JP2022153038A - 深絞り成形用多層フィルム、深絞り成形体、及び、深絞り包装体 - Google Patents

深絞り成形用多層フィルム、深絞り成形体、及び、深絞り包装体 Download PDF

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Tomonori Yoshida
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Abstract

【課題】製造時及び廃棄時の二酸化炭素の排出量を削減することができ、ボイル殺菌に堪えうる耐熱性を有する深絞り成形用多層フィルムを提供する。【解決手段】表面層、中間層、シール隣接層、シール層を少なくとも有し、この順に積層された、下記(1)~(4)を満たす、深絞り成形用多層フィルム。(1)表面層がポリプロピレン系樹脂またはポリアミド系樹脂を主成分として含む、(2)中間層が、ポリアミド系樹脂を主成分とする層及びエチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物樹脂を主成分とする層のいずれか一方、または、これら両方を有する、(3)シール隣接層、シール層は、ポリオレフィン系樹脂を主成分として含む、(4)表面層、中間層、シール隣接層、シール層のいずれかの層に植物由来ポリオレフィン系樹脂を含む、【選択図】なし

Description

本発明は主としてスライスハム、スライスベーコン等の包装に好適に使用できる深絞り成形用多層フィルム、深絞り成形体、及び、深絞り包装体に関するものである。
食品等は、販売の際に、包装袋や包装容器などの包装体によって包装されるのが一般的である。このような包装体には、内容物の保護等の為に、様々な性能が要求されている。そのため、一部の包装体では、特性の異なる複数の層が積層された多層フィルムが用いられている。
従来、深絞り包装用フィルムとして、表面層を無延伸ポリプロピレン樹脂(CPP)とした層構成の複合フィルムや、ブロックハム包装用途等の耐ピンホール性が重視される用途には、ポリアミド6を表面層に用いた多層フィルムや、ポリアミド12を表面層に用いた多層フィルムが多く使用されている。
しかし、これらの用途に用いられる多層フィルムには、近年の環境問題への配慮から、フィルムの製造時及び廃棄時の二酸化炭素排出量削減の要求が高まりつつある。このような要求の中、二酸化炭素排出量を削減することができる材料として、植物由来の材料が期待されている。
特許文献1、2に開示された従来の多層フィルムでは、植物由来の材料を用いていないため、原料製造から廃棄まで(製品のライフサイクル)における二酸化炭素の排出量が多いといった問題があった。
特許文献3に開示された多層フィルムは、植物由来の材料が使用されているが、フィルムの耐熱性が不充分であり、ボイル殺菌時が必要な用途では、不具合が生じることが多かった。
特開2003-145699号公報 特開平10-138411号公報 特開2019-151341号公報
本発明は従来技術の上記問題点を解決しようとするものであり、製造時及び廃棄時の二酸化炭素の排出量を削減することができ、ボイル殺菌に堪えうる耐熱性を有する深絞り成形用多層フィルム、深絞り成形体、及び、深絞り包装体を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、上記従来技術の課題を解決し得る深絞り成形用多層フィルム、深絞り成形体、及び、深絞り包装体を得ることに成功し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下のとおりである。
[1] 表面層、中間層、シール隣接層、シール層を少なくとも有し、この順に積層された、下記(1)~(4)を満たす、深絞り成形用多層フィルム。
(1)前記表面層がポリプロピレン系樹脂またはポリアミド系樹脂を主成分として含む、
(2)前記中間層が、ポリアミド系樹脂を主成分とする層及びエチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物樹脂を主成分とする層のいずれか一方、または、これら両方を有する、
(3)前記シール隣接層、前記シール層は、ポリオレフィン系樹脂を主成分として含む、
(4)前記表面層、前記中間層、前記シール隣接層、前記シール層のいずれかの層に植物由来ポリオレフィン系樹脂を含む、
[2] さらに、下記(5)を満たす、[1]に記載の深絞り包装用多層フィルム。
(5)放射性炭素年代測定14Cの測定値から算定するモダン炭素比率が10pMC~107pMCである。
[3] さらに、下記(6)を満たす、[1]または[2]に記載の深絞り包装用多層フィルム。
(6)前記シール隣接層、前記シール層の少なくとも一方の層に植物由来ポリオレフィン系樹脂を含む。
[4] 前記シール層が、イージーピール層であり、該イージーピール層全体の質量を100質量%としたとき、下記に示す50質量%以上90質量%以下の樹脂組成物Aと、10質量%以上50質量%以下の樹脂組成物Bとを有する、[1]~[3]のいずれか1項に記載の深絞り成形用多層フィルム。
樹脂組成物A:前記植物由来ポリオレフィン系樹脂を主成分として有するポリオレフィン系樹脂からなる樹脂組成物、
樹脂組成物B:前記樹脂組成物Aと非相溶な樹脂組成物。
[5] 前記イージーピール層に含まれる前記植物由来ポリオレフィン系樹脂が植物由来ポリエチレン系樹脂であり、該植物由来ポリエチレン系樹脂の密度が0.920~0.930g/cmであり、メルトフローレート(JIS K7210-1 A法(2014)、温度:190℃、荷重2.16kgf)が2.5g/10分以上10.0g/10分以下である、[4]に記載の深絞り成形用多層フィルム。
[6] 前記イージーピール層に含まれる、前記非相溶な樹脂が、ポリブテン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂から選ばれる少なくとも1種類を含む、[4]または[5]に記載の深絞り成形用多層フィルム。
[7] 前記シール隣接層が、植物由来ポリエチレン系樹脂を主成分として含む、[1]~[6]のいずれか1項に記載の深絞り成形用多層フィルム。
[8] ボイル殺菌用である、[1]~[7]のいずれか1項に記載の深絞り成形用多層フィルム。
[9] [1]~[8]のいずれか1項に記載の深絞り成形用多層フィルムを深絞り成形してなる深絞り成形体。
[10] [9]に記載の深絞り成形体と蓋材とからなる深絞り包装体。
本発明の深絞り成形用多層フィルムによれば、製造時及び廃棄時の二酸化炭素の排出量を削減することができ、包装体としたときにボイル殺菌に堪えうる耐熱性を有する。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
本実施の形態において、「主成分」とは、各層を構成する樹脂成分全体を基準(100質量%)とした際に、各成分の含有量が、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、特に好ましくは100質量%含むことをいう。
また、以下の実施の形態においては、「X~Y」(X、Yは任意の数字)と表現した場合、特に断らない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」及び「好ましくはYより小さい」の意を包含するものとする。また、以下の実施の形態においては、「X以上」(Xは任意の数字)と表現した場合、特に断らない限り、「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、特に断らない限り、「好ましくはYより小さい」の意を包含するものとする。
