JP2022150458A - ロータ、回転電機、圧縮機、冷凍装置、車両、及び、ロータの製造方法 - Google Patents

ロータ、回転電機、圧縮機、冷凍装置、車両、及び、ロータの製造方法 Download PDF

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Yoshinari Asano
寛 日比野
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Abstract

【課題】端板を付けたまま磁石をロータコアの磁石収容部に入れても磁石が抜けにくいロータ、回転電機、圧縮機、冷凍装置、車両、及び、ロータの製造方法を提供する。【解決手段】ロータは、軸方向に貫通する貫通孔、又は、軸方向にわたって外周部から切り欠かれた切り欠きで構成される磁石収容部111を有する円筒型の軟磁性体で形成されたロータコア110と、磁石収容部に収容される第1磁石140と、ロータコアの軸方向における一方の端部に設けられる第1端板とを含み、軸方向に直交する面への投影において、磁石収容部において、第1端板と重ならない第1空間は、第1磁石よりも大きく、第1端板は、磁石収容部の一部と重なる。【選択図】図8

Description

本発明は、ロータ、回転電機、圧縮機、冷凍装置、車両、及び、ロータの製造方法に関する。
従来より、圧縮機に内蔵された圧縮機用永久磁石埋込型電動機であって、前記圧縮機の容器の内周面に固定される環状のステータ鉄心と、前記ステータ鉄心の内側に配置されるロータと、を備える圧縮機用永久磁石埋込型電動機がある。前記ロータは、複数の磁石挿入孔を有するロータ鉄心と、前記ロータ鉄心の軸方向端部に配置されるエンドプレートとを有し、前記エンドプレートの外径は、前記ロータ鉄心の外径と等しく、前記エンドプレートは、前記ロータ鉄心の磁性材料の透磁率よりも高い透磁率の磁性材料で構成され、前記エンドプレートには、前記複数の磁石挿入孔の各々とそれぞれ連通し、前記ロータの軸方向に伸びる複数の貫通孔が形成される。前記エンドプレートの貫通孔の径方向の幅は、前記ロータ鉄心の磁石挿入孔の径方向の幅よりも広い(例えば、特許文献1参照)。
国際公開第2016-203563号
ところで、従来の圧縮機用永久磁石埋込型電動機のロータは、前記エンドプレートの貫通孔の径方向の幅は、前記ロータ鉄心の磁石挿入孔の径方向の幅よりも広く、軸方向における投影において、前記貫通孔が前記磁石挿入孔を含むため、前記磁石挿入孔に挿入された永久磁石が前記貫通孔から抜けるおそれがある。
そこで、端板を付けたまま磁石をロータコアの磁石収容部に入れても磁石が抜けにくいロータ、回転電機、圧縮機、冷凍装置、車両、及び、ロータの製造方法を提供することを目的とする。
本開示の一態様として、
軸方向に貫通する貫通孔、又は、前記軸方向にわたって外周部から切り欠かれた切り欠きで構成される磁石収容部を有する円筒型の軟磁性体で形成されたロータコアと、
前記磁石収容部に収容される第1磁石と、
前記ロータコアの軸方向における一方の端部に設けられる第1端板と
を含み、
前記軸方向に直交する面への投影において、
前記磁石収容部において、前記第1端板と重ならない第1空間は、前記第1磁石よりも大きく、
前記第1端板は、前記磁石収容部の一部と重なる、ロータが提供される。
この構成によれば、前記第1端板を付けたまま前記第1磁石をロータコアの磁石収容部に入れても磁石が抜けにくいロータを提供することができる。
上記のロータにおいて、
前記第1磁石が着磁された状態で、
前記第1磁石は前記ロータコアに磁気的に吸着し、
前記第1端板は、前記軸方向に直交する面への投影において、前記第1磁石の少なくとも一部と重なっていてもよい。
この構成によれば、前記第1磁石が前記磁石収容部から抜けにくくすることができる。
上記のロータにおいて、
前記第1端板は磁性体であってもよい。
この構成によれば、前記第1端板は磁性体であるため、前記第1端板を前記ロータコアの一部として機能させることができる。また、例えば、前記第1端板を前記ロータコアをダボカシメで固定する場合には、順送プレスで一気に前記第1端板を前記ロータコアを一体化させることができる。
上記のロータにおいて、
前記ロータコアは、前記第1磁石に近接するフラックスバリアを有し、
前記第1端板は、前記軸方向における投影において前記フラックスバリアに略重なる開口部を有していてもよい。
この構成によれば、ロータ及び第1端板に設けられたフラックスバリアによって隣の磁極への磁束の漏れを抑制することができる。
上記のロータにおいて、
前記第1端板は非磁性体であってもよい。
この構成によれば、磁性体以外の様々な材料で前記第1端板を作製することができ、また、非磁性体で第1端板を構成すれば、隣の磁極の磁石への磁束の漏れを防止できる。
上記のロータにおいて、
前記第1磁石が収容される磁石収容部、又は、前記ロータコアの前記第1磁石が収容される磁石収容部とは異なる磁石収容部に収容される第2磁石をさらに含み、
前記第1磁石は、前記第2磁石と反発することで、前記ロータコアに磁気的に吸着してもよい。
この構成によれば、前記第2磁石との反発力を利用して前記第1磁石を前記ロータコアに磁気的に吸着させることができ、前記第1磁石をより安定的に前記磁石収容部内に収容することができる。
上記のロータにおいて、
前記第1磁石が収容される磁石収容部、又は、前記ロータコアの前記第1磁石が収容される磁石収容部とは異なる磁石収容部に収容される第2磁石をさらに含み、
前記第1磁石は、前記第2磁石と吸引することで、前記ロータコアに磁気的に吸着してもよい。
この構成によれば、前記第2磁石との吸引力を利用して前記第1磁石を前記ロータコアに磁気的に吸着させることができ、前記第1磁石をより安定的に前記磁石収容部内に収容することができる。
上記のロータにおいて、
前記第1磁石は、前記ロータコアと吸引することで、前記ロータコアに磁気的に吸着してもよい。
この構成によれば、前記ロータコアへの吸着力を利用して前記第1磁石を前記ロータコアに磁気的に吸着させることができ、前記第1磁石をより安定的に前記磁石収容部内に収容することができる。
上記のロータにおいて、
前記ロータコアの前記軸方向における他方の端部に設けられる第2端板をさらに含んでもよい。
この構成によれば、前記ロータコアの前記軸方向における他方の端部側においても、前記第1磁石が前記磁石収容部から抜けにくくすることができる。
上記のロータにおいて、
前記第1端板と前記第2端板は同一形状であってもよい。
この構成によれば、前記第1端板と前記第2端板とを同一工程で製造可能であり、製造工程の簡略化と製造コストの低減を図ることができる。
上記のロータにおいて、
前記第1磁石はネオジム系の磁石であってもよい。
この構成によれば、前記第1磁石の保磁力を非常に大きくすることができる。
本開示の一態様として、
上記のいずれかのロータを搭載した回転電機を提供することができる。
この構成によれば、前記第1端板を付けたまま前記第1磁石をロータコアの磁石収容部に入れても磁石が抜けにくいロータを搭載した回転電機を提供することができる。
本開示の一態様として、
上記回転電機を搭載した圧縮機を提供することができる。
この構成によれば、前記第1端板を付けたまま前記第1磁石をロータコアの磁石収容部に入れても磁石が抜けにくいロータを含む回転電機を搭載した圧縮機を提供することができる。
本開示の一態様として、
上記圧縮機を搭載した冷凍装置を提供することができる。
この構成によれば、前記第1端板を付けたまま前記第1磁石をロータコアの磁石収容部に入れても磁石が抜けにくいロータを含む圧縮機を搭載した冷凍装置を提供することができる。
本開示の一態様として、
上記回転電機を搭載した車両を提供することができる。
この構成によれば、前記第1端板を付けたまま前記第1磁石をロータコアの磁石収容部に入れても磁石が抜けにくいロータを含む回転電機を搭載した車両を提供することができる。
本開示の一態様として、
軸方向に貫通する貫通孔、又は、前記軸方向にわたって外周部から切り欠かれた切り欠きで構成される磁石収容部を有する円筒型の軟磁性体で形成されたロータコアの前記軸方向における一方の端部に第1端板を設ける第1工程と、
前記磁石収容部の内部に第1磁石を挿入する第2工程とを含み、
前記第2工程は、前記第1工程の後に実施する、ロータの製造方法を提供することができる。
この構成によれば、前記第1端板を付けたまま前記第1磁石をロータコアの磁石収容部に入れても磁石が抜けにくいロータの製造方法を提供することができる。
実施形態に係る圧縮機50が利用される空調機1の冷媒回路の一例を示す図である。 圧縮機50の縦断面の一例を示す図である。 実施形態のモータ70の断面構造の一例を示す図である。 実施形態のロータ100の一例を示す図である。 ロータ100の分解状態の一例を示す図である。 ロータコア110と第1端板120の一例を示す図である。 ロータコア110の磁石収容部111及び非磁性空間112と第1端板120の第1開口部121及び第2開口部122との位置関係の一例を示す図である。 第1端板120の第1開口部121を通じて磁石収容部111の内部に2つの永久磁石140を挿入する際の状態と挿入後の状態との一例を示す図である。 ロータコア110、第1端板120、及び第2端板130の固定方法の一例を説明する図である。 ロータ100の製造方法の一例を示すフローチャートである。 クランクシャフト80に圧入されたロータ100の製造方法の一例を示すフローチャートである。 ロータ100及びモータ70の製造方法の一例を示すフローチャートである。 ロータ100の製造方法の他の一例を示すフローチャートである。 クランクシャフト80に圧入されたロータ100の製造方法の他の一例を示すフローチャートである。 ロータ100及びモータ70の製造方法の他の一例を示すフローチャートである。 第1端板120の第1開口部121を通じて磁石収容部111の内部に、実施形態の変形例の永久磁石140Aを挿入した状態の一例を示す図である。 実施形態の変形例のロータ100Aの分解状態の一例を示す図である。 実施形態の変形例のロータ100Bの分解状態の一例を示す図である。 実施形態の変形例のロータ100Cの分解状態の一例を示す図である。 実施形態の変形例のロータコア201の一例を示す図である。 実施形態の変形例のロータコア110Dの一例を示す図である。 実施形態の変形例のモータ70E及びロータ100Eの一例を示す図である。 実施形態の変形例のロータ100Fの一例を示す図である。 中心軸Cに垂直な面への投影における永久磁石140F1、140F2と第1開口部121Fの位置関係の一例を示す図である。 実施形態の変形例のロータ100Gを示す分解図である。 実施形態の変形例のロータ100Hの一例を示す図である。 実施形態のモータ70を搭載した車両400の一例を示す図である。
以下、本発明のロータ、回転電機、圧縮機、冷凍装置、車両、及び、ロータの製造方法を適用した実施形態について説明する。
<実施形態>
<空調機1の構成>
図1は、実施形態に係る圧縮機50が利用される空調機1の冷媒回路の一例を示す図である。空調機1は、圧縮機50を備えた冷凍サイクル装置である。圧縮機50が採用される空調機1として、「冷房運転専用の空調機」、「暖房運転専用の空調機」、「冷凍運転専用の冷凍装置」、及び「四路切換弁を用いて冷房運転および暖房運転のいずれかに切り換え可能な空調機」等が挙げられる。ここでは、「四路切換弁を用いて冷房運転および暖房運転のいずれかに切り換え可能な空調機」を用いて説明する。
