JP2022150464A - エンジンシステム - Google Patents

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Kanae Kotani
千典 平林
Kazunori Hirabayashi
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Takumi Uemura
友巳 渡辺
Tomomi Watanabe
茂行 平下
Shigeyuki Hirashita
啓介 山本
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Abstract

【課題】触媒を活性状態にするための制御を行う場合に、燃料の分割噴射を的確に行うことで、気筒内のスワール流を利用してピストンへの燃料付着を効果的に抑制する。【解決手段】エンジンシステム100において、PCM80は、触媒45が不活性状態である場合に、SCV43によるスワール流が燃焼室16内に生成された状態において、圧縮上死点後に点火させるように点火プラグ32を制御すると共に、第1乃至第3噴射からなる分割噴射を行うようにインジェクタ28を制御する。具体的には、PCM80は、最大量の燃料を吸気行程中に噴射する第1噴射と、この第1噴射の後に当該第1噴射よりも少ない燃料を噴射する第2噴射と、この第2噴射の後であって圧縮行程中に当該第2噴射よりも多い燃料を噴射する第3噴射と、を行うようにインジェクタ28を制御する。【選択図】図4

Description

本発明は、エンジンの排気通路上に設けられた触媒を活性状態にするための制御を行うエンジンシステムに関する。
従来から、エンジンの始動時などにおいて、エンジンの排気通路上に設けられた触媒が不活性状態である場合に、具体的には触媒の温度が活性温度未満である場合に、触媒による排気ガスの浄化性能を確保すべく、触媒を速やかに昇温させて活性状態にするための制御(触媒活性制御)が行われている。このような触媒活性制御として、冷間時などに、高温の排気ガスを触媒に流入させて触媒を昇温させるべく、点火時期を圧縮上死点後まで遅らせる制御が知られている。
この種の技術が、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1には、冷間時に圧縮上死点後に点火させる触媒活性制御を行う技術に関して、エンジンの吸気行程と圧縮行程前半と圧縮行程後半との3回にわたって燃料を噴射(分割噴射)し、圧縮行程前半では、燃焼室内に生成されたタンブル流の渦中心に向かって燃料を噴射する技術が開示されている。こうすることで、触媒の早期活性化のために点火時期を圧縮上死点後まで遅らせても、ピストンへの燃料付着を抑制してエミッション性能の悪化を防止しつつ、点火プラグ周辺にリッチな領域を形成して燃焼安定性を向上させるようにしている。
特開2016-223411号公報
上記の特許文献1に開示された技術では、タンブル流の渦中心に向かって燃料を噴射させることで、燃料の噴射方向の貫徹力をこの噴射方向に直交するタンブル流によって低減させることにより、燃料がタンブル流を貫徹してピストンに付着することを抑制している。しかしながら、この技術では、ピストンへの燃料付着を十分に抑制できない場合があった。その理由は以下の通りである。
気筒内に生成されるタンブル流は縦渦であるため、このタンブル流は、気筒内で上下方向に流れることで、ピストンの冠面と接触する傾向にある。そのため、上記の特許文献1に開示された技術では、噴射された燃料がタンブル流を貫徹してピストンに付着しなくても、この燃料がタンブル流に乗って下方へと流れていくことで、ピストンに接触して付着する場合があった。その結果、エミッション性能が悪化してしまう可能性があった。
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、触媒を活性状態にするための制御を行う場合に、燃料の分割噴射を的確に行うことで、気筒内のスワール流を利用してピストンへの燃料付着を効果的に抑制することができるエンジンシステムを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、エンジンシステムであって、燃焼室を形成する気筒と、気筒内において往復運動するピストンと、ピストンの軸線方向に対して傾いて設けられ、燃料を気筒内に直接噴射する燃料噴射弁と、気筒内の燃料と吸気との混合気に点火する点火プラグと、を備えるエンジンと、エンジンの気筒内にスワール流を生成するスワール流生成機構と、エンジンの排気通路上に設けられ、排気ガスを浄化する触媒と、燃料噴射弁及び点火プラグを制御するよう構成された制御器であって、触媒が不活性状態である場合に、エンジンの圧縮上死点後に点火させるように点火プラグを制御するよう構成された制御器と、を有し、制御器は、触媒が不活性状態である場合に、エンジンの吸気行程中に燃料を噴射する第1噴射と、第1噴射の後に燃料を噴射する第2噴射と、第2噴射の後であってエンジンの圧縮行程中に燃料を噴射する第3噴射と、を行うと共に、第1噴射の燃料噴射量が第2及び第3噴射の燃料噴射量よりも多くなり、且つ、第3噴射の燃料噴射量が第2噴射の燃料噴射量よりも多くなるように、燃料噴射弁を制御するよう構成されている、ことを特徴とする。
このように構成された本発明では、制御器は、触媒が不活性状態である場合に、燃焼室への吸気の導入に付随するスワール流(横渦)が燃焼室内に生成された状態において、圧縮上死点後に点火させるように点火プラグを制御すると共に、第1乃至第3噴射からなる分割噴射を行うように燃料噴射弁(インジェクタ)を制御する。具体的には、制御器は、最大量の燃料を吸気行程中に噴射する第1噴射と、この第1噴射の後に当該第1噴射よりも少ない量の燃料を噴射する第2噴射と、この第2噴射の後であって圧縮行程中に当該第2噴射よりも多い量の燃料を噴射する第3噴射と、を行うように燃料噴射弁を制御する。
