JP2022153236A - 易カット性に優れたポリオレフィンフィルム - Google Patents

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伸之 名倉
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Abstract

【課題】 本発明の目的は、高易カット性を有し、かつ適切なヒートシール性およびフィルム表面のすべり性を備えたポリオレフィンフィルムを提供することにある。【解決手段】 少なくとも基材層(A)と表面層(B)とを含むポリオレフィンフィルムであって、基材層(A)はホモポリエチレンとホモポリプロピレンを合計で90質量%以上100質量%以下含み、表面層(B)はエチレン単位を0.9質量%以上1.5質量%以下含む、エチレン・プロピレンランダム共重合体であり、TD方向のシャルピー衝撃値が0.50MJ/m2以上1.50MJ/m2以下であるポリオレフィンフィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、易カット性に優れたポリオレフィンフィルムに関する。
従来、ポリオレフィンフィルムは食品包装用途や工業用途の様々な商品として広範囲に使用されている。そして、ポリオレフィンフィルムを多層積層フィルムにすることでガスバリア性や意匠性を付与することがあり、その際には十分なヒートシール性が求められる。また、特に食品包装用途では特定の方向に易カット性を付与することにより、ノッチなしで簡易に包装を引き裂いて内容物を取り出すことができる。
従来の食品包装用易カット性フィルムは、表層にポリプロピレン樹脂およびエチレン/ブテン・プロピレン共重合体を共押出しした低融点のポリオレフィンを使用していたが、ヒートシール性を高めるために、フィルム中の低融点成分の含有率が数十%必要であった。しかしながら一方で、低融点成分を多く含む原料を使用する場合、製膜工程で金属ロールを汚しやすく、工程汚染に大きな影響を及ぼすため、低融点成分の原料の含有量は低いことが好ましい。
さらに、食品包装用易カットフィルムにガスバリア層や意匠層を積層する工程においては、食品包装用易カット性フィルムには適切なすべり性が必要であり、また、フィルム表面が粗いと搬送時のキズや折れといった欠陥が発生する可能性があるため、平滑性も求められる。
これらの問題を解決するため、種々の検討がなされている。例えば、流動の活性化エネルギーが異なる2種類のエチレン・α-オレフィン共重合体の混合物に環状オレフィン樹脂を添加した中間層と、流動の活性化エネルギーが異なる2種類のエチレン・α-オレフィン共重合体の混合物からなる表面層を有する積層フィルムとすることで、ヒートシール性を改善する方法が開示されている(特許文献1)。また、環状ポリオレフィン系樹脂とポリエチレン系樹脂の混合樹脂を主成分とする基材層を少なくとも1層含む基材フィルムの一方又は両方の表層上に粘着層を形成することにより、加工性と易カット性を両立した粘着テープが開示されている(特許文献2)。さらには、ポリプロピレン樹脂層の少なくとも片面にポリプロピレンランダム共重合体および/またはポリプロピレンブロック共重合体からなるヒートシール層を設けて延伸することにより、低熱収縮率と高剛性を両立したヒートシール性延伸ポリプロピレン積層フィルムが開示されている(特許文献3)。
特開2019-72985号公報 特開2019-131660号公報 WO2015/012165号公報
しかしながら、特許文献1~3の方法では、易カット性、ヒートシール性、滑り性の全てを兼ね備えたポリオレフィンフィルムとすることは困難であり、これらの方法で得られたフィルムを包装材として用いるにあたり、内容物の取り出し容易性やシール性に課題があった。本発明は、かかる従来技術の課題を背景になされたものであり、易カット性、ヒートシール性、品位、及び滑り性に優れ、包装材として用いた際に内容物の取り出し容易性やシール性を改善することができるポリオレフィンフィルムを提供することをその課題とする。
本発明者は、かかる目的を達成するために鋭意検討した結果、本発明の完成に至った。すなわち本発明は、少なくとも基材層(A)と表面層(B)とを含むポリオレフィンフィルムであって、前記基材層(A)はホモポリエチレンとホモポリプロピレンを合計で90質量%以上100質量%以下含み、前記表面層(B)はエチレン単位を0.9質量%以上1.5質量%以下含む、エチレン・プロピレンランダム共重合体であり、TD方向のシャルピー衝撃値が0.50MJ/m以上1.50MJ/m以下であるポリオレフィンフィルムである。
本発明により、易カット性を有し、かつ適切なヒートシール性、品位、およびフィルム表面のすべり性を備え、包装用途に好適なポリオレフィンフィルムを提供することができる。
以下に、本発明のポリオレフィンフィルムについて説明する。本発明のポリオレフィンフィルムは、少なくとも基材層(A)と表面層(B)とを含むポリオレフィンフィルムであって、前記基材層(A)はホモポリエチレンとホモポリプロピレンを合計で90質量%以上100質量%以下含み、前記表面層(B)はエチレン単位を0.9質量%以上1.5質量%以下含む、エチレン・プロピレンランダム共重合体であり、TD方向のシャルピー衝撃値が0.50MJ/m以上1.50MJ/m以下である。