図1において、空調機1は、室内ユニット2及び室外ユニット3を備え、室内ユニット2と室外ユニット3とは、液冷媒連絡配管4及びガス冷媒連絡配管5によって接続されている。図1に示すように、空調機1は、室内ユニット2と室外ユニット3とを各々1つ有するペア式である。但し、これに限定されるものではなく、空調機1は、室内ユニット2を複数の有するマルチ式であってもよい。
空調機1では、アキュムレータ15、圧縮機50、四方切換弁16、室外熱交換器17、膨張弁18、室内熱交換器13等の機器が配管により接続されることで、冷媒回路11が構成されている。
本実施形態では、冷媒回路11には、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行うための冷媒が充填されている。当該冷媒は、1,2-ジフルオロエチレンを含む混合冷媒である。また、冷媒回路11には、当該混合冷媒と共に、冷凍機油が充填されている。
<室内ユニット2>
室内ユニット2に搭載される室内熱交換器13は、伝熱管と多数の伝熱フィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。室内熱交換器13は、液側が液冷媒連絡配管4に接続され、ガス側がガス冷媒連絡配管5に接続され、冷房運転時は冷媒の蒸発器として機能する。
<室外ユニット3>
室外ユニット3は、アキュムレータ15、圧縮機50、室外熱交換器17、及び膨張弁18を搭載している。
<室外熱交換器17>
室外熱交換器17は、伝熱管と多数の伝熱フィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。室外熱交換器17は、その一方が圧縮機50から吐出された冷媒が流れる吐出管24側に接続され、他方が液冷媒連絡配管4側に接続されている。室外熱交換器17は、圧縮機50から吐出管24を介して供給されるガス冷媒の凝縮器として機能する。
<膨張弁18>
膨張弁18は、室外熱交換器17と液冷媒連絡配管4とを接続する配管に設けられている。膨張弁18は、配管を流れる冷媒の圧力や流量の調節を行うための開度調整可能な電動弁である。
<アキュムレータ15>
アキュムレータ15は、ガス冷媒連絡配管5と圧縮機50の吸入管23とを接続する配管に設けられている。アキュムレータ15は、圧縮機50に液冷媒が供給されることを防止するため、室内熱交換器13からガス冷媒連絡配管5を経て吸入管23に向かう冷媒を、気相と液相とに分離する。圧縮機50には、アキュムレータ15の上部空間に集まる気相の冷媒が供給される。
<圧縮機50>
図2は、圧縮機50の縦断面の一例を示す図である。図2において、圧縮機50は、スクロール圧縮機である。圧縮機50は、吸入管23を介して吸入した冷媒を、圧縮室Scで圧縮し、圧縮後の冷媒を吐出管24から吐出する。
<四方切換弁16>
四方切換弁16は、第1から第4までのポートを有している。四方切換弁16では、第1ポートが圧縮機50の吐出側に接続され、第2ポートが圧縮機50の吸入側に接続され、第3ポートが室外熱交換器17のガス側端部に接続され、第4ポートがガス側閉鎖弁Vgに接続されている。
四方切換弁16は、第1状態と第2状態とに切り換わる。第1状態の四方切換弁16では、第1ポートと第3ポートが連通し且つ第2ポートと第4ポートが連通する。第2状態の四方切換弁16では、第1ポートと第4ポートが連通し且つ第2ポートと第3ポートが連通する。
<圧縮機50の構成>
図2に示すように、圧縮機50は、ケーシング20と、固定スクロール30を含む圧縮機構60と、モータ70と、クランクシャフト80と、下部軸受90とを備えている。モータ70は、回転電機の一例である。
以下、構成部材の位置関係等を説明するため、「上」、「下」等の表現を用いる場合があるが、ここでは図2の矢印Uの方向を上、矢印Uと逆方向を下と呼ぶ。また、「垂直」、「水平」、「縦」、「横」等の表現を用いる場合があるが、上下方向を垂直方向かつ縦方向とする。
<ケーシング20>
圧縮機50は、縦長円筒状のケーシング20を有する。ケーシング20は、上下が開口した略円筒状の円筒部材21と、円筒部材21の上端および下端にそれぞれ設けられた上蓋22aおよび下蓋22bとを有する。円筒部材21と、上蓋22aおよび下蓋22bとは、気密を保つように溶接により固定されている。
ケーシング20には、圧縮機構60、モータ70、クランクシャフト80、および下部軸受90を含む圧縮機50の構成機器が収容される。また、ケーシング20の下部には油溜まり空間Soが形成される。油溜まり空間Soには、圧縮機構60等を潤滑するための冷凍機油Oが溜められる。
ケーシング20の上部には、ガス冷媒を吸入し、圧縮機構60にガス冷媒を供給する吸入管23が、上蓋22aを貫通して設けられる。吸入管23の下端は、圧縮機構60の固定スクロール30に接続される。吸入管23は、圧縮機構60の圧縮室Scと連通する。吸入管23には、圧縮機50による圧縮前の、冷凍サイクルにおける低圧の冷媒が流れる。
ケーシング20の円筒部材21の中間部には、ケーシング20外に吐出される冷媒が通過する吐出管24が設けられる。より具体的には、吐出管24は、ケーシング20の内部の吐出管24の端部が、圧縮機構60のハウジング61の下方に形成された高圧空間Shに突き出すように配置される。吐出管24には、圧縮機構60による圧縮後の、冷凍サイクルにおける高圧の冷媒が流れる。
<圧縮機構60>
圧縮機構60は、図2に示されるように、主に、ハウジング61と、ハウジング61の上方に配置される固定スクロール30と、固定スクロール30と組み合わされて圧縮室Scを形成する可動スクロール40と、を有する。
<固定スクロール30>
図2に示すように、固定スクロール30は、平板状の固定側鏡板32と、固定側鏡板32の前面(図2における下面)から突出する渦巻状の固定側ラップ33と、固定側ラップ33を囲む外縁部34とを有する。
固定側鏡板32の中央部には、圧縮機構60の圧縮室Scに連通する非円形形状の吐出口32aが、固定側鏡板32を厚さ方向に貫通して形成される。圧縮室Scで圧縮された冷媒は、吐出口32aから吐出され、固定スクロール30およびハウジング61に形成された図示しない冷媒通路を通過して、高圧空間Shへ流入する。
<可動スクロール40>
可動スクロール40は、図2に示すように、平板状の可動側鏡板41と、可動側鏡板41の前面(図2における上面)から突出する渦巻状の可動側ラップ42と、可動側鏡板41の背面(図2における下面)から突出する、円筒状に形成されたボス部43とを有する。
固定スクロール30の固定側ラップ33と、可動スクロール40の可動側ラップ42とは、固定側鏡板32の下面と可動側鏡板41の上面とが対向する状態で組み合わされる。隣接する固定側ラップ33と可動側ラップ42との間には、圧縮室Scが形成される。可動スクロール40が後述するように固定スクロール30に対して公転することで、圧縮室Scの体積が周期的に変化し、圧縮機構60において、冷媒の吸入、圧縮、吐出が行われる。
ボス部43は、上端の塞がれた円筒状部分である。ボス部43の中空部に、クランクシャフト80の偏心部81が挿入されることで、可動スクロール40とクランクシャフト80とは連結されている。ボス部43は、可動スクロール40とハウジング61との間に形成される偏心部空間62に配置される。偏心部空間62は、クランクシャフト80の給油経路83等を介して高圧空間Shと連通しており、偏心部空間62には高い圧力が作用する。この圧力により、偏心部空間62内の可動側鏡板41の下面は、固定スクロール30に向かって上方に押される。この力により、可動スクロール40は、固定スクロール30に密着する。
可動スクロール40は、図示しないオルダム継手を介してハウジング61に支持される。オルダム継手は、可動スクロール40の自転を防止し、公転させる部材である。オルダム継手を用いることで、クランクシャフト80が回転すると、ボス部43においてクランクシャフト80と連結された可動スクロール40が、固定スクロール30に対して自転することなく公転し、圧縮室Sc内の冷媒が圧縮される。
<ハウジング61>
ハウジング61は、円筒部材21に圧入され、その外周面において周方向の全体に亘って円筒部材21と固定されている。また、ハウジング61と固定スクロール30とは、ハウジング61の上端面が、固定スクロール30の外縁部34の下面と密着するように、図示しないボルト等により固定されている。
ハウジング61には、上面中央部に凹むように配置される凹部61aと、凹部61aの下方に配置される軸受部61bとが形成される。凹部61aは、可動スクロール40のボス部43が配置される偏心部空間62の側面を囲む。軸受部61bには、クランクシャフト80の主軸82を軸支する軸受63が配置される。軸受63は、軸受63に挿入された主軸82を回転自在に支持する。
<モータ70>
モータ70は、円筒部材21の内壁面に固定された環状の固定子72と、固定子72の内側に、僅かな隙間(エアギャップ)を空けて回転自在に収容されたロータ100とを有する。ロータ100は、円筒部材21の軸心に沿って上下方向に延びるように配置されたクランクシャフト80を介して可動スクロール40と連結される。ロータ100が回転することで、可動スクロール40は、固定スクロール30に対して公転する。
<クランクシャフト80>
クランクシャフト80は、モータ70の駆動力を可動スクロール40に伝達する。クランクシャフト80は、円筒部材21の軸心に沿って上下方向に延びるように配置され、モータ70のロータ100と、圧縮機構60の可動スクロール40とを連結する。クランクシャフト80は、円筒部材21の軸心と中心軸が一致する主軸82と、円筒部材21の軸心に対して偏心した偏心部81とを有する。偏心部81は、可動スクロール40のボス部43に挿入される。
主軸82は、ハウジング61の軸受部61bの軸受63、及び下部軸受90により、回転自在に支持される。主軸82は、軸受部61bと下部軸受90との間で、モータ70のロータ100と連結される。
クランクシャフト80の内部には、圧縮機構60等に冷凍機油Oを供給するための給油経路83が形成されている。主軸82の下端は、ケーシング20の下部に形成された油溜まり空間So内に位置し、油溜まり空間Soの冷凍機油Oは、給油経路83を通じて圧縮機構60等に供給される。
<下部軸受90>
下部軸受90は、モータ70の下方に配置される。下部軸受90は、円筒部材21と固定されている。下部軸受90は、クランクシャフト80の下端側の軸受を構成し、クランクシャフト80の主軸82を回転自在に支持する。
<圧縮機50の動作>
圧縮機50の動作について説明する。モータ70が起動すると、ロータ100が固定子72に対して回転し、ロータ100と固定されたクランクシャフト80が回転する。クランクシャフト80が回転すると、クランクシャフト80と連結された可動スクロール40が固定スクロール30に対して公転する。そして、冷凍サイクルにおける低圧のガス冷媒が、吸入管23を通って、圧縮室Scの周縁側から、圧縮室Scに吸引される。可動スクロール40が公転するのに従い、吸入管23と圧縮室Scとは連通しなくなり、圧縮室Scの容積が減少するのに伴って、圧縮室Scの圧力が上昇し始める。
圧縮室Sc内の冷媒は、圧縮室Scの容積が減少するのに伴って圧縮され、最終的に高圧のガス冷媒となる。高圧のガス冷媒は、固定側鏡板32の中心付近に位置する吐出口32aから吐出される。その後、高圧のガス冷媒は、固定スクロール30およびハウジング61に形成された図示しない冷媒通路を通過して、高圧空間Shへ流入する。高圧空間Shに流入した、圧縮機構60による圧縮後の、冷凍サイクルにおける高圧のガス冷媒は、吐出管24から吐出される。