<深絞り成形用多層フィルム>
本発明の深絞り成形用多層フィルムは、表面層、中間層、シール隣接層、シール層を少なくとも有し、この順に積層された、下記(1)~(4)を満たす、深絞り成形用多層フィルムである。
(1)前記表面層がポリプロピレン系樹脂またはポリアミド系樹脂を主成分として含む、
(2)前記中間層が、ポリアミド系樹脂を主成分とする層及びエチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物樹脂を主成分とする層のいずれか一方、または、これら両方を有する、
(3)前記シール隣接層、前記シール層は、ポリオレフィン系樹脂を主成分として含む、
(4)前記表面層、前記中間層、前記シール隣接層、前記シール層のいずれかの層に植物由来ポリオレフィン系樹脂を含む、
本発明の深絞り成形用多層フィルムは、さらに、下記(5)を満たすことが好ましい。
(5)放射性炭素年代測定14Cの測定値から算定するモダン炭素比率が10pMC~107pMCである。
本発明の深絞り成形用多層フィルムは、さらに、下記(6)を満たすことが好ましい。
(6)前記シール隣接層、前記シール層の少なくとも一方の層に植物由来ポリオレフィン系樹脂を含む。
以下、各層について説明する。
(表面層)
表面層は、ポリプロピレン系樹脂またはポリアミド系樹脂を主成分として含む。表面層をポリプロピレン系樹脂またはポリアミド系樹脂を主成分として構成することにより、得られる深絞り成形用多層フィルムの表面層同士がボイル中に融着するのを防ぐという耐ボイル融着性を付与することができる。
・ポリプロピレン系樹脂
表面層を構成するポリプロピレン系樹脂は、特に制限なく、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン等を用いることができる。柔軟性、透明性の観点からプロピレン-エチレンランダム共重合体であることが好ましい。プロピレンを重合する際の触媒については特に制約はないが、シングルサイト触媒が好ましい。シングルサイト触媒を用いて重合されるポリプロピレン系樹脂は、チーグラー・ナッタ触媒を用いた場合よりも、分子量分布が狭く、結晶性分布が狭く、低結晶性成分の生成量が少ないために、剛性が高く、耐ブロッキング性能に優れるという特徴があることに加え、特に空冷インフレーション成形を行った際、得られるフィルムが透明性に優れるという特徴がある。
シングルサイト触媒の種類は特に限定されないが、代表的な例としてメタロセン触媒が挙げられる。メタロセン系ポリプロピレンの製造には一般的に、(i)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物(いわゆるメタロセン化合物)と、(ii)メタロセン化合物と反応して安定なイオン状態に活性化しうる助触媒を用いる。この助触媒は必要により、有機アルミニウム化合物などで反応処理されていてもよい。メタロセン化合物は、好ましくはプロピレンの立体規則性を有する重合が可能となる架橋メタロセン化合物であり、より好ましくはプロピレンのアイソタクチック規則性を有する重合が可能となる架橋メタロセン化合物である。
ポリプロピレン系樹脂(a)の製造方法は、特に制限はなく、公知のスラリー重合法、バルク重合法、気相重合法等を用いることができる。また、多段重合法を利用して製造することも可能である。
ポリプロピレン系樹脂の密度は、0.5~1.5g/cmが好ましく、0.7~1、2g/cmがより好ましい。密度は、JIS K7112:1999 B法に基づき測定する。
・ポリアミド系樹脂(以下、PA系樹脂と記載することがある)
PA系樹脂は、特に限定されないが、耐ボイル融着性の観点からは、例えば、PA6、PA66、PA69、6-66共重合PA、PA12、PA11、PA610、PA612、6I-6T共重合PA、PAMXD6等の縮合単位の重合体又はこれら2種以上との共重合体、さらにはこれらの混合物を挙げることができる。中でもPA6や6-66共重合PAを用いることが好ましい。
6―66共重合PAの66PAの比率は、好ましくは5質量%以上30質量%以下であり、より好ましくは10質量%以上20質量%以下である。
PA系樹脂の密度は、0.7~1.7g/cmが好ましく、1.0~1、4g/cmがより好ましい。密度は、JIS K7112:1999 B法に基づき測定する。
表面層の層厚は10μm以上、好ましくは12μm以上、さらに好ましくは15μm以上であり、かつ50μm以下、好ましくは30μm以下、さらに好ましくは35μm以下であることが望ましい。層厚の下限値を10μmとすることにより、包装体のフランジ部でのカールの発生を抑制でき、また上限値を50μmとすることに良好な深絞り成形性が得られる。
(中間層)
中間層は、ポリアミド系樹脂を主成分とする層及びエチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物樹脂を主成分とする層のいずれか一方、または、これら両方を有する多層である。
・ポリアミド系樹脂
本発明の深絞り成形用多層フィルムは、耐ピンホール性と深絞り成形性とを付与する目的で、中間層に少なくとも1層のPA系樹脂を主成分とする層を配設することができる。用いられるPA系樹脂は、特に限定されないが、耐ピンホール性の観点からは上記した表面層におけるPA系樹脂と同様の材料が使用できる。
・エチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物(以下、EVOHと記すことがある)
中間層には酸素バリアー性を付与する目的で、EVOHを主成分とする層を配設することができる。
EVOHのエチレン含有率は特に限定されるものではないが、製膜安定性の観点から28モル%以上45モル%以下であることが好ましく、30モル%以上40モル%以下であることがさらに好ましい。また、EVOHのケン化度は90%以上、好ましくは95モル%以上のものが望ましい。EVOHのエチレン含有率及びケン化度を上記範囲に保つことにより、本発明の深絞り成形用多層フィルムの製膜性やフィルムの強度を良好なものとすることができる。
EVOHの密度は、0.7~1.7g/cmが好ましく、1.0~1.4g/cmがより好ましい。密度は、JIS K7112:1999 B法に基づき測定する。
中間層として、PA系樹脂層及びEVOH層の両方を配設する場合、PA層/EVOH層の2層構成としてもよいし、あるいは、PA層/EVOH層/PA層の3層構成としてもよい。例えば、表層としてポリプロピレン系樹脂層を用いている場合は、中間層として、PA層/EVOH層/PA層の3層構成とすることが好ましい。
また、表層として、PA系樹脂層を用いている場合は、中間層として、表層側にPA層を配した、PA層/EVOH層の2層構成とすることが好ましい。
中間層として、EVOH層を配設する場合、EVOH層の厚さは2μm以上、好ましくは3μm以上、さらに好ましくは4μm以上であり、かつ30μm以下、好ましくは25μm以下、さらに好ましくは22μm以下である。EVOH層の厚さの下限値を2μmとすることにより十分な酸素バリアー性が得られ、また上限値を30μmとすることによりフィルムの共押出性を悪化することもなく、かつ良好なフィルム強度を保持できる。
