係数と自航要素の補正値を取得する補正値取得ステップと、入力された少なくとも速度とトリムを取得する条件取得ステップと、船体抵抗導出ステップと、駆動力導出ステップと、馬力導出ステップと、燃料消費量導出ステップと、少なくとも燃料消費量の導出結果を出力する出力ステップを実行させることを特徴とする。
請求項17に記載の本発明によれば、コンピュータを利用して高速かつ高精度に、例えば、船舶の速度とトリムごとの燃料消費量を得ることができる。
請求項18記載の本発明は、コンピュータに、さらにチャート化ステップを実行させることを特徴とする。
請求項18に記載の本発明によれば、コンピュータを利用して高速かつ高精度に、例えば、平水中の船舶の速度とトリムと燃料消費量との関係のチャートを得ることができる。
請求項19記載の本発明は、コンピュータに、さらに実海域チャート化ステップを実行させることを特徴とする。
請求項19に記載の本発明によれば、コンピュータを利用して高速かつ高精度に実海域チャートを得ることができ、例えば、実海域において最適な速度配分運航やトリム運航を行うことができる。
請求項20記載に対応した船舶の性能推定システムにおいては、船舶の性能を水槽試験とCFD(数値流体力学)計算を用いて推定する性能推定システムであって、船舶の船体条件を取得する船体条件取得手段と、船舶の運航条件を取得する運航条件取得手段と、船舶の模型船を用いて船体条件と運航条件に基づいて水槽試験を行い、船舶の抵抗係数及び自航要素を求める水槽試験手段と、船体条件と運航条件に基づいてCFD計算を行い、船舶の抵抗係数及び自航要素を求めるCFD計算手段と、水槽試験とCFD計算による抵抗係数及び自航要素の差分を求め、差分に対し水槽試験における運航条件の変数の設定数に基づいて補正を行い、抵抗係数及び自航要素の補正値を得る抵抗係数及び自航要素補正手段とを有することを特徴とする。
請求項20に記載の本発明によれば、同じ船体条件と運航条件のもとで導出された水槽試験とCFD計算の各々の結果を用いて、抵抗係数及び自航要素の補正値を得ることにより、船舶の性能推定を精度よく行うことができる。
請求項21記載の本発明は、水槽試験手段が、模型船を用いて自動的に試験を行い、抵抗係数及び自航要素を求める自動化された水槽試験手段であることを特徴とする。
請求項21に記載の本発明によれば、水槽試験を省人化又は無人化して抵抗係数及び自航要素を求めることができる。
請求項22記載の本発明は、模型船の自動製作手段を備え、取得した船体条件に基づいて模型船を自動製作手段で製作することを特徴とする。
請求項22に記載の本発明によれば、取得した船体条件に基づいて、模型船が自動的に製作されることで模型船の製作日数を短縮でき、これにより水槽試験を早期に開始し、船舶の抵抗係数及び自航要素を早く求めることが可能となる。
請求項23記載に対応した船舶の性能推定システムにおいては、船舶の性能推定を行う性能推定システムであって、コンピュータと、コンピュータへの入力手段と、コンピュータからの出力手段とを備え、コンピュータに船舶の性能推定プログラムを実行させることを特徴とする。
請求項23に記載の本発明によれば、コンピュータを利用して高速かつ高精度に船舶の性能推定を行った結果を利用して、例えば、速度とトリムと燃料消費量との関係を得ることができる。
請求項24記載の本発明は、出力手段からの出力に基づいて、船舶を自動運転することを特徴とする。
請求項24に記載の本発明によれば、例えば、船舶の運航に当たっての最適速度の配分や最適トリムの調節が自動的に行われる効率のよい自動運転を実現することができる。
請求項25記載に対応した船舶の性能推定システムにおいては、船舶の性能推定システムを情報通信網を介して接続し、船舶の性能推定を行うことを特徴とする。
請求項25に記載の本発明によれば、船舶の性能推定システムの各構成要素が、離れた場所に設置されていても、情報通信網を介して連携して船舶の性能推定を行うことができる。
本発明の船舶の性能推定方法によれば、同じ船体条件と運航条件のもとで導出された水槽試験とCFD計算の各々の結果を用いて、抵抗係数及び自航要素の補正値を得ることにより、船舶の性能推定を精度よく行うことができる。
また、運航条件は、船舶の速度、トリム、喫水、気象及び海象の少なくとも一つである場合には、船舶の運航に及ぼす影響が大きい運航条件を用いることで、運航に関わる船舶の性能推定の精度を向上させ、最適な運航に繋げることができる。
また、抵抗係数は、造波抵抗係数、形状影響係数、及び波浪中抵抗増加係数であり、自航要素は、推力減少係数、有効伴流係数、及びプロペラ効率比である場合には、船舶の運航に関わる性能推定の上で重要な抵抗係数と自航要素の精度を向上させることができる。
また、変数の設定数が一つの場合、式(1)に基づいて線形補間をして補正値を求める場合には、運航条件の変数の設定数が一つの場合に補正値を精度よく求めることができる。