<モータ70の構成>
図3は、実施形態のモータ70の断面構造の一例を示す図である。図3には、中心軸Cに垂直な平面で切断した断面を示す。モータ70は、回転電機の一例であり、ロータ100と固定子72を含む。ロータ100は、回転電機の回転子である。図4は、実施形態のロータ100の一例を示す図である。図5は、ロータ100の分解状態の一例を示す図である。以下では、ロータ100に連結されて外部へと回転力を伝達するためのクランクシャフト80については図示を省略する。また、以下では、説明の便宜上、構成が分かり易くなるように各部の長さ、太さ、厚さ等を誇張して示す場合がある。
<固定子72>
固定子72は、胴部725と複数の歯部726とを備えている。胴部725は、ロータ100の外周径よりも大きな内周径を有する略筒状に形成されている。胴部725は、歯部726と一体に、厚さ0.05mm以上0.5mm以下の薄い電磁鋼板を所定の形状に加工して、所定の枚数を積層することによって形成される。
複数の歯部726は、胴部725の内周部にその周方向に沿って略均等間隔に位置する態様で突出している。各歯部726は、胴部725の内周部から中心軸Cを中心とする円の径方向に沿って中心に向かって延び、ロータ100と所定の隙間を空けて対向している。
各歯部726は、外周側で胴部725を介して磁気的に連結されている。各歯部726には、巻線としてコイル727が巻かれている(図3では一つのみ図示)。コイル727には、ロータ100を回転させる回転磁界を発生させるための3相交流が流される。コイル727の巻線方式は特に限定されず、複数の歯部726に対して集中巻された形態であっても、分布巻された形態であってもよい。これらのロータ100及び固定子72は、ケーシング20に組込まれてモータ70として使用される。
<ロータ100>
ロータ100は、外観形状が略円柱状に形成され、その中心軸Cに沿ってクランクシャフト80の主軸82が連結固定されている。中心軸Cは、ロータ100の回転軸と一致する。ロータ100は、ロータコア110、第1端板120、第2端板130、及び複数の永久磁石140を有している。ロータ100は、永久磁石140がロータコア110内に埋め込まれている、埋込磁石型回転子である。ここでは、さらに図6を用いて説明する。図6は、ロータコア110と第1端板120の一例を示す図である。図6には、中心軸Cに垂直な平面で見た構成を示す。
<ロータコア110>
ロータコア110は、磁性材料(軟磁性体)により略円筒型に形成されている。厚さ0.05mm以上0.5mm以下の薄い電磁鋼板110Aを所定の形状に加工して、所定の枚数を積層することによって形成される。電磁鋼板としては、高速回転時の回転子の耐久性を向上させるため、引張り強さが400MPa以上の複数の高張力電磁鋼板が望ましい。ロータコア110の一端側(図4、図5における上側)には第1端板120が重ねて設けられ、ロータコア110の他端側(図4、図5における下側)には第2端板130が重ねて設けられる。
ロータコア110の中心軸Cに沿ってクランクシャフト80の主軸82(図2参照)を固定するための軸挿入孔114が形成されている。また、ロータコア110には、中心軸C周りの周方向に沿って複数の磁石収容部111が形成されている。各磁石収容部111は、中心軸Cに沿ってロータコア110の一端側(図4、図5における上側)と他端側(図4、図5における下側)との間で貫通する孔部(貫通孔)である。
<磁石収容部111>
磁石収容部111は、中心軸Cを中心とする円の径方向に対して略直交する方向に扁平な直方体形状の空間である。各磁石収容部111は2つの永久磁石140を収容可能な形状であればよいが、直方体状の永久磁石140が径方向における外側又は内側の内壁に吸着するため、径方向における外側又は内側の内壁は、永久磁石140の長手方向に延在する表面と同一の形状にされている。ここでは、一例として磁石収容部111の径方向における外側又は内側の内壁は平坦面である。各磁石収容部111に収容される2つの永久磁石140の一方は第1磁石の一例であり、他方は第2磁石の一例である。また、各磁石収容部111に収容される2つの永久磁石140は互いに同じ方向に磁化され、例えば外側にいずれもN極を呈する。
磁石収容部111は、中心軸Cに垂直な面への投影において第1開口部121と重なり、第1開口部121よりも大きい。第1開口部121は、中心軸Cに垂直な面への投影において、長手方向において間に隙間が生じないように並べた2つの永久磁石140と略同一のサイズであるため、磁石収容部111は、中心軸Cに垂直な面への投影において、2つの永久磁石140よりも大きい。このため、2つの永久磁石140が磁石収容部111の径方向における外側又は内側の内壁に吸着すると、磁石収容部111と2つの永久磁石140との間には空間が生じる。このような空間は、ロータコア110及び永久磁石140の冷却に役立つ。
磁石収容部111の中心軸C方向の長さは、永久磁石140の中心軸C方向の長さよりも僅かに長い。永久磁石140を収容可能にするためである。また、図4及び図5に示すように、各磁石収容部111は、隣り合う任意の2つの磁石収容部111が略V字型を成すように設けられている。
<非磁性空間112>
また、非磁性空間112は、フラックスバリアの一例であり、磁石収容部111の端部から屈曲してロータコア110の外周側に向けて延びている。非磁性空間112は、磁石収容部111の両端から連続的に一体的な空間として形成されている。ここで、1つの磁石収容部111に収容される2つの永久磁石140は、固定子72に対して磁極を生じさせる部分である。ロータ100は、4つの磁極を有する。フラックスバリアは、磁極間の磁気抵抗を増やし、ロータ100内部での磁束の短絡を防止するために設ける非磁性部(空隙等)である。このため、ここでは一例としてフラックスバリアとして空隙で構成される非磁性空間112を設けている。
非磁性空間112は、減磁界が発生したときに、当該減磁界による磁束が永久磁石140を避けて非磁性空間112を通り易くする役割を有しており、非磁性空間112によっても減磁防止が図られる。また、非磁性空間112があることにより、空気が通流可能であるため、ロータコア110及び永久磁石140を冷却することができる。なお、ここでは、非磁性空間112が磁石収容部111の両端に連続して一体的に設けられる構成について説明したが、非磁性空間112は磁石収容部111とは別に設けられていてもよい。
<ブリッジ113>
ブリッジ113は、非磁性空間112の半径方向外側に位置して磁極どうしを連結している。ブリッジ113の厚みは、例えば、ロータコアの外径が200mm程度より小さい場合は、ロータコア110を構成する電磁鋼板の厚み程度以上3mm程度以下に設定されている。なお、図3~図5に示すロータ100は、一例であって、これに限定されるものではない。
<第1端板120>
第1端板120は、ロータコア110の一端側(図4、図5における上側)に設けられるエッジプレートである。第1端板120は、一例として磁性体製であり、一例として電磁鋼板110Aと同様に厚さ0.05mm以上0.5mm以下の薄い電磁鋼板で構成される。また、ここでは図示を省略するが、第1端板120は、リベット留め、又は、ダボカシメ等によってロータコア110に固定される。
第1端板120は、第1開口部121、第2開口部122、ブリッジ123、及び軸挿入孔124を有する。これらのうち、第2開口部122は、フラックスバリアの一例としての非磁性空間112に略重なる開口部の一例である。第1開口部121及び第2開口部122は、4つずつ設けられている。
<第1開口部121>
第1開口部121は、4つの磁石収容部111に対応して4つ設けられている。4つの第1開口部121は、中心軸Cに垂直な面への投影において、4つの磁石収容部111と重なるように設けられている。各第1開口部121は、中心軸Cに垂直な面への投影において、各磁石収容部111よりも小さい長方形の開口である。より具体的には、第1開口部121の長手方向の長さは、磁石収容部111の長手方向の長さよりも短く、第1開口部121の短手方向の長さは、磁石収容部111の短手方向の長さよりも短い。また、各第1開口部121は、中心軸Cに垂直な面への投影において、ロータコア110の磁石収容部111と重なり、かつ、磁石収容部111に含まれるように設けられている。
第1開口部121の中心軸Cに垂直な平面で見た開口サイズは、図5に示すように長手方向において間に隙間が生じないように並べた2つの永久磁石140の中心軸Cに垂直な平面で見たサイズと略同一のサイズであるが、厳密には2つの永久磁石140よりも僅かに大きい。このため、第1開口部121の中心軸Cに垂直な平面で見た開口サイズは、図5に示すように並べた2つの永久磁石140が略隙間のない状態で挿通可能なサイズである。第1開口部121の開口サイズをこのように設定する理由については図8を用いて後述する。
<第2開口部122>
第2開口部122は、中心軸Cに垂直な面への投影において、非磁性空間112に重ねて設けられている。第1端板120のうち、フラックスバリアの一例としての非磁性空間112に重なる部分に第2開口部122を設けることにより、隣の磁極への磁束の漏れをさらに抑制することができる。第1端板120は磁性体で構成されるため、非磁性空間112と重なる位置に設けられる第2開口部122は、非磁性空間112と同様にフラックスバリアとして機能する。
<ブリッジ123>
ブリッジ123は、第2開口部122の半径方向外側に位置して磁極どうしを連結している。ブリッジ123の径方向の厚みは、ブリッジ113と同様に、例えば、ロータコアの外径が200mm程度より小さい場合は、ロータコアを構成する電磁鋼板の厚み程度以上3mm程度以下設定されている。
<軸挿入孔124>
軸挿入孔124は、中心軸Cに垂直な面への投影において、ロータコア110の軸挿入孔114と一致するように設けられている。軸挿入孔124の中心は、軸挿入孔114と同様に中心軸Cであり、軸挿入孔114と等しい直径を有する。軸挿入孔124には、ロータコア110の中心軸Cに沿ってクランクシャフト80の主軸82(図2参照)が固定される。
<第2端板130>
第2端板130は、ロータコア110の他端側(図4、図5における下側)に設けられるエッジプレートである。第2端板130は、一例として、第1端板120と同一の構成を有する。第2端板130は、第1開口部131、第2開口部132、ブリッジ133、及び軸挿入孔134を有する。第1開口部131、第2開口部132、ブリッジ133、及び軸挿入孔134は、それぞれ、第1開口部121、第2開口部122、ブリッジ123、及び軸挿入孔124と同一の構成を有する。
<磁石収容部111と第1開口部121の位置関係>
図7は、ロータコア110の磁石収容部111及び非磁性空間112と第1端板120の第1開口部121及び第2開口部122との位置関係の一例を示す図である。図7には、中心軸Cに垂直な平面で見た構成を示す。ここでは、図7を用いて、磁石収容部111と第1開口部121との位置関係に加えて、非磁性空間112と第2開口部122との位置関係について説明する。