最初の第1噴射を行うタイミング(つまり吸気行程)ではスワール流が強いので、この第1噴射の燃料噴射量を最大量に設定することで、第1噴射の燃料噴霧による貫徹力(以下では「噴霧貫徹力」と呼ぶ。)を大きくする。これにより、第1噴射による燃料噴霧を、スワール流を貫徹させて渦中心付近に到達させた後に、この渦中心付近に滞留させることができる。すなわち、第1噴射による燃料噴霧を、点火プラグ付近に的確に滞留させることができる。次いで、第1噴射の後の第2噴射を行うタイミングではスワール流が弱いので、第2噴射の燃料噴射量を第1噴射よりも少なくして噴霧貫徹力を小さくすることで、この第2噴射による燃料噴霧を点火プラグ付近に的確に滞留させることができる。次いで、第2噴射の後の第3噴射を行うタイミングでは、第2噴射のときと同様にスワール流が弱いが、このスワール流に付随して発生する、燃焼室の周縁から中心部に向かうような2次的な流れ(以下では「2次流れ」と呼ぶ。)を利用可能である。そのため、第3噴射を行うタイミングにおいては、この2次流れをスワール流と共に利用できるので、第3噴射の燃料噴射量を第2噴射よりも多くしても、第3噴射による燃料噴霧を点火プラグ付近に的確に滞留させることができる。
以上より、本発明によれば、第1乃至第3噴射(分割噴射)のそれぞれの燃料噴射量を適切に設定することで、燃焼室内のスワール流(スワール流に起因する2次流れも含む)を利用して、各噴射による燃料噴霧を点火プラグ付近に的確に滞留させることができる。これにより、触媒の早期活性化のために点火時期を圧縮上死点後まで遅らせても、ピストンへの燃料付着を効果的に抑制することができ、エミッション性能の悪化を防止することが可能となる。また、点火プラグ付近に燃料のリッチな領域が形成されるので、燃焼安定性も確保可能である。
本発明において、好ましくは、制御器は、第1噴射を吸気行程前半に行い、第2噴射を吸気行程後半に行うように、燃料噴射弁を制御するよう構成されている。
このように構成された本発明によれば、吸気行程前半ではスワール流が強く、吸気行程後半ではスワール流が弱いので、このようなスワール流の強さに合わせて上記のように第1及び第2噴射の燃料噴射量を設定することで、第1及び第2噴射による燃料噴霧を点火プラグ付近により確実に滞留させることができる。
本発明において、好ましくは、エンジンシステムは、自動変速機を有する車両に適用され、制御器は、自動変速機のレンジが走行レンジである場合と非走行レンジである場合とで、第1乃至第3噴射を行う時期、及び、第1乃至第3噴射のそれぞれの燃料噴射量を変えるように、燃料噴射弁を制御するよう構成されている。
このように構成された本発明によれば、自動変速機のレンジに応じて、第1乃至第3噴射のそれぞれの燃料噴射時期及び燃料噴射量を変えるので、走行レンジ及び非走行レンジのそれぞれに適した触媒活性制御を行うことができる。
本発明において、好ましくは、制御器は、自動変速機のレンジが走行レンジである場合と非走行レンジである場合とで、エンジン回転数及び点火プラグの点火時期を更に変えるように、エンジンを制御するよう構成されている。
このように構成された本発明によれば、自動変速機のレンジに応じてエンジン回転数及び点火時期を更に変えるので、走行レンジ及び非走行レンジのそれぞれにより適した触媒活性制御を行うことができる。
本発明において、好ましくは、エンジンシステムは、手動変速機を有する車両に適用され、制御器は、触媒が不活性状態である場合において、手動変速機のギヤポジションがニュートラルギヤに設定されている場合、又は手動変速機のクラッチが切断されている場合に、第1乃至第3噴射を行うように燃料噴射弁を制御するよう構成されている。
このように構成された本発明によれば、手動変速機を有する車両での触媒活性制御を実施可能な状況において、本発明による第1乃至第3噴射を的確に行うことができる。
本発明において、好ましくは、ピストンの冠面は、キャビティが形成されておらず、ほぼ平坦に形成されている。
このように構成された本発明によれば、触媒活性制御時におけるピストンへの燃料付着(キャビティへの燃料付着など)をより効果的に抑制することができる。
本発明において好適には、点火プラグは、燃焼室の天井の中央部に設けられている。
また、好適には、スワール流生成機構は、エンジンの吸気通路内に設けられたスワールコントロールバルブである。
本発明のエンジンシステムによれば、触媒を活性状態にするための制御を行う場合に、燃料の分割噴射を的確に行うことで、気筒内のスワール流を利用してピストンへの燃料付着を効果的に抑制することができる。
本発明の実施形態によるエンジンシステムの概略構成図である。 本発明の実施形態によるエンジンの斜視図である。 本発明の実施形態によるエンジンシステムの電気的構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態による分割噴射の典型例を示すタイムチャートである。 燃料噴霧を点火プラグ周辺に滞留させるための基本的な考え方についての説明図である。 本発明の実施形態における第1乃至第3噴射のそれぞれにより燃焼室内に形成すべき燃料噴霧の流動についての説明図である。 アインシュタインのティーカップ問題についての説明図である。 本発明の実施形態による全体制御を示すフローチャートである。 本発明の実施形態による触媒活性制御を示すフローチャートである。 本発明の実施形態による触媒活性制御の他の例を示すフローチャートである。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態によるエンジンシステムについて説明する。
[エンジンシステムの構成]
図1は、本実施形態によるエンジンシステムの概略構成図である。図1に示すように、エンジンシステム100は、車両に搭載されるエンジン1を有する。このエンジン1は、少なくともガソリンを含有する燃料が供給されるガソリンエンジンである。具体的には、エンジン1は、気筒2が設けられたシリンダブロック4(なお、図1では、1つの気筒2のみを図示するが、例えば4つの気筒2が直列に設けられる)と、このシリンダブロック4上に配設されたシリンダヘッド6と、シリンダブロック4の下側に配設され、潤滑油が貯留されたオイルパン8とを有している。各気筒2内には、コンロッド10を介してクランクシャフト12と連結されているピストン14が往復動可能に嵌挿されている。これらのシリンダヘッド6、気筒2及びピストン14は、エンジン1の燃焼室16を画定する。