また、変数の設定数が二つの場合、式(2)に基づいて線形補間をして補正値を求める場合には、運航条件の変数の設定数が二つの場合に補正値を精度よく求めることができる。
また、変数の設定数が三つの場合、式(3)に基づいて線形補間をして補正値を求める場合には、運航条件の変数の設定数が三つの場合に補正値を精度よく求めることができる。
また、本発明の船舶の性能推定方法は、船舶の性能推定を行う性能推定方法であって、抵抗係数及び自航要素補正ステップで得られた補正された抵抗係数の補正値に基づいて、船舶の速度と船体抵抗との関係を導出する船体抵抗導出ステップを有する場合には、補正した抵抗係数に基づいて精度よく船舶の速度と船体抵抗との関係を導出することができる。
また、自航要素の補正値に基づいて、船舶の速度と駆動力との関係を導出する駆動力導出ステップをさらに有する場合には、補正した自航要素に基づいて精度よく船舶の速度と駆動力との関係を導出することができる。
また、船体抵抗導出ステップで導出された速度と船体抵抗の関係と、駆動力導出ステップで導出された速度と駆動力との関係に基づいて、船舶の速度と馬力との関係を導出する馬力導出ステップをさらに有する場合には、船舶の速度と馬力との関係を精度よく推定することができる。
また、速度と馬力との関係は、船舶のトリムと喫水を考慮した関係である場合には、船舶のトリムと喫水を考慮した速度と馬力との関係を精度よく推定することができ、実際の船舶の運航に役立てることが可能となる。
また、馬力に基づいて船舶の速度とトリムごとの船舶の燃料消費量を求める燃料消費量導出ステップを有する場合には、船舶の速度とトリムごとの燃料消費量を把握することができ、実際の船舶の運航に直接、役立てることが可能となる。
また、船舶の速度と、トリムと、燃料消費量との関係をチャートにするチャート化ステップをさらに有する場合には、例えば、平水中の船舶の速度とトリムと燃料消費量との関係のチャートを得ることができる。
また、チャート化ステップで得られたチャートに、気象及び海象を考慮し、船舶の速度と、トリムと、燃料消費量の実海域における変化を加えた実海域チャートを得る実海域チャート化ステップをさらに有する場合には、例えば、得られた実海域チャートに基づいて、船舶の速度やトリムを調整し、実海域において最適な速度配分運航やトリム運航を行うことができる。
また、船舶の実海域での運航データを考慮し、実海域チャートを補正する補正ステップをさらに有する場合には、実海域での運航データに基づき実海域チャートを補正してアップデートすることができる。
また、船舶の実海域で遭遇する気象及び海象の観測データを考慮し、実海域チャートを差し替える差替ステップをさらに有する場合には、観測データを考慮して最適な実海域チャートに差替えることで、より適切な速度配分やトリムで運航することができる。
また、船舶の積載情報を考慮し、実海域チャートに従って船舶のトリムを自動調整する自動トリム調整ステップをさらに有する場合には、船舶を最適なトリムに自動調整することで、最適トリム運航が可能となる。
また、本発明の船舶の性能推定プログラムによれば、コンピュータを利用して高速かつ高精度に、例えば、船舶の速度とトリムごとの燃料消費量を得ることができる。
また、コンピュータに、さらにチャート化ステップを実行させる場合には、コンピュータを利用して高速かつ高精度に、例えば、平水中の船舶の速度とトリムと燃料消費量との関係のチャートを得ることができる。
また、コンピュータに、さらに実海域チャート化ステップを実行させる場合には、コンピュータを利用して高速かつ高精度に実海域チャートを得ることができ、例えば、実海域において最適な速度配分運航やトリム運航を行うことができるる。
また、本発明の船舶の性能推定システムによれば、同じ船体条件と運航条件のもとで導出された水槽試験とCFD計算の各々の結果を用いて、抵抗係数及び自航要素の補正値を得ることにより、船舶の性能推定を精度よく行うことができる。
また、水槽試験手段が、模型船を用いて自動的に試験を行い、抵抗係数及び自航要素を求める自動化された水槽試験手段である場合には、水槽試験を省人化又は無人化して抵抗係数及び自航要素を求めることができる。
また、模型船の自動製作手段を備え、取得した船体条件に基づいて模型船を自動製作手段で製作する場合には、取得した船体条件に基づいて、模型船が自動的に製作されることで模型船の製作日数を短縮でき、これにより水槽試験を早期に開始し、船舶の抵抗係数及び自航要素を早く求めることが可能となる。
また、本発明の船舶の性能推定システムは、船舶の性能推定を行う性能推定システムであって、コンピュータと、コンピュータへの入力手段と、コンピュータからの出力手段とを備え、コンピュータに船舶の性能推定プログラムを実行させる場合には、コンピュータを利用して高速かつ高精度に船舶の性能推定を行った結果を利用して、例えば、速度とトリムと燃料消費量との関係を得ることができる。