図7では、ロータコア110の磁石収容部111及び非磁性空間112に、第1端板120の第1開口部121及び第2開口部122を破線で重ねて示す。第1開口部121は、磁石収容部111と重なり、かつ、磁石収容部111に含まれている。第1開口部121の長手方向における両端は、中心軸Cに垂直な面への投影において、磁石収容部111の長手方向における両端よりも内側に位置する。また、図7に拡大して示すように、第1開口部121の短手方向における両端は、中心軸Cに垂直な面への投影において、磁石収容部111の短手方向における両端よりも長さD1、D2だけ内側に位置する。なお、長さD1、D2は等しくてもよい。なお、第1開口部121の長手方向における両端は、中心軸Cに垂直な面への投影において、磁石収容部111の長手方向における両端よりも内側に位置するか、または、図7に拡大して示すように、第1開口部121の短手方向における両端は、中心軸Cに垂直な面への投影において、磁石収容部111の短手方向における両端よりも長さD1、D2だけ内側に位置するかの、いずれか一方だけでもよい。
磁石収容部111の内部空間は、第1空間111Aと第2空間111Bとに分けられる。第1空間111Aは、磁石収容部111の内部空間のうち、中心軸Cに垂直な面への投影において第1開口部121と重なる空間である。換言すれば、第1空間111Aは、磁石収容部111の内部空間のうち、中心軸Cに垂直な面への投影において第1端板120と重ならない空間である。なお、中心軸Cに垂直な面への投影とは、ロータ100及びロータコア110の軸方向に直交する面への投影と同義である。
第2空間111Bは、磁石収容部111の内部空間から第1空間111Aを除いた空間であり、磁石収容部111の内部空間のうち、中心軸Cに垂直な面への投影において第1端板120と重なる空間である。このため、第1端板120は、中心軸Cに垂直な面への投影において磁石収容部111の一部と重なる。
第1開口部121は、中心軸Cに垂直な面への投影において、長手方向において間に隙間が生じないように並べた2つの永久磁石140よりも僅かに大きい。2つの永久磁石140を殆ど隙間の無い状態で通すためである。また、磁石収容部111の中心軸C方向における長さは、永久磁石140の中心軸C方向における長さよりも僅かに長い。磁石収容部111内に永久磁石140を収容するためである。このため、第1空間111Aは、2つの永久磁石140よりも大きい。磁石収容部111と第1開口部121との位置関係をこのように設定する理由については、図8を用いて後述する。
第2開口部122は、一例として図7に示すように中心軸Cに垂直な面への投影において、非磁性空間112に含まれる。第2開口部122は、隣の磁極への磁束の漏れを抑制するために非磁性空間112と重なっていればよいため、中心軸Cに垂直な面への投影において必ずしも全体が非磁性空間112に含まれていなくてもよい。第2開口部122は、中心軸Cに垂直な面への投影において非磁性空間112と略重なっていればよい。第2開口部122が中心軸Cに垂直な面への投影において非磁性空間112と略重なるとは、第2開口部122の例えば80%以上の部分が非磁性空間112と重なっていて、永久磁石140の磁束のロータコア110の漏れを十分に抑制できることをいう。
<永久磁石140>
永久磁石140は、Nd-Fe-B(ネオジム・鉄・ボロン)を主成分とするネオジム希土類磁石である。永久磁石140は、ネオジム系の磁石の一例である。Nd-Fe-B系磁石の保磁力は、温度の影響を受けて劣化するので、圧縮機にNd-Fe-B系磁石を用いたモータを使用する場合、圧縮機内の高温雰囲気(100℃以上)により保磁力は低下する。
それゆえ、永久磁石140は、重希土類(例えばディスプロシウム)を粒界拡散して形成されることが望ましい。重希土類を粒界拡散する粒界拡散法では、所定の組成物を焼結して焼結物を形成し、その焼結物に重希土類加工物を塗布した後に、焼結温度よりも低い温度で熱処理を行なって、永久磁石140を製造している。粒界拡散法によれば、重希土類の添加量を低減して保磁力を高めることができる。例えば、保磁力は25kOe以上であってもよい。保磁力が25kOe以上の磁石は、ロータコア110の磁石収容部111に入れた状態で着磁することは困難である。本実施形態の永久磁石140は、1質量%以下のディスプロシウムを含有することによって、保磁力を向上させている。また、本実施形態では、永久磁石140の減磁耐力を向上させるため、永久磁石140の平均結晶粒径を10μm以下としており、5μm以下が望ましい。永久磁石140は、平均結晶粒径が1μm以下の微粉砕磁石であってもよい。
永久磁石140は、2つの主面を有する厚みが均一な四角形の板状に成形されている。各磁石収容部111に2つの永久磁石140が埋設されている。図6(A)に示すように、各磁石収容部111に収容された2つの永久磁石140のうち、互いに隣り合う2つの磁石収容部111に収容される2つの永久磁石140と2つの永久磁石140とが略V字型を成す。
永久磁石140の外向面は、ロータコア110に対して磁極を生じさせる磁極面であり、永久磁石140の内向面は、外向面とは反対の反磁極面である。また、1つの磁石収容部111に収容される2つの永久磁石140を、固定子72に対して磁極を生じさせる部分として考えると、2つの永久磁石140の周方向両端部が磁極端であり、周方向中央部が磁極中心である。
<永久磁石140の磁石収容部111への挿入>
図8は、第1端板120の第1開口部121を通じて磁石収容部111の内部に2つの永久磁石140を挿入する際の状態と挿入後の状態との一例を示す図である。図8(A)には2つの永久磁石140を挿入する際の状態を示し、図8(B)には2つの永久磁石140の挿入後の状態を示す。なお、図8では永久磁石140と磁石収容部111との隙間はデフォルメして表示している。実際は、その隙間は上記条件を満たす限りにおいて、できるだけ小さいほうが望ましい。
図8(A)に示すように、長手方向において間に隙間が生じないように並べた2つの永久磁石140を第1開口部121を通じて磁石収容部111の内部に挿入する。このときに、例えば、第1開口部121と等しい開口サイズを有する貫通孔を有する治具を用い、治具の貫通孔の中に2つの永久磁石140を長手方向において間に隙間が生じないように並べて挿入し、治具の貫通孔を第1開口部121の位置に合わせた状態で、2つの永久磁石140を治具から押し出すことによって、第1開口部121を通じて磁石収容部111の内部に挿入すればよい。なお、2つの永久磁石140の磁化方向(着磁方向)は等しく、ともに短手方向で、互いに概ね同じ向きであるため、2つの永久磁石140の間には反発力が働く。
2つの永久磁石140が第1開口部121を完全に通過して磁石収容部111の内部に入れられると、2つの永久磁石140の間に働く反発力によって、2つの永久磁石140は磁石収容部111の内部で長手方向に移動する。また、2つの永久磁石140は、ロータコア110の磁石収容部111の短手方向の端部に位置する内壁に磁気的に吸着する。磁石収容部111の短手方向の端部に位置する内壁は、磁石収容部111の径方向における外側の内壁と内側の内壁である。このため、例えば、2つの永久磁石140は、図8(B)に示すように、磁石収容部111の径方向における外側の内壁に、長手方向に離れた状態で磁気的に吸着する。なお、2つの永久磁石140は、磁石収容部111の径方向における内側の内壁に、長手方向に離れた状態で磁気的に吸着する場合もある。
このように2つの永久磁石140が磁石収容部111の内壁に磁気的に吸着すると、各永久磁石140のうちの第2空間111Bに含まれる部分は、中心軸Cに垂直な面への投影において、第1端板120と重なる。すなわち、第1端板120は、中心軸Cに垂直な面への投影において、永久磁石140の少なくとも一部と重なる。このため、第1端板120が下側になるようにロータコア110が向けられても、永久磁石140は第1端板120のうちの第1開口部121の周りの部分に引っ掛かり、第1開口部121から抜け出ることを抑制することができる。なお、第1開口部121の長手方向における両端は、中心軸Cに垂直な面への投影において、磁石収容部111の長手方向における両端よりも内側に位置するか、または、図7に拡大して示すように、第1開口部121の短手方向における両端は、中心軸Cに垂直な面への投影において、磁石収容部111の短手方向における両端よりも長さD1、D2 だけ内側に位置するかの、いずれか一方だけでもよい。ここで、図7における長さD1、D2は、十分小さいことが望ましいが、永久磁石140のエッジ部に面取りがされている場合は面取りより大きいことが望ましい。
<ロータコア110、第1端板120、及び第2端板130の固定>
図9は、ロータコア110、第1端板120、及び第2端板130の固定方法の一例を説明する図である。図9(A)には、ロータ100を上面側から示す。第1端板120には一例として8つのダボカシメ125Aが設けられている。8つのダボカシメ125Aのうちの4つは、軸挿入孔124と4つの第1開口部121との間に設けられ、残りの4つは第1開口部121の径方向における外側に設けられている。
ダボカシメ125Aは、一例として中心軸C方向において第1端板120からロータコア110及び第2端板130に向かう方向にV字型に形成されている。中心軸Cに垂直な面への投影において、ロータコア110及び第2端板130にもダボカシメ125Aと同様のダボカシメが設けられている。ロータコア110については、すべての電磁鋼板110Aにダボカシメを設ければよい。このような第1端板120のダボカシメ125Aと、ロータコア110及び第2端板130のダボカシメとをかしめることにより、ロータコア110、第1端板120、及び第2端板130を固定することができる。
図9(B)には、ロータ100を上面側から示す。図9(B)に示すロータ100のロータコア110、第1端板120、及び第2端板130は、8本のリベット125Bで固定されている。図9(A)に示す第1端板120のダボカシメ125Aとロータコア110及び第2端板130のダボカシメとの位置にリベット125Bを通すための貫通孔を設け、リベット125Bを通してリベット125Bの先端を潰すことにより、ロータコア110、第1端板120、及び第2端板130を固定することができる。
次に、図10乃至図15を用いて、ロータ100の製造方法、クランクシャフト80に圧入されたロータ100の製造方法、ロータ100及びモータ70の製造方法について説明する。
<ロータ100の製造方法の一例>
図10は、ロータ100の製造方法の一例を示すフローチャートである。まず、ステップS1において、ロータコア110用の電磁鋼板110Aと、第1端板120、及び第2端板130を打ち抜いて積層する(ステップS1)。ロータコア110の中心軸Cにおける一方の端部に第1端板120を設けるステップS1の工程は第1工程の一例である。ここでは一例として、第1端板120にダボカシメ125Aを形成するとともに、ロータコア110及び第2端板130にダボカシメを形成して、ロータコア110、第1端板120、及び第2端板130を積層して固定することとする。また、順送プレスで一気にロータコア110、第1端板120、及び第2端板130を一体化させることができる。
次に、ステップS2において、第1開口部121を通じて磁石収容部111内に永久磁石140を挿入する(ステップS2)。磁石収容部111内に永久磁石140を挿入するステップS2の工程は、第2工程の一例である。第2工程は、第1工程よりも後に実施する工程である。このときに、例えば、第1開口部121と等しい開口サイズを有する貫通孔を有する治具を用い、治具の貫通孔の中に2つの永久磁石140を長手方向において間に隙間が生じないように並べて挿入し、治具の貫通孔を第1開口部121の位置に合わせた状態で、2つの永久磁石140を治具から押し出すことによって、第1開口部121を通じて磁石収容部111の内部に挿入すればよい。
永久磁石140を磁石収容部111の内部に挿入することによって、ロータ100が完成する(ステップS3)。ロータ100が完成したら、クランクシャフト80にロータ100を圧入する(ステップS4)。以上で、ロータ100の製造とクランクシャフト80への圧入が完了する。