エンジン1には、吸気通路40から吸気が供給される。この吸気通路40上には、エンジン1に供給する吸気量を調整可能なスロットルバルブ41、及び、エンジン1に供給する吸気を一時的に蓄えるサージタンク42などが設けられている。また、吸気通路40の一部分は、エンジン1に接続された吸気ポート18を構成する。
エンジン1には、気筒2毎に、各々独立した2つの吸気ポート18及び2つの排気ポート20が接続されていると共に、これら吸気ポート18及び排気ポート20には、燃焼室16側の開口を開閉する吸気バルブ22及び排気バルブ24がそれぞれ配設されている。ここで、吸気バルブ22の開弁及びピストン14の下降に応じて、吸気ポート18から燃焼室16内に流入した吸気により、タンブル流(縦方向の渦流/縦渦)が生成される。
また、各気筒2において、2つの吸気ポート18の一方には、当該吸気ポート18の流路を開閉するスワールコントロールバルブ(以下では適宜「SCV」と表記する。)43が設けられている。なお、図1では、SCV43が設けられた一方の吸気ポート18のみを図示し、SCV43が設けられていない他方の吸気ポート18については図示していない。
SCV43が閉じている場合には、2つの吸気ポート18のうちの一方のみから燃焼室16内に吸気が流入することで、スワール流(横方向の渦流/横渦)が燃焼室16内に生成される。このSCV43は、本発明における「スワール流生成機構」の一例に相当する。なお、「スワール流生成機構」としてSCV43を用いることに限定はされず、他の例では、スワール流が燃焼室16内に生成されるような形態に吸気ポートを形成してもよく、その場合には当該吸気ポートが「スワール流生成機構」に相当する。
エンジン1のシリンダヘッド6の下面は、燃焼室16の天井26を形成している。この天井26は、中央部からシリンダヘッド6下端まで延びる2つの対向する傾斜面を有する、いわゆるペントルーフ型となっている。また、シリンダヘッド6には、気筒2毎に、気筒2内に燃料を直接噴射する(直噴)インジェクタ(燃料噴射弁)28が取り付けられている。インジェクタ28は、ピストン14の軸線方向(つまりピストン14の移動方向)に対して傾いて設けられている。より詳しくは、インジェクタ28は、その噴口が、燃焼室16の天井26の周縁部において2つの吸気ポート18の間から斜め下方に向かってその燃焼室16内に臨むように配設されている。
更に、エンジン1のシリンダヘッド6には、気筒2毎に、燃焼室16内の混合気に強制点火する点火プラグ32が取り付けられている。点火プラグ32は、燃焼室16の天井26の中央部から下方へ延びるように、シリンダヘッド6内を貫通して配置されている。また、シリンダヘッド6には、各気筒2の吸気バルブ22及び排気バルブ24をそれぞれ駆動するバルブ駆動機構36が設けられている。このバルブ駆動機構36は、例えば、吸気バルブ22及び排気バルブ24のリフト量を変更することが可能な可変バルブリフト機構や、クランクシャフト12に対するカムシャフトの回転位相を変更することが可能なバルブ位相可変機構である。
上述したように、エンジン1の一側面には吸気通路40が接続されている一方で、エンジン1の他側面には、各気筒2の燃焼室16からの既燃ガス(排気ガス)を排出する排気通路44が接続されている。この排気通路44上には、排気ガスを浄化する触媒45(詳しくは触媒コンバータ)が設けられている。また、排気通路44において触媒45の下流側には、排気ガスを吸気通路40に還流させるためのEGR通路46が接続されている。このEGR通路46上には、還流させる排気ガス(以下では適宜「EGRガス」と呼ぶ。)を冷却するためのEGRクーラ47、及び、吸気通路40に還流させるEGRガスの量を調整するためのEGRバルブ48が設けられている。
次に、図2は、本実施形態によるエンジン1のピストン14、インジェクタ28及び点火プラグ32の詳細構造を示す斜視図である。図2に示すように、インジェクタ28は、複数の噴口30を有する多噴口型のインジェクタである。インジェクタ28は、当該インジェクタ28の軸線方向が水平方向から所定角にて下方に傾斜するように設けられている。これにより、インジェクタ28の各噴口30から噴射された燃料噴霧は、燃焼室16の天井26の周縁部から斜め下方に向かって放射状に広がる。
また、ピストン14の頂部を形成するピストン冠面14aは、その中央に向かって隆起するように凸型に形成されている。具体的には、ピストン冠面14aの中央には、ピストン14の軸線方向(換言するとピストン14の移動方向)に直交する水平面に沿った平坦面14bが、比較的広範囲にわたって形成されている。ピストン冠面14aには、所謂キャビティが形成されていない。
また、ピストン冠面14aは、当該ピストン冠面14aのインジェクタ28側の端部から中央に向かって斜め上方に延びるインジェクタ側斜面14cと、ピストン冠面14aのインジェクタ28から離間した側(以下、必要に応じて「反インジェクタ側」)の端部から中央に向かって斜め上方に延びる反インジェクタ側斜面14dとを備えている。これらのインジェクタ側斜面14c及び反インジェクタ側斜面14dは、燃焼室16の天井26(図1参照)に沿うように形成されている。
また、ピストン冠面14aのインジェクタ側の端部及び反インジェクタ側の端部には、水平面14eが形成されている。更に、ピストン冠面14aの反インジェクタ側斜面14dには、ピストン14と排気バルブ24との接触を回避するように窪んだ排気バルブリセス14fが形成されている。なお、ピストン14と吸気バルブ22との接触回避は、インジェクタ側斜面14cなどによって実現されるようになっている。
次に、図3は、本実施形態によるエンジンシステム100の電気的構成を示すブロック図である。PCM(パワートレイン・コントロール・モジュール)80は、回路により構成されており、周知のマイクロコンピュータをベースとする制御器である。PCM80は、プログラムを実行する中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)としての1以上のマイクロプロセッサ80aと、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)により構成されてプログラム及びデータを格納するメモリ80bと、電気信号の入出力を行う入出力バス等を備えている。