また、出力手段からの出力に基づいて、船舶を自動運転する場合には、例えば、船舶の運航に当たっての最適速度の配分や最適トリムの調節が自動的に行われる効率のよい自動運転を実現することができる。
また、船舶の性能推定システムを情報通信網を介して接続し、船舶の性能推定を行う場合には、船舶の性能推定システムの各構成要素が、離れた場所に設置されていても、情報通信網を介して連携して船舶の性能推定を行うことができる。
本発明の実施形態による船舶の性能推定方法の第一フロー 同変数の設定数が二つの場合の補正値の算出方法を示す図 同変数の設定数が三つの場合の補正値の算出方法を示す図 同トリムチャートの例を示す図 同船舶の性能推定方法の第二フロー 同船舶の性能推定方法の第三フロー 同船舶の性能推定方法の第四フロー 同船舶の性能推定システムの構成図 同システムを用いた船舶の性能推定方法のフロー
本発明の実施形態による船舶の性能推定方法、性能推定プログラム、及び性能推定システムについて説明する。
図1は本実施形態による船舶の性能推定方法の第一フローである。
船舶の性能推定方法は、船舶の性能を水槽試験とCFD(数値流体力学)計算を用いて推定する。
まず、船舶の船体条件を取得する(船体条件取得ステップS1)。船体条件取得ステップS1で取得する船体条件は、例えば、船体形状や、主機情報等の設計条件である。
また、船舶の運航条件を取得する(運航条件取得ステップS2)。運航条件取得ステップS2においては、運航条件として、船舶の速度(速度条件)、トリム及び喫水(喫水条件)、並びに気象及び海象(気象海象条件)の少なくとも一つを取得することが好ましい。船舶の運航に及ぼす影響が大きい運航条件を用いることで、運航に関わる船舶の性能推定の精度を向上させ、最適な運航に繋げることができる。
次に、船舶の模型船を用いて水槽試験を行い、水槽試験データとして船舶の抵抗係数及び自航要素を求める(水槽試験ステップS3)。水槽試験ステップS3における水槽試験は、船体条件取得ステップS1で取得した船体条件と、運航条件取得ステップS2で取得した運航条件に基づいて行う。求めた水槽試験データは、水槽試験データベース10に蓄積する。
また、CFD計算を行い、船舶の抵抗係数及び自航要素を求める(CFD計算ステップS4)。CFD計算ステップS4におけるCFD計算は、水槽試験と同じ船体条件と運航条件に基づいて行う。但し、水槽試験においては、船体条件に基づいて制作された相似形状の模型船を用い、運航条件も相似的な水槽試験の条件に置き替えて試験を行う。
水槽試験ステップS3及びCFD計算ステップS4において求める抵抗係数は、造波抵抗係数、形状影響係数、及び波浪中抵抗増加係数であり、自航要素は、推力減少係数、有効伴流係数、及びプロペラ効率比であることが好ましい。これにより、船舶の運航に関わる性能推定の上で重要な抵抗係数と自航要素の精度を向上させることができる。
次に、水槽試験ステップS3で求めた抵抗係数及び自航要素と、CFD計算ステップS4で求めた抵抗係数及び自航要素のデータ同化(性能補正)を行う。性能補正に際しては、CFD計算のUncertainty Analysis(不確かさ解析)を実施しておく。
データ同化においては、水槽試験とCFD計算による抵抗係数及び自航要素の差分を求め、差分に対し水槽試験における運航条件の変数の設定数に基づいて補正を行い、抵抗係数及び自航要素の補正値を得る(抵抗係数及び自航要素補正ステップS5)。
同じ船体条件と運航条件のもとで導出された水槽試験とCFD計算の各々の結果を用いて抵抗係数及び自航要素の補正値を得ることにより、船舶の性能推定を精度よく行うことができる。
抵抗係数及び自航要素補正ステップS5において、水槽試験結果が1点ではなく、速度、トリム、喫水など複数ある場合は、補正値C(Δwtなど)は線形補間を用いて求める。
例えば速度ごとに結果があるなど、水槽試験における運航条件の変数の設定数が一つの場合は、下式(1)に基づいて線形補間をして補正値を求めることが好ましい。これにより、運航条件の変数の設定数が一つの場合に補正値を精度よく求めることができる。
Figure 2022155810000002
式(1)において、Cは補正値、Cは試験点1での補正量、Cは試験点2での補正量、aは試験点1からの変位量である。
図2は変数の設定数が二つの場合の補正値の算出方法を示す図である。なお、左側の正方形の頂点に付した1~4の数字は試験点を表している。
例えば速度と喫水ごとに結果があるなど、水槽試験における運航条件の変数の設定数が二つの場合は、下式(2)に基づいて線形補間をして補正値を求めることが好ましい。これにより、運航条件の変数の設定数が二つの場合に補正値を精度よく求めることができる。
Figure 2022155810000003
式(2)において、Cは補正値、Cは試験点1での補正量、C試験点2での補正量、Cは試験点3での補正量、Cは試験点4での補正量である。