中間層としてPA系樹脂を有する層を配設する場合(中間層に複数のPA系樹脂層を配設する場合は、その合計厚さ)、その層厚は10μm以上、好ましくは12μm以上、さらに好ましくは14μm以上であり、かつ60μm以下、好ましくは50μm以下、さらに好ましくは48μm以下であることが望ましい。層厚の下限値を2μmとすることにより、良好な耐ピンホール性が得られ、また上限値を25μmとすることにより深絞り包装機での良好なカット性が得られる。
(シール隣接層、シール層)
本発明の深絞り成形用多層フィルムは、シール隣接層、及び、シール層を有し、これらシール隣接層、及び、シール層は、ポリオレフィン系樹脂を主成分として含む。
また、シール層は、深絞り成形用多層フィルムの最内層であることが好ましい。なお、最内層とは、本発明の深絞り成形用多層フィルムを深絞り成形し、深絞り成形体(底材)として、蓋材とシールして包装体を作製した場合において、内容物側となる層である。また、最外層とは、外気側となる層である。
また、シール隣接層は、上記シール層に隣接して存在している。
・ポリオレフィン系樹脂
シール隣接層、及び、シール層を構成するポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂などが挙げられ、シール性付与の観点からポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂が好ましい。
ポリエチレン系樹脂としては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸メチル共重合体、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体、エチレン系アイオノマー、及びこれらの混合物が挙げられる。ポリプロピレン系樹脂としては、ホモポリプロピレン、プロピレンとα-オレフィンとのランダム共重合体や、ブロック共重合体が挙げられる。環状ポリオレフィン系樹脂としては、ノルボルネン骨格を有する樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は単独での使用、混合しての使用とも可能である。
・植物由来ポリオレフィン系樹脂
表面層、中間層、シール隣接層、シール層のいずれかの層は、植物由来ポリオレフィン系樹脂を含む。
さらに、シール隣接層、シール層の少なくとも一方の層に植物由来ポリオレフィン系樹脂を含むことが好ましい。
植物は、地球環境内で循環する二酸化炭素を吸収し、二酸化炭素と水とを原料とする光合成反応を行い、有機体として同化・固定化することにより生育する生物であることから、炭素源として注目されている。例えば、サトウキビやトウモロコシ等の植物原料から抽出する糖の発酵物またはセルロース発酵物からアルコール成分、特にエチルアルコールを蒸留分離し、その脱水反応によりアルケンであるエチレンを得て、通常の樹脂合成手段を介してエチレン系樹脂またはオレフィン系樹脂を得ることができる。この履歴を有する合成樹脂は、カーボンオフセットポリオレフィン(carbon offset polyolefin)、バイオ起源ポリオレフィン(biogenic polyolefin)または植物由来の合成樹脂(plant based resin)などといわれる。
地球環境内で循環する二酸化炭素を構成する炭素は、同位体(アイソトープ)である放射性の炭素14(「14C」ということもある。)、安定な炭素12(「12C」ということもある。)及び準安定な炭素13(「13C」ということもある。)の混合物であり、その質量比率が、12C(98.892質量%)、13C(1.108質量%)及び14C(痕跡量である1.2×10-12質量%~1.2×10-10質量%)であることは周知である。12Cと13Cとの比率は安定している。また、放射性の14Cは、大気上層で一次宇宙線によって生成された二次宇宙線に含まれる中性子が、大気中の窒素原子(14N)に衝突することによって生成されるので、太陽の黒点活動の強弱等により若干変動するものの、常に供給され続けており、一方、半減期5730年で減少する。
地球環境内で循環する二酸化炭素を絶えず吸収して、これを有機物に変化させた栄養源により育つ生物(植物、動物)は、その生存中、地球環境内で循環する二酸化炭素を構成する3種類の炭素同位体の質量比率を引き継ぎ続ける。生物が死滅すれば、生物内部における3種類の炭素同位体の質量比率は、死滅時点の比率で固定化される。14Cの半減期は、5730年であり、これを利用して種々の試料の年代を推定する考古学的年代測定法が周知である。一方、14Cの半減期5730年よりはるか昔の太古に生息した生物の死滅から長期間が経過して形成された化石燃料中の14Cは、地球環境内で循環する現代の二酸化炭素と隔絶して測定すると、ほぼ0(測定機器の検出限界未満)とみなすことができるので、化石燃料由来の合成樹脂中の14Cは、ほぼ0とみなすことができる。
したがって、植物由来の合成樹脂と化石燃料由来の合成樹脂とは、含有される14Cの比率によって区別することが可能である。なお、生育している植物を収穫して、それを糖化してアルコールとし、その脱水反応によるアルケンであるエチレンを原料として、通常の樹脂合成手段を介して植物由来の合成樹脂とするまでの時間は、数か月間程度であり、14Cの半減期5730年からみれば無視できるから、植物由来の合成樹脂を製造するまでのタイムラグは、植物由来の合成樹脂か、化石燃料由来の合成樹脂かの判別に、実質的な影響がない。
地球環境内で循環する二酸化炭素を構成する放射性の14Cの比率は、産業革命以来、人類が大量の化石燃料を燃焼させることで、希釈され、低減していたが、西暦1950年以降の大気圏内核実験によって増加に転じた。すなわち、大気圏内核実験により放射性の14Cの生成量は、宇宙線の作用でできた中性子との衝突で生じる14Nの原子核反応による放射性の14Cの生成量を超えていた。その後、1964年の核実験停止条約により、放射性の14Cの比率は、1963年をピークとして減少に転じ、その後の原発事故等による変動があるものの、1950年における放射性の14Cの比率には至っていない。
そこで、植物由来の有機物質と化石燃料由来の有機物質との区別については、1950年時点の放射性の14Cの存在比率を参照基準とする標準化方法が知られており、米国国立標準局(NIST)による、ASTM D6866-12(Determining the Biobased Control of Solid, Liquid, and Gaseous Samples Using Radiocarbon Analysis)がある。
ASTM D6866-12が規定する原理は、概略以下のとおりである。すなわち、化石燃料由来の有機物質は、1950年よりはるか昔の時代に、生物(動物・植物)の死滅または刈取りがあり、そのときの炭素同位体の比率組成が固定されているので、植物由来の有機物質を構成する炭素の存在比率は0(zero)である。そこで、炭素同位体の比率組成において、安定比率である13C/12Cと、放射性の14Cとの関数で規定するモダン炭素比率(percent modern carbon:pMC)単位を用いて、化石燃料由来の有機物質のモダン炭素比率を、0pMCとする(測定機器の検出限界未満を意味する。)。また、1950年時点の炭素同位体の比率組成を有する標準物質〔NISTが供給するシュウ酸(SRM4990)、または同等有機物質〕のモダン炭素比率を100pMCと定める。