PCM80には、各種のセンサなどが接続されている。具体的には、PCM80には、主に、アクセル開度センサS1、クランク角センサS2、水温センサS3、車速センサS4、及びイグニッションスイッチS5が接続されている。アクセル開度センサS1は、アクセルペダルの操作量に対応したアクセル開度を検出する。クランク角センサS2は、クランクシャフト12の回転角(エンジン回転数に対応する)を検出する。水温センサS3は、エンジン1を冷却する冷却水の温度(水温)を検出する。車速センサS4は、車両の速度(車速)を検出する。イグニッションスイッチS5は、車両を始動させるためにドライバにより操作されるスイッチである。これらのセンサ及びスイッチS1~S5から出力された信号(検出信号や操作信号)は、PCM80に入力される。
PCM80は、上記のセンサ及びスイッチS1~S5から入力された信号に基づいて、予め定められている制御ロジックに従って、各デバイスの制御量を演算する。制御ロジックは、メモリ80bに記憶されている。制御ロジックは、メモリ80bに記憶しているマップなどを用いて、目標量及び/又は制御量を演算することを含む。PCM80は、演算した制御量に係る制御信号を、主に、インジェクタ28、点火プラグ32、SCV43及びEGRバルブ48に出力する。
[制御内容]
次に、本実施形態においてPCM80が行う制御内容について説明する。本実施形態では、PCM80は、エンジン1の始動時などにおいて触媒45が不活性状態である場合に、高温の排気ガスを触媒45に流入させて、触媒45を速やかに昇温させて活性状態にすべく、点火プラグ32の点火時期を圧縮上死点後まで遅らせる制御(触媒活性制御)を行う。具体的には、PCM80は、エンジン1の始動直後又は車両の停止時で、且つ、水温が所定範囲内(例えば-10~45℃)で、尚且つ、予測された触媒45の温度(以下では適宜「予測触媒温度」と呼ぶ。)が所定温度未満(例えば300℃未満)である、という触媒活性制御の実行条件が成立する場合に、この触媒活性制御を行う。また、PCM80は、このような触媒活性制御中に、スワール流が燃焼室16内に生成されるように、SCV43を全閉に設定する。
ここで、上記の特許文献1にも記載されているように、点火時期を圧縮上死点後まで遅らせると、着火安定性や燃焼安定性が低下する傾向にあるので、これに対処すべく、吸気行程及び圧縮行程にわたって燃料を複数回噴射(つまり分割噴射)することで、点火プラグ32の周辺に燃料のリッチな領域を形成する方法がある。しかしながら、このような分割噴射を行うと、燃料の一部がピストン14に付着することで、スモークやHC(未燃焼ガス)が増加して、エミッション性能が悪化する場合がある。したがって、本実施形態では、触媒活性制御を行う場合に、インジェクタ28から噴射された燃料がピストン14に付着することを抑制すべく、この燃料を点火プラグ32付近に滞留させるように分割噴射を行うようにする。
図4を参照して、本実施形態による分割噴射の基本概念について説明する。図4は、本実施形態による分割噴射の典型例を示すタイムチャートである。図4に示すように、本実施形態では、PCM80は、触媒45の早期活性化のために圧縮上死点後に点火する触媒活性制御を行う場合に、吸気行程中に燃料を噴射する第1噴射と、この第1噴射の後に燃料を噴射する第2噴射と、この第2噴射の後であって圧縮行程中に燃料を噴射する第3噴射と、を行うようにインジェクタ28を制御する。図4に示す例では、第1噴射は吸気行程前半に行われ、第2噴射は吸気行程後半に行われ、第3噴射は圧縮行程前半に行われている(なお、各行程の前半及び後半は、それぞれ、各行程の期間を半分に分割したときの前側の部分及び後ろ側の部分に相当する)。また、本実施形態では、PCM80は、第1噴射の燃料噴射量Q1が第2及び第3噴射の燃料噴射量Q2、Q3よりも多くなり、且つ、第3噴射の燃料噴射量Q3が第2噴射の燃料噴射量Q2よりも多くなるように、インジェクタ28を制御する。
次に、図5乃至図7を参照して、図4に示したような分割噴射を行う理由について説明する。まず、図5を参照して、触媒活性制御時において、燃焼安定性を確保しつつ、ピストン14への燃料付着を抑制するために、インジェクタ28から噴射された燃料を点火プラグ32付近に滞留させるため(つまり点火プラグ32の周辺に燃料のリッチな領域を形成するため)の基本的な考え方について説明する。
図5(A)は、インジェクタ28から燃料が噴射されたときの燃焼室16の状態を側方(ピストン14の軸線方向に直行する方法)から見た概略図であり、図5(B)は、燃焼室16の状態を上方(図5(A)中の矢印A01で示す方向)から見た概略図である。図5(A)及び(B)において、矢印A02は、SCV43により燃焼室16内に生成されたスワール流を示し、符号F01は、インジェクタ28から噴射された燃料噴霧を示している。このスワール流は、燃焼室16のほぼ中心を渦中心とする横渦(横方向の渦流)である。
インジェクタ28から噴射された燃料を点火プラグ32付近に滞留させるためには、インジェクタ28からの燃料噴霧F01を、図5(B)中の矢印A03に示すように流動させればよいと考えられる。すなわち、燃料噴霧F01が最初にスワール流に打ち勝って、スワール流を貫徹して点火プラグ32付近(実質的にスワール流の渦中心)まで到達し、その後、点火プラグ32付近まで到達した燃料噴霧F01がスワール流に負けて、点火プラグ32付近にあるスワール流に乗って回転して流れればよいと考えられる。このような燃料噴霧F01の流動を実現するためには、インジェクタ28から噴射されたときの燃料噴霧F01による貫徹力(噴霧貫徹力)が、この燃料噴霧F01が点火プラグ32付近に的確に到達するように、スワール流の旋回による力(以下では「旋回流力」と呼ぶ。)よりも大きく、且つ、こうして燃料噴霧F01が点火プラグ32付近に到達したときの噴霧貫徹力が旋回流力よりも小さくなるように、インジェクタ28からの噴霧貫徹力を設定すればよい。
