JP2022155370A - 難燃性発泡体用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリオール成分を排除しながら、高い難燃性と現場施工性とを両立させることができる難燃性発泡体用組成物を提供する。【解決手段】本発明の難燃性発泡体用組成物は、ポリオール不使用のポリイソシアヌレートフォームを形成する難燃性発泡体用組成物であって、ポリイソシアネート、前記ポリイソシアネートに対する三量化触媒、難燃剤及び発泡剤を含み、2種以上の薬液から構成されるとともに、前記ポリイソシアネートと、前記難燃剤及び前記三量化触媒と、が異なる薬液に含まれ、前記難燃剤は、液体難燃剤と、固体難燃剤と、を含み、前記固体難燃剤は、赤リンと、臭素系難燃剤及び塩素系難燃剤のうちの少なくとも一方と、を含むことを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、難燃性発泡体用組成物に関する。更に詳しくは、ポリオールを用いることなくポリイソシアヌレートフォームを形成する難燃性発泡体用組成物に関する。
従来、断熱材料としてウレタンフォームが多用される。しかしながら、構成材料であるウレタンが易燃性であるため、フォームとしての利用状況が制限されるという課題を有する。そこで、難燃剤の配合等により難燃化する方法が提案されるが、近年の厳しい難燃化要請に応え得るものには至っていない。
一方で、ウレタン原料であるポリオールとポリイソシアネートのうち、ポリオールを用いないことによって難燃性を向上させる技術が下記特許文献1に開示されている。
更に、ポリオールは利用しつつ、三量化触媒を用いて、ポリイソシアネートからイソシアヌレート環を形成することによって難燃性を向上させる技術が下記特許文献2に開示されている。
特開2009-149760号公報 国際公開第2014-112394号パンフレット
特許文献1の技術は、ウレタンフォームに比べれば、高い難燃性を達するものの、ISO5660における準不燃性をクリアするレベルであり、不燃性をクリアできるレベルにはない。加えて、施工状況が限定されるという問題がある。即ち、特許文献1の技術は、原料成分を一括混合してモールド成形する技術であり、現場施工ができない。建築分野や土木分野等では、現場吹付けにより断熱材を形成したり、発泡充填することで間隙の充填を行う。即ち、現場施工により、事前採寸カットしたフォームを張合せたり、間隙に詰め込む等の煩雑な操作を不要にするとともに、隙間なく必要形状に完全合致させることができる。しかしながら、現場施工可能な組成物は、反応防止のために分割保存する必要があるが、施工時には各成分が適切な分量で素早く混合されるよう、分割された原料が各々適切な液状物である必要がある。この点、特許文献1の技術は不十分なものである。
一方、特許文献2の技術は、不燃性をクリアするレベルには達する例示が示されており優れた難燃性を有していると考えられ、更には、現場施工できる技術である。しかしながら、ポリオール成分を必須とし、ポリオール成分を排除できないという問題がある。即ち、現場施工性を担保するには、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との少なくとも2つの液状ベースが必要になってしまう。従って、ポリオール成分を排除してしまうと、現場施工性を得ることができず、特許文献1の技術と同様に一括混合を要することになってしまうという問題がある。
また、一般にフォーム材は、多数の発泡セルを含んだコア層(本体部)と、コア層の表面に形成され、実質的に発泡セルを含まないスキン層(表皮部)とを有するが、ポリオールを用いて得られるウレタンフォームは、その材質(樹脂)自体が可燃性であるためにスキン層が燃え易くなる。そして、スキン層が燃えると、それに伴い発熱量が上昇し、自己消火性が低下するという連鎖を生むため、スキン層を備えながら難燃性又は不燃性を十分に達することは難しいという問題を有する。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、ポリオール成分を排除しながら、高い難燃性と現場施工性とを両立させることができる難燃性発泡体用組成物を提供することを目的とする。
即ち、本発明は以下に示す通りである。
[1]本発明の難燃性発泡体用組成物は、ポリオール不使用のポリイソシアヌレートフォームを形成する難燃性発泡体用組成物であって、
ポリイソシアネート、前記ポリイソシアネートに対する三量化触媒、難燃剤及び発泡剤を含み、
2種以上の薬液から構成されるとともに、前記ポリイソシアネートと、前記難燃剤及び前記三量化触媒と、が異なる薬液に含まれ、
前記難燃剤は、液体難燃剤と、固体難燃剤と、を含み、
前記固体難燃剤は、赤リンと、臭素系難燃剤及び塩素系難燃剤のうちの少なくとも一方と、を含むことを要旨とする。
[2]本発明の難燃性発泡体用組成物では、前記薬液のうち、前記難燃剤を含む薬液全体を100質量%とした場合に、前記液体難燃剤を25~60質量%にすることができる。
[3]本発明の難燃性発泡体用組成物では、前記液体難燃剤が、有機リン酸エステル及び/又は塩素系難燃剤を含むことができる。
[4]本発明の難燃性発泡体用組成物では、前記固体難燃剤全体を100質量%とし、前記赤リンの含有割合をMS1(質量%)とし、前記臭素系難燃剤及び前記塩素系難燃剤の合計含有割合をMS2(質量%)とした場合に、MS1<MS2とすることができる。
[5]本発明の難燃性発泡体用組成物では、前記赤リンは、平均粒径15μm以上の粒状物にすることができる。
[6]本発明の難燃性発泡体用組成物では、前記液体難燃剤の粘度を、100~1000mPa・sにすることができる。
[7]本発明の難燃性発泡体用組成物では、前記固体難燃剤は、更に、アンチモン含有難燃剤を含むことができる。
[8]本発明の難燃性発泡体用組成物では、A液及びB液の2種の薬液から構成され、
前記A液に、前記ポリイソシアネートが含まれ、
前記B液に、前記難燃剤及び前記三量化触媒が含まれ、
前記発泡剤が、前記A液及び前記B液のうちの少なくともいずれかに含まれるものとすることができる。
[9]本発明の難燃性発泡体用組成物では、A液、B液及びC液の3種の薬液から構成され、
前記A液に、前記ポリイソシアネートが含まれ、
前記B液に、前記難燃剤が含まれ、
前記C液に、前記三量化触媒が含まれ、
前記発泡剤が、前記A液、前記B液及び前記C液のうちの少なくともいずれかに含まれるものとすることができる。
[10]本発明の難燃性発泡体用組成物では、A液、B液及びC液の3種の薬液から構成され、
前記A液に、前記ポリイソシアネートが含まれ、
前記B液に、前記難燃剤及び前記三量化触媒が含まれ、
前記C液に、前記発泡剤が含まれるものとすることができる。
[11]本発明の難燃性発泡体用組成物では、A液、B液、C液及びD液の4種の薬液から構成され、
前記A液に、前記ポリイソシアネートが含まれ、
前記B液に、前記難燃剤が含まれ、
前記C液に、前記三量化触媒が含まれ、
前記D液に、前記発泡剤が含まれるものとすることができる。
本発明の難燃性発泡体用組成物によれば、ポリオール成分を排除しながら、高い難燃性と現場施工性とを両立させた難燃性発泡体用組成物を提供することを目的とする。
以下、本発明を説明する。ここで示す事項は例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要で、ある程度以上に本発明の構成的な詳細を示すことを意図しておらず、本説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
本発明の難燃性発泡体用組成物(以下、単に「本組成物」ともいう)は、ポリオール不使用のポリイソシアヌレートフォームを形成する難燃性発泡体用組成物であって、
ポリイソシアネート、前記ポリイソシアネートに対する三量化触媒、難燃剤及び発泡剤を含み、
2種以上の薬液から構成されるとともに、前記ポリイソシアネートと、前記難燃剤及び前記三量化触媒と、が異なる薬液に含まれ、
前記難燃剤は、液体難燃剤と、固体難燃剤と、を含み、
前記固体難燃剤は、赤リンと、臭素系難燃剤及び塩素系難燃剤のうちの少なくとも一方と、を含むことを特徴とする。
(1)ポリイソシアネート
ポリイソシアネートは、分子中に2以上のイソシアネート基(NCO基)を有する有機化合物である。ポリイソシアネートとしては、分子中に2以上のイソシアネート基(NCO基)を有する単量体を用いてもよいし、多量体を用いてもよい。更に、多量体である場合、多量体を構成する化合物(モノマー)は1種のみ(単核)であってもよいし、2種以上(多核)であってもよい。更に、単量体と多量体との混合物を用いてもよい。ポリイソシアネートの単量体には、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート等が含まれる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
上記のうち、芳香族ポリイソシアネートとしては、ジフェニルメタンジイソシアネート〔2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート〕、トリレンジイソシアネート〔2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート〕、フェニレンジイソシアネート〔1,4-フェニレンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート〕、キシリレンジイソシアネート〔1,4-キシリレンジイソシアネート、1,3-キシリレンジイソシアネート〕、テトラメチルキシリレンジイソシアネート〔1,4-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3-テトラメチルキシリレンジイソシアネート〕、3,3’-ジメチルジフェニル-4,4’-ジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート〔1,5-ナフタレンジイソシアネート等〕、ジアニシジンジイソシアネート、イソプロピリデンビス〔4-シクロヘキシルイソシアネート〕、トリフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ジメチルトリフェニルメタンテトライソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)-チオリン酸等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
また、上記のうち、脂肪族ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート〔1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート〕、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート〔2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート〕、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