ここでポリオレフィンフィルムとは、ポリオレフィン樹脂を主成分とするフィルムをいう。ポリオレフィン樹脂とは、分子鎖を構成する全構成単位を100モル%としたときに、オレフィン単位を合計で50モル%を超えて100モル%以下含む樹脂をいう。また、主成分とはフィルムを構成する全成分を100質量%としたときに、50質量%を超えて100質量%以下含まれる成分をいい、以下、特に断りがなければ主成分について同様に解釈することができる。なお、フィルムにポリオレフィン樹脂が複数種含まれる場合においては、ポリオレフィン樹脂全体の含有量が上記要件を満たせば、ポリオレフィン樹脂を主成分とするものとみなす。
ポリオレフィン樹脂は、本発明の目的を損なわない範囲で他の不飽和炭化水素による共重合成分などを含有してもよいし、複数の重合体がブレンドされていてもよい。このような共重合成分やブレンド物を構成する単量体成分として例えばエチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチルペンテン-1、3-メチルブテンー1、1-ヘキセン、4-メチルペンテン-1、5-エチルヘキセン-1、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、ビニルシクロヘキセン、スチレン、アリルベンゼン、シクロペンテン、ノルボルネン、5-メチル-2-ノルボルネンなどが挙げられる。共重合量またはブレンド量は、寸法安定性の点から、共重合量では5モル%以下、好ましくは1モル%未満とし、ブレンド量では10質量%未満とするのが好ましい。ここで共重合量とは、ポリオレフィン樹脂を構成する全構成単位から最も多く含まれる構成単位を除いた量(モル%)をいい、ブレンド量とは、ポリオレフィン樹脂中に最も多く含まれる樹脂を除いた量(質量%)をいう。
本発明のポリオレフィンフィルムは、ポリプロピレン樹脂を主成分とすること、すなわちポリプロピレンフィルムであることが好ましい。ポリプロピレン樹脂とは、分子鎖を構成する全構成単位を100モル%としたときに、プロピレン単位を50モル%より多く100モル%以下含む樹脂をいう。
本発明のポリオレフィンフィルムは、本発明の効果を損なわない範囲でポリオレフィン樹脂以外の成分として、種々の添加剤、例えば、結晶核剤、酸化防止剤、熱安定剤、易滑剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、充填剤、粘度調整剤、着色防止剤などを含むことができるが、ブロッキング防止剤は含有しないことが好ましい。ブロッキング防止剤は工程内で脱落し、堆積してフィルムに再付着すると表面欠陥を発生させたり、ブロッキング防止剤を核として、延伸時にボイドを形成したりすることがあるためである。
本発明のポリオレフィンフィルムは、少なくとも基材層(A)と表面層(B)とを含むポリオレフィンフィルムであって、基材層(A)はホモポリエチレンとホモポリプロピレンを合計で90質量%以上100質量%以下含み、表面層(B)はエチレン単位を0.9質量%以上1.5質量%以下含む、エチレン・プロピレンランダム共重合体である。ここで「ホモポリエチレン」とは、分子鎖を構成する全構成単位を100モル%としたときに、エチレン単位を95モル%以上100モル%以下、好ましくは99モル%以上100モル%以下、より好ましくは99.7モル%以上100モル%以下含む樹脂をいい、「ホモポリプロピレン」とは、分子鎖を構成する全構成単位を100モル%としたときに、プロピレン単位を95モル%以上100モル%以下、好ましくは99モル%より多く100モル%以下、より好ましくは99.7モル%以上100モル%以下含む樹脂をいう(但し、いずれも後述する「エチレン単位を0.9質量%以上1.5質量%以下含む、エチレン・プロピレンランダム共重合体」を除く。)。
また、「ホモポリエチレンとホモポリプロピレンを合計で90質量%以上100質量%以下含む」とは、対象とする層を構成する全成分を100質量%としたときに、当該層におけるホモポリエチレンとホモポリプロピレンの合計が90質量%以上であることをいう。このとき、層中に両方の成分が含まれていることは必須ではなく、層中にホモポリエチレンとホモポリプロピレンの一方のみが含まれており、その含有量が90質量%以上であれば当該層も基材層(A)の要件を満たすものとする。
基材層(A)は、ホモポリエチレンとホモポリプロピレンを合計で90質量%以上100質量%以下含む。このような基材層(A)を有することにより、破断強度や破断伸度およびシャルピー衝撃値を高水準に保つことができる。上記観点から、基材層(A)におけるホモポリエチレンとホモポリプロピレンの合計量は、好ましくは94質量%以上100質量%以下、さらに好ましくは96質量%以上100質量%以下である。