このような噴霧貫徹力は、基本的には、インジェクタ28からの燃料噴射量に応じた大きさとなる(燃圧一定が前提)。すなわち、燃料噴射量が多い場合には噴霧貫徹力が大きくなり、燃料噴射量が少ない場合には噴霧貫徹力が小さくなる。したがって、本実施形態では、燃料噴射量を調整することで噴霧貫徹力をコントロールしている。具体的には、分割噴射のそれぞれの燃料噴射量を調整することで、各分割噴射による噴霧貫徹力をコントロールしている。
また、燃焼室16内において生成されるスワール流の旋回流力の大きさは、エンジン1における吸気行程や圧縮行程における段階に応じて変化する。具体的には、スワール流の旋回流力は、吸気行程前半において最も大きくなり、この後の吸気行程後半及び圧縮行程では徐々に小さくなっていく。そして、燃焼室16内において生じる燃料噴霧の流動の形態は、このようなスワール流の旋回流力と噴霧貫徹力との関係に応じて変化する。したがって、本実施形態では、上記のように第1乃至第3噴射された燃料のそれぞれを点火プラグ32の周辺に的確に滞留させるように、第1乃至第3噴射を行うタイミングにおいて発生しているスワール流の旋回流力の大きさに応じて、第1乃至第3噴射のそれぞれの噴霧貫徹力を調整すべく、第1乃至第3噴射のそれぞれの燃料噴射量Q1~Q3を設定している(具体的にはQ1>Q3>Q2)。
次に、図6を参照して、本実施形態における第1乃至第3噴射のそれぞれにより燃焼室16内に形成すべき燃料噴霧の流動について説明する。図6(A)~(C)は、図5(B)と同様に、燃焼室16を上方から見た概略図を示し、矢印A10は、SCV43により燃焼室16内に生成されたスワール流を示し、符号F11、F12、F13は、それぞれ、第1乃至第3噴射された燃料噴霧を示している。具体的には、図6(A)は、第1噴射による燃料噴霧F11の流動を示し、図6(B)は、第1噴射による燃料噴霧F11に加えて、第2噴射による燃料噴霧F12の流動を示し、図6(C)は、第1及び第2噴射による燃料噴霧F11、F12に加えて、第3噴射による燃料噴霧F13の流動を示している。
まず、最初の第1噴射を行うタイミングにおいてはスワール流が強いので、本実施形態では、第1噴射による燃料噴霧F11がこのスワール流を貫徹した後に点火プラグ32付近に滞留するように(図6(A)の矢印A11参照)、第1噴射の噴霧貫徹力を大きくすべく、第1噴射の燃料噴射量Q1を大きくしている。別の言い方をすると、第1噴射を行うタイミングにおいてはスワール流が強いことから、第1噴射の噴霧貫徹力をある程度大きくしても燃料噴霧F11がスワール流全体を貫徹することはないので、第1噴射の燃料噴射量Q1を大きくすることができるのである。また、第1噴射を行うときには、この後における火炎伝播中の失火(半失火)を防ぐために、燃料噴霧F11の一部を燃焼室16の周縁付近に配置させる観点からも(矢印A12参照)、第1噴射の噴霧貫徹力を大きくするように燃料噴射量Q1を大きくしている。このような理由より、本実施形態では、第1乃至第3噴射の燃料噴射量Q1~Q3の中で、第1噴射の燃料噴射量Q1を最大にしている。
次いで、第1噴射の後の第2噴射を行うタイミングにおいてはスワール流が弱まっているので、本実施形態では、第2噴射の噴霧貫徹力が第1噴射よりも小さくなるように、第2噴射の燃料噴射量Q2を小さくすることで(Q2<Q1)、第2噴射による燃料噴霧F12を点火プラグ32付近に的確に滞留させるようにしている(図6(B)の矢印A13参照)、
次いで、第2噴射の後の第3噴射を行うタイミングにおいては、第2噴射のときと同様にスワール流が弱いが、このスワール流に付随して発生する、燃焼室16の周縁から中心部に向かうような2次流れ(詳細は後述する)を利用可能である。そのため、第3噴射を行うタイミングにおいては、このような2次流れをスワール流と共に利用することで、第3噴射の噴霧貫徹力を第2噴射よりも大きくしても、第3噴射による燃料噴霧F13を点火プラグ32付近に的確に滞留させることができる(図6(C)の矢印A14参照)。したがって、本実施形態では、第3噴射の燃料噴射量Q3を第2噴射の燃料噴射量Q2よりも大きくしている(Q3>Q2)。
次に、図7を参照して、上記した第3噴射を行うときに利用する2次流れについて具体的に説明する。この図7は、アインシュタインのティーカップ問題を説明するための図である。具体的には、図7(A)~(C)は、所定の流体をカップ内において横方向に回転するように流したときのカップ内の状態を示している。図7(A)は、カップ内の流速分布を示す模式図である。この図7(A)に示すように、カップ底面付近では、流体と底面との摩擦より、流体の流速が低くなっている。次いで、図7(B)は、カップ底面付近において流体に働く力を示す模式図である。この図7(B)に示すように、カップ底面付近では、カップ中心から外方に向かう遠心力とカップ中心へと内方に向かう圧力傾度力とがバランスしていない、つまり遠心力が圧力傾度力よりも小さいことがわかる。これは、カップ底面付近では流速が低いため、遠心力が小さくなるからである。
次いで、図7(C)は、カップ断面の流速分布を示す模式図である。この図7(C)に示すように、矢印A3に示すような2次流れが生じていることがわかる。具体的には、この2次流れは、カップ底面付近では流体がカップ中心に向かって流れ、カップ中心では流体が上に向かって流れ、カップ底面から離れると流体が中心から周縁に向かって流れる、という放射状の流れに相当する。このような2次流れは、カップ底面付近において遠心力と圧力傾度力とがバランスしていないことから生じる。
ここで、上記のような第3噴射を行うタイミング(例えば圧縮行程前半)では、燃焼室16の底面に当たるピストン冠面14aが、インジェクタ28からの燃料噴霧F13に近い位置にある(換言すると燃料噴霧F13が燃焼室16の底面付近に位置する)。そして、図7において述べたことから、燃焼室16の底面付近には、燃焼室16内で横方向に回転するように流れるスワール流に起因して、燃焼室16の周縁から中心部に向かい、中央部において上方に向かう2次流れが発生している。したがって、第3噴射を行うタイミングでは、このような2次流れが第3噴射による燃料噴霧F13に作用することとなる。そのため、第3噴射による燃料噴霧F13の噴霧貫徹力をある程度高めても(つまり第3噴射の燃料噴射量Q3をある程度大きくしても)、燃料噴霧F13を点火プラグ32付近に的確に滞留させることができるのである。