更に、上記のうち、脂環式ポリイソシアネートとしては、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、trans-1,4-シクロヘキシルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート〔メチルシクロヘキサン-2,4-ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン-2,6-ジイソシアネート〕、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン〔cis-1,3-(ジイソシアネートメチル)シクロヘキサン、trans-1,3-(ジイソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4-(ジイソシアネートメチル)シクロヘキサン〕等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
また、上述の各種モノマー体は、これらの変性体(イソシアヌレート変性体、カルボジイミド変性体等)、これらのブロック化物、これらの水添物等であってもよい。これらは各々1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上述のなかでも、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(モノメリックMDI、ポリメリックMDI、クルードMDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等が好ましく、更には、ジフェニルメタンジイソシアネート(モノメリックMDI、ポリメリックMDI、クルードMDI)がより好ましい。
用いるポリイソシアネートにおいて、イソシアネート含量は限定されないが、例えば、5~60質量%とすることができ、10~50質量%とすることができ、15~45質量%とすることができ、20~40質量%とすることができる。
(2)三量化触媒
三量化触媒は、イソシアヌレート環の生成を促進する触媒(イソシアヌレート化触媒)である。即ち、イソシアネート基同士の三量化を促進する触媒(イソシアヌレート化触媒)である。三量化触媒は、上記三量化触媒としての機能を有すればよく、その種類は限定されないが。例えば、第四級アンモニウム塩、第三級アンモニウム塩、含窒素芳香族化合物、カルボン酸アルカリ金属塩(アルカリ金属有機酸塩)、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属アルコキシド等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
上記のうち、第四級アンモニウム塩は、第四級アンモニウムカチオンと他のカチオンとから構成される。このうち、第四級アンモニウムカチオンは限定されず、例えば、脂肪族アンモニウムカチオン、脂環式アンモニウムカチオン、ヒドロキシアンモニウムカチオン等を用いることができる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
このうち、脂肪族アンモニウムカチオンとしては、テトラアルキルアンモニウムが挙げられる。即ち、4つのアルキル基を有するアンモニウムカチオンである。各アルキル基は、各々単独に、炭素数1~20の炭化水素基とすることができるが、4つのアルキル基のうち少なくとも2つ以上のアルキル基を同じにすることができ、更には、3つ以上のアルキル基を同じにすることができる。4つのアルキル基が同じである脂肪族アンモニウムカチオンとしては、例えば、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
また、3つのアルキル基が同じである脂肪族アンモニウムカチオンとしては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム、アルキルトリエチルアンモニウム等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
このうち、アルキルトリメチルアンモニウムとしては、エチルトリメチルアンモニウム、プロピルトリメチルアンモニウム、ブチルトリメチルアンモニウム、ペンチルトリメチルアンモニウム、ヘキシルトリメチルアンモニウム、ヘプチルトリメチルアンモニウム、オクチルトリメチルアンモニウム、ノニルトリメチルアンモニウム、デシルトリメチルアンモニウム、ウンデシルトリメチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、トリデシルトリメチルアンモニウム、テトラデシルトリメチルアンモニウム、ヘプタデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ヘプタデシルトリメチルアンモニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
また、アルキルトリエチルアンモニウムとしては、メチルトリエチルアンモニウム、プロピルトリエチルアンモニウム、ブチルトリエチルアンモニウム、ペンチルトリエチルアンモニウム、ヘキシルトリエチルアンモニウム、ヘプチルトリエチルアンモニウム、オクチルトリエチルアンモニウム、ノニルトリエチルアンモニウム、デシルトリエチルアンモニウム、ウンデシルトリエチルアンモニウム、ドデシルトリエチルアンモニウム、トリデシルトリエチルアンモニウム、テトラデシルトリエチルアンモニウム、ヘプタデシルトリエチルアンモニウム、ヘキサデシルトリエチルアンモニウム、ヘプタデシルトリエチルアンモニウム、オクタデシルトリエチルアンモニウム等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。また
また、脂環式アンモニウムカチオンとしては、1-メチル-1-アザニア-4-アザビシクロ[2,2,2]オクタニウム、1,1-ジメチル-4-メチルピペリジニウム、1-メチルモルホリニウム、1-メチルピペリジニウム等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
更に、ヒドロキシアンモニウムカチオンとしては、(2-ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウム、ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウム、トリメチルアミノエトキシエタノール、ヒドロキシエチル-2-ヒドロキシプロピルジメチルアンモニウム等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
一方、第四級アンモニウム塩を構成するアニオンは限定されず、有機アニオン及び/又は無機アニオンを用いることができる。このうち、有機アニオンとしては、ギ酸基、酢酸基、カプロン酸基(ヘキサン酸基)、ヘプタン酸基、オクタン酸基、オクチル酸基(2-エチルヘキサン酸基)、オレイン酸基、アクリル酸基、メタクリル酸基、シュウ酸基、マロン酸基、コハク酸基、グルタル酸基、アジピン酸基、安息香酸基、トルイル酸基、エチル安息香酸基、フェノキシ基、メチル炭酸基、スルホン酸基(アルキルベンゼンスルホン酸基、トルエンスルホン酸基、ベンゼンスルホン酸基等)、リン酸エステル基等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。また、無機アニオンとしては、ハロゲン基、ヒドロキシ基、炭酸水素基、炭酸基等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
このような第四級アンモニウム塩を含んだ触媒は、例えば、品名「U-CAT 18X」、「U-CAT 2313」(いずれもサンアプロ株式会社製)、品名「カオーライザーNo.410」、「カオーライザーNo.420」(いずれも花王株式会社製)等として入手することができる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
上記のうち、第三級アンモニウム塩としては、トリメチルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、トリフェニルアンモニウム塩等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。また、第三級アンモニウム塩を構成するアニオンとしては、第四級アンモニウム塩を構成するアニオンとして例示したものを同様に利用できる。
上記のうち、カルボン酸アルカリ金属塩は、カルボン酸とアルカリ金属との塩であり、このうち、カルボン酸としては、炭素数1~8の脂肪族カルボン酸が好ましい。より具体的には、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクチル酸等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。一方、アルカリ金属としては、リチウム、カリウム、ナトリウム等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。より具体的には、酢酸カリウム、オクチル酸カリウム、カプリル酸カリウム等が挙げられる。その他にも、カルボン酸金属塩として、例えば、シュウ酸鉄等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
上記のうち、含窒素芳香族化合物としては、三級アミノ基を官能基として有する芳香族化合物(芳香族三級アミン類)が挙げられる。三級アミノ基は、-NRで表される基であり、R及びRは、各々直鎖状、分枝状又は環状の炭素数1~6の炭化水素基であり、更には、この三級アミノ基は、-R-NRで表される官能基であることがより好ましく、Rは、直鎖状又は分枝状の炭素数1~6の炭化水素基である。即ち、三級アミノ基としては、ジメチルアミノメチル基、ジメチルアミノエチル基、ジメチルアミノプロピル基、ジエチルアミノメチル基、ジエチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。含窒素芳香族化合物を構成する芳香環は、単素環(ベンゼン、フェノール、トルエン、キシレン等)であってもよく複素環(トリアジン等)であってもよい。芳香環に対する三級アミノ基の置換数は限定されず、1~6とすることができ、2~4が好ましい。具体的には、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4-ビス(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロトリアジン等が挙げられる。
上述した三量化触媒のなかでも、本発明では、第四級アンモニウム塩及びカルボン酸アルカリ金属塩のうちの少なくとも一方を用いることが好ましい。これらの利用によってより優れた難燃性を得ることができる。また、本発明では、第四級アンモニウム塩を用いる場合、1種のみを用いてもよいが、2種類以上の第四級アンモニウム塩を併用することがより好ましい。これにより、更に優れた難燃性を得ながら、得られる発泡体の密度を低減することができる。また、密度低減によって施工性を向上させることができる。