本発明のポリオレフィンフィルムの表面層(B)は、ヒートシール性を高める観点から、エチレン単位を0.9質量%以上1.5質量%以下含む、エチレン・プロピレンランダム共重合体である。ここで「表面層」とは少なくとも一方の表面に位置する層であることをいう。すなわち「表面層(B)」は、上記組成要件を充足するだけでなく、表面に位置することも必要である。また、「エチレン単位を0.9質量%以上1.5質量%以下含む」とは、分子鎖中を構成する全構成単位100質量%中に、エチレン単位を0.9質量%以上1.5質量%以下含むことをいう。「表面層(B)はエチレン単位を0.9質量%以上1.5質量%以下含む、エチレン・プロピレンランダム共重合体である」とは、表面層(B)の95質量%以上100質量%以下が、エチレン単位を0.9質量%以上1.5質量%以下含むエチレン・プロピレンランダム共重合体であることをいう。上記観点から表面層(B)は、さらに好ましくはエチレン単位を0.9質量%以上1.2質量%以下含むエチレン・プロピレンランダム共重合体である。表面層(B)を構成するエチレン・プロピレンランダム共重合体におけるエチレン単位が0.9質量%未満であると、ヒートシール強度が低くなって、多層積層時やシーリングした後に剥離が生じることがある。一方でエチレン単位が1.5質量%を超えると、低分子量成分の熱劣化による製膜工程の金属ロールの汚染が生じ、フィルムに汚染物が付着して品位が低下する。
本発明のポリオレフィンフィルムを構成する表面層(B)のエチレン・プロピレンランダム共重合体のメルトフローレート(以下、MFRと記載)はJIS K 7210(1995)の条件M(230℃、2.16kg)に準拠して測定した場合において、製膜安定性・厚み斑の観点から4.3~10g/10分であることが好ましく、4.3~8.0g/10分であるとより好ましく、4.3~6.0g/10分であるとさらに好ましい。表面層(B)のポリプロピレン樹脂のMFRが4.3g/10分以上の場合、製膜性に優れ安定してポリオレフィンフィルムを得ることができ、また、厚み斑の悪化も軽減することやヒートシール強度を適切な範囲とすることにも繋がる。一方、表面層(B)のポリプロピレン樹脂のMFRが10g/10分以下である場合、熱収縮率の低下を軽減することができる。ポリプロピレン樹脂のMFRを上記の範囲内とするためには、平均分子量や分子量分布を制御する方法などが好ましく採用される。
本発明のポリオレフィンフィルムは、強度と易カット性を両立する観点から、TD方向のシャルピー衝撃値が0.50MJ/m以上1.50MJ/m以下である。ここでTD方向とは、フィルムの製造工程においてフィルムが走行する方向(MD方向、長手方向)とフィルム面内で直交する方向をいい、フィルムロールの状態では、中心軸と平行な方向がこれに相当する。なお、TD方向は別名「幅方向」ともいう。TD方向のシャルピー衝撃値とは、フィルムをTD方向に引き裂いた際の衝撃値をいう。TD方向のシャルピー衝撃値が0.50MJ/m未満であると、フィルム単体の強度が下がり、積層フィルムや包装体とした場合の易カット性に悪影響を及ぼす。一方、TD方向のシャルピー衝撃値が1.50MJ/mを超えると、易カット性が低下し、TD方向に引き裂く際に大きな力を要することになる。上記観点から、TD方向のシャルピー衝撃値は1.00MJ/m以上1.50MJ/m以下であることが好ましい。
TD方向のシャルピー衝撃値は、以下の手順で測定することができる。先ず、10mm(TD方向)×150mm(MD方向)となるように試料を切り出し、その厚みをダイヤルゲージによって測定する。次いで、MD方向が水平方向となるようにシャルピーインパクトテスターに試料をセットした後、その中央部にインパクトテスターの振り子を接触させて試料の破断に要する衝撃強度を測定し、下記式にてシャルピー衝撃値を算出する。
式:シャルピー衝撃値(MJ/m)=衝撃強度(kg・cm/10mm)/厚み(mm)。
TD方向のシャルピー衝撃値を0.50MJ/m以上1.50MJ/m以下又は上記の好ましい範囲とする方法としては、製造過程でのキャストドラムの表面温度を15~100℃、好ましくは80~95℃とする方法や、TD方向に強く配向した層を有する態様とする方法が挙げられる。キャストドラムの表面温度を上記範囲とすることにより、ポリオレフィン樹脂の結晶化の程度を適度に保つことができるため、シャルピー衝撃値を好ましい範囲にすることができる。より具体的には、キャストドラムの表面温度を80℃以上とすることにより、結晶性が十分に確保されるためTD方向のシャルピー衝撃値の過度な上昇が抑えられる。結果、ポリオレフィンフィルムは易カット性を具備する。また、TD方向に強く配向した層を有する態様とすることで、分子配向によりMD方向には裂けにくくTD方向には裂けやすいポリオレフィンフィルムとなる。
本発明のポリオレフィンフィルムの層構成は、基材層(A)を有し、かつ少なくとも一方の表面が表面層(B)である限り特に制限されず、基材層(A)と表面層(B)の間に別の層を有する態様とすることや、基材層(A)が中間層となるように表面層(B)の反対側に別の層を有する態様としてもよい。なお、このとき「別の層」については、基材層(A)や表面層(B)と組成が異なっていても、どちらかと同じ組成でもよい。なお、基材層(A)の組成要件を満たす層が複数あるが、そのうち一つが一軸配向性である場合は、一軸配向性を有する層を基材層(A)として扱うものとする。基材層(A)と表面層(B)の厚み構成比は、基材層(A層)/表面層(B層)=15~20/0.5~10であることが好ましく、15~20/0.5~3.0であることが好ましい。