また、δξを変数の1つ目の変数で試験点1から試験点2へ向かうベクトルを軸とした変位量とし、δηを変数の2つ目の変数で試験点1から試験点4へ向かうベクトルを軸とした変位量とすると、a=(1-δξ-δη+δξδη)、a=δξ(1-δη)、a=δξδη、a=δη(1-δξ)であり、a+a+a+a=1となる。
図3は変数の設定数が三つの場合の補正値の算出方法を示す図である。なお、立方体の頂点に付した1~8の数字は試験点を表している。
例えば速度、喫水、及びトリムごとに結果があるなど、水槽試験における運航条件の変数の設定数が三つの場合は、下式(3)に基づいて線形補間をして補正値を求めることが好ましい。これにより、運航条件の変数の設定数が三つの場合に補正値を精度よく求めることができる。
Figure 2022155810000004
式(3)において、Cは補正値、Cは試験点1での補正量、C試験点2での補正量、Cは試験点3での補正量、Cは試験点4での補正量、Cは試験点5での補正量、 Cは試験点6での補正量、Cは試験点7での補正量、Cは試験点8での補正量、 δξは変数の1つ目(例えば速度)の変数で試験点1から試験点2へ向かうベクトルを軸とした変位量、δηは変数の2つ目(例えば喫水)の変数で試験点1から試験点4へ向かうベクトルを軸とした変位量、δζは変数の3つ目の変数(例えばトリム)で試験点1から試験点5へ向かうベクトルを軸とした変位量である。
なお、抵抗係数及び自航要素補正ステップS5においては、線形補間に代えてスプライン補間、ラグランジュ補間、又は放射基底関数補間を用いることもできる。但し、CFD計算値よりも水槽試験のデータを正として扱うため、水槽試験データのある状態は、必ず水槽試験の値となるように補間する。このため、データのあるところを通らない近似関数を行う手法は使わない。
図1に示すように、抵抗係数及び自航要素補正ステップS5の後、抵抗係数及び自航要素補正ステップS5で得られた補正された抵抗係数の補正値に基づいて、船舶の速度と船体抵抗との関係を導出する(船体抵抗導出ステップS6)。これにより、補正した抵抗係数に基づいて精度よく船舶の速度と船体抵抗との関係を導出することができる。
また、自航要素の補正値に基づいて、船舶の速度と駆動力との関係を導出する(駆動力導出ステップS7)。これにより、補正した自航要素に基づいて精度よく船舶の速度と駆動力との関係を導出することができる。
船体抵抗導出ステップS6、駆動力導出ステップS7により、データ同化済み推進性能データが得られる。
次に、馬力算定データベース11からプロペラ単独性能、粗度修正係数、及び伴流の模型・実船修正係数等のデータを抽出する。そして、船体抵抗導出ステップS6で導出された速度と船体抵抗の関係と、駆動力導出ステップS7で導出された速度と駆動力との関係に基づいて、船舶の速度と馬力との関係を導出する(馬力導出ステップS8)。これにより、船舶の速度と馬力との関係を精度よく推定することができる。
なお、馬力には、制動馬力、駆動馬力、所要馬力、軸馬力、必要馬力など様々な呼称があるが、本発明の概念を逸脱しない範囲において、含めることができるものとする。
馬力導出ステップS8において導出する速度と馬力との関係は、船舶のトリムと喫水を考慮した関係であることが好ましい。例えば、トルクと喫水ごとの速度と制動馬力(BHP)との関係を導出することにより、船舶のトリムと喫水を考慮した速度と馬力との関係を精度よく推定することができ、実際の船舶の運航に役立てることが可能となる。
また、実船において取得された運航データを実船性能データベース12から抽出し、馬力曲線全体や、速度と馬力の関係など、馬力導出ステップS8で得られた馬力の推定結果を補正する(馬力推定結果補正ステップS9)。馬力推定結果補正ステップS9においては、波風のない条件の馬力曲線を運航データで補正する。
次に、馬力に基づいて船舶の速度とトリムごとの船舶の燃料消費量を求める(燃料消費量導出ステップS10)。これにより、船舶の速度とトリムごとの燃料消費量を把握することができ、実際の船舶の運航に直接役立てることが可能となる。
また、船舶の速度と、トリムと、燃料消費量との関係をチャートにする(チャート化ステップS11)。これにより、例えば、平水中の船舶の速度とトリムと燃料消費量との関係のトリムチャートを得ることができる。
なお、燃料消費量には、燃費、燃料消費率、 燃費率など様々な呼称があるが、本発明の概念を逸脱しない範囲において、含めることができるものとする。
図4はトリムチャートの例を示す図であり、図4(a)は喫水が7.6m、図4(b)は喫水が8.3m、図4(c)は喫水が9.0mのものである。縦軸を船尾トリム[m]、横軸を速度[knot]とし、平水中の該当速度での制動馬力(BHP)を色の濃淡で表している。
トリムチャートは、複数の喫水状態における船速とトリムごとの推進性能を示したチャートである。積載状況により喫水が決まるため、到着予定時刻(ETA)を考慮して設定船速が決定でき、推進性能が最適となるトリムが分かる。なお、平水中だけでなく、後述のように波・風の中での性能についても同様にトリムチャートを作成することができる。