また、ダボカシメではなくリベットかしめで製造する場合には、ステップS1において、リベット125B用の貫通孔を形成して、電磁鋼板110A、第1端板120、及び第2端板130を積層してからリベット125Bを通し、先端を潰すことによって、ロータコア110、第1端板120、及び第2端板130を積層して固定すればよい(ステップS5)。
ステップS5の工程が終了したら、ステップS2に進んで永久磁石140を挿入してもよいし、ステップS6に進行して着磁を行う前の無着磁磁石を第1開口部121を通じて磁石収容部111内に挿入してもよい(ステップS6)。無着磁磁石としては、2つの永久磁石140とサイズの等しい2つの無着磁磁石を用いればよい。2つの無着磁磁石は、第1磁石の一例である。磁石収容部111内に2つの無着磁磁石を挿入するステップS6の工程は、第2工程の一例である。第2工程は、第1工程よりも後に実施する工程である。
ステップS6の次には、ステップS7において無着磁磁石の着磁を行えばよい(ステップS7)。ステップS7の工程が完了すると、ロータ100が完成する(ステップS3)。ロータ100が完成したら、ステップS4においてクランクシャフト80にロータ100を圧入すればよい。無着磁磁石を着磁することにより、永久磁石140が得られる。または、無着磁磁石の代わりに不完全に着磁された磁石を用いると、磁石がロータコア110の内壁に吸着されるのでより好適である。
ステップS6の工程は、ステップS1の後にステップS2の代わりに行ってもよい。また、ステップS5の後に、ステップS6に進行する代わりにステップS2に進行してもよい。
<クランクシャフト80に圧入されたロータ100の製造方法の一例>
図11は、クランクシャフト80に圧入されたロータ100の製造方法の一例を示すフローチャートである。まず、ステップS1において、ロータコア110用の電磁鋼板110Aと、第1端板120、及び第2端板130を打ち抜き、積層する(ステップS1)。ここでは一例として、第1端板120にダボカシメ125Aを形成するとともに、ロータコア110及び第2端板130にダボカシメを形成して、ロータコア110、第1端板120、及び第2端板130を積層して固定することとする。
次に、ステップS12において、クランクシャフト80に電磁鋼板110Aと、第1端板120、及び第2端板130を圧入する(ステップS12)。
次に、ステップS13において、永久磁石140を第1開口部121を通じて磁石収容部111内に挿入する(ステップS13)。ステップS13の工程は、ステップS2の工程と同様に治具を用いて行えばよい。磁石収容部111内に永久磁石140を挿入するステップS13の工程は、第2工程の一例である。第2工程は、第1工程よりも後に実施する工程である。
永久磁石140を磁石収容部111の内部に挿入することによって、クランクシャフト80に圧入されたロータ100が完成する(ステップS14)。
また、ステップS12の工程が終了したら、ステップS13に進む代わりにステップS15に進行して着磁を行う前の無着磁磁石を第1開口部121を通じて磁石収容部111内に挿入してもよい(ステップS15)。磁石収容部111内に無着磁磁石を挿入するステップS15の工程は、第2工程の一例である。第2工程は、第1工程よりも後に実施する工程である。
ステップS15の次には、ステップS16において無着磁磁石の着磁を行えばよい(ステップS16)。着磁することによって、クランクシャフト80に圧入されたロータ100が完成する(ステップS14)。これによりクランクシャフト80を圧入するときに、高温で焼き嵌めすることができる。
<ロータ100及びモータ70の製造方法の一例>
図12は、ロータ100及びモータ70の製造方法の一例を示すフローチャートである。まず、ステップS1において、ロータコア110用の電磁鋼板110Aと、第1端板120、及び第2端板130を打ち抜き、積層する(ステップS1)。ここでは一例として、第1端板120にダボカシメ125Aを形成するとともに、ロータコア110及び第2端板130にダボカシメを形成して、ロータコア110、第1端板120、及び第2端板130を積層して固定することとする。
次に、ステップS12において、クランクシャフト80に電磁鋼板110Aと、第1端板120、及び第2端板130を圧入する(ステップS12)。
次に、ステップS23において、クランクシャフト80に圧入した電磁鋼板110Aと、第1端板120、及び第2端板130を固定子72に組み込む(ステップS23)。
次に、ステップS24において、永久磁石140を第1開口部121を通じて磁石収容部111内に挿入する(ステップS24)。ステップS24の工程は、ステップS2の工程と同様に治具を用いて行えばよい。磁石収容部111内に永久磁石140を挿入するステップS24の工程は、第2工程の一例である。第2工程は、第1工程よりも後に実施する工程である。
ステップS24で永久磁石140を第1開口部121を通じて磁石収容部111内に挿入することによって、モータ70が完成する(ステップS25)。
<ロータ100の製造方法の一例>
図13は、ロータ100の製造方法の他の一例を示すフローチャートである。まず、ステップS31において、ロータコア110用の電磁鋼板110Aを打ち抜いて積層する(ステップS31)。このときに、第1端板120及び第2端板130も打ち抜いておけばよい。ここでは一例として、電磁鋼板110A、第1端板120、及び第2端板130にリベット125B用の貫通孔を形成することとする。
次に、ロータコア110、第1端板120、及び第2端板130を重ねてリベット125Bを貫通孔に通し、先端を潰すことにより、ロータコア110、第1端板120、及び第2端板130をかしめる(ステップS32)。ロータコア110の中心軸Cにおける一方の端部に第1端板120を設けるステップS32の工程は第1工程の一例である。
次に、ステップS33において、第1開口部121を通じて磁石収容部111内に永久磁石140を挿入する(ステップS33)。ステップS33の工程は、ステップS2の工程と同様に治具を用いて行えばよい。磁石収容部111内に永久磁石140を挿入するステップS33の工程は、第2工程の一例である。第2工程は、第1工程よりも後に実施する工程である。
磁石収容部111内に永久磁石140を挿入することにより、ロータ100が完成する(ステップS34)。
ロータ100が完成したら、クランクシャフト80にロータ100を圧入する(ステップS35)。以上で、ロータ100の製造とクランクシャフト80への圧入が完了する。
また、ステップS33で永久磁石140を挿入する代わりに、ステップS36に進行して着磁を行う前の無着磁磁石を第1開口部121を通じて磁石収容部111内に挿入してもよい(ステップS36)。磁石収容部111内に無着磁磁石を挿入するステップS36の工程は、第2工程の一例である。第2工程は、第1工程よりも後に実施する工程である。
ステップS36の次には、ステップS37において無着磁磁石の着磁を行えばよい(ステップS37)。ステップS37の工程が完了すると、ロータ100が完成する(ステップS34)。ロータ100が完成したら、ステップS35においてクランクシャフト80にロータ100を圧入すればよい。
<クランクシャフト80に圧入されたロータ100の製造方法の他の一例>
図14は、クランクシャフト80に圧入されたロータ100の製造方法の他の一例を示すフローチャートである。まず、ステップS31において、ロータコア110用の電磁鋼板110Aを打ち抜いて積層する(ステップS31)。このときに、第1端板120及び第2端板130も打ち抜いておけばよい。ここでは一例として、電磁鋼板110A、第1端板120、及び第2端板130にリベット125B用の貫通孔を形成することとする。
次に、ロータコア110、第1端板120、及び第2端板130を重ねてリベット125Bを貫通孔に通し、先端を潰すことにより、ロータコア110、第1端板120、及び第2端板130をかしめる(ステップS32)。
次に、ステップS43において、クランクシャフト80に電磁鋼板110A、第1端板120、及び第2端板130を圧入する(ステップS43)。
次に、ステップS44において、永久磁石140を第1開口部121を通じて磁石収容部111内に挿入する(ステップS44)。ステップS44の工程は、ステップS2の工程と同様に治具を用いて行えばよい。磁石収容部111内に永久磁石140を挿入するステップS44の工程は、第2工程の一例である。第2工程は、第1工程よりも後に実施する工程である。
永久磁石140を磁石収容部111の内部に挿入することによって、クランクシャフト80に圧入されたロータ100が完成する(ステップS45)。
また、ステップS43の工程が終了したら、ステップS44に進む代わりにステップS46に進行して着磁を行う前の無着磁磁石を第1開口部121を通じて磁石収容部111内に挿入してもよい(ステップS46)。磁石収容部111内に無着磁磁石を挿入するステップS46の工程は、第2工程の一例である。第2工程は、第1工程よりも後に実施する工程である。
ステップS46の次には、ステップS47において無着磁磁石の着磁を行えばよい(ステップS47)。着磁することによって、クランクシャフト80に圧入されたロータ100が完成する(ステップS45)。
<ロータ100及びモータ70の製造方法の他の一例>
図15は、ロータ100及びモータ70の製造方法の他の一例を示すフローチャートである。ステップS31、S32、S43は、図14に示すフローと同様である。
ステップS43に続くステップS54では、クランクシャフト80に圧入した電磁鋼板110Aと、第1端板120、及び第2端板130を固定子72に組み込む(ステップS54)。
次に、ステップS55において、永久磁石140を第1開口部121を通じて磁石収容部111内に挿入する(ステップS55)。ステップS55の工程は、ステップS2の工程と同様に治具を用いて行えばよい。磁石収容部111内に永久磁石140を挿入するステップS55の工程は、第2工程の一例である。第2工程は、第1工程よりも後に実施する工程である。
ステップS55で永久磁石140を第1開口部121を通じて磁石収容部111内に挿入することによって、モータ70が完成する(ステップS56)。
以上、図10乃至図15に示すいずれの製造方法においても、ロータコア110、第1端板120、及び第2端板130を積層してから、第1開口部121を通じて磁石収容部111内に永久磁石140又は無着磁磁石を挿入する。無着磁磁石の場合は、磁石収容部111内に挿入してから着磁を行う。
中心軸Cに垂直な面への投影において、磁石収容部111のうちの第1端板120と重ならない第1空間111Aは、2つの永久磁石140よりも大きく、第1端板120は、磁石収容部111の一部と重なるので、第1端板120が下側になるようにロータコア110が向けられても、2つの永久磁石140は第1端板120のうちの第1開口部121の周りの部分に引っ掛かる。このため、2つの永久磁石140が第1開口部121から抜け出ることを抑制することができる。これは、2つの永久磁石140の代わりに、サイズの等しい2つの無着磁磁石を磁石収容部111内に挿入した場合も同様である。
したがって、第1端板120をロータコア110に付けたまま永久磁石140又は無着磁磁石をロータコア110の磁石収容部111に入れても永久磁石140又は無着磁磁石が抜けにくいロータ100を提供することができる。