本発明のポリオレフィンフィルムは、ヒートシール性の向上とブロッキングの軽減を両立する観点から、155℃におけるヒートシール強度が0.3N/cm以上1.0N/cm以下であることが好ましく、より好ましくは0.4N/cm以上0.9N/cm以下、さらに好ましくは0.5N/cm以上0.8N/cm以下である。155℃におけるヒートシール強度が0.3N/cm以上であることにより、十分なヒートシール性を備え、フィルムの積層時に層間剥離を抑えることができる。一方で155℃におけるヒートシール強度が1.0N/cm以下であることにより、ポリオレフィンフィルムをロールとして保管する際に、内部の圧力によってポリオレフィンフィルム同士が密着しにくくなるため、ブロッキングが軽減される。そのため、フィルムロールよりポリオレフィンフィルムを繰り出す際に、巻き芯側における表層の壁壊が軽減される。
155℃におけるヒートシール強度は、以下の手順で測定することができる。先ず、ポリオレフィンフィルムの表面層(B)同士を重ね、155℃に昇温したヒートシーラーを用いてヒートシールし、得られた積層体より幅方向80mmかつ長手方向20mmサイズの試料を切り出す。当該試料を幅方向が剥離方向となるように両面裏打ちでショッパーに取り付け、試料が180°になるようにショッパーを下げ、剥離強度を測定し、上記の剥離強度をもとにヒートシール強度を算出する。
式:ヒートシール強度(N/cm)=剥離強度(N)/試料幅(cm)。
155℃におけるヒートシール強度を0.3N/cm以上1.0N/cm以下又は上記の好ましい範囲とする方法としては、例えば、表面層(B)の原料として、エチレン・プロピレンランダム共重合体、好ましくはエチレン単位を0.9質量%以上1.5質量%以下含む、エチレン・プロピレンランダム共重合体を用いる方法が挙げられる。
本発明のポリオレフィンフィルムは、少なくとも1つの表面の表面粗さSaが50nm以上100nm以下であることが好ましく、より好ましくは60nm以上90nm以下であり、さらに好ましくは70nm以上80nm以下である。少なくとも1つの表面の表面粗さSaが50nm以上であることにより、表面が過度に平滑とならず、加工時や搬送時の蛇行あるいは巻取り時のズレの発生が軽減される。一方、少なくとも1つの表面の表面粗さSaが100nm以下であることにより、粗面化や、これに起因する巻取り時のエアー溜まりが抑えられ、シワの発生が軽減される。なお、上記効果を得るには1つの表面の表面粗さSaが50nm以上100nm以下又は上記の好ましい範囲であればよく、他方の面のSaは特に制限されない。
表面粗さ(Sa)は、株式会社菱化システム社製非接触表面・層断面形状測定システム“VertScan”(登録商標)2.0(型式:R3300GL-Lite-AC)を用いて測定する。具体的には、フィルムの幅方向の中心位置で、長手方向に無作為に抽出した3箇所を測定箇所とし、その平均値をそのサンプルの表面粗さ(Sa)とする。少なくとも1つの表面の表面粗さSaを50nm以上100nm以下又は上記の好ましい範囲とする方法としては、例えば、表面層(B)のキャストドラム温度を上記範囲とする方法、若しくは縦延伸工程の温度を後述する範囲とする方法が挙げられ、これらは適宜組み合わせてもよい。
本発明のポリオレフィンフィルムは、少なくとも1つの表面の突出山部高さSpkが100nm以上150nm以下であることが好ましく、より好ましくは110nm以上140nm以下であり、さらに好ましくは120nm以上130nm以下である。突出山部高さSpkが100nm以上であることにより、ポリオレフィンフィルムの表面が適度に粗くなるため、加工時の走行が安定する。一方、突出山部高さSpkが150nm以下であることにより、ポリオレフィンフィルムの粗さが過剰とならず、ロールとした際の転写痕の発生が軽減される。
また、本発明のポリオレフィンフィルムは、山部頂点密度Spdが100/mm以上400/mm以下であることが好ましく、より好ましくは120/mm以上380/mm以下であり、さらに好ましくは140/mm以上370/mm以下である。山部頂点密度Spdが100/mm以上であることにより、単位面積あたりの山頂数が確保され、加工時の走行性が安定する。一方、山部頂点密度Spdが400/mm以下であることにより、十分なヒートシール性を実現することが容易となる。
突出山部高さSpkおよび山部頂点密度Spdは、株式会社菱化システム社製非接触表面・層断面形状測定システム“VertScan”(登録商標)2.0(型式:R3300GL-Lite-AC)を用いて測定する。より具体的には、フィルムの幅方向の中心位置で、長手方向に無作為に抽出した3箇所を測定箇所とし、その平均値をそのサンプルの突出山部高さSpkおよび山部頂点密度Spdとする。突出山部高さSpkおよび山部頂点密度Spdを上記範囲とする方法としては、例えば、表面層(B)のキャストドラム温度を上記範囲とする方法、若しくは縦延伸工程の温度を後述する範囲とする方法が挙げられ、これらは適宜組み合わせてもよい。
なお、加工性と打痕耐性、ヒートシール性を全て兼ね備える観点から、表面層(B)において、Saが50nm以上100nm以下または上記の好ましい範囲であり、突出山部高さSpkが100nm以上150nm以下または上記の好ましい範囲であり、かつ山部頂点密度Spdが100/mm以上400/mm以下または上記の好ましい範囲であることが好ましい。