このように、船舶の性能推定方法の第一フローにより、平水中のトリムチャートが得られる。航海士は、得られたトリムチャートを利用してトリムを調整し、最適トリム運航を行う。
図5は船舶の性能推定方法の第二フローである。
本フローは、チャート化ステップS11で得られたチャートに、気象及び海象を考慮し、船舶の速度と、トリムと、燃料消費量の実海域における変化を加えた実海域チャートを得る実海域チャート化ステップS12を有する。
実海域チャート化ステップS12においては、船舶の性能推定方法の第一フローにおいて得られたトリムと喫水ごとの速度、船体抵抗、プロペラスラスト、制動馬力、及び燃費等のデータ同化済平水中性能と、船体条件と、波、風等の外力データと、Beaufort scale(ビューフォート風力階級)等の海象条件を用いて実海域性能計算を行い、実海域チャート(実海域トリムチャート)を得る。また、積載情報(運航時喫水)を取得する。
これにより、航海士は、積載情報(運航時喫水)を考慮して、例えば、得られた実海域チャートに基づいて船舶の速度やトリムを調整し、実海域において最適な速度配分運航やトリム運航を行うことができる。
図6は船舶の性能推定方法の第三フローである。
本フローは、船舶の実海域での運航データを考慮し、実海域チャートを補正する補正ステップS13を有する。
補正ステップS13においては、船舶の性能推定方法の第二フローにおいて得られた実海域チャート及び積載情報と、実海域運航データベース13から取得した実海域の運航データに基づいて実船データを解析し、データ同化を行う。これにより、実海域での運航データに基づき実海域チャートを補正してアップデートすることができる。
航海士は、アップデートされた実海域チャートに基づいてトリムを調整し、実海域において最適トリム運航を行うことができる。
図7は船舶の性能推定方法の第四フローである。
本フローでは、船舶の実海域で遭遇する気象及び海象の観測データを考慮し、実海域チャートを差し替え(差替ステップS14)、船舶の積載情報を考慮し、実海域チャートに従って船舶のトリムを自動調整する(自動トリム調整ステップS15)。
差替ステップS14においては、船舶の性能推定方法の第二フローにおいて得られた実海域チャート及び積載情報と、観測データベース14から取得した波、風等の気象及び海象に関する観測データに基づいて気象を含む海象状況を把握し、実海域チャートを最適なものに差し替える。観測データを考慮して最適な実海域チャートに差替えることで、実海域の実際の海象や気象に基づいて、より適切な速度配分やトリムで運航することができる。
自動トリム調整ステップS15においては、制御器が積載情報と実海域チャートに基づきトリム調整装置を制御する。実海域チャートに従って船舶を最適なトリムに自動調整することで、最適トリム運航が可能となる。トリムの自動調整は、トリムタンクへの水の出し入れ、積み荷の移動、トリム調整用の付加物の制御等により可能である。
図8は船舶の性能推定システムの構成図、図9は当該システムを用いた船舶の性能推定方法のフローである。
船舶の性能推定システムは、船舶の性能を水槽試験とCFD(数値流体力学)計算を用いて推定する第一の性能推定システム20と、船舶の性能推定を行う第二の性能推定システム30を備える。第一の性能推定システム20と第二の性能推定システム30とはインターネット等の情報通信網40を介して接続されている。これにより、船舶の性能推定システムの各構成要素が、離れた場所に設置されていても、情報通信網40を介して連携して船舶の性能推定を行うことができる。
第一の性能推定システム20は、船体条件取得ステップS1を実行し船舶の船体条件を取得する船体条件取得手段21と、運航条件取得ステップS2を実行し船舶の運航条件を取得する運航条件取得手段22と、水槽試験ステップS3を実行し船舶の抵抗係数及び自航要素を求める水槽試験手段23と、CFD計算ステップS4を実行し船舶の抵抗係数及び自航要素を求めるCFD計算手段24と、抵抗係数及び自航要素補正ステップS5を実行し抵抗係数及び自航要素の補正値を得る抵抗係数及び自航要素補正手段25と、模型船の自動製作手段26を備える。
水槽試験室Aには、船体条件取得手段21、運航条件取得手段22、水槽試験手段23、及び自動製作手段26が設けられており、CFD計算室Bには、船体条件取得手段21、運航条件取得手段22、及びCFD計算手段24が設けられている。
なお、本実施形態においては、抵抗係数及び自航要素補正手段25を第一の性能推定システム20側には設けず、第二の性能推定システム30側のコンピュータ31に抵抗係数及び自航要素補正手段25としての機能を持たせている。
水槽試験手段23は、船舶の模型船を用いて船体条件と運航条件に基づいて水槽試験を行う。また、CFD計算手段24は、船体条件と運航条件に基づいてCFD計算を行う。