この0~100pMCを基準として、試料のモダン炭素比率を求めることにより、化石燃料由来の有機物質と植物由来の有機物質との割合を決定するものである。現在製造される植物由来の有機物質のモダン炭素比率は、1950年以降に行われた大気圏内核実験などによって人為的に増加した14Cの影響により、少なくとも102pMCを下回ることはなく、平均107pMC程度である。14Cの比率がピークである核実験停止条約前の1963年におけるモダン炭素比率は、118pMCであった。したがって、有機物質のモダン炭素比率が、102~118pMCであれば、確実に植物由来の有機物質のみからなるものであるということができる。
また、既知の植物由来の合成樹脂のモダン炭素比率の値から、該植物由来の合成樹脂と化石燃料由来の合成樹脂(モダン炭素比率は、0pMCである。)との混合物である合成樹脂材料(樹脂組成物)における植物由来の合成樹脂の含有比率を算出することができ、植物由来の合成樹脂の質量比率を、「%Corg.renew」と記載することがある。例えば、樹脂組成物におけるバイオ化率96%の植物由来の合成樹脂(モダン炭素比率は、107pMC×0.96=102.7pMCと算出される。)と化石燃料由来の合成樹脂との質量比率が50:50であるときは、この樹脂組成物は、モダン炭素比率が51.4pMC(107pMC×0.96×0.50=51.36pMCとして計算される。)であり、48%Corg.renew(96%×0.5として算出される。)である。
また、その樹脂組成物の前記の質量比率が55:45であるときは、モダン炭素比率は56.5pMC(107pMC×0.96×0.55=56.50pMCとして計算される。)であり、52.8%Corg.renew(96%×0.55として算出される。)である。なお、「バイオ化率」(%)とは、合成樹脂中の植物由来の合成樹脂の質量比率であり、「バイオマスプラスチック度」、「バイオマス度」ということもある。バイオ化率が25%であれば、日本バイオプラスチック協会が定めるバイオマスプラ識別表示制度(2006年7月発足)に基づき、バイオマスプラスチック度が25(質量)%以上のプラスチック製品を、「バイオマスプラ」と称することが許容される。
先に述べたように、植物由来の有機物質のモダン炭素比率は、102pMCを下回ることはなく、平均107pMC程度であるので、例えば、ある植物由来の合成樹脂と化石燃料由来の合成樹脂との混合物である合成樹脂材料(樹脂組成物)のモダン炭素比率が、54pMC以上であれば、植物由来の合成樹脂の質量比率が50質量%以上(107pMC×0.50=53.5pMCとして計算される。)であるといえる。
一方、植物由来の合成樹脂を含有せず、化石燃料由来の合成樹脂を含有する樹脂組成物は、先に述べたとおり地球環境内で循環する現代の二酸化炭素と隔絶して測定すると、本来モダン炭素比率が0pMCであるが、実際には、1950年以後に行われた核実験や原発事故に由来する放射性の14Cが混入したり、現代の地球環境内で循環する二酸化炭素が表面に吸着または透過して炭素アイソトープ交換が生じたりすることにより、0pMCより大きなモダン炭素比率を示すことがある。しかし、多くの場合、化石燃料由来の合成樹脂のモダン炭素比率は、0.01~0.03pMCの範囲であり、実質的に0pMCであるということができる。少なくとも、化石燃料由来の合成樹脂のモダン炭素比率が8pMCを超えることはない。したがって、ある合成樹脂または合成樹脂を含有する樹脂組成物のモダン炭素比率が0~8pMCであれば、その合成樹脂または合成樹脂を含有する樹脂組成物は、化石燃料由来の合成樹脂または化石燃料由来の合成樹脂を含有する樹脂組成物であるということができる。
なお、石灰石の成分であり、種々の目的で化石燃料由来の合成樹脂を含有する樹脂組成物に配合されることがある炭酸カルシウム等の、無機炭素に由来する放射性の14Cの影響がみられるときがあるが、モダン炭素比率の測定においては、その影響を除く方法が標準化されている。
また、化石燃料由来の合成樹脂を含有する樹脂組成物においては、有機炭素を含有する添加剤や配合剤に由来する放射性の14Cが影響したりして、希釈されるために、0pMCより大きなモダン炭素比率を示すことがあるが、通常の配合量であれば、化石燃料由来の合成樹脂を含有する樹脂組成物のモダン炭素比率が8pMCを超えることはない。
したがって、ある合成樹脂または合成樹脂を含有する樹脂組成物のモダン炭素比率が10pMC以上であれば、その合成樹脂または合成樹脂を含有する樹脂組成物は、植物由来の合成樹脂を含有しているということができる。
化石燃料由来の合成樹脂と植物由来の合成樹脂とは、原理的には、モダン炭素比率において相違するのみであるので、地球環境に与える影響を除くほかは、該合成樹脂からの樹脂製品の製造工程や形成された樹脂製品については、取扱いにおける変化や差異はないと考えられていた。しかし、現実には、例えば、相溶性や機械的特性において差異がある場合があることも知られている(例えば、特開2011-132525号公報)。
本発明において、「植物由来」とは、植物を原料として得られるアルコールから製造される、植物原料に由来する炭素を含むことを意味する。
本発明において、「植物由来ポリオレフィン系樹脂」とは、植物由来のオレフィンモノマーを主たるモノマー成分とした樹脂である。主たるモノマー成分とは、樹脂中で50質量%以上100質量%以下を占めるモノマー成分のことをいう。植物由来のオレフィンモノマーとしては、例えば、サトウキビやトウモロコシ等の植物に由来するバイオマスの発酵により生成したアルコール類から得られる、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテンなどのα-オレフィンや、ジエン、イソプレン、ブチレン、ブタジエンなどが挙げられる。これらの単独重合体でもよく、2種以上を共重合した多元共重合体であってもよい。植物由来のオレフィンモノマーを主たるモノマー成分とした樹脂であれば、石油由来の同一モノマー成分が共重合されていてもよい。例えば、植物由来のエチレン成分と石油由来のエチレン成分の両方を有し、植物由来のエチレン成分が樹脂中で50質量%以上を占めるポリエチレン系樹脂であってもよい。
植物由来ポリオレフィン系樹脂は、これらの植物由来のオレフィンモノマーに、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸グリシジル、ビニルアルコール、エチレングリコール、無水マレイン酸、スチレン、環状オレフィンが共重合されたものでもよい。
具体的には、例えば、植物由来ポリエチレン系樹脂、植物由来ポリプロピレン系樹脂などが挙げられる。植物原料から得られたバイオエタノールから誘導された植物由来エチレンの単独重合体、または、該植物由来エチレンと他の少量のコモノマーとの共重合体であり、あるいは、植物原料から得られたバイオエタノールやバイオイソプロパノールから誘導された植物由来プロピレンの単独重合体、または、該植物由来プロピレンと他の少量のコモノマーとの共重合体である。
植物由来ポリエチレン系樹脂としては、バイオエタノールから誘導されたエチレンを重合して得られる高密度ポリエチレン(HDPE、密度0.940g/cm以上)、中密度ポリエチレン(MDPE、密度0.925以上0.940g/cm未満)、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE、密度0.91~0.925g/cm)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE、密度0.91~0.925g/cm、エチレンとα―オレフィンとの共重合体)、及びこれらの混合物を挙げることができる。
