JP2022154825A - ビタミンaの定量方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、肉牛等の生産現場において生体試料(血液)中のビタミンA濃度を迅速、簡便、安価に測定する方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明は、生体試料、競合試薬、および検体希釈液を混合して生体試料希釈液を調製する工程、前記生体試料希釈液をイムノクロマトストリップ上に滴下、展開させる工程、前記結合体と前記生体試料中のビタミンAとを競合的に前記イムノクロマトストリップのテストラインに捕捉させる工程、を含む、生体試料中のビタミンAを定量する方法であって、前記生体試料1mlあたり前記競合試薬を10ng~10μg添加することを特徴とする定量方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、生体試料中のビタミンA濃度を簡便に測定する方法に関する。
肉牛、とくに高品質牛肉である和牛生産においては、筋肉中の脂肪交雑を高めることにより肉の評価が上がる。このため、脂肪の分解を促進する機能を持つビタミンAの給餌量を極端に減少させて脂肪交雑を誘導するビタミンコントロールと呼ばれる飼育管理方法が近年では主流となっている。しかしながら、ビタミンAの極端な不足は、肝機能低下などによる健康障害を起こし、また筋肉水腫や筋炎の発生による肉質低下をきたすことが大きな問題となる。このため、牛の栄養状態を知り、前述のような問題発生を防ぐため、血液中のビタミンA濃度を測定することが行われている。
ビタミンA濃度の測定には、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)が一般に用いられている。しかし獣医師等が現場で血液を採取し、持ち帰った後、検査機関に測定を依頼するケースがほとんどで、検査結果が出るのは数日後であり、もしビタミンAが不足、あるいは超過していても即時的な対処が出来ないという欠点がある。
例えば、特許文献1および特許文献2には、血清から有機溶剤で抽出したビタミンAに特定波長の光を照射することにより、ビタミンAを定量する方法が記載されている。しかしながら、この方法は、血清を遠心分離した後、さらにタンパク除去操作およびヘプタンによるビタミンA成分の抽出操作が必要であり、現場で実施するには操作が煩雑であり、時間や手間が掛かるといった問題がある。
特開2010-230447号 特開2015-169627号
本発明は、肉牛等の飼育現場において生体試料(血液)中のビタミンA濃度を迅速、簡便、安価に測定する方法を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下に示す手段により上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
(1) 生体試料、競合試薬、および検体希釈液を混合して生体試料希釈液を調製する工程、
前記生体試料希釈液をイムノクロマトストリップ上に滴下、展開させる工程、
前記競合試薬と前記生体試料中のビタミンAとを競合的に前記イムノクロマトストリップのテストラインに捕捉させる工程、
を含む、生体試料中のビタミンAを定量する方法であって、
前記生体試料1mlあたり前記競合試薬を10ng~10μg添加することを特徴とする定量方法。
(2) 前記競合試薬は、ビタミンAと化合物との複合体を含むことを特徴とする(1)に記載の定量方法。
(3) 前記化合物は、ビオチンである、(1)または(2)に記載の定量方法。
(4) 前記イムノクロマトストリップは、試料添加部材、膜担体、吸収部材が順に連接配置されており、前記膜担体は、抗ビタミンA抗体が固定されたテストラインを備えることを特徴とする(1)~(3)のいずれかに記載の定量方法。
(5) 前記イムノクロマトストリップは、試料添加部材と膜担体との間に含浸部材が配置されており、前記含浸部材に標識体が含浸されていることを特徴とする(4)に記載の定量方法。
(6) 前記生体試料は、血液または血漿または血清である、(1)~(5)のいずれかに記載の定量方法。
本発明により、肉牛の生産現場において生体試料(血液)中のビタミンA濃度を迅速、簡便、安価に測定することが可能となる。
本発明の測定方法に用いるイムノクロマトストリップの一例を示す模式図である。 本発明の測定方法に用いるイムノクロマトストリップをハウジングケースに収容した一例を示す模式図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、生体試料、競合試薬、および検体希釈液を混合して生体試料希釈液を調製する工程、前記生体試料希釈液をイムノクロマトストリップ上に滴下、展開させる工程、前記結合体と前記生体試料中のビタミンAとを競合的に前記イムノクロマトストリップのテストラインに捕捉させる工程、を含む、生体試料中のビタミンAを定量する方法であって、前記生体試料1mlあたり前記競合試薬を10ng~10μg添加することを特徴とする定量方法である。