抵抗係数及び自航要素補正手段25は、上記した抵抗係数及び自航要素補正ステップS5を実行するものであり、水槽試験とCFD計算による抵抗係数及び自航要素の差分を求め、差分に対し水槽試験における運航条件の変数の設定数に基づいて補正を行う。
同じ船体条件と運航条件のもとで導出された水槽試験とCFD計算の各々の結果を用いて抵抗係数及び自航要素の補正値を得ることにより、船舶の性能推定を精度よく行うことができる。
水槽試験手段23は、模型船を用いて自動的に試験を行い、抵抗係数及び自航要素を求める自動化された水槽試験手段であることが好ましい。これにより、水槽試験を省人化又は無人化して抵抗係数及び自航要素を求めることができる。
また、水槽試験に用いる模型船は、船体条件取得手段21で取得した船体条件に基づいて自動製作手段26で製作される。取得した船体条件に基づいて模型船が自動的に製作されることで模型船の製作日数を短縮でき、これにより水槽試験を早期に開始し、船舶の抵抗係数及び自航要素を早く求めることが可能となる。
第二の性能推定システム30は、センターCに設けられており、コンピュータ31と、コンピュータ31への入力手段32と、コンピュータ31からの出力手段33を備える。入力手段32は、他システム等からの自動入力、又はマウスやキーボード等を介した手動入力を受け付ける。また、出力手段33の出力先は、情報通信網40で繋がった情報の利用先やセンターCの例えば制御器やモニタ、プリンタ等である。センターCに船舶の性能推定システム全体を統括する機能を持たせることもできる。すなわち、センターCの入力手段32で水槽試験やCFD計算で用いる船体条件や運航条件を入力し、水槽試験やCFD計算の結果を受け取り、さらにコンピュータ31で、抵抗係数及び自航要素の補正や各ステップを実行させ、得られた結果を運航会社Dや実船Eに出力手段を介して出力することができる。
コンピュータ31には、船舶の性能推定を行う性能推定プログラムがインストールされている。コンピュータ31が有するステップ実行部31Aが操作を受け付けると、性能推定プログラムは、コンピュータ31に、補正された抵抗係数と自航要素の補正値を取得する補正値取得ステップS16と、入力手段32により入力された少なくとも速度とトリムを取得する条件取得ステップS17と、船体抵抗導出ステップS6と、駆動力導出ステップS7と、馬力導出ステップS8と、燃料消費量導出ステップS10と、チャート化ステップS11と、実海域チャート化ステップS12と、補正ステップS13と、差替ステップS14と、少なくとも燃料消費量の導出結果を出力する出力ステップS18を実行させる。
船舶の性能推定プログラムを用いることにより、コンピュータ31を利用して高速かつ高精度に、例えば、船舶の速度とトリムごとの燃料消費量、平水中の船舶の速度とトリムと燃料消費量との関係のチャート、及び実海域チャートを得ることができる。また、得られた実海域チャートを基に、例えば、実海域において最適な速度配分運航やトリム運航を行うことができる。
また、船舶の性能推定システムは、出力手段33からの出力に基づいて自動トリム調整ステップS15を実行することにより船舶のトリムを自動的に調節し、船舶を自動運転する。これにより、船舶の運航状況等に応じて、例えば、船舶の運航に当たっての最適速度の配分や最適トリムの調節が自動的に行われる効率のよい自動運転を実現することができる。
また、運航会社Dや実船Eは、情報通信網40を介して性能推定システムと通信することができる。これにより、運航会社Dや実船Eは、性能推定システムが導出した実海域チャートを受信したり、実海域で取得した運航データ及び観測データを性能推定システムに送信したりすることができる。また、運航中の実船Eは、受信した実海域チャートに従ってトリムを自動調整することもできる。
また、実船E内においてコンピュータを用いて実海域チャート化ステップS12と、補正ステップS13と、差替ステップS14を実行し、自ら導出した実海域チャートに従ってトリムを修正することもできる。
なお、水槽試験室A及びその構成要素、CFD計算室B及びその構成要素、センターCの構成要素、コンピュータ31及びその構成要素、運航会社D、実船E等の組み合わせは、その本来の目的を外れない範囲で、任意に組み合わせ配置し、情報通信網40を介して連携させることが可能である。
本発明は、船舶の性能推定を高精度に行い最適速度配分運航、最適トリム運航、最適航路運航等に活用することができる。
S1 船体条件取得ステップ
S2 運航条件取得ステップ
S3 水槽試験ステップ
S4 CFD計算ステップ
S5 抵抗係数及び自航要素補正ステップ
S6 船体抵抗導出ステップ
S7 駆動力導出ステップ
S8 馬力導出ステップ
S10 燃料消費量導出ステップ
S11 チャート化ステップ
S12 実海域チャート化ステップ
S13 補正ステップ
S14 差替ステップ