[処理フロー]
次に、図8及び図9を参照して、本実施形態による具体的な制御の流れについて説明する。図8は、本実施形態による全体制御を示すフローチャートであり、図9は、この全体制御の中で行われる触媒活性制御を示すフローチャートである。これらの制御は、PCM80によって所定の周期で繰り返し実行される。なお、図8の全体制御が実行される状況では、スワール流が燃焼室16内に生成されるようにSCV43が全閉に設定されているものとする。
図8の全体制御が開始されると、ステップS11において、PCM80は、各種情報を取得する。具体的には、PCM80は、上記したようなアクセル開度センサS1、クランク角センサS2、水温センサS3、車速センサS4、及びイグニッションスイッチS5からの信号を少なくとも取得する。この後、ステップS12~S15において、PCM80は、触媒活性制御の実行条件を判定する。
まず、ステップS12において、PCM80は、車両の始動直後でないか否かを判定する。PCM80は、イグニッションスイッチS5から信号を受信していない場合には、車両の始動直後でないと判定し(ステップS12:Yes)、ステップS13に進む。これに対して、PCM80は、イグニッションスイッチS5から信号を受信した場合には、車両の始動直後であると判定し(ステップS12:No)、ステップS14に進む。
次いで、ステップS13において、PCM80は、車両が停止しているか否かを判定する。PCM80は、車速センサS4により検出された車速がほぼ0km/hである場合には、車両が停止していると判定し(ステップS13:Yes)、ステップS14に進む。これに対して、PCM80は、車速センサS4により検出された車速がほぼ0km/hではない場合には、車両が停止していないと判定し(ステップS13:No)、全体制御を終了する。
次いで、ステップS14において、PCM80は、水温センサS3によって検出された水温が所定範囲内(例えば-10~45℃)であるか否かを判定する。その結果、PCM80は、水温が所定範囲内である場合には(ステップS14:Yes)、ステップS15に進み、水温が所定範囲内でない場合には(ステップS14:No)、全体制御を終了する。
次いで、ステップS15において、PCM80は、予測触媒温度が所定温度未満(例えば300℃未満)であるか否かを判定する。1つの例では、PCM80は、エンジン1の運転条件、例えば排気ガス温度や排気ガス量などに基づき、排気ガス熱量を求め、この排気ガス熱量から予測触媒温度を求める。他の例では、PCM80は、触媒45付近の排気通路44上に設けられた温度センサにより検出された排気ガス温度に基づき、予測触媒温度を求めてもよい。ステップS15の判定の結果、PCM80は、予測触媒温度が所定温度未満である場合には(ステップS15:Yes)、ステップS16に進み、予測触媒温度が所定温度以上である場合には(ステップS15:No)、全体制御を終了する。
ステップS16に進んだ状況は、触媒45が不活性状態であり、且つ触媒45を活性状態にするための触媒活性制御を実行可能な状況である。したがって、ステップS16において、PCM80は、触媒活性制御を実行する。基本的には、PCM80は、この触媒活性制御において、分割噴射(第1乃至第3噴射)を行うようにインジェクタ28を制御すると共に、圧縮上死点後に点火させるように点火プラグ32を制御する。具体的には、PCM80は、最大量のQ1の燃料を吸気行程中に噴射する第1噴射と、この第1噴射の後にQ2(<Q1)の燃料を噴射する第2噴射と、この第2噴射の後であって圧縮行程中にQ3(>Q2)の燃料を噴射する第3噴射と、を行うようにインジェクタ28を制御する。なお、この触媒活性制御については、後の図9を参照して詳述する。
次いで、PCM80は、ステップS17に進み、予測触媒温度が所定温度以上(例えば300℃以上)になったか否かを判定する。その結果、PCM80は、予測触媒温度が所定温度未満である場合には(ステップS17:No)、ステップS16に戻る。この場合には、予測触媒温度が所定温度以上になるまで、触媒活性制御を継続して実行する。これに対して、PCM80は、予測触媒温度が所定温度以上である場合には(ステップS17:Yes)、ステップS18に進む。
次いで、ステップS18において、PCM80は、触媒活性制御を終了して、エンジン1に対する通常の制御(通常運転制御)を実行する。この通常運転制御においては、PCM80は、吸気行程において1回のみ燃料を噴射(一括噴射)するようにインジェクタ28を制御すると共に、触媒活性制御時よりも進角させた圧縮行程中の時期(例えば圧縮TDC後5度)において点火させるように点火プラグ32を制御する。また、PCM80は、エンジン回転数がアイドル回転数(例えば1200rpm)になるようにエンジン1を制御する。この後、PCM80は、全体制御を終了する。
次に、図9を参照して、本実施形態による触媒活性制御について具体的に説明する。この触媒活性制御は、図8のステップS16において行われる。まず、ステップS21において、PCM80は、車両に搭載されている自動変速機(AT)に現在設定されているレンジを取得する。例えば、PCM80は、レンジセンサによって検出されたレンジを取得する。
次いで、ステップS22において、PCM80は、ステップS21において取得されたレンジが走行レンジであるか否かを判定する。具体的には、PCM80は、取得されたレンジがDレンジ(ドライブレンジ)、Rレンジ(リバースレンジ)、又はMレンジ(マニュアルレンジ)である場合には、自動変速機のレンジが走行レンジであると判定し(ステップS22:Yes)、ステップS23に進む。これに対して、PCM80は、取得されたレンジがNレンジ(ニュートラルレンジ)又はPレンジ(パーキングレンジ)である場合には、自動変速機のレンジが非走行レンジであると判定し(ステップS22:No)、ステップS24に進む。