本発明のポリオレフィンフィルムは、印刷加工時の外観や、包装用途で使用したときの内容物の視認性の観点から、ヘイズが6.0%以下であることが好ましく、5.0%以下であることがより好ましい。ヘイズが6.0%以下であることはポリオレフィンフィルムの透明性が高いことを意味するため、このような態様とすることで、印刷加工時の外観や、包装用途で使用したときの内容物の視認性が向上する。
ヘイズは公知のヘイズメーターを用いてJIS 7105 (1981)に基づき測定することができる。ヘイズを6.0%以下又は上記の好ましい範囲とする方法としては、例えば、表面層(B)の縦延伸温度や、表面層(B)と基材層(A)を積層後の横延伸温度を後述する範囲とする方法が挙げられ、これらは適宜併用してもよい。
本発明のポリオレフィンフィルムは、強度の観点から好ましくはMD方向の破断強度が40MPa以上であり、より好ましくは50MPa以上であり、更に好ましくは60MPa以上である。MD方向の破断強度が40MPa以上であることにより、フィルムの強度が保たれ、製膜工程や搬送時の破れの発生が抑えられる。さらに、TD方向の破断強度は好ましくは300MPa以上であり、より好ましくは340MPa以上であり、更に好ましくは380MPa以上である。TD方向の破断強度の上限に関しては500MPaである。
また、本発明のポリオレフィンフィルムは、その走行性を良好とする観点から、MD方向の破断伸度が100%以上であることが好ましく、より好ましくは130%以上である。同様に、好ましいTD方向の破断伸度は10%以上であり、より好ましくは20%以上である。破断強度および破断伸度をMD方向、TD方向ともに上記の範囲とする方法としては、上述したポリプロピレン樹脂を使用して、後述する通りフィルム製膜時の縦延伸工程、横延伸工程、熱処理工程を特定の条件とすることで達成することができる。
上記破断強度および破断伸度は、以下の手順で測定することができる。先ず、ポリオレフィンフィルムの長手方向もしくは幅方向について、測定方向200mm、測定方向と直角の方向10mmとなるように試料を切り出し、両端から50mmの位置に印を付ける。その後、公知のフィルム強伸度測定装置(AMF/RTA-100)を用いて、23℃、65%RHの雰囲気下で引張速度300mm/分にて引っ張り試験を行い、各方向の破断強度および破断伸度を測定する。破断強度および破断伸度は、例えば、表面層(B)のキャストドラム温度および縦延伸温度、縦延伸倍率と表面層(B)と基材層(A)を積層後の横延伸温度および横延伸倍率を後述する範囲とすることで上記範囲とすることができる。
本発明のポリオレフィンフィルムは、一軸配向フィルム、二軸配向フィルム、一軸配向層と二軸配向層の積層フィルムの何れとすることもできるが、易カット性向上の観点から、一軸配向層と二軸配向層の積層フィルムであることが好ましい。ここで一軸配向層とは一軸延伸を施した層をいい、二軸配向層とは直交する二方向に延伸を施した層をいう。各層の配向は、例えば各方向の公知の方法で面配向係数を測定することにより特定することができる。一軸配向層と二軸配向層の積層フィルムは、二軸配向層を得るための未延伸シートをMD方向に延伸後、得られた一軸配向フィルムに一軸配向層用の樹脂組成物を吐出して積層し、この積層体をTD方向に延伸することで得ることができる。このとき、MD方向への延伸は周速差のある一対の延伸ロールにより行い、TD方向への延伸はテンターにより行うことがより好ましい。
なお、本発明のポリオレフィンフィルムは、基材層(A)と表面層(B)の配向については特に制限されないが、易カット性を高める観点から、基材層(A)と表面層(B)の配向が異なることが好ましい。ここで「配向が異なる」とは一方が一軸配向層であり、もう一方が二軸配向層であることをいう。なお、易カット性の観点からは、相対的に厚みが大きくカット性に影響しやすい基材層(A)が一軸配向層であることがより好ましい。なお、このような態様の具体例としては、二軸配向層である表面層(B)と一軸配向層である基材層(A)からなる2種2層構成の態様や、二軸配向層である表面層(B)と一軸配向層である基材層(A)の間に、例えばホモポリプロピレン樹脂を主成分とする二軸配向層(層(C))と表面層(B)と組成や配向が同じ二軸配向層(層(B’))を有する3種4層構成(表面層(B)/層(C)/層(B’)/基材層(A)の3種4層構成)の態様等が挙げられる。後者の態様であれば、易カット性と強度の両立がしやすくなる。
本発明のポリオレフィンフィルムは、様々な効果を付与する目的で少なくとも片面に機能層を積層させてもよい。積層構成としては、基材層(A)と表面層(B)とを含み、表面層(B)が少なくとも一方に表面に位置する限り、3層積層でも、また、それ以上の積層数でもいずれでも構わない。積層の方法としては、例えば、共押出によるフィードブロック方式やマルチマニホールド方式でも、ラミネートによってフィルム同士を貼り合わせる方法でもいずれでも構わない。
次に本発明のポリオレフィンフィルムの製造方法を、一軸配向層である基材層(A)と二軸配向層である表面層(B)からなるポリプロピレンフィルムを例に挙げて説明する。但し、ポリオレフィンフィルムの製造方法やその層構成は必ずしもこれに限定されるものではない。