三量化触媒の配合量は限定されないが、本組成物に含まれるポリイソシアネート全体を100質量部とした場合に、三量化触媒は、0.5質量部以上10質量部以下とすることができる。本組成物では、この範囲において、イソシアネート基同士の三量化(イソシアヌレート化)を効果的に促進させ、優れた難燃性を得ることができる。また、幅広い施工法に対応した硬化速度を得ることができる。この配合量は、更に、0.7質量部以上9.0質量部以下が好ましく、1.0質量部以上6.0質量部以下がより好ましく、1.2質量部以上4.0質量部以下が更に好ましく、1.3質量部以上3.0質量部未満が特に好ましく、1.4質量部以上2.9質量部以下がとりわけ好ましい。これらの好ましい範囲では、得られる難燃性発泡体内におけるイソシアヌレート化に起因した難燃性をより高度に達成しつつ、現場施工性に優れた硬化速度を得ることができる。
本発明では、上述の三量化触媒は、それ単独で用いてもよいが、樹脂化触媒を併用することができる。樹脂化触媒の併用により、得られる難燃性発泡体のベタつきを低減又は防止できる。樹脂化触媒としては14~15族金属の有機金属化合物が挙げられる。具体的には、金属有機酸塩、有機金属化合物が挙げられる。上記14~15族金属としては、ビスマス、錫、鉛等が挙げられる。一方、金属有機酸塩を構成する有機酸としては、炭素数5~15の脂肪族カルボン酸を用いることができる。即ち、例えば、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクチル酸(2-エチルヘキシル酸)、デカン酸、ネオデカン酸、ナフテン酸等が挙げられる。具体的には、オクチル酸ビスマス、ネオデカン酸ビスマス(ネオドデカン酸ビスマス)、ナフテン酸ビスマス、ナフテン酸鉛、オクチル酸錫、オクチル酸鉛等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
また、有機金属化合物としては、有機錫化合物が挙げられる。具体的には、ジブチル錫化合物(ジブチル錫ジラウレート等)、ジオクチル錫化合物(ジオクチル錫マレート、ジブチル錫オキシド等)などが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
樹脂化触媒を用いる場合、その配合量は限定されないが、本組成物に含まれるポリイソシアネート全体を100質量部とした場合に、樹脂化触媒は、0.01質量部以上5質量部以下とすることができる。本組成物では、この範囲において、難燃性と現場施工性とを両立させつつ、得られる難燃性発泡体のベタつきを低減できる。この配合量は、更に、0.02質量部以上5.5質量部以下が好ましく、0.06質量部以上4.0質量部以下がより好ましく、0.10質量部以上3.5質量部以下が更に好ましく、0.13質量部以上3.0質量部未満が特に好ましく、0.16質量部以上2.5質量部以下がとりわけ好ましい。これらの好ましい範囲では、難燃性と現場施工性とを両立させつつ、得られる難燃性発泡体のベタつきを更に低減又は防止できる。
本発明では、上述した樹脂化触媒以外に、前述の三量化触媒及び樹脂化触媒に含まれないアミン系触媒を三量化触媒と併用することができる。アミン系触媒の併用により、得られる難燃性発泡体のベタつきを低減又は防止できる。また、臭気低減による作業性向上を得ることができる。アミン系触媒としてはOH基及び/又はNH基を有する反応性アミン化合物、環状構造を有する環式アミン化合物等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのうちでも、反応性アミン化合物の利用により、より効果的な臭気低減を得ることができる。
反応性アミン化合物としては、2,4,6-トリ(ジメチルアミノメチル)フェノール、テトラメチルグアニジン、N,N-ジメチルアミノエタノール、N,N-ジメチルアミノエトキシエタノール、エトキシ化ヒドロキシルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,3-ジアミノ-2-プロパノール、N,N,N’-トリメチルアミノエチルエタノールアミン、1,4-ビス(2-ヒドロキシプロピル)、2-メチルピペラジン、1-(2-ヒドロキシプロピル)イミダゾール、3,3-ジアミノ-N-メチルジプロピルアミン、N-メチル-N’-ヒドロキシエチルピペラジン等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
環式アミン化合物としては、1,2-ジメチルイミダゾール、1-イソプロピル-2-メチルイミダゾール、トリエチレンジアミン、N,N’-ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N-ジシクロヘキシルメチルアミン、メチレンビス(ジメチルシクロヘキシル)アミン、N,N-ジメチルベンジルアミン、モルフォリン、N-メチルモルフォリン、N-エチルモルフォリン、N-(2-ジメチルアミノエチル)モルフォリン、4,4’-オキシジエチレンジモルフォリン、N,N’-ジエチルピペラジン、N,N’-ジメチルピペラジン、N-メチル-N’-ジメチルアミノエチルピペラジン、1,8-ジアゾビシクロ(5,4,0)-ウンデセン-7等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
アミン系触媒を用いる場合、その配合量は限定されないが、本組成物に含まれるポリイソシアネート全体を100質量部とした場合に、アミン系触媒は、0.01質量部以上7質量部以下とすることができる。本組成物では、この範囲において、得られる難燃性発泡体のベタつき低減効果と、臭気低減による作業性向上効果と、を得ることができる。この配合量は、更に、0.02質量部以上6.5質量部以下が好ましく、0.06質量部以上5.0質量部以下がより好ましく、0.10質量部以上4.0質量部以下が更に好ましく、0.13質量部以上3.0質量部未満が特に好ましく、0.16質量部以上2.5質量部以下がとりわけ好ましい。これらの好ましい範囲では、得られる難燃性発泡体のベタつき低減効果と、臭気低減による作業性向上効果と、をより優位に得ることができる。
(3)難燃剤
本組成物において、難燃剤は、得られる発泡体に対して難燃性を付与する成分である。この難燃剤は、液体難燃剤と固体難燃剤とを含む。
難燃剤(液体難燃剤と固体難燃剤との合計)の配合量は限定されないが、本組成物を構成する薬液のうち、難燃剤を含む薬液全体を100質量%とした場合に、例えば、50質量%以上とすることができ、60質量%以上が好ましく、65質量%以上がより好ましく、70質量%以上が更に好ましく、75質量%以上が特に好ましく、80質量%以上がとりわけ好ましく、また、その上限は限定されないが、100質量%にすることもできる(例えば、触媒や発泡剤などを他の薬液に含めた場合等)。
即ち、本組成物を構成する薬液のうち、難燃剤を含む薬液は、難燃剤のみから構成することができる。一方で、当該薬液が難燃剤以外の成分を含有する場合、例えば、99質量%以下にすることができる。この割合は、更に、95質量%以下にすることができ、90質量%以下にすることができる。
(3-1)液体難燃剤
液体難燃剤は、温度0~40℃において液体の難燃剤である。即ち、温度0~40℃において流動性(分解しない温度下)を有する難燃剤である。その流動性の程度は限定されないものの、JIS K7117-1に準拠し、B型粘度計を用いて25℃で測定される粘度が50mPa・s以上であることが好ましい。尚、この粘度の上限は限定されないが、例えば、10000mPa・s以下とすることができる。
通常、現場施工可能な組成物を得ようとした場合、ポリイソシアヌレートフォーム用組成物であっても、ポリウレタンフォーム用組成物と同様に液状のポリオールを要する。これは、現場施工性を得るには、液分割された組成物を要するからである。即ち、現場施工を行うには、成分同士が反応されないように分割しておく必要がある。一方で、分割数が多くても現場での調製が煩雑になるため、混合前の組成物は2~5種に分割されていることが好ましい。更に、各成分が適切な配合で混合されるように、分割された液状組成物には必要成分が予め適切量で配合されている必要があり、その配合において適切な流動性が維持される必要がある。このように組成物が、液状で分割されることにより、現場では、混合するだけで目的とするフォームを得ることができる。しかしながら、上述の通り、液分割には種々の条件を要するために、分割自由度は考えられる以上に狭い選択となる。このため、ポリイソシアヌレートフォーム用組成物であってもポリオールを液化ベースとして要するのが現状である。
従って、ポリオールを不使用にすると、上述のポリオールを液化ベースとして利用できなくなるため、現場施工可能な液分割ができなくなるという問題を生じてしまう。この点、本組成物では、難燃剤の一部に、液体難燃剤を用い、この液体難燃剤を、ポリオールに代えて液化ベースとして用いることができる。これにより、現場施工可能な液分割を可能にすることができる。
このような液体難燃剤としては、有機リン酸エステル及び/又は塩素系難燃剤を用いることができる。また、液体難燃剤には、有機リン酸エステル及び/又は塩素系難燃剤等を用いることもできる。
有機リン酸エステルには、有機リン酸モノエステル、有機リン酸ジエステル、有機リン酸トリエステルが含まれる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。更に、有機リン酸エステルには、モノリン酸エステル及び縮合リン酸エステルが含まれる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
具体的には、モノリン酸エステルとして、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、クレジルジ-2,6-キシレニルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2-エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、ジフェニル(2-エチルヘキシル)ホスフェート、ジ(イソプロピルフェニル)フェニルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、2-アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2-メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ジフェニル-2-アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル-2-メタクリロイルオキシエチルホスフェート、メラミンホスフェート、ジメラミンホスフェート、メラミンピロホスフェート、トリフェニルホスフィンオキサイド、トリクレジルホスフィンオキサイド、メタンホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジエチル、レジルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、ホスファフェナントレン等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