また、植物由来ポリプロピレン系樹脂としては、バイオエタノールやバイオイソプロパノールから誘導されたプロピレンを重合して得られるホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、及びこれらの混合物を挙げることができる。
上記LLDPEのコモノマーとなるα―オレフィンとしては、炭素数3~20のα―オレフィン、例えばプロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-ノネン、4-メチルペンテン等、及びこれらの混合物が挙げられる。これらのα―オレフィンは、バイオエタノールから誘導された植物由来α―オレフィンであっても、非植物由来、すなわち石油由来にα―オレフィンであってもよい。石油由来α-オレフィンとしては多種多様なものが入手可能であるためこれらを用いて製造することにより、ポリオレフィン系樹脂の物性を容易に調整することができる。植物由来α―オレフィンを用いることにより、最終製品のバイオマス度をより一層高めることができる。
植物由来エチレン、植物由来プロピレン及び植物由来α―オレフィンの製造方法としては、慣用の方法に従って、サトウキビ、トウモロコシ、サツマイモなどの植物から得られる糖液やでんぷんを酵母等の微生物により発酵させてバイオエタノールを製造し、これを触媒存在下で加熱し、分子内脱水反応などにより植物由来エチレン、植物由来プロピレン及び植物由来α―オレフィン(1-ブテン、1-ヘキセン等)を得ることができる。次いで、得られた植物由来エチレン及び植物由来α―オレフィンを用いて、石油由来ポリエチレン系樹脂と同様にして、植物由来ポリエチレン系樹脂、植物由来ポリプロピレン系樹脂を製造することができる。
植物由来エチレン、植物由来α―オレフィン及び植物由来ポリエチレン系樹脂の製造方法については、例えば特表2011-506628号公報に詳細に記載されている。
本発明において好適に使用される植物由来ポリエチレン系樹脂としては、ブラスケム社製のグリーンポリエチレン(商品名)があげられる。
また、シール層及びシール隣接層には、植物由来ポリエチレン系樹脂以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、少量の、例えば5質量%以下の添加剤、具体的には、スリップ剤(滑剤)、難燃剤、アンチブロッキング剤、結晶化促進剤、安定化剤(老化防止剤、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤等)、粘着付与剤、軟化剤、着色剤、カップリング剤、防腐剤、防かび剤等を添加してもよい。
(イージーピール層(EP層))
上記したシール層は、イージーピール層(EP層)であることが好ましい。イージーピール層とは、蓋材等の基材とヒートシールした際に、ヒートシール部を容易に引きはがせる機能を有する層である。具体的には、例えば、実施例に記載の条件で測定されるヒートシール部のシール強度が1N/15mm幅~5N/15mm幅になるように設計された層である。
イージーピール層は、イージーピール層全体の質量を100質量%として、以下で示される50質量%以上90質量%以下の樹脂組成物Aと10質量%以上50質量%以下の樹脂組成物Bとを有する。
樹脂組成物A:植物由来ポリオレフィン系樹脂を主成分として有するポルオレフィン系樹脂からなる樹脂組成物、
樹脂組成物B:樹脂組成物Aと非相溶な樹脂組成物。
また、樹脂組成物Aには、石油由来ポリエチレン系樹脂などを含んでも構わない。
樹脂組成物A:樹脂組成物Bの配合比率(質量%比)は、好ましくは、50~80:5
0~20、更に好ましくは60~80:40~20である。
本発明において、イージーピール層は、樹脂組成物Aに、樹脂組成物Aと非相溶な樹脂組成物Bが互いに分散した構造を有している。配合比率により異なるが、例えば、海島構造を取る場合は、分散相である島部は不連続であり不均一な構造を示し、微小な略球状構造や楕円状構造、又は、円盤状構造を示すことが多い。このような構造の有無は、イージーピール層の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察することにより、確認することができる。
本発明において、 このような所定割合で樹脂組成物A及び樹脂組成物Bを含むイージーピール層を形成することで、イージーピール層の凝集力を所定の範囲に調整することが容易となり、イージーピール性を良好なものとすることができる。
樹脂組成物Aとしては、主成分として含む植物由来ポリオレフィン系樹脂が植物由来ポリエチレン系樹脂であることが好ましく、該植物由来ポリエチレン系樹脂の密度が0.920~0.930g/cmであることが好ましく、メルトフローレート(JIS K7210-1 A法(2014)、温度:190℃、荷重2.16kgf)が2.5g/10分以上10.0g/10分以下であることが好ましい。MFRは、下限が3.0g/10分以上がより好ましく、上限が9.0g/10分以下が好ましい。MFRをこの範囲にすることで、シール剥離時のイージーピール層の樹脂の糸引きを防ぐことが出来る。
ここで、植物由来ポリエチレン系樹脂には、先述した直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン-アクリル酸メチル共重合体(EMA)、及びこれらのアイオノマーを挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。樹脂組成物Aの主成分が、植物由来ポリエチレン系樹脂であれば、その他の植物由来樹脂や、石油由来樹脂が含まれていてもよいが、植物由来ポリエチレン系樹脂と相溶する樹脂が好ましく、ポリエチレン系樹脂がより好ましい。
樹脂組成物Bとしては、植物由来ポリエチレン系樹脂と非相溶であれば特に限定されない。そのような樹脂として、ポリブテン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂から選ばれる少なくとも1種類を含むことが好ましい。中でも、ポリブテン系樹脂やポリプロピレン系樹脂から選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましい。
たとえば、ポリプロピレン系樹脂の場合は、ランダムコポリマー、ホモポリマー、ブロックコポリマー等のいずれも使用でき、中でもランダムコポリマーを好適に用いることができる。コポリマーの共重合成分としては、エチレン等のα-オレフィンが挙げられる。
イージーピール層の厚さは、製膜性及び剥離外観性の観点から、下限は通常1μm以上、好ましくは2μm以上、さらに好ましくは3μm以上であり、上限は通常22μm以下、好ましくは15μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。EP層の厚さを1μm以上とすることにより、安定した製膜性が得られ、またEP層の厚さを22μm以下にすることにより剥離時に毛羽立ちや膜残りが発生し難くすることができ、良好な剥離外観が得られる。
イージーピール層のイージーピール強度は、剥離したときに剥離面で凝集破壊が起こり、かつ剥離面が毛羽立たない程度の強度であればよく、例えば、23℃で、下限は、好ましくは1.0N/15mm幅以上、より好ましくは1.5N/15mm幅以上、さらに好ましくは2.0N/15mm幅以上であり、上限は、好ましくは5.0N/15mm幅以下、より好ましくは4.5N/15mm幅以下、さらに好ましくは4.0N/15mm幅以下である。