(生体試料)
本発明において、生体試料としては、特に限定されるものではなく、全血でも血清でも血漿でもよいが、現場調製のし易さから全血を用いるのが好ましい。動物種も、ウシの他、ヒト、ウマ、イヌ、ネコなどの血液を測定対象とすることができる。
(競合試薬)
本発明において、競合試薬は、生体試料中の遊離またはタンパク質に結合した状態のビタミンAと競合することが出来、かつ標識物質により検出が可能であれば特に制限はない。競合試薬としては、ビタミンAと化合物との複合体を用いるのが好ましい。複合体とすることによりビタミンAが安定し、また性能の良い抗体が入手し易いことから好ましい。化合物としては、牛血清アルブミン、卵白アルブミンやビオチンなどが挙げられ、これらの中でもビオチンが好適に用いられる。詳細な理由は不明だが、ビタミンAと低分子量であるビオチンとの複合体は、ビタミンAとアルブミン等の高分子化合物との複合体よりも、生体試料中のビタミンAに対して競合原理が働きやすいと推測している。また、ビタミンAと低分子化合物との複合体は、ビタミンAと牛血清アルブミンなどのタンパク質との複合体よりも製造コストを低く抑えられるメリットもある。
なお、ビタミンAは、不安定な化合物であり、光や熱によって二重結合の異性化が起こりやすく、また酸や空気、金属イオンとも反応しやすいため、容易に分解してしまう畏れがある。そのため、競合試薬は低温、暗所にて使用時まで保存するのが好ましい。保存温度としては4℃以下が好ましく、-20℃以下がより好ましく、-80℃以下がさらに好ましい。
本発明において、生体試料1mlに対して競合試薬を10ng~10μg添加するのが好ましい。生体試料、特に肉牛の血漿中ビタミンA濃度は200ng/ml~1μg/mlであることから生体試料中のビタミンA濃度と競合試薬の添加量の差が大きすぎると競合が上手くいかず定量性が低下することがある。なお、競合試薬は凍結乾燥等されたものを用いてもよいし、溶液の状態であってもよい。また、競合試薬を予め検体希釈液に混合、低温保管したものを使用してもよい。
(検体希釈液)
本発明において、検体希釈液は、所定のpH範囲において充分な緩衝能力を有していれば、いかなる種類の緩衝剤を用いてもよく、例えば、トリス、リン酸、フタル酸、クエン酸、マレイン酸、コハク酸、シュウ酸、ホウ酸、酒石酸、酢酸、炭酸、グッドバッファー(MES、ADA、PIPES、ACES、コラミン塩酸、BES、TES、HEPES、アセトアミドグリシン、トリシン、グリシンアミド、ビシン)等が挙げられる。
検体希釈液は、生体試料中の赤血球を溶血させるため、また、生体試料の展開性を向上させるために、免疫反応に影響しないノニオン性界面活性剤を含むことが好ましい。ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(Triton(登録商標)系界面活性剤等)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(Brij(登録商標)系界面活性剤等)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(Tween(登録商標)系界面活性剤等)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アルキルグルコシド、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。また、前記界面活性剤は単独で用いても、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、検体希釈液中の界面活性剤の濃度は、0.01質量%~0.2質量%が好ましく、0.05質量%~0.2質量%がより好ましく、0.05質量%~0.15質量%がさらに好ましい。濃度が低すぎると、生体試料希釈液が展開しにくく、濃度が高すぎると、テストラインのシグナルが低くなる。