また、縮合リン酸エステルとしては、トリアルキルポリホスフェート、レゾルシノールポリフェニルホスフェート、ハイドロキノンポリ(2,6-キシリル)ホスフェート、及びこれらの縮合物等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
塩素系難燃剤には、液体のもの(以下、単に「液体塩素系難燃剤」という)と、固体のもの(以下、単に「固体塩素系難燃剤」という)とが存在し、これらのうち液体塩素系難燃剤を、本組成物の液体難燃剤として用いることができる。尚、固体塩素系難燃剤は、本組成物の固体難燃剤として用いることができ、固体塩素系難燃剤については、後述の「(3-2)固体難燃剤」で説明する。
液体塩素系難燃剤には、塩素化パラフィンや、塩素化有機リン酸エステル等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
このうち、塩素化パラフィンとしては、短鎖塩素化パラフィン、中鎖塩素化パラフィン、長鎖塩素化パラフィン等が挙げられる。環境への影響の点から中鎖塩素化パラフィン、長鎖塩素化パラフィンが好ましい。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
塩素化パラフィンは液状であればよく、その炭素数は限定されないが、例えば、10~30とすることができ、更に14~30とすることができ、更に18~30とすることができる。また、数平均分子量は限定されないが、例えば、250~1000とすることができ、更に330~700とすることができ、更に350~650とすることができる。また、塩素化率は限定されないが、例えば、30~80%とすることができ、更に35~70%とすることができ、更に40~60%とすることができる。
一方、塩素化有機リン酸エステルとしては、リン酸トリス(2-クロロ-1-メチルエチル)、リン酸トリス(2-クロロエチル)、リン酸トリス(1,3-ジクロロ-2-プロピル)等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
液体難燃剤のうち、リン酸エステル系の液体難燃剤は、例えば、品名「アデカスタブ PFR」、「アデカスタブ FP-900L」、「アデカスタブ FP-600」(いずれも株式会社ADEKA製)、品名「CR-504L」、「CR-570」、「CR-733S」、「CR-741」、「DAIGUARD-540」、「DAIGUARD-580」、「DAIGUARD-610」、「DAIGUARD-880」(いずれも大八化学工業社製)等として入手することができる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
また、液体難燃剤のうち、液体塩素系難燃剤は、例えば、品名「トヨパラックス A-40」、「トヨパラックス A-50」、「トヨパラックス 145」、「トヨパラックス 150」(いずれも東ソー株式会社製)、品名「エンパラ 40」、「エンパラ K-45」、「エンパラ K-47」、「エンパラ K-50」、「エンパラ AR-500」(いずれも味の素ファインテクノ株式会社製)等として入手することができる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
液体難燃剤の粘度は限定されないが、前述の通り、通常、JIS K7117-1に準拠し、B型粘度計を用いて25℃で測定される粘度が50mPa・s以上であることが好ましいが、更に、100mPa・s以上であることがより好ましい。液体難燃剤の粘度が100mPa・s以上である場合には、液体難燃剤を含む薬液の経時安定性を向上させることができる。また、液体難燃剤の粘度の上限は限定されないが5000mPa・s以下が好ましい。本組成物では、この範囲において、ポリオール成分を排除しながら、高い難燃性と現場施工性とをより良く両立させることができる。この粘度は、更に、100~4000mPa・sが好ましく、100~3000mPa・sがより好ましく、100~2500mPa・sが更に好ましく、120~1500mPa・sが特に好ましく、150~1000mPa・sがとりわけ好ましい。これらの好ましい範囲では、ポリオール成分を排除しながら、より高度に難燃性と現場施工性とを両立させることができる。
尚、液体難燃剤は、本難燃性発泡体組成物の調製に際して、複数の液体難燃剤同士を混ぜ合わせたり、溶剤等を混ぜたりすることにより配合時の粘度調節を行うことができる。
液体難燃剤の配合量は限定されないが、本組成物を構成する薬液のうち、難燃剤を含む薬液全体を100質量%とした場合に、液体難燃剤の含有割合Mは20~80質量%とすることができる。本組成物では、この範囲において、ポリオール成分を排除しながら、高い難燃性と現場施工性とをより良く両立させることができる。この割合Mは、更に、20~75質量%が好ましく、20~70質量%がより好ましく、25~65質量%が更に好ましく、25~60質量%が特に好ましく、30~60質量%がとりわけ好ましい。これらの好ましい範囲では、ポリオール成分を排除しながら、より高度に難燃性と現場施工性とを両立させ、現場で良好な吹付施工を行うことができる。
(3-2)固体難燃剤
本組成物は、固体難燃剤として赤リンと、臭素系難燃剤及び固体塩素系難燃剤のうちの少なくとも一方と、を含む。即ち、本組成物は固体難燃剤として、赤リンと、臭素系難燃剤と、固体塩素系難燃剤との3種を含む組成、又は、赤リンと臭素系難燃剤との2種を含む組成、又は、赤リンと固体塩素系難燃剤との2種を含む組成、とすることができる。
固体難燃剤は、温度0~40℃において固体の難燃剤である。即ち、温度0~40℃において流動性(分解しない温度下)を有さない、定まった形と体積を持つ難燃剤である。即ち、固体難燃剤は、B型粘度計による粘度の測定が不可能な難燃剤である。
固体難燃剤は、流動性を有さず、細分化された固形物(粒状、フレーク状、粉末状等)として加工できる性状のものが好ましい。
固体難燃剤の配合量は限定されないが、本組成物を構成する薬液のうち、難燃剤を含む薬液全体を100質量%とし、液体難燃剤の含有割合をM(質量%)とし、固体難燃剤の含有割合をM(質量%)とした場合、M≦Mであってもよいが、M>Mであることが好ましい。即ち、固体難燃剤よりも液体難燃剤を質量換算においてより多く含むことが好ましい。本組成物では、液体難燃剤の併用により、この範囲において、ポリオール成分を排除しながら、高い難燃性と現場施工性とをより良く両立させることができる。更に、この割合をM/Mとして換算した場合、0.10≦M/M≦0.90であることがより好ましく、0.20≦M/M≦0.75であることが更に好ましく、0.30≦M/M≦0.65であることが特に好ましく、0.35≦M/M≦0.55であることがとりわけ好ましい。これらの好ましい範囲では、液体難燃剤の併用により、ポリオール成分を排除しながら、より高度に難燃性と現場施工性とを両立させることができる。
(3-2-1)赤リン
赤リンは、樹脂が熱分解して生じた可燃性ガスが燃焼することで生成される水や炭素と反応して、樹脂表面に炭化層を形成し、この炭化層が酸素を遮断することで消火する作用を有する。赤リン単体を用いてもよいが、被覆層(コーティング層)を有する赤リンを用いることができる。被覆層を有することにより、取扱い性や作業性が向上される。また、得られる難燃性発泡体内での分散性を高め、添加効果を向上させることができる。被覆層は、どのような材料から形成されてもよいが、特に樹脂、金属水酸化物、金属酸化物等から形成される。このうち、樹脂としては、熱硬化性樹脂を好適に利用できる。具体的には、フェノール樹脂、フラン樹脂、キシレン・ホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アニリン樹脂、及びシリコーン樹脂等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。また、金属水酸化物としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化チタン等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。更に、金属酸化物としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン等挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。粒子表面に被覆層を有する赤リンの場合、その全体に占める被覆層の割合は限定されないが、例えば、被覆層を有する赤リン全体を100質量部とした場合に、1~30質量部とすることができる。
このような赤リンは、例えば、品名「ノーバレッド」、品名「ノーバエクセル」、品名「ノーバクエル」(いずれも燐化学工業株式会社製)、品名「HISHIGUARD」(日本化学工業株式会社製)、品名「EXOLIT RP」(クラリアントケミカルズ株式会社製)等として入手することができる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
本組成物に用いる赤リンの平均粒径(R)は限定されないが、通常、1~100μmであり、5~70μmが好ましく、10~60μmがより好ましいが、Rは10μm以上、更には15μm以上であることが更に好ましい。従って、15~50μmが更に好ましく、15~45μmが特に好ましく、17~43μmが特に好ましい。
また、赤リンの平均粒径をR(μm)とし、後述する臭素系難燃剤及び固体塩素系難燃剤の平均粒径をRBC(μm)とした場合に、これらを比較した場合の大小は限定されないものの、赤リンの平均粒径Rが臭素系難燃剤及び固体塩素系難燃剤の平均粒径RBCよりも大きいことが好ましい。この場合、RとRBCとが同等である場合や、RがRBCよりも小さい場合に比べてより優位に再着炎発生を防止できる。より具体的には、RBC/Rは、1未満が好ましく、0.9未満がより好ましく、0.8以下が更に好ましく、0.7以下が特に好ましく、0.6以下がとりわけ好ましい。一方、RBC/Rの下限は限定されないが、通常、0.01以上であり、0.05以上とすることができる。
尚、赤リンの平均粒径と、臭素系難燃剤及び固体塩素系難燃剤の平均粒径とは、通常、難燃性発泡体用組成物への配合前、難燃性発泡体用組成物内、得られる難燃性発泡体内において変化されない。また、難燃性発泡体用組成物への配合前の状態においては、粒度分布測定装置により測定される。また、難燃性発泡体用組成物内、及び、得られる難燃性発泡体内における平均粒径は、レーザ回折式の粒度分布測定装置等により測定される粒度分布より求めることが可能である。具体的には、日機装株式会社製のマイクロトラック粒度分析装置(製品名:MT3200II)を用いて、試料の粒度分布から、積算値50%の粒子径を平均粒径(D50)とした。