S15 自動トリム調整ステップ
S16 補正値取得ステップ
S17 条件取得ステップ
S18 出力ステップ
21 船体条件取得手段
22 運航条件取得手段
23 水槽試験手段
24 CFD計算手段
25 抵抗係数及び自航要素補正手段
26 自動製作手段
31 コンピュータ
32 入力手段
33 出力手段
40 情報通信網

Claims (25)

  1. 船舶の性能を水槽試験とCFD(数値流体力学)計算を用いて推定する性能推定方法であって、
    前記船舶の船体条件を取得する船体条件取得ステップと、
    前記船舶の運航条件を取得する運航条件取得ステップと、
    前記船舶の模型船を用いて前記船体条件と前記運航条件に基づいて前記水槽試験を行い、前記船舶の抵抗係数及び自航要素を求める水槽試験ステップと、
    前記船体条件と前記運航条件に基づいて前記CFD計算を行い、前記船舶の前記抵抗係数及び前記自航要素を求めるCFD計算ステップと、
    前記水槽試験と前記CFD計算による前記抵抗係数及び前記自航要素の差分を求め、前記差分に対し前記水槽試験における前記運航条件の変数の設定数に基づいて補正を行い、前記抵抗係数及び前記自航要素の補正値を得る抵抗係数及び自航要素補正ステップとを有することを特徴とする船舶の性能推定方法。
  2. 前記運航条件は、前記船舶の速度、トリム、喫水、気象及び海象の少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載の船舶の性能推定方法。
  3. 前記抵抗係数は、造波抵抗係数、形状影響係数、及び波浪中抵抗増加係数であり、前記自航要素は、推力減少係数、有効伴流係数、及びプロペラ効率比であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の船舶の性能推定方法。
  4. 前記変数の前記設定数が一つの場合、式(1)に基づいて線形補間をして前記補正値を求めることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の船舶の性能推定方法。
    Figure 2022155810000005
    C:補正値
    :試験点1での補正量
    :試験点2での補正量
    :試験点1からの変位量
  5. 前記変数の前記設定数が二つの場合、式(2)に基づいて線形補間をして前記補正値を求めることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の船舶の性能推定方法。
    Figure 2022155810000006
    C:補正値
    :試験点1での補正量
    :試験点2での補正量
    :試験点3での補正量
    :試験点4での補正量
    =(1-δξ-δη+δξδη)
    =δξ(1-δη)
    =δξδη
    =δη(1-δξ)
    δξ:変数の1つ目の変数で試験点1から試験点2へ向かうベクトルを軸とした変位量
    δη:変数の2つ目の変数で試験点1から試験点4へ向かうベクトルを軸とした変位量
  6. 前記変数の前記設定数が三つの場合、式(3)に基づいて線形補間をして前記補正値を求めることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の船舶の性能推定方法。
    Figure 2022155810000007
    C:補正値
    :試験点1での補正量
    :試験点2での補正量
    :試験点3での補正量
    :試験点4での補正量
    :試験点5での補正量
    :試験点6での補正量
    :試験点7での補正量
    :試験点8での補正量
    δξ:変数の1つ目の変数で試験点1から試験点2へ向かうベクトルを軸とした変位量
    δη:変数の2つ目の変数で試験点1から試験点4へ向かうベクトルを軸とした変位量
    δζ:変数の3つ目の変数で試験点1から試験点5へ向かうベクトルを軸とした変位量
  7. 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の船舶の性能推定方法を利用して船舶の性能推定を行う性能推定方法であって、前記抵抗係数及び自航要素補正ステップで得られた補正された前記抵抗係数の前記補正値に基づいて、前記船舶の速度と船体抵抗との関係を導出する船体抵抗導出ステップを有することを特徴とする船舶の性能推定方法。
  8. 前記自航要素の前記補正値に基づいて、前記船舶の速度と駆動力との関係を導出する駆動力導出ステップをさらに有することを特徴とする請求項7に記載の船舶の性能推定方法。
  9. 前記船体抵抗導出ステップで導出された前記速度と前記船体抵抗の関係と、前記駆動力導出ステップで導出された前記速度と前記駆動力との関係に基づいて、前記船舶の速度と馬力との関係を導出する馬力導出ステップをさらに有することを特徴とする請求項8に記載の船舶の性能推定方法。