また、検体希釈液は、競合反応の効率化、促進、特異性向上のために、ポリエチレングリコールおよび塩化ナトリウムを含んでいることが好ましい。希釈液へのポリエチレングリコールおよび塩化ナトリウムの添加濃度は、生体試料の希釈倍率も考慮して検体希釈液中の終濃度がそれぞれ、1質量%~4質量%、1質量%~3質量%となるようにするのが好ましい。なお、使用するポリエチレングリコールの数平均分子量は、好ましくは2000~16000であり、より好ましくは5000~10000である。数平均分子量が小さい場合、本発明に適した充分な抗原抗体反応の促進作用が得られないことがある。また、数平均分子量が大きい場合、同様に、抗原抗体反応の促進作用が得られないとか、検体希釈液の粘性が高くなり、イムノクロマトストリップ上の展開性が低下することがある。
(標識体)
本発明において、標識体は、ビタミンAに結合した化合物に対する抗体に標識物質を結合させたものを用いるのが好ましい。抗体は、ビタミンAに結合した化合物に対する抗体であればよく、ポリクローナル抗体であってもモノクローナル抗体であってもよいが、反応特異性の観点からモノクローナル抗体であることが好ましい。
標識物質は特に制限はなく、例えば、呈色(蛍光を含む)標識物質、酵素標識物質などが挙げられるが、迅速に検査結果が得られることから呈色標識物質であることが好ましい。呈色標識物質としては、コロイド金属および着色ラテックス粒子、着色セルロース粒子などが挙げられる。コロイド金属の代表例としては、白金コロイド、金コロイド、銀コロイド、白金コロイド、パラジウムコロイド、金ナノロッド、金ナノプレート、銀ナノプレートなどが挙げられる。コロイド金属の粒子の大きさは通常、直径3~100nm程度とされる。着色ラテックスの代表例としては、赤色および青色などのそれぞれの顔料で着色されたポリスチレンラテックス、ポリメタクリル酸メチル、アクリル酸重合体などが挙げられる。ラテックス粒子の粒径としては特に制限されないが、粒径25~500nmのものが好ましい。この他に、市販されている着色セルロース粒子なども使用出来る。セルロース粒子の粒径としては特に制限されないが、粒径100~500nmのものが好ましい。蛍光標識物質としてはポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリビニルトルエン、シリカなどの材質からなるものを例示することができ、蛍光色素としてはフルオレセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、シアニンおよびその誘導体などを例示することができる。
前記セルロース系着色微粒子の色は、特に限定されないが、例えば赤色、青色、黄色、緑色、黒色、白色、蛍光色が挙げられる。これらの中でも、バックグラウンドのヘモグロビン由来の赤色の影響を受けにくい青色、黒色が好ましく、青色がより好ましい。このようなセルロース系着色微粒子としては、旭化成社製の着色セルロースナノビーズ(NanoAct(登録商標))が挙げられるが、この中でもNavy(BL1)、Dark Navy(BL2)、Black(KR1)が好ましく、Navy(BL1)、Dark Navy(BL2)がより好ましい。
また、標識物質表面への非特異結合を抑えるためにブロッキング剤を用いて処理するのが好ましい。ブロッキング剤は、ポリエチレングリコールやタンパク質を用いるのが好ましい。タンパク質としてはBlocking Peptide Fragment、ウシ血清アルブミン(BSA)、カゼインなどが好ましい。これらのブロッキング剤は市販されているものがあればそれを用いても良いし、別途公知の方法で製造しても良い。分子サイズも特に制限されないが、平均分子量で100kDa以下が好ましい。一般的にブロッキング剤の分子サイズが小さいほど検出粒子1粒子に対するタンパク質の結合量が増加し感度などの性能が高くなる。
(抗ビタミンA抗体)
本発明で膜担体のテストラインに固定化する抗体は、ビタミンAに特異的に結合することが出来る抗ビタミンA抗体であればよく、ポリクローナル抗体であっても、モノクローナル抗体であってもよいが、反応特異性の観点からモノクローナル抗体であることが好ましい。ビタミンAは低分子化合物であり十分な複雑性を備えていないため、通常では免疫応答を誘発できない。このため、免疫した動物に抗体を産出させるには、オボアルブミンなどのキャリアタンパク質へビタミンAを化学結合したものを免疫原として用いる必要がある。また、アジュバントを混合して免疫原を注入すると、免疫応答強度が上がり、よい抗体を得る可能性が高まる。また、ポリクローナル抗体は、ウサギやマウスなどに免疫して得られた抗血清から精製して得ることが出来る。一方、モノクローナル抗体は、例えば、ビタミンAとオボアルブミンの結合物を適当なアジュバンドとともにマウスのような動物に免疫したのち、免疫された動物の脾細胞とミエローマ細胞とを融合し、融合細胞のみが増殖出来る選択培地で培養し、増殖した細胞を前記ビタミンAとの結合物などを使用して、たとえば、酵素標識免疫法などにより選別することにより、取得することができる。