赤リンの配合量は限定されないが、固体難燃剤全体を100質量%とした場合に、赤リンは1~90質量%とすることができる。本組成物では、この範囲において、ポリオール成分を排除しながら、高い難燃性と現場施工性とをより良く両立させることができる。この配合量は、更に、24~80質量%が好ましく、5~60質量%がより好ましく、6~50質量%が更に好ましく、7~45質量%が特に好ましく、8~40質量%がとりわけ好ましい。これらの好ましい範囲では、ポリオール成分を排除しながら、より高度に難燃性と現場施工性とを両立させることができ、良好な炭化層を形成することができる。尚、赤リン自体による発火を抑制する観点から、固体難燃剤を含む薬液(通常、B液)全体を100質量%とした場合に、赤リンの含有割合は30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。
(3-2-2)臭素系難燃剤及び固体塩素系難燃剤
臭素系難燃剤及び固体塩素系難燃剤は、一般に、ハロゲン系難燃剤とも称される物質である。臭素系難燃剤及び固体塩素系難燃剤は、上述の赤リンとの併用により、難燃性能を向上させる役割を果たす。即ち、臭素系難燃剤及び固体塩素系難燃剤は、燃焼時の加熱によってガス化し、気相において、樹脂の燃焼反応を推進させるヒドロキシルラジカルを捕捉する。更に、臭素系難燃剤及び固体塩素系難燃剤は、固相において、赤リンによる炭化層の形成を促進することで、その炭化層による空気遮断効果と断熱効果を向上させる。このため、臭素系難燃剤及び固体塩素系難燃剤を含む本組成物は、難燃性能の向上、特に、再着炎を防止する効果の向上を図ることができる。
臭素系難燃剤は、臭素原子を含む成分である。この臭素系難燃剤としては、臭素化有機化合物等が挙げられる。臭素化有機化合物としては、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン等の1つの芳香環を有する臭素化単環芳香族化合物、ヘキサブロモビフェニル、デカブロモビフェニル、デカブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモジフェニルエーテル、ビス(ペンタブロモフェノキシ)エタン、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)、テトラブロモビスフェノールA等の2つ以上の芳香環を有する臭素化多環芳香族化合物、ヘキサブロモシクロデカン、エチレンビス(テトラブロモフタルイミド)、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ化合物(臭素化エポキシ樹脂)、ポリ(臭素化ベンジルアクリレート)、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ビスフェノールA、塩化シアヌールと臭素化フェノールとの縮合物、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリメチルスチレン等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
固体塩素系難燃剤は、塩素原子を含む成分である。この固体塩素系難燃剤としては、塩素化ポリフェニル、塩素化ポリエチレン、塩化ジフェニル、塩化トリフェニル、塩素化パラフィン、五塩化脂肪酸エステル、パークロロペンタシクロデカン、塩素化ナフタレン、テトラクロル無水フタル酸等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
本組成物に用いる臭素系難燃剤及び/又は固体塩素系難燃剤の平均粒径(RBC)は限定されないが、通常、0.05~50μmであり、0.1~35μmが好ましく、0.3~30μmがより好ましく、0.5~25μmが更に好ましく、0.7~20μmが特に好ましい。尚、平均粒径の測定については前述の通りである。
臭素系難燃剤及び/又は固体塩素系難燃剤の配合量は限定されない。
臭素系難燃剤及び固体塩素系難燃剤を併用するものとして、固体難燃剤全体を100質量%とし、赤リンの含有割合をMS1(質量%)とし、臭素系難燃剤及び固体塩素系難燃剤の合計含有割合をMS2(質量%)とした場合に、MS1≧MS2であってもよいが、MS1<MS2であることが好ましい。
また、臭素系難燃剤又は固体塩素系難燃剤の何れか一方を用いる場合には、臭素系難燃剤又は固体塩素系難燃剤の含有割合をMS2(質量%)として、MS1≧MS2であってもよいが、MS1<MS2であることが好ましい。
即ち、赤リンよりも臭素系難燃剤及び/又は固体塩素系難燃剤を、質量換算においてより多く含むことが好ましい。本組成物では、液体難燃剤の併用により、この範囲において、ポリオール成分を排除しながら、高い難燃性と現場施工性とをより良く両立させることができる。
更に、上述の含有割合をMS2/MS1として換算した場合、0.6≦MS2/MS1≦30とすることができ、更に0.8≦MS2/MS1≦20であることが好ましく、1.05≦MS2/MS1≦15であることがより好ましく、1.5≦MS2/MS1≦10であることがさらに好ましい。これらの好ましい範囲では、液体難燃剤の併用により、ポリオール成分を排除しながら、より高度に難燃性と現場施工性とを両立させ、再着炎を防止して発熱量を低減させることができる。
(3-2-3)他の固体難燃剤
本組成物は、固体難燃剤として、上述した赤リンと、臭素系難燃剤及び/又は固体塩素系難燃剤以外に他の固体難燃剤を含むことができる。他の固体難燃剤としては、アンチモン含有難燃剤、固体状のリン酸エステル系難燃剤、ホウ素系難燃剤、スズ酸金属塩、水放出物質等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
一方で、本組成物は、固体難燃剤として、赤リンと臭素系難燃剤及び/又は固体塩素系難燃剤とを含有することにより、上述の他の固体難燃剤のうち、アンチモン含有難燃剤、ホウ素系難燃剤、固体状のリン酸エステル系難燃剤、水放出物質等を実質的に含まないものとすることができる。より具体的には、例えば、他の固体難燃剤の含有量は、難燃剤を含む薬液全体を100質量%とした場合に、20質量%以下とすることができ、10質量%以下とすることができ、5質量%以下とすることができ、1質量%以下とすることができる。
上述のなかでも、本組成物では、アンチモン含有難燃剤が好ましい。アンチモン含有難燃剤は、アンチモン原子を含む成分であり、臭素系難燃剤及び/又は固体塩素系難燃剤との併用により、相乗的な難燃性能の向上を図ることができる。
アンチモン含有難燃剤としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等の酸化アンチモン;アンチモン酸ナトリウム、アンチモン酸カリウム等のアンチモン酸塩;ピロアンチモン酸ナトリウム、ピロアンチモン酸カリウム等のピロアンチモン酸塩などが挙げられる。
アンチモン含有難燃剤を用いる場合、その配合量は限定されないが、赤リンの含有割合をMS1(質量%)とし、アンチモン含有難燃剤の含有割合をMS3(質量%)とした場合に、MS1<MS3であってもよいが、MS1≧MS3であることが好ましい。即ち、赤リンと同量であるか、赤リンよりもアンチモン含有難燃剤の方が質量換算においてより少なく含むことが好ましい。本組成物では、液体難燃剤の併用により、この範囲において、ポリオール成分を排除しながら、高い難燃性と現場施工性とをより良く両立させることができる。更に、この割合をMS3/MS1として換算した場合、0.1≦MS3/MS1≦1.5とすることができ、更に0.2≦MS3/MS1≦1.2であることができ、0.3≦MS3/MS1≦0.9であることが好ましく、0.4≦MS3/MS1≦0.8であることがより好ましい。これらの好ましい範囲では、液体難燃剤の併用により、ポリオール成分を排除しながら、より高度に難燃性と現場施工性とを両立させることができる。
尚、他の固体難燃剤として、固体リン酸エステル系難燃剤としては、各種、モノリン酸塩、ピロリン酸塩、ポリリン酸塩、有機ホスフィン酸塩等を挙げることができる。
このうち、モノリン酸塩としては、リン酸塩、リン酸水素塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩等が挙げられる。これらの塩を構成するカチオンとしては、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン(ナトリウム、カリウム、リチウム等)、アルカリ土類金属イオン(カルシウム、マグネシウム、バリウム等)、亜鉛イオン等が挙げられる。
また、ピロリン酸塩としては、ピロリン酸アンモニウム、ピロリン酸メラミン、ピロリン酸アセトグアナミン、ピロリン酸ベンゾグアナミン、ピロリン酸アクリルグアナミン、ピロリン酸2,4-ジアミノ-6-ノニル-1,3,5-トリアジン、ピロリン酸2,4-ジアミノ-6-ハイドロキシ-1,3,5-トリアジン、ピロリン酸2-アミノ-4,6-ジハイドロキシ-1,3,5-トリアジン、ピロリン酸2,4-ジアミノ-6-メトキシ-1,3,5-トリアジン、ピロリン酸2,4-ジアミノ-6-エトキシ-1,3,5-トリアジン、ピロリン酸2,4-ジアミノ-6-プロポキシ-1,3,5-トリアジン、ピロリン酸2,4-ジアミノ-6-イソプロポキシ-1,3,5-トリアジン、ピロリン酸2,4-ジアミノ-6-メルカプト-1,3,5-トリアジン、ピロリン酸2-アミノ-4,6-ジメルカプト-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。
更に、ポリリン酸塩としては、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸ピペラジン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウムアミド、ポリリン酸アルミニウム等が挙げられる。
また、有機ホスフィン酸塩としては、ホスフィン酸を構成するリン原子に、炭素数が1~6の直鎖状のアルキル基やフェニル基等の有機基の1つ又は2つが共有結合されてなる構造の有機ホスフィン酸に、公知の各種のカチオンが結合して、塩形態を呈するものが挙げられる。例えば、リン原子に、メチル基、エチル基又はフェニル基が結合したものが挙げられ、カチオンを構成する金属元素としては、Mg、Al、Ca、Ti又はZn等が挙げられる。具体的には、(モノ又はジ)メチルホスフィン酸亜鉛、(モノ又はジ)エチルホスフィン酸亜鉛、(モノ又はジ)フェニルホスフィン酸亜鉛、(モノ又はジ)メチルホスフィン酸アルミニウム、(モノ又はジ)エチルホスフィン酸アルミニウム、(モノ又はジ)フェニルホスフィン酸アルミニウム等が挙げられる。
上記のホウ素系難燃剤としては、ホウ酸類、ホウ酸塩類、ホウ素系非金属化合物、ホウ酸塩鉱物、有機ホウ素系化合物等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