ステップS23において、PCM80は、事前に定められた走行レンジ用の設定を用いて触媒活性制御を実行する。具体的には、まず、PCM80は、比較的低いエンジン回転数(例えば800rpm)を適用して触媒活性制御を実行する。こうするのは、ドライバがブレーキペダルから足を離したときの急発進(飛び出し)を抑制するためである。また、PCM80は、走行レンジにおいて触媒活性制御を行う場合に第1乃至第3噴射のそれぞれに適用すべき燃料噴射時期及び燃料噴射量のセットを設定する。例えば、PCM80は、第1乃至第3噴射のそれぞれの燃料噴射時期(クラン角度)を240度、215度、110度に設定し(吸気TDCは360度で圧縮BDCは180度である)、第1乃至第3噴射のそれぞれの燃料噴射量Q1、Q2、Q3を50%、15%、35%に設定する(全噴射量を100%とする)。また、PCM80は、圧縮上死点後の比較的早い時期(例えば圧縮TDC後20度)を点火時期に設定する。こうするのは、走行レンジではエンジン負荷が比較的高いので、点火時期をそれほど遅角させなくても十分な排気ガス熱量が発生する一方で、走行レンジでは上記のように比較的低いエンジン回転数を適用するため、燃焼室16内のスワール流が弱くなるので、燃焼安定性を確保するためには点火時期をあまり遅角させられないからである。
他方で、ステップS24において、PCM80は、事前に定められた非走行レンジ用の設定を用いて触媒活性制御を実行する。具体的には、まず、PCM80は、比較的高いエンジン回転数(例えば1500rpm)を適用して触媒活性制御を実行する。こうするのは、非走行レンジでは、上記した走行レンジのような急発進(飛び出し)が発生しないからである。また、PCM80は、非走行レンジにおいて触媒活性制御を行う場合に第1乃至第3噴射のそれぞれに適用すべき燃料噴射時期及び燃料噴射量のセットを設定する。例えば、PCM80は、第1乃至第3噴射のそれぞれの燃料噴射時期(クラン角度)を250度、170度、100度に設定し、第1乃至第3噴射のそれぞれの燃料噴射量Q1、Q2、Q3を40%、25%、35%に設定する(全噴射量を100%とする)。また、PCM80は、圧縮上死点後の比較的遅い時期(例えば圧縮TDC後25度)を点火時期に設定する。こうするのは、非走行レンジでは上記のように比較的高いエンジン回転数を適用するため、燃焼室16内のスワール流が強くなるので、点火時期を遅角させても燃焼安定性が確保される一方で、非走行レンジではエンジン負荷が比較的低いので、点火時期をある程度遅角させないと十分な排気ガス熱量が発生しないからである。
なお、図9では、自動変速機(AT)が適用された車両において行われる触媒活性制御について示したが、手動変速機(MT)が適用された車両においては、図10に示すような触媒活性制御が行われる。図10は、本実施形態による触媒活性制御の他の例を示すフローチャートである。この触媒活性制御も、図8のステップS16において行われる。
まず、ステップS31において、PCM80は、車両に搭載されている手動変速機(MT)のギヤポジション及びクラッチ状態(クラッチの切断又は接続の状態)を取得する。例えば、PCM80は、これらギヤポジション及びクラッチ状態の情報を所定のセンサから取得する。
次いで、ステップS32において、PCM80は、ステップS31で取得されたギヤポジションに基づき、手動変速機のギヤがニュートラルギヤであるか否かを判定する。その結果、PCM80は、手動変速機のギヤがニュートラルギヤである場合(ステップS32:Yes)、ステップS34に進み、手動変速機のギヤがニュートラルギヤでない場合(ステップS32:No)、ステップS33に進む。
次いで、ステップS33において、PCM80は、ステップS31で取得されたクラッチ状態に基づき、手動変速機のクラッチが切断されているか否かを判定する。その結果、PCM80は、クラッチが切断されている場合(ステップS33:Yes)、ステップS34に進み、クラッチが接続されている場合(ステップS33:No)、触媒活性制御を終了する。後者の場合には、車両が停止しておらず、触媒活性制御を実行可能な状況ではないからである。
ステップS34に進んだ状況では、手動変速機のギヤがニュートラルギヤであるか又はクラッチが切断されているため、触媒活性制御を実行可能な状況である。したがって、ステップS34において、PCM80は、触媒活性制御を実行する。この場合、PCM80は、図9のステップS24と同様に、事前に定められた非走行レンジ用の設定を用いて触媒活性制御を実行する。よって、ここでは、その詳細な説明を省略する。
[作用及び効果]
次に、本実施形態によるエンジンシステム100の作用及び効果について説明する。本実施形態によれば、PCM80は、触媒45が不活性状態である場合に、SCV43によりスワール流が燃焼室16内に生成された状態において、第1乃至第3噴射からなる分割噴射を行うようにインジェクタ28を制御すると共に、圧縮上死点後に点火させるように点火プラグ32を制御する。具体的には、PCM80は、最大量のQ1の燃料を吸気行程中に噴射する第1噴射と、この第1噴射の後にQ2(<Q1)の燃料を噴射する第2噴射と、この第2噴射の後であって圧縮行程中にQ3(>Q2)の燃料を噴射する第3噴射と、を行うようにインジェクタ28を制御する。
最初の第1噴射を行うタイミングではスワール流が強いので、この第1噴射の燃料噴射量Q1を最大にすることで噴霧貫徹力を大きくする。これにより、第1噴射による燃料噴霧を、スワール流を貫徹させて渦中心付近に到達させることで、この渦中心付近に滞留させることができる、すなわち点火プラグ32付近に的確に滞留させることができる。次いで、第2噴射を行うタイミングではスワール流が弱いので、第2噴射の燃料噴射量Q2を第1噴射よりも少なくして噴霧貫徹力を小さくすることで、この第2噴射による燃料噴霧を点火プラグ32付近に的確に滞留させることができる。次いで、第3噴射を行うタイミングでは、スワール流は弱いが、このスワール流に付随して発生する、燃焼室16の周縁から中心部に向かうような2次流れが生じている。そのため、第3噴射を行うタイミングにおいては、この2次流れをスワール流と共に利用できるので、第3噴射の燃料噴射量Q3を第2噴射よりも多くしても、第3噴射による燃料噴霧を点火プラグ32付近に的確に滞留させることができる。