  10. 前記速度と前記馬力との関係は、前記船舶のトリムと喫水を考慮した関係であることを特徴とする請求項9に記載の船舶の性能推定方法。
  11. 前記馬力に基づいて前記船舶の前記速度と前記トリムごとの前記船舶の燃料消費量を求める燃料消費量導出ステップを有することを特徴とする請求項10に記載の船舶の性能推定方法。
  12. 前記船舶の前記速度と、前記トリムと、前記燃料消費量との関係をチャートにするチャート化ステップをさらに有することを特徴とする請求項11に記載の船舶の性能推定方法。
  13. 前記チャート化ステップで得られた前記チャートに、気象及び海象を考慮し、前記船舶の前記速度と、前記トリムと、前記燃料消費量の実海域における変化を加えた実海域チャートを得る実海域チャート化ステップをさらに有することを特徴とする請求項12に記載の船舶の性能推定方法。
  14. 前記船舶の前記実海域での運航データを考慮し、前記実海域チャートを補正する補正ステップをさらに有することを特徴とする請求項13に記載の船舶の性能推定方法。
  15. 前記船舶の前記実海域で遭遇する前記気象及び海象の観測データを考慮し、前記実海域チャートを差し替える差替ステップをさらに有することを特徴とする請求項13又は請求項14に記載の船舶の性能推定方法。
  16. 前記船舶の積載情報を考慮し、前記実海域チャートに従って前記船舶のトリムを自動調整する自動トリム調整ステップをさらに有することを特徴とする請求項13から請求項15のいずれか1項に記載の船舶の性能推定方法。
  17. 請求項7から請求項16のいずれか1項に記載の船舶の性能推定方法を利用して船舶の性能推定を行う性能推定プログラムであって、
    コンピュータに、
    補正された前記抵抗係数と前記自航要素の前記補正値を取得する補正値取得ステップと、
    入力された少なくとも前記速度と前記トリムを取得する条件取得ステップと、
    前記船体抵抗導出ステップと、前記駆動力導出ステップと、前記馬力導出ステップと、前記燃料消費量導出ステップと、少なくとも前記燃料消費量の導出結果を出力する出力ステップを実行させることを特徴とする船舶の性能推定プログラム。
  18. 前記コンピュータに、さらに前記チャート化ステップを実行させることを特徴とする請求項12から請求項16のいずれか1項を引用する請求項17に記載の船舶の性能推定プログラム。
  19. 前記コンピュータに、さらに前記実海域チャート化ステップを実行させることを特徴とする請求項13から請求項16のいずれか1項を引用する請求項18に記載の船舶の性能推定プログラム。
  20. 船舶の性能を水槽試験とCFD(数値流体力学)計算を用いて推定する性能推定システムであって、
    前記船舶の船体条件を取得する船体条件取得手段と、
    前記船舶の運航条件を取得する運航条件取得手段と、
    前記船舶の模型船を用いて前記船体条件と前記運航条件に基づいて前記水槽試験を行い、前記船舶の抵抗係数及び自航要素を求める水槽試験手段と、
    前記船体条件と前記運航条件に基づいて前記CFD計算を行い、前記船舶の前記抵抗係数及び前記自航要素を求めるCFD計算手段と、
    前記水槽試験と前記CFD計算による前記抵抗係数及び前記自航要素の差分を求め、前記差分に対し前記水槽試験における前記運航条件の変数の設定数に基づいて補正を行い、前記抵抗係数及び前記自航要素の補正値を得る抵抗係数及び自航要素補正手段とを有することを特徴とする船舶の性能推定システム。
  21. 前記水槽試験手段が、前記模型船を用いて自動的に試験を行い、前記抵抗係数及び前記自航要素を求める自動化された水槽試験手段であることを特徴とする請求項20に記載の船舶の性能推定システム。
  22. 前記模型船の自動製作手段を備え、取得した前記船体条件に基づいて前記模型船を前記自動製作手段で製作することを特徴とする請求項20又は請求項21に記載の船舶の性能推定システム。
  23. 船舶の性能推定を行う性能推定システムであって、
    コンピュータと、前記コンピュータへの入力手段と、前記コンピュータからの出力手段とを備え、前記コンピュータに請求項17から請求項19のいずれか1項に記載の船舶の性能推定プログラムを実行させることを特徴とする船舶の性能推定システム。
  24. 前記出力手段からの出力に基づいて、前記船舶を自動運転することを特徴とする請求項23に記載の船舶の性能推定システム。
  25. 請求項20から請求項22のいずれか1項に記載の船舶の性能推定システム及び/又は請求項23に記載の船舶の性能推定システムを情報通信網を介して接続し、前記船舶の性能推定を行うことを特徴とする船舶の性能推定システム。
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