(イムノクロマトストリップ)
イムノクロマトストリップの具体例としては、図1に示すようなイムノクロマトストリップ8が挙げられる。図1において、1は粘着シート、2は含浸部材、3は膜担体、4はテストライン、5はコントロールライン、6は試料添加部材、7は吸収部材を示している。膜担体3は、幅5mm、長さ25mmの細長い帯状のニトロセルロース製メンブレンからなり、同じく幅5mmの粘着シート1の中ほどに貼り付けられている。膜担体3には、クロマト展開の始点側、すなわち図1の左側(上流側)の末端から右側(下流側)に向かって3~15mmの位置に、競合試薬(ビタミンAと化合物との複合体)と生体試料中のビタミンAを競合的に捕捉するためのテストライン4(抗ビタミンA抗体が線状に固定)が形成されている。さらに、膜担体3の上流側の末端から下流側に向かって8~25mmの位置にコントロールライン5が設けられている。なお、テストラインはコントロールラインよりも上流側に位置し、テストラインとコントロールラインとの距離は3mm以上10mm未満とするのが好ましい。コントロールライン5は、分析対象物質であるビタミンAの存否に係わらずイムノクロマト反応が行われたことを確認するためのものである。
(テストライン)
テストラインには、ビタミンAに特異的に結合する抗ビタミンA抗体が固定化されている。前記抗ビタミンA抗体は、反応特異性の観点からモノクローナル抗体であることが好ましい。
(コントロールライン)
コントロールラインには、標識体中の化合物を特異的に結合する抗体が固定化されている。例えば、抗ウサギIgG抗体や抗マウスIgG抗体などを膜担体に固定化することによって形成することができる。コントロールラインを用いることにより、前記したように標識体が膜担体の最下流部まで移動したこと、即ち、イムノクロマト反応が(正常に)行われたことを確認することができる。
(含浸部材)
含浸部材2は、ガラス繊維を用いるがこれに限定されるものではなく、例えば、濾紙、ニトロセルロース膜、ポリエチレン、ポリプロピレン等の多孔質プラスチック不織布なども使用できる。含浸部材2は、標識体を含む懸濁液を前記ガラス繊維等の部材に含浸せしめ、これを乾燥させるなどして作製することができる。
(膜担体)
膜担体3は、ニトロセルロース製メンブレンフィルターを用いるが、生体試料に含まれる分析対象物質(ビタミンA)をクロマト展開可能で、かつテストライン4を形成する抗体等の物質を固定可能なものであれば、いかなるものであってもよく、他のセルロース系膜、ナイロン膜、ガラス繊維膜なども使用できる。
(試料添加部材)
試料添加部材6は、例えば、多孔質ポリエチレンや多孔質ポリプロピレンなどのような多孔質合成樹脂のシート、フィルム、濾紙または綿布などのようなセルロース製の紙または不織布などを用いることができる。また、吸収部材7は、液体を速やかに吸収、保持できる材質のものであればよく、綿布、濾紙、およびポリエチレン、ポリプロピレン等からなる多孔質プラスチック不織布等を挙げることができるが、特に濾紙が最適である。
(吸収部材)
吸収部材7は、液体をすみやかに吸収、保持できる材質のものであればよく、綿布、濾紙、およびポリエチレン、ポリプロピレン等からなる多孔質プラスチック不織布等を挙げることができるが、特に濾紙が好適である。
イムノクロマトストリップ8は、図1に示されるように、膜担体3を粘着シート1の中ほどに貼着し、膜担体3の上流側の端部の上に、含浸部材2の下流側の端部を重ね合わせて連接するとともに、この含浸部材2の上流側部分を粘着シート1に貼着する。さらに、含浸部材2の上流側端部上面に試料添加部材6の下流側端部を重ね合わせて連接するとともに、該試料添加部材6の上流側部分を粘着シート1に貼着する。また、膜担体3の下流側端部の上面に吸収部材7の上流側端部を重ね合わせて連接するとともに、該吸収部材5の下流側部分を粘着シート1に貼着せしめてテストストリップ8を作製することができる。
イムノクロマトストリップは、これを保護するため、また、取り扱いがし易いように、プラスチック製のハウジングケース9などに収容されていてもよい(図2)。このケースは、例えば、イムノクロマトストリップの試料添加部材6およびテストライン4およびコントロールライン5の上部に、試料滴下部10と判定部(判定窓)11が開口されて提供されることが好ましい。
(イムノクロマト展開)