以上より、本実施形態によれば、第1乃至第3噴射(分割噴射)のそれぞれの燃料噴射量を適切に設定することで、燃焼室16内のスワール流(横渦)を利用して、各噴射による燃料噴霧を点火プラグ32付近に的確に滞留させることができる。これにより、触媒45の早期活性化のために点火時期を圧縮上死点後まで遅らせても、ピストン14への燃料付着を効果的に抑制することができ、エミッション性能の悪化を防止することが可能となる。また、点火プラグ32付近にリッチな領域が形成されるので、燃焼安定性を向上させることもできる。
また、本実施形態によれば、PCM80は、第1噴射を吸気行程前半に行い、第2噴射を吸気行程後半に行うように、インジェクタ28を制御する。吸気行程前半ではスワール流が強く、吸気行程後半ではスワール流が弱いので、このようなスワール流の強さに合わせて上記のように第1及び第2噴射の燃料噴射量Q1、Q2を設定することで(Q1>Q2)、第1及び第2噴射による燃料噴霧を点火プラグ32付近に的確に滞留させることができる。
また、本実施形態によれば、PCM80は、エンジンシステム100が自動変速機を有する車両に適用されている場合には、自動変速機のレンジが走行レンジである場合と非走行レンジである場合とで、第1乃至第3噴射のそれぞれの燃料噴射時期及び燃料噴射量を変えるので、走行レンジ及び非走行レンジのそれぞれに適した制御を行うことができる。加えて、本実施形態によれば、PCM80は、自動変速機のレンジが走行レンジである場合と非走行レンジである場合とで、エンジン回転数及び点火時期を更に変えるので、走行レンジ及び非走行レンジのそれぞれにより適した制御を行うことができる。
また、本実施形態によれば、PCM80は、エンジンシステム100が手動変速機を有する車両に適用されている場合には、手動変速機のギヤがニュートラルギヤである場合又は手動変速機のクラッチが切断されている場合にのみ、上記の第1乃至第3噴射を行う。これにより、本実施形態による第1乃至第3噴射を、手動変速機を有する車両での触媒活性制御を実行可能な状況において的確に行うことができる。
また、本実施形態によれば、ピストン冠面14aは、キャビティが形成されておらず、ほぼ平坦に形成されているので、触媒活性制御時におけるピストン14への燃料付着(キャビティへの燃料付着など)を効果的に抑制することができる。
1 エンジン
2 気筒
14 ピストン
14a ピストン冠面
16 燃焼室
18 吸気ポート
28 インジェクタ(燃料噴射弁)
32 点火プラグ
40 吸気通路
43 スワールコントロールバルブ(スワール流生成機構)
44 排気通路
45 触媒
46 EGR通路
48 EGRバルブ
80 PCM(制御器)
100 エンジンシステム

Claims (8)

  1. エンジンシステムであって、
    燃焼室を形成する気筒と、前記気筒内において往復運動するピストンと、前記ピストンの軸線方向に対して傾いて設けられ、燃料を前記気筒内に直接噴射する燃料噴射弁と、前記気筒内の燃料と吸気との混合気に点火する点火プラグと、を備えるエンジンと、
    前記エンジンの前記気筒内にスワール流を生成するスワール流生成機構と、
    前記エンジンの排気通路上に設けられ、排気ガスを浄化する触媒と、
    前記燃料噴射弁及び前記点火プラグを制御するよう構成された制御器であって、前記触媒が不活性状態である場合に、前記エンジンの圧縮上死点後に点火させるように前記点火プラグを制御するよう構成された前記制御器と、
    を有し、
    前記制御器は、前記触媒が前記不活性状態である場合に、
    前記エンジンの吸気行程中に燃料を噴射する第1噴射と、前記第1噴射の後に燃料を噴射する第2噴射と、前記第2噴射の後であって前記エンジンの圧縮行程中に燃料を噴射する第3噴射と、を行うと共に、
    前記第1噴射の燃料噴射量が前記第2及び第3噴射の燃料噴射量よりも多くなり、且つ、前記第3噴射の燃料噴射量が前記第2噴射の燃料噴射量よりも多くなるように、
    前記燃料噴射弁を制御するよう構成されている、ことを特徴とするエンジンシステム。
  2. 前記制御器は、前記第1噴射を吸気行程前半に行い、前記第2噴射を吸気行程後半に行うように、前記燃料噴射弁を制御するよう構成されている、請求項1に記載のエンジンシステム。
  3. 前記エンジンシステムは、自動変速機を有する車両に適用され、
    前記制御器は、前記自動変速機のレンジが走行レンジである場合と非走行レンジである場合とで、前記第1乃至第3噴射を行う時期、及び、前記第1乃至第3噴射のそれぞれの燃料噴射量を変えるように、前記燃料噴射弁を制御するよう構成されている、請求項1又は2に記載のエンジンシステム。
  4. 前記制御器は、前記自動変速機のレンジが前記走行レンジである場合と前記非走行レンジである場合とで、エンジン回転数及び前記点火プラグの点火時期を更に変えるように、前記エンジンを制御するよう構成されている、請求項3に記載のエンジンシステム。
  5. 前記エンジンシステムは、手動変速機を有する車両に適用され、
    前記制御器は、前記触媒が前記不活性状態である場合において、前記手動変速機のギヤポジションがニュートラルギヤに設定されている場合、又は前記手動変速機のクラッチが切断されている場合に、前記第1乃至第3噴射を行うように前記燃料噴射弁を制御するよう構成されている、請求項1又は2に記載のエンジンシステム。
  6. 前記ピストンの冠面は、キャビティが形成されておらず、ほぼ平坦に形成されている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のエンジンシステム。
  7. 前記点火プラグは、前記燃焼室の天井の中央部に設けられている、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のエンジンシステム。
  8. 前記スワール流生成機構は、前記エンジンの吸気通路内に設けられたスワールコントロールバルブである、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のエンジンシステム。
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