ホウ酸類としては、ホウ酸、オルトホウ酸、メタホウ酸等が挙げられる。また、ホウ酸塩類としては、上記各ホウ酸類と金属イオンとの塩や、アンモニウムイオンとの塩が挙げられる。このうち、金属イオンを構成する金属種としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、アルミニウム、亜鉛等が挙げられる。また、ホウ素系非金属化合物としては、酸化ホウ素、窒化ホウ素等が挙げられる。更に、ホウ酸塩鉱物としては、ホウ砂、コレマナイト、ウレキサイト等が挙げられる。また、有機ホウ素系化合物としては、ホウ酸エステル、ボロン酸塩、ボロキシン等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
上記のスズ酸金属塩としては、スズ酸亜鉛、スズ酸バリウム、スズ酸ナトリウム、スズ酸カリウム、スズ酸コバルト、スズ酸マグネシウム等が挙げられる。
上記の水放出物質は、加熱によって所定温度に達すると、脱水したり、分解に際して脱水を生じることができる物質である。
水放出物質は、加熱により水を放出できる物質であれば限定されないが、水放出温度を高くできるという観点からは、無機化合物が好ましい。水放出物質である無機化合物としては、例えば、金属水酸化物、金属化合物(金属水酸化物を除く)の水和物、粘土鉱物等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
このうち、金属水酸化物としては、アルミニウムの水酸化物(水酸化アルミニウム)、アルカリ土類金属の水酸化物(水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等)、これらの水和物等の金属水酸化物及びその水和物等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
また、金属化合物の水和物としては、珪酸カルシウム水和物、酸化アルミニウム水和物、塩化アルミニウム水和物、硫酸アルミニウム水和物、塩化マグネシウム水和物、硫酸マグネシウム水和物等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
更に、粘土鉱物としては、クレー、カオリン、ハイドロタルサイト等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
(4)発泡剤
発泡剤は、得られる難燃性発泡体の発泡状態を形成する成分である。発泡剤の種類は限定されず、例えば、有機発泡剤、無機発泡剤等を用いることができる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
このうち、有機発泡剤としては、非フロン系・フロン系発泡剤、非フロン系・フロン系発泡剤の発生源を用いることができる。具体的には、フロン系はハイドロフルオロカーボン(HFC)、非フロン系はハイドロカーボン(HC)、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)やハイドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)と称されるハロゲン化オレフィン(ハロゲン化アルケン)等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
このうちハイドロカーボンとしては、プロパン、ノルマルペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ブタン、イソブタン、ヘキサン、イソヘキサン、ネオヘキサン、ヘプタン、イソヘプタン等が挙げられる。また、ハイドロフルオロカーボンには、具体的には、ジフルオロメタン(HFC32)、1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタン(HFC125)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC143a)、1,1,2,2-テトラフルオロエタン(HFC134)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC134a)、1,1-ジフルオロエタン(HFC152a)、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFC227ea)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC245fa)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC365mfc)、及び1,1,1,2,2,3,4,5,5,5-デカフルオロペンタン(HFC4310mee)、ジクロロエタン、プロピルクロリド、イソプロピルクロリド、ブチルクロリド、イソブチルクロリド、ペンチルクロリド、イソペンチルクロリド等が挙げられる。更に、ハロゲン化オレフィンとしては、例えば、フッ素及び/又は塩素のハロゲン置換基を有する炭素数2以上6以下の不飽和炭化水素誘導体等が挙げられ、更には、フッ素及び/又は塩素のハロゲン置換基を有する炭素数3以上6以下のアルケン(プロペン、ブテン、ペンテン、ヘキセン等)が挙げられる。具体的には、テトラフルオロプロペン、ペンタフルオロプロペン、ヘキサフルオロブテン、フルオロクロロプロペン、トリフルオロモノクロロプロペン、フルオロクロロブテン等が挙げられる。
ハイドロフルオロオレフィン(HFO)としては、例えば、1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO1225ye)等のペンタフルオロプロペン;1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO1234ze)、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO1234yf)、1,2,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO1234ye)等のテトラフルオロプロペン;3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO1243zf)等のトリフルオロプロペン;テトラフルオロブテン異性体(HFO1354)類;ペンタフルオロブテン異性体(HFO1345)類;1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン(HFO1336mzz)等のヘキサフルオロブテン異性体(HFO1336)類;ヘプタフルオロブテン異性体(HFO1327)類;ヘプタフルオロペンテン異性体(HFO1447)類;オクタフルオロペンテン異性体(HFO1438)類;ノナフルオロペンテン異性体(HFO1429)類等が挙げられる。
また、ハイドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)としては、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zd)、2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xf)、ジクロロトリフルオロプロペン(HCFO1223)、1-クロロ-2,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233yd)、1-クロロ-1,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zb)、2-クロロ-1,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xe)、2-クロロ-2,2,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xc)、3-クロロ-1,2,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233ye)、3-クロロ-1,1,2-トリフルオロプロペン(HCFO-1233yc)等が挙げられる。
一方、無機発泡剤としては、水、二酸化炭素等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
このうち、水は、ポリイソシアネートとの共存により、二酸化炭素を発生させることで発泡剤として機能する。このため、後述するように、水を発泡剤として利用する場合、本組成物を発泡させる以前には、水とポリイソシアネートとは異なる薬液として存在させることが好ましい。
また、二酸化炭素は、液化させた液化二酸化炭素として用いることができる。このため、後述するように、本組成物を発泡させる以前には、他の成分とは異なる薬液として単独で存在させることが好ましい。
発泡剤の配合量は限定されず、目的とする難燃性発泡体の密度や発泡倍率等により適宜の配合とすることができるが、例えば、本組成物に含まれるポリイソシアネート全体を100質量部とした場合に、発泡剤は、0.1質量部以上100質量部以下とすることができる。この配合量は、更に0.5質量部以上70質量部以下とすることができ、更に1質量部以上50質量部以下とすることができ、更に2質量部以上40質量部以下とすることができ、更に3質量部以上30質量部未満とすることができ、更に5質量部以上20質量部以下とすることができる。
難燃性発泡体の密度は、例えば、60kg/m以下にすることが好ましい。更には58kg/m以下、更には55kg/m以下、更には53kg/m以下にすることがより好ましい。尚、この密度の下限は限定されないが、例えば、45kg/m以上、更には47kg/m以上、更には48kg/m以上にすることが好ましい。
(5)その他の成分
本組成物では、上述したポリイソシアネート、触媒、難燃剤及び発泡剤以外にも他の成分を必要に応じて配合することができる。他の成分としては、整泡剤、粘度調整剤、充填剤等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
(5-1)整泡剤
整泡剤は、得られる難燃性発泡体を構成する発泡セルの均一性を向上させる成分である。整泡剤を用いる場合、整泡剤の種類は限定されないが、例えば、シリコーン系整泡剤(シリコーン等)、非イオン系界面活性剤、ポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサン、ポリシロキサンオキシアルキレン共重合体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ヒマシ油エチレンオキシド付加物、ラウリル脂肪酸エチレンオキシド付加物等を用いることができる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。整泡剤のなかでは、例えば、シリコーン系整泡剤が好ましく、更には、ポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサン、ポリシロキサンオキシアルキレン共重合体等を好適に用いることができる。
整泡剤を用いる場合、整泡剤の配合量は限定されないが、例えば、本組成物に用いる発泡剤全体を100質量部とした場合、整泡剤は、0.1質量部以上20質量部以下とすることができ、更には、0.5質量部以上10質量部以下とすることができる。
(5-2)粘度調整剤