本発明のビタミンAの定量方法について説明する。まず、生体試料、競合試薬、および検体希釈液を混合して生体試料希釈液を調製する。得られた生体試料希釈液をイムノクロマトストリップの試料滴下部位に滴下して毛細管現象を利用してイムノクロマトストリップ上を展開させる。展開中の生体試料希釈液中のビタミンAは、競合試薬(ビタミンAと化合物との複合体)と競合的にテストラインを成す抗ビタミンA抗体に捕捉される。さらに、生体試料希釈液が含浸部材を通過する際に標識体を溶出させ、標識体は抗ビタミンA抗体に捕捉された競合試薬(ビタミンAと化合物との複合体)に結合する。テストラインのシグナル(呈色)を測定することにより定量することが出来る。なお、展開開始後、5~12分の間にテストラインの呈色を測定することが望ましい。この間に測定を行えば、ビタミンAと、競合試薬(ビタミンAと化合物の複合体)との競合反応が最も効果的に起き、ビタミンAの濃度変化に応じた測定値の変化がテストラインにおいて得られ、ビタミンA濃度の違いが測定値に的確に反映されるため好ましい。
(競合法)
本発明において、生体試料中のビタミンAは競合法により定量するのが好ましい。ビタミンAのような低分子化合物は、2種類の抗体でサンドイッチすることが難しいため、競合法をとることが好ましい。即ち、生体試料、競合試薬(ビタミンAと化合物との複合体)、および検体希釈液を混合して得られた生体試料希釈液をイムノクロマトストリップ上に滴下、展開することにより、試料中ビタミンA及び競合試薬は、テストラインを成す抗ビタミンA抗体に競合的に捕捉される。捕捉された競合試薬を、標識体(物質)により呈色させ、テストライン上のシグナルを測定することにより定量することが出来る。
(検体希釈液の調製)
リン酸緩衝生理食塩水(pH7.4、ナカライテスク社、27576-21)にTritonX-100(シグマアルドリッチ社、10789704001)、ポリエチレングリコール#6000(ナカライテスク、Code:10200-25)、塩化ナトリウムをそれぞれ、0.102質量%、2.04質量%、1.84質量%となるように添加し、検体希釈液を調製した。
(競合試薬の調製)
ビタミンA(レチナール、MyBiosource.Inc.、MBS6023224)を、Biotin-hydrazide(同仁化学、B303)を用いて、ビオチン化することにより、ビタミンA-ビオチン複合体(競合試薬)を調製した。調製後、使用時まで-30℃にて保存した。
(抗ビオチン抗体結合セルロース粒子の調製)
セルロース粒子液(旭化成、BL1、1質量%)をpH7.0の10mM Tris Buffer(PBS)に懸濁させ、これに抗ビオチン抗体(SIGMA、B3640)を加えて混合し、37℃で120分間静置して、抗体をセルロース粒子表面に結合させた。更に、セルロース粒子表面への非特異結合を抑えるために、1質量%カゼインを添加し、37℃で60分間静置してブロッキング処理を行った。この後、洗浄操作を行った後、1質量%スクロース含有pH7.4のPBSに懸濁して、抗ビオチン抗体結合着色セルロース粒子液を調製した。
(イムノクロマトストリップの作製)
(1)含浸部材の作製
8mm×150mmの帯状のガラス繊維不織布に、上記で得られた抗ビオチン抗体結合金コロイドを20mM Tris-HCl、0.05質量%PEG20000、37.5mM NaCl、0.25質量%BSA、3質量%スクロース溶液に懸濁し、これを0.5ml含浸させた。室温で乾燥させた後に、8mm×5mmの大きさに切断し、抗ビオチン抗体結合金コロイドを含浸させた含浸部材とした。
(2)テストラインおよびコントロールラインの調製
抗ビタミンA抗体(Cloud-Clone Corp.、PAD051Ge01)を1mg/mlの濃度に調整した後、これを25mm×300mmのニトロセルロース製メンブレンフィルターに1.0μl/cmの量で線状に塗布してテストラインを調製した(図1)。次に、抗ウサギIgG抗体(MyBiosource.Inc.、MBS539780)を1mg/mlの濃度に調整した後、上記ニトロセルロース製メンブレンフィルターに1.0μl/cmの量で線状に塗布してコントロールラインを調製した(図1)。テストラインおよびコントロールラインを作製後、50℃で30分間乾燥させ、25mm×5mmの大きさに切断し、膜担体とした。
(3)イムノクロマトストリップの作製
図1に示すように、粘着シート1の上に、上記(2)で得られた膜担体3、上記(1)で得られた含浸部材2、試料添加部材6、吸収部材7を配置し、イムノクロマトストリップを作製した。
(シグナル強度)
検体希釈液のみをイムノクロマトストリップに展開し、10分後のテストラインにおける吸光度測定値をシグナル強度とした。テストラインの充分な視認性がある300mAbs以上を〇(good)、200mAbs以上300mAbs未満を△(average)、200mAbs未満を×(bad)とした。
(高濃度ビタミンAにおける吸光度)