また、2つの永久磁石140が第1開口部121を完全に通過して磁石収容部111の内部に入れられると、2つの永久磁石140の間に反発力が働き、2つの永久磁石140は磁石収容部111の内部で長手方向に移動するとともに、ロータコア110の磁石収容部111の短手方向の端部に位置する内壁に磁気的に吸着する。
この状態では、第1端板120は、中心軸Cに垂直な面への投影において、永久磁石140の少なくとも一部と重なるため、第1端板120が下側になるようにロータコア110が向けられても、永久磁石140は第1端板120のうちの第1開口部121の周りの部分に引っ掛かり、永久磁石140が磁石収容部111から抜けにくくすることができる。また、2つの永久磁石140の反発力を利用して永久磁石140をロータコア110に磁気的に吸着させることができ、2つの永久磁石140をより安定的に磁石収容部111内に収容することができる。
また、第1端板120は磁性体であるため、第1端板120もロータコア110の一部として機能させることができる。また、第1端板120とロータコア110の材質が等しい場合は、同じ材料から作製することができる。
また、ロータコア110は、永久磁石140に近接する非磁性空間112(フラックスバリア)を有し、第1端板120は、中心軸Cに垂直な面への投影において非磁性空間112に略重なる第2開口部122を有するため、非磁性空間112によって隣の磁極への磁束の漏れを抑制することができる。
また、永久磁石140は、ロータコア110と吸引することで、ロータコア110に磁気的に吸着するので、ロータコア110への吸着力を利用して永久磁石140をロータコア110に磁気的に吸着させることができ、永久磁石140をより安定的に磁石収容部111内に収容することができる。
また、ロータコア110の中心軸Cにおける他方の端部に設けられる第2端板130を含むので、ロータコア110の中心軸Cにおける他方の端部側においても、永久磁石140が磁石収容部111から抜けにくくすることができる。
また、第1端板120と第2端板130は同一形状であるため、第1端板120と第2端板130とを同一工程で製造可能であり、製造工程の簡略化と、部品点数の削減による製造コストの低減とを図ることができる。また、第1開口部121を通じて磁石収容部111内に収容された永久磁石140が磁石収容部111の内壁に磁気的に吸着した状態では、第2端板130の第1開口部131以外の部分と永久磁石140の少なくとも一部とが、中心軸Cに垂直な面への投影において重なる。このため、磁石収容部111内に収容された永久磁石140が第2端板130の第1開口部131を通じて抜け出ることを抑制することができる。
また、永久磁石140はネオジム系の磁石であるため、永久磁石140の保磁力を非常に大きくすることができる。
また、第1端板120を付けたまま永久磁石140をロータコア110の磁石収容部111に入れても永久磁石140が抜けにくいロータ100を搭載したモータ70を提供することができる。
また、第1端板120を付けたまま永久磁石140をロータコア110の磁石収容部111に入れても永久磁石140が抜けにくいロータ100を含むモータ70を搭載した圧縮機50を提供することができる。
また、第1端板120を付けたまま永久磁石140をロータコア110の磁石収容部111に入れても永久磁石140が抜けにくいロータ100を含む圧縮機50を搭載した空調機1を提供することができる。空調機1は冷凍装置として機能することができる。
また、ロータコア110の中心軸Cにおける一方の端部に第1端板120を設ける工程(第1工程の一例)と、磁石収容部111の内部に永久磁石140又は無着磁磁石を挿入する工程(第2工程の一例)とを含み、第2工程は第1工程の後に実施するので、第1端板120を付けたまま永久磁石140をロータコア110の磁石収容部111に入れても永久磁石140が抜けにくいロータの製造方法を提供することができる。
ネオジム系の永久磁石140は、保磁力が高いため、ロータコア110に組み込んでから着磁することが困難な場合が有り得る。また、着磁されている永久磁石140をロータコア110に入れた後には、焼き嵌め等のような加熱処理を高温で行うことはできない。また、保磁力の高いネオジム系の永久磁石140は、加熱時の減磁には強いが、着磁する際高い磁場が必要であるため、単体で着磁することが望ましい。
実施形態のロータ100の製造方法では、ロータコア110、第1端板120、及び第2端板130を組んでから、第1開口部121を通じて磁石収容部111内に永久磁石140を挿入するので、磁石収容部111内に挿入した後に着磁を行う必要がなく、加熱処理を行う必要もない。このため、保磁力の高いネオジム系の永久磁石140を含むロータ100を効率的に製造することができる。
なお、ロータコア110に無着磁磁石を組み込んでから着磁することが可能な場合は、ステップS6及びS7、ステップS15及びS16、ステップS36及びS37、及び、ステップS46及びS47のように、磁石収容部111内に無着磁磁石を挿入してから着磁を行えばよい。
なお、以上では、第1端板120と第2端板130の形状が等しい形態について説明したが、第2端板130の第1開口部131は、中心軸Cに垂直な面への投影において、第1端板120の第1開口部121からずらした位置にあってもよく、第1開口部121よりも開口サイズが小さくてもよい。これらの場合には、第1開口部121を通じて磁石収容部111内に挿入された永久磁石140が第2端板130の第1開口部131を通じて磁石収容部111から抜け出ることを、より効果的に抑制することができる。
<実施形態の変形例の永久磁石140A>
図16は、第1端板120の第1開口部121を通じて磁石収容部111の内部に、実施形態の変形例の永久磁石140Aを挿入した状態の一例を示す図である。図16は、図8(B)に相当する状態を示す図である。永久磁石140Aは第1磁石の一例である。
永久磁石140Aは、上述した2つの永久磁石140を長手方向に貼り合わせた構成を有する。このため、中心軸Cに垂直な面への投影における永久磁石140Aのサイズは、第1端板120の第1開口部121の開口サイズよりも僅かに小さい。このような永久磁石140Aを第1開口部121を通じて磁石収容部111内に挿入すると、ロータコア110の磁石収容部111の短手方向の端部に位置する内壁に磁気的に吸着する。このため、永久磁石140Aは、図16に示すように、例えば磁石収容部111の径方向における外側の内壁に磁気的に吸着する。この状態で、永久磁石140Aの少なくとも一部は、第1端板120の第1開口部121の周囲の部分と重なるので、磁石収容部111から抜け出ることを抑制することができる。なお、永久磁石140Aは、磁石収容部111の径方向における内側の内壁に磁気的に吸着する場合もあるが、この場合も同様に永久磁石140Aの少なくとも一部は、第1端板120の第1開口部121の周囲の部分と重なる。
<実施形態の変形例のロータ100A>
図17は、実施形態の変形例のロータ100Aの分解状態の一例を示す図である。ロータ100Aは、図5に示すロータ100の第2端板130の代わりに第2端板130Aを含む。第2端板130Aは、図5に示す第2端板130から第1開口部131、第2開口部132、及びブリッジ133を省いた構成を有する。なお、第2端板130Aは、非磁性体製であってもよい。
このような第2端板130Aを用いれば、磁石収容部111内に収容される永久磁石140が第2端板130側から外に抜け出ることを完全に抑制できる。また、無着磁磁石を用いる場合には、万一の場合に無着磁磁石が抜け出ることを完全に抑制できて効果的である。また、第2端板130Aは、第1開口部131、第2開口部132、及びブリッジ133を有しないため、第2端板130Aの製造工程を簡略化することができる。
<実施形態の変形例のロータ100B>
図18は、実施形態の変形例のロータ100Bの分解状態の一例を示す図である。ロータ100Bは、図5に示すロータ100の第1端板120及び第2端板130の代わりに第1端板120B及び第2端板130Bを含む。第1端板120Bは、図5に示す第1端板120から第2開口部132を省いた構成を有する。第2端板130Bは、図5に示す第2端板130から第2開口部132を省いた構成を有する。第1端板120B及び第2端板130Bは、非磁性体製である。このため、第1端板120B及び第2端板130Bを磁性体以外の様々な材料で作製することができる。非磁性体製は、例えば、真鍮、ステンレス鋼(SUS)、アルミニウム等である。
第1端板120B及び第2端板130Bは非磁性体製であるため、フラックスバリアの一部として機能する第2開口部122及び第2開口部132を有していなくても、隣同士の磁極の磁束の漏れを抑制することができる。なお、第1端板120B及び第2端板130Bの分だけ実質的にロータコアが薄くなるが、ロータコア110の中心軸Cの両端側において1枚ずつ減ることによる影響が生じないように設計すればよい。第1端板120B及び第2端板130Bをロータコア110に付けたまま永久磁石140又は無着磁磁石をロータコア110の磁石収容部111に入れても永久磁石140又は無着磁磁石が抜けにくいロータ100Bを提供することができる。
<実施形態の変形例のロータ100C>
図19は、実施形態の変形例のロータ100Cの分解状態の一例を示す図である。ロータ100Cは、図18に示すロータ100Bの第2端板130Bの代わりに第2端板130Cを含む。第2端板130Cは、図5に示す第2端板130から第1開口部131、第2開口部132、及びブリッジ133を省いた構成を有し、図17に示す第2端板130Aと同一である。第2端板130Cは、非磁性体製であってもよい。
このような第2端板130Cを用いれば、磁石収容部111内に収容される永久磁石140が第2端板130C側から外に抜け出ることを完全に抑制できる。また、無着磁磁石を用いる場合には、万一の場合に無着磁磁石が抜け出ることを完全に抑制できて効果的である。また、第2端板130Cは、第1開口部131、第2開口部132、及びブリッジ133を有しないため、第2端板130Cの製造工程を簡略化することができる。
<実施形態の変形例のロータコア201>
図20は、実施形態の変形例のロータコア201の一例を示す図である。図20(A)に示すように、ロータコア201は、回転軸Pの周りで露出する外周210と、回転軸Pの周りで環状に配置される複数の磁石収容部230と、空隙部232と、軸挿入孔240と、リベット用の孔250とを有している。回転軸Pは、上述した中心軸Cに相当する。
軸挿入孔240は回転軸Pを含む領域に、回転軸Pと平行な方向にロータコア201を貫通して設けられている。ただし、必ずしも軸挿入孔240は必要ではない。例えば回転軸Pに平行な方向におけるロータコア201の両端に端板を設け、当該端板にシャフトが取り付けられた態様であれば、軸挿入孔240は不要である。
孔250は例えば回転軸Pの周りで環状に配置され、回転軸Pについて平行な方向にロータコア201を貫通している。当該孔250にはリベットが挿入される。例えばロータコア201を両側から端板で挟み、孔250を介して全体をリベットで固定する。但し、例えばロータコア201と端板とを溶接で固定する態様であれば孔250は必ずしも必要ではない。
複数の磁石収容部230は回転軸Pの周りに環状に配置されている。図20には、磁石収容部230の各々に2つの永久磁石140が収容されている態様が例示されている。永久磁石140は外周210側のロータコア201を磁極として機能させる。2つの永久磁石140のうちの一方は第1磁石の一例であり、他方は第2磁石の一例である。