粘度調整剤は、本組成物を構成する各薬液の粘度を調節する成分である。粘度調整剤としては、例えば、減粘剤を用いることができる。即ち、粘度を低下させる成分を用いることができる。減粘剤の種類は限定されないが、例えば、アルコール類、エーテル類、エステル類、石油系炭化水素類等を用いることができる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
これらのうち、アルコール類としては、メタノール、エタノール等が挙げられる。エーテル類としては、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ等が挙げられる。エステル類としては、プロピレンカーボネート等の環状エステル類;ジカルボン酸メチルエステル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類(非環状エステル類)等が挙げられる。
(5-3)充填剤
充填剤は、得られる難燃性発泡体の体積を大きくする作用や、得られる難燃性発泡体の強度を向上させる作用を有する成分である。充填剤の種類は限定されず、無機充填剤、有機充填剤を用いることができる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのうちでは、難燃性向上の観点からは、無機充填剤をより好適に利用できる。無機充填剤の種類は限定されないが、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、クレー、タルク、ホワイトカーボン(珪藻土)等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
(6)薬液の構成
本組成物は、2種以上の薬液から構成される。更に、本組成物では、ポリイソシアネートと、難燃剤及び三量化触媒と、が異なる薬液に含まれる。
本組成物は、2種以上の薬液から構成されればよく、通常、5種以下の薬液から構成され、4液以下の薬液から構成されることが、作業性の観点からは好ましい。より具体的には、例えば、下記〈1〉~〈4〉の薬液構成にすることができる。
〈1〉A液及びB液の2種の薬液から構成され、A液にポリイソシアネートが含まれ、B液に難燃剤及び三量化触媒が含まれ、発泡剤がA液及びB液のうちの少なくともいずれかに含まれた組成物とすることができる。より具体的には、〈1-1〉A液にポリイソシアネートが含まれ、B液に難燃剤、三量化触媒及び発泡剤が含まれた組成物とすることができる。また、〈1-2〉A液にポリイソシアネート及び発泡剤が含まれ、B液に難燃剤及び三量化触媒が含まれた組成物とすることができる。
〈2〉A液、B液及びC液の3種の薬液から構成され、A液にポリイソシアネートが含まれ、B液に難燃剤が含まれ、C液に三量化触媒が含まれ、発泡剤が、A液、B液及びC液のうちの少なくともいずれかに含まれた組成物とすることができる。より具体的には、〈2-1〉A液にポリイソシアネートが含まれ、B液に難燃剤が含まれ、C液に三量化触媒及び発泡剤が含まれた組成物とすることができる。また、〈2-2〉A液にポリイソシアネートが含まれ、B液に難燃剤及び発泡剤が含まれ、C液に三量化触媒が含まれた組成物とすることができる。また、〈2-3〉A液にポリイソシアネート及び発泡剤が含まれ、B液に難燃剤が含まれ、C液に三量化触媒が含まれた組成物とすることができる。
〈3〉A液、B液及びC液の3種の薬液から構成され、A液にポリイソシアネートが含まれ、B液に、難燃剤及び三量化触媒が含まれ、C液に発泡剤が含まれた組成物とすることができる。この薬液構成は、発泡剤として二酸化炭素等を用いる場合に好適な構成と言える。尚、A液及びB液には必要に応じて二酸化炭素以外の発泡剤を含んでも良い。
〈4〉A液、B液、C液及びD液の4種の薬液から構成され、A液にポリイソシアネートが含まれ、B液に難燃剤が含まれ、C液に三量化触媒が含まれ、D液に発泡剤が含まれた組成物とすることができる。この薬液構成は、発泡剤として二酸化炭素等を用いる場合に好適な構成と言える。尚、A液、B液及びC液には必要に応じて二酸化炭素以外の発泡剤を含んでも良い。
尚、これら〈1〉~〈4〉のいずれの薬液構成を利用するとしても、ポリイソシアネートを含む薬液には、水が実質的に含まれないことが好ましい。具体的には、ポリイソシアネートを含む薬液全体を100質量%とした場合に、水の含有割合が1質量%(0質量%でもよい)、更には0.5質量%(0質量%でもよい)、とりわけ0.1質量%(0質量%でもよい)であることが好ましい。
また、A液がポリイソシアネートを含む薬液であり、B液が難燃剤を含む薬液である場合、これらA液及びB液の各々の粘度は限定されないが、JIS K7117-1に準拠し、B型粘度計を用いて25℃で測定される粘度の上限値は100,000mPa・s以下とすることができ、50,000mPa・s以下が好ましく、10,000mPa・s以下がより好ましく、6,000mPa・s以下が更に好ましく、5,000mPa・s以下が特に好ましく、3,000mPa・s以下がとりわけ好ましい。また、例えば、下限値は20mPa・s以上にすることができ、50mPa・s以上が好ましく、100mPa・s以上がより好ましく、300mPa・s以上が更に好ましい。
また、A液及びB液の各々の粘度は、異なってもよいが、過度に大きく異ならないことが好ましい。より具体的には、A液の粘度をV(mPa・s)とし、B液の粘度をV(mPa・s)とした場合に、例えば、0.6≦V/V≦1.4とすることができる。
更に、薬液を混合したときの反応時間(混合から難燃性発泡体が得られるまでの時間)は、20分以下であることが好ましい。反応時間が20分以下である場合には、冬季等の低温時にも、十分な硬化速度と、得られる硬化体において十分な機械的強度を得ることができる。更に、この反応時間は、10秒以上15分以下がより好ましく、20秒以上8分以下が更に好ましい。上記の好ましい範囲では、注入管の閉塞をより確実に防止するとともに、注入後に注入箇所への十分な浸透時間を与えることができる。
本組成物からは、本組成物を構成する薬液を混合した混合液を型に充填して、モールド成形することによって難燃性発泡体を得ることもできる。その一方で、本組成物は、前述の通り、現場施工性に優れることから、薬液を混合した混合液や、薬液を装置内で混合させながら被着体へ吹付けることにより、被着体の表面に難燃性発泡体からなる難燃性発泡体層を形成する態様において特に好適に用いられる。また、薬液を混合した混合液や、薬液を装置内で混合させながら構造物等に形成された間隙へ混合液を吹付け充填することにより、間隙内に難燃性発泡体からなる充填物を形成する態様においても好適に用いられる。
(7)本組成物の用途
本組成物は、どのような用途に利用してもよいが、その性質から特に、建築土木分野(建築分野及び土木分野)等において好適に利用される。即ち、本組成物は、例えば、建築土木分野の難燃性発泡体用組成物として利用できる。このうち、例えば、建築分野においては、壁用難燃性発泡体、天井用難燃性発泡体、床用難燃性発泡体、壁用断熱材、天井用断熱材、床用断熱材、構造物製造時の現場吹付、内部間隙の充填、経時劣化した構造物の補強等に利用することができる。また、土木分野においては、地山、地中、土壌、地盤、岩盤、これらと構造物(建築構造物)との間隙、更には、構造物内の間隙等へ本組成物を注入し、発泡硬化させることにより、注入箇所を充填、補強することができる。
以下、本発明を実施例に則して更に詳細に説明するが、これらの実施例はあくまでも説明のために便宜的に示す例に過ぎず、本発明は如何なる意味でもこれらの実施例に限定されるものではない。
[1]組成物の調製
下記各成分を、各々、下記表1~表5に示す組合せ及び配合で混合し、実施例1~12及び比較例1~10の各A液及びB液を有する難燃性発泡体用組成物を得た。
(1)ポリイソシアネート
ポリメリックMDI(万華化学ジャパン株式会社製Wannate、品名「PM-130」、粘度(25℃):150mPa・s)
(2)ポリオール
フタル酸系ポリエステルポリオール(川崎化成工業株式会社製、品名「RDK133」、水酸基価315mgKOH/g)
(3)三量化触媒
第四級アンモニウム塩(1):第四級アンモニウム塩(サンアプロ社製、品名「U-CAT 18X」)
第四級アンモニウム塩(2):第四級アンモニウム塩(花王株式会社製、品名「カオーライザー No.420」)
(4)樹脂化触媒
オクチル酸ビスマス(日本化学産業株式会社製、品名「プキャット 25」)
(5)整泡剤
シリコーン系整泡剤(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、品名「Niax Silicone L-6100」)
(6)難燃剤-液体難燃剤
有機リン酸エステル(1):ポリリン酸エステル(株式会社ADEKA製、品名「アデカスタブPFR」、粘度(25℃):560mPa・s)
有機リン酸エステル(2):TCPP/トリス(1-クロロ-2-プロピル)ホスフェート(ワンシャン社製、粘度(25℃):70mPa・s)
(7)難燃剤-固体難燃剤-固体有機リン酸エステル
固体有機リン酸エステル:トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート(大八化学工業株式会社製、品名「CR-900」、粉体
(8)難燃剤-固体難燃剤-赤リン
赤リン:赤リン(燐化学工業株式会社製、品名「ノーバエクセル140」、リン濃度:94質量%、平均粒径30μm)
(9)難燃剤-固体難燃剤-臭素系難燃剤
EBPBP:エチレン-1,2-ビス(ペンタブロモフェニル)(アルベマール日本株式会社製、品名「SAYTEX(商標)8010」)、臭素化多環芳香族化合物
HBB:ヘキサブロモベンゼン(マナック株式会社製、品名「HBB-B」)、臭素化単環芳香族化合物
(10)難燃剤-固体難燃剤-塩素系難燃剤
塩素化パラフィン:(東ソー株式会社製、品名「トヨパラックス(商標)」)
(11)難燃剤-固体難燃剤-アンチモン含有難燃剤
三酸化アンチモン:(日本精鉱株式会社製、品名「PATOX-C」)
(12)発泡剤
HCFO-1233zd:1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(Honeywell社製)
HFO-1336mzz:1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン(Chemours社製)
HFC245fa/HFC365mfc(=8/2):セントラル硝子株式会社製の1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンであるHFC245faと、SOLVAY社製の1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンであるHFC365mfcとを8:2で混合した発泡剤
[2]発泡体(難燃性発泡体)の製造
上記[1]で得た実施例1~12及び比較例1~10の各難燃性発泡体用組成物をA液とB液との体積比が1:1となるように用い、現場スプレー発泡機(品名:A-25、グラコ社製)を介して、雰囲気温度15℃にて、被着体である無機フレキシブルボード(910mm×910mm)の表面に、下吹き1回及び上吹き1回の吹付け作業を実施した。これにより、下吹き層が約5mmであり且つ上吹き層が50~60mmの発泡層(肉厚:約60mm)を得た。尚、比較例5、6、7、8の4点については、吹付けを行うことができなかった。