まず、表面層(B)の原料として上述した好ましいポリプロピレン樹脂を溶融押出機に供給し、230~260℃にて溶融押出を行う。次に、ポリマー管の途中に設置したフィルターにて、異物や変性ポリマーなどを除去した後、Tダイよりキャストドラム上に吐出し、未延伸シートを得る。また、キャストドラムは、TD方向のシャルピー衝撃値やフィルム表面の粗さを適切な範囲に制御するために、表面温度が15~100℃であることが好ましく、80~95℃であるとより好ましい。このとき、Tダイから吐出された溶融シートをキャストドラムに密着させる方法として、静電印加法、エアーナイフ法、ニップロール法、水中キャスト法などの手法を採用することができるが、異物レスやフィルム冷却化の観点でエアーナイフ法が好ましい。
その後、上記方法にて得られた未延伸シートを、周速差のある一対の延伸ロールにより長手方向に延伸する。この際のフィルム温度としては、ヘイズを好ましい範囲内に制御すること、また製膜安定性の観点から120~160℃であると好ましく、より好ましくは130~155℃である。フィルム温度の調節は、温度制御された回転ロールを用いる方法、熱風オーブンを使用する方法などを採用することができる。この際の延伸倍率としては、熱収縮率、破断伸度を好ましい範囲に制御するために3.5~6.0倍であると好ましく、より好ましくは4.0~5.0倍である。延伸倍率が3.5倍以上であることにより、より均一な延伸が可能となるためフィルムの厚み斑の発生が抑えられる。一方、延伸倍率が6.0倍以下であることにより、縦延伸工程や次の横延伸工程でのフィルム破断が軽減される。
続いて、基材層(A)の原料として、上述した好ましいポリプロピレン樹脂を溶融押出機に供給し、230~250℃にて溶融押出を行う。次に、ポリマー管の途中に設置したフィルターにて、異物や変性ポリマーなどを除去した後、Tダイより予めキャストドラム上を走行させておいた表面層(B)に相当する一軸延伸フィルム上に吐出し、表面層(B)と基材層(A)との積層体になるよう積層する。
その後、この積層体を幅方向に延伸する。幅方向に延伸する方法としては、製膜安定性、厚み均一性の観点でテンター式延伸機による延伸方法を採用することが好ましい。テンター式延伸機を用いる場合、積層体の幅方向両端部をクリップで把持しながら、積層体をテンター式延伸機に導入して幅方向に延伸する。延伸温度は、厚み斑や製膜安定性の観点で好ましくは145~170℃、より好ましくは150~165℃である。延伸倍率は、7~12倍、好ましくは8~11倍とする。
ついで、こうして得られた延伸後の積層体に、そのままテンター式延伸機内で熱処理を行う。熱処理温度は110~160℃であることが好ましく、120~150℃であるとより好ましい。さらに、熱処理はフィルムのTD方向に弛緩させながら行ってもよく、特に、TD方向の弛緩率を5~15%、より好ましくは6~10%とすることで、幅方向の熱収縮率を下げ、適切な寸法安定性とする観点で好ましい。
以上のようにして得られたポリオレフィンフィルムは、包装用フィルム、表面保護フィルム、工程フィルム、衛生用品、農業用品、建築用品、医療用品など様々な用途で用いることができる。特に二軸延伸された層と一軸延伸された層を積層し、さらに、各層の原料として上述の好ましいものを使用することにより、得られるポリオレフィンフィルムの易カット性が向上するため、ポリオレフィンフィルムは包装用フィルムとしてより好ましく用いることができるものとなる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。なお、特性は以下の方法により測定、評価を行った。
(1)フィルム厚み
マイクロ厚み計(アンリツ社製)を用いて5点測定し、平均値を求めた。
(2)ヘイズ
スガ試験機社製ヘイズメーターを用いてJIS 7105(1981)に基づき測定した。なお、本測定を幅方向に3点測定を行い、平均値を本発明の易カット性ポリオレフィンフィルムのヘイズとした。
(3)破断強度・破断伸度
ポリオレフィンフィルムの長手方向もしくは幅方向について、測定方向200mm、測定方向と直角の方向10mmとなるように試料を5本切り出し、両端から50mmの位置に印を付けて試長100mmとした。オリエンテック株式会社製フィルム強伸度測定装置(AMF/RTA-100)を用いて、23℃、65%RHの雰囲気下で引張速度300mm/分にて測定した。長手方向、幅方向ともにそれぞれ5本の試料の平均値を破断強度・破断伸度とした。
(4)TD方向のシャルピー衝撃値
TD方向の長さが10mm、MD方向の長さが150mmの長方形となるように、ポリオレフィンフィルムより13点の試料を切り出し、各試料の厚みをダイヤルゲージによって測定した。次いで、MD方向が水平方向となるようにシャルピーインパクトテスターに試料をセットした後、その中央部にインパクトテスターの振り子を接触させて試料の破断に要する衝撃強度を測定し、下記式にてシャルピー衝撃値を算出した。算出した13点の試料のシャルピー衝撃値を平均化した値をポリオレフィンフィルムのTD方向のシャルピー衝撃値とした。
式:シャルピー衝撃値(MJ/m)=衝撃強度(kg・cm/10mm)/厚み(mm)。
(5)ヒートシール強度
易カット性ポリオレフィンフィルムの表面層(B)同士を重ね、155℃に昇温したヒートシーラーを用いて下記の条件でヒートシールした。シールしたフィルムを幅方向80mmかつ長手方向に20mmとなるように3点の試料を切り出し、各試料を幅方向に両面裏打ちでショッパーに取り付け、試料が180°になるようにショッパーを下げ、剥離強度を測定した。上記の剥離強度をもとに下記式にてヒートシール強度を算出し、平均化した値を本発明の易カット性ポリオレフィンフィルムのヒートシール強度とした。