永久磁石140の磁極面は、単一の磁極を外周側に向けて配置される。ここでは各々の磁石収容部230に収容される2つの永久磁石140同士が同じ極性の磁極面を外周210に向けて配置されている。回転軸Pを中心とした周方向Dにおいて隣り合う2つの磁石収容部230の一方に収容される2つの永久磁石140が外周210に向ける磁極面と、他方に収容される2つの永久磁石140の磁極面とは極性が異なる。よって、周方向Dにおいて相互に隣り合う磁極同士は、相互に極性が異なる。
また磁石収容部230はその周方向の端部に空隙部231を有していてもよい。空隙部231は永久磁石140の両端よりも外周側に配置されている。空隙部231は必須要件ではないが、磁極間における永久磁石140の磁束の漏れを低減することができる。
2つの空隙部232は周方向において2つの空隙部231と離間して、2つの空隙部231の間に配置されている。
このようなロータコア201に対して、回転軸Pの一端側には、上述した第1端板120と同様の第1端板が重ねて設けられる。図20(A)には、ロータコア201に重ねて設けられる第1端板の第1開口部260の位置を破線で示す。第1開口部260は、ロータコア201の磁石収容部230と同様にV字型であり、回転軸Pに垂直な面への投影において、磁石収容部230の内部に含まれる。第1開口部260の回転軸Pに垂直な面への投影における開口サイズは、第1開口部260に合わせてV字状に配置した2つの永久磁石140よりも僅かに大きい。
このため、V字状に配置した2つの永久磁石140を第1開口部260を通じて磁石収容部230の内部に挿入すると、2つの永久磁石140の間に働く反発力によって、2つの永久磁石140は磁石収容部230の内部で両端側に移動する。また、隣り合う2つの磁石収容部230の各々に永久磁石140を挿入すると、一方に収容される永久磁石140と他方に収容される永久磁石140の間に働く吸引力によって、各々の永久磁石140は磁石収容部230の径方向における内側の内壁に吸着する。さらに、2つの永久磁石140は、ロータコア201の磁石収容部230の径方向における外側又は内側の内壁に磁気的に吸着する。このため、例えば、2つの永久磁石140は、図20(B)に示すように、磁石収容部230の径方向における内側の内壁に、長手方向に離れた状態で磁気的に吸着する。
この状態では、回転軸Pに垂直な面への投影において、各永久磁石140の少なくとも一部と、第1端板の第1開口部260の周りの部分とが重なるため、永久磁石140が第1開口部260から抜けにくいロータを提供することができる。
<実施形態の変形例のロータコア110D>
図21は、実施形態の変形例のロータコア110Dの一例を示す図である。ロータコア110Dは、図7に示すロータコア110の磁石収容部111の代わりに、中心軸Cに垂直な面への投影が台形の磁石収容部111Dを有する。磁石収容部111Dの両端には、非磁性空間112D(フラックスバリア)が連続的に設けられている。以下では、説明の便宜上、磁石収容部111Dの4つの辺のうち、長手方向の両端で非磁性空間112Dが接続される2つの辺のうち、長い方を長辺111D1、短い方を短辺111D2と称す。
図21には、ロータコア110Dに対して中心軸C方向の一端側に重ねられる第2端板の第1開口部121Dの位置を破線で示す。第1開口部121Dは、中心軸Cに垂直な面への投影において磁石収容部111Dと同様に台形であり、中心軸Cに垂直な面への投影において磁石収容部111Dに含まれている。
このようなロータコア110Dの磁石収容部111D内に、第1開口部121Dを通じて永久磁石140Dを挿入する。永久磁石140Dは第1磁石の一例である。永久磁石140Dは、中心軸Cに垂直な面への投影において第1開口部121Dと同様に台形であり、第1開口部121Dよりも僅かに小さい。永久磁石140Dは、磁石収容部111D内に収容されると、図21(B)に示すように磁石収容部111Dの短辺111D2側に移動し、永久磁石140Dの外周側の磁極面は磁石収容部111Dの径方向における外側の内壁に接触し、永久磁石140Dの内周側の磁極面は磁石収容部111Dの径方向における内側の内壁に接触する。短辺111D2側の方が長辺111D1側よりも磁石収容部111Dの空間が小さく、磁性体が多く存在するため、長辺111D1側よりも短辺111D2側の方がより大きい磁気的な吸着力が働くからである。
永久磁石140Dが磁石収容部111D内で図21(B)に示すように磁石収容部111Dの短辺111D2側に移動すると、永久磁石140Dと第1開口部121Dとの位置がずれるため、中心軸Cに垂直な面への投影において、永久磁石140Dの少なくとも一部と、第1開口部121Dを有する第1端板とが重なる。このため、第1開口部121Dから永久磁石140Dが抜け出ることを抑制することができる。また、永久磁石140Dの両磁極面と磁石収容部111Dの内側の内壁及び外側の内壁との隙間をゼロとすることができるため、磁気抵抗を小さくできる。
<実施形態の変形例のモータ70E及びロータ100E>
図22は、実施形態の変形例のモータ70E及びロータ100Eの一例を示す図である。図22(A)には永久磁石140Eを挿入する際の状態を示し、図22(B)には永久磁石140Eの挿入後の状態を示す。
図22(A)に示すように、モータ70Eは、ロータ100E及び固定子72を含む。ロータ100Eは、ロータコア110E、永久磁石140E、第1端板、及び第2端板を有する。図22では、第1端板の第1開口部121Eを破線で示すが、第1端板及び第2端板を省略する。第1端板及び第2端板は、ロータコア110Eに対して中心軸Cの一端側及び他端側に重ねて設けられる。
図22に1つの磁極に対応する部分を拡大して示すように、ロータコア110Eは、内周側の4つの磁石収容部325-1、325-2、325-3、325-4と、外周側の2つの磁石収容部325-5、325-6とを有する。内周側の4つの磁石収容部325-1、325-2、325-3、325-4は、周方向における磁極の中心とロータコア110の中心軸Cとを通る磁極中心線MCを対称軸として線対称に配置されている。外周側の2つの磁石収容部325-5、325-6は、磁極中心線MCを対称軸として線対称に配置されている。内周側の4つの磁石収容部325-1、325-2、325-3、325-4と、外周側の2つの磁石収容部325-5、325-6とは、径方向に多層(この例では、2層)に設けられている。
内周側の4つの磁石収容部325-1、325-2、325-3、325-4の間には、ブリッジ324-1、324-2、324-3が存在する。これら3つのブリッジ324-1、324-2、324-3)は、磁極中心線MC側のブリッジ324-1と、磁極中心線MCから離れた側のブリッジ324-2、324-3とを含む。ブリッジ324-1は径方向に沿っているが、ブリッジ324-2、324-3は径方向に対して角度を有するので、ブリッジ324-1よりもブリッジ324-2、324-3の方が曲げ応力を考慮して幅が広い。また、外周側の2つの磁石収容部325-5、325-6の間にはブリッジ324-4が存在する。ブリッジ324-4は、磁極中心線MC上に位置している。ブリッジ324-4の幅は、ブリッジ324-1の幅と略等しい。
第1開口部121Eは、磁石収容部325-1~325-6の各々に重なるように設けられており、磁石収容部325-1~325-6の各々よりも小さい。また、各第1開口部121Eは、中心軸Cに垂直な面への投影において、磁石収容部325-1~325-6の各々に含まれる。すなわち、磁石収容部325-1~325-6の各々は、第1開口部121Eと重ならない部分を有する。磁石収容部325-1~325-6の各々では、第1開口部121Eは磁極中心線MCに近い側に位置する。磁石収容部325-1~325-6の内部空間のうち、第1開口部121Eと重なる部分は、第1開口部121Eを有する第1端板と重ならない第1空間の一例である。
永久磁石140Eは、中心軸Cに垂直な面への投影において、第1開口部121Eと略等しいサイズを有し、厳密には第1開口部121Eを通れるように僅かに小さい。磁石収容部325-1~325-6の各々には、永久磁石140Eが1つずつ挿入される。磁石収容部325-1~325-6のうちのいずれか1つに挿入される永久磁石140Eは第1磁石の一例であり、他の1つに挿入される永久磁石140Eは第2磁石の一例である。
各第1開口部121Eを通じて磁石収容部325-1~325-6の各々に永久磁石140Eを挿入すると、図22(B)に示すように、磁石収容部325-1~325-6の各々の内部において、永久磁石140Eは反発力によって磁極中心線MCから離れるように移動する。これは、磁石収容部325-2と磁石収容部325-3とに挿入された2つの永久磁石140Eが反発力によって磁極中心線MCから離れるように移動し、磁石収容部325-1と磁石収容部325-4とに挿入された2つの永久磁石140Eが、磁石収容部325-2と磁石収容部325-3とに挿入された永久磁石140Eが近づくことによる反発力によって磁極中心線MCから離れるように移動するからである。また、磁石収容部325-5と磁石収容部325-6とに挿入された2つの永久磁石140Eも反発力によって磁極中心線MCから離れるように移動する。
図22(B)に示すように、磁石収容部325-1~325-6の各々の内部において、永久磁石140Eは反発力によって磁極中心線MCから離れるように移動すると、各永久磁石140Eの少なくとも一部は、第1端板の各第1開口部121Eの周囲と重なる。換言すれば、第1開口部121Eを有する第1端板は、永久磁石140Eの少なくとも一部と重なる。このため、永久磁石140Eが第1開口部121Eから抜け出ることを抑制することができる。
<実施形態の変形例のロータ100F>
図23は、実施形態の変形例のロータ100Fの一例を示す図である。図23には、ロータ100Fの円周方向における約1/4の部分を拡大して示す。図23(A)には永久磁石140F1、140F2を挿入する際の状態を示し、図23(B)には永久磁石140F1、140F2の挿入後の状態を示す。また、図24は、中心軸Cに垂直な面への投影における永久磁石140F1、140F2と第1開口部121Fの位置関係の一例を示す図である。
図23(A)に示すように、ロータ100Fは、ロータコア110と永久磁石140F1、140F2を有する。永久磁石140F1は第1磁石の一例であり、永久磁石140F2は第2磁石の一例である。ロータ100Fは、ロータコア110の中心軸C方向の一端側と他端側に設けられる第1端板と第2端板を有するが、第1端板の第1開口部121Fを示し、第1端板と第2端板は省略する。なお、ロータコア110は、図7等に示すロータコア110と同一である。
図24(A)に示すように、第1開口部121Fは、中心軸Cに垂直な面への投影において、2つの台形の斜辺の一部分を接続した形状を有する。第1開口部121Fは、中心軸Cに垂直な面への投影において、長方形の中心を通り長辺に対して角度を有する直線で長方形を二等分して得る2つの台形を長辺方向にずらして配置した形状を有する。第1開口部121Fは、図23(A)に示すように、中心軸Cに垂直な面への投影において、磁石収容部111よりも小さく、磁石収容部111に含まれる。このため、磁石収容部111は、第1開口部121Fと重ならない部分を有する。磁石収容部111のうちの第1開口部121Fと重なる部分は、第1開口部121Fを有する第1端板と重ならない第1空間の一例である。なお、第1開口部121Fは、中心軸Cに垂直な面への投影において2つの台形状の開口部に分けられていてもよい。