Figure 2022155370000001
尚、表中のM、M、MS1及びMS2は、各々以下の意味を有する。M=液体難燃剤/B液全体(質量%)、M=固体難燃剤/B液全体(質量%)、MS1=赤リン/固体難燃剤全体(質量%)、MS2=臭素系難燃剤と塩素系難燃剤の合計/固体難燃剤全体(質量%)
Figure 2022155370000002
尚、表中のM、M、MS1及びMS2は、各々以下の意味を有する。M=液体難燃剤/B液全体(質量%)、M=固体難燃剤/B液全体(質量%)、MS1=赤リン/固体難燃剤全体(質量%)、MS2=臭素系難燃剤と塩素系難燃剤の合計/固体難燃剤全体(質量%)
Figure 2022155370000003
尚、表中のM、M、MS1及びMS2は、各々以下の意味を有する。M=液体難燃剤/B液全体(質量%)、M=固体難燃剤/B液全体(質量%)、MS1=赤リン/固体難燃剤全体(質量%)、MS2=臭素系難燃剤と塩素系難燃剤の合計/固体難燃剤全体(質量%)
Figure 2022155370000004
尚、表中のM、M、MS1及びMS2は、各々以下の意味を有する。M=液体難燃剤/B液全体(質量%)、M=固体難燃剤/B液全体(質量%)、MS1=赤リン/固体難燃剤全体(質量%)、MS2=臭素系難燃剤と塩素系難燃剤の合計/固体難燃剤全体(質量%)
Figure 2022155370000005
尚、表中のM、M、MS1及びMS2は、各々以下の意味を有する。M=液体難燃剤/B液全体(質量%)、M=固体難燃剤/B液全体(質量%)、MS1=赤リン/固体難燃剤全体(質量%)、MS2=臭素系難燃剤と塩素系難燃剤の合計/固体難燃剤全体(質量%)
[3]測定及び評価
上記[2]で得られた実施例及び比較例の発泡体に関して、下記(1)~(6)に示す測定及び評価を行い、表1~4に結果を示した。
更に、上記[1]で得られた実施例1、5、8の難燃性発泡体用組成物に関して、下記(7)に示す評価を行い、表5に結果を示した。
(1)密度の測定
得られた発泡体(肉厚:約60mm)から、その表面のスキン層を残したまま、肉厚50mmの試験片となるように切り出し、100mm×100mm×50mmの試験片を採取する。この試験片の寸法を、ノギスを使用して正確に計測し、電子天秤を用いて、その質量を計測し、得られた計測値から、試験片の密度をJIS K7222に準拠して算出する。
(2)最大発熱速度及び総発熱量の測定
上記(1)の試験片を、ISO-5660に規定される燃焼試験法に準拠し、放射熱強度50kW/mにて、20分間加熱したときの最大発熱速度及び総発熱量を、それぞれ、測定する。
(3)自己消火時間の測定
上記(2)の試験において加熱による着火から火が消えるまでの時間を測定する。
(4)自己消火後の再着炎の評価
上記(2)の試験において加熱による着火から火が消えた後、再び着炎が発生したものを着炎有りとし、発生しなかったものを着炎無しとした。各3サンプルの測定を行い、3サンプル共に再着炎が無かったものを「◎」、1サンプルの再着炎が有ったものを「○」、2サンプルの再着炎が有ったものを「△」、3サンプル共に再着炎が有ったものを「×」として評価する。
(5)ひび割れの評価
上記(2)の試験終了後に得られる試験片において、表面にひび割れが認められないものを「○」とし、表面にひび割れが認められるものを「×」とし、ひび割れが試験片の表面側から裏面まで達しているものを「××」として評価する。
(6)着火から3分経過後の発熱速度の測定
上記(2)の試験において、着火後3分以上経過した後の発熱速度が10kW/m以下であるものを「○」、10kW/mを超えたものを「×」として評価する。
(7)混合特性の評価
B液を、ディスパーで1000rpm、3分間攪拌し、攪拌後10分間静置後のB液の外観を目視し、下記基準に基づいて混合特性を評価した。
○:均一であり、静置後の分離が認められない。
△:静置後に一部分離が認められる。
×:著しく分離する。
[4]実施例の効果
表1~4から、比較例1~4、9、10は、総発熱量が10.1~18.2MJ/mと大きいのに対し、実施例1~12は、いずれも、総発熱量が5,7~6.9MJ/mと効果的に小さく抑制されている。また、比較例1~4、9、10は、最大発熱速度が121~162kW/mと大きいのに対し、実施例1~12は、いずれも、最大発熱速度が54~82kW/mと効果的に小さく抑制されている。更に、比較例1~4、9、10は、自己消火時間が22~34秒と長いのに対し、実施例1~12は、いずれも、自己消火時間が8~13秒と効果的に短く抑制されている。また、発泡体を形成できた比較例では、着火から3分経過後の発熱速度が、いずれも10kW/mを超えて大きかった。これに対して、実施例1~13では、いずれも10kW/m以下に抑えられた。
上述した実施例と比較例の差異は、比較例1~4が、ポリオールを含むこと、比較例9、10が、赤リンを含まないことに起因すると考えられる。即ち、実施例1~12は、ポリオールを排することにより、総発熱量及び最大発熱速度を抑制できると考えられる。しかしながら、前述の通り、従来は、ポリオールが液ベースとして機能していたため、容易に排することはできなかった。これに対し、本組成物は、液ベースとして液体難燃剤を利用したうえで、固体難燃剤として、赤リンと、臭素系難燃剤及び/又は塩素系難燃剤とを併用することにより、現場施工可能な組成物とすることができるとともに、優れた難燃性を両立できることがわかる。
更に、本試験では、スキン層を含んだ発泡体を燃焼させているのにも関わらず、いずれの実施例においてもひび割れが認められない。このことから、着火後に発泡体表面の炭化層の生成を促進させるとともに、その表面にひび割れ発生を抑制できると考えられる。これにより、そのひび割れからの燃焼も阻止し、発熱量が増加することを阻止できると考えられる。
また、表1~4から、発泡体を形成できた比較例のうち、比較例2~4のいずれにおいても自己消火後の再着炎が認められた。これに対して、実施例1~12では、3サンプルともに再着炎が認めらないという極めて優れた結果が得られた。この効果についても、ポリオールを排した機序が大きく寄与していると考えられる。
一方で、実施例4では、3サンプル中の1サンプルのみに再着炎が認められた。この結果から、本組成物における成分の組合せでは、臭素系難燃剤として、臭素化単環芳香族化合物を用いるより、臭素化多環芳香族化合物を用いた方が、効果的に再着炎を抑制できることが分かる。
実施例12でも、3サンプル中の1サンプルのみに再着炎が認められた。これは、水の含有が影響していると考えられる。即ち、水の含有により、A液とB液との混合後に、イソシアネートが消費された結果、イソシアヌレートの形成が他の実施例よりも少なくなった結果、再着炎が認められたのではないかと考えられる。従って、本組成物では、水をできるだけ含まない構成とすることが好ましいことが分かる。
更に、実施例1~3を比較すると、臭素系難燃剤の配合割合を、赤リンの配合割合に対して増大させるに従い、即ち、MS2/MS1の値を大きくした方が、最大発熱速度と総発熱量を低減させることができることがわかる。
また、実施例5、7と、実施例1、6に示す通り、本組成物では、固体難燃剤として赤リンと、臭素系難燃剤及び/又は塩素系難燃剤と、を併用するとともに、更に、アンチモン含有難燃剤を併用することで、総発熱量を低減できることが分かる。
建築土木分野(建築分野及び土木分野)等において好適に利用される。このうち、例えば、建築分野においては、壁用難燃性発泡体、天井用難燃性発泡体、床用難燃性発泡体、壁用断熱材、天井用断熱材、床用断熱材、構造物製造時の内部間隙の充填、経時劣化した構造物の補強等に利用することができる。また、土木分野においては、地山、地中、土壌、地盤、岩盤、これらと構造物(建築構造物)との間隙、更には、構造物内の間隙等へ本組成物を注入し、発泡硬化させることにより、注入箇所を充填、補強することができる。

Claims (11)

  1. ポリオール不使用のポリイソシアヌレートフォームを形成する難燃性発泡体用組成物であって、
    ポリイソシアネート、前記ポリイソシアネートに対する三量化触媒、難燃剤及び発泡剤を含み、
    2種以上の薬液から構成されるとともに、前記ポリイソシアネートと、前記難燃剤及び前記三量化触媒と、が異なる薬液に含まれ、
    前記難燃剤は、液体難燃剤と、固体難燃剤と、を含み、
    前記固体難燃剤は、赤リンと、臭素系難燃剤及び塩素系難燃剤のうちの少なくとも一方と、を含むことを特徴とする難燃性発泡体用組成物。
  2. 前記薬液のうち、前記難燃剤を含む薬液全体を100質量%とした場合に、前記液体難燃剤が25~60質量%である請求項1に記載の難燃性発泡体用組成物。
  3. 前記液体難燃剤が、有機リン酸エステル及び/又は塩素系難燃剤を含む請求項1又は2に記載の難燃性発泡体用組成物。
  4. 前記固体難燃剤全体を100質量%とし、前記赤リンの含有割合をMS1(質量%)とし、前記臭素系難燃剤及び前記塩素系難燃剤の合計含有割合をMS2(質量%)とした場合に、MS1<MS2である請求項1乃至3のうちのいずれかに記載の難燃性発泡体用組成物。
  5. 前記赤リンは、平均粒径15μm以上の粒状物である請求項1乃至4のうちのいずれかに記載の難燃性発泡体用組成物。
  6. 前記液体難燃剤の粘度が、100~1000mPa・sである請求項1乃至5のうちのいずれかに記載の難燃性発泡体用組成物。
  7. 前記固体難燃剤は、更に、アンチモン含有難燃剤を含む請求項1乃至6のうちのいずれかに記載の難燃性発泡体用組成物。
  8. A液及びB液の2種の薬液から構成され、
    前記A液に、前記ポリイソシアネートが含まれ、
    前記B液に、前記難燃剤及び前記三量化触媒が含まれ、
    前記発泡剤が、前記A液及び前記B液のうちの少なくともいずれかに含まれる請求項1乃至7のうちのいずれかに記載の難燃性発泡体用組成物。
  9. A液、B液及びC液の3種の薬液から構成され、
    前記A液に、前記ポリイソシアネートが含まれ、
    前記B液に、前記難燃剤が含まれ、
    前記C液に、前記三量化触媒が含まれ、
    前記発泡剤が、前記A液、前記B液及び前記C液のうちの少なくともいずれかに含まれる請求項1乃至7のうちのいずれかに記載の難燃性発泡体用組成物。
  10. A液、B液及びC液の3種の薬液から構成され、
    前記A液に、前記ポリイソシアネートが含まれ、
    前記B液に、前記難燃剤及び前記三量化触媒が含まれ、
    前記C液に、前記発泡剤が含まれる請求項1乃至7のうちのいずれかに記載の難燃性発泡体用組成物。
  11. A液、B液、C液及びD液の4種の薬液から構成され、
    前記A液に、前記ポリイソシアネートが含まれ、
    前記B液に、前記難燃剤が含まれ、
    前記C液に、前記三量化触媒が含まれ、
    前記D液に、前記発泡剤が含まれる請求項1乃至7のうちのいずれかに記載の難燃性発泡体用組成物。
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