式:ヒートシール強度(N/cm)=剥離強度(N)/試料幅(cm)
<シール条件>
ヒートシーラー圧着部形状:さいの目
ヒートシール圧力:1.0kg/cm
ヒートシール時間:5秒。
(6)算術平均高さ(Sa)、突出山部高さ(Spk)、山部頂点密度(Spd)
株式会社菱化システム社製非接触表面・層断面形状測定システム“VertScan”(登録商標)2.0(型式:R3300GL-Lite-AC)を用いて測定した。スリット後のフィルムロールから採取したサンプルにおいて、フィルムの幅方向の中心位置で、長手方向に無作為に抽出した3箇所を測定箇所とし、その平均値をそのサンプルの算術平均高さ(Sa)、突出山部高さ(Spk)、山部頂点密度(Spd)とした。1回の測定の詳細条件については下記の通りとした。なお、1回の測定に対して1視野(視野面積1,252μm×939μm=1,175,628μm)の観察を行った。
A.測定条件
CCDカメラ:SONY HR-57 1/2”
対物レンズ:10X
鏡筒:0.5X BODY
波長フィルター:530 white
測定モード:Wave
視野サイズ:640×480
スキャンレンジ:(スタート)5μm、(ストップ)-5μm。
B.測定方法
フィルム測定には専用のサンプルホルダーを使用した。サンプルホルダーは中心に円形の穴が空いた脱着可能な2枚の金属板であり、その間にシワがない状態でフィルムを挟み固定し、中央円形部のフィルムについて測定した。
C.解析方法
上記測定により得られたデータをVertScan2.0の画像解析ソフトVS-Viewerで解析した。まず、メディアンフィルター(5×5)によりノイズを除去し、カットオフ値250μmのガウシアンフィルターによりうねり成分を除去した。次いで、「ISOPara」機能により、ISO25178で定義される算術平均高さ(Sa)、突出山部高さ(Spk)、山部頂点密度(Spd)を測定した。なお、「ISOPara」機能において、S-Filterを6.0μmに設定した。
(8)易カット性評価
易カット性については試料を両手でフィルムの端をつかんで、TD方向に引っ張った際に、亀裂がそのまま直進したものを〇、直進したが亀裂にヒビが入ったものを△、直進せずにヒビが入ったものを×とした。
(9)加工性の評価
ポリオレフィンフィルムの加工性の評価は下記のとおりとした。
〇:走行時および巻取り時にズレやシワがなく、かつ十分なヒートシール性を有するもの。
△:走行時および巻取り時にズレやシワがある、又はヒートシール性が不十分なもの。
×:走行時および巻取り時にズレやシワがあり、かつヒートシール性が不十分なもの。
(10)品位の評価
下記の基準でポリオレフィンフィルムの品位の評価を行った。なお、キズ、汚れの付着の有無の判定方法は、目視とした。
〇:ポリオレフィンフィルムを72時間連続製膜した場合に、フィルム表面にキズ、汚れの付着が共にないもの。
△:ポリオレフィンフィルムを72時間連続製膜した場合に、フィルム表面にキズ、汚れの付着のどちらか一方があるもの。
×:ポリオレフィンフィルムを72時間連続製膜した場合に、フィルム表面にキズ、汚れの付着が共にあるもの。
(11)熱収縮率
ポリオレフィンフィルムのMD方向もしくはTD方向が測定方向となるように、測定方向100mm、測定方向と直角の方向10mmの長方形状の試料を3本×2種類切り出し、基準長を測定した。その後、タバイエスペック株式会社製熱風循環式オーブン(GPS22)を用いて、上記サンプルを120℃の雰囲気下で15分間熱処理した。放冷後の試料の長さを測定し、下記式によって熱収縮率を算出した。MD方向、TD方向ともにそれぞれ3本の試料の平均値をポリオレフィンフィルムの熱収縮率とした。
式:熱収縮率(%)=(基準長(mm)-熱処理後の長さ(mm))/基準長(mm)×100。
(実施例1)
2台の溶融押出機を用い、第1の押出機にて層(C)の原料としてホモポリプロピレン樹脂(住友化学社製、MFR=2.2g/10分)を、第2の押出機にて層(B)の原料としてエチレン単位含有量1.2質量%であるエチレン・プロピレンランダム共重合体(住友化学社製、MFR=4.6g/10分)を、それぞれ溶融押出し、ダイス内にて層(B)の原料/層(C)の原料/層(B)の原料の順にTダイ方式で積層し、240℃でシート状に共押出した。その後、これを90℃の冷却ロールにて冷却固化して2種3層構成の未延伸シートを得た。次いで、この未延伸シートを温度140℃、倍率4.7倍で長手方向に延伸し、一軸延伸フィルムを得た。得られた一軸延伸フィルムの上に、第3の押出機より基材層(A)の原料として240℃で溶融したホモポリプロピレン樹脂(サンアロマー社製、MFR=18g/10分)を押し出し、基材層(A)となる層を形成した。さらに、こうして得られた3種4層構成の積層体の幅方向両端部をクリップで挟み、テンター式延伸機に導いて、161℃で予熱後、156℃にて幅方向に倍率10倍で延伸し、ついで155℃にて横方向に8.3%のリラックスをかけながら熱処理した。その後フィルム両面に放電量38W・min/mでコロナ処理を行い、ワインダーで巻取り、表面層(B)/層(C)/層(B’)/基材層(A)の3種4層構成を有するポリオレフィンフィルムを得た(基材層(A)のみが一軸配向層で他が二軸配向層。