(シール隣接層)
本発明の深絞り成形用多層フィルムは、シール層(イージーピール層)に隣接してシール隣接層を更に有する。上記したようにシール隣接層は、植物由来ポリオレフィン系樹脂を含むことができるが、該植物由来ポリオレフィン系樹脂は、植物由来ポリエチレン系樹脂であることが好ましい。
シール隣接層は、1層でもよいし、2層以上複数の層であってもよい。複数層を配すると、生産設備が大型化するので、生産性を考慮すると、1層であることが望ましい。
シール隣接層に配する植物由来ポリエチレン系樹脂として、具体的には、バイオエタノールから誘導されたエチレンを重合して得られる高密度ポリエチレン(HDPE、密度0.940g/cm以上)、中密度ポリエチレン(MDPE、密度0.925以上0.940g/cm未満)、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE、密度0.91~0.925g/cm)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE、密度0.91~0.925g/cm、エチレンとα―オレフィンとの共重合体)、及びこれらの混合物を挙げることができる。深絞り成形性及びフィルム強度の観点から、LLDPEが望ましい。
LLDPEのMFRとしては、特に限定されないが、シール隣接層に配する場合、製膜性の観点から、MFR(温度190℃、荷重2.16kg条件)0.5g/10分以上5.0g/10分以下のものを用いるのが好ましい。上記範囲のMFRのものを用いることで、製膜時にシール層やその他の層との溶融粘度差が小さくなるため、均一な厚さのフィルムが得られやすい傾向がある。MFRの下限は、好ましくは0.7g/10分以上であり、上限は、好ましくは2.5g/10分以下であり、より好ましくは1.0g/10分以下である。
シール隣接層の厚さのフィルムの総厚に対する比率の下限は、特に限定されないが、シール隣接層を設けることにより、目的に応じてフィルムの柔軟性や強度の調整が行うこと容易になる。シール隣接層の厚さのフィルムの総厚に対する比率の上限は、フィルム強度などの観点から、好ましくは80%以下、好ましくは70%以下、さらに好ましくは60%以下とすることが望ましい。またシール隣接層の厚さを80%以下にすることにより、他の機能を発現する為の層を配することが容易になる。
シール隣接層の厚さは、フィルムの機械強度の観点から、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上、さらに好ましくは20μm以上であり、好ましくは90μm以下、より好ましくは70μm以下、さらに好ましくは65μm以下である。シール隣接層の厚さを10μm以上とすることにより、耐ピンホール性が向上する傾向となり、また90μm以下にすることにより、他の機能を発現する為の層を配したり、ハンドリング性が向上する傾向となり好ましい。
(接着樹脂層)
本発明のフィルムは、表面層と中間層との間、中間層とシール隣接層との間に、接着樹脂層を配設することができる。
接着樹脂層で使用される接着樹脂は、表面層、中間層、シール隣接層を必要な強度で接着できれば特に限定されない。接着性樹脂は、好ましくは不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性されたポリオレフィン系樹脂である。不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸等が挙げられる。また接着樹脂として、前記不飽和カルボン酸のエステルや無水物も用いることができ、さらに誘導体としてアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、酢酸ビニル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸ナトリウム等を用いることができる。
市販の接着樹脂としては、例えば、三菱ケミカル社製、商品名モディック(登録商標)が挙げられる。
(その他の成分)
本発明のフィルムは、本発明の効果を著しく阻害しない範囲内で、成形加工性、生産性等の諸性質を改良・調整する目的で、シリカ、タルク、カオリン、炭酸カルシウム等の無機粒子、酸化チタン、カーボンブラック等の顔料、難燃剤、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、溶融粘度改良剤、架橋剤、滑剤、核剤、可塑剤、老化防止剤などの添加剤を適宜添加できる
(フィルム全体のバイオマス度)
本発明の深絞り成形用多層フィルムでは、シール隣接層、及び、シール層の少なくとも一方の層は、植物由来ポリオレフィン系樹脂を含んでいることが好ましい。
既に述べたとおり、モダン炭素比率が10~107pMCである層は、植物由来の合成樹脂を含有する層であることを意味するが、本発明の深絞り成形用多層フィルムは、多層フィルム全体のモダン炭素比率が10~107pMCであることが好ましい。カーボンオフセット性の観点から、多層フィルム全体のモダン炭素比率の下限は、より好ましくは15pMC以上、さらに好ましくは17pMC以上である。さらに、モダン炭素比率が26.8pMC以上であれば、バイオマスプラ識別表示制度による「バイオマスプラ」と称することが許容される(107pMC×0.25=26.75pMCを超えている。)。
(本発明の深絞り成形用多層フィルムの層構成)
例えば、表面層(A)、中間層として、PA層(B)及びEVOH層(C)、シール隣接層(D)、シール層(E)で表した場合、以下の層構成を形成することができる。
尚、各樹脂層の層間には、必要に応じて接着樹脂層を配してもよい。
(1) A/B/C/D/E、
(2) A/C/B/D/E、
(3) A/B/C/B/D/E、
(4) A/B/D/E、
(5) A/C/D/E、
(本発明の深絞り成形用多層フィルムの用途)
本発明の深絞り成形用多層フィルムは、様々な用途に適用可能であるが、例えばボイル殺菌用途において、好適に使用可能である。本発明の深絞り成形用多層フィルムは、ポリプロピレン系樹脂またはポリアミド系樹脂を主成分として含む、ボイル耐融着性を有する表面層を有する。よって、本発明の深絞り成形用多層フィルムを深絞り成形して底材とし、蓋材と組み合わせて形成した包装体は、ボイル殺菌用途において好適に使用可能である。
<深絞り成形用多層フィルムの製膜方法>
本発明の共押出多層フィルムは、公知の方法を用いて作製することができる。例えば、押出ラミネーション法、共押出インフレーション法、共押出Tダイ法等を用いることができ、特に、フィルムの層数が多い場合でも製膜工程は変わらない点や厚さ制御が比較的容易である点で共押出Tダイ法を用いることが好ましい。
<深絞り成形体、深絞り包装体>
本発明の深絞り成形用多層フィルムは、深絞り成形することにより深絞り成形体とすることが出来る。さらに本発明の深絞り成形体と蓋材を用いて、深絞り包装体を得ることができる。
本発明の深絞り包装体に使用できる蓋材は、本発明の深絞り成形用多層フィルや成形体とヒートシールが可能で、好ましくはイージーピール性が得られれば特に制限はない。例えば、延伸ポリプロピレン樹脂層とバリアポリアミド層と直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)層をラミネートした蓋材や延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂と共押出フィルム(EVOH層、PA層を含み、LLDPEをシール層としたフィルム)とをラミネートした蓋材を挙げることができる。