ビタミンA濃度が50ng/mlとなるように、ウシ血液を検体希釈液を用いて希釈した。なお、ウシ血液中のビタミンA濃度はHPLC分析により測定した。このサンプルを上記イムノクロマトストリップに展開し、10分後のテストラインにおける吸光度を測定した。ビタミンA50ng/mlの高濃度においても吸光度が充分に下がっていれば、0ng/mlから50ng/ml程度まで広い測定レンジがあると考えることができる。50ng/mlにおける吸光度が、50mAbs未満を〇(good)、50mAbs以上100mAbs未満を△(average)、100mAbs以上を×(bad)とした。
(実施例1)
牛血液10μLと検体希釈液490μLを混合した混合液に競合試薬0.05ngを添加し、溶解して生体試料希釈液を調製した。得られた生体試料希釈液100μlをイムノクロマトストリップの試料添加部に滴下して展開した。滴下より10分後に、イムノクロマトリーダー(浜松ホトニクス社製C10060-10、測定モード:青色系ライン測定モード)を用いてテストラインの発色を測定した。結果を表1に示す。
(実施例2)
牛血液10μLと検体希釈液490μLを混合した混合液に競合試薬0.5ngを添加し、溶解して生体試料希釈液を調製した。得られた生体試料希釈液100μlをイムノクロマトストリップの試料添加部に滴下して展開した。滴下より10分後に、イムノクロマトリーダーを用いてテストラインの発色を測定した。結果を表1に示す。
(実施例3)
牛血液10μLと検体希釈液490μLを混合した混合液に競合試薬5ngを添加し、溶解して生体試料希釈液を調製した。得られた生体試料希釈液100μlをイムノクロマトストリップの試料添加部に滴下して展開した。滴下より10分後に、イムノクロマトリーダーを用いてテストラインの発色を測定した。結果を表1に示す。
(実施例4)
牛血液10μLと検体希釈液490μLを混合した混合液に競合試薬50ngを添加し、溶解して生体試料希釈液を調製した。得られた生体試料希釈液100μlをイムノクロマトストリップの試料添加部に滴下して展開した。滴下より10分後に、イムノクロマトリーダーを用いてテストラインの発色を測定した。結果を表1に示す。
(比較例1)
牛血液10μLと検体希釈液490μLを混合した混合液に競合試薬0.01ngを添加し、溶解して生体試料希釈液を調製した。得られた生体試料希釈液100μlをイムノクロマトストリップの試料添加部に滴下して展開した。滴下より10分後に、イムノクロマトリーダーを用いてテストラインの発色を測定した。結果を表1に示す。
(比較例2)
牛血液10μLと検体希釈液490μLを混合した混合液に競合試薬100ngを添加し、溶解して生体試料希釈液を調製した。得られた生体試料希釈液100μlをイムノクロマトストリップの試料添加部に滴下して展開した。滴下より10分後に、イムノクロマトリーダーを用いてテストラインの発色を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2022154825000001
本発明により、肉牛の飼育現場において牛血液中のビタミンA濃度を迅速、簡便に測定することができるので、容易に脂肪交雑のコントロールが可能となる。
1 粘着シート
2 含浸部材
3 膜担体
4 テストライン
5 コントロールライン
6 試料添加部材
7 吸収部材
8 イムノクロマトストリップ

Claims (6)

  1. 生体試料、競合試薬、および検体希釈液を混合して生体試料希釈液を調製する工程、
    前記生体試料希釈液をイムノクロマトストリップ上に滴下、展開させる工程、
    前記結合体と前記生体試料中のビタミンAとを競合的に前記イムノクロマトストリップのテストラインに捕捉させる工程、
    を含む、生体試料中のビタミンAを定量する方法であって、
    前記生体試料1mlあたり前記競合試薬を10ng~10μg添加することを特徴とする定量方法。
  2. 前記競合試薬は、ビタミンAと化合物との複合体であることを特徴とする請求項1に記載の定量方法。
  3. 前記化合物は、ビオチンであることを特徴とする請求項1または2に記載の定量方法。
  4. 試料添加部材、膜担体、吸収部材が順に連接配置されており、前記膜担体は、抗ビタミンA抗体が固定されたテストラインを備えることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の定量方法。
  5. 前記イムノクロマトストリップは、試料添加部材と膜担体との間に含浸部材が配置されており、前記含浸部材に標識体が含浸されていることを特徴とする請求項4に記載の定量方法。
  6. 前記生体試料は、血液または血漿または血清である、請求項1~5のいずれかに記載の定量方法。
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