なお、表面層(B)と層(B’)は同じ組成であり、表面に位置する方を表面層(B)と扱う。)。得られたポリオレフィンフィルムの評価結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1において、エチレン単位含有量1.2質量%であるエチレン・プロピレンランダム共重合体(住友化学社製、MFR=4.4g/10分)を表面層(B)及び層(B’)の原料とした以外は同様に製膜した。得られたポリオレフィンフィルムの評価結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1において、エチレン単位含有量0.9質量%であるエチレン・プロピレンランダム共重合体(住友化学社製、MFR=4.3g/10分)を表面層(B)及び層(B’)の原料とした以外は同様に製膜した。得られたポリオレフィンフィルムの評価結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例1において、エチレン単位含有量1.5質量%であるエチレン・プロピレンランダム共重合体(住友化学社製、MFR=4.7g/10分)を表面層(B)及び層(B’)の原料とした以外は同様に製膜した。得られたポリオレフィンフィルムの評価結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1において、エチレン単位含有量が0.8質量%であるエチレン・プロピレンランダム共重合体(プライムポリマー社製、MFR=4.0g/10分)を表面層(B)及び層(B’)の原料とした以外は同様に製膜した。得られたポリオレフィンフィルムの評価結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1において、エチレン単位含有量が0.4質量%であるエチレン・プロピレンランダム共重合体(住友化学社製、MFR=4.2g/10分)を表面層(B)及び層(B’)の原料とした以外は同様に製膜した。得られたポリオレフィンフィルムの評価結果を表1に示す。
(比較例3)
実施例2において、未延伸シートを得る際の冷却ロール温度を50℃とした以外は同様に製膜した。得られたポリオレフィンフィルムの評価結果を表1に示す。
(比較例4)
実施例1において、エチレン単位含有量が1.6質量%であるエチレン・プロピレンランダム共重合体(住友化学社製、MFR=4.8g/10分)を表面層(B)及び層(B’)の原料とした以外は同様に製膜した。得られたポリオレフィンフィルムの評価結果を表1に示す。
Figure 2022153236000001
各実施例及び比較例1、2の算術平均高さ(Sa)、突出山部高さ(Spk)、山部頂点密度(Spd)については、先ずは表面層(B)の値を測定した。Saが50nm以上100nm以下、Spkが100nm以上150nm以下、かつSpdが100/mm以上400/mm以下の場合(各実施例)は、反対面側の測定は行わなかった。上記要件のいずれかを満たさなかった場合(比較例1、2)は反対面側の測定も行ったが、各測定値の値は同じであった。また、比較例3については最外層が同じ層であるため、両面で各測定値が同じとなる蓋然性が高いため一方の層のみを対象に測定した。
本発明により、高易カット性を有し、かつ適切なヒートシール性、品位、およびフィルム表面のすべり性を備えたポリオレフィンフィルムを提供することができる。本発明のポリオレフィンフィルムは、包装用フィルム、表面保護フィルム、工程フィルム、衛生用品、農業用品、建築用品、医療用品など様々な用途で用いることができるが、特に易カット性等に優れることから、包装用フィルムとして好ましく用いることができる。

Claims (7)

  1. 少なくとも基材層(A)と表面層(B)とを含むポリオレフィンフィルムであって、前記基材層(A)はホモポリエチレンとホモポリプロピレンを合計で90質量%以上100質量%以下含み、前記表面層(B)はエチレン単位を0.9質量%以上1.5質量%以下含む、エチレン・プロピレンランダム共重合体であり、TD方向のシャルピー衝撃値が0.50MJ/m以上1.50MJ/m以下であるポリオレフィンフィルム。
  2. 155℃におけるヒートシール強度が0.3N/cm以上1.0N/cm以下である、請求項1に記載のポリオレフィンフィルム。
  3. 少なくとも一方の表面の表面粗さSaが50nm以上100nm以下である、請求項1または2に記載のポリオレフィンフィルム。
  4. 少なくとも1つの表面において、突出山部高さSpkが100nm以上150nm以下であり、かつ山部頂点密度Spdが100/mm以上400/mm以下である、請求項1~3のいずれかに記載のポリオレフィンフィルム。
  5. ヘイズが6.0%以下である、請求項1~4のいずれかに記載のポリオレフィンフィルム。
  6. 前記基材層(A)と前記と表面層(B)の配向が異なる、請求項1~5の何れかに記載のポリオレフィンフィルム。
  7. 前記基材層(A)が一軸配向層である、請求項1~6の何れかに記載のポリオレフィンフィルム。
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