本発明のフィルムを深絞り成形体(底材)として用いる場合、例えば、本発明のフィルムを深絞り成形型で所望の形状及び大きさに成形した後(フィルム供給工程及びフィルム成形工程)、その中にスライスハム等の内容物を充填し(内容物充填工程)、さらにその上から蓋材フィルムでシールして(蓋材フィルム供給工程及びシール工程)、真空包装し(真空包装工程)、冷却し(冷却工程)、カットすることにより(切断工程)、深絞り包装体を作製することができる。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
<深絞り用成形用多層フィルムの作製>
(実施例1)
全層共押出による下記層構成のフィルムを得て、実施例1とした。
PP(26μm)/接着樹脂1(7μm)/PA1(6μm)/EVOH1(9.5μm)/PA1(9μm)/接着樹脂1(10μm)/PE1(29μm)/EP1(3.5μm)、
総厚さ:100μm、
PP:プライムポリマー社製ランダムポリプロピレン(プロピレン-エチレンランダム共重合体)、密度:0.9g/cm
接着樹脂1:三菱ケミカル社製モディック(登録商標)変性ポリオレフィン樹脂、密度:0.9g/cm
PA1:ディーエスエムジャパンエンジニアリングプラスチック社製ノバミッド、66PA比率15%の6-66共重合PA、密度:1.13g/cm
EVOH1:三菱ケミカル社製ソアノール、エチレン含有率32mol、密度1.19g/cm
PE1:ブラスケム社製グリーンポリエチレン(登録商標)、植物由来のLLDPEであるエチレン・α-オレフィン共重合体。バイオマス度:84%(モダン炭素比率89.9pMC(107pMC×0.84=89.88pMCとして算出した結果に基づく。))、密度:0.916g/cm、MFR:0.80g/10分(JIS K7210-1 A法(2014)、温度:190℃、荷重2.16kgf)、
EP1:LLDPE1(65%)とポリブテン(35%)のブレンド、
LLDPE1:日本ポリエチレン社製ポリエチレン、密度:0.922g/cm3、MFR:3.8g/10分(JIS K7210-1 A法(2014)、温度:190℃、荷重2.16kgf)、
ポリブテン:三井化学製ポリブデン、密度:0.91g/cm
(実施例2)
全層共押出による下記層構成のフィルムを得て、実施例2とした。
PP(29μm)/接着樹脂1(8μm)/PA1(6μm)/EVOH1(10μm)/PA1(10μm)/接着樹脂1(11μm)/PE1(43μm)/EP2(4μm)、
総厚さ:121μm、
EP2:LDPE1(80%)とポリブテン(20%)のブレンド、
LDPE1:ブラスケム社製グリーンポリエチレン、植物由来のLDPE。バイオマス度:95%(モダン炭素比率101.7pMC(107pMC×0.95=101.65pMCとして算出した結果に基づく。))、密度:0.922g/cm、MFR:3.8g/10分(JIS K7210-1 A法(2014)、温度:190℃、荷重2.16kgf)、
(実施例3)
全層共押出による下記層構成のフィルムを得て、実施例3とした。
PP(26μm)/接着樹脂1(7μm)/PA1(6μm)/EVOH1(9.5μm)PA1(9μm)/接着樹脂1(10μm)/PE1(29μm)/EP3(3.5μm)、
総厚さ:100μm、
EP3:LDPE1(60%)とポリブテン(40%)のブレンド、
(実施例4)
全層共押出による下記層構成のフィルムを得て、実施例4とした。
PA1(20μm)/接着樹脂1(14μm)/PA1(40μm)/EVOH2(7μm)/接着樹脂1(8μm)/PE1(46μm)/EP1(5μm)、
総厚さ:140μm、
EVOH2:三菱ケミカル社製ソアノール(登録商標)、エチレン含有率38mol、密度1.17g/cm
(実施例5)
全層共押出による下記層構成のフィルムを得て、実施例5とした。
PA1(20μm)/接着樹脂1(14μm)/PA1(40μm)/EVOH2(7μm)/接着樹脂1(8μm)/PE1(46μm)/EP2(4μm)、
総厚さ:140μm
(実施例6)
全層共押出による下記層構成のフィルムを得て、実施例6とした。
PA1(19μm)/接着樹脂1(18μm)/PA1(42μm)/EVOH2(20μm)/接着樹脂1(14μm)/PE1(62μm)/EP2(5μm)、
総厚さ:180μm
(実施例7)
全層共押出による下記層構成のフィルムを得て、実施例7とした。
PA1(32μm)/接着樹脂1(19μm)/PA1(45μm)/EVOH2(20μm)/接着樹脂1(15μm)/PE1(82μm)/EP2(7μm)、
総厚さ:220μm
(実施例8)
全層共押出による下記層構成のフィルムを得て、実施例8とした。
PP(26μm)/接着樹脂1(7μm)/PA1(6μm)/EVOH1(9.5μm)/PA1(9μm)/接着樹脂1(10μm)/PE1(29μm)/EP4(3.5μm)、
総厚さ:100μm、
EP4:LDPE2(60%)とポリブテン(40%)のブレンド、
LDPE2:ブラスケム社製グリーンポリエチレン、植物由来のLDPE。バイオマス度:95%(モダン炭素比率101.7pMC(107pMC×0.95=101.65pMCとして算出した結果に基づく。))、密度:0.918g/cm、MFR:8.1g/10分(JIS K7210-1 A法(2014)、温度:190℃、荷重2.16kgf)、
ポリブテン:三井化学製タフマー、密度:0.91g/cm
(比較例1)
全層共押出による下記層構成のフィルムを得て、比較例1とした。
PP(26μm)/接着樹脂1(7μm)/PA1(6μm)/EVOH1(9.5μm)/PA1(9μm)/接着樹脂1(10μm)/PE2(29μm)/EP1(3.5μm)、
総厚さ:100μm、
PE2:日本ポリエチレン社製ノバテック(登録商標)、密度:0.918g/cm、MFR:2.0g/10分(JIS K7210-1 A法(2014)、温度:190℃、荷重2.16kgf)、
(比較例2)
全層共押出による下記層構成のフィルムを得て、比較例2とした。
PA1(20μm)/接着樹脂1(14μm)/PA1(40μm)/EVOH2(7μm)/接着樹脂1(8μm)/PE2(46μm)/EP1(5μm)、
総厚さ:140μm
(比較例3)
全層共押出による下記層構成のフィルムを得て、比較例3とした。
PETG(28.5μm)/接着樹脂1(5μm)/PA1(5.5μm)/EVOH1(6μm)/接着樹脂1(5μm)/PE1(16.5μm)/EP4(3.5μm)
総厚さ:70μm
PETG:SKケミカル社製S2008(CHDM系共重合ポリエステル樹脂)
<パックサンプルの作製>
上記にて作製した深絞り成形用多層フィルムを用いて、深絞り包装機(大森機械工業社製FV6300)によって深絞り成形をし、ハンバーグ(50g)充填し、真空包装した。深絞り成型部の大きさは直径98mm、絞り深さ20mmの円柱状である。パック品の大きさは縦150mm、横130mmである。成型加熱温度は95℃。成型時間は1.5秒である。使用した蓋材の構成は下記のとおりである。なお、「//」はドライラミネート法による接着を表す。
OPP(30μm)//バリアポリアミド(12μm)//LLDPE(40μm)、