永久磁石140F1、140F2は、中心軸Cに垂直な面への投影において、第1開口部121Fの2つの台形に対応した台形である。永久磁石140F1、140F2は、第1開口部121Fの2つの台形の斜辺に対応する部分に中心軸Cに平行な傾斜面を有する。永久磁石140F1、140F2は、直方体状の1つの永久磁石を、中心軸Cに垂直な面への投影において直方体の中心を通り長辺に対して角度を有する直線を含む平面で二等分して得る2つの立体形状を有する。このため、永久磁石140F1、140F2の形状は同一である。永久磁石140F1、140F2の傾斜面は、二等分する平面に含まれる。
図24(A)には第1開口部121の開口形状に合わせて永久磁石140F1、140F2を配置した状態を示し、図24(B)には図24(A)に示す永久磁石140F1、140F2のみを示す。図24(A)及び図24(B)では、永久磁石140F1、140F2は傾斜面の一部同士を合わせた状態である。永久磁石140F1、140F2の磁化方向は、図24(B)に示す矢印αの方向である。
図24(A)に示すように第1開口部121Fの形状に合わせて傾斜面の一部分が接するように配置した状態で、第1開口部121Fを通じて磁石収容部111に挿入されると、永久磁石140F1、140F2は吸引し合い、図23(B)及び図24(C)に示すように、中心軸Cに垂直な面への投影において長方形をなすように移動する。図23(B)及び図24(C)に示す状態では、永久磁石140F1、140F2は分断前の直方体状の1つの永久磁石をなしている。図23(B)及び図24(C)では、永久磁石140F1、140F2の傾斜面同士が位置を合わせて吸着した状態である。図23(B)に示す状態から図24(C)に示す状態へと永久磁石140F1、140F2が移動すると、磁化方向の永久磁石140F1、140F2の長さは増大し、永久磁石140F1の外周側の磁極面は磁石収容部111の径方向における外側の内壁に接触し、永久磁石140F2の内周側の磁極面は磁石収容部111の径方向における内側の内壁に接触し、永久磁石140F1の内周側の磁極面と永久磁石140F2の外周側の磁極面は接触する。言い換えると、永久磁石140F1、140F2の両磁極面と磁石収容部111の内側の内壁及び外側の内壁との隙間をゼロとすることができるため、磁気抵抗を小さくできる。
図23(B)及び図24(C)に示すように永久磁石140F1、140F2の傾斜面同士が吸着した状態では、中心軸Cに垂直な面への投影において、永久磁石140F1、140F2の少なくとも一部が第1開口部121Fとは重ならない。換言すれば、図23(B)及び図24(C)に示すように永久磁石140F1、140F2の傾斜面同士が吸着した状態では、第1開口部121Fを有する第1端板は、中心軸Cに垂直な面への投影において、永久磁石140F1、140F2の少なくとも一部と重なる。
このため、永久磁石140Fが第1開口部121Eから抜け出ることを抑制することができる。また、永久磁石140F1、140F2の吸引力を利用して永久磁石140F1、140F2をロータコア110に磁気的に吸着させることができ、永久磁石140F1、140F2をより安定的に磁石収容部111内に収容することができる。
<実施形態の変形例のロータ100G>
図25は、実施形態の変形例のロータ100Gを示す分解図である。図25に示すロータ100Gは、図5に示すロータ100に2つのバランスウェイト150を追加した構成を有する。その他の構成は、図5に示すロータ100と同一である。
例えば、圧縮機50(図2参照)に用いる場合に、バランスウェイト150が取り付けられる場合がある。ここでは、2つのバランスウェイト150のうちの一方が第1端板120の上側に取り付けられ、他方が第2端板130の下側に取り付けられることとする。2つのバランスウェイト150は、中心軸Cに垂直な面への投影において半円環状であり、中心軸Cに垂直な面への投影において重ならないように、かつ、一方のバランスウェイト150が2つの第1開口部121と重なり、他方のバランスウェイト150が2つの第1開口部131と重なるように配置される。
このような場合には、4つの永久磁石140のうちの2つを上側の第1開口部121から磁石収容部111内に挿入し、残りの2つを下側の第1開口部131から磁石収容部111内に挿入すればよい。このようにすれば、バランスウェイト150があっても永久磁石140を磁石収容部111に簡単に挿入することができ、このため、永久磁石140が第1開口部121及び131から抜け出ることを抑制することができる。
<実施形態の変形例のロータ100H>
図26は、実施形態の変形例のロータ100Hの一例を示す図である。ロータ100Hは、図8に示すロータコア110の代わりにロータコア110Hを有するとともに、図8に示す第1端板120の代わりに第1端板120Hを有する。ロータコア110Hは、磁石収容部111Hを有する。磁石収容部111Hは、図8に示す磁石収容部111及び非磁性空間112を合わせるとともに、図8に示す磁石収容部111の長手方向の中央で分断した空間であり、非磁性空間112に相当する延長部111H1を有する。2つの磁石収容部111Hの間にはロータコア110Hの連結部115Hが存在する。すなわち、ロータコア110Hは、8つの磁石収容部111Hと4つの連結部115Hを有する。連結部115Hは、中心軸Cに垂直な面への投影において、ロータコア110Hの中心軸Cを通る半径上に位置する。
また、第1端板120Hは、図8に示す第1開口部121を長手方向の中央で分断した2つの開口部に相当する2つの第1開口部121Hを有する。すなわち、第1端板120Hは、8つの第1開口部121Hを有する。各第1開口部121Hの位置は、中心軸Cに垂直な面への投影において、各磁石収容部111Hに対応しており、各第1開口部121Hは、中心軸Cに垂直な面への投影において、各磁石収容部111Hに含まれる。第1端板120Hは、8つの磁石収容部111Hの一部と重なる。
2つの延長部111H1はフラックスバリアとして機能する。また、2つの延長部111H1は、ロータコア110Hの外周部に連通する連通部111H2を有する。このため、2つの磁石収容部111Hは、中心軸Cに沿ってロータコア110Hを貫通する貫通孔ではなく、軸方向にわたってロータコア110Hの外周部から切り欠かれた切り欠きである。このような磁石収容部111Hを有するロータコア110Hを用いても、永久磁石140、140が第1開口部121Hから抜け出ることを抑制することができる。
なお、磁石収容部111Hの内部での永久磁石140の移動を助けるため、永久磁石140や磁石収容部111Hの内壁に潤滑油を塗布すると好適である。これは、ここで説明したロータコア110Hに限らず、上述したロータコア110、110D、110Eについても同様である。
<車両400>
図27は、実施形態のモータ70を搭載した車両400の一例を示す図である。モータ70は、車両400の駆動輪を駆動する駆動軸に駆動力を伝達する。車両400は、モータ70のみを動力源とするEV(Electric Vehicle)であってもよく、モータ70と内燃機関等の両方を駆動源とするHV(Hybrid Vehicle)やPHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)であってもよい。
この構成によれば、第1端板120を付けたまま永久磁石140をロータコア110の磁石収容部111に入れても永久磁石140が抜けにくいロータ100を含むモータ70を搭載した車両400を提供することができる。
以上、例示的な実施形態のロータ、回転電機、圧縮機、冷凍装置、車両、及び、ロータの製造方法について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
70、70E モータ
100、100A、100B、100C、100E ロータ
110、110D、110E、110H ロータコア
111、111D、111H、230 磁石収容部
112、112D 非磁性空間
120、120B、120H 第1端板
121、121D、121E、121F、121H 第1開口部
122 第2開口部
130、130A、130B、130C 第2端板
131 第1開口部
132 第2開口部
140、140A、140D、140E、140F1、140F2 永久磁石
400 車両

Claims (16)

  1. 軸方向に貫通する貫通孔、又は、前記軸方向にわたって外周部から切り欠かれた切り欠きで構成される磁石収容部を有する円筒型の軟磁性体で形成されたロータコアと、
    前記磁石収容部に収容される第1磁石と、
    前記ロータコアの軸方向における一方の端部に設けられる第1端板と
    を含み、
    前記軸方向に直交する面への投影において、
    前記磁石収容部において、前記第1端板と重ならない第1空間は、前記第1磁石よりも大きく、
    前記第1端板は、前記磁石収容部の一部と重なる、ロータ。
  2. 前記第1磁石が着磁された状態で、
    前記第1磁石は前記ロータコアに磁気的に吸着し、
    前記第1端板は、前記軸方向に直交する面への投影において、前記第1磁石の少なくとも一部と重なる、
    請求項1に記載のロータ。
  3. 前記第1端板は磁性体である、請求項2に記載のロータ。
  4. 前記ロータコアは、前記第1磁石に近接するフラックスバリアを有し、
    前記第1端板は、前記軸方向における投影において前記フラックスバリアに略重なる開口部を有する、請求項3に記載のロータ。
  5. 前記第1端板は非磁性体である、請求項2に記載のロータ。
  6. 前記第1磁石が収容される磁石収容部、又は、前記ロータコアの前記第1磁石が収容される磁石収容部とは異なる磁石収容部に収容される第2磁石をさらに含み、
    前記第1磁石は、前記第2磁石と反発することで、前記ロータコアに磁気的に吸着する、請求項2乃至5のいずれか1項に記載のロータ。
  7. 前記第1磁石が収容される磁石収容部、又は、前記ロータコアの前記第1磁石が収容される磁石収容部とは異なる磁石収容部に収容される第2磁石をさらに含み、
    前記第1磁石は、前記第2磁石と吸引することで、前記ロータコアに磁気的に吸着する、請求項2乃至5のいずれか1項に記載のロータ。
  8. 前記第1磁石は、前記ロータコアと吸引することで、前記ロータコアに磁気的に吸着する、請求項2乃至5のいずれか1項に記載のロータ。
  9. 前記ロータコアの前記軸方向における他方の端部に設けられる第2端板をさらに含む、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のロータ。
  10. 前記第1端板と前記第2端板は同一形状である、請求項9に記載のロータ。
  11. 前記第1磁石はネオジム系の磁石である、請求項1乃至10のいずれか1項に記載のロータ。
  12. 請求項1乃至11のいずれか1項に記載のロータを搭載した回転電機。
  13. 請求項12に記載の回転電機を搭載した圧縮機。
  14. 請求項13に記載の圧縮機を搭載した冷凍装置。
  15. 請求項12に記載の回転電機を搭載した車両。
  16. 軸方向に貫通する貫通孔、又は、前記軸方向にわたって外周部から切り欠かれた切り欠きで構成される磁石収容部を有する円筒型の軟磁性体で形成されたロータコアの前記軸方向における一方の端部に第1端板を設ける第1工程と、
    前記磁石収容部の内部に第1磁石を挿入する第2工程とを含み、
    前記第2工程は、前記第1工程の後に実施する、ロータの製造方法。
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