OPP:トーセロ社製OPU-1、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、
バリアポリアミド:三菱ケミカル社製スーパーニール(登録商標)二軸延伸ポリアミドフィルム、
LLDPE:三井化学東セロ社製、無延伸ポリエチレンフィルム、
<評価>
作製した深絞り成形用多層フィルム及びパックサンプル品について、評価を行った。各評価方法を以下に説明する。
(イージーピール性)
深絞り包装機により作製したパックサンプルのイージーピール性の有無について以下のように評価した。結果を表1に記す。
各実施例及び比較例にて得られた深絞り成形用多層フィルムを用いて、ヒートシールバーを用いて、先述の蓋材とヒートシールを行い、シール温度140℃、シール時間3秒、シール圧力2.1kg/cmでフィルム幅方向にヒートシールした。そのシール部分を15mm幅の短冊状に切り取り、23℃条件下でそれぞれ引張試験にて200mm/分の引張速度で引っ張り、応力(剥離強度)を測定した。測定されたイージーピール層の剥離強度から、1N/15mm幅以上5N/15mm幅以下を「○」、5N/15mm幅超を「×」として、「〇」について当該用途において「イージーピール性を有する」と評価した。
イージーピール機能を有する:○
イージーピール機能を有しない:×
(イージーピール剥離性)
深絞り包装機により作製したパックサンプルに対して、イージーピール剥離を行った。
イージーピール剥離時、毛羽立ち・膜残りが発生しない:○
イージーピール剥離時、毛羽立ち・膜残りが一部発生:△
イージーピール剥離が出来なかった:×
(耐ボイル性)
深絞り包装機により作製したパックサンプルに対してボイル殺菌試験を行い、シール後退や破袋の有無を確認した。パック品はそれぞれ5パックを試験体とし、試験は95℃熱水に30分試験体を浸すことにより行った。
5パック中、すべてでシール後退や破袋の発生がない:〇
5パック中、1パック以上で、軽微なシール後退(5mm未満)が発生:△
5パック中、1パック以上で、5mm以上のシール後退もしくは破袋が発生:×
(ボイル耐融着性)
深絞り包装機により作製したパックサンプル同士を深絞り成形用多層フィルム同士が接するようにテープで固定した。ボイル殺菌試験を行い、深絞り成形用多層フィルム同士の融着を確認した。パックサンプル2個をテープで固定したものを1検体とし3検体を試験体とし、試験は95℃熱水に30分試験体を浸すことにより行った。
3検体中、すべてで融着がない:〇
3検体中、1検体以上で、融着が発生:×
(バイオマス度)
深絞り成形用多層フィルム中に含有されるモダン炭素比率を、配合した植物由来ポリエチレン系樹脂のモダン炭素比率を基に算出した結果を表に記す。
例えば、実施例1であれば、
(0.916×107pMC×0.84×29μm)/(100μm×0.96)=24.9pMCである。
Figure 2022153038000001
本発明の深絞り成形用多層フィルム(実施例1~8)は、すべての項目において良好な結果を示し、包装体としたときのシール性やイージーピール性が良好であり、かつ、ボイル殺菌に堪えうる耐熱性を有することが示された。さらに、本発明の深絞り成形用多層フィルムは、モダン炭素比率が所定の範囲となっており、製造時及び廃棄時の二酸化炭素の排出量を削減することができる構成であることが示された。また、実施例8の深絞り成形用多層フィルムは、イージーピール層に含まれる植物由来PEの密度が好ましい範囲を外れており、耐ボイル性が若干劣っていた。
これに対して、比較例1、2の多層フィルムは、植物由来のポリオレフィン系樹脂を含まず、フィルム全体のモダン炭素比率が本発明の範囲外であり、製造時及び廃棄時の二酸化炭素の排出量を削減することができる構成とはなっていない。
また、比較例3の多層フィルムは、表面層のPETG系樹脂により構成されており、ボイル耐融着性に劣る結果となった。
本発明の深絞り成形用多層フィルムによれば、製造時及び廃棄時の二酸化炭素の排出量を削減することができ、包装体としたときのシール性やイージーピール性が良好であり、かつ、包装体としたときにボイル殺菌に堪えうる耐熱性を有する。よって、ボイル殺菌用途の包装体であって、イージーピール性が所望されている用途において、好適に使用可能である。

Claims (10)

  1. 表面層、中間層、シール隣接層、シール層を少なくとも有し、この順に積層された、下記(1)~(4)を満たす、深絞り成形用多層フィルム。
    (1)前記表面層がポリプロピレン系樹脂またはポリアミド系樹脂を主成分として含む、
    (2)前記中間層が、ポリアミド系樹脂を主成分とする層及びエチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物樹脂を主成分とする層のいずれか一方、または、これら両方を有する、
    (3)前記シール隣接層、前記シール層は、ポリオレフィン系樹脂を主成分として含む、
    (4)前記表面層、前記中間層、前記シール隣接層、前記シール層のいずれかの層に植物由来ポリオレフィン系樹脂を含む、
  2. さらに、下記(5)を満たす、請求項1に記載の深絞り包装用多層フィルム。
    (5)放射性炭素年代測定14Cの測定値から算定するモダン炭素比率が10pMC~107pMCである。
  3. さらに、下記(6)を満たす、請求項1または2に記載の深絞り包装用多層フィルム。
    (6)前記シール隣接層、前記シール層の少なくとも一方の層に植物由来ポリオレフィン系樹脂を含む。
  4. 前記シール層が、イージーピール層であり、該イージーピール層全体の質量を100質量%としたとき、下記に示す50質量%以上90質量%以下の樹脂組成物Aと、10質量%以上50質量%以下の樹脂組成物Bとを有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の深絞り成形用多層フィルム。
    樹脂組成物A:前記植物由来ポリオレフィン系樹脂を主成分として有するポリオレフィン系樹脂からなる樹脂組成物、
    樹脂組成物B:前記樹脂組成物Aと非相溶な樹脂組成物。
  5. 前記イージーピール層に含まれる前記植物由来ポリオレフィン系樹脂が植物由来ポリエチレン系樹脂であり、該植物由来ポリエチレン系樹脂の密度が0.920~0.930g/cmであり、メルトフローレート(JIS K7210-1 A法(2014)、温度:190℃、荷重2.16kgf)が2.5g/10分以上10.0g/10分以下である、請求項4に記載の深絞り成形用多層フィルム。
  6. 前記イージーピール層に含まれる、前記非相溶な樹脂が、ポリブテン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂から選ばれる少なくとも1種類を含む、請求項4または5に記載の深絞り成形用多層フィルム。
  7. 前記シール隣接層が、植物由来ポリエチレン系樹脂を主成分として含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の深絞り成形用多層フィルム。
  8. ボイル殺菌用である、請求項1~7のいずれか1項に記載の深絞り成形用多層フィルム。
  9. 請求項1~8のいずれか1項に記載の深絞り成形用多層フィルムを深絞り成形してなる深絞り成形体。
  10. 請求項9に記載の深絞り成形体と蓋材とからなる深絞